JP2024068903A - 規格外鋳片長さ決定方法、及び、連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異鋼種の連続鋳造において、継目部の規格外鋳片長さをより正確に推定し、鋳片の切断廃棄による歩留ロスを抑制する。【解決手段】前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法であって、前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とが混合した継目部を鋳造する際に、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析して、連続鋳造操業の各時刻におけるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度を算出し、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、前チャージの溶鋼の成分濃度に基づき算出される、継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する。【選択図】図3
Description
本発明は、前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法、及び、連続鋳造方法に関する。
成分の異なる溶鋼を連続して鋳造する異鋼種の連続鋳造では、前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とが混合した鋳片の継目部は、通常、成分範囲や操業条件にかかわらず、一律一定の長さで切断され、破棄される。これは、品質保証の観点に基づくものであり、継目部の成分濃度が、前チャージの溶鋼から鋳造する鋳片の規格値も、後チャージの溶鋼から鋳造する鋳片の規格値も満たさないことが多いためである。しかし、鋳片の継目部を一律一定の長さで切断すると、実際には後チャージの溶鋼から鋳造する鋳片の規格値を満たしている部分も切断して廃棄する可能性もあり、歩留ロスが生じる。このため、従来から、異鋼種の連続鋳造において、成分濃度が規格外である継目部の鋳片長さ(以下、「規格外鋳片長さ」ともいう。)を精度よく求め、歩留ロスを抑制することが検討されている。
例えば、特許文献1には、先行チャージの溶鋼が残存しているタンディッシュに、先行チャージとは成分の異なる溶鋼を後続チャージとして注入し、先行チャージと後続チャージとを連続して連続鋳造する異鋼種連続鋳造における継目部鋳片の処理方法が開示されている。かかる方法では、後続チャージがタンディッシュに注入された時点での鋳型内溶鋼湯面位置に該当する鋳片位置を基準位置として、該基準位置から、タンディッシュ内に残存する先行チャージの溶鋼重量及び鋳片断面積を考慮して算出される鋳片長の範囲までの後続チャージの鋳片をスクラップ処理する。
また、特許文献2には、中間容器に前チャージの溶湯を残したまま、ひきつづき成分の異なる後チャージの溶湯を中間容器に供給して連続鋳造する際の成分混合長決定方法が開示されている。かかる方法では、中間容器溶湯重量及び鋳片引き抜き速度を連続的に測定して、中間容器への注入速度及び中間容器からモールドへの注入速度を連続的に算出する。そして、これらの測定値及び算出値と、鋳片サイズと、前後レードル成分値と、成分許容範囲とに基づいて成分混合シミュレーションを行い、シミュレーション結果の鋳片成分値が前後チャージの溶湯成分範囲から外れる部位の長さを成分混合長としている。
しかし、上記特許文献1、2に記載の手法では、タンディッシュに流入する溶鋼が、タンディッシュに入った瞬間にタンディッシュ内の溶鋼と完全に混合されるという完全混合槽モデルに基づき、継目部の規格外鋳片長さを算出していると推察される。完全混合槽モデルは、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度は、場所によらず均一であるというモデルである。しかしながら、実際にはタンディッシュ内の溶鋼は時間の経過とともに流動し、タンディッシュ内における各場所での溶鋼の成分濃度は、均一ではない。このため、従来の手法では、継目部の規格外鋳片長さを正確に推定できていない可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、異鋼種の連続鋳造において、継目部の規格外鋳片長さをより正確に推定し、鋳片の切断廃棄による歩留ロスを抑制することが可能な、規格外鋳片長さ決定方法及び連続鋳造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法であって、前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とが混合した継目部を鋳造する際に、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析して、連続鋳造操業の各時刻におけるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度を算出し、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、前チャージの溶鋼の成分濃度に基づき算出される、継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する、規格外鋳片長さ決定方法が提供される。
タンディッシュの形状、スライディングノズルの形状、タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、後チャージの溶鋼の供給流量、及び、鋳造速度を設定し、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法であって、実施が想定される複数の操業条件それぞれについて、操業条件に基づき算出されたタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率と、当該操業条件に含まれる操業変数とのデータセットを予め準備し、複数のデータセットを用いて、操業変数と、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式を生成し、近似式を用いて分析対象の継目部の溶鋼の成分濃度を算出し、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する、規格外鋳片長さ決定方法が提供される。
前チャージの溶鋼の質量分率をF、後チャージの溶鋼の質量分率を1-F、前チャージの溶鋼の成分濃度をA、後チャージの溶鋼の成分濃度をBとしたとき、タンディッシュからモールドへ流れる継目部の溶鋼の成分濃度は、FA+(1-F)Bにより表してもよい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して鋳片を連続鋳造する連続鋳造方法であって、前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とが混合した鋳片の継目部を鋳造する際に、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析して、連続鋳造操業の各時刻におけるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度を算出し、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、前チャージの溶鋼の成分濃度に基づき算出される、継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定し、継目部から、規格外鋳片長さに対応する部分を、規格外の鋳片として切断して分離する、連続鋳造方法が提供される。
タンディッシュの形状、スライディングノズルの形状、タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、後チャージの溶鋼の供給流量、及び、鋳造速度を設定し、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して鋳片を連続鋳造する連続鋳造方法であって、鋳片を連続鋳造する前に、実施が想定される複数の操業条件それぞれについて、操業条件に基づき算出されたタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率と、当該操業条件に含まれる操業変数とのデータセットを予め準備して、複数のデータセットを用いて、操業変数と、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式を生成しておき、近似式を用いて分析対象の継目部の溶鋼の成分濃度を算出し、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定し、継目部から、規格外鋳片長さに対応する部分を、規格外の鋳片として切断して分離する、連続鋳造方法が提供される。
前チャージの溶鋼の質量分率をF、後チャージの溶鋼の質量分率を1-F、前チャージの溶鋼の成分濃度をA、後チャージの溶鋼の成分濃度をBとしたとき、タンディッシュからモールドへ流れる継目部の溶鋼の成分濃度は、FA+(1-F)Bにより表してもよい。
以上説明したように本発明によれば、異鋼種の連続鋳造において、継目部の規格外鋳片長さをより正確に推定し、鋳片の切断廃棄による歩留ロスを抑制することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[1.連続鋳造設備の構成]
まず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る連続鋳造設備の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る連続鋳造設備1の概略構成を示す説明図である。
まず、図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る連続鋳造設備の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る連続鋳造設備1の概略構成を示す説明図である。
本実施形態に係る連続鋳造設備1は、連続鋳造用のモールド10を用いて溶鋼2を連続鋳造し、鋳片3を製造するための装置である。図1に示す連続鋳造設備1は、垂直曲げ型の連続鋳造設備1であるが、本発明はかかる例に限定されず、湾曲型又は垂直型等、他の各種の連続鋳造設備に適用可能である。連続鋳造設備1は、モールド(鋳型)10と、取鍋4と、タンディッシュ5と、浸漬ノズル6と、二次冷却装置7とを備える。
取鍋4は、溶鋼2を外部からタンディッシュ5まで搬送するための可動式の容器である。取鍋4は、タンディッシュ5の上方に配置され、取鍋4内の溶鋼2がタンディッシュ5に供給される。タンディッシュ5は、モールド10の上方に配置され、溶鋼2を貯留して、当該溶鋼2中の介在物を除去する。浸漬ノズル6は、タンディッシュ5の下端からモールド10に向けて下方に延び、その先端はモールド10内の溶鋼2に浸漬されている。当該浸漬ノズル6は、タンディッシュ5にて介在物が除去された溶鋼2をモールド10内に連続供給する。
モールド10は、鋳片3の幅及び厚さに応じて形成された四角筒状の型である。モールド10は、例えば、一対の短辺銅板と、一対の長辺銅板とにより構成されている。モールド10を構成する銅板は、例えば水冷銅板である。かかる銅板の内面と接触した溶鋼2は冷却されて、外殻の凝固シェル3aの内部に未凝固部3bを含む鋳片3が製造される。凝固シェル3aがモールド10下方に向かって移動するにつれて、内部の未凝固部3bの凝固が進行し、外殻の凝固シェル3aの厚さは、徐々に厚くなる。かかる凝固シェル3aと未凝固部3bを含む鋳片3は、モールド10の下端から引き抜かれる。
二次冷却装置7は、モールド10の下方の二次冷却帯9に設けられ、モールド10下端から引き抜かれた鋳片3を支持及び搬送しながら冷却する。二次冷却装置7は、鋳片3の厚さ方向両側に配置される複数対の支持ロール8と、鋳片3に対して冷却水を噴射する複数のスプレーノズル(図示せず。)とを有する。二次冷却装置7に設けられる支持ロール8は、鋳片3の厚さ方向両側に対となって配置され、鋳片3を支持しながら搬送する支持搬送手段として機能する。当該支持ロール8により鋳片3を厚さ方向両側から支持することで、二次冷却帯9において凝固途中の鋳片3のブレークアウトやバルジングを防止できる。
支持ロール8は、二次冷却帯9における鋳片3の搬送経路(パスライン)を形成する。このパスラインは、図1に示すように、モールド10の直下では垂直であり(垂直帯9A)、次いで曲線状に湾曲して(湾曲帯9B)、最終的には水平になる(水平帯9C)。支持ロール8は、垂直帯9Aに設けられ、モールド10から引き抜かれた直後の鋳片3を支持するサポートロール、鋳片3をモールド10から引き抜く駆動式ロールであるピンチロール、湾曲帯9B及び水平帯9Cに設けられ、パスラインに沿って鋳片3を支持及び案内するセグメントロールからなる。
二次冷却帯9を通過した鋳片3は、その後、水平帯9Cの後段に設置された鋳片切断機(図示せず。)によって所定の長さに切断される。切断された鋳片3は、テーブルロール上を移動して次工程の設備に搬送される。
[2.異鋼種の連続鋳造]
異鋼種の連続鋳造では、成分濃度の異なる前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とを連続して鋳造する。異鋼種の連続鋳造は、例えば図2Aまたは図2Bに示す流れで行われる。図2A及び図2Bは、異鋼種の連続鋳造の流れの一例を示す説明図である。
異鋼種の連続鋳造では、成分濃度の異なる前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とを連続して鋳造する。異鋼種の連続鋳造は、例えば図2Aまたは図2Bに示す流れで行われる。図2A及び図2Bは、異鋼種の連続鋳造の流れの一例を示す説明図である。
例えば、図2Aに示す異鋼種の連続鋳造では、図2A上側に示すように、取鍋4aからタンディッシュ5への前チャージの溶鋼2aの供給が完了すると、タンディッシュ5からモールド10への出鋼を停止する。タンディッシュ5内には、前チャージの溶鋼2aが残存している。次いで、前チャージの溶鋼2aを収容していた取鍋4aをモールド10の上方から移動させ、図2A中央に示すように、次のチャージ(後チャージ)の溶鋼2bを収容した取鍋4bがタンディッシュ5の上方に移動される。そして、取鍋4bの後チャージの溶鋼2bを、スライディングノズル15を介して、取鍋4bからタンディッシュ5へ供給する。その後、図2A下側に示すように、タンディッシュ5内に所定量の溶鋼2が供給された状態となると、タンディッシュ5の出鋼口5aからモールド10へ溶鋼2が供給され、鋳造が開始される。出鋼開始後も、タンディッシュ5内には取鍋4bから後チャージの溶鋼2bが供給され続ける。
図2A中央に示したように、後チャージの溶鋼2bは、前チャージの溶鋼2aが残存しているタンディッシュ5内に供給される。このため、図2A下側に示したタンディッシュ5からの出鋼開始から暫くは、前チャージの溶鋼2aと後チャージの溶鋼2bとが混合した溶鋼2がモールド10へ供給され、後チャージの溶鋼から鋳造する鋳片の成分濃度の規格値を満たさない鋳片が鋳造される。その後、タンディッシュ5内の溶鋼2において後チャージの溶鋼2bの割合が多くなってくると、鋳片の成分濃度が規格値を満たすようになり、製品として用い得る鋳片の鋳造が開始される。
また、図2Bに示すように、タンディッシュ5からの出鋼を停止することなく、異鋼種を連続鋳造することもできる。図2B上側に示すように、まず、前チャージの溶鋼2aを、スライディングノズル15を介して、取鍋4aからタンディッシュ5へ供給する。取鍋4aからタンディッシュ5への前チャージの溶鋼2aの供給が完了すると、図2B中央に示すように、タンディッシュ5からモールド10への出鋼を継続したまま、前チャージの溶鋼2aを収容していた取鍋4aをタンディッシュ5の上方から移動させる。そして、次のチャージ(後チャージ)の溶鋼2bを収容した取鍋4bがタンディッシュ5の上方に移動される。その後、図2B下側に示すように、後チャージの溶鋼2bを、スライディングノズル15を介して、取鍋4bからタンディッシュ5へ供給する。
後チャージの溶鋼2bは、前チャージの溶鋼2aが残存しているタンディッシュ5内に供給される。このため、後チャージの溶鋼2bの供給開始から暫くは、前チャージの溶鋼2aと後チャージの溶鋼2bとが混合した溶鋼2がモールド10へ供給され、後チャージの溶鋼2bから鋳造する鋳片の成分濃度の規格値を満たさない鋳片が鋳造される。その後、タンディッシュ5内の溶鋼2において後チャージの溶鋼2bの割合が多くなってくると、鋳片の成分濃度が規格値を満たようになり、製品として用い得る鋳片の鋳造が開始される。
ここで、鋳片の前チャージと後チャージとの継目部のうち、後チャージの溶鋼から鋳造する鋳片の成分濃度の規格値を満たさない部分は、規格外の鋳片として切断して分離され、廃棄される。この規格外である鋳片の長さを精度よく予測することができれば、過剰に鋳片を廃棄することがなく、歩留ロスを抑制することができる。
そこで、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法では、図2A中央及び図2A下側や図2B下側に示した、前チャージの溶鋼2aと後チャージの溶鋼2bとが混合しているときのタンディッシュ5内の溶鋼流動を解析し、タンディッシュ5の出鋼口5aからモールド10へ流れる溶鋼2に含まれる成分濃度の時間推移を予測する。これにより、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度を、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度は場所によらず均一であるとする完全混合槽モデルに基づいて求める場合に比べて、精度よく予測することができ、継目部の規格外鋳片長さを正確に推定することができる。以下、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法について具体的に説明する。
[3.規格外鋳片長さ決定方法]
[3-1.非定常数値解析によるタンディッシュ内の溶鋼流動の予測]
まず、図3に基づいて、タンディッシュ内の溶鋼流動を非定常数値解析により予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明する。図3は、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法を示すフローチャートであって、タンディッシュ内の溶鋼流動を非定常数値解析により予測する場合を示す。非定常数値解析では、数値流体力学ソフトウェアを用いて、実機のタンディッシュ形状を模擬し、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析する。数値流体力学ソフトウェアのプログラムはコンピュータ等の情報処理装置によって実行される。
[3-1.非定常数値解析によるタンディッシュ内の溶鋼流動の予測]
まず、図3に基づいて、タンディッシュ内の溶鋼流動を非定常数値解析により予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明する。図3は、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法を示すフローチャートであって、タンディッシュ内の溶鋼流動を非定常数値解析により予測する場合を示す。非定常数値解析では、数値流体力学ソフトウェアを用いて、実機のタンディッシュ形状を模擬し、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析する。数値流体力学ソフトウェアのプログラムはコンピュータ等の情報処理装置によって実行される。
まず、図3に示すように、非定常数値解析を行うために必要な解析条件の初期設定を行う(S100)。非定常数値解析に際して、初期設定として、タンディッシュの形状及びスライディングノズルの形状が設定される。タンディッシュの形状は、縦幅、横幅、深さ等のタンディッシュの形状を特定するために必要なサイズ情報や、出鋼口の形状、出鋼口の数及びタンディッシュにおける出鋼口の位置等によって規定される。スライディングノズルの形状は、ノズル断面形状によって規定され、タンディッシュに対する設置位置も設定される。初期設定は、作業者が情報処理装置に各種情報を入力することにより行われる。
次いで、非定常数値解析を行う操業条件を入力する(S110)。本実施形態では、操業条件としては、タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、スライディングノズルを介してタンディッシュに供給される後チャージの溶鋼の供給流量、及び、鋳造速度が入力される。作業者は、情報処理装置に操業条件を入力する。
ステップS100、S110により解析条件が設定されると、情報処理装置は数値流体力学ソフトウェアのプログラムを実行し、タンディッシュ内の溶鋼流動を解析する。そして、非定常数値解析結果に基づき、連続鋳造操業の各時刻におけるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度を算出する(S120)。非定常数値解析では、解析全体を所定の単位時間に区切り、少しずつ時間を進めながら次の時間の現象を求めることを繰り返して、溶鋼が流動していく過程の状態も特定しながら、最終状態(本実施形態では、後チャージの溶鋼成分のみとなる状態)となるまでの変化を取得できる。すなわち、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度の時間推移が取得される。
非定常数値解析は、溶鋼に含まれる各種成分のうち少なくとも1つについて実施されればよい。特定の成分濃度の時間推移を取得する場合には、前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼とで成分濃度が大きく異なる成分について取得してもよい。これにより、継目部における前チャージの溶鋼と後チャージの溶鋼との割合の変化を明確にとらえることができる。
ステップS120にて連続鋳造操業の各時刻におけるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の成分濃度が算出されると、情報処理装置は、タンディッシュからモールドへ流れる継目部の溶鋼の成分濃度を算出する(S130)。前チャージの溶鋼の質量分率をF、後チャージの溶鋼の質量分率を1-F、前チャージの溶鋼の成分濃度をA、後チャージの溶鋼の成分濃度をBとしたとき、継目部の溶鋼の成分濃度は下記式(1)により表すことができる。
継目部の溶鋼の成分濃度=F×A+(1-F)×B ・・・(1)
情報処理装置は、上記式(1)に基づき、溶鋼の成分毎に、各時間における継目部の溶鋼の成分濃度を算出する。
その後、ステップS130にて算出された継目部の溶鋼の成分濃度の時間推移に基づいて、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する(S140)。規格値は、後チャージの溶鋼の成分濃度に基づき設定され、例えば、後チャージの溶鋼の成分濃度として許容される範囲内の値としてもよい。ステップS130にて算出された継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たしたとき、継目部は、前チャージの溶鋼から後チャージの溶鋼に移行したと判断できる。そこで、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する。規格外鋳片長さは、情報処理装置が予め設定された規格値に基づいて決定してもよく、作業者がステップS130にて算出された継目部の溶鋼の成分濃度の時間推移を確認して決定してもよい。
以上、タンディッシュ内の溶鋼流動を非定常数値解析により予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明した。かかる方法によれば、タンディッシュ内の溶鋼流動を数値流体力学に基づく非定常数値解析を行い予測することで、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度を精度よく予測することができ、継目部の規格外鋳片長さを正確に推定することができる。その結果、鋳片の歩留ロスを抑制することができる。
図4に、ステップS130にて算出される継目部の溶鋼の成分濃度の時間推移の一例を示す。図4では、溶鋼に含まれる成分のうちMnに着目し、Mn濃度の時間推移について、実測値と、非定常数値解析による計算値と、完全混合槽モデルに基づく計算値とを示している。鋳造長さは、タンディッシュから出鋼開始したときを0として、出鋼口からの鋳片の長さを示している。
非定常数値解析及び完全混合槽モデルに基づく計算では、図2Aに示した流れで異鋼種を連続鋳造する場合を想定し、タンディッシュ内に前チャージの溶鋼が8トン残存している状態で、取鍋から20トン/分で後チャージの溶鋼をタンディッシュに供給し、タンディッシュ内の溶鋼が37トンとなったとき出鋼を開始した。出鋼開始後は、5.88トン/分で後チャージの溶鋼をタンディッシュに供給するとした。また、鋳造速度は、目標の鋳造速度を1.2m/分とする実測値を取得した際の操業と同一の鋳造速度を設定した。
図4に示すように、実測値と非定常数値解析による計算値とは、概ね整合していることがわかる。これに対して、完全混合槽モデルの計算値は、実測値と近いが、実測値が規格範囲から外れている鋳片部分も規格範囲を満たしていると予測結果となっている。完全混合槽モデルでは、タンディッシュに流入する溶鋼はタンディッシュに入った瞬間にタンディッシュ内の溶鋼と完全に混合され、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度は場所によらず均一であるとして、タンディッシュ内の溶鋼の成分濃度を予測する。このため、完全混合槽モデルでは、タンディッシュの形状やスライディングノズルの形状を考慮しなくとも、溶鋼の成分濃度を求めることができる。しかしながら、実際にはタンディッシュ内の溶鋼は時間の経過とともに流動し、タンディッシュ内における各場所での溶鋼の成分濃度は、均一ではない。このため、完全混合槽モデルの計算値は、実測値から離れた値になっていると推測する。
[3-2.近似式を用いたタンディッシュ内の溶鋼流動の予測]
次に、図5に基づいて、近似式を用いてタンディッシュ内の溶鋼流動を予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明する。図5は、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法を示すフローチャートであって、近似式を用いてタンディッシュ内の溶鋼流動を予測する場合を示す。タンディッシュ内の溶鋼流動の予測に用いる近似式は、コンピュータ等の情報処理装置を用いて求めることができる。
次に、図5に基づいて、近似式を用いてタンディッシュ内の溶鋼流動を予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明する。図5は、本実施形態に係る規格外鋳片長さ決定方法を示すフローチャートであって、近似式を用いてタンディッシュ内の溶鋼流動を予測する場合を示す。タンディッシュ内の溶鋼流動の予測に用いる近似式は、コンピュータ等の情報処理装置を用いて求めることができる。
まず、図5に示すように、実施が想定される複数の操業条件それぞれについて、操業条件に基づき算出されたタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率と、当該操業条件に含まれる操業変数とのデータセットを予め準備する(S200)。
操業条件に基づき算出する、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率は、例えば、図3にて説明した、数値流体力学ソフトウェアを用いた非定常数値解析により求め得る。また、データセットに含める操業変数は、任意に選択すればよいが、タンディッシュ内の溶鋼流動に影響する操業変数を選択するのがよい。例えば、タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、スライディングノズルを介してタンディッシュに供給される後チャージの溶鋼の供給流量、鋳造速度、等の操業変数をデータセットに含めればよい。
タンディッシュ内の溶鋼流動はタンディッシュの形状やスライディングノズルの形状に依存することから、連続鋳造設備毎に、複数のデータセットからなるグループをそれぞれ用意するのが望ましい。1つのグループのデータセット数は、特に限定されないが、十~数十程度あればよい。
次いで、ステップS200にて用意した複数のデータセットを用いて、操業変数と、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式を生成する(S210)。すなわち、操業変数を引数とする、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率の近似式が生成される。近似式の生成手法は特に限定されず、例えば統計解析を行い生成してもよく、機械学習により生成してもよい。引数とする操業変数は、例えば、タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、スライディングノズルを介してタンディッシュに供給される後チャージの溶鋼の供給流量、鋳造速度、等のうち、1または複数の操業変数を用いてもよい。
ステップS210にて近似式が生成されると、近似式を用いて分析対象の継目部の溶鋼の成分濃度が算出される(S220)。まず、分析対象とする操業において、引数となっている操業変数のある時点の値を近似式に入力することで、そのときのタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率が得られる。前チャージの溶鋼の質量分率が得られれば、上記式(1)から、分析対象とする継目部の溶鋼の成分濃度を求めることができる。
その後、ステップS220にて算出された継目部の溶鋼の成分濃度に基づいて、タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する(S230)。ステップS230の処理は、図3のステップS140と同様に実施すればよい。
以上、近似式を用いてタンディッシュ内の溶鋼流動を予測する場合の規格外鋳片長さ決定方法について説明した。タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率は、図3にて説明した非定常数値解析によって精度よく算出することもできる。一方で、非定常数値解析の計算負荷は高く、例えば図4に示した計算結果を得るために1カ月程度の時間を要することもある。これに対して、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率を予め近似式により表しておけば、瞬時に当該値を算出することが可能となる。例えば、ステップS210にて生成した近似式をプロセスコンピュータに実装すれば、連続鋳造の操業中にリアルタイムで引数とする操業変数の値を近似式に入力することで、現在のタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率を得ることができる。その結果、現在の継目部の溶鋼の成分濃度を得ることができる。したがって、リアルタイムで、規格外鋳片長さを特定することができる。
また、近似式を作成するための複数のデータセットを、非定常数値解析による解析結果から準備するため、非定常数値解析によるタンディッシュ内の溶鋼の成分濃度の予測精度を維持することができ、継目部の規格外鋳片長さを正確に推定することができる。
例えば、図4に示した非定常数値解析による計算値に基づき、鋳造長さと、タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式が、下記式(2)として得られたとする。
ここで、Xは鋳造長さ[m]である。鋳造長さXは、操業変数である鋳造速度と、タンディッシュの出鋼口の面積と、時間との積により表すことができる。また、α=1.84376、β=0.439307となった。式(2)により算出されるタンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前チャージの溶鋼の質量分率の値を式(1)に代入すれば、溶鋼のMn濃度が求まる。例えば、鋳造長さ500mm毎に溶鋼のMn濃度を算出すると、図6に示すように、溶鋼のMn濃度の時間推移が得られる。図6に示した同一鋳造条件での2つの実測値と比較すると、近似式に基づき得られたMn濃度は実測値と概ね整合している。かかる結果からも、近似式を用いた場合であっても、非定常数値解析によるタンディッシュ内の溶鋼の成分濃度の予測精度を維持することができ、継目部の規格外鋳片長さを正確に推定することができることがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 連続鋳造設備
2 溶鋼
2a 前チャージの溶鋼
2b 後チャージの溶鋼
3 鋳片
3a 凝固シェル
3b 未凝固部
4 取鍋
4a 取鍋(前チャージ)
4b 取鍋(後チャージ)
5 タンディッシュ
5a 出鋼口
6 浸漬ノズル
7 二次冷却装置
8 支持ロール
9 二次冷却帯
9A 垂直帯
9B 湾曲帯
9C 水平帯
10 モールド
15 スライディングノズル
2 溶鋼
2a 前チャージの溶鋼
2b 後チャージの溶鋼
3 鋳片
3a 凝固シェル
3b 未凝固部
4 取鍋
4a 取鍋(前チャージ)
4b 取鍋(後チャージ)
5 タンディッシュ
5a 出鋼口
6 浸漬ノズル
7 二次冷却装置
8 支持ロール
9 二次冷却帯
9A 垂直帯
9B 湾曲帯
9C 水平帯
10 モールド
15 スライディングノズル
Claims (8)
- 前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法であって、
前記前チャージの溶鋼と前記後チャージの溶鋼とが混合した継目部を鋳造する際に、前記タンディッシュ内の溶鋼流動を解析して、連続鋳造操業の各時刻における前記タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の成分濃度を算出し、
前記タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、前記前チャージの溶鋼の成分濃度に基づき算出される、前記継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する、規格外鋳片長さ決定方法。 - 前記タンディッシュの形状、スライディングノズルの形状、前記タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、前記後チャージの溶鋼の供給流量、及び、鋳造速度を設定し、前記タンディッシュ内の溶鋼流動を解析する、請求項1に記載の規格外鋳片長さ決定方法。
- 前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して連続鋳造される鋳片の継目部における規格外鋳片長さを決定する、規格外鋳片長さ決定方法であって、
実施が想定される複数の操業条件それぞれについて、前記操業条件に基づき算出された前記タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の質量分率と、当該操業条件に含まれる操業変数とのデータセットを予め準備し、
複数の前記データセットを用いて、前記操業変数と、前記タンディッシュから前記モールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式を生成し、
前記近似式を用いて分析対象の継目部の溶鋼の成分濃度を算出し、前記タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから前記継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定する、規格外鋳片長さ決定方法。 - 前記前チャージの溶鋼の質量分率をF、前記後チャージの溶鋼の質量分率を1-F、前記前チャージの溶鋼の成分濃度をA、前記後チャージの溶鋼の成分濃度をBとしたとき、前記タンディッシュからモールドへ流れる前記継目部の溶鋼の成分濃度は、FA+(1-F)Bにより表される、請求項1~3のいずれか1項に記載の規格外鋳片長さ決定方法。
- 前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して鋳片を連続鋳造する連続鋳造方法であって、
前記前チャージの溶鋼と前記後チャージの溶鋼とが混合した鋳片の継目部を鋳造する際に、前記タンディッシュ内の溶鋼流動を解析して、連続鋳造操業の各時刻における前記タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の成分濃度を算出し、
前記タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから、前記前チャージの溶鋼の成分濃度に基づき算出される、前記継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定し、
前記継目部から、前記規格外鋳片長さに対応する部分を、規格外の鋳片として切断して分離する、連続鋳造方法。 - 前記タンディッシュの形状、スライディングノズルの形状、前記タンディッシュに残存する前チャージの溶鋼量、前記後チャージの溶鋼の供給流量、及び、鋳造速度を設定し、前記タンディッシュ内の溶鋼流動を解析する、請求項5に記載の連続鋳造方法。
- 前チャージの溶鋼が残存するタンディッシュに成分の異なる後チャージの溶鋼を供給して鋳片を連続鋳造する連続鋳造方法であって、
前記鋳片を連続鋳造する前に、
実施が想定される複数の操業条件それぞれについて、前記操業条件に基づき算出された前記タンディッシュからモールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の質量分率と、当該操業条件に含まれる操業変数とのデータセットを予め準備して、
複数の前記データセットを用いて、前記操業変数と、前記タンディッシュから前記モールドへ流れる溶鋼に含まれる前記前チャージの溶鋼の質量分率との関係を表す近似式を生成しておき、
前記近似式を用いて分析対象の継目部の溶鋼の成分濃度を算出し、前記タンディッシュから溶鋼の出鋼を開始してから前記継目部の溶鋼の成分濃度が規格値を満たすまでの鋳片長さを、規格外鋳片長さとして決定し、
前記継目部から、前記規格外鋳片長さに対応する部分を、規格外の鋳片として切断して分離する、連続鋳造方法。 - 前記前チャージの溶鋼の質量分率をF、前記後チャージの溶鋼の質量分率を1-F、前記前チャージの溶鋼の成分濃度をA、前記後チャージの溶鋼の成分濃度をBとしたとき、前記タンディッシュからモールドへ流れる前記継目部の溶鋼の成分濃度は、FA+(1-F)Bにより表される、請求項5~7のいずれか1項に記載の連続鋳造方法。
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JP2022179570A JP2024068903A (ja) | 2022-11-09 | 2022-11-09 | 規格外鋳片長さ決定方法、及び、連続鋳造方法 |
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