JP2024068208A - 可溶化ポリマーの製造方法および吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

可溶化ポリマーの製造方法および吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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大祐 松井
悠佑 榎田
惠美子 山本
信弘 小林
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Abstract

【課題】多量の分解剤を使用することなく、短時間で回収吸水性樹脂を可溶化(分解)しうる手段や、着色の少ない吸水性樹脂を安定して得ることができる手段を提供する。【解決手段】回収吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する可溶化ポリマーの製造方法であって、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)を特定の質量比で含む混合物を調製することを含み、当該混合物のpHが6.5以上8.5以下である、可溶化ポリマーの製造方法。また、吸水性樹脂の製造方法であって、回収吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料の一部に用いる吸水性樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、回収吸水性樹脂を可溶化(分解)して可溶化ポリマーを製造する方法、および、可溶化ポリマーを原料の一部とする吸水性樹脂の製造方法に関する。
近年、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品には、体液吸収の観点から、その構成材としての吸水性樹脂が、吸水剤として幅広く利用されている。このような吸水性樹脂としては、例えば、澱粉-アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリル酸部分中和物重合体の架橋物等が知られているが、吸水性能の観点から、アクリル酸および/またはその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されている。
吸収性物品は使い捨てが一般的であるが、環境意識の高まりから、吸収性物品のリサイクルに関心が高まっている。吸収性物品に用いられる吸水性樹脂をリサイクルする技術としては、吸水性樹脂を分解、可溶化して紙オムツ中の他の部材と分離した後、得られた可溶化ポリマーを吸水性樹脂の製造工程に添加して再利用する方法が開発されている(特許文献1)。
吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術としては、吸水性樹脂とパルプの混合物を、過酸化水素等の分解剤の存在下で加熱処理することで吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献2)、pH4から7.5までの条件下で還元剤であるアスコルビン酸を使用することで吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献3)、還元剤および遷移金属イオンを使用することで吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献4)、ならびに、酸化性水溶性塩の存在下で加熱することで吸水性樹脂を可溶化させる技術(特許文献5,6)が提案されている。
国際公開第2020/213298号 特開平04-317785号公報 特開平05-247221号公報 特開2019-131789号公報 国際公開第2021/042113号 国際公開第2022/183184号
しかしながら、前記のような従来の吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術は、吸水性樹脂の可溶化に長時間を要するものであり、経済的な観点から課題を有するものであった。吸水性樹脂の可溶化処理に要する時間を短縮する方法として、多量の分解剤を使用する方法が提案されている。しかしながら、当該方法には、分解剤のコストが増加するだけでなく、可溶化ポリマーが着色し、当該可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した吸水性樹脂が着色してしまうという課題がある。
また、前記可溶化処理に要する時間を短縮する別の方法として、分解剤に酸化性水溶性塩(過酸化物と過硫酸塩との併用)を使用する方法(特許文献5)が提案されている。しかしながら、当該方法では、残存する分解剤(過酸化物、過硫酸塩)が増加するため、分解後の可溶化ポリマーを吸水性樹脂の原料の一部として用いる際に、重合の不安定化を起こす等の課題が別途、発生する。
したがって、本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、多量の分解剤を使用することなく、短時間で回収吸水性樹脂を可溶化(分解)しうる手段を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は可溶化ポリマーを原料の一部として用いて吸水性樹脂を製造した際、着色の少ない吸水性樹脂を安定して得ることができる手段を提供することにある。
本発明者らは、前記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、回収吸水性樹脂を可溶化(分解)する際に、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)をそれぞれ特定の質量比で含む混合物を調製し、当該混合物のpHを特定の範囲内とすることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、前記諸目的は、下記の構成を有する本発明によって達成でき、本発明は、下記態様および形態を包含する。
本発明の一態様は、
[1]回収吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する可溶化ポリマーの製造方法であって、回収吸水性樹脂100質量部、水66質量部以上1900質量部以下、および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)0.1質量部以上50質量部以下を混合して混合物を調製することを含み、前記混合物のpHが6.5以上8.5以下である、可溶化ポリマーの製造方法である;
[2]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)が10,000以上1,000,000以下であることが好ましい;
[3]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記混合物を50℃以上130℃以下に加熱することをさらに含むことが好ましい;
[4]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記混合物は、前記回収吸水性樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上50質量部以下の還元剤をさらに含むことが好ましい;
[5]前記[4]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記還元剤が、アスコルビン酸(塩)および/またはその誘導体、亜硫酸水素(塩)、ならびに亜硫酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい;
[6]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記混合物は、前記回収吸水性樹脂100質量部に対し、1.0×10-6モル以上1モル以下の遷移金属イオンをさらに含むことが好ましい;
[7]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記混合物に含まれる前記回収吸水性樹脂を分解する前および/または前記混合物に含まれる前記回収吸水性樹脂の分解が開始されてから分解が終了するまでの間に、前記回収吸水性樹脂にせん断力を加え、前記回収吸水性樹脂を粉砕して小粒径化することをさらに含むことが好ましい;
[8]前記[7]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記小粒径化された回収吸水性樹脂は、乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が20μm以上160μm以下である、および/または、乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子の質量比率が40質量%以上であることが好ましい;
[9]前記[1]に記載の可溶化ポリマーの製造方法において、前記回収吸水性樹脂が、使用済み吸収性物品から回収された使用済み吸水性樹脂であることが好ましい。
また、本発明の他の態様は、
[10]前記可溶化ポリマーを原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法であって、一以上の工程において、前記[1]から[9]のいずれかに記載の製造方法により得られた可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加することを含む、吸水性樹脂の製造方法である。
また、本発明の他の態様は、
[11]前記[10]に記載の製造方法で得られた吸水性樹脂を用いる、吸収性物品の製造方法である。
本発明によれば、多量の分解剤を使用することなく、短時間で回収吸水性樹脂を可溶化(分解)することができる。さらに、本発明によれば、可溶化ポリマーを原料の一部として用いて吸水性樹脂を製造した際、着色の少ない吸水性樹脂を安定して得ることができる。
本発明の一態様は、回収吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する可溶化ポリマーの製造方法であって、回収吸水性樹脂100質量部、水66質量部以上1900質量部以下、および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)0.1質量部以上50質量部以下を混合して混合物を調製することを含み、前記混合物のpHが6.5以上8.5以下である、可溶化ポリマーの製造方法を提供する。以下、前記構成を有する可溶化ポリマーの製造方法を「本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法」または「本発明に係る可溶化方法」とも称する。
本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法では、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)をそれぞれ特定の質量比で含み、そのpHが特定の範囲内にある混合物を調製する。本発明者らは、驚くべきことに、回収吸水性樹脂を可溶化(分解)する際に、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)をそれぞれ特定の質量比で含み、前記特定のpHを有する混合物を調製することにより、多量の分解剤を使用することなく(少量の分解剤の使用により)、短時間で回収吸水性樹脂を可溶化(分解)できることを見出した。ここで、本発明の構成による前記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。
本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法では、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)を含む混合物のpHを6.5以上8.5以下の範囲内に調整する。これにより、過酸化物からのラジカル発生効率が向上することから、少量の分解剤(過酸化物)によっても十分に回収吸水性樹脂の可溶化(分解)が進行すると考えられる。
一方、混合物のpHが6.5未満であると、過酸化物からのラジカル発生効率が悪いため、回収吸水性樹脂の可溶化(分解)が進行しにくい。また、混合物のpHが8.5を超えると、過酸化物からのラジカル発生効率が悪いため、回収吸水性樹脂の可溶化(分解)が進行しにくい。
また、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法によれば、少量の分解剤(過酸化物)の使用により、回収吸水性樹脂を可溶化(分解)できるため、着色の少ない可溶化ポリマーを得ることができる。その結果、当該可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造された吸水性樹脂においてもまた、着色が抑制される。
さらに本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法によれば、用いる分解剤(過酸化物)が少量でよいため、得られる可溶化ポリマーを吸水性樹脂の原料の一部として用いる際に、重合の不安定化が抑制される。なお、前記メカニズムは推測であり、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。
以下、本発明の実施の形態に関して詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書に記載される実施形態は、任意に組み合わせることにより、他の実施形態とすることができる。また、「Aおよび/またはB」は、AおよびBの少なくとも一方を意味し、A、BならびにAとBとの組み合わせを意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。また、「~酸(塩)」との記載は「~酸および/またはその塩」、「(メタ)アクリル」との記載は「アクリルおよび/またはメタクリル」をそれぞれ意味する。
本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むと理解されるべきである。したがって、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むと理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられると理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および化学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含む)が優先する。
[1]用語の定義
[1-1]吸水性樹脂
「吸水性樹脂」は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であって、特に限定されないものの、10倍以上1000倍以下の吸収倍率を有する慣用の吸水性樹脂を指す。より具体的には、被吸収液を吸収する前の吸水性樹脂(以下、「初期の吸水性樹脂」とも称する)は、「水膨潤性」として、ERT441.2-02で規定されるCRCが5g/g以上の物性を満たすことが好ましい。CRCの定義および測定方法については、実施例に記載の通りである。
吸水性樹脂は、酸基含有不飽和単量体由来の重合体でありうる。好ましい一実施形態において、吸水性樹脂は、カルボキシル基含有不飽和単量体由来の重合体でありうる。この際、吸水性樹脂は、部分中和されたカルボキシル基を有していてもよい。吸水性樹脂の具体例としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系樹脂、ポリスルホン酸(塩)系樹脂、無水マレイン酸(塩)系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリアスパラギン酸(塩)系樹脂、ポリグルタミン酸(塩)系樹脂、ポリアルギン酸(塩)系樹脂、デンプン系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル酸塩架橋重合体、(メタ)アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体のケン化物架橋体、デンプン-アクリル酸塩グラフト重合体およびその架橋物等が挙げられる。
本明細書において「吸水性樹脂」とは、全量(100質量%)が当該吸水性樹脂のみである態様に限定されず、添加剤などを含んでいる吸水性樹脂組成物であってもよい。また、吸水性樹脂は、含水ゲルの状態である吸水性樹脂を含んでも良い。
[1-2]ポリ(メタ)アクリル酸(塩)
本発明における「ポリ(メタ)アクリル酸(塩)」とは、(メタ)アクリル酸および/またはその塩の(共)重合体を指し、主成分として(メタ)アクリル酸および/またはその塩(以下、「(メタ)アクリル酸(塩)」とも称する)に由来する構造を繰り返し単位として含み、任意成分として内部架橋剤に由来する構造を含む架橋重合体を意味する。前記「主成分」とは、(メタ)アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体全体(架橋剤を除く全単量体)に対して、好ましくは50モル%以上100モル%以下、より好ましくは70モル%以上100モル%以下、さらに好ましくは90モル%以上100モル%以下、特に好ましくは実質100モル%であることを意味する。
[1-3]回収吸水性樹脂
「回収吸水性樹脂」は、本来廃棄すべき吸水性樹脂を意図する。具体的には、使用済み吸収性物品に含まれる吸水性樹脂(例えば、使用済み吸収性物品中のし尿や血液等の体液を吸収した吸水性樹脂)がある。
環境保護等の観点から、使用済み吸収性物品から回収された(取り出し集められた)吸水性樹脂が用いられることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態では、回収吸水性樹脂は、使用済み吸収性物品から回収された使用済み吸水性樹脂である。
ここで、「使用済み吸収性物品」とは、消費者に使用され、し尿、血液等の体液を吸収した使用済みの衛生材料のことである。衛生材料としては、紙オムツ、生理用ナプキン、成人向け失禁用製品(失禁パッド)、ペット用シート、ペット用オムツ等が挙げられる。また「使用済み吸水性樹脂」とは、使用済み吸収性物品中のし尿や血液等の体液を吸収した吸水性樹脂を含む。また、前記使用済み吸水性樹脂として、吸水性樹脂の製造過程で生じる廃棄吸水性樹脂や、使用前に廃棄された吸収性物品に含まれる吸水性樹脂が含まれていてもよい。
回収吸水性樹脂は、全量(100質量%)が当該吸水性樹脂のみである態様に限定されず、繊維状物質、不織布、接着剤、添加剤などを含んでいる吸水性樹脂組成物であってもよい。また、回収吸水性樹脂が使用済みの吸収性物品に含まれている態様の吸水性樹脂である場合には、回収吸水性樹脂は、その内部に尿水等の水が取り込まれた含水ゲルの状態となり得る。よって、前記吸水性樹脂は、含水ゲルの状態である吸水性樹脂を含んでもよい。
吸水性樹脂および回収吸水性樹脂の質量は、特に記載のない限り、固形分に換算した数値とする。例えば、使用済み紙オムツに含まれる吸水性樹脂の質量が不明な場合、未使用紙オムツに含まれる吸水性樹脂の質量および使用済み紙オムツ中の吸水性樹脂の吸収倍率の一般値を用いるか、もしくは使用済み紙オムツの総質量に対する吸水性樹脂の含有量(固形分換算値)を3質量%以上9質量%以下と仮定することで、該吸水性樹脂の質量を測定する。使用済み紙オムツの使用状態により、実際の吸水性樹脂の含有量は大きく異なる可能性もあるが、実際の分解状況を確認しながら、当業者が適宜に分解条件を調整することができる。
[1-4]吸収性物品
「吸収性物品」は、吸水用途に用いられる物品である。より具体的には、「吸収性物品」とは、吸水性樹脂および繊維状物質を含む吸収体、通液性を有する表面シート、ならびに液不透過性を有する背面シートを備える吸収性物品である。前記吸収体は、吸水性樹脂と繊維状物質とをブレンドするか、または、吸水性樹脂を繊維状物質で挟み込み、フィルム状、筒状、シート状等に成型することにより好適に製造される。前記繊維状物質としては、親水性繊維、例えば、粉砕された木材パルプ、コットンリンター、架橋セルロース繊維、レーヨン、綿、羊毛、アセテート、ビニロン等が挙げられる。
[1-5]可溶化ポリマー
「可溶化ポリマー」は、水膨潤性(つまり、水に不溶である)の回収吸水性樹脂を分解したポリマーであり、水に可溶化されうる。可溶化ポリマーは、全てが水に可溶化したものでもよいし、または部分的に可溶化されていないポリマーが含まれた部分可溶化物でもよい。
以下で詳説される可溶化工程においては、原料としての回収吸水性樹脂の総質量に対し、50質量%以上が可溶化されることが好ましく、60質量%以上が可溶化されることがより好ましく、70質量%以上が可溶化されることがさらにより好ましく、80質量%以上が可溶化されることがさらにより好ましく、90質量%以上が可溶化されることがさらにより好ましく、実質100質量%が可溶化されることが特に好ましい。
外観上、水中に溶け残りが見えず水に溶けているようであれば(水中において回収吸水性樹脂と水との界面の存在が視認できなくなれば)、水に可溶化したものとみなす。一部溶解していない膨潤物が残存していて可溶化処理前よりも減少していれば、部分的に可溶化されており、可溶化ポリマーが生じているとみなす。したがって、可溶化後(分解後)の可溶化ポリマー水溶液に一部溶解していない膨潤物が残存していても可溶化ポリマー水溶液(もしくは分散液)と称する。得られた可溶化ポリマーはそのまま水溶液の形態で利用してもよい。または、得られた可溶化ポリマーを乾燥して固形物にした後、固体の状態で使用してもよい。
[1-6]EDANA
「EDANA」は、「European Disposables and Nonwovens Associations」の略称であり、吸水性樹脂の物性の測定方法に関する欧州標準(ほぼ世界標準)である。本発明においては、特に断りの無い限り、EDANA原本(2002年改訂版/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定している。
[2]回収吸水性樹脂を分解(可溶化)して可溶化ポリマーを製造する方法(可溶化ポリマーの製造方法、可溶化方法)
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する可溶化ポリマーの製造方法は、回収吸水性樹脂を100質量部、水66質量部以上1900質量部以下および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)0.1質量部以上50質量部以下を含む混合物を調製し、さらにこのとき、混合物のpHを6.5以上8.5以下に調整することにより、混合物に含まれる回収吸水性樹脂の分解(可溶化)を行う工程を含む。すなわち、本発明の一実施形態において、可溶化ポリマーの製造方法は、そのpHが6.5以上8.5以下の範囲にあり、回収吸水性樹脂、水および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)をそれぞれ前記質量比で含む前記混合物を調製し(混合物調製工程)、過酸化物を分解剤として用いて回収吸水性樹脂を可溶化する可溶化(分解)工程を含む。
[2-1]可溶化(分解)工程
可溶化(分解)工程では、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、水66質量部以上1900質量部以下および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)0.1質量部以上50質量部以下を含み、そのpHが6.5以上8.5以下である混合物を調製する。この際、混合物を調製する方法としては特に制限されず、回収吸水性樹脂、水および過酸化物を一括で反応容器に添加してもよいし、回収吸水性樹脂、水および過酸化物を反応容器に順次添加してもよい。作業性の面からは、前者が好ましい。
混合物の調製時に用いられる回収吸水性樹脂は、膨潤した状態の回収吸水性樹脂のゲル(膨潤ゲル、含水ゲル)であってもよいし、乾燥状態の回収吸水性樹脂であってもよい。一実施形態において、回収吸水性樹脂に対して均一に過酸化物を混合できることから、乾燥状態の回収吸水性樹脂に過酸化物または過酸化物を含む水溶液を添加する方法であってもよい。
なお、本明細書における「乾燥状態の(回収)吸水性樹脂」とは、完全に乾燥された(吸水性樹脂(固形分)100質量部に対する水の含有量が0質量部)吸水性樹脂に加え、吸水性樹脂100質量部に対する水の含有量が30質量部以下である、略乾燥状態の吸水性樹脂を含む概念である。
(回収吸水性樹脂)
可溶化工程において調製される混合物は、可溶化ポリマーの原料となる回収吸水性樹脂を含む。回収吸水性樹脂は、架橋重合体であることが好ましい。より具体的には、回収吸水性樹脂は、下記[3]の項における(酸基含有不飽和単量体)に記載された単量体、および内部架橋剤のそれぞれを構成単位とする架橋重合体であることが好ましい。なお、「回収吸水性樹脂」の定義は前記の通りである。一実施形態において、回収吸水性樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含む架橋重合体であると好ましく、アクリル酸に由来する構成単位を含む架橋重合体であるとより好ましい。
(水)
可溶化工程において調製される混合物は、水を含む。ここで、水は、清浄であれば特に限定されず、例えば、水道水、工業用水、イオン交換水、純水が挙げられる。本発明に係る可溶化方法において、水と原料の回収吸水性樹脂との混合比は、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、水の量(混合量)が66質量部以上1900質量部以下である。また、混合物中における水の含有量は、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、80質量部以上1500質量部以下であることがより好ましく、500質量部以上1400質量部以下であることがさらに好ましく、600質量部以上1200質量部以下であることが特に好ましい。また、他の実施形態において、混合物中における水の含有量は、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、100質量部以上900質量部以下であってもよい。混合物中において、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対する水の含有量が66質量部未満であると吸水性樹脂の流動性が悪く、分解性が低下する場合がある。また、前記水の含有量が1900質量部を超えると、得られる可溶化ポリマーの濃度が低くなるため、製造コストの増加をまねく。なお、原料としての回収吸水性樹脂が使用済みの吸収性物品に含まれている様態など、回収吸水性樹脂が含水ゲルの状態である場合は、回収吸水性樹脂に吸収されている(回収吸水性樹脂が含有している)水分をそのまま使用してもよい。この場合、当該水分と、混合物調製時に添加する水との合計量を、混合物中の水の含有量とする。
(過酸化物(分解剤))
可溶化工程において調製される混合物は、分解剤として、過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)を含む。ここで、過酸化物としては、過酸化水素、アルキルハイドロパーオキサイド、過酸化エステル等が挙げられ、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩は含まれない。なお、過酸化物は、前記の例示化合物のうち1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上の過酸化物を用いる場合、混合物中の過酸化物の含有量は、合計量を指す。
可溶化(分解)をより促進するという観点から、過酸化物として、過酸化水素を用いると好ましい。さらに好ましい実施形態において、分解剤は、実質的に過酸化水素のみからなると好ましい。ここで、「実質的に過酸化水素のみからなる」とは、前記分解剤が、過酸化水素以外の過酸化物を含まないか、含んだとしても混合物中、過酸化水素以外の過酸化物の濃度が、例えば、0.05質量%以下、好ましくは0.01質量%以下であり、最も好ましくは0質量%、すなわち過酸化水素以外の過酸化物を全く含まないことが最も好ましい。
本発明に係る可溶化方法において、過酸化物と原料の回収吸水性樹脂との混合比は、過酸化物の混合量が、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、0.1質量部以上50質量部以下である。また、混合物中における過酸化物の含有量は、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、0.3質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましく、0.8質量部以上10質量部以下であることがさらにより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。混合物中において、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対する過酸化物の含有量が0.1質量部未満であると分解性が低下する場合がある。また、前記過酸化物の含有量が50質量部を超えると、可溶化ポリマーが着色する場合がある。
(混合物のpH)
可溶化工程において調製される混合物は、そのpHが6.5以上8.5以下の範囲内にある。混合物の各成分のうち、回収吸水性樹脂は水中に完全に溶解した状態(均一溶液)とはならず、混合物中には固形分が残った状態となることから、混合物のpHは、pH試験紙を用いて測定される。
混合物のpHは、7.0以上8.5以下であると好ましく、7.0を超え8.5以下であるとより好ましく、7.5以上8.5以下であるとさらに好ましく、8.0以上8.5以下であるとさらにより好ましく、8.0を超えて8.5未満であると特に好ましい。また、他の実施形態において、混合物のpHは、6.5以上8.3以下であってもよく、6.5以上8.0以下であってもよく、6.5以上7.5以下であってもよく、6.5を超えて7.0未満であってもよい。混合物のpHが6.5未満または8.5を超える場合には、回収吸水性樹脂の分解性が低下し、可溶化(分解)処理に長時間を要しうるか、または、可溶化ポリマーが着色しうる。
混合物のpHは、必要に応じて酸または塩基等のpH調整剤を混合物に添加することにより調整することができる。pH調整剤として用いることができる酸としては、特に限定されるわけではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸を挙げることができる。また、pH調整剤として用いることができる塩基としては、特に限定されるわけではないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等の塩基を挙げることができる。前記pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記pH調整剤は、混合物のpHが前記範囲内になるような量で添加されうる。ここで、pH調整剤を混合物に添加する方法としては特に制限されず、回収吸水性樹脂、水および過酸化物と共に反応容器に一括で添加してもよいし、回収吸水性樹脂、水および過酸化物を反応容器内で混合してから、別途添加してもよい。作業性の面からは、前者が好ましい。
混合物のpHは、混合物の調製時(各成分の混合後)において前記範囲内に調整されていればよい。ただし、分解効率の観点から、混合物のpHは、回収吸水性樹脂の分解(可溶化)が充分進行する程度の一定の時間(例えば、1時間程度)、前記範囲内に調整されていると好ましく、分解(可溶化)の開始から分解(可溶化)が終了するまでの間、前記範囲内に収まるよう調整することがより好ましい。なお、前記において「分解(可溶化)の開始から分解(可溶化)が終了するまでの間」とは、一例として、混合物の加熱が開始されてから終了するまでの間を指す。この際の加熱条件としては下記の通りである。
(還元剤)
本発明の一実施形態において、混合物は、還元剤をさらに含みうる。還元剤は、還元性を有する化合物であって、前記過酸化物と併用することにより、ラジカルを発生する化合物である。混合物が還元剤をさらに含む場合、混合物中における還元剤の含有量は特に制限されないが、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがさらに好ましい。混合物が還元剤を含む場合、還元剤の含有量を前記範囲内とすることにより、分解性がより向上し、また、可溶化ポリマーの着色をより効果的に抑制することができる。
このような還元剤としては、例えば、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、亜リン酸(塩)、次亜リン酸(塩)、チオ硫酸(塩)、ギ酸、シュウ酸、エリトルビン酸、アミン、アスコルビン酸(塩)またはその誘導体(例えば、L-アスコルビン酸(塩)、イソアスコルビン酸(塩)、ならびに、アスコルビン酸のアルキルエステル)、リン酸エステルおよび硫酸エステル等が挙げられる。還元剤が用いられる場合、その還元剤としては、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、ならびにアスコルビン酸(塩)および/またはその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であると好ましい。さらに、還元剤は、亜硫酸(塩)、亜硫酸水素(塩)、L-アスコルビン酸(塩)、およびイソアスコルビン酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種であるとより好ましい。これらの還元剤のうち1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上の還元剤を用いる場合、混合物中の還元剤の含有量は、合計量を指す。
(遷移金属イオン)
本発明の一実施形態において、混合物は、遷移金属イオンをさらに含みうる。遷移金属イオンは、前記過酸化物と併用することにより、フェントン反応によってラジカルを発生させる。また、遷移金属イオンは、先述の還元剤と併用することにより、ラジカルを発生させる。混合物が遷移金属イオンをさらに含む場合、混合物中における遷移金属イオンの含有量は特に制限されないが、回収吸水性樹脂(固形分)100質量部に対し、遷移金属イオンの量が1×10-6モル以上1モル以下であることが好ましく、1×10-6モル以上0.5モル以下であることがより好ましく、1×10-6モル以上0.1モル以下であることがさらに好ましい。混合物が遷移金属イオンを含む場合、遷移金属イオンの含有量を前記範囲内とすることにより分解性がより向上し、また、可溶化ポリマーの着色をより効果的に抑制することができる。
このような遷移金属イオンとしては、例えば、Cu2+、Ag、Fe2+、Fe3+、Al3+、Ni2+、Mn2+等が挙げられ、好ましくは、鉄イオン(Fe2+)、銅イオン(Cu2+)であり、最も好ましくは鉄イオン(Fe2+)である。前記遷移金属イオンを生成する化合物としては、例えば、塩化物およびその水和物、例えば、塩化第一鉄等:有機酸塩およびその水和物、例えば、フマル酸第一鉄、シュウ酸第一鉄、塩化第一鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、グルコン酸第一鉄、クエン酸第一鉄、酢酸第一鉄等:硫酸塩およびその水和物、例えば、硫酸第一鉄等:等が挙げられる。前記の例示物質のうち1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上の遷移金属イオンが含まれる場合、混合物中の遷移金属イオンの含有量は、合計量を指す。
(混合物の好ましい形態)
本発明の一実施形態において、可溶化ポリマーの製造方法において調製される混合物は、回収吸水性樹脂、水、および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、ならびにpH調整剤、還元剤および遷移金属イオンを含む塩(ただし、過硫酸塩を除く)からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される。本発明の一実施形態において、混合物は、回収吸水性樹脂、水、過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、およびpH調整剤から実質的に構成される。本発明の一実施形態において、混合物は、回収吸水性樹脂、水、過酸化水素、およびpH調整剤から実質的に構成される。
前記形態において、「混合物は、Xから実質的に構成される」とは、Xの合計含有量が、混合物の総質量を100質量%として(混合物に対して)、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意味する。好ましくは、混合物は、Xから構成される(前記各成分の合計含有量=100質量%)。例えば、「混合物は、回収吸水性樹脂、水、および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、ならびにpH調整剤、還元剤および遷移金属イオンを含む塩(ただし、過硫酸塩を除く)からなる群より選択される少なくとも一種から実質的に構成される」とは、回収吸水性樹脂、水、過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、pH調整剤、還元剤および遷移金属イオンを含む塩(ただし、過硫酸塩を除く)の合計含有量が、混合物の総質量を100質量%として(混合物に対して)、99質量%を超える(上限:100質量%)ことを意味し、混合物が、回収吸水性樹脂、水、および過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、ならびにpH調整剤、還元剤および遷移金属イオンを含む塩(ただし、過硫酸塩を除く)からなる群より選択される少なくとも一種から構成される(当該各成分の合計含有量=100質量%)ことが好ましい。また、混合物は、回収吸水性樹脂、水、過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)、およびpH調整剤から構成されることがより好ましい。さらに、混合物は、回収吸水性樹脂、水、過酸化水素、およびpH調整剤から構成されることが特に好ましい。
また、本発明の他の実施形態において、混合物は、少なくとも一種のカチオンおよび少なくとも一種のアニオンを含む酸化性水溶性塩を実質的に含まないことが好ましい。この際、前記少なくとも一種のカチオンは、Li、Na、K、Rb、Cs、NH 、有機置換アンモニウム、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Al3+、1+~3+の酸化状態の遷移金属カチオン、およびこれらの混合物ならびに組み合わせからなる群から選択されうる。また、前記少なくとも一種のアニオンは、ペルオキシジスルフェート、ペルオキシモノスルフェート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシジホスフェート、ペルオキシジボレート、およびこれらの混合物、ならびに組み合わせからなる群から選択されうる。
(可溶化(分解)温度)
分解効率(時間やエネルギー)や分解後の分子量制御に優れることから、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法においては、前記混合物を加熱することが好ましい。すなわち、好ましい一実施形態において、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法は、可溶化工程において、前記混合物を調製した(混合物調製工程)後、当該混合物を加熱すること(加熱工程)をさらに含む。
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解する温度(可溶化時の混合物の温度)は、十分な分解速度を得ることができれば特に制限されないが、50℃以上130℃以下が好ましい。すなわち、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法は、混合物を50℃以上130℃以下に加熱することをさらに含むと好ましい。前記混合物の温度を50℃以上とすることにより、過酸化物から発生するラジカル量が増加し、より効率的に回収吸水性樹脂の可溶化を行うことができ、可溶化ポリマーを得るまでに要する時間を短縮することができる。また、物性の優れる可溶化ポリマーを提供することができる。一方、混合物の温度を130℃以下とすることにより発生したラジカルが回収吸水性樹脂を分解する前に失活してしまうことを抑制することができる。ゆえに、より効率的に回収吸水性樹脂の可溶化を行うことができる。
前記観点から、回収吸水性樹脂を分解する温度(可溶化時の混合物の温度)は、65℃以上120℃以下がより好ましく、80℃以上110℃以下がさらに好ましく、85℃以上105℃以下が特に好ましい。
分解温度(可溶化温度)の調整方法としては、特に限定されず、例えば、室温(例えば、20℃以上25℃以下)で前記各成分の混合を実施後、得られた混合物を所定の温度となるように加温する方法が挙げられる。例えば、室温で混合物を得た後、当該混合物を充填した容器を所定の温度に調整されたオイルバス等の公知の温度調整手段に浸漬する方法が採用されうる。混合物を所定の温度に加温する手段としては、特に限定されず、スチームジャケット等の公知の加温装置が使用できる。または、予め所定の温度に加温した回収吸水性樹脂、水等を混合し、分解(可溶化)処理中、当該温度を維持する方法等が挙げられる。
(可溶化(分解)時間)
可溶化工程は、混合物の温度を前記好ましい範囲となるよう加熱し、所定時間以上その温度を保持することにより行われると好ましい。この際、加熱時間は過酸化物の種類および量によって適宜決定されうるが、通常、10分間以上であり、10分間以上240分間以下であると好ましく、15分間以上120分間以下であるとより好ましく、20分間以上100分間以下であると特に好ましい。
[2-2]せん断力による吸水性樹脂の小粒径化(小粒径化工程)
本発明の一実施形態において、混合物に含まれる回収吸水性樹脂は、粉砕することにより小粒径化されると好ましい。すなわち、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法は、回収吸水性樹脂にせん断力を加え、前記回収吸水性樹脂を粉砕して小粒径化すること(小粒径化工程)をさらに含むと好ましい。
回収吸水性樹脂を小粒径化することにより、回収吸水性樹脂の表面積が増加し、可溶化処理を効率的に実施することが可能となる。その結果、分解剤としての過酸化物の使用量を低減しつつ、可溶化ポリマーを得るまでに要する時間を短縮することができる。また、小粒径化工程を実施することにより、可溶化工程において、回収吸水性樹脂粒子の内部および表面における分解がより均一に進行する。その結果、得られる可溶化ポリマーの分子量を制御し易い。したがって、単に回収吸水性樹脂の分解廃棄の目的でなく、製品用途の吸水性樹脂の原料としても好適な可溶化ポリマーを提供することができる。
前記小粒径化工程が行われる時期としては特に制限されないが、一実施形態において、混合物に含まれる回収吸水性樹脂を分解する前および/または混合物に含まれる回収吸水性樹脂の分解が開始されてから分解が終了するまでの間に、回収吸水性樹脂にせん断力を加え、回収吸水性樹脂を粉砕して小粒径化することが好ましい。すなわち、小粒径化工程は、分解(可溶化)工程の前、または分解(可溶化)工程と同時に行われることが好ましい。なお、前記において「混合物に含まれる回収吸水性樹脂の分解が開始されてから分解が終了するまでの間」とは、一例として、混合物の加熱が開始されてから終了するまでの間を指す。この際の加熱条件としては前記の通りである。
小粒径化工程を可溶化工程と同時に実施する場合、例えば、過酸化物を添加した状態の回収吸水性樹脂に対して、小粒径化処理を実施することができる。効率的に回収吸水性樹脂を可溶化できることから、小粒径化工程は、可溶化工程の前に実施することが好ましい。
回収吸水性樹脂の小粒径化は、乾燥状態の回収吸水性樹脂、および、含水状態の回収吸水性樹脂(回収吸水性樹脂の含水ゲル)のいずれに対して行っても良い。
一実施形態において、小粒径化工程に供される回収吸水性樹脂が粉末の状態である場合、小粒径化工程においては、乾燥状態の回収吸水性樹脂を小粒径化することが好ましい。かような形態によれば、粉砕効率が高いという利点がある。
また、他の実施形態において、小粒径化工程に供される回収吸水性樹脂が含水ゲルである場合、小粒径化工程においては、乾燥して粉末状にした後に粉砕してもよく、含水ゲルの状態で粉砕してもよい。乾燥のエネルギーと、再度粉砕後に含水ゲル(特に分解剤を含む含水ゲル)とする手間と、を考慮すると、含水ゲルの状態で粉砕することが好ましい場合もある。
(小粒径化に用いられる装置)
回収吸水性樹脂にせん断力を加え、小粒径化する際に用いられる装置(解砕装置、粉砕装置)としては、特に限定されない。回収吸水性樹脂が乾燥状態の場合は、ジョークラッシャー、コーンクラッシャー、インパクトクラッシャー、ロールクラッシャー、自生粉砕機、スタンプミル、石臼型粉砕機、らいかい機、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ピンミル、振動ミル、遊星ミル、ビーズミル、アトライター、ハンマーミル、カッターミル等が使用できる。
回収吸水性樹脂が含水状態(含水ゲル)の場合は、バッチ式または連続式の双腕型ニーダー等、複数の回転撹拌翼を備えたゲル粉砕機、1軸押出機、2軸押出機、ミートチョッパー、ディスパー、ホモミキサー、コロイドミル、ロールミル、高圧噴射式分散機、回転ミル、振動ミル、遊星ミル、アトライター、ビーズミル等が使用できる。前記粉砕装置を用いて、回収吸水性樹脂の一次粒子または二次粒子を小粒径化できる。
(回収吸水性樹脂の質量平均粒子径)
小粒径化工程において小粒子化された回収吸水性樹脂の粒子径は、特に制限されない。一実施形態において、小粒径化工程において小粒子化された回収吸水性樹脂は「(i)乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)が20μm以上160μm以下であること」、および、「(ii)乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子区分の質量比率が40質量%以上であること」、の少なくとも一方を満たしていると好ましい。すなわち、小粒子化された回収吸水性樹脂は、前記(i)および/または(ii)を満たしていることが好ましい。さらに、小粒子化された回収吸水性樹脂は、少なくとも前記(i)を満たしていることが好ましく、前記(i)および(ii)の両方を満たしていることがより好ましい。
乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)は、20μm以上160μm以下が好ましく、小粒径化に要するエネルギーおよび時間と、小粒径化による効果とのバランスから、30μm以上120μm以下がより好ましく、40μm以上80μm以下がさらに好ましく、45μm以上60μm以下が特に好ましい。また、乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子(粒子区分)の質量比率は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子(粒子区分)の質量比率の上限は特に限定されないが、小粒径化に要するエネルギーおよび時間と、小粒径化による効果とのバランスから、例えば、90質量%以下でありうる。
ここで、「乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)」とは、「乾燥物(固形分100質量%)として換算して得られた回収吸水性樹脂の含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Solid D50)」を指し、[含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Gel D50)」×[(含水ゲル粒子の固形分濃度(質量%)/100)1/3]によって導き出すことができる。なお、当該式において、「含水ゲル粒子の固形分濃度(質量%)」は、試料(回収吸水性樹脂)を180℃で3時間乾燥させた際の、乾燥減量に基づいて算出される値である。
前記質量平均粒子径が160μm以下であると、可溶化ポリマーを得るまでに要する時間の短縮効果がより得られやすい。一方、前記質量平均粒子径が20μm以上であると、粉砕に必要なエネルギーが過大とならず、好ましい。
また、乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子の質量比率が40質量%以上であると、可溶化ポリマーを得るまでに要する時間の短縮効果を十分に得ることができる。
小粒径化工程においては、回収吸水性樹脂の一次粒子または二次粒子(一次粒子の凝集物または造粒物)が前記の範囲に小粒径化されればよい。回収吸水性樹脂の小粒径化は、一次粒子の粉砕、二次粒子の凝集や造粒の破壊、または一次粒子の粉砕および二次粒子の一次粒子への破壊の何れかによって行われうる。このように回収吸水性樹脂が小粒径化されることによって、過酸化物の回収吸水性樹脂粒子への浸透、回収吸水性樹脂粒子への分解作用を有する熱や光の浸透が促進されうる。その結果として、多量の過酸化物を使用せず、短時間で回収吸水性樹脂を可溶化(分解)することができ、得られた可溶化ポリマーの着色をより低減することができる。また、小粒径化工程を経ることにより、可溶化(分解)後の可溶化ポリマーの分子量も均一になる傾向がある。
小粒径化工程に供される(小粒径化工程前の)回収吸水性樹脂について、その乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)は特に限定されず、適宜選択できる。小粒径化工程に供される回収吸水性樹脂の前記質量平均粒子径は、通常、160μm超でありうる。当該質量平均粒子径は、200μm以上800μm以下であると好ましく、250μm以上700μm以下であるとより好ましく、300μm以上600μm以下であると特に好ましい。また、小粒径化工程に供される回収吸水性樹脂について、前記質量平均粒子径が160μm超である粒子(粒子区分)の質量比率は、50質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよい。一方、その上限は特に制限されないが、例えば、90質量%以下である。
また、小粒径化工程を行わずに回収吸水性樹脂を前記可溶化工程に供する場合、当該回収吸水性樹脂は、その乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)が、前記の範囲内にありうる。この場合において、回収吸水性樹脂の質量平均粒子径(Solid D50)は、200μm以上800μm以下であると好ましく、250μm以上700μm以下であるとより好ましく、300μm以上600μm以下であると特に好ましく、350μm以上450μm以下であると最も好ましい。また、他の実施形態において、回収吸水性樹脂の質量平均粒子径(Solid D50)は、20μm以上160μm以下であってもよく、30μm以上120μm以下であってもよく、40μm以上80μm以下であってもよく、45μm以上60μm以下であってもよい。
より効率的かつ均質に回収吸水性樹脂を可溶化する観点から、小粒径化工程においては、当該工程に供される回収吸水性樹脂の乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が、10%以上低減されることが好ましく、20%以上低減されることがより好ましく、50%以上低減されることがさらにより好ましく、75%以上低減されることが特に好ましく、80%以上低減されることが最も好ましい。一方、小粒径化工程における前記質量平均粒子径の低減率の上限は、特に制限されないが、95%程度である。すなわち、回収吸水性樹脂の乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径について、小粒径化工程前の質量平均粒子径に対する小粒径化工程後の質量平均粒子径の比率(小粒径化工程後/小粒径化工程前)が、9/10以下(90%以下)となることが好ましく、8/10(80%以下)以下となることがより好ましく、1/2以下(50%以下)となることがさらにより好ましく、1/4以下(25%以下となることが特に好ましく、1/5以下(20%以下)となることが最も好ましい。一方、前記質量平均粒子径の比率(小粒径化工程後/小粒径化工程前)の下限は、特に制限されないが、5%程度である。なお、小粒径化工程を回収吸水性樹脂の粉末に対して行う場合、回収吸水性樹脂の乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径としては、当該回収吸水性樹脂の含水ゲルの質量平均粒子径から、乾燥物として換算した際の質量平均粒子径や粒度分布を算出してもよいが、含水ゲルの乾燥物換算の粒子径(質量平均粒子径)は、膨潤前の回収吸水性樹脂粉末の粒子径(質量平均粒子径)とほぼ一致するため、回収吸水性樹脂粉末の粒子径(質量平均粒子径)を測定することで代替してもよい。
[2-3]可溶化ポリマーの製造装置
本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法において用いられる装置としては、所望の分解条件を一定に保ちながら回収吸水性樹脂を分解できる装置(製造装置)であれば特に限定されない。このような装置としては、例えば、タンク式分解装置、撹拌機付き分解装置、または多軸型分解装置などが挙げられる。
前記の分解装置は、機器のメンテナンス頻度の削減や性能維持を図る観点から、その内壁面が耐腐食性(耐酸性、耐アルカリ性)の材質で構成されていることが好ましい。このような耐腐食性の材質としては、ステンレス鋼、ハステロイ鋼、チタン鋼、グラスライニング鋼、樹脂ライニング鋼、金属溶射コーティング鋼などが挙げられる。ステンレス鋼としては例えば、SUS304、SUS304L、SUS304LN、SUS312L、SUS316、SUS316L、SUS316N、SUS316LN、SUS317、SUS317N、SUS317LN等のオーステナイト系ステンレス;SUS430、SUS430F、SUS434、SUS444等のフェライト系ステンレス;SUS410、SUS410F2、SUS410J1、SUS410S、SUS431等のマルテンサイト系ステンレスが挙げられる。樹脂ライニング鋼としては、ゴム、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロピレンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライドなど)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ビスフェノール型ポリエステル、ビニールエステルなど)でライニングされたものが挙げられる。金属溶射コーティング鋼としては、金属やセラミックおよびこれらの混合物をフレーム溶射、高速フレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射、線爆溶射法によりコーティングされたものが挙げられる。本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法において用いられる装置としては、前記ライニングやコーティングが、装置全体に施されたものであってもよいし、特に腐食が生じやすい部分(気液界面など)にのみ施されたものであってもよい。
また、耐腐食性材質の使用以外の腐食抑制策としては、定期的な装置の水洗浄を行う、酸やアルカリを添加する際は加熱前の十分な撹拌や静置実施により溶液(混合物)のpHの均一化を図る、溶液中の酸素除去を行う(不活性ガス置換、脱気、脱酸素剤の使用など)、等の方策が挙げられる。
[2-4]可溶化ポリマーの諸物性
(可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw))
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は10,000以上1,000,000以下が好ましく、15,000以上750,000以下がより好ましく、20,000以上700,000以下がさらに好ましく、20,000以上600,000以下であることがさらにより好ましく、30,000以上500,000以下であることが特に好ましく、100,000以上450,000以下であることが最も好ましい。
得られる可溶化ポリマーの重量平均分子量が前記の範囲内であれば、可溶化ポリマーを原料の一部として用いて製造した吸水性樹脂において、吸水性樹脂原料と可溶化ポリマーとの複合化が効率的に進行することで、得られる吸水性樹脂の水可溶分量が低減でき、吸水物性が向上しうる。また、得られる可溶化ポリマーの重量平均分子量が前記の範囲内であれば、可溶化ポリマー水溶液の粘度が高くなりすぎず、ハンドリング性が向上しうる。重量平均分子量の定義および測定方法については、実施例に記載の通りである。
(可溶化ポリマーの固形分濃度)
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマー(水溶液)の固形分濃度は、特に限定されない。一例として、得られる可溶化ポリマー水溶液(または水分散液)の固形分濃度は、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましく、6質量%以上50質量%以下であることがさらにより好ましく、8質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。また、可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度は、10質量%以上80質量%以下であってもよい。得られる可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度は分解工程の濃度や加熱、さらには必要により可溶化工程後の可溶化ポリマーの濃縮や希釈によって適宜調整できる。可溶化ポリマー(可溶化ポリマー水溶液)の固形分濃度が前記の範囲内であれば、吸水性樹脂の原料あるいはその他の可溶化ポリマー用途等の広範囲の用途に適用できるという利点がある。また、前記下限値以上であると、可溶化ポリマーの用途や使用量(消費量)に制約を受けにくく、吸水性樹脂のリサイクルという観点から好ましい。一方で、前記上限値以下であると、可溶化ポリマーの粘度が高くなりすぎず、取り扱い性に優れる。なお、本明細書における「可溶化ポリマーの固形分濃度」は、実施例に記載の方法により測定される値である。可溶化工程により得られた分解物をそのまま吸水性樹脂の製造工程の原料として(リサイクルに)用いてもよいし、水などを添加して、濃度を適宜調整してもよい。
(可溶化ポリマーのYI値)
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーのハンターLab表色系における黄色度(YI値)(以下、単にYI値とも称する)は、10.00以下が好ましく、5.00以下がより好ましく、4.00以下がさらに好ましい。また、可溶化ポリマーのYI値の下限は特に限定されず、例えば、1.00以上であり、0であってもよい。可溶化ポリマーのYI値は、当該可溶化ポリマーの着色性を示す指標であり、可溶化ポリマーのYI値が前記の範囲内であると、前記可溶化ポリマーを原料の一部として吸水性樹脂の製造に用いて製造した吸水性樹脂の着色がより抑制されうる。なお、本明細書における「可溶化ポリマーのYI値」は、固形分濃度が8.00質量%以上10.00質量%以下である可溶化ポリマーの水溶液について、実施例に記載の方法を適用することで測定される値である。
(可溶化ポリマーの水溶液のpH)
本発明の一実施形態において、回収吸水性樹脂を分解して得られる可溶化ポリマーの水溶液のpHは、特に制限されない。一例として、6.5以上8.5以下であると好ましく、6.6以上8.4以下であるとより好ましく、6.7以上8.4以下であるとさらにより好ましく、6.8以上8.3以下であるとさらにより好ましく、6.9以上8.3以下であると特に好ましい。なお、前記可溶化ポリマーの水溶液のpHは、pH測定器(pHメーター:堀場製作所製 LAQUA act D-71)を用いて測定されうる。
[2-5]可溶化ポリマー(水溶液)に含まれうるその他の成分
(残存吸水性樹脂)
可溶化ポリマーは乾燥された形態でもよく、前記範囲の固形分濃度を有する水溶液の形態であってもよい。本発明に係る可溶化方法においては、原料としての回収吸水性樹脂の総質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは、実質100質量%(上限:100質量%)が可溶化されうる。一方、本発明に係る可溶化方法において得られる可溶化ポリマーは、前記の可溶化ポリマー以外に、少量の(未分解の)回収吸水性樹脂を含むものであってもよい。すなわち、本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーは、未分解の回収吸水性樹脂および生成する可溶化ポリマーの合計質量100質量%に対して、可溶化ポリマーを、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下の未分解の回収吸水性樹脂を含む(下限:0質量%超)、可溶化ポリマーおよび未分解の回収吸水性樹脂の混合物であってもよい。
(遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸)
遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸は、吸水性樹脂に着色や劣化を起こす可能性がある。よって、特に製品用途の吸水性樹脂の原料とする観点からは、本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマー中の遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸の量は少ないほど好ましく、具体的には、可溶化ポリマーの固形分に対して、遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸は、それぞれ、好ましくは10質量ppm以下、さらに好ましくは5質量ppm以下、さらにより好ましくは2質量ppm以下、さらにより好ましくは1質量ppm以下、特に好ましくはND(検出限界以下)である。可溶化ポリマーに含まれる遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸としては、使用済み吸収性物品に含まれる尿由来の不純物、あるいは、分解剤として使用される(または回収吸水性樹脂の製造に使用された)遷移金属イオンやL-アスコルビン酸に由来するものでありうる。すなわち、回収吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマー(混合物、一例として、可溶化ポリマーの水溶液)中には、遷移金属イオンおよび/またはL-アスコルビン酸が残存する場合がある。これに対し、例えば、可溶化ポリマーの原料となる回収吸水性樹脂を精製または水洗浄することにより、可溶化ポリマー中の遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸の量を前記範囲に制御することができる。また、可溶化工程において調製する混合物に添加する遷移金属イオンやL-アスコルビン酸を未使用とする、もしくは一定量以下の使用量とすることで、可溶化ポリマー中の遷移金属イオンおよびL-アスコルビン酸の量を前記範囲に制御してもよい。さらに、遷移金属イオンを捕捉するキレート剤を添加してもよい。すなわち、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法は、前記可溶化工程の後、遷移金属イオンおよび/またはL-アスコルビン酸を除去すること(遷移金属イオンおよび/またはL-アスコルビン酸の除去(低減)工程)をさらに含んでもよい。
(重合禁止剤)
可溶化ポリマーを原料の一部として用いて吸水性樹脂を製造する場合、吸水性樹脂の原料となる単量体(水溶液)と混合した際に、予期せぬ重合が進まないようにするために、可溶化ポリマーは、重合禁止剤を含んでいてもよい。当該重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、国際公開第2008/096713号(米国特許出願公開第2010/0009846号)に開示されるN-オキシル化合物、マンガン化合物、置換フェノール化合物等が挙げられる。中でも、置換フェノール類が好ましく、メトキシフェノール類が特に好ましい。
前記メトキシフェノール類としては、例えば、o,m,p-メトキシフェノールや、メチル基、t-ブチル基、水酸基等の1または2以上の置換基を有するメトキシフェノール類等が挙げられるが、本発明においてはp-メトキシフェノールが特に好ましい。
可溶化ポリマー(固形分)中の重合禁止剤の量は、通常1質量ppm以上250質量ppm以下、好ましくは10質量ppm以上200質量ppm以下である。
[3]前記可溶化ポリマーを原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法
本発明の他の態様は、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする吸水性樹脂の製造過程において、本発明に係る可溶化方法で得られる可溶化ポリマーを原料の一部として用いる、吸水性樹脂の製造方法を提供する。すなわち、本発明によれば、前記可溶化ポリマーを原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法であって、一以上の工程において、本発明に係る可溶化ポリマーの製造方法により得られた可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加することを含む、吸水性樹脂の製造方法が提供されうる。
以下において、前記構成を有する吸水性樹脂の製造方法を、「本発明に係る吸収性樹脂の製造方法」または「本吸水性樹脂の製造方法」と称する場合がある。ここで、「可溶化ポリマーを、(得られる吸水性樹脂の)原料の一部として用いる」とは、吸水性樹脂の製造方法が含みうる吸水性樹脂の製造工程の何れかにおいて、本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーを吸水性樹脂原料(例えば、単量体水溶液、含水ゲル、乾燥重合体、および/または、(粒子状)乾燥重合体)に添加することを意味する。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法によれば、原料の一部として添加される可溶化ポリマーによる吸水性能の低下および着色の少ない吸水性樹脂を製造することができる。すなわち、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法によれば、回収吸水性樹脂を原料の一部として使用しつつも、諸物性(特に着色性)に優れる吸水性樹脂を提供することができる。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、好ましい一実施形態において、回収吸水性樹脂を可溶化(分解)して得られた可溶化ポリマーを原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法であって、新たに吸水性樹脂を製造する(吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする従来の吸水性樹脂を製造する)際に行われる、いずれかの工程において、本発明に係る可溶化方法により得られた可溶化ポリマーまたはその水溶液を吸水性樹脂原料に添加することを含む。なお、前記「新たに吸水性樹脂を製造する(吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする従来の吸水性樹脂を製造する)」とは、吸水性樹脂を構成する単量体を原料とする、通常の(回収吸水性樹脂由来の原料を使用しない)吸水性樹脂の製造方法を意図する。当該通常の吸水性樹脂の製造方法は、例えば、単量体水溶液の調製工程、重合工程、任意で行われる含水ゲル粉砕工程、乾燥工程、任意で行われる乾燥後の粉砕工程、任意で行われる分級工程、表面架橋工程、任意で行われる冷却工程、および任意で行われる整粒工程を含みうる。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加する時期(工程)は特に限定されないが、単量体水溶液の調製工程、単量体の重合工程(重合工程)、重合体の含水ゲルの粉砕工程(含水ゲル粉砕工程)、含水ゲルの乾燥工程(乾燥工程)、および乾燥重合体の表面架橋工程(表面架橋工程)のいずれかの工程において可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
すなわち、好ましい実施形態は、単量体水溶液の調製工程、単量体の重合工程(重合工程)、重合体の含水ゲルの粉砕工程(含水ゲル粉砕工程)、含水ゲルの乾燥工程(乾燥工程)、および乾燥重合体の表面架橋工程(表面架橋工程)を有する吸水性樹脂の製造方法であって、前記工程のうち一以上の工程において、本発明に係る可溶化方法により得られた可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加することを含む。なお、前記吸水性樹脂の製造方法は、前記以外の工程をさらに有していてもよく、例えば、前記製造方法の含水ゲルの乾燥工程(乾燥工程)後において、任意に(乾燥後の)粉砕工程および/または分級工程を行ってもよい。また、表面架橋工程後において、任意に冷却工程および/または整粒工程を行ってもよい。
[3-1]可溶化ポリマーの添加
可溶化ポリマーを前記の工程のいずれかにおいて添加する方法としては、水溶液として添加する方法、一度乾燥させた後に粉体として添加する方法、部分的に未溶解物が残った水分散液(スラリー状)で添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
可溶化ポリマーまたはその水溶液の「添加」の形態としては、特に制限されず、可溶化ポリマーの全量を何れかの時期(工程)で一度に添加してもよく、複数の時期(工程)で分割して添加してもよい。したがって、例えば、単量体水溶液の調製工程において、可溶化ポリマーの全量を添加してもよいし、可溶化ポリマーを分割して、単量体水溶液の調製工程および単量体の重合工程(重合工程)において、それぞれ添加してもよい。さらに、添加する時期(工程)に合わせて、それぞれ異なる形態で可溶化ポリマーを添加してもよい。
また、可溶化ポリマーは、前記可溶化方法において得られた可溶化ポリマー(またはその水溶液)をそのままの状態で添加されてもよいし、可溶化ポリマーの少なくとも一部を架橋剤(後述する内部架橋剤や表面架橋剤など)で架橋し、架橋ポリマーとした後に(架橋ポリマーの形態で)添加されてもよい。さらに、前記のように架橋ポリマーを得てから、当該架橋ポリマーを前記いずれかの工程において、新たに製造される吸水性樹脂と混合してもよい。さらに、可溶化ポリマーの少なくとも一部を架橋剤で架橋し、架橋ポリマーとした後に、従来と同様のプロセス(乾燥、粉砕、分級、表面処理、冷却、整粒などを含む工程)で製品化しても良い。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、用いられる可溶化ポリマーの諸物性、例えば、重量平均分子量(Mw)、固形分濃度、YI値等は、前記[2-4]の項における好ましい形態の記載が援用される。
好ましい一実施形態において、可溶化ポリマーの添加は、水溶液の状態で行われうる。また、生産効率の観点から、前記実施形態において、可溶化ポリマーの水溶液の固形分濃度は、5質量%以上85質量%以下であることが好ましく、6質量%以上50質量%以下であるとより好ましく、8質量%以上30質量%以下であると特に好ましい。
[3-2]可溶化ポリマーが添加される工程
好ましい実施形態において、可溶化ポリマーまたはその水溶液は、乾燥工程以前の製造工程において添加(混合)されうる。すなわち、可溶化ポリマーまたはその水溶液は、単量体水溶液の調製工程、重合工程、含水ゲル粉砕工程および乾燥工程のいずれか一以上の工程において添加されると好ましい。
他の好ましい実施形態において、可溶化ポリマーまたはその水溶液は、乾燥工程より前の製造工程において添加(混合)されうる。すなわち、可溶化ポリマーまたはその水溶液は、単量体水溶液の調製工程、重合工程および含水ゲル粉砕工程のいずれか一以上の工程において添加されると好ましい。かような形態とすることにより、可溶化ポリマー(液状物)が製造工程中で均一に混合されやすくなり、吸水性樹脂への可溶化ポリマーの高い複合化(換言すれば、水可溶分としての溶出量の低減)が実現できる。
さらに他の好ましい実施形態において、加熱状態の可溶化ポリマーは、乾燥工程より前の製造工程において添加(混合)されうる。すなわち、加熱状態の可溶化ポリマーまたはその水溶液は、単量体水溶液の調製工程、重合工程および含水ゲル粉砕工程のいずれか一以上の工程において添加されると好ましい。具体的には、加熱状態の可溶化ポリマーは、不飽和単量体と混合されることが好ましい。
さらに他の好ましい実施形態において、可溶化ポリマーは、単量体水溶液の調製工程および/または重合工程において添加されると好ましく、単量体水溶液の調製工程において添加されるとより好ましい。
[3-3]各製造工程
以下、単量体水溶液の調製工程、重合工程、含水ゲル粉砕工程、含水ゲルの乾燥工程、任意で行われる乾燥後の粉砕工程、任意で行われる分級工程、および表面架橋工程を含む方法を例に挙げて、本吸水性樹脂の製造方法の具体的な態様について詳説する。
[3-3-1]単量体水溶液の調製工程
本工程は、吸水性樹脂の原料となる不飽和単量体含有水溶液、好ましくは酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸(塩))を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。また、前記「主成分」とは、酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸(塩))の使用量(含有量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(換言すれば、単量体水溶液に含まれる単量体、ただし、内部架橋剤は除く)の全量100モル%中、50モル%以上であることを意味する。単量体の全量100モル%中の酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸(塩))の含有量は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)である。
上述のように、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法の好ましい実施形態では、可溶化ポリマーは、本工程において添加(混合)されうる。かような形態によれば、製造工程中の可溶化ポリマーの混合均一性が一層向上し、得られる吸水性樹脂性能(特に、加圧下吸収倍率(AAP))が向上するため好ましい。
可溶化ポリマーを「単量体水溶液の調製工程」で添加する場合、単量体水溶液に、可溶化ポリマーを混合しても良いし、あらかじめ可溶化ポリマーを水に混合した後に単量体等の他原料と混合しても良い。原料と均一に混合するという観点から、単量体水溶液に可溶化ポリマーを混合することが好ましい。なお、可溶化ポリマーは、可溶化ポリマーの水溶液または分散液の形態で添加することもできる(以下の各工程で可溶化ポリマーが添加される場合も同様である)。
(可溶化ポリマー)
可溶化ポリマーは、次工程である下記重合工程で添加されてもよいが、単量体水溶液が可溶化ポリマーを含んでいると好ましい。この際、単量体水溶液における、可溶化ポリマーと吸水性樹脂を製造する際の酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)との混合比は、以下の形態であると好ましい。すなわち、単量体水溶液が、可溶化ポリマーを、酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)および可溶化ポリマーの合計質量に対して(当該合計質量を100質量%として)、1質量%以上60質量%以下の割合(固形分)で含むことが好ましい。
また、他の実施形態において、単量体水溶液が、可溶化ポリマーを、酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)および可溶化ポリマーの合計質量に対して(当該合計質量を100質量%として)、3質量%以上50質量%以下の割合で含むとより好ましく、5質量%以上40質量%以下の割合で含むとさらにより好ましく、5質量%を超え40質量%未満の割合で含むとさらに特に好ましく、8質量%以上30質量%以下の割合で含むと最も好ましい。このような混合比であれば、可溶化ポリマーを吸水性樹脂内において均一に分散させやすくなるだけでなく、吸水性樹脂内部に可溶化ポリマーが組み込まれやすくなる。その結果、水可溶分を効果的に低減することができ、吸水物性に優れた吸水性樹脂を得ることができる。
(酸基含有不飽和単量体)
不飽和単量体に含まれる「酸基」は、特に限定されないが、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等が例示される。この酸基含有不飽和単量体の例としては、水溶性または疎水性の不飽和単量体が挙げられる。一例として、米国特許出願公開第2005/0215734に記載された化合物の記載を援用することができる。具体的には、酸基含有不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等のアニオン性不飽和単量体および/またはその塩が挙げられる。これらの他の単量体は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。吸水性能の観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸であり、特に好ましくはアクリル酸である。
(アクリル酸)
本発明の一実施形態では、得られる吸水性樹脂の物性および生産性の観点から、吸水性樹脂を構成する単量体としてアクリル酸および/またはその塩(本明細書中、「アクリル酸(塩)」とも称する)が用いられる。前記「アクリル酸」としては、公知のアクリル酸を用いることができる。また、前記「アクリル酸塩」は、前記アクリル酸を下記塩基性組成物で中和したものを意図する。該アクリル酸塩は、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
(酸基含有不飽和単量体の濃度)
単量体水溶液(可溶化ポリマーを除く)中の単量体の濃度は、選択された単量体、可溶化ポリマーおよび溶媒の種類等に応じて適宜選択される。生産効率上の観点から、下限は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらにより好ましくは30質量%以上である。また、上限は、好ましくは100質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以下であり、さらにより好ましくは70質量%以下である。
(塩基性組成物)
本明細書において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を意図する。塩基性化合物としては、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性である塩基性化合物が好ましい。かような塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。一例として、塩基性組成物は、市販の水酸化ナトリウム水溶液等であってもよい。
(中和)
本吸水性樹脂の製造方法においては、酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)の少なくとも一部を中和することが好ましい。本吸水性樹脂の製造方法における中和として、酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)に対する中和(重合前)または酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択、または併用することができる。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号、米国特許出願公開第2008/0194863号等に記載された条件が本発明にも適用されうる。
酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)の中和率は、単量体の酸基の全量100モル%中、好ましくは10モル%以上90モル%以下、より好ましくは40モル%以上85モル%以下、更に好ましくは50モル%以上80モル%以下、特に好ましくは60モル%以上75モル%以下である。該中和率を10モル%以上とすることで、十分な吸収倍率を有する吸水性樹脂を提供できる。一方、該中和率を90モル%以下とすることで、加圧下吸収倍率のより高い吸水性樹脂を提供することができる。単量体水溶液が、単量体成分としてアクリル酸のみを含む場合を例に挙げて、当該単量体水溶液の中和率についてさらに説明する。この場合、単量体の中和率が75モル%であるとは、単量体水溶液に含まれる単量体成分が、アクリル酸25モル%とアクリル酸塩75モル%との混合物であることを意味する。このような混合物をアクリル酸部分中和物と称する場合もある。
前記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、前記中和率が適用される。また、本吸水性樹脂の製造方法においては、前記の回収吸水性樹脂由来の可溶化ポリマーを原料の一部として吸水性樹脂の製造に用いる。このような可溶化ポリマーを原料の一部として吸水性樹脂の製造に用いる場合、当該可溶化ポリマーに、回収吸水性樹脂由来の塩基性化合物が含まれる可能性がある。そして、この塩基性化合物が重合前の酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)または重合後の含水ゲル状架橋重合体を中和しうる。したがって、この回収吸水性樹脂に由来する塩基性化合物による中和を考慮して、単量体水溶液中の単量体、含水ゲル状架橋重合体および最終製品としての吸水性樹脂の中和(後中和)率を所定の範囲に調整することが好ましい。
(酸基含有不飽和単量体以外の単量体)
単量体水溶液は、酸基含有不飽和単量体以外の単量体を含んでいてもよい。酸基含有不飽和単量体以外の単量体としては、重合して吸水性樹脂となり得る化合物であればよい。例えば、(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体;メルカプト基含有不飽和単量体;フェノール性水酸基含有不飽和単量体;N-ビニルピロリドン等のラクタム基含有不飽和単量体等が挙げられる。
(内部架橋剤)
単量体水溶液は、内部架橋剤を含むことが好ましい。単量体水溶液に含まれ得る内部架橋剤としては、例えば、米国特許第6241928号に記載された化合物を挙げることができる。これらの中から反応性を考慮して1種または2種以上の化合物を内部架橋剤として使用することができる。また、得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点から、内部架橋剤としては、重合性不飽和基を2個以上有する化合物が好ましく、下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物がより好ましく、(ポリ)アルキレングリコール構造単位および2個以上の重合性不飽和基を有する化合物がさらに好ましい。前記重合性不飽和基としては、アリル基、(メタ)アクリレート基が好ましく、(メタ)アクリレート基がより好ましい。また、前記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としては、ポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1以上100以下、より好ましくは6以上50以下である。
内部架橋剤の例としては、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの内部架橋剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
前記内部架橋剤の使用量(単量体水溶液中の含有量)は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001モル%以上10モル%以下、より好ましくは0.001モル%以上1モル%以下である。内部架橋剤の使用量を前記範囲内とすることにより、所望する吸水性樹脂が得られる。なお、内部架橋剤の使用量が0.0001モル%以上であると、得られる吸水性樹脂のゲル強度が向上し、水可溶分が減少する傾向にあり、内部架橋剤の使用量が10モル%以下であると、得られる吸水性樹脂の吸収倍率が向上する傾向にあるため、好ましい。なお、前記単量体全体に対するモル%とは、前記単量体水溶液に含まれる単量体の総モル数に対する、前記内部架橋剤のモル数の百分率である。
本吸水性樹脂の製造方法においては、所定量の(前記範囲の)内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく用いられる。一方、当該方法以外に、重合中および/または重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法;ラジカル重合開示剤を用いてラジカル架橋する方法;電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(重合禁止剤)
単量体水溶液は、重合禁止剤を含んでいてもよい。重合禁止剤は、特に限定されないが、好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp-メトキシフェノールである。酸基含有不飽和単量体(好ましくは、アクリル酸)の重合性および吸水性樹脂の色調の観点から、単量体水溶液中の重合禁止剤の含有量は、好ましくは200質量ppm以下、より好ましくは10質量ppm以上160質量ppm以下、更に好ましくは20質量ppm以上100質量ppm以下である。
(不純物)
単量体水溶液は、当該単量体水溶液中の各成分に由来する不純物を含むものであってもよい。例えば、アクリル酸に由来する不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物に係る記載が援用される。
(その他の物質)
単量体水溶液は、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、前記の各成分以外の物質(その他の物質)を含んでいてもよい。
その他の物質としては、例えば、チオール類、チオール酸類、2級アルコール類、アミン類、次亜リン酸塩類等の連鎖移動剤;炭酸塩、重炭酸塩、アゾ化合物等の発泡剤;エチレンジアミン4酢酸の金属塩、ジエチレントリアミン5酢酸の金属塩等のアミノ多価カルボン酸(塩)や、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)の金属塩等のアミノ多価ホスホン酸(塩)等のキレート剤;澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子等のその他の添加剤を挙げることができる。
単量体水溶液がその他の物質として親水性高分子を含む場合、当該親水性高分子の含有量は、単量体水溶液の全量(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下(下限は0質量%)である。また、単量体水溶液がその他の物質として親水性高分子以外の他の添加剤を含む場合、当該他の添加剤の含有量は、単量体水溶液の全量(100質量%)に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下(下限は0質量%)である。
また、前記その他の物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、後述する重合工程で反応系内に添加されてもよい。その場合、単量体水溶液中に含まれるその他の物質と、重合工程で反応系内に添加されるその他の物質との合計量が、前記の範囲であることが好ましい。
なお、親水性高分子として水溶性樹脂または吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体または吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉-アクリル酸重合体、PVA-アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体、吸水性樹脂組成物も本発明の一実施形態の範疇である。
[3-3-2]重合工程
本工程は、前記単量体水溶液の調製工程で得られた単量体水溶液中の不飽和単量体(特にアクリル酸(塩)系単量体)を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
重合体成分の均一性の観点から、重合開始前(すなわち、単量体水溶液の調製工程)に可溶化ポリマーを添加することが好ましいが、重合工程(特に重合装置中の単量体組成物)において可溶化ポリマーが添加されてもよい。可溶化ポリマーを「重合工程」で添加する場合、可溶化ポリマーの添加時期については、特に限定されない。可溶化ポリマーを重合開始前に添加しても良いし、重合開始後に添加しても良い。具体的には、単量体組成物の重合直前に可溶化ポリマーを添加する形態(具体的には、例えば、重合開始剤と同時に添加する形態);単量体の重合中に可溶化ポリマーを添加する形態(具体的には、例えば、連続ニーダー重合のように重合とゲル粉砕を同時に行う場合など、重合工程中のゲル粉砕工程において可溶化ポリマーを添加する形態)およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。
(重合開始剤)
本工程においては、重合開始剤を用いて単量体の重合反応を行うことが好ましい。本工程において使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、またはこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤(例えば、L-アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等)を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種または2種以上を好適に用いることができる。なお、重合開始剤の取扱性、得られる吸水性樹脂の物性等の観点から、重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物を用いることが好ましく、過酸化物を用いることがより好ましく、過硫酸塩を用いることが更に好ましい。
本工程における重合開始剤の使用量は、重合に供される単量体(単量体水溶液に含まれる単量体)の全量に対して、好ましくは0.001モル%以上1モル%以下であり、より好ましくは0.001モル%以上0.5モル%以下である。また、還元剤を併用する場合(すなわち、レドックス系重合開始剤を使用する場合)、還元剤の使用量は、単量体の全量に対して、好ましくは0.0001モル%以上0.02モル%以下である。なお、前記単量体に対する「モル%」とは、前記単量体水溶液に含まれる単量体の総モル数に対する、前記重合開始剤または還元剤のモル数の百分率である。
なお、前記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤とを併用して重合反応を実施してもよい。
(重合形態)
重合工程における重合形態としては、特に限定されないが、得られる吸水性樹脂の吸水特性、および重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましい。連続ベルト重合、連続ニーダー重合等の形態を適用することもできる。また、単量体水溶液に気泡(特に下記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合の形態を適用することもできる。
具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することにより、吸水性樹脂の生産効率が向上しうる。
また、前記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」および「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、重合に供される単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度として重合を開始する形態をいう。例えば、重合温度は、好ましくは20℃以上100℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下である。「高濃度重合」とは、重合に供される単量体水溶液の単量体濃度を好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上(上限は飽和濃度)として重合を行う形態をいう。また、これらの重合形態を併用することもできる。
本工程においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。また、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換する(例えば、溶存酸素が1mg/L未満となるように置換する)ことが好ましい。
[3-3-3]含水ゲル粉砕工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、任意で、前記重合工程にて得られた含水ゲルを粉砕する、含水ゲル粉砕工程を含むことが好ましい。本工程は、前記重合工程で得られた含水ゲル(重合体の含水ゲル)を、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、または、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」とも称する)を得る工程である。なお、前記重合工程において、重合形態としてニーダー重合を採用する場合、重合工程とゲル粉砕工程とが同時に実施される。また、気相重合、逆相懸濁重合等のように、粒子状の含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、含水ゲル粉砕工程が実施されないこともある。また、必要な場合には、重合工程後ゲル破砕工程前に、ローラーカッター、ギロチンカッター等を用いて、含水ゲル状架橋重合体を、ゲル粉砕装置に投入可能な大きさに切断または粗砕する細断工程を実施してもよい。特に、重合工程がベルト重合であり、シート状またはブロック状の含水ゲルが得られる場合に、細断工程を実施することが好ましい。前記以外のゲル粉砕条件および形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーを「含水ゲル粉砕工程」で添加する場合、可溶化ポリマーを粉砕前に添加しても良いし、粉砕途中に添加しても良い。ゲル成分の均一性の観点から、ゲル粉砕前に可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
より具体的には、ゲル粉砕装置に含水ゲルと可溶化ポリマーとを添加する形態、ゲル粉砕される重合工程後の含水ゲルがゲル粉砕装置に投入されるまでに可溶化ポリマーを添加してゲル粉砕と同時に可溶化ポリマーを含水ゲル中に混合する形態等であってもよい。また、ゲル粉砕工程前に任意で行われる細断工程において可溶化ポリマーを添加してもよい。この際、可溶化ポリマーは、分割投入しても良い。
可溶化ポリマーの添加量(固形分)は、含水ゲルの固形分に対して、好ましくは1質量%以上60質量%以下、より好ましくは3質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
[3-3-4]乾燥工程
本工程は、前記重合工程および/または含水ゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分量となるまで乾燥させることにより、乾燥重合体を得る工程である。なお、乾燥重合体の樹脂固形分量は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上99質量%以下、更に好ましくは90質量%以上98質量%以下、特に好ましくは92質量%以上97質量%以下である。
前記粒子状含水ゲルの乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
前記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、得られる吸水性樹脂の色調、乾燥効率等の観点から、好ましくは120℃以上250℃以下、より好ましくは150℃以上200℃以下である。なお、熱風の風速および乾燥時間等、前記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総質量および目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定することができる。また、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が、乾燥条件として適宜適用される。
上述した乾燥温度、乾燥時間等を前記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のAAP0.3(0.3psiでの加圧下吸収倍率)、CRC(吸収倍率)、および色調を所望する範囲(下記[3-5-1]、[3-5-2]を参照)とすることができる。
本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーを「乾燥工程」で添加する場合、乾燥前に含水ゲルと可溶化ポリマーとを混合しても良いし、乾燥後に混合してもよい。また、含水ゲルと可溶化ポリマーとを混合せずに乾燥しても良い。
[3-3-5]乾燥後の粉砕工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、任意で、乾燥重合体の粒度を調整するために、前記乾燥工程で得られた乾燥重合体を適宜粉砕する、乾燥後の粉砕工程を含むことが好ましい。乾燥後の粉砕工程において、乾燥重合体を粉砕する方法は特に限定されず、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機や、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等を使用して、粉砕工程を実施することができる。
[3-3-6]分級工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、任意で、乾燥工程にて得られた乾燥重合体または乾燥後の粉砕工程で得られた乾燥重合体の粉砕物を分級し、所望の粒度の粒子状乾燥重合体を得る分級工程を含むことが好ましい。
分級工程において、乾燥重合体またはその粉砕物を分級する方法としては、JIS標準篩(JIS Z8801-1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。中でも、分級効率の観点から、好ましくは篩分級が選択される。
分級工程にて得られる粒子状乾燥重合体の粒度としては、特に限定されないが、例えば、質量平均粒子径(D50)が200μm以上500μm以下であることが好ましく、250μm以上450μm以下であることがより好ましく、300μm以上400μm以下であることがさらに好ましい。また、質量平均粒子径(D50)が150μm未満である粒子の割合が、5質量%未満であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい(下限0質量%)。
本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーを「分級工程」で添加する場合、分級前に乾燥重合体または乾燥重合体の粉砕物と可溶化ポリマーとを混合しても良いし、分級後に混合しても良い。粒度の均一性の観点から、分級前に可溶化ポリマーを添加することが好ましい。
[3-3-7]表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる(粒子状)乾燥重合体(以下において、「吸水性樹脂前駆体」とも称する)の表面層((粒子状)乾燥重合体の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程である。表面架橋工程は、混合工程および加熱処理工程から構成されうる。
表面架橋工程において、(粒子状)乾燥重合体表面でのラジカル架橋、表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により、表面架橋された吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)が得られる。
本発明に係る可溶化方法により得られる可溶化ポリマーを「表面架橋工程」で添加する場合、(粒子状)乾燥重合体と可溶化ポリマーとを混合しても良いし、表面架橋後に混合してもよい。また、(粒子状)乾燥重合体と可溶化ポリマーとを混合せずに処理しても良い。表面処理液(表面架橋剤を含む溶液)と(粒子状)乾燥重合体との均一混合性の観点から、粉体状の可溶化ポリマーを用いて、全ての被表面架橋物(すなわち、(粒子状)乾燥重合体および粉体状の可溶化ポリマー)を、粉体状の形態で表面架橋に供することが好ましい。また、可溶化ポリマーを表面架橋後に混合する場合、可溶化ポリマーとしては、少なくとも一部が表面架橋された可溶化ポリマーを使用することが好ましい。
(表面架橋剤)
表面架橋工程においては、表面架橋剤を使用して粒子状乾燥重合体の表面を架橋することが好ましい。本発明の一実施形態で使用される表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機または無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性、表面架橋剤の取扱性等の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。具体的には、表面架橋剤としては、米国特許7183456号に開示される1種または2種以上の化合物を使用することができる。より具体的には、表面架橋剤としては、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2-ブテン-1,4-ジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン-オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールポリグリシジルエーテル、グリシドール、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物およびこれらの無機塩または有機塩;ポリアジリジン等のアジリジン化合物;1,2-エチレンビスオキサゾリン、ビスオキサゾリン、ポリオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2-オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3-ジオキソラン-2-オン(エチレンカーボネート)、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,5-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-エチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、1,3-ジオキサン-2-オン、4-メチル-1,3-ジオキサン-2-オン、4,6-ジメチル-1,3-ジオキサン-2-オン、1,3-ジオキソパン-2-オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物およびこれらの多価アミン付加物;亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩または炭酸塩等の多価金属塩;等が挙げられる。これらの表面架橋剤の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。前記表面架橋剤の中でも、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価金属塩およびアルキレンカーボネート化合物からなる群より選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。また、これらの表面架橋剤は、水溶液の状態(すなわち、表面架橋剤溶液の状態で)で使用することが好ましい。
表面架橋工程における表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、(粒子状)乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上5質量部以下である。また、表面架橋剤は水溶液の形態で添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、(粒子状)乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。更に必要に応じて、親水性有機溶媒を併用してもよく、その場合、親水性有機溶媒の使用量は、(粒子状)乾燥重合体100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
また、表面架橋剤以外の添加剤(後述する「その他の添加剤」)をそれぞれ5質量部以下の範囲内で、表面架橋剤の水溶液に混合することもできる。
(混合工程)
表面架橋工程は、(粒子状)乾燥重合体と前記表面架橋剤とを混合する、混合工程を含む。混合工程における表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、例えば、予め表面架橋剤溶液を作製しておき、当該溶液を、(粒子状)乾燥重合体に対して、好ましくは噴霧または滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
(粒子状)乾燥重合体と前記表面架橋剤との混合を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
(加熱処理工程)
表面架橋工程は、前記混合工程から排出された混合物を加熱して、(粒子状)乾燥重合体の表面上で架橋反応を起こさせる加熱処理工程を含む。加熱処理工程は、架橋反応工程であるとも言える。
該架橋反応を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。また、加熱処理における加熱温度、換言すれば、架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50℃以上300℃以下であり、より好ましくは100℃以上200℃以下である。また、架橋反応を十分に進行させることが可能であれば、加熱時間も特に制限されず、例えば、10分以上3時間以下であると好ましい。
[3-3-8]冷却工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、任意で、前記表面架橋工程後、さらに加熱処理後の表面架橋された(粒子状)乾燥重合体(すなわち、吸水性樹脂粒子)を冷却する冷却工程を含むことが好ましい。冷却工程は、前記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。冷却工程において、冷却を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することにより、冷却装置として使用できるためである。なお、前記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、冷却工程において、好ましくは40℃以上80℃以下、より好ましくは50℃以上70℃以下に、必要に応じて強制冷却される。
[3-3-9]整粒工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、任意で、前記表面架橋工程後または任意で行われる冷却工程後、さらに整粒工程を含むことが好ましい。本工程は、表面架橋された吸水性樹脂の粒度を調整する工程である。この整粒工程によって、粒子径または粒度分布がより積極的に制御された吸水性樹脂が得られる。
好ましくは、整粒工程は、解砕ステップおよび/または分級ステップを含む。解砕ステップは、表面架橋工程を経て緩く凝集した粒状物を解砕機で解して粒子径を整えるステップである。分級ステップは、分級機を用いて、表面架橋された粒状物または、それらの解砕物から、粗大粒子および微粉を除去する工程である。
解砕機としては、特に限定されず、例えば、振動ミル、ロールグラニュレーター、ナックルタイプ粉砕機、ロールミル、高速回転式粉砕機(ピンミル、ハンマーミル、スクリューミル)、円筒型ミキサー等を挙げることができる。乾燥重合体または表面架橋された乾燥重合体へのダメージが少ないものが好ましく、具体的にはロールグラニュレーター(株式会社マツボー)、グラニュレータ(株式会社栗本鐵工所)やランデルミル(株式会社徳寿工作所)等が挙げられる。分級機としては、篩網を用いた振動式または揺動式の篩分級機が用いられる。
[3-3-10]その他の工程
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上述した各工程以外に、必要に応じて、粉砕工程、分級工程、再湿潤工程、造粒工程、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等を更に含んでもよい。
(その他の添加剤)
前記任意に使用される表面架橋剤以外にも、その他の添加剤として、乾燥前または乾燥後に、ゲル流動化剤、高分子粉末(例えば、タピオカ酢酸デンプンなどのデンプン)、無機粒子(例えば、ハイドロタルサイト、二酸化ケイ素、タルク、水酸化アルミニウム、リン酸三カルシウム等)、粉塵防止剤、乾燥した吸水性樹脂(微粉)、通液性向上剤、還元剤(例えば亜硫酸ナトリウム)、キレート剤、乳酸等の酸または塩基(またはこれらの塩)等の従来公知の成分を、更に加えることが可能である。
[3-4]吸水性樹脂における可溶化ポリマーの含有量
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法において、可溶化ポリマーが吸水性樹脂原料の総質量に対し占める割合は特に制限されないが、好ましくは1質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上40質量%以下、特に好ましくは1質量%以上30質量%以下である。換言すれば、本発明に係る製造方法においては、可溶化ポリマーが全ての吸水性樹脂原料全体に対し占める割合が前記の範囲となるように可溶化ポリマーを添加することが好ましい。なお、前記において、「全ての吸水性樹脂原料」とは、吸水性樹脂の製造過程で用いる原料全て(すなわち、添加する可溶化ポリマーと、単量体水溶液から調製した吸水性樹脂との合計量)を指す。前記原料としては、より具体的には、可溶化ポリマー、ならびに、通常の吸水性樹脂(すなわち、非リサイクル吸水性樹脂)およびその原料(例えば、アクリル酸(塩);塩基性組成物;他の単量体;内部架橋剤;その他の物質(澱粉等);重合開始剤;および表面架橋剤等)が挙げられる。また、前記割合は、前記全ての吸水性樹脂原料の固形分量中の、前記可溶化ポリマーの固形分量の割合である。
[3-5]本発明に係る吸水性樹脂の製造方法により得られる吸水性樹脂の諸物性
[3-5-1]吸水性樹脂の着色性(黄色度/YI値)
本吸水性樹脂の製造方法により得られる吸水性樹脂のYI値としては、好ましくは20.0以下であり、より好ましくは18.0以下であり、さらに好ましくは16.0以下である。また、YI値の下限は特に限定されず、0であってもよい。吸水性樹脂のYI値は、当該吸水性樹脂の着色性を示す指標であり、吸水性樹脂のYI値が前記の範囲内であることは、当該吸水性樹脂の着色がより抑制されていることを意味する。なお、吸水性樹脂のYI値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[3-5-2]吸水性樹脂の吸水物性
本吸水性樹脂の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水物性としては、CRCが25g/g以上であることが好ましく、27g/g以上であることがより好ましく、30g/g以上であることがさらにより好ましく、40g/g以上であることが特に好ましい。より高いCRCが好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下である。また、AAP0.3が10g/g以上であることが好ましく、15g/g以上であることがより好ましく、20g/g以上であることがより好ましく、22g/g以上であることがより好ましく、24g/g以上であることがさらに好ましく、25g/g以上であることが特に好ましく、26g/g以上であることが最も好ましい。より高いAAP0.3が好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、吸水性樹脂のAAP0.3(加圧下吸収倍率)は、40g/g以下でありうる。AAP0.3(加圧下吸収倍率)については公知の技術で制御することができ、例えば表面架橋層の架橋密度等によって制御することができる。なお、吸水性樹脂のCRCおよびAAP0.3は、実施例に記載の方法により測定することができる。吸水性樹脂を吸収性物品、特に紙オムツに使用する場合に、前記のCRCの好ましい範囲およびAAPの好ましい範囲の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方を満たすことがより好ましい。
[4]吸収性物品の製造方法
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法によれば、可溶化ポリマーを原料の一部として用いて吸水性樹脂を製造した際、着色の少ない吸水性樹脂を得ることができる。このように、着色の少ない吸水性樹脂は、吸収性物品の製造に好適に用いられる。したがって、本発明の他の態様は、本発明に係る吸水性樹脂の製造方法で得られた吸水性樹脂を用いる、吸収性物品の製造方法を提供する。当該製造方法により製造される吸収性物品としては吸水性樹脂を含む物品であれば特に制限されず、吸収用途に用いられる物品が挙げられる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に示す実施例および比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれることとする。なお、特記しない限り、下記の各操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定した。
(a)分解性の評価
実施例および比較例における吸水性樹脂の「分解性の評価」は、以下のようにして行った。具体的には、吸水性樹脂(模擬使用済み吸水性樹脂)に、水および過酸化物(場合によっては、還元剤や遷移金属イオン)を混合し、所定の温度下に設置した時点を分解開始とし、そこから1時間もしくは2時間、所定の温度で分解処理を継続した後、混合物中に吸水性樹脂の溶け残りがないかを目視で確認して評価した。
「分解性」は以下の判断基準で評価を行った:
<分解性判断基準>
◎:1時間経過後に、吸水性樹脂の溶け残りなし
〇:1時間経過後は溶け残りがあるが、2時間経過後には溶け残りなし
△:2時間経過後に溶け残りあり(溶解分は全体積の1/2以上)
×:2時間経過後に溶け残りが多量にあり(溶解分は全体積の1/2未満)。
(b)可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマー(水溶液)の固形分濃度は以下の方法により測定した。具体的には、先ず、質量Wa(g)の可溶化ポリマー水溶液を、質量Wb(g)のアルミニウム皿に載せ、180℃の熱風循環オーブン中で3時間乾燥させた。乾燥後の可溶化ポリマーとアルミニウム皿の合計質量Wc(g)を測定した。下記式(1)に従って、可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度を算出した:
可溶化ポリマー水溶液の固形分濃度(質量%)={(質量Wc-質量Wb)/質量Wa}×100 ・・・ 式(1)。
(c)可溶化ポリマー水溶液の着色評価(黄色度/YI値)
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマー水溶液の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計(Spectrophotometer SE7700)を用いて行った。具体的には、角セルに約16gの可溶化ポリマー水溶液を充填し、透過試料室の試料ホルダーに設置した。室温(20℃以上25℃以下)および湿度50RH%の条件下で、前記分光式色差計にて、可溶化ポリマー水溶液のYI値(Yellow Index)を測定した。測定の設定条件としては、透過測定を選択した。また、付属品の角セル(光路10mm)を用い、標準公正には工業用純水を用いた。
(d)吸水性樹脂の着色評価(黄色度/YI値)
実施例および比較例で得られた吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーを原料の一部として製造された吸水性樹脂の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計(Spectrophotometer SE7700)を用いて行った。具体的には、室温(20℃以上25℃以下)および湿度50RH%の条件下で、前記分光式色差計にてYI値(Yellow Index)を測定した。測定の設定条件は、反射測定を選択し、測定径はLAV(28mm)とした。また、付属の35φ×15H丸セル、35φ×15H用セルケースを用い、また、標準として付属品の粉体用標準白板を用いた。
(e)可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)
実施例および比較例において吸水性樹脂を分解して得られた可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、以下の手順に従って測定した。
(測定試料の調製)
まず、可溶化ポリマーのサンプルを下記溶媒に溶解させ、濃度0.1質量%の溶液とした。その後、得られた可溶化ポリマーの溶液をフィルター(ジーエルサイエンス社製:GLクロマトディスク、水系25A、孔径0.2μm)に通過させて測定試料とした。
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400質量ppmを含む水溶液(pH6.35から6.38)
前記測定試料を用いて以下の測定条件でGPC測定を行った。
(GPC測定)
マルバーン社製のビスコテックTDAmaxを用いて前記測定試料のGPC測定を行った。測定装置には、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出器、光散乱検出器およびキャピラリー粘度計を搭載した。測定装置および測定条件は、以下の通りとした。
ポンプ・オートサンプラー:ビスコテックGPCmax(マルバーン社製)
ガードカラム:OHpak SB-G(昭和電工株式会社製)
カラム:OHpak SB-806MHQ(昭和電工株式会社製)2本を直列に接続して使用
検出器:ビスコテックTDAmax(マルバーン社製)
溶媒:リン酸2水素ナトリウム2水和物60mM・リン酸水素2ナトリウム12水和物20mM・アジ化ナトリウム400質量ppmを含む水溶液(pH6.35から6.38)
流速:0.5mL/分
注入量:100μL。
GPC測定で使用する水として、不純物を十分に取り除いた純水を使用した。また、GPC測定は、十分な量の溶媒を測定装置に流すことにより、検出値のベースラインが安定した状態、特に、光散乱検出器でのノイズピークが無い状態で行った。
測定装置の校正は、ポリオキシエチレングリコール〔重量平均分子量(Mw):21966、分子量分布(Mw/Mn):1.0、示差屈折率(dn/dc):0.132、溶媒屈折率:1.33〕を標準サンプルとして行った。また、測定対象である可溶化ポリマーの示差屈折率(dn/dc)を0.12、溶媒屈折率を1.33として測定を行った。屈折率、光散乱強度、および粘度のデータ収集および解析は、ソフトウェア(Viscotek OmniSEC4.7.0(登録商標))を用いて行った。
前記測定で得られた屈折率(RI)および光散乱強度(角度:7°)(LALS)、および粘度計(DP)から得られたデータを用いて、可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)を算出した。
(f)残存過酸化水素量
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマー水溶液中に残存する過酸化水素量は、以下の手順に従って、呈色試薬である硫酸チタンで残存する過酸化水素を着色し、その吸光度を測定することで算出した。
具体的には、可溶化ポリマー水溶液0.50g、工業用純水8.5g、10質量%塩化カルシウム水溶液1.0gを容器に入れ、混合することで可溶化ポリマーを沈殿させた。その後、0.2μmクロマトディスクでろ過した。得られたろ液に1mol/L(2N)の硫酸0.30gを添加し、混合した後、30質量%硫酸チタン(IV)0.10gで呈色した。
吸光度は、レシオビーム分光光度計U-5100(日立ハイテク社製)を用いて、波長410nmの吸光度を測定した。このとき、付属品である10mm角形セルを用い、工業用純水を標準として用いた。
別途、過酸化水素濃度が既知の検量線用試料について、前記と同様に硫酸チタン(IV)と反応させて(硫酸チタン(IV)で呈色させて)、「過酸化水素量-吸光度」の検量線を作成した。当該検量線を用いて、前記吸光度から「可溶化ポリマー水溶液中の残存過酸化水素量(質量ppm;対可溶化ポリマー固形分)」を算出した。
(g)含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Gel D50)および乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)
(g-1)含水ゲルの質量平均粒子径
実施例および比較例における含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Gel D50)は、以下の方法で測定した。
温度20℃以上25℃以下の含水ゲル粒子(固形分α質量%)1.0gを、0.08質量%エマール20C(界面活性剤、花王株式会社製)を含む脱イオン水(以下、「エマール水溶液」と称する)1000g中に添加して分散液とした。当該分散液に、長さ50mm×直径7mmのスターラーチップを入れ、300rpmで60分間撹拌した(高さ21cm、直径8cmの円柱のポリプロピレン製 約1.14L容器を使用)。
撹拌終了後、回転盤の上に設置したJIS標準の篩(直径21cm、篩の目開き:8mm/4mm/2mm/1mm/0.60mm/0.30mm/0.15mm/0.075mm)の中央部に、前記分散液を投入した。エマール水溶液200gを使用して全含水ゲルを篩上に洗い出した後、上部からエマール水溶液6000gを、篩を手で回転させながら(20rpm)、30cmの高さからシャワー(孔72個あき、液量:6.0L/min)を使って注水範囲(50cm2)が篩全体にいきわたるよう満遍なく注ぎ、含水ゲルを分級した。分級した一段目の篩上の含水ゲルを約2分間水切り後、秤量した。二段目以降の篩についても同様の操作で分級し、水切り後にそれぞれの篩の上に残留した、含水ゲルを秤量した。
各篩の上に残留した含水ゲルの質量から下記式(2)より、質量%割合を算出した。また、水切り後の篩の目開きを、下記の式(3)に従い、含水ゲルの粒度分布を対数確率紙にプロットした。プロットの積算篩上%Rが50質量%に相当する粒子径を、含水ゲルの質量平均粒子径(Gel D50)とした:
X(%)=(w/W)×100 ・・・式(2)
R(α)[mm]=(20/w)1/3×r ・・・式(3)
なお、ここで、
X:分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲルの質量% [%]
w:分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲルのそれぞれの質量 [g]
W:分級、水切り後に各篩上に残留した含水ゲルの総質量 [g]
R(α):固形分α質量%の含水ゲルに換算したときの篩の目開き [mm]
r:エマール水溶液中で膨潤した含水ゲルが分級された篩の目開き [mm]
である。
(g-2)乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)
「乾燥物(固形分100質量%)として換算して得られた前記含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Solid D50)」は、含水ゲル粒子の質量平均粒子径(Gel D50)および含水ゲル粒子の固形分濃度(質量%)から、下式(4)に従って計算した。
(Solid D50)=(Gel D50)×{(含水ゲル粒子の固形分濃度(質量%)/100)」1/3 ・・・ 式(4)
なお、前記式(4)において、「含水ゲル粒子の固形分濃度(質量%)」は、試料(回収吸水性樹脂)を180℃で3時間乾燥させた際の、乾燥減量に基づいて算出される値である。
(h)CRC
吸水性樹脂の「CRC」は「Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)」の略称であり、吸水性樹脂の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する無加圧下での30分間の吸収倍率(単位:g/g)を示す。具体的な吸水性樹脂(可溶化ポリマーを原料の一部として製造された吸水性樹脂)のCRCの測定方法は下記の通りであった。
吸水性樹脂0.200gを不織布製(南国パルプ工業株式会社製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP-22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした。当該(吸水性樹脂を格納した)袋を、室温下で大過剰(通常500mL程度)の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H-122)を用いてERT441.2-02に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、吸水性樹脂を用いずに同様の操作を行い、その時の質量W0(g)を測定した。計測されたW1、W0の値から、下式(5)に従って、対象の吸水性樹脂のCRC(g/g)を算出した。
吸水性樹脂のCRC(g/g)=(W1-W0)/(吸水性樹脂の質量)-1・・・式(5)
(i)AAP0.3
吸水性樹脂の「AAP」は、「Absorption Against Pressure」の略称であり、0.90質量%塩化ナトリウム水溶液に対する加圧下吸収倍率(単位:g/g)を示す。また、「AAP0.3」とは、0.3psi加圧下でのAAPを意味する。前記吸水性樹脂のAAP0.3は、ERT442.2-02に準拠して測定した。具体的には、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を用い、吸水性樹脂0.9gを1時間、2.07kPa(21g/cm、0.3psi)の加圧下で膨潤させた後、AAP(加圧下吸収倍率)を測定した。
(j)可溶化ポリマー中の遷移金属イオン量の測定
可溶化ポリマーの水溶液に硝酸を添加した後、得られた水溶液に対して段階的に加熱とマイクロ波照射を繰り返して、可溶化ポリマーの分解物を得た。得られた分解物について、ICP発光分光分析を行うことにより、可溶化ポリマー中の遷移金属イオン量(質量ppm;対可溶化ポリマー固形分)を定量した。
(k)可溶化ポリマー中のL-アスコルビン酸量の測定
可溶化ポリマーを、UV検出器を備えた液体クロマトグラフィーで分析することで、可溶化ポリマー中の残存L-アスコルビン酸量(質量ppm;対可溶化ポリマー固形分)を測定した。
<模擬使用済み吸水性樹脂(1)の製造方法>
[製造例1]
38質量%のアクリル酸ナトリウム(中和率71モル%)水溶液550質量部に、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.44質量部を溶解させて反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。続いて、開閉可能な蓋付きのシグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに、前記反応液を供給し、反応液の液温を30℃に保持しながら系を窒素ガスで置換した。次いで、前記ニーダー内の反応液を撹拌しながら、過硫酸アンモニウム0.24質量部およびL-アスコルビン酸0.012質量部を添加したところ、凡そ1分後に重合反応が開始した。この重合は20℃以上95℃以下で行い、重合を開始して60分経過後に含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)を取り出した。
得られた含水ゲルを150℃で100分間、熱風乾燥した後、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび106μmJIS標準篩で分級することで、平均粒径が400μmの不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(1)を得た。
得られた吸水性樹脂前駆体(1)200質量部に0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)1800質量部を加え、室温で8時間以上放置することで、模擬使用済み吸水性樹脂(1)を作製した。模擬使用済み吸水性樹脂(1)の乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50)は、397μmであった。
<可溶化ポリマーの製造方法>
[実施例1-1]
反応容器に、製造例1で得られた模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0gと、pH調整剤として15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gとを加え、スパチュラで十分に混合した。次に、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを加え、さらにスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが8.0から8.5の間の色の呈色を示した。なお、混合直後の混合物は、均一溶液とはならずに、固形分が残った状態であることから、そのpHは、前記の通りpH試験紙を用いて測定した(以下、同様)。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを使って混合物の分解状況を確認したところ、一部、分解せずにゲル状物として残っていた。さらに1時間(合計2時間)、分解反応を継続した後、混合物の分解状況を、スパチュラを用いて確認したところ、ゲル状物は確認されず、ほぼすべての模擬使用済み吸水性樹脂(1)が可溶化していた。この可溶化した模擬使用済み吸水性樹脂(1)を可溶化ポリマー(1-1)とした。
得られた可溶化ポリマー(1-1)の水溶液のpHをpH測定器(pHメーター:堀場製作所製 LAQUA act D-71)で測定したところ、8.11であった。また、可溶化ポリマー(1-1)の水溶液の固形分濃度は8.14質量%、YI値は3.41、重量平均分子量(Mw)は50.1万であった。
続いて、可溶化ポリマー(1-1)の水溶液中に残存する過酸化水素を除去するため、15質量%の炭酸ナトリウム水溶液16.2gを加え、25℃を保持したまま、スターラーで3時間撹拌を行った。当該可溶化ポリマー(1-1)の水溶液中の残存過酸化水素量(対可溶化ポリマー固形分)を測定したところ、41質量ppmであり、ほぼすべての過酸化水素が除去されていることを確認した。
[比較例1-1]
pH調整剤である15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gを使用しなかったこと以外は、実施例1-1と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを加え、スパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが6.0から6.5までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを用いて混合物の分解状況を確認したところ、模擬使用済み吸水性樹脂(1)はほとんど可溶化していなかった。さらに1時間(合計2時間)浸漬を続けた後、混合物の分解状況を確認したところ、ほとんど可溶化しておらず、この条件では可溶化ポリマーを得ることができなかった。最後に、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙の呈色は混合物の調製直後から変化していなかった。
[比較例1-2]
pH調整剤である15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gを同46.1gに変更したこと以外は、実施例1-1と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、pH調整剤として15質量%の炭酸ナトリウム水溶液46.1gを加え、スパチュラで十分に混合した。次に、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを加え、さらにスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが8.5から9.0までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを用いて混合物の分解状況を確認したところ、一部可溶化しているものの、分解せずにゲル状物として残っていた。さらに1時間(合計2時間)、混合物の分解状況を確認したところ、ほとんど可溶化しておらず、この条件では可溶化ポリマーを得ることができなかった。最後に、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙の呈色は混合物の調製直後から変化していなかった。
[実施例1-2]
分解処理温度を80℃から100℃に変更したこと以外は、実施例1-1と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、pH調整剤として15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gを加え、スパチュラで十分に混合した。次に、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを加え、さらにスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが8.0から8.5までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を100℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを使って混合物の分解状況を確認したところ、ゲル状物は認められず、ほぼすべての模擬使用済み吸水性樹脂(1)が可溶化していた。この可溶化した模擬使用済み吸水性樹脂(1)を可溶化ポリマー(1-2)とした。
得られた可溶化ポリマー(1-2)の水溶液のpHを、実施例1-1と同様にpH測定器(pHメーター)で測定したところ、8.05であった。また、可溶化ポリマー(1-2)の水溶液の固形分濃度は9.03質量%、YI値は3.82、重量平均分子量(Mw)は48.6万であった。
続いて、可溶化ポリマー(1-2)の水溶液中に残存する過酸化水素を除去するため、15質量%の炭酸ナトリウム水溶液16.2gを加え、25℃を保持したまま、スターラーで3時間撹拌を行った。当該可溶化ポリマー(1-2)の水溶液中の残存過酸化水素量(対可溶化ポリマー固形分)を測定したところ、3質量ppmであり、ほぼすべての過酸化水素が除去されていることを確認した。
[実施例1-3]
(小粒径化工程)
製造例1で得られた模擬使用済み吸水性樹脂(1)250.0gを、ミキサー(Fann社製、Constant Speed Mixer Model 686CS)に入れ、6000rpmで30秒間のせん断処理を4回繰り返して(小粒径化工程)、模擬使用済み吸水性樹脂(2)を得た。なお、ミキサー処理前のゲル粒径(模擬使用済み吸水性樹脂(1)のゲル粒径)が397μm(乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50))であったのに対して、ミキサー処理後のゲル粒径(模擬使用済み吸水性樹脂(2)のゲル粒径)が49μm(乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50))であった。これにより、ミキサー処理により模擬使用済み吸水性樹脂(2)が小粒径化されていることを確認した。ここで、「吸水性樹脂(模擬使用済み吸水性樹脂(2))のゲル粒径が乾燥物換算で49μmである」とは、吸水性樹脂の全粒子(100質量%)のうち、粒子径が49μm以上の粒子と49μm未満の粒子の比率が、各々50質量%であることを意味する。したがって、前記処理により得られた模擬使用済み吸水性樹脂(2)について、乾燥物として換算して得られた粒子径が80μm以下である粒子の割合は50質量%超であり、具体的には、約70質量%であった。
(可溶化工程)
模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0gの代わりに、前記の模擬使用済み吸水性樹脂(2)200.0gを使用した以外は、実施例1-1と同様の分解処理を行った(可溶化工程)。具体的には、模擬使用済み吸水性樹脂(2)200.0g、pH調整剤として15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gを加え、スパチュラで十分に混合した。次に、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを加え、さらにスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが8.0から8.5までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを使って混合物の分解状況を確認したところ、ゲル状物は認められず、ほぼ全ての模擬使用済み吸水性樹脂(2)が可溶化していた。この可溶化した模擬使用済み吸水性樹脂(2)を可溶化ポリマー(1-3)とした。
得られた可溶化ポリマー(1-3)の水溶液のpHを、実施例1-1と同様にpH測定器(pHメーター)で測定したところ、8.09であった。また、可溶化ポリマー(1-3)の水溶液の固形分濃度は9.05質量%、YI値は3.83、重量平均分子量(Mw)は21.4万であった。
続いて、可溶化ポリマー(1-3)の水溶液中に残存する過酸化水素を除去するため、15質量%の炭酸ナトリウム水溶液16.2gを加え、25℃を保持したまま、スターラーで3時間撹拌を行った。当該可溶化ポリマー(1-3)の水溶液中の残存過酸化水素量(対可溶化ポリマー固形分)を測定したところ、25質量ppmであり、ほぼすべての過酸化水素が除去されていることを確認した。
また可溶化ポリマー(1-3)は、その製造過程において、分解剤として遷移金属(Feなど)やL-アスコルビン酸を使用していない。そのため、これらの含有量はND(1質量ppm以下)であった。
[実施例1-4]
小粒径化工程を以下の通りに変更したこと以外は、実施例1-3と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、以下のとおりである。
(小粒径化工程)
製造例1と同様にして吸水性樹脂前駆体(1)を調製し、これを模擬使用済み吸水性樹脂(1’)とした。当該模擬使用済み吸水性樹脂(1’)をピンミルで粉砕し、目開き106μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2)の質量平均粒子径は50μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2)200質量部に0.9質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)1800質量部を加え、室温で8時間以上放置することで、模擬使用済み吸水性樹脂(3)を作製した。模擬使用済み吸水性樹脂(3)のゲル粒径(乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径(Solid D50))は48μmであった。ここで、「吸水性樹脂(模擬使用済み吸水性樹脂(2))のゲル粒径が乾燥物換算で48μmである」とは、吸水性樹脂の全粒子(100質量%)のうち、粒子径が48μm以上の粒子と48μm未満の粒子の比率が、各々50質量%であることを意味する。したがって、得られた模擬使用済み吸水性樹脂(3)について、乾燥物として換算して得られた粒子径が80μm以下である粒子の割合は50質量%超であり、具体的には、約70質量%であった。
(可溶化工程)
模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0gの代わりに、前記の模擬使用済み吸水性樹脂(3)200.0gを使用した以外は、実施例1-1(実施例1-3)と同様の手順により分解処理を行った(可溶化工程)。この際、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが8.0から8.5までの間の色の呈色を示した。また、実施例1-1では模擬使用済み吸水性樹脂(1)全量(ほぼ100%)の可溶化に2時間費やしたが、実施例1-4では模擬使用済み吸水性樹脂(3)全量の可溶化に要した時間は1時間であった。この可溶化した模擬使用済み吸水性樹脂(3)を可溶化ポリマー(1-4)とした。
得られた可溶化ポリマー(1-4)水溶液のpHを、実施例1-1と同様にpH測定器(pHメーター)で測定したところ、8.09であった。また、可溶化ポリマー(1-4)水溶液は、固形分濃度が9.05質量%、YI値が3.81、質量平均粒子径Mwが22.1万であった。
続いて、可溶化ポリマー(1-4)水溶液中に残存する過酸化水素を除去するため、15質量%の炭酸ナトリウム水溶液16.2gを加え、25℃を保持したまま、スターラーで3時間撹拌を行った。当該可溶化ポリマー(1-4)の水溶液中の残存過酸化水素量(対可溶化ポリマー固形分)を測定したところ、33質量ppmであり、ほぼすべての過酸化水素が除去されていることを確認した。
また可溶化ポリマー(1-4)は、その製造過程において、分解剤として遷移金属(Feなど)やL-アスコルビン酸を使用していない。そのため、これらの含有量はND(1質量ppm以下)であった。
[比較例1-3]
分解剤である30質量%の過酸化水素水溶液1.33gを同66.7gに変更したこと以外は、実施例1-1と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、分解剤として30質量%の過酸化水素水溶液66.7gを加えスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが6.0から6.5までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを用いて混合物の分解状況を確認したところ、模擬使用済み吸水性樹脂(1)はほとんど可溶化していなかった。さらに1時間(合計2時間)浸漬を続けた後、混合物の分解状況を確認したところ、ほとんど可溶化しておらず、この条件では可溶化ポリマーを得ることができなかった。最後に、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙の呈色は混合物の調製直後から変化していなかった。
[比較例1-4]
分解剤である30質量%の過酸化水素水溶液1.33gをL-アスコルビン酸3.34gおよび硫酸鉄7水和物0.46gに変更し、さらにpH調整剤である15質量%の炭酸ナトリウム水溶液30.0gを使用しなかったこと以外は、実施例1-1と同様の手順により分解処理を行った。具体的には、反応容器に、模擬使用済み吸水性樹脂(1)200.0g、分解剤としてL-アスコルビン酸3.34g、および硫酸鉄7水和物0.46gを加えスパチュラで十分に混合した。ここで、混合物にpH試験紙を付着させたところ、pH試験紙は、pHが5.5から6.0までの間の色の呈色を示した。
続いて、混合物の入った反応容器を80℃の恒温槽に浸漬することで分解反応を開始した。浸漬1時間経過後、スパチュラを用いて混合物の分解状況を確認したところ、模擬使用済み吸水性樹脂(1)はほとんど可溶化していなかった。さらに1時間(合計2時間)浸漬を続けた後、混合物の分解状況を確認したところ、一部溶け残りが確認されたものの、模擬使用済み吸水性樹脂(1)のほとんどが可溶化してしていた。この可溶化した模擬使用済み吸水性樹脂(1)を可溶化ポリマー(C1-4)とした。
得られた可溶化ポリマー(C1-4)水溶液のpHをpH測定器(pHメーター)で測定したところ、5.56であった。また、可溶化ポリマー(C1-4)溶液の固形分濃度は9.45質量%、YI値は89.71、重量平均分子量(Mw)は8.5万であった。
実施例および比較例の結果を表1および表2に示す。
Figure 2024068208000001
Figure 2024068208000002
表1の結果から、実施例1-1のように、吸水性樹脂、水および過酸化水素を含む混合物をpH6.5以上8.5以下の条件で分解させた場合は、比較的短い時間で分解し、着色の少ない可溶化されたポリマー水溶液が得られる。また、分解温度の上昇(実施例1-2)や分解前の吸水性樹脂の小粒径化(実施例1-3および実施例1-4)により、さらに大幅に分解時間が短縮できる。また、分解前の吸水性樹脂の小粒径化を行った場合、1時間という比較的短い分解時間であるにも関わらず、得られる可溶化ポリマーの分子量Mwが小さく、分解性が極めて向上することがわかる。
一方、pH範囲が6.5以上8.5以下の範囲を外れた比較例1-1、1-2では分解性が大きく劣っている。また、比較例1-3より、pH範囲が6.5以上8.5以下の範囲から外れている場合は、過酸化水素量を大幅に増加しても分解性が改善しなかった。
比較例1-4は、過酸化水素を加えず、還元剤および遷移金属イオンを用いて分解を行った例であるが、得られる可溶化ポリマー水溶液のYIが非常に大きいという課題がある。また、可溶化ポリマーの分子量Mwが8.5万となり、過度に低分子量化していた。
<可溶化ポリマーを原料の一部とする吸水性樹脂の製造方法>
[実施例2-1]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、前記実施例1-1で得られた可溶化ポリマー(1-1)水溶液(固形分濃度8.14質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-1)を取り出した。得られた含水ゲル(2-1)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-1)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-1)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.0質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、MgAl(OH)16CO・4HO、体積平均粒子径0.5μm)0.3質量部を均一に混合し、吸水性樹脂(2-1)を得た。吸水性樹脂(2-1)のCRCは47.5(g/g)、AAP0.3は26.5(g/g)、YI値は14.76であった。
[実施例2-2]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、前記実施例1-2で得られた可溶化ポリマー(1-2)水溶液(固形分濃度9.03質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-2)を取り出した。得られた含水ゲル(2-2)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850および150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-2)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-2)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-2)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.0質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、ハイドロタルサイト(製品名HT-1-NC、堺化学工業株式会社製、化学式MgAl(OH)12CO・3HO、体積平均粒子径0.58μm)0.3質量部を均一に混合し、吸水性樹脂(2-2)を得た。吸水性樹脂(2-2)のCRCは36.1(g/g)、AAP0.3は32.0(g/g)、YI値は15.16であった。
[実施例2-3]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、前記実施例1-3で得られた可溶化ポリマー(1-3)水溶液(固形分濃度9.05質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-3)を取り出した。得られた含水ゲル(2-3)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-3)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-3)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-3)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.0質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、ハイドロタルサイト(製品名HT-P、堺化学工業株式会社製、化学式Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、体積平均粒子径0.45μm)0.3質量部を均一に混合し、吸水性樹脂(2-3)を得た。吸水性樹脂(2-3)のCRCは47.4(g/g)、AAP0.3は26.3(g/g)、YI値は15.17であった。
[実施例2-4]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、前記実施例1-1で得られた可溶化ポリマー(1-1)水溶液(固形分濃度8.14質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-4)を取り出した。得られた含水ゲル(2-4)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-4)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-4)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-4)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.0質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、リン酸三カルシウム(和光純薬工業株式会社製、CAS番号7758-87-4)0.5質量部を均一に混合し、吸水性樹脂(2-4)を得た。吸水性樹脂(2-4)のCRCは47.4(g/g)、AAP0.3は26.8(g/g)、YI値は14.63であった。
[実施例2-5]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、前記実施例1-1で得られた可溶化ポリマー(1-1)水溶液(固形分濃度8.14質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-5)を取り出した。得られた含水ゲル(2-5)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩らに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-5)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-5)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-5)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025質量部、エチレンカーボネート0.40質量部、プロピレングリコール0.60質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、190℃で30分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、二酸化ケイ素(商品名:アエロジル200、日本アエロジル製)0.3質量部を均一に添加し吸水性樹脂(2-5)を得た。吸水性樹脂(2-5)のCRCは35.1(g/g)、AAP0.3は29.1(g/g)、YI値は15.21であった。
[実施例2-6]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.79g、前記実施例1-2で得られた可溶化ポリマー(1-2)水溶液(固形分濃度9.03質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-6)を取り出した。得られた含水ゲル(2-6)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-6)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-6)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-6)100質量部に対して、エチレンカーボネート0.30質量部、プロピレングリコール0.50質量部および脱イオン水2.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、200℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水0.5質量部、ポリエチレングリコール(平均分子量400)0.05質量部からなる水溶液を均一に混合し、さらにジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部、27.5質量%硫酸アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)0.6質量部、60質量%乳酸ナトリウム水溶液0.1質量部、プロピレングリコール0.02質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き750μmのJIS標準篩で分級し、吸水性樹脂(2-6)を得た。吸水性樹脂(2-6)のCRCは33.5(g/g)、AAP0.3は32.8(g/g)、YI値は15.44であった。
[実施例2-7]
可溶化ポリマー、表面架橋剤溶液および表面架橋後の添加剤を変更したこと以外は、実施例2-1と同様の操作を行った。具体的には、反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水26.0g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、前記実施例1-3で得られた可溶化ポリマー(1-3)水溶液(固形分濃度9.05質量%)151.2gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(2-7)を取り出した。得られた含水ゲル(2-7)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(2-7)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(2-7)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(2-7)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.040質量部、プロピレングリコール2.45質量部、脱イオン水3.55質量部および硫酸アルミニウム14~18水和物0.75質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で30分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸・3ナトリウム(DTPA・3Na)0.03質量部およびポリエチレングリコール600(商品名:PEG-600、三洋化成工業株式会社製)0.1質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き850μmのJIS標準篩で分級し、吸水性樹脂(2-7)を得た。吸水性樹脂(2-7)のCRCは47.7(g/g)、AAP0.3は26.1(g/g)、YI値は14.96であった。
[比較例2-1]
反応容器に、アクリル酸90.2g、イオン交換水46.9g、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)0.36g、前記比較例1-4で得られた可溶化ポリマー(C1-4)溶液(固形分濃度9.45質量%)130.3gを加えて撹拌した。次いで、反応容器を氷浴に浸漬し、反応液の温度が30℃を超えないように撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(固形分濃度48.5質量%)75.33gを少量ずつ加え、その後、30分間、反応液について窒素ガス置換をおこなった。
続いて、前記反応容器を50℃の温水浴に浸漬し、反応液を撹拌しながら、反応液の温度が30℃になった時点で、過硫酸ナトリウム0.167gおよびL-アスコルビン酸0.0007gを添加したところ、凡そ10分後に重合が開始した。その後、温水浴に浸漬したまま重合を継続し、重合を開始して60分経過後に含水ゲル(C2-1)を取り出した。得られた含水ゲル(C2-1)をダイス径7.5mmのミートチョッパーで粉砕した後、190℃で20分間、熱風乾燥した。次いで、振動ミルを用いて乾燥重合体を粉砕し、さらに目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂前駆体(C2-1)を得た。当該吸水性樹脂前駆体(C2-1)の質量平均粒子径は350μmであった。
得られた吸水性樹脂前駆体(C2-1)100質量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.030質量部、プロピレングリコール1.0質量部および脱イオン水3.0質量部からなる表面架橋剤溶液を均一に混合し、100℃で45分間加熱処理を行った。その後冷却を行い、脱イオン水1質量部、ジエチレントリアミン5酢酸3ナトリウム0.01質量部からなる水溶液を均一に混合した。60℃で1時間乾燥した後、目開き710μmのJIS標準篩で分級し、ハイドロタルサイト(製品名:DHT-6、協和化学工業株式会社製、MgAl(OH)16CO・4HO、体積平均粒子径0.5μm)0.3質量部を均一に混合することで、吸水性樹脂(C2-1)を得た。吸水性樹脂(C2-1)のCRCは46.7(g/g)、AAP0.3は26.2(g/g)、YI値は48.93であった。
実施例および比較例で得られた可溶化ポリマーを原料の一部に用いた吸水性樹脂について、吸水物性、色調の評価結果を表3に示す。
Figure 2024068208000003
表3より、実施例2-1~2-7の吸水性樹脂は、CRC、AAP0.3に優れ、着色も少ない優れた吸水性樹脂であった。一方、比較例2-1の吸水性樹脂は吸水物性が優れているものの、着色が非常に大きい吸水性樹脂であった。
一例として、可溶化ポリマーのみを変更して作製された比較例2-1の吸水性樹脂と実施例2-1の吸水性樹脂とを対比すると、過酸化物ではない分解剤を多量に使用して得られた可溶化ポリマー(C1-4)は、可溶化ポリマーの着色が大きく増加してしまっている。そして、当該可溶化ポリマー(C1-4)を原料とする吸水性樹脂の着色も大きくなっていることから、可溶化ポリマー(C1-4)は、吸水性樹脂の原料として不適合であることが分かる。
本発明の一態様によれば、吸水性樹脂を分解、可溶化させる技術において、多量の分解剤を使用することなく短時間で吸水性樹脂を分解することができる可溶化ポリマーの製造方法(吸水性樹脂の可溶化方法)を提供することができる。また、本発明の他の態様によれば、可溶化ポリマーを原料の一部として用いて吸水性樹脂を製造した際に、着色の少ない吸水性樹脂の製造方法を提供することができる。前記可溶化方法により得られた可溶化ポリマーおよび前記製造方法により得られた吸水性樹脂は、種々の用途、特に、紙オムツや生理用ナプキン、成人向け失禁用製品等の衛生用品用のリサイクル吸水性樹脂の原料として、好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 回収吸水性樹脂を分解して可溶化ポリマーを製造する可溶化ポリマーの製造方法であって、
    回収吸水性樹脂100質量部、
    水66質量部以上1900質量部以下、および
    過酸化物(ただし、過硫酸塩を除く)0.1質量部以上50質量部以下を混合して混合物を調製することを含み、
    前記混合物のpHが6.5以上8.5以下である、可溶化ポリマーの製造方法。
  2. 前記可溶化ポリマーの重量平均分子量(Mw)が10,000以上1,000,000以下である、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  3. 前記混合物を50℃以上130℃以下に加熱することをさらに含む、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  4. 前記混合物は、前記回収吸水性樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上50質量部以下の還元剤をさらに含む、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  5. 前記還元剤が、アスコルビン酸(塩)および/またはその誘導体、亜硫酸水素(塩)ならびに、亜硫酸(塩)からなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  6. 前記混合物は、前記回収吸水性樹脂100質量部に対し、1.0×10-6モル以上1モル以下の遷移金属イオンをさらに含む、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  7. 前記混合物に含まれる前記回収吸水性樹脂を分解する前および/または前記混合物に含まれる前記回収吸水性樹脂の分解が開始されてから分解が終了するまでの間に、前記回収吸水性樹脂にせん断力を加え、前記回収吸水性樹脂を粉砕して小粒径化することをさらに含む、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  8. 前記小粒径化された回収吸水性樹脂は、
    乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が20μm以上160μm以下である、および/または
    乾燥物として換算して得られた質量平均粒子径が80μm以下である粒子の質量比率が40質量%以上である、請求項7に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  9. 前記回収吸水性樹脂が、使用済み吸収性物品から回収された使用済み吸水性樹脂である、請求項1に記載の可溶化ポリマーの製造方法。
  10. 前記可溶化ポリマーを原料の一部として用いる吸水性樹脂の製造方法であって、
    一以上の工程において、請求項1から9のいずれか1項に記載の製造方法により得られた可溶化ポリマーまたはその水溶液を添加することを含む、吸水性樹脂の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法で得られた吸水性樹脂を用いる、吸収性物品の製造方法。
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