JP2024067758A - 画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラム - Google Patents

Abstract

【課題】副走査方向に並べて設置された複数のキャリッジの取り付けのばらつきによるインクの着弾位置のずれを解消することができる画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムを提供する。【解決手段】液体吐出ヘッドを搭載した複数のキャリッジを備えた画像形成装置であって、搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、分割印刷データとして分割された場合における分割印刷データを取得する取得部と、分割印刷データにおいて、キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらしたノズル列の長さのデータ部分を、印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、印刷対象のデータ部分を用いて、液体吐出ヘッドの吐出制御を行う吐出制御部と、印刷対象のデータ部分に基づいて、キャリッジの移動を制御する移動制御部と、を備える。【選択図】図４

Description

本発明は、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムに関する。

画像形成装置であるインクジェットプリンタによって形成される印刷画像は、ノズル列からインクを吐出して形成された多数のドット列から構成される。このため、印刷媒体上におけるインクの着弾位置であるドットの形成位置が、所定の目標位置からずれている場合には、用紙等の記録媒体上に綺麗な印刷画像を描くことができない。特に、液体吐出ヘッドを搭載したキャリッジが副走査方向に複数配置されているインクジェットプリンタの場合には、各キャリッジが正確に設計位置に配置されていない場合、キャリッジ同士の間でドット列の形成位置の整合を欠くことになり、これらすべてのキャリッジを用いて１つの印刷画像を形成した場合に、綺麗な印刷画像が得られない。このため、このようなキャリッジをインクジェットプリンタに設置する際には、細心の注意を払いながら、キャリッジを設計位置に調整して取り付けることが必要である。しかしながら、治具等を使用した場合でも、一定程度の取り付け精度の範囲内に収めることはできるが、この精度のばらつきを０とすることはできない。

一方、従来のインクジェットプリンタで副走査方向のドットの形成位置を調整する場合には、記録媒体の搬送距離を調整することにより、ドットの形成位置の調整を実現できる。しかし、複数のキャリッジが副走査方向に並設された構成で印刷を行うインクジェットプリンタの場合には、搬送機構が同一であるため、記録媒体の搬送距離を調整する方法では、すべてのキャリッジからのインクの吐出によるドットの形成位置に対して調整結果が反映されることになる。そのため、調整の必要がないキャリッジからのインクの吐出によるドットの形成位置も、その調整により影響されてしまうため着弾位置はずれてしまうため、記録媒体の搬送距離を調整することによるドットの形成位置の調整を実行することができない、という問題がある。

走査方向についての読み取りむらを容易に抑制することのできる画像形成装置および白補正方法を提供するために、メディア幅のインクジェットヘッドのユニットに撮像センサを取り付けて、撮像センサからの撮像結果に基づいて、液体吐出ヘッドに印加する電圧を調整する構成が開示されている（例えば特許文献１参照）。

しかしながら、特許文献１に記載された技術では、独立して駆動するキャリッジを副走査方向に複数配置してシリアル方式で印刷を実行するインクジェットプリンタにおいて、副走査方向に着弾位置のずれが発生している場合には、液体吐出ヘッドに印可する電圧を調整しても、キャリッジ走査方向である主走査方向に対しての調整は可能であるが、記録媒体の搬送方向である副走査方向に対しての調整はできないため、副走査方向でのインクの着弾位置のずれを解消することができないという問題がある。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、副走査方向に並べて設置された複数のキャリッジの取り付けのばらつきによるインクの着弾位置のずれを解消することができる画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置であって、前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御部と、前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御部と、を備えたことを特徴とする。

本発明によれば、副走査方向に並べて設置された複数のキャリッジの取り付けのばらつきによるインクの着弾位置のずれを解消することができる。

図１は、実施形態に係る画像形成システムの画像形成装置の要部構成の一例を示す図である。 図２は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 図３は、実施形態に係るＰＣのハードウェア構成の一例を示す図である。 図４は、実施形態に係る画像形成システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。 図５は、液体吐出ヘッドの副走査方向におけるインクの着弾位置にずれがない場合の動作を説明する図である。 図６は、液体吐出ヘッドの副走査方向におけるインクの着弾位置にずれがある場合の動作を説明する図である。 図７は、実施形態に係る画像形成システムの全体動作の流れの一例を示すフローチャートである。

以下に、図面を参照しながら、本発明に係る画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。

また、コンピュータソフトウェアとは、コンピュータの動作に関するプログラム、その他コンピュータによる処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものをいう（以下、コンピュータソフトウェアは、ソフトウェアという）。アプリケーションソフトとは、ソフトウェアの分類のうち、特定の作業を行うために使用されるソフトウェアの総称である。一方、オペレーティングシステム（ＯＳ）とは、コンピュータを制御し、アプリケーションソフト等がコンピュータ資源を利用可能にするためのソフトウェアのことである。オペレーティングシステムは、入出力の制御、メモリやハードディスク等のハードウェアの管理、プロセスの管理といった、コンピュータの基本的な管理・制御を行っている。アプリケーションソフトウェアは、オペレーティングシステムが提供する機能を利用して動作する。プログラムとは、コンピュータに対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。また、プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造（データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造）がプログラムに準ずるものに該当する。

（画像形成システムの画像形成装置の要部構成）
図１は、実施形態に係る画像形成システムの画像形成装置の要部構成の一例を示す図である。図１を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム１の要部構成について説明する。

図１に示すように、画像形成システム１は、画像形成装置１０と、ＰＣ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｃｏｍｐｕｔｅｒ）２０と、を含む。

画像形成装置１０は、複数のキャリッジを搭載し、各キャリッジに備えられた液体吐出ヘッドによりインクを吐出して用紙等の記録媒体に画像を形成するシリアル方式の画像形成装置である。画像形成装置１０は、図１に示すように、キャリッジ１５Ｕと、キャリッジ１５Ｄと、を備えている。

キャリッジ１５Ｕは、記録媒体Ｐの搬送方向（副走査方向）を示す矢印Ｂと直交する矢印Ａ１が示す主走査方向に往復移動することにより、液体吐出ヘッド１６Ｕから吐出されるインクの着弾位置を変更する部材である。キャリッジ１５Ｕは、１以上の液体吐出ヘッド１６Ｕを搭載している。キャリッジ１５Ｕは、副走査方向において、キャリッジ１５Ｄに対して上流側に設置されている。

液体吐出ヘッド１６Ｕは、後述するように、インクが吐出される複数のノズルが副走査方向に並んで構成されたノズル列が形成されている。

キャリッジ１５Ｄは、記録媒体Ｐの搬送方向（副走査方向）を示す矢印Ｂと直交する矢印Ａ２が示す主走査方向に往復移動することにより、液体吐出ヘッド１６Ｄから吐出されるインクの着弾位置を変更する部材である。キャリッジ１５Ｄは、１以上の液体吐出ヘッド１６Ｄを搭載している。キャリッジ１５Ｄは、副走査方向において、キャリッジ１５Ｄに対して上流側に設置されている。

なお、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕが吐出するインクの種類と、キャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄが吐出するインクの種類とは、それぞれ異なるインクとしてもよい。例えば、キャリッジ１５Ｕは、Ｃ（シアン）、Ｍ（マゼンタ）、Ｙ（イエロー）、Ｋ（ブラック）等のインクで画像形成し、キャリッジ１５Ｄは、白インク、メタリック色および蛍光色等の特色のインク等で画像形成するものとしてもよい。また、液体吐出ヘッド１６Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｄのうち、いずれか一方を無彩色のインクの吐出を行い、他方を有彩色のインクの吐出を行うものとしてもよい。

また、図１に示す画像形成システム１は、キャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの２つのキャリッジを備えているものとしたが、これに限定されるものではなく、３つ以上のキャリッジを備えているものとしてもよい。

ＰＣ２０は、画像形成装置１０に対して印刷対象となる印刷データを送信する情報処理装置である。本実施形態では、ＰＣ２０は、印刷データを、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕ、およびキャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄのそれぞれに対応するデータに分割した上で、画像形成装置１０へ送信する。ここで、画像形成装置１０が印刷データを分割したデータを、「分割印刷データ」と称する場合がある。

なお、ＰＣ２０は印刷データを画像形成装置１０へ送信する情報処理装置として、ＰＣであることに限定されず、スマートフォン、タブレット端末、ワークステーション等の情報処理装置であってもよい。

（画像形成装置のハードウェア構成）
図２は、実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図２を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置１０のハードウェア構成について説明する。

図２に示すように、画像形成装置１０は、制御部１００と、操作パネル１２０と、センサ１３０と、ヘッドドライバ１４０Ｕと、ヘッドドライバ１４０Ｄと、主走査モータ１７Ｕと、主走査モータ１７Ｄと、副走査モータ１５０と、搬送ローラ１６０と、を有する。

制御部１００は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）１０１と、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）１０２と、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）１０３と、ＮＶＲＡＭ（Ｎｏｎ－Ｖｏｌａｔｉｌｅ ＲＡＭ）１０４と、ＡＳＩＣ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ Ｓｐｅｃｉｆｉｃ Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ Ｃｉｒｃｕｉｔ）１０５と、印刷制御部１０６Ｕと、印刷制御部１０６Ｄと、主走査モータ駆動部１０７Ｕと、主走査モータ駆動部１０７Ｄと、Ｉ／Ｏ１０８と、通信Ｉ／Ｆ１０９と、副走査モータ駆動部１１０と、を備えている。

ＣＰＵ１０１は、画像形成装置１０全体の制御を行う演算装置である。ＲＯＭ１０２は、ＣＰＵ１０１が実行するプログラム等の固定データを記憶する不揮発性記憶装置である。ＲＡＭ１０３は、ＣＰＵ１０１による演算処理のワークエリアとなる揮発性記憶装置である。また、ＲＡＭ１０３は、画像データ等を一時的に記憶する。

ＮＶＲＡＭ１０４は、画像形成装置１０の電源が遮断されている間もデータおよびプログラム等を保持する不揮発性記憶装置である。

ＡＳＩＣ１０５は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理、その他の画像形成装置１０全体を制御するための入出力信号を処理する集積回路である。

印刷制御部１０６Ｕは、ＣＰＵ１０１による制御に従って、ヘッドドライバ１４０Ｕを介して液体吐出ヘッド１６Ｕの吐出動作を制御する制御回路である。印刷制御部１０６Ｕは、液体吐出ヘッド１６Ｕを駆動するためのデータをヘッドドライバ１４０Ｕへ転送する。例えば、印刷制御部１０６Ｕは、画像データをシリアルデータで転送すると共に、画像データの転送に要する転送クロック、ラッチ信号、制御信号等をヘッドドライバ１４０Ｕに出力する。ヘッドドライバ１４０Ｕは、シリアルに入力される液体吐出ヘッド１６Ｕの一行分に相当する画像データに基づいて、印刷制御部１０６Ｕから受信した駆動波形を構成する駆動パルスを、液体吐出ヘッド１６Ｕの圧力発生手段に対して選択的に与えることにより、液体吐出ヘッド１６Ｕを駆動してインクを吐出させる。当該画像データについては、上述のＰＣ２０により分割された分割印刷データに基づくものであるが、詳細については後述する。

印刷制御部１０６Ｄは、ＣＰＵ１０１による制御に従って、ヘッドドライバ１４０Ｄを介して液体吐出ヘッド１６Ｄの吐出動作を制御する制御回路である。印刷制御部１０６Ｄは、液体吐出ヘッド１６Ｄを駆動するためのデータをヘッドドライバ１４０Ｄへ転送する。例えば、印刷制御部１０６Ｄは、画像データをシリアルデータで転送すると共に、画像データの転送に要する転送クロック、ラッチ信号、制御信号等をヘッドドライバ１４０Ｄに出力する。ヘッドドライバ１４０Ｄは、シリアルに入力される液体吐出ヘッド１６Ｄの一行分に相当する画像データに基づいて、印刷制御部１０６Ｄから受信した駆動波形を構成する駆動パルスを、液体吐出ヘッド１６Ｕの圧力発生手段に対して選択的に与えることにより、液体吐出ヘッド１６Ｕを駆動してインクを吐出させる。当該画像データについては、上述のＰＣ２０により分割された分割印刷データに基づくものであるが、詳細については後述する。

主走査モータ駆動部１０７Ｕは、ＣＰＵ１０１による制御に従って、主走査モータ１７Ｕの動作を制御する駆動回路である。主走査モータ１７Ｕは、主走査モータ駆動部１０７Ｕによる制御に従って、キャリッジ１５Ｕを主走査方向に移動させるモータ装置である。

主走査モータ駆動部１０７Ｄは、ＣＰＵ１０１による制御に従って、主走査モータ１７Ｄの動作を制御する駆動回路である。主走査モータ１７Ｄは、主走査モータ駆動部１０７Ｄによる制御に従って、キャリッジ１５Ｄを主走査方向に移動させるモータ装置である。

Ｉ／Ｏ１０８は、センサ１３０からの情報を取得し、画像形成装置１０の各部の制御に利用される情報を抽出するためのインターフェース回路である。センサ１３０は、例えば、記録媒体Ｐに形成された印刷画像を読み取る光学センサ、および印字中のヒータの温度を検出する温度センサ等である。

通信Ｉ／Ｆ１０９は、ＰＣ２０との間でデータおよび信号の送受信を行うインターフェース回路である。具体的には、通信Ｉ／Ｆ１０９は、ＰＣ２０からケーブルまたはネットワークを介してデータや信号の送受信を行う。通信Ｉ／Ｆ１０９がネットワークを介してＰＣ２０と通信する場合、例えば、ＴＣＰ（Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ Ｃｏｎｔｒｏｌ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）／ＩＰ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ）に準拠しているものとすればよい。通信Ｉ／Ｆ１０９の受信バッファに格納された印刷データ（分割印刷データ）は、ＣＰＵ１０１によって解析され、ＡＳＩＣ１０５によって画像処理およびデータの並び替え処理等が行われ、印刷制御部１０６Ｕおよび印刷制御部１０６Ｄによって吐出データとしてそれぞれヘッドドライバ１４０Ｕおよびヘッドドライバ１４０Ｄに転送される。

副走査モータ駆動部１１０は、ＣＰＵ１０１による制御に従って、副走査モータ１５０の動作を制御する駆動回路である。副走査モータ１５０は、副走査モータ駆動部１１０による制御に従って、搬送ローラ１６０を回転させて記録媒体Ｐを副走査方向に搬送させるモータ装置である。搬送ローラ１６０は、副走査モータ１５０の回転駆動により回転し、記録媒体Ｐを搬送路に沿って副走査方向に搬送させるモーラ部材である。

操作パネル１２０は、各種情報の入力および出力を行うタッチパネル等の装置である。

なお、図２に示した画像形成装置１０のハードウェア構成は一例を示すものであり、図２に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。

（ＰＣのハードウェア構成）
図３は、実施形態に係るＰＣのハードウェア構成の一例を示す図である。図３を参照しながら、本実施形態に係るＰＣ２０のハードウェア構成について説明する。

図３に示すように、ＰＣ２０は、ＣＰＵ２０１と、ＲＯＭ２０２と、ＲＡＭ２０３と、補助記憶装置２０５と、メディアドライブ２０７と、ディスプレイ２０８と、ネットワークＩ／Ｆ２０９と、キーボード２１１と、マウス２１２と、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）ドライブ２１４と、を備えている。

ＣＰＵ２０１は、ＰＣ２０全体の動作を制御する演算装置である。ＲＯＭ２０２は、ＰＣ２０用のプログラムを記憶している不揮発性記憶装置である。ＲＡＭ２０３は、ＣＰＵ２０１のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。

補助記憶装置２０５は、印刷データ等の各種データおよびプログラム等を記憶するＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）またはＳＳＤ（Ｓｏｌｉｄ Ｓｔａｔｅ Ｄｒｉｖｅ）等の記憶装置である。

メディアドライブ２０７は、ＣＰＵ２０１の制御に従って、フラッシュメモリ等の記録メディア２０６に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。

ディスプレイ２０８は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示する液晶または有機ＥＬ（Ｅｌｅｃｔｒｏ Ｌｕｍｉｎｅｓｃｅｎｃｅ）等によって構成された表示装置である。

ネットワークＩ／Ｆ２０９は、ネットワークを利用して画像形成装置１０とデータを通信するためのインターフェースである。ネットワークＩ／Ｆ２０９は、例えば、イーサネット（登録商標）に対応し、ＴＣＰ／ＩＰ等に準拠した通信が可能なＮＩＣ（Ｎｅｔｗｏｒｋ Ｉｎｔｅｒｆａｃｅ Ｃａｒｄ）等である。

キーボード２１１は、文字、数字、各種指示の選択、およびカーソルの移動等を行う入力装置である。マウス２１２は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択、ならびにカーソルの移動等を行うための入力装置である。

ＤＶＤドライブ２１４は、着脱自在な記憶媒体の一例としてのＤＶＤ－ＲＯＭまたはＤＶＤ－Ｒ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｋ Ｒｅｃｏｒｄａｂｌｅ）等のＤＶＤ２１３に対するデータの読み出しおよび書き込みを制御する装置である。

上述のＣＰＵ２０１、ＲＯＭ２０２、ＲＡＭ２０３、補助記憶装置２０５、メディアドライブ２０７、ディスプレイ２０８、ネットワークＩ／Ｆ２０９、キーボード２１１、マウス２１２およびＤＶＤドライブ２１４は、アドレスバスおよびデータバス等のバス２１０によって互いに通信可能に接続されている。

なお、図３に示したＰＣ２０のハードウェア構成は一例を示すものであり、図３に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。

（画像形成システムの機能ブロックの構成および動作）
図４は、実施形態に係る画像形成システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。図５は、液体吐出ヘッドの副走査方向におけるインクの着弾位置にずれがない場合の動作を説明する図である。図６は、液体吐出ヘッドの副走査方向におけるインクの着弾位置にずれがある場合の動作を説明する図である。図４～図６を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム１の機能ブロックの構成について説明する。

図４に示すように、ＰＣ２０は、通信部６０１と、分割部６０２と、印刷データ送信部６０３と、を有する。

通信部６０１は、画像形成装置１０との間でデータ通信を行う機能部である。通信部６０１は、図３に示すネットワークＩ／Ｆ２０９によって実現される。

分割部６０２は、印刷対象となる印刷データを分割して、複数の分割印刷データとする機能部である。分割部６０２は、印刷データを、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕ、およびキャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄのそれぞれのノズル列に割り当てるための分割印刷データに分割する。

ここで、液体吐出ヘッド１６Ｄを例にして、液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル構成と、液体吐出ヘッド１６Ｄに割り当てられる分割印刷データについて、図５を参照しながら説明する。液体吐出ヘッド１６Ｄは、図５（ａ）に示すように、例えば、ノズルＮ１～Ｎ１００のように、１００個のノズルを有しているものとする。図５では、下から上に向かう方向を副走査方向とする。ノズルＮ１～Ｎ１００は、図５（ａ）に示すように、副走査方向に並んで形成されている。なお、図５（ａ）に示す例では、ノズルＮ１～Ｎ１００は、副走査方向に沿ってジグザグ状に配置しているが、これに限定されるものではなく、例えば、副走査方向に沿って直線状に配置されるものとしてもよい。

また、図５（ｂ）には、印刷データの画素構成の一部を示している。図５（ｂ）では、便宜的に印刷データにおいて主走査方向に対応する方向の画素列それぞれに番号を振っている。そして、図５（ｂ）に示す印刷対象部分ＰＰは、あるキャリッジ１５Ｄの主走査方向の走査において液体吐出ヘッド１６Ｄのインクの吐出動作に使用する印刷データの１００の画素列（番号「１０１」～「２００」の画素列）で構成されるデータ部分示す。すなわち、液体吐出ヘッド１６Ｄは、ノズルＮ１で番号「１０１」の画素列のデータ部分、ノズルＮ２で番号「１０２」の画素列のデータ部分、…、ノズルＮ１００で番号「２００」の画素列のデータ部分によって、インクを吐出する。そして、キャリッジ１５Ｕの次の走査では、液体吐出ヘッド１６Ｄは、ノズルＮ１で番号「２０１」の画素列のデータ部分、ノズルＮ２で番号「２０２」の画素列のデータ部分、…、ノズルＮ１００で番号「３００」の画素列のデータ部分によって、インクを吐出する。液体吐出ヘッド１６Ｄは、このような動作を印刷データの全体について画像形成されるまで繰り返す。なお、副走査方向の上流側に配置された液体吐出ヘッド１６Ｕの動作についても、上記の液体吐出ヘッド１６Ｄの動作と同様である。

なお、図５（ｂ）に示した印刷データの画素構成は一例であり、他の画素構成であってもよい。また、図５（ａ）に示したノズルの個数は１００としているが、これに限定されるものではない。

これによって、副走査方向の下流側に配置されたキャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄと、上流側に配置されたキャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕとにより、副走査方向のインクの着弾位置が重なることによって、記録媒体Ｐにおいて狙い通りの綺麗な印刷画像が形成される。すなわち、分割部６０２は、理想的には、印刷データを、図５（ｂ）に示す印刷対象部分ＰＰのように１００の画素列に対応するデータ部分ごとに分割して、分割印刷データとすればよいことになる。しかし、本実施形態に係る画像形成装置１０のように、複数のキャリッジ（キャリッジ１５Ｕ、１５Ｄ）が搭載される画像形成装置においては、各キャリッジが正確に設計位置に配置されていない場合、キャリッジ同士の間でドット列の形成位置の整合を欠くことになり、これらすべてのキャリッジを用いて１つの印刷画像を形成した場合に、綺麗な印刷画像が得られない。例えば、キャリッジ１５Ｄの設置位置が、副走査方向の下流側に液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル３個分だけ目標位置からずれて取り付けられた場合、図５に示したように、液体吐出ヘッド１６Ｄによって、印刷データにおける番号「１０１」～「２００」の画素列に対応するデータ部分を用いてインクの吐出が行われると、記録媒体Ｐには３画素分だけ下流側にずれた印刷画像が形成されてしまう。この場合、液体吐出ヘッド１６Ｄにより形成された印刷画像は、液体吐出ヘッド１６Ｕによって形成された印刷画像と３画素分ずれた状態で重なることになり、綺麗な印刷画像が得られなくなる。

そこで、本実施形態では、予めキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置の、目標位置からのずれを把握しておき、液体吐出ヘッド１６Ｄは、当該ずれを加味した分割印刷データのデータ部分を用いてインクの吐出動作を行う。例えば、図６（ａ）に示す液体吐出ヘッド１６Ｄを搭載したキャリッジ１５Ｄの設置位置が、上述のように、副走査方向の下流側に液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル３個分だけずれて取り付けられた場合を想定する。この場合、液体吐出ヘッド１６Ｄは、印刷データのうち、図５（ｂ）の印刷対象部分ＰＰと比べて副走査方向の下流側に３画素分ずらした、図６（ｂ）に示す印刷対象部分ＰＰを用いて、インクの吐出を行う。すなわち、液体吐出ヘッド１６Ｄは、ノズルＮ１で番号「９８」の画素列のデータ部分、ノズルＮ２で番号「９９」の画素列のデータ部分、…、ノズルＮ１００で番号「１９７」の画素列のデータ部分によって、インクを吐出する。そして、キャリッジ１５Ｕの次の走査では、液体吐出ヘッド１６Ｄは、ノズルＮ１で番号「１９８」の画素列のデータ部分、ノズルＮ２で番号「１９９」の画素列のデータ部分、…、ノズルＮ１００で番号「２９７」の画素列のデータ部分によって、インクを吐出する。液体吐出ヘッド１６Ｄは、このような動作を印刷データの全体について画像形成されるまで繰り返す。

このように、キャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれに対応して、印刷データにおける当該ずれに対応する画素分だけずらしたデータ部分を用いて液体吐出ヘッド１６Ｄによりインクを吐出させることによって、キャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄと、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕとにより、副走査方向のインクの着弾位置を重ねることができ、記録媒体Ｐにおいて狙い通りの綺麗な印刷画像が形成される。

ただし、上述のように、分割部６０２が、印刷データを分割して、図５（ｂ）に示したような印刷対象部分ＰＰ（番号「１０１」～「２００」の画素列に対応するデータ部分）を分割印刷データとして、液体吐出ヘッド１６Ｄのインクの吐出に割り当てるものとしても、当該分割印刷データには、番号「９８」～「１００」に対応する画素列のデータ部分が含まれていないため、図６（ｂ）に示す印刷対象部分ＰＰによるインクの吐出を行うことができない。そこで、本実施形態では、分割部６０２は、印刷データを分割する場合に、画像形成装置１０側でキャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれに対応した画素分をずらしたデータ部分を特定して、当該特定したデータ部分を用いてインクの吐出が可能となるように、印刷データにおいて副走査方向に対応する方向の両側に冗長性を持たせた範囲となるように分割印刷データに分割する。すなわち、分割部６０２は、印刷データを、液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル列の長さに対応するデータ部分（図５の例では１００の画素列で構成されるデータ部分）を分割印刷データとして分割するのではなく、当該データ部分を副走査方向に対応する方向の両側に所定画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を分割印刷データとして分割する。例えば、キャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれの最大値が５つのノズル分（５つの画素分）と想定される場合、図５および図６に示す例において、分割部６０２は、印刷データを、…、番号「１０１」～「２００」の画素列に対応するデータ部分、番号「２０１」～「３００」の画素列に対応するデータ部分、…、のように分割するのではなく、…、番号「９６」～「２０５」の画素列に対応するデータ部分、番号「１９６」～「３０５」の画素列に対応するデータ部分、…、のように、副走査方向に対応する方向の両側に５画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を分割印刷データとして分割する。これによって、画像形成装置１０は、番号「９６」～「２０５」の画素列に対応するデータ部分を分割印刷データの１つとして受信した場合、上述のように、キャリッジ１５Ｄが副走査方向の下流側に液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル３個分だけずれて取り付けられた場合、当該分割印刷データから、番号「９８」～「１９７」に対応する画素列のデータ部分を特定して、液体吐出ヘッド１６Ｄに割り当てることができる。

なお、キャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれについては、特定の基準位置に対してのずれとして考えてもよく、キャリッジ１５Ｕの設置位置を基準にしたずれとして考えてもよい。また、上述のキャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれに対応するための分割部６０２による印刷データの分割処理、および液体吐出ヘッド１６Ｄに割り当てる分割印刷データのうちのデータ部分の特定動作については、キャリッジ１５Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｕについても適用することができる。

図４に戻り、説明を続ける。

印刷データ送信部６０３は、分割部６０２により分割された分割印刷データを、通信部６０１を介して画像形成装置１０へ送信する機能部である。

上述の分割部６０２および印刷データ送信部６０３は、例えば、図３に示したＣＰＵ２０１によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、ＦＰＧＡ（Ｆｉｅｌｄ－Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｇａｔｅ Ａｒｒａｙ）またはＡＳＩＣ等のハードウェア回路（集積回路）によって実現されてもよい。

なお、図４に示すＰＣ２０の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図４に示すＰＣ２０で独立した機能部として図示した複数の機能部を、１つの機能部として構成してもよい。一方、図４に示すＰＣ２０で１つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。

図４に示すように、画像形成装置１０は、通信部５０１と、印刷データ取得部５０２（取得部）と、特定部５０３と、吐出制御部５０４と、移動制御部５０５と、記憶部５０６と、を有する。

通信部５０１は、ＰＣ２０との間でデータ通信を行う機能部である。通信部５０１は、図２に示す通信Ｉ／Ｆ１０９によって実現される。

記憶部５０６は、上述のキャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれを示す情報を予め記憶しておく機能部である。ここで、キャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれがどれだけ発生しているかについては、例えば、事前にずれ確認用のチャートを印刷して確認することによって得るものとしてもよく、または、当該印刷したチャートを読み取る読取装置を画像形成装置１０が備えているものとし、当該読取装置により読み取られた読取データに基づいてどれだけずれがあるのかを自動的に得るものとしてもよい。そして、得られたキャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれを示す情報を、記憶部５０６に記憶しておく。なお、キャリッジ１５Ｕの副走査方向の設置位置を基準とした場合のキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれを考える場合、キャリッジ１５Ｄの当該ずれを示す情報のみを記憶部５０６に記憶しておけばよく、キャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置を基準とした場合のキャリッジ１５Ｕの副走査方向の設置位置のずれを考える場合、キャリッジ１５Ｕの当該ずれを示す情報のみを記憶部５０６に記憶しておけばよい。記憶部５０６は、図２に示すＲＡＭ１０３またはＮＶＲＡＭ１０４によって実現される。

印刷データ取得部５０２は、ＰＣ２０から分割印刷データを、通信部５０１を介して取得する機能部である。

特定部５０３は、記憶部５０６からキャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれを示す情報を読み出し、印刷データ取得部５０２により取得された各分割印刷データから、当該情報が示すずれに対応した画素分をずらしたデータ部分を特定する機能部である。これによって、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕによるインクの吐出に用いるデータ部分と、キャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄによるインクの吐出に用いるデータ部分とが得られる。

吐出制御部５０４は、特定部５０３により特定された液体吐出ヘッド１６Ｕに対応するデータ部分を用いて当該液体吐出ヘッド１６Ｕによるインクの吐出制御を行い、特定部５０３により特定された液体吐出ヘッド１６Ｄに対応するデータ部分を用いて当該液体吐出ヘッド１６Ｄによるインクの吐出制御を行う機能部である。この場合、吐出制御部５０４は、液体吐出ヘッド１６Ｕによるインクの吐出制御を、印刷制御部１０６Ｕを介して行い、液体吐出ヘッド１６Ｄによるインクの吐出制御を、印刷制御部１０６Ｄを介して行う。

移動制御部５０５は、吐出制御部５０４による液体吐出ヘッド１６Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｄの吐出制御に応じて、キャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの主走査方向の移動動作を制御する機能部である。また、移動制御部５０５は、特定部５０３により特定されたデータ部分に基づいて、キャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの主走査方向の移動動作を制御する。この場合、移動制御部５０５は、キャリッジ１５Ｕの主走査方向の移動動作の制御を、主走査モータ駆動部１０７Ｕを介して行い、キャリッジ１５Ｄの主走査方向の移動動作の制御を、主走査モータ駆動部１０７Ｄを介して行う。

上述の印刷データ取得部５０２、特定部５０３、吐出制御部５０４および移動制御部５０５は、例えば、図２に示したＣＰＵ１０１によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部の一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、ＦＰＧＡまたはＡＳＩＣ等のハードウェア回路（集積回路）によって実現されてもよい。

なお、図４に示す画像形成装置１０の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、図４に示す画像形成装置１０で独立した機能部として図示した複数の機能部を、１つの機能部として構成してもよい。一方、図４に示す画像形成装置１０で１つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。

また、画像形成装置１０の機能部のうち一部がＰＣ２０側で実現されるものとしてもよく、ＰＣ２０の機能部のうち一部が画像形成装置１０側で実現されるものとしてもよい。例えば、ＰＣ２０の分割部６０２による印刷データの分割動作は、画像形成装置１０で行われるものとしてもよい。また、例えば、画像形成装置１０の特定部５０３による分割印刷データに対するデータ部分の特定動作は、ＰＣ２０で行われるものとしてもよい。

（画像形成システムの全体動作の流れ）
図７は、実施形態に係る画像形成システムの全体動作の流れの一例を示すフローチャートである。図７を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システム１の全体動作の流れについて説明する。

＜ステップＳ１１＞
ＰＣ２０の分割部６０２は、印刷データを、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕ、およびキャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄのそれぞれのノズル列に割り当てるための分割印刷データに分割する。この場合、分割部６０２は、印刷データを分割する場合に、画像形成装置１０側でキャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの設置位置の副走査方向のずれに対応した画素分をずらしたデータ部分を特定して、当該特定したデータ部分を用いてインクの吐出が可能となるように、印刷データにおいて副走査方向に対応する方向の両側に冗長性を持たせた範囲となるように分割印刷データに分割する。すなわち、分割部６０２は、印刷データを、液体吐出ヘッド１６Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｄのノズル列の長さに対応するデータ部分を副走査方向に対応する方向の両側に所定画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を、分割印刷データとして分割する。そして、ステップＳ１２へ移行する。

＜ステップＳ１２＞
ＰＣ２０の印刷データ送信部６０３は、分割部６０２により分割された分割印刷データを、通信部６０１を介して画像形成装置１０へ送信する。そして、ステップＳ１３へ移行する。

＜ステップＳ１３＞
画像形成装置１０の印刷データ取得部５０２は、ＰＣ２０から分割印刷データを、通信部５０１を介して取得する。そして、ステップＳ１４へ移行する。

＜ステップＳ１４＞
画像形成装置１０の特定部５０３は、記憶部５０６からキャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの副走査方向の設置位置のずれを示す情報を読み出し、印刷データ取得部５０２により取得された各分割印刷データから、当該情報が示すずれに対応した画素分をずらしたデータ部分を、液体吐出ヘッド１６Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｄのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する。これによって、キャリッジ１５Ｕの液体吐出ヘッド１６Ｕによるインクの吐出に用いるデータ部分と、キャリッジ１５Ｄの液体吐出ヘッド１６Ｄによるインクの吐出に用いるデータ部分とが得られる。そして、ステップＳ１５へ移行する。

＜ステップＳ１５＞
画像形成装置１０の吐出制御部５０４は、特定部５０３により特定された液体吐出ヘッド１６Ｕに対応するデータ部分を用いて当該液体吐出ヘッド１６Ｕによるインクの吐出制御を行い、特定部５０３により特定された液体吐出ヘッド１６Ｄに対応するデータ部分を用いて当該液体吐出ヘッド１６Ｄによるインクの吐出制御を行い、記録媒体Ｐへの印刷を実行する。この際、画像形成装置１０の移動制御部５０５は、吐出制御部５０４による液体吐出ヘッド１６Ｕおよび液体吐出ヘッド１６Ｄの吐出制御に応じて、キャリッジ１５Ｕおよびキャリッジ１５Ｄの主走査方向の移動動作を制御する。

なお、ステップＳ１１における印刷データの分割後は、印刷データ全体の印刷処理が終了するまでステップＳ１２～Ｓ１５が繰り返される。

以上のように、本実施形態に係る画像形成装置１０では、１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置として、印刷データ取得部５０２は、液体吐出ヘッド１６Ｄ（１６Ｕ）における記録媒体Ｐの搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、印刷データから分割印刷データとして分割された場合における当該分割印刷データを取得し、特定部５０３は、印刷データ取得部５０２により取得された分割印刷データにおいて、搬送方向におけるキャリッジ１５Ｄ（１５Ｕ）の設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらしたノズル列の長さのデータ部分を、液体吐出ヘッド１６Ｄ（１６Ｕ）のインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定し、吐出制御部５０４は、特定部５０３により特定された印刷対象のデータ部分を用いて、記録媒体Ｐに対して液体吐出ヘッド１６Ｄ（１６Ｕ）のインクの吐出制御を行い、移動制御部５０５は、特定部５０３により特定された印刷対象のデータ部分に基づいて、キャリッジ１５Ｄ（１５Ｕ）の主走査方向における移動を制御するものとしている。より具体的には、印刷データ取得部５０２は、ノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から搬送方向に対応する方向の両側に所定画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を、印刷データから分割印刷データとして分割された場合における当該分割印刷データを取得するものとしている。これによって、副走査方向（搬送方向）に並べて設置された複数のキャリッジ（例えばキャリッジ１５Ｕ、１５Ｄ）の取り付けのばらつきによるインクの着弾位置のずれを解消することができる。

なお、上述の実施形態において、画像形成装置１０およびＰＣ２０の機能の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ＲＯＭ等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、画像形成装置１０およびＰＣ２０で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｃ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、フレキシブルディスク（ＦＤ）、ＣＤ－Ｒ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｋ－Ｒｅｃｏｒｄａｂｌｅ）、またはＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｃ）等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置１０およびＰＣ２０で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置１０およびＰＣ２０で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、画像形成装置１０およびＰＣ２０で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはＣＰＵが上述の記憶装置からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。

本発明の態様は、以下の通りである。
＜１＞１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置であって、
前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御部と、
前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御部と、
を備えた画像形成装置である。
＜２＞前記取得部は、前記ノズル列の長さに対応する前記印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向の両側に所定画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する前記＜１＞に記載の画像形成装置である。
＜３＞前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の前記目標位置からのずれを示す情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記特定部は、前記記憶部から前記ずれを示す情報を読み出し、前記分割印刷データから、該ずれを示す情報が示すずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記印刷対象のデータ部分として特定する前記＜１＞または＜２＞に記載の画像形成装置である。
＜４＞前記複数のキャリッジは、無彩色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッドを備えたキャリッジ、および、有彩色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッドを備えたキャリッジを含む前記＜１＞～＜３＞のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
＜５＞１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置を含む画像形成システムであって、
前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割する分割部と、
前記分割部により分割された前記分割印刷データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、
前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御部と、
前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御部と、
を含む画像形成システムである。
＜６＞前記分割部を備えた情報処理装置を、さらに含み、
前記画像形成装置は、前記取得部と、前記特定部と、前記吐出制御部と、前記移動制御部と、を備えた前記＜５＞に記載の画像形成システムである。
＜７＞１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置の画像形成方法であって、
前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得ステップと、
取得した前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定ステップと、
特定した前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御ステップと、
特定した前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御ステップと、
を有する画像形成方法である。
＜８＞１以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置を制御するコンピュータに、
前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得ステップと、
取得した前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定ステップと、
特定した前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御ステップと、
特定した前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御ステップと、
を実行させるためのプログラムである。

１ 画像形成システム
１０ 画像形成装置
１５Ｄ、１５Ｕ キャリッジ
１６Ｄ、１６Ｕ 液体吐出ヘッド
１７Ｄ、１７Ｕ 主走査モータ
２０ ＰＣ
１００ 制御部
１０１ ＣＰＵ
１０２ ＲＯＭ
１０３ ＲＡＭ
１０４ ＮＶＲＡＭ
１０５ ＡＳＩＣ
１０６Ｄ、１０６Ｕ 印刷制御部
１０７Ｄ、１０７Ｕ 主走査モータ駆動部
１０８ Ｉ／Ｏ
１０９ 通信Ｉ／Ｆ
１１０ 副走査モータ駆動部
１２０ 操作パネル
１３０ センサ
１４０Ｄ、１４０Ｕ ヘッドドライバ
１５０ 副走査モータ
１６０ 搬送ローラ
２０１ ＣＰＵ
２０２ ＲＯＭ
２０３ ＲＡＭ
２０５ 補助記憶装置
２０６ 記録メディア
２０７ メディアドライブ
２０８ ディスプレイ
２０９ ネットワークＩ／Ｆ
２１０ バス
２１１ キーボード
２１２ マウス
２１３ ＤＶＤ
２１４ ＤＶＤドライブ
５０１ 通信部
５０２ 印刷データ取得部
５０３ 特定部
５０４ 吐出制御部
５０５ 移動制御部
５０６ 記憶部
６０１ 通信部
６０２ 分割部
６０３ 印刷データ送信部
Ａ１、Ａ２、Ｂ 矢印
Ｎ１～Ｎ１００ ノズル
Ｐ 記録媒体
ＰＰ 印刷対象部分

特開２０２０－０６９６７０号公報

Claims (8)

1. １以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置であって、
   前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得部と、
   前記取得部により取得された前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、
   前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御部と、
   前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御部と、
   を備えた画像形成装置。
2. 前記取得部は、前記ノズル列の長さに対応する前記印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向の両側に所定画素分だけ拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する請求項１に記載の画像形成装置。
3. 前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の前記目標位置からのずれを示す情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
   前記特定部は、前記記憶部から前記ずれを示す情報を読み出し、前記分割印刷データから、該ずれを示す情報が示すずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記印刷対象のデータ部分として特定する請求項１に記載の画像形成装置。
4. 前記複数のキャリッジは、無彩色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッドを備えたキャリッジ、および、有彩色のインクを吐出する前記液体吐出ヘッドを備えたキャリッジを含む請求項１に記載の画像形成装置。
5. １以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置を含む画像形成システムであって、
   前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割する分割部と、
   前記分割部により分割された前記分割印刷データを取得する取得部と、
   前記取得部により取得された前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定部と、
   前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御部と、
   前記特定部により特定された前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御部と、
   を含む画像形成システム。
6. 前記分割部を備えた情報処理装置を、さらに含み、
   前記画像形成装置は、前記取得部と、前記特定部と、前記吐出制御部と、前記移動制御部と、を備えた請求項５に記載の画像形成システム。
7. １以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置の画像形成方法であって、
   前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得ステップと、
   取得した前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定ステップと、
   特定した前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御ステップと、
   特定した前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御ステップと、
   を有する画像形成方法。
8. １以上の液体吐出ヘッドをそれぞれ搭載した複数のキャリッジを備えたシリアル方式の画像形成装置を制御するコンピュータに、
   前記液体吐出ヘッドにおける記録媒体の搬送方向に並んだノズル列の長さに対応する印刷データにおけるデータ部分から前記搬送方向に対応する方向に拡張した大きさのデータ部分を、前記印刷データから分割印刷データとして分割された場合における該分割印刷データを取得する取得ステップと、
   取得した前記分割印刷データにおいて、前記搬送方向における前記キャリッジの設置位置の目標位置からのずれに対応した画素分をずらした前記ノズル列の長さのデータ部分を、前記液体吐出ヘッドのインクの吐出に用いる印刷対象のデータ部分として特定する特定ステップと、
   特定した前記印刷対象のデータ部分を用いて、前記記録媒体に対して前記液体吐出ヘッドのインクの吐出制御を行う吐出制御ステップと、
   特定した前記印刷対象のデータ部分に基づいて、前記キャリッジの主走査方向における移動を制御する移動制御ステップと、
   を実行させるためのプログラム。

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