JP2024067499A - 透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可撓性に優れつつ、透明導電層の表面抵抗を低くでき、かつ、カールを抑制することができる透明導電性フィルム、および、その透明導電性フィルムを製造する透明導電性フィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と、透明導電層3とを順に備える。ガラス基材2の厚みは、150μm以下である。透明導電層3は結晶性である。透明導電層3の表面抵抗値は、3Ω/□以下である。透明導電層3の残留応力は、-150MPa以上-15MPa以下、または、15MPa以上250MPa以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルムの製造方法に関し、詳しくは、光学用途に好適に用いられる透明導電性フィルム、および、その透明導電性フィルムの製造方法に関する。
従来から、インジウムスズ複合酸化物(ITO)からなる透明導電層を所望の電極パターンに形成した透明導電性フィルムは、例えば、タッチパネルの光学用途に用いられる。
このような透明導電性フィルムは、通常、基材と透明導電層とを順に備えている。
また、基材として、可撓性を向上させる観点から、薄ガラスを用いることが検討されている。
例えば、極薄ガラス透明基板と、透明導電性酸化物層とを備える透明積層基材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、薄ガラスは、高分子フィルムに比べて、耐熱性に優れる。そのため、薄ガラスの温度を予め上昇させてから、透明導電層を成膜することにより、成膜と同時に透明導電層を結晶化できる(「アズデポ結晶化」と称する場合がある。)。このようなアズデポ結晶化によれば、透明導電層の表面抵抗を低くすることができる。
特開2018-119175号公報
一方、目的および用途に応じて、透明導電層の表面抵抗をより一層低くすることが要求される。
表面抵抗を低くするには、透明導電層の厚みを厚くすることが検討される。しかし、透明導電層の厚みを厚くすると、アズデポ結晶化において、薄ガラスを加熱する時間が長くなる。そうすると、加熱によって、薄ガラスがカールするという不具合がある。
本発明は、可撓性に優れつつ、透明導電層の表面抵抗を低くでき、かつ、カールを抑制することができる透明導電性フィルム、および、その透明導電性フィルムを製造する透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明[1]は、ガラス基材と、透明導電層とを順に備え、前記ガラス基材の厚みは、150μm以下であり、前記透明導電層が結晶性であり、前記透明導電層の表面抵抗値が、3Ω/□以下であり、前記透明導電層の残留応力が、-150MPa以上-15MPa以下、または、15MPa以上250MPa以下である、透明導電性フィルムである。
本発明[2]は、150μm以下の厚みを有するガラス基材を準備する準備工程と、前記ガラス基材を加熱しながら、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリング法により、前記ガラス基材に、700nm以上の厚みを有する結晶性の透明導電層を成膜する成膜工程とを備え、前記成膜工程において、前記酸素ガスの割合が、前記不活性ガスおよび前記酸素ガスの総量に対して、0.5%以上1.4%以下である、透明導電性フィルムの製造方法である。
本発明の透明導電性フィルムにおいて、ガラス基材の厚みは、150μm以下である。そのため、この透明導電性フィルムは、可撓性に優れる。
また、透明導電性フィルムにおいて、透明導電層は結晶性である。そのため、表面抵抗値を低くできる。
また、この透明導電性フィルムにおいて、透明導電層の残留応力が、-150MPa以上-15MPa以下、または、15MPa以上250MPa以下である。そのため、ガラス基材のカールを抑制できる。
詳しくは、透明導電層の残留応力が、上記した所定の範囲である。そのため、ガラス基材の作成時および透明導電層の成膜時に発生するガラス基材の残留応力を、十分に緩和することができる。その結果、ガラス基材のカールを抑制できる。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、厚み150μm以下のガラス基材を準備する準備工程を備える。そのため、この透明導電性フィルムの製造方法によれば、可撓性に優れる透明導電性フィルムを製造できる。
この透明導電性フィルムの製造方法は、ガラス基材を加熱しながら、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリング法により、ガラス基材に、700nm以上の厚みを有する結晶性の透明導電層を成膜する成膜工程を備える。
そのため、この透明導電性フィルムの製造方法によれば、表面抵抗値が低い透明導電層を備える透明導電性フィルムを製造することができる。
また、この透明導電性フィルムの製造方法の成膜工程において、酸素ガスの割合が、不活性ガスおよび酸素ガスの総量に対して、0.5%以上1.4%以下である。
これにより、透明導電層の残留応力を、所定の範囲に調整することができる。その結果、ガラス基材2のカールを抑制できる。
図1は、本発明の透明導電性フィルムの一実施形態の断面図を示す。
図1を参照して、本発明の透明導電性フィルムの一実施形態を説明する。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向)である。紙面上側が、上側(厚み方向一方側)である。紙面下側が、下側(厚み方向他方側)である。また、紙面左右方向および奥行き方向は、上下方向に直交する面方向である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
1.透明導電性フィルム
透明導電性フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む)を有する。透明導電性フィルム1は、厚み方向と直交する面方向に延びる平坦な上面および平坦な下面を有する。透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置に備えられるタッチパネル用基材または電磁波シールドの一部品である。つまり、透明導電性フィルム1は、画像表示装置ではない。すなわち、透明導電性フィルム1は、例えば、画像表示装置を作製するための部品であり、例えば、OLEDモジュールの画像表示素子を含まず、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
具体的には、図1に示すように、透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と、透明導電層3とをこの順に備える。透明導電性フィルム1は、より具体的には、ガラス基材2と、ガラス基材2の上面(厚み方向一方面)に配置される透明導電層3とを備える。
透明導電性フィルム1の厚みは、例えば、400μm以下、好ましくは、300μm以下、より好ましくは、200μm以下、また、例えば、150μm超過、好ましくは、160μm以上である。
2.ガラス基材
ガラス基材2は、透明導電性フィルム1の機械強度を確保するための透明な基材である。すなわち、ガラス基材2は、透明導電層3を支持している。
ガラス基材2は、フィルム形状を有する。ガラス基材2は、透明導電層3の下面に接触するように、透明導電層3の下面全面に、配置されている。
ガラス基材2は、可撓性を有し、透明なガラスから形成されている。
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラスおよびアルミノケイ酸ガラスが挙げられる。
ガラス基材2の厚みは、150μm以下、好ましくは、120μm以下、より好ましくは、100μm以下、また、例えば、10μm以上、好ましくは、40μm以上である。
ガラス基材2の厚みが上記上限以下であれば、可撓性に優れる。
また、ガラス基材2の厚みが上記下限以上であれば、機械的強度に優れ、搬送時の破損を抑制できる。
ガラス基材2の厚みは、ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、「DG-205」)を用いて測定できる。
ガラス基材2の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
3.透明導電層
透明導電層3は、結晶質であり、優れた導電性を発現する透明な層である。
透明導電層3は、フィルム形状を有する。透明導電層3は、ガラス基材2の上面全面に、ガラス基材2の上面に接触するように、配置されている。
透明導電層3の材料としては、例えば、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば、In、Sn、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、PdおよびWからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含む。金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属元素をドープしていてもよい。
透明導電層3としては、例えば、インジウム含有酸化物、アンチモン含有酸化物が挙げられる。
インジウム含有酸化物としては、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)が挙げられる。
アンチモン含有酸化物としては、例えば、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)が挙げられる。
透明導電層3としては、好ましくは、インジウム含有酸化物、より好ましくは、ITOが挙げられる。
透明導電層3の材料としてITOを用いる場合、酸化スズ(SnO)含有量は、酸化スズおよび酸化インジウム(In)の合計量に対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。酸化スズの含有量が上記下限以上であれば、ITO層の耐久性をより一層向上できる。酸化スズの含有量が上記上限以下であれば、ITO層の結晶転化を容易にし、透明性および比抵抗の安定性を向上できる。
本明細書中における「ITO」とは、少なくともインジウム(In)とスズ(Sn)とを含む複合酸化物であればよく、これら以外の追加成分を含んでもよい。追加成分としては、例えば、In、Sn以外の金属元素が挙げられる。このような金属元素として、具体的には、Zn、Ga、Sb、Ti、Si、Zr、Mg、Al、Au、Ag、Cu、Pd、W、Fe、Pb、Ni、Nb、CrおよびGaが挙げられる。
透明導電層3は、結晶質である。
透明導電層3が、結晶質であれば、後述する表面抵抗率を低くできる。
透明導電層3の結晶質性は、例えば、透明導電性フィルム1を塩酸(20℃、濃度5質量%)に15分間浸漬し、続いて、水洗および乾燥した後、透明導電層3側の表面に対して15mm程度の間の端子間抵抗を測定することにより判断できる。上記浸漬・水洗・乾燥後の透明導電性フィルム1において、15mm間の端子間抵抗が10kΩ以下である場合、透明導電層は結晶質である。一方、上記抵抗が10kΩを超過する場合、透明導電層3は非晶質である。
透明導電層3の上面の比抵抗は、例えば、2.0×10-4Ω・cm以下、好ましくは、1.5×10-4Ω・cm以下、また、例えば、1.0×10-4Ω・cm以上である。比抵抗は、JIS K7194に準拠して、4端子法により測定することができる。
透明導電層3の上面の表面抵抗率は、3Ω/□以下、好ましくは、2Ω/□以下、また、例えば、0.1Ω/□以上である。表面抵抗率は、JIS K7194に準拠して、4端子法により測定することができる。
表面抵抗率が、上記上限以下であれば、この透明導電性フィルム1を、例えば、大型のタッチパネルに用いることができる。
透明導電層3の残留応力は、-150MPa以上、好ましくは、-100MPa以上、また、-15MPa以下、好ましくは、-50MPa以下である。または、透明導電層3の残留応力は、15MPa以上、好ましくは、50MPa以上、また、250MPa以下、好ましくは、200MPa以下である。
つまり、透明導電層3の残留応力は、ゼロを含まない。
なお、負の残留応力は、圧縮方向の残留応力を意味する。また、正の残留応力は、伸長方向の残留応力を意味する。また、残留応力がゼロの場合は、透明導電層3に残留応力が
ないことを意味する。
透明導電層3の残留応力が、上記範囲内であれば、ガラス基材2のカールを抑制できる。
一方、透明導電層3の残留応力が、上記の範囲外であれば、ガラス基材2のカールを抑制できない。
なお、残留応力は、後述する実施例で詳述するが、X線回折法によって求めることができる。
具体的には、残留応力は、特開2017-106124号公報の残留応力の測定方法に準拠して求めることができる。
また、残留応力は、詳しくは後述するが、後述する酸素ガスの割合を所定の範囲に調整することで、上記した範囲に調整される。
透明導電層3の厚みは、透明導電層3の表面抵抗率を低くする観点から、700nm以上、好ましくは、900nm以上、より好ましくは、1000nm以上、また、例えば、1500nm以下、好ましくは、1300nm以下ある。透明導電層3の厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて、透明導電性フィルム1の断面を観察することにより測定することができる。
透明導電層3の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、50%以上、好ましくは、60%以上である。
4.透明導電性フィルムの製造方法
透明導電性フィルム1の製造方法は、ガラス基材2を準備する準備工程と、ガラス基材2を加熱しながら、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリング法により、ガラス基材2に、700nm以上の厚みを有する結晶性の透明導電層3を成膜する成膜工程とを備える。また、この方法では、好ましくは、ロールトゥロール方式で、透明導電層3をガラス基材2に対して配置する。以下、ロールトゥロール方式で、透明導電性フィルム1を製造する場合について、詳述する。
準備工程では、ガラス基材2を準備する。
具体的には、送出ロールに、長尺なガラス基材2を巻回する。
成膜工程では、長尺なガラス基材2を送出ロールから送出する。そして、ガラス基材2を搬送方向下流側に搬送しながら、スパッタリング法により、ガラス基材2の上面に透明導電層3を成膜する。その後、巻取ロールにて透明導電性フィルム1を巻き取る。
搬送速度は、例えば、0.01m/分以上、好ましくは、0.02m/分以上、より好ましくは、0.03m/分以上、また、例えば、1.0m/分以下、好ましくは、0.1m/分以下、より好ましくは、0.05m/分以下である。
スパッタリング法では、まず、真空チャンバー内にターゲットおよびガラス基材2を対向配置する。次いで、ガスを供給するとともに電源から電圧を印加することによりガスイオンを加速する。続いて、ガスイオンをターゲットに照射させて、ターゲット表面からターゲット材料をはじき出して、そのターゲット材料をガラス基材2の表面に積層させる。
スパッタリング法としては、例えば、2極スパッタリング法、ECR(電子サイクロトロン共鳴)スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法およびイオンビームスパッタリング法が挙げられ、好ましくは、マグネトロンスパッタリング法が挙げられる。
ターゲット材料としては、透明導電層3を構成する上述の金属酸化物が挙げられ、好ましくは、ITOが挙げられる。ITOの酸化スズ濃度は、ITO層の耐久性および結晶化の観点から、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、3質量%以上、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、13質量%以下である。
ガスとしては、不活性ガスおよび酸素ガスを併用する。つまり、この方法では、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリングを実施する。
不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガスが挙げられる。
酸素ガスの割合は、不活性ガスおよび酸素ガスの総量に対して、0.5%以上、好ましくは、0.8%以上、また、1.4%以下、好ましくは、1.2%以下である。
酸素ガスの割合が、上記範囲内であれば、透明導電層3の残留応力を、上記した所定の範囲に調整することができる。その結果、ガラス基材2のカールを抑制できる。
スパッタリング時の気圧(以下、成膜気圧とする。)は、例えば、0.5Pa以下、好ましくは、0.4Pa以下、また、例えば、0.1Pa以上、好ましくは、0.2Pa以上である。
電源は、例えば、DC電源、AC電源、MF電源およびRF電源のいずれであってもよく、また、これらの組み合わせであってもよい。
放電出力は、例えば、2kW以上、好ましくは、3kW以上、また、例えば、4.5kW以下、好ましくは、4kW以下である。
そして、スパッタリングでは、ガラス基材2を加熱しながら、スパッタリングを実施する。これにより、ガラス基材2の表面において透明導電層3を形成する粒子は、高いエネルギー状態に置かれる。これにより、スパッタリングによる成膜と同時に透明導電層3を結晶化できる(アズデポ結晶化)。
ガラス基材2の加熱温度(以下、基材温度とする。)は、例えば、400℃以上、好ましくは、450℃以上、また、例えば、600℃以下、好ましくは、550℃以下である。
ガラス基材2の加熱時間は、例えば、10秒以上、好ましくは、120秒以上、より好ましくは、240秒以上、また、例えば、600秒以下、好ましくは、420秒以下である。
そして、必要により、透明導電層3の加熱後に、透明導電層3を冷却する。
これにより、ガラス基材2の上面に透明導電層3が形成される。そして、ガラス基材2と、透明導電層3とを順に備える透明導電性フィルム1が得られる。
5.作用効果
透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と、透明導電層3とを順に備える。また、ガラス基材2の厚みは、150μm以下である。そのため、可撓性に優れる。
また、透明導電性フィルム1において、透明導電層3が結晶性である。そのため、表面抵抗値を低くできる。
また、透明導電性フィルム1において、透明導電層3の残留応力は、-150MPa以上-15MPa以下、または、15MPa以上250MPa以下である。そのため、透明導電層3をアズデポ結晶化する場合においても、ガラス基材2のカールを抑制できる。
詳しくは、透明導電層3の残留応力が、上記の範囲内であれば、ガラス基材2の作成時および透明導電層3の成膜時に発生するガラス基材2の残留応力を十分に緩和することができる。その結果、ガラス基材2のカールを抑制できる。
より詳しくは、とりわけ、透明導電層3の厚みが、700nm以上である場合には、上記したガラス基材2の残留応力が大きくなる。そのため、透明導電層3の残留応力を0近傍とすると、ガラス基材2の残留応力を十分に緩和できない。一方、この透明導電性フィルム1では、透明導電層3の残留応力が、上記した所定の範囲である。そのため、ガラス基材2の残留応力を十分に緩和することができる。その結果、ガラス基材2のカールを抑制できる。
透明導電性フィルム1の製造方法は、厚み150μm以下のガラス基材2を準備する準備工程を備える。そのため、可撓性に優れる透明導電性フィルム1を製造できる。
また、透明導電性フィルム1の製造方法は、ガラス基材2を加熱しながら、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリング法により、ガラス基材2に、700nm以上の厚みを有する結晶性の透明導電層3を成膜する成膜工程を備える。
そのため、表面抵抗値が低い透明導電層3を備える透明導電性フィルム1を製造できる。
また、透明導電性フィルムの製造方法の成膜工程において、酸素ガスの割合が、不活性ガスおよび酸素ガスの総量に対して、0.5%以上1.4%以下である。
これにより、透明導電層3の残留応力を、所定の範囲に調整できる。その結果、ガラス基材2のカールを抑制できる。
6.変形例
上記した説明では、透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と、透明導電層3とからなる。一方、透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と透明導電層3と間に中間層を介在させることもできる。
中間層としては、ハードコート層が挙げられる。
ハードコート層は、透明導電性フィルム1を製造する際に、ガラス基材2に傷が発生することを抑制するための保護層である。また、ハードコート層は、透明導電性フィルム1を積層した場合に、透明導電層3に擦り傷が発生することを抑制するための耐擦傷層である。
ハードコート層は、例えば、ハードコート組成物から形成される。ハードコート組成物は、樹脂成分を含有する。樹脂成分としては、例えば、硬化性樹脂および熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
また、ハードコート組成物は、粒子を含有することもできる。粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子が挙げられる。有機粒子としては、例えば、架橋アクリル系粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ粒子が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、耐擦傷性の観点から、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上、また、例えば、10μm以下、好ましくは、3μm以下である。ハードコート層の厚みは、例えば、瞬間マルチ測光システム(例えば、大塚電子社製、「MCPD2000」)を用いて観測される干渉スペクトルの波長に基づいて算出することができる。
また、中間層としては、光学調整層が挙げられる。
光学調整層は、透明導電性フィルム1の光学物性(例えば、屈折率)を調整する層である。光学調整層は、透明導電層3のパターン視認を抑制し、また、透明導電性フィルム1内の界面での反射を抑制しつつ、透明導電性フィルム1に優れた透明性を確保する。
光学調整層は、例えば、光学調整組成物から形成される。
光学調整組成物は、上記の樹脂成分および上記の粒子を含有する。
光学調整層の厚みは、例えば、5nm以上、好ましくは、10nm以上、また、例えば、200nm以下、好ましくは、100nm以下である。光学調整層の厚みは、例えば、瞬間マルチ測光システムを用いて観測される干渉スペクトルの波長に基づいて算出することができる。
つまり、透明導電性フィルム1では、ガラス基材2と透明導電層3と間に、ハードコート層または光学調整層を介在させることもでき、また、透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と透明導電層3と間に、ハードコート層および光学調整層を介在させることもできる。
好ましくは、透明導電性フィルム1では、ガラス基材2と透明導電層3と間に、ハードコート層および光学調整層を介在させない。すなわち、透明導電性フィルム1は、ガラス基材2と、透明導電層3とからなる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータの該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.透明導電性フィルムの製造
実施例1
ガラス基材として、ロール状に巻回された長尺な透明ガラス基材(厚み50μm、日本電気硝子社製、「G-Leaf」)を準備した。
この透明ガラス基材を送出ロールにセットして、搬送速度0.03m/分にて送り出した。続いて、基材をスパッタリング装置(ターゲット部)に通過させて、巻取ロールに巻回した。DCスパッタリング法により、厚みが1200nmであるITO層(透明導電層)をガラス基材の上面に形成した。スパッタリングは、アルゴンガス99%および酸素ガス1%を導入した気圧(成膜気圧)0.3Paの真空雰囲気下で、実施した。放電出力は、3kWとした。ターゲットは、87.5質量%の酸化インジウムおよび12.5質量%の酸化スズの焼結体を用いた。また、スパッタリング時に、スパッタリング装置内で、赤外線ヒータ(加熱部)を作動し、ヒーター温度(基材温度)を500℃に設定し、ガラス基材を300秒加熱した。
これにより、ガラス基材とITO層とを備え、ロール状に巻回された透明導電性フィルムを製造した。
比較例1および比較例2
実施例1と同様の手順に基づき、透明導電性フィルムを製造した。
但し、表1に従って、不活性ガスおよび酸素ガスの総量に対する酸素ガスの割合を変更した。
2.評価
1)表面抵抗率
各実施例および各比較例のITO層の表面抵抗率を、JIS K7194に準拠して、4端子法により測定した。その結果を表1に示す。
2)残留応力
各実施例および各比較例のITO層の残留応力を、X線散乱法により、ITO膜の結晶格子歪みから間接的に求めた。
具体的には、まず、株式会社リガク製の粉末X線回折装置により、測定散乱角2θ=59~62°の範囲で0.04°おきに回折強度を測定した。このとき、各測定角度における積算時間(露光時間)を100秒とした。
そして、回折像のピーク(ITOの(622)面のピーク)角2θおよびX線源の波長λから、ITO膜の結晶格子間隔dを算出した。そして、dを基づいて、格子歪みεを算出した。算出にあたっては下記式(1)および下記式(2)を用いた。
Figure 2024067499000002

Figure 2024067499000003
ここで、λはX線源(Cu Kα線)の波長(=0.15418nm)である。dは無応力状態のITOの格子面間隔(=0.15241nm)である。なお、dはICDD(The International Centre for Diffraction Data)データベースから取得した値である。
上記のX線回折測定を、フィルム面法線とITO結晶面法線とのなす角Ψが45°、50°、55°、60°、65°、70°、77°および90°のそれぞれについて実施した。そして、それぞれのΨにおける格子歪みεを算出した。なお、フィルム面法線とITO結晶面法線とのなす角Ψは、TD方向を回転軸中心として試料を回転することによって、調整した。ITO膜面内方向の残留応力σは、sinΨと格子歪εとの関係をプロットした直線の傾きから下記式(3)により求めた。
Figure 2024067499000004
なお、上記式において、EはITOのヤング率(116GPa)である。また、νはポアソン比(0.35)である。これらの値は、D.G. Neerinck and T.J.Vink、“Depth profiling of thin ITO films by grazing incidence X-ray diffraction”、Thin Solid Films、278(1996)、PP12-17.に記載されている既知の実測値である。残留応力を表1に示す。
3)全光線透過率
各実施例および各比較例のITO層の全光線透過率を、分光光度計(日立ハイテクノロジー社製「U4100」)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
4)カール量
各実施例および各比較例の透明導電性フィルムを幅100mm×長さ100mmに切断した。切断した透明導電性フィルムを平滑な台に置いた。次いで、切断した透明導電性フィルムの各角の頂点が台から浮いている距離を測長し、4頂点の平均値を求め、カール量とした。その結果を表1に示す。
Figure 2024067499000005
1 透明導電性フィルム
2 ガラス基材
3 透明導電層

Claims (2)

  1. ガラス基材と、透明導電層とを順に備え、
    前記ガラス基材の厚みは、150μm以下であり、
    前記透明導電層が結晶性であり、
    前記透明導電層の表面抵抗値が、3Ω/□以下であり、
    前記透明導電層の残留応力が、-150MPa以上-15MPa以下、または、15MPa以上250MPa以下であることを特徴とする、透明導電性フィルム。
  2. 150μm以下の厚みを有するガラス基材を準備する準備工程と、
    前記ガラス基材を加熱しながら、不活性ガスおよび酸素ガスの共存下で、スパッタリング法により、前記ガラス基材に、700nm以上の厚みを有する結晶性の透明導電層を成膜する成膜工程とを備え、
    前記成膜工程において、前記酸素ガスの割合が、前記不活性ガスおよび前記酸素ガスの総量に対して、0.5%以上1.4%以下であることを特徴とする、透明導電性フィルムの製造方法。
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