JP2024067315A - 合成樹脂製キャップ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合成樹脂製シートからの熱成形により成形可能で、螺子係合によるリシール性及び優れた密封性を有するキャップであって、離型時の無理抜きによって塑性変形することが有効に防止された螺子キャップを提供する。【解決手段】天面及びスカート部を備え、該スカート部内面に螺子部を有する合成樹脂製キャップにおいて、前記スカート部には、スカート部内面において螺子山の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数配設されており、該複数の凸部によりスカート部に形成される周方向の凹凸によりスカート部が径方向に弾性変形可能であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、合成樹脂製シートを熱成形して成る合成樹脂製キャップ及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、離型時の無理抜きによって塑性変形することが有効に防止された合成樹脂製キャップ及びその製造方法に関する。
ポリエステルボトル等の容器に適用される螺子キャップとして、プラスチックの一体成形により成形され、ライナーやパッキングを用いることなしに、液密性を発現できる樹脂製螺子キャップが広く使用されている。
このような樹脂製キャップとしては、例えば、下記特許文献1には、天面及び天面の周縁から垂下するスカートをプラスチックで一体に成形して成り、該スカートの内周面に螺子条を設けた樹脂製螺子キャップにおいて、天面の内面から垂下するインナーリング及びアウターリングが容器口部の内面及び外面に密着することにより液密性が確保された螺子キャップが記載されている。
このような樹脂製キャップとしては、例えば、下記特許文献1には、天面及び天面の周縁から垂下するスカートをプラスチックで一体に成形して成り、該スカートの内周面に螺子条を設けた樹脂製螺子キャップにおいて、天面の内面から垂下するインナーリング及びアウターリングが容器口部の内面及び外面に密着することにより液密性が確保された螺子キャップが記載されている。
上記特許文献1に記載されているような螺子キャップは、高いシール性を有し、確実な液密性を有するものであるが、構造が複雑であるため射出成形や圧縮成形で成形することが一般的であり、薄肉で軽量の螺子キャップを容易に成形することは困難であった。
また合成樹脂製シートを圧空成形等の熱成形することにより成形される合成樹脂製キャップも提案されており、例えば、下記特許文献2には、合成樹脂製シートの熱成形により螺子キャップを成形する方法が提案されている。
また合成樹脂製シートを圧空成形等の熱成形することにより成形される合成樹脂製キャップも提案されており、例えば、下記特許文献2には、合成樹脂製シートの熱成形により螺子キャップを成形する方法が提案されている。
上記特許文献2においては、合成樹脂製シートの熱成形によりキャップを成形するものであることから、射出成形等により成形されるキャップに比して使用される材料の量が低減できるメリットがある旨記載されている。
密封部や螺子部を備えたキャップは、キャップ径方向内方に突出するアンダーカットとなる部分を有することから、賦形されたキャップの離型に際して、キャップ内部に位置するコア金型は無理抜きされることになるが、薄肉の合成樹脂製シートから成るキャップは無理抜きされる際に伸ばされやすく、過度な伸張により塑性変形を生じるおそれがある。キャップの密封部や螺子部が変形されてしまうと、所望の密封性を得ることが困難になる。
その一方、コア金型を旋回させて離型すること等により、アンダーカット部分の変形を抑制することも考えられるが、このような方法では生産性が低下し、成形容易で経済性に優れたキャップを提供するという趣旨に合致しない。
密封部や螺子部を備えたキャップは、キャップ径方向内方に突出するアンダーカットとなる部分を有することから、賦形されたキャップの離型に際して、キャップ内部に位置するコア金型は無理抜きされることになるが、薄肉の合成樹脂製シートから成るキャップは無理抜きされる際に伸ばされやすく、過度な伸張により塑性変形を生じるおそれがある。キャップの密封部や螺子部が変形されてしまうと、所望の密封性を得ることが困難になる。
その一方、コア金型を旋回させて離型すること等により、アンダーカット部分の変形を抑制することも考えられるが、このような方法では生産性が低下し、成形容易で経済性に優れたキャップを提供するという趣旨に合致しない。
従って本発明の目的は、合成樹脂製シートからの熱成形により成形可能で、螺子係合によるリシール性及び優れた密封性を有するキャップであって、離型時の無理抜きによって塑性変形することが有効に防止された螺子キャップを提供することである。
本発明によれば、天面及びスカート部を備え、該スカート部内面に螺子部を有する合成樹脂製キャップにおいて、前記スカート部には、スカート部内面において螺子山の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数配設されており、該複数の凸部によりスカート部に形成される周方向の凹凸によりスカート部が径方向に弾性変形可能であることを特徴とする合成樹脂製キャップが提供される。
本発明の合成樹脂製キャップにおいては、
(1)前記凸部が、軸方向又は軸方向に対して傾斜して延びる凸部であること、
(2)前記スカート部外面に、前記凸部に対応する凹部が形成されていること、
(3)前記スカート部上部には、容器口部外面と密着するシール部が形成されていること、
(4)前記天面から上方に延びる内側壁、該内側壁の上端から外方に延びる環状部を介して前記スカート部に連結する、落とし蓋形状であること、
(5)前記内側壁に、適用される容器の内径よりも大きい外径を有するキャップ径方向外方に突出する環状突出部が形成されていること、
(6)前記天面の外周縁には、カウンターシンク部が形成されていること、
(7)前記天面が、軸方向上方に凸のドーム形状であること、
(8)前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであること、
(9)ボトルに適用されるキャップであること、
が好適である。
(1)前記凸部が、軸方向又は軸方向に対して傾斜して延びる凸部であること、
(2)前記スカート部外面に、前記凸部に対応する凹部が形成されていること、
(3)前記スカート部上部には、容器口部外面と密着するシール部が形成されていること、
(4)前記天面から上方に延びる内側壁、該内側壁の上端から外方に延びる環状部を介して前記スカート部に連結する、落とし蓋形状であること、
(5)前記内側壁に、適用される容器の内径よりも大きい外径を有するキャップ径方向外方に突出する環状突出部が形成されていること、
(6)前記天面の外周縁には、カウンターシンク部が形成されていること、
(7)前記天面が、軸方向上方に凸のドーム形状であること、
(8)前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであること、
(9)ボトルに適用されるキャップであること、
が好適である。
本発明によればまた、上記合成樹脂製キャップの製造方法であって、合成樹脂製シートを用いて熱成形によりキャップ形状に賦形し、賦形後のキャップ内部から無理抜きにより離型することを特徴とする合成樹脂製キャップの製造方法が提供される。
本発明の合成樹脂製キャップにおいては、キャップスカート部内面に螺子山の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数形成されていることにより、隣接する凸部の間が凹部となって、スカート部内面に周方向に凹凸を形成する。その結果、スカート部に径方向外方に向く力が作用すると凹凸を打ち消すように周方向に伸びることから、スカート部の内径を拡大するように弾性変形することが可能となる。特に合成樹脂製シートの熱成形により成形されるキャップにおいては、スカート部の内外面において対応する形状が付与されていることから、スカート部の内面に凸部が形成される箇所においては対応する外面に凹部が形成され、スカート部全体として、周方向に凹凸が並んだ略蛇腹状が形成されるため、スカート部の内径を元の形状に復元可能に拡大することが可能である。
そのため、本発明の合成樹脂製キャップにおいては、成形の際、賦形後にキャップ内に位置するコア金型を無理抜きする場合でも、キャップスカート部が径方向外方に容易に拡径することから、螺子部や密封部等のアンダーカットとなる部分をコア金型が容易に通過すると共に、コア金型がアンダーカット部分を通過した後はキャップスカート部は径方向内方に容易に戻ることが可能となり、螺子部や密封部が所期の形状を維持し、塑性変形を生じて螺子部や密封部の伸びにより所期の密封性が損なわれることが有効に防止されている。
そのため、本発明の合成樹脂製キャップにおいては、成形の際、賦形後にキャップ内に位置するコア金型を無理抜きする場合でも、キャップスカート部が径方向外方に容易に拡径することから、螺子部や密封部等のアンダーカットとなる部分をコア金型が容易に通過すると共に、コア金型がアンダーカット部分を通過した後はキャップスカート部は径方向内方に容易に戻ることが可能となり、螺子部や密封部が所期の形状を維持し、塑性変形を生じて螺子部や密封部の伸びにより所期の密封性が損なわれることが有効に防止されている。
本発明の螺子キャップのこのような作用効果は、後述する実施例の結果からも明らかである。すなわち、図6(A)の金型を用いて熱成形された、キャップスカート部内面に螺子山の高さよりも低い軸方向に延びる凸部が周方向に均等に配置される螺子キャップ(実施例1)と、キャップスカート部内面に凸部を形成しない以外は同様の金型(図6(B))を用いて熱成形され、無理抜きされた螺子キャップ(比較例1)とを比較すると、実施例1のスカート部はほぼ垂直形状であるが、比較例1のスカート部下部の内径が拡がってしまってスカート部がテーパ形状となっていることがわかる。
また本発明の合成樹脂製キャップは、適用される容器口部の内径よりもその外径が大きい環状突出部を有することにより、優れた密封シール性を発現でき、また天面をドーム形状にすることで耐圧性を付与することが可能となり、変形による密封性の低下を抑制することができる。
更に樹脂製シートの熱成形で成形し、賦形後無理抜きで金型を取り除くことができるため、薄肉且つ軽量の螺子キャップを生産性良く成形することが可能になる。
更に樹脂製シートの熱成形で成形し、賦形後無理抜きで金型を取り除くことができるため、薄肉且つ軽量の螺子キャップを生産性良く成形することが可能になる。
本発明の螺子キャップを、添付図面を用いて説明する。
図1及び2に示す通り、全体を1で示す螺子キャップは、概略的に言って、容器口部30の開口部を覆うドーム状の天面2、天面2の外周縁から上方に延びる内側壁3、内側壁3の上端から外方に延びる環状部4を介して内側壁に連結する、螺子部5を備えたスカート部6から成っている。
図1及び図2に示す具体例においては、上記内側壁3が、くの字状、すなわち下方に行くに従って内側壁の外径が増加する逆テーパ状の上方内側壁3aと下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の下方内側壁3bとから成り、上方内側壁3aと下方内側壁3bの境界である屈曲部が環状突出部7として形成されており、内側壁3は環状突出部7を頂点に半径方向の内側に向かって弾性変形可能である。
すなわち、図2に示すように、環状突出部7の容器に適用されていない状態における最大外径L1が、適用される容器口部30の内径L2よりも大きく形成されていることにより、螺子キャップ1が容器口部30に適用され、キャップが下死点まで螺子係合された密封状態で、環状突出部7は容器口部30内面と互いに半径方向に圧着した状態となり、優れた液密性を発現することが可能となる。
また図1及び図2に示す具体例では、環状部4に対して天面2が下方にあるいわゆる落し蓋状であるため、熱間充填後冷却された際の減圧変形を抑制できる。また天面2が上方向にドーム状となっていることから、例えば、自生圧力を有する炭酸飲料のような内容品が充填されている容器に適用する場合に、天面2に上方に圧力がかかることにより環状突出部7が容器口部内面をより強く押圧するために、密封シール性を向上することができる。尚、天面2は下方向にドーム状となっていてもよい。
図1及び2に示す通り、全体を1で示す螺子キャップは、概略的に言って、容器口部30の開口部を覆うドーム状の天面2、天面2の外周縁から上方に延びる内側壁3、内側壁3の上端から外方に延びる環状部4を介して内側壁に連結する、螺子部5を備えたスカート部6から成っている。
図1及び図2に示す具体例においては、上記内側壁3が、くの字状、すなわち下方に行くに従って内側壁の外径が増加する逆テーパ状の上方内側壁3aと下方に行くに従って外径が減少するテーパ状の下方内側壁3bとから成り、上方内側壁3aと下方内側壁3bの境界である屈曲部が環状突出部7として形成されており、内側壁3は環状突出部7を頂点に半径方向の内側に向かって弾性変形可能である。
すなわち、図2に示すように、環状突出部7の容器に適用されていない状態における最大外径L1が、適用される容器口部30の内径L2よりも大きく形成されていることにより、螺子キャップ1が容器口部30に適用され、キャップが下死点まで螺子係合された密封状態で、環状突出部7は容器口部30内面と互いに半径方向に圧着した状態となり、優れた液密性を発現することが可能となる。
また図1及び図2に示す具体例では、環状部4に対して天面2が下方にあるいわゆる落し蓋状であるため、熱間充填後冷却された際の減圧変形を抑制できる。また天面2が上方向にドーム状となっていることから、例えば、自生圧力を有する炭酸飲料のような内容品が充填されている容器に適用する場合に、天面2に上方に圧力がかかることにより環状突出部7が容器口部内面をより強く押圧するために、密封シール性を向上することができる。尚、天面2は下方向にドーム状となっていてもよい。
本発明の螺子キャップにおいては、図1及び2から明らかなように、スカート部6の内面にキャップ軸方向に延び且つキャップ径方向内方に突出する凸部20,20・・・が周方向に等間隔に複数個形成されていることが重要な特徴である。
この凸部20,20・・・は螺子部5の高さよりも径方向内方の突出量が少ないことから、螺子の旋回を損なうことがない。その一方、図3に示すように、キャップ内面及び外面に、それぞれ対応する同一の凹凸形状が形成されていること、すなわち、キャップスカート部6の外面には、螺子部5の形状に対応する径方向内方に凹んだ螺旋状凹部21が形成されると共に、凸部20,20・・・の形状に対応する軸方向に延び且つ径方向に凹んだ軸方向凹部22,22・・・が周方向に等間隔に複数個形成され、スカート部6が水平方向断面において略蛇腹状を有している。
これにより、図4(a)に示すように、スカート部内面から径方向外方の圧力が凸部20,20,20・・・に作用すると、凸部20,20,20・・・が周方向に伸ばされることにより、スカート部6は拡径する(図4(b))。その後、圧力が取り除かれるとスカート部6は容易に元の凹凸形状に復元することが可能となる。
このため本発明の螺子キャップにおいては、前述した通り、成形時の離型に際して、密封部や螺子部等のアンダーカットとなる部分の無理抜きを容易に行うことができ、密封部や螺子部が塑性変形し、その機能を損なうことが有効に防止されている。
この凸部20,20・・・は螺子部5の高さよりも径方向内方の突出量が少ないことから、螺子の旋回を損なうことがない。その一方、図3に示すように、キャップ内面及び外面に、それぞれ対応する同一の凹凸形状が形成されていること、すなわち、キャップスカート部6の外面には、螺子部5の形状に対応する径方向内方に凹んだ螺旋状凹部21が形成されると共に、凸部20,20・・・の形状に対応する軸方向に延び且つ径方向に凹んだ軸方向凹部22,22・・・が周方向に等間隔に複数個形成され、スカート部6が水平方向断面において略蛇腹状を有している。
これにより、図4(a)に示すように、スカート部内面から径方向外方の圧力が凸部20,20,20・・・に作用すると、凸部20,20,20・・・が周方向に伸ばされることにより、スカート部6は拡径する(図4(b))。その後、圧力が取り除かれるとスカート部6は容易に元の凹凸形状に復元することが可能となる。
このため本発明の螺子キャップにおいては、前述した通り、成形時の離型に際して、密封部や螺子部等のアンダーカットとなる部分の無理抜きを容易に行うことができ、密封部や螺子部が塑性変形し、その機能を損なうことが有効に防止されている。
また本発明の螺子キャップにおいては、スカート部内面に螺子部の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数個配列されていることにより、例えば、容器口部に締結した状態で鞄などに入れた場合においてキャップスカート部外面に力がかかったとしても、スカート部内面の凸部が容器口部螺子山に当接することにより、キャップの変形を抑制し、キャップのゆるみを防止できる。特に合成樹脂製シートを用いた熱成形によるキャップは、圧縮成形や射出成形から成るキャップに比して薄肉であり、外力によりスカート部が変形しやすいことから、この効果が高い。
本発明の螺子キャップにおいては、上述した通り、スカート部内面に螺子部の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数個配列され、これによりスカート部が径方向に弾性変形可能である限り、種々の態様を採用できる。
すなわち、図1及び図2に示した具体例では、スカート部6の外面に、スカート部6の内面に形成された凸部20,20,20・・・と対応する軸方向凹部22,22,22・・・が形成され、スカート部が略蛇腹状になっていることにより、離型時等にスカート部内面から径方向外方に向く圧力が作用した場合にスカート部が容易に拡径すると共に、圧力が解除されると容易に復元されることが可能であったが、アンダーカットの量によっては、必ずしもスカート部外面に凸部に対応する凹部が形成されていなくてもよい。このようにスカート部外面に凹部が形成されていない場合でも、隣接する凸部20,20の間が凸部20に比して径方向に内方に凹んだ状態となり、スカート部内面には凹凸が形成されていることから、径方向外方の圧力がかかると、厚みが薄い凹部が伸びやすい一方、凸部は伸びにくいため、スカート部の内径が弾性域の範囲で拡径し、圧力が解除されると復元することが可能になる。
すなわち、図1及び図2に示した具体例では、スカート部6の外面に、スカート部6の内面に形成された凸部20,20,20・・・と対応する軸方向凹部22,22,22・・・が形成され、スカート部が略蛇腹状になっていることにより、離型時等にスカート部内面から径方向外方に向く圧力が作用した場合にスカート部が容易に拡径すると共に、圧力が解除されると容易に復元されることが可能であったが、アンダーカットの量によっては、必ずしもスカート部外面に凸部に対応する凹部が形成されていなくてもよい。このようにスカート部外面に凹部が形成されていない場合でも、隣接する凸部20,20の間が凸部20に比して径方向に内方に凹んだ状態となり、スカート部内面には凹凸が形成されていることから、径方向外方の圧力がかかると、厚みが薄い凹部が伸びやすい一方、凸部は伸びにくいため、スカート部の内径が弾性域の範囲で拡径し、圧力が解除されると復元することが可能になる。
図1及び図2に示した具体例では、スカート部内面に形成された凸部はキャップ軸方向にまっすぐ延びる凸部であったが、凸部は軸方向に対して傾斜していてもよく、例えば図5に示すようにキャップスカート部内面には軸方向に傾斜した凸部、キャップスカート部外面には軸方向に傾斜した凹部が形成され、キャップのスカート部全体で螺旋形状の凹凸が形成されるようにしてもよい。尚、凸部が軸方向に対して傾斜する場合の傾斜角度は、スカート部の拡径及び復元という観点からは85°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。
また、離型時にスカート部の拡径及び復元が可能である限り、スカート部内面に形成される凸部は必ずしも同一形状の凸部を周方向に等間隔に形成する必要はなく、例えば、凸部が丸形状・楕円形状・三角形状・台形・矩形であってもよいし、凸部の軸方向長さ、幅又は高さが異なる凸部を組み合わせて配列することや、隣接する凸部の間隔が異なるように配列すること、或いはスカート部内面の一部分にのみ凸部を形成すること、上下で凸部の高さや・形状が変化すること、途中で傾斜角度が変化し湾曲するような形状やS字のように蛇行するような形状を形成することもできる。
また、離型時にスカート部の拡径及び復元が可能である限り、スカート部内面に形成される凸部は必ずしも同一形状の凸部を周方向に等間隔に形成する必要はなく、例えば、凸部が丸形状・楕円形状・三角形状・台形・矩形であってもよいし、凸部の軸方向長さ、幅又は高さが異なる凸部を組み合わせて配列することや、隣接する凸部の間隔が異なるように配列すること、或いはスカート部内面の一部分にのみ凸部を形成すること、上下で凸部の高さや・形状が変化すること、途中で傾斜角度が変化し湾曲するような形状やS字のように蛇行するような形状を形成することもできる。
本発明の螺子キャップにおいて、螺子部の高さ(スカート部内面からの突出量)はキャップを適用する容器の口部の螺子部の高さや用いる合成樹脂製シートに応じて適宜変更できるが、一般的なボトル形状の容器に適合する口径28mmのキャップにおいては、0.4~1.5mmの範囲の高さであることが好適である。また凸部の高さは、スカート部の厚みや、凸部の幅や長さ、或いは配列(間隔や個数)等に応じて適宜変更可能であるが、上記螺子部の高さの10~80%の高さであることが好適であり、より好ましくは30%~50%の高さである。
また前述した通り、凸部はスカート部内面に部分的に用いること等も可能であるが、均一な拡径のためには、スカート部内面に均一に形成されていることが望ましく、これに限定されないが、口径28mmのボトルに適用されるキャップの場合、幅0.2~5.0mmの凸部を0.2~5.0mm間隔で均等に形成することが望ましい。また凸部の軸方向長さはアンダーカット部となる螺子部及び密封部の位置に応じて適宜変更できるが、図1及び図2に示した具体例のように、螺子部の上死点よりも上方の位置から下死点よりも下方の位置まで延びる長さであることが望ましい。
また前述した通り、凸部はスカート部内面に部分的に用いること等も可能であるが、均一な拡径のためには、スカート部内面に均一に形成されていることが望ましく、これに限定されないが、口径28mmのボトルに適用されるキャップの場合、幅0.2~5.0mmの凸部を0.2~5.0mm間隔で均等に形成することが望ましい。また凸部の軸方向長さはアンダーカット部となる螺子部及び密封部の位置に応じて適宜変更できるが、図1及び図2に示した具体例のように、螺子部の上死点よりも上方の位置から下死点よりも下方の位置まで延びる長さであることが望ましい。
本発明の螺子キャップは、前述した通り、合成樹脂製シートを用い、真空成形等の熱成形により成形される螺子キャップであることが特に好適である。すなわち、合成樹脂製シートを用いた熱成形によるキャップは、圧縮成形や射出成形から成るキャップに比して薄肉であることから、容易に拡径可能である一方、塑性変形しやすいが、本発明の螺子キャップによれば、スカート部内面に形成された凸部及びこの凸部に対応する凹部がスカート部外面に形成されていることにより、前述した通り、略蛇腹状のスカート部を形成できることから、特に薄肉のスカート部を有するキャップにおいて弾性域での変形を可能にし、離型時にアンダーカット部分となる密封部や螺子山の機能を損なうことが有効に防止できる。
本発明の螺子キャップの成形に用いることができる合成樹脂製シートの厚みは、用いる合成樹脂製シートによっても異なるが、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂から成る場合には、0.5~1.2mmの厚みであることが好適であり、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂から成る場合には、0.5~1.5mmの厚みであることが好適である。
本発明の螺子キャップの成形に用いることができる合成樹脂製シートの厚みは、用いる合成樹脂製シートによっても異なるが、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂から成る場合には、0.5~1.2mmの厚みであることが好適であり、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂から成る場合には、0.5~1.5mmの厚みであることが好適である。
また本発明の螺子キャップは、離型時にスカート部の拡径及び復元が弾性変形により可能であることから、圧縮成形や射出成形等の成形法によっても離型性を向上できる。すなわち、圧縮成形や射出成形で、スカート内面に形成された凸部及びこの凸部に対応する凹部を金型によりスカート外面に形成させることにより、上述した合成樹脂製シートを用いた熱成形キャップと同じように、略蛇腹状のスカート部を形成できることから弾性域での変形を可能にし、離型時に密封部や螺子部の機能を損なうことが有効に防止できる。
本発明の螺子キャップは、上述した通り、密封部や螺子部が無理抜きによっても損なわれることがないことから、優れた密封性や開栓性を有しているが、図1及び図2に示す具体例のように、環状部4の内面に、螺子係合によりキャップが下死点に達したときに、容器口部20の先端と圧接するコンタクトリング9が形成されていることにより、更にキャップの密封性が高められている。
また、スカート部6の螺子部5よりも上方の環状部4に連なる部分(以下、「上方スカート部10」という)を、下方に行くに従ってスカート部の外径を減少させる逆テーパ状に形成することにより、容器口部20の先端付近を半径方向外側からタガ締めし、容器口部外面と上方スカート部10内面との間にシール部が形成され、更にキャップの密封性を高めることが可能となる。
さらに図1及び図2に示した具体例では、カウンターシンク部8が形成されることにより、上述したように、容器に適用した際に、カウンターシンク部もキャップ半径方向に弾性変形可能であることと相俟って、環状突出部の弾性変形による容器口部内面の半径方向外方への押圧力が高くなるために、優れたシール性を発現できることから好適な態様であるが、螺子キャップの肉厚や天面の大きさ等によっては、カウンターシンク部が形成されていない場合でも、優れた密封シール性を発現可能である。
また、スカート部6の螺子部5よりも上方の環状部4に連なる部分(以下、「上方スカート部10」という)を、下方に行くに従ってスカート部の外径を減少させる逆テーパ状に形成することにより、容器口部20の先端付近を半径方向外側からタガ締めし、容器口部外面と上方スカート部10内面との間にシール部が形成され、更にキャップの密封性を高めることが可能となる。
さらに図1及び図2に示した具体例では、カウンターシンク部8が形成されることにより、上述したように、容器に適用した際に、カウンターシンク部もキャップ半径方向に弾性変形可能であることと相俟って、環状突出部の弾性変形による容器口部内面の半径方向外方への押圧力が高くなるために、優れたシール性を発現できることから好適な態様であるが、螺子キャップの肉厚や天面の大きさ等によっては、カウンターシンク部が形成されていない場合でも、優れた密封シール性を発現可能である。
本発明の螺子キャップは、前述した通り、合成樹脂製シートを用い、これを真空圧空成形、プラグアシスト圧空成形等の熱成形により成形することが好適である。これにより、薄肉且つ軽量であると共に、キャップスカート部内面の凸部に対応する凹部をスカート部外面に形成することができることから、略蛇腹形状のスカート部を形成することができる。その結果、離型時に弾性変形が可能で、拡径及び復元が容易でアンダーカットとなる密封部や螺子部が塑性変形することなく、所期の寸法通りに成形することができる。
また、例えばエチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂やアルミニウム箔等から成るガスバリア性中間層を備えた多層シートを用いることにより、薄肉でありながらガスバリア性に優れた樹脂製キャップを提供することも可能となる。
さらに中間層にリサイクル材、内外層にバージン材を備えた多層シートを用いることにより、食品や人と接触する部分は衛生性が問題ない上に、リサイクル材の使用率を上げたキャップを提供することも可能となる。
また、例えばエチレンビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂やアルミニウム箔等から成るガスバリア性中間層を備えた多層シートを用いることにより、薄肉でありながらガスバリア性に優れた樹脂製キャップを提供することも可能となる。
さらに中間層にリサイクル材、内外層にバージン材を備えた多層シートを用いることにより、食品や人と接触する部分は衛生性が問題ない上に、リサイクル材の使用率を上げたキャップを提供することも可能となる。
本発明の螺子キャップを適用可能な容器は、金属製、ガラス製、樹脂製等、従来公知の容器をすべて使用することができ、適用される口径も限定されないが、100mm以下、特に15~50mmの容器に適用することが好適である。特に合成樹脂製シートを用いた熱成形によるキャップの場合、広い口径であればある程、シート利用率が高くなり効率的である。対して圧縮成形から成るキャップの場合は、圧縮成形の際、大きな金型や加圧力が必要となり設備の大型化が避けられない。また射出成形から成るキャップの場合も、射出成形の際、成形品の投影面積が大きくなり、必要な型締め力も増大して、設備の大型化が避けられない。
(実施例1)
市販の1.0mm厚みのA-PETシートを110℃程度まで加熱し、図6(A)で示す、成形したキャップスカート部内面に螺子山の高さよりも低い軸方向に延びる凸部が周方向に均等に配置される樹脂型を用いて真空圧空成形を行った後、無理抜きにより型から離型させ、キャップ部位以外をハサミで切断しサンプルを得た。
なお成形したサンプルは一般的なペットボトルに適合する口径28mmのキャップで、螺子山の高さは0.65mm、凸部の高さが0.3mmのものである。
市販の1.0mm厚みのA-PETシートを110℃程度まで加熱し、図6(A)で示す、成形したキャップスカート部内面に螺子山の高さよりも低い軸方向に延びる凸部が周方向に均等に配置される樹脂型を用いて真空圧空成形を行った後、無理抜きにより型から離型させ、キャップ部位以外をハサミで切断しサンプルを得た。
なお成形したサンプルは一般的なペットボトルに適合する口径28mmのキャップで、螺子山の高さは0.65mm、凸部の高さが0.3mmのものである。
(比較例1)
図6(B)で示す、成形したキャップスカート部内面に凸部を形成しない以外は図6(A)と同様の樹脂型を用いた、他は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
図6(B)で示す、成形したキャップスカート部内面に凸部を形成しない以外は図6(A)と同様の樹脂型を用いた、他は実施例1と同様にしてサンプルを得た。
上記実施例1及び比較例1のサンプルの内面に3Dスキャン用昇華型スプレーAESUBを吹きかけた後、(株)キーエンス社製 3Dスキャナ型三次元測定機LV-500を用いて、サンプル内面形状測定を行った。螺子山の高さなどの形状は両者ともほぼ同じであったが、スカート部の形状が異なっていた。そこでキャップ内面最上部から13mm下の部位において内面の直径、およびスカート部内面のテーパ角度を測定した結果を表1に示す。
樹脂型は設計上抜きテーパはつけていないので、スカート部内面のテーパ角度は0°であるが、表1で示すように比較例1では無理抜き後スカート部下部の直径が拡がり、スカート部に1.3°のテーパ角度がついているのが確認できた。対して実施例1では比較例1より直径が1mm程度小さく、スカート部のテーパ角度が樹脂型とほぼ同じであることがわかった。両者の違いはスカート部内面に凸部を形成しているか、していないかであるので、実施例1ではこのスカート部内面の凸部により弾性変形の限界領域が広がり、最終的な変形が抑制されたものと推察される。
本発明の螺子キャップは、樹脂製シートからの熱成形により成形可能で、螺子係合によるリシール性を有すると共に、液密性を発現可能であることから、ポリエステルボトル等の飲料容器のキャップとして利用できる。
1 螺子キャップ、2 天面、3 内側壁、4 環状部、5 螺子部、6 スカート部、7 環状突出部、8 カウンターシンク部、9 コンタクトリング、10 上方スカート部、20 凸部、21 螺旋状凹部、22 軸方向凹部、30 容器口部。
Claims (11)
- 天面及びスカート部を備え、該スカート部内面に螺子部を有する合成樹脂製キャップにおいて、
前記スカート部には、スカート部内面において螺子山の高さよりも径方向への突出量の少ない凸部が周方向に複数配設されており、該複数の凸部によりスカート部に形成される周方向の凹凸によりスカート部が径方向に弾性変形可能であることを特徴とする合成樹脂製キャップ。 - 前記凸部が、軸方向又は軸方向に対して傾斜して延びる凸部である請求項1記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記スカート部外面に、前記凸部に対応する凹部が形成されている請求項1又は2記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記スカート部上部には、容器口部外面と密着するシール部が形成されている請求項1又は2記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記天面から上方に延びる内側壁、該内側壁の上端から外方に延びる環状部を介して前記スカート部に連結する、落とし蓋形状である請求項1又は2記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記内側壁に、適用される容器の内径よりも大きい外径を有するキャップ径方向外方に突出する環状突出部が形成されている請求項5記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記天面の外周縁には、カウンターシンク部が形成されている請求項5記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記天面が、軸方向上方に凸のドーム形状である請求項5記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記合成樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである請求項1又は2記載の合成樹脂製キャップ。
- ボトルに適用される請求項1又は2記載の合成樹脂製キャップ。
- 請求項1記載の合成樹脂製キャップの製造方法であって、合成樹脂製シートを用いて熱成形によりキャップ形状に賦形し、賦形後のキャップ内部から無理抜きにより離型することを特徴とする合成樹脂製キャップの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022177287A JP2024067315A (ja) | 2022-11-04 | 2022-11-04 | 合成樹脂製キャップ及びその製造方法 |
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Publications (1)
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JP2024067315A true JP2024067315A (ja) | 2024-05-17 |
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ID=91068147
Family Applications (1)
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JP2022177287A Pending JP2024067315A (ja) | 2022-11-04 | 2022-11-04 | 合成樹脂製キャップ及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2024067315A (ja) |
-
2022
- 2022-11-04 JP JP2022177287A patent/JP2024067315A/ja active Pending
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