JP2024066305A - 細胞剥離装置、及び細胞剥離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い剥離率で細胞を剥離する細胞剥離装置を提供する。【解決手段】 細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する細胞剥離装置であって、細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、培養容器は、培養面とは反対側の面に突出部を有し、振動子、振動板、音響伝達媒体、及び培養容器がこの順に重ねて配置される際に、音響伝達媒体及び振動板が突出部と接しないように細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、細胞剥離装置、及び細胞剥離方法に関する。
近年、再生医療で用いられる細胞や、バイオ医薬品等の製造に用いられる細胞を培養する細胞培養が盛んに行われている。細胞培養は、接着培養と浮遊培養に大別される。とりわけ、接着培養は様々な細胞の培養に適しており、広く用いられている。接着培養において、培養した細胞を利用するために、細胞が接着する足場から細胞を剥離する工程が行われる。そこで、細胞に対するダメージを低減しながら、高い剥離率で細胞を回収する剥離条件の検討がされている。
特許文献1に、培養細胞群の細胞接着性を低下させる剥離液を、培養細胞群が収容された培養容器に供給し、加振装置によって培養容器を振動させることで培養細胞群を培養容器の内壁から剥離させる細胞回収装置が開示されている。
特開2008-79554号公報
発明者らは、培養細胞群が収容された培養容器として底面に突出部を有するディッシュを用いて、ディッシュを加振装置に接触させる検討を行った。その結果、加振装置から培養容器に収容された培養細胞群へと振動が伝達される振動伝達経路として、ディッシュ底面と突出部との複数の振動伝達経路が存在するため、振動制御が複雑であることを見出した。複数の振動伝達経路が存在する場合、伝達される振動どうしが干渉するため、細胞に付与される振動が強すぎたり弱すぎたりすることで細胞の剥離率が低下する場合があった。
本発明は上述の課題に対処するためになされたもので、高い剥離率で細胞を剥離する細胞剥離装置を提供するものである。
本発明に係る細胞剥離装置は、細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する細胞剥離装置であって、細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、培養容器は、培養面とは反対側の面に突出部を有し、振動子、振動板、音響伝達媒体、及び培養容器がこの順に重ねて配置される際に、音響伝達媒体及び振動板が突出部と接しないように細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする。
本発明に係る細胞剥離装置は、細胞の培養容器の培養面に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する細胞剥離装置であって、細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、振動子、振動板、音響伝達媒体、及び培養容器がこの順に重ねて配置される際に、培養容器は、培養面とは反対側の面に突出部を有し、突出部と振動板とが最も近い位置における突出部と振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さいことを特徴とする。
本発明に係る細胞剥離方法は、細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する細胞剥離方法であって、培養面とは反対側の面に突出部を有する培養容器と音響伝達媒体と振動子と振動板とを有する細胞剥離装置とを用いて、振動子、振動板、音響伝達媒体、及び培養容器がこの順に重ねて配置された状態で、細胞に振動を付与し、音響伝達媒体及び振動板が突出部と接しない状態で、細胞に振動を付与することを特徴とする。
本発明に係る細胞剥離方法は、細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する細胞剥離方法であって、培養容器の培養面とは反対側の面に突出部を有する培養容器と、音響伝達媒体と、振動子及び振動板を有する細胞剥離装置とを用いて、振動子、振動板、音響伝達媒体、及び培養容器がこの順に重ねて配置された状態で、細胞に振動を付与し、突出部と振動板とが最も近い位置における突出部と振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さい状態で、細胞に振動を付与することを特徴とする。
本発明によれば、高い剥離率で細胞を剥離する細胞剥離装置を提供する振動剥離装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る細胞剥離装置の一例を示す(a)上面図及び(b)断面概略図である。 本発明の実施形態に係る細胞剥離装置の一例を示す(a)上面図及び(b)断面概略図である。 本発明の実施形態に係る細胞剥離装置の一例を示す(a)上面図及び(b)断面概略図である。 本発明の実施の形態に係る培養容器の概略図である。 本発明の実施の形態に係る中凸形状シリコーンゴムの概略図である。 本発明の実施の形態に係る振動子の概略図である。 本発明の実施の形態に係る位置決め治具の(a)上面図及び(b)側面図である。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施形態に係る細胞剥離装置を説明するが、本発明の実施形態は、以下の実施例により限定されるものではない。
(基本構成)
本発明の一実施形態に係る細胞剥離装置10は、振動子12及び振動板11を有する。細胞剥離装置10が細胞に振動を付与する際には、振動子12、振動板11、音響伝達媒体13、及び培養容器21は、この順に重ねて配置される。本発明の一実施形態に係る細胞剥離装置は、培養容器21の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって細胞を剥離する。
なお、振動子12、振動板11、音響伝達媒体13、及び培養容器21のそれぞれの間に別の部材を有する構成であってもよい。細胞に付与する振動は、超音波帯域の振動であってもよい。ここで、超音波帯域の振動とは、20kHz以上の周波数の振動である。なお、細胞剥離装置10は、音響伝達媒体13が予め設置された構成であってもよい。細胞剥離装置10は、音響伝達媒体13を含まず、細胞剥離装置10に音響伝達媒体13をユーザが設置する構成であってもよい。また、細胞剥離装置10は、振動子12に電圧を印加し駆動させることで、細胞に振動を付与する制御部を備えていてもよい。音響伝達媒体は、音響伝達材料、音響マッチング材、及び、伝達媒体と呼ぶこともできる。
ここで、「細胞を剥離する」とは、細胞の培養容器への接着を弱め、細胞を回収できる状態にすることを指す。このとき、剥離された細胞は、個々の細胞として遊離した状態であってもよいし、複数個の細胞どうしが接着している状態であってもよい。また、後述するように、剥離された細胞がシート状になっていてもよい。
細胞剥離装置は、振動発生部として、振動子、振動板を備える。振動機構は、自身が伸縮する圧電材料を含む振動子と、振動子に接着された振動板との硬さの組み合わせによって振動を増幅させた屈曲振動を発生させるものである。振動機構は振動子の構造要因による共振を利用するもので、共振周波数で大きな振動を得ることができる。
(培養容器)
細胞培養分野で広く利用されている細胞培養用途の容器には、ディッシュとフラスコとウェルプレートがある。特にディッシュは、コーニング社、サーモフィッシャーサイエンティフィック社、日本のAGCテクノガラス社(Iwaki)社のディッシュが汎用のディスポーザブル容器として用いられている。
細胞を培養する培養容器である各社のディッシュの形状は図4の概略図の通りであり、ディッシュの寸法は表1の通りである。培養面とは、ディッシュの側壁に囲まれた面であって、細胞を培養する際には培養面に細胞が接着する。表1の(a)はディッシュ内径、(b)は突出部長さ、(c)は底面反り高さ、(d)は突出部の幅である。ここで、ディッシュ内径とは、ディッシュ底面の内、ディッシュ底面の端部にある突出部23の内側の領域の直径である。突出部23は、培養容器の培養面とは反対側の面であるディッシュ底面に設けられ、ディッシュ底面に略垂直な方向に突出している。突出部23は、ディッシュ底面の端部に円形に設けられていてもよく、切り欠きを有していてもよい。
突出部23の主な役割として、培養容器底面を傷つけないこと、容器同士を重ねることを可能とすること、作業台上に置いた際、直接培養容器底面に作業台の温度が伝わらないことなどが考えられる。(c)の底面反り高さは、ロットによるばらつきだけでなく、ロット内でもばらつきが大きい。なお、培養容器21の寸法は表1に示す寸法に限らず、任意の大きさの培養容器21を用いることができる。培養容器21の突出部23が振動板11に駆動中に接触する場合、振動板11に形成された振動波形が低減され細胞剥離に要する振動振幅が得られず、剥離率の低下の要因となり望ましくない。
細胞培養用途の容器は、汎用品のディッシュ、フラスコ、ウェルプレートが広く用いられているが、本発明では特に限定するものではない。その時、培養容器の材質は、化学的に安定であり、所望の細胞を培養可能な材質であればよい。培養容器の材質として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミド誘導体、ポリスルホン、セルロース、セルロース誘導体、ポリシリコーン、ポリメチルペンテン、ガラス、及び金属からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。この中でもポリスチレンが好ましい。
Figure 2024066305000002
(第1の実施の形態)
(装置構成)
本発明の第1の実施の形態である細胞剥離装置を図1に示す。
細胞剥離装置は、振動発生部101として、振動子12、振動板11を備える。振動機構は、自身が伸縮する圧電材料を含む振動子12と、振動子12と接着された振動板11との硬さの組み合わせによって振動を増幅させた屈曲振動を発生させるものである。振動機構は振動子の構造要因による共振を利用するもので、共振周波数で大きな振動を得ることができる。
図1では、代表的な振動発生部101として、円環型振動子を記しているが、大振幅が得られるランジュバン振動子または矩形型振動子であっても構わない。
共振によって振動板11に形成した振動を、細胞を培養させた培養容器21に効率的に伝達させるために、音響伝達媒体13を振動板11と培養容器21の間に介在させる。直接、振動板11に培養容器21を設置すると、接触部が点接触となり、鳴き、発熱の発生など振動以外のエネルギーとして消費されるため効率悪化の要因となる。
音響伝達媒体13は、基本的には培養容器21の底面に対して十分に広い面積で設置されていることが好ましい。具体的には、密着面積が30%以上100%未満であることが望ましい。ここで、密着面積とは、音響伝達媒体13と培養容器21とが接する領域の面積の、培養容器21の底面の突出部23より内側の領域の面積に対する割合である。100%近い密着面積では、定在波モードの振動モードで、振動板13で発生した振動による慣性力を受けた培養容器21上の細胞の結合力を弱める効果から十分高い剥離率を得られるものであった。
しかし、培養容器21となる汎用品の各社容器には底面の形状のばらつきがあり、音響伝達媒体13を培養容器21の形状に倣わせても完全に密着させることができない場合がある。密着面積が少なくとも30%であれば、進行波モードの振動モードを定在波モードと組み合わせることが有効である。進行波モードで剥離液に生じた径方向の大きな流れの流動による剪断応力によって、音響伝達媒体13が直接接していない領域の細胞を剥離することが可能である。
振動板11及び振動子12を固定するために、図1の上カバー18、下カバー17、緩衝材16、ボルト19によって、振動板11及び振動子12の端部を挟み込む構造をとるが、端部の挟み込む圧力は振動板11に発生する振動を阻害しない程度に締め付ける。非図示の緩衝材として、振動子12と下カバー17の間か、下カバー17の下側に、フェルトまたはスポンジを含む部材を設けてもよい。非図示の緩衝材を設けることで、振動板11及び振動子12の振動が他の部材との接触によって低減されにくくすることができる。
培養容器21と音響伝達媒体13との間に空気層が入ると超音波が反射するため、効率的に培養容器21に振動が伝達されない。このため培養容器21と音響伝達媒体13との密着性を上げるために、培養容器上蓋22上に円環形状の錘15を設置する。錘15の重量は60mmディッシュの場合、100gから600gであることが好ましい。錘15が重過ぎると振動そのものを押さえつけ、阻害することの他に、培養容器21自体が撓んでしまうことで振動伝達状態が不均一になり、剥離率低下の要因となる。この時、振動の絶縁性を考慮し、錘15による荷重が好ましいが、振動を阻害しない程度であれば、バネや板バネによる荷重方法であっても構わない。
振動子12の駆動には、共振周波数の電圧を供給する交流電源を用いて、培養容器21の細胞培養面に所望の振動波形が形成できる振動モードの周波数で、かつ、所望の振幅が得られる電圧を印可することで細胞剥離装置を駆動させる。この時、振動子12に備えるセンサ相であるS相の電圧をオシロスコープで計測すると、振動子12自身が歪むことで発生させた電圧を直接モニタすることができ、振動発生部101の振動状態を確認しながら駆動することができる。また、細胞剥離工程中の温度を計測できる熱電対を振動に影響ない箇所に設置することで、モニタしながら駆動させることができる。温度測定に赤外線温度計測器を用いても構わない。
(振動板)
本発明の一実施形態における振動発生部101に含まれる振動板11は、ガラス、金属、及び石英からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。振動板11に用いる金属は、SUSまたはアルミニウムであってもよい。振動板11をガラス、金属、石英にすることで、破損することなく超音波領域の比較的高い駆動周波数で大きい振幅を出力することができる。
円板形状の振動板11と円環形状の振動子12を備える振動発生部101の場合、振動板11の外径寸法は振動子12の外径寸法と等しいことが好ましい。振動子12と振動板11とが接着され、撓み振動した際に撓みの厚さ方向の中点、つまり撓みの際、引っ張り、圧縮のどちらもならない中立面が振動板側にあることが、振動子12の歪を効率良く撓みに利用するために好ましい。
また、振動板11が、音響伝達媒体13を振動板11上に配置する位置を示すマーカー(ラベル、印刷、刻印など)を有していてもよい。振動板11がマーカーを有することで、ユーザが適切な位置に音響伝達媒体13を簡単に配置することができる。
第1の実施の形態では、培養容器21の突出部23が振動板11及び音響伝達媒体13に接しない構造とする。図1の概略図の通り、振動子12、振動板11、音響伝達媒体13、及び培養容器21をこの順に重ねて配置される方向(図1のy方向)において突出部23の位置を振動板11に投影した位置を含む領域に、溝14を設ける。これにより、直接振動板11から培養容器21へと振動が伝達されず、音響伝達媒体13から培養容器21の底面へのみ振動が伝達されることができる。
培養容器21の突出部23と振動板11が接しない、とは、実質的に培養容器21の突出部23が直接振動板11の振動面と接触しないことであり、好ましくは前記突出部23が中空にあることである。また、振動板11の振動が突出部23から培養容器21に伝達されない程度の緩衝材があっても構わない。すなわち、音響伝達媒体と振動板との少なくともいずれかが緩衝材を介して突出部と接し、かつ音響伝達媒体と振動板とが緩衝材を介さずに突出部と接しないように細胞剥離装置が構成されていてもよい。緩衝材は、フェルトとスポンジの少なくともいずれかであることが好ましい。
さらに言い換えれば、突出部と振動板とが最も近い位置における、突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0より大きく0.90より小さいことが望ましい。突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0.90より小さいことによって、振動が伝わりにくくなり、振動の干渉を低減することができる。突出部と振動板との間に存在する物質の比重は、0.80より小さいことが望ましく、0.50より小さいことが望ましい。
ここで、比重は、例えば比重瓶法によって算出される。温度、圧力が一定の環境で、空の比重瓶の質量W0、水を充填した比重瓶の質量W1、及び試料を充填した比重瓶の質量Wを測定する。試料の比重Sは次の式で算出される。
S=(W-W0)/(W1-W0) (式1)
図1の(A)に示す溝14の深さは、突出部23の長さ(図4(b))よりも大きいことが好ましい。また、図1の(B)に示す溝14の幅は、突出部23の幅(図4(d))よりも大きいことが好ましい。
ここで、溝14の深さとは、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器を重ねて配置される方向における溝14の深さを指す。突出部23の長さは、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器を重ねて配置される方向における突出部23の長さを指す。また、溝14の幅とは、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器を重ねて配置される方向に垂直な方向における溝14の幅を指す。突出部23の幅とは、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器を重ねて配置される方向に垂直な方向における突出部23の幅を指す。
具体的には、各培養容器の寸法一覧を示す表1に示すように、各培養容器21の突出部23の長さが0.5mmから0.6mmであることから、溝14の深さは0.6mmより大きい必要がある。また、溝14の幅は突出部23の幅である0.7mmより広い必要があるが、培養容器21を設置する位置精度を考慮し、3.0mm以上であることが好ましい。また、必要以上の溝14の深さ、幅は振動板11の強度低下や、所望の振動モードの振幅低下を招く恐れがあるため、溝14の深さは1.5mmより浅く、幅は7.0mmより狭いことが好ましい。また、振動面と溝14の上部境界部にはテーパが形成されてもよい。テーパを形成することで、培養容器21が傾いた際に干渉しない効果や振動板11に発生する応力集中を緩和させる効果がある。
(音響伝達媒体)
音響伝達媒体13の要件として、振動を発生する振動板11と振動を伝える対象の培養容器21との整合が必要である。整合には音響インピーダンスなどの物性的な整合の他、密着性の機械的な整合も必要である。特に本発明に係る一実施形態の細胞剥離装置は、振動板11の振動波形を培養容器21の細胞培養面に形成するため、広い面積で密着できるように機械的な整合が重要である。
培養容器21として、市販のディッシュ型の容器を用いた場合、音響伝達媒体13として荷重で容易に変形するグリセリンなどの低分子材料や水を用いることができる。このとき、培養容器21を振動板11上に重ねて配置したとき、培養容器21の突出部23が直接振動板11に接触し、振動伝達経路が複数存在することになり、発生した振動が複雑化し、制御が困難となる場合があった。
本発明に係る一実施形態の細胞剥離装置では、主体的に振動を制御するために、培養容器21の突出部23が直接接触しない。さらに、振動板11の振動を効率良く培養容器21底面に伝達させるために、培養容器21を支持できる高分子材料のゴムやゲルを音響伝達媒体13として用いた。用いることができる高分子材料は、具体的には、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂、及び天然ゴムからなる群から選択される少なくとも1種を含む材料である。また、駆動周波数の周波数帯域での減衰の少ない物性であることで伝達効率が高く、さらに音響伝達媒体自身の発熱が低減できることから、音響伝達媒体13はシリコーンゴムを含むことが好ましい。
表1より、各培養容器21となる容器の底面形状が単純に平面でなく、反っていることが分かる。このことから、広い面積を密着させるためには音響伝達媒体13は底面形状に倣う必要がある。すなわち、音響伝達媒体13が培養容器21と接する面は凸の曲面を含むことが望ましい。例えば、表1のAGCテクノガラス社製Φ60mmディッシュの場合、底面の反りが0.10mm~0.70mmである。この場合、例えば、図5の様な中凸形状であり、中央高さ(A)が0.8mm、側面高さ(B)が0.4mm、直径(C)が48mmの硬度10°の高分子材料であるシリコーンゴムを音響伝達媒体13として用いる。このとき、密着面積は60%となり、300gの錘15を載せた際、音響伝達媒体13である高分子材料の潰れと培養容器21の撓みによって、密着面積が90%となる。
広い密着面積とするために、音響伝達媒体13の高分子材料の中心と培養容器21の中心が重なることが好ましい。音響伝達媒体13と培養容器21との位置合わせを行う方法の例として、位置決め治具を後述するが、位置決め治具に限らず他の方法を用いてもよい。
また、音響伝達媒体13が培養容器21と接する面の表面に凹凸があることが好ましい。表面に凹凸があることで、錘15を載せたとき、凸部が潰れて結果として広い面積で密着することができる。さらに、高い細胞剥離性能を発揮した後、錘15を取り除くと、音響伝達媒体13と培養容器21が容易に取り外せるといった効果もある。
また、同様に取り外しを容易にする目的で、音響伝達媒体13の高分子材料の培養容器に接触する面をフッ素コートしても構わない。
また、音響伝達媒体13は、細胞剥離状況を直接観察するためには、透明であることが好ましい。
(振動子)
第1の実施の形態では円環形状の振動子12を用いたが、振動板11を撓ませる振動子12の形状は、円環形状、円板形状であっても構わない。細胞剥離状況を直接観察するためには、培養容器11下部の視野を確保できる円環形状が好ましい。
振動子12は、分極処理を施すことで圧電特性を発揮するが、図6の通り、電極パターンに応じて分極の極性を変えて構わない。分極処理した振動子12は、入力した交流電圧の位相を電極パターン毎に制御することで、定在波モード、進行波モードの振動モードを励振することができる。プラスに分極した電極に対して、マイナスに分極した電極に180度の位相差を付けた交流電圧を印加することで定在波が発生する。これに対し、図6の様に、左右にA相、B相と電極を分けたとき、A相とB相の位相差を90度にした交流電圧を印加すると、2相駆動の進行波が発生する。
電極パターンは、Agを印刷法で形成したが、電極材料にはAgの他、Au、Pt、Pd等の貴金属やCu等の卑金属でも構わない。形成方法は印刷法、メッキ法、スパッタ法であっても構わない。
振動発生部101に用いた振動子12に含まれる圧電材料の組成はPbZrTiO(PZT)を用いたが、環境規制を考慮して実質的にPbを用いない非鉛圧電材料であることが好ましい。非鉛圧電材料には、主成分がBaTiO(BT)、NaNbO、BiNaTiO、及びBiFeOからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられ、それぞれの組み合わせや、主成分に金属元素が添加されていても構わない。特に、BaTiO(BT)系材料で、PbZrTiO(PZT)と同等の振動性能を確認した。また、セラミックス以外の材料として、単結晶材料、高分子系圧電材料でも構わない。
接着された振動子12と振動板11が、撓み振動した際に、撓みの厚さ方向の中点、つまり、撓みの際、引っ張り、圧縮のどちらともならない中立面が振動板11側にあることが、振動子12の歪を効率良く撓みに利用するために好ましい。このため、振動子12と振動板11の厚さの組み合わせは、振動子12の硬さと振動板11の硬さの関係に基づいて設定した。
(位置決め治具)
細胞剥離装置に培養容器21を設置する際、培養容器21の中心と細胞剥離装置の振動板11および音響伝達媒体13の中心を一致させることで、底面に反りのある培養容器21であっても音響伝達媒体13との間に空気層の無い密着状態を形成することができる。図1及び図3に示すように、培養容器21の外周部を位置決めピン24で突き当て、中心を位置合わせすることができる。また、図7のように、中心位置が決められている円環状の保持リング25に培養容器21を設置してもよい。Z軸ステージブラケット26のダイヤル27で上下に移動することで、位置決め治具102の底板28の台座用位置決め29で位置出しされた音響伝達媒体31の中心に対し、正確に培養容器21を設置することができる。
位置決め治具を用いずに正確に音響伝達媒体と振動板11の中心が一致していない場合、培養容器21の突出部23が振動板11に駆動中に接触する可能性がある。この時、振動板11に形成された振動波形が低減され細胞剥離に要する振動振幅が得られず、剥離率の低下の要因となる。
(装置駆動)
細胞剥離装置で形成できる振動波形は、円板状の振動板11の中心から同心円状に形成される定在波モードと、振動子12を径方向に位相を変えて振動させることで、振動板11上に径方向の振動波形を形成する進行波モードがある。それぞれ振動子12に共振周波数で電圧を印可することで振動波形が形成でき、その共振周波数、振動波形形状は振動子12の形状と硬さ、密度などの材料物性値を用いた構造計算で算出した。
細胞剥離で用いることができる振動波形は培養容器21の細胞培養面を一定の振幅、例えば1μmの振幅で振動することができるものであれば、利用することができる。基本的に、低周波から高周波まで、例えば超音波領域では20kHzから150kHzまで周波数掃引した際に、共振する振動が検出できる。低周波側で検出した振動は振幅が大きいが加速度は小さい。これに対し、高周波側で検出した振動は、振幅が小さいが加速度は大きい。
培養容器21に対する培養細胞の接着力を弱める力を付与する条件は、細胞の接着力、細胞のサイズや形状によるところが大きい。さらに、剥離液に生じる流動についても振幅、加速度によって異なるため、様々な組み合わせが存在する。また、単純に大きな振幅、大きな加速度では、細胞の生存率を低下させる要因となるキャビテーションの発生を促進することから好ましくない。
また、振動子12を連続駆動すると振動子12自身の発熱から共振周波数が低周波側にシフトするため、周波数を固定して駆動し続けると振幅が小さくなる。このため、一定時間振幅させた後、休止時間を設け、自己発熱による温度上昇を低減する駆動方法を用いて駆動させることで十分な振幅を得ることができる。あるいは、一定の周波数幅で高周波側から低周波側へ掃引を繰り返し、たとえ発熱しても必ず共振周波数を経る駆動方法を用いて駆動させることで十分な振幅を得ることができる。
(振動子振動評価)
細胞剥離装置の振動板の振動波形はレーザードップラー振動計(グラフテック社AT7200)で計測することができる。振動波形を計測するためには、所望の共振周波数、電圧で細胞剥離装置を駆動し、振動板11表面をレーザーでXY方向の2次元的にスキャンする。このとき、例えば振動板11表面を1mm間隔でスキャンする。スキャンによって、各点の振動速度が得られ、計算よりZ方向の振幅を算出することができる。この結果、振動板11の振動波形を3次元的に構成することができ、駆動時の振動の振幅の大きい腹と振動しない節の位置を動的に把握することができる。振動板表面のうち、振動の振幅が極大になる位置を腹部、振動の振幅が局所になる位置を節部とする。
培養容器21の細胞培養面の振動計測も同様の構成で計測することができる。このとき、振動板11上に音響伝達媒体13を設置する。また、培養容器21をレーザーが反射するように金属、例えばAgを蒸着法で培養容器21内面に成膜する。培養容器21と音響伝達媒体13との間に空気層が入らないようにし、設置する必要がある。この時、前記空気層を入れない方法として、真空チャンバーで真空引きしても構わない。
細胞剥離装置を駆動させる目的の共振が、培養容器21が同心円に振幅する定在波モードである場合、目的の共振周波数付近で掃引し、培養容器21の中央部の振幅を測定する。さらに、最も振幅の大きい周波数で培養容器21の培養面全体を2次元的にスキャンすることで、培養容器21の培養面に発生した振動波形を3次元的に把握できる。
(細胞の培養条件)
細胞の培養条件は、培養する細胞に従って適宜選択し得る。一般的には、培養容器21内に適切な培地を添加し、そこに1.0×10~5.0×10cells/cm程度の細胞を播種し、37℃、CO濃度5%の環境下で培養する。この際、培養容器21中の細胞占有面積率が7~8割程度、いわゆるサブコンフルエントの状態になるまで培養するのが好ましい。なお、細胞が培養面を覆ったコンフルエント状態になるまで培養し、シート状に培養された状態(細胞シート)であっても構わない。
(剥離試験)
細胞剥離装置は、様々な種類の細胞に適用することができる。細胞には、例えばチャイニーズハムスター卵巣由来CHO細胞、マウス結合組織L929細胞、マウス骨格筋筋芽細胞(C2C12細胞)、ヒト胎児肺由来正常二倍体線維芽細胞(TIG-3細胞)、ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK293細胞)、ヒト肺胞基底上皮腺癌由来A549細胞、ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞、上皮細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、ニューロン細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、肝実質細胞、肝非実質細胞、脂肪細胞、誘導多能性幹(iPS)細胞、胚性幹(ES)細胞、胚性生殖(EG)細胞、胚性癌(EC)細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、各組織の前駆細胞、及びそれらから分化誘導した細胞からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
細胞剥離工程では、細胞を培養する工程で用いた培養液を、剥離液に置換する必要がある。剥離液は、通常、タンパク質分解酵素を含有している。タンパク質分解酵素として、例えばトリプシン、アキュターゼ、コラゲナーゼ、天然プロテアーゼ、キモトリプシン、エラスターゼ、パパイン、プロナーゼ、及びそれらの組み換え体からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。しかし、タンパク質分解酵素が細胞の有する膜タンパク質を分解する可能性が懸念される。膜タンパク質が分解されることで、細胞の接着性などの特性が低下する可能性がある。これに対し、本件の細胞剥離手法では、タンパク質分解酵素を用いない、またはタンパク質分解酵素を用いても極少量のタンパク質分解酵素で同様の効果を発揮することから、細胞の膜タンパク質の分解を低減する効果がある。細胞の膜タンパク質を減少しにくくするために剥離液に培地成分が含まれていても構わない。
培養液を剥離液に交換した培養容器21を細胞剥離装置へ設置し、保温機内で一定温度、例えば37℃で保持した状態で細胞剥離装置を駆動する。細胞剥離装置は細胞剥離に十分な長さの駆動時間で駆動する。細胞剥離装置の駆動後、スポイトで剥離した細胞を回収し、培養容器21に接着している細胞をピペッティング法で回収する。剥離率は、細胞剥離装置の振動による剥離細胞数とピペッティング法による剥離細胞数との合算数に対する、細胞剥離装置の振動による剥離細胞数の割合である。生存率は、細胞剥離装置の振動により回収した細胞の中で、生存している細胞の割合である。また、細胞剥離後の培養容器21の底面に残った残細胞をバックライトによる散乱光を用いて観察することができる。
(実施例1)
以下に第1の実施の形態の実施例1を示す。
実施例1には、図1の細胞剥離装置を用いた。培養容器21には、表1のコーニング社製Φ60mmディッシュを用いた。細胞剥離装置の振動板11は、外径が70mm、厚さが4mmであり、培養容器21の突出部23が接触しないように溝14を形成したガラスを用いた。溝14の寸法は、内径50mm、幅5mm、深さ1mmとした。振動子12に含まれる圧電材料の材料組成はPZT、外径は振動板と同じ70mm、内径は57mmであり、厚さは中立面が振動板11側にあることを考慮し、2mmとした。振動板11上には、音響伝達媒体13として、中央高さ(A)が0.9mm、側面高さ(B)が0.4mm、直径(C)が48mmの中凸円板形状の硬度30°のシリコーンゴムを配置した。なお、ここでの音響伝達媒体13の寸法は図5に示す箇所の寸法である。
図1のように細胞剥離装置を組立て、振動板11上に配置したシリコーンゴム上に、細胞を培養した培養容器21であるコーニング社製Φ60mmディッシュを配置した。このとき、位置決めピン24でディッシュの中心を音響伝達媒体13の中心と位置合わせをしながらディッシュを配置した。この時、音響伝達媒体と培養容器との密着面積は30%であった。なお、密着面積とは、音響伝達媒体13と培養容器21とが接する領域の面積の、培養容器21の底面の突出部23より内側の領域の面積に対する割合である。
細胞の培養では、CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞をコーニング社製Φ60mmディッシュに10000cells/cmの密度で播種し、37℃、CO濃度5%の環境下で培養した。培地はHam’s F12(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)にFetal Bovine Serum(シグマアルドリッチ社製)を10%、ペニシリン-ストレプトマイシン(10000U/ml、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を1%添加したものを用いた。培養は48時間行ない、位相差顕微鏡で細胞の様子を観察し、細胞接着ならびに増殖を確認した。ディッシュの細胞占有面積率は8割程度であった。
(細胞の剥離)
ディッシュ内の培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で洗浄した。その後、剥離液としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)をディッシュ内に添加し、3分間浸漬させた。
その後、培養容器を細胞剥離装置に配置し、環境温度37℃において定在波モードで1分30秒間周波数掃引振動(周波数22-27kHz、周波数掃引周期1s、電圧100V)で細胞を剥離させた。その後、位相を切り替え、進行波モードで1分30秒間周波数掃引振動(周波数22-27kHz、周波数掃引周期1s、電圧100V)で細胞の剥離を行った。
剥離した細胞は回収した後、血球計算盤を用いて細胞数の測定及びトリパンブルー染色による生死判別法を用いて生存率を算出した。はじめに、剥離した細胞の懸濁液と0.4%トリパンブルー溶液を1:1で混合し、懸濁液に含まれる死細胞を染色した。続いて、懸濁液を血球計算盤(NanoEntek製、DHC-N01)に注入し、血球計算盤のグリッド上にある生細胞および死細胞の数を顕微鏡観察によりカウントした。細胞剥離装置の振動によって剥離された細胞において、カウントされた生細胞数の全細胞数に対する割合を算出し、生存率とした。
また、超音波剥離後のディッシュに対して、セルスクレーパーを用いて超音波で剥離できなかった細胞も全て剥離した。剥離した細胞の懸濁液を血球計算盤(NanoEntek製、DHC-N01)に注入し、顕微鏡観察することによって、剥離された細胞の数を測定した。超音波で剥離した全細胞数とその後セルスクレーパーで剥離した細胞数を合わせて総剥離細胞数とし、総剥離細胞数に対する超音波剥離細胞数の割合を剥離率と定義し、算出した。結果、生存率は98.5%、剥離率は94.9%であった。なお、生存率、剥離率ともに90%以上を良好と判断した。
(第2の実施の形態)
図2の概略図は、培養容器21の突出部23に接触しない外形寸法の振動板11を有する細胞剥離装置である。第2の実施の形態において、図2の(A)に示す振動板11の直径は、図2の(B)に示す培養容器21の内径よりも小さいことが望ましい。ここで、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器が重ねて配置される方向に垂直な平面内における振動板11の断面は、円形であり、振動板11の直径とは、前記断面の直径を指す。
培養容器21の突出部23と振動板11が接しない、とは、実質的に培養容器21の突出部23が直接振動板11の振動面と接触しないことであり、好ましくは前記突出部23が中空にあることである。また、振動板11の振動が突出部23から培養容器21に伝達されない程度の緩衝材があっても構わない。すなわち、音響伝達媒体と振動板との少なくともいずれかが緩衝材を介して突出部と接し、かつ音響伝達媒体と振動板とが緩衝材を介さずに突出部と接しないように細胞剥離装置が構成されていてもよい。緩衝材は、フェルトとスポンジの少なくともいずれかであることが好ましい。
さらに言い換えれば、突出部と振動板とが最も近い位置における、突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0より大きく0.90より小さいことが望ましい。突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0.90より小さいことによって、振動が伝わりにくくなり、振動の干渉を低減することができる。突出部と振動板との間に存在する物質の比重は、0.80より小さいことが望ましく、0.50より小さいことが望ましい。
例えば、表1のサーモフィッシャーサイエンティフィック社製のΦ60mmディッシュでは、培養容器の内径が52.2mmであるため、振動板外径がΦ50mm以下であれば、振動板と突出部23が実質的に接触することがない。すなわち、ディッシュ底面の内、ディッシュ底面の外周部にある突出部23の内側の領域の直径よりも振動板の外径が小さいことで、振動板11と突出部23が直接接することを防ぐことができる。
なお、突出部23がディッシュ底面に略円形に設けられており振動板11が円板状である場合について説明したが、突出部23と振動板11の形状はこれらに限られず、振動板11と突出部23とが重ならなければよい。すなわち、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器が重ねて配置される方向(図2のy方向)において突出部の位置を振動板が存在する面に投影した位置と、振動板が重ならなければよい。このような構造では、細胞剥離処理後に直接培養容器下部を持ち上げ、培養容器を細胞剥離装置から容易に取り外すことを可能とする。
(実施例2)
実施例2では、培養容器21には、表1のサーモフィッシャーサイエンティフィック社製NuncΦ60mmディッシュを用いた。細胞剥離装置の振動板11として、外径50mm、厚さ2mmである、突出部23と接触しないガラス板を用いた。振動子12に含まれる圧電材料の主成分はBaTiO、外径は振動板と同じ50mm、内径は37mm、厚さは中立面が振動板11側にあることを考慮し、1mmとした。振動板11上には、音響伝達媒体13として、中央高さ(A)が0.8mm、側面高さ(B)が0.4mm、直径(C)が48mmの中凸円板形状の硬度10°のシリコーンゴムを配置した。なお、ここでの音響伝達媒体13の寸法は、図5に示す箇所の寸法である。図2のように細胞剥離装置を組立て、振動板11上に設置したシリコーンゴム上に、細胞を培養した培養容器21であるNuncΦ60mmディッシュを設置した。このとき、位置決め治具102を用いて音響伝達媒体13の中心と培養容器21の中心とを位置合わせして、培養容器21を設置した。この時、音響伝達媒体13と培養容器21との密着面積は85%であった。なお、密着面積とは、音響伝達媒体13と培養容器21とが接する領域の面積の、培養容器21の底面の突出部23より内側の領域の面積に対する割合である。
(細胞の剥離)
ディッシュ内の培地を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で洗浄した。その後、剥離液としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-)、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)をディッシュ内に添加し、3分間浸漬させた。
その後、培養容器を細胞剥離装置に設置し、環境温度37℃において定在波モードで3分間周波数掃引振動(周波数22-27kHz、周波数掃引周期1s、電圧100V)で細胞の剥離を行った。
剥離細胞検査は実施例1と同様の方法で行った。結果、生存率は98.0%、剥離率は95.7%であった。なお、生存率、剥離率ともに90%以上を良好と判断した。
(第3の実施の形態)
図3の概略図は、培養容器21を音響伝達媒体13の上に重ねて配置した際に、音響伝達媒体13の厚さが突出部23の長さよりも大きいことで、振動板11と突出部23とが接しないように構成された細胞剥離装置の概略図である。
培養容器21の突出部23と振動板11が接しない、とは、実質的に培養容器21の突出部23が直接振動板11の振動面と接触しないことであり、好ましくは前記突出部23が中空にあることである。また、振動板11の振動が突出部23から培養容器21に伝達されない程度の緩衝材があっても構わない。すなわち、音響伝達媒体と振動板との少なくともいずれかが緩衝材を介して突出部と接し、かつ音響伝達媒体と振動板とが緩衝材を介さずに突出部と接しないように細胞剥離装置が構成されていてもよい。緩衝材は、フェルトとスポンジの少なくともいずれかであることが好ましい。
さらに言い換えれば、突出部と振動板とが最も近い位置における、突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0より大きく0.90より小さいことが望ましい。突出部と振動板との間に存在する物質の比重が0.90より小さいことによって、振動が伝わりにくくなり、振動の干渉を低減することができる。突出部と振動板との間に存在する物質の比重は、0.80より小さいことが望ましく、0.50より小さいことが望ましい。
第3の実施の形態において、図3の(A)に示す、培養容器21を音響伝達媒体13の上に配置した際の音響伝達媒体13の厚さは、図3の(B)に示す培養容器21の突出部23の長さよりも大きいことが望ましい。培養容器21を音響伝達媒体13の上に重ねて配置すると音響伝達媒体13が押し潰れるが、その際の音響伝達媒体13の厚さが培養容器21の突出部23の長さよりも大きい場合、振動板11に直接接触することがない。ここで、音響伝達媒体の厚さとは、振動子、振動板、音響伝達媒体及び培養容器を重ねて配置される方向における、音響伝達媒体の厚さを指す。音響伝達媒体13自体の体積が大きくなると振動の伝達効率が低くなる恐れがあることから、使用する音響伝達媒体13の硬度が高いことが好ましい。
培養容器21の突出部23が振動板11に接しない構造とするために、各社培養容器21の突出部23の長さが0.5mmであることと、細胞剥離工程での錘15による荷重とを考慮して、音響伝達媒体13の厚さを決定する。振動板11上に設けた音響伝達媒体13の厚さは、0.8mm以上であることが好ましい。また、超音波透過性を考慮すると高分子材料では振動の減衰が大きいことから、音響伝達媒体13の厚さは1.5mm以下であることが好ましい。
(実施例3)
実施例3では、培養容器21には、表1のAGCテクノガラス社製IwakiΦ60mmディッシュを用いた。細胞剥離装置の振動板11は、外径70mm、厚さ4mm、材質には石英を用いた。振動子12に含まれる圧電材料の材料組成はPZT、外径は振動板11と同じ70mm、内径は57mm、厚さは、中立面が振動板11側にあることを考慮し、2mmとした。振動板11上には、音響伝達媒体13として、中央高さ(A)が0.7mm、側面高さ(B)が0.3mm、直径(C)が48mmの中凸円板形状の硬度50°のウレタンを設置した。なお、ここでの音響伝達媒体13の寸法は図5に示す箇所の寸法である。図1のように細胞剥離装置を組立て、振動板11上に設置したウレタン上に、細胞を培養した培養容器21のIwakiΦ60mmディッシュを設置した。このとき、位置決めピン24で培養容器21の中心を音響伝達媒体13の中心と位置合わせをしながら、培養容器21を設置した。音響伝達媒体13と培養容器21との密着面積は97%であった。なお、密着面積とは、音響伝達媒体13と培養容器21とが接する領域の面積の、培養容器21の底面の突出部23より内側の領域の面積に対する割合である。
CHO細胞の培養、細胞剥離工程、剥離細胞検査は実施例2と同様の方法で行った。
結果、生存率は99.0%、剥離率は93.0%であった。なお、生存率、剥離率ともに90%以上を良好と判断した。
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離装置であって、
前記細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、
前記培養容器は、前記培養面とは反対側の面に突出部を有し、
前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記音響伝達媒体及び前記振動板が前記突出部と接しないように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする細胞剥離装置。
(構成2)
前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記音響伝達媒体と前記振動板との少なくともいずれかが緩衝材を介して前記突出部と接するように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする構成1に記載の細胞剥離装置。
(構成3)
前記緩衝材は、フェルトまたはスポンジの少なくともいずれかを含むことを特徴とする構成2に記載の細胞剥離装置。
(構成4)
前記振動は超音波帯域の振動であることを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成5)
前記振動子、前記振動板、前記音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記重ねて配置される方向において前記突出部の位置を前記振動板に投影した位置を含む領域に、前記振動板が溝を有することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成6)
前記重ねて配置される方向における前記溝の深さは、前記重ねて配置される方向における前記突出部の長さよりも大きいことを特徴とする構成5に記載の細胞剥離装置。
(構成7)
前記重ねて配置される方向における前記溝の幅は、前記重ねて配置される方向に垂直な方向における前記突出部の幅よりも広いことを特徴とする構成5または構成6に記載の細胞剥離装置。
(構成8)
前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記重ねて配置される方向において、前記突出部の位置を前記振動板が存在する面に投影した位置と、前記振動板が重ならないことを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成9)
前記重ねて配置される方向に垂直な平面内において、前記振動板の断面は円形であり、
前記振動板の断面の外径は、前記培養容器の前記培養面とは反対側の面のうち前記突出部より内側の領域の直径より、小さいことを特徴とする構成8に記載の細胞剥離装置。
(構成10)
前記振動板はガラス、金属、及び石英からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする構成1乃至9のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成11)
前記重ねて配置される方向における、前記培養容器を前記音響伝達媒体に重ねて配置した際の前記音響伝達媒体の厚さは、前記重ねて配置される方向における、前記突出部の高さよりも大きいことを特徴とする構成1乃至10のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成12)
前記振動子、前記振動板、前記音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際の、前記培養容器の前記培養面とは反対側の面のうち前記突出部より内側の領域の面積に対する、前記培養容器が前記音響伝達媒体と接する領域の面積の割合は、30%以上100%未満であるように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする構成1乃至11のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成13)
前記音響伝達媒体の前記培養容器と接する面は、凸の曲面を含むことを特徴とする構成1乃至12のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成14)
前記音響伝達媒体の前記培養容器と接する面が表面に凹凸を有することを特徴とする構成1乃至13のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成15)
前記音響伝達媒体は、高分子材料を含むことを特徴とする構成1乃至14のいずれか一項に記載の細胞剥離装置。
(構成16)
前記高分子材料は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂及び天然ゴムで構成される群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする構成15に記載の細胞剥離装置。
(構成17)
前記高分子材料はシリコーンゴムを含むことを特徴とする構成15または16に記載の細胞剥離装置。
(構成18)
細胞の培養容器の培養面に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離装置であって、
前記細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、
前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、
前記培養容器は、前記培養面とは反対側の面に突出部を有し、
前記突出部と前記振動板とが最も近い位置における前記突出部と前記振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さいことを特徴とする細胞剥離装置。
(方法1)
細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離方法であって、
前記培養面とは反対側の面に突出部を有する前記培養容器と音響伝達媒体と振動子と振動板とを有する細胞剥離装置とを用いて、前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置された状態で、前記細胞に振動を付与し、
前記音響伝達媒体及び前記振動板が前記突出部と接しない状態で、前記細胞に振動を付与することを特徴とする細胞剥離方法。
(方法2)
細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離方法であって、
前記培養容器の前記培養面とは反対側の面に突出部を有する前記培養容器と、音響伝達媒体と、振動子及び振動板を有する細胞剥離装置とを用いて、前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置された状態で、前記細胞に振動を付与し、
前記突出部と前記振動板とが最も近い位置における前記突出部と前記振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さい状態で、前記細胞に振動を付与することを特徴とする細胞剥離方法。
11 振動板
12 振動子
13 音響伝達媒体
14 溝
15 錘
16 緩衝材
17 下カバー
18 上カバー
19 ボルト
21 培養容器
22 培養容器上蓋
23 突出部
24 位置決めピン
25 保持リング
26 Z軸ステージブラケット
27 ダイヤル
28 底板
29 台座用位置決め
101 振動発生部
102 位置決め治具

Claims (20)

  1. 細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離装置であって、
    前記細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、
    前記培養容器は、前記培養面とは反対側の面に突出部を有し、
    前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記音響伝達媒体及び前記振動板が前記突出部と接しないように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする細胞剥離装置。
  2. 前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記音響伝達媒体と前記振動板との少なくともいずれかが緩衝材を介して前記突出部と接するように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の細胞剥離装置。
  3. 前記緩衝材は、フェルトまたはスポンジの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項2に記載の細胞剥離装置。
  4. 前記振動は超音波帯域の振動であることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  5. 前記振動子、前記振動板、前記音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記重ねて配置される方向において前記突出部の位置を前記振動板に投影した位置を含む領域に、前記振動板が溝を有することを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  6. 前記重ねて配置される方向における前記溝の深さは、前記重ねて配置される方向における前記突出部の長さよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の細胞剥離装置。
  7. 前記重ねて配置される方向における前記溝の幅は、前記重ねて配置される方向に垂直な方向における前記突出部の幅よりも広いことを特徴とする請求項5に記載の細胞剥離装置。
  8. 前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、前記重ねて配置される方向において、前記突出部の位置を前記振動板が存在する面に投影した位置と、前記振動板が重ならないことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  9. 前記重ねて配置される方向に垂直な平面内において、前記振動板の断面は円形であり、
    前記振動板の断面の外径は、前記培養容器の前記培養面とは反対側の面のうち前記突出部より内側の領域の直径より、小さいことを特徴とする請求項8に記載の細胞剥離装置。
  10. 前記振動板はガラス、金属、及び石英からなる群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  11. 前記培養容器を前記音響伝達媒体に重ねて配置した際の、前記重ねて配置される方向における前記音響伝達媒体の厚さは、前記重ねて配置される方向における前記突出部の高さよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  12. 前記振動子、前記振動板、前記音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際の、前記培養容器の前記培養面とは反対側の面のうち前記突出部より内側の領域の面積に対する、前記培養容器が前記音響伝達媒体と接する領域の面積の割合は、30%以上100%未満であるように前記細胞剥離装置が構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  13. 前記音響伝達媒体の前記培養容器と接する面は、凸の曲面を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  14. 前記音響伝達媒体の前記培養容器と接する面が表面に凹凸を有することを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  15. 前記音響伝達媒体は、高分子材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。
  16. 前記高分子材料は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラニン樹脂及び天然ゴムで構成される群から選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項15に記載の細胞剥離装置。
  17. 前記高分子材料はシリコーンゴムを含むことを特徴とする請求項16に記載の細胞剥離装置。
  18. 細胞の培養容器の培養面に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離装置であって、
    前記細胞剥離装置は、振動子と振動板とを有し、
    前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置される際に、
    前記培養容器は、前記培養面とは反対側の面に突出部を有し、
    前記突出部と前記振動板とが最も近い位置における前記突出部と前記振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さいことを特徴とする細胞剥離装置。
  19. 細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離方法であって、
    前記培養面とは反対側の面に突出部を有する前記培養容器と音響伝達媒体と振動子と振動板とを有する細胞剥離装置とを用いて、前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に配置された状態で、前記細胞に振動を付与し、
    前記音響伝達媒体及び前記振動板が前記突出部と接しない状態で、前記細胞に振動を付与することを特徴とする細胞剥離方法。
  20. 細胞の培養容器の培養面の上に設けられた細胞に振動を付与することによって前記細胞を剥離する細胞剥離方法であって、
    前記培養容器の前記培養面とは反対側の面に突出部を有する前記培養容器と、音響伝達媒体と、振動子及び振動板を有する細胞剥離装置とを用いて、前記振動子、前記振動板、音響伝達媒体、及び前記培養容器がこの順に重ねて配置された状態で、前記細胞に振動を付与し、
    前記突出部と前記振動板とが最も近い位置における前記突出部と前記振動板との間に存在する物質の比重は0より大きく0.90より小さい状態で、前記細胞に振動を付与することを特徴とする細胞剥離方法。
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