JP7198286B2 - トランスフェクション及びトランスダクションのための音響プロセス - Google Patents

トランスフェクション及びトランスダクションのための音響プロセス Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
この出願は、2018年3月9日に提出された米国仮特許出願第62/641,234号及び2018年4月6日に提出された米国特許出願第15/947,746号の優先権を主張し、これらのすべての内容全体は参照により本書に組み込まれる。
背景
本開示は、音響波を利用したトランスフェクション及びトランスダクションなどによって、外来核酸を細胞内へ導入する方法に関する。また、そのような方法によって生成される細胞及び関連する組成物も本開示に含まれる。そのような方法及び組成物は、細胞療法への適用において有用であり得る。
トランスフェクション及びトランスダクションは、核酸(DNA又はRNAのいずれか)を意図的に細胞内へ導入するためのプロセスである。トランスダクションは、バクテリオファージや他のウイルスなどのウイルスベクターを用いて行われる。アデノウイルス、レンチウイルス、パラミクソウイルスなどのウイルスが一般的に使用される。トランスフェクションとは、非ウイルス性の方法を用いて核酸を細胞内へ導入することである。
簡単な説明
本開示は、様々な実施形態において、音響波を使用して細胞のトランスフェクション又はトランスダクションを行うなどにより、外来核酸(DNA/RNA)を細胞内へ導入するためのプロセスに関する。非常に一般的には、音響波は、核酸を細胞に移すことができるように、細胞と核酸とを一緒にするために使用される。この目的のために音響デバイスを使用することができ、そのようなデバイスについて本書で説明する。また、そのような方法によって生成される細胞及び関連する組成物も本書の説明に含まれる。
様々な実施形態において本明細書に開示されるのは、細胞のトランスフェクション又はトランスダクションを引き起こすための方法である。核酸は、むき出しであってもよいし、ウイルスベクター中にあってもよい。細胞及び核酸は、例えば、それらを音響泳動デバイスに挿入される袋に入れることにより、又は、細胞及び核酸の両方を含む流体混合物を音響泳動デバイスに流すことにより、音響泳動デバイス内に配置される。音響泳動デバイスは、細胞及び核酸が配置される音響チャンバと、超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに対向するリフレクタとを含み、超音波トランスデューサは、音響チャンバ内に複数次元音響定在波を生成するために駆動可能な圧電材料を含む。超音波トランスデューサを駆動すると、音響定在波が生成される。その結果、細胞と核酸は音響定在波によって共配置(co-located)される。別の言い方をすると、細胞と核酸は、相互に反応可能な程度にお互いに十分に近接して配置される。音響定在波は、複数次元音響定在波であってもよいし、平面定在波であってもよいし、又は、両方の組み合わせであってもよい。
いくつかの実施形態では、核酸はウイルスベクター中に存在する。トランスダクションは、ウイルスがターゲット細胞に付着して核酸をターゲット細胞内に注入するときに起こり得る。他の実施形態では、細胞を核酸と共配置する前に、細胞の細胞膜に細孔が開けられる。トランスフェクションは、例えば前記細孔を介して、核酸が細胞に入るときに起こり得る。細孔は、エレクトロポレーション、ソノポレーション又はリン酸カルシウムへの曝露によって開くことができる。
細胞及び核酸(むき出し又はウイルスベクター中のいずれか)は、流体中に懸濁させてもよい。そのような流体は、細胞培養培地、水、生理食塩水などを含むことができる。
特定の実施形態では、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、エフェクターT細胞、ガンマデルタT細胞、ジャーカット(Jurkat)T細胞、CAR-T細胞、B細胞若しくはNK細胞であり、又は、末梢血単核細胞(PBMC)、藻類、植物細胞若しくは細菌である。
超音波トランスデューサは、約5分から約15分の期間駆動されてもよいが、この期間は必要に応じて変化させることができる。超音波トランスデューサは、約0.5MHzから約20MHzの周波数で駆動されてもよい。いくつかの実施形態では、複数次元音響定在波の周波数は、核酸に対して細胞を動かすための掃引パターンで変化する。
超音波トランスデューサの圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)又はニオブ酸リチウムであってもよい。音響泳動デバイスは、超音波トランスデューサを冷却するための冷却ユニットをさらに備えることができる。
また、本書では、細胞のトランスダクションを引き起こす方法も開示される。細胞と核酸を含むウイルスベクターは、音響チャンバと、複数次元音響定在波、平面音響定在波又は平面と複数次元音響定在波との組み合わせを音響チャンバ内に生成するために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサとから構成される音響泳動デバイス内に、配置される。超音波トランスデューサが駆動されると、複数次元音響定在波、平面音響定在波、又は、複数次元音響定在波と平面音響定在波との組み合わせが作り出される。細胞とウイルスベクターは、音響定在波によって共配置され、細胞のトランスダクションが引き起こされる。
また、本書では、細胞のトランスフェクションを引き起こす方法も開示される。細胞の細胞膜には細孔が開けられる。細胞は、核酸とともに、音響チャンバと、音響定在波を音響チャンバ内に生成するために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサとから構成される音響泳動デバイス内に、配置される。音響定在波は、複数次元音響定在波、平面音響定在波、又は、平面音響定在波と複数次元音響定在波の組み合わせであり得る。細胞は、音響泳動デバイスに配置される前に開けられていてもよいし、後に開けられてもよい。その後、超音波トランスデューサを駆動して音響定在波を発生させる。細胞と核酸は、音響定在波によって共配置され、細胞のトランスフェクションが引き起こされる。
これらの特徴及び他の非限定的な特徴については、以下で、より詳細に説明する。
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本書に開示された主題における特定の態様を示し、説明とともに、開示された実施形態に関連する原理のいくつかを説明するのに役立つものである。
図1は、ウイルスのトランスダクションの効率が高められる、本開示の方法/プロセスを例示する図である。細胞培養物は、緑色蛍光タンパク質(GFP)でタグ付けされたウイルスベクターと結合され、音響プロセスに曝され、このときに、複数次元音響定在波が、細胞及びウイルスを互いに近接させ、反応効率を高める。洗浄と一晩のインキュベーションの後、GFPが細胞内で発現し、トランスダクションが起こったことが示される。
図2Aは、トランスデューサを冷却するための冷却ユニットを含む、本開示に従った音響泳動デバイスの一例の分解透視図である。 図2Bは、図2Aの組み立てられたデバイスの斜視図である。
図3は、本開示の方法/プロセスの実施に使用され得る別の音響泳動デバイスの斜視図である。プラスチック袋などの使い捨て容器には、1つ以上の超音波トランスデューサを含む個別の音響泳動デバイスにおいて、互いに相互作用が引き起こされる2つの粒子タイプの流体混合物が入っている。
図4は、従来の超音波トランスデューサの断面図である。
図5は、本開示の超音波トランスデューサの断面図である。このトランスデューサ内にはエアギャップが存在し、バッキング層又は保護板は存在しない。
図6は、本開示の超音波トランスデューサの断面図である。このトランスデューサ内にはエアギャップが存在し、バッキング層及び保護板が存在している。
図7は、異なる周波数で駆動される方形のトランスデューサの周波数に対する電気インピーダンス振幅を示すグラフである。
図8は、流体の流れに直交する方向から見た、図7における7つの共振周波数(電気インピーダンス振幅の極小値)についての捕捉線の構成を示す。
図9は、音響圧力振幅(右側の目盛りのPa)とトランスデューサの面外変位(左側の目盛りのメートル)とのコンピュータシミュレーションである。左側の目盛りの上部にある文字は「×10-7」と読み取る。左側の目盛りの上部にある上向き三角形による文字は 「1.473×10-6」と読み取る。左側の目盛りの下部にある下向き三角形による文字は「1.4612×10-10」と読み取る。右側の目盛りの上部の文字は「×10」と読み取る。右側の目盛りの上部にある上向き三角形による文字は「1.1129×10」と読み取る。右側の目盛りの下部にある下向き三角形の文字は「7.357」と読み取る。これらの三角形は、この図に示される目盛りの最大値と最小値を示している。横軸は、X軸に沿ったチャンバ内の位置をインチで表し、縦軸は、Y軸に沿ったチャンバ内の位置をインチで表す。
図10は、複合波が存在する結晶の面内変位と面外変位を示す。
図11は、T細胞とウイルスが相互作用しているプラスチック袋の写真である。
図12は、異なる実行時間(30分、60分及び90分)での3つの実験についてのトランスダクション時間に対するトランスダクション効率(音響/音響なし)の比率を示すグラフである。
詳細な説明
本開示は、所望の実施形態及びそこに含まれる実施例についての後述する詳細な説明を参照することにより、より容易に理解され得る。以下の明細書及びそれに続く特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語が参照される。
以下の説明において明確にするために特定の用語が使用されるが、これらの用語は、図面での例示のために選択された実施形態における特定の構造のみを指すものであり、本開示の範囲を定義したり限定したりするものではない。図面及び以下の説明において、同様の数値符号は、同様の機能の構成要素を指すものと理解されたい。
単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数形の対象を含む。
「comprising」という用語は、本書では、名づけられた構成要素(components)の存在を必要とし、他の構成要素の存在を許容するものとして使用される。「comprising」という用語は、名づけられた構成要素の製造に起因する可能性のあるあらゆる不純物とともに当該名づけられた構成要素のみの存在を許容する「consisting of」という用語を含むように解釈されるべきである。
数値は、同じ数の有効数字に換算したときに同じである数値、及び、数値を決定するために本願に記載されているタイプの従来の測定技術の実験誤差未満で記載されている数値と異なる数値を、例として含むと理解されるべきである。
本書に開示されるすべての範囲は、列挙される境界点(endpoint)を含み、独立して組み合わせることが可能である(例えば、「2グラムから10グラムまで」の範囲は、境界点である2グラム及び10グラムとすべての中間値とを含む。)。本書に開示される範囲の境界点及び任意の値は、厳密な範囲又は値に限定されるものではなく、これらの範囲及び/又は値に近似する値を含むのに十分な程度に曖昧さを有するものである。
量に関連して使用される「約(about)」という修飾語は、記載された値を含み、かつ、文脈によって規定される意味を有する。範囲に関連して使用される場合、「約」という修飾語は、2つの境界点の絶対値によって定義される範囲も開示するものである。例えば、例えば、「約2から約10まで」という範囲はまた、「2から10まで」の範囲を開示する。「約」という用語は、示された数値のプラス又はマイナスの10%を指し得る。例えば、「約10%」は、9%から11%の範囲を示してもよく、「約1」は、0.9から1.1の範囲を意味してもよい。
本書で使用される用語の多くは相対的な用語であることに留意されたい。例えば、「上部(upper)」及び「下部(lower)」という用語は、位置において互いに相対的なものであり、すなわち、上部の構成要素は所定の方向において下部の構成要素よりも高い高度に位置しているが、これらの用語はデバイスが反転されると変わる可能性がある。「入口」及び「出口」という用語は、所定の構造物に関してそれらを流れる流体に対して相対的なものであり、例えば、流体は、入口を通って構造物に流入し、出口を通って構造物から流出する。「上流」及び「下流」という用語は、流体が様々な構成要素を通って流れる方向に関して相対的なものであり、すなわち、流体は、下流の構成要素を流れる前に上流の構成要素を通って流れる。ループするものにおいては、第1の構成要素が第2の構成要素の上流側と下流側の両方であると説明され得ることに留意されたい。
「水平」及び「垂直」という用語は、絶対的な基準、すなわち地面のレベルに対する相対的な方向を示すために使用される。しかしながら、これらの用語は、構造物同士が絶対的に平行又は絶対的に垂直であることを要求するように解釈されるべきではない。例えば、第1の垂直構造物と第2の垂直構造物は、必ずしも互いに平行であるというわけではない。「上(top)」及び「下(bottom)」又は「底(base)」という用語は、絶対的な基準、すなわち地球の表面に対して、上が下/底よりも常に高い位置にある面を指すために使用される。「上向き(upwards)」及び「下向き(downwards)」という用語もまた、絶対的な基準に対して相対的なものであり、上向きは常に地球の重力に逆らう。
本願では、"同じ桁(order)の大きさ"について言及する。大きい方の数を小さい方の数で割った商が少なくとも1で、かつ10よりも小さい値であれば、2つの数は同じ桁の大きさになる。
本書で説明される音響デバイスは、マルチモード、平面モード又はこれらの組み合わせで動作し得る。マルチモードとは、三次元的に音響力を発生させる音響トランスデューサによって音響波を生成することを意味する。超音波であってもよいマルチモード音響波は、1つの音響トランスデューサによって生成することができ、本書では、複数次元音響定在波又は三次元音響定在波と呼ばれることがある。平面モードとは、実質的に一次元、例えば伝播方向に沿った音響力を発生させる音響トランスデューサによって音響波を生成することを意味する。平面モードで生成される、超音波であってもよいこのような音響波は、本書では、一次元音響定在波と呼ばれることがある。
音響トランスデューサは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やニオブ酸リチウムなどの圧電材料で構成されていてもよい。このような音響トランスデューサは、電気的に励起して平面音響波又はマルチモード音響波を発生させることができる。マルチモード音響波によって生成される三次元音響力は、音響波の伝播方向とは一致しない半径方向又は横方向の力を含む。横方向の力は、二次元で作用してもよい。横方向の力は、音響波の伝播方向に実質的に一致しているマルチモード音響波の軸方向力に加えて存在している。横方向の力は、そのようなマルチモード音響波における軸方向力の大きさと同じオーダーであってもよい。マルチモード動作で励起された音響トランスデューサは、その表面に定在波を出現させ、それによってマルチモード音響波を発生させてもよい。音響トランスデューサの表面の定在波は、マルチモード音響波の動作モードに関連していてもよい。また、音響トランスデューサを電気的に励起して平面音響波を発生させる場合、トランスデューサの表面がピストン状の作用を示すことにより、一次元の音響定在波を発生させてもよい。平面音響波と比較して、マルチモード音響波は、同じ入力電力でも、継続的に非常に大きい粒子捕捉活性を示す。平面音響定在波及び複数次元音響定在波の組み合わせを生成するために、1又は2以上の音響トランスデューサが使用されてもよい。例えば、定在波を発生させるために、2つの音響トランスデューサを互いに対向するように配置してもよい。 そのような例では、その音響トランスデューサのうちの1つは、受動的であり、入射波のリフレクタとして機能してもよい。これに代えて又はこれに加えて、各トランスデューサは、本書の他の箇所で説明されるような音響波を含む音響波を生成するために能動的であってもよい。
音響泳動は、音響波を用いて物質を操作することである。いくつかの例示的な実装例では、音響泳動は、物質の分離のために用いられ、流体分散液から粒子を分離するために、低消費電力で、圧力損失が無く、詰まりも無い、ソリッドステートのアプローチを表す。粒子からの音響場の散乱の結果、三次元の音響放射力が発生し、これが三次元の捕捉場として作用する。粒子が波長に対して小さい場合、音響放射力は、粒子の体積(例えば半径の3乗)に比例する。音響放射力は、周波数と音響コントラスト因子に比例する。音響放射力は、音響エネルギー(例えば音響圧力振幅の2乗)に比例する。高調波励起の場合、力の正弦波の空間変動が粒子を定在波内の安定した位置に駆動する。粒子に及ぼされる音響放射力が流体抗力と浮力/重力との複合効果よりも強い場合、粒子は、音響定在波の場内に捕捉される。捕捉された粒子に対して横方向及び軸方向の音響力が作用する結果、臨界サイズに達したときにホスト流体よりも重い粒子が重力の作用で連続的に沈降し、又は、ホスト流体よりも軽い粒子が浮力の作用で上昇し、そのような粒子が濃縮、クラスタ化、塊化、凝集及び/又は合体をすることを通じて、密に詰められたクラスタが形成される。さらに、ビヤークネス力のような二次的な粒子間力が粒子の凝集を助ける。
音響定在波は、高圧力及び低圧力の局所的な領域を作り出す。粒子は、周囲の流体に対する圧縮率と密度に応じて、定在波の節又は腹へ押される。密度と圧縮率の高い粒子は、定在波の節に移動し、密度の低い二次相は腹に移動する。粒子に加えられる力は、粒子の大きさにも依存し、粒子が大きいほど力が大きくなる。力の大きさは、流体媒体に対する粒子の密度と圧縮率に依存し、粒子の体積とともに増加する。
本開示の目的のために、生物細胞は、粒子と見なすことができる。ほとんどの生物細胞タイプは、それらが懸濁している媒体よりも密度が高くかつ圧縮率が低いため、細胞と媒体の間の音響コントラスト因子は正の値を持つ。その結果、軸方向音響放射力(ARF)は、細胞を定在波の圧力節に向けて駆動する。音響放射力の軸方向成分は、正のコントラスト因子を有する細胞を圧力節に駆動する一方、負のコントラスト因子を有する細胞又は他の粒子は圧力腹に駆動される。音響放射力の半径方向又は横方向の成分は、細胞を捕捉する力である。ARFの半径方向又は横方向の成分は、流体抗力と重力との複合効果よりも大きい。
波長に対する粒子サイズの制約を受けずに、粒子の音響放射力を計算するための追加の理論モデル及び数値モデルが開発された。これらのモデルは、流体及び粒子の粘性の影響も含まれるので、より正確な音響放射力の計算が可能である。実装されたモデルは、「AIP Conference Proceedings」(Vol.1474-1,pp.255~258(2012))に記載されているユーリ イリンスキー(Yurii Ilinskii)とエフゲニア ザボロツカヤ(Evgenia Zabolotskaya)の理論研究に基づいている。また、定在波中に捕捉された粒子の「ホッケーパック(hockey pucks)」のような円筒形の物体についての音響捕捉力を計算するための追加の社内モデルが開発された。
望ましくは、超音波トランスデューサは、流体中に複数次元定在波を発生させ、軸方向の力に付随して懸濁粒子に横方向の力を与える。文献で開示されている典型的な結果は、横方向の力の大きさが軸方向の力よりも2桁小さいとされている。対照的に、本願に開示される技術は、横方向の力の大きさが軸方向の力と同じオーダーであるものを提供する。しかしながら、本書でさらに説明する特定の実施形態では、デバイスは、複数次元音響定在波を生成するトランスデューサと平面音響定在波を生成するトランスデューサの両方を使用する。本開示の超音波トランスデューサによって生成される全ての音響放射力(ARF)の横方向力成分は、重要であり、最大1cm/sの線速度で流体抗力に打ち勝って密に詰められたクラスタを生成するのに十分であり、全音響放射力の軸方向力成分と同じオーダーの大きさをもつ。
本開示は、トランスフェクション又はトランスダクションを行うために、超音波トランスデューサを含むような音響泳動デバイスを使用する方法に関する。簡単に説明すると、音響泳動デバイスは、局所的な容積内で細胞を核酸(DNA若しくはRNAのいずれか又はその両方)と一緒にするために使用される。これにより、核酸を細胞内へ移すことができる。現在のトランスダクションプロセスは、比較的コストが高く、効率が低く、商業化のためにスケールアップする能力が低いことがある。本書に記載の方法は、コストを低減し、効率を高め、商業化のためのスケーラブルなプラットフォームを有することができる。
非常に一般的には、細胞及びキャリア(RNA又はDNAを含む)は、音響泳動デバイスの音響チャンバ内に配置される。 一般に、それらは、流体中に懸濁されて流体混合物を形成する。いくつかの例示的な実施形態では、音響泳動デバイスは、超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに対向する(例えばチャンバの対向壁上にある)リフレクタとを有する音響チャンバを含んでいる。超音波トランスデューサは、音響チャンバ内に音響定在波、例えば複数次元音響定在波及び/又は平面音響定在波を生成するために駆動可能な圧電材料を含んでいる。音響定在波は、圧力の高い場所と圧力の低い場所がある。いくつかの例では、圧力の低い場所が細胞を捕捉して保持する。核酸は、保持された細胞とともに音響チャンバ内に流れ込む。この動きにより、細胞と核酸は、共配置され、核酸が細胞内に入ることができる。トランスフェクションの場合、細胞の細胞膜に細孔が開けられ、むき出しの核酸が細胞内に入ることができるようになる。トランスダクションの場合、核酸はウイルスベクターの一部である。ウイルスベクターは、細胞内に入るか、又は核酸を細胞内に挿入する。本開示においてトランスダクションを行うために使用され得る特定のウイルスベクターには、アデノウイルス、レンチウイルス、又はパラミクソウイルスが含まれる。
いくつかの例示的な実施形態では、細胞及び/又は核酸(むき出し又はウイルスベクター中)上の音響定在波によって生成される音響泳動力は、これらの粒子上の移動流体によって及ぼされる流体抗力に打ち勝つのに十分であり得る。言い換えれば、音響泳動力は、音響場において細胞及び/又は核酸を捕捉するメカニズムとして作用することができる。音響泳動力は、音響泳動力の振幅の減少した又は極小の安定位置に細胞及び/又は核酸を追いやることができる。音響泳動力の振幅の減少した又は極小のこれらの位置は、定在音響波の節であり得る。時間が経つにつれて、節における細胞及び/又は核酸の集合体が着実に成長する。それらの濃度に応じて数分以内であり得る期間内に、細胞及び/又は核酸の集合体は、ビームのようなディスクの集合体の形状をとることができる。各ディスクは、音響場の半波長分の間隔を置くことができる。
いくつかの実施形態では、音響定在波は、細胞及び/又は核酸を捕捉し、それらを共配置し、トランスフェクション/トランスダクションの反応の効率を向上させる。これらの実施形態では、いくつかの異なるメカニズムが実施されてもよい。そのようなメカニズムの1つでは、両方のタイプの粒子を定在波の節又は腹に追いやるように、細胞及び核酸が類似の音響コントラスト因子を有していてもよい。このメカニズムは、(従来の攪拌と同様に)ブラウン運動に依存するよりも効率的に、細胞及び核酸を互いに空間的に近接させる。別の言い方をすれば、細胞及び核酸は、複数次元音響定在波によって生成される、音響チャンバの大きさと比較して小さい三次元体積内に捕捉される。特定の例示的な実施形態では、細胞及び核酸は、両方とも正の音響コントラスト因子を有するか、又は両方とも負の音響コントラスト因子を有する。別の言い方をすれば、それらの音響コントラスト因子は同じ符号を有する。繰り返しになるが、核酸は、むき出しであっても、ウイルスベクター中にあってもよい。
別のメカニズムでは、2種類の粒子のうちの一方(細胞又は核酸)が節に追いやられ、他方のタイプの粒子が腹に追いやられてもよい。しかしながら、より高い周波数では、節及び腹は、細胞及び核酸が互いに反応し得るように十分に近接している。そのような実施形態では、細胞又は核酸は、正の音響コントラスト因子を有し、他のセット(すなわち核酸又は細胞)は、負の音響コントラスト因子を有する。別の言い方をすれば、それらの音響コントラスト因子は反対の符号を有する。正のコントラスト因子を持つ粒子は節に追いやられ、負のコントラスト因子を持つ粒子は腹に追いやられる。この反応メカニズムに関連するいくつかの要因には、細胞及びキャリアの大きさと、超音波トランスデューサが動作する周波数とが含まれる。
最終的に、細胞及び/又は核酸が捕捉され、濃縮され続けると、それらは、重力沈降が起こるような大きさ及び重さに達することができ、そこで粒子のクラスタは音響定在波から音響チャンバの底部へ落下することになる。次いで、粒子の新たな集合体が音響定在波によって生成された音響場内に捕捉され、反応することができる。
いくつかの例示的な実施形態では、音響泳動デバイスは、音響チャンバ内に音響定在波、例えば複数次元音響定在波及び/又は平面音響定在波を生成するために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサを備えた音響チャンバを有している。この音響定在波は、圧力の高い場所と圧力の低い場所とを有する。音響チャンバには、出力される流体及び粒子が音響チャンバへ再導入されることを可能にする再循環ループが提供されている。いくつかの例では、圧力の低い場所は、細胞を捕捉して保持するが、音響チャンバから流出したり、再循環ループを介して再導入されたりするウイルスベクター又は核酸については捕捉又は保持をしない。ウイルスベクターの例では、細胞は、音響定在波によって生成される音響場に保持され、ウイルスベクターは、細胞とウイルスベクターとが相互作用することを可能にするために音響場に流れ込む。前のパスで相互作用しなかったウイルスベクターを音響チャンバに再循環させることにより、ウイルスベクターと細胞との間の相互作用の回数を増やすことができる。核酸の例では、本書の他の場所でより詳細に論じられているように、細胞膜に細孔が形成されることを可能にするため、音響場に保持されている細胞に対して追加の処理を行うことができる。核酸は、核酸が細胞と相互作用することを可能にするため、保持された細胞と共に音響チャンバ内に流され、核酸が細孔を介して細胞内に入ることを可能にする。核酸は、音響場によって保持されず、トランスフェクションでの複数回のパスの発生を可能にするために、音響チャンバに再循環される。
追加的に又は代替的に、いくつかの実施例では、超音波トランスデューサは、音響チャンバ内で音響ストリーミングを引き起こすように駆動される。簡単に言えば、音響ストリーミングとは、超音波トランスデューサによって(超音波トランスデューサの振動から)送信される音響エネルギーを流体が吸収するときに音響チャンバ内で生じる流体の流れを指す。流体の速度は、超音波トランスデューサによって発生する音響波の振動によって誘導される。典型的には、音響ストリーミングが発生すると、循環運動又は渦が生じ、流体混合物の攪拌を引き起こす可能性がある。この現象は非線形であり、細胞と核酸の相互作用を引き起こし得る。
細胞と核酸は、互いに反応することができるように近接させられる。本開示において、「相互作用」及び「反応」という用語は、細胞に物理的変化が起こることを示すために使用される。例えば、トランスダクションでは、核酸を含むウイルスが細胞内に侵入して、トランスダクションが引き起こされるようにしてもよい。ウイルスは、例えば、レンチウイルスなどのレトロウイルスであり得る。
トランスフェクションの例に関して、核酸が細胞内に入ることを可能にするために、細胞の細胞膜に細孔が開けられる。例えば、細胞を電場に曝して細胞膜の透過性を高めるエレクトロポレーションを行うことができる。また、細胞を超音波に曝して細胞膜の細孔形成を誘導するソノポレーションも使用することができる。トランスフェクションを引き起こすために、リン酸カルシウムを使用することもできる。 細孔の開口が起こる場所は、重要ではなく、細胞と核酸が混合される音響チャンバの上流にある音響泳動デバイス内に生じる可能性があり、又は、音響泳動デバイスの外部で生じる可能性がある。
参考までに、生産的なトランスフェクション及び遺伝子導入(gene transfer)は、単に細胞内へのDNAの進入及びそれに続く適切なプロモーターからの転写だけでなく、DNAが細胞の細胞表面から細胞質内及び細胞質を通って移動し、最終的には核膜を超えて転写が開始される前に核内に移動することを可能にする多くの細胞内の事象も必要とすることに留意されたい。細胞質に入るとすぐに、むき出しのDNAは(物理的技術を用いて送達され、又はDNA-キャリア複合体の分解後に)、微小管形成中心と核膜とに向かって移動するための微小管ネットワークとのその後の相互作用を媒介する多数の細胞タンパク質と結合する。プラスミドは、その後、タンパク質の異なるセットを使用して、核膜の分裂分解時に、又は細胞分裂の非存在下での核細孔複合体を介して、核に入る。
本開示においてトランスダクションを行うために使用され得る特定のウイルスベクターには、アデノウイルス、レンチウイルス、又はパラミクソウイルスが含まれる。レトロウイルスは、そのRNAゲノムをcDNAコピーに逆転写する能力を有することを特徴とし、このコピーは、その後、宿主細胞ゲノムに安定的に組み込まれる。このようにして、ウイルスは核酸を細胞内に運ぶ。
レトロウイルスは、単純型又は複雑型(例えば、レンチウイルス)に分類され得る。両タイプのウイルス粒子は、内部コア内に位置するウイルス逆転写酵素(RT)と関連する正鎖RNAの2つのコピーを含む。また、このコンパートメント内には、ヌクレオキャプシド(NC)、キャプシド(CA)、インテグラーゼ(IN)、プロテアーゼ(PR)などの構造的及び酵素的タンパク質も配置されている。内側のコアは、マトリックス(MA)タンパク質で構成される外側のタンパク質層に囲まれており、この層は、エンベロープ糖タンパク質(ENV)が点在している宿主細胞膜由来のエンベロープによって取り囲まれている。
レンチウイルス及びレトロウイルス遺伝子送達システム(又はキャリア)は、レトロウイルス複製の態様を利用して、所望の核酸配列の安定した統合を提供する。外来核酸のトランスフェクションは、一過性の導入遺伝子の発現のみをもたらすが、レトロウイルス及びレンチウイルスベースのシステムにおけるウイルスインテグラーゼの活性は、外来の導入遺伝子の安定した統合を可能にし、それは、その後に受け継がれ、細胞分裂を繰り返しながら連続的に発現する。レンチウイルス及びレトロウイルスベクターの両方の重要な特徴は、それらが複製欠損又は自己不活性化の粒子を生成することである。これにより、ターゲット細胞におけるウイルス複製を継続することなく、所望の配列の送達が可能になる。
外来核酸が細胞に正常に導入されたことを検証するための一般的な方法は、タンパク質の発現を測定することである。これは、典型的には、ウエスタンブロット又は免疫染色によって行われる。
本開示のプロセスによってトランスフェクション/トランスダクションされ得る細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、エフェクターT細胞、ガンマデルタT細胞、ジャーカットT細胞、CAR-T細胞、B細胞若しくはNK細胞が含まれ、又は、末梢血単核細胞(PBMC)、藻類、植物細胞若しくは細菌が含まれる。細胞は、それ自体がビーズなどの他の材料に付着していてもよい。ビーズの例としては、高分子ビーズ、磁性ビーズ、超常磁性ビーズ、マイクロスフフェアなどが挙げられる。これらは、生化学的反応のために、又はラベリングの目的のために、使用することができる。
いくつかの実施形態では、細胞及び核酸の混合物に添加剤を含めることができる。 そのような添加剤は、ポリブレン(Polybrene:登録商標)及びレトロネクチン(RetroNectin:登録商標)を例として含み得る。ポリブレン(Polybrene:登録商標)は、細胞培養においてレトロウイルス(及びレンチウイルス)を用いた所定の細胞のトランスダクションの効率を高めるために使用されるカチオン性ポリマー(臭化ポリヘキサジメトリン)であり、通常、10μg/mL以下の量で使用される。レトロネクチン(RetroNectin:登録商標)は、ヒトフィブロネクチンタンパク質由来の3つの機能ドメイン(Cドメイン、Hドメイン、CS-1サイト)からなるポリペプチドである。レトロネクチン(RetroNectin:登録商標)は、造血幹細胞を含む造血細胞及び初代T細胞やマクロファージなどの最終分化細胞における、レトロウイルス及びレンチウイルスが媒介するトランスダクションの効率を高める。他の添加剤は、リポフェクチン、リポフェクタミン、及びプロタミンなどのカチオン性ペプチドを例として含み得る。これらの添加物は、必要に応じて、トランスダクションを増強するために使用できる。
理論によって限定されることなく、複数次元音響定在波の周波数は、音響定在波によって捕捉され得る粒子の直径を決定すると考えられる。例えば、2MHzの波の場合、粒子サイズは約1~約100ミクロンである。
図1は、ウイルスのトランスダクションに適用される本開示の例示的な方法を示す図である。この例において、細胞は、緑色蛍光タンパク質(GFP)で標識されている。図の左側から始まり、まず、細胞培養物100をウイルスベクター110と組み合わせる。次に、細胞とウイルスとを含む流体混合物は、超音波トランスデューサ122とリフレクタ124との間に位置する音響チャンバ120内に配置される。音響定在波は、室温で10分間発生する。 ここに図示されているように、細胞及びウイルスは、音響定在波に捕捉される。 細胞は節に捕捉され、ウイルスは腹に捕捉される。 しかしながら、それらの相対的な大きさのために、細胞とウイルスは共配置され、ウイルスは細胞に感染することができる(符号128で示す。)。 未反応物を除去するために洗浄した後、細胞を37℃で一晩インキュベートし、標識された細胞においてGFPを発現させる。同様の方法を用いて、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞又はCAR-T細胞を作製することができる。
本開示の方法は、連続的なプロセスで実施することができ、ここで、細胞及びホスト流体中に懸濁された核酸を含む流体混合物が音響泳動デバイスを通って流れる。核酸は、むき出しであってもよく、又は、バクテリオファージや他のウイルスなどのウイルスベクターに含まれている場合もある。
図2Aは、連続処理に使用することのできる音響泳動デバイス200の分解図である。図2Bは、完全に組み立てられた状態のデバイス200の図である。
図2Aに示されるように、音響泳動デバイスは、各構成要素がモジュール化されて構築されており、互いに別々に変更又は入れ替えることができる。したがって、所定の構成要素について新しい修正又は変更が加えられるとき、デバイスの残りの部分は同じままで、その構成要素を交換することができる。
前記デバイスは、音響チャンバ210の互いに対向する壁に設けられる超音波トランスデューサ220とリフレクタ250とを有する。リフレクタ250は、音響チャンバ210の内部を見ることができるように、透明な材料で作られていてもよいことに留意されたい。超音波トランスデューサは、音響チャンバの第1の壁に近接している。リフレクタは、音響チャンバの第2の壁に近接しているか、又は、音響チャンバの第2の壁を構成することができる。
冷却ユニット260は、超音波トランスデューサ220と音響チャンバ210との間に配置することができる。ここで例示されるように、冷却ユニット260は、音響チャンバを通る流路とは別個の独立した流路を有している。冷却剤入口262は、冷却ユニットへの冷却流体の侵入を可能にする。冷却剤及び廃熱は、冷却剤出口264を通って冷却ユニットを出る。冷却ユニットを通って流れる冷却流体は、任意の適切な流体であり得る。例えば、冷却剤は、水、空気、アルコール、エタノール、アンモニア、又は、それらのいくつかの組み合わせであり得る。冷却剤は、液体、気体又はゲルであり得る。冷却剤は、電気的短絡を防ぐために、電気的に非導電性の流体であり得る。
代替的に、冷却ユニットは、ゼーベック効果を利用して熱流束(すなわち温度差)を電気エネルギーに変換し、これにより音響チャンバから熱を除去する熱電発電器の形態とすることもできる。別の言い方をすれば、音響泳動デバイスを作動させている間、望ましくない廃熱から電気を生成することができる。
冷却ユニットは、超音波トランスデューサを冷却するために使用することができ、これは、前記デバイスが長時間(例えば灌流の間)にわたって処理及び再循環を繰り返しながら連続的に運転される場合に特に有利であり得る。これに代えて、冷却ユニットは、音響チャンバ210を通過する流体を冷却するためにも使用することができる。 所望の用途のため、細胞は室温(~20℃)付近、せいぜい28℃付近に維持されるべきである。これは、細胞が高い温度を経験すると、その代謝率が増加するからである。ただし、冷却ユニットがなければ、音響チャンバを流れる細胞の温度は34℃まで上昇する可能性がある。
ここでは、音響チャンバ210が少なくとも入口212と出口214とを有するように例示されていることに留意されたい。これは、音響チャンバの内部容積216へのアクセスを提供する。 追加の入口及び出口(例えば、流体入口、濃縮物出口、透過物出口、再循環出口、ブリード/ハーベスト出口)が必要に応じて含まれてもよい。内部容積216は、超音波トランスデューサ220、冷却ユニット260、音響チャンバ210及びリフレクタ250によって囲まれていると見なすことができる。
音響泳動デバイス200の流れ方向は、水平以外の方向に向けることができる。例えば、流体の流れは、上向き又は下向きのいずれかの垂直方向であってもよいし、垂直又は水平に対してある程度の角度であってもよい。1つ以上のトランスデューサをシステムに含めることができる。
図3は、本開示の方法及びプロセスの実施に使用され得る別の音響泳動デバイス300を例示する。非常に一般的に、システムは、音響泳動デバイス300と、実質的に音響を透過可能な容器310とを含む。これらの2つの構成要素は、互いに分離可能である。
音響泳動デバイスの容器310は、一般に、プラスチック、ガラス、ポリカーボネート、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどの実質的に音響を透過可能な材料(すべて適切な厚さにおいて)から形成される。しかし、容器は、本開示の音響定在波の通過を可能にするのに適した任意の材料から形成されてもよい。容器は、瓶や袋の形態であってもよい。これらの形態の違いは、それらの構成及び構造にある。瓶は、袋よりも剛性が高い。空の状態では、袋は一般的に自身を支持することができないが、瓶は自立することができる。例えば、ここに示されている容器310は、高密度ポリエチレン袋である。 容器310は、一般に、上端312及び下端314を有し、流体混合物(ホスト流体中の一次粒子及び二次粒子を含む。)が配置される内部容積を有する。
音響泳動デバイス300は、その側面を形成する少なくとも1つの壁332、通常は複数の壁によって形状が規定される。例えば、音響泳動デバイスは、円柱の形状であってもよいし、(図示されているように)矩形状であってもよい。 壁は堅固である。音響泳動デバイスの上端には、容器310を受け入れるための開口部326が設けられている。この場合も、音響泳動デバイス300は、容器310から分離可能であり、音響泳動デバイスの所望の用途に応じて、容器は使い捨て又は再利用可能なものとすることができる。ここで例示されているように、音響泳動デバイス300のベースは堅固である。
音響泳動デバイス300は、少なくとも1つの超音波トランスデューサ330を壁334上に備えている。超音波トランスデューサ330は、音響定在波を生成するために電圧信号によって駆動される圧電材料を有する。ケーブル332は、電力及び制御情報を超音波トランスデューサ330に送信するために示されている。リフレクタ340は存在してもよく、そのリフレクタは超音波トランスデューサ330に対向する壁336上に配置される。これにより、定在波は、トランスデューサから放射された初期波とリフレクタからの反射波とを介して生成される。いくつかの実施形態では、リフレクタを個別に必要としない。例えば、チャンバ壁、又は、周囲空気によって提供され得るような開放された境界を、入射波を反射して定在波を生成するために使用してもよい。様々なトランスデューサとリフレクタの組み合わせが使用されてもよいことを理解されたい。平面及び/又は複数次元の音響定在波は、容器内で生成され、容器310内の粒子の相互作用を引き起こすために使用される。超音波トランスデューサと容器310内の流体混合物との間には接触がないことに留意されたい。
特定の実施形態では、音響泳動デバイスは、リフレクタ340が配置されている壁336に対向する共通の壁334上に配置される複数の超音波トランスデューサ330を備える。あるいは、超音波トランスデューサは、リフレクタが存在しない状態で、互いに対向して配置されていてもよい。さらに、音響泳動デバイス300は、別の壁338の中に観察窓324を備えてもよい。ここで例示されているように、観察窓が設けられている場合、それは、超音波トランスデューサ及びリフレクタが配置される壁に隣接する壁にあってもよく、そのような場合、容器310の下端314を分離チャンバ320の観察窓324を通して見ることができるようになる。他の実施形態では、観察窓はリフレクタの代わりにすることができる。
特定の実施形態では、水のような流体を、容器310と吸音装置300との間のすきま空間305に配置し、すきま空間内の流体及び容器内の流体混合物の両方を音響定在波が通過するようにしてもよい。すきまの流体は、音響定在波の良好な透過を可能にする、好ましくは低い音響減衰を可能にする音響インピーダンス値を有するべきであるが、どのような流体であってもよい。
特定の例示的な実施形態では、超音波トランスデューサは、約0.5MHz~約20MHz(メガヘルツ)の周波数で駆動される。より高い周波数の定在波の場は、より急峻な圧力勾配をもたらし、その結果、ウイルスのような小さな粒子を捕捉するのに適している。超音波トランスデューサは、約5分から約15分の期間、駆動することができる。これは、例えば、細胞培養物とウイルスベクターとが一緒に約30分から約120分の間インキュベートされる従来のウイルストランスダクションプロセスよりも、かなり短い時間である。このように長いインキュベーション時間がかかるのは、ブラウン運動が細胞とウイルスを互いに近接させたときにのみ、これらの間の反応が起こるためである。本開示の音響泳動デバイスを使用すれば、細胞とウイルスが互いに反応するために十分に近接する確率が大幅に増加する。これは、より少ない粒子を使用して、より高い反応効率をもたらす。 しかしながら、必要に応じて、超音波トランスデューサは、所望の時間、例えば、120分までの時間又はそれ以上の長い時間にわたって駆動することができる。
ここで、音響フィルタリング装置に使用される超音波トランスデューサをより詳細に説明することは、役に立つ場合がある。図4は、従来の超音波トランスデューサの断面図である。このトランスデューサは、下端の保護板50と、エポキシ層52と、セラミック圧電素子54(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)又はニオブ酸リチウムから作製される)と、エポキシ層56と、バッキング層58とを有する。セラミック圧電素子の両側には、正電極61と負電極63が設けられている。エポキシ層56は、バッキング層58を圧電素子54に取り付ける。アセンブリ全体は、例えばアルミニウムから作製可能なハウジング60内に収容されている。ハウジングは、接地電極として使用される。電気アダプタ62は、ハウジングを通過して圧電素子54に取り付けられたリード線(図示せず)に接続するワイヤのための接続を提供する。通常、バッキング層は、ダンピングを加えて、広い周波数範囲にわたって均一な変位を有する広帯域トランスデューサを形成するように設計され、圧電素子の特定の振動固有モードの励起を抑制するように設計される。保護板は、通常、トランスデューサによる放射が行われる媒体の特性インピーダンスとよりマッチングするように、インピーダンス変換器として設計される。
図5は、本開示の音響フィルタリングデバイスに使用される、本開示の超音波トランスデューサ81の断面図である。トランスデューサ81は、正方形の形状をしており、アルミニウムハウジング82を有する。アルミニウムハウジングは、上端と下端とを有する。また、トランスデューサのハウジングは、医療グレードのHDPEなどのプラスチック又は他の金属で構成されていてもよい。圧電素子は、ペロブスカイト構造のセラミックが集まった塊であり、各セラミックは、通常は鉛又はバリウムである2価の大きな金属イオンの格子内にある、通常はチタン又はジルコニウムである4価の小さな金属イオンと、O2-イオンの格子とからなる。一例では、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の圧電素子86がトランスデューサの下端を規定し、ハウジングの下端外部から露出している。圧電素子は、圧電素子とハウジングとの間に配置される小さな弾性層98、例えばエポキシ、シリコーン又は同様の物質によって、その周囲を支持されている。別の言い方をすれば、保護板又はバッキング物質は存在しない。しかしながら、いくつかの実施形態では、音響定在波が発生している流体から圧電素子を分離するプラスチック又は他の物質の層が存在する。圧電材料/素子/結晶は、(露出している)外面と、同様に内部表面とを有する。
ねじ88は、ねじ山を介して、ハウジングのアルミニウム上部プレート82aをハウジングの本体82bに取り付ける。上部プレートは、トランスデューサに電力を供給するためのコネクタ84を含む。圧電素子86の上面は、絶縁物質94によって分離された正電極90と負電極92に接続される。電極は、銀やニッケルなどの任意の導電性物質から作ることができる。電力は、圧電素子上の電極を介して圧電素子86に供給される。なお、圧電素子86は、バッキング層やエポキシ層を有していない。別の言い方をすれば、アルミニウム上部プレート82aと圧電素子86との間のトランスデューサ内には内部容積又はエアギャップ87が存在する(すなわち、エアギャップは完全に空である。)。図6に見られるように、いくつかの実施形態では、最小限のバッキング58及び/又は保護板50が提供されてもよい。
トランスデューサの設計は、システムの性能に影響を与え得る。典型的なトランスデューサは、セラミック圧電素子がバッキング層及び保護板に接合された層状構造である。トランスデューサには定在波によって示される高い機械的インピーダンスが負荷されるため、例えば、定在波用途のための半波長厚さ又は放射線用途のための1/4波長厚さなどの従来の保護板の設計ガイドライン及び製造方法は、適切ではない場合があり得る。むしろ、本開示の一実施形態のトランスデューサでは、保護板又はバッキングがなく、圧電素子は、その高いQ値を有する固有モードの1つで又は複数の固有モードの組み合わせで振動することができる。振動するセラミック圧電素子/ディスクは、流体セルを流れる流体に直接曝される。
バッキングを取り除くこと(例えば、圧電素子の背面が空気に接すること)はまた、セラミック圧電素子が、わずかな減衰(例えば、より高次のモード変位)で高次の振動モードで振動することを可能にする。バッキングを備えた圧電素子を有するトランスデューサでは、圧電素子は、ピストンのように、より均一な変位で振動する。バッキングを取り除くと、圧電素子は不均一な変位モードで振動する。圧電素子のモード形状が高次になるほど、圧電素子はより多くの節線を有する。圧電素子の高次のモード変位は、より多くの捕捉線を生じさせるが、捕捉線と節との相関関係は必ずしも1対1ではなく、圧電素子をより高い周波数で駆動しても、必ずしもより多くの捕捉線が生じるとは限らない。
本開示の音響フィルタリングデバイスのいくつかの実施形態では、圧電素子は、圧電素子のQ値への影響が最小限(例えば5%未満)であるバッキングを有してもよい。バッキングは、圧電素子が高次モード形状で振動することを可能にし、かつ、高いQ値を維持しながら圧電素子に何らかの機械的な支持をするバルサ材、発泡体又はコルクなどの音響的に実質的に透明な物質で作られていてもよい。バッキング層は、中実であってもよく、又は、層を貫通する穴を有する格子であってもよく、そのような格子は、特定の高次振動モードで振動する圧電素子の節に追従し、圧電素子の残りの部分が自由に振動することを可能にしながら、節の位置で支持をする。格子の作用又は音響的に透明な物質の目的は、圧電素子のQ値を下げることなく、又は、特定のモード形状の励振を妨げることなく、支持をすることである。
圧電素子を流体と直接接触させて配置することもまた、エポキシ層及び保護板の減衰及びエネルギー吸収効果が回避されることにより、高いQ値に寄与する。トランスデューサの他の実施形態では、鉛を含むPZTがホスト流体と接触するのを防ぐために、保護板又は保護面を有してもよい。これは、例えば、血液の分離、生物薬剤学的灌流、又は、哺乳類細胞のフィードバッチ濾過などの生物学的用途において望ましい場合がある。このような用途では、クロム、電解ニッケル又は無電解ニッケルなどの保護層を使用してもよい。ポリ(p-キシリレン)(例えばパリレン)又は他のポリマーの層を塗布するために、化学蒸着を使用することもできる。シリコーン又はポリウレタンのような有機及び生体適合性のコーティングもまた、保護面として使用可能である。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムのような薄膜もまた、生体適合性物質であるという利点を有し、流体に曝されるトランスデューサ表面のカバーとして使用することができる。一実施形態では、PEEKフィルムは、感圧接着剤(PSA)を用いて圧電材料の面に接着される。他のフィルムも同様に使用することができる。
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、公称2MHzの共振周波数を有する。各トランスデューサは、3GPM(ガロン/分)の流量で液滴を捕捉するために約28Wの電力を消費することができる。これは、0.25kWhr/mのエネルギーコストに相当する。これは、この技術のエネルギーコストが非常に低いことを示している。望ましくは、各トランスデューサは、それ自身の増幅器によって電力を供給され、制御される。他の実施形態では、超音波トランスデューサは、例えば1インチ×1インチ寸法をもつ正方形の圧電素子を使用する。あるいは、超音波トランスデューサは、例えば1インチ×2.5インチ寸法をもつ長方形の圧電素子を使用することができる。十分な音響捕捉力を得るために、トランスデューサあたりの消費電力は、1インチ×1インチ寸法のトランスデューサの断面積あたり、かつ、音響定在波スパンの1インチあたり、10Wであった。中間スケールシステムの4インチスパンの場合、1インチ×1インチの正方形トランスデューサ1個あたり40Wを消費する。より大きな1インチ×2.5インチの長方形トランスデューサでは、中間スケールシステムで100Wを消費する。3つの1インチ×1インチの正方形トランスデューサのアレイでは、合計120Wを消費し、2つの1インチ×2.5インチの長方形トランスデューサのアレイは、約200Wを消費する。トランスデューサのサイズ、形状、数及び位置を必要に応じて変更して、所望の複数次元音響定在波パターンを生成することができる。
トランスデューサのサイズ、形状及び厚さは、異なる励起周波数でのトランスデューサの変位を決定し、これは、ひいては分離効率に影響を与える。典型的には、トランスデューサは、厚みの共振周波数(半波長)に近い周波数で動作する。トランスデューサの変位勾配は、通常、細胞/生体分子のための捕捉位置をより多くもたらす。高次のモードの変位は、すべての方向の音響場に強い勾配をもつ三次元音響定在波を発生させ、それにより全方向に等しく強い音響放射力が生じ、捕捉線の数がトランスデューサの特定のモード形状と相関している場合、複数の捕捉線をもたらす。
トランスデューサの変位プロファイルが音響捕捉力及び分離効率に及ぼす影響を調べるために、1インチ×1インチの正方形のトランスデューサを用い、励起周波数以外はすべて同じ条件で、実験を10回繰り返した。 励振周波数としては、図7の丸数字1~9と文字Aで示される10個の連続した音響共振周波数を用いた。条件は、30分の実験時間、油濃度が1000ppmである約5ミクロンのSAE-30油滴、500ml/minの流量、及び、20Wの印加電力とした。油滴を使用したのは、油は水よりも密度が低く、音響泳動を利用して水から分離できるからである。
図7は、2.2MHzのトランスデューサの共振点付近の周波数の関数として、正方形トランスデューサの測定された電気インピーダンスの振幅を図示している。トランスデューサの電気的なインピーダンスの極小点は、水柱の音響的な共振に対応し、動作に使用可能な周波数を表している。複数次元定在波が励起される他の周波数にも、追加の共振点が存在する。数値的なモデリングにより、これらの音響共振周波数でトランスデューサの変位プロファイルが大きく変化することが示されており、それによって音響定在波と結果として生じる捕捉力とに直接影響する。トランスデューサはその厚さ方向の共振点付近で動作するため、電極の表面の変位は本質的に位相がずれている。トランスデューサの電極の典型的な変位は一様ではなく、励起周波数に応じて変化する。一例として、捕捉された油滴の1つの線をもった1つの励振周波数では、変位は、電極の中央で1つの極大値をもち、トランスデューサの端部付近で極小値をもつ。別の励振周波数では、トランスデューサのプロファイルは複数の極大値をもち、複数の油滴の捕捉線が発生する。より高次のトランスデューサの変位パターンになるほど、捕捉力がより強くなり、捕捉された油滴に対して複数の安定した捕捉線が得られる。
油-水エマルジョンがトランスデューサを通過すると、油滴の捕捉線が観察され、特性が示された。この特性は、図8に示すように、図7で特定された10個の共振周波数のうちの7個について、流体チャネルを横切る捕捉線の数の観察及びパターンが含まれるものであった。トランスデューサの変位プロファイルが異なると、異なる(より多くの)捕捉線を定在波に生成することができ、変位プロファイルの勾配が大きくなると、一般には、より高い捕捉力とより多くの捕捉線が生成される。
図9は、9本の捕捉線のパターンに一致する圧力場を示す数値モデルである。この数値モデルは、2次元モデルであるため、3本の捕捉線のみが観察されている。紙面に垂直な3次元では、3本の捕捉線のセットが更に2組が存在している。
一様な変位をもつピストンのように結晶が効果的に移動する振動形態とは対照的に、トランスデューサによって生成される音響放射力の横方向の力は、より高次のモード形状でトランスデューサを駆動することによって増大させることができる。いくつかの実装例では、より高次のモード形状はベッセル関数である。音響圧力は、トランスデューサの駆動電圧に比例する。電力は、電圧の2乗に比例する。トランスデューサは、通常、薄い圧電プレートであり、z軸に電界があり、z軸に一次変位をもつ。トランスデューサは、通常、一方の側が空気(すなわち、トランスデューサ内のエアギャップ)と結合され、他方の側が互いに相互作用する粒子を含む流体混合物と結合される。前記プレートで生成される波の種類は、複合波として知られている。圧電プレート内の複合波の一部は、リーキー対称(leaky symmetric)(圧縮又は伸長とも呼ばれる。)のラム波に類似している。前記プレートの圧電性により、通常、対称的なラム波が励起される。ラム波は水層に放射されるため漏れが生じ、その結果、水層内に音響定在波が発生する。ラム波は、その表面上に無応力状態で無限に薄いプレート内に存在する。本実施形態のトランスデューサは、本質的に有限であるため、実際のモード変位はより複雑である。
図10は、前記プレートの厚さ全体にわたる面内変位(x変位)と面外変位(y変位)との典型的な変化を示しており、面内変位はプレートの厚さ全体にわたる偶関数であり、面外変位は奇関数である。プレートのサイズは有限であるため、変位成分はプレートの幅と長さにわたって変化する。一般に、(m,n)モードとは、幅方向のトランスデューサ変位にm個の起伏があり、長さ方向の変位にn個の起伏があるトランスデューサの変位モードであって、図10で説明したような厚さの変化を有するものである。m及びnの最大数は、圧電材料(例えば圧電結晶)の寸法と励起周波数との関数である。(m,n)の形式ではない追加の三次元モードも存在する。
トランスデューサは、圧電素子が一般式(m,n)の高次モードで振動するように駆動され、ここでm及びnはそれぞれ独立した1以上の数である。一般に、トランスデューサは、(2,2)よりも高次のモードで振動する。高次モードは、より多くの節と腹とを生成し、その結果、水層内に三次元定在波を生じさせ、定在波の方向だけでなく横方向にも、全方向の音響場に強い勾配があるという特徴がある。その結果、音響勾配により、横方向に強い捕捉力が生じる。
一般に、超音波トランスデューサは、電圧、電流、位相角、電力、周波数、又は、他の任意の電気信号特性に基づいて制御され得る電気信号によって駆動されてもよい。特に、トランスデューサの駆動信号は、電圧、電流、磁気、電磁気、容量性、又は、トランスデューサが応答する他のタイプの信号に基づいてもよい。実施形態において、トランスデューサを駆動する電圧信号は、正弦波、方形波、ノコギリ波、パルス波又は三角波の波形をもつことができ、500kHz~10MHzの周波数を有することができる。電圧信号は、任意の所望の波形を生成するパルス幅変調で駆動することができる。電圧信号は、ストリーミングを排除するために、振幅変調又は周波数変調の開始/停止機能を有することもできる。特定の実施形態では、電圧信号は、約0.5MHz~約30MHzの周波数を有することができ、これにより、そのような周波数が超音波トランスデューサによって生成される。
トランスデューサは、定在波の方向と直交する方向と定在波の方向との両方に同じオーダーの大きさの音響放射力を発生させる圧力場を形成するために使用される。力がほぼ同じオーダーの大きさである場合、サイズが0.1ミクロンから300ミクロンの粒子は、「捕捉線」に向かってより効果的に移動するため、細胞と核酸(むき出しであるかウイルスベクター内であるかにかかわらず)が共にお互いに隣り合わせに配置され、互いに反応することが可能になる。
生物学的用途においては、システムのすべての部分(すなわち、バイオリアクター、音響フィルタリングデバイス、それらを流体的に接続する管など)は、互いに分離可能で使い捨てにすることができる。遠心分離機や濾過装置を避けることにより、細胞の生存率を低下させることなく、生体細胞を流体からより良好に分離することができる。トランスデューサはまた、生体細胞の凝集による詰まりを防止又は解消するために、急速な圧力変化を生じるように駆動されてもよい。トランスデューサの周波数はまた、所与の電力に対して最適な効果を得るために変化させてもよい。
本書に記載された技術及び実装は、統合された連続的で自動化されたバイオプロセシングのために使用されてもよい。制御は、バイオプロセシングに関与するいくつかのユニット又はすべてのユニットに分散することが可能である。ユニットからのフィードバックは、バイオプロセスの概要を得るために提供され得るもので、画面表示、制御フィードバック、報告、ステータスレポート及び他の情報伝達の形であってもよい。分散処理により、例えば、ユニット間のステップを調整し、バッチ実行制御を提供することで、所望のプロセス制御を達成するための高度な柔軟性が得られる。
音響波システムを利用する音響泳動デバイスは、生体適合性物質で実装することができ、ガンマ線滅菌可能で使い捨てのコンポーネントを含むことができる。処理システムはまた、非侵襲的であり、高粘度流体で動作可能な超音波流量測定を可能にする。このシステムは、使い捨ての滅菌済みで無菌のコネクタと、制御用の簡単なグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)とで実装することができる。音響泳動デバイスは、スケーラブルである。例えば、比較的小型のユニットは、2Lから50Lのスケールで動作可能である。
上述の方法、システム及び装置は例である。様々な構成は、必要に応じて様々な手順又は構成要素を省略、置換又は追加してもよい。例えば、代替構成においては、前記方法は、説明されたものとは異なる順序で実行されてもよく、様々なステップが追加、省略又は組み合わされてもよい。また、特定の構成に関して説明された特徴は、他の様々な構成において組み合わされてもよい。構成の異なる態様及び要素は同様の方法で組み合わされてもよい。また、技術は進化しており、従って、前記要素の多くは例であり、本開示又は特許請求の範囲を限定するものではない。
例示的な構成(実施形態を含む)の完全な理解を提供するために、本書の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細なしで実施されてもよい。例えば、前記構成を不明瞭にすることを避けるために、不必要な詳細なしに、周知のプロセス、構造及び技術が示されている。この説明は例示的な構成のみを提供するものであり、特許請求の範囲、適用性又は構成を限定するものではない。むしろ、前述の構成の説明は、説明された技術を実施するための説明を提供する。本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、要素の機能及び配置に様々な変更を加えてもよい。
値が第1の閾値を超える(又は、上回る)という記述は、その値が第1の閾値よりもわずかに大きい第2の閾値を満たすか又は超えるという記述に相当し、例えば、第2の閾値が、関連するシステムの分解能において第1の閾値よりも1つ高い値であるという記述に相当する。値が第1の閾値を下回る(又は、第1の閾値内にある)という記述は、その値が第1の閾値よりもわずかに小さい第2の閾値以下であるという記述に相当し、例えば、関連するシステムの分解能において第2の閾値が第1の閾値よりも1つ低い値であるという記述に相当する。
また、構成は、フロー図又はブロック図として示されるプロセスとして説明されてもよい。それぞれが動作を逐次プロセスとして説明することがあるが、動作の多くは並行して又は同時に実行することができる。さらに、動作の順序は並べ替えられてもよい。プロセスは、図に含まれていない追加のステージ又は機能を有してもよい。
以下の実施例は、本開示の装置及びプロセスを例示するために提供される。実施例は単に例示的なものであり、そこに記載された材料、条件、又はプロセスパラメータによって本開示を限定することを意図するものではない。
実施例1:
図11は、T細胞とウイルスとの流体混合物を入れたプラスチック袋の写真である。このプラスチック袋を、水で満たされた音響泳動デバイスの中に入れた。複数次元音響定在波を発生させたところ、T細胞とウイルスが互いに相互作用した。これは、プラスチック袋内において一連のディスク状のビームとして視認される。
実施例2:
BacMam(登録商標)システム(サーモフィッシャーサイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific))は、トランスダクションのためにバキュロウイルスを使用し、緑色蛍光タンパク質(GFP)のジャーカットT細胞へのトランスダクションのために使用した。このシステムを用いて様々な実験を行った。5つの結果を以下に示す。それらを、制御、プロセス制御1、プロセス制御2、音響3MHz及び音響10MHzとラベル付けした。
制御の実験、プロセス制御1の実験及びプロセス制御2の実験は、音響定在波に曝されなかったものである。
音響3MHzの実験では、公称周波数3Hzの音響定在波を用いることにより、T細胞とウイルスとの間の相互作用が増強された。
音響10MHzの実験では、公称周波数10Hzの音響定在波を用いることにより、T細胞とウイルスとの間の相互作用が増強された。
結果を以下の表Aに示す。MOIは、感染の多重度、あるいは細胞あたりのウイルスベクター粒子の数である。GFP+は、GFPを発現した細胞の%である。
Figure 0007198286000001
音響を使用した場合、細胞あたり80%少ないウイルス粒子数で、同等のトランスダクション効率が得られた。
実施例3:
音響チャンバは超音波トランスデューサとリフレクタが備わったものである。再循環ループは、音響チャンバの一端から流体を引き出し、次いで流体を他端を通して音響チャンバに戻して循環させた。音響チャンバの容積は約1mLであり、再循環ループの容積は約3mLであった。トランスダクション試験はその音響チャンバを用いて実施した。
再循環を有する音響チャンバを用いて、4つの音響試験を実施した。2つの音響試験では、トランスダクション効率に対する音響の影響を決定するために、1Wの電力レベルで音響をオンにした。他の2つの試験では、音響をオフにした(再循環のみ)。
各音響試験はまた、制御運転(Control Run)と静的運転(Static Run)とで行った。制御運転では、ペトリ皿内の細胞にウイルスを添加し、直ちに洗浄した。静的運転では、ペトリ皿内の細胞にウイルスを90分間添加し、その後洗浄した。これらの試験のMOI(細胞あたりのウイルスベクター粒子数)は25であった。すべての運転について、細胞生存率をヌクレオカウンターで測定した。各音響的な運転についても、細胞生存率を、Vi-Cell細胞生存率分析装置を用いて測定した。
表Bは、各試験のパラメータを示す。表Cは、各試験運転の結果を示す。表Dは、Vi-Cell分析を示す。表Eは、ヌクレオカウンター分析を示す。表Cにおいて、トランスダクション利得は、音響効率を静的効率で割ったものである。
Figure 0007198286000002
Figure 0007198286000003
Figure 0007198286000004
Figure 0007198286000005
表Cに見られるように、再循環を用いることでトランスダクション効率が向上した。再循環に加えて音響を使用することで、トランスダクション効率はさらに向上した。表Dを参照すると、音響と再循環とを用いた2つの運転(運転1と運転2)は、音響を用いずに再循環を用いた2つの運転(運転3と運転4)と比較して、トランスダクションされた生存細胞の総数が約72%多いことを示した。表Eを参照すると、音響と再循環とを用いた2つの運転(運転1と運転2)は、音響を用いずに再循環を用いた2つの運転(運転3と運転4)と比較して、トランスダクションされた生存細胞の総数が約68%多いことを示した。
実施例4:
実施例3に記載した再循環を有する音響チャンバを用い、30分、60分及び90分の実行時間で、3つの音響試験を実施した。音響は、周波数2MHz、電力3.5Wで運転させた。制御運転と静的運転もまた、実施例3で説明したように実行したが、運転時間は30分、60分又は90分であった。表Fは、各試験のパラメータを示す。結果は図12に示されている。そこに見られるように、運転時間が増加するにつれて、音響が無い場合と比較してトランスダクション効率が向上した。
Figure 0007198286000006
いくつかの構成例を説明してきたが、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正形態、代替構成及び等価物を使用してもよい。例えば、上述の要素は、より大きなシステムの構成要素としてもよく、その場合、他の構造又はプロセスが、本発明の適用より優先されるか、又は、そうでなければ本発明の適用を修正してもよい。また、上述の要素が考慮される前、その間、又はその後に、多くの動作を行ってもよい。従って、上述の説明は特許請求の範囲を限定するものではない。

Claims (20)

  1. 細胞に外来核酸を導入するための方法であって、
    前記細胞及び核酸が配置される音響チャンバと、前記音響チャンバ内に音響定在波を発生させるために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサとを備える音響泳動デバイスに、前記細胞及び前記核酸を配置することと、
    前記超音波トランスデューサを約2MHzから約20MHzの周波数で駆動して複数次元音響定在波を発生させることと、を含み、
    少なくとも前記細胞が前記音響定在波によって保持され、前記核酸が二次的な粒子間力により前記細胞と共配置されて、前記細胞内への前記外来核酸のトランスダクションを可能にする、方法。
  2. 請求項1の方法において、
    前記核酸はウイルスベクター中にある、方法。
  3. 請求項1の方法において、
    前記細胞を前記核酸と共配置する前に、前記細胞の細胞膜に細孔を開けることをさらに含む、方法。
  4. 請求項3の方法において、
    前記細孔は、エレクトロポレーション、ソノポレーション又はリン酸カルシウムへの曝露によって開けられる、方法。
  5. 請求項1の方法において、
    前記音響泳動デバイスは、前記音響チャンバに結合された再循環ループを更に備え、
    1又は2以上の前記細胞又は前記核酸が前記音響チャンバを通って再循環される、方法。
  6. 請求項1の方法において、
    前記細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、エフェクターT細胞、ガンマデルタT細胞、ジャーカットT細胞、CAR-T細胞、B細胞若しくはNK細胞であり、又は、末梢血単核細胞(PBMC)、藻類、植物細胞若しくは細菌である、方法。
  7. 請求項1の方法において、
    前記音響定在波は、複数次元音響定在波、平面定在波、又は複数次元音響定在波と平面定在波との組み合わせである、方法
  8. 求項1の方法において、
    前記音響定在波の周波数は、前記核酸に対して前記細胞を動かすための掃引パターンで変化する、方法。
  9. 細胞のトランスダクションを引き起こすための方法であって、
    前記細胞と核酸を有するウイルスベクターとが配置される音響チャンバと、前記音響チャンバ内に音響定在波を発生させるために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサとを備える音響泳動デバイスに、前記細胞及び前記ウイルスベクターを配置することと、
    前記超音波トランスデューサを約2MHzから約20MHzの周波数で駆動して複数次元音響定在波を発生させることと、を含み、
    前記音響定在波と二次的な粒子間力によって前記細胞と前記ウイルスベクターとが共配置されて、前記細胞のトランスダクションを可能にする、方法。
  10. 請求項9の方法において、
    前記細胞及び前記ウイルスベクターは、流体中に懸濁している、方法。
  11. 請求項9の方法において、
    前記細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、エフェクターT細胞、ガンマデルタT細胞、ジャーカットT細胞、CAR-T細胞、B細胞若しくはNK細胞であり、又は、末梢血単核細胞(PBMC)、藻類、植物細胞若しくは細菌である、方法。
  12. 請求項9の方法において、
    前記音響泳動デバイスは、前記音響チャンバに結合された再循環ループを更に備え、
    1又は2以上の前記細胞又は前記核酸は前記音響チャンバを通って再循環される、方法
  13. 項9の方法において、
    前記音響定在波の周波数は、前記ウイルスベクターに対して前記細胞を動かすための掃引パターンで変化する、方法。
  14. 細胞のトランスフェクションを引き起こすための方法であって、
    前記細胞の細胞膜に細孔を開けることと、
    前記細胞及び核酸が配置される音響チャンバと、前記音響チャンバ内に音響定在波を発生させるために駆動可能な圧電材料を含む超音波トランスデューサとを備える音響泳動デバイスに、前記細胞及び前記核酸を配置することと、
    前記超音波トランスデューサを約2MHzから約20MHzの周波数で駆動して複数次元音響定在波を発生させることと、を含み、
    前記音響定在波と二次的な粒子間力によって前記細胞と前記核酸とが共配置されて、前記細胞のトランスフェクションを引き起こす、方法。
  15. 請求項14の方法において、
    前記細孔は、エレクトロポレーション、ソノポレーション又はリン酸カルシウムへの曝露によって開けられる、方法。
  16. 請求項14の方法において、
    前記細胞が前記音響泳動デバイスに配置される前又は後に、前記細孔が開けられる、方法。
  17. 請求項14の方法において、
    前記音響泳動デバイスは、前記音響チャンバに結合された再循環ループを更に備え、
    1又は2以上の前記細胞又は前記核酸が前記音響チャンバを通って再循環される、方法。
  18. 請求項14の方法において、
    前記細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0ハイブリドーマ細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、ヒト細胞、調節性T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、記憶T細胞、エフェクターT細胞、ガンマデルタT細胞、ジャーカットT細胞、CAR-T細胞、B細胞若しくはNK細胞であり、又は、末梢血単核細胞(PBMC)、藻類、植物細胞若しくは細菌である、方法。
  19. 請求項14の方法において、
    前記音響定在波は、複数次元音響定在波、平面定在波、又は複数次元音響定在波と平面定在波との組み合わせである、方法
  20. 項14の方法において、
    前記音響定在波の周波数は、前記核酸に対して前記細胞を動かすための掃引パターンで変化する、方法
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