JP2024064944A - 縦型管の更生方法、並びに該方法に用いる底部リング及び封止冶具 - Google Patents

縦型管の更生方法、並びに該方法に用いる底部リング及び封止冶具 Download PDF

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【課題】マンホール等の縦型管の内壁に螺旋管状の更生管を設置して更生する工法において、更生管の下端部と縦型管の底部との間の封止処理ないしは漏れ対策を簡便かつ確実に行なえる施工方法を提供する。【解決手段】上下へ延びる縦型管1の底部1bに底部リング20を設置する。帯状部材11の端部を螺旋状に巻いて更生管10の下端部を構成する巻き出しリング10bを形成する。巻き出しリング10bを底部リング20と嵌め合わせる。帯状部材11における巻き出しリング10bに続く部分を縦型管1の内壁1bに沿って上方へ向かって螺旋状に巻回することによって、内壁1bに螺旋管状の更生管10をライニングする。更生管10の外周と内壁1bとの間に裏込め材4を注入する。【選択図】図1

Description

本発明は、マンホール等の上下に延びる縦型管を更生する方法等に関し、特に縦型管の内壁に更生管をライニングする縦型管更生方法等に関する。
マンホール等の縦型管が老朽化した場合、その内壁に更生管をライニングすることによって更生することは公知である(特許文献1等参照)。例えば、特許文献1に記載の更生方法においては、合成樹脂製の帯状部材をマンホールの内壁に沿って螺旋状に巻回することによって、螺旋管状の更生管を製管している。製管後、更生管の螺旋状の下端部とマンホールの底部との間の間隙にエポキシ樹脂等の止水材を充填して封止したうえで、マンホールの内壁と更生管との間に裏込め材を注入して充填している。
高粘性のモルタルをマンホールの底部に盛り付け、その上から更生管を押し付けて封止することもある。
特開平8-142195号公報(0021~0026)
前掲特許文献1において、更生管の螺旋状の下端部とマンホールの底部との間の間隙は周方向の位置によって高さが異なり、最大で帯状部材の幅程度の大きさになる。その間隙をエポキシ樹脂の充填だけ又は高粘性モルタルの盛り付けだけで封止するのは作業が煩雑で時間を要する。高粘性モルタル等の封止材の場合、固まるまで1日程度かかり、その間、裏込め材の注入工程を行なうことができない。マンホール底部の側方に下水道本管等の管口が開口されていると、管口の封止処理に更に1日程度かかる。
また、注入充填時の裏込め材の圧力は最下端において最大となる。このため、更生管の下端部が変形したり、エポキシ樹脂や高粘性モルタル等の封止材が決壊したりして、裏込め材がマンホール内へ漏れることがあった。
本発明は、かかる事情に鑑み、マンホール等の縦型管の内壁に更生管を設置して更生する工法において、更生管の下端部と縦型管の底部との間の封止処理ないしは漏れ対策を簡便かつ確実に行なう施工方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、上下へ延びる縦型管の内壁に更生管をライニングする縦型管更生方法であって、
縦型管の底部に底部リングを設置する工程と、
帯状部材の端部を螺旋状に巻いて前記更生管の下端部を構成する巻き出しリングを形成する工程と、
前記巻き出しリングを前記底部リングと嵌め合わせる工程と、
前記帯状部材における前記巻き出しリングに続く部分を前記内壁に沿って上方へ向かって螺旋状に巻回することによって、前記更生管となる螺旋管を形成する工程と、
前記更生管の外周と前記内壁との間に裏込め材を注入する工程と、
を備えたことを特徴とする。
当該更生方法においては、更生管の下端部と縦型管の底部との間の封止処理ないしは漏れ対策として、縦型管の底部に底部リングを設置する。該底部リングに更生管の下端部を構成する巻き出しリングを嵌める。したがって、エポキシ樹脂を詰めたり高粘性モルタルを盛り付けたりするよりも簡便であり作業に長時間を要さない。固まるのを待つ必要もない。その後、更生管の外周と縦型管の内壁との間の裏込め空間に裏込め材を注入充填する時、底部リングが裏込め材の圧力を受ける。したがって、巻き出しリングが裏込め材の圧力で変形するのが抑制される。これによって、裏込め材が、更生管の下端部の巻き出しリングと縦型管の底部との間から縦型管の内部へ漏れるのを抑制できる。
好ましくは、前記巻き出しリングを前記底部リングと密着させる。これによって、裏込め材が巻き出しリングと底部リングとの間を通って縦型管の内部へ漏れるのを防止できる。
好ましくは、前記巻き出しリングの下端縁を水平になるようカットする。これによって、巻き出しリングと底部リングとの密着面積を十分に確保できる。厳密に水平にする必要はない。
好ましくは、前記巻き出しリングと前記底部リングとを接着剤を介して固定する。これによって、例えば、巻き出しリング及び底部リングの一部を切除して下水道管等の埋設管の管口との連通口を形成した場合に、巻き出しリングの螺旋巻き状態が緩んで拡がるのを防止できる。ひいては、裏込め材が巻き出しリングの緩み部分から縦型管の内部へ漏れるのを防止できる。接着剤を巻き出しリング及び底部リングの全周にわたって切れ目なく塗布することで、接着剤を、裏込め材が巻き出しリングと底部リングとの間を通り抜けるのを阻止する封止材として機能させることができる。
好ましくは、前記底部リングが、下へ向かって拡径するテーパ状の外周面を有する筒部を備えており、前記巻き出しリングを、前記筒部の上端部より大径かつ前記筒部の下端部の外径より小径の内周面を有するように形成して、前記筒部の外周に嵌め込む。これによって、巻き出しリングを筒部の上端部の外周に容易に嵌め込むことができる。その後、巻き出しリングを下降させるにしたがって、巻き出しリングが筒部の外周面に圧接されて筒部と密着される。
好ましくは、複数のリング分割体を互いに分離した状態で前記縦型管に挿し入れ、前記縦型管内でこれらリング分割体を環状に並べることによって前記底部リングを形成する。すなわち、底部リングが周方向に複数のリング分割体に分割されている。これによって、縦型管の上端開口が狭くても、底部リングをリング分割体ごとに上端開口から縦型管内へ容易に挿し入れることができる。
好ましくは、前記底部リングの周方向に隣接するリング分割体どうしの間隔を調節することによって、前記底部リングと前記巻き出しリングとを密着させる。これによって、裏込め材が巻き出しリングと底部リングとの間を通って縦型管内へ漏れるのを防止できる。
好ましくは、前記巻き出しリングを前記底部リングの外周に嵌め、前記隣接するリング分割体どうしの間にクサビ部材を差し込む。複数のリング分割体を巻き出しリングより小径の底部リングになるように組んでおくことによって、底部リングの外周に巻き出しリングを容易に嵌め込むことができる。その後、クサビ部材の差し込みによって隣接するリング分割体どうしの間隔を拡げることによって、底部リングが拡径され、底部リングと前記巻き出しリングとを密着させることができる。
好ましくは、前記隣接するリング分割体の対向端部間に渡されたネジ部材のねじ込み量によって前記間隔を調節する。これによって、底部リングと前記巻き出しリングとを密着させることができる。
縦型管の底部ないしはその近傍部の側方に埋設管の管口が開口されている場合、該縦型管の内壁に更生管をライニングする縦型管更生方法は、
複数のリング分割体を互いに分離した状態で前記縦型管に挿し入れる工程と、
前記縦型管内でこれらリング分割体を環状に並べることによって底部リングを形成する工程と、
隣接するリング分割体どうしの継ぎ目が前記管口と対向されるようにして、前記底部リングを前記縦型管の底部に設置する工程と、
前記更生管の下端部を前記底部リングと嵌め合わせる工程と、
前記更生管及び前記底部リングにおける前記管口に被さる部分を切除することによって、前記管口と連なる連通口を形成する工程と、
前記更生管の外周と前記内壁との間に裏込め材を注入する工程と、
を備えていることが好ましい。前記更生管は必ずしも螺旋管状である必要はない。
連通口の形成によって底部リングの継ぎ目も切除される。これによって、裏込め材等が前記継ぎ目を通して漏れるのを防止できる。
好ましくは、前記管口及び前記連通口を封止する封止冶具を前記管口の内周面から前記連通口の内周面に跨るように設置したうえで前記裏込め材の注入を行なう。これによって、裏込め材が、管口から埋設管の内部に流入したり、連通口から縦型管の内部に流入したりするのを防止できる。管口の内部全体及び連通口の内部全体を塞いだり、マンホール内壁と更生管との間における管口及び連通口の周りの部分に封止材を詰めたりする必要が無く、施工を簡便化できる。
前記縦型管更生方法に用いられる底部リングは、筒部と、前記筒部の下端部から径方向外側へ突出されたフランジ部を含むことが好ましい。フランジ部によって、底部リングを縦型管の底部に安定的に設置できる。筒部に更生管の下端部を嵌め込む。
各リング分割体は、分割筒部と、前記分割筒部の下端部から径方向外側へ突出された分割フランジ部を含むことが好ましい。
前記底部リングにおける前記隣接するリング分割体のうち少なくとも一方の対向端部には、径方向内側又は下側へ増肉されたクサビ受け部が設けられており、前記クサビ受け部が、下へ向かうにしたがって他方のリング分割体側へせり出す傾斜案内面を有していることが好ましい。これによって、リング分割体とクサビ部材との接触面積を増大でき、底部リングを確実かつスムーズに拡径させることができる。
前記縦型管更生方法に用いられる封止冶具は、環状の閉塞バンドを備えていることを好適形態とする。閉塞バンドを、連通口から管口に跨るように配置するとともに連通口及び管口の内周面に押し当てて密着させる。これによって、連通口と閉塞バンドとの間、及び管口と閉塞バンドとの間が封止される。
前記縦型管更生方法に用いられる封止冶具は、
前記管口及び前記連通口より小径の冶具本体と、
前記冶具本体の外周に設けられた膨縮可能なパッカーと、
を備え、前記パッカーが、前記連通口よりも前記更生管の内側へ突出して配置される第1パッカー部と、前記管口に挿し入れられる第2パッカー部とを含み、前記第1パッカー部が、前記第2パッカー部より径方向外側へ膨出する膨らみ部を有していることを第2の好適形態とする。
当該第2の好適形態の封止冶具を、ライニング済の更生管の内部から連通口を介して管口に跨るように設置し、パッカーを膨張させる。膨張された第1パッカー部の膨らみ部が、連通口のまわりの底部リング又は更生管の内面と密着される。また、膨張された第2パッカー部が、管口の内周面と密着される。さらに、膨張されたパッカーにおける連通口から管口に跨る部分によって、裏込め空間における連通口と管口との間の開口が塞がれる。これによって、封止冶具の軸方向及び周方向に沿う裏込め材(充填材)の注入圧に耐えることができ、裏込め空間と管口と連通口を簡易かつ確実に封止できる。裏込め材が高圧注入される場合でも、パッカーの膨張圧によって封止圧を高めて、裏込め材の注入圧と対抗することができる。したがって、裏込め材を裏込め空間に一回で充填できる。
好ましくは、前記膨らみ部を含む前記第1パッカー部が前記パッカーの軸方向の第1端部に設けられ、前記パッカーの軸方向の中央部及び第2端部が前記第2パッカー部を構成している。
これによって、膨らみ部が、パッカーの軸方向の第1端部に偏って配置される。パッカーの軸方向の中央部及び第2端部が、連通口を通して管口に深く挿し入れられることで、パッカーを管口に安定的に固定できる。
好ましくは、前記第1パッカー部における周方向の一部分が、前記周方向の残り部分よりも径方向外側へ部分環状に膨出されて前記膨らみ部を構成しており、前記膨らみ部の前記周方向の両端面が、前記残り部分の外周面から径方向外側へ張り出す一対の張出段差面を構成している。
当該封止冶具は、管口が前記縦型管の底部の側方部に設けられている場合に好適である。この場合、更生管の連通口は部分環状に形成され、管口の一部が連通口と連なり、管口の残部は、縦型管の底部に形成された溝の端部と連なっている。封止冶具を連通口及び前記溝から管口に跨るようにセットしてパッカーを膨張させると、部分環状の膨らみ部が、部分環状の連通口の周縁の底部リング又は更生管の内面に押し当てられる。かつ、一対の張出段差面が、縦型管の底部の溝を挟んで両側の面に押し当てられる。第1パッカー部の前記残り部分は、溝の端部に挿し入れられて該溝の端部の内周面に押し当てられる。これによって、パッカーと底部リング又は更生管との間、及びパッカーと縦型管の底部との間を確実に封止できる。
前記膨らみ部が、前記第1パッカー部の全周にわたる閉環状であってもよい。
前記膨らみ部が、前記パッカーの軸方向の中央部に設けられていてもよい。
好ましくは、前記パッカーが、前記冶具本体の外周面に被さる環状の内周側膜部と、前記内周側膜部を囲む環状の外周側膜部とを含み、これら内周側膜部及び外周側膜部における軸方向の同じ側の端部どうしが一体に連なり、前記内周側膜部及び前記外周側膜部どうしの間に閉じた環状の圧力供給室が形成されている。
これによって、パッカーが中空の輪環状となり、中空部が圧力供給室となる。圧力供給室に高圧流体を供給することで、パッカーを径方向外側へ膨張させることができる。パッカーと冶具本体との間は封止を必要としない。
本発明によれば、マンホール等の縦型管の内壁に螺旋管状の更生管を設置して更生する工法において、更生管の下端部と縦型管の底部との間の封止処理ないしは漏れ対策を簡便に、かつ確実に行なうことができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る更生方法による更生済マンホール(縦型管)の縦断面図である。 図2は、図1に現れた更生管を構成する帯状部材を示し、図5のII-II線に沿う断面図である。 図3は、図1の円部IIIの拡大断面図である。 図4(a)は、図1に現れた底部リングを更生施工に供される前の状態で示す平面図である。図4(b)は、同図(a)のIVbーIVb線に沿う断面図である。 図5は、前記更生方法を、前記底部リングの設置工程及び前記更生管の下端部を構成する巻き出しリングの形成工程で示す、マンホールの縦端面図である。 図6は、前記更生方法を、前記巻き出しリングの嵌め込み工程で示す、マンホールの縦端面図である。 図7は、前記更生方法を、前記更生管のライニング工程で示す、マンホールの縦端面図である。 図8は、前記更生方法を、連通口の形成工程及び閉塞バンドの設置工程で示す、マンホールの縦端面図である。 図9は、図8のIX-IX線に沿う、前記マンホールの底部付近の断面図である。 図10は、裏込め材の注入充填工程における前記マンホールの底部付近の拡大断面図である。 図11は、本発明の第2実施形態に係る底部リングの平面図である。 図12(a)は、図11に現れたクサビ受け部材を傾斜案内面側から見た斜視図である。図12(b)は、前記クサビ受け部材を裏面側から見た斜視図である。図12(c)は、リング分割体の対向端部に前記クサビ受け部材を嵌めた状態の斜視図である。 図13(a)は、前記第2実施形態の底部リングに巻き出しリングを嵌め込む状態を示す断面図である。図13(b)は、前記嵌め込み後、前記底部リングを拡径させた状態を示す断面図である。 図14は、本発明の第3実施形態に係る底部リングの平面図である。 図15(a)は、前記第3実施形態の底部リングに巻き出しリングを嵌め込む状態を、図14のXV-XV線に沿う断面にして示す断面図である。図15(b)は、前記第3実施形態において、巻き出しリングの嵌め込み後、底部リングを拡径させた状態を示す断面図である。 図16(a)は、前記第4実施形態におけるパッカー型の封止冶具を収縮状態で示す正面図である。図16(b)は、同図(a)のXVIb-XVIb線に沿う平面断面図である。図16(c)は、同図(a)のXVIc-XVIc線に沿う側面断面図である。 図17は、前記マンホールの更生施工を、前記封止冶具の設置工程で示す正面断面図である。 図18は、図17のXVIII-XVIII線に沿う側面断面図である。 図19は、前記マンホールの更生施工を、前記封止冶具の膨張工程で示す正面断面図である。 図20は、図19のXX-XX線に沿う側面断面図である。 図21(a)は、図20の円部XXIaの拡大断面図である。図21(b)は、図20の円部XXIbの紙面奥側部分の拡大断面図である。 図22は、パッカー型の他の封止冶具を収縮状態で示す正面図である。図22(b)は、同図(a)のXXIIb-XXIIb線に沿う平面断面図である。図22(c)は、同図(a)のXXIIc-XXIIc線に沿う側面断面図である。 図23は、前記他の封止冶具の設置工程を示す正面断面図である。 図24は、図23のXXIV-XXIVに沿う側面断面図である。 図25は、前記他の封止冶具の膨張工程で示す側面断面図である。 図26は、本発明の第5実施形態に係る封止冶具を収縮状態で示す正面図である。図26(b)は、同図(a)のXXVIb-XXVIb線に沿う側面断面図である。 図27は、前記第5実施形態におけるマンホールの更生施工を、封止冶具の膨張工程で示す側面断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1~図10)>
図1に示すように、本実施形態における更生対象の縦型管は、下水道の老朽化したマンホール1である。更生済のマンホール1A(更生済縦型管)には、更生管10と、底部リング20が設けられている。更生管10がマンホール1の内壁1b(内周面)にライニングされている。更生管10は、帯状部材11によって構成された螺旋管である。
図2(a)に例示するように、帯状部材11は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂からなる帯本体11aと、スチール等の金属からなる補強帯材11bを有し、一定の断面の長尺帯状に形成されている。帯本体11aは、平帯部12と、該平帯部12の幅方向の両端に設けられた雌雄の嵌合部13,14と、平帯部12の外周側面(更生管10における外周側を向く面)から突出された複数のリブ15を含む。補強帯材11bがリブ15と係合されている。
図1及び図3に示すように、帯状部材11が、マンホール内壁1bに沿って螺旋状に巻かれて、雌雄の嵌合部13,14どうしが凹凸嵌合されることで、螺旋管状の更生管10が形成されている。更生管10の下端縁は、ほぼ水平になるよう切り揃えられている。
図3に示すように、マンホール内壁1bと更生管10の外周との間の環状の裏込め空間(環状隙間)1eには、鉄筋組立体3が建て込まれるとともに、裏込め材4が充填されている。鉄筋組立体3は、マンホール内壁1bの周方向に間隔を置いて立設された複数本(図3においては1つだけ図示)の縦鉄筋3aと、これら縦鉄筋3aを連ねる環状の周方向鉄筋3bを含む。なお、鉄筋3は図3にのみ図示する。図3以外の図においては鉄筋3の図示を省略する。裏込め材4に鉄筋組立体3が埋設されている。裏決め材4は、例えばモルタルによって構成されている。
図1に示すように、マンホール1の底部2(インバート)には、底部リング20が設置
されている。底部リング20の材質は、好ましくは硬質ポリ塩化ビニル(PVC)等の硬質合成樹脂であるが、必ずしもこれに限らない。
図4(a)及び同図(b)に示すように、底部リング20は、筒部21と、フランジ部22を含み、平面視で円形に形成され、かつL字形の断面に形成されている。筒部21の高さ寸法は、好ましくは、更生管10の螺旋ピッチないしは帯状部材11の幅寸法と同程度の大きさになっており(図3)、具体的には数cm程度(例えば5cm程度)である。筒部21の高さが大き過ぎると、底部リング20の重量が増して持ち運びにくくなり、コストも嵩む。筒部21の高さが小さ過ぎると、更生管10との接着代を十分確保できない。筒部21の直径は、前記高さ寸法より十分大きく、マンホール1の内径より少し小さい。筒部21の外周面は、下へ向かって拡径するテーパ状になっている。図5に示すように、好ましくは、筒部21の中間高さ付近における外径φ21が、更生管10の内径φ10と等しい(φ21=φ10)。筒部21の上端部における外径は、更生管10の内径より小さく、筒部21の下端部における外径は、更生管10の内径より大きい。図10に示すように、筒部21の外周面のテーパ角度θは、tanθ≦(更生管10の厚み)/(更生管10の螺旋ピッチ)程度であることが好ましい。
図1及び図3に示すように、底部リング20の筒部21の外周に更生管10の下端部10bが嵌め込まれている。更生管10の下端部10bは、筒部21のテーパ状の外周面の中間高さより下側部分に圧接されることによって、下へ向かってテーパ状に拡径されている。更生管10の下端部10bの内周面と底部リング20の筒部21の外周面とは、接着剤Aによって接着されている。接着剤Aは、好ましくは塩化ビニル樹脂系接着剤である。
筒部21の下端部から径方向外側へ環状のフランジ部22が突出されている。更生管10の水平な下端縁は、筒部21の中間高さに配置されていてもよく。フランジ部25の上面に突き当てられていてもよい。フランジ部22の外径は、マンホール底部2の内径と略同じか、それより僅かに小さい。フランジ部22には、アンカー挿通孔22bが形成されている。
図3に示すように、底部リング20のフランジ部22がマンホール底面2aに載置され、アンカー挿通孔22bに通されたアンカーBによってマンホール底部2に定着されている。
なお、アンカーBを省略してもよい。マンホール底面2aが荒れている場合等には、フランジ部22の下面にゴムパッキンを設けることで、マンホール底面2aとの間のシール性を高めてもよい。
図4(a)に示すように、底部リング20は、周方向に分割されている。すなわち、底部リング20は、2つ(複数)のリング分割体23を備えている。各リング分割体23は、平面視で半円状に形成されている。これらリング分割体23が、環状に並べられることによって底部リング20が構成されている。各リング分割体23は、筒体21の一部を構成する分割筒部24と、フランジ部22の一部を構成する分割フランジ部25を含む。分割筒部24の下端部から分割フランジ部25が径方向外側へ突出されている。
底部リング20は、例えば次のようにして製造される。
まず、硬質塩化ビニル樹脂等の材料を押し出し成形することによって、L字形の断面形状の押出型材を形成する。
該押出型材を各リング分割体23の周長の長さに切断する。切断した押出型材を所定温度(例えば約80℃)の熱湯に付けて柔らかくする。油槽で一層高温になるよう加熱してもよい。柔らかくなった押出型材を更生管10の内径に合わせた外径の円筒形状の金型に巻き付けることによって曲率を付けるとともに、冷却する。
上記手順に代えて、押し出し成形後の押出型材を底部リング20の全周の長さに切断して、円形になるよう曲率を付けた後、半分に切断してもよい。
図9に示すように、マンホール1の底部2ないしはその近傍部の側方には、マンホール1の上流側及び下流側の下水道本管5A,5B(埋設管)の管口5d,5eが開口されている。これら管口5d,5eは、マンホール1の周方向に例えば180度程度離れ、かつ高さが異なっている。下流側の下水道本管5Bの管口5eの中央部が、マンホール底面2a(マンホール底部2の上面)とほぼ同じ高さに配置されている。管口5eの下半分は、マンホール底部2を構成するインバートコンクリートの周側面に面している。図1及び図9に示すように、マンホール底部2には、管口5eに連なる下半円状の断面の溝2eが形成されている。更生管10の下端部10b及び底部リング20は、管口5eの上半分と重なる高さに配置されている。更生管10の下端部及び底部リング20には、管口5eを塞がないように、上向き半円状に切り欠かれた連通口6Bが形成されている。図9に示すように、連通口6Bは、更生管10の下端部10bに形成された切り欠き部6c(連通口の内周縁の一部)と、底部リング20に形成された切り欠き部6d(連通口の内周縁の他の一部)とを含む。2つのリング分割体23どうしの一対の継ぎ目23d,23eのうち、継ぎ目23eは、ちょうど連通口6Bの切り欠き部6dとなる位置に配置され(図8の二点鎖線)、連通口6Bの形成によって最終構造の更生済マンホール1Aでは切除されている(図1)。
図9に示すように、上流側の下水道本管5Aの管口5dは、底部リング20より高所に配置されている。更生管10には、管口5dに連なる円形の連通口6Aが形成されている。連通口6Aの下方に離れて、底部リング20の継ぎ目23dが配置されている。
なお、上流側の管口5dが、底部リング20と重なる高さに配置されていてもよい。継ぎ目23d(図5)が、ちょうど連通口6Aとなる位置に配置され、連通口6Aの形成によって最終構造の更生済マンホール1Aでは切除されていてもよい。
マンホール1の更生作業は、次のようにして行われる。
まず、マンホール内壁1bの昇降用ステップ(図示)を撤去し、内壁1bを高圧水等で洗浄する。
次に、マンホール内壁1bに沿って鉄筋組立体3(図3)を設置する。
続いて、図5に示すように、マンホール底部2に底部リング20を設置する。
図5の二点鎖線にて示すように、このとき、2つ(複数)のリング分割体23を互いに分離した状態でマンホール1の上端開口1cからマンホール1内に挿し入れる。底部リング20全体としては上端開口1cより大径であっても、リング分割体23とすることで容易に挿し入れることができる。
図5の実線にて示すように、挿し入れたリング分割体23をマンホール底部2上で環状に並べることによって、底部リング20を形成する。このとき、リング分割体23どうしの継ぎ目23eが管口5eと対向するように、底部リング20の周方向の向きを調節する。さらに、アンカーBで底部リング20をマンホール底部2に定着させる。
なお、該定着工程は、後述する巻き出しリング10bの嵌め込み後に行ってもよい。定着工程を省略してもよい。
次に、帯状部材11を地上からマンホール1内に差し入れ、帯状部材11の端部を螺旋状に数巻き程度巻いて、更生管10の下端部を構成する巻き出しリング10bを形成する。好ましくは、底部リング20の上に角材7を設置し、角材7上で巻き出しリング10bを作成する。マンホール1の上端付近の斜壁1dを外せる場合は、地上で巻き出しリング10bを作成するとともに、斜壁1dを撤去して、作成済の巻き出しリング10bを地上からマンホール1内に挿し入れてもよい。
さらに、巻き出しリング10bの下端をほぼ水平になるように切り揃える。厳密に水平にする必要はない。
巻き出しリング10bの下側部分の内周面、及び底部リング20の筒部21の外周面の両方又は一方には、接着剤A(図3)を塗布する。
次に、角材7(図5)を撤去したうえで、図6に示すように、巻き出しリング10bを下降させて、底部リング20と嵌め合わせる。巻き出しリング10bの内径が筒部21の上端の外径より大きいから、巻き出しリング10bを筒部21の外周に容易に嵌め込むことができる。しかも、底部リング20の芯出し機能によって、巻き出しリング10bひいては更生管10の中心軸が、マンホール1の中心軸とほぼ一致されるようにできる。その後、巻き出しリング10bを下降させるにしたがって、巻き出しリング10bの下端部分が筒部21のテーパ状外周面に強く当たってテーパ状に拡径される。これによって、巻き出しリング10bを筒部21に圧接させて強固に接合できる。筒部21のテーパ角度θをtanθ≦(更生管10の厚み)/(更生管10の螺旋ピッチ)程度とすることによって、巻き出しリング10bにおける嵌合部13,14どうしの嵌合状態を保持しながら、巻き出しリング10bと筒部21を密着させることができる。さらに、巻き出しリング10bと底部リング20とは、接着剤Aを介して接着されて固定される(図3)。接着剤Aは、数十秒で硬化される。好ましくは、接着剤Aが硬化するまで、巻き出しリング10bを上から荷重をかけて押さえ付けておく。
このようにして、巻き出しリング10b(更生管10の下端部)とマンホール底部2との間の封止処理ないしは漏れ対策の作業を簡便に行なうことができる。ひいては、マンホール更生施工の工期を短縮できる。
続いて、図6に示すように、自走式の製管機8によって、帯状部材11における巻き出しリング10bに続く部分をマンホール内壁1bに沿って上方へ向かって螺旋状に巻回しながら、更生管10となる螺旋管を製管する。巻き出しリング10bが底部リング20を介してマンホール1に対して固定されているから、製管機8の推進反力を確実に得ることができ、製管を確実に行なうことができる。これによって、図7に示すように、マンホール内壁1bに更生管10がライニングされる。更生管10がマンホール上端開口1cまで達したら、製管機8を撤去する。
次に、図8及び図9に示すように、更生管10及び底部リング20における管口5d,5eに被さる部分を切除することで、管口5d,5eと連なる連通口6A,6Bを形成する。下流側の連通口6Bの形成によって、継ぎ目23eが切除される。巻き出しリング10b(更生管10の下端部)は、接着剤Aを介して筒部21と接着されているから、連通口6Bとなる部分6cを切除しても、螺旋巻き状態が緩んで拡径されることはない。
次いで、図9に示すように、封止冶具として、環状の閉塞バンド30を2つ用意する。閉塞バンド30は、環状の金属からなる一対のサポートリング31と、これらサポートリング31の外周面に架け渡されるように設けられたゴム製の環状シール部材32とを含む。
片方(上流側)の閉塞バンド30を、上流側の管口5dの内周面から連通口6Aの内周面に跨るように設置する。上流側の該閉塞バンド30のシール部材32は、管口5dの内周面及び連通口6Aの内周面に密着される。これによって、裏込め空間1eにおける管口5d及び連通口6Aの周りの部分が閉塞される。
他方(下流側)の閉塞バンド30を、下流側の管口5eの内周面から連通口6Bの内周面に跨るように設置する。下流側の閉塞バンド30のシール部材32は、管口5eの内周面及び連通口6Bの内周面に密着される。これによって、裏込め空間1eにおける管口5e及び連通口6Bの周りの部分が閉塞される。
管口5d,5eの内部全体及び連通口6A,6Bの内部全体を塞いだり、裏込め空間1eにおける管口5d,5e及び連通口6A,6Bの周りの部分に粘性封止材を詰めたりする必要が無い。したがって、マンホール更生施工の工期を一層短縮できる。
なお、連通口6A,6Bの形成工程及び閉塞バンド30の設置工程は、巻き出しリング10bの設置後ないしは更生管10の上端部が管口5の上端部よりも上へ位置された後であれば、更生管10の製管完了前に行ってもよい。
次に、更生管10の外周とマンホール内壁1bとの間の裏込め空間1eに裏込め材4(図1)を注入して充填する。裏込め空間1e内に注入された裏込め材4の圧力は、裏込め空間1eの最下端において最大となる。図10において白抜き矢印aにて示すように、この裏込め材4の最大圧力が、底部リング20のフランジ部22に対し下向きに付与されることでフランジ部22がマンホール底面2aに押し当てられて密着される。また、裏込め材4(モルタル)は、硬化前でもある程度の粘性を有している。したがって、裏込め材4が、フランジ部22とマンホール底面2aとの間を通ってマンホール1内へ漏れるのを抑制又は防止できる。
図10において白抜き矢印bにて示すように、裏込め材4の最大圧力は、巻き出しリング10bに対し径方向内側へ押す向きにも付与される。これによって、巻き出しリング10bが底部リング20の筒部21に押し当てられるとともに、筒部21が裏込め材4の圧力を受ける。したがって、巻き出しリング10bが径方向内側へ変形するのを防止でき、さらには、裏込め材4が、巻き出しリング10bの内周面と筒部21の外周面との間を通ってマンホール1内へ漏れるのを抑制又は防止できる。
図9に示すように、裏込め空間1eにおける管口5d,5e及び連通口6A,6Bの周りは閉塞バンド30によって塞がれているから、裏込め材4が、管口5d,5eから下水道本管5A,5B内に流入したり、連通口6A,6Bからマンホール1内に流入したりするのを防止できる。
また、底部リング20の一対の継ぎ目23d,23eのうち少なくとも下流側の継ぎ目23eが切除されているから、裏込め材4が継ぎ目23eからマンホール1内へ漏れることもない。
底部リング20の筒部21は、更生管10の下端縁の内面に被さることで、マンホール1内に露出される。該筒部21が、建物における巾木のような化粧材となることで、見栄えを向上できる。
図1に示すように、裏込め材4の養生硬化後(例えば注入作業の翌日)、閉塞バンド30を撤去する。
その後、更生管10の内面(内周面)にステップを取り付ける等の仕上げ工程を行なう。このようにして、マンホール1が更生され、更生済マンホール1Aが構築される。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(図11~図13)>
図11に示すように、本発明の第2実施形態に係る底部リング20Bには、隣接するリング分割体23どうしの間隔を調節する間隔調節手段26が設けられている。間隔調節手段26は、一対のクサビ受け部材40と、クサビ部材50を備えている。一対のクサビ受け部材40は、互いに面対称の形状になっており、隣接するリング分割体23の対向端部23fにそれぞれ被せられている。対向端部23fどうしが、クサビ受け部材40を介して対向している。
なお、クサビ受け部材40とは180度反対側(図11において上側)における、リング分割体23の対向端部23gどうしは直接に対向している。
図12(a)及び同図(b)に示すように、各クサビ受け部材40は、底部リング20Bの断面形状に合わせて、縦辺部40a及び底辺部40bを有する概略L字状に形成されている。クサビ受け部材40の材質は、例えば硬質のポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)等の樹脂であるが、金属であってもよい。
クサビ受け部材40が、リング分割体23と同じ材質であってもよく、リング分割体23と同体であってもよい。
図12(a)に示すように、各クサビ受け部材40における他方のリング分割体23との対向面は、傾斜案内面41となっている。傾斜案内面41は、縦辺部案内面41a及び底辺部案内面41bを有する概略L字形の平面状に形成され、かつ下へ向かうにしたがって他方のリング分割体23側へせり出すように傾斜されている。傾斜案内面41の面積は、リング分割体23の断面積より大きい。縦辺部案内面41aの幅は、筒部21の厚みより大きい。底辺部案内面41bの高さ寸法は、フランジ部22の厚みより大きい。
図12(b)に示すように、クサビ受け部材40における傾斜案内面41とは反対側の裏面42には、凹溝43が形成されている。凹溝43は、縦辺部凹溝43a及び底辺部凹溝43bを有するL字状になっている。図12(c)に示すように、凹溝43には、リング分割体23の対向端部23fが嵌め込まれている。縦辺部凹溝43aに分割筒部24の周方向の端部が嵌め込まれている。底辺部凹溝43bに分割フランジ部25の周方向の端部が嵌め込まれている。
図12(c)に示すように、クサビ受け部材40は、リング分割体23より増肉されている。詳しくは、縦辺部40aは、分割筒部24より径方向内側へ増肉されている。また、底辺部40bは、分割フランジ部25より下側へ増肉されている。
図12(c)に示すように、クサビ受け部材40の縦辺部40aにおける、底辺部40bの突出方向を向く面40dは、分割筒部24の外周面と面一になっている。少なくとも、クサビ受け部材40の縦辺部40aは、分割筒部24から径方向外側へは突出されていない。これによって、巻き出しリング10bを筒部21の外周に嵌め込む際、クサビ受け部材40と巻き出しリング10bとの干渉を回避できる。
図12(a)及び同図(b)に示すように、クサビ受け部材40の縦辺部40aの上端部には、縦辺部凹溝43aの上端面を画成するコーナー部44が形成されている。図12(c)に示すように、コーナー部44が、分割筒部24の端部の上端に被さっている。
図12(a)に示すように、クサビ受け部材40の底辺部40bの先端部には、係止凸部45が上へ突出するように設けられている。図12(b)に示すように、底辺部凹溝43bの先端部が、係止凸部45の下部に延びている。図12(c)に示すように、該底辺部凹溝43bの先端部に、分割フランジ部25の先端部が嵌め込まれている。分割フランジ部25の先端部の上面に係止凸部45が被さることで、分割フランジ部25が係止凸部45に係止されている。クサビ受け部材40の底辺部40bにおける係止凸部45を除く部分の上面は、分割フランジ部25の上面と面一になっている。
図13(a)に示すように、底部リング20Bの一対のクサビ受け部材40どうしは、下へ向かうにしたがって接近されている。これらクサビ受け部材40の下端どうしを突き当てた状態における、底部リング20Bの筒部21の外径は、筒部21の下端部近くにおいても、更生管10の内径より少し小さい。
図13に示すように、クサビ受け部材40は、クサビ部材50(間隔調節部材)を受ける。図13(a)に示すように、クサビ部材50は、下へ向かうにしたがって幅が小さくなった台形ないしは三角形の形状に形成されている。クサビ部材50の両側面は、下へ向かうにしたがって互いに接近する傾斜面51となっている。各傾斜面51の鉛直方向に対する傾斜角度は、傾斜案内面41の傾斜角度と等しい。
図13(b)に示すように、クサビ部材50は、一対のクサビ受け部材40間に介在される。クサビ部材50の挿し込み量に応じて、隣接するリング分割体23の対向端部23fどうしが間隔調節され、筒部21の径が調節される。クサビ部材50の上端面が、例えばクサビ受け部材40の上端面とほぼ面一になる位置までクサビ部材50が挿し込まれた状態では、筒部21の少なくとも中間高さから下側の部分の外径が更生管10の内径より大きい。
図13(a)に示すように、第2実施形態のマンホール更生施工においては、クサビ受け部材40付きの底部リング20Bをマンホール底面2aに載置する。このとき、一対のクサビ受け部材40からなるリング分割体23どうしの継ぎ目が、下流側の管口5eと対向するように、底部リング20Bの周方向の向きを調節しておく。
続いて、作成した巻き出しリング10b(更生管10の下端部)を筒部21の外周に被せる。巻き出しリング10b(更生管10の下端部)の内周面又は筒部21の外周面には接着剤A(図3)を予め塗布しておく。この時点では、クサビ受け部材40間にクサビ部材50が未だ介在されておらず、筒部21の外径が更生管10の内径より小さいから、更生管10を筒部21の外周に容易に嵌め込むことができる。
次に、図13(a)~同図(b)に示すように、ハンマー等の打ち込み工具(図示せず)を用いて、クサビ部材50を上方から一対のクサビ受け部材40の間に打ち込む。このとき、クサビ部材50の傾斜面51が傾斜案内面41と摺擦しながら下降され、一対のクサビ受け部材40どうしの間隔が押し広げられる。ひいては、隣接するリング分割体23の対向端部23fどうしが離間され、底部リング20Bが拡径される。
クサビ受け部材40の増肉構造によって、クサビ部材50と底部リング20Bとの接触面積を大きくできる。したがって、拡径力が底部リング20Bの周方向の広い範囲に及ぶようにでき、底部リング20Bをスムーズに、かつ確実に拡径させることができる。この結果、筒部21の外周面が、巻き出しリング10bの内周面に強く当たって確実に密着され接着されるようにできる。
その後、図13(b)に示すように、好ましくはアンカーBを、アンカー挿通孔25bを通してマンホール底部2に打ち込み、底部リング20Bをマンホール底部2に定着させる。巻き出しリング10bの巻き数を少なくして、巻き出しリング10bの高さを低くしておくことで、アンカーB及びアンカー打設工具を、マンホール内壁1bと巻き出しリング10bの外周との間の隙間を通して、フランジ部22まで到達させることができる。
図11に示すように、アンカー挿通孔25bは、長手方向をフランジ部22の周方向へ向けた長孔になっている。したがって、底部リング20Bの拡径操作で分割フランジ部25が多少変位したとしても、アンカーBを所望の位置に打ち込むことができる。
なお、底部リング20Bの設置後、アンカーBを打設したうえで、巻き出しリング10bの嵌め込み及びクサビ部材50の差し込みを行なってもよい。アンカーBによる定着を省略してもよい。
次に、連通口6A,6B(図9参照)を形成する。下流側の連通口6Bの形成によって、クサビ受け部材40が切除される。その後、閉塞バンド30(図9参照)等の封止冶具を設置したうえで、裏込め空間1eに裏込め材4を注入充填する。底部リング20Bが拡径によって巻き出しリング10bと強く密着されているから、裏込め材4が巻き出しリング10bと底部リング20Bとの間を通ってマンホール1内へ漏れるのを確実に防止することができる。
<第3実施形態(図14~図15)>
図14及び図15に示すように、第3実施形態に係る底部リング20Cには、隣接するリング分割体23どうしの間隔を調節する間隔調節手段60が設けられている。間隔調節手段60は、一対のエンドプレート61と、1又は複数のネジ部材62(間隔調節部材)を含む。エンドプレート61は、例えば鋼板等の金属板によって構成されている。一対のエンドプレート61が、隣接する2つのリング分割体23の対向端部23fにそれぞれ固定されている。エンドプレート61は、リング分割体23の分割筒部24から径方向内側へ突出されている。エンドプレート61の径方向外側の端部は、好ましくは分割筒部24の外周面と面一になっており、分割筒部24から径方向外側へは突出されていない。これによって、エンドプレート61と巻き出しリング10bとの干渉を回避できる。
隣接するリング分割体23のエンドプレート61どうしが、間隔を置いて対峙している。片側(図14において右側)のエンドプレート61には、1又は複数のナット63が設けられている。ナット63にネジ部材62が螺合されている。ここでは、2つ(複数)のナット63及びネジ部材62が、片側のエンドプレート61の上下に離れて配置されている。ネジ部材62の先端は、他方(図14において左側)のエンドプレート61に突き当てられている。これによって、ネジ部材62が、一対のエンドプレート61間に渡され、ひいては隣接する2つのリング分割体23間に渡されている。ネジ部材62のねじ込み量によって、リング分割体23どうしの間隔が調節可能である。
図15(a)に示すように、底部リング20Cをマンホール底部2に設置するときは、ネジ部材62を緩くねじ込んでおき、2つのリング分割体23どうしを接近させて、底部リング20Cの筒部21の下端部における外径を巻き出しリング10の内径より小径にしておく。また、間隔調節手段60を含むリング分割体23どうしの継ぎ目が、下流側の管口5eと対向するように、底部リング20Cの周方向の向きを調節する。巻き出しリング10b(更生管10の下端部)の内周面又は筒部21の外周面には接着剤A(図3)を塗布する。
図15(b)に示すように、巻き出しリング10b(更生管10の下端部)を筒部21の外周に嵌め込んだ後、ネジ部材62を他方のエンドプレート61へ向けて深くねじ込むことで、一対のエンドプレート61どうしを離間させる。これによって、底部リング20Cが拡径されて、筒部21の外周面が巻き出しリング10bの内周面に強く押し当てられて密着され接着される。次に、連通口6A,6B(図9参照)を形成する。連通口6Bの形成時に間隔調節手段60が切除される。その後、閉塞バンド30(図9参照)等の封止冶具を設け、裏込め材4(図10参照)を充填する。前記密着によって、裏込め材4が巻き出しリング10bと底部リング20Cとの間を通ってマンホール1内へ漏れるのを防止できる。
<第4実施形態(図16~図21)>
図16に示すように、本発明の第4実施形態においては、封止冶具として、閉塞バンド30(図22)に代えて、パッカー型の封止冶具70が用いられている。
封止冶具70は、冶具本体71と、パッカー80を備えている。冶具本体71は円筒形状の単管によって構成されている。図17に示すように、冶具本体71は、管口5eに挿入出来るよう、その外径が管口5eの内径より小径になっている。冶具本体71の外径は、管口5eの内径及びパッカー80の厚みを考慮して設定されている。好ましくは、冶具本体71の外直径は、管口5eの内直径より数十mm程度小さく、より好ましくは30mm程度小さい。冶具本体71の材質は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂であるが、これに限らず、鋼鉄、鉄などの金属でもよい。
図16に示すように、冶具本体71の外周にパッカー80が設けられている。パッカー80は、異形断面の輪環形状に形成されて、冶具本体71を囲んでいる。パッカー80の材質は、好ましくは、弾性的に膨張、収縮可能なゴムである。ゴムの内部に補強線材が埋め込まれていてもよい。ゴムの成形時に異形断面の輪環形状が付与されることで、パッカー80が作製されている。
詳しくは、図16(b)及び同図(c)に示すように、パッカー80は、環状の外周側膜部81と、環状の内周側膜部82を一体に含む。外周側膜部81が、内周側膜部82を囲んでいる。これら環状の外周側膜部81及び内周側膜部82の軸方向の手前側(図16(c)において左側)の端部どうし及び奥側(図16(c)において右側)の端部どうしが、それぞれ全周にわたって一体に連なっている。これら膜部81,82間のパッカー80内部に、閉じた環状の圧力供給室85が画成されている。圧力供給室85の内圧によって、パッカー80が主に径方向へ膨縮可能である。図16(a)~同図(c)において、実線はパッカー80の収縮時を示し、二点鎖線はパッカー80の膨張時を示す(図22及び図26において同様)。
内周側膜部82が、冶具本体71の外周面に被せられて固定されている。冶具本体71によって内周側膜部82が保形されている。なお、内周側膜部82ひいてはパッカー80が、冶具本体71に対して着脱可能であってもよい。
膜部81,82の厚みは、好ましくは数mm程度、より好ましくは5mm程度であるが。これに限らない。膜部81,82の軸長ひいてはパッカー80の軸長は、冶具本体71の軸長と同程度である。
図16(b)及び同図(c)に示すように、パッカー80の軸方向の手前側(図16(c)において左側)の第1端部80aは、第1パッカー部83を構成している。パッカー80の軸方向中央部及び奥側(図16(c)において右側)の第2端部80bは、第2パッカー部84を構成している。図18に示すように、第1パッカー部83は、連通口6Bよりも更生管10の内側へ突出して配置される。第2パッカー部84は、連通口6Bを通して管口5eに挿し入れられる。
図16に示すように、第1パッカー部83は、第2パッカー部84より径方向外側へ膨出する膨らみ部86を有している。詳しくは、外周側膜部81の手前側(図16(b)において下側、図16(c)において左側)の部分の上半部83a(周方向の一部分)が、径方向外側へ膨出されることによって、膨らみ部86を構成している。図16(a)に示すように、正面視で、膨らみ部86は、第1パッカー部83の上半部83aの周方向に沿う半円状(部分環状)になっている。図16(c)に示すように、周方向と直交する膨らみ部86の断面は、部分円形状になっている。図16(a)に示すように、膨らみ部86の周方向の両端は、第1パッカー部83の下半部83b(周方向の残り部分)の外周面より径方向に張り出すことで、張出段差面86dを構成している。
図16(a)~同図(c)に示すように、パッカー80における膨らみ部86以外の部分すなわち第2パッカー部84の全域及び第1パッカー部83の下半部83bは、膨らみ部86の高さより小さい一定の厚みに形成されている。
図16(a)及び同図(c)に示すように、パッカー80には、高圧流体供給口72が設けられている。供給口72は、膨らみ部86の前面部86aの周方向の中央部に配置されているが、これに限らず、パッカー80の膨らみ部86以外の部分に供給口72が配置されていてもよい。供給口72が、冶具本体71の内周面又は端面に配置されていてもよい。
マンホール1の更生施工に際して、封止冶具70は次のように用いられる。
連通口6Bの形成と前後して、封止冶具70を更生管10内ひいてはマンホール1内に搬入する。この時点のパッカー80は、圧力供給室85に高圧流体が供給されておらず、径方向に収縮されている。
好ましくは、連通口6Bは、管口5eより少し大径の円形に形成される。
なお、予め地上にてパッカー80が膨張されるかの確認試験を行ない、合格した封止冶具70をマンホール1に搬入することが好ましい。搬入後にマンホール1内で確認試験を行ってもよい。確認試験後、パッカー80を収縮させる。
図17及び図18に示すように、確認試験及び搬入後の封止冶具70を、第2端部80bをマンホール1の径方向外側へ向けて、連通口6Bから管口5eへ挿し込む。これによって、封止冶具70が、更生管10の内部から連通口6Bを介して管口5eに跨るように設置される。第1パッカー部83は、更生管10の内部に配置される。膨らみ部86における第2パッカー部84側を向く背面部86bが、底部リング20及び更生管10における連通口6Bの周縁部に当接又は近接される。連通口6Bの周縁部は、連通口6Bのまわりの底部リング20の内面20e、及び底部リング20より上側かつ連通口6Bのまわりの更生管10の内面10ae、並びに連通口6Bの内周縁6c,6dを含む。連通口6Bの内周縁6c,6dの凸凹が激しい場合は、予め、内周縁6c,6dにシーリング剤を塗布してもよい。
膨らみ部86の周方向の両端の一対の張出段差面86dは、底部2の溝2eを挟んで両側のマンホール底面2aに載せられる。
第1パッカー部83の下半部は、溝2eに挿し入れられる。
続いて、図20に示すように、供給口72に圧力供給チューブ73を接続し、高圧流体74を供給口72から圧力供給室85に供給する。高圧流体74は、空気等の気体でもよく、水等の液体でもよい。図19及び図20に示すように、圧力供給室85への圧力供給によって、パッカー80が膨張される。パッカー80は、主に径方向外側へ拡径されるように膨張される。これによって、パッカー80が、連通口6Bの周縁部及び管口5eの内周面等に密着される。
詳しくは、図21(a)及び同図(b)に拡大して示すように、膨張した膨らみ部86が、連通口6Bの周縁部に倣うように変形される。これによって、膨らみ部86の背面部86bが、連通口6Bのまわりの底部リング20の内面20e及び更生管10の内面10aeに強く張り付いて密着される。これによって、連通口6Bの内周縁6c,6dが多少凸凹であっても、底部リング20及び更生管10と封止冶具70との間を確実に封止できる。かつ、底部リング20及び更生管10を封止冶具70の軸方向に押さえ付けることができる。
また、図19に示すように、膨らみ部86の張出段差面86dが、底部2のマンホール底面2aに強く張り付いて密着される。かつ、第1パッカー部83の下半部83bが、溝2eの内周面に強く張り付いて密着される。これによって、底部2と封止冶具70との間を確実に封止できる。
さらに、第2パッカー部84が、全周にわたって管口5eの内周面と強く張り付いて密着される。これによって、管口5eと封止冶具70との間を確実に封止できる。かつ、封止冶具70が、摩擦によって管口5eに固定される。
さらには、図21(a)に示すように、パッカー80における連通口6Bから管口5eに跨る部分87が、裏込め空間1eにおける連通口6Bと管口5eとの間の開口1eaを塞ぐ。
封止冶具70を連通口6Bから管口5eに挿し入れて設置した後、パッカー80を膨張させればよく、裏込め空間1eと連通口6Bと管口5eの封止作業を簡易かつ短時間で行なうことができる。
好ましくは、膨張させたパッカー80と連通口6Bの周縁部等との間の隙間の有無を目視で確認し、隙間が有る場合、その隙間をシーリング剤で埋めておく。例えば、図21(b)に示すように、底部リング20の上端縁と更生管10の内面10aeとパッカー80との間に隙間gが有る場合、その隙間gにシーリング剤Sを充填しておく。
底部リング20の上端縁を上へ向かって先細又はテーパ状になるよう面取りすることで、隙間gが小さくなるか、隙間gが無くなるようにしてもよい。
その後、図20の白抜き矢印にて示すように、裏込め空間1eに裏込め材4を注入する。前述したようにパッカー80を膨張させて封止しておくことで、裏込め材4が、連通口6Bから更生管10内へ漏れたり、管口5eから下水道本管2内へ漏れたりするのを防止できる。かつ、封止冶具70の軸方向及び周方向に沿う裏込め材4の注入圧に耐えることができる。
更には、高圧流体74の供給圧によって封止圧を高めることで、裏込め材4の高圧注入にも対応できる。したがって、裏込め材4を裏込め空間1eに一回で充填できる。
なお、裏込め材4の注入中ないしは注入後、パッカー80が変形する場合は、圧力供給室85に更に高圧流体74を供給してパッカー80の内圧を高め、変形を抑制することが好ましい。
注入した裏込め材4の硬化後、圧力供給室85から高圧流体74を抜き、パッカー80を収縮させる。
その後、封止冶具70を更生管13内へ引き抜いて撤去する。
封止冶具70によれば、管口5eの口径に合わせて、冶具本体71及びパッカー80の大きさ及び材質等を選定することで、小口径管にも中大口径管にも適用可能である。
図22~図25に示すように、パッカー型の封止冶具は、底部リング20より上側に離れて位置する連通口6A及び管口5dの封止にも適用できる。図22(a)~同図(c)に示すように、連通口6A及び管口5d用の封止冶具70Bは、膨らみ部88が、第1パッカー部83の全周にわたる円環状(閉環状)になっている。
図23及び図24に示すように、封止冶具70Bが、第2端部80bをマンホール1の径方向外側へ向けて、連通口6Aから管口5dへ挿し込まれる。これによって、封止冶具70Bが、更生管10の内部から連通口6Aを介して管口5dに跨るように設置される。円環状の膨らみ部88が全周にわたって、更生管10における連通口6Aの周縁部に当接又は近接される。
続いて、図25に示すように、高圧流体74が、供給口72から圧力供給室85に供給される。これによって、パッカー80が膨張される。膨張された円環状の膨らみ部88は、全周にわたって、更生管10における連通口6Aの周縁部に密着される。詳しくは、環状の膨らみ部88の背面部88bが、全周にわたって、円形の連通口6Aのまわりの更生管10の内面10adに強く張り付いて密着される。これによって、更生管10と封止冶具70Bとの間を確実に封止できる。
第2パッカー部84が、全周にわたって管口5dの内周面に強く張り付いて密着されて封止される点は、封止冶具70と同等である。
<第5実施形態(図26~図27)>
図26(a)~同図(c)に示すように、本発明の第5実施形態は、パッカー型の封止冶具の別態様に係る。封止冶具70Cは、冶具本体71と、その外周に設けられた環状のパッカー90を備えている。パッカー90は、外周側膜部91と、内周側膜部92を一体に含む。内周側膜部92が、冶具本体71の外周面に固定されて保形されている。
なお、内周側膜部92ひいてはパッカー90が、冶具本体71に対して着脱可能であってもよい。
外周側膜部91が、内周側膜部92を囲んでいる。環状シート41,42の軸方向の手前側(図26(c)において左側)の端部どうし及び奥側(図26(c)において右側)の端部どうしが、それぞれ全周にわたって一体に連なっている。これによって、パッカー90の内部に、閉じた環状の圧力供給室95が画成されている。圧力供給室95の内圧によって、パッカー90が膨縮可能である。
外周側膜部91は、軸方向の両端部から中央部へ向かうにしたがって径方向外側へ膨出されている。パッカー90の軸方向の中央部に膨らみ部96が形成されている。これによって、パッカー90は、軸方向の中央部を挟んで両側の部分が互いに対称な形状になっている。パッカー90における、軸方向の管口5eとは反対側の第1端部90aから中央部の膨らみ部96までの部分が、第1パッカー部93を構成している。パッカー90の軸方向の管口5e側の第2端部90bが、第2パッカー部94を構成している。
図27に示すように、封止冶具70Cが、第2端部90bをマンホール1の径方向外側へ向けて、連通口6Bから管口5eへ挿し込まれる。これによって、封止冶具70Cが、更生管10の内部から連通口6Bを介して管口5eに跨るように設置される。封止冶具70Cの挿し込み深さは、第4実施形態(図18)より浅く、封止冶具70Cの第1端部90a及び中央部が、連通口6Bよりも更生管10内へ突出されるように配置される。パッカー90の中央部の膨らみ部96が、更生管10における連通口6Bの周縁部に当接又は近接される。
続いて、高圧流体74が、供給口72から圧力供給室95に供給されることによって、パッカー90が膨張される。
膨張された膨らみ部96は連通口6Bの周縁部に倣うように変形されながら、連通口6Bの周縁部及び溝2eの内周面に強く張り付いて密着される。更に、第2パッカー部94が、全周にわたって管口5eの内周面に強く張り付いて密着されて封止される。これによって、連通口6B及び溝2eと封止冶具70Cとの間、並びに管口5eと封止冶具70Cとの間を確実に封止できる。
なお、封止冶具70Cにおける膨らみ部96と底部リング20及び更生管10の内面20e,10aeとの密着幅は、第4実施形態(図21)における密着幅と比べて狭いから、連通口6Bの内周縁6c,6dの縁の凹凸をなるべく小さくするか又は凹凸が無いようにしておくことが好ましい。また、底部2における溝2bの上端縁と連通口6Bの下端との間に段差が出来ないよう、連通口6Bの内径を溝2bの内径ひいては管口5eの内径と同径にすることが好ましい。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、更生対象の縦型管は、マンホール1に限らず、立坑、井戸等であってもよい。
上端開口1cが狭い場合等には、底部リングが3つ以上のリング分割体23に分割されていてもよい。一方、上端開口1cが出し入れに支障がない大きさである場合や、斜壁1dが取り外し可能である場合等には、底部リングがリング分割体23に分割されておらず、底部リングの全体が環状の一体物であってもよい。
更生管10は、現場で帯状部材により形成されるものに限らず、予め形成された管であってもよい。更生管は、螺旋管に限らず、全体が一体の管でもよく、複数のリングを管軸方向に連ねたものでもよく、複数の縦板を環状に並べたものでもよく、複数の板状のセグメントを管軸方向及び管周方向に並べたものでもよい。
第2実施形態の変形例として、2つのクサビ受け部材40のうち一方を省略してもよい。
筒部21の外周面にゴム製のカバー(以下「ゴムカバー」と称す)を設け、該ゴムカバーに巻き出しリング10b(更生管10の下端部)の内周面が押し当てられるようにしてもよい。
筒部21の外周面及びゴムカバーの内周面はストレートな筒形状であり、ゴムカバーの外周面が、下へ向かって大径となるテーパ状であってもよい。
巻き出しリング10b(更生管10の下端部)が、筒部21の内側に挿し込まれるようになっていてもよい。筒部21の内面(内周面)には螺旋状凸部が形成され、巻き出しリング10bの外周のリブ15等によって形成された螺旋溝に前記螺旋状凸部が嵌り込むことで、ラビリンスシールが構成され、裏込め材4が筒部21の内周と巻き出しリング10bの外周との間を通り抜けるのが抑制されるようにしてもよい。この場合、巻き出しリング10bを回しながら筒部21の上方から筒部21の内部に挿し入れることで、螺旋溝に螺旋状凸部が嵌るようにしてもよい。或いは、巻き出しリング10bを、上方から筒部21の内部へまっすぐ押し込み、リブ15及び螺旋状凸部を弾性変形させながら、螺旋溝に螺旋状凸部が嵌るようにしてもよい。
筒部21の内径を巻き出しリング10b(更生管10の下端部)の外径より大径にしておき、巻き出しリング10b(更生管10の下端部)を筒部21の内側に挿し込んだ後、底部リングを縮径させて巻き出しリング10bと密着させてもよい。底部リング20C(図14~図15)において、ネジ部材62を一方のエンドプレート61に回転可能に設け、該ネジ部材62を他方のエンドプレート61に設けたナットに螺合させることで、底部リング20Cを拡縮可能としてもよい。
パッカー型の封止冶具(図16~図27)の冶具本体71の形状は、円筒形状に限らず、管口5d,5eの断面形状等によっては多角形の筒状であってもよい。マンホール1の入り口の内径が管口5d,5eの内径より小さく、冶具本体71が一体物の単管であると入り口からマンホール1内に搬入できない場合は、冶具本体71を数個の分割体で構成し、これら分割体を分離した状態で個別に入り口からマンホール1内に搬入した後、マンホール1内で組み立ててもよい。
パッカー80,90が、冶具本体71に対して着脱可能であってもよい。
パッカーが、冶具本体71の周方向に複数のパッカー部材に分割されていてもよい。
下水道本管5A,5Bを止水して更生施工可能であれば、冶具本体71は、中空の筒形状に限らず、円柱形状等の中実形状であってもよい。
冶具本体71における第1端部80a,40a側の端部に、径方向外側へ突出するフランジが設けられていてもよい。
本発明は、例えば下水道の老朽化したマンホールの補修技術に適用できる。
1 マンホール(縦型管)
1A 更生済マンホール(更生済縦型管)
1b 内壁
1e 裏込め空間
2 底部
3 鉄筋組立体
4 裏込め材
5A 上流側の下水道本管(埋設管)
5B 下流側の下水道本管(埋設管)
5d 上流側の管口
5e 下流側の管口
6A 上流側の連通口
6B 下流側の連通口
8 製管機
A 接着剤
10 更生管
10a 内面
10ae 連通口の周りの更生管内面
10b 巻き出しリング(更生管の下端部)
11 帯状部材
13 嵌合部
20 底部リング
20B,20C 底部リング
20e 連通口のまわりの底部リング内面
21 筒部
22 フランジ部
23 リング分割体
23e 継ぎ目
23f 対向端部
24 分割筒部
25 分割フランジ部
26 間隔調節手段
30 閉塞バンド
31 サポートリング
32 環状シール部材
40 クサビ受け部材
41 傾斜案内面
42 裏面
43 凹溝
45 係止凸部
50 クサビ部材(間隔調節部材)
51 傾斜面
60 間隔調節手段
61 エンドプレート
62 ネジ部材(間隔調節部材)
63 ナット
70 封止冶具
70B,70C 封止冶具
71 冶具本体
80 パッカー
80a 第1端部
80b 第2端部
81 外周側膜部
82 内周側膜部
83 第1パッカー部
83a 上半部(周方向の一部分)
83b 第1パッカー部83の下半部(周方向の残り部分)
84 第2パッカー部
85 圧力供給室
86 膨らみ部
86d 張出段差面
88 膨らみ部
90 パッカー
90a 第1端部
90b 第2端部
91 外周側膜部
92 内周側膜部
93 第1パッカー部
94 第2パッカー部
95 圧力供給室
96 膨らみ部

Claims (19)

  1. 上下へ延びる縦型管の内壁に更生管をライニングする縦型管更生方法であって、
    縦型管の底部に底部リングを設置する工程と、
    帯状部材の端部を螺旋状に巻いて前記更生管の下端部を構成する巻き出しリングを形成する工程と、
    前記巻き出しリングを前記底部リングと嵌め合わせる工程と、
    前記帯状部材における前記巻き出しリングに続く部分を前記内壁に沿って上方へ向かって螺旋状に巻回することによって、前記更生管となる螺旋管を形成する工程と、
    前記更生管の外周と前記内壁との間に裏込め材を注入する工程と、
    を備えたことを特徴とする縦型管更生方法。
  2. 前記巻き出しリングを前記底部リングと密着させる請求項1に記載の縦型管更生方法。
  3. 前記巻き出しリングの下端縁を水平になるようカットする請求項1に記載の縦型管更生方法。
  4. 前記巻き出しリングと前記底部リングとを接着剤を介して固定する請求項1に記載の縦型管更生方法。
  5. 前記底部リングが、下へ向かって拡径するテーパ状の外周面を有する筒部を備えており、
    前記巻き出しリングを、前記筒部の上端部より大径かつ前記筒部の下端部の外径より小径の内周面を有するように形成して、前記筒部の外周に嵌め込む請求項1に記載の縦型管更生方法。
  6. 複数のリング分割体を互いに分離した状態で前記縦型管に挿し入れ、前記縦型管内でこれらリング分割体を環状に並べることによって前記底部リングを形成する請求項1に記載の縦型管更生方法。
  7. 前記底部リングの周方向に隣接するリング分割体どうしの間隔を調節することによって、前記底部リングと前記巻き出しリングとを密着させる請求項6に記載の縦型管更生方法。
  8. 前記巻き出しリングを前記底部リングの外周に嵌め、前記隣接するリング分割体どうしの間にクサビ部材を差し込む請求項7に記載の縦型管更生方法。
  9. 前記隣接するリング分割体の対向端部間に渡されたネジ部材のねじ込み量によって前記間隔を調節する請求項7に記載の縦型管更生方法。
  10. 上下へ延び、かつ底部ないしはその近傍部の側方には埋設管の管口が開口された縦型管の内壁に更生管をライニングする縦型管更生方法であって、
    複数のリング分割体を互いに分離した状態で前記縦型管に挿し入れる工程と、
    前記縦型管内でこれらリング分割体を環状に並べることによって底部リングを形成する工程と、
    隣接するリング分割体どうしの継ぎ目が前記管口と対向されるようにして、前記底部リングを前記縦型管の底部に設置する工程と、
    前記更生管の下端部を前記底部リングと嵌め合わせる工程と、
    前記更生管及び前記底部リングにおける前記管口に被さる部分を切除することによって、前記管口と連なる連通口を形成する工程と、
    前記更生管の外周と前記内壁との間に裏込め材を注入する工程と、
    を備えたことを特徴とする縦型管更生方法。
  11. 前記管口及び前記連通口を封止する封止冶具を、前記管口の内周面から前記連通口の内周面に跨るように設置したうえで前記裏込め材の注入を行なう請求項10に記載の縦型管更生方法。
  12. 請求項1~11の何れか1項に記載の縦型管更生方法に用いられる底部リングであって、
    筒部と、前記筒部の下端部から径方向外側へ突出されたフランジ部を含むことを特徴とする底部リング。
  13. 前記筒部の外周面が、下へ向かって拡径するテーパ状である請求項12に記載の底部リング。
  14. 請求項8に記載の縦型管更生方法に用いられる底部リングであって、
    隣接するリング分割体のうち少なくとも一方の対向端部には、径方向内側又は下側へ増肉されたクサビ受け部が設けられており、前記クサビ受け部が、下へ向かうにしたがって他方のリング分割体側へせり出す傾斜案内面を有していることを特徴とする底部リング。
  15. 請求項11に記載の縦型管更生方法に用いられる封止冶具であって、
    環状の閉塞バンドを備えたことを特徴とする封止冶具。
  16. 請求項11に記載の縦型管更生方法に用いられる封止冶具であって、
    前記管口及び前記連通口より小径の冶具本体と、
    前記冶具本体の外周に設けられた膨縮可能なパッカーと、
    を備え、前記パッカーが、前記連通口よりも前記更生管の内側へ突出して配置される第1パッカー部と、前記管口に挿し入れられる第2パッカー部とを含み、前記第1パッカー部が、前記第2パッカー部より径方向外側へ膨出する膨らみ部を有していることを特徴とする封止冶具。
  17. 前記膨らみ部を含む前記第1パッカー部が前記パッカーの軸方向の第1端部に設けられ、前記パッカーの軸方向の中央部及び第2端部が前記第2パッカー部を構成している請求項16に記載の封止冶具。
  18. 前記第1パッカー部における周方向の一部分が、前記周方向の残り部分よりも径方向外側へ部分環状に膨出されて前記膨らみ部を構成しており、前記膨らみ部の前記周方向の両端面が、前記残り部分の外周面から径方向外側へ張り出す一対の張出段差面を構成している請求項17に記載の封止冶具。
  19. 前記パッカーが、前記冶具本体の外周面に被さる環状の内周側膜部と、前記内周側膜部を囲む環状の外周側膜部とを含み、これら内周側膜部及び外周側膜部における軸方向の同じ側の端部どうしが一体に連なり、前記内周側膜部及び前記外周側膜部どうしの間に閉じた環状の圧力供給室が形成されている請求項16~18の何れか1項に記載の封止冶具。
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