JP2024064772A - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線吸収剤の揮発を抑制できることに加え、スジ、延伸ムラなどの欠陥を抑制できる積層フィルムを提供する。【解決手段】本発明の積層フィルム10は、第1層11と、第2層12と、第3層13とがこの順に積層された積層フィルム10であって、第1層11は、第1の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、第2層12は、主鎖に環構造を有する第2の(メタ)アクリル樹脂、および、紫外線吸収剤を含み、第3層13は、第3の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、第1層11および第3層13は、第2層12のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムに関する。
紫外線吸収剤を含む積層フィルムが知られている。紫外線吸収剤は積層フィルムを加熱することによって揮発することがある。積層フィルムの生産において紫外線吸収剤が揮発して積層フィルムの外部に放出されると、冷却ロール、延伸機などの生産設備が汚染されるおそれがある。生産設備が汚染されると、積層フィルムの表面に汚染が転写されることがあるので、生産ラインを止めて生産設備を清掃することが必要となる。つまり、生産設備の汚染は、積層フィルムの品質の低下、生産性の低下などの不具合を招く。
一方、特許文献1は、中間層のみに紫外線吸収剤が含まれる3層構造の偏光子保護フィルムを提案する。このような構成によれば、偏光子保護フィルムに熱を加えても紫外線吸収剤が揮発しにくいので、生産設備の汚染が防止される。
特開2007-17555号公報
積層フィルムにおいて、中間層のみに紫外線吸収剤が含まれている場合、中間層と2つの最外層との間に特性の差が生じ、このことが積層フィルムのスジの原因となったり、積層フィルムを延伸する際の延伸ムラの原因となったりする。
本発明は、紫外線吸収剤の揮発を抑制できることに加え、スジ、延伸ムラなどの欠陥を抑制できる積層フィルムを提供する。
本発明は、
第1層と、第2層と、第3層とがこの順に積層された積層フィルムであって、
前記第1層は、第1の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、
前記第2層は、主鎖に環構造を有する第2の(メタ)アクリル樹脂、および、紫外線吸収剤を含み、
前記第3層は、第3の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、
前記第1層および前記第3層は、前記第2層のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する、
積層フィルムを提供する。
本発明によれば、紫外線吸収剤の揮発を抑制できることに加え、スジ、延伸ムラなどの欠陥を抑制できる積層フィルムを提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムの概略断面図である。積層フィルム10は、第1層11、第2層12、および第3層13を備えている。第1層11、第2層12、および第3層13は、この順に積層されている。第2層12は、第1層11と第3層13との間に配置されている。本実施形態では、第2層12は、第1層11および第3層13に接している。なお、第1層11および第3層13は積層フィルム10の主面をなす部分を指すため、単に「最外層」と称することがある。第2層12は第1層11および第3層13に挟まれた部分を指すため、単に「中間層」と称することがある。
第1層11は、第1の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まない。第2層12は、主鎖に環構造を有する第2の(メタ)アクリル樹脂、および、紫外線吸収剤を含む。第3層13は、第3の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まない。第1層11および第3層13は、第2層12のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」の用語は、アクリルとメタクリルとの両方を包含する。
特許文献1に記載の偏光子保護フィルムは、中間層のみに紫外線吸収剤が含まれる3層構造のフィルムである。中間層および2つの最外層の樹脂成分はポリメタクリル酸メチル(PMMA)である。このような構成において、中間層のみに紫外線吸収剤を添加すると、中間層のガラス転移温度が最外層のガラス転移温度を下回る。このような偏光子保護フィルムを押出成形によって製造する場合、溶融状態のフィルムは最外層が比較的急速に固化するため、硬い最外層は押出成形に起因するスジ状の欠陥の解消を困難にする。また、このような偏光子保護フィルムを延伸する場合、中間層のガラス転移温度を基準として延伸温度が決定されるため、最外層が中間層に対して硬い状態を保つ。硬い最外層が柔らかい中間層に十分に追従できないことが原因で、延伸ムラが発生しやすい。
これに対し、本実施形態の積層フィルム10を押出成形などによって製造する場合、柔らかい最外層である第1層11および第3層13が硬い中間層である第2層の影響を受けても容易に変形できるので、スジ状の欠陥は生じにくい。また、積層フィルム10が延伸フィルムである場合、柔らかい第1層11および第3層13が硬い第2層12に十分に追従できるので、延伸ムラが発生しにくい。
上述の通り、積層フィルム10は、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムは、1軸延伸フィルムまたは2軸延伸フィルムである。積層フィルム10が延伸フィルムである場合、延伸工程で積層フィルム10に熱が加えられる。本実施形態の積層フィルム10によれば、紫外線吸収剤が第2層12のみに含まれているので、熱が加えられたときに紫外線吸収剤が積層フィルム10の外部に放出されにくい。そのため、生産設備が紫外線吸収剤で汚染されることを抑制できる。
第1層11のガラス転移温度Tg1は、第3層13のガラス転移温度Tg3と等しくてもよく、異なっていてもよい。第1層11の材料の組成が第3層13の材料の組成に一致している場合、ガラス転移温度Tg1はガラス転移温度Tg3に一致する。
第1層11のガラス転移温度Tg1と第2層12のガラス転移温度Tg2との差(Tg2-Tg1)は、特に限られないが、例えば3℃以上50℃以下であり、3℃以上35℃以下であってもよい。同様に、第3層13のガラス転移温度Tg3と第2層12のガラス転移温度Tg2との差(Tg2-Tg3)は、特に限られないが、例えば3℃以上50℃以下であり、3℃以上35℃以下であってもよい。ガラス転移温度の差がこのような範囲にあると、上述した効果が十分に得られる。
第2層12の厚さは特に限られないが、例えば、積層フィルム10の厚さが5μm以上300μm以下となる厚さである。第1層11および第3層13のそれぞれの厚さは、特に限られないが、例えば、0.1μm以上100μm以下である。
第1層11および第3層13は、第2層12の厚さよりも小さい厚さを有していてもよい。第1層11の厚さは、第3層13の厚さに等しくてもよく、異なっていてもよい。第2層12の厚さが第1層11および第3層13のそれぞれの厚さを上回る場合、第1層11および第3層13が第2層12に追従しやすい。そのため、そのような厚さの関係が満たされる場合、延伸ムラの発生が更に抑制されうる。このような観点から、第2層12の厚さT2に対する第1層11の厚さT1の比(T1/T2)は、例えば、0.010以上1.0未満が好ましい。第2層12の厚さT2に対する第3層13の厚さT3の比(T3/T2)は、0.010以上1.0未満が好ましい。
(第2層12)
第2層12は、第2の(メタ)アクリル樹脂および紫外線吸収剤を含む。
<第2の(メタ)アクリル樹脂>
第2の(メタ)アクリル樹脂は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体である。主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体(A)は、典型的には、(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する単位(a1)と、環構造を含む単位(a2)と、を構成単位として有する。単位(a2)に含まれる環構造は、(メタ)アクリル重合体(A)の主鎖を構成する。
単位(a1)は、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどの単量体に由来する。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどが挙げられる。ただし、単量体は、上記例に限定されない。(メタ)アクリル重合体(A)は、2種以上の単位(a1)を有していてもよい。(メタ)アクリル重合体(A)は、好ましくは、メタクリル酸メチルに由来する単位を有する。
単位(a2)に含まれる環構造は、例えば、ラクトン環構造、N-置換マレイミド構造、無水マレイン酸構造、グルタルイミド構造、および無水グルタル酸構造である。(メタ)アクリル重合体(A)は、2種以上の単位(a2)を有していてもよい。
N-置換マレイミド構造または無水マレイン酸構造を以下の式(1)に示す。
Figure 2024064772000002
式(1)のR1およびR2は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。X1は、酸素原子または窒素原子である。X1が酸素原子のとき、R3は存在しない。X1が窒素原子のとき、R3は、水素原子、炭素数1~6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいベンジル基である。
1が窒素原子のとき、式(1)の構造はN-置換マレイミド構造である。N-置換マレイミド構造を含む単位(a2)は、例えば、N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、またはN-ベンジルマレイミドに由来する。N-置換マレイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(A)は、例えば、N-置換マレイミドと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合により形成できる。
1が酸素原子のとき、式(1)の構造は無水マレイン酸構造である。無水マレイン酸構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(A)は、例えば、無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合により形成できる。
グルタルイミド構造または無水グルタル酸構造を以下の式(2)に示す。
Figure 2024064772000003
式(2)のR4およびR5は、互いに独立して、水素原子またはメチル基である。X2は、酸素原子または窒素原子である。X2が酸素原子のとき、R6は存在しない。X2が窒素原子のとき、R6は、水素原子、炭素数1~6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、置換基を有していてもよいフェニル基、または置換基を有していてもよいベンジル基である。
2が酸素原子のとき、式(2)の構造は無水グルタル酸構造である。無水グルタル酸構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(A)は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
2が窒素原子のとき、式(2)の構造はグルタルイミド構造である。グルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(A)は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル重合体をイミド化剤によりイミド化して形成できる。イミド化剤の例は、メチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、トルイジン、およびベンジルアミンである。
ラクトン環構造を以下の式(3)に示す。
Figure 2024064772000004
式(3)のR7、R8およびR9は、互いに独立して、水素原子または炭素数1~20の有機残基である。有機残基は、酸素原子を含んでいてもよい。有機残基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1~20のアルキル基;エテニル基、プロペニル基などの炭素数2~20の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数6~20の芳香族炭化水素基;ならびに、上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、および上記芳香族炭化水素基において、水素原子の1つ以上が水酸基、カルボキシル基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる少なくとも1種の基により置換された基である。
ラクトン環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体(A)は、例えば、メタクリル酸メチルと2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとの共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
別のラクトン環構造を以下の式(4)に示す。
Figure 2024064772000005
式(4)のR10、R11、R12およびR13は、互いに独立して、水素原子または炭素数1~18の炭化水素基である。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、例えばアルキル基である。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~8がより好ましい。アルキル基は、直鎖状であってもよく、環状であってもよく、分岐を有してもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基は特に限定されず、複素環構造を含んでいてもよい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、ベンジル基などが挙げられる。R10~R13は、互いに独立して、水素原子または炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、全て水素原子であることがより好ましい。
式(4)に示す有する構成単位は、例えば、以下の式(5)に示す単量体を重合させて形成できる。
Figure 2024064772000006
式(5)におけるR10、R11、R12およびR13は、式(4)におけるR10、R11、R12およびR13と同一である。
式(3)には6員環のラクトン環構造が示され、式(4)には5員環のラクトン環構造が示されるが、ラクトン環構造は4員環から8員環であってもよい。環構造の安定性に優れることから、環構造は5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
(メタ)アクリル重合体(A)において、環構造を含む単位(a2)の含有率は、例えば、1~90質量%、2~80質量%、3~70質量%、または5~50質量%である。主鎖に位置する環構造は、第2層12の耐熱性の向上に寄与しうる。耐熱性の指標の一例は、ガラス転移温度である。第2層12のガラス転移温度は、例えば、110℃以上、115℃以上、120℃以上、125℃以上、130℃以上、または135℃以上である。
(メタ)アクリル重合体(A)は、単位(a1)、および単位(a2)に加えて、その他の構成単位を1種以上有していてもよい。その他の構成単位の例は、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、N-ビニルピロリドンなどのビニルモノマーの重合により形成される単位である。また、(メタ)アクリル重合体(A)は、複素芳香族基を有するα,β-不飽和単量体単位を有していてもよい。複素芳香族基を有するα,β-不飽和単量体単位の例は、N-ビニルカルバゾール単位、ビニルピリジン単位、ビニルイミダゾール単位、およびビニルチオフェン単位から選ばれる少なくとも1種である。
(メタ)アクリル重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、例えば、3000~1000000、10000~800000、30000~500000、または50000~300000である。(メタ)アクリル重合体(A)のMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、スチレン換算による値として評価できる。
(メタ)アクリル重合体(A)は、キャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、リビングラジカル重合、アニオン重合などの公知の重合法により形成できる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤(UVA)としては、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。トリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物は、含窒素複素環式化合物に属する。
トリアゾール系化合物としては、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル-4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(t-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-9側鎖および直鎖アルキルエステルなどが挙げられる。紫外線吸収能が高いことから、塩素原子などのハロゲン原子を有する化合物が好ましい。
トリアジン系化合物としては、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシエトキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVAなどが挙げられる。紫外線吸収性能が優れていることから、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVAが好ましい。
ベンゾフェノン系化合物としては、2,4-ジーヒドロキシベンゾフェノン、4-n-オクチルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、1,4-ビス(4-ベンゾイル-3-ヒドロキシフェノン)-ブタンなどが挙げられる。
サリシケート系化合物としては、p-t-ブチルフェニルサリシケートなどが挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、2,4-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
紫外線吸収剤として、上記の化合物から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上の組み合わせを使用してもよい。
理由は必ずしも明らかではないが、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル樹脂に紫外線吸収剤を添加する場合、トリアゾール系化合物は、しばしば、トリアジン系化合物などよりも揮発しやすい。そのため、トリアゾール系化合物を紫外線吸収剤として用いる場合には、本実施形態の積層フィルム10の構造が特に推奨される。
第2層12の全質量に対する紫外線吸収剤の質量の比率は、特に限られないが、例えば0.01質量%以上20質量%以下であり、0.01質量%以上5質量%以下であってもよい。
(第1層11および第3層13)
第1層11は、第1の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まない。第3層13は、第3の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まない。
<第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂>
第1の(メタ)アクリル樹脂は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であってもよく、主鎖に環構造を有さない(メタ)アクリル重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。同様に、第3の(メタ)アクリル樹脂は、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体であってもよく、主鎖に環構造を有さない(メタ)アクリル重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル重合体としては、第2の(メタ)アクリル重合体として先に例示した重合体(A)を使用できる。主鎖に環構造を有さない(メタ)アクリル重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂)、MS樹脂の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水素添加MS樹脂などが挙げられる。
第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂は、典型的には、同一の組成を有する。このような構成は、積層フィルム10のコスト低減に有利である。第1の(メタ)アクリル樹脂の組成が第3の(メタ)アクリル樹脂の組成と異なる場合、積層フィルム10の設計の自由度が高まる。
第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂は、第2の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造と同じ環構造を主鎖に有していてもよい。この場合、第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂のそれぞれにおける環構造の含有率は、第2の(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率よりも小さい。これにより、第1層11のガラス転移温度が第2層12のガラス転移温度未満に調整されうる。同様に、第3層13のガラス転移温度が第2層12のガラス転移温度未満に調整されうる。一般に、(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率と(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度との間には相関がある。(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率を上げると、(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度が上がる。逆に、(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率を下げると、(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度も下がる。
第1層11、第2層12および第3層13のそれぞれにおいて、「(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率」は、NMRなど既知の方法によって求めることができる。一例において、第1の(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率は、例えば10質量%以上50質量%以下であり、15質量%以上25質量%以下であってもよい。第2の(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率は、例えば10質量%以上50質量%以下であり、30質量%以上35質量%以下であってもよい。第3の(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率は、例えば10質量%以上50質量%以下であり、15質量%以上25質量%以下であってもよい。第1、第2および第3の(メタ)アクリル樹脂に含まれる環構造は特に限定されない。環構造は、N-置換マレイミド構造、無水マレイン酸構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造およびラクトン環構造からなる群より選ばれる少なくとも1つでありうる。
第1の(メタ)アクリル樹脂は、第2の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造と異なる環構造を主鎖に有していてもよい。同様に、第3の(メタ)アクリル樹脂は、第2の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造と異なる環構造を主鎖に有していてもよい。環構造を異ならせることによって、第1層11および第3層13のそれぞれのガラス転移温度が第2層12のガラス転移温度未満に調整されうる。第1の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造と第2の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造との組は、例えば、N-置換マレイミド構造、無水マレイン酸構造、グルタルイミド構造、無水グルタル酸構造およびラクトン環構造からなる群より選ばれる2つである。このことは、第3の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造と第2の(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環構造との組についても適用されうる。なお、第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂のそれぞれにおける環構造の含有率は、第2の(メタ)アクリル樹脂における環構造の含有率よりも小さくてもよい。
第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂は、ポリメタクリル酸メチルを主成分として含んでいてもよい。この場合、積層フィルム10のコストを下げることができる。「主成分」は、質量比で最も多く含まれる成分を意味する。第1層11は、第1の(メタ)アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチルのみを含んでいてもよい。第3層13は、第3の(メタ)アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチルのみを含んでいてもよい。
<硬質粒子>
第1層11および第3層13は、硬質粒子を含んでいてもよい。硬質粒子は、積層フィルム10の耐ブロッキング性を向上させる。硬質粒子とは、0℃以下にガラス転移温度を持たない有機粒子や無機粒子を意味する。なお、ガラス転移温度は始点法によって決定する。
硬質粒子は、無機粒子であってもよく、有機粒子であってもよい。無機粒子は、無機酸化物、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウムなどの粒子でありうる。無機酸化物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどが挙げられる。有機粒子は、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはアクリル樹脂の粒子でありうる。これらの中でも、シリカ粒子またはアクリル粒子が好ましい。シリカ粒子またはアクリル粒子は、積層フィルム10の耐ブロッキング性を向上させる。シリカ粒子は粒度分布をそろえやすいため、耐ブロッキング性を向上さやすい。アクリル粒子は第1の(メタ)アクリル樹脂および第3の(メタ)アクリル樹脂との屈折率が近いため、積層フィルム10の着色およびヘイズ値の増大を起こしにくい。
第1層11および第3層13は、耐熱性の観点から、望ましくは、ガラス転移温度が0℃未満の材料を含まない。ガラス転移温度が0℃未満の材料は、典型的には、エラストマーである。
硬質粒子の平均粒子径(メジアン径)は、例えば、10~1000nmであるが、第1層11および第3層13のそれぞれの厚さに応じて決定されることが好ましい。例えば、硬質粒子の平均粒子径(メジアン径)をAμmとする場合に、第1層11および第3層13のそれぞれの厚さは0.5×Aμm以上50×Aμm以下であることが好ましい。このような平均粒子径の硬質粒子を用いることによって、積層フィルム10の表面に適切な凹凸を形成することができる。
硬質粒子は、第1層11および第3層13のみに含まれていてもよい。すなわち、硬質粒子は、第2層12に含まれていなくてもよい。この場合、積層フィルム10の全体における硬質粒子の含有率を下げることができる。その結果、積層フィルム10のヘイズ値を下げることができる。
(積層フィルム10)
本実施形態の積層フィルム10について、各層に含まれる樹脂の種類および紫外線吸収剤の有無は、ミクロトームを用いて得られる積層フィルムの断面において、各層をラマンスペクトル測定して特定できる。各層が薄い場合は、AFM(原子間力顕微鏡)ラマンなど、局所分析が可能な方法を用いることで確認できる。
第1層11および第3層13のガラス転移温度は、ナノインデンターによる動的粘弾性の温度依存性測定によって測定できる。第2層12のガラス転移温度は、積層フィルムの第1層11および第3層13の少なくとも一方を除去したうえで、ナノインデンターによる動的粘弾性の温度依存性測定によって測定できる。
第2層12に含まれる(メタ)アクリル重合体(A)について、環構造を含む単位(a2)の含有率は、NMRなどによって特定できる。具体的には、第1層11および第3層13を切削するなどの方法で除去した積層フィルム10を測定することで特定できる。除去できたか否かはミクロトームを用いて得られる積層フィルムの断面を確認すればよい。また、第1層11および第3層13に含まれる(メタ)アクリル重合体が主鎖に環構造を有する場合、環構造を含む単位の含有率は、NMRなどの化学分析によって特定できる。具体的には切削した後、溶媒に溶解させて濾過するなどの操作を行った後、NMRなどの化学分析を行えばよい。
積層フィルムを評価するために採用した測定方法を記載する。
(1)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
-システム:東ソー社製GPCシステム HLC-8220
-測定側カラムの構成
ガードカラム:東ソー社製、TSKguardcolumn SuperHZ-L
分離カラム :東ソー社製、TSKgel SuperHZM-M 2本直列接続
-リファレンスカラム:東ソー社製、TSKgel SuperH-RC
-展開溶媒 :クロロホルム(富士フィルム和光純薬社製、特級)
-展開溶媒の流量 :0.6mL/分
-標準サンプル :TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS-オリゴマーキット)
-カラム温度 :40℃
(2)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、日本産業規格(JIS) K 7121の規定に準拠して測定した。示差走査熱量計(リガク社製、Thermo plus EVO DSC-8230)を用い、約10mgのサンプルを窒素ガス雰囲気下で常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法によりガラス転移温度を求めた。リファレンスには、α-アルミナを用いた。
(3)積層フィルムの厚さ
積層フィルムの全厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。第1層、第2層および第3層の厚さは、積層フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社(現在は日立ハイテク社)製、FE-SEM S-4800)で観察して測定した。測定条件は、加速電圧20kV、エミッション電流5μAまたは10μA、W.D.=8mmであった。
(4)ヘイズ値
積層フィルムのヘイズ値は、濁度計(日本電色工業社製、NDH-5000)を用いて、JISK7136の規定に準拠して測定した。
(5)ロール汚れ
成膜開始後2時間の時点における、第1冷却ロール上に析出している汚染物質の有無を目視で観察した。
(6)積層フィルムの欠陥検査
積層フィルムの欠陥検査には、連続シート検査装置(メック社製:LSC-6000L、光学系:45度正透過、1/8エッジ、ロッド照明(片側スリット付))を用いた。具体的には、以下の手順で積層フィルムの欠陥検査を実施した。
(i)連続シート検査装置を巻き取り装置の直前に配置した。
(ii)1分間隔で積層フィルムの長手方向の11ヵ所を検査した。積層フィルムの幅がWであるとき、積層フィルムの幅方向の両端部を除く幅0.8Wの領域を検査対象領域に設定した。
(iii)画像処理によって欠陥(ノイズ)を検出した。
ノイズの量が多ければ多いほど、連続シート検査装置で検出される欠陥数が増加する。欠陥数が1000点を超えると、「カウント不可」の結果が得られる。例えば、長手方向に沿ったスジ状の欠陥が積層フィルムに存在する場合、スジ状の欠陥が連続的にノイズとして検出されるため、欠陥数が容易に1000点を超える。
(7)延伸性
[膜厚の均一性]
白色スクリーンから1m離れた位置に投光器(ポラリオンライト(シーズシー社製、NP-1、3400ルーメン))を配置して、白色スクリーンに対して光を照射した。光の照射線上かつ白色スクリーンから15cm離れた位置に、白色スクリーンの面に対して45°傾けて、積層フィルムを置いた。白色スクリーン上に写された積層フィルムの投影像を目視で評価した。評価基準は次の通りであった。
○:投影像に縞模様が観察されなかった
×:投影像にコントラストが弱い縞模様が観察された
[位相差の均一性]
積層フィルムをA4サイズに切断し、クロスニコル下において目視で積層フィルムを観察した。積層フィルムの製造時の長手方向(MD)と上側の偏光板の吸収軸とのなす角度が45°となるように積層フィルムを配置し、目視観察の際に最もコントラストが高くなる状態で観察を行った。評価基準は次の通りであった。
○:色ムラが観察されなかった
×:コントラストが弱い色ムラが観察された
(8)耐熱試験1
積層フィルムを80mm×80mmの寸法に切断した。次に、タルク粉を均一に敷いたトレイに積層フィルムを置き、積層フィルムの上にもタルク粉を敷き、その上にステンレス製の板(100mm×100mm、重さ80g)を置いた。次に、熱風オーブンにトレイを入れ、積層フィルムを1時間加熱処理した。熱風オーブンの温度は、(Tg-5)℃であった。Tgは、積層フィルムの第2層(中間層)に使用した樹脂組成物のガラス転移温度である。加熱処理後、トレイを熱風オーブンから取り出して室温まで冷却し、積層フィルムのシワの有無を目視観察した。評価基準は次の通りであった。
S:積層フィルムがフラットな状態を維持していた
A:積層フィルムにシワが発生していた
(9)耐熱試験2
積層フィルムを80mm×80mmの寸法に切断した。110℃に設定したオーブン中に積層フィルムを2時間放置し、延伸による配向が熱によって緩和されることによって発生するシワの有無を目視観察した。評価基準は次の通りであった。
S:試験前から寸法に変化がなく、シワの発生が認められなかった
A:試験前から寸法が収縮しており、シワが発生した
[樹脂組成物1Aの製造]
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル229.6質量部、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシメチル33質量部、トルエン248.6質量部、およびn-ドデシルメルカプタン0.19質量部を仕込み、反応容器に窒素ガスを通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス(登録商標)570)0.25質量部を添加した。続けて、t-アミルパーオキシイソノナノエート0.51質量部とスチレン12.4質量部とを2時間かけて滴下した。これらを滴下している間、混合液を約105~110℃で還流し、溶液重合を進行させた。滴下終了後、同温度でさらに4時間の熟成を行った。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル(SC有機化学社製、商品名:Phoslex A-18)0.21質量部を加え、約90~110℃の還流下において1.5時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
得られた重合体溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた。その後、重合体溶液を、ベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、35.1質量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入した。上記ベントタイプスクリュー二軸押出機は、バレル温度が250℃であり、1個のリアベント、4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、および第3ベントと第4ベントとの間に位置するサイドフィーダーを備え、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されている。重合体溶液の導入に際して、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を0.15質量部/時の投入速度で第2ベントの下流から、イオン交換水を0.54質量部/時の投入速度で第1および第3ベントの下流から、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、それぞれ4.3質量部の酸化防止剤(BASFジャパン社製、商品名:イルガノックス1010、ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LAO-412S)と、失活剤として14質量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業社製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛)とを、トルエン144質量部に溶解させた溶液を用いた。また、上記サイドフィーダーから、紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LA-31)を0.79質量部/時の投入速度で投入した。
脱揮完了後、押出機内に残された溶融状態にある樹脂組成物を当該押出機の先端からポリマーフィルタで濾過しながら排出した。その後、押出機の先端に備わっているダイスを通過させ、冷却水を満たした水槽で冷却することにより、上記樹脂組成物のストランドを得た。上記冷却水は、孔径1μmのフィルタ(オルガノ社製、製品名:ミクロポアフィルタ1EU)で濾過し、30±10℃の範囲内の温度に保持されていたものである。冷却後のストランドを切断機(ペレタイザ)に導入することで、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物1Aを得た。樹脂組成物1Aの重量平均分子量は14.9万、ガラス転移温度は120℃であった。また、(メタ)アクリル樹脂におけるラクトン環構造の含有率は19.6質量%であった。
[樹脂組成物2Aの製造]
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル83.5質量部、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシメチル12質量部、トルエン88.7質量部、および酸化防止剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)2112)0.05質量部を仕込み、反応容器に窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエートの20質量%トルエン溶液(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス(登録商標)570T20)0.435質量部を添加した。続けて、スチレン4.5質量部とn-ドデシルメルカプタン0.15質量部とを2時間かけて滴下した。また、t-アミルパーオキシイソノナノエートの20質量%トルエン溶液0.865質量部を4時間かけて滴下した。これらを滴下している間、混合液を約105~110℃で還流し、溶液重合を進行させた。滴下終了後、同温度でさらに2時間の熟成を行った。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル(SC有機化学社製、商品名:Phoslex A-18)0.075質量部を加え、約90~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
得られた重合体溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた。その後、重合体溶液を、ベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、31.2質量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入した。上記ベントタイプスクリュー二軸押出機は、バレル温度が250℃であり、1個のリアベント、4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、および第3ベントと第4ベントとの間に位置するサイドフィーダーを備え、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度10μm)が配置されている。各ベントの減圧度をリアベント798hPa、第1ベント266hPa、第2ベントから第4ベントはいずれも27hPaとして、脱揮を実施した。その際、イオン交換水を0.47質量部/時の投入速度で第2および第4ベントの後ろから投入した。
脱揮完了後、樹脂組成物1Aの製造と同じ方法で、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物2Aを得た。樹脂組成物2Aの重量平均分子量は13.3万、ガラス転移温度は123℃であった。また、(メタ)アクリル樹脂におけるラクトン環構造の含有率は19.6質量%であった。
[樹脂組成物3Aの製造]
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル40質量部、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシメチル10質量部、トルエン50質量部、酸化防止剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)2112)0.025質量部を仕込み、反応容器に窒素を通じつつ105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス(登録商標)570T20)0.05質量部を添加した。続けて、t-アミルパーオキシイソノナノエート0.1質量部を2時間かけて滴下しながら、約105~110℃の還流下で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル(SC有機化学社製、商品名:Phoslex A-18)0.05質量部を加え、90~105℃の還流下で2時間、環化縮合反応を進行させた。
得られた重合体溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた。その後、重合体溶液を、ベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、90.0質量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入した。上記ベントタイプスクリュー二軸押出機は、バレル温度が240℃であり、減圧度が13.3~400hPa(10~300mmHg)であり、1個のリアベント、4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、および第3ベントと第4ベントとの間に位置するサイドフィーダーを備え、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されている。重合体溶液の導入に際して、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を0.35質量部/時の投入速度で第2ベントの下流から、イオン交換水を0.54質量部/時の投入速度で第1および第3ベントの下流から、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、それぞれ4.3質量部の酸化防止剤(BASFジャパン社製、商品名:イルガノックス1010、ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LAO-412S)と、失活剤として14質量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業社製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛)とを、トルエン144質量部に溶解させた溶液を用いた。
脱揮完了後、樹脂組成物1Aの製造と同じ方法で、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物3Aを得た。樹脂組成物3Aの重量平均分子量は13.5万、ガラス転移温度は131℃であった。また、ラクトン環構造の含有率は33.5質量%であった。
[樹脂組成物4Aの製造]
樹脂組成物1Aの製造と同様の操作で、樹脂組成物3Aに対して、紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LA-31)を導入することで、主鎖にラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物4Aを得た。樹脂組成物(4A)の重量平均分子量は14.9万、ガラス転移温度は129℃であった。
[樹脂組成物5Aの製造]
紫外線吸収剤をチヌビン(登録商標)326(BASFジャパン社製)に変更したこと以外は樹脂組成物4Aと同様にして、ラクトン環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む樹脂組成物5Aを得た。樹脂組成物5Aの重量平均分子量は14.9万、ガラス転移温度は120℃であった。
[樹脂組成物6Aの製造]
主鎖にグルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル樹脂(ダイセル・エボニック社製、商品名:プレキシイミド8813、Tg132℃)を樹脂組成物6Aとして用意した。
[樹脂組成物7Aの製造]
樹脂組成物6Aに対し、紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LA-31)を2.2質量%の添加量となるように溶融混錬してペレット化した。樹脂組成物(7A)のガラス転移温度は130℃であった。
[樹脂組成物8Aの製造]
主鎖にN-置換マレイミド構造を有する(メタ)アクリル樹脂(日本触媒社製、商品名:ポリイミレックスPML203、Tg139℃)を樹脂組成物8Aとして用意した。
[樹脂組成物9Aの製造]
樹脂組成物8Aに対し、紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LA-31)を2.2質量%の添加量となるように溶融混錬してペレット化した。樹脂組成物(9A)のガラス転移温度は136℃であった。
[樹脂組成物10Aの製造]
攪拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル30質量部、メチルエチルケトン65質量部、酸化防止剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)2112)0.05質量部を仕込み、反応容器に窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス(登録商標)570T20)0.052質量部を添加した。添加後、窒素雰囲気の還流下で6時間の溶液重合を行った。
次に、得られた重合体溶液を、ベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、90.0質量部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入した。上記ベントタイプスクリュー二軸押出機は、バレル温度が240℃であり、減圧度が13.3~400hPa(10~300mmHg)であり、1個のリアベント、4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、および第3ベントと第4ベントとの間に位置するサイドフィーダーを備え、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されている。
脱揮完了後、樹脂組成物1Aの製造と同じ方法で、ポリメタクリル酸メチルを含む樹脂組成物10Aを得た。樹脂組成物10Aの重量平均分子量は10.1万、ガラス転移温度は105℃であった。
[ゴム質粒子の製造]
冷却器と攪拌機とを備えた重合容器に、脱イオン水710質量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5質量部を投入して溶解し、内温を70℃に昇温した。ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.93質量部、硫酸第一鉄0.001質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003質量部、脱イオン水20質量部の混合液を上記重合容器中に一括投入し、重合容器内を窒素ガスで十分置換した。
モノマー混合液(M-1)(アクリル酸n-ブチル7.10質量部、スチレン2.86質量部、ジメタクリル酸1,4-ブタンジオール0.02質量部、メタクリル酸アリル0.02質量部)と重合開始剤溶液(t-ブチルハイドロパーオキサイド0.13質量部、脱イオン水10.0質量部)とを上記重合容器の中に一括添加し、60分間重合反応を行った。
続いて、モノマー混合液(M-2)(アクリル酸n-ブチル63.90質量部、スチレン25.20質量部、メタクリル酸アリル0.9質量部)と重合開始剤溶液(t-ブチルハイドロパーオキサイド0.246質量部、脱イオン水20.0質量部)とを別々に90分間かけて連続滴下しながら重合を行った。滴下終了後さらに60分間重合を継続させた。これにより、ゴム質粒子のコア・シェル構造のコアとなる部分を得た。
続いて、モノマー混合液(M-3)(スチレン73.0質量部、アクリロニトリル27.0質量部)と重合開始剤溶液(t-ブチルハイドロパーオキサイド0.27質量部、脱イオン水20.0質量部)とを別々に100分間かけて連続滴下しながら重合を行い、滴下終了後、内温を80℃に昇温して120分間重合を継続させた。
次に、内温が40℃になるまで冷却した後、反応溶液を300メッシュ金網に通過させてゴム質粒子の乳化重合液を得た。
ゴム質粒子の乳化重合液を塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗し、乾燥して、粉体状のゴム質粒子(B-1、平均粒子径0.105μm)を得た。
[樹脂組成物11Aの製造]
樹脂組成物3Aとゴム質粒子B-1とを、樹脂組成物3A/ゴム質粒子B-1=80/20の質量比でフィーダーを用いてフィードしながら、2軸押出機(シリンダー径:20mm)を用いて260℃の温度で混練し、リーフディスク型のポリマーフィルタ(長瀬産業社製、濾過精度5μm)で濾過し、ペレタイザでカットすることでペレット状の樹脂組成物11Aを得た。樹脂組成物11Aのガラス転移温度は125℃であった。
[樹脂組成物12Aの製造]
ポリメタクリル酸メチル(住友化学社製、商品名:スミペックスMH、Tg110℃)に対し、紫外線吸収剤(ADEKA社製、商品名:アデカスタブ(登録商標)LA-31)を2.2質量%の添加量となるように溶融混錬してペレット化した。樹脂組成物12Aのガラス転移温度は107℃であった。
樹脂組成物1A~12Aについて、(メタ)アクリル樹脂の主鎖に含まれる環の構造、紫外線吸収剤の有無、およびガラス転移温度Tgを表1に記載する。
Figure 2024064772000007
[樹脂組成物1Bの製造]
シリカ粒子(屈折率1.43、平均粒径0.3μm、日本触媒社製、商品名:シーホスター(登録商標)KE-P30)1.0質量部と樹脂組成物2A99質量部とを、スクリュー二軸押出機(プラスチック工学研究所社製、BT-30-S21C-30-1)を用いて260℃で溶融混練して、樹脂組成物1Bを得た。
[樹脂組成物2B~5Bの製造]
樹脂組成物1Bと樹脂組成物2Aとを溶融混錬して、樹脂組成物2B~5Bを得た。このとき、樹脂組成物1Bと樹脂組成物2Aとの混合比率を調整することで、樹脂組成物2B~5Bのシリカ粒子の含有率(質量%)を調整した。
[樹脂組成物6B~10Bの製造]
シリカ粒子(屈折率1.43、平均粒径0.3μm、日本触媒社製、商品名:シーホスター(登録商標)KE-P30)0.1質量部と樹脂組成物1A99.9質量部とを、スクリュー二軸押出機(プラスチック工学研究所社製、BT-30-S21C-30-1)を用いて260℃で溶融混練して、樹脂組成物6Bを得た。同様に、樹脂組成物1Aの代わりに樹脂組成物3A、6A、8A、10Aを用いてシリカ粒子と溶融混錬し、樹脂組成物7B~10Bを得た。
[樹脂組成物11B~13Bの製造]
シリカ粒子(屈折率1.43、平均粒径0.1μm、日本触媒社製、商品名:シーホスター(登録商標)KE-P10)と樹脂組成物2Aとを溶融混練して、樹脂組成物11B,12Bを得た。シリカ粒子(屈折率1.43、平均粒径0.5μm、日本触媒社製、商品名:シーホスター(登録商標)KE-P50)と樹脂組成物2Aとを溶融混練して、樹脂組成物13Bを得た。このとき、シリカ粒子と樹脂組成物2Aとの混合比率を調整することで、樹脂組成物11B~13Bのシリカ粒子の含有率(質量%)を調整した。
[樹脂組成物14B~15Bの製造]
特許第4034157号公報に記載の方法に基づいて製造したアクリル粒子(屈折率1.51、平均粒径1μm)と樹脂組成物2Aとを溶融混練して、樹脂組成物14Bを得た。同公報に記載の方法に基づいて製造したアクリル粒子(屈折率1.51、平均粒径1.2μm)と樹脂組成物2Aとを溶融混練して、樹脂組成物15Bを得た。このとき、(メタ)アクリル粒子と樹脂組成物2Aとの混合比率を調整することで、樹脂組成物14B~15Bのアクリル粒子の含有率(質量%)を調整した。
樹脂組成物1B~15Bについて、製造に用いた樹脂組成物、粒子の種類、粒子の平均粒径、粒子の含有量、およびガラス転移温度Tgを表2に記載する。
Figure 2024064772000008
[積層フィルムの製造]
樹脂組成物4Aおよび1Bを80℃の熱風オーブンで8時間乾燥させた。また、濾過精度5μmのリーフディスク型ポリマーフィルタを備える単軸押出機AおよびBを用意した。第2層を得るための樹脂組成物4A(ペレット)を単軸押出機Aに投入し、第1層および第3層を得るための樹脂組成物1B(ペレット)を単軸押出機Bに投入し、270℃で溶融押出成形して、フィードブロックを介して第1層、第2層、第3層の順に積層した溶融フィルム(溶融状態の積層フィルム)を得た。
溶融フィルムを、120℃に調整された第1冷却ロール、95℃に調整された第2冷却ロール、複数のパスロールに順次通して、未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムをオーブン延伸機で縦方向に延伸した。具体的には、積層フィルムを加熱しながら、積層フィルムを搬送するためのロールの周速を調節して、積層フィルムを縦方向に延伸した。延伸時の温度は、第2層に使用した樹脂組成物のガラス転移温度Tgよりも16℃高い温度(Tg+16℃)に設定した。例えば、サンプル1の積層フィルムの製造では145℃であった。延伸倍率は2.2倍であった。延伸方式は横方向を固定しない自由端一軸延伸であった。このようにして得られた積層フィルムの厚さは116μmであった。
縦延伸された積層フィルムをテンター延伸機で横方向に延伸した。具体的には、積層フィルムを加熱しながら、積層フィルムの両端部において端から20mmの位置を2インチのクリップで掴んで、積層フィルムを横方向に延伸した。延伸時の温度は第2層に使用した樹脂組成物のガラス転移温度Tgよりも23℃高い温度(Tg+23℃)に設定した。例えば、サンプル1の積層フィルムの製造では152℃であった。延伸倍率は3.0倍であった。このようにして得られたサンプル1の積層フィルムの厚さは40μmであった。
樹脂組成物の組み合わせ、また、各層の厚さを変更したこと以外はサンプル1の積層フィルムの製造と同様にして、サンプル2~28の積層フィルムを製造した。各層の厚さは、第2層を得るため単軸押出機Aと、第1層および第3層を得るための単軸押出機Bとにおける押出量を調整して変更した。
サンプル1~28の積層フィルムについて、樹脂組成物の組み合わせ、第2層のガラス転移温度Tg2と第1層のガラス転移温度Tg1との差(Tg2-Tg1)、各層の厚さ、ヘイズ、ロール汚れの有無、欠陥検査の結果、耐熱試験1の結果を表3に示す。第1層のガラス転移温度Tg1は、第3層のガラス転移温度Tg3に等しい。サンプル16およびサンプル28の積層フィルムについて、耐熱試験2の結果を表4に示す。
Figure 2024064772000009
Figure 2024064772000010
[積層フィルムの評価]
サンプル24の積層フィルムは、最外層である第1層および第3層にも紫外線吸収剤が含まれるフィルムであった。そのため、紫外線吸収剤の揮発によるロール汚れが発生した。さらに、ロール汚れが積層フィルムに転写され、転写されたスジ状の汚れがフィルム欠陥として検出された。
これに対し、サンプル1~23および25~28の積層フィルムは、第2層のみに紫外線吸収剤が含まれるフィルムであった。そのため、紫外線吸収剤の揮発によるロール汚れは発生しなかった。
サンプル25および26の積層フィルムは、第1層および第3層にゴム質粒子を含有していた。そのため、耐熱試験においてシワが発生した。耐熱試験の熱でゴム質粒子が収縮したことが原因であると考えられる。
これに対し、サンプル1~21の積層フィルムは、第1層および第3層にシリカ粒子を含有していた。サンプル22および23の積層フィルムは、第1層および第3層にアクリル粒子を含有していた。これらの積層フィルムにシワは発生しなかった。この結果は、第1層および第3層に含まれる粒子として、硬質粒子であるシリカ粒子またはアクリル粒子が望ましいことを示している。
例えば、高い耐熱性が要求されない用途には、サンプル25およびサンプル26の積層フィルムも使用できる。しかし、100℃を超える耐熱性が要求される場合、第1層および第3層の粒子としてゴム質粒子よりも硬質粒子の方が適している。
サンプル27の積層フィルムは、第2層の樹脂組成物のガラス転移温度Tg2よりも第1層および第3層の樹脂組成物のガラス転移温度Tg1が高いフィルムであった。サンプル27の積層フィルムを延伸すると、膜厚の不均一に基づく縞模様が観察され、かつ、位相差の不均一に基づく色ムラが観察された。つまり、サンプル27の積層フィルムによれば、積層フィルムを延伸したときに延伸ムラが顕著に発生した。言い換えれば、サンプル27の積層フィルムは、延伸性に劣っていた。
これに対し、サンプル1~23,25および26の積層フィルムは、縞模様も色ムラも目視で確認できず、優れた延伸性を有していた。
参考までに、サンプル16の積層フィルムとサンプル28の積層フィルムとを比較した。これらのフィルムは、第1層および第3層が同一のPMMA(主鎖に環構造を有さない(メタ)アクリル樹脂)で作られている点、同一の厚さを有する点で共通し、第2層が主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル樹脂で作られているか否かで相違する。表4に示すように、サンプル28の積層フィルムは、110℃の耐熱試験2に耐えることができず、収縮によるシワが発生した。
これに対し、サンプル16の積層フィルムは、収縮によるシワが確認されなかった。この理由としては、まず、高いガラス転移温度を有する第2層が100℃で収縮しなかったことが考えられる。また、第2層の樹脂組成物に適した温度でサンプル16の積層フィルムを延伸したため、低いガラス転移温度を有する第1層および第3層のPMMAに強い配向がかかっていなかったと考えられる。第1層および第3層のPMMAに強い配向がかかっていないので、耐熱試験を行ったときに発生する収縮応力自体も小さかったと考えられる。これらの結果として、サンプル16の積層フィルムにシワが発生しなかったと考えられる。
耐熱試験1はステンレス板に挟まった状態での加熱試験であり、軟化して応力が解放された状態で重しによって抑えられていたため、サンプル28の積層フィルムであってもフラットな状態を保つことができたと推測される。一方、サンプル28に関する耐熱試験2は、耐熱試験1の温度(102℃)よりも高い温度(110℃)、かつ、ステンレス板で挟まない状態で行った。そのため、耐熱試験2において、サンプル28の積層フィルムにシワが発生したと推測される。
(変形例)
上記実施形態および上記実施例において、第2層は単一の層であったが、複数の層の集合体であってもよい。この場合、複数の層のうち少なくとも1層が主鎖に環構造を有する第2の(メタ)アクリル樹脂、および、紫外線吸収剤を含めばよい。
本発明の積層フィルムは、例えば、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシート、加飾フィルムの基材フィルム、OA機器や自動車などの透明部品のカバーフィルムなどに好適に用いられる。本発明の積層フィルムは、偏光子保護フィルム、位相差フィルムなどの光学フィルムに有用である。
10 積層フィルム
11 第1層
12 第2層
13 第3層

Claims (7)

  1. 第1層と、第2層と、第3層とがこの順に積層された積層フィルムであって、
    前記第1層は、第1の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、
    前記第2層は、主鎖に環構造を有する第2の(メタ)アクリル樹脂、および、紫外線吸収剤を含み、
    前記第3層は、第3の(メタ)アクリル樹脂を含み、かつ、紫外線吸収剤を含まず、
    前記第1層および前記第3層は、前記第2層のガラス転移温度よりも低いガラス転移温度を有する、
    積層フィルム。
  2. 前記第1の(メタ)アクリル樹脂および前記第3の(メタ)アクリル樹脂は、前記第2の(メタ)アクリル樹脂の前記主鎖に含まれる前記環構造と同じ環構造を主鎖に有し、
    前記第1の(メタ)アクリル樹脂および前記第3の(メタ)アクリル樹脂のそれぞれにおける前記環構造の含有率は、前記第2の(メタ)アクリル樹脂における前記環構造の含有率よりも小さい、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記第1の(メタ)アクリル樹脂および前記第3の(メタ)アクリル樹脂は、前記第2の(メタ)アクリル樹脂の前記主鎖に含まれる前記環構造と異なる環構造を主鎖に有する、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  4. 前記第1層および前記第3層は、硬質粒子を含む、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  5. 前記第1層および前記第3層は、前記第2層の厚さよりも小さい厚さを有する、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  6. 前記紫外線吸収剤は、トリアゾール系化合物を含む、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  7. 前記積層フィルムが延伸フィルムである、
    請求項1に記載の積層フィルム。
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