JP2024064172A - 活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物及び活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート - Google Patents

活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物及び活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】高いバイオマス度の粘着剤組成物でありながら、加工時は強力な粘着力で被加工部材を保護・固定できる粘着特性を有し、加工後には活性エネルギー線照射により粘着力が極めて低く、軽い力で剥離することができる活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物の提供。【解決手段】アクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、以下の要件(α)及び要件(β)のうち少なくとも一方を満たす活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。要件(α):アクリル系樹脂(A)が生物原料由来であり、かつ炭素数が8~24であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1-BIO)を構成単位に含む。要件(β):ウレタン(メタ)アクリレート(B)が生物原料由来の炭素を含む多価イソシアネート系化合物(b2-BIO)及び/又は生物原料由来の炭素を含むポリオール系化合物(b3-BIO)を構成単位に含む。【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物及び活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートに関し、詳しくは、半導体ウエハ、プリント基板、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等の被加工部材を加工する際の一時的な保護用の剥離型粘着シートの粘着剤層に使用される活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物、及びこの粘着剤組成物を用いてなる活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートに関するものである。
従来、電子部材やガラス等の各種部材を個片化する工程や研削して薄膜化する工程に用いられる剥離型粘着シートは、加工時に生じる応力から被加工部材を保護・固定し、加工後は個片化又は薄膜化した部材を破損させないよう簡単に剥離できる性能が求められる。
近年、世界的な環境意識の高まりから従来の石化原料から生物由来原料への利用の転換が進められている。粘着剤業界においても生物由来の粘着付与剤やモノマーを用いるなどして、バイオマス度の高い粘着剤の検討がなされている。このようなバイオマス粘着剤は、部材加工テープや搬送用テープなどへの普及も高まっており、ひいては活性エネルギー線照射により粘着力が低下する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤のバイオマス化が求められている。一般的に活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤はアクリル系樹脂と活性エネルギー線硬化性化合物とを配合することにより得られることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-196454号公報
しかしながら、例えば特許文献1に記載された、アクリル系樹脂と生物由来の構成単位を含む多官能(メタ)アクリレートとを配合した粘着剤を用いた場合、バイオマス度を上げるために多官能(メタ)アクリレートを多く配合する必要があるため粘着特性が低下し、その改良が求められていた。また、生物由来の構成単位を含むアクリル系樹脂と多官能(メタ)アクリレートを用いた場合においては、アクリル系樹脂と多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が低いために分離してしまい、テープ化することすらできない。
本発明ではこのような背景下において、高いバイオマス度の粘着剤組成物でありながら、加工時は強力な粘着力で被加工部材を保護・固定できる粘着特性を有し、加工後には活性エネルギー線照射により粘着力が極めて低く、軽い力で剥離することができる活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物及びこれを用いた活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートを提供することを目的とするものである。
そこで、本発明者は、下記の態様を採用することによって、粘着剤組成物に生物由来の原料を用いながらも、加工時は強力な粘着力で被加工部材を保護・固定できる粘着特性を有し、加工後には活性エネルギー線照射により粘着力が極めて低く、軽い力で剥離することができる活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物及び剥離型粘着シートが得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
本発明の態様(1)は、アクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、以下の要件(α)、要件(β)の少なくとも一方を満たす活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物である。
要件(α):アクリル系樹脂(A)が生物原料由来であり、かつ炭素数が8~24であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1-BIO)を構成単位に含む。
要件(β):ウレタン(メタ)アクリレート(B)が生物原料由来の炭素を含む多価イソシアネート系化合物(b2-BIO)及び/又は生物原料由来の炭素を含むポリオール系化合物(b3-BIO)を構成単位に含む。
本発明の態様(2)は、態様(1)の粘着剤組成物において、前記アクリル系樹脂(A)がアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造単位を含む。
本発明の態様(3)は、態様(1)又は(2)の粘着剤組成物において、前記アクリル系樹脂(A)が官能基含有モノマー(a2)由来の構造単位を含む。
本発明の態様(4)は、態様(3)の粘着剤組成物において、前記官能基含有モノマー(a2)由来の構造単位が、カルボキシル基含有モノマー(a21)及び/又は水酸基含有モノマー(a22)由来の構造単位である。
本発明の態様(5)は、態様(1)~(4)のいずれか一つの粘着剤組成物において、更に、架橋剤(C)を含有する。
本発明の態様(6)は、態様(1)~(5)のいずれか一つの粘着剤組成物において、更に、光重合開始剤(D)を含有する。
本発明の態様(7)は、態様(1)~(6)のいずれか一つの粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートである。
本発明の態様(8)は、基材及び/又は離型フィルムと、粘着剤層とを有する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートであって、
前記粘着剤層のバイオマス度が10重量%以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物からなり、下記式(1)から算出される粘着力比が25以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートである。
式(1)
粘着力比=活性エネルギー線照射前の粘着力(N/25mm)/活性エネルギー線照射後の粘着力(N/25mm)
(対SUS304BA板、剥離温度:23℃、剥離速度:300mm/分)
本発明の態様(9)は、態様(8)の剥離型粘着シートにおいて、前記粘着剤層が態様(1)~(7)のいずれか一つの粘着剤組成物が架橋された粘着剤層である。
一般に「バイオマス度」とは、石油由来ではなく、生物原料由来の炭素の含有割合をいう。本発明における「バイオマス度」は活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物中における各原料のバイオマス度と重量分率との積の総和であり、粘着剤組成物のバイオマス度は下記式(2)により算出することができる。
式(2)
粘着剤組成物のバイオマス度(重量%)=〔(粘着剤組成物を製造する際に使用する生物由来の各原料のバイオマス度)×(粘着剤組成物を製造する際に使用する生物由来の各原料の質量)の総和〕/(粘着剤組成物の総質量)×100
本発明においては、アクリル系樹脂(A)および/またはウレタン(メタ)アクリレート(B)に生物原料由来の原料を用いることがバイオマス度を上げやすい点で好ましい。
本発明における「粘着シート」は、基材と、基材上に形成された粘着剤層とを少なくとも有する積層体であり、例えば、粘着フィルム、粘着テープを概念的に包含する。また、本発明における「粘着シート」及び「積層体」における基材は、材質や形状、大きさは特に限定されない。また「シート」とは、特に「フィルム」、「テープ」と区別するものではなく、これらも含めた意味として記載するものである。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物は、通常、金属板、プラスチック板、半導体ウエハ等の被加工部材と貼り合せた後に剥離することを前提とする剥離型粘着シートの粘着剤層に用いられる。上記剥離型粘着シートは、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を基材シート上に塗工して、粘着剤層が形成されてなるものであり、被加工部材と貼り合せた後、活性エネルギー線を照射することにより粘着剤層が硬化して粘着力が低下し、容易に被加工部材から剥離することができるものである。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物は、アクリル系樹脂及びウレタン(メタ)アクリレートの2成分のうち少なくとも一方の成分が生物由来原料から得られたものであるので、バイオマス度を上げることが可能となる。また、この粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する剥離型粘着シートは、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性であるので、硬化前においては強力な粘着力が期待することができるとともに、活性エネルギー線照射後は粘着力の低下により軽い力で被加工部材などの被着体から剥離することができる。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、アクリル系樹脂とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
なお、本明細書において化合物名に併記された記号中の「BIO」は、当該化合物が生物原料由来の炭素を含有することを表す。
<<活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物>>
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、通常、アクリル系樹脂(A)及びウレタン(メタ)アクリレート(B)を少なくとも含有する。これら成分について以下に順次説明する。
<アクリル系樹脂(A)>
アクリル系樹脂(A)とは、少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位を含有する。
また少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーを含む重合成分(a)を重合して得られる樹脂であり、例えば、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位を主構造とし、場合により、他の各種の重合性モノマーを含有する重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位を「主構造」とするとは、構造単位全体に対して(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位を通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上含有することを意味する。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、少なくとも1種の(メタ)アクリル系モノマーを含有する重合成分(a)を重合してなるものであってもよく、更に、官能基含有モノマー(a2)を含有する重合成分(a)を重合してなるものであってもよい。
〔(メタ)アクリル系モノマー〕
本発明で用いられる(メタ)アクリル系モノマーは、官能基含有モノマー(a2)、例えば、カルボキシル基含有モノマー(a21)、水酸基含有モノマー(a22)、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーなどが除外される。(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸の誘導体、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体などが挙げられ、これらモノマーは生物原料由来のものが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-ニトロプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、t-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ペンチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4-メチル-2-プロピルペンチル(メタ)アクリレート、n-オクタデシル(メタ)アクリレート等のアルキル基含有(メタ)アクリレート(本明細書において「アルキル(メタ)アクリレート」とも表記する。)(a1)等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリル酸の誘導体の他の例として、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリレート;2-イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、5-ノルボルネン-2-イル-メチル(メタ)アクリレート、3-メチル-2-ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ-ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ-ト等の多環式(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基又はフェノキシ基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-メチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-エチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-ブチル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、3-ヘキシル-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等のオキセタン基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
上記(メタ)アクリルアミドの誘導体としては、例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール-N-プロパン(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド等のN-アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルコキシ基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;メルカプトメチル(メタ)アクリルアミド、メルカプトエチル(メタ)アクリルアミド等のN-メルカプトアルキル基含有(メタ)アクリルアミド誘導体;N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン等の複素環含有(メタ)アクリルアミド誘導体:等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル系モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの(メタ)アクリル系モノマーの中でも、アルキル(メタ)アクリレート(a1)が好適に用いられる。
アルキル(メタ)アクリレート(a1)におけるアルキル基の炭素数は、通常1~20であり、好ましくは2~18、より好ましくは4~12である。なかでも、粘着特性が安定しやすい点や後述するウレタン(メタ)アクリレート(B)との相溶性の点でメチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアクリレートが好ましい。
(メタ)アクリル系モノマー由来の構造単位の含有量は、重合成分(a)全体に対して、通常40重量%以上であり、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。上限は通常100重量%である。
特に、アルキル(メタ)アクリレート(a1)を用いる場合は、アクリル系樹脂(A)の重合成分(a)全体に対して、通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上含有することが好ましい。上限は通常100重量%である。
〔官能基含有モノマー(a2)〕
本発明で用いられる官能基含有モノマー(a2)は、官能基を含有する重合性化合物のうち(メタ)アクリル系モノマーに該当するものが除かれ、生物原料由来のものが好ましい。官能基含有モノマー(a2)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー(a21)、水酸基含有モノマー(a22)、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
なかでも、粘着特性や後述する架橋剤(C)との反応性の点で、カルボキシル基含有モノマー(a21)、水酸基含有モノマー(a22)が好ましい。
(カルボキシル基含有モノマー(a21))
本発明で用いられるカルボキシル基含有モノマー(a21)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、ケイ皮酸などが挙げられる。
なかでも、共重合しやすい点、活性エネルギー線照射前の粘着力を向上させやすい点で、(メタ)アクリル酸が好ましい。
上記のカルボキシル基含有モノマー(a21)由来の構造単位の含有量は、活性エネルギー線照射前の粘着力を高くしやすい点から、アクリル系樹脂(A)を構成する構造単位全体に対して、0.1~30重量%であることが好ましく、0.5~20重量%であることがより好ましく、1~10重量%であることが特に好ましい。
上記カルボキシル基含有モノマー(a21)由来の構造単位の含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射前の粘着力が低くなりチッピングや破損の原因になりやすい傾向がある。また、逆に多すぎると、アクリル系樹脂(A)のガラス転移点(Tg)が高くなりすぎて被加工部材への密着性や粘着特性が低下しやすい傾向がある。
(水酸基含有モノマー(a22))
また、上記水酸基含有モノマー(a22)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;[4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル]メチルアクリレート;シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なかでも、共重合しやすい点、後述の架橋剤との架橋性が良く、活性エネルギー線照射後の耐汚染性を向上させやすい点で、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a22)由来の構造単位の含有量は、エージング初期の架橋度を向上しやすい点、基材との密着性を上げやすい点、活性エネルギー線照射後に剥離する際の耐汚染性の点から、アクリル系樹脂(A)を構成する構造単位全体に対して、0.01~10重量%であることが好ましく、0.02~5重量%であることがより好ましく、0.05~2重量%であることが特に好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a22)由来の構造単位の含有量が少なすぎると、粘着剤層を形成したときの凝集力が低下する傾向がある。また、逆に多すぎると、アクリル系樹脂(A)の安定性が低下したり、ポットライフが短くなったりする傾向がある。
〔その他の重合性モノマー(a3)〕
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)として、(メタ)アクリル系モノマー及び官能基含有モノマー(a2)以外の重合性モノマー(a3)(以下「その他の重合性モノマー(a3)」という。)を含有する重合成分(a)を共重合したものを用いても良い。
上記その他の重合性モノマー(a3)としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリルアミド-N-グリコール酸などの不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルモノマー;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香環を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また上記のその他の重合性モノマー(a3)として、光架橋性モノマーを含有してもいい。かかる光架橋性モノマーは、光の作用によりラジカルを発生するものである。
上記の光架橋性モノマーとして、例えば4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン及びこれらの混合物等のベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。
このような光架橋性モノマーを重合成分(a)として用いることで、アクリル系樹脂(A)中に、光架橋性構造部位を形成することができる。
また、その他の重合性モノマー(a3)由来の構造単位の含有量は、アクリル系樹脂(A)を構成する構造単位全体に対して、通常0~30重量%、好ましくは0~20重量%である。
その他の重合性モノマー(a3)由来の構造単位のうち、光架橋性モノマー由来の構造単位は、アクリル系樹脂(A)を構成する構造単位全体に対して、通常0~10重量%、好ましくは0~5重量%含有することが好ましい。
〔アクリル系樹脂(A-BIO)〕
本発明においてアクリル系樹脂(A-BIO)とは、生物原料を由来とする(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むアクリル系樹脂である。例えば、生物原料を由来とする(メタ)アクリレートモノマーとしては、生物原料から合成され、かつアルキル炭素数が8~24であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(以下、「生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート」ともいう。)(a1-1)が挙げられる。
アクリル系樹脂(A-BIO)としては、例えば、生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-BIO)を少なくとも1種含む重合成分(a)を重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられ、更に、生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-BIO)由来の構造単位を主構造とし、場合により、他の各種の重合性モノマー由来の構造単位を含むアクリル系樹脂が挙げられる。他の各種の重合性モノマーとしては、例えば、上述の官能基含有モノマー(a2)やその他の重合性モノマー(a3)が挙げられ、官能基含有モノマー(a2)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー(a21)、水酸基含有モノマー(a22)、アミノ基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
なお、生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-1)由来の構造単位を「主構造」とするとは、構造単位全体に対して、上記アルキル(メタ)アクリル系モノマー(a1-1)由来の構造単位を通常40重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上含有することを意味する。
(生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-1))
本発明で用いられる生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-1)は、例えば、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
なかでも、バイオマス度を上げやすい点、共重合性や粘着特性の点で、ノルマルオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
これらの生物原料由来のC8-24アルキル(メタ)アクリレート(a1-1)は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔アクリル系樹脂(A)の製造方法〕
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の重合方法としては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法を用いることができる。例えば、有機溶媒中に、適宜選択してなる重合成分、熱重合開始剤を混合あるいは滴下し、所定の重合条件にて重合する方法等が挙げられ、中でも、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、安定にアクリル系樹脂が得られる点で、溶液ラジカル重合がより好ましい。
以下、本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
まず、有機溶剤中に、上記の重合成分、熱重合開始剤を混合あるいは滴下し、溶液重合してアクリル系樹脂溶液を得る。
(有機溶剤)
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。これらの溶剤のなかでも、溶液重合により得られるアクリル系樹脂溶液から溶剤を留去して、無溶剤型のアクリル系樹脂を効率よく製造できる点で、沸点が80℃以下である有機溶剤を用いることが好ましい。
沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、n-ヘキサン(67℃)のような炭化水素系溶剤、メタノール(65℃)のようなアルコール系溶剤、酢酸エチル(77℃)や酢酸メチル(54℃)のようなエステル系溶剤、メチルエチルケトン(80℃)やアセトン(56℃)のようなケトン系溶剤、ジエチルエーテル(35℃)、塩化メチレン(40℃)、テトラヒドロフラン(66℃)等を挙げることができ、なかでも、汎用性や安全性の点で、酢酸エチル、アセトン、酢酸メチルを用いることが好ましく、酢酸エチル、アセトンを用いることがより好ましい。
なお、上記各有機溶剤名に続いて記載された()内の数値は、各有機溶剤の沸点である。
(熱重合開始剤)
上記重合反応に用いられる熱重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2' -アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2' -アゾビスイソブチロニトリル、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2' -アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2' -アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2' -アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルペルオキシド等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記熱重合開始剤の使用量は、重合成分(a)100重量%に対して、通常0.001~10重量%であり、好ましくは0.1~8重量%、特に好ましくは0.5~6重量%、更に好ましくは1~4重量%、殊に好ましくは1.5~3重量%、最も好ましくは2~2.5重量%である。上記熱重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系樹脂(A)の重合率が低下し、残存モノマーが増加したり、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が高くなったりする傾向がある。使用量が多すぎると、後記の追い込み加熱に要する時間が長くかかり生産的でなくなる傾向がある。
(重合条件等)
溶液重合の重合条件については特に限定はなく、従来公知の重合条件にしたがって重合することができ、例えば、溶剤中に、重合成分、熱重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合することができる。
上記重合反応における重合温度は、通常40~120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から、50~90℃が好ましく、より好ましくは55~75℃、特に好ましくは60~70℃である。重合温度が高すぎるとアクリル系樹脂(A)がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると熱重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
また、重合反応における重合時間(後述の追い込み加熱を行う場合は、追い込み加熱開始までの時間)は特に制限はないが、最後の熱重合開始剤の添加から0.5時間以上であることが好ましく、より好ましくは1時間以上、特に好ましくは2時間以上、更に好ましくは5時間以上である。重合時間の上限は通常72時間である。
なお、重合反応は、除熱がしやすい点で、溶剤を還流しながら行うことが好ましい。
上記アクリル系樹脂(A)の製造においては、残存する熱重合開始剤の量を低減させるため、追い込み加熱により、熱重合開始剤を加熱分解させることが好ましい。
上記追い込み加熱温度は、上記熱重合開始剤の10時間半減期温度より高い温度で行うことが好ましく、具体的には、通常40~150℃であり、ゲル化抑制の点から55~130℃であることが好ましく、より好ましくは75~95℃である。追い込み加熱温度が高すぎると、アクリル系樹脂(A)が黄変する傾向があり、低すぎると重合成分(a)や熱重合開始剤が残存し、アクリル系樹脂(A)の経時安定性や熱安定性が低下する傾向がある。かくして、アクリル系樹脂溶液を得ることができる。
〔アクリル系樹脂(A)の物性〕
上記のようにして得られたアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万以上であり、より好ましくは10万~200万であり、特に好ましくは20万~150万であり、更に好ましくは40万~100万である。かかる重量平均分子量が小さすぎると、得られる粘着剤層の凝集力が低下し、活性エネルギー線硬化前の粘着特性や活性エネルギー線照射後の耐汚染性が低下する傾向がある。また、かかる重量平均分子量が大きすぎると、後述のウレタン(メタ)アクリレート(B)との相溶性が低下したり、活性エネルギー線照射前の粘着力が低下したりする傾向がある。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、10以下であることが好ましく、より好ましくは7以下である。かかる分散度が高すぎると凝集力が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は通常1である。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本ウォーターズ社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:ShodexGPCKF-806L(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100~2×10、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列に接続して用いることにより測定することができ、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。また分散度は、上記重量平均分子量と数平均分子量の測定値より求めることができる。
アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、20℃以下であることが好ましく、より好ましくは-70℃~0℃、特に好ましくは-65~-10℃、更に好ましくは-60~-20℃である。かかるガラス転移温度が低すぎると、粘着剤層の凝集力が低下し活性エネルギー線照射前の粘着特性が低下する傾向があり、高すぎると被加工部材への密着性や粘着特性が低下しやすい傾向がある。
なお、ガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 2024064172000001
Tg:重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
即ち、アクリル系樹脂(A)を構成するそれぞれのモノマーから重合されたホモポリマーのガラス転移温度及び重量分率をFoxの式に当てはめて算出した値である。
なお、アクリル系樹脂(A)を構成するモノマーから重合されたホモポリマーのガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JISK7121-1987や、JISK6240に準拠した方法で測定することができる。
アクリル系樹脂(A)の屈折率は、通常1.440~1.600である。かかる屈折率は積層する被加工部材との屈折率差を小さくすることが、被加工部材界面での光損失が小さくなり好ましい。
なお、上記屈折率は、薄膜にしたアクリル系樹脂(A)を、屈折率測定装置(アタゴ社製「アッベ屈折計1T」)を用いてNaD線、23℃で測定した値である。
<ウレタン(メタ)アクリレート(B)>
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート(B)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B1)であってもよいし、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)及びポリオール系化合物(b3)の反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B2)、または水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)、単官能アルコール(b4)及び必要に応じてポリオール系化合物(b3)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B3)であってもよい。水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)、ポリオール系化合物(b3)及び単官能アルコール(b4)のうち少なくとも1つが生物原料由来の炭素を含むことによる生物原料由来のウレタン(メタ)アクリレート(B-BIO)であることが好ましく、生物原料由来の炭素を含む多価イソシアネート系化合物(b2-BIO)及び/又は生物原料由来の炭素を含むポリオール系化合物(b3-BIO)を構成単位に含むウレタン(メタ)アクリレート(B-BIO)であることがより好ましい。
なかでも、本発明においては、アクリル系樹脂(A)および(A-BIO)と相溶しやすく活性エネルギー線照射前後の粘着特性及び耐汚染性の点で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)との反応物であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B1)または水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)、多価イソシアネート系化合物(b2)及びポリオール系化合物(b3)の反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(B2)であることが好ましい。
なお、本発明においてウレタン(メタ)アクリレート(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)としては、水酸基を1個有するものが好ましく、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性-グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を1個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b11);
グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイル-オキシプロピルメタクリレート等のエチレン性不飽和基を2個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b12);
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を3個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b13);
等が挙げられる。
これらの水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)は、なかでも、反応性及び汎用性に優れる点で、エチレン性不飽和基を3個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b13)が好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがより好ましく、アクリル系樹脂(A)との相溶性の点からペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記多価イソシアネート系化合物(b2)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系多価イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート;水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族系多価イソシアネート;あるいはこれら多価イソシアネートのイソシアヌレート体または多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、東ソー社製の「アクアネート(登録商標)100」、「アクアネート(登録商標)110」、「アクアネート(登録商標)200」、「アクアネート(登録商標)210」等)等が挙げられる。
これらのなかでも、反応性及び汎用性に優れる点で、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート;水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族系ジイソシアネートが好ましく、より好ましくはイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートであり、特に好ましくは、イソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートである。
上記ポリオール系化合物(b3)としては、水酸基を2個以上含有する化合物であればよく、例えば、脂肪族系ポリオール、脂環族系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリイソプレン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。さらに、生物原料由来のポリオールとしてひまし油、カルダノール由来のポリオールが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
上記脂肪族系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、ペンタエリスリトールジアクリレート、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の2個の水酸基を含有する脂肪族系アルコール類;キシリトールやソルビトール等の糖アルコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の3個以上の水酸基を含有する脂肪族系アルコール類;等が挙げられる。
上記脂環族系ポリオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、シクロヘキシルジメタノール等のシクロヘキサンジオール類、水添ビスフェノールA等の水添ビスフェノール類、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられる。
上記ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコールや、これらポリアルキレングリコールのランダムあるいはブロック共重合体等が挙げられる。
上記ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA等)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトール等)等が挙げられる。
上記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
上記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等が挙げられる。
上記ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。上記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示の多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。なお、ポリカーボネート系ポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
上記ポリオレフィン系ポリオールとしては、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
上記ポリブタジエン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
上記ポリイソプレン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてイソプレンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。ポリイソプレン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリイソプレンポリオールであってもよい。
上記(メタ)アクリル系ポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
上記ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
前記ひまし油は、リシノレイン酸とグリセリンとのトリエステル化合物を含む油脂である。トリエステル化合物全体を構成する脂肪酸のうち、リシノレイン酸が約90モル%含有されており、その他は水酸基のないオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が含有されている。そのため、ひまし油の平均官能基数は約2.7となる。また、ひまし油は植物由来であり不純物が多いため、蒸留等により精製されたものを使用することが好ましい。さらに、リシノレイン酸等の脂肪酸中に不飽和結合を含んでいるため、水添されたひまし油を使用することが好ましい。
また、平均官能基数が2.0超のポリオールとしては、ひまし油を部分脱水したもの、リシノレイン酸の一部をオレイン酸等の水酸基を有しない脂肪酸に置換したもの、リシノレイン酸の水酸基をモノカルボン酸により部分エステル化したものなども含まれる。
前記カルダノール由来のポリオールは、カシューナッツの実を採取する際に副生物として得られるカシューナッツの殻に含まれる油状成分のカルダノールから合成されるものである。カルダノールは芳香環にヒドロキシル基及び炭素数が15~18の脂肪族炭化水素基が結合した化合物であり、その鎖中に1~3個の不飽和結合を含む。これをホルムアルデヒドによる縮合物とした後、エチレンオキシド等を付加して変性することにより、平均官能基数2.0超えのポリオールとなる。カルダノール由来のポリオールとしては、例えば、Cardolite社製のCARDOLITE(登録商標)NX-9001、NX-9007、NX-9008等が挙げられる。
これらのなかでも、バイオマス度を上げやすい点では、ひまし油、カルダノール由来のポリオール、コストの点では、脂肪族ポリオール、脂環族ポリオールが好ましく用いられ、汎用性の点では、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールが好ましく用いられる。
上記ポリオール系化合物(b3)の重量平均分子量としては、60~10000が好ましく、特に好ましくは100~5000、さらに好ましくは200~4000である。ポリオール系化合物(b3)の重量平均分子量が大きすぎると、得られるウレタン(メタ)アクリレート(B)とアクリル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、活性エネルギー線照射後の粘着特性が低下したりする傾向がある。
なお、ポリオール系化合物(b3)の重量平均分子量は、後述のウレタン(メタ)アクリレート(B)の重量平均分子量と同様の方法にて測定することができる。
上記単官能アルコール(b4)としては特に限定されないが、炭素数1~36の直鎖または分岐アルキル基含有アルコールや芳香環含有アルコール、脂環基含有アルコール、ヘテロ環含有アルコール等が挙げられ、好ましくは汎用性の点から炭素数1~36の直鎖または分岐アルキル基含有アルコールであり、より好ましくは炭素数4~18の直鎖または分岐アルキル基含有アルコールである。これらは1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、以上のような成分を公知の反応手段により反応させることで製造することができる。
以下、一例を示す。
(1)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B1)を得る場合
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)とをウレタン化反応させる方法
(2)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B2)を得る場合
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)と、さらにポリオール系化合物(b3)とをウレタン化反応させる方法
(3)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B3)を得る場合
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)とポリオール系化合物(b3)、さらに単官能アルコール(b4)をウレタン化反応させる方法
上記のウレタン化反応は、上記の成分を反応器に一括または別々に仕込み公知の反応手段により行うことができ、これによりウレタン(メタ)アクリレート(B)を製造することができる。また、ウレタン(メタ)アクリレート(B2)やウレタン(メタ)アクリレート(B3)を製造する場合には、ポリオール系化合物(b3)と多価イソシアネート系化合物(b2)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)や単官能アルコール(b4)を反応させる方法が、ウレタン化反応の安定性や副生成物の低減等の点で有用である。
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b1)と多価イソシアネート系化合物(b2)との反応においては、反応を促進する目的で反応触媒を用いることが好ましい。かかる反応触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ-n-ブチル錫等の有機金属化合物;オクテン酸亜鉛、オクテン酸錫、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩;トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N' ,N' -テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N-エチルモルホリン等のアミン系触媒;硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2-エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒;無機ジルコニウム、有機ジルコニウム、ジルコニウム単体等のジルコニウム系触媒;2-エチルヘキサン酸亜鉛/ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等の2種類以上の触媒を併用したものが挙げられ、なかでも、ジブチル錫ジラウレートや有機ビスマス化合物が好ましい。なお、これらの触媒は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
上記ウレタン化反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族類;等の有機溶剤を用いることができる。
また、上記ウレタン化反応の反応温度は、通常30~90℃、好ましくは40~80℃であり、反応時間は、通常2~10時間、好ましくは3~8時間である。
上記のウレタン化反応は、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート(B)が得られる。
このようにして得られるウレタン(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル基濃度は、0.5mmol/g以上である。好ましくは1.0~100mmol/gであり、より好ましくは3~75mmol/gであり、特に好ましくは5~50mmol/gである。ウレタン(メタ)アクリレート(B)の(メタ)アクリロイル基濃度を上記の範囲とすることで、活性エネルギー線照射後の剥離性に優れたものとすることができる。
また、上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、活性エネルギー線照射後の粘着特性の点から、エチレン性不飽和基を3個以上有することが好ましい。かかるエチレン性不飽和基数が少なすぎると充分な架橋密度が得られ難くなるため、活性エネルギー線照射後の粘着特性や耐汚染性が低下する傾向がある。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の重量平均分子量は、通常200~10000、好ましくは400~5000、より好ましくは600~4000である。かかる重量平均分子量が大きすぎるとウレタン(メタ)アクリレート(B)とアクリル系樹脂(A)とが均一に混じりにくくなり活性エネルギー線照射前後の粘着特性が低下する傾向がある。重量平均分子量が小さすぎても粘着剤層の凝集力が低下しやすく粘着特性が低下する傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「ACQUITYAPCシステム」)に、カラム:ACQUITYAPCXT450×1本、ACQUITYAPCXT200×1本、ACQUITYAPCXT45×2本を4本直列にして用いることにより測定される。
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート(B)の60℃における粘度は、50~10000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは100~7000mPa・s、特に好ましくは200~4000である。かかる粘度が低すぎると凝集力が低下しやすく、高すぎると塗工性が低下する傾向がある。なお、粘度はE型粘度計により測定することができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレート(B)のほかに活性エネルギー線硬化性化合物として、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等を含有してもよい。
〔単官能(メタ)アクリレート〕
かかる単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリルレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)-メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(n=2)(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(n=2.5)(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ポリオキシエチレン第2級アルキルエーテルアクリレート等の(メタ)アクリレート系モノマー、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、酢酸ビニル等が挙げられる。
〔多官能(メタ)アクリレート〕
多官能(メタ)アクリレートとしては、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上のアクリレートなどが挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート等が挙げられる。さらに、生物原料由来の2官能(メタ)アクリレートとして、グリセリンジ(メタ)アクリレートやソルビトールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上のアクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化15グリセリントリアクリレート等が挙げられる。さらに、生物原料由来の3官能以上のアクリレートとしては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールエチレンオキサイド変性ポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アクリル酸のミカエル付加物あるいは2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルも併用可能であり、かかるアクリル酸のミカエル付加物としては、(メタ)アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸トリマー、(メタ)アクリル酸テトラマー等が挙げられる。
上記2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、特定の置換基をもつカルボン酸であり、例えば、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。更に、その他オリゴエステルアクリレート等を挙げることができる。
これらの単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートは1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ウレタン(メタ)アクリレート(B)以外の活性エネルギー線硬化性化合物中に占める単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートの含有量は、通常50重量%以下、好ましくは20重量%未満、下限は0重量%である。
かかる含有量が多すぎると活性エネルギー線照射後の粘着特性及び耐汚染性が低下する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物おいて、ウレタン(メタ)アクリレート(B)の含有量は、アクリル系樹脂(A)100重量部対して、通常10~200重量部である。好ましくは30~180重量部、より好ましくは50~150重量部、特に好ましくは75~120重量部である。ウレタン(メタ)アクリレート(B)の含有量が少なすぎると活性エネルギー線照射後の剥離性が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると粘着剤層の凝集力が低下し活性エネルギー線前後の粘着特性が低下する傾向がある。
<架橋剤(C)>
本発明の粘着剤組成物は、更に、架橋剤(C)を含有してもよい。架橋剤(C)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。これらのなかでも、剥離型粘着シートの基材シートとの接着性を向上させる点やアクリル系樹脂(A)との反応性の点から、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。また、これらの架橋剤(C)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。これらのなかでも薬剤耐性や官能基との反応性の点で、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体、2,4-トリレンジイソシアネート及び2,6-トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、テトラメチルキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3' -ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N' ,N' -テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N' -ジフェニルメタン-4,4' -ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、N,N' -ヘキサメチレン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2,2' -ビス(2-オキサゾリン)、1,2-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)エタン、1,4-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ブタン、1,8-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ブタン、1,4-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)シクロヘキサン、1,2-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、1,3-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン等の脂肪族あるいは芳香族を含むビスオキサゾリン化合物、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンの1種または2種以上の重合物等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記架橋剤(C)の含有量は、通常、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1~30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2~20重量部、特に好ましくは0.3~15重量%である。架橋剤(C)が少なすぎると、粘着層の凝集力が低下し、粘着特性が低下する傾向があり、架橋剤(C)が多すぎると、活性エネルギー線照射前の粘着特性が低下し、加工時に浮きや剥がれが生じやすい傾向がある。
<光重合開始剤(D)>
本発明の粘着剤組成物は、更に、光重合開始剤(D)を含有してもよい。本発明で用いる光重合開始剤(D)は、光の作用によりラジカルを発生するものであればよい。なお、(メタ)アクリル系樹脂に光架橋性モノマーを有する場合は、光重合開始剤(D)を含有しなくてもよい。
かかる光重合開始剤(D)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4' -メチル-ジフェニルサルファイド、3,3' ,4,4' -テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等が挙げられる。なかでも、加温しても昇華せず安定な点から、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等が好ましい。なお、これら光重合開始剤(D)は、単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
また、これら光重合開始剤(D)の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4' -ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4' -ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。また、前述した光架橋性モノマーを光重合開始剤(D)として用いることもできる。
光重合開始剤(D)の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート(B)100重量部に対して、0.1~20重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~15重量部、特に好ましくは1~10重量部である。光重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると活性エネルギー線照射後の剥離性が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると活性エネルギー線照射後に被加工部材に対する耐汚染性が低下する傾向がある。
<その他の成分>
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、例えば、少量の単官能モノマー、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤をさらに含有していてもよく、これらの添加剤は1種を単独でまたは2種以上を併せて用いることができる。
特に酸化防止剤は、粘着剤層の安定性を保つのに有効である。酸化防止剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、粘着剤組成物に対して好ましくは0.01~5重量%である。なお、本発明の粘着剤組成物には、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていてもよい。
また、本発明の粘着剤組成物は、活性エネルギー線照射後に被加工部材に対する耐汚染性が低くなる点から、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、クロマン系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、石油系樹脂等の粘着付与樹脂を含まないことが好ましい。
<活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物の用途>
かくして、アクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、必要に応じて、架橋剤(C)、光重合開始剤(D)、エチレン性不飽和化合物、及びその他の成分等の任意成分を混合することにより、本発明の粘着剤組成物が得られる。
本発明の粘着剤組成物は、上記架橋剤(C)により架橋され、剥離型粘着シートの粘着剤層として好適に用いられる。そして、この剥離型粘着シートは、被加工部材と貼り合せた後、活性エネルギー線照射することにより、粘着剤層が硬化し、粘着力の低下が起こることで剥離性を発揮する。この特性を利用して、各種の被加工部材を加工する際、一時的にその被加工部材の表面を保護する用途に用いられる。
<<活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート>>
本発明の粘着シートは、基材及び/又は離型フィルム、粘着剤層を有する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートであり、粘着剤層のバイオマス度が10重量%以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物からなり、下記式(1)から算出される粘着力比が25以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートである。
式(1)
粘着力比=活性エネルギー線照射前の粘着力(N/25mm)/活性エネルギー線照射後の粘着力(N/25mm)
(対SUS304BA板、剥離温度:23℃、剥離速度:300mm/分)
〔活性エネルギー線照射前の粘着力〕
上記粘着力は、以下の方法により測定される。
活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を基材上に塗工し、基材上に粘着剤層を有する剥離型粘着シート(粘着剤層の厚み25μm)を形成する。このシートをステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて、加圧貼付し、同雰囲気下で30分間静置する。その後、剥離速度300mm/minで測定する180度剥離強度(N/25mm)を活性エネルギー線照射前の粘着力とする。
〔活性エネルギー線照射後の粘着力〕
上記で得られた剥離型粘着シートをステンレス板(SUS304BA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて、加圧貼付し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で30分間放置する。その後、80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、紫外線照射(積算照射量180mJ/cm2)を行う。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下で30分間静置した後、剥離速度300mm/minで測定する180度剥離強度(N/25mm)を活性エネルギー線照射後の粘着力とする。
上記剥離型粘着シートは、一般式(1)から算出される粘着力比が上記の範囲内であると、加工時は強力な粘着力で被加工部材を保護・固定できる粘着特性を有し、加工後には活性エネルギー線照射により粘着力が極めて低く、軽い力で剥離することができる。
上記剥離型粘着シートの粘着力比は、25以上であり、好ましくは50以上である。通常、上限は50000であり、好ましくは25000、より好ましくは10000、更に好ましくは5000である。
上記剥離型粘着シートの粘着力は、基材シートの種類、被加工部材の種類等によっても異なるが、活性エネルギー線照射前の180度剥離強度は、通常1N/25mm以上であり、好ましくは5N/25mm以上である。
上記剥離型粘着シートは、通常、活性エネルギー照射後の剥離強度が活性エネルギー線照射前の剥離強度よりも低くなるものである。
上記剥離型粘着シートの活性エネルギー線照射後の180度剥離強度は、通常1N/25mm以下であり、好ましくは0.5N/25mm以下である。
上記剥離型粘着シートは、基材及び/又は離型フィルム、粘着剤層を有する。
上記粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を架橋させた粘着剤を層としたものである。なお、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物は、アクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、上述の要件(α)及び要件(β)のうち少なくとも一方を満たす活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物であっても良いが、これに限定されない。
かかる粘着剤層の厚みは、通常、1~200μmであることが好ましく、さらには10~100μmであることが好ましい。
上記基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等からなる群から選ばれた少なくとも一つの合成樹脂からなるシート、アルミニウム、銅、鉄などの金属箔、上質紙、グラシン紙等の紙、ガラス繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。
これらの基材シートは、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂からなるシートが好ましい。
さらに、上記離型フィルムとしては、例えば、上記基材シートで例示した各種合成樹脂シート、紙、織物、不織布等の表面に離型処理を施したものを使用することができる。
本発明の粘着シートの作製方法としては、まず本発明の粘着剤組成物をそのまま、または適当な有機溶剤により濃度調整し、離型フィルム上または基材シート上に直接塗工する。その後、例えば80~105℃、0.5~10分間加熱処理等により乾燥させ、これを基材シートまたは離型フィルムに貼付することにより剥離型粘着シートを得ることができる。また、粘着特性のバランスをとるために、乾燥後にさらにエージングを行ってもよい。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
活性エネルギー線としては、通常、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線を用いることが有利である。
上記紫外線の積算照射量は、通常50~3000mJ/cm2、好ましくは100~1000mJ/cm2である。また、照射時間は、光源の種類、光源と粘着剤層との距離、粘着剤層の厚み、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒間、場合によっては1秒に満たないごく短時間でもよい。
本発明の粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する剥離型粘着シートは、これを被加工部材と貼り合せ、被加工部材の表面を一時的に保護した後に、活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤層が硬化して粘着力が低下するため、容易に被加工部材から剥離することができる。
上記剥離型粘着シートによって保護される被加工部材としては、例えば、半導体ウエハ、プリント基板、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるアクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度、その他の諸物性は前述の方法に従って測定した。
まず、実施例に先立って下記の成分を用意した。
<アクリル系樹脂(A)>
〔アクリル系樹脂(A-1)の調製〕
温度調節機、温度計、撹拌機、滴下ロート及び還流冷却器を備えた反応器内に、酢酸エチル70部、重合触媒として2,2' -アゾビスイソブチロニトリル(AIBN(熱重合開始剤))0.04部を仕込み、撹拌しながら還流するまで昇温し、内温が安定した段階で、重合成分(a)としてn-ブチルアクリレート(BA)(a1-1)91.9部、アクリル酸(AAc)(a21-1)8.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)(a22-1)0.1部を混合した混合物を2時間にわたって滴下し、還流下で反応させた。次いで、反応開始から3時間後にトルエン13.3部とAIBN0.08部を追加し、反応開始から5.5時間後に反応を終了させて、アクリル系樹脂(A-1)溶液〔固形分濃度35.0%、粘度7,000mPa・s(25℃)、重量平均分子量(Mw)77.7万、分散度(Mw/Mn)5.80、ガラス転移温度(Tg)-48.2℃〕を得た。
〔アクリル系樹脂(A-BIO-2)の調製〕
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口および温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、酢酸エチル49.1部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.04部仕込み、加熱して内温が沸点に到達した後、ノルマルオクチルアクリレート(a1-BIO-2)97.8部、アクリル酸(a21-BIO-1)2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(a22-BIO-1)0.2部の混合溶液を、沸騰状態を維持したまま、2時間にわたって滴下した。モノマー滴下終了から1時間後に重合開始剤(AIBN)0.05部を追加し、2時間反応させた。さらに重合開始剤(AIBN)0.036部を追加し、1時間反応させた後、酢酸エチル44.4部で希釈して、アクリル系樹脂(A-BIO-2)溶液〔固形分濃度44.7%、粘度2900mPa・s(25℃)、重量平均分子量(Mw)55.6万、分散度(Mw/Mn)6.01、ガラス転移温度(Tg)-61.0℃〕を得た。
得られたアクリル系樹脂(A-1)、(A-BIO-2)の詳細を表1に示す。
Figure 2024064172000002
BA:n-ブチルアクリレート
nOA:ノルマルオクチルアクリレート
AAc:アクリル酸
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
<ウレタン(メタ)アクリレート(B)>
〔ウレタン(メタ)アクリレート(B-BIO-1)〕
UT-7914:バイオマス度52%、粘度600mPa・s/60℃、エチレン性不飽和基3~4個のウレタンアクリレート(三菱ケミカル社製:紫光UT-7914)
〔ウレタン(メタ)アクリレート(B-2)の調製〕
温度調節機、温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート(b2-1)(イソシアネート基含有量:37.8%)(エボニック・ジャパン製)18.3部、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(b13-1)(水酸基価:119.1mgKOH/g)81.7部、重合禁止剤として2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール0.04部、反応触媒として錫系化合物であるジブチル錫ジラウレート0.02部を仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%以下となった時点で反応を終了して、ウレタンアクリレート(B-2)(エチレン性不飽和基6個、重量平均分子量1,300、アクリロイル基濃度25.4mmol/g)混合物を得た。
〔重合性化合物(B’ -BIO-1)〕
M-2519:ソルビトールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製:アロニックスM-2519、バイオマス度:14%)
〔重合性化合物(B’-2)〕
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成社製:アロニックスM-404、バイオマス度:0%)
〔重合性化合物(B’-3)〕
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成社製:アロニックスM-309、バイオマス度:0%)
用意したウレタン(メタ)アクリレート(B-BIO-1)、(B-2)、重合性化合物(B’ -BIO-1)、(B’-2)、(B’-3)の詳細を表2に示す。
Figure 2024064172000003
<実施例1~4、比較例1~5>
上記で用意したアクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)及び下記の成分を表2に示すとおりの配合量にて配合し、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を得て、更に剥離型粘着シートを作製した。
〔架橋剤(C)〕
・イソシアネート系架橋剤(C-1):トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学社製:タケネートD101E)
〔光重合開始剤(D)〕
・光重合開始剤(D-1):1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGMResins社製:OMNIRAD184)
〔剥離型粘着シートの作製〕
得られた活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を用いて表3に記載の各成分を配合し100℃に調温した後、基材シートとして、ポリエチレンテレフタレートフイルム(膜厚38μm)(東レ社製、「T60ルミラー」)上に、アプリケーターで塗工した。100℃で3分間乾燥し、常温まで冷却してから離型フィルム(三井化学東セロ社製、「SP-PET3801-BU」)に貼付し、40℃にて7日間エージングすることにより、剥離型粘着シート(粘着剤層の厚み25μm)を得た。
得られた剥離型粘着シートを用いて下記の評価を行った。結果を表3に示す。
(活性エネルギー線照射前の粘着力)
上記で得られた剥離型粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、同雰囲気下で30分間静置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:15N/25mm以上
○:10N/25mm以上、15N/25mm未満
△:5N/25mm以上、10N/25mm未満
×:5N/25mm未満
(活性エネルギー線照射後の粘着力)
上記で得られた剥離型粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、離型フィルムを剥がしたうえで、ステンレス板(SUS304BA板)に23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で30分間放置した後、80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、18cmの高さから51.0m/minのコンベア速度で紫外線照射(積算照射量180mJ/cm2)を行った。さらに23℃、相対湿度50%の雰囲気下で30分間静置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
◎:0.3N/25mm未満
○:0.3N/25mm以上、1.0N/25mm未満
×:1.0N/25mm以上
(粘着力比)
上記活性エネルギー線照射前の粘着力および活性エネルギー線照射後の粘着力の数値を下記式(1)に当てはめて粘着力比を算出し、以下の基準で評価した。
式(1)
粘着力比=活性エネルギー線照射前の粘着力/活性エネルギー線照射後の粘着力
◎:50以上
〇:25以上~50未満
×:25未満
(バイオマス度)
上記で得られた剥離型粘着シートの粘着剤層におけるバイオマス度は、活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物のバイオマス度と同様であるため、下記式(2)により求め、以下の基準で評価した。
粘着剤組成物のバイオマス度(重量%)=〔(粘着剤組成物を製造する際に使用する生物由来の各原料のバイオマス度)×(粘着剤組成物を製造する際に使用する生物由来の各原料の質量)の総和〕/(粘着剤組成物の総質量)×100
◎:30重量%以上
○:10重量%以上、30重量%未満
×:10重量%未満
Figure 2024064172000004
実施例1~4においては、バイオマス度10%以上でありながらも活性エネルギー線照射前後の粘着力に優れるものであった。
一方、ウレタン(メタ)アクリレート(B)に変えて、多官能モノマーを用いた比較例1~3においては、アクリル系樹脂との相溶性が悪く分離してしまい、均一な塗膜にすることすらできなかった。生物由来の原料を含有するアクリル系樹脂(A-BIO-2)及び他の多官能モノマーを用いた比較例4においては、均一な塗膜は得られたものの、活性エネルギー線照射前の粘着力に劣るものであった。またアクリル系樹脂(A)及びウレタン(メタ)アクリレート(B)のいずれも生物原料由来の炭素を含有しない比較例5では、バイオマス度が0重量%であり、環境への負荷が懸念される。
上記の結果より、植物等の生物由来の原料を用いた活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物を用いた場合でも、活性エネルギー線照射前は強固な粘着力を有し、照射後は粘着力が大幅に減少し易剥離性に優れた剥離型シートが得られることがわかる。
本発明の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物は、半導体ウエハ、プリント基板、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等を加工する際の一時的な表面保護用粘着フィルムなどの活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートに好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. アクリル系樹脂(A)、ウレタン(メタ)アクリレート(B)を含有し、以下の要件(α)及び要件(β)のうち少なくとも一方を満たす活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
    要件(α):アクリル系樹脂(A)が生物原料由来であり、かつ炭素数が8~24であるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1-BIO)を構成単位に含む。
    要件(β):ウレタン(メタ)アクリレート(B)が生物原料由来の炭素を含む多価イソシアネート系化合物(b2-BIO)及び/又は生物原料由来の炭素を含むポリオール系化合物(b3-BIO)を構成単位に含む。
  2. 前記アクリル系樹脂(A)がアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造単位を含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
  3. 前記アクリル系樹脂(A)が官能基含有モノマー(a2)由来の構造単位を含む請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
  4. 前記官能基含有モノマー(a2)由来の構造単位が、カルボキシル基含有モノマー(a21)及び/又は水酸基含有モノマー(a22)由来の構造単位である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
  5. 更に、架橋剤(C)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
  6. 更に、光重合開始剤(D)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物。
  7. 請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート。
  8. 基材及び/又は離型フィルムと、粘着剤層とを有する活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シートであって、
    前記粘着剤層のバイオマス度が10重量%以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物からなり、下記式(1)から算出される粘着力比が25以上である活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート。
    式(1)
    粘着力比=活性エネルギー線照射前の粘着力(N/25mm)/活性エネルギー線照射後の粘着力(N/25mm)
    (対SUS304BA板、剥離温度:23℃、剥離速度:300mm/分)
  9. 前記粘着剤層が請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着剤組成物が架橋された粘着剤層である請求項8に記載の活性エネルギー線硬化性剥離型粘着シート。

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