JP2024063367A - 熱硬化性マレイミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた誘電特性と耐熱性を有し、銅に対しても強い接着力を有する熱硬化性マレイミド樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー、(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂、(C)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物、及び、(D)反応開始剤を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性マレイミド樹脂組成物並びに、その樹脂組成物を含有する未硬化及び硬化樹脂フィルム、接着剤、封止材、及び、基板に関する。
近年、5Gという次世代の移動通信システムが流行しており、高速、大容量、低遅延通信を実現しようとしている。これらを実現するためには、高周波帯用の材料が必要であり、ノイズ対策として伝送損失の低減が必須となるために、誘電特性の優れた(低比誘電率かつ低誘電正接)絶縁材料の開発が求められている。求められる主な特性としては、例えば、ピール強度、低吸水性、低熱膨張率性、耐熱性などが挙げられる。
その中でも基板用途で、このような誘電特性の優れた絶縁材料が求められている。リジッド基板やフレキシブル基板などの基板に対して誘電特性の優れた絶縁材料が求められており、反応性ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、液晶ポリマー(LCP)や特性を改良した変性ポリイミド(MPI)と呼ばれる製品が使用されるようになってきている。
耐熱性の観点から高いガラス転移点(Tg)の要求も高まっている。基板用途では高温でのリフロー工程を経ることから150℃以上のTgを有することが望ましい。このような背景から、Tgが高く、接着力、誘電特性が優れる接着剤が報告されているが(特許文献1~4)、その多くは、エポキシ樹脂、その他の熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の組合せである。これらの組成は周波数10GHz以下の領域では優れた誘電特性を有するが、5G以降ではさらにミリ波と呼ばれる28GHz以上の周波数領域での優れた誘電特性を有することが求められている。しかし、一般的に高周波で優れた誘電特性を示す材料は銅箔に代表される金属への接着性に乏しく、高Tg、低誘電特性、銅箔への高い接着性を示す樹脂組成物は提案されていない。
従って、本発明は、優れた誘電特性と耐熱性を有し、銅に対しても強い接着力を有する熱硬化性マレイミド樹脂組成物並びにそれを含む未硬化及び硬化樹脂フィルム、接着剤、接着フィルム、封止材、及び、基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、下記熱硬化性マレイミド樹脂組成物が、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、下記の熱硬化性マレイミド樹脂組成物等を提供するものである。
即ち、本発明は、下記の熱硬化性マレイミド樹脂組成物等を提供するものである。
<1>
(A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー:100質量部、
(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂:10~200質量部、
(C)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物:1~100質量部、及び、
(D)反応開始剤:0.01~20質量部
を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<2>
(A)成分のスチレン系エラストマーが、スチレンと、炭素-炭素の二重結合を有する化合物との共重合体であって、アミノ基、カルボキシル基、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基及びマレイミド基から選ばれる1種以上の反応性官能基を含むものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<3>
前記(B)成分のポリフェニレンエーテル樹脂が下記一般式(1)で示される構造のものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
(式(1)中、Xは炭素数1以上の有機基であって、酸素原子を含む窒素原子、リン原子、硫黄原子等他の原子を含んでいてもよく、m及びpは、それぞれ0又は1であり、Yは、下記式(2)で表されるものであり、n及びoはそれぞれ、0~40の数であり、Zは、下記式(3)で表されるものである。)
(式(2)及び式(3)中のR1~R12はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、Z’は単結合又は炭素数1~30の直鎖状、炭素数3~10の分岐状もしくは環状の炭化水素基である。)
<4>
(C)成分が下記式(4)の構造のものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
(式(4)中、Bは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。nは0~100である。)
<5>
式(4)中のBは下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである<4>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(4)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
<6>
前記(D)成分が、有機過酸化物である<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<7>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する未硬化樹脂フィルム。
<8>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する硬化樹脂フィルム。
<9>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着剤。
<10>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着フィルム。
<11>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有するプリプレグ。
<12>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する封止材。
<13>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する基板。
(A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー:100質量部、
(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂:10~200質量部、
(C)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物:1~100質量部、及び、
(D)反応開始剤:0.01~20質量部
を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<2>
(A)成分のスチレン系エラストマーが、スチレンと、炭素-炭素の二重結合を有する化合物との共重合体であって、アミノ基、カルボキシル基、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基及びマレイミド基から選ばれる1種以上の反応性官能基を含むものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<3>
前記(B)成分のポリフェニレンエーテル樹脂が下記一般式(1)で示される構造のものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<4>
(C)成分が下記式(4)の構造のものである<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<5>
式(4)中のBは下記構造式で示される4価の有機基のいずれかである<4>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<6>
前記(D)成分が、有機過酸化物である<1>に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
<7>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する未硬化樹脂フィルム。
<8>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する硬化樹脂フィルム。
<9>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着剤。
<10>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着フィルム。
<11>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有するプリプレグ。
<12>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する封止材。
<13>
<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する基板。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、優れた誘電特性と耐熱性を有し、銅に対しても強い接着力を有するので、未硬化及び硬化樹脂フィルム、接着剤、接着フィルム、封止材、及び、基板として有用である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
(A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー
本発明で用いる(A)成分のスチレン系エラストマーは主に、組成物の硬化物の高周波での低誘電特性、耐熱性及び接着性の向上、並びに組成物をフィルム化した際のフィルムの柔軟性の向上に寄与する。該スチレン系エラストマーは、スチレン系化合物由来の構造単位を有し、側鎖または末端に反応性の官能基を1つ以上有する熱可塑性エラストマーであれば特に制限はなく、スチレン由来の構造単位を有する熱可塑性エラストマーであってもよい。
本発明で用いる(A)成分のスチレン系エラストマーは主に、組成物の硬化物の高周波での低誘電特性、耐熱性及び接着性の向上、並びに組成物をフィルム化した際のフィルムの柔軟性の向上に寄与する。該スチレン系エラストマーは、スチレン系化合物由来の構造単位を有し、側鎖または末端に反応性の官能基を1つ以上有する熱可塑性エラストマーであれば特に制限はなく、スチレン由来の構造単位を有する熱可塑性エラストマーであってもよい。
本発明においてスチレン系エラストマーは、スチレンと、炭素-炭素の二重結合を有する化合物との共重合体であって、部分又は完全水添されている共重合体であることが好ましい。すなわち、スチレンをハードセグメント、炭素-炭素の二重結合を有する化合物をソフトセグメントとしたブロック共重合体及び/又はランダム共重合体であることが好ましい。スチレン系エラストマーの例としては、スチレン/ブタジエン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/イソプレン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/ブタジエン・ブロック/ランダム共重合体などが挙げられる。品質の安定性からブロック共重合体が好ましい。
耐熱性の観点から、水素添加反応(水添)により炭素-炭素の二重結合を有する化合物の二重結合をなくした、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン・ブロック/ランダム共重合体、スチレン/ブタジエン・ブロック/ランダム共重合体などを用いることが好ましい。水添は部分水添でも完全水添でもよいが、耐熱性の観点から完全水添又は水添率の高いものがより好ましい。
スチレン共重合体におけるスチレン/炭素-炭素の二重結合を有する化合物及びその二重結合を水添した部分の質量比は、10/90~70/30であることが好ましく、20/80~67/33がより好ましい。当該質量比がこの範囲内であれば、相溶性、分散性に優れて、品質の安定した組成物とすることができる。すなわち、スチレン系エラストマー中の質量基準のスチレン含有率は、10~70質量%が好ましく、20~67質量%がより好ましい。
スチレン系エラストマーは反応性官能基によって変性されたものに限定される。ここで、反応性官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基及びマレイミド基から選ばれる1種以上が好ましいものとして挙げられる。スチレン系エラストマーは、分子の末端が変性されていてもよく、側鎖が変性されていてもよい。これによって後述する(B)成分及び(C)成分と反応し、耐熱性に優れた組成物となる。スチレン系エラストマーの変性は、例えば、スチレン系エラストマーの重合時に、不飽和カルボン酸を共重合させることにより行うことができる。また、スチレン系エラストマーと不飽和カルボン酸を有機パーオキサイドの存在下に加熱、混練することにより行うこともできる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸等を挙げることができる。スチレン系エラストマーを変性する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、アミノ基を含有する不飽和単量体をスチレン系エラストマーと共重合することにより行うことができる。また、アミノ基を含有する重合開始剤を用いて重合することによってアミン変性を行うこともできる。
(A)成分の数平均分子量(Mn)は、10,000~300,000であることが好ましく、10,000~200,000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内であれば、得られる組成物が優れたフィルム性を有し、(B)成分及び(C)成分などの他の成分との相溶性、分散性に優れ、良好な接着性を示す。
なお、本明細書中で言及する数平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指す。
なお、本明細書中で言及する数平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指す。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.35mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperHZ4000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ3000(4.6mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperHZ2000(4.6mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL(濃度0.2質量%のTHF溶液)
(A)成分のスチレン系エラストマーは市販されたものを用いてもよい。具体例としては、旭化成社製のタフテックシリーズや、クレイトン社製のFGシリーズなどが挙げられる。なお、本発明の組成物には、スチレン系エラストマーを1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物(有機溶剤を除く)中、(A)成分の配合量は、30~99質量%であることが好ましく、40~97質量%であることがより好ましく、45~95質量%であることが更に好ましい。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物(有機溶剤を除く)中、(A)成分の配合量は、30~99質量%であることが好ましく、40~97質量%であることがより好ましく、45~95質量%であることが更に好ましい。
(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂
本発明で用いる(B)成分は分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂である。(B)成分は、樹脂組成物の硬化物の耐熱性、誘電特性及び剛性を高めるために用いられる。
なお、反応性二重結合としては、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、マレイミド基等が挙げられる。
本発明で用いる(B)成分は分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂である。(B)成分は、樹脂組成物の硬化物の耐熱性、誘電特性及び剛性を高めるために用いられる。
なお、反応性二重結合としては、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、マレイミド基等が挙げられる。
(B)成分としては下記式(1)で示される構造のものが好ましい。
(式(1)中、Xは炭素数1以上の有機基であって、酸素原子を含む窒素原子、リン原子、硫黄原子等他の原子を含んでいてもよく、m及びpは、それぞれ0又は1であり、Yは、下記式(2)で表されるものであり、n及びoはそれぞれ、0~40の数であり、Zは、下記式(3)で表されるものである。)
(式(2)及び式(3)中のR1~R12はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であり、Z’は単結合又は炭素数1~30の直鎖状、炭素数3~10の分岐状もしくは環状の炭化水素基である。)
前記式(2)および式(3)のR1~R12はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基であるが、原料の入手のしやすさから水素原子及びメチル基が好ましい。
前記式(3)中のZ’は単結合又は炭素数1~30の直鎖状、炭素数3~10の分岐鎖状もしくは環状の炭化水素基であり、原料の入手のしやすさや耐熱性の観点から単結合、炭素数1~3の直鎖状又は炭素数3~5の分岐鎖状の炭化水素基、特には2価の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には以下のような構造を有する2価の芳香族炭化水素基が挙げられる。
(B)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量(Mn)は、べたつきなどの取扱い性や、有機溶剤や他成分との相溶性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン標準で換算した数平均分子量が500~10,000であることが好ましく、特に好ましくは800~6,000である。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して10~200質量部であり、好ましくは12~180質量部であり、より好ましくは15~150質量部である。配合量が10質量部未満だと耐熱性が悪化し、ガラス転移温度が低下する場合があるため好ましくなく、200質量部を超えるとフィルム性の低下、接着力が低下する場合があるため好ましくない。
(C)マレイミド樹脂
本発明で用いる(C)成分は、1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物である。
本発明で用いる(C)成分は、1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物である。
ここで言う、ダイマー酸とは、植物系油脂などの天然物を原料とする炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化によって生成された、炭素数36のジカルボン酸を主成分とする液状の二塩基酸であり、ダイマー酸は単一の骨格ではなく、複数の構造を有し、何種類かの異性体が存在する。ダイマー酸の代表的なものは直鎖型(a)、単環型(b)、芳香族環型(c)、多環型(d)という名称で分類される。本明細書において、ダイマー酸骨格とは、このようなダイマー酸のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミンから誘導される基をいう。すなわち、(A)成分は、ダイマー酸骨格として、下記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がメチレン基で置換された基を有するものが好ましい。
また、マレイミド化合物中のダイマー酸骨格由来の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
なお、一般的に、ダイマー酸には、植物系油脂などの天然物を原料とすることに起因して、三量体(トリマー酸)が含まれる場合もあるが、ダイマー酸及びトリマー酸由来の炭化水素基のうちダイマー酸由来の炭化水素基が占める割合が例えば95質量%以上、とダイマー酸由来の炭化水素基の割合が高いがことが、誘電特性に優れ、熱時の粘度が下がりやすく成形性に優れ、吸湿の影響も少なくなる傾向にあることから好ましい。
本明細書において、ダイマー酸(トリマー酸)骨格とは、このようなダイマー酸(トリマー酸)のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミン(トリマートリアミン)から誘導される基をいう。
また、マレイミド化合物中のダイマー酸骨格由来の炭化水素基は、水添反応により、該ダイマー酸骨格由来の炭化水素基中の炭素-炭素二重結合が低減した構造を有するものが、硬化物の耐熱性や信頼性の観点からより好ましい。
なお、一般的に、ダイマー酸には、植物系油脂などの天然物を原料とすることに起因して、三量体(トリマー酸)が含まれる場合もあるが、ダイマー酸及びトリマー酸由来の炭化水素基のうちダイマー酸由来の炭化水素基が占める割合が例えば95質量%以上、とダイマー酸由来の炭化水素基の割合が高いがことが、誘電特性に優れ、熱時の粘度が下がりやすく成形性に優れ、吸湿の影響も少なくなる傾向にあることから好ましい。
本明細書において、ダイマー酸(トリマー酸)骨格とは、このようなダイマー酸(トリマー酸)のカルボキシ基を1級アミノメチル基で置換した構造を有するダイマージアミン(トリマートリアミン)から誘導される基をいう。
(A)成分は、下記式(4)で表されるマレイミド化合物であることが好ましい。
(式(4)中、Bは独立して環状構造を有する4価の有機基であり、Dは独立して炭素数6~200の2価炭化水素基であり、少なくとも1つはダイマー酸骨格由来の炭化水素基である。nは0~100である。)
代表的な式(4)のビスマレイミド樹脂として、SLK-6895、SLK-1500及びSLK-3000(信越化学工業(株)製)等がある。
(C)成分は熱硬化性樹脂であり、(A)成分及び(B)成分と反応することから、耐熱性と機械特性が良好となり、信頼性の高い組成物となる。加えて(C)成分はダイマー酸骨格に由来する2価炭化水素基を有しているために誘電特性が良好であり、高い接着性を示す。そのため組成物は優れた誘電特性と高い接着性を示す。
前記式(4)中、Bは独立して環状構造を有する4価の有機基を示し、中でも下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
(上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、式(4)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
前記式(4)中、Dは独立して炭素数6~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50の2価炭化水素基であって、該2価炭化水素基としては、具体的には、ダイマージアミンと呼ばれる両末端ジアミン由来の2価炭化水素基が挙げられる。なお、ダイマージアミンとは、オレイン酸などの不飽和脂肪酸の二量体(ダイマー酸)から誘導される化合物であり、従って、Dとしては、上記(a)~(d)で示される各ダイマー酸において、2つのカルボキシ基がそれぞれメチレン基で置換された基が特に好ましく、1分子中に少なくとも1つはこのダイマー酸由来の骨格を有する。
(C)成分のマレイミド化合物の数平均分子量は、300~10,000が好ましく、より好ましくは500~8000である。
また、(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明中で言及する数平均分子量とは、上記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指す。
また、(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明中で言及する数平均分子量とは、上記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指す。
(C)成分として式(4)の構造以外のマレイミド化合物を使用した場合、(A)成分との相溶性が低下するためにワニス状としたときに濁りや分離が発生する場合がある。それによって組成物内にムラが発生し、組成物の特性のばらつきが発生するおそれがある。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して1~100質量部であり、好ましくは1~75質量部であり、より好ましくは10~50質量部である。配合量が1質量部未満だと誘電特性が悪化し、接着性が低下する場合があるため好ましくなく、100質量部を超えるとフィルム性の低下、タック性が発現する場合があるため好ましくない。
(D)反応開始剤
本発明で用いる(D)成分の反応開始剤は(A)成分、(B)成分及び(C)成分の架橋反応を開始させるために添加するものである。反応開始剤は特に限定されないが、有機過酸化物を使用することが好ましい。有機過酸化物としては、たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
本発明で用いる(D)成分の反応開始剤は(A)成分、(B)成分及び(C)成分の架橋反応を開始させるために添加するものである。反応開始剤は特に限定されないが、有機過酸化物を使用することが好ましい。有機過酸化物としては、たとえば、ジクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド等を挙げることができる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.01~20質量部であり、好ましくは0.05~10質量部であり、より好ましくは0.1~5質量部である。配合量が0.01質量部未満だと硬化性が低下することにより誘電特性が悪化する場合があるため好ましくなく、20質量部を超えると(D)成分の残存による誘電特性が悪化する場合があるため好ましくない。
<その他の添加剤>
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。該添加剤として、たとえば接着助剤として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤や(メタ)アクリル基を有するモノマーを配合することができる。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。該添加剤として、たとえば接着助剤として、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤や(メタ)アクリル基を有するモノマーを配合することができる。
(E)接着助剤
接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤や(メタ)アクリル基を有するモノマーを配合することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミン官能性アルコキシシラン;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性アルコキシシランなどが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロプレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート、ビスフェノールA型ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-アクリロキシメチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールメタクリレート、ジプロプレングリコールメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンメタクリレート、ビスフェノールA型ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2-メタクリロキシメチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートなどが挙げられる。
接着助剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤や(メタ)アクリル基を有するモノマーを配合することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン;γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミン官能性アルコキシシラン;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリル官能性アルコキシシランなどが挙げられる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル・アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル基を有するモノマーとしては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロプレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート、ビスフェノールA型ジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-アクリロキシメチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールメタクリレート、ジプロプレングリコールメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールメタクリレート、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンメタクリレート、ビスフェノールA型ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2-メタクリロキシメチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートなどが挙げられる。
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.01~20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05~10質量部であり、さらに好ましくは0.1~5質量部である。配合量が0.01質量部未満だと密着性が向上されない場合があるため好ましくなく、20質量部を超えると誘電特性が悪化する場合があるため好ましくない。
また、(E)成分以外の添加剤として、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素をはじめとする無機充填材、PTFEパウダーをはじめとする樹脂パウダー、銀などの金属粒子、反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン、無官能シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、スチレン系以外の熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光増感剤、光安定剤、重合禁止剤、難燃剤、顔料、染料等が挙げられる。また、熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物の電気特性を改善するために、イオントラップ剤等を配合してもよい。
無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、平均粒径が0.5~50μmのものが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(又はメジアン径)として求めた値である。形状に関しては、結晶構造の関係から特に問わない。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分並びに必要に応じて添加されるその他の添加剤を混合することにより製造することができる。
本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、有機溶剤に溶解してワニスとして扱うこともできる。熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、ワニスにすることによってシート状又はフィルム状に成形しやすくなる。有機溶剤は(A)成分、(B)成分及び(C)成分が溶解するものであれば制限なく使用することができる。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等を好適に用いることができる。上記の有機溶剤は単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。ワニス中の本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の濃度は、5~80質量%が好ましく、10~75質量%がより好ましい。
この熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、主に接着剤、接着フィルム、プライマー、基板用のボンディングフィルムやシート材料、封止材、フレキシブルプリント基板用カバーレイフィルムの接着剤、フレキシブルフラットケーブルとして好適に用いることができる。使用方法、形態には制限なく使用することができる。例えば、未硬化樹脂フィルムや硬化樹脂フィルムとして、また接着剤として使用できる。以下に使用例を例示するが、これに限定されるものではない。
例えば、有機溶剤に溶解した熱硬化性マレイミド樹脂組成物(ワニス)を支持シートに塗工した後、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~5時間加熱することによって有機溶剤が除去され、未硬化のフィルム状やシート状の組成物(未硬化樹脂フィルム)を得ることができる。該支持シートとしては、一般的に用いられるものを用いてよく、例えばポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂などのポリエステル樹脂などが挙げられ、これら支持シートの表面を離形処理していても構わない。また、塗工方法も特に限定されず、ギャップコーター、カーテンコーター、ロールコーター及びラミネーター等を使用できる。また、塗工層の厚さも特に限定されないが、溶剤留去後の厚さが1~100μm、好ましくは3~80μmの範囲である。さらに塗工層の上にカバーフィルムを使用しても構わない。
また、塗工層の上に銅箔等の金属箔を貼り付けて、基板材料として用いることもできる。
さらに、基材にワニスを塗布し、通常80℃以上、好ましくは100℃以上の温度で0.5~5時間加熱することによって有機溶剤を除去し、基材に接着したいものを加熱しながら圧着し、130℃以上、好ましくは150℃以上の温度で0.5~10時間加熱することで、基材と、基材に接着したいものとを接着することができる。
熱硬化性マレイミド組成物溶液(ワニス)を塗布する方法としては、通常の塗工方式や印刷方式が挙げられる。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。
他にも、ワニス化した熱硬化性マレイミド樹脂組成物をEガラスや低誘電ガラス、石英ガラスなどでできたガラスクロスなどへ含浸し、有機溶剤を除去し、半硬化状態にすることでプリプレグとして使用することもできる。また、そのプリプレグや銅箔などを積層させることでリジット基板を作製することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。
実施例及び比較例で使用した各成分を以下に示す。
(A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー
(A-1)アミン変性スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体の水添物、スチレン含有率30質量%(タフテックMP10:旭化成(株)製)
(A-2)カルボン酸変性スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体、スチレン含有率30質量%(タフテックM1913:旭化成(株)製)
(A’-1)水添スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体、スチレン含有率30質量%(タフテックH1041:旭化成(株)製、比較例用)
(A-1)アミン変性スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体の水添物、スチレン含有率30質量%(タフテックMP10:旭化成(株)製)
(A-2)カルボン酸変性スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体、スチレン含有率30質量%(タフテックM1913:旭化成(株)製)
(A’-1)水添スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン・ブロック共重合体、スチレン含有率30質量%(タフテックH1041:旭化成(株)製、比較例用)
(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂
(B-1)末端メタクリル変性のポリフェニレンエーテル(SA9000、SABIC(株)社製)
(B-2)末端スチレン変性のポリフェニレンエーテル(OPE-2St-1200、三菱ガス化学(株)社製)
(B-3)末端スチレン変性のポリフェニレンエーテル(OPE-2St-2200、三菱ガス化学(株)社製)
(B-1)末端メタクリル変性のポリフェニレンエーテル(SA9000、SABIC(株)社製)
(B-2)末端スチレン変性のポリフェニレンエーテル(OPE-2St-1200、三菱ガス化学(株)社製)
(B-3)末端スチレン変性のポリフェニレンエーテル(OPE-2St-2200、三菱ガス化学(株)社製)
(C)マレイミド樹脂
(C-1):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-6895、信越化学工業(株)製、数平均分子量1000)
-C36H70-はダイマー酸骨格由来の炭化水素基を示す。
(C-2):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-1500、信越化学工業(株)製、数平均分子量2200)
n≒2(平均値)
-C36H70-はダイマー酸骨格由来の炭化水素基を示す。
(C-3):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-3000、信越化学工業(株)製、数平均分子量5000)
n≒5(平均値)
-C36H70-はダイマー酸骨格由来の炭化水素基を示す。
(C’-1):4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI-1000:大和化成工業(株)製、数平均分子量500、比較例用)
(C-1):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-6895、信越化学工業(株)製、数平均分子量1000)
(C-2):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-1500、信越化学工業(株)製、数平均分子量2200)
-C36H70-はダイマー酸骨格由来の炭化水素基を示す。
(C-3):下記式で示されるビスマレイミド化合物(SLK-3000、信越化学工業(株)製、数平均分子量5000)
-C36H70-はダイマー酸骨格由来の炭化水素基を示す。
(C’-1):4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI-1000:大和化成工業(株)製、数平均分子量500、比較例用)
(D)反応開始剤
(D-1):ジクミルパーオキサイド(パークミルD:日油(株)製)
(D-1):ジクミルパーオキサイド(パークミルD:日油(株)製)
(E)接着助剤
(E-1):3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503:信越化学工業(株)製)
(E-1):3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503:信越化学工業(株)製)
(F)無機充填材
(F-1):溶融球状シリカ(SO-25R、(株)アドマテックス製、平均粒径0.5μm)のメタクリル基変性シランカップリング剤(KBM-503,信越化学工業(株)製)処理品
(F-1):溶融球状シリカ(SO-25R、(株)アドマテックス製、平均粒径0.5μm)のメタクリル基変性シランカップリング剤(KBM-503,信越化学工業(株)製)処理品
<未硬化フィルムの作製>
ワニス状熱硬化性マレイミド樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが50μmとなるようにローラーコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥させて未硬化樹脂フィルムを得た。
ワニス状熱硬化性マレイミド樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが50μmとなるようにローラーコーターで塗布し、120℃で10分間乾燥させて未硬化樹脂フィルムを得た。
<未硬化樹脂フィルムハンドリング性>
前記未硬化樹脂フィルムを25℃の条件下で90度折り曲げた際にフィルムにクラックが発生したり、破断したりするかを目視で確認した。クラック、破断及びタック等が全く確認されなかった場合は○、少しでもクラック、破断又はタック等が確認された場合を×とした。
前記未硬化樹脂フィルムを25℃の条件下で90度折り曲げた際にフィルムにクラックが発生したり、破断したりするかを目視で確認した。クラック、破断及びタック等が全く確認されなかった場合は○、少しでもクラック、破断又はタック等が確認された場合を×とした。
<比誘電率、誘電正接>
前記未硬化樹脂フィルムを180℃、2時間の条件で硬化させた樹脂フィルムを切断して、60mm×60mmの試験片を作製した。得られた試験片について、SPDR誘電体共振器(MS46122B、アンリツ(株)製)を使用し、25℃における28GHzでの比誘電率、誘電正接を測定した。
前記未硬化樹脂フィルムを180℃、2時間の条件で硬化させた樹脂フィルムを切断して、60mm×60mmの試験片を作製した。得られた試験片について、SPDR誘電体共振器(MS46122B、アンリツ(株)製)を使用し、25℃における28GHzでの比誘電率、誘電正接を測定した。
<耐熱性>
上記の工程で作製した硬化樹脂フィルムについて、150℃で500時間保管した後に上記の装置を使用して25℃における28GHzでの誘電特性を測定した。初期の誘電正接の値と500時間保管後の誘電正接の値から変化率を計算し、耐熱性を評価した。
上記の工程で作製した硬化樹脂フィルムについて、150℃で500時間保管した後に上記の装置を使用して25℃における28GHzでの誘電特性を測定した。初期の誘電正接の値と500時間保管後の誘電正接の値から変化率を計算し、耐熱性を評価した。
<ピール強度>
縦75mm、幅25mm、厚さ1.0mmのスライドガラスを用意し、その一方の表面に前記のPETフィルム付き未硬化樹脂フィルムのPET基材の貼っていない樹脂組成物面を載せ、120℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、PET基材を剥がし、樹脂組成物面に18μm厚の銅箔(三井金属(株)製、Ra0.6μm)を載せ、120℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、180℃で2時間の条件で硬化させることで接着試験片を作製した。
縦75mm、幅25mm、厚さ1.0mmのスライドガラスを用意し、その一方の表面に前記のPETフィルム付き未硬化樹脂フィルムのPET基材の貼っていない樹脂組成物面を載せ、120℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、PET基材を剥がし、樹脂組成物面に18μm厚の銅箔(三井金属(株)製、Ra0.6μm)を載せ、120℃、0.3MPa圧、60秒の条件でラミネートを行った。ラミネート後、180℃で2時間の条件で硬化させることで接着試験片を作製した。
接着性を評価するために、JIS-C-6481「プリント配線板用銅張積層板試験方法」に準拠し、温度23℃及び引張速度50mm/分の条件で、各接着試験片から銅箔から剥がすときの90°ピール強度(kN/m)を測定した。
<ガラス転移温度>
前記未硬化樹脂フィルムを180℃で2時間の条件で硬化させた。硬化後のフィルムが十分冷めた後にTAインスツルメント製DMA-800を用いて測定し、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
前記未硬化樹脂フィルムを180℃で2時間の条件で硬化させた。硬化後のフィルムが十分冷めた後にTAインスツルメント製DMA-800を用いて測定し、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
表2の結果より、未硬化樹脂フィルム特性は実施例1~12に関してはクラックや破断等はないことが確認された。比較例1及び5も実施例と同様にクラック等は確認されなかった。一方で比較例2~4はクラックやタックの発生がみられた。
以上の結果から、本発明の熱硬化性マレイミド樹脂組成物は、フィルム性を有し、硬化物の誘電特性に優れることに加え、高い耐熱性と金属に対する強い接着力を有することから、基板用途に適した絶縁材料としての有用性を確認できた。
Claims (13)
- (A)1分子中に反応性官能基を1つ以上有する変性されたスチレン系エラストマー:100質量部、
(B)分子鎖末端に反応性二重結合を有するポリフェニレンエーテル樹脂:10~200質量部、
(C)1分子中にダイマー酸骨格由来の炭化水素基を1個以上有し、数平均分子量が300~10,000であるマレイミド化合物:1~100質量部、及び、
(D)反応開始剤:0.01~20質量部
を含む熱硬化性マレイミド樹脂組成物。 - (A)成分のスチレン系エラストマーが、スチレンと、炭素-炭素の二重結合を有する化合物との共重合体であって、アミノ基、カルボキシル基、アルケニル基、メタクリル基、アクリル基、エポキシ基及びマレイミド基から選ばれる1種以上の反応性官能基を含むものである請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
- 前記(B)成分のポリフェニレンエーテル樹脂が下記一般式(1)で示される構造のものである請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
- 前記(D)成分が、有機過酸化物である請求項1に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する未硬化樹脂フィルム。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する硬化樹脂フィルム。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着剤。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する接着フィルム。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有するプリプレグ。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物を含有する封止材。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の熱硬化性マレイミド樹脂組成物の硬化物を含有する基板。
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