JP2024062955A - 誘導結合型アンテナユニット及びプラズマ処理装置 - Google Patents

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Yasuo Suzuki
正則 渡邉
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Abstract

【課題】真空チャンバに着脱が容易でチャンバ内に高密度な放電プラズマを生成するICPアンテナユニットを提供する。また、これらのICPアンテナユニットを複数個用いた任意の面積で生産性の高いプラズマ処理装置を提供する。【解決手段】本願ICPアンテナユニットは、プラズマ処理装置の真空チャンバの壁面に設けられた開口部に装着されるICPアンテナユニットであって、1又は複数の給電側アンテナ導体と接地側アンテナ導体が、前記開口部を覆う蓋体の内側面にほぼ平行に配置され、前記給電側アンテナ導体の中央部が給電端子に接続され、前記接地側アンテナ導体の中央部が接地端子に接続されている。前記給電側アンテナ導体と前記接地側アンテナ導体の長手方向の両端部は接続されている。【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマを用いて被処理基板の表面に薄膜形成やエッチング等の処理を施すプラズマ処理装置及びそのプラズマ処理装置に用いられる誘導結合型アンテナユニットに関するものである。
被処理基板の表面をプラズマ処理する装置としては、高周波電力を給電して真空チャンバ内にプラズマを発生させる高周波アンテナを具備するプラズマ処理装置が一般的に使用されている。
特許文献1には、誘電体筐体と、該筐体の蓋体と、該蓋体に装着したU字形のアンテナ導体とからなり、該アンテナ導体のU字形部分が前記筐体内に収容され、一体化された構造の誘導結合型アンテナユニット技術が開示されている。当該技術によれば、前記アンテナ導体が前記筐体内に収容されているため、真空チャンバ内にプラズマを発生するために使用される高周波電力は、給電される高周波電力の50%以下である。また、アンテナ導体の一方の端部に給電し、他方の端部を接地する給電方式であるため、大面積の基板を処理するプラズマ処理装置に使用する場合、アンテナ導体が長くなり、高周波電流路のインピーダンスが大きくなる。従って、両端の電位差が大きくなり、前記アンテナ導体の長手方向に対して不均一な密度の放電プラズマが発生する。また、給電端子近傍で異状放電が発生する、などの課題があった。
一方、特許文献2に示すように、真空チャンバの開口を塞ぐ蓋体の外側と内側とのそれぞれに設けたアンテナ導体により往復回路を構成することで、高周波電流に対するインピーダンスの低減を図ったものもある。
しかしながら、このような構成であると、蓋体の外側に設けられているアンテナ導体は、真空チャンバの内部空間から距離があり、このアンテナ導体に流れる高周波電流はプラズマの生成にあまり寄与せず、濃いプラズマを生成しようとする場合にはプラズマ生成効率が悪い。
特開2010-225296号公報 特開2020-53169号公報
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであって、均一かつ高密度なプラズマを発生させる長尺、かつ高効率な誘導結合型アンテナユニットを提供し、当該アンテナユニットを装着した安価なプラズマ処理装置を提供することを主たる課題とする。また、このプラズマ処理装置により大面積基板の表面処理を可能とするものである。
本発明は、下記の誘導結合型アンテナユニット(以下、単にアンテナユニットとも記す)及び当該アンテナユニットを用いたプラズマ処理装置を提供する。
すなわち、本発明に係るアンテナユニットは、真空チャンバの壁面に設けられた開口部に気密を保持して装着されるアンテナユニットであって、気密を保持して前記開口部を覆う蓋体と、枠状をなす1又は複数の誘導結合型アンテナ導体(以下、単にアンテナ導体とも記す)とを有し、前記アンテナ導体が、前記蓋体の内面に沿って配置され、長手方向の一辺の中央部が給電端子に接続された給電側アンテナ導体と、当該給電側アンテナ導体に対向して前記蓋体の内面に沿って配置され、中央部が接地端子に接続されている接地側アンテナ導体を有することを特徴とする。
このように構成されたアンテナユニットによれば、給電側アンテナ導体の中央部に給電端子が接続されるとともに、接地側アンテナ導体の中央部が接地端子に接続されているので、高周波電流路のインピーダンスを2分の1以下に低減することができる。
しかも、給電側アンテナ導体及び接地側アンテナ導体それぞれが、蓋体の内面に沿って配置されているので、それぞれのアンテナ導体に流れる高周波電流をプラズマの生成に寄与させることができ、濃いプラズマを効率良く生成することができる。
前記アンテナ導体が、1本の金属パイプを折り曲げて構成された長方形状の枠体である。この枠体(アンテナ導体)の長辺の一方が前記給電側アンテナ導体であって、その中央部がフィードスルーを介して給電端子に接続されており、他方が前記接地側アンテナ導体であって、その中央部が蓋体に固定され、接地されると同時に冷媒の出入り口に接続されている。本発明に係るアンテナ導体はU字形のアンテナ導体が左右対称に配置された構造である。前記給電側アンテナ導体の中央部に給電された高周波電流は左右に流れて両端部でUターンして前記接地側アンテナ導体の中央部に向かって流れる構成である。また、冷媒も前記接地側アンテナ導体の中央部の入り口から注入され、アンテナ導体を一周して前記接地側アンテナ導体中央部の出口から排出される。
このようなアンテナ構成とすることによって前記アンテナ導体の冷却が容易になると同時に、高周波電流路のインピーダンスを2分の1以下に低減することができる。アンテナ導体両端の電位差を小さくでき、均一性に優れた放電プラズマを生成することができる。
この構成ならば、アンテナ導体のインピーダンスを2分の1以下に低減でき、均一な放電プラズマを励起できるだけでなく、1台の高周波電源と整合器で複数のアンテナ導体を駆動することができる。また、最短距離の給電路でアンテナ導体に給電でき、最短距離の接地路で接地できるため、高周波電力を無駄なくプラズマ励起に投入できる。更に、プラズマ処理装置への脱着やアンテナユニットのクリーニング等が容易になる。
本発明の一態様は、前記アンテナ導体が1本の金属パイプで構成され、一方の端部から他方の端部へと冷却媒体を流通可能であることを特徴とするアンテナユニットである。
この構成ならば、前記アンテナ導体を水冷することができ、高周波電流による前記アンテナ導体の温度上昇を抑制できる効果がある。
本発明の一態様は、前記アンテナ導体を誘電体管又は誘電体材料で被覆されていることを特徴とするアンテナユニットである。
この構成ならば、前記アンテナ導体表面に流入する電子及びイオンを抑制することができ、アンテナ導体の表面における再結合を抑制できるため高密度プラズマが生成できると同時に、前記アンテナ導体のスパッタリングによる金属不純物等の飛散を防止することができる。
本発明の一態様は、前記給電側アンテナ導体と接地側アンテナ導体の中央部の間隔を両先端部の間隔より大きく、又は、小さくすることを特徴とするアンテナユニットである。
この構成ならば、前記アンテナ導体の中央部と両先端部のプラズマ密度の均一性を補償することができ、アンテナ導体の全面に亘って均一な密度のプラズマを励起することができる。
前記蓋体が、前記開口部を覆う金属平板と、前記アンテナ導体を皮覆する誘電体部材とを有することが好ましい。
このような構成であれば、真空シールが容易であり、大気圧に対する強度が容易に得られ、長尺アンテナユニット或いは大面積アンテナユニットを安価に製造することができる。
また、本発明に係るプラズマ処理装置は、前記真空チャンバの壁に設けた1又は複数の開口部に、上述したアンテナユニットが装着されていることを特徴とするものである。前記真空チャンバの壁面に複数個の前記アンテナユニットをほぼ並列に装着することによって、大面積に亘って均一な高密度の放電プラズマを励起することができる。
前記真空チャンバ内のプラズマ生成領域を取り囲むとともに、前記真空チャンバ内の被処理物を向く開口が形成されたケーシングをさらに備え、前記ケーシングの内面からの黒体輻射により前記被処理物を加熱することが好ましい。
これならば、ケーシングの内面からの黒体輻射によって被処理物を加熱することができ、被処理物の広範囲を均一に加熱することができる。
より具体的な実施態様としては、前記ケーシングの内面に黒体であるDLC膜が形成されている態様を挙げることができる。
本発明によれば、給電側アンテナ導体の中央部に高周波電力を給電し、接地側アンテナ導体の中央部を接地する構成であるため、(1)アンテナ導体のインピーダンスを実質的に2分の1に低減でき、(2)1台の高周波電源と整合器で複数のアンテナ導体を駆動できる。従って、(3)均一かつ高密度のプラズマを発生させることができ、被処理基板に所望のプラズマ処理を施すことができる。また、(4)アンテナユニットの着脱が容易であり、クリーニング等が容易になる。
本発明に係る一実施形態のプラズマ処理装置の要部構成を模式的に示す図である。 同実施形態の誘導結合型アンテナニットを説明するための模式図である。 同実施形態の誘導結合型アンテナユニットの断面の模式図である。 その他の実施形態の誘導結合型アンテナニットを説明するための模式図である。 その他の実施形態の誘導結合型アンテナユニットの断面の模式図である。 その他の実施形態のプラズマ処理装置の要部構成を模式的に示す図である。 その他の実施形態の誘導結合型アンテナユニットの断面の模式図である。
以下に本発明に係る誘導結合型アンテナユニット及び当該アンテナユニットを装着したプラズマ処理装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る誘導結合型アンテナユニット200を図1に示す。誘導結合型アンテナ(以下、単にICPアンテナとも記す)に高周波電流を流すことで発生する電磁界を用いて放電プラズマを励起させる、いわゆる誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)方式によるものである。
図1に前記ICPアンテナユニット200を装着したプラズマ処理装置100の模式図を示す。前記プラズマ処理装置100は、例えば液晶ディスプレイに用いられる基板等の被処理基板12を収容する真空チャンバ11と、当該真空チャンバ内に高周波放電プラズマを励起させるICPアンテナユニット200とを具備するものである。また、図示しない真空排気手段と作業ガスを導入するためのガス導入手段を具備する。
真空チャンバ11内は、前記真空排気手段と前記ガス導入手段によって所定の真空度に保持される。例えばアルゴンと水素との混合ガスを導入して所定の圧力、例えば1Paに調整し、前記ICPアンテナユニット200の蓋体23に取り付けられた誘導結合型アンテナ導体21に高周波電流を流すことによって前記真空チャンバ11内に放電プラズマを励起するものである。
具体的には、この真空チャンバ11は、図1に示すように、その上壁111に上方から見て長方形状の開口部112が形成されており、この開口部112に後述するICPアンテナユニット200を真空シール部材24を狭持して嵌め込むことにより真空チャンバ内部を密閉するように構成されている。前記真空チャンバ11内には前記ICPアンテナユニット200に対向して被処理基板12が配置されている。被処理基板は載置台14に取り付けられた基板支持具表面に載置されている。
本発明に係る前記ICPアンテナユニット200の構成と機能について図2を用いて詳細に説明する。ICPアンテナユニットは絶縁板からなる蓋体23と、当該蓋体23の内面(真空チャンバ側)に沿って配置された前記アンテナ導体21、及びアンテナ導体21を皮覆又は遮蔽する石英板25とからなる。前記アンテナ導体21は1本の金属パイプを折り曲げて構成された長方形状の枠体である。この枠体(アンテナ導体21)の長辺の一方(以下、給電側アンテナ導体21Xとも記す)の中央部が給電端子Z1に接続され、他方(以下、接地側アンテナ導体21Yとも記す)の中央部が真空シール部材等を介して蓋体23に固定されて接地されている。本発明に係るアンテナ導体21はU字形のアンテナ導体が左右対称に配置された構造である。前記給電側アンテナ導体21Xの中央部に給電された高周波電流は左右に流れて両端部でUターンして前記接地側アンテナ導体21Yの中央部に向かって流れる構成である。
このように構成されたアンテナ導体21では、給電側アンテナ導体21Xの長手方向中央部21cに給電端子Z1を介して給電された高周波電流は、U字形アンテナ導体21の左右の両端部21a、21bに向かって流れ、Uターンして接地側アンテナ導体21Yを逆向きに流れて、接地側アンテナ導体21Yの中央部の接地端子Z2に流れこむ。これにより、給電側アンテナ導体21Xを流れる高周波電流の向きと、接地側アンテナ導体21Yを流れる高周波電流は流れる向きが逆になる。つまり、アンテナ導体21は、給電側アンテナ導体21Xの長手方向の中央部21cに供給された高周波電流に対する往復回路を構成している。このような往復回路では往復アンテナ導体間に相互インダクタンスが発生し、高周波電流に対するアンテナ導体のインピーダンスは、前記相互インダクタンス相当分が相殺されて小さくなる効果がある。
また、本発明に係るアンテナユニット200では、給電側アンテナ導体21Xと接地側アンテナ導体21Yが蓋体23の内側面に沿って略平行に配置され、両アンテナ導体21X、21Yに流れる高周波電流は互いに逆向きであって、両アンテナ導体21X、21Y間に最大の電磁界が発生する。本アンテナユニット200ではこの強力な電磁界を最も有効に活用する構成であって高密度プラズマの生成に極めて効果的である。また、低ガス圧領域においても放電が起りやすく安定な放電が維持される。
往復回路の相互インダクタンスは対向するアンテナ導体21X、21Yの間隔にほぼ反比例することから、両アンテナ導体21X、21Yの間隔を狭くすることによってアンテナ導体21のインピーダンスをより低減させることができる。これにより、アンテナ導体21の長尺化によるインピーダンスの増大を抑えることができ、長尺のアンテナユニット200が実用化できる。
前記蓋体23に取り付けるアンテナ導体21の数、長さ及び各アンテナ導体21X、21Yの間隔等は特定されるものではなく、プラズマ処理の目的やプラズマ処理装置100の仕様等によって決定されるべきものである。図2に示すように略直線状のICPアンテナの場合、アンテナ導体21の長さが比較的短い、例えば30cm以下であればアンテナ導体21の長手方向のプラズマ密度に大きな差は生じないが、例えば50cm以上のアンテナ導体21を有するICPアンテナの場合、アンテナ導体21の中央部のプラズマ密度が両端部領域の密度より小さくなる。この原因は高周波電力の給電端子領域では電界強度が大きくプラズマの拡散損失が大きいためと考えられている。特に、長尺のアンテナ導体21の場合に大きな課題である。
図2に示すICPアンテナユニット200は、給電側アンテナ導体21Xと接地側アンテナ導体21Yは略平行に配置され両アンテナ導体の間隔はどこも一様である。本願発明によれば、両アンテナ導体21X、21Yの間隔を調整することにより中央部のプラズマ密度と両端部の密度が略等しくなることが明らかになった。アンテナ導体21全長に亘って均一なプラズマ密度を得るには、アンテナ導体21の長さにも依存するが、給電側アンテナ導体21Xと接地側アンテナ導体21Yとの間隔を変えることである。
前記U字形の往復アンテナ導体21の場合、往復回路のインダクタンスはアンテナ導体21X、21Yの長さに比例し、両アンテナ導体21X、21Yの間隔に反比例する。即ち、往復アンテナ導体21X、21Yを接近させればインダクタンスは小さくなり離せば大きくなる。アンテナ導体21X、21Yの中央部の間隔を大きくし、両端部の間隔を小さくすることによって中央部のインダクタンスを小さく、両端部のインダクタンスを大きくすることができる。従って、両端部での消費電力を大きくすることによって両端部におけるプラズマ密度の低減を補ってアンテナ導体の長手方向のプラズマ密度を均一にすることができる。
前記ICPアンテナ導体21の長辺の長さと短辺の長さとの比は特に特定されるものではないが、相互インダクタンスの効果を活用する場合は出来るだけ接近させることが望ましく、前記ICPアンテナ導体21の長辺の長さと両ICPアンテナ導体の最短間隔との比が50:1~10:1であることが好ましい。
前記アンテナ導体21の素材は特定されるものではないが、高周波電力、例えば13.56MHzの高周波電力を給電するため、導電性のよい金属材料、例えば銅材やアルミニウム材等であることが好ましい。また、アンテナ導体21は高周波電流を流すと数100℃に加熱されるため冷却、例えば水冷等が可能な金属パイプであることが好ましい。本発明によれば、アンテナ導体21の中央部が接地される構成であるため水冷等による冷却が容易である。
また、アンテナ導体21として金属パイプ、例えば銅パイプ或いはアルミニウムパイプを用いれば、冷媒、例えば水を流して前記アンテナ導体21を冷却することができる。前記接地側アンテナ導体21Yの中央部の一方の注入口P1から注入し、アンテナ導体を一周して前記接地側アンテナ導体21Yの中央部の他方の出口P2から排出して冷却することができる。
前記蓋体23は絶縁性であって耐熱性に優れた加工可能な材料であることが好ましく、例えばアルミナ材や窒化ケイ素等のセラミックス材料で構成することができる。また、アンテナ導体21が十分に冷却可能であれば、耐熱性に優れるPEEK材やテフロン系有機材料を使用することができる。
本実施形態では前記アンテナ導体21は真空チャンバ11内に装着されるため放電プラズマ中に曝される。従って、処理条件によってはアンテナ導体21の表面はイオン照射によってスパッタリングされ、アンテナ導体金属が不純物として飛散する恐れがある。スパッタリングによる汚染を抑制するためには前記アンテナ導体21表面を誘電体材料、例え石英管等で被覆することが好ましい。
また、図3に示すように、前記蓋体23の内側面に前記アンテナ導体21を嵌め込む溝を設け、該溝内に前記アンテナ導体21を埋め込み、アンテナ導体21表面を遮蔽する石英板25を設けることもできる。
このように構成された本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、給電側アンテナ導体21Xの中央部に給電端子Z1が接続されるとともに、接地側アンテナ導体21Yの中央部に接地端子Z2が接続されているので、高周波電流路のインピーダンスを2分の1以下に低減することができる。
しかも、給電側アンテナ導体21X及び接地側アンテナ導体21Yそれぞれが、蓋体23の内面に沿って配置されているので、それぞれのアンテナ導体21X、21Yに流れる高周波電流をプラズマの生成に寄与させることができ、高密度のプラズマを効率良く生成することができる。
さらに、アンテナ導体21のインピーダンスを2分の1以下に低減できるので、均一な放電プラズマを励起できるだけでなく、1台の高周波電源30と整合器40で複数のアンテナ導体21を駆動することができる。また、最短距離の給電路でアンテナ導体21に給電でき、最短距離の接地路で接地できるため、高周波電力を無駄なくプラズマ励起に投入できる。更に、プラズマ処理装置100への脱着やアンテナユニット200のクリーニング等が容易になる。
また、冷媒が接地側アンテナ導体21Yの中央部の入り口P1から注入され、アンテナ導体21を一周して接地側アンテナ導体21Yの中央部の出口P2から排出されるので、アンテナ導体21の冷却が容易であり、高周波電流によるアンテナ導体21の温度上昇を抑制できる効果がある。
加えて、アンテナ導体21が誘電体管又は誘電体材料25で被覆されているので、アンテナ導体21の表面に流入する電子及びイオンを抑制することができ、アンテナ導体21の表面における再結合を抑制できるため高密度プラズマが生成できると同時に、アンテナ導体21のスパッタリングによる金属不純物等の飛散を防止することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、アンテナユニット200としては、図4に示すように、給電側アンテナ導体21Xと接地側アンテナ導体21Yの中央部の間隔が両端部の間隔より大きくても良い。
この構成ならば、前記アンテナ導体21X、21Yの両先端部のプラズマ密度の低減を補償することができ、アンテナ導体の全面に亘って均一な密度のプラズマを励起することができる。
さらに、アンテナユニット200は、1本の金属パイプものを枠状にしたものに限らず、複数本の金属パイプをつなげて枠状にしたものであっても良い。
また、前記アンテナ導体21の断面は、前記実施形態では円形であったが、円形のみならず、楕円形又は多角形のパイプ状又は棒状であっても良い。
更に、前記蓋体は、誘電体材料からなる蓋体に特定されるものではなく、図5に示すように前記開口部112を覆う金属平板231と、当該金属平板231の内側面に設けられて前記アンテナ導体21を皮覆する誘電体部材232とで構成することができる。高周波電力は前記給電端子を介して給電側アンテナ導体21Xの中央部に給電し、接地側アンテナ導体21Yの中央部は前記金属平板231に金属溶接法等によって固定することができると同時に直接接地することができる。
このような構成であれば、真空シールが容易であり、大気圧に対する強度が容易に得られ、長尺アンテナユニット或いは大面積アンテナユニットを安価に製造することができる。
また、本発明に係るプラズマ処理装置100は、図6に示すように、真空チャンバ11の壁に設けた複数の開口部112それぞれに、アンテナユニット200が装着されているものであっても良い。
前記真空チャンバ11の壁面に複数個の前記アンテナユニット200をほぼ並列に装着することによって、大面積に亘って均一な高密度の放電プラズマを励起することができる。
この図6の構成では、真空チャンバ11の上壁111とアンテナユニット200との間に例えばステンレス製の枠体50を設けてあり、この枠体50にアンテナユニット200を支持させている。この構成により、アンテナユニット200を枠体50とともに真空チャンバ11から着脱することが可能になる。
また、本発明に係るプラズマ処理装置100は、図7に示す誘導結合型アンテナユニット200を備えるものであっても良い。
具体的にこの誘導結合型アンテナユニット200は、図7に示すように、プラズマ生成領域S1を取り囲むとともに、アンテナ導体21を収容するケーシング80を備えている。
このケーシング80は、被処理物12を向く開口80hが形成されたものであり、例えばアルミニウムやステンレス等から形成されたものであり、例えば蓋体23側に湾曲したドーム状をなす。なお、ケーシング80の形状はこれに限らず、例えば複数枚の平板からなる箱型(略直方体形状)をなすものであっても構わない。
このケーシング80の内部空間には、プラズマの原料ガスが供給される。この原料ガスとして、例えばメタンとアセチレンと窒素の混合ガスを供給するとともに、給電側アンテナ導体21Xの中央部に整合器40を介して高周波電源30からの高周波電力を印加し、接地側アンテナ導体21Yの中央部を接地することで、ケーシング80の内部空間に炭素イオンを含む放電プラズマを励起することができる。
これにより、ケーシング80の内面81はDLC膜で覆われるとともに、アンテナ導体21に高周波電流が流れることによりアンテナ導体21が加熱されて、ケーシング80の内面81も加熱される。その結果、このケーシング80の内面81も熱源となり、この内面81からの輻射熱によって被処理物12を均一に加熱することができる。
ここで被処理物12を必要温度、例えば250℃に加熱するためにはケーシング80も250℃以上に加熱する必要がある。ケーシング80の温度を保持するため、ケーシング80は、水冷されている蓋体23から所定距離離れて設置されている。具体的にケーシング80は、アンテナ導体21と蓋体23との間に介在するアンテナ導体支持部材26に取り付けられている。
また、被処理物12の表面をプラズマ処理する場合、例えばDLC膜等を成膜する場合、例えば前記ケーシング80に+2kV以下、+800V以上の正のバイアス電圧を印加するか、前記被処理物12に、例えば-2kV以上、-800V以下の負のバイアス電圧を印加しても良い。このような構成であれば、ケーシング80の内面81からの黒体輻射によって被処理物12を加熱することができ、被処理物12の広範囲を均一に加熱することができ、均質なプラズマ処理が可能になる。
かかる構成においては、ケーシング80と、例えば真空チャンバ11の上壁111や蓋体23との間の異常放電が懸念される。従って、この放電を防ぐべく、ここでは、ケーシング80の外面82には例えばアルマイト処理等により形成した絶縁体90を設けるとともに、ケーシング80及び絶縁体90は、真空チャンバ11の上壁111から離れて配置されている。なお、ケーシング80が上壁111から離れて配置されるべく、ケーシング80は、ケーシング80と上壁111との間に介在する中間部材に接続されていてもよい。
なお、ケーシング80の内面81には必ずしもDLC膜が形成されている必要はなく、例えば予め黒色の塗料を塗布したり、黒色のケーシングを用いたりしても良い。
さらに、図7に示した誘導結合型アンテナユニット200では、ケーシング80は、被処理物12を加熱する加熱ヒータを収容しない構成になっているが、ケーシング80が、当該加熱ヒータを収容する構成としてもよい。このような構成であれば、加熱ヒータの温度調整により被処理物12が直接的に加熱されるので、被処理物12を所望の温度範囲に速やかに応答性良く加熱することができる。また、ケーシング80の内面81が加熱ヒータにより直接加熱されるので、応答性よく被処理物12を均一に加熱することができる。
前記実施形態では、高周波電力として周波数13.56MHzの高周波を用いたが、これに特定されるものではなく、周波数30kHz~30MHzの高周波電力を適用することができる。
アンテナユニット200の装着は、真空チャンバ11の上壁111に特定されるものではなく、プラズマ処理装置100の形態によって、例えば真空チャンバ11の側壁或いは下壁に装着してもよい。なお、真空チャンバ11の側壁にアンテナユニット200を装着する場合は、被処理物12を上下方向(鉛直方向)に沿って搬送させながらプラズマ処理することができる。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
11・・真空チャンバ、111・・上壁、112・・開口部、12・・被処理物、100・・プラズマ処理装置、21・・アンテナ導体、23・・蓋体、Z1・・給電端子、Z2・・接地端子、200・・ICPアンテナユニット、25・・石英板、30・・高周波電源、40・・整合器

Claims (11)

  1. 真空チャンバの壁面に設けられた開口部に気密を保持して装着される誘導結合型アンテナユニットであって、
    気密を保持して前記開口部を覆う蓋体と、
    枠状をなす1又は複数の誘導結合型アンテナ導体とを有し、
    前記誘導結合型アンテナ導体が、
    前記蓋体の内側面に沿って配置され、長手方向の一辺の中央部が給電端子に接続された給電側アンテナ導体と、
    当該給電側アンテナ導体に対向して前記蓋体の内面に沿って配置され、中央部が接地端子に接続されている接地側アンテナ導体とを有することを特徴とする誘導結合型アンテナユニット。
  2. 前記誘導結合型アンテナ導体が、1本の金属パイプを折り曲げて構成された長方形枠体であって、
    前記誘導結合型アンテナ導体の接地側の一方の端部から他方の端部へと冷却媒体を流通可能であることを特徴とする請求項1に記載の誘導結合型アンテナユニット。
  3. 前記誘導結合型アンテナ導体が、誘電体管又は誘電体材料で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  4. 前記給電側アンテナ導体と前記接地側アンテナ導体との間隔が、長手方向中央部と長手方向両端部とで異なることを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  5. 前記誘導結合型アンテナ導体の長辺の長さと短辺の長さとの比が、50:1~10:1であることを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  6. 前記誘導結合型アンテナ導体の断面が、円形、楕円形、又は多角形であることを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  7. 前記誘導結合型アンテナ導体が、前記蓋体の内側面に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  8. 前記蓋体が、前記開口部を覆う金属平板と、前記誘導結合型アンテナ導体を皮覆する誘電体部材とを有することを特徴とする請求項1記載の誘導結合型アンテナユニット。
  9. 前記真空チャンバの壁に設けた1又は複数の開口に、請求項1記載の誘導結合型アンテナユニットが装着されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
  10. 前記真空チャンバ内のプラズマ生成領域を取り囲むとともに、前記真空チャンバ内の被処理物を向く開口が形成されたケーシングをさらに備え、
    前記ケーシングの内面からの黒体輻射により、前記被処理物を加熱することを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理装置。
  11. 前記ケーシングの内面にDLC膜が形成されていることを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置。
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