JP2024062599A - 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物 - Google Patents

偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP2024062599A
JP2024062599A JP2022170551A JP2022170551A JP2024062599A JP 2024062599 A JP2024062599 A JP 2024062599A JP 2022170551 A JP2022170551 A JP 2022170551A JP 2022170551 A JP2022170551 A JP 2022170551A JP 2024062599 A JP2024062599 A JP 2024062599A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared absorbing
resin
absorbing particles
organic
counterfeiting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022170551A
Other languages
English (en)
Inventor
武 長南
敦 猪狩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2022170551A priority Critical patent/JP2024062599A/ja
Priority to PCT/JP2023/038098 priority patent/WO2024090360A1/ja
Publication of JP2024062599A publication Critical patent/JP2024062599A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M3/00Printing processes to produce particular kinds of printed work, e.g. patterns
    • B41M3/14Security printing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09CTREATMENT OF INORGANIC MATERIALS, OTHER THAN FIBROUS FILLERS, TO ENHANCE THEIR PIGMENTING OR FILLING PROPERTIES ; PREPARATION OF CARBON BLACK  ; PREPARATION OF INORGANIC MATERIALS WHICH ARE NO SINGLE CHEMICAL COMPOUNDS AND WHICH ARE MAINLY USED AS PIGMENTS OR FILLERS
    • C09C1/00Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09CTREATMENT OF INORGANIC MATERIALS, OTHER THAN FIBROUS FILLERS, TO ENHANCE THEIR PIGMENTING OR FILLING PROPERTIES ; PREPARATION OF CARBON BLACK  ; PREPARATION OF INORGANIC MATERIALS WHICH ARE NO SINGLE CHEMICAL COMPOUNDS AND WHICH ARE MAINLY USED AS PIGMENTS OR FILLERS
    • C09C3/00Treatment in general of inorganic materials, other than fibrous fillers, to enhance their pigmenting or filling properties
    • C09C3/10Treatment with macromolecular organic compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/02Printing inks
    • C09D11/03Printing inks characterised by features other than the chemical nature of the binder
    • C09D11/037Printing inks characterised by features other than the chemical nature of the binder characterised by the pigment

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Printing Methods (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性とを備えた偽造防止インク用組成物を提供すること。【解決手段】有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子と、液状媒体と、を含み、前記有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子が、15質量%以上55質量%以下の赤外線吸収粒子と、前記赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂とを有する偽造防止インク用組成物。【選択図】図2

Description

本発明は、偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物に関する。
従来から、預貯金の通帳や身分証明書、クレジットカード、キャッシュカード、小切手、航空券、道路通行券、乗車券、プリペードカード、商品券、証券等の有価印刷物について、偽造を防止する方法が検討されてきた。そして、有価印刷物について偽造を防止する方法として、その基材や印刷方法に特殊な工夫を施すことが行われてきた。
偽造を防止するために、例えば、潜像印刷(特許文献1参照)や、バーコードに代表される幾何学形状印刷を用いたデジタル処理化等が行われている。しかし、バーコード印刷はコピー等で簡単に偽造が可能である。また、潜像印刷は、人の目等による確認という曖昧な要素が加わるため、偽造防止効果が低く汎用的ではない。
上記以外の偽造防止方法として、波長300~780nmの可視光領域の吸収が少なく、且つ、波長800~2400nmの近赤外線を吸収する印刷インクを利用して、印刷物の真贋情報を検出する方法が提案されている。例えば、可視光領域に吸収の少ない近赤外線吸収材料とバインダー樹脂を混合したインクで印刷したものは、その印刷面に赤外線レーザーを照射すると特定波長のみ吸収されるため、反射若しくは透過光を読み取ることで真贋の判定が可能となる。
このような近赤外線を吸収する印刷インクとして、フタロシアニン系化合物を用いたセキュリティインキが提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、近赤外線吸収材料であるフタロシアニン系化合物は、その吸収特性が温度や紫外線等の影響によって低減するため、耐候性に劣るという欠点があった。
一方、YやLa等の6ホウ化物微粒子、酸化ルテニウム微粒子等を含む分散膜が、太陽光線の近赤外線を吸収し、断熱する日射吸収膜として知られており、これを偽造防止インクに応用する発想が提案されている(特許文献3参照)。しかし、当該日射吸収膜を偽造防止インクに応用した場合、塗布した際に光を透過または反射する波長領域と、光を吸収する波長領域とにおいて、光の透過または反射に対する光の吸収のコントラストが十分でない場合があった。このため、用途によっては偽造防止インクとして使用した際の読み取り精度などが低下することがあった。
本出願人は、従来の材料よりも可視光領域における透過または反射に対する近赤外領域の吸収のコントラストが高く、しかも耐候性に優れている、複合タングステン酸化物微粒子を含む偽造防止インクを開示した(特許文献4参照)。しかしながら、本発明の発明者らの検討によれば、特許文献4に記載の赤外線吸収粒子の耐薬品特性が十分でないが故に、偽造防止インクや偽造防止用印刷物が高温の酸またはアルカリ等の薬品環境下に晒されると赤外線吸収特性が低下することが明らかとなった。
そこで本出願人は、耐薬品性に優れる偽造防止インク用組成物、偽造防止インク、偽造防止用印刷物を開示した(特許文献5参照)。本発明の発明者らの検討によれば、特許文献5に記載の赤外線吸収粒子の耐薬品特性は十分であるが、赤外線吸収特性に改善の余地があることが明らかとなった。
特開平05-338388号公報 特開平04-320466号公報 特開2004-168842号公報 特開2015-117353号公報 特開2020-196850号公報
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、本発明の一側面では、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性とを備えた偽造防止インク用組成物を提供することを目的とする。
本発明の一側面では、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子と、液状媒体と、を含み、
前記有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子が、15質量%以上55質量%以下の赤外線吸収粒子と、前記赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂とを有する偽造防止インク用組成物を提供する。
本発明の一側面では、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性とを備えた偽造防止インク用組成物を提供することができる。
図1は、複合タングステン酸化物の六方晶の結晶構造の説明図である。 図2は、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の断面模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
[偽造防止インク用組成物]
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子と、液状媒体と、を含むことができる。
有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、赤外線吸収粒子と、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂とを有することができる。有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、赤外線吸収粒子の含有割合を15質量%以上55質量%以下にできる。
既述のように、偽造防止インク等に赤外線吸収粒子が用いられていたが、耐薬品特性が十分ではない場合があった。
そこで、本発明の発明者らは、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性とを備えた赤外線吸収粒子とするための方法について、鋭意検討を行った。
その結果、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に直接樹脂等の有機材料を配置し、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子とすることに着目した。さらに、従来は特に困難であった、赤外線吸収粒子の含有割合が15質量%以上55質量%以下の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子とすることで、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性が両立することを見出した。そして、係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を用いることで、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性を有する偽造防止インク用組成物や、偽造防止用印刷物にできることを見出し、本発明を完成させた。
赤外線吸収粒子は通常無機材料であり、その表面の少なくとも一部に樹脂等の有機材料を配置することは困難であった。このため、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子や、その製造方法は知られていなかった。特に、上述のように赤外線吸収粒子の含有割合の高い有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法は知られていなかった。そこで、本発明の発明者らは検討を行い、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に有機材料を配置した、赤外線吸収粒子の含有割合の高い有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子や、その製造方法を見出した。
そこでまず、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法、および有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子について説明する。
1.有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法
有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法は、例えば以下の分散液調製工程と、分散媒低減工程と、原料混合液調製工程と、攪拌工程と、重合工程と、を有することができる。
分散液調製工程では、赤外線吸収粒子と、分散剤と、分散媒とを含む分散液を調製できる。
分散媒低減工程では、分散液から分散媒を蒸発させることができる。
原料混合液調製工程では、分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子と、被覆用樹脂原料と、有機溶媒と、乳化剤と、水と、重合開始剤とを混合し、原料混合液を調製できる。
攪拌工程では、原料混合液を冷却しつつ、攪拌できる。
重合工程では、原料混合液中の酸素量を低減する脱酸素処理を行った後、被覆用樹脂原料の重合反応を行うことができる。
以下、各工程について説明する。
(1)分散液調製工程
分散液調製工程では、赤外線吸収粒子と、分散剤と、分散媒とを含む分散液を調製することができる。
分散液調製工程で分散液を調製する際に好適に用いることができる各材料について説明する。
(a)赤外線吸収粒子
(組成等について)
分散液調製工程においては、赤外線吸収粒子として、耐薬品特性、例えば耐酸性や耐アルカリ性を高めることが求められる各種赤外線吸収粒子を用いることができる。赤外線吸収粒子としては、例えば自由電子を含有する各種材料を含む赤外線吸収粒子を用いることが好ましく、自由電子を含有する各種無機材料を含む赤外線吸収粒子をより好ましく用いることができる。
赤外線吸収粒子としては、酸素欠損を有するタングステン酸化物、複合タングステン酸化物から選択された1種類以上を含む赤外線吸収粒子を特に好ましく用いることができる。この場合、具体的には、赤外線吸収粒子は、例えば一般式W(W:タングステン、O:酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物、および一般式M(元素MはH、He、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択された1種類以上、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y<4.0)で表される複合タングステン酸化物から選択された1種類以上を含有することが好ましい。
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nmから2600nmの太陽光線の領域周辺の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このため、自由電子を含む各種材料を、赤外線吸収粒子として好適に用いることができる。赤外線吸収粒子は、例えば光の波長より小さい粒子にすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱を低減することができ、可視光領域について特に高い透明性を得ることができるため好ましい。
なお、本明細書において「透明性」とは、「可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高い。」という意味で用いている。
一般に、タングステン酸化物(WO)中には有効な自由電子が存在しない為、赤外領域の吸収反射特性が少なく、赤外線吸収粒子としては有効ではない。
一方、酸素欠損をもつWOや、WOにNa等の陽性元素を添加した複合タングステン酸化物は、導電性材料であり、自由電子をもつ材料であることが知られている。そして、これらの自由電子をもつ材料の単結晶等の分析により、赤外領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。
本発明の発明者らの検討によれば、当該タングステンと酸素との組成範囲の特定部分において、赤外線吸収材料として特に有効な範囲がある。そして、タングステンと酸素との組成を赤外線吸収材料として特に有効な特定の範囲内とすることで、可視光領域においては透明で、赤外領域においては特に強い吸収をもつタングステン酸化物、複合タングステン酸化物とすることができる。
そこで、分散液調製工程で好適に用いることができる赤外線吸収粒子の材料の一種である、タングステン酸化物、複合タングステン酸化物について以下にさらに説明する。
(a1)タングステン酸化物
タングステン酸化物は、一般式W(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記される。
一般式Wで表記されるタングステン酸化物において、当該タングステンと酸素との組成範囲は、タングステンに対する酸素の組成比(z/y)が3未満であることが好ましく、2.2≦z/y≦2.999であることがより好ましい。特に2.45≦z/y≦2.999であることがさらに好ましい。
上記z/yの値が2.2以上であれば、当該タングステン酸化物中に目的としないWOの結晶相が現れるのを回避することができると共に、材料としての化学的安定性を得ることができるので特に有効な赤外線吸収粒子となる。
また、当該z/yの値を好ましくは3未満、より好ましくは2.999以下とすることで、赤外領域の吸収反射特性を高めるために特に十分な量の自由電子が生成され効率のよい赤外線吸収粒子とすることができる。
また、2.45≦z/y≦2.999で表される組成比を有する、いわゆる「マグネリ相」は化学的に安定であり、近赤外領域の光の吸収特性も優れるので、赤外線吸収材料としてより好ましく用いることができる。このため、上記z/yは既述の様に2.45≦z/y≦2.999であることがさらに好ましい。
(a2)複合タングステン酸化物
複合タングステン酸化物は、上述したWOへ、後述する元素Mを添加したものである。
元素Mを添加し、複合タングステン酸化物とすることで、WO中に自由電子が生成され、特に近赤外領域に自由電子由来の強い吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線を吸収する赤外線吸収粒子として有効となる。
すなわち、当該WOに対し、酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用した複合タングステン酸化物とすることで、より効率の良い赤外線吸収特性を発揮することができる。WOに対して酸素量の制御と、自由電子を生成する元素Mの添加とを併用した複合タングステン酸化物の一般式をMと記載したとき、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y<4.0の関係を満たすことが好ましい。上記一般式中のMは、既述の元素Mを示し、Wはタングステン、Oは酸素をそれぞれ示す。
上述のように元素Mの添加量を示すx/yの値が0.001以上の場合、複合タングステン酸化物において特に十分な量の自由電子が生成され、高い赤外線吸収効果を得ることができる。そして、元素Mの添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線吸収効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1以下の場合、当該複合タングステン酸化物を含む赤外線吸収粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
なお、元素Mは、H、He、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択された1種類以上であることが好ましい。
における安定性を特に高める観点から、元素Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reのうちから選択された1種類以上の元素であることがより好ましい。そして、該複合タングステン酸化物を含む赤外線吸収粒子としての光学特性、耐候性を向上させる観点から、元素Mは、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、4B族元素、5B族元素から選択された1種類以上の元素であることがさらに好ましい。
酸素の添加量を示すz/yの値については、Mで表記される複合タングステン酸化物においても、上述したWで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働く。ただし、複合タングステン酸化物においてはさらに、z/y=3.0や、酸素の添加量が3.0を超えて過剰な場合においても、上述した元素Mの添加量による自由電子の供給がある。このため、2.0≦z/y<4.0が好ましく、2.2≦z/y≦3.8がより好ましく、2.45≦z/y<3.6がさらに好ましい。
さらに、当該複合タングステン酸化物が六方晶の結晶構造を有する場合、当該複合タングステン酸化物を含む赤外線吸収粒子の可視光領域の光の透過が向上し、赤外領域の光の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。
図1は、六方晶構造を有する複合タングステン酸化物の結晶構造を(001)方向から見た場合の投影図を示しており、点線で単位格子10を示している。
図1において、WO単位にて形成される8面体11が6個集合して六角形の空隙12が構成され、当該空隙12中に、元素Mである元素121を配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
そして、可視光領域における光の透過を向上させ、赤外領域における光の吸収を向上させるためには、複合タングステン酸化物中に、図1を用いて説明した単位構造が含まれていれば良い。このため、当該複合タングステン酸化物が結晶質であっても、非晶質であっても構わない。
上述の六角形の空隙に元素Mの陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域における光の透過が向上し、赤外領域における光の吸収が向上する。ここで一般的には、イオン半径の大きな元素Mを添加したとき当該六方晶が形成され易い。具体的には、元素Mとして、Cs、K、Rb、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snから選択された1種類以上を添加したとき六方晶が形成され易い。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙に上述した元素Mが存在すれば良く、上述の元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物が均一な結晶構造を有するため、元素Mの添加量は、既述の一般式におけるx/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、0.33がさらに好ましい。x/yの値が0.33となることで、上述した元素Mが六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外であって、正方晶、立方晶の複合タングステン酸化物を含む赤外線吸収粒子も十分に有効な赤外線吸収特性を有する。結晶構造によって、赤外領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光領域の光の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順である。従って、より可視光領域の光を透過し、より赤外領域の光を遮蔽する用途には、六方晶の複合タングステン酸化物を用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
タングステン酸化物や複合タングステン酸化物を含有する赤外線吸収粒子は、近赤外領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
(分散粒子径)
赤外線吸収粒子の分散粒子径は特に限定されず、その使用目的等によって、選定することができる。
まず、透明性を保持したい応用に使用する場合、赤外線吸収粒子は、800nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。これは、分散粒子径が800nm以下の粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱の低減を考慮することが好ましい。
粒子による散乱の低減を重視する場合、分散粒子径は200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。これは、粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長380nm以上780nm以下の可視光領域の光の散乱が低減されるためである。そして、粒子の分散粒子径を小さくし、上記可視光領域の光の散乱が低減される結果、例えば赤外線吸収粒子を分散した赤外線吸収膜が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。すなわち、分散粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。
さらに分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましい。
赤外線吸収粒子の分散粒子径の下限値は特に限定されないが、例えば工業的に容易に製造することができるため、分散粒子径は1nm以上であることが好ましい。
赤外線吸収粒子の分散粒子径を800nm以下とすることにより、該赤外線吸収粒子を媒体中に分散させた赤外線吸収粒子分散体のヘイズ値は、可視光透過率85%以下でヘイズ30%以下とすることができる。ヘイズを30%以下とすることで、赤外線吸収粒子分散体が曇りガラスのようになることを防止し、特に鮮明な透明性を得ることができる。
なお、赤外線吸収粒子の分散粒子径は、動的光散乱法を原理とした大塚電子株式会社製ELS-8000等を用いて測定することができる。
(結晶子径)
また、優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、赤外線吸収粒子の結晶子径は1nm以上200nm以下であることが好ましく、1nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることがさらに好ましい。結晶子径の測定には、粉末X線回折法(θ-2θ法)によるX線回折パターンの測定と、リートベルト法による解析を用いることができる。X線回折パターンの測定には、例えばスペクトリス株式会社PANalytical製の粉末X線回折装置「X'Pert-PRO/MPD」などを用いて行うことができる。
(b)分散剤
分散剤は、赤外線吸収粒子の表面を疎水化処理する目的で用いられる。分散剤は、赤外線吸収粒子、分散媒、被覆用樹脂原料等の組み合わせである分散系に合わせて選定可能である。中でも、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基、エポキシ基から選択された1種類以上を官能基として有する分散剤を好適に用いることができる。赤外線吸収粒子がタングステン酸化物や複合タングステン酸化物である場合は、分散剤は、アミノ基を官能基として有することがより好ましい。
分散剤は、上述のように官能基としてアミノ基を有する、すなわちアミン化合物であることがより好ましい。また、アミン化合物は、三級アミンであることがさらに好ましい。
また、分散剤は赤外線吸収粒子の表面を疎水化処理する目的で用いられるので、高分子材料であることが好ましい。このため、分散剤は、例えば長鎖アルキル基およびベンゼン環から選択された1種類以上を有するものが好ましく、被覆用樹脂原料でも使用可能なスチレンと三級アミンであるメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルの共重合体を有する高分子分散剤等をより好ましく用いることができる。長鎖アルキル基は、炭素数8以上のものであることが好ましい。なお、例えば、高分子材料であり、かつアミン化合物である分散剤を用いることもできる。
分散剤の添加量は特に限定されず、任意に選択できる。分散剤の好適な添加量は、分散剤や赤外線吸収粒子の種類および赤外線吸収粒子の比表面積などに応じて選択できる。例えば、分散剤の添加量を赤外線吸収粒子100質量部に対して10質量部以上500質量部以下とすれば、特に良好な分散状態の分散液を調製しやすいため好ましい。分散剤の添加量は、10質量部以上100質量部以下とするのがより好ましく、20質量部以上50質量部以下とするのがさらに好ましい。
(c)分散媒
分散媒は、既述の赤外線吸収粒子、および分散剤を分散し、分散液とすることができるものであれば良く、例えば各種有機化合物を用いることができる。
分散媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類から選択された1種類以上を好適に用いることができる。
分散液調製工程では、赤外線吸収粒子と、分散剤と、分散媒とを混合することで分散液を調製することができるが、赤外線吸収粒子の分散粒子径を低下させ、分散液内に均一に分散させるため、混合時にあわせて赤外線吸収粒子の粉砕処理を行うことが好ましい。
赤外線吸収粒子と、分散剤と、分散媒とを混合、粉砕する際に用いる混合手段としては特に限定されないが、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等から選択された1種類以上を用いることができる。特に混合手段としては、ビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いた、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルを用いることがより好ましい。これは、媒体攪拌ミルを用いることで、赤外線吸収粒子について、特に短時間で所望の分散粒子径とすることができ、生産性や、不純物の混入を抑制する観点から好ましいからである。
(2)分散媒低減工程
分散媒低減工程では、分散液から分散媒を蒸発、乾燥させることができる。
分散媒低減工程では、分散液から分散媒を十分に蒸発させ、赤外線吸収粒子を回収できることが好ましい。
分散媒を蒸発させる具体的な手段は特に限定されないが、例えば、オーブン等の乾燥機や、エバポレーター、真空擂潰機等の真空流動乾燥機、スプレードライ装置等の噴霧乾燥機等を用いることができる。
また、分散媒を蒸発させる程度についても特に限定されないが、例えば分散媒低減工程後に、粉末状の赤外線吸収粒子が得られるように、その含有割合を十分に低減できることが好ましい。
分散媒を蒸発させることで、赤外線吸収粒子の周囲に分散剤が配置され、表面が疎水化処理された赤外線吸収粒子を得ることができる。このため、係る疎水化処理された赤外線吸収粒子と、被覆用樹脂原料が重合した被覆用樹脂との密着性を高めることが可能になり、後述する重合工程等により、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を配置することが可能になる。
(3)原料混合液調製工程
原料混合液調製工程では、分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子と、被覆用樹脂原料と、有機溶媒と、乳化剤と、水と、重合開始剤とを混合し、原料混合液を調製することができる。
分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子は、その粒子の表面に、分散液調製工程で供給した分散剤が付着し、分散剤含有赤外線吸収粒子となっている場合がある。このため、この様に赤外線吸収粒子に分散剤が付着している場合には、原料混合液調製工程では、赤外線吸収粒子として、分散媒低減工程後に回収した係る分散剤含有赤外線吸収粒子を用いることになる。
以下、原料混合液調製工程で用いる赤外線吸収粒子以外の各材料について説明する。
(a)被覆用樹脂原料
被覆用樹脂原料は、後述する重合工程で重合し、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に配置される被覆用樹脂となる。このため、被覆用樹脂原料としては、重合することにより、所望の被覆用樹脂を形成できる各種モノマー等を選択することができる。
重合後の被覆用樹脂としては特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂等から選択された1種類以上の樹脂とすることができる。
なお、熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
光硬化樹脂としては、例えば紫外線、可視光線、赤外線のいずれかの光の照射により硬化する樹脂等を挙げることができる。
被覆用樹脂としては特に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂から選択された1種類以上を含有することが好ましい。なお、上記ポリウレタン樹脂としては熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂のいずれも用いることができる。
また、被覆用樹脂としては、光硬化樹脂も好適に用いることができ、光硬化樹脂は、既述の様に紫外線、可視光線、赤外線のいずれかの光の照射により硬化する樹脂を含有することができる。
中でも、被覆用樹脂としては、ミニエマルション重合法を適用可能な樹脂であることが好ましく、例えばポリスチレン樹脂を含有することがより好ましい。なお、被覆用樹脂がポリスチレン樹脂の場合、被覆用樹脂原料としてはスチレンを用いることができる。
また、架橋剤として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレートなどの多官能ビニルモノマーを添加することもできる。
(b)有機溶媒
有機溶媒についても特に限定されないが、非水溶性のものであれば何でも良く、特に限定されない。中でも、低分子量であるものが好ましく、例えば、ヘキサデカン等の長鎖アルキル化合物、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル等の、アルキル部分が長鎖のメタクリル酸アルキルエステル、セチルアルコール等の高級アルコール、オリーブ油等の油、等から選択された1種類以上が挙げられる。
有機溶媒としては、特に長鎖アルキル化合物がより好ましく、ヘキサデカンがさらに好ましい。
(c)乳化剤
乳化剤、すなわち界面活性剤については、カチオン性のもの、アニオン性のもの、ノニオン性のもの等のいずれでもよく、特に限定されない。
カチオン性の乳化剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
アニオン性の乳化剤としては、酸塩もしくはエステル塩等を挙げることができる。
ノニオン性の乳化剤としては、各種エステル、各種エーテル、各種エステルエーテル、アルカノールアミド等を挙げることができる。
乳化剤としては、例えば上述の材料から選択された1種類以上を用いることができる。
中でも、赤外線吸収粒子が特に容易に有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を形成できるようにする観点から、カチオン性の乳化剤、すなわちカチオン性を示す界面活性剤を用いることが好ましい。
特に、分散剤としてアミン化合物を用いた場合は、乳化剤として、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(DTAC)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)等から選択された1種類以上のカチオン性のものを用いることが好ましい。
また、分散剤としてアミン化合物を用いた場合は、アニオン性の乳化剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いると有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を形成することが困難な場合がある。原料混合液を調製する際、乳化剤は、例えば同時に添加する水に添加し、水溶液として添加することができる。この際、臨界ミセル濃度(CMC)の10倍以上1000倍以下、より好ましくは10倍以上500倍以下、さらに好ましくは10倍以上300倍以下、特に好ましくは10倍以上150倍以下の濃度となるように調整した水溶液として添加することが好ましい。
本発明の発明者らの検討によれば、添加する被覆用樹脂原料に対して、所定の割合の乳化剤を添加し、乳化剤の添加量に応じて十分に攪拌することで、得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子において、赤外線吸収粒子の含有割合を15質量%以上にできる。すなわち、被覆用樹脂原料に対する乳化剤の添加割合や、攪拌条件を選択することで、赤外線吸収粒子の含有割合が15質量%以上の場合においても、樹脂による被覆や、カプセル化を行うことができる。ただし、係る乳化剤の種類等に応じて、これらの条件は変化するため、特に限定されるものではなく、予備試験を行い、適切な条件を選択しておくことが好ましい。
(d)重合開始剤
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、イオン重合開始剤等の各種重合開始剤から選択された1種類以上を用いることができ、特に限定されない。
ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物、ジハロゲン、有機過酸化物等を挙げることができる。また、過酸化水素と鉄(II)塩、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウム等、酸化剤と還元剤を組み合わせたレドックス開始剤も挙げることができる。
イオン重合開始剤としては、n-ブチルリチウム等の求核剤や、プロトン酸やルイス酸、ハロゲン分子、カルボカチオン等の求電子剤等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤としてはカチオン系や、ノニオン系の重合開始剤を用いると効率的に赤外線吸収粒子を被覆することができる。
このため、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を用いる場合、カチオン系の重合開始剤や、ノニオン系の重合開始剤等から選択された1種類以上を好適に用いることができる。
ノニオン系の重合開始剤としては、油溶性のノニオン系重合開始剤、および水溶性のノニオン系重合開始剤が挙げられる。
油溶性のノニオン系重合開始剤としては、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、(ジメチル1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレート)、ジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]等が挙げられる。
水溶性のノニオン系重合開始剤としては、4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等が挙げられる。
カチオン系重合開始剤としては、pHに依存せずに常に安定的なカチオン性を示す2,2'-アゾビス-(2-(1,3-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-3-イウム-2-イル))プロパン トリフタレート(ADIP)およびそのカウンターアニオンを塩化物イオンに交換したADIP-Cl、ならびに水中環境で酸性から中性領域でプロトン化し、カチオン性を示す2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩・二水和物、2,2'-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]四水和物等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤としては、カチオン系の重合開始剤をより好適に用いることができる。
ラジカル重合開始剤として、カチオン系重合開始剤を用いた場合、得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子において、赤外線吸収粒子の表面を樹脂により特に均一に被覆できる。上記効果は、重合で生じるポリマーマトリクスと赤外線吸収粒子との間の親和性に基づくものと考えられる。カチオン系、すなわちカチオン性を示す重合開始剤を用いた場合、末端にカチオン部位を有するオリゴマーあるいはポリマーが静電気相互作用により赤外線吸収粒子表面に吸着(グラフト化)することでポリマーマトリクスとの親和性が向上し、ポリマーマトリクスと赤外線吸収粒子との間の親和性が高くなると考えられる。これに対して、ノニオン系、すなわちノニオン性を示す重合開始剤を用いた場合、静電気的な相互作用がカチオン系の重合開始剤を用いた場合と比較して小さく、ポリマーマトリクスと赤外線吸収粒子との間の親和性は相対的に低くなると考えられる。それゆえ、ノニオン性の重合開始剤使用時に比べて、カチオン性の重合開始剤使用時では被覆用樹脂が赤外線吸収粒子をより均一に被覆することができると考えられる。
本発明の発明者らの検討によれば、乳化剤と重合開始剤との選択、組み合わせによって、赤外線吸収粒子を被覆する際、赤外線吸収粒子を被覆する樹脂の均一性に影響を与える場合がある。具体的には、乳化剤と重合開始剤との選択、組み合わせによって、例えば赤外線吸収粒子を均一に被覆できる場合や、赤外線吸収粒子が偏って被覆される場合等もある。このため、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子に要求される特性等に応じて、乳化剤と、重合開始剤との組み合わせを選択することが好ましい。
原料混合液を調製する際、重合開始剤はその種類に応じて、有機相、または水相に添加することができる。例えば2,2'-アゾビスイソブチロニトリルを用いる場合は有機相に添加できる。また、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を用いる場合は水相に添加することができる。
原料混合液調製工程では、分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子と、被覆用樹脂原料と、有機溶媒と、乳化剤と、水と、重合開始剤とを混合し、原料混合液を調製できればよい。このため、原料混合液の調製手順等は特に限定されないが、例えば、予め水相として、乳化剤を含む混合液を調製しておくことができる。また、有機相として、有機溶媒に被覆用樹脂原料、および分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子を分散した混合液を調製しておくことができる。
なお、重合開始剤は、上述のように用いる重合開始剤の種類に応じて水相または有機相に添加しておくことができる。
そして、水相に有機相を添加、混合することで、原料混合液を調製することができる。
なお、原料混合液調製工程では、得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子について、赤外線吸収粒子の含有割合が15質量%以上55質量%以下となるように、原料を混合することが好ましい。
赤外線吸収粒子の表面により均一に被覆用樹脂を配置することができるように、水相に有機相を添加した後、十分に攪拌を行うことが好ましい。すなわち、原料混合液調製工程は、分散媒低減工程後に回収した赤外線吸収粒子と、被覆用樹脂原料と、有機溶媒と、乳化剤と、水と、重合開始剤とを混合する混合ステップに加えて、得られた混合液を攪拌する攪拌ステップをさらに有することが好ましい。
攪拌ステップでは、例えばスターラーを用いて攪拌を行うことができる。攪拌ステップを実施する場合、攪拌する程度は特に限定されないが、例えば、被覆用樹脂原料に内包した赤外線吸収粒子が水相に分散した水中油滴が形成されるように攪拌を実施することが好ましい。なお、攪拌ステップは実施せず、後述する攪拌工程であわせて実施してもよい。
重合開始剤の添加量は特に限定されず、任意に選択できる。重合開始剤の添加量は、被覆用樹脂原料や重合開始剤の種類、ミニエマルションである油滴の大きさ、被覆用樹脂原料と赤外線吸収粒子の比などに応じて選択できる。例えば、重合開始剤の添加量を被覆用樹脂原料に対して0.01mol%以上1000mol%以下とすれば、赤外線吸収粒子を被覆用樹脂で十分に覆った有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を得られやすいため、好ましい。重合開始剤の添加量は、被覆用樹脂原料に対して0.1mol%以上200mol%以下とするのがより好ましく、0.2mol%以上100mol%以下とするのがさらに好ましい。
(4)攪拌工程
攪拌工程では、原料混合液調製工程で得られた原料混合液を冷却しつつ、攪拌することができる。
攪拌工程において攪拌する程度については特に限定されるものではなく、任意に選択できる。例えば、赤外線吸収粒子を内包した被覆用樹脂原料が水相に分散したO/W型のエマルションである水中油滴の大きさが所定のサイズのミニエマルションとなるように攪拌を行うことが好ましい。
ミニエマルションは、有機相に、水にほとんど溶解しない物質、すなわちハイドロフォーブを添加し、強剪断力をかけることにより得られる。ハイドロフォーブとしては、例えば既述の原料混合液調製工程で既述の有機溶媒を挙げることができる。
攪拌工程では、得られるミニエマルションについて、目的とする有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子に対応した粒度特性を有するように攪拌することが好ましい。
攪拌工程において、具体的には例えば、ミニエマルションが動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークを有するように攪拌を行うことが好ましい。すなわち、攪拌工程においては、得られるミニエマルションについての上記粒度分布が、2つ以上の複数のピークを有しないことが好ましい。攪拌工程で得られるミニエマルションの粒度分布が1つのピークにより表される場合、該ミニエマルションを用いて製造した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子について、分散媒等の各種媒体への分散性に優れる。このため、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を用いて、赤外線吸収粒子分散液や、赤外線吸収粒子分散体、偽造防止インク用組成物等(以下、「赤外線吸収粒子分散液等」とも記載する)を容易に形成できる。また、得られた赤外線吸収粒子分散液等の赤外線吸収特性を特に高めることができる。
攪拌工程で得られるミニエマルションは、動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、メジアン径であるD50が1μm以下であり、標準偏差が500以下であることが好ましい。
D50を1μm以下とすることで、該ミニエマルションを用いて製造した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を、赤外線吸収粒子分散液等とする際の分散性を特に高めることができる。また、標準偏差を500以下とすることで、該ミニエマルションを用いて製造した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の粒度分布の拡がりを特に抑制できる。このため、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を用いて、赤外線吸収粒子分散液等とした場合に、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を、該赤外線吸収粒子分散液等へ均一に分散し易くでき、赤外線吸収特性を特に高めることが可能になる。
上記D50は、800nm以下であることがより好ましく、500nm以下とすることがさらに好ましい。D50の下限値は特に限定されないが、十分な量の赤外線吸収粒子を内包する観点から、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましく、150nm以上であることが特に好ましい。
上記標準偏差は、400以下であることがより好ましく、300以下であることがさらに好ましく、250以下であることが特に好ましい。上記標準偏差の下限値は特に限定されないが、例えば20以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。上記標準偏差を20以上とすることで、ミニエマルションの生産性を高められる。
攪拌工程において、上記粒度特性を備えたミニエマルションとするための具体的な条件は特に限定されない。例えば乳化剤等の種類や、添加量等に応じて、原料混合液に対して、適切な攪拌力を加えられるように、容量や邪魔板の有無等の攪拌槽の条件や、攪拌動力、用いる攪拌手段の種類等の攪拌条件を選択できる。なお、攪拌工程は攪拌条件を変えながら複数回に分けて実施することもできる。また、攪拌工程は予備試験を行い、適切な条件を選択しておくことが好ましい。
攪拌工程においては、上述のように原料混合液の冷却を行いながら攪拌を行うことが好ましい。これは原料混合液を冷却することで、重合反応が進行することを抑制しつつ、ミニエマルションを形成できるからである。
なお、原料混合液を冷却する程度は特に限定されないが、例えば氷浴等により、0℃以下の冷媒を用いて冷却することが好ましい。
(5)重合工程
重合工程では、原料混合液中の酸素量を低減する脱酸素処理を行った後、被覆用樹脂原料の重合反応を行うことができる。
重合工程では、被覆用樹脂原料の重合を行い、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂を配置することができる。この際、重合工程により、樹脂カプセル中に赤外線吸収粒子を配置した、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子とすることが好ましい。
重合工程における条件は特に限定されないが、重合を開始する前に原料混合液内の酸素量を低減する脱酸素処理を行うことができる。脱酸素処理の具体的な方法は特に限定されないが、超音波照射を行う方法や、原料混合液に不活性気体を吹き込む方法等が挙げられる。
そして、重合反応を実施する際の具体的な条件は、原料混合液に添加した被覆用樹脂原料等に応じて任意に選択することができるため、特に限定されないが、例えば原料混合液を加熱したり、所定の波長の光を照射等することで、重合反応を進行させることができる。
以上に説明した本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法によれば、従来は困難であった、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に樹脂等の有機材料を配置し、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を得ることができる。このため、高温の酸またはアルカリ等の薬品の環境下に晒したとしても、赤外線吸収粒子が直接酸またはアルカリ等の薬品成分と接することを抑制でき、耐薬品特性に優れ、赤外線吸収特性が低下することを抑制することができる。
また、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法によれば、従来は特に困難であった赤外線吸収粒子の含有割合が15質量%以上と高い有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を製造できる。このため、耐薬品特性に加えて、赤外線遮蔽特性にも優れた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を得ることができる。
2.有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子
有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子について説明する。有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、赤外線吸収粒子と、該赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂とを有することができる。なお、被覆用樹脂は樹脂カプセルとなり、赤外線吸収粒子は該樹脂カプセル中に配置されていることがより好ましい。すなわち、赤外線吸収粒子は、その表面全体が被覆用樹脂により覆われていることがより好ましい。有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、例えば既述の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法により製造することができる。このため、既に説明した事項の一部については説明を省略する。
従来は困難であった、赤外線吸収粒子の表面に、その表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂を配置することにより、高温の酸またはアルカリ等の薬品の環境下に晒した場合でも、赤外線吸収粒子が直接酸またはアルカリ等の薬品成分と接することを抑制できる。このため、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子によれば、耐薬品特性に優れ、赤外線吸収特性が低下することを抑制することができる。
従来、赤外線吸収粒子の表面に樹脂等の有機材料を配置することは困難であり、特に赤外線吸収粒子の含有割合を高めることについては検討がなされていなかった。これに対して、本発明の発明者らは検討を行い、赤外線吸収粒子の含有割合を所定割合以上の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子とすることで、耐薬品特性と、赤外線遮蔽特性とを両立した赤外線遮蔽材料にできることを見出した。
図2に本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子20の断面模式図を示す。図2に示すように、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子20は、赤外線吸収粒子21の表面の少なくとも一部に被覆用樹脂22が配置されている。
なお、特に図2に示すように、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子20は、被覆用樹脂22により形成された樹脂カプセル221中に赤外線吸収粒子21が配置された構成を有することが好ましい。図2に示すように、赤外線吸収粒子21は、1つの樹脂カプセル221内に複数個配置されていても良く、1個のみ配置されていても良い。また、赤外線吸収粒子21は、樹脂カプセル221内に偏在して存在していても良いが、分散されていることが好ましい。
赤外線吸収粒子21は、少なくとも一部が樹脂カプセル221により被覆されていればよく、一部の赤外線吸収粒子21は樹脂カプセル221から外表面に露出していても良い。ただし、赤外線吸収粒子21は、樹脂カプセル221により完全に被覆されている、すなわち樹脂カプセル221に内包されていることが好ましい。これは、赤外線吸収粒子21が樹脂カプセル221により完全に被覆されていることで、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子が各種薬品成分と接した場合でも、赤外線吸収粒子21が、薬品と接することをより確実に防止し、耐薬品性を特に高められるからである。
なお、図2に示した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子20は説明のために模式的に示したに過ぎず、本実施形態の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、係る形態に限定されない。例えば、赤外線吸収粒子21の形状や、サイズ、配置、分布、被覆用樹脂22の形状、配置等は、係る形態に限定されない。
(1)有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子が有する各部材について
(1-1)赤外線吸収粒子
赤外線吸収粒子については、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法において既に説明したため、説明を省略する。有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子としては、例えば自由電子を含有する各種材料を含む赤外線吸収粒子を用いることが好ましく、自由電子を含有する各種無機材料を含む赤外線吸収粒子をより好ましく用いることができる。
赤外線吸収粒子は、酸素欠損を有するタングステン酸化物、複合タングステン酸化物から選択された1種類以上を含む赤外線吸収粒子を特に好ましく用いることができる。この場合、具体的には、赤外線吸収粒子は、例えば一般式W(W:タングステン、O:酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物、および一般式M(元素MはH、He、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択された1種類以上、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y<4.0)で表される複合タングステン酸化物から選択された1種類以上を含有することが好ましい。
有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、赤外線吸収粒子の含有割合を15質量%以上55質量%以下にできる。赤外線吸収粒子の含有割合を15質量%以上とすることで、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含む偽造防止インク用組成物について優れた赤外線吸収特性を発揮できる。また、赤外線吸収粒子の含有割合を55質量%以下とすることで、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を被覆用樹脂により確実に被覆でき、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含む偽造防止インク用組成物について耐薬品特性を高められる。
(1-2)被覆用樹脂
被覆用樹脂についても、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法において既に説明したため、ここでは説明を省略するが、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化樹脂等から選択された1種類以上の樹脂とすることができる。被覆用樹脂としては特に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂から選択された1種類以上を含有することが好ましい。なお、上記ポリウレタン樹脂としては熱可塑性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂のいずれも用いることができる。
また、被覆用樹脂としては、光硬化樹脂も好適に用いることができ、光硬化樹脂は、既述の様に紫外線、可視光線、赤外線のいずれかの光の照射により硬化する樹脂を好適に用いることができる。
中でも、被覆用樹脂としては、ミニエマルション重合法を適用可能な樹脂であることが好ましく、例えばポリスチレン樹脂を含有することがより好ましい。
以上に説明した、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、従来は困難であった、赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部に有機材料である被覆用樹脂を配置している。このため、高温の酸またはアルカリ等の薬品環境下に晒したとしても、赤外線吸収粒子が直接酸またはアルカリ等の薬品成分と接することを抑制できるため、耐薬品特性に優れ、赤外線吸収特性が低下することを抑制することができる。そして、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を用いた偽造防止インク用組成物も耐薬品特性を備えることができる。
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子以外に、さらに任意の成分を含有することもできる。偽造防止インク用組成物は、例えば以下に説明する液状媒体や、分散剤、界面活性剤等を含有することもできる。
3.液状媒体
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、さらに液状媒体を含有することもできる。
本実施形態の偽造防止インク用組成物が液状媒体を含むことで、本実施形態の偽造防止インク用組成物を、印刷基材等に容易に印刷等することが可能になる。液状媒体は、内部に有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含み、分散されていることが好ましい。このため、液状媒体は、分散媒や、溶媒ということもできる。
なお、液状媒体は、本実施形態の偽造防止インク用組成物を印刷等により使用する際に偽造防止インク用組成物に印刷方法に適した流動性を付与できる材料であればよく、特に限定されない。
液状媒体としては特に限定されないが、例えば水、エタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン等のケトン類、3-メチル-メトキシ-プロピオネートなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、フォルムアミドなどのアミド類、クロルベンゼンなどの塩化化合物類、植物油や植物油由来の化合物、石油系溶媒から選択される1種類以上からなる液状媒体を用いることができる。
植物油としては、アマニ油、ヒマワリ油、桐油等の乾性油、ゴマ油、綿実油、菜種油、大豆油、米糠油等の半乾性油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、脱水ヒマシ油等の不乾性油が挙げられる。
植物油由来の化合物としては、植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類などが挙げられる。
石油系溶媒としては、アニリン点の高いアイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル製)などが挙げられる。なお、石油系溶媒としては鉱油等も挙げられる。
液状媒体を添加する場合、該液状媒体は、偽造防止インク用組成物や、該偽造防止インク用組成物を含有する偽造防止インクに要求される特性や、使用目的に応じて選択することが可能であり、特に限定されない。
本実施形態の偽造防止インク用組成物が液状媒体を含有する場合、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を該液状媒体に分散する具体的な方法は特に限定されない。例えば後述する偽造防止インクを調製するため、偽造防止インク用組成物をエネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物に分散する際と同様に、超音波や媒体攪拌ミル等を使用することができる。具体的には例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いることができる。なお、液状媒体中へ有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を分散する際、赤外線吸収粒子の表面に配置した有機材料である被覆用樹脂を剥がさないように分散条件を選択することが好ましい。
4.分散剤、界面活性剤
次に、分散剤、界面活性剤について説明する。
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、分散剤および界面活性剤から選択された1種類以上を含有することができる。分散剤、界面活性剤は、偽造防止インク用組成物内に、既述の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を分散できるものであればよく、特に限定されない。本実施形態の偽造防止インク用組成物が分散剤を含む場合、分散剤として、例えばアミン系の官能基とポリエーテル構造を有する共重合体を含むことができる。アミン系の官能基とポリエーテル構造を有する共重合体としては、例えば、日本ルーブリゾ-ル社製Solsperse(登録商標)20000、日本ビッグケミー社製Disperbyk(登録商標)-161、162、163、182、184、185、楠本化成製Disparon(登録商標)DA-234、DA-325等が挙げられる。また、本実施形態の偽造防止インク用組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤としては、例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロライドを用いることができる。
5.その他の添加成分
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、さらに必要に応じて任意の添加成分を含有することができる。
本実施形態の偽造防止インク用組成物は、例えば着色顔料や、染料等から選択された1種類以上を含有することもできる。
[偽造防止インク]
本実施形態の偽造防止インクは、既述の偽造防止インク用組成物と、エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物と、を含むことができる。
エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物は特に限定されないが、例えば紫外線、可視光線、赤外線のいずれかの光の照射により硬化する樹脂の未硬化物を用いることができる。
エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物は、被印刷基材に塗布する際に液状、すなわち被印刷基材に塗布できる程度の流動性を有していればよい。
エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物へ、偽造防止インク用組成物を分散して偽造防止インクを得る方法は特に限定されない。
エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物へ、偽造防止インク用組成物を分散させる手段(方法)として、超音波を用いる手段や媒体攪拌ミル等が挙げられる。媒体攪拌ミルとしては、媒体メディア(ビーズ、ボール、オタワサンド)を用いるビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等が挙げられる。偽造防止インク用組成物の分散に超音波や媒体攪拌ミル等を用いることで、エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物へ、特に均一に有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子等を分散できるので好ましい。
このため、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子等をエネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物中に分散させる分散処理方法として、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等を用いた分散処理方法が挙げられる。
ただし、媒体攪拌ミルを用いると、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の、エネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物中への分散と同時に、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子同士や媒体メディアの当該粒子への衝突等により微粒子化が進行することもある。そのため、過剰な微粒子化により赤外線吸収粒子の表面に配置した有機材料である被覆用樹脂を剥がさないように攪拌条件を選択することが好ましい。媒体攪拌ミルを用いて分散処理を行う場合、例えば、媒体メディアの径を小さくしたり、粉砕・分散処理の時間を極めて短くしたりすることが好ましい。
また、本実施形態の偽造防止インクは必要に応じてさらに任意の成分を含有することもできる。本実施形態の偽造防止インクは、例えば有機バインダー等をさらに含有することもできる。偽造防止インクが有機バインダーを含有することで、本実施形態の偽造防止インクを塗布、印刷等し、被印刷基材上に印刷部を形成した際に、該印刷部が剥離したり、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子等が脱落したりすることを特に抑制できる。有機バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマール等から選択された1種類以上を好適に用いることができる。
本実施形態の偽造防止インクが含有する有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、既述のように高温の酸またはアルカリ等の薬品環境下に晒したとしても、赤外線吸収粒子が直接酸またはアルカリ等の薬品成分と接することを抑制できる。このため、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子は、耐薬品特性に優れ、赤外線吸収特性が低下することを抑制することができる。そして、該有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含有する本実施形態の偽造防止インクについても、耐薬品特性を備えることができる
[偽造防止用印刷物]
(1)偽造防止用印刷物の構成について
本実施形態の偽造防止用印刷物は、既述の偽造防止インク用組成物を含有する印刷部を備えることができる。
本実施形態の偽造防止用印刷物の印刷部は、例えば既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを、被印刷基材の表面に通常の方法により塗布または印刷することにより得ることができる。偽造防止インク用組成物または偽造防止インクは、被印刷基材上に例えば膜状に印刷することができるため、この場合、印刷部は印刷膜と言い換えることもできる。
本実施形態の偽造防止用印刷物の形成方法、すなわち被印刷基材の表面に既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを塗布または印刷する方法は特に限定されない。既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクの印刷方式としては、例えばオフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、レタープレス印刷(樹脂凸版印刷)、凹版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、等から選択された1種類以上が挙げられる。
偽造防止用印刷物の印刷部は、例えば塗布等行った既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクから、液状媒体を蒸発などにより除去して被印刷基材の表面に有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子等の固体成分を固着させることで形成できる。
また、係る印刷部は、エネルギー線を照射することで、偽造防止インクが含有するエネルギー線で硬化する樹脂の液状の未硬化物を硬化させ、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子等を、被印刷基材に固着させて形成することもできる。
なお、既述のように、偽造防止インクは有機バインダーを含有することもできる。この場合、本実施形態の偽造防止用印刷物の印刷部は、有機バインダーを含有することもできる。偽造防止インクが有機バインダーを含有する場合、偽造防止インクを塗布または印刷後、有機バインダーの種類に応じて選択した条件により、有機バインダーを硬化させることが好ましい。
上述の様に偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを被印刷基材に塗布または印刷し、上述のように含有する成分に応じた処理を行うことで、印刷部が得られる。必要に応じて、印刷部の剥離や印刷部が含有する粒子の脱落を防止するため、当該印刷部の上へ、透明樹脂からなるカバー層等を設けることもできる。
偽造防止用印刷物の印刷部中における赤外線吸収粒子の含有量は、目的とする用途に応じて変更可能であるが、通常は0.05g/m以上が好ましい。0.05g/m以上の含有量があれば近赤外領域の吸収が顕著に表れ、偽造防止用印刷物として特に高い機能を発揮する。また、含有量の上限は特に限定されないが、4g/m以下であれば可視光領域の光を大幅に吸収してしまうことがないため、透明性を維持する観点から好ましい。なお、上記赤外線吸収粒子の含有量は、全てのフィラーが印刷面に入射する光線に対して同等に作用するため、印刷部の1m当たりの含有量で評価することができる。
偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを、塗布または印刷するための被印刷基材は、目的とする用途にあったものを使用すればよく、紙の他に、樹脂とパルプの混合物、樹脂フィルム等を用いることができる。また、シール上に既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを印刷し、このシールを被印刷基材に貼付してもかまわない。
なお、本実施形態の偽造防止用印刷物は、既述の偽造防止インク用組成物を含有する印刷部以外に、通常の印刷物に用いられる各種インクで印刷された部分も含むことができる。
このようにして作製した本実施形態の偽造防止用印刷物は、コピー等では複製が不可能であって、目視判定によらず、赤外線を照射し、かつその反射または透過を検出することによって機械的に確実に、真贋の判定を行うことができる。しかも、赤外線吸収材料として有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を用い、これを印刷法により被印刷基材に適用するため、赤外線吸収特性および耐薬品特性に優れ、安価な偽造防止用印刷物を提供することができる。
(2)偽造防止用印刷物の近赤外線吸収効果について
既述の偽造防止インク用組成物または偽造防止インクを用いた偽造防止用印刷物は、偽造防止用印刷物の基材が上質紙であった場合、波長1000nmにおける反射率が50%未満と近赤外線吸収効果が優れていることを示す。
(3)偽造防止用印刷物の耐薬品特性について
既述の偽造防止インク用組成物や、偽造防止インクを用いた本実施形態の偽造防止用印刷物は、耐薬品特性に優れている。このため、本実施形態の偽造防止用印刷物を、例えば80℃に保持した0.01mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に30分間浸漬しても、上述の波長1000nmにおける耐薬品性試験前後の反射率の差が1.3%以下を維持している。すなわち、本実施形態の偽造防止用印刷物は、耐薬品特性を有することができる。
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例で得られた偽造防止用印刷物の印刷部の光学特性は、分光光度計U-4100(日立製作所株式会社製)を用いて測定した。
赤外線吸収粒子の結晶子径の測定には、赤外線吸収粒子の分散液から溶媒を除去して得られる赤外線吸収粒子の乾粉を用いた。そして当該赤外線吸収粒子のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス株式会社製D2PHASER)を用いて粉末X線回折法(θ-2θ法)によりX線回折パターンを測定した。そして、得られたX線回折パターンから当該赤外線吸収粒子に含まれる結晶構造を特定し、さらにリートベルト法を用いて結晶子径を算出した。
[実施例1]
以下の手順により偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物を作製し、評価を行った。
1.有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造
以下の工程に従い、偽造防止インク用組成物に用いる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造を行った。
(分散液調製工程)
分散液調製工程では、赤外線吸収粒子と、分散剤と、分散媒とを含む分散液を調製した。
赤外線吸収粒子としては、セシウム(Cs)と、タングステン(W)との物質量の比が、Cs/W=0.33である、六方晶セシウムタングステンブロンズ(Cs0.33WO、2.0≦z<4.0)を含む複合タングステン酸化物粉末を用意した。
分散剤としては、スチレンとメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルの共重合体である高分子分散剤を用意した。
また、分散媒としては、トルエンを用意した。
そして、赤外線吸収粒子を20質量%と、分散剤を6質量%と、分散媒を74質量%とを混合して得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し24時間粉砕・分散処理した。粉砕・分散処理を行うことで、実施例1に係るCs0.33WO粒子の分散液を得た。
(分散媒低減工程)
分散液調製工程で得られたCs0.33WO粒子の分散液からエバポレーターを用いて分散媒のトルエンを除去し、赤外線吸収粒子を回収した。回収した赤外線吸収粒子は、高分子分散剤を含有するCs0.33WO粒子の乾粉となる。すなわち、回収した赤外線吸収粒子は、その粒子の表面に、分散液調製工程で供給した分散剤が付着した分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子であり、分散剤含有赤外線吸収粒子となっている。
回収した赤外線吸収粒子、すなわちCs0.33WO粒子の結晶子径を測定したところ16nmであった。
なお、結晶子径は、既述の方法により測定、算出した。
(原料混合液調製工程)
分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子12.9gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gと、を混合して有機相を調製した。なお、本実施例では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が20質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子をスチレンに分散させるために、上記有機相について混合し、分散処理を行った。
次いで、この有機相に有機溶媒であるヘキサデカン2.09gを加えてさらに分散処理を行った。
また、上記有機相とは別に、乳化剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロライド3gと、水300gと、重合開始剤である2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩1.56gとを混合し、水相を形成した。なお、水相を形成する際、臨界ミセル濃度の24倍の濃度となるように、乳化剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロライドを水に添加した。また、重合開始剤は、スチレンに対して2.0mol%となるように添加した。
その後、水相に有機相を添加することで、原料混合液を調製した。原料混合液調製工程における各成分の添加量を表1にまとめて示す。
(攪拌工程)
原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、上記粒度分布において、D50が188nm、標準偏差が119であった。
(重合工程)
攪拌工程後、原料混合液に対して、氷浴下で窒素バブリングを15分間行い、脱酸素処理を行った。
その後、窒素雰囲気下70℃で6時間の加熱処理を施してスチレンの重合反応を進め、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子分散液を得た。
得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含む分散液を希釈し、TEM観察用のマイクログリッドに転写し、転写物のTEM観察を実施した。その結果、複合タングステン酸化物から成る赤外線粒子は、ポリスチレン粒子に内包され、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を形成していることを確認した。
(粒度特性の評価)
動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子株式会社製ELSZ-2000)を用いて、得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の散乱強度基準の粒度分布を測定した。得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の粒度分布は1つのピークを有することが確認できた。そして、得られた粒度分布からメジアン径であるD50と、標準偏差を算出した。評価結果を表2に示す。
(赤外線吸収粒子の含有割合)
TGA(熱重量測定)を行い、重量減少が収まるまで昇温することで樹脂成分を除去し、得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子中の赤外線吸収粒子の質量を測定した。そして、評価に供した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子中の、測定した赤外線吸収粒子の含有割合を算出したところ、仕込み割合であり、目標割合であった20質量%であることを確認できた。なお、以下の他の実施例、比較例でも有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子中の赤外線吸収粒子の含有割合は、同様にして測定を行い、目標組成になっていることを確認できた。
2.偽造防止インク用組成物
得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含む分散液から真空流動乾燥により溶媒を除去し、実施例1に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子乾粉を得た。得られた乾粉と枚葉オフセットインキ(株式会社T&K TOKA社製ベストワンメジウム)を重量比で、1:30の割合で混合し、自公転ミキサーで分散させ、実施例1に係る偽造防止インク用組成物を得た。
なお、用いた枚葉オフセットインキは、液状媒体に相当する鉱油、植物油を含有している。
3.偽造防止用印刷物
被印刷基材として上質紙を使用し、その表面へ前記偽造防止インク用組成物を印刷し、印刷膜(印刷部)を含む偽造防止用印刷物を得た。
(偽造防止用印刷物の評価)
偽造防止用印刷物の光学特性は、該偽造防止用印刷物について、分光光度計(日立製作所株式会社製 U-4100)を用いて反射法で測定した。また、装置付属の白板(酸化アルミニウム)を反射率のベースラインとした。
この偽造防止用印刷物の光学特性を測定したところ、近赤外領域の波長1000nmの光の反射率は47%であった。評価結果を表2の「耐薬品性試験前の波長1000nmの反射率」の欄に示す。
なお、所定の波長での反射率が大きいほど該波長での吸収が小さく、所定の波長での反射率が小さいほど該波長での吸収が大きいことを意味する。従って、実施例1の偽造防止用印刷物は、後述する参考例1等と比較して、波長1000nmの光の吸収特性に優れることを確認できる。なお、実施例1と参考例1とは、耐薬品性試験前の波長1000nmの反射率が同じ数値となっているが、参考例1では、偽造防止インク用組成物を調製する際の有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子乾粉の添加量が実施例1の2倍になっている。このため、同じ条件で比較した場合、実施例1の方が参考例1よりも波長1000nmの光の吸収特性に優れるものといえる。
(耐薬品性試験)
また、得られた偽造防止用印刷物を、80℃に保持した0.01mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、30分間攪拌して耐アルカリ性試験を行った。耐アルカリ性試験後の偽造防止用印刷物の、光学特性を測定したところ、波長1000nmの光の反射率の耐アルカリ性試験前との差は0.5%とほぼ変化がなく、赤外線吸収特性が保持され、耐薬品特性を備えていることを確認できた。耐薬品性試験前後の評価結果の差を表2の「耐薬品性試験前後の波長1000nmの反射率の差」の欄に示す。
評価結果を表2に示す。
[実施例2]
原料混合液調製工程において、分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子23.4gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gとを混合した点以外は実施例1と同様にして有機相を形成した。なお、本実施例では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が30質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして実施例2に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止インク用組成物、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程では、実施例1と同様に、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布において、D50が226nm、標準偏差が141であった。
評価結果を表2に示す。
[実施例3]
原料混合液調製工程において、分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子39.7gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gとを混合した点以外は実施例1と同様にして有機相を形成した。なお、本実施例では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が40質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして実施例3に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止インク用組成物、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程では、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布において、D50が222nm、標準偏差が134であった。
評価結果を表2に示す。
[実施例4]
原料混合液調製工程において、分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子70.8gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gとを混合した点以外は実施例1と同様にして有機相を形成した。また、乳化剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロライド4.49gと、水300gと、重合開始剤である2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩1.56gとを混合し、水相を形成した。なお、水相を形成する際、臨界ミセル濃度の36倍の濃度となるように、乳化剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロライドを水に添加した。
なお、本実施例では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が50質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして実施例4に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止インク用組成物、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程では、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布において、D50が217nm、標準偏差が144であった。
評価結果を表2に示す。
[実施例5~実施例12]
原料混合液調製工程において、有機相、水相を形成する際に、各成分の添加割合が表1に示した値となるようにした。
実施例5~実施例12では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が30質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして実施例5~実施例12に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止インク用組成物、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程では、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布における、D50、標準偏差は、各実施例について、表2に示した有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の評価結果と同じ値になった。すなわち、例えば実施例5の場合、D50が203nm、標準偏差が147であった。
評価結果を表2に示す。
[実施例13]
原料混合液調製工程において、有機相、水相を形成する際に、各成分の添加割合が表1に示した値となるようにした。
本実施例では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が40質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止インク用組成物、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程では、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布において、D50が235nm、標準偏差が155であった。
評価結果を表2に示す。
[参考例1]
原料混合液調製工程において、分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済みの赤外線吸収粒子5.5gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gとを混合した点以外は実施例1と同様にして有機相を形成した。なお、本参考例1では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が10質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。
以上の点以外は、実施例1と同様にして参考例1に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を得た。得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子を含む分散液から真空流動により溶媒を除去し、参考例1に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子乾粉を得た。得られた有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子乾粉と枚葉オフセットインキ(株式会社T&K TOKA社製ベストワンメジウム)を重量比で、2:30の割合で混合し、自公転ミキサーで分散させ、参考例1に係る偽造防止インク用組成物を得た。
被印刷基材として上質紙を使用し、その表面へ前記偽造防止インク用組成物を印刷し、印刷膜(印刷部)を含む偽造防止用印刷物を得た。
なお、攪拌工程では、実施例1と同様に、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるまで攪拌を行った。この際、エマルションについての上記粒度分布において、D50が124nm、標準偏差が96であった。
評価結果を表2に示す。
[比較例1]
原料混合液調製工程において、分散媒低減工程で得られた分散剤表面修飾済の赤外線吸収粒子135.2gと、被覆用樹脂原料であるスチレン30gとを混合した点以外は実施例1と同様にして有機相を形成した。なお、本比較例1では最終的に得られる有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子における赤外線吸収粒子の含有割合(目標割合)が60質量%になるように赤外線吸収粒子や、その他の成分を添加、混合している。なお、水相を形成する際の各成分の添加割合を表1に示した値となるようにしている。
以上の点以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、偽造防止用印刷物を製造し、評価を行った。
なお、攪拌工程において、原料混合液調製工程で調製した原料混合液に対して、氷浴下で、得られるエマルションの動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布において、1つのピークとなるように、連続して長時間の攪拌処理を行った。しかしながら、動的光散乱方式により測定される散乱強度基準の粒度分布は2つのピークが残り、D50も十分に下がらなかった。
重合工程後に得られた生成物をTEMで観察したところ、赤外線吸収粒子の表面を被覆用樹脂で被覆できず、また赤外線吸収粒子を樹脂カプセル中に配置することはできなかった。すなわち有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子とすることはできなかった。
評価結果を表2に示す。
Figure 2024062599000002
Figure 2024062599000003
〔評価〕
表2に示した結果によれば、実施例1~実施例13の偽造防止用印刷物は、耐薬品性試験前の波長1000nmの反射率が50%未満であり、かつ同波長の耐薬品性試験前後の反射率の差が1.3%以下であることが確認できた。すなわち、実施例1~実施例13の偽造防止用印刷物や、偽造防止用インク組成物は、優れた赤外線吸収特性と耐薬品特性とを備えていることを確認できた。
一方、参考例1の偽造防止用印刷物は、耐薬品性試験前後の波長1000nmの反射率の差が1.3%以下と優れているが、10枚印刷したが印刷かすれを生じ、実施例1~実施例13に比べて劣っていることが確認できた。これは参考例1においては偽造防止インク用組成物における有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子乾粉の配合量が実施例1等と比較して多いため、印刷時に偽造防止インク用組成物が伸びにくくなったためと考えられる。
20 有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子
21 赤外線吸収粒子
22 被覆用樹脂
221 樹脂カプセル

Claims (5)

  1. 有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子と、液状媒体と、を含み、
    前記有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子が、15質量%以上55質量%以下の赤外線吸収粒子と、前記赤外線吸収粒子の表面の少なくとも一部を覆う被覆用樹脂とを有する偽造防止インク用組成物。
  2. 前記被覆用樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂から選択された1種類以上を含有する請求項1に記載の偽造防止インク用組成物。
  3. 前記赤外線吸収粒子が、一般式W(W:タングステン、O:酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物、および一般式M(元素MはH、He、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択された1種類以上、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y<4.0)で表される複合タングステン酸化物から選択された1種類以上を含有する請求項1または請求項2に記載の偽造防止インク用組成物。
  4. 請求項1または請求項2に記載の偽造防止インク用組成物を含有する印刷部を備える偽造防止用印刷物。
  5. 前記印刷部が、有機バインダーを含有する請求項4に記載の偽造防止用印刷物。
JP2022170551A 2022-10-25 2022-10-25 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物 Pending JP2024062599A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022170551A JP2024062599A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物
PCT/JP2023/038098 WO2024090360A1 (ja) 2022-10-25 2023-10-20 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022170551A JP2024062599A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024062599A true JP2024062599A (ja) 2024-05-10

Family

ID=90830931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022170551A Pending JP2024062599A (ja) 2022-10-25 2022-10-25 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2024062599A (ja)
WO (1) WO2024090360A1 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7238776B2 (ja) * 2017-07-24 2023-03-14 住友金属鉱山株式会社 赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物、赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物含有分散液、赤外線吸収材料含有インク、それらを用いた偽造防止インク、偽造防止用印刷膜、ならびに赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物の製造方法
JP7133932B2 (ja) * 2018-01-31 2022-09-09 共同印刷株式会社 赤外線吸収性インキ及びその製造方法
JP7358785B2 (ja) * 2019-06-05 2023-10-11 住友金属鉱山株式会社 偽造防止インク用組成物、偽造防止インク、偽造防止用印刷物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2024090360A1 (ja) 2024-05-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7358785B2 (ja) 偽造防止インク用組成物、偽造防止インク、偽造防止用印刷物
JP7259748B2 (ja) 赤外線吸収微粒子分散粉、赤外線吸収微粒子分散粉含有分散液、赤外線吸収微粒子分散粉含有インク、および偽造防止インク、並びに偽造防止用印刷物
JP6978321B2 (ja) 偽造防止インク用組成物、偽造防止インク、および偽造防止用印刷物、並びに偽造防止インク用組成物の製造方法
CN107532030B (zh) 微粒分散液及其制造方法、防伪油墨组合物及防伪印刷物
JPWO2019022003A1 (ja) 赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物、赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物含有分散液、赤外線吸収材料含有インク、それらを用いた偽造防止インク、偽造防止用印刷膜、ならびに赤外線吸収微粒子含有マスターバッチ粉砕物の製造方法
US11807766B2 (en) Anti-counterfeit ink composition, anti-counterfeit ink, anti-counterfeit printed matter, and method for producing the anti-counterfeit ink composition
CN107429097B (zh) 近红外线吸收微粒分散液及其制造方法、防伪油墨组合物及防伪印刷物
CN107429098B (zh) 近红外线吸收微粒分散液及其制造方法、防伪油墨组合物及防伪印刷物
WO2024090360A1 (ja) 偽造防止インク用組成物および偽造防止用印刷物
JP7361341B2 (ja) 有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子
WO2023017826A1 (ja) 有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子、赤外線吸収粒子分散体、有機無機ハイブリッド赤外線吸収粒子の製造方法
TW201518427A (zh) 紅外線吸收性柔版印刷墨
TW201518429A (zh) 紅外線吸收性網版印刷墨
TW201518446A (zh) 紅外線吸收性平凸印刷墨
JP2018009091A (ja) 有機顔料含有樹脂ビーズの製造方法
TW201518426A (zh) 紅外線吸收性凹版印刷墨