JP2024062488A - 撥水剤組成物、撥水剤および撥水剤処理物 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温および低温下で炭化水素系溶剤への溶解性を示し、被処理物に対して優れた撥水性を付与可能な撥水剤組成物を提供する。【解決手段】撥水剤組成物は、(A)特定化学構造を有する非フッ素単量体由来の構成単位を含む重合体と、(B)特定化学構造を有する長鎖脂肪酸エステルとを含有し、((A)/(B))が50/50~90/10である。【選択図】なし

Description

本発明は、撥水剤組成物、撥水剤および撥水剤処理物に関する。
従来、繊維、衣料、皮革等の製品を処理する撥水剤に、フッ素化合物を含有する撥水剤組成物が用いられており、スプレーで噴霧する等の方法で塗布することで撥水性の被膜を形成し、撥水性を付与することができる。しかしながら、近年、フッ素化合物の環境への負荷が懸念されていることから、フッ素化合物を含まない撥水剤組成物への要求が高まっている。
撥水剤をスプレー剤として使用する場合は、速乾性の観点から、有機溶剤に溶解させた組成物として用いられる。その際、溶剤は被処理物の材質への影響を考慮し、炭化水素系溶剤のような非極性の有機溶剤が用いられる。
また、撥水剤を寒冷地で保管した際、容器内で撥水剤組成物が析出すると、スプレーノズルが詰まり、実使用上の問題が生じるため、低温下での溶解性が求められる。
そのような中で、特許文献1では、エチレン/アクリル酸共重合体と長鎖脂肪酸エステル化合物を含有する組成物が、紙に対して耐水耐油性を発現することを開示している。
特開2022-17964号公報
しかしながら、特許文献1のエチレン/アクリル酸共重合体は、天然繊維や天然皮革等の親水性の基材に対する造膜性が乏しく、撥水性が不十分であることがわかった。
また、特に液体溶媒の揮発性が求められる使用方法においては、被処理物の風合いや劣化を防げる点では炭化水素系溶剤が好ましく選択される。しかし、特許文献1のエチレン/アクリル酸共重合体は、炭化水素系溶剤に対して溶解性が低く、低温下での溶解性が不十分であることもわかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の課題は、室温および低温下で炭化水素系溶剤に対しても溶解性を示す汎用性を有し、被処理物に対して優れた撥水性を付与可能な、撥水剤組成物、撥水剤および撥水剤処理物を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(4)に係るものである。
(1) (A)下記式(1)で示される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位を含む重合体と、(B)下記式(7)で示される長鎖脂肪酸エステルとを含有する撥水剤組成物であって、
(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルとの合計含有量を100質量部としたとき、(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルとの質量比((A)/(B))が50/50~90/10であることを特徴とする、撥水剤組成物。
Figure 2024062488000001

(式(1)中、
は、水素原子、メチル基、ハロゲン原子を示し、
は、炭素数12~24のアルキル基を示し、
Aは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、
nは0または1を示し、
Xは、下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)および式(6)で示される構造からなる群より選ばれた構造である。)

Figure 2024062488000002

Figure 2024062488000003

Figure 2024062488000004

Figure 2024062488000005

Figure 2024062488000006

Figure 2024062488000007

(式(7)中、
は炭素数12~24のアシル基を示し、
は炭素数12~24のアシル基または炭素数12~24のアルキル基を示し、
nは0~10を示す。)
(2) (A)重合体は、式(1)で示される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位からなるホモポリマー、または(a1)非フッ素単量体に由来する構成単位と下記式(8)で示される(a2)ビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体であり、
(A)重合体を構成する全単量体の合計量を100質量部としたとき、(a1)非フッ素単量体の質量の(a2)ビニル単量体の質量に対する質量比((a1)/(a2))が100/0~30/70であり、前記重合体の重量平均分子量が5,000~2,000,000であることを特徴とする、(1)の撥水剤組成物。
Figure 2024062488000008

(式(8)中、
は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、
Yは、酸素原子または窒素原子を示し、
は、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~22の炭化水素基を示し、
nは、Yが酸素原子の場合は1を示し、Yが窒素原子の場合は2を示す。)
(3) (1)または(2)の撥水剤組成物と液状媒体からなる撥水剤であって、
前記撥水剤組成物と前記液状媒体の合計量を100質量部としたとき、前記撥水剤組成物の含有量が0.1~8質量部であることを特徴とする、撥水剤。
(4) (1)または(2)の撥水剤組成物が付着してなることを特徴とする、撥水剤処理物。
本発明によれば、室温および低温下において炭化水素系溶剤に対しても溶解性を示すという汎用性を有し、合成繊維、天然繊維、天然皮革等の基材に対して優れた撥水性を付与可能な撥水剤組成物、および撥水性を有する撥水剤処理物を提供することができる。
<撥水剤組成物>
撥水剤組成物は、(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルを混合させることで製造することができる。
[(A)重合体]
本実施形態に係わる(A)重合体は、下記式(1)で示される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位を含む重合体である。
好適な実施形態においては、(A)重合体は、下記式(1)で表される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位からなるホモポリマー、または前記(a1)非フッ素単量体に由来する前記構成単位と、(a1)非フッ素単量体と共重合可能な式(8)で表される(a2)ビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体からなる。
<(a1)非フッ素単量体>
(a1)非フッ素単量体は、下記式(1)で表される(a1)非フッ素単量体を含み、ウレタン構造またはヒドロキシウレタン構造を有することで、被処理物への重合体の造膜性を高めることができ、優れた撥水性を付与することができる。(a1)非フッ素単量体は、単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
Figure 2024062488000009

(式(1)中、
は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、
は、炭素数12~24のアルキル基を示し、
Aは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、
nは0または1を示し、
Xは、下記式(2)、式(3)、式(4)および式(5)のヒドロキシウレタン構造、および式(6)のウレタン構造からなる群より選ばれた一種以上の構造である。)

Figure 2024062488000010

Figure 2024062488000011

Figure 2024062488000012

Figure 2024062488000013

Figure 2024062488000014
式(1)中、Rは、重合反応が進行しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(1)中、Rは、炭素数12~24のアルキル基を示す。炭素数12~24のアルキル基を有することで、側鎖の結晶化が誘起され、被処理物の表面でアルキル基が整列した密な膜を形成でき、優れた撥水性を発現することができる。炭素数12~24のアルキル基としては、炭素数12~24の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられるが、撥水性に優れる点と工業的な製造の容易さから、Rの炭素数は12~22が好ましく、18~22が特に好ましい。また、Rは直鎖状アルキル基であることが更に好ましい。
式(1)中、Aは炭素数1~10のアルキレン基を示し、Xは0または1を示す。Aの炭素数は1以上が好ましく、また、4以下が好ましい。
式(1)中、Xは上記の式(2)、式(3)、式(4)および式(5)で示されるヒドロキシウレタン構造、および式(6)で示されるウレタン構造からなる群より選ばれた一種以上の構造である。撥水性がより優れる点から、Xとしては式(2)または(3)の構造が特に好ましい。
(a1)非フッ素単量体としては、分子量が355~800の範囲の化合物を用いることが特に好ましい。
(a1)非フッ素単量体の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができるが、例えば、(メタ)アクリロイル基と環状カーボネート基の両方を有する化合物と、炭素数12~24のアルキル基を有するアミン化合物との付加反応により得ることができる。
<(a2)ビニル単量体>
(a2)ビニル単量体は、(a1)非フッ素単量体と共重合可能なビニル基含有単量体である。(a2)ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物や、(メタ)アクリルアミド化合物、芳香族アルケニル化合物、ハロゲン化ビニル化合物、シアン化ビニル化合物などが挙げられる。これらの中でも、少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル化合物または(メタ)アクリルアミド化合物を共重合させることが好ましい。(a2)ビニル単量体は、単独で使用してもよいし、二種以上組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物または(メタ)アクリルアミド化合物としては、ビニル基を少なくとも1つ有する化合物であり、下記式(8)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2024062488000015

(式(8)中、
は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、
Yは、酸素原子または窒素原子を示し、
は、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~22の炭化水素基を示し、
nはYが酸素原子の場合は1を示し、Yが窒素原子の場合は2を示す。)
式(8)中、Rの炭化水素基は置換基を有してもよい。(a2)ビニル単量体として用いる式(8)で示される化合物は、Rが置換基を有する炭化水素基である化合物と、Rが置換基を有しない炭化水素基である化合物をそれぞれ1つ以上含むことが好ましい。
が水素原子である化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
における置換基を有しない炭化水素基としては、例えば、炭素数1~22の直鎖状または分岐状、環状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1~22の直鎖状または分岐状のアルキル基を有する具体的な化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ドコシル、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられるが、撥水性が良好な点と、(a1)非フッ素単量体と共重合しやすい点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリルが好ましい。さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸ステアリルである。
における置換基を有しない環状の炭化水素基としては、例えば炭素数3~22の単環式または多環式のアルキル基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸1-アダマンチル等が挙げられるが、低温下での溶解性が向上できる点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルである。
における炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基としては、水酸基、エーテル基、エポキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、イミド基、イソシアネート基、ウレタン基、ウレア基、ビニル基、アミノ基、オニウム塩基、複素環式基、アリール基、オルガノシロキサン基、ポリジメチルシロキサン基からなる群から選択される少なくとも1種以上から構成される置換基が挙げられる。これらの置換基の中でも、Rは、アリール基、ポリジメチルシロキサン基、水酸基、エーテル基を有する炭化水素基であることが好ましい。ポリジメチルシロキサン基を有する炭化水素基含有単量体の分子量としては、1,000~30,000であることが好ましい。
炭化水素基が置換基を有する具体的な化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、モノ(メタ)アクリル酸グリセロール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、(メタ)アクリル酸2-イソシアナトエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシフェニル、「プラクセルFMシリーズ」((株)ダイセル製、メタクリル酸2-ヒドロキシエチルのε-カプロラクトン付加体、商品名)、(メタ)アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、「サイラプレーンFM-0721(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有マクロモノマー(分子量5,000)、商品名)」、「サイラプレーンFM-0725(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有マクロモノマー(分子量10,000)、商品名)」、「サイラプレーンFM-7721(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有二官能マクロモノマー(分子量5,000)、商品名)」、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。撥水性が良好な点と、(a1)非フッ素単量体と共重合しやすい点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ベンジル、「サイラプレーンFM-0721(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有マクロモノマー(分子量5,000)、商品名)」、「サイラプレーンFM-0725(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有マクロモノマー(分子量10,000)、商品名)」、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミドが好ましい。
(a2)ビニル単量体として用いる芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン等が挙げられる。
(a2)ビニル単量体として用いるハロゲン化ビニル化合物としては、例えば、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル等が挙げられる。
(a2)ビニル単量体として用いるシアン化ビニル化合物としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
<(A)重合体の組成比率>
(A)重合体は、(a1)非フッ素単量体由来の構成単位からなるホモポリマー、または前記(a1)非フッ素単量体に由来する前記構成単位と、前記(a1)非フッ素単量体と共重合可能な(a2)ビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体である。
好適な実施形態においては、(A)重合体において、全単量体由来の構成単位を100質量部としたとき、(a1)非フッ素単量体の質量と(a2)ビニル単量体の質量との質量比((a1)/(a2))が100/0~30/70である。(A)重合体において、撥水性、低温下での溶解性の観点から、全単量体由来の構成単位を100質量部としたとき、(a1)非フッ素単量体と(a2)ビニル単量体の質量比((a1)/(a2))が90/10~40/60であることが好ましく、80/20~50/50であることが特に好ましい。
<(A)重合体の製造方法>
(A)重合体は、少なくとも、(a1)非フッ素単量体または、(a1)非フッ素単量体と(a2)ビニル単量体を含む混合物をラジカル重合させることにより、得ることができる。重合方法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の公知の重合方法を用いることができる。
重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等を用いることができる。重合開始剤の具体例としては、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ヘキシルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド、2,2‘-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定することができる。
溶液重合による重合方法では、重合開始剤存在下、各種単量体を任意の溶媒に溶解させ、窒素置換後、加熱撹拌することで重合することができる。
(A)重合体における各単量体の構成単位の配列は特に制限されず、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれでもよい。
<重量平均分子量>
(A)重合体はポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000~2,000,000の範囲であることが好ましい。撥水性が良好な点から、10,000~1,900,000の範囲であることが好ましい。さらに好ましくは30,000~1,800,000の範囲であり、特に好ましくは30,000~200,000の範囲である。重量平均分子量がこの範囲から内であれば、重合体からなる被膜の均一性が向上し、撥水性が良好になる。
(A)重合体は分子量を調整する目的として、重合時に連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、ラウリルメルカプタン、tert-ブチルアルコール等が挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、用いる単量体の組み合わせや、反応条件などに応じて適宜設定することができる。
<(B)長鎖脂肪酸エステル>
(B)長鎖脂肪酸エステルは、下記式(7)で表される化合物である。
Figure 2024062488000016
式(7)中、Rは炭素数12~24のアシル基を示し、Rは炭素数12~24のアシル基または炭素数12~24のアルキル基を示す。ここでアシル基は、エーテル酸素原子(O)に対して結合するカルボニル基、(-C(O)-)と、カルボニル基に結合するアルキル基(R)からなる。アシル基(R-C(O)-)の炭素数は、アルキル基(R)の炭素数とカルボニル基(-C(O)-)の炭素数(1)との合計値である。また、nは0~10を示す。)
一つの(B)長鎖脂肪酸エステルにおいて、RとRとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、本発明の観点から、式(7)中、RおよびRの炭素数は、それぞれ16以上が好ましく、18以上が更に好ましい。また、RおよびRの炭素数は、それぞれ22以下であることが更に好ましい。また、(B)長鎖脂肪酸エステルは、飽和脂肪酸からなることが好ましい。
式(7)において、nは0~10とする。本発明の観点からは、nは0~2であることが好ましく、0~1であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
(B)長鎖脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、ジパルミチン酸エチレングリコール、ジパルミチン酸ジエチレングリコール、ジパルミチン酸トリエチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ジイソステアリン酸エチレングリコール、ジイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジベヘニン酸エチレングリコール、ジベヘニン酸トリエチレングリコール、ジベヘニン酸トリエチレングリコール等が挙げられる。撥水性に特に優れる点から、ステアリン酸ステアリル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコールが好ましく、ジステアリン酸エチレングリコールが特に好ましい。なお、(B)長鎖脂肪酸エステルは、単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
撥水剤組成物において、(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルとの合計含有量を100質量部としたとき、前記(A)重合体由来と(B)長鎖脂肪酸エステルの質量比((A)/(B))が50/50~90/10である。撥水性、溶解性の観点から60/40~80/20とすることが好ましい。
<撥水剤>
撥水剤は、(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルからなる撥水剤組成物と液状媒体を混合させることで、製造することができる。撥水剤とすることにより、被処理物に対する撥水剤組成物の付着を容易にすることができる。
液状媒体としては、重合体が溶解、または分散するものであれば特に制限はないが、例えば水、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソパラフィン系溶媒等が挙げられる。
これらの液状媒体は、被撥水剤処理物(布、皮等)の種類、製造方法(スプレー塗布、漬け込み塗布等)の違い等により適宜選択することができる。特に液体溶媒の揮発性が求められる使用方法においては、被処理物の風合いや劣化を防げる点で炭化水素系溶剤が好ましく選択され、脂肪族炭化水素系溶剤であることが好ましい。さらに好ましくは、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンが挙げられるが、特にn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンが好ましい。これらの液状媒体は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
撥水剤組成物と液状媒体の合計量を100質量部とした場合、撥水剤組成物の含有量を0.1~8質量部とすることが好ましく、より好ましくは1~6質量部とすることが好ましい。
撥水剤には、本発明の効果を損なわない範囲において、添加剤を更に含有してもよい。例えば、撥水剤組成物と液状媒体の合計量を100質量部とした場合、添加剤の含有量は、10質量部以下が好ましく、5質量部以下とすることが更に好ましい。
添加剤としては、撥水剤組成物以外の撥水性を付与可能な重合体、架橋剤、抗菌防臭剤、難燃剤、帯電防止剤、柔軟剤等が挙げられる。特に布地、衣料等を処理する場合、洗濯による撥水性の低下を防ぐ場合には、架橋剤を添加することが好ましい。架橋剤としては、メチロールメラミン、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基を少なくとも1種以上有する化合物が挙げられる。架橋剤を被処理物に付着させて、加熱処理することにより、洗濯後も撥水性を維持することができる。
<撥水剤処理物>
撥水剤処理物は、被処理物に対して撥水剤組成物を付着させることで撥水性を付与したものである。
適用可能な被処理物としては、例えば、綿、麻、絹などの天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等の合成繊維、天然皮革、合成皮革、紙、木、これらの混合繊維及びこれらによる布地、衣料、靴、その他、ガラス繊維、ガラス、レンガ、セメント、金属、プラスチック等が挙げられる。その中でも、合成繊維、天然繊維、天然皮革等に対して特に特に高い効果が発現する。
なお、親水性被処理物としては、天然繊維、天然皮革
が挙げられる。
被処理物の撥水剤による処理方法としては、スプレーコート、バーコート、ディップコート等の一般的な方法により撥水剤を塗布することができる。また、撥水剤を被処理物に塗布させた後、適宜室温、熱処理等で液状媒体を揮発させ、被処理物を乾燥させることが好ましい。乾燥時の温度条件は特に制限はないが、被処理物の熱による劣化を考慮し、20℃~200℃であることが好ましく、20℃~150℃であることが特に好ましい。撥水剤を被処理物に塗布することで、液状媒体を乾燥させ、撥水剤組成物を被処理物に付着させることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
最初に実施合成例X-1~X-18に係る撥水剤用重合体の製造例について説明する。
(実施合成例X-1)
はじめに、温度計、撹拌機および還流冷却管を備えた500mLの4つ口フラスコに、シクロヘキサン230gを仕込み、フラスコ内を窒素置換した。次に表1記載の「HUMA-1」(単量体(a1))30.5gとシクロヘキサン29gからなる単量体溶液とtert-ヘキシルパーオキシネオデカネート0.5gとシクロヘキサン10gからなる重合開始剤溶液をそれぞれ調製した。反応容器内を55℃まで昇温し、単量体溶液および重合開始剤溶液を同時にそれぞれ2時間かけて滴下した。滴下終了後、55℃で5時間反応させた後、70℃に昇温し、さらに2時間反応させることで、重合体を含む溶液を得た。
実施合成例X-2~X-18では、単量体を表3~4記載の種類および量に変更し、実施例1と同様の方法で、各実施合成例の撥水剤用重合体を製造した。
(比較合成例X-1’)
比較合成例X-1’では、単量体を表5記載の種類および量に変更した。ただし単量体(a1’)については表1に示す。これ以外は実施例1と同様の方法で、重合体を製造した。
実施合成例X-1~18、比較合成例X-1’で得られた重合体の重量平均分子量を測定した。具体的には、GPCシステムとしてTOSOH HLC-8320GPCを用い、カラムとしてTOSOH TSKgel Super Multipore HZ-Mを2本と、TOSOH TSKgel Super H-RCを1本連続装着し、カラム温度を40℃とし、基準物質をポリスチレンとし、展開溶剤をテトラヒドロフランとし、展開溶剤は1ml/分の流速で流し、サンプル濃度0.1質量%のサンプル溶液0.1mlを注入し、EcoSEC-Work Station GPC計算プログラムを用いて測定した。
(試験片作製)
評価基材として、ポリエステル布、綿布および牛革を用いた。
上記の各実施合成例X-1~X-18及び比較合成例X-1’に係る重合体と表2に示す長鎖脂肪酸エステルとシクロヘキサンを、表6~表9に記載の組成で配合し、室温で30分撹拌し溶解させることで、各撥水剤を調製した。スプレーガンを用いて評価基材に各撥水剤を噴霧することで塗布し、その後、室温で1時間乾燥させることで、撥水剤処理物を作製した。
(撥水剤の溶解性)
25℃または0℃に設定した箱型恒温槽に、1日静置した各撥水剤の外観を目視にて観察し、溶解性を表10に示す基準により評価した。
(撥水性試験)
各撥水剤処理物の撥水性は、JIS L 1092に基づいて、評価した。試験機にはスプレー・テスター AW-5(インテック株式会社製)を用いた。撥水剤処理物を試験機に取り付け、1Lの水を散布した。散布後の撥水剤処理物の湿潤状態を表11に示す基準により評価した。数値が高いほど、撥水性が良好であることを示す。
なお、撥水性の目標値は、ポリエステル布では4以上、親水性が高く撥水性の付与が困難な天然物である綿布および牛革では3以上とした。
[評価結果]
表6~8は実施例1~26の評価結果を示し、表9は比較例1~3の評価結果を示している。
Figure 2024062488000017
ただし、表1の単量体(a1’)で用いた式9の置換基は以下のとおりである。
Figure 2024062488000018
Figure 2024062488000019
Figure 2024062488000020
Figure 2024062488000021

なお、表4に示す単量体(a2)の略号は以下のものである。

SMA: (メタ)アクリル酸ステアリル
tBMA: (メタ)アクリル酸tert-ブチル
CHMA: (メタ)アクリル酸シクロヘキシル
IBOMA: (メタ)アクリル酸イソボルニル
FM0725: サイラプレーンFM-0725(JNC(株)製、ポリジメチルシロキサン基含有マクロモノマー)
PME400: ブレンマーPME400(日油(株)製、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール)
HEMA: (メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル
Figure 2024062488000022
Figure 2024062488000023
Figure 2024062488000024
Figure 2024062488000025
Figure 2024062488000026
Figure 2024062488000027
Figure 2024062488000028
表6~8の実施例の結果から明らかなように、実施例1~26は、室温および低温下で炭化水素系溶剤への溶解性を示し、被処理物に対して優れた撥水性を示した。
一方で、表9の比較例の結果から明らかなように、比較例1~3では、溶解性または撥水性が不十分であった。
具体的には、比較例1では、(B)長鎖脂肪酸エステル由来の構成単位が過大であるため、低温下での溶解性が劣っていた。
比較例2では、(A)重合体由来の構成単位を有していないため、低温下での溶解性および撥水性が劣っていた。
比較例3では、(B)長鎖脂肪酸エステル由来の構成単位を有していないため、低温下での溶解性および撥水性が劣っていた。

Claims (4)

  1. (A)下記式(1)で示される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位を含む重合体と、(B)下記式(7)で示される長鎖脂肪酸エステルとを含有する撥水剤組成物であって、
    (A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルとの合計含有量を100質量部としたとき、(A)重合体と(B)長鎖脂肪酸エステルとの質量比((A)/(B))が50/50~90/10であることを特徴とする、撥水剤組成物。
    Figure 2024062488000029

    (式(1)中、
    は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、
    は、炭素数12~24のアルキル基を示し、
    Aは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、
    nは0または1を示し、
    Xは、下記式(2)、式(3)、式(4)、式(5)および式(6)で示される構造からなる群より選ばれた構造である。)

    Figure 2024062488000030

    Figure 2024062488000031

    Figure 2024062488000032


    Figure 2024062488000033

    Figure 2024062488000034
    Figure 2024062488000035

    (式(7)中、
    は炭素数12~24のアシル基を示し、
    は炭素数12~24のアシル基または炭素数12~24のアルキル基を示し、
    nは0~10を示す。)
  2. (A)重合体は、式(1)で示される(a1)非フッ素単量体由来の構成単位からなるホモポリマー、または(a1)非フッ素単量体に由来する構成単位と下記式(8)で示される(a2)ビニル単量体由来の構成単位とを含む共重合体であり、
    (A)重合体を構成する全単量体の合計量を100質量部としたとき、(a1)非フッ素単量体の質量の(a2)ビニル単量体の質量に対する質量比((a1)/(a2))が100/0~30/70であり、前記重合体の重量平均分子量が5,000~2,000,000であることを特徴とする、請求項1記載の撥水剤組成物。

    Figure 2024062488000036

    (式(8)中、
    は、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を示し、
    Yは、酸素原子または窒素原子を示し、
    は、水素原子、または置換されていてもよい炭素数1~22の炭化水素基を示し、
    nは、Yが酸素原子の場合は1を示し、Yが窒素原子の場合は2を示す。)
  3. 請求項1または2記載の撥水剤組成物と液状媒体からなる撥水剤であって、
    前記撥水剤組成物と前記液状媒体の合計量を100質量部としたとき、前記撥水剤組成物の含有量が0.1~8質量部であることを特徴とする、撥水剤。
  4. 請求項1または2記載の撥水剤組成物が付着してなることを特徴とする、撥水剤処理物。
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