JP2024061029A - 積層体、および成形体の製造方法 - Google Patents

積層体、および成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンドリングが容易で、成形時にしわが発生しにくい積層体を提供する。【解決手段】強化繊維と熱可塑性マトリクス樹脂を含む複合基材が積層された、熱成形によって成形体を得るための積層体であって、前記複合基材同士がタグピンで繋止されていることを特徴とする積層体。好ましくは、前記複合基材がセミプレグまたはプリプレグである。より好ましくは、前記複合基材がセミプレグであり、前記強化繊維は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維であり、前記熱可塑性マトリクス樹脂は、前記一方向連続繊維の少なくとも表面に融着している。【選択図】図1

Description

本発明は、熱成形によって繊維強化熱可塑性樹脂成形体を製造するための積層体に関する。また、本発明は、前記積層体を用いた成形体の製造方法に関する。
繊維強化樹脂(FRP)は、その高強度かつ軽量であるという特徴を生かして、建築部材、電子機器の筐体、スーツケースの筐体、自動車や飛行機、船舶の材料、靴等のスポーツ用品など、様々な用途に用いられている。FRPのマトリクス樹脂には古くから熱硬化性樹脂が用いられてきたが、近年では、高強度かつ軽量であることに加えて、より高い靭性(粘り強さ)や耐衝撃性を実現するために、熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂とするFRPの採用が進んでいる。熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂とするFRPは、特に、繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)と呼ばれることがある。
FRTPの製造には、従来から、強化繊維のシートに熱可塑性樹脂を完全含浸した複合基材であるプリプレグが用いられている。しかし、プリプレグの場合、これを積層したのち、加熱加圧プレスにてスタンパブルシートにし、さらに最終成形時には、熱可塑性樹脂を完全含浸したプリプレグが硬くて曲げにくいため、所望の形状に賦形するための加熱に時間を要するという問題があった。そのため、FRTP用の材料として、マトリクスとなる熱可塑性樹脂を強化繊維のシートの表面に融着した、あるいは強化繊維のシートに一部半含浸させたようなセミプレグが注目されている。セミプレグは柔らかく賦形性に優れているため、予備加熱なしで所望の形状に賦形して、その状態で加熱成形することによって、成形に要する時間を短縮できる。
FRTP用のセミプレグとして、特許文献1には、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維と、一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維と、一方向連続繊維の少なくとも表面に存在し、かつ一方向連続繊維と架橋繊維とを一体化している熱可塑性樹脂を含む真空成形用樹脂一体化繊維シートが記載されている。
国際公開第2021/095626号
ところで、FRTP成形品の製造には、通常、2枚から50枚程度の複合基材が積層して用いられる。セミプレグを用いる場合は、FRTP成形品の製造には、通常、2枚から50枚程度のセミプレグが積層して用いられる。特に、一方向連続繊維を含むセミプレグは当該連続繊維方向の強度が高いので、1枚毎に連続繊維の方向を変えながら複数枚を積層することによって、全方向への強度の高い成形品が得られる。このとき、セミプレグを単に積層しただけでは、運搬時や成形型へのセット時などにセミプレグ同士がずれてばらけやすく、ハンドリングが面倒であった。
対策として、セミプレグ同士を固定して、セミプレグの積層体を一体化することが行われる。例えば、セミプレグ同士をステッチ糸を用いて結束することや、積層体を点状のヒーターで挟んで熱可塑性樹脂を溶かし、セミプレグ同士を「スポット溶接」することが行われる。しかし、3次元形状、例えば電子機器やスーツケースの筐体のような箱状、お椀のような半球状、たらいのような円筒状のように成形形状の曲率が大きい場合、ステッチ糸やスポット溶接による一体化では成形体の表面に、セミプレグの屈曲によるしわが発生することがあった。また、成形時に連続繊維の繊維方向が大きくずれる場合が生じた。
本発明は、上記を考慮してなされたもので、複数枚の複合基材を積層した成形体製造用の積層体であって、ハンドリングが容易で、成形時にしわが発生しにくく、連続繊維の繊維方向がずれにくい積層体を提供することを目的とする。
上記課題に対して、本発明では、積層した複合基材同士をタグピンで繋止する。
本発明の積層体は、強化繊維と熱可塑性マトリクス樹脂を含む複合基材が積層された、熱成形によって成形体を得るための積層体であって、前記複合基材同士がタグピンで繋止されていることを特徴とする。
ここで、熱成形とは、熱可塑性樹脂を加熱して軟化させた状態で、真空、圧空、プレス等の外力を加えて変形させることで成形を行うことをいう。タグピンとは、衣類等の商品に値札等を付けるのに用いられ、線状部の両端に一対の係止部を有するものである。
この構成により、積層された複合基材はタグピンにより一体に保たれ、かつ、成形形状の曲率が大きい場合でも、複合基材同士が相互に面方向にわずかに変位することによって、しわが発生することを防止できる。
強化繊維と熱可塑性マトリクス樹脂を含む複合基材としては、プリプレグやセミプレグが挙げられる。上記積層体において、好ましくは前記複合基材がセミプレグである。ここで、セミプレグとは、強化繊維に熱可塑性樹脂が完全には含浸せず、容易に変形可能な柔軟性を有する複合基材をいう。セミプレグには、例えば、炭素繊維に熱可塑性マトリクス樹脂粉粒体を部分含浸したもの、半含浸したもの、炭素繊維の表面に熱可塑性マトリクス樹脂粉粒体を融着または固着させた未含浸のもの、炭素繊維と熱可塑性マトリクス樹脂の繊維とを混繊、混紡したもの等が含まれる。セミプレグは柔軟で、熱成形時にしわが発生しやすいため、本発明をセミプレグの積層体に適用した場合に、特に大きな効果が得られる。
前記複合基材がセミプレグである場合、特に好ましいセミプレグは、前記強化繊維が、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維であり、前記熱可塑性マトリクス樹脂は、前記一方向連続繊維の少なくとも表面に融着している基材である。セミプレグが強化繊維として並列状に配列された一方向連続繊維を含む場合は、タグピンによってセミプレグ層間のずれによる繊維方向のずれが生じにくいので、本発明による効果が特に大きい。
上記いずれかの積層体において、好ましくは、前記タグピンが2以上の箇所に設けられている。これにより、複合基材同士が、1つのタグピンを中心に回転してずれることがなく、積層体のハンドリングおよび成形時のずれ防止がさらに容易になる。
上記いずれかの積層体において、好ましくは、前記タグピンが、前記熱可塑性マトリクス樹脂と相溶性の高い樹脂からなり、より好ましくは、前記タグピンが、前記熱可塑性マトリクス樹脂と同種の樹脂からなる。これにより、成形体にタグピンが残った場合でも、タグピンがマトリクス樹脂に融解して、成形体の強度を損なうことがないし、外観上も目立ちにくい。
本発明の成形体の製造方法は、上記いずれかの積層体を熱成形によって3次元形状に成形することを特徴とする。
本発明の積層体によれば、複合基材同士がタグピンで繋止されているので、複合基材がばらけることがなく、積層体が一体に保たれる。特に、本発明の積層体であって、複合基材がセミプレグである場合には、セミプレグ同士がタグピンで繋止されているので、運搬時や成形型へのセット時にも柔軟なセミプレグがばらけることがなく、積層体が一体に保たれる。そして、例えば3次元形状を有するような、成形形状の曲率が大きい場合でも、セミプレグ同士が相互に面方向にわずかに変位することによって、しわが発生しにくい。また、本発明の積層体であって、複合基材であるセミプレグが強化繊維として並列状に配列された一方向連続繊維を含む場合は、層間のずれによる繊維方向のずれが生じにくい。
一実施形態の積層体の断面図である。A:セミプレグが平らな状態、B:セミプレグが曲げられた状態。 一実施形態の積層体の平面図である。 真空圧空成形装置の構造を説明するための図である。 一実施形態の成形工程を説明するための図である。A:積層体セット・減圧工程、B:加熱真空圧空成形工程、C:冷却、脱型工程。
本発明の積層体の一実施形態を、複合基材がセミプレグである場合を例に説明する。
図1および図2を参照して、本実施形態の積層体10は、積層された複数のセミプレグ11と、セミプレグ11同士を繋止するタグピン15からなる。セミプレグ同士は接着されておらず、面方向および厚さ方向に、タグピンによって制限される範囲内で動くことができる。
本実施形態のセミプレグ11は、開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維と、一方向連続繊維と交錯する方向に配列された架橋繊維と、一方向連続繊維の少なくとも表面に融着され、かつ一方向連続繊維と架橋繊維を一体化している熱可塑性マトリクス樹脂を有する。セミプレグとしては、公知のもの、例えば特許文献1に記載されたものを用いることができる。以下に、特に好ましいセミプレグの構成を説明する。
一方向連続繊維および架橋繊維はFRTPの強化繊維である。架橋繊維は、一方向連続繊維と交錯する方向に配列され、熱可塑性マトリクス樹脂によって一方向連続繊維と一体化されることによって、一方向連続繊維の開裂を防止する。ここで交錯とは、絡み合いを含む。架橋繊維の平均長さは、好ましくは1mm以上、より好ましくは5mm以上である。一方向連続繊維および架橋繊維としては、強度の高い、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の繊維を用いることが好ましい。一方向連続繊維と架橋繊維の割合は、質量比で99:1~75:25であることが好ましい。
熱可塑性マトリクス樹脂は、一方向連続繊維と架橋繊維からなる繊維シートの表面付近に溶融固化して付着しており、繊維シート内部には含浸していないか、または一部含浸している。これにより、セミプレグが柔らかく、賦形性を有することとなる。熱可塑性マトリクス樹脂は、成形時の加熱によって、繊維シート内部に含浸して、成形体のマトリクスを構成する。熱可塑性樹脂の種類は特に限定されず、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などを用いることができる。一方向連続繊維と架橋繊維を合わせた繊維全体と、熱可塑性マトリクス樹脂の割合は、体積比で60:40~25:75であることが好ましい。言い換えると、セミプレグ11の繊維体積含有率(Vf)は60~25%であることが好ましい。これにより、成形時に繊維シートの全体に含浸し、成形体にボイドが残ることを防止できる。
セミプレグ11の形状は特に限定されない。図2には、例として略正方形のセミプレグを示したが、実際には成形形状に応じてより複雑な形状のセミプレグが用いられることが多い。セミプレグの厚さに限定は無いが、通常0.01~5.0mmであり、好ましくは0.05~3.0mmである。この範囲の厚さとすることにより、真空成形が容易となる。セミプレグの積層枚数も特に限定するものではないが、好ましくは2~70枚、より好ましくは5~50枚のセミプレグ11を積層して構成される。
タグピン15は、線状部16の両端に一対の係止部17、18を有する。タグピンは、積層体10の全体を貫通してセミプレグ同士を繋止することにより、積層体を一体に保つ。タグピンは、線状部16の長さが、セミプレグを積層した全体の厚さより大きいものを用いる。これにより、図1Bを参照して、FRTPの成形時にセミプレグを曲げたときに、セミプレグ同士が相互に面方向にわずかに変位できるので、しわが発生しにくい。
タグピンは、衣料品用途に市販されている、各種熱可塑性樹脂によって一体成形されたものを用いることができる。タグピンの材質は特に限定されず、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂製などのタグピンを用いることができる。ただし、FRTP成形後にタグピンが成形品内に残る場合は、タグピンが、熱可塑性マトリクス樹脂と相溶性が高く、融点の差が±10℃以内である樹脂からなることが好ましく、タグピンが熱可塑性マトリクス樹脂と同種の樹脂からなることがさらに好ましい。これにより、成形体にタグピンが残った場合でも、タグピンがマトリクス樹脂に融解して、成形体の強度を損なうことがないし、外観上も目立つことがない。
タグピン15は、セミプレグ11の面内の1か所以上、好ましくは2か所以上に設ける。タグピンを2か所以上に設けた場合は、セミプレグ同士が1つのタグピンを中心に回転してずれることがなく、積層体10のハンドリングがさらに容易になる。一方、タグピンを設ける箇所は、例えば四角形のセミプレグであれば好ましくは4か所以下とする。セミプレグ11の形状によらず、タグピンを4か所に設ければ、積層体のハンドリングは十分に容易になる。ただし、セミプレグの形状によって設ける箇所は4か所以上でも良いことは言うまでもない。
タグピン15を設ける位置について、セミプレグの中に最終製品の段階で切除される部分を含む場合は、その切除される端部にタグピンを設けることが好ましい。つまり、積層体にFRTP成形品を構成しない不要な部分を含む場合、例えば、FRTP成形後に端部が切除される場合は、その切除される端部にタグピンを設けることが好ましい。積層体の全体がFRTP成形品を構成する場合は、成形品の使用に支障のない位置にタグピンを設ける。この場合は、上述のとおり、タグピンを形成する熱可塑性樹脂と熱可塑性マトリクス樹脂の相溶性が高く、両者の融点の差が±10℃以内であることが好ましく、タグピンを形成する熱可塑性樹脂と熱可塑性マトリクス樹脂が同種類であることが最も好ましい。
次に、本実施形態の積層体10の製造方法を説明する。
セミプレグ11は、公知の方法、例えば特許文献1に記載された方法によって製造することができる。概略は次のとおりである。強化繊維フィラメントの束(トウ)を開繊して一方向に並列状に配列させて、一方向連続繊維のシートを得る。開繊時もしくは開繊後に架橋繊維をトウから発生させるか、または開繊時もしくは開繊後に架橋繊維を一方向連続繊維のシート上に落下させる。一方向連続繊維と架橋繊維からなる繊維シート上にマトリクスとなる熱可塑性樹脂の粉体を振り撒き、加熱溶融して、一方向連続繊維の少なくとも表面に融着させる。この際に、架橋繊維は熱可塑性マトリクス樹脂により炭素繊維シートに接着固定される。
セミプレグ11を積層する。このとき、各層のセミプレグは、一方向連続繊維の方向を変えて積層することが好ましい。例えば、0°/45°/90°/135°・・・、0°/90°/0°/90°/・・・等の如くである。
積層したセミプレグ11の片側からタグピン15をタグガンで打ちこんで、セミプレグ同士をタグピンで繋止する。タグガンは、タグピンの一方の係止部17を線状部16と一直線状になるように曲げた状態で、セミプレグ11の層を貫通させる。タグピンがセミプレグの層を抜けると、係止部17が線状部と交差する向きに戻って、積層されたセミプレグを一体に繋止する。
次に、本実施形態の積層体10を用いた成形方法を説明する。積層体10は、熱成形によって3次元形状に成形できる。熱成形の方法としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形などの方法を用いることができる。以下に、真空圧空成形を例に説明する。
図3を参照して、真空圧空成形装置30は、下金型33と上金型39があり、下金型33は基台31、型台32の上に固定されており、真空ライン34が成形面35まで通じている。上金型39には圧空管40があり、上金型本体36下面に設けられた空気溝37、面板38の空気孔41から下に向かって圧空を供給できる。下金型33は、電磁誘導加熱、抵抗線加熱、赤外線加熱などのヒーター42と、水冷管43により、加熱および冷却を所定の温度に制御できる。
図4を参照して、真空圧空成形装置30の下金型33の上に積層体10を載せ、バッギングフィルム45を被せ、上金型39を降ろして、下金型33の真空ライン34から減圧する(図4A)。次に、積層体10を、熱可塑性マトリクス樹脂の軟化点以上の温度に加熱昇温し、バッギングフィルム45の上部から圧空管40により積層体10を加圧し、所定時間保持して真空圧空成形する(図4B)。最後に、上金型39を上げ、成形体46を冷却して取り出す(図4C)。バッギングフィルムとしては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂フィルム、あるいはポリイミド樹脂フィルム、シリコーン樹脂フィルム等の耐熱性フィルムを使用できる。
複合基材としてセミプレグを用い、実施例1~3および比較例1~2の積層体を作製して成形を実施し、ハンドリング性および成形品の外観を評価した。
(セミプレグA)
炭素繊維未開繊トウ(三菱ケミカル社製、品番:PYROFILE TR 50S15L、形状:レギュラートウ フィラメント15K(15,000本)、単繊維直径7μm、サイジング剤:エポキシ系化合物)を複数のロールを通過させて開繊して、炭素繊維フィラメント構成本数15K、開繊幅500mm、厚み0.08mmの繊維シートとした。架橋繊維は3.3質量%であった。熱可塑性マトリクス樹脂としてPA12樹脂粉体(宇部興産社製、ポリアミド12、融点:180℃、平均粒子径340μm)を、繊維シートの片面ずつに、繊維シート1mあたり平均22.5gを付与し、240℃の加熱装置内を滞留時間4秒で通過させて融着させ、両面で繊維シート1mあたり45.0g融着させた。得られた連続シート状のセミプレグを2枚並べ、800mm×800mmの大きさに切断してセミプレグAを得た。セミプレグAの質量は125g/m、繊維の体積割合(Vf)は50体積%、PA12樹脂の体積割合は50体積%であった。
(セミプレグB)
熱可塑性マトリクス樹脂としてPPS樹脂(ソルベイ社製、ポリフェニレンサルファイド樹脂、融点:290℃、平均粒子径350μm)を、繊維シート1mあたり片面に平均29.7g、両面で平均59.4g付与し、加熱装置の温度を380℃とした以外は、セミプレグAと同様にして、800mm×800mmの大きさのセミプレグBを作製した。セミプレグBの質量は139.6g/m、繊維の体積割合(Vf)は50体積%、PPS樹脂の体積割合は50体積%であった。
(実施例1)
セミプレグAを、一方向連続繊維の向きを、0°/90°/0°/90°/0°/0°/90°/0°/90°/0°と変えて、10枚積層した。タグピン(PA66、融点260℃、長さ5mm)をタグガンで、セミプレグの正方形の4つの隅に、頂点から縦横20mm内側の位置に打ち込んで、セミプレグを繋止して、実施例1のセミプレグ積層体を作製した。
(実施例2)
タグピンを、セミプレグの正方形の1つの隅に打ち込んだ以外は実施例1と同様にして、実施例2のセミプレグ積層体を作製した。
(実施例3)
セミプレグAに代えてセミプレグBを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3のセミプレグ積層体を作製した。
(比較例1)
タグピンに代えて、セミプレグの正方形の4つの隅に、200℃に加熱した点状のヒーターで挟んでセミプレグ同士をスポット溶接した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のセミプレグ積層体を作製した。
(比較例2)
セミプレグAを実施例1と同様に積層したものを比較例2のセミプレグ積層体とした。
(成形)
図3に示した真空圧空成形装置を用いて、上述の方法により真空圧空成形を行い、実施例および比較例の各積層体を3次元形状(トレイ形状)に成形した。セミプレグAを用いた実施例1~2および比較例1~2では、バッギングフィルムとして厚さ2mmのシリコーン樹脂シートを用い、成形温度205℃、保持時間3分間の条件で成形を行った。セミプレグBを用いた実施例3では、バッギングフィルムとしてポリイミドフィルムを用い、成形温度315℃、保持時間3分間の条件で成形を行った。
評価結果を表1に示す。タグピンで4か所を繋止した実施例1および3では、ハンドリングが容易で、成形品表面にしわはなく、また成形品において炭素繊維シート層の間にずれは認められなかった。タグピンで1か所のみを繋止した実施例2では、成形品表面にしわはなかったが、ハンドリング中にセミプレグが回転しやすく、また成形品の炭素繊維シートの層間にもセミプレグの回転によるわずかなずれが認められた。また、実施例3では、成形温度が高いことによって成形時にタグピンが融解し、成形品にタグピンの痕跡はなかった。比較例1では、ハンドリング性は良好であったものの、成形品の表面にしわが発生した。比較例2では、成形品の表面にしわは認められなかったが、ハンドリングが容易でなく、成形品において繊維シートの層が互いに大きくずれていた。
Figure 2024061029000002
本発明は、上記実施形態には限定されず、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、複合基材がセミプレグである場合を説明したが、複合基材はセミプレグには限られず、例えばプリプレグを用いることもできる。
10 積層体
11 セミプレグ(複合基材)
15 タグピン
16 線状部
17、18 係止部
30 真空圧空成形装置
31 基台
32 型台
33 下金型
34 真空ライン
35 成形面
36 上金型本体
37 空気溝
38 面板
39 上金型
40 圧空管
41 空気孔
42 ヒーター
43 水冷管
45 バッキングフィルム
46 成形体

Claims (6)

  1. 強化繊維と熱可塑性マトリクス樹脂を含む複合基材が積層された、熱成形によって成形体を得るための積層体であって、
    前記複合基材同士がタグピンで繋止されていることを特徴とする、
    積層体。
  2. 前記複合基材がセミプレグまたはプリプレグである、
    請求項1に記載の積層体。
  3. 前記複合基材がセミプレグであり、前記強化繊維は、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維であり、前記熱可塑性マトリクス樹脂は、前記一方向連続繊維の少なくとも表面に融着している、
    請求項2に記載の積層体。
  4. 前記タグピンが2以上の箇所に設けられている、
    請求項1に記載の積層体。
  5. 前記タグピンが、前記熱可塑性マトリクス樹脂と同種の樹脂からなる、
    請求項1に記載の積層体。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載された積層体を熱成形によって3次元形状に成形する、
    成形体の製造方法。
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