JP2024058917A - 血液の前処理方法、及び赤血球分離用粒子 - Google Patents

血液の前処理方法、及び赤血球分離用粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】 血液を生化学分析ないしは免疫分析に供する際に妨害となる赤血球を効率的かつ迅速に除去し、血液中の各種成分の分析の精度や効率を向上させる。【解決手段】 測定対象とする血液に対し、アミノ基やアンモニウム基等の正帯電性の官能基を有し、かつレーザー回折散乱法での体積基準累積50%径が2~30μmの範囲にある金属酸化物粒子を加える。正帯電性の官能基は赤血球との相互作用で凝集を引き起こし、またレーザー回折散乱法で測定した粒径、即ち、分散した状態での粒径が上記範囲にあることで、凝集を引き起こす効率が高いものとなる。さらにポリマーなどに比べて比重の重い金属酸化物粒子を用いることで、沈降速度が良好となる。回収される上清は赤血球が除去されているため、精度の高い分析が可能となる。【選択図】 なし

Description

本発明は、血液を生化学分析ないしは免疫分析に供するに際して、各種分析の阻害物質となることの多い赤血球を効率的に分離する前処理方法、及びその方法に用いる分離用粒子に係る。
血液は、健康状態の確認などのため様々な分析に供されている。分析の対象とする成分は状況によって様々であり、その分析方法もそれに応じていくつもあるが、血液中の血球成分、特に量の多い赤血球が妨害物質となることが多い。従って、全血から赤血球を分離することにより血清もしくは血漿を採取し、該血清もしくは血漿を用いて検査(分析)が行われている。
血液(全血)から血球成分を分離して血漿もしくは血清を得る方法としては、血液を遠心分離にかける方法が知られている。
さらに遠心分離器が必要であるという欠点を解消するため、採血した血液に、抗赤血球抗体を担持させたあるいは正の電荷を有する不溶性担体を加えて赤血球を凝集させ、静置して沈降させる技術が提案されている(特許文献1)。
特開2000-292420号公報
しかしながら、抗赤血球抗体を用いる方法は高価であり、また常温での長期保存が難しい。正の電荷を有する不溶性担体については、粒径が0.1~100μm程度の有機高分子(ラテックス)が好ましいと記載され、また実施例2としてジエチルアミノエチル基を有する不溶性アガロースを用いた結果が開示されているのみある。
従って本発明は、抗赤血球抗体を用いることなく、かつ高効率で赤血球を凝集、分離させることのできる方法を提案することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、有機高分子よりも比重の重い金属酸化物の方が沈降性が良い点に着目し、さらに金属酸化物でも、良好な沈降性を示す粒径範囲があることを見出し、さらなる検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、血液を生化学分析ないしは免疫分析に供する際の前処理方法であって、測定対象とする血液と、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準での累積50%径が2~30μmであり、かつ正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子とを混合し、混合液に生じた沈殿を分離したのち、得られた上清を前記分析に供する血液の前処理方法である。
本発明の前処理方法を行うことで、血液の分析の妨害となることの多い赤血球を血液から分離し、血清あるいは血漿を迅速に回収することが可能となる。これにより、分析の自動化への応用も容易となる。また比較的高価な抗赤血球抗体を用いる必要もない。
前記の通り本発明は、血液から赤血球を分離する技術に係り、得られた上清(血清ないしは血漿)は生化学分析ないしは免疫分析に供される。
ここで、生化学分析とは、生体成分を分析して、疾患の診断や治療のモニタリング、予後の判定に用いられる手法である。本発明では生体成分として、血液を対象物としている。当該生化学分析は、血液を用いて沈殿を分離した後の上清を必要とする分析であれば特に限定されるものではないが、一般的に、タンパク質、各種酵素、電解質・金属、含窒素成分、脂質、及び糖関連物質などの分析が挙げられる。
免疫分析とは、抗原と抗体の反応を利用して、分析対象となる抗原を検出する手法である。本発明における免疫分析とは、血液を用いて沈殿を分離した後の上清を必要とする当該分析であれば特に限定されるものではないが、具体的に、微小に存在するホルモンや腫瘍マーカー、また感染症の診断を行う分析である。
対象とする血液は、ヒト血液だけでなく動物の血液でも特に制限なく用いることができるが、有用性の高さからヒト血液が好ましい。
血液は原液を使用することもでき、希釈血液を使用することもできる。体積当たりの血清ないしは血漿の回収量の多さから原液を用いる方が好ましい。なお希釈血液の場合、血液の希釈に用いられている溶媒は生体適合性の高い溶媒なら特に限定されないが、水や生理食塩水、緩衝液が好ましい。緩衝液として具体的には、HEPES、Tris、MESなどがあげられる。検査への影響を防ぐという観点から、水や生理食塩水がより好ましく、水がさらに好ましい。
本発明において対象とする血液は、生体から直接採血したままの状態のものでもよいし、抗凝固剤等の添加物が含まれていても構わないが、生化学分析ないしは免疫分析を行うに際しては、抗凝固剤が含まれる血液が対象となるのが一般的である。抗凝固剤としては、その例として、アルセバー液、クエン酸ナトリウム、ヘパリン、EDTAなどがあげられる。
本発明においては、上記のような血液に対して、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準での累積50%径が2~30μmであり、かつ正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子を混合する。
本発明においては血液と混合することから、用いる金属酸化物は水と反応したり、水に溶けたりしないものを用いる。このような金属酸化物としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄等の単独酸化物、及びこれらの複合酸化物などが挙げられる。
沈降性を考慮すると比重の大きな金属酸化物の方が良い。合成法などにもよるがシリカは比重が2.0~2.2g/cm程度であり、アルミナは3.95~4.1g/cm程度、チタニアは3.8~4.2g/cm程度、ジルコニアは5.6g/cm程度、酸化鉄は5.2g/cm程度である。一方で、シリカは様々な粒子が比較的容易に入手でき、また合成する場合でも安価にでき、かつ合成が容易である。これらを鑑みると、本発明で用いるものとしてはシリカあるいはシリカを含む複合酸化物(シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニアなど)が好ましい。シリカを含む複合酸化物の場合には、合成の容易さの点でシリカが50モル%以上のものがより好ましい。
本発明において、上記のような金属酸化物からなる粒子は、正帯電性(カチオン性)の官能基を有する。
当該正帯電性の官能基を具体的に例示すると、アミノ基やアンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
当該アミノ基あるいはアンモニウム基としては、第1級~第3級アミノ基、第4級アンモニウム基が含まれる。
第1級アミノ基としては、例えばアミノ基、アミノメチレン基、アミノエチレン基、アミノプロピレン基等のアミノアルキレン基、3-アミノ-1-エトキシプロピレン基、1-アミノ-エトキシメチレン基等のアミノアルコキシアルキレン基等が挙げられる。第2級アミノ基としては、1つの炭化水素基で置換されたアミノ基が挙げられる。例えば、N-アルキルアミノアルキレン基が含まれ、N-メチルアミノエチレン基、N-エチルアミノエチレン基等のN-アルキルアミノアルキレン基、イミダゾイル基等が挙げられる。第3級アミノ基としては、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基が挙げられる。第3級アミノ基を有する官能基としては、例えばN-ジメチルアミノエチレン基、N-ジメチルアミノプロピレン基、N-ジエチルアミノエチレン基、N-ジブチルアミノエチレン基等が挙げられる。
さらにはポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンやポリプロピレンイミン等)のような複数のアミノ基を持つ形態であってもよい。
第1級~第3級アミノ基は、窒素原子にプロトンが付加し、さらに各種酸イオンやハロゲンイオンを対イオンに有するようなアンモニウム塩であっても良い。
第4級アンモニウム基としては、3つの炭化水素基で置換されたアンモニウム基が挙げられる。第4級アンモニウム基を有する官能基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基等のトリアルキルアンモニウム基等が挙げられる。
第4級アンモニウム基における対イオンは水酸化物、各種酸イオンまたは又はハロゲンイオンが挙げられる。
ホスホニウム基としては、3つの炭化水素基で置換された第4級ホスホニウム基が挙げられる。第4級ホスホニウム基を有する官能基としては、トリメチルホスホニウム基、トリエチルホスホニウム基等のトリアルキルホスホニウム基等が挙げられる。
第4級ホスホニウム基における対イオンは水酸化物、各種酸イオンまたは又はハロゲンイオンが挙げられる。
上記した各官能基における対イオンが酸イオンの場合は、酸としては塩酸、臭酸、ヨウ酸、酢酸、硫酸、硝酸及びリン酸等に由来するイオンが挙げられ、ハロゲンイオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。ただし、これら対イオンは、血液分析における分析対象と同一のイオンであったり、行う分析を妨害するイオンであったり、あるいは反応して別物質としてしまうようなイオンは避けるべきである。
金属酸化物粒子が持つ正帯電性の官能基の量は特に限定されないが、一般には0.1μmоl/g以上、150μmоl/g以下でよい。多い方が凝集・沈殿を形成させる効率が高いが、粒子に持たせることの可能な官能基の量には限界がある。好ましくは0.5μmоl/g以上であり、より好ましくは1.0μmоl/g以上である。なおこれら正帯電性の官能基は、赤血球と相互作用を起こしうる位置、具体的には粒子表面にできるだけ多く存在することが望ましい。
なお正帯電性官能基の含有量は、各官能基の種類に応じて公知の分析方法で把握すればよい。具体的には、呈色試薬及び紫外可視吸光光度計を用いることで算出することができ、用いる呈色試薬は官能基の種類により適宜選択することができる。例えば、アミノ基の場合はFmoc基にてアミノ基を保護した後、ピペリジンで脱保護を行い、紫外可視吸光光度計にて遊離したFmoc誘導体の吸光度を測定することにより、官能基量を算出することができる。むろん、元素分析など上記以外の方法で算出することも可能である。
上記のような正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子は、市販されているものを使用しても良いし、シリカ等の金属酸化物粒子を表面処理することにより合成してもよい。
具体的には、シリカ等の表面にアミノ基あるいは第4級アンモニウム基を導入できるシランカップリング剤等の表面処理剤が多数知られており、これを公知の方法で処理すれば容易に得ることができる。
当該アミノ基やアンモニウム基を導入できるシランカップリング剤としては、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を導入できるシランカップリング剤や、オクタデシルジメチル(3-トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル(8-トリエトキシシリルオクチル)アンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム基を導入できるシランカップリング剤が市販されている。
またJournal of nanomaterials,2019,9(Article ID 2182471)等に記載の方法によりエチレンジアミンを表面に結合させることもできる。
本発明において、上記のような正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準50%径(以下、「D50」)が2~30μmの範囲になくてはならない。D50がこの範囲にあることにより、これを外れた場合に比べて沈殿の沈降性が大幅に良好となる。好ましくは、2~25μmであり、より好ましくは3~20μmである。
当該D50は、金属酸化物粒子が分散液の状態で血液と混合される場合は、当該分散液の状態で、粉末(湿潤粉末を含む)の場合には、添加時と同じ割合で水と混合し、手で軽く振とうして生じる分散液の状態で測定する。
本発明において、上記のようなD50であることで良好な結果が得られる理由は明確ではないが、以下のように推定される。即ち、血液中に存在する赤血球は、直径が7~8μm、厚さが2μm強ほどの円盤状の粒子である。これらが相互に接近して凝集体を形成するが、その物理形状から赤血球粒子同士の間には空間が生じることが必然である。そして、上記範囲の平均粒径の粒子はこの空間を埋めるのにちょうど適した大きさとなっており、赤血球の粒子間をつなぐ効率が高く、よって大きな凝集粒子が生じやすいのではないかと考えている。
従って、分散状態での粒径が重要であり、例えば電子顕微鏡観察などにより把握される一次粒子径が上記の範囲よりも小さくても、分散液中、即ち、血液中の赤血球と接触させる際の状態で上記のD50をもっていればよい。
また粒径が小さな粒子は赤血球同士がつくる空間に対して小さすぎるのみならず、赤血球との凝集体を形成しなかった粒子が液中に分散したまま残り、その後の分析に悪影響を与える恐れがある。このような観点から、粒径が0.5μm以下の粒子は、全体の3体積%以下であることが好ましく、10体積%以下であることがより好ましい。
本発明においては、上述のような正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子(以下、単に「金属酸化物粒子」と記す場合がある)を血液に分散させる。
血液に金属酸化物粒子を分散させるに際し、両者を混合する手順は、血液側に金属酸化物粒子を添加しても、逆に金属酸化物粒子に対して血液を添加しても、いかなる方法でも良いが、容器(採血管など)に収容された血液に金属酸化物粒子を添加する方法が好ましい(ただし以下では混合手順に依らず、いずれの手順であっても金属酸化物粒子側を「添加する」と表記する)。
添加する金属酸化物粒子は、乾燥粉末、湿潤粉末あるいは分散液等の状態で添加できるが、血液中へ迅速に分散させやすい点で、湿潤粉末あるいは分散液として添加することが好ましい。
当該湿潤粉末あるいは分散液を調製する際に用いる液体は、血液と混和可能であれば特に限定されないが、血液の主成分は水であるから、この溶媒としては水や各種アルコールなどの極性溶媒を用いることが好ましく、各種分析に影響を与える可能性が実質的にない点で水が最も好ましい。さらに、用いる金属酸化物粒子側の分散性の観点からも、やはり極性溶媒、特に水を好適に用いることができる。また、湿潤粉末や分散液に要求する物性、例えば保存性や粘度等を所望のものとするために、複数の溶媒を併用することも可能である。
分散液とする場合の濃度としては、保存時の安定性や分散性、血液に加える際の効率などを考慮し、金属酸化物粒子の濃度が10mg/mL以上、1000mg/mL以下のものとすればよく、より好ましくは50mg/mL以上、500mg/mL以下である。
また分散液ないしは湿潤粉末とする場合には、緩衝剤を含ませて血液のpHに近づけ、血液に加えた際のpH変化を抑制できるものとしてもよい。具体的には、HEPES、Tris、MES等が挙げられる。
前述した通り分散液とする場合には、その状態で血液へ添加することになるから、当該分散液をレーザー回折・散乱法での粒径測定にかけた際に、測定されるD50が2~30μmの範囲にあるようにする。分散液におけるD50をこの範囲とするために、当該分散液の製造に際しては、金属酸化物粒子からなる粉末を事前に解砕しておく方法の他、金属酸化物粒子と溶媒を混合した後に超音波分散などを施すことなどもできる。
湿潤粉末の場合は、金属酸化物粒子を所定量の溶媒と混合する前、あるいは混合後に応力をかけて解砕する方法や、いったん所望のD50を持つ分散液を調製した後、乾燥させてしまわないように注意しながら一部の溶媒を揮発させて濃度を調製する方法などが採用できる。
むろん、調製方法はこれらに限られるものではなく、如何なる方法を採用しても良い。
本発明においては、このような分散液、あるいは湿潤粉末を赤血球分離用試薬として製造、流通させることができる。
本発明において、血液へと分散させる金属酸化物粒子の量は特に限定されないが、液体に対して不溶物である金属酸化物粒子があまりに多いと、回収できる上清が少なくなってしまうため、添加する量は、血液1mlに対して、金属酸化物粒子が2000mg以下が好ましく、1000mg以下がより好ましい。多くの場合で700mg以下でよく、さらには500mg以下でも十分な場合も多い。また血球成分との複合体を十分に作らせるためには、添加する粒子が持つ正帯電性の官能基の量が、血液1ml当りで0.052μmol以上となる量が好ましく、0.52μmol以上となる量がより好ましい。
本発明においては、用いる金属酸化物粒子は測定対象とする液体に均一に分散(拡散)させる。不均一であると部分的に赤血球の凝集が十分起きない可能性が高い。金属酸化物粒子を液体に添加するだけで十分に分散(拡散)する場合もあるが、一般的には、なんらかの応力を加えて分散させる。前述の通り、本発明において用いる金属酸化物粒子は、血液中でちょうどよいD50となるようなものであるから、容器を手で軽く振とうしたり、あるいはミックスローター、ローテーター等を用いる程度で十分であるにすることが好ましい。分散にかける時間は、5秒~5分程度でよい。
なお金属酸化物粒子が二次粒子として前記D50を示すものであった場合には、高すぎる応力はこの二次粒子を壊してしまう可能性があり、また赤血球が壊れてしまい分離が困難になる場合もある。従って、超音波分散やホモジナイザーの使用は避けることが好ましい。
十分に分散(拡散)させたならば、血液中の赤血球が凝集を起こして沈殿を生じるため、分析に供する上清を得るための分離が容易となる。なお全血中には、血球成分として赤血球の他に白血球や血小板などが含まれるが、赤血球と共に凝集や沈殿を起こしていると推測される。
分離方法としては自然沈降でよいが、必要に応じて遠心沈降を行っても良い。本発明における金属酸化物粒子を用いることで、赤血球の凝集が効率的に起こるため、自然沈降でも遠心沈降でも、従来よりも短い時間で沈殿の分離ができる。
凝集した赤血球を、上記したような自然沈降や遠心沈降により分離することで上清(血清又は血漿)が得られるから、これを回収して必要な分析に供すればよい。
むろん行う分析などによって必要な試料の量は異なるから、分離して得た上清のほぼ全量を用いる必要がある場合もあれば、一部を用いれば十分な量とできる場合もある。必要量の試料を回収する方法としては、沈降させただけで未だ容器内に沈殿物と上清の両方が存在している状態で、そこへ採取用の管を挿入するなどして液体(上清)の一部を回収しても良いし、デカンテーションなどで固液分離を行った後、そこから必要量を回収する方法でも良く、特に制限されるものではない。
また分析に先立ち、当該分析において必要な他の前処理がある際には、本発明の前処理を行うのと同じ容器内で行うことも可能である。
また本発明の前処理方法におけるいずれの段階も、一般的な室温程度(20~28℃)で行えばよく、加熱あるいは冷却などを行う必要はない
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(使用材料)
実験に供した血液としては、ウマ保存血液をリン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)で10倍に希釈したものを用いた。
金属酸化物粒子としては下表のものを用いた。なおP1、P2、P5、P6、P8は分散液として、P4は湿潤粉末として、P3は乾燥粉末として市販されているものを、以下のようにして洗浄した後、乾燥させずに湿潤粉末として血液に添加した。
即ち、固形分が使用する量となるようにはかりとり、リン酸緩衝生理食塩水(1×PBS)を加え、超音波分散をかけた後に遠心分離を行い、その状態で上清を取り除くことにより洗浄する操作を3回行った。
P7は以下の方法で合成した。即ち、Journal of nanomaterials,2019,9(Article ID 2182471)に記載の方法に準じて合成した。乾燥粉末として得られたものを電子顕微鏡で観察したところ、一次粒子径が約0.3μmに揃った粒子であった。これを上記と同様にリン酸緩衝生理食塩水にて3回洗浄した。
Figure 2024058917000001
(評価・分析方法)
・D50
粒子のD50は以下の方法により測定した。即ち、血液に添加する状態に調製した金属酸化物粒子の湿潤粉末(前記の洗浄を行ったもの)を水で希釈し、レーザー回折・散乱法による粒度分布計(ベックマン・コールター社製 レーザー回折式粒度分布計LS230)に供し、体積基準での累積50%径を求めた。
・分離性
希釈血液100μLに、10mgの粒子を加え、手で軽く振とうした後、10℃でローテーターにて30分間回転攪拌した。静置して5分間経過後、沈殿が沈降して透明な上清が生じていた場合は〇、目視で血液に変化が見られなかった場合は×とした。
実施例1~5、比較例1~3
表2に記載する粒子を用い、赤血球の分離性の評価を行った。結果を併せて表2に示す。
Figure 2024058917000002
上記表に明らかなように、粒径(D50)が大きすぎても(比較例1)、小さすぎても(比較例2)、短時間での沈降は見られなかった。また金属酸化物粒子に代えて、粒径が同等のポリマー(有機物)を用いた場合にも、短時間で沈殿を沈降させることはできなかった。

Claims (6)

  1. 血液を生化学分析ないしは免疫分析に供する際の前処理方法であって、測定対象とする血液と、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準での累積50%径が2~30μmであり、かつ正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子とを混合し、混合液に生じた沈殿を分離したのち、得られた上清を前記分析に供する血液の前処理方法。
  2. 前記金属酸化物がシリカ、もしくはシリカを含む複合酸化物である請求項1記載の血液の前処理方法。
  3. 前記正帯電性の官能基がアミノ基または第4級アンモニウム基である請求項1または2記載の血液の前処理方法。
  4. 血液に対して、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準での累積50%径が2~30μmであり、表面に正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子を加え、生じた沈殿を分離する、血液からの赤血球の分離方法。
  5. レーザー回折・散乱法により測定される体積基準50%径が2~30μmであり、正帯電性の官能基を有する金属酸化物粒子からなる、血液からの赤血球分離用粒子。
  6. 請求項5記載の金属酸化物粒子を含む、血液からの赤血球分離用試薬。
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