JP2024058497A - 眼鏡 - Google Patents

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【課題】エレクトロクロミック素子をレンズに備えるものとしたとしても、フレームが備えるリム部とテンプル部との連結がヒンジを介してなされている連結部において、リム部に対するテンプル部の折り畳みを、優れた耐久性をもって円滑に行うことができる眼鏡を提供すること。【解決手段】本発明の眼鏡が適用されたサングラス100は、レンズ30に、電圧の印加により着色を呈する着色領域内にエレクトロクロミック素子60を有する。この構成のサングラス100において、電源基板40は一方のテンプル部23に、制御基板80は他方のテンプル部23に埋設されている。そして、電源基板40の電源と、制御基板80の制御部と、エレクトロクロミック素子60とは、導電部を介して電気的に接続されており、導電部は、リム部21とテンプル部23との連結がヒンジを介してなされている連結部に対応する位置で、可撓性導電部材で構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロクロミック素子を有するレンズを備える眼鏡に関する。
サングラスのような眼鏡(アイウエア)が備えるレンズとして、偏光性を有する偏光膜や、特定の波長領域の光を選択的に反射することで意匠性を付与することが可能なハーフミラー層を備える光学シートを、その表面に有するレンズが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、レンズに、目的とする光学特性を付与するために、かかる光学特性を有する光学シートを、その表面に有するものが提案されている。
また、これとは別に、電圧を印加することで、可逆的に酸化還元反応が起こり、可逆的に色が変化する現象をエレクトロクロミズムと言い、近年、このエレクトロクロミズムを示すエレクトロクロミック材料を用いたエレクトロクロミック素子が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このエレクトロクロミック素子は、例えば、電圧の印加により発色がなされ、エレクトロクロミック素子の短絡により消色して透明となることから、エレクトロクロミック素子に対する電圧の印加と、エレクトロクロミック素子の短絡との切り替えを行うことが可能なスイッチを設けることで、エレクトロクロミック素子における発色と消色とを、任意のタイミングで行い得るようになる。
そこで、このエレクトロクロミック素子を、前述した光学シートに適用すること、すなわち、光学シートとして、エレクトロクロミック素子を有するエレクトロクロミックシートを用いることで、サングラスのような(眼鏡)アイウエアを、スイッチのON/OFFの切り替えにより、このアイウエアが備えるレンズおいて、発色と消色とを、任意のタイミングで切り替えが可能なものとし得ることが考えられる。
しかしながら、このエレクトロクロミックシートにおいて、上記の通り、スイッチのON/OFFにより、すなわち、エレクトロクロミック素子への電圧の印加と短絡との切り替えにより、眼鏡が備えるレンズを、発色と消色との切り替えを行え得るものとするには、電源やスイッチ等を備える回路基板を、眼鏡に内蔵する必要が生じる。
そして、この回路基板を眼鏡に内蔵することを考慮すると、フレームが備えるテンプル部に回路基板を内蔵させることが考えられるが、この場合、エレクトロクロミック素子と回路基板とを電気的に接続するための配線を、フレームが備えるリム部およびブリッジ部に内蔵(埋設)させる必要が生じる。そして、この際に、リム部とテンプル部との連結がヒンジを介してなされている。そのため、ヒンジに対応した位置において、配線を、優れた耐屈曲性をもって、屈曲させることが求められるが、現状では、この耐屈曲性について、配線に十分に付与されているとは言えないのが実情であった。
特開2009-294445号公報 特開2017-167317号公報
本発明の目的は、エレクトロクロミック素子をレンズに備えるものとしたとしても、フレームが備えるリム部とテンプル部との連結がヒンジを介してなされている連結部において、リム部に対するテンプル部の折り畳みを、優れた耐久性をもって円滑に行うことができる眼鏡を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(6)に記載の本発明により達成される。
(1) 一対のレンズと、フレームとを備え、
前記フレームは、1つの前記レンズがそれぞれ装着された一対のリム部と、一対の前記リム部同士を連結するブリッジ部と、一対の前記リム部にヒンジを介してそれぞれ1つずつ連結された一対のテンプル部とを有し、
一対の前記レンズは、それぞれ、電圧の印加により着色を呈する着色領域内に配置されたエレクトロクロミック素子を有する眼鏡であって、
電源と、該電源を備える電源基板と、前記エレクトロクロミック素子の作動を制御する制御部と、該制御部を備える制御基板とを有し、
前記電源基板は、一方の前記テンプル部に埋設され、前記制御基板は、他方の前記テンプル部に埋設されており、
前記電源と、前記制御部と、前記エレクトロクロミック素子とは、導電部を介して電気的に接続されており、
前記導電部は、前記ヒンジに対応する位置において、可撓性を有する可撓性導電部材で構成されることを特徴とする眼鏡。
(2) 前記可撓性導電部材は、フレキシブル配線基板、屈曲ケーブルまたは導電フィルムである上記(1)に記載の眼鏡。
(3) 前記可撓性導電部材は、その耐屈曲性がR=0.5mm以上3.0mm以下である上記(1)または(2)に記載の眼鏡。
(4) 前記制御部の作動パターンの設定を操作する操作部を備え、
前記操作部は、前記制御基板に対して、着脱自在に設けられ、
前記操作部は、前記制御基板に対する装着時に、前記作動パターンの設定を行う上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の眼鏡。
(5) 前記制御部の作動パターンの設定を操作する操作部を備え、
前記制御部と、前記操作部とは、ともに通信機能を備え、
前記操作部は、前記通信機能を介して、前記制御部に接続された状態で、前記作動パターンの設定を行う上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の眼鏡。
(6) 前記電源として、二次電池を備える上記(1)ないし(5)に記載の眼鏡。
本発明によれば、眼鏡を、エレクトロクロミック素子をレンズに備える構成をなすものとしたとしても、フレームが備えるテンプル部に内蔵され、エレクトロクロミック素子を駆動させるために用いられる回路基板と、レンズが備えるエレクトロクロミック素子とを電気的に接続する配線において、フレームが備えるリム部とテンプル部との連結がヒンジを介してなされている連結部に対応する位置で、可撓性を有する可撓性導電部材で構成されている。そのため、前記連結部における、リム部に対するテンプル部の折り畳みを、優れた耐久性をもって円滑に実施することができる。
本発明の眼鏡が適用されたサングラスの実施形態を示す斜視図である。 図1に示すサングラスが備えるレンズを示す平面図である。 図2に示すレンズの主要部分におけるB-B線縦断面図である。 図2に示すレンズが備えるエレクトロクロミック素子を示す縦断面図である。 図1に示すサングラスの概略構成を示すブロック図である。 図1に示すサングラスの回路図である。 図6に示す回路図における制御基板を選択的に示す部分拡大回路図である。 図7に示す制御基板が備えるスイッチング素子を選択的に示す部分拡大回路図である。 図6に示す回路図における操作基板を選択的に示す部分拡大回路図である。 図6に示す回路図における電源基板を選択的に示す部分拡大回路図である。 マイコンモジュールのメモリに記録されたプログラムの運転・停止パターンの一例を示す図である。 操作部が備えるディスプレイにより表示される表示内容の一例を示す図である。 図6に示す回路図における、レンズが備えるエレクトロクロミック素子に接続された配線を選択的に示す部分拡大回路図である。 図13に示すエレクトロクロミック素子に接続された配線の他の構成例を示す部分拡大回路図である。
以下、本発明の眼鏡を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の眼鏡は、エレクトロクロミック素子を備えるレンズを有する眼鏡(アイウエア)に適用されるものであるが、以下では、エレクトロクロミック素子をエレクトロクロミックシートが有し、このエレクトロクロミックシートをレンズに備える眼鏡として、眼鏡(アイウエア)の一例であるサングラスに適用した場合について説明する。
<サングラス>
図1は、本発明の眼鏡が適用されたサングラスの実施形態を示す斜視図である。なお、図1において、サングラスを使用者の頭部に装着した際に、レンズの使用者の目側の面を裏側の面と言い、その反対側の面を表側の面と言う。
サングラス100は、図1に示すように、フレーム20と、フレーム20に装着された一対のレンズ30(眼鏡用レンズ)と、フレーム20に着脱自在に設けられた操作部70(操作パッド)と、を備えている。
なお、本明細書中において、「レンズ(眼鏡用レンズ)」とは、集光機能を有するものと、集光機能を有していないものとの双方を含むこととする。
フレーム20は、使用者の頭部に装着され、レンズ30を使用者の目の前方近傍に配置させるためのものである。
このフレーム20は、リム部21と、ブリッジ部22と、テンプル部23と、ノーズパッド部24とを有している。
リム部21は、リング状をなし、右目および左目にそれぞれ対応して1つずつ設けられており、それぞれの内側にレンズ30が装着される。これにより、使用者は、レンズ30を介して、外部の情報を視認することができる。
このレンズ30は、エレクトロクロミックシート120(エレクトロクロミックウエハ)を、熱曲げ加工することで湾曲形状とされたものとして備え、このエレクトロクロミックシート120が有するエレクトロクロミック素子60への電圧の印加の切り替えにより、任意のタイミングにおける発色と消色とが、可逆的に行われるものである。そして、レンズ30は、リム部21の内側に装着した際に、リム部21にテンプル部23が連結される連結部に対応する位置に、接続端子として機能する第1導電ポスト51および第2導電ポスト52を備えており、この接続端子としての第1導電ポスト51および第2導電ポスト52に、後述する、制御手段として機能する駆動回路200が電気的に接続されている。
また、ブリッジ部22は、棒状をなし、使用者の頭部に装着された際に、使用者の鼻の上部の前方に位置して、一対のリム部21を連結する。
テンプル部23は、つる状をなし、各リム部21のブリッジ部22が連結されている位置の反対側における縁部に連結されている。このテンプル部23は、使用者の頭部に装着する際に、使用者の耳に掛けられる。
このテンプル部23には、図1に示すように、右側(一方)のテンプル部23において、駆動回路200を構成する制御基板80が内蔵され、左側(他方)のテンプル部23において、駆動回路200を構成する電源基板40が内蔵され、制御基板80および電源基板40の作動により、エレクトロクロミックシート120が有するエレクトロクロミック素子60に対する電圧の印加等を行うことができるが、その詳細な説明は、後に行うこととする。
ノーズパッド部24は、サングラス100を使用者の頭部に装着する際に、各リム部21における使用者の鼻に対応する縁部に設けられ、使用者の鼻に当接し、このとき使用者の鼻の当接部に対応した形状をなしている。これにより、装着状態を安定的に維持することができる。
フレーム20を構成する各部の構成材料としては、特に限定されず、例えば、各種金属材料や、各種樹脂材料等を用いることができる。なお、フレーム20の形状は、使用者の頭部に装着し得るものであれば、図示のものに限定されない。
レンズ30は、左右の各リム部21に、それぞれ1つずつ装着されている。なお、図2に示すレンズは、図1に示すサングラス100の右側のリム部21に装着されているレンズである。このレンズ30は、光透過性を有し、全体形状が外側に向って湾曲した板状をなす部材であり、樹脂層35(成形層)と、エレクトロクロミック素子60を有するエレクトロクロミックシート120とを備えている。
樹脂層35は、光透過性を有し、図3に示す通り、レンズ30の下側(裏側)に位置し、レンズ30に、集光機能を付与する際には、この樹脂層35が集光機能を有している。
樹脂層35の構成材料としては、光透過性を有する樹脂材料であれば、特に限定されないが、例えば、各種熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂のような各種硬化性樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられるが、中でも、後述するエレクトロクロミックシート120が備える第2基板12を主材料として構成する樹脂材料と、同種もしくは同一であるのが好ましい。これにより、樹脂層35とエレクトロクロミックシート120との密着性の向上を図ることができる。また、樹脂層35とエレクトロクロミックシート120(第2基板12)との間における屈折率差を低く設定することができるため、樹脂層35とエレクトロクロミックシート120との間において、光が乱反射されるのを的確に抑制または防止し得ることから、優れた光透過率をもって、樹脂層35とエレクトロクロミックシート120との間で光を透過させることができる。なお、樹脂層35とエレクトロクロミックシート120が備える第2基板12との間における屈折率差は、0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。これにより、前記屈折率差を低く設定することで得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。
樹脂層35の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5mm以上5.0mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下であるのがより好ましい。これにより、レンズ30における、比較的高い強度と、軽量化との両立を図ることができる。
<<エレクトロクロミックシート>>
エレクトロクロミックシート120は、加熱下における熱曲げ加工により、湾曲凸面と湾曲凹面とを備える湾曲形状をなすものとして、樹脂層35の外側の面(湾曲凸面)上に接合されるものである。このエレクトロクロミックシート120をレンズ30が備えることで、エレクトロクロミックシート120が有するエレクトロクロミック素子60への電圧の印加の切り替えにより、任意のタイミングにおける発色と消色とが、可逆的に行われる機能を、サングラス100に付与することができる。以下、このエレクトロクロミックシート120について、説明する。
図2は、図1に示すサングラスが備えるレンズを示す平面図、図3は、図2に示すレンズの主要部分におけるB-B線縦断面図、図4は、図2に示すレンズが備えるエレクトロクロミック素子を示す縦断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図2の紙面手前側および図3、図4の上側を「上」、図2の紙面奥側および図3、図4の下側を「下」と言う。さらに、図3において、エレクトロクロミックシート120は、また、図4において、エレクトロクロミック素子60は、それぞれ、実際には湾曲状をなしているが、説明の便宜上、平板状をなすものとして記載している。
このエレクトロクロミックシート120は、前述した機能を発揮させるために、本実施形態では、図2、図3に示すように、第1基板11と、第2基板12と、封止部55と、エレクトロクロミック素子60と、第1導電ポスト51と、第2導電ポスト52と、第1補助電極15と、第2補助電極16と、を備えている。
以下、このエレクトロクロミックシート120を構成する各部材について説明する。
第1基板11は、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材を支持するとともに、第1基板11と、第2基板12との間に、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材を配置させる、エレクトロクロミックシート120の厚さ方向における最外層を構成し、エレクトロクロミック素子60等を保護する保護層としての機能を有している。
エレクトロクロミックシート120において、第1基板11と第2基板12とが、エレクトロクロミックシート120の厚さ方向における最外層を構成することで、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材は、エレクトロクロミックシート120の表面に露出していない。そのため、このエレクトロクロミックシート120を、湾曲形状をなすものとしたエレクトロクロミックシート120をレンズ30が備えるものに適用した際に、エレクトロクロミック素子60に砂ほこりや、さらには雨等が衝突したり、エレクトロクロミック素子60が他の部材等により摩耗されるのを、確実に防止することができる。したがって、この衝突や摩擦により、エレクトロクロミック素子60の特性に悪影響を及ぼすのを確実に防止することができる。
この第1基板11は、透明性を有する樹脂材料を主材料で構成されるものであれば、特に限定されないが、熱可塑性を有する透明樹脂(ベース樹脂)を主材料として含有するものであることが好ましい。
この透明樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等の透明性を備える樹脂が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリカーボネート系樹脂またはポリアミド系樹脂であるのが好ましく、特にポリカーボネート系樹脂であるのが好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富み、さらに耐熱性も高いため、透明樹脂にポリカーボネート系樹脂を用いることで、第1基板11における透明性や第1基板11の耐衝撃性、耐熱性を向上させることができる。
このポリカーボネート系樹脂としては、各種の樹脂を用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、より優れた強度を有する第1基板11を得ることができる。
この芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
(式(1A)中、Xは、炭素数1~18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(1A)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’-(ペンタン-2,2-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ブタン-2,2-ジイル)ジフェノール、1,1’-(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2-シクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3-ビスシクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を用いることにより、第1基板11は、さらに優れた強度を発揮する。
また、第1基板11は、光透過性を有していれば、その色は、無色であっても、赤色、青色、黄色等、如何なる色であってもよい。
これらの色の選択は、第1基板11に染料または顔料を含有させることにより可能になる。この染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
染料の具体例としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35等が挙げられる。
第1基板11は、必要に応じて、上述した、透明樹脂、染料または顔料の他に、さらに、酸化防止剤、フィラー、可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、この第1基板11は、延伸されたものであってもよいし、非延伸のものであってもよい。
さらに、第1基板11の波長589nmでの屈折率は、1.3以上1.8以下であるのが好ましく、1.4以上1.65以下であるのがより好ましい。第1基板11の屈折率n1を上記数値範囲とすることにより、駆動回路200による駆動により、発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替えることができるエレクトロクロミック素子60としての機能を阻害するのを、的確に抑制または防止することができる。
第1基板11は、その平均厚さが好ましくは0.1mm以上10.0mm以下、より好ましくは0.3mm以上5.0mm以下に設定される。第1基板11の平均厚さがかかる範囲内に設定されることで、エレクトロクロミックシート120の薄型化を図りつつ、エレクトロクロミックシート120に撓みが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
第2基板12は、第1基板11と対向して配置されており、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材を支持するとともに、第1基板11と第2基板12との間に、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材を配置させる、エレクトロクロミックシート120の厚さ方向における最外層を構成し、エレクトロクロミック素子60を保護する保護層としての機能を有している。
エレクトロクロミックシート120において、第1基板11と第2基板12とが、エレクトロクロミックシート120の厚さ方向における最外層を構成することで、エレクトロクロミック素子60を含む他の部材は、エレクトロクロミックシート120の表面に露出していない。そのため、このエレクトロクロミックシート120を、湾曲形状をなすものとしたエレクトロクロミックシート120をレンズ30が備えるものに適用した際に、エレクトロクロミック素子60に砂ほこりや、さらには雨等が衝突したり、エレクトロクロミック素子60が他の部材等により摩耗されるのを、確実に防止することができる。したがって、この衝突や摩擦により、エレクトロクロミック素子60の特性に悪影響を及ぼすのを確実に防止することができる。
また、第2基板12を構成する構成材料としては、第1基板11で挙げたのと同様のもので構成することができる。なお、第2基板12の構成材料と、第1基板11の構成材料とは、同一(同種)のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
さらに、この第2基板12は、第1基板11と同様に、延伸されたものであってもよいし、非延伸のものであってもよい。
また、第2基板12の波長589nmでの屈折率は、第1基板11の屈折率n1と、同じであってもよく、異なっていてもよいが、1.3以上1.8以下であるのが好ましく、1.4以上1.65以下であるのがより好ましい。第2基板12の屈折率n2を上記数値範囲とすることにより、駆動回路200による駆動により、発色と消色とを、任意のタイミングで切り替えることができるエレクトロクロミック素子60としての機能を阻害するのを、的確に抑制または防止することができる。
また、第2基板12は、その平均厚さが、第1基板11と、同じであってもよく、異なっていてもよいが、例えば、0.1mm以上10.0mm以下であるのが好ましく、0.3mm以上5.0mm以下であるのがより好ましい。第2基板12の平均厚さがかかる範囲内に設定されることで、エレクトロクロミックシート120の薄型化を図りつつ、エレクトロクロミックシート120に撓みが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
エレクトロクロミック素子60は、駆動回路200による駆動により、発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替え得る発光素子であり、図3に示すように、封止部55により区画された着色領域700に設けられている。
このエレクトロクロミック素子60は、本実施形態では、第1基板11に、第2基板12側に向かって、順次積層された、第1電極13および第1エレクトロクロミック層63と、第2基板12に、第1基板11側に向かって、順次積層された、第2電極14および第2エレクトロクロミック層64と、第1エレクトロクロミック層63と第2エレクトロクロミック層64との間に充填された電解質層65とを備えている(図4参照)。
第1電極13および第2電極14は、それぞれ、エレクトロクロミック素子60にプラス電圧またはマイナス電圧を印加した際に、第1電極13と第2電極14との間に電子を供給するか、または、第1電極13と第2電極14との間から電子を受け取る電極である。
これら第1電極13および第2電極14の構成材料としては、透明性を有する導電材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(F-doped Tin Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第1電極13および第2電極14は、その平均厚さが、エレクトロクロミック層63、64の酸化還元反応に必要な電気抵抗値が得られるように調整され、例えば、第1電極13および第2電極14の構成材料としてITOを用いた場合には、それぞれ独立して、好ましくは50nm以上200nm以下程度、より好ましくは50nm以上110nm以下程度に設定される。
第1エレクトロクロミック層63は、酸化反応によって着色を呈する材料を主材料として含有し、これにより、着色がなされる層である。
この第1エレクトロクロミック層63に、主材料として含まれる、酸化反応によって着色を呈する材料としては、特に限定されず、例えば、トリアリールアミン構造を有するラジカル重合性化合物の重合物、トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体、ビスアクリダン化合物、プルシアンブルー型錯体、ベンジジンおよび酸化ニッケルが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
プルシアンブルー型錯体としては、例えば、Fe(III)[Fe(II)(CN)からなる材料が挙げられる。
これらの中でも、定電圧で動作可能であり、繰返し耐久性に優れ、高コントラストなエレクトロクロミック素子が得られる点から、特に、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含む組成物を重合した重合物が好ましく用いられる。
なお、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物を含む組成物は、トリアリールアミンを有するラジカル重合性化合物とは異なる他のラジカル重合性化合物を含み、かかる組成物を重合した重合物は、これらのラジカル重合性化合物が架橋した架橋物で構成されていてもよい。
このような第1エレクトロクロミック層63の平均厚さは、特に限定されないが、0.1μm以上30μm以下程度であるのが好ましく、0.4μm以上10μm以下程度であるのがより好ましい。
第2エレクトロクロミック層64は、還元反応によって透明から着色を呈するエレクトロクロミック材料を主材料として含有し、これにより、着色がなされる層である。
第2エレクトロクロミック層64は、第1エレクトロクロミック層63と同じ色調のレクトロクロミック材料を用いることが好ましい。これにより、最大発色濃度の向上が図られ、その結果、コントラストを改善することできる。
また、これに対して、異なる色調の材料を用いた場合には、混色が可能となる。また、第1電極13と第2電極14との両極側で、酸化反応と還元反応とにより着色させることで、エレクトロクロミック素子60の駆動電圧を効果的に低減し得ることから、エレクトロクロミック素子60の繰返し耐久性の向上が図れる。
第2エレクトロクロミック層64に、主材料として含まれる、還元反応によって着色を呈する材料としては、特に限定されず、例えば、無機エレクトロクロミック化合物、有機エレクトロクロミック化合物、導電性ポリマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタンなどが挙げられ、中でも、酸化タングステンが好ましい。酸化タングステンは、還元電位が低いことに基づいて、発消色電位が低く、さらに、無機材料であるため耐久性に優れることから、好ましく用いられる。
また、有機エレクトロクロミック化合物としては、例えば、アゾベンゼン系、アントラキノン系、ジアリールエテン系、ジヒドロプレン系、ジピリジン系、スチリル系、スチリルスピロピラン系、スピロオキサジン系、スピロチオピラン系、チオインジゴ系、テトラチアフルバレン系、テレフタル酸系、トリフェニルメタン系、トリフェニルアミン系、ナフトピラン系、ビオロゲン系、ピラゾリン系、フェナジン系、フェニレンジアミン系、フェノキサジン系、フェノチアジン系、フタロシアニン系、フルオラン系、フルギド系、ベンゾピラン系、メタロセン系等の低分子系有機エレクトロクロミック化合物などが挙げられ、中でも、ビオロゲン系化合物、ジピリジン系化合物が好ましい。これらの化合物は、発消色電位が低く、良好な色値を示すことから好ましく、用いられる。
ビオロゲン系化合物としては、例えば、特許第3955641号公報、特開2007-171781号公報等に記載のものが挙げられる。また、ジピリジン系化合物としては、例えば、特開2007-171781号公報、特開2008-116718号公報等に記載のものが挙げられる。
さらに、導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、またはこれらの誘導体等が挙げられる。
このような第2エレクトロクロミック層64の平均厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上5.0μm以下程度であるのが好ましく、1.0μm以上4.0μm以下程度であるのがより好ましい。前記平均厚さが、0.2μm未満であると、エレクトロクロミック材料の種類によっては、発色濃度が得難くなるおそれがあり、5.0μmを超えると、製造コストが増大すると共に、エレクトロクロミック材料の種類によっては、着色によって視認性が低下するおそれがある。
電解質層65は、第1エレクトロクロミック層63と第2エレクトロクロミック層64との間に充填され、イオン電導性を有する電解質を含有するものである。
この電解質としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩や酸類、アルカリ類の支持塩等が挙げられ、具体的には、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiCFCOO、KCl、NaClO、NaCl、NaBF、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの他、電解質の材料としては、イオン性液体を用いることもできる。このイオン性液体の中でも、有機のイオン性液体は、室温を含む幅広い温度領域で液体を示す分子構造を有していることから、取り扱いが容易であるため好ましく用いられる。
有機のイオン性液体の分子構造として、カチオン成分としては、例えば、N,N-ジメチルイミダゾール塩、N,N-メチルエチルイミダゾール塩、N,N-メチルプロピルイミダゾール塩等のイミダゾール誘導体;N,N-ジメチルピリジニウム塩、N,N-メチルプロピルピリジニウム塩等のピリジニウム誘導体;トリメチルプロピルアンモニウム塩、トリメチルヘキシルアンモニウム塩、トリエチルヘキシルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム系等が挙げられる。また、アニオン成分としては、大気中での安定性を考慮して、フッ素を含んだ化合物を用いることが好ましく、例えば、BF 、CFSO 、CFCO 、PF 、PF 、(CFSO、(SOF)等が挙げられる。
このような電解質の材料としては、カチオン成分とアニオン成分とを任意に組み合わせたイオン性液体であることが好ましい。
イオン性液体は、光重合性モノマー、オリゴマー、および液晶材料のいずれかに直接溶解させてもよい。なお、これらの材料に対する溶解性が悪い場合には、少量の溶媒に溶解させた溶液を得た後に、この溶液を光重合性モノマー、オリゴマー、および液晶材料のいずれかと混合することで溶解させてもよい。
溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ-ブチロラクトン、エチレンカーボネート、スルホラン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,2-ジメトキシエタン、1,2-エトキシメトキシエタン、ポリエチレングリコール、アルコール類、またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
第1エレクトロクロミック層63と第2エレクトロクロミック層64との間に、電解質層65として、充填される電解質は、低粘性の液体である場合の他、例えば、ゲル状や高分子架橋型、液晶分散型等の様々な形態をとることが可能である。そして、これらの中でも、電解質は、ゲル状、固体状に形成することが好ましい。これにより、エレクトロクロミック素子60の素子強度向上や、信頼性向上等を図ることができる。
電解質層65を、固体状をなすものとする方法としては、例えば、電解質と溶媒とを含む液体をポリマー樹脂中に保持する方法が好ましい。これにより、電解質層65の高いイオン伝導度と固体強度との双方を得ることができる。また、ポリマー樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂であることが好ましい。これにより、熱重合や、溶媒の気化により固体状をなす電解質層65を得る場合と比較して、低温かつ短時間で、固体状をなす電解質層65ひいてはエレクトロクロミック素子60を得ることができる。
電解質層65の平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは10μm以上100μm以下程度、より好ましくは20μm以上80μm以下程度に設定される。
なお、第1電極13と第2電極14との間における各層の間には、例えば、絶縁性多孔質層、保護層等の中間層が設けられていてもよい。
エレクトロクロミック素子60を、上記のような構成のものとすることで、駆動回路200による駆動により、発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替え得るものとし得る。
なお、本実施形態では、エレクトロクロミック素子60において、第1電極13と第2電極14との間に位置する、第1エレクトロクロミック層63と電解質層65と第2エレクトロクロミック層64とにより、着色層が構成されるが、この着色層は、かかる構成のものに限定されず、電圧の印加により着色を呈するものであればよく、例えば、第1エレクトロクロミック層63と第2エレクトロクロミック層64とのうちいずれか一方が省略されたものであってもよい。
封止部55は、第1基板11と第2基板12との間に配置され、着色領域700を区画して、エレクトロクロミック素子60を、この着色領域700内に封止する機能を有している。
この封止部55の構成材料としては、透明性を有する絶縁性材料であれば、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂材料や、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)、アルミ酸化物(Al)等の無機酸化物等が挙げられる。
封止部55は、その平均厚さが、エレクトロクロミック素子60の平均厚さに応じて調整され、例えば、好ましくは20μm以上100μm以下程度、より好ましくは40μm以上80μm以下程度に設定される。
以上のように、エレクトロクロミックシート120は、第1基板11と第2基板12との間において、封止部55で区画された着色領域700にエレクトロクロミック素子60が配置された構成をなしている。
そして、かかる構成をなすエレクトロクロミックシート120において、エレクトロクロミック素子60が備える第1電極13および第2電極14は、それぞれ、図2、図4に示すように、エレクトロクロミックシート120を備えるレンズ30を、リム部21の内側に装着した際に、リム部21にテンプル部23が連結される連結部に対応する位置において、封止部55で区画された着色領域700を越えて(延伸して)、パターニングされた配線として、引き巡らさられている。
第1導電ポスト51は、上記のように、配線として、着色領域700から延伸して設けられた第1電極13に、平面視で重なるように、封止部55を貫通して設けられた貫通孔である第1スルーホール57を埋めるように設けられている。すなわち、第1基板11と封止部55との間において、配線として着色領域700を越えて設けられた、第1電極13は、第1導電ポスト51に到達するまで延伸されている(図2、図3参照)。
そして、この第1導電ポスト51は、第1補助電極15を介して、第1電極13に、電気的に接続され、さらに、エレクトロクロミックシート120の面方向における端部、すなわちエレクトロクロミックシート120の外周面において、エレクトロクロミックシート120を備えるレンズ30を、リム部21の内側に装着した際に、エレクトロクロミックシート120の平面視で、テンプル部23側(図2、図3における右側)となる位置で露出している。
また、第2導電ポスト52は、配線として、着色領域700から延伸して設けられた第2電極14に、平面視で重なるように、封止部55を貫通して設けられた貫通孔である第2スルーホール58を埋めるように設けられている。すなわち、第2基板12と封止部55との間において、配線として着色領域700を越えて設けられた、第2電極14は、第2導電ポスト52に到達するまで延伸されている(図2、図3参照)。
そして、この第2導電ポスト52は、第2補助電極16を介して、第2電極14に、電気的に接続され、さらに、エレクトロクロミックシート120の面方向における端部、すなわちエレクトロクロミックシート120の外周面において、エレクトロクロミックシート120を備えるレンズ30をリム部21の内側に装着した際に、エレクトロクロミックシート120の平面視で、テンプル部23側(図2、図3における右側)となる位置で、第1導電ポスト51とは異なる位置において、露出している。
このように、エレクトロクロミックシート120の面方向(長手方向)における端部、すなわち、図2に示すように、全体形状が円盤状(厚さの薄い円柱状)をなすエレクトロクロミックシート120の外周面において、エレクトロクロミックシート120の平面視で、テンプル部23側における異なる位置で、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とが露出しており、これら第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とが、それぞれ、第1電極13と第2電極14とに電気的に接続されている。
したがって、エレクトロクロミックシート120の面方向における端部において、エレクトロクロミックシート120(レンズ30)の平面視で、異なる位置で露出する第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とを介して、第1電極13と第2電極14との間に電圧を印加し得る。すなわち、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とを、第1電極13と第2電極14との間に電圧を印加する際の接続端子として用いることができる。この接続端子としての第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とに、制御手段として機能する駆動回路200が電気的に接続されており、この駆動回路200による駆動により、エレクトロクロミック素子60の発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替えることができるが、その詳細については後に説明することとする。
これら第1導電ポスト51および第2導電ポスト52の構成材料としては、導電材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば、銀ペーストのような導電性ペーストが挙げられる他、金および銅等の金属またはその合金等が挙げられる。
また、第1導電ポスト51および第2導電ポスト52は、それぞれ独立して、その平均厚さが好ましくは20μm以上100μm以下程度、より好ましくは40μm以上80μm以下程度に設定される。エレクトロクロミックシート120の面方向における端部で露出する第1導電ポスト51と第2導電ポスト52との平均厚さを、かかる範囲内に設定することで、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とを、第1電極13と第2電極14との間に電圧を印加する際の接続端子として、容易に用いることができる。
なお、第1スルーホール57および第2スルーホール58は、それぞれ、その壁部(内周面)の一部が欠損することで、エレクトロクロミックシート120の面方向における端部において、第1導電ポスト51および第2導電ポスト52の一部が、それぞれ露出しているが、本明細書中では、このような欠損が生じているものも含めてスルーホールと言う。
さらに、第1スルーホール57および第2スルーホール58は、本実施形態では、ともに、封止部55を厚さ方向に貫通する貫通孔としたが、これに限定されず、第1スルーホール57は、第1基板11側から第2基板12側に向かって形成され、その底部に封止部55が残存する穴であってもよいし、第2スルーホール58は、第2基板12側から第1基板11側に向かって形成され、その頂部に封止部55が残存する穴であってもよい。
第1補助電極15は、配線として、着色領域700から延伸して設けられた第1電極13に、第1基板11とは反対側の表面において積層して設けられ、かつ、第1スルーホール57に形成された第1導電ポスト51に、電気的に接続されている。すなわち、第1電極13と第1導電ポスト51との間には、これらを互いに電気的に接続する第1補助電極15が形成されている。
また、第2補助電極16は、配線として、着色領域700から延伸して設けられた第2電極14に、第2基板12とは反対側の表面において積層して設けられ、かつ、第2スルーホール58に形成された第2導電ポスト52に、電気的に接続されている。すなわち、第2電極14と第2導電ポスト52との間には、これらを互いに電気的に接続する第2補助電極16が形成されている。
これら第1補助電極15および第2補助電極16は、それぞれ、第1電極13および第2電極14の抵抗値よりも、その抵抗値が低く設定されている。そのため、第1電極13と第1補助電極15との積層体、および、第2電極14と第2補助電極16との積層体で、それぞれ、エレクトロクロミック素子60に電気的に接続された配線を構成することで、これら配線(積層体)に、より優れた電気導電性を付与することができる。
これら第1補助電極15および第2補助電極16の構成材料としては、それぞれ、第1電極13および第2電極14よりも抵抗値が低いものであれば、特に限定されないが、優れた導電性を備えるものが用いられ、例えば、銀、アルミニウム、銅、クロムおよびモリブデン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第1補助電極15および第2補助電極16は、それぞれ独立して、その平均厚さが好ましくは1nm以上100nm以下程度、より好ましくは5nm以上50nm以下程度に設定される。これにより、第1補助電極15および第2補助電極16に、補助電極としての機能を確実に付与することができる。
かかる構成をなしているエレクトロクロミックシート120の総厚は、特に限定されないが、0.3mm以上10.0mm以下であるのが好ましく、0.5mm以上5.0mm以下であるのがより好ましい。これにより、エレクトロクロミックシート120に優れた強度を付与しつつ、エレクトロクロミックシート120を、湾曲形状をなすエレクトロクロミックシート120に成形する際に、このエレクトロクロミックシート120に優れた熱成形性を付与することができる。
<<駆動回路>>
以上のようなエレクトロクロミックシート120では、その面方向における端部において、エレクトロクロミックシート120(レンズ30)の平面視で、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とは、異なる位置で露出しており、これら第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とに対して、制御手段として機能する駆動回路200が電気的に接続されている。したがって、この駆動回路200による駆動により、エレクトロクロミックシート120が備えるエレクトロクロミック素子60の発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替えることができる。以下、この駆動回路200について、説明する。
図5は、図1に示すサングラスの概略構成を示すブロック図、図6は、図1に示すサングラスの回路図、図7は、図6に示す回路図における制御基板を選択的に示す部分拡大回路図、図8は、図7に示す制御基板が備えるスイッチング素子を選択的に示す部分拡大回路図、図9は、図6に示す回路図における操作基板を選択的に示す部分拡大回路図、図10は、図6に示す回路図における電源基板を選択的に示す部分拡大回路図、図11は、マイコンモジュールのメモリに記録されたプログラムの運転・停止パターンの一例を示す図、図12は、操作部が備えるディスプレイにより表示される表示内容の一例を示す図、図13は、図6に示す回路図における、レンズが備えるエレクトロクロミック素子に接続された配線を選択的に示す部分拡大回路図、図14は、図13に示すエレクトロクロミック素子に接続された配線の他の構成例を示す部分拡大回路図である。
駆動回路200は、エレクトロクロミックシート120が備えるエレクトロクロミック素子60の発色(着色)と消色とを、任意のタイミングで切り替えるためにサングラス100が備えるものであり、本実施形態では、図5に示すように、電源回路41と、操作回路71と、制御部81と、EC駆動回路85とを有している。
このような駆動回路200において、電源回路41は、左側のテンプル部23に内蔵(埋設)された電源基板40が備えており、制御部81およびEC駆動回路85は、右側のテンプル部23に内蔵(埋設)された制御基板80が備え、さらに、操作回路71は、配線301を介して着脱自在に連結された操作部70に内蔵された操作基板73が備える構成となっている(図1参照)。そして、使用者のサングラス100の装着時には、操作部70をフレーム20から脱離させて使用される。そのため、テンプル部23に内蔵された電源基板40および制御基板80の小型化を図り得るため、サングラス100に、優れた意匠性を付与することができる。
なお、電源基板40および制御基板80により、サングラス100(フレーム20)に内蔵された回路基板が構成される。
電源回路41は、左側のテンプル部23に内蔵(埋設)された電源基板40が備え、制御基板80が備える制御部81およびEC駆動回路85に電力を供給するためのものである。
この電源回路41は、本実施形態では、図6、図10に示すように、コネクタ47および配線311を介して電気的に接続された二次電池45とDC/DCコンバータ46とを有し、DC/DCコンバータ46が配線311を介して、コネクタ48に電気的に接続され、このコネクタ48が配線321を介して、制御基板80が備えるコネクタ89Aに電気的に接続されている。これにより、電源回路41から、制御基板80が備えるEC駆動回路85および制御部81に電力が供給される。
なお、本実施形態では、図10に示すように、二次電池45のDC3Vの電力がDC/DCコンバータ46において、DC5Vの電力に昇圧された後に、このDC5Vの電力で制御基板80に供給される。
ここで、本実施形態では、制御基板80が備える制御部81およびEC駆動回路85に、電力を供給するための電源として、二次電池45(充電池)が用いられている。
この二次電池45は、図10に示す構成では、上記の通り、DC3Vの電圧のものであるが、二次電池45としては、例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素電池、ナトリウムイオン電池等が挙げられるが、その小型化、容量等を考慮した場合、リチウムイオン電池が好ましい。そのため、二次電池45の電圧は、DC3.0V以上4.0V以下程度であることが想定される。したがって、DC/DCコンバータ46を用いたDC5V程度への電圧の昇圧を容易に行うことができる。
また、二次電池45として、リチウムイオン電池を用いた場合、二次電池45により流すことができる最大の電流値は、800mA程度であることが想定される。
これに対して、上記のような構成をなすエレクトロクロミック素子60による消費電流は75mA程度であり、後述するような構成をなす制御部81およびEC駆動回路85を備える制御基板80による消費電流は150mA程度であると想定される。
さらに、この場合、二次電池45における電池容量は、400mA・h程度であり、制御基板80による使用を想定すると、5V×400mA・h=2000mW・h程度の能力を有すると言える。
これに対して、上記のような構成をなすエレクトロクロミック素子60による消費電力は230mW程度であり、後述するような構成をなす制御部81およびEC駆動回路85を備える制御基板80による消費電力は530mW程度であると想定される。
したがって、上記のような電圧、最大の電流値および電池容量を示す二次電池45(リチウムイオン電池)であれば、電源回路41の小型化を図りつつ、制御部81およびEC駆動回路85の駆動、さらにはエレクトロクロミック素子60の駆動に必要な電力を、十分量で長時間に亘って供給することができる。
かかる構成をなす電源回路41とすれば、このものを備える電源基板40は、その大きさが幅20mm×長さ40mm×高さ5mm程度の小型化が図られたものに設計される。したがって、この電源基板40をテンプル部23に内蔵したとしても、サングラス100に、優れた意匠性を付与することができる。
また、電源回路41は、電源として二次電池45の他に、さらに太陽電池を備えることが好ましい。これにより、使用者によるサングラス100の装着時における、制御部81およびEC駆動回路85、さらにはエレクトロクロミック素子60の駆動時間の長時間化を図ることができる。
さらに、太陽電池が二次電池45と同様に、上記のような電圧、最大の電流値および電池容量を示すのであれば、電源回路41は、電源として、二次電池45に代えて太陽電池を単独で備えるものであってもよい。
なお、エレクトロクロミック素子60、制御部81およびEC駆動回路85の構成を簡略化が図られたものとして、その駆動を低電圧・低電流で行え得るものとした場合には、二次電池45に代えて、DC1.5V程度の乾電池(ボタン電池)を電源として用いてもよい。すなわち、電源として、DC1.5V以上4.0V以下程度の電池を用いることができる。
制御部81は、右側のテンプル部23に内蔵(埋設)された制御基板80が備えており、EC駆動回路85の作動、ひいてはエレクトロクロミックシート120(ECシート)が備えるエレクトロクロミック素子60(EC素子)の発色と消色とを制御するものであり、本実施形態では、図6、図7に示すように、電圧レギュレータ82とマイコンモジュール83とを有している。
電圧レギュレータ82は、コネクタ89Aに配線381とスイッチ395を介して電気的に接続され、さらに、マイコンモジュール83に配線382を介して電気的に接続されており、これにより、電圧レギュレータ82により降圧された電力がマイコンモジュール83に供給される。
マイコンモジュール83は、CPUのようなプロセッサ、ROM、RAMのようなメモリ、I/Oインターフェース等を有し、電圧レギュレータ82により供給された電力により、プロセッサを作動させることで、プロセッサは、メモリに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行し、これにより、EC駆動回路85の作動を制御する。
本実施形態では、図7に示すように、電源基板40(電源回路41)から、コネクタ89A、配線381を介して供給されたDC5Vの電力が、電圧レギュレータ82において、DC3.3Vの電力に降圧された後に、配線382を介して、マイコンモジュール83に供給されることから、マイコンモジュール83は、DC3.3Vの電力で作動する。
このように、制御部81の駆動電圧は、電源回路41が備えるDC/DCコンバータ46で昇圧された電圧以下である。このような電圧の大きさの関係で、制御部81を駆動させる構成とすることで、制御部81の回路構成を単純なものとし得るため、制御部81ひいては制御基板80の小型化を実現することができる。
また、EC駆動回路85は、制御部81と同様に、制御基板80が備えており、制御部81による制御による作動により、エレクトロクロミックシート120(ECシート)が備えるエレクトロクロミック素子60(EC素子)の発色と消色とを制御するものであり、本実施形態では、図6、図7に示すように、電圧リファレンス86と、D/Aコンバータ87と増幅回路88と、スイッチング素子89とを有している。
電圧リファレンス86は、コネクタ89Aに配線381とスイッチ395を介して電気的に接続され、さらに、D/Aコンバータ87に配線383を介して電気的に接続されており、これにより、電圧リファレンス86により降圧された電圧値で電力がD/Aコンバータ87に供給される。
D/Aコンバータ87には、配線384を介して、マイコンモジュール83が接続されており、メモリから読み込まれたプログラムがプロセッサにより実施され、このプログラムに記録された電圧値がデジタル信号として、マイコンモジュール83からD/Aコンバータ87に伝達され、D/Aコンバータ87は、このデジタル信号の電圧値を、アナログ信号の電圧値に変換する。このとき、D/Aコンバータ87には、電圧リファレンス86により降圧された電力が供給されている。そのため、降圧された電力の電圧値をリファレンスとして用いることで、D/Aコンバータ87は、デジタル信号の電圧値から、アナログ信号の電圧値に、優れた精度で変換することができる。
増幅回路88は、D/Aコンバータ87に配線385を介して電気的に接続され、さらに、コネクタ89Aに配線381とスイッチ395を介して電気的に接続されている。これにより、D/Aコンバータ87により変換されたアナログ信号の電圧値が、配線381を介して供給される電圧を元に駆動する増幅回路88によって増幅される。そして、増幅されたアナログ信号の電圧値を、配線386を介して、スイッチング素子89に出力する。
スイッチング素子89には、配線387を介して、マイコンモジュール83が接続されており、メモリから読み込まれたプログラムがプロセッサにより実施され、このプログラムに記録されたエレクトロクロミック素子60に対する電圧の印加のタイミングが、マイコンモジュール83からスイッチング素子89に伝達される。
このスイッチング素子89は、本実施形態では、4チャンネルのスイッチング素子であり、図8に示すように、全てのスイッチがOFFであるときに、マイコンモジュール83の作動により、1の位置の2つのスイッチ(チャンネル)がONに切り替えられることで、エレクトロクロミック素子60に対して、正電圧(順電圧)が印加され、また、マイコンモジュール83の作動により、2の位置の2つのスイッチ(チャンネル)がONに切り替えられることで、エレクトロクロミック素子60に対して、逆電圧が印加され、さらに、マイコンモジュール83の作動により、3の位置の2つのスイッチ(チャンネル)がONに切り替えられることで、エレクトロクロミック素子60が短絡し、さらには、マイコンモジュール83の作動により、4の位置の2つのスイッチがONに切り替えられることで、エレクトロクロミック素子60が開放するようになっている。ここで、エレクトロクロミック素子60が開放するとは、スイッチング素子89の4の位置の2つのスイッチの操作により、エレクトロクロミック素子60が備える第1電極13と第2電極14とが、配線等を介して電気的に接続されていない状態のことを言う。
なお、EC駆動回路85の簡略化を図る場合には、4チャンネルのスイッチング素子89に代えて、3チャンネルのスイッチング素子を、EC駆動回路85が備えるスイッチング素子として用いることができる。この場合、4チャンネルのスイッチング素子89における、4の位置の2つのスイッチが省略されたものが、3チャンネルのスイッチング素子として用いられる。すなわち、エレクトロクロミック素子60を開放するスイッチ(チャンネル)が省略される。
また、このスイッチング素子89には、配線386を介して、増幅回路88により増幅された電圧値の電力が供給されている。そのため、マイコンモジュール83の作動により、スイッチング素子89が、1の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60に対して、この電圧値の正電圧(順電圧)が印加され、また、マイコンモジュール83の作動により、スイッチング素子89が、2の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60に対して、この電圧値の逆電圧が印加される。
なお、スイッチング素子89は、コネクタ89Bを介して、プラス端子が第1導電ポスト51に接続され、マイナス端子が第2導電ポスト52に接続されている(図6参照)。これにより、マイコンモジュール83の作動により、上記の通り、スイッチング素子89が、1の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60に対して、正電圧が印加され、また、スイッチング素子89が、2の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60に対して、逆電圧が印加される。さらに、スイッチング素子89が、3の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60が短絡される。さらには、スイッチング素子89が、4の位置の2つのスイッチをONに切り替えた際には、エレクトロクロミック素子60が開放する。
このように、かかる構成をなすスイッチング素子89のチャンネルを、マイコンモジュール83(制御部81)の作動により、切り替えることで、エレクトロクロミック素子60に正電圧(順電圧)を印加する正電圧モードと、エレクトロクロミック素子60に逆電圧を印加する逆電圧モードと、エレクトロクロミック素子60が短絡する短絡モードと、エレクトロクロミック素子60が開放する開放モードとを、任意のタイミングで切り替えることができる。また、各モードの切り替えを、マイコンモジュール83(制御部81)の作動による、スイッチング素子89のチャンネル(スイッチ)の切り替えにより実施していることから、優れた応答性をもって行うことができる。すなわち、エレクトロクロミック素子の発色と消色との切り替えを、優れた応答性をもって実施することができる。
また、上記の通り、スイッチング素子89には、マイコンモジュール83(制御部81)の作動により、増幅回路88で増幅された電圧値の電力が供給されている。そのため、マイコンモジュール83の作動により、増幅回路88で増幅される電力の電圧値を、所定の大きさに設定することで、正電圧モードにおいて、エレクトロクロミック素子60に印加する正電圧の大きさと、逆電圧モードにおいて、エレクトロクロミック素子60に印加する逆電圧の大きさとを、任意のタイミングで変更することができる。したがってかかる点からも、エレクトロクロミック素子の発色と消色との切り替えを、優れた応答性をもって実施することができる。
さらに、スイッチング素子89のチャンネル(スイッチ)の切り替えによる各モードのうち、正電圧モードを選択することで、エレクトロクロミック素子60が発色し、開放モードを選択することで、エレクトロクロミック素子60の発色が維持され、逆電圧モードまたは短絡モードを選択することで、エレクトロクロミック素子60が消色することとなる。このように、逆電圧モードと短絡モードとは、ともに、エレクトロクロミック素子60の消色を行うモードであるが、その応答性は、逆電圧モードの方が高く、短絡モードの方が低い。さらに、これらの双方を組み合わせることで、より優れた応答性を得ることができる。そのため、例えば、図11に示す運転・停止パターンIIにおける運転停止の後のように、1秒のような短時間(時間e)の逆電圧モードの後に、短絡モードを実施する。また、図11に示す運転・停止パターンIIIにおける運転停止の後のように、2、3秒のような短時間(時間d)の短絡モードを実施し、その後、1秒のような短時間(時間e)の逆電圧モードの後に、短絡モードを実施する。これにより、さらに優れた応答性をもって、エレクトロクロミック素子60を消色させることができる。また、逆電圧モードが短時間(時間e)の逆電圧の印加で実施され、エレクトロクロミック素子60に対する負荷影響を最小限に止めることができるため、エレクトロクロミック素子60の耐久性の向上が図られる。
なお、本実施形態では、図7に示すように、電源基板40(電源回路41)から、コネクタ89A、配線381を介して供給されたDC5Vの電力が、電圧レギュレータ82において、DC3.3Vの電力に降圧された後に、配線382を介して、スイッチング素子89に供給されることから、スイッチング素子89は、DC3.3Vの電力で作動する。
また、電源基板40(電源回路41)から、コネクタ89A、配線381を介して供給されたDC5Vの電力が、電圧リファレンス86において、DC3.3Vの電力に降圧された後に、配線383を介して、D/Aコンバータ87にリファレンスとして供給されることから、D/Aコンバータ87は、DC3.3Vの電力をリファレンスとして用いるとともに、DC3.3Vの電力で作動する。
さらに、電源基板40(電源回路41)から、コネクタ89A、配線381を介して供給されたDC5Vの電力が、増幅回路88に供給されることから、増幅回路88は、DC5Vの電力で作動して、D/Aコンバータ87により変換された、アナログ信号の電圧値を増幅させる。
また、かかる構成をなす制御部81およびEC駆動回路85を備える制御基板80は、コネクタ89Aと各部材とを電気的に接続する配線381の途中にスイッチ395を備え、マイコンモジュール83を接地する配線389の途中にスイッチ396を備えており、これらスイッチ395、396がテンプル部23の表面から露出するように設けられている。これにより、操作者がスイッチ395を単独でONに切り替えた際には、制御基板80が備える、マイコンモジュール83を除く、各部材に電力が供給され、また、スイッチ395、396の双方をONに切り替えた際には、制御基板80が備える、各部材に電力が供給されることとなる。
以上のような回路構成をなしている制御部81およびEC駆動回路85を備える制御基板80とすることで、この制御基板80は、その大きさが幅20mm×長さ50mm×高さ5mm程度の小型化が図られたものに設計される。したがって、この制御基板80をテンプル部23に内蔵したとしても、サングラス100に、優れた意匠性を付与することができる。
また、上記の通り、スイッチング素子89は、コネクタ89Bを介して、プラス端子が第1導電ポスト51に接続され、マイナス端子が第2導電ポスト52に接続されているが(図6参照)、その具体的な構成は、以下に示す通りとなっている。
ここで、本実施形態では、前述の通り、エレクトロクロミックシート120の面方向(長手方向)における端部において、エレクトロクロミックシート120の平面視で、テンプル部23近傍における異なる位置で、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とが露出している(図2、図13参照)。なお、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とは、図13に示すように、左右のレンズ30において同様に、テンプル部23近傍における異なる位置で露出している。
かかる構成をなす左右のレンズ30に対して、右側(一方)のテンプル部23に内蔵された制御基板80が備えるスイッチング素子89のプラス端子は、コネクタ89Bおよび配線361を介して、右側(一方)のレンズ30(エレクトロクロミック素子60)が備える第1導電ポスト51に、電気的に接続され、また、スイッチング素子89のマイナス端子は、コネクタ89Bおよび配線362を介して、左側(他方)のレンズ30(エレクトロクロミック素子60)が備える第2導電ポスト52に電気的に接続されている。そして、左側のレンズ30が備える第1導電ポスト51と、右側のレンズ30が備える第2導電ポスト52とは、配線363を介して、電気的に接続されている(図6、図13参照)。これにより、右側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60と、左側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60とが、スイッチング素子89に対し、配線361~363およびコネクタ89Bを介して、直列接続で電気的に接続される。
このようにして、左右のレンズ30でそれぞれ露出している第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とに対して、左右のエレクトロクロミック素子60同士が直列接続で電気的に接続されるように、3つの配線361~363を分岐点が形成されることなく接続することで、右側のリム部21におけるテンプル部23近傍の領域には、3つの配線361~363が埋設されることになる。これに対して、右側のリム部21のそれ以外の領域、左側のリム部21およびブリッジ部22には、2つの配線362、363だけが埋設されることになる。このように、リム部21およびブリッジ部22に埋設される配線を、単純な構成をなすものとすることができる。
また、前述の通り、エレクトロクロミックシート120の面方向(長手方向)における端部において、第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とが露出している位置は、図13に示すような構成の場合の他、図14に示すような構成(他の構成例)についても挙げられる。
すなわち、他の構成例では、右側(一方)および左側(他方)のレンズ30の双方において、エレクトロクロミックシート120の平面視で、第1導電ポスト51は、右側のテンプル部23近傍で露出しており、第2導電ポスト52は、左側のテンプル部23近傍で露出している。
この他の構成例の左右のレンズ30においても、スイッチング素子89のプラス端子は、コネクタ89Bおよび配線361を介して、右側のレンズ30が備える第1導電ポスト51に電気的に接続され、また、スイッチング素子89のマイナス端子は、コネクタ89Bおよび配線362を介して、左側のレンズ30が備える第2導電ポスト52に電気的に接続されている。そして、左側のレンズ30が備える第1導電ポスト51と、右側のレンズ30が備える第2導電ポスト52とは、配線363を介して、電気的に接続されている(図6、図14参照)。これにより、右側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60と、左側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60とが、スイッチング素子89に対し、配線361~363およびコネクタ89Bを介して、直列接続で電気的に接続される。
このようにして、左右のレンズ30でそれぞれ露出している第1導電ポスト51と第2導電ポスト52とに対して、左右のエレクトロクロミック素子60同士が直列接続で電気的に接続されるように、3つの配線361~363を分岐点が形成されることなく接続することで、右側のリム部21におけるテンプル部23近傍の領域には、2つの配線361、362が埋設され、リム部21におけるそれ以外の領域には、1つの配線362だけが埋設され、ブリッジ部22には、2つの配線362、363が埋設されることになる。このように、他の構成例のレンズ30としても、リム部21およびブリッジ部22に埋設される配線を、単純な構成をなすものとすることができる。
以上のように、右側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60と左側のレンズ30が備えるエレクトロクロミック素子60とを、直列接続で電気的に接続することで、リム部21およびブリッジ部22に埋設される配線を、単純な構成をなすものとすることができる。そのため、サングラス100に、優れた意匠性を付与することができる。
ここで、上述の通り、サングラス100において、電源回路41を備える電源基板40は、左側のテンプル部23に内蔵され、制御部81およびEC駆動回路85を備える制御基板80は、右側のテンプル部23に内蔵され、さらに、エレクトロクロミックシート120(エレクトロクロミック素子60)を備えるレンズ30は、リム部21の内側に装着されている。
したがって、図6、図13、図14に示す構成では、これら電源回路41、制御部81およびEC駆動回路85、ならびに、エレクトロクロミックシート120(エレクトロクロミック素子60)を電気的に接続するための配線(導電部)のうち、配線321が、左側のテンプル部23とリム部21とを連結する連結部を通過し、配線361、362が、右側のテンプル部23とリム部21とを連結する連結部を通過することとなる。
そして、サングラス100において、テンプル部23をリム部21に対して折り畳み(回動)可能なものとするために、テンプル部23とリム部21との連結部では、これら同士の連結がヒンジ(回動支持部)を介してなされている。
そのため、リム部21に対するテンプル部23の折り畳みを実施することが可能なように、左側のテンプル部23側では、テンプル部23とリム部21とを連結する連結部(ヒンジ)に対応する位置において、この位置を通過する配線321は、可撓性導電部材で構成されている。また、右側のテンプル部23側では、テンプル部23とリム部21とを連結する連結部に対応する位置において、この位置を通過する配線361、362は、可撓性導電部材で構成されている。これにより、テンプル部23とリム部21とを連結する連結部(ヒンジ)に対応する位置に配線が通過していたとしても、テンプル部23とリム部21との連結部における、リム部21に対するテンプル部23の折り畳みを円滑に実施することができる。
この可撓性導電部材は、導電性を有し、かつ、可能性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、好ましくは、フレキシブル配線基板、屈曲ケーブルおよび導電フィルムのうちのいずれかで構成される。これにより、テンプル部23とリム部21とを連結する連結部(ヒンジ)に対応する位置に配置される可撓性導電部材としての機能を、優れた耐久性をもって確実に発揮させることができる。
また、可撓性導電部材は、その耐屈曲性がR=0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、R=1.5mm以上2.5mm以下であることがより好ましい。これにより、前記連結部における、リム部21に対するテンプル部23の折り畳みを、より優れた耐久性をもって、より円滑に実施することができる。
なお、可撓性導電部材の耐屈曲性を示すR(mm)は、JIS C 5016で規定される「フレキシブルプリント配線板の耐屈曲性、耐折性試験方法」に基づいて、可撓性導電部材の流れ方向(MD、長さ方向)に対する、曲率半径R(mm)での耐屈曲性試験を実施したとき、10,000回以上の屈曲に可撓性導電部材が耐性を有することを示す。
なお、可撓性導電部材を、フレキシブル配線基板で構成する場合、その厚さは、好ましくは0.01μm以上10.0μm以下程度、より好ましくは0.1μm以上5.0μm以下程度に設定され、その幅は、好ましくは0.05mm以上50.0mm以下程度、より好ましくは0.1mm以上30.0mm以下程度に設定される。
また、可撓性導電部材を、屈曲ケーブルで構成する場合、その絶縁部を含む全体の外径は、好ましくはφ0.2mm以上20.0mm以下程度、より好ましくはφ1.0mm以上15.0mm以下程度に設定され、その導電部の外径は、好ましくはφ0.1mm以上10.0mm以下程度、より好ましくはφ0.5mm以上13.0mm以下程度に設定される。
さらに、可撓性導電部材を、導電フィルムで構成する場合、その厚さは、好ましくは0.1μm以上1000μm以下程度、より好ましくは1.0μm以上800μm以下程度に設定され、その幅は、好ましくは0.05mm以上50.0mm以下程度、より好ましくは0.1mm以上30.0mm以下程度に設定される。
フレキシブル配線基板、屈曲ケーブルおよび導電フィルムの厚さ等の大きさを、それぞれ前記範囲内に設定することで、可撓性導電部材の耐屈曲性Rを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
なお、配線321、361、362は、テンプル部23とリム部21とを連結する連結部に対応する位置において、可撓性導電部材で構成されていればよく、例えば、この連結部に対応する位置において、選択的に可撓性導電部材で構成されるものであってもよいし、その全体が可撓性導電部材で構成されるものであってもよい。
また、操作回路71は、配線301を介してフレーム20に対して着脱自在に連結された操作部70の躯体に内蔵された操作基板73が備えており、配線301を介したフレーム20に対する操作部70の装着時に、前述した制御基板80が備えるコネクタ89Cと、操作基板73が備えるコネクタ79Aとが、配線301を介して電気的に接続される。なお、制御基板80において、コネクタ89Cは、配線388を介してマイコンモジュール83に電気的に接続されている。そのため、フレーム20に対する操作部70の連結により、操作回路71とマイコンモジュール83とは、電気的に接続される。
そして、この装着時において、操作回路71は、マイコンモジュール83が有するメモリに記憶されたプログラムを選択し、さらに、選択されたプログラムの条件を設定するために用いられるもの、すなわち、制御部81の作動パターンの設定を行うものであり、本実施形態では、図6、図9に示すように、運転・調整スイッチ74と、運転・停止パターンスイッチ75と、アップスイッチ76と、ダウンスイッチ77と、設定切替スイッチ78と、ディスプレイ72とを有している。
なお、各スイッチ74~78と、ディスプレイ72と、コネクタ79Aとは、配線371を介して、DCジャック373とスイッチ372とに電気的に接続されており、DCジャック373に連結された、AC/DCアダプター(図9には図示せず)から、スイッチ372をONに切り替えることで、これらに電力が供給される。
運転・調整スイッチ74は、駆動回路200(制御部81)の切り替えを行うスイッチ(ボタン)であり、具体的には、駆動回路200を作動させて、エレクトロクロミック素子60の発色と消色とを行い調色する運転モード(RUN)と、駆動回路200を停止させて、エレクトロクロミック素子60の調色を行わない停止モード(END)と、駆動回路200を作動させる条件、すなわち、エレクトロクロミック素子60の発色と消色とを行うタイミングを調整する調整モード(ADJ)との切り替えを、スイッチを繰り返して押下することで実施することができる。
運転・停止パターンスイッチ75は、運転・調整スイッチ74が運転モード(RUN)または停止モード(END)であるときに、マイコンモジュール83が備えるメモリに記憶された各種プログラムの選択を行うスイッチ(ボタン)であり、例えば、図11に示す、運転・停止パターンI(PT1)と、運転・停止パターンII(PT2)と、運転・停止パターンIII(PT3)とのうちのいずれかを、スイッチを繰り返して押下することで選択することができる。
アップスイッチ76と、ダウンスイッチ77とは、運転・停止パターンスイッチ75で選択した運転・停止パターンI~IIIにおける電圧、時間等の条件を設定するスイッチであり、設定切替スイッチ78は、この電圧、時間等のうち設定を行う条件を選択するスイッチである。具体的には、例えば、運転・停止パターンI~IIIにおける電圧の大きさを設定する場合、まず、設定切替スイッチ78を用いて、電圧の大きさを設定するモードを選択し、その後、アップスイッチ76と、ダウンスイッチ77とを用いて、エレクトロクロミック素子60に印加する電圧の大きさを選択することで実施することができる。
ディスプレイ72は、各スイッチ74~78を用いて選択されたマイコンモジュール83のプロセッサにより実行させるプログラムの条件を表示する表示素子であり、例えば、図12に示すように、調整モード(ADJ)、運転・停止パターンI(PT1)、条件a~dが表示される。
(駆動回路が備える操作回路を用いた設定方法)
以上のような操作回路71(操作部70)を用いた、エレクトロクロミックシート120が備えるエレクトロクロミック素子60の発色と消色とを行うタイミングを設定する設定方法は、例えば、以下のようにして実施される。
なお、以下では、マイコンモジュール83が有するメモリに記憶されたプログラムとして、運転・停止パターンIのものを選択し、さらに、運転・停止パターンIにおける各条件を設定する場合を、一例に説明する。
(第1工程)
まず、操作者は、操作部70(操作パッド)を、配線301を介して、サングラス100が備えるフレーム20に対して連結させる。
これにより、フレーム20のテンプル部23に内蔵された制御基板80が備えるコネクタ89Cと、操作部70に内蔵された操作基板73が備えるコネクタ79Aとが、配線301を介して電気的に接続されることから、操作部70と操作基板73(操作回路71)が備えるマイコンモジュール83とが電気的に接続される。
なお、操作者は、操作部70のフレーム20に対する連結の前後において、操作基板73が備えるスイッチ372と、制御基板80が備えるスイッチ395、396とをONに切り替えておく。
(第2工程)
次に、操作者は、操作部70の操作により、マイコンモジュール83が有するメモリに記憶されたプログラムとして、運転・停止パターンI~IIIのうち運転・停止パターンIのものを選択する。
(2-1)まず、操作者は、運転・調整スイッチ74を押下して、エレクトロクロミック素子60の発色と消色とを行うタイミングを調整する調整モード(ADJ)を選択する。
(2-2)次いで、操作者は、運転・停止パターンスイッチ75を押下して、各種プログラムのうち、運転・停止パターンIのプログラムを選択する。
(第3工程)
次に、操作者は、操作部70の操作により、運転・停止パターンIにおける各条件を設定する。
(3-1)まず、操作者は、設定切替スイッチ78を押下して、各条件のうち、エレクトロクロミック素子60に印加する電圧値aの大きさを設定するモードを選択し、その後、アップスイッチ76とダウンスイッチ77とのうちいずれかを押下することで、電圧値aの大きさを所定の大きさに設定する。
(3-2)次いで、操作者は、設定切替スイッチ78を押下して、各条件のうち、前記電圧値aで印加する時間bの長さを設定するモードを選択し、その後、アップスイッチ76とダウンスイッチ77とのうちいずれかを押下することで、時間bの長さを所定の大きさに設定する。
(3-3)次いで、操作者は、設定切替スイッチ78を押下して、各条件のうち、エレクトロクロミック素子60に印加する電圧値cの大きさを設定するモードを選択し、その後、アップスイッチ76とダウンスイッチ77とのうちいずれかを押下することで、電圧値cの大きさを所定の大きさに設定する。
以上のような第2の工程および第3の工程を経ることで、マイコンモジュール83が有するメモリに記憶されたプログラムとして、運転・停止パターンIのものを選択し、さらに、運転・停止パターンIにおける各条件を設定することができる。
その後、操作者は、運転・調整スイッチ74を押下して、運転モード(RUN)を選択することで、上記で設定した条件で運転・停止パターンIのプログラムが、マイコンモジュール83が備えるプロセッサにより実行される。そして、操作者による運転・調整スイッチ74の押下により、停止モード(END)を選択することにより、マイコンモジュール83が備えるプロセッサによる、エレクトロクロミック素子60に対する電圧の印加が停止される。
なお、上記の後に、サングラス100が備えるフレーム20から操作部70が離脱され、さらに、制御基板80が備えるスイッチ395、396がOFFとされて、サングラス100が保管される。その後、サングラス100の使用時に、スイッチ395をONに切り替えると、制御基板80は、停止モード(END)の状態となり、さらに、スイッチ396をONに切り替えると、制御基板80は、運転モード(RUN)の状態となり、これにより、上記で設定した条件で運転・停止パターンIのプログラムが、マイコンモジュール83が備えるプロセッサにより実行される。よって、駆動回路200による駆動により、エレクトロクロミック素子60は、運転・停止パターンIのプログラムに従って、発色(着色)と消色とが切り替えられる。
そして、スイッチ396をONからOFFに切り替えると、再度、制御基板80は、停止モード(END)の状態となる。なお、停止モード(END)においては、制御基板80が備える制御部81(マイコンモジュール83)は、スイッチング素子89の作動を制御して、スイッチング素子89における3の位置の2つのスイッチをONに切り替えることで、エレクトロクロミック素子60を短絡させている。
以上のような第1工程~第3工程を実施することで、マイコンモジュール83が有するメモリに記憶されたプログラムとして、運転・停止パターンIのものが選択され、さらに、運転・停止パターンIにおける各条件が設定される。すなわち、エレクトロクロミック素子60の作動パターンが設定される。そして、この設定の後に、サングラス100は、操作部70をフレーム20から脱離させて使用される。そのため、テンプル部23に内蔵された電源基板40および制御基板80の小型化を図り得るため、サングラス100に、優れた意匠性を付与することができる。
なお、上記の設定方法では、マイコンモジュール83が有するメモリにはプログラムとして、運転・停止パターンI~IIIが記憶され、これらのうち、運転・停止パターンIを選択する設定方法について説明したが、メモリに記憶されるプログラムとしては、運転・停止パターンI~IIIのものに限定されず、エレクトロクロミック素子60の発色時に正電圧モードが選択され、また、エレクトロクロミック素子60の発色を維持する時に開放モードが選択され、さらに、エレクトロクロミック素子60の消色時に逆電圧モードまたは短絡モードが選択される運転・停止パターンであれば、いかなるものが記憶されていてもよい。具体的には、この運転・停止パターンとしては、例えば、図11に示した運転・停止パターンI~IIIにおける、「運転停止」より前の3つの運転パターンと、「運転停止」より後の3つの停止パターンとを、運転・停止パターンI~IIIを除く、任意の組み合わせで組み合わせた6つのものが挙げられる。
以上、本発明の眼鏡について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、眼鏡を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
例えば、サングラス100が備えるレンズ30は、集光機能を有するものであっても、集光機能を有していないもののいずれであってもよい。
また、前記実施形態では、レンズ30を備える眼鏡を、サングラス100に適用することとしたが、これに限定されず、この眼鏡は、例えば、度付き眼鏡、伊達メガネ、風雨、塵芥、薬品等から眼を保護するゴーグル等であってもよい。
また、例えば、エレクトロクロミックシート120が備えるエレクトロクロミック素子60を構成する各層は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、エレクトロクロミックシート120は、基板11、12とエレクトロクロミック素子60との間に、中間層等の他の層をさらに備えるものであってもよい。
さらに、前記実施形態では、サングラス(眼鏡)が備えるフレームに対して、操作部を、配線を介して着脱自在なものとしたが、かかる構成のものに限定されず、例えば、操作基板がコネクタに代えて、Bluetooth(登録商標)インターフェースや、Wifi(登録商標)または携帯電話網等を介して通信を行う通信機能を備え、制御基板が有するマイコンモジュールが、前記通信機能を備えるものであれば、操作基板(操作部)と、制御基板とは、互いの通信機能を介して接続された状態を形成することができる構成をなすものであってもよい。さらに、この場合、操作部と同様の機能を有するアプリケーションをスマートフォンにインストールすることで、このスマートフォンを操作部として用いるようにしてもよい。
11 第1基板
12 第2基板
13 第1電極
14 第2電極
15 第1補助電極
16 第2補助電極
20 フレーム
21 リム部
22 ブリッジ部
23 テンプル部
24 ノーズパッド部
30 レンズ
35 樹脂層
40 電源基板
41 電源回路
45 二次電池
46 DC/DCコンバータ
47 コネクタ
48 コネクタ
51 第1導電ポスト
52 第2導電ポスト
55 封止部
57 第1スルーホール
58 第2スルーホール
60 エレクトロクロミック素子
63 第1エレクトロクロミック層
64 第2エレクトロクロミック層
65 電解質層
70 操作部
71 操作回路
72 ディスプレイ
73 操作基板
74 運転・調整スイッチ
75 運転・停止パターンスイッチ
76 アップスイッチ
77 ダウンスイッチ
78 設定切替スイッチ
79A コネクタ
80 制御基板
81 制御部
82 電圧レギュレータ
83 マイコンモジュール
85 EC駆動回路
86 電圧リファレンス
87 D/Aコンバータ
88 増幅回路
89 スイッチング素子
89A コネクタ
89B コネクタ
89C コネクタ
100 サングラス
120 エレクトロクロミックシート
200 駆動回路
301 配線
311 配線
321 配線
361 配線
362 配線
363 配線
371 配線
372 スイッチ
373 DCジャック
381 配線
382 配線
383 配線
384 配線
385 配線
386 配線
387 配線
388 配線
389 配線
395 スイッチ
396 スイッチ
700 着色領域

Claims (6)

  1. 一対のレンズと、フレームとを備え、
    前記フレームは、1つの前記レンズがそれぞれ装着された一対のリム部と、一対の前記リム部同士を連結するブリッジ部と、一対の前記リム部にヒンジを介してそれぞれ1つずつ連結された一対のテンプル部とを有し、
    一対の前記レンズは、それぞれ、電圧の印加により着色を呈する着色領域内に配置されたエレクトロクロミック素子を有する眼鏡であって、
    電源と、該電源を備える電源基板と、前記エレクトロクロミック素子の作動を制御する制御部と、該制御部を備える制御基板とを有し、
    前記電源基板は、一方の前記テンプル部に埋設され、前記制御基板は、他方の前記テンプル部に埋設されており、
    前記電源と、前記制御部と、前記エレクトロクロミック素子とは、導電部を介して電気的に接続されており、
    前記導電部は、前記ヒンジに対応する位置において、可撓性を有する可撓性導電部材で構成されることを特徴とする眼鏡。
  2. 前記可撓性導電部材は、フレキシブル配線基板、屈曲ケーブルまたは導電フィルムである請求項1に記載の眼鏡。
  3. 前記可撓性導電部材は、その耐屈曲性がR=0.5mm以上3.0mm以下である請求項2に記載の眼鏡。
  4. 前記制御部の作動パターンの設定を操作する操作部を備え、
    前記操作部は、前記制御基板に対して、着脱自在に設けられ、
    前記操作部は、前記制御基板に対する装着時に、前記作動パターンの設定を行う請求項1に記載の眼鏡。
  5. 前記制御部の作動パターンの設定を操作する操作部を備え、
    前記制御部と、前記操作部とは、ともに通信機能を備え、
    前記操作部は、前記通信機能を介して、前記制御部に接続された状態で、前記作動パターンの設定を行う請求項1に記載の眼鏡。
  6. 前記電源として、二次電池を備える請求項1に記載の眼鏡。
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