JP2024058073A - 付勢装置及び人体サポート装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮空気が封入された状態の人工筋肉により構成される引張バネのサポート力が、歩行をする等の使用者の動きに抗して作用する大きな反力となることが抑えられ、且つ、使用者の作業時の人工筋肉のサポート力が十分な人体サポート装置、及び、人体サポート装置に用いられる付勢装置を提供すること。【解決手段】第1荷重入力部20Bが引張られ、密閉空間内に閉じ込められた一定質量のガスが圧縮されることで引張方向とは反対方向への第1復元力を第1荷重入力部20Bに生じさせるガス封入部を有する引張バネ20と、第2荷重入力部62が引張られることで引張方向とは反対方向への第2復元力を第2荷重入力部62に生じさせると共に、引張方向への第2復元力を荷重出力部61に生じさせる付勢部材63と、を備える付勢装置である。【選択図】図9
Description
本発明は、付勢装置及び人体サポート装置に関する。
従来より、人工筋肉を用いた人体サポート装置としての腰部補助装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。腰部補助装置は、使用者の腰部の側方側に配置される左右一対のサイド部に傾動可能に取付けられていると共に使用者の背部に装着される背中フレームを備えている。また、腰部補助装置は、左右一対のサイド部に傾動可能に取付けられていると共に使用者の大腿部に当接される大腿プレートが固定された下肢フレームを備えている。さらに、腰部補助装置は、一端部が背中フレームに係止されていると共に他端部がワイヤを介して下肢フレームに係止された人工筋肉を備えている。そして、コンプレッサやタンク内からチューブを介して人工筋肉内へ圧縮空気が供給されることで、人工筋肉が収縮する。これにより、使用者の上体に起立方向へのサポート力(人体を引き起こす方向への付勢力)が加わり、重量物を持ち上げる際の使用者の腰部の負荷を低減することを可能とする。
また、コンプレッサやタンク内からチューブを介して人工筋肉内へ圧縮空気が供給され封入された後に、その封入された状態が維持されて引張バネとされて用いられて、使用者の人体をサポートする装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上述した特許文献2に記載の従来の人体サポート装置では、人工筋肉内へ圧縮空気が封入された状態が維持されて引張バネとされているため、人体が、例えば歩行をする際には、人工筋肉のサポート力が人体の脚の動きに抗する反力となる。そこで、例えば、人工筋肉のサポート力がもう少し弱いものを用いた場合には、歩行をしているとき以外の、重量物を持ち上げる等の、使用者の作業時の人工筋肉のサポート力が十分ではない。
本発明は、圧縮空気が封入された状態の人工筋肉により構成される引張バネのサポート力が、歩行をする等の使用者の動きに抗して作用する大きな反力となることが抑えられ、且つ、使用者の作業時の人工筋肉のサポート力が十分な人体サポート装置、及び、人体サポート装置に用いられる付勢装置を提供することを目的とする。
本発明は、荷重が入力される第1荷重入力部と、内部にガスが封入される密閉空間を有し、前記第1荷重入力部が引張られることで引張方向への寸法が増加され引張方向と直交する方向への寸法が全体にわたって小さくなると共に前記密閉空間内の体積が減少され、前記密閉空間内に閉じ込められた一定質量のガスが圧縮されることで前記引張方向とは反対方向への第1復元力を前記第1荷重入力部に生じさせるガス封入部と、を有する引張バネと、荷重が入力される第2荷重入力部と、前記第1荷重入力部に固定された荷重出力部と、前記第2荷重入力部と前記荷重出力部との間に配置され、前記第2荷重入力部が引張られることで前記引張方向とは反対方向への第2復元力を前記第2荷重入力部に生じさせると共に、前記引張方向への第2復元力を前記荷重出力部に生じさせる付勢部材と、を備える付勢装置に関する。
前記付勢部材は、圧縮されることにより前記引張方向とは反対方向への第2復元力を生じさせる共に、前記引張方向への第2復元力を前記荷重出力部に生じさせる被圧縮部材により構成されることが好ましい。
前記被圧縮部材が所定の長さ未満に圧縮されることを防止するストッパを備えることが好ましい。前記被圧縮部材は、圧縮バネにより構成されることが好ましい。前記引張バネは人工筋肉により構成されることが好ましい。前記第1復元力及び前記第2復元力が生じているときに、前記引張バネの引張バネ係数は、前記付勢部材のバネ定数よりも大きくなることが好ましい。
また、本発明は、上記の付勢装置と、使用者の背部において使用者の上体に沿って配置された上体装着部と、前記使用者の脚部に装着された脚部装着部と、前記上体装着部と前記脚部装着部とを連結し、人体の脚軸に対応する第1軸を備え、前記第1軸の位置にワイヤガイドが設けられた連結部と、前記付勢装置と前記脚部装着部との間に設けられ、前記ワイヤガイドにガイドされ、前記付勢装置の前記第1復元力により前記第1荷重入力部が引張られ、且つ、前記第2復元力により前記第2荷重入力部が引張られて前記脚部装着部を前記引張バネの方向へ引いて、前記上体装着部を前記連結部に対して傾動させ、前記脚部装着部を前記連結部に対して傾動させることで、人体を引き起こす方向への付勢力を、前記上体装着部及び前記脚部装着部を介して人体へ伝達する左右一対のワイヤと、を備える人体サポート装置に関する。
本発明によれば、圧縮空気が封入された状態の人工筋肉により構成される引張バネのサポート力が、歩行をする等の使用者の動きに抗して作用する大きな反力となることが抑えられ、且つ、使用者の作業時の人工筋肉のサポート力が十分な人体サポート装置、及び、人体サポート装置に用いられる付勢装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る人体サポート装置について、図面を参照して説明する。
以下の説明においては、人体サポート装置を装着している状態であって直立した状態の使用者から見た前後方向前方側を矢印FRで示し、右側及び左側をそれぞれ矢印RH及び矢印LHで示し、上下方向上側を矢印UPで示す。また、以下の説明で、単に前後、左右、上下の方向を示す場合は、人体サポート装置を装着している状態でかつ直立した状態の使用者から見た前後、左右、上下を示すものとする。
以下の説明においては、人体サポート装置を装着している状態であって直立した状態の使用者から見た前後方向前方側を矢印FRで示し、右側及び左側をそれぞれ矢印RH及び矢印LHで示し、上下方向上側を矢印UPで示す。また、以下の説明で、単に前後、左右、上下の方向を示す場合は、人体サポート装置を装着している状態でかつ直立した状態の使用者から見た前後、左右、上下を示すものとする。
図2、図3等に示すように、人体サポート装置10は、連結部を構成し使用者の腰部の側方側に配置される左右一対のベース部12と、ベース部12に取付けられ、使用者の腰部(骨盤近傍)に装着される腰部ベルト14と、左右一対のベース部12を支持する上体装着部としての上体側フレーム18と、左右一対のベース部12に対して傾動可能に取付けられた脚部装着部としての大腿アーム16と、引張バネ20を構成し上体側フレーム18に格納された人工筋肉と、を備えている。ベース部12及び上体側フレーム18は、カバー101により覆われている。
ベース部12は、板状に形成された外側プレート22及び内側プレート24と、を備えている。外側プレート22と内側プレート24とは、側面視で(右側又は左側から見て)ほぼ同一の形状に形成されている。外側プレート22と内側プレート24とは、複数の接続ピン26(図5参照)等を介して接続されており、左右方向に所定の間隔で平行に配置されている。
外側プレート22と内側プレート24との間には、ワイヤガイドとしての第1プーリ28、第2プーリ30、及び、第3プーリ385が回転可能に支持されている。第1プーリ28は、外側プレート22及び内側プレート24の下部に、左右方向に回転軸が指向する位置関係で取付けられている。第1プーリ28の回転軸は、使用者の脚軸としての股関節に対応する第1軸C1とされている。また、第1プーリ28には、後述するワイヤ48の一部が係止されるワイヤ係止部28Aと、後述する大腿アーム16とが取付けられ、第1軸C1を中心に回動可能な大腿アーム取付部28Bと、ワイヤ48の長手方向の中間部が巻き取られる胴部282と、が設けられており、これらは第1軸C1を中心に一体的に回動する。
第1プーリ28は第1軸プーリを構成し、ワイヤ係止部28A(図4等)は、胴部282の端部を構成する。
第2プーリ30は、外側プレート22及び内側プレート24の上部、且つ、第1プーリ28の後側の位置に、左右方向に回転軸が指向する位置関係で取付けられている。第2プーリ30の回転軸は、使用者の腰軸としての仙腸関節に対応する第2軸C2とされている。また、第2プーリ30の外周部には、後述するワイヤ48の長手方向の中間部をガイドするためのガイド溝30Aが形成されている。第2プーリ30を支持する外側プレート22及び内側プレート24の部分は、上体側フレーム18に取付けられる被接続部を構成する。
腰部ベルト14は、被固定部としての基部パッド141と、上側腰部ベルト142と、下側腰部ベルト143と、を有している。基部パッド141は、ベース部12の内側プレート24に、内側プレート24に平行な位置関係で固定されている。上側腰部ベルト142の両端部は、それぞれ基部パッド141の上部に、長さ調整不能に固定されている。これにより、上側腰部ベルト142は、基部パッド141の上部同士を繋いでおり、上側腰部ベルト142の長さは一定である。このように長さが一定の上側腰部ベルト142は、図6に示すように、使用者Pの大殿筋の上部の上側に配置される。
下側腰部ベルト143の両端部は、それぞれ基部パッド141の下部に、長さ調整可能に固定されている。これにより、下側腰部ベルト143は、基部パッド141の下部同士を繋いでいる。下側腰部ベルト143の両端部の近傍には、それぞれバックル144が設けられており、バックル144の部分において、下側腰部ベルト143の長さを調整可能である。下側腰部ベルト143の長さが調整されて、下側腰部ベルト143は、使用者Pの大殿筋の後部の下部に隣接して配置される。
大腿アーム16は、図2~図4等に示すように、使用者Pの大腿部に沿って延びるアーム本体32と、アーム本体32に取付けられカバー341で覆われた腿パッド34と、を有している。アーム本体32は、剛性を高めるためのリブ32Bが設けられた延在部32Aを有しており、延在部32Aの基部は、大腿アーム取付部28Bに対してほぼ前後方向に指向する軸を中心として回動可能とするヒンジ36を介して大腿アーム取付部28Bに取り付けられている。ヒンジ36が左右方向に回動可能に構成されていることにより、大腿アーム16がベース部12に対して左右方向にも傾動可能とされている。
延在部32Aの先端部には、使用者Pの脚部に装着される腿パッド34が固定されている。腿パッド34は、使用者Pの大腿部の前方側の面に沿う湾曲形状に形成されている。また、腿パッド34は、左右方向に指向する軸を中心としてアーム本体32に対して所定の角度で回動可能に支持されている。これにより、腿パッド34と使用者Pの大腿部の前方側の面との接触状態を、適切な接触状態にすることを可能とする。
図3及び図4に示すように、上体側フレーム18は、正面視で(使用者Pの正面側から見て)下方側が開放され中央に頂点部を有する逆V字状に形成されている。この上体側フレーム18は、左右方向に間隔を空けて配置されていると共に内部に引張バネ20が配置される引張バネ収容部38Aを有する一対の引張バネ取付部38と、一対の引張バネ取付部38の上方側の部位を左右方向に繋ぐ接続部40と、を有しており、これらは、射出成形により一体成形された樹脂製の1つの部品により構成されている。
上体側フレーム18の左右の下端部は、下方向へ開放されたコの字に形成されたベース部取付部382を有しており、ベース部取付部382の間には、第2プーリ30を支持する外側プレート22及び内側プレート24の部分により構成される被接続部が配置され、ベース部12はベース部取付部382に対して回動可能に支持されている。即ち、上体側フレーム18の左右の下端部は、左右一対のベース部12に直接接続されており、上体側フレーム18は、ベース部12に対して第2軸C2を傾動(回動)軸として傾動可能に取り付けられている。
一対の引張バネ取付部38は、正面視で上方側から下方側に向かうにつれて使用者Pの右側及び左側にそれぞれ傾斜している。引張バネ取付部38には、後側において開口する断面がコの字形状の図示しない溝が形成されており、この溝が形成された部分が引張バネ収容部38Aを構成し、この溝に引張バネ20が収容されている。後側の開口は蓋381により閉塞されている。接続部40は、十字形状のリブ401を有しており、高い剛性を有して一対の引張バネ取付部38を接続している。
図7(A)及び(B)に示されるように、引張バネ20は、所謂McKibben型の人工筋肉と同様に構成されている。この引張バネ20の長手方向一方側の端部は、上体側フレーム18の引張バネ取付部38(図3等参照)の上端部に係止されるフレーム係止部20A(図8参照)とされており、引張バネ20の長手方向他方側の端部は、図3等に示すように、後述するワイヤ48(図3等参照)が付勢部60を介して係止される第1荷重入力部としてのワイヤ係止部20B(図8参照)とされている。また、引張バネ20は、ゴム等の弾性材料を用いて管状に形成されたガス封入部としての弾性チューブ44と、弾性チューブ44を覆うカバー部材としての筒状のメッシュスリーブ46と、を含んで構成されており、弾性チューブ44をメッシュスリーブ46で被覆して両端をかしめた構造となっている。
弾性チューブ44は、内部にガス(空気)が封入される密閉空間を有しており、この弾性チューブ44は、フレーム係止部20Aとワイヤ係止部20Bとの間に配置されている。この弾性チューブ44の内部には、管部材を通して接続されたポンプ211を介して空気が供給されるように構成されている。管部材には、弾性チューブ44に供給された空気の量を調整可能な調整バルブ212が設けられている。調整バルブ212により、弾性チューブ44内の密閉空間内に予め封入されるガスの量適宜空気の量を調整して付勢力を調整することにより、全身の筋力が強くないシニアや女性等の使用者が使用する場合や、全身の筋力が強い男性等の使用者が使用する場合等、場合に応じて適切に、弾性チューブ44内の密閉空間内に予め封入されるガスの量(ガスの質量)が調節可能となっている。
メッシュスリーブ46は、例えば伸縮性の小さい高張力繊維等の線材が織り上げられること等により形成されている。また、メッシュスリーブ46の長さ(軸)方向の両端部は、フレーム係止部20A及びワイヤ係止部20Bにそれぞれ固定されている。そして、図8(A)に示された自然長の状態から図8(B)に示された状態まで引張バネ20が引張られると(ワイヤ係止部20Bがフレーム係止部20Aから離間する方向へ移動されると)、メッシュスリーブ46の引張方向(図7における矢印A1方向)への寸法が増加されると共に当該引張方向と直交する方向(図7における矢印B方向)への寸法が減少するようになっている。これにより、当該メッシュスリーブ46内に配置された弾性チューブ44の引張方向(図7における矢印A1方向)への寸法が増加されると共に当該引張方向と直交する方向(図7における矢印B方向)への寸法が減少されるようになっている。その結果、弾性チューブ44内の密閉空間内の体積が減少されて、当該密閉空間内のガスが圧縮される。これにより、引張方向とは反対方向(図7における矢印A2方向)への復元力(第1復元力)がワイヤ係止部20Bに生じるようになっている。
引張バネ20の説明のために図8(A)に示す引張試験にセットされた引張バネ20においては、弾性チューブ44の長さは250mmであり、自然長及び引張られた状態におけるフレーム係止部20Aとワイヤ係止部20Bとの間の長さLは、290mmである。また、自然長の状態における弾性チューブ44の長手方向の中央部の外径Dは、36mmである。ここで、弾性チューブ44とメッシュスリーブ46とは密着されているため、弾性チューブ44の外径とメッシュスリーブ46の外径とは一致する。
本実施形態の人体サポート装置10は、以上説明した2本の引張バネ20を備えている。一対の引張バネ取付部38内にそれぞれ1本ずつの引張バネ20が設けられる。また、人体サポート装置は、以上説明した引張バネ20を4本備えていてもよい。4本の引張バネ20を備えた構成では、一対の引張バネ取付部38内にそれぞれ2本ずつ引張バネ20が設けられればよい。
図2に示されるように、上体側フレーム18の引張バネ収容部38A内に配置された引張バネ20の下端部(ワイヤ係止部20B)には、付勢部60を介してワイヤ48の一端部が係止されている。また、ワイヤ48は、上体側フレーム18の下端側から導出されている。ワイヤ48は、上体側フレーム18下端部に設けられたプーリ385の後側と、第2プーリ30の後側と、第1プーリ28の後側とにこの順でそれぞれ掛けられてこれらにガイドされ、ワイヤ48の他端部は、第1プーリ28のワイヤ係止部28Aに係止されている。
付勢部60は、引張バネ20と共に付勢装置を構成し、図9に示すように、本体部61と、ワイヤ端部固定部材62と、圧縮バネ63と、ストッパ64とを有している。本体部61は、円筒形状を有している。本体部61の上端部は、ワイヤ係止部20Bに固定されている。本体部61の下端部には、貫通孔が形成されており、貫通孔には、ワイヤ48が貫通している。ワイヤ48の上端部は、本体部61の内部空間において、ワイヤ端部固定部材62に固定されている。
ワイヤ端部固定部材62には、被圧縮部材としての圧縮バネ63の上端部が当接している。圧縮バネ63の下端部は、本体部61の下端部の内面に当接している。即ち、圧縮バネ63は、本体部61の下端部の内面とワイヤ端部固定部材62との間に配置されている。また、本体部61の下端部の内面には、ストッパ64がワイヤ48を取り囲むように配置されている。ワイヤ48は、ストッパ64の中央を貫通している。
ワイヤ48が下方向へ引っ張られることにより、ワイヤ端部固定部材62は、ワイヤ48と一体で、本体部61に対して相対的に下方向へ引っ張られて移動して、圧縮バネ63を圧縮する。これにより、引っ張り方向とは反対の方向へ、本体部61に第2復元力を生じさせると共に、引っ張り方向へワイヤ端部固定部材62に第2復元力を生じさせる。そして、更にワイヤ48が引っ張られることで、図10に示すように、ワイヤ端部固定部材62がストッパ64に当接することにより、本体部61に対する下方向への移動が止まり、圧縮バネ63が、このときの圧縮バネ63の長さである所定の長さ未満に圧縮されることを防止する。更にワイヤ48が下方向へ引っ張られることにより、引張バネ20が引っ張られて、図8(B)に示すような状態とされて、引張バネ20によりワイヤ係止部20Bに第1復元力が発生するように構成されている。このように、第1復元力及び第2復元力が生じているときに、引張バネ20の引張バネ係数は、圧縮バネ63のバネ定数よりも大きくなる。
逆V字状の上体側フレーム18の中央の頂点部の位置には、使用者Pの上体に装着される上体装着ベルト42の端部が取付けられる上体装着ベルト取付部38Bが、上体側フレーム18に固定されて設けられている。図6等に示すように、上体装着ベルト42は、使用者Pの右肩に装着される右側装着ベルト42Rと、使用者Pの左肩に装着される左側装着ベルト42Lと、を有しており、右側装着ベルト42R及び左側装着ベルト42Lの長さは、それぞれバックル421により調整可能とされている。上体側フレーム18は、右側装着ベルト42Rが使用者Pの右肩に装着され、左側装着ベルト42Lが使用者Pの左肩に装着されて、上体装着ベルト取付部38Bの部分が、使用者Pの背部から離れた位置関係とされて、使用者Pの背部において使用者Pの上体に沿って配置される。即ち、使用者Pが人体サポート装置10を装着した初期状態のときには、上体側フレーム18は、図6に示すように、使用者Pの腰の位置から、上方向に向かって使用者Pの背中から離れるように傾斜した状態とされるように、引張バネ20は設定されている。この状態とされることにより、第1軸C1、第2軸C2が、使用者Pの脚軸、腰軸(股関節、仙腸関節)に完全に一致していないにも関わらず、人体サポート装置10が使用者Pの動作をアシストしているときに、使用者Pに対して位置ずれすることを抑えることが可能とされる。
次に、人体サポート装置10による使用者Pのサポートについて説明する。
図6に示されるように、本実施形態では、腰部ベルト14、上体装着ベルト42及び大腿アーム16が、使用者Pの腰部P1、上体P2及び大腿部にそれぞれ装着されることで、人体サポート装置10が使用者Pに装着される。
図6に示されるように、本実施形態では、腰部ベルト14、上体装着ベルト42及び大腿アーム16が、使用者Pの腰部P1、上体P2及び大腿部にそれぞれ装着されることで、人体サポート装置10が使用者Pに装着される。
より具体的には、長さが一定の腰部ベルト14の上側腰部ベルト142が、図6に示すように、使用者Pの大殿筋の上部の上側、即ち、ズボンのベルトの位置に相当する位置に配置される。そしてこの位置を基準として、腰部ベルト14の下側腰部ベルト143の長さが調整されて、下側腰部ベルト143は、使用者Pの大殿筋の後部の下部に隣接して配置される。この結果、図6に示すように、上側腰部ベルト142と下側腰部ベルト143とによって、大殿筋が上下方向から挟まれたような状態となり、人体サポート装置10は、使用者Pが動いた場合であっても、使用者Pの人体に対してずれにくい状態となる。この状態で上体装着ベルト42及び大腿アーム16が使用者Pの腰部P1、上体P2及び大腿部にそれぞれ装着されて、人体サポート装置10が使用者Pに装着される。
使用者Pが歩行をしている際には、主として圧縮バネ63が伸縮し、引張バネ20は、ほとんど伸縮しない。このため、ばね係数の小さい圧縮バネ63の第2復元力が大腿アーム16に作用する反力は弱く、歩行の妨げとならない。
使用者Pが床面に置かれた重量物を持ち上げる際には、大きな負荷によりワイヤ48が下方向へ引っ張られる。これにより、ワイヤ端部固定部材62がストッパ64に当接することにより、本体部61に対する下方向への移動が止まり、圧縮バネ63が、このときの圧縮バネ63の長さである所定の長さ未満に圧縮されることを防止する。この状態で、更にワイヤ48が下方向へ引っ張られることにより、引張バネ20が引っ張られて、引き延ばされた引張バネ20の収縮によりワイヤ48が引張バネ20に引き寄せられることにより、ベース部12に対して上体側フレーム18が回動して前傾した使用者Pの上体P2を引き起こす方向へのサポート力が生じる。また、大腿アーム16がベース部12に対して回動させられて、使用者Pの屈曲した状態の脚がまっすぐとされる方向へのサポート力が生じる。これにより、使用者Pが床面に置かれた重量物を持ち上げる際に当該使用者Pの腰部P1に生じる負荷を低減することができる。
次に、上述の実施形態による人体サポート装置1のトルクについて試験を行った。試験においては、上述の実施形態による人体サポート装置1を本発明品とし、実施形態による人体サポート装置1において付勢部60が設けられておらず、ワイヤ48の上端部がワイヤ係止部20Bに直接係止されているものを比較品として用意した。試験結果は、図11に示すとおりである。図11のグラフにおいては、縦軸には本発明品、比較品のトルクを表しており、横軸には、図5において実線で示す初期状態から、一点鎖線で示すように、大腿アーム16が回転させられたときの回転角度θを表している。
図11に示すように、使用者Pが歩行をしている際の回転角度である0度~50度では、本発明品のトルクの増加の傾きが、比較品のトルクの増加の傾きよりも小さい。のこれにより、使用者Pが歩行をしている際には、人体サポート装置1のトルクに抗して使用者Pは歩行を行うことになるが、このときには、人体サポート装置1のトルクが弱いため、使用者Pの歩行に対する反力が少ないことが分かる。
これに対して、使用者Pが重量物を持ち上げる際に最も使用者Pの負担になる120度付近の回転角度では、本発明品のトルクは、比較品のトルクよりも小さいものの、比較品トルクに近い値となる。このため、使用者Pが最も負担を感じるときに、人体サポート装置1のトルクが大きくなるため、人体サポート装置1による十分なサポート力を使用者Pは受けることができることが分かる。
上述の実施形態によれば、以下のような効果を発揮することができる。
本実施形態においては、付勢装置は、荷重が入力される第1荷重入力部としてのワイヤ係止部20Bと、内部にガスが封入される密閉空間を有し、ワイヤ係止部20Bが引張られることで引張方向への寸法が増加され引張方向と直交する方向への寸法が全体にわたって小さくなると共に密閉空間内の体積が減少され、密閉空間内に閉じ込められた一定質量のガスが圧縮されることで引張方向とは反対方向への第1復元力をワイヤ係止部20Bに生じさせるガス封入部としての弾性チューブ44と、を有する引張バネ20と、荷重が入力される第2荷重入力部としてのワイヤ端部固定部材62と、ワイヤ係止部20Bに固定された荷重出力部としての本体部61と、本体部61とワイヤ端部固定部材62との間に配置され、ワイヤ端部固定部材62が引張られることで引張方向とは反対方向への第2復元力をワイヤ端部固定部材62に生じさせると共に、引張方向への第2復元力を本体部61に生じさせる付勢部材としての圧縮バネ63と、を備える。
本実施形態においては、付勢装置は、荷重が入力される第1荷重入力部としてのワイヤ係止部20Bと、内部にガスが封入される密閉空間を有し、ワイヤ係止部20Bが引張られることで引張方向への寸法が増加され引張方向と直交する方向への寸法が全体にわたって小さくなると共に密閉空間内の体積が減少され、密閉空間内に閉じ込められた一定質量のガスが圧縮されることで引張方向とは反対方向への第1復元力をワイヤ係止部20Bに生じさせるガス封入部としての弾性チューブ44と、を有する引張バネ20と、荷重が入力される第2荷重入力部としてのワイヤ端部固定部材62と、ワイヤ係止部20Bに固定された荷重出力部としての本体部61と、本体部61とワイヤ端部固定部材62との間に配置され、ワイヤ端部固定部材62が引張られることで引張方向とは反対方向への第2復元力をワイヤ端部固定部材62に生じさせると共に、引張方向への第2復元力を本体部61に生じさせる付勢部材としての圧縮バネ63と、を備える。
これにより、例えば、圧縮バネ63のバネ定数よりも引張バネ20のバネ定数を大きく設定することにより、ワイヤ48を介して小さい荷重がワイヤ端部固定部材62に入力されたときには、主として圧縮バネ63が伸縮し、ワイヤ48を介して大きな荷重がワイヤ端部固定部材62に入力されたときには、主として引張バネ20が伸縮することができる。これにより、小さい荷重がワイヤ端部固定部材62に入力したときと、大きな荷重がワイヤ端部固定部材62に入力されたときとで、異なる復元力を生じさせることが可能となる。
また、本実施形態においては、付勢部材は、圧縮されることにより引張方向とは反対方向への第2復元力を生じさせる共に、引張方向への第2復元力を本体部61に生じさせる被圧縮部材としての圧縮バネ63により構成される。そして、被圧縮部材は、圧縮バネにより構成される。これにより、引張方向、及び、引張方向とは反対方向へ第2復元力をそれぞれ生じさせる構成を容易に実現することが可能となる。
また、本実施形態においては、圧縮バネ63が所定の長さ未満に圧縮されることを防止するストッパ64を備える。これにより、所定の荷重を超える荷重がワイヤ48に作用したときに、確実に引張バネ20が引っ張られて第1復元力を生じさせることが可能となる。
また、本実施形態においては、引張バネ 20は人工筋肉により構成される。これにより、例えば、圧縮バネ63を、第1復元力及び第2復元力が生じているときに、引張バネの引張バネ係数が、圧縮バネ63のバネ定数よりも大きくなるように構成することで、ワイヤ48を介して小さい荷重がワイヤ端部固定部材62に入力されたときには、主として圧縮バネ63が伸縮して弱い復元力を生じることが可能となる。また、ワイヤ48を介して大きな荷重がワイヤ端部固定部材62に入力されたときには、主として引張バネ20が伸縮して強い復元力を生じることが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態に係る人体サポート装置について説明する。第2実施形態による人体サポート装置では、付勢部60に代えて、付勢部60aを備えている点で第1実施形態による人体サポート装置とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態の構成と同様であるため、同一の部材については同一の符号を付して図示し、説明を省略する。
図12に示すように、付勢部60aは、引張バネ20の上部に設けられている。付勢部60aは、図13に示すように、本体部61aと、ワイヤ端部固定部材62aと、圧縮バネ63aと、ストッパ64aと、を有している。本体部61aは、引張バネ取付部38(図12参照)の上部に一体成形された筒状の部分により構成されている。
本体部61aの上下方向における中間の部分には、本体部61aの内方へ突出する上下一対の内方突出部64aが、本体部61aに一体成形されて設けられている。ワイヤ端部固定部材62aの下端部は、引張バネ20の上端部20Aに固定されている。ワイヤ端部固定部材62aの上端部は、フランジ形状を有しており、フランジ形状の部分の下側には、圧縮バネ63aの上端部が当接している。圧縮バネ63aの下端部は、下側の内方突出部64aに当接している。
ワイヤ48(図12参照)が下方向へ引っ張られることにより、ワイヤ端部固定部材62aは、引張バネ20の上端部20Aと一体で、本体部61aに対して相対的に下方向へ引っ張られて移動して、圧縮バネ63aを圧縮する。これにより、引っ張り方向とは反対の方向へ、本体部61aに第2復元力を生じさせると共に、引っ張り方向へワイヤ端部固定部材62aに第2復元力を生じさせる。そして、更にワイヤ48が引っ張られることで、ワイヤ端部固定部材62aが上側の内方突出部64aに当接することにより、本体部61aに対するワイヤ端部固定部材62aの下方向への移動が止まり、圧縮バネ63aが、このときの圧縮バネ63aの長さである所定の長さ未満に圧縮されることを防止する。更にワイヤ48が下方向へ引っ張られることにより、引張バネ20が引っ張られて、図8(B)に示すような状態とされて、引張バネ20により引張バネ20の上端部20Aに第1復元力が発生するように構成されている。第1復元力及び第2復元力が生じているときに、引張バネ20の引張バネ係数は、圧縮バネ63aのバネ定数よりも大きくなる。
本発明は、上述した実施形態に制限されることなく、請求の範囲に記載した範囲において、様々な形態で実施することができる。例えば、付勢装置、人体サポート装置の各部の構成は、本実施形態における付勢装置、人体サポート装置10の各部の構成に限定されない。例えば、付勢部材被圧縮部材に限定されず、また、被圧縮部材は、圧縮バネ63に限定されない。例えば、被圧縮部材は、スポンジ等により構成されてもよい。また、引張バネ20に対する付勢部の配置は、本実施形態における配置に限定されない。
10 人体サポート装置
12 ベース部(連結部)
16 大腿アーム(脚部装着部)
18 上体側フレーム(上体装着部)
20 引張バネ(付勢装置)
20B ワイヤ係止部(第1荷重入力部)
44 弾性チューブ(ガス封入部)
48 ワイヤ
60 付勢部(付勢装置)
62 ワイヤ端部固定部材(第2荷重入力部)
63 圧縮バネ(付勢装置、被圧縮部材)
64 ストッパ
C1 第1軸
P 使用者
12 ベース部(連結部)
16 大腿アーム(脚部装着部)
18 上体側フレーム(上体装着部)
20 引張バネ(付勢装置)
20B ワイヤ係止部(第1荷重入力部)
44 弾性チューブ(ガス封入部)
48 ワイヤ
60 付勢部(付勢装置)
62 ワイヤ端部固定部材(第2荷重入力部)
63 圧縮バネ(付勢装置、被圧縮部材)
64 ストッパ
C1 第1軸
P 使用者
Claims (7)
- 荷重が入力される第1荷重入力部と、内部にガスが封入される密閉空間を有し、前記第1荷重入力部が引張られることで引張方向への寸法が増加され引張方向と直交する方向への寸法が全体にわたって小さくなると共に前記密閉空間内の体積が減少され、前記密閉空間内に閉じ込められた一定質量のガスが圧縮されることで前記引張方向とは反対方向への第1復元力を前記第1荷重入力部に生じさせるガス封入部と、を有する引張バネと、
荷重が入力される第2荷重入力部と、前記第1荷重入力部に固定された荷重出力部と、前記第2荷重入力部と前記荷重出力部との間に配置され、前記第2荷重入力部が引張られることで前記引張方向とは反対方向への第2復元力を前記第2荷重入力部に生じさせると共に、前記引張方向への第2復元力を前記荷重出力部に生じさせる付勢部材と、
を備える付勢装置。 - 前記付勢部材は、圧縮されることにより前記引張方向とは反対方向への第2復元力を生じさせる共に、前記引張方向への第2復元力を前記荷重出力部に生じさせる被圧縮部材により構成される請求項1に記載の付勢装置。
- 前記被圧縮部材が所定の長さ未満に圧縮されることを防止するストッパを備える請求項2に記載の付勢装置。
- 前記被圧縮部材は、圧縮バネにより構成される請求項3に記載の付勢装置。
- 前記引張バネは人工筋肉により構成される請求項1に記載の付勢装置。
- 前記第1復元力及び前記第2復元力が生じているときに、前記引張バネの引張バネ係数は、前記付勢部材のバネ定数よりも大きくなる請求項1に記載の付勢装置。
- 請求項1~請求項6のいずれかに記載の付勢装置と、
使用者の背部において使用者の上体に沿って配置された上体装着部と、
前記使用者の脚部に装着された脚部装着部と、
前記上体装着部と前記脚部装着部とを連結し、人体の脚軸に対応する第1軸を備え、前記第1軸の位置にワイヤガイドが設けられた連結部と、
前記付勢装置と前記脚部装着部との間に設けられ、前記ワイヤガイドにガイドされ、前記付勢装置の前記第1復元力により前記第1荷重入力部が引張られ、且つ、前記第2復元力により前記第2荷重入力部が引張られて前記脚部装着部を前記引張バネの方向へ引いて、前記上体装着部を前記連結部に対して傾動させ、前記脚部装着部を前記連結部に対して傾動させることで、人体を引き起こす方向への付勢力を、前記上体装着部及び前記脚部装着部を介して人体へ伝達する左右一対のワイヤと、
を備える人体サポート装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022165210A JP2024058073A (ja) | 2022-10-14 | 2022-10-14 | 付勢装置及び人体サポート装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022165210A JP2024058073A (ja) | 2022-10-14 | 2022-10-14 | 付勢装置及び人体サポート装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024058073A true JP2024058073A (ja) | 2024-04-25 |
Family
ID=90789911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022165210A Pending JP2024058073A (ja) | 2022-10-14 | 2022-10-14 | 付勢装置及び人体サポート装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024058073A (ja) |
-
2022
- 2022-10-14 JP JP2022165210A patent/JP2024058073A/ja active Pending
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