JP2024056320A - 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリーム - Google Patents

常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリーム Download PDF

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Abstract

【課題】保形性、離水耐性に優れる常温流通ホイップドコンパウンドクリーム、及び該ホイップドコンパウンドクリームを作製するためのコンパウンドクリームを提供する。【解決手段】油脂、水分を含み、乳脂肪含量が前記油脂中35~60重量%のコンパウンドクリームであって、該コンパウンドクリーム中に、糖質、油脂、乳タンパク質を所定量含み、乳化剤X0.03~0.45重量%、乳化剤Y0.04~0.5重量%を含む。また前記油脂中、油脂Aを40~65重量%含む。油脂A:C12以下の飽和脂肪酸40~100重量%、上昇融点30~42℃の植物性油脂。乳化剤X:C8~C14の飽和脂肪酸60~100重量%、HLB12~18、重合度8~12のポリグリセリン脂肪酸エステル。乳化剤Y:C16~C22の飽和脂肪酸70~100重量%、HLB5~12のポリグリセリン脂肪酸エステル。【選択図】なし

Description

本発明は、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームに関する。
ホイップドクリームには、油脂成分として乳脂肪のみを含むもの、植物性油脂のみを含むもの、乳脂肪と植物性油脂の両方を含むものがある。これらホイップドクリームとしては、物性が安定で、且つ、乳風味が豊かな点において、乳脂肪と植物性油脂の両方を含む、所謂、コンパウンドクリームをホイップしたホイップドコンパウンドクリームが好まれる。また、食品の流通においては、コールドチェーンの整備が不要なことやエネルギー消費の観点から、常温で流通させることが望ましい。
しかしながら、乳脂肪を含むホイップドコンパウンドクリームは、乳風味が豊かであるものの、常温では保形性が不十分であったり、離水が発生しやすい。また、クリームの表面が荒れやすいといった問題もあり、乳脂肪の含量が多くなる程、その傾向は顕著である。
そこでこれらの問題を解決するために、例えば、特許文献1には、保形性、特に常温耐性、即ち常温での保形性等が良好で、かつ天然の生クリームに匹敵するような風味、コク味のある低油分クリームを提供することを目的に、全油脂中にSUS型トリグリセリドを10~70%、ラウリン系油脂を2~45%、乳脂を10~75%含有するコンパウンドクリームが開示されている。しかしながら、該文献で開示されているホイップドコンパウンドクリームは、油脂についてのみの検討で、乳化剤については検討されておらず、常温での保形性や、離水耐性は十分なものではなく、クリーム表面は荒れやすい。
特開平5-328928号公報
本発明の目的は、乳脂肪を増やしてできるだけ生クリーム本来の風味やコク味に近づけても、常温での保形性、離水耐性に優れ、且つ、クリーム表面の荒れが少ない常温流通ホイップドコンパウンドクリーム、及び、該ホイップドコンパウンドクリームを作製するためのコンパウンドクリームを提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、油脂、水分、糖質、乳タンパク質、及び、特定の2種の乳化剤をそれぞれ特定量含有し、前記油脂中に特定の油脂と乳脂肪をそれぞれ特定量含むコンパウンドクリームをホイップしたホイップドコンパウンドクリームは、乳脂肪を増やしてできるだけ生クリーム本来の風味やコク味に近づけても、常温での保形性、離水耐性に優れ、且つ、クリーム表面の荒れが少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%であり、且つ、乳脂肪の含量が前記油脂全体中35~60重量%のコンパウンドクリームであって、前記コンパウンドクリーム全体中、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%である、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに関する。油脂A:構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40~100重量%含み、上昇融点が30~42℃の植物性油脂。乳化剤X:構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18であるショ糖脂肪酸エステル。乳化剤Y:構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル。
好ましい実施態様は、植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリームの混合物であり、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、水、前記糖質、前記乳タンパク質、前記乳化剤X、前記乳化剤Y、及び、前記油脂Aを含有する混合物の乳化物である、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに関する。本発明の第二は、前記コンパウンドクリームがホイップされた常温流通ホイップドコンパウンドクリームに関する。本発明の第三は、前記常温流通ホイップドコンパウンドクリームを含む食品に関する。本発明の第四は、混合物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%である混合物を調製し、前記混合物に対し、予備乳化、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却してコンパウンドクリームを得、前記コンパウンドクリームをホイップする、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの製造方法に関する。本発明の第五は、コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%となるように、水、糖質、乳タンパク質、乳化剤X、乳化剤Y、及び、油脂Aを含有する混合物を調製し、前記混合物に対し、予備乳化、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却して起泡性水中油型乳化油脂組成物を得、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と、生クリームを混合して、コンパウンドクリームを得、前記コンパウンドクリームをホイップする、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの製造方法に関する。
本発明に従えば、乳脂肪を増やしてできるだけ生クリーム本来の風味やコク味に近づけても、常温での保形性、離水耐性に優れ、且つ、クリーム表面の荒れが少ない常温流通ホイップドコンパウンドクリーム、及び、該ホイップドコンパウンドクリームを作製するためのコンパウンドクリームを提供することができる。
以下、本発明につき、更に詳細に説明する。本発明のホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、乳脂肪と植物性油脂の両方を使用した起泡性クリームであり、植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリームを混合したものや、植物性油脂のみを含む水中油型乳化油脂組成物の植物性油脂の一部を乳脂肪に置き換えたものを例示でき、何れも常温での保形性、離水耐性に優れているため、常温流通に適している。本開示において、常温とは、一般に冷凍・冷蔵(チルド)・常温の3種類で呼ばれる配送・保管時の温度帯の1つであり、例えば、15~30℃であってよく、15~25℃であってよい。また流通とは、ホイップドクリーム作製直後から喫食されるまでをいう。
前記植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物は、水、前記糖質、前記乳タンパク質、前記乳化剤X、前記乳化剤Y、及び、前記油脂Aを含有する混合物の乳化物である。
また、本発明の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、生クリームを含有する場合、植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物の原料として生クリームが乳化前に混合(先合わせともいう)されたものでも良いし、植物性油脂を含む乳化された起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリームが混合(後合わせともいう)されたものでも良く、どちらの場合も前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームとなるように成分を設計すれば良い。また、前記植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物の油脂中には、乳脂肪を含んでもいいし、含まなくても良い。
そして前記ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、油脂、水分、糖質、乳タンパク質、及び、特定の2種の乳化剤をそれぞれ特定量含有し、前記油脂中に特定の油脂と乳脂肪をそれぞれ特定量含む。このような常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、ホイップすることで、常温流通ホイップドコンパウンドクリームとなり、常温流通に好適に用いることができる。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、油脂を、前記コンパウンドクリーム全体中、20~45重量%含有することが好ましく、25~40重量%がより好ましく、25~35重量%が更に好ましい。油脂の含量が20重量%より少ないと、ホイップ時間が長くなり過ぎる場合がある。また、45重量%より多いと、前記コンパウンドクリームの安定性やホイップ性が悪化する場合がある。本開示において、コンパウンドクリームの安定性とは、ホイップ前のクリームの状態において、製造時や、製品温度の上昇又は輸送中の振動によっても著しい粘度上昇や固化(ボテとも称される)が生じないことをいい、ホイップ性とは、ホイップの際のホイップ時間、硬さ、オーバーラン、造花性をいう。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる前記油脂は、乳脂肪と油脂Aをそれぞれ特定量含むことが好ましい。
前記乳脂肪としては、バターオイル、生クリーム、バター、バターミルク、バターミルクパウダー、生乳、牛乳、全粉乳、濃縮乳、チーズ、サワークリーム、無糖練乳、加糖練乳等の乳原料由来のもの、又は、前記乳原料に含まれる乳脂肪分が例示でき、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。前記乳脂肪は、風味の観点から、生クリーム由来の乳脂肪であることが好ましい。なお、前記生クリームとは、乳等省令で定義される「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上にしたもの」をいう。
前記乳脂肪の含量は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる前記油脂全体中、35~60重量%が好ましく、38~60重量%がより好ましく、40~60重量%が更に好ましく、40~55重量%が特に好ましい。油脂全体中の乳脂肪の含量が35重量%より少ないと、生クリーム本来の風味やコク味が不足する場合があり、60重量%を超えるとホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化したり、クリーム表面が荒れる場合がある。
前記油脂Aは、油脂Aの構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40~100重量%含み、上昇融点が30~42℃の植物性油脂をいう。なお、前記上昇融点は、基準油脂分析試験法3.2.2.2融点(上昇融点)に記載の方法により測定することができる。
油脂Aの構成脂肪酸全体中のC12以下の飽和脂肪酸含量は、40~90重量%が好ましく、45~80重量%がより好ましく、50~70重量%が更に好ましい。C12以下の飽和脂肪酸含量が40重量%より少ないと、ホイップドコンパウンドクリームの保形性が悪化する場合がある。
油脂Aの上昇融点は、30~38℃がより好ましく、30~35℃が更に好ましい。上昇融点が30℃未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。また、42℃を超えると、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの安定性やホイップ性が悪化する場合がある。
油脂Aの具体的な例は、食用油脂であれば特に限定されないが、具体的には、パーム核ステアリン、パーム核極度硬化油、パーム核極度硬化油のエステル交換油脂、パーム核極度硬化油とパーム核油のエステル交換油脂、パーム核極度硬化油とヤシ油のエステル交換油脂等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性と口溶けの観点からは、特に、パーム核ステアリンが好ましい。
前記油脂Aの含量は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中、40~65重量%が好ましく、40~62重量%がより好ましく、40~60重量%が更に好ましく、45~60重量%が特に好ましい。油脂全体中の油脂Aの含量が40重量%より少ないと、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。また65重量%を超えると生クリーム本来の風味やコク味が不足する場合がある。
乳脂肪と油脂A以外に前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる油脂としては、特に限定されないが、油脂Aに該当しないパーム系油脂、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、米油、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられる。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、水分を、前記コンパウンドクリーム全体中、20~50重量%含有することが好ましく、20~40重量%含有することがより好ましく、22~35重量%含有することが更に好ましい。水分の含量が20重量%より少ないと、前記コンパウンドクリームの安定性やホイップ性が悪化する場合がある。また、50重量%より多いと、ホイップドコンパウンドクリームの保形性や離水耐性が悪化する場合がある。なお、前記水分の含量は、添加水の量と、各原料(例えば糖質、乳製品、乳タンパク質)に含まれる水分量とを合計した値である。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる前記糖質としては、特に限定されないが、例えば、ショ糖、果糖(フルクトース)、ブドウ糖(グルコース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、ガラクトース、オリゴ糖、及びそれらの液糖類;マルトースシロップ、コーンシロップ等の分解糖化液糖類;ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、還元水飴等の糖アルコール;澱粉;並びにデキストリン等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記糖質の含量(固形分換算)は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中20~45重量%が好ましく、25~40重量%がより好ましく、25~35重量%が更に好ましい。糖質の含量が20重量%より少ないと、甘さが不足する場合がある。また、45重量%より多いと、甘くなり過ぎたり、前記コンパウンドクリームの粘度が高すぎて生産性が悪くなる場合がある。
前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中、45~75重量%が好ましく、50~70重量%がより好ましく、55~65重量%が更に好ましい。前記合計量が45重量%より少ないと、コンパウンドクリームの安定性やホイップ性が悪化する場合がある。また、75重量%より多いと、前記コンパウンドクリームの安定性やホイップ性が悪化したり、前記コンパウンドクリームの粘度が高すぎて生産性が悪くなる場合がある。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームに含まれる前記乳タンパク質は、乳に由来するタンパク質の総称であり、生乳、牛乳、及び乳製品に多く含まれている。前記乳タンパク質としては、例えばカゼイン、トータルミルクプロテイン、ホエイタンパク質、又は、これらの塩類もしくは濃縮物である、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエイプロテインコンセントレート、ミルクプロテインコンセントレート等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。そして、乳タンパク質源としては、前記乳タンパク質そのものでもよいし、前記乳タンパク質を含有する生乳、牛乳、又は乳製品を使用することもできる。
前記乳製品としては、例えば、脱脂粉乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、バターミルクパウダー、全脂粉乳、全脂濃縮乳、加糖練乳、無糖練乳、チーズ、ホエイパウダー等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記乳タンパク質の含量(固形分換算)は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中、0.15~5重量%が好ましく、0.2~4重量%がより好ましく、0.5~3重量%が更に好ましい。乳タンパク質の含量が0.15重量%より少ないと、前記コンパウンドクリームの安定性が悪化する場合がある。また、5重量%より多いと、原料コストが上昇したり、前記コンパウンドクリームの乳化が不安定になる場合がある。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、乳化剤として、乳化剤Xと乳化剤Yを含む。
前記乳化剤Xとしては、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18(即ち親水性を示す)であるショ糖脂肪酸エステルを使用できる。なお、前記重合度とは、ポリグリセリン脂肪酸エステル中のグリセリン単位の数を指す。
乳化剤X中の構成脂肪酸全体中のC~C14の飽和脂肪酸含量は、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性の観点から、65~100重量%が好ましく、70~100重量%がより好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性の観点から、13~17がより好ましく、14~17が更に好ましい。また、前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性の観点から、13~17がより好ましく、14~17が更に好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの重合度は、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性の観点から、9~11がより好ましい。
前記乳化剤Xの含量は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中0.03~0.45重量%が好ましく、0.05~0.4重量%がより好ましく、0.05~0.25重量%が更に好ましく、0.07~0.15重量%が特に好ましい。乳化剤Xの含量が0.03重量%より少ないと、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。また、0.45重量%より多いと、クリーム表面が荒れたり、異味が感じられてホイップドコンパウンドクリームの乳風味が損なわれる場合がある。
前記乳化剤Yとは、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルのことを指す。前記乳化剤YのHLBは、ホイップドコンパウンドクリームの表面の荒れのなさの観点から、6~11が好ましく、7~10がより好ましい。
乳化剤Yであるポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中のC16~C22の飽和脂肪酸含量は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの安定性の観点から、80~100重量%が好ましい。
前記乳化剤Yの含量は、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中0.04~0.5重量%が好ましく、0.05~0.4重量%がより好ましく、0.05~0.25重量%が更に好ましく、0.05~0.2重量%が特に好ましい。乳化剤Yの含量が0.04重量%より少ないと、前記ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化したり、クリームの表面が荒れる場合がある。また、0.5重量%より多いと、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性が悪くなったり、コンパウンドクリームのホイップ時間が長くなり過ぎる場合がある。
前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームは、必要に応じて、前述していないが通常ホイップドクリームに用いられる原料を使用でき、例えば、前述した乳化剤X及び乳化剤Y以外の他の乳化剤Z、増粘剤、呈味剤、日持ち向上剤、着色料、香料、塩類、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤、風味成分等を含有してもよい。
前記乳化剤Zとしては、レシチン、乳化剤X及び乳化剤Yを除くポリグリセリン脂肪酸エステル、乳化剤X及び乳化剤Yを除くショ糖脂肪酸エステル、グリセリン酸脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリソルベート等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記増粘剤としては、例えば、アシル基を有するジェランガム、グアガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記呈味剤としては、前記生乳、牛乳、又は乳製品を酵素分解、加熱、分離、分画等をしたもの等が挙げられ、これらの群より少なくとも1種を使用することができる。
前記日持ち向上剤としては、グリシン、酢酸ナトリウム、リゾチーム、ソルビン酸カリウム等、食品用途として使用できるものが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記着色料としては、天然成分や人工成分に関わらず、食品用途として使用できるものが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記香料としては、天然成分や人工成分に関わらず、食品用途として使用できるものが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記塩類としては、一般に食品に用いられている塩類であれば特に制限はなく、例えば、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKを主成分とする食品用途として使用できるものが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記ミネラル類としては、亜鉛、カリウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ヨウ素、リン等が挙げられ、これらの成分を含む食品及び/又は食品添加物に分類されるものを少なくとも1種を使用することができる。
前記酸化防止剤としては、ビタミンE、ローズマリー抽出物、エノキタケ抽出物等の抗酸化成分を主成分とする食品用途として使用できるもの等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記風味成分としては、フルーツソース、キャラメル、ココアパウダー等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
また、ホイップ後の常温流通における静菌作用の観点から、本発明の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの水分活性(Aw)は、0.9~0.95が好ましく、0.9~0.94がより好ましく、0.9~0.935が更に好ましい。前記のような水分活性にするためには、例えば、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの水中糖濃度が40~58重量%になるように水分と糖質の含量を調節すればよい。
なお、前記水分活性は、露点法(Fleischwirtschaft, vol.52, pp.1461-1462, 1972)に準拠して、例えばアイネクス株式会社製「AquaLab Seris4 TE DUO」を用いることにより測定することができる。また、水中糖濃度とは、コンパウンドクリーム全体中の糖質の含量/(コンパウンドクリーム全体中の糖質の含量と水分の含量の合計)×100で計算した値をいう。
前記常温流通ホイップドコンパウンドクリームは、前記常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームをホイップすることで得られる。得られる常温流通ホイップドコンパウンドクリームは、生クリーム本来の風味やコク味に近くなるまで乳脂肪を増やしても、常温での保形性、離水耐性に優れ、且つ、クリーム表面の荒れが少ないため、常温で流通させることができる。
そして前記常温流通ホイップドコンパウンドクリームは、様々な食品にトッピングしたり、ナッペしたり、フィリングしたり、サンドしたりして利用できる。前記食品としては、クリームパン、クリームサンド、サンドイッチ等のパン、ケーキ、シュー、オムレット、どら焼き等の菓子が挙げられる。前記常温流通ホイップドコンパウンドクリームは、ホイップドコンパウンドクリームの形状とクリーム表面の状態を維持しながら、常温で流通させることができるため、特に常温流通できる前記食品に有用である。
本発明の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム及び常温流通ホイップドコンパウンドクリームの製造方法を以下に例示する。
(植物性油脂のみを含む水中油型乳化油脂組成物の植物性油脂の一部を乳脂肪に置き換えた、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの製造方法)
まず、混合物全体中、糖質20~45重量%(固形分換算)、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%(固形分換算)、乳化剤X0.03~0.45重量%、乳化剤Y0.04~0.5重量%をそれぞれ含み、且つ油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%となり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%となるように混合物を調製する。
その際、油脂に親油性の乳化剤Y等を溶解させて予め作製した油相部と、水に乳化剤Xや親水性の乳化剤Y、糖質、乳タンパク質源等を加えて別途作製した水相部を混合することによって、前記混合物を調製することが好ましい。ここで、親油性の乳化剤とは、油に溶解もしくは分散する乳化剤を意味し、そのHLBは、おおよそ0~9であってよい。親水性の乳化剤とは、水に溶解もしくは分散する乳化剤を意味し、そのHLBは、おおよそ7~20であってよい。
次いで、前記混合物に対し、予備乳化、均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次に、1段目は好ましくは6~18MPa及び2段目は好ましくは2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却することで、本発明の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを得ることができる。1段目の均質化処理加圧条件は9~15MPaがより好ましく、2段目の均質化処理加圧条件は3~5MPaがより好ましい。
予備乳化は、例えば、攪拌混合機を用いて前記混合物を攪拌することにより実施できる。殺菌前の均質化は、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で実施することが好ましい。予備冷却は、殺菌後の混合物の品温を30~70℃になるまで冷却することが好ましい。また、均質化処理後の冷却は、プレート式冷却機等を使用することが好ましい。
そして、該常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを常法に従ってホイップすることで、本発明の常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得ることができる。
(植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリームを混合した、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームの製造方法)
まず、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%となるように、水、糖質、乳タンパク質、乳化剤X、乳化剤Y、油脂A、及び、必要に応じて乳脂肪を含有する混合物、並びに生クリームを調製する。
その際、前記混合物は、油脂に親油性の乳化剤Y等を溶解させて予め作製した油相部と、水に乳化剤Xや親水性の乳化剤Y、糖質、乳タンパク質源等を加えて別途作製した水相部を混合することによって調製することが好ましい。
次いで、前記混合物に対し、予備乳化、均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次に、1段目は好ましくは6~18MPa及び2段目は好ましくは2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却することで、起泡性水中油型乳化油脂組成物を調製する。1段目の均質化処理加圧条件は9~15MPaがより好ましく、2段目の均質化処理加圧条件は3~5MPaがより好ましい。
予備乳化は、例えば、攪拌混合機を用いて前記混合物を攪拌することにより実施できる。殺菌前の均質化は、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で実施することが好ましい。予備冷却は、殺菌後の混合物の品温を30~70℃になるまで冷却することが好ましい。また、均質化処理後の冷却は、プレート式冷却機等を使用することが好ましい。
次いで、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と、生クリームを混合して、本発明の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを得ることができる。前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と、生クリームとを混合する際には、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリーム以外の成分、例えば、糖類を添加してもよい。前記糖類としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、ガラクトース、果糖等の単糖類、ショ糖、マルトース、ラクトース等の二糖類等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
該常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを常法に従ってホイップすることで、本発明の常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<実施例及び比較例で使用した原料>
1)(株)カネカ製「パーム核ステアリン」(C12以下の飽和脂肪酸含量:54.1重量%、上昇融点:31.3℃)
2)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS-3S」(テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、C16~C22の飽和脂肪酸含量:99.8重量%、重合度:4、HLB:8.4)
3)ADM(株)製「Yelkin TS」(HLB:3.5)
4)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」(乳脂肪含量:47.3重量%、水分含量:47.9重量%、乳タンパク質含量:1.7重量%、糖質含量:2.7重量%)
5)よつ葉乳業(株)製「よつ葉脱脂粉乳」(乳脂肪含量:0.7重量%、水分含量:4.1重量%、乳タンパク質含量:35.6重量%、糖質含量:51.8重量%)
6)Friesland Campina DMV社製「カゼインカリウムSPRAY」(乳脂肪含量:0.6重量%、水分含量:5.7重量%、乳タンパク質含量:89.0重量%、糖質含量:0重量%)
7)昭和産業(株)製マルトースシロップ「MR25-50」(水分含量:24.6重量%、糖質含量:75.4重量%)
8)Hilmar Cheese Company社製「ラクトース」(水分含量:0.1重量%、乳タンパク質含量:0.1重量%、糖質含量:99.8重量%)
9)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMM-750」(デカグリセリンミリスチン酸エステル、C~C14の飽和脂肪酸含量:99.8重量%、HLB:15.7、重合度:10)
10)三菱ケミカルフーズ(株)製「P-1670」(ショ糖パルミチン酸エステル、C~C14の飽和脂肪酸含量:20重量%以下、パルミチン酸含量:約80重量%、HLB:16)
11)扶桑化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」
12)(株)林原製「サンマルトS」(水分含量:5.3重量%、糖質含量:94.7重量%)
13)有機合成薬品工業(株)製「グリシン」
14)(株)カネカ製「パーム核極度硬化油」(C12以下の飽和脂肪酸含量:53.0重量%、上昇融点:40.3℃)
15)(株)カネカ製「パーム核油」(C12以下の飽和脂肪酸含量:51.2重量%、上昇融点:27.4℃)
16)太陽化学(株)製「サンソフトQ-12D」(ジグリセリンモノラウリン酸エステル、C16~C22の飽和脂肪酸含量:10重量%以下、重合度:2、HLB:8.5)
17)三菱ケミカル(株)製「S-370」(ショ糖ステアリン酸エステル、C16~C22の飽和脂肪酸含量:99.4重量%、HLB:3)
18)三菱ケミカルフーズ(株)製「S-1670」(ショ糖ステアリン酸エステル、C~C14の飽和脂肪酸含量:20重量%以下、HLB:16)
19)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMSW-7S」(デカラグリセリンモノステアリン酸エステル、重合度:10、C~C14の飽和脂肪酸含量:20重量%以下、HLB:13.4、水分含量:60重量%)
<ホイップドコンパウンドクリームの評価>
(ホイップドコンパウンドクリームの保形性評価)
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを、出口が星型の口金を用いて透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドクリームを絞り、該ホイップドコンパウンドクリームの塊の高さ(H1)を測定した。更に、25℃で24時間保存後のホイップドコンパウンドクリームの高さ(H2)を測定し、該高さの保持率(H2/H1×100(%))を以下の評価基準に従って評価した。
5点:高さの保持率が80%以上であり、常温での保形性が非常に良い
4点:高さの保持率が75%以上80%未満であり、常温での保形性が良い
3点:高さの保持率が70%以上75%未満であり、常温での保形性に問題がない
2点:高さの保持率が60%以上70%未満であり、常温での保形性がやや悪い
1点:高さの保持率が60%未満であり、常温での保形性が非常に悪い
(ホイップドコンパウンドクリームの離水耐性評価)
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリーム40gを、出口が星型の口金を用いて透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドコンパウンドクリームを絞り、25℃で24時間保存し、保存後のホイップドコンパウンドクリームから完全に滲み出した水分を5mLシリンジで吸引して全量回収した際の水分量をシリンジ目盛りから読み取ることで離水の量を測定して5点満点で評価した。
5点:離水の量が0.3ml未満で、常温での離水耐性が非常に高い
4点:離水の量が0.3ml以上1ml未満で、常温での離水耐性が高い
3点:離水の量が1ml以上3ml未満で、常温での離水耐性に問題がない
2点:離水の量が3ml以上5ml未満で、常温での離水耐性が低く、問題がある
1点:離水の量が5ml以上で、常温での離水耐性が明らかに低く、非常に問題がある
(ホイップドコンパウンドクリーム表面の荒れのなさの評価)
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)で5g程度80個絞り、71~80個目の表面のキメの状態を目視で評価し、その平均点を評価点とした。その際の評価基準は、以下の通りであった。
5点:実施例1よりも良く、キメが非常に細かく滑らかで艶があり、クリーム表面に全く荒れがない
4点:実施例1と同等で、キメが細かく滑らかで艶がありで、クリーム表面に殆ど荒れがない
3点:実施例1よりも若干劣り、ややザラツキがあり、クリーム表面が僅かに荒れているが、商品性に問題はないレベルである
2点:実施例1よりも悪く、少しザラツキがあり、クリーム表面が荒れている
1点:実施例1よりも明らかに悪く、かなりザラツキがあり、クリーム表面が非常に荒れている
(総合評価)
保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:保形性及び離水耐性の評価が4点以上5点以下であって、5点が一つ以上あり、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が4.0点以上5.0点以下であるもの
B:保形性及び離水耐性の評価がどちらも4点であって、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が4.0点以上5.0点以下あるもの
C:保形性及び離水耐性の評価が3点以上5点以下であって、3点が一つ以上あり、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が3.0点以上5.0点以下であるもの、又は、保形性及び離水耐性の評価が3点以上5点以下であって、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が3.0点以上4.0点未満であるもの
D:保形性及び離水耐性の評価が2点以上5点以下であって、2点が一つ以上あり、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が2.0点以上5.0点以下であるもの、又は、保形性及び離水耐性の評価が2点以上5点以下であって、且つクリーム表面の荒れのなさの評価が2.0点以上3.0点未満であるもの
E:保形性及び離水耐性の評価において、1点が少なくとも一つあるもの、又は、クリーム表面の荒れのなさの評価が2.0点未満であるもの
(製造例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従い、65℃に加熱したパーム核ステアリン(油脂A):30.0重量部に、ポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤Y):0.10重量部と大豆レシチン:0.10重量部を溶解して、油相部を作製した。
一方、生クリーム:10.0重量部に、水:27.53重量部、マルトースシロップ;25.0重量部、ラクトース:4.5重量部を混合し、60℃に加熱した後、ポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤X):0.15重量部、ショ糖脂肪酸エステル:0.02重量部、クエン酸ナトリウム:0.10重量部を加えて溶解した後、更に、脱脂粉乳:2.0重量部、カゼインカリウム:0.5重量部を加えて溶解し、水相部を作製した。
水相部を攪拌しているところに油相部を加えて混合物を調製し、前記混合物を20分間攪拌することにより予備乳化を行った後、高圧ホモジナイザーで1段目2.0MPa/2段目1.0MPaの圧力で均質化した。次いで、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて140℃で4秒間殺菌処理を行った。90℃まで蒸発冷却後、プレート式冷却機を用いて60℃まで予備冷却した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目9.0MPa/2段目3.0MPaの圧力で均質化処理した後、プレート式冷却機で12℃まで冷却したものを容器に充填し、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
Figure 2024056320000001
(製造例2~5) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従い、パーム核ステアリン:30.0重量部と生クリーム:10.0重量部をそれぞれ、34.7重量部と0重量部(製造例2)、32.4重量部と5.0重量部(製造例3)、27.2重量部と16.0重量部(製造例4)、又は、23.0重量部と25.0重量部(製造例5)に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
(実施例1) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表2の配合に従い、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物:58.2重量部、生クリーム:27.2重量部、マルトース:11.7重量部、グリシン:2.9重量部を混合することで常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを得た。得られたコンパウンドクリームをカントーミキサー(関東混合機工業(株)製「CS型20」)に4kg入れ、品温を5℃に調整し、高速撹拌条件(6.3s-1)で、硬さが最大荷重として0.30Nになるまでホイップし、常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表2に示した。
なお、ホイップドクリームの最大荷重とは、ホイップ直後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター(「RE2-33005S」、株式会社山電製)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sの速さで1cm貫入時の最大荷重のことである。
Figure 2024056320000002
(実施例2~5) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表2の配合に従い、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、製造例2の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例2)、製造例3の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例3)、製造例4の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例4)、又は、製造例5の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例5)に変更した以外は、実施例1と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表2に示した。
(実施例6) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表2の配合に従い、実施例5において、起泡性水中油型乳化油脂組成物(製造例5):58.2重量部を95.0重量部、生クリーム:27.2重量部を1.4重量部、マルトース:11.7重量部を0.7重量部に変更した以外は、実施例5と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表2に示した。
(実施例7) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表2の配合に従い、実施例5において、起泡性水中油型乳化油脂組成物(製造例5):58.2重量部を82.8重量部、生クリーム:27.2重量部を10.0重量部、マルトース:11.7重量部を4.3重量部に変更した以外は、実施例5と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表2に示した。
表2から明らかなように、コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、油脂の含量と糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、且つ、油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%である常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(実施例1~7)は、何れも常温での保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価が良好であった。
(製造例6、7) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表3の配合に従い、製造例1のパーム核ステアリン:30.0重量部を、パーム核極度硬化油:30.0重量部(製造例6)、又は、パーム核ステアリン:15.0重量部とパーム核油:15.0重量部(製造例7)に変更した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
Figure 2024056320000003
(実施例8、比較例1) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表4の配合に従い、実施例1において、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、製造例6の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例8)、又は、製造例7の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例1)に変更した以外は、実施例1と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表4に示した。
Figure 2024056320000004
表4から明らかなように、ホイップドコンパウンドクリーム中の油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%の範囲にある常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(実施例1、8)は、どちらも常温での保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価が良好であった。一方、ホイップドコンパウンドクリーム中の油脂全体中、油脂Aの含量が26.4重量%と少ない常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例1)は、常温での保形性、及び、離水耐性の評価が悪く、総合評価はDであった。
(製造例8~11) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表5の配合に従い、水相部に配合したポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤X):0.15重量部を、0.30重量部(製造例8)、0.70重量部(製造例9)、0.04重量部(製造例10)、又は、1.00重量部(製造例11)に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
Figure 2024056320000005
(実施例9~10、比較例2~3) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表6の配合に従い、実施例1において、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、製造例8の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例9)、製造例9の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例10)、製造例10の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例2)、又は、製造例11の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例3)に変更した以外は、実施例1と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表6に示した。
Figure 2024056320000006
表6から明らかなように、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%の範囲にある常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(実施例1、9~10)は、何れも常温での保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価が良好であった。一方、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Xの含量が0.02重量%と少ない常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例2)は、常温での保形性と離水耐性の評価が悪く、総合評価はDであった。また、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Xの含量が0.58重量%と多い常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例3)は、クリーム表面の荒れのなさの評価が悪く、総合評価はDであった。
(製造例12~16) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表7の配合に従い、油相部に配合したポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤Y):0.10重量部を、0.07重量部(製造例12)、0.50重量部(製造例13)、0.85重量部(製造例14)、0.05重量部(製造例15)、又は、0.90重量部(製造例16)に変更し、全体量を水で調整した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
Figure 2024056320000007
(実施例11~13、比較例4~5) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表8の配合に従い、実施例1において、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、製造例12の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例11)、製造例13の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例12)、製造例14の起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例13)、製造例15の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例4)、又は、製造例16の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例5)に変更した以外は、実施例1と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表8に示した。
Figure 2024056320000008
表8から明らかなように、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%の範囲にある常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(実施例1、11~13)は、何れも常温での保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価が良好であった。一方、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Yの含量が0.03重量%と少ない常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例4)は、クリーム表面の荒れのなさの評価が悪く、総合評価はDであった。また、ホイップドコンパウンドクリーム全体中、乳化剤Yの含量が0.52重量%と多い常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例5)は、常温での保形性の評価が悪く、総合評価はDであった。
(製造例17、18) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表9の配合に従い、油相部にポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤Y)を配合せず、乳化剤Zとして親油性の乳化剤の配合を変更した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
Figure 2024056320000009
(製造例19~21) 起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表9の配合に従い、水相部にポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤X)を配合せず、乳化剤Zとして親水性の乳化剤の配合を変更した以外は、製造例1と同様にして、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
(比較例6~10) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表10の配合に従い、実施例1において、製造例1の起泡性水中油型乳化油脂組成物を、製造例17の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例6)、製造例18の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例7)、製造例19の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例8)、製造例20の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例9)、又は、製造例21の起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例10)に変更した以外は、実施例1と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表10に示した。
Figure 2024056320000010
表10から明らかなように、コンパウンドクリーム全体中、乳化剤Yを含有しない常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例6)は、常温での保形性の評価が悪く、総合評価はDであった。また、コンパウンドクリーム全体中、乳化剤Yを含有しない常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例7)は、常温での保形性、及び、離水耐性の評価が悪く、総合評価はEであった。更に、コンパウンドクリーム全体中、乳化剤Xを含有せず、構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸含量が20重量%以下で、HLBが12より大きい他の親水性の乳化剤を使用した常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(比較例8~10)は、何れも常温での保形性、及び、離水耐性の評価が悪く、総合評価はEであった。
(実施例14) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表11の配合に従い、65℃に加熱したパーム核ステアリン(油脂A):20.5重量部に、ポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤Y):0.10重量部と大豆レシチン:0.10重量部を溶解して、油相部を作製した。
一方、生クリーム:30.0重量部に、水:17.03重量部、マルトースシロップ;25.0重量部、ラクトース:4.5重量部を混合し、60℃に加熱した後、ポリグリセリン脂肪酸エステル(乳化剤X):0.15重量部、ショ糖脂肪酸エステル:0.02重量部、クエン酸ナトリウム:0.10重量部を加えて溶解した後、更に、脱脂粉乳:2.0重量部、カゼインカリウム:0.5重量部を加えて溶解し、水相部を作製した。
水相部を攪拌しているところに油相部を加えて混合物を調製し、前記混合物を20分間攪拌することにより予備乳化を行った後、高圧ホモジナイザーで1段目2.0MPa/2段目1.0MPaの圧力で均質化した。次いで、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて140℃で4秒間殺菌処理を行った。90℃まで蒸発冷却後、プレート式冷却機を用いて60℃まで予備冷却した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目9.0MPa/2段目3.0MPaの圧力で均質化処理した後、プレート式冷却機で12℃まで冷却したものを容器に充填し、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを得た。得られたコンパウンドクリームをカントーミキサー(関東混合機工業(株)製「CS型20」)に4kg入れ、品温を5℃に調整し、高速撹拌条件(6.3s-1)で硬さが最大荷重として0.30Nになるまでホイップし、常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表11に示した。
Figure 2024056320000011
(実施例15) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの作製
表11の配合に従い、実施例14において、パーム核ステアリン:20.5重量部を13.9重量部、生クリーム:30.0重量部を44.0重量部に変更し、全体量を水で調整した以外は、実施例14と同様にして常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームを作製し、ホイップして常温流通ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて、25℃で24時間保存後の保形性と離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価結果を表11に示した。
表11から明らかなように、コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、油脂の含量と糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、且つ、油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%である常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリームがホイップされたホイップドコンパウンドクリーム(実施例14、15)は、どちらも常温での保形性、離水耐性、及び、クリーム表面の荒れのなさの評価が良好であった。

Claims (6)

  1. コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%であり、且つ、乳脂肪の含量が前記油脂全体中35~60重量%のコンパウンドクリームであって、
    前記コンパウンドクリーム全体中、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、
    前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%である、常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム。
    油脂A:構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40~100重量%含み、上昇融点が30~42℃の植物性油脂。
    乳化剤X:構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、構成脂肪酸全体中、C~C14の飽和脂肪酸を60~100重量%含み、HLBが12~18であるショ糖脂肪酸エステル。
    乳化剤Y:構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル。
  2. 植物性油脂を含む起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリームの混合物であり、
    前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、水、前記糖質、前記乳タンパク質、前記乳化剤X、前記乳化剤Y、及び、前記油脂Aを含有する混合物の乳化物である、請求項1に記載の常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム。
  3. 請求項1又は2に記載のコンパウンドクリームがホイップされた常温流通ホイップドコンパウンドクリーム。
  4. 請求項3に記載の常温流通ホイップドコンパウンドクリームを含む食品。
  5. 混合物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、
    前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%である混合物を調製し、
    前記混合物に対し、予備乳化、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却してコンパウンドクリームを得、
    前記コンパウンドクリームをホイップする、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの製造方法。
  6. コンパウンドクリーム全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、糖質の含量(固形分換算)が20~45重量%、前記油脂の含量と前記糖質の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.15~5重量%、乳化剤Xの含量が0.03~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.04~0.5重量%であり、
    前記油脂全体中、油脂Aの含量が40~65重量%、乳脂肪の含量が35~60重量%となるように、
    水、糖質、乳タンパク質、乳化剤X、乳化剤Y、及び、油脂Aを含有する混合物を調製し、
    前記混合物に対し、予備乳化、1段目は2~4MPa及び2段目は1~2MPaの加圧条件で均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6MPaの加圧条件で均質化処理することにより乳化した後、冷却して起泡性水中油型乳化油脂組成物を得、
    前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と、生クリームを混合して、コンパウンドクリームを得、
    前記コンパウンドクリームをホイップする、常温流通ホイップドコンパウンドクリームの製造方法。
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