JP2022155219A - 起泡性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

起泡性水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022155219A
JP2022155219A JP2021058619A JP2021058619A JP2022155219A JP 2022155219 A JP2022155219 A JP 2022155219A JP 2021058619 A JP2021058619 A JP 2021058619A JP 2021058619 A JP2021058619 A JP 2021058619A JP 2022155219 A JP2022155219 A JP 2022155219A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
content
oil
fat
cream
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021058619A
Other languages
English (en)
Inventor
晃太郎 柿原
Kotaro Kakihara
志帆 菊池
Shiho Kikuchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2021058619A priority Critical patent/JP2022155219A/ja
Publication of JP2022155219A publication Critical patent/JP2022155219A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

【課題】増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有せず、常温での保形性、離水耐性、日持ちが良好で、口溶けにも優れ乳風味が豊かな、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物の提供。【解決手段】組成物全体中、油脂20~45%、水分20~50%、糖類(固形分換算)10~45%、乳タンパク質(固形分換算)0.05~4%、乳化剤X0.02~0.45%、乳化剤Y0.03~0.3%である。前記油脂全体中、油脂A50~100%である。油脂Aは、C12以下の飽和脂肪酸を40%以上含み、上昇融点が30~42℃の植物性油脂である。乳化剤Xは、C10~C14の飽和脂肪酸を60%以上含み、HLBが12~18、重合度が8~12のポリグリセリン脂肪酸エステルである。乳化剤Yは、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100%含み、HLBが5~12のポリグリセリン脂肪酸エステルである。【選択図】なし

Description

本発明は、起泡性水中油型乳化油脂組成物、起泡性コンパウンドクリーム、及び、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームに関する。
ホイップドクリームには、油脂成分として生クリームのみを含むもの、植物油脂のみを含むもの、及び、生クリームと植物油脂の双方を含むコンパウンドクリームがある。これらホイップドクリームとしては、生クリームを含み、乳風味が豊かなものが好まれる。
食品の流通においては、コールドチェーンの整備やエネルギーの観点から、常温で流通させることができ、日持ちのする食品が重要になってきている。
しかし、生クリームを含むホイップドコンパウンドクリームは、乳風味が豊かであるものの、常温では保形性が不十分であったり、離水が発生したり、日持ちが不十分になるといった問題があり、また、口溶けもやや重たくなる傾向がある。そこで、ホイップドコンパウンドクリームを常温で流通させるにあたって、乳風味を維持しながら、常温での保形性、離水耐性、及び日持ちを改善し、かつ、良好な口溶けを維持又は向上させることが求められる。
ホイップドコンパウンドクリームの常温流通を可能にするため、該コンパウンドクリームに増粘剤を配合して、保形性や離水耐性を高め、日持ちも良くすることが考えられる。しかし、増粘剤を配合すると口溶けが悪化しやすい。
また、ホイップドコンパウンドクリームの保形性や口溶けを良くするために、部分硬化油を配合することも考えられる。しかし部分硬化油はトランス脂肪酸を多く含有するため、健康への悪影響が懸念される。
例えば、特許文献1には、良好なホイップ性、優れた常温耐性、良好な口溶けを有する低油分クリームを提供することを目的に、油脂中にSUS型トリグリセリドを25%以上、ラウリン系油脂を5~60%含む乳化物(A)と、生クリーム等の乳脂含有乳化物(B)を混合して得られるコンパウンドクリームが開示されている。しかしながら、該文献で開示されているホイップドコンパウンドクリームは、常温での保形性や、離水耐性、日持ちが十分なものではなかった。
特開平5-328928号公報
本発明の目的は、増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有しないにも関わらず、常温での保形性、離水耐性、日持ちが良好で、かつ、口溶けにも優れ乳風味が豊かな、常温流通用ホイップドコンパウンドクリーム、並びに、それを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物及び起泡性コンパウンドクリームを提供することである。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有せず、特定の油脂を特定量含む油脂、水分、糖類、乳タンパク質、及び特定の2種の乳化剤をそれぞれ特定量含む起泡性水中油型乳化油脂組成物を特定量含み、かつ、乳脂肪を特定量含む起泡性コンパウンドクリームが、ホイップすることで、常温での保形性、離水耐性、日持ちが良好で、かつ、口溶けにも優れ乳風味が豊かな、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、増粘剤の含量が0重量%以上0.02重量%未満であり、前記油脂の構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、糖類の含量(固形分換算)が10~45重量%、前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.05~4重量%、生クリームの含量が0~20重量%、乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.03~0.3重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が50~100重量%である、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
油脂A:構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40重量%以上含み、トランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、上昇融点が30~42℃の植物性油脂。
乳化剤X:構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18であるショ糖脂肪酸エステル。
乳化剤Y:構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル。
本発明の第二は、起泡性コンパウンドクリーム全体中、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物を70重量%以上含み、起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中、乳脂肪の含量が5~35重量%であり、水分活性(Aw)が0.9~0.94である、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性コンパウンドクリームに関する。
好ましくは、起泡性コンパウンドクリーム全体中、リン酸塩の含量が0重量%以上0.5重量%未満である。
本発明の第三は、前記起泡性コンパウンドクリームがホイップされた、常温流通用ホイップドコンパウンドクリーム、又は、該常温流通用ホイップドコンパウンドクリームを含む食品に関する。
本発明の第四は、混合物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、増粘剤の含量が0重量%以上0.02重量%未満であり、前記油脂の構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、前記混合物全体中、糖類の含量(固形分換算)が10~45重量%、前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.05~4重量%(固形分換算)、生クリームの含量が0~20重量%、乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.03~0.3重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が50~100重量%である混合物を調製し、該混合物に対し、予備乳化、均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6Mpaの加圧条件で均質化処理した後、冷却して起泡性水中油型乳化油脂組成物を得る工程を含む、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法に関する。
本発明の第五は、前記製造方法によって前記起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た後、該起泡性水中油型乳化油脂組成物70重量%以上と、生クリームを混合して、生クリームの含量が起泡性コンパウンドクリーム全体中3~20重量%である起泡性コンパウンドクリームを得、該起泡性コンパウンドクリームをホイップする工程を含む、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの製造方法に関する。
本発明に従えば、増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有しないにも関わらず、常温での保形性、離水耐性、日持ちが良好で、かつ、口溶けにも優れ乳風味が豊かな、常温流通用ホイップドコンパウンドクリーム、並びに、それを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物及び起泡性コンパウンドクリームを提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、油脂と必要に応じて油脂以外の油溶性原料とを含む油相、及び、水と必要に応じて水溶性原料とを含む水相からなる、水中油型の乳化物である。当該起泡性水中油型乳化油脂組成物を、生クリームなどの乳脂肪を多く含む原料と混合して、起泡性コンパウンドクリームを得ることができる。該起泡性コンパウンドクリームをホイップすることにより、ホイップドコンパウンドクリームを得ることができる。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有せず、特定の油脂を特定量含む油脂、水分、糖類、乳タンパク質、及び特定の2種の乳化剤をそれぞれ特定量含むものである。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、健康上の観点から、該起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる油脂の構成脂肪酸として、トランス脂肪酸を多くは含有しないことが好ましい。ここで、トランス脂肪酸とは、トランス型の二重結合を持つ不飽和脂肪酸のことをいう。
具体的には、トランス脂肪酸の含量は、前記油脂の構成脂肪酸全体中0重量%以上3重量%未満であることが好ましく、0重量%以上2重量%以下がより好ましく、0重量%以上1重量%以下がさらに好ましい。なお、トランス脂肪酸の含量を少なくするには、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物に部分硬化油(部分水素添加油)を配合しないか、又は、その含量を低減すればよい。
ホイップドコンパウンドクリームの口溶けを良好にするため、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物に増粘剤を配合しないか、又は、その含量を低減することが好ましい。具体的には、増粘剤の含量は、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0重量%以上0.02重量%未満が好ましく、0重量%以上0.01重量%未満がより好ましい。
前記増粘剤としては、ホイップドクリームに対して使用可能な増粘剤が挙げられ、例えば、ジェランガム、グアガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース、澱粉、デキストリン等が挙げられる。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、油脂を、前記組成物全体中、合計で20~45重量%含有することが好ましく、25~40重量%がより好ましく、30~38重量%がさらに好ましい。油脂の含量が20重量%より少ないと、ホイップ時間が長くなりすぎる場合がある。また、45重量%より多いと、前記組成物の安定性や、起泡性コンパウンドクリームのホイップ性が悪化する場合がある。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる前記油脂は、特定の油脂Aを多く含むことが好ましい。ここで、油脂Aとは、油脂Aの構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40重量%以上含み、トランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、上昇融点が30~42℃の植物性油脂のことをいう。
油脂Aの構成脂肪酸全体中のC12以下の飽和脂肪酸の含量は、40~90重量%が好ましく、45~80重量%がより好ましく、50~70重量%がさらに好ましい。C12以下の飽和脂肪酸の含量が40重量%未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの口溶けと保形性のバランスが悪化する場合がある。
油脂Aの構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量は、0重量%以上2重量%以下が好ましく、0重量%以上1重量%以下がより好ましい。
油脂Aの上昇融点は、30~38℃が好ましく、30~35℃がより好ましい。上昇融点が30℃未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。また、42℃を超えると、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物の安定性や、起泡性コンパウンドクリームのホイップ性が悪化する場合がある。前記上昇融点は、基準油脂分析試験法3.2.2.2融点(上昇融点)に記載の方法により測定することができる。
油脂Aの具体例としては特に限定されないが、具体的には、パーム核ステアリン、極度硬化パーム核油、極度硬化パーム核油のエステル交換油脂、極度硬化パーム核油とパーム核油のエステル交換油脂、極度硬化パーム核油とヤシ油のエステル交換油脂などが挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。特に、パーム核ステアリンが好ましい。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる油脂全体中、油脂Aの含量は、50~100重量%であることが好ましく、60~100重量%以上がより好ましく、70~100重量%がさらに好ましく、80~100重量%がより更に好ましい。油脂全体中の油脂Aの含量が50重量%未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。
油脂A以外に使用可能な油脂としては、特に限定されないが、油脂Aに該当しないパーム系油脂、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、ひまわり油、サフラワー油、オリーブ油、米油、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられる。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、水分を、前記組成物全体中、20~50重量%含有することが好ましく、25~45重量%がより好ましく、30~40重量%がさらに好ましく、35~43重量%が特に好ましい。水分の含量が20重量%未満であると、前記組成物の安定性や、起泡性コンパウンドクリームのホイップ性が悪化する場合がある。また、50重量%より多いと、ホイップドコンパウンドクリームの日持ちが悪化する場合がある。尚、前記水分の含量は、水の添加量と、各成分(例えば糖類や乳原料)に含まれる水分量とを合計した値である。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は糖類を含む。前記糖類の含量(固形分換算)は、前記組成物全体中10~45重量%であることが好ましく、15~40重量%がより好ましく、20~35重量%がさらに好ましく、20~30重量%が特に好ましい。糖類の含量が10重量%未満であると、甘さが不足したり、静菌効果が十分でないために起泡性コンパウンドクリームの日持ちが悪化する場合がある。また、45重量%より多いと、甘くなりすぎたり、前記組成物の粘度が高すぎて生産性が悪くなる場合がある。
前記糖類としては特に限定されないが、例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトースなどの単糖類、スクロース、マルトース、ラクトースなどの二糖類、甘さを有し水分活性を下げる効果を持つ多糖類や、ソルビトール、キシリトールなどの糖アルコール等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計は、45~75重量%であることが好ましく、50~70重量%がより好ましく、55~65重量%が更に好ましい。前記合計量が45重量%より少ないと、ホイップドコンパウンドクリームの日持ちが悪化する場合がある。また、75重量%より多いと、前記組成物の安定性や、起泡性コンパウンドクリームのホイップ性が悪化したり、あるいは、糖分が多すぎて甘くなりすぎたり、前記組成物の粘度が高すぎて生産性が悪くなる場合がある。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は乳タンパク質を含む。前記乳タンパク質の含量(固形分換算)は、前記組成物全体中0.05~4重量%であることが好ましく、0.1~3重量%がより好ましく、0.3~2重量%がさらに好ましい。乳タンパク質の含量が0.05重量%未満であると、乳化が不安定になったり、乳風味が不足する場合がある。また、4重量%より多いと、コストが上昇したり、乳化が不安定になる場合がある。
前記乳タンパク質としては、例えば、ホエイやカゼイン等が挙げられる。これら乳タンパク質を含む乳タンパク質源としては、例えば、生乳、牛乳、バターミルク、脱脂濃縮乳、生クリーム、全粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、カゼインカリウム、カゼインナトリウム、チーズ等が挙げられる。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、生クリームを含有するものであってもよいし、含有しないものであってもよい。前記生クリームの含量は、前記組成物全体中0~20重量%であることが好ましく、5~15重量%がより好ましい。生クリームの含量が20重量%を超えると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。なお、前記生クリームとは、乳等省令で定義される「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上にしたもの」をいう。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、乳化剤として、少なくとも乳化剤Xと乳化剤Yを含む。
前記乳化剤Xとは、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18であるショ糖脂肪酸エステルのことを指す。
乳化剤Xであるポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中のC10~C14の飽和脂肪酸の含量は、65~100重量%が好ましく、70~100重量%がより好ましい。C10~C14の飽和脂肪酸の含量が60重量%未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性と離水耐性が悪化する場合がある。
乳化剤Xである前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、13~17であることが好ましく、14~17がより好ましい。また、乳化剤Xである前記ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、13~17であることが好ましく、14~17がより好ましい。
前記重合度とは、ポリグリセリン脂肪酸エステル中のグリセリン単位の数を指す。前記重合度は9~11が好ましい。
前記乳化剤Xの含量は、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.02~0.45重量%であることが好ましく、0.02~0.3重量%がより好ましく、0.05~0.25重量%がさらに好ましく、0.08~0.2重量%が特に好ましい。乳化剤Xの含量が0.02重量%未満であると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性と離水耐性が悪化する場合がある。また、0.45重量%より多いと、異味が感じられ、ホイップドコンパウンドクリームの乳風味が損なわれる場合がある。
前記乳化剤Yとは、ポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12である(即ち油溶性を示す)ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステルのことを指す。前記乳化剤YのHLBは、6~11であることが好ましく、より好ましくは7~10である。
乳化剤Yであるポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸全体中のC16~C22の飽和脂肪酸の含量は、80~100重量%が好ましい。C16~C22の飽和脂肪酸の含量が70重量%未満であると、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物の安定性が悪化する場合がある。
前記乳化剤Yの含量は、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.03~0.3重量%であることが好ましく、0.05~0.2重量%がより好ましく、0.07~0.15重量%がさらに好ましい。乳化剤Yの含量が0.03重量%未満であると、前記組成物の安定性が悪くなる場合がある。また、0.3重量%より多いと、ホイップ時間が長くなりすぎる場合がある。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物は、乳化剤として、乳化剤Xと乳化剤Yのみを含有するものであってもよいが、乳化剤Xと乳化剤Y以外の乳化剤をさらに含有するものであってもよい。
本実施形態に係る起泡性コンパウンドクリームは、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物を特定量含み、また、乳脂肪を特定量含み、水分活性(Aw)が特定範囲内にあるものである。
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物の含量は、前記起泡性コンパウンドクリーム全体中70重量%以上であることが好ましく、75~95重量%がより好ましく、75~90重量%がさらに好ましい。前記組成物の含量が70重量%より少ないと、常温での保形性や離水耐性の向上効果が不十分となる場合がある。
前記乳脂肪の含量は、前記起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中5~35重量%であることが好ましく、10~30重量%がより好ましく、15~28重量%がさらに好ましい。乳脂肪の含量が5重量%未満であると、乳風味が不足する傾向がある。また、35重量%を超えると、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。
前記乳脂肪の供給源としては、例えば、生クリーム、バターミルクパウダー、バター、バターオイル、クリームチーズ、生乳、牛乳、全粉乳、濃縮乳、サワークリーム、無糖練乳、加糖練乳等が例示でき、それらの群より選ばれる少なくとも1種を原料として用いることができる。乳風味の観点から、乳脂肪の供給源は生クリームであることが好ましい。
前記乳脂肪供給源として生クリームを使用する場合、起泡性コンパウンドクリーム全体中の生クリームの含量は、起泡性コンパウンドクリーム全体中3~20重量%であることが好ましく、5~20重量%がより好ましく、10~18重量%がさらに好ましい。生クリームの含量が3重量%未満であると、乳風味が不十分となる場合がある。また、20重量%を超えると、コストが上昇したり、ホイップドコンパウンドクリームの常温での保形性や離水耐性が悪化する場合がある。尚、ここでいう生クリームの含量とは、起泡性コンパウンドクリームを得る際に起泡性水中油型乳化油脂組成物と混合する生クリームの量と、起泡性水中油型乳化油脂組成物中に含まれる生クリームの量とを合計した量である。
前記起泡性コンパウンドクリームの水分活性(Aw)は、日持ちの観点から、0.9~0.94であることが好ましく、0.9~0.938がより好ましく、0.9~0.934が更に好ましい。
このような水分活性にするためには、例えば、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物の水中糖濃度が40~58重量%になるように水分と糖類の含量を調節すればよい。
なお、前記Awは、露点法(Fleischwirtschaft,vol.52,pp.1461-1462,1972)に準拠して、例えばアイネクス株式会社製「AquaLab Seris4 TE DUO」を用いることにより測定することができる。
前記起泡性コンパウンドクリームは、リン酸塩を含んでもよいが、味や健康面などの観点から、その含量は少なければ少ないほど良い。具体的には、リン酸塩の含量は、起泡性コンパウンドクリーム全体中0重量%以上0.5重量%未満であることが好ましく、0重量%以上0.3重量%未満がより好ましく、0重量%以上0.1重量%未満がさらに好ましい。前記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が例示できる。
前記起泡性コンパウンドクリームは、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、呈味剤、着色料、香料、塩分、ビタミン類、ミネラル類、酸化防止剤、風味成分(例えばフルーツソース、キャラメル、ココアパウダーなど)、その他の食品成分、添加剤等を含有してもよい。
前記起泡性コンパウンドクリームをホイップすることで、ホイップドコンパウンドクリームが得られる。得られるホイップドコンパウンドクリームは、増粘剤及びトランス脂肪酸を実質的に含有しないにも関わらず、常温での保形性、離水耐性、日持ちが良好であるため、常温で流通させることができる。即ち、前記ホイップドコンパウンドクリームは、常温流通用に用いることができる。また、前記ホイップドコンパウンドクリームは、口溶けにも優れ、乳風味が豊かである。
前記ホイップドコンパウンドクリームは、様々な食品にトッピングしたり、ナッペしたり、フィリングしたり、サンドしたりして利用できる。前記食品としては、クリームパン、クリームサンド、サンドイッチ等のパン、ケーキ、シュー、オムレット、どら焼き等の菓子が挙げられる。前記ホイップドコンパウンドクリームを含む食品は、ホイップドコンパウンドクリームの形状を維持しながら、常温で流通させることができる。
本実施形態に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物及びホイップドコンパウンドクリームの製造方法を以下に例示する。
(起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法)
まず、混合物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、増粘剤の含量が0重量%以上0.02重量%未満であり、前記油脂の構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、前記混合物全体中、糖類の含量(固形分換算)が10~45重量%、前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.05~4重量%(固形分換算)、生クリームの含量が0~20重量%、乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.03~0.3重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が50~100重量%である混合物を調製する。
この際、油脂に乳化剤Yなどを溶解させて予め作製した油相部と、水に乳化剤Xや糖類、乳タンパク質源などを加えて別途作製した水相部を混合することによって、前記混合物を調製することが好ましい。
次いで、前記混合物に対して、予備乳化、均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は好ましくは6~18MPa及び2段目は好ましくは2~6Mpaの加圧条件で均質化処理した後、冷却することで、本実施形態に係る起泡性水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。1段目の均質化処理条件は9~15MPaがより好ましく、2段目の均質化処理条件は3~5MPaがより好ましい。
(常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの製造方法)
前記起泡性水中油型乳化油脂組成物70重量%以上と、生クリームなどの乳脂肪供給源を混合して、起泡性コンパウンドクリームを得る。
起泡性コンパウンドクリームを作製する際には、起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中、乳脂肪の含量が5~35重量%となるように調節することが好ましい。また、起泡性コンパウンドクリームの水分活性(Aw)が0.9~0.94となるように調整することが好ましい。起泡性コンパウンドクリームを作製する際には、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物と生クリーム以外の成分、例えば、糖類を添加してもよい。
但し、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物が相当量の乳脂肪を含有している場合には、前記起泡性水中油型乳化油脂組成物に、生クリームなどの乳脂肪供給源を混合することなく、起泡性コンパウンドクリームを得ることもできる。
該起泡性コンパウンドクリームを常法に従ってホイップすることで、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームを得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<実施例及び比較例で使用した原料>
1)(株)カネカ製「パーム核ステアリン」(C12以下の飽和脂肪酸含量:54.1重量%、トランス脂肪酸含量:0.7%、上昇融点:31.3℃)
2)(株)カネカ製「パーム核油」(C12以下の飽和脂肪酸含量:51.2重量%、トランス脂肪酸含量:0.4%、上昇融点:27.4℃)
3)(株)カネカ製「極度硬化パーム核油」(C12以下の飽和脂肪酸含量:53.0重量%、トランス脂肪酸含量:0.6%、上昇融点:40.3℃)
4)阪本薬品工業(株)製テトラグリセリンモノステアリン酸エステル「SYグリスターMS-3S」(C16~C22の飽和脂肪酸含量:99.8重量%、HLB:8.4)
5)ADM(株)製「Yelkin TS」
6)昭和産業(株)製マルトースシロップ「MR25-50」(水分含量:24.6重量%)
7)Hilmar Cheese Company社製「ラクトース」
8)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」(乳脂肪含量:47.3重量%、トランス脂肪酸含量:2.1重量%(油脂の構成脂肪酸中)、水分含量:47.9重量%、乳タンパク質含量:1.7重量%)
9)Friesland Campina DMV社製「カゼインカリウムSPRAY」
10)よつ葉乳業(株)製「よつ葉脱脂粉乳」(乳脂肪含量:0.7重量%、水分含量:4.1重量%、乳タンパク質含量:35.6重量%)
11)阪本薬品工業(株)製ポリグリセリン脂肪酸エステル「SYグリスターMM-750」(C10~C14の飽和脂肪酸含量:99.8重量%、HLB:15.7、重合度:10)
12)三菱ケミカルフーズ(株)製ショ糖脂肪酸エステル「P-1670」(ショ糖パルミチン酸エステル、C10~C14の飽和脂肪酸含量:20重量%以下、パルミチン酸含量:約80重量%、HLB:16)
13)扶桑化学工業(株)製「精製クエン酸ナトリウム」
14)(株)林原製「サンマルトS」
<保形性評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを、出口が星型の口金を用いて透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドクリームを絞り、該ホイップドクリームの塊の高さを測定した。25℃で1日保存し、保存前後のホイップドコンパウンドクリームの高さの保持率を測定し、該高さの保持率を以下の評価基準に従って評価した。
5点:保存前後の高さの保持率が80%以上であり、常温での保形性が非常に良い
4点:保存前後の高さの保持率が75%以上80%未満であり、常温での保形性が良い
3点:保存前後の高さの保持率が70%以上75%未満であり、常温での保形性に問題がない
2点:保存前後の高さの保持率が60%以上70%未満であり、常温での保形性がやや悪い
1点:保存前後の高さの保持率が60%未満であり、常温での保形性が非常に悪い
<離水耐性評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリーム40gを、出口が星型の口金を用いて透明なポリカップ容器に高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドクリームを絞り、25℃で1日保存し、保存後のホイップドコンパウンドクリームの離水の量を測定して5点満点で評価した。
5点:離水の量が0.3ml未満で、常温での離水耐性が非常に高い
4点:離水の量が0.3ml以上1ml未満で、常温での離水耐性が高い
3点:離水の量が1ml以上3ml未満で、常温での離水耐性に問題がない
2点:離水の量が3ml以上5ml未満で、常温での離水耐性がやや低く、やや問題がある
1点:離水の量が5ml以上で、常温での離水耐性が非常に低く、問題がある
<日持ちの評価>
実施例及び比較例で得られた起泡性コンパウンドクリームの水分活性(Aw)を、アイネクス株式会社製「AquaLab Seris4 TE DUO」を用いて測定し、得られた測定値に基づいて、以下の基準で日持ちの評価を行った。尚、水分活性が低いほど静菌性が高い。
〇:起泡性コンパウンドクリームのAwが0.9以上0.94以下であり静菌性が十分に高く、常温での日持ちが良い
×:起泡性コンパウンドクリームのAwが0.94より大きく静菌性が十分でなく、常温での日持ちに問題がある
<口溶け評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを、熟練のパネラー10人が口に含み、口溶けを5点満点で評価して、その平均点を評価点とした。その際の評価基準は、以下の通りであった。
5点:実施例X3と同等であり、口溶けが非常に良い
4点:実施例X3よりやや劣るが、口溶けが良い
3点:実施例X3より劣るが、口溶けに問題がない
2点:実施例X3より明らかに劣り、口溶けがやや悪い
1点:実施例X3より著しく劣り、口溶けが非常に悪い
<乳風味の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドコンパウンドクリームを、熟練のパネラー10人が口に含み、乳風味を5点満点で評価して、その平均点を評価点とした。その際の評価基準は、以下の通りであった。
5点:実施例X1と同等か、又はそれ以上の乳風味を感じる
4点:実施例X1よりも乳風味がやや劣る
3点:実施例X1よりも乳風味が劣るが、商品としては問題ないレベルである
2点:実施例X1よりも乳風味が大きく劣る
1点:実施例X1よりも乳風味が大きく劣り、乳風味をほとんど感じない
<総合評価>
A:保形性、離水耐性、口溶け、乳風味の全ての項目が4.5点以上、且つ日持ちの項目が〇
B:保形性、離水耐性、口溶け、乳風味の全ての項目が4.0点以上(但し全ての項目が4.5点以上の場合を除く)、且つ日持ちの項目が〇
C:保形性、離水耐性、口溶け、乳風味の全ての項目が3.0点以上(但し全ての項目が4.0点以上の場合を除く)、且つ日持ちの項目が〇
D:保形性、離水耐性、口溶け、乳風味の全ての項目が2.0点以上(但し全ての項目が3.0点以上の場合を除く)、且つ日持ちの項目が〇
E:いずれかの項目が2.0点未満、及び/又は日持ちの項目が×
(実施例A1)
表1の配合に従い、油脂A(パーム核ステアリン)30.0重量部を65℃に加熱し、大豆レシチン0.1重量部、乳化剤Y(ポリグリセリン脂肪酸エステル)を0.1重量部溶解し、油相部を作製した。
一方、生クリーム10重量部に水27.6重量部を加え、マルトースシロップ25重量部、ラクトース4.5重量部を加え、60℃に加熱し、乳化剤X(ポリグリセリン脂肪酸エステル)を0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステルを0.02重量部、クエン酸ナトリウム0.1重量部を加え、脱脂粉乳2.0重量部、カゼインカリウム0.5重量部を加え、水相部を作製した。
水相部を攪拌しながら油相部を加え、20分間予備乳化を行った。その後、高圧ホモジナイザーで1段目2.0MPa/2段目1.0MPaの圧力で均質化した。次いで、プレート式加熱機を用いて90℃まで予備加熱した後、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて140℃で4秒間殺菌処理を行った。90℃まで蒸発冷却後、プレート式冷却機を用いて60℃まで冷却した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて1段目9.0MPa/2段目3.0MPaの圧力で均質化した後、プレート式冷却機で12℃まで冷却したものを容器に充填し、起泡性水中油型乳化油脂組成物A1を得た。
(実施例X1)
実施例A1で得た起泡性水中油型乳化油脂組成物A1を100重量部、生クリーム10重量部、マルトース20重量部を混合することで起泡性コンパウンドクリームを得た。
得られた起泡性コンパウンドクリームをカントーミキサー(関東混合機工業(株)製「CS型20」)に4kg入れ、品温を5℃に調整し、高速撹拌条件(380rpm)で硬さが0.30Nになるまでホイップし、ホイップドコンパウンドクリームを得た。得られたホイップドコンパウンドクリームについて保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表1にまとめた。
Figure 2022155219000001
(実施例A2)
表1に従ってパーム核ステアリンの量を34.7重量部に変更し、生クリームを使用せず、水を32.9重量部に変更した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物A2を得た。
(実施例X2)
表1に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物A2を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表1にまとめた。
(実施例A3)
表1に従ってパーム核ステアリンの量を18.0重量部に変更し、パーム核油12.0重量部を使用した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物A3を得た。
(実施例X3)
表1に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物A3を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表1にまとめた。
(比較例B1)
表1に従ってパーム核ステアリンの量を16.0重量部に変更し、パーム核油14.0重量部を使用した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物B1を得た。
(比較例Y1)
表1に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物B1を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表1にまとめた。
表1から明らかなように、起泡性水中油型乳化油脂組成物の油脂全体中の油脂Aの含量が50~100重量%の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1~A3)を用いて得た、油脂全体中の乳脂肪の含量が5~35重量%の範囲にあるホイップドコンパウンドクリーム(実施例X1~X3)は、いずれも、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の全ての評価項目で良好な結果であった。特に、油脂Aの含量が80~100重量%の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1)を用いて得た、油脂全体中の乳脂肪の含量が15~28重量%の範囲にあるホイップドクリーム(実施例X1)は、総合評価がAで非常に良好であった。
一方、起泡性水中油型乳化油脂組成物の油脂全体中の油脂Aの含量が46.1重量%と少ない起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例B1)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(比較例Y1)は、保形性と離水耐性が不十分で、常温流通用として難しい品質水準であり、総合評価はDであった。
(実施例A4)
表2に従ってパーム核ステアリンの代わりに極度硬化パーム核油を使用した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物A4を得た。
(実施例X4)
表2に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物A4を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表2にまとめた。
Figure 2022155219000002
(比較例B2)
表2に従ってパーム核ステアリンの代わりにパーム核油を使用した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物B2を得た。
(比較例Y2)
表2に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物B2を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表2にまとめた。
表2から明らかなように、起泡性水中油型乳化油脂組成物中の油脂Aの上昇融点が30~42℃の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1、A4)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(実施例X1、X4)は、いずれも、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の全ての評価項目で良好な結果であった。特に、油脂Aの上昇融点が30~35℃の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1)を用いて得たホイップドクリーム(実施例X1)は、総合評価がAで非常に良好であった。
一方、油脂Aの代わりに上昇融点が27.4℃と低い油脂を配合した起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例B2)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(比較例Y2)は、保形性と離水耐性が不十分で、常温流通用として難しい品質水準であり、総合評価はEであった。
(実施例A5)
表3に従って乳化剤Xの含量を0.25重量部に変更し、水分量を27.4重量部に変更した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物A5を得た。
(実施例X5)
表3に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物A5を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表3にまとめた。
Figure 2022155219000003
(実施例A6)
表3に従って乳化剤Xの含量を0.03重量部に変更し、水分量を27.7重量部に変更した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物A6を得た。
(実施例X6)
表3に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物A6を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表3にまとめた。
(比較例B3)
表3に従い、乳化剤Xの含量を0.5重量部に変更し、水分量を27.2重量部に変更した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物B3を得た。
(比較例Y3)
表3に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物B3を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表3にまとめた。
(比較例B4)
表3に従い、乳化剤Xの含量を0.01重量部に変更し、水分量を27.7重量部に変更した以外は実施例A1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物B4を得た。
(比較例Y4)
表3に従い、起泡性水中油型乳化油脂組成物B4を使用した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表3にまとめた。
表3から明らかなように、起泡性水中油型乳化油脂組成物の乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1、A5、A6)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(実施例X1、X5、X6)は、いずれも、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の全ての評価項目で良好な結果であった。特に、乳化剤Xの含量が0.08~0.2重量%の範囲にある起泡性水中油型乳化油脂組成物(実施例A1)を用いて得たホイップドクリーム(実施例X1)は、総合評価がAで非常に良好であった。
一方、前記乳化剤Xの含量が0.50重量%と多い起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例B3)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(比較例Y3)は、実施例X1で得たホイップドコンパウンドクリームよりも乳風味の評価が劣り、異味が感じられ、常温流通用として難しい品質水準であり、総合評価はDであった。また、前記乳化剤Xの含量が0.01重量%と少ない起泡性水中油型乳化油脂組成物(比較例B4)を用いて得たホイップドコンパウンドクリーム(比較例Y4)は、保形性と離水耐性が不十分で、常温流通用として難しい品質水準であり、総合評価はDであった。
(実施例X7)
表4に従い、生クリームの配合量を18重量部に変更し、マルトースの配合量を23重量部に変更した以外は実施例X1と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表4にまとめた。
Figure 2022155219000004
(実施例X8)
表4に従い、生クリームの配合量を18重量部に変更し、マルトースの配合量を24重量部に変更した以外は実施例X2と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表4にまとめた。
(実施例X9)
表4に従い、生クリームの配合量を4.5重量部に変更し、マルトースの配合量を18重量部に変更した以外は実施例X2と同様にしてホイップドコンパウンドクリームを得て、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の評価を実施し、それらの結果を表4にまとめた。
表4から明らかなように、起泡性コンパウンドクリーム全体中の起泡性水中油型乳化油脂組成物の含量が70重量%以上、起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中の乳脂肪の含量が5~35重量%の範囲にある起泡性コンパウンドクリームをホイップして得たホイップドクリーム(実施例X1、X2、X7~X9)は、いずれも、保形性、離水耐性、日持ち、口溶け、乳風味の全ての評価項目で良好な結果であった。特に、起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中の乳脂肪の含量が15~28重量%の範囲にある起泡性コンパウンドクリームをホイップして得たホイップドクリーム(実施例X1、X8)は、総合評価がAで非常に良好であった。

Claims (7)

  1. 起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、増粘剤の含量が0重量%以上0.02重量%未満であり、
    前記油脂の構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、
    前記起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、糖類の含量(固形分換算)が10~45重量%、前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.05~4重量%、生クリームの含量が0~20重量%、乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.03~0.3重量%であり、
    前記油脂全体中、油脂Aの含量が50~100重量%である、
    常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性水中油型乳化油脂組成物。
    油脂A:構成脂肪酸全体中、C12以下の飽和脂肪酸を40重量%以上含み、トランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、上昇融点が30~42℃の植物性油脂。
    乳化剤X:構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18、重合度が8~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及び/又は、構成脂肪酸全体中、C10~C14の飽和脂肪酸を60重量%以上含み、HLBが12~18であるショ糖脂肪酸エステル。
    乳化剤Y:構成脂肪酸全体中、C16~C22の飽和脂肪酸を70~100重量%含み、HLBが5~12であるポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はショ糖脂肪酸エステル。
  2. 起泡性コンパウンドクリーム全体中、請求項1に記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物を70重量%以上含み、
    起泡性コンパウンドクリームに含まれる油脂全体中、乳脂肪の含量が5~35重量%であり、
    水分活性(Aw)が0.9~0.94である、
    常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性コンパウンドクリーム。
  3. 起泡性コンパウンドクリーム全体中、リン酸塩の含量が0重量%以上0.5重量%未満である、請求項2に記載の起泡性コンパウンドクリーム。
  4. 請求項2又は3に記載の起泡性コンパウンドクリームがホイップされた、常温流通用ホイップドコンパウンドクリーム。
  5. 請求項4に記載の常温流通用ホイップドコンパウンドクリームを含む食品。
  6. 混合物全体中、油脂の含量が20~45重量%、水分の含量が20~50重量%、増粘剤の含量が0重量%以上0.02重量%未満であり、前記油脂の構成脂肪酸全体中のトランス脂肪酸の含量が0重量%以上3重量%未満であり、前記混合物全体中、糖類の含量(固形分換算)が10~45重量%、前記油脂の含量と前記糖類の含量(固形分換算)の合計が45~75重量%、乳タンパク質の含量(固形分換算)が0.05~4重量%(固形分換算)、生クリームの含量が0~20重量%、乳化剤Xの含量が0.02~0.45重量%、乳化剤Yの含量が0.03~0.3重量%であり、前記油脂全体中、油脂Aの含量が50~100重量%である混合物を調製し、
    該混合物に対し、予備乳化、均質化、殺菌、及び予備冷却を実施し、次いで、1段目は6~18MPa及び2段目は2~6Mpaの加圧条件で均質化処理した後、冷却して起泡性水中油型乳化油脂組成物を得る工程を含む、
    常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの作製に使用される起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法によって前記起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た後、
    該起泡性水中油型乳化油脂組成物70重量%以上と、生クリームを混合して、生クリームの含量が起泡性コンパウンドクリーム全体中3~20重量%である起泡性コンパウンドクリームを得、
    該起泡性コンパウンドクリームをホイップする工程を含む、常温流通用ホイップドコンパウンドクリームの製造方法。
JP2021058619A 2021-03-30 2021-03-30 起泡性水中油型乳化油脂組成物 Pending JP2022155219A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021058619A JP2022155219A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 起泡性水中油型乳化油脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021058619A JP2022155219A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 起泡性水中油型乳化油脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022155219A true JP2022155219A (ja) 2022-10-13

Family

ID=83557562

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021058619A Pending JP2022155219A (ja) 2021-03-30 2021-03-30 起泡性水中油型乳化油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022155219A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI344818B (en) A whippable food product with improved stability
CN105473000B (zh) 搅打奶油及其制造方法
JP5583386B2 (ja) ホイップクリーム
CN108244265B (zh) 一种米香味水包油型油脂组合物及其制备方法
JP6071124B2 (ja) 起泡性水中油型乳化物及びホイップクリーム
JP4882749B2 (ja) 水中油型乳化物
JP3391246B2 (ja) チョコレート成分含有水中油型乳化物及びその製造法
JP6711078B2 (ja) 起泡性水中油型乳化物及び含気食品
JP6588728B2 (ja) 起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリーム
JP2022155219A (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2022155220A (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2012019766A (ja) チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP5697133B2 (ja) チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法
JP2017169468A (ja) 起泡性水中油型乳化物用油脂組成物及び起泡性水中油型乳化物
JPWO2020203953A1 (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP7312922B2 (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物、常温販売用ホイップドクリーム、食品、及び該起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法
JP2024056321A (ja) 常温流通ホイップドクリーム用起泡性コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリーム
JP2020028238A (ja) 冷凍菓子用油脂組成物
JP6539034B2 (ja) 新規なホイップドクリーム
JP2024056320A (ja) 常温流通ホイップドクリーム用コンパウンドクリーム、及び、常温流通ホイップドコンパウンドクリーム
JP7171288B2 (ja) 油中水型クリーム
JP4476100B2 (ja) 含気フラワーペースト
JP2021145592A (ja) 起泡性水中油型乳化物及び起泡性水中油型乳化物の製造方法
JP2021159067A (ja) 起泡性コンパウンドクリーム
JP2022053326A (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240110