JP2024056060A - 柱施工方法及び建て入れ調整治具 - Google Patents

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Yuta Tsuji
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勇也 山木戸
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Abstract

【課題】木造の柱を、変形を抑制しながら効率的に施工することができる柱施工方法及び建て入れ調整治具を提供する。【解決手段】木造の上柱に取り付けられた吊り治具により、上柱を吊り下げて建て起こして木造の下柱の上方に移動して配置する。そして、柱繋ぎ治具を用いて、下柱に対して上柱の傾きを調整し、柱面合わせ治具を用いて、下柱と上柱の柱面合わせを行なう。【選択図】図2

Description

本発明は、木造の柱を施工する柱施工方法及び建て入れ調整治具に関する。
近年、人の健康や快適性等を含むウェルネスの観点から高い優位性を持つ木材の利用促進が行なわれている。そこで、木造柱を用いた建築物の構築も行なわれている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載の技術では、木造の柱の繋ぎ部分に鉄筋コンクリートのフラットスラブを配置し、このフラットスラブの荷重を木造柱で支承する。
特開2013-92007号公報
木造柱を施工する場合、従来のプレキャストコンクリート(PC)で利用されている工法をそのまま適用することが難しい。例えば、木造柱の施工時、局部的に大きい圧力が加わった場合には、柱の一部が変形する可能性がある。
更に、PC製柱を繋ぐ場合には、エレクションピースを柱の外周に工場等で予め固定して搬送して、エレクションピースを用いて下の柱と上の柱を整合して仮固定して、繋ぐことがある。しかしながら、木造の柱を繋ぐ場合には、エレクションピースを設けることは難しい。このため、木造の上柱及び下柱を繋ぐための位置を合わせが難しかった。
また、木造柱においては、PC製柱と異なり、建て起こし時に用いるアイボルトの取付部材を埋め込むことができない。アイボルトを柱に直接取り付ける場合には、大きな孔を形成する必要がある。木造柱は、通常、合板であるため、大きな孔の形成が難しい。
更に、従来、PC製の下柱と上柱の柱面合わせにおいては、下柱及び上柱の一方に埋設される接続筋に掛止板を引っ掛けて上柱をスライドさせている。GIR(グレードインロッド)工法の木造の柱においては、接続筋の周囲に注入した接着剤で接続筋を固定するために、接着剤を注入する前には、接続筋の周囲に隙間がある。従って、PC製の柱面合わせと同様にして、接続筋に掛止板を引っ掛けて上柱をスライドさせる場合、接着剤の注入の隙間分は柱が動かず鉄筋が動いてしまうため、柱面を微調整することは難しい。
上記課題を解決するための柱施工方法は、木造の上柱と木造の下柱とを、繋ぎ合わせる柱施工方法であって、前記上柱に取り付けられた吊り治具により、前記上柱を、吊り下げて建て起こして前記下柱の上方に移動して配置し、前記下柱に埋設した支持部材によって支持され、前記下柱の上面の中央に設けられた、上に凸の曲面を有するレベルボルトを、前記レベルボルトに当接し、前記上柱の底面に設けられた傾斜調整板に対する傾斜角度を調整することにより、前記木造の上柱と前記木造の下柱との建て入れ調整を行なう。
更に、上記課題を解決するための建て入れ調整治具は、木造の上柱と木造の下柱との建て入れ調整を行なうために用いる建て入れ調整治具であって、前記下柱の上面の中央に設けられる、上に凸の曲面を有するレベルボルト及び前記レベルボルトを支持する支持部材と、前記上柱の底面に設けられる傾斜調整板と、を備える。
本発明によれば、木造の柱を、変形を抑制しながら効率的に施工することができる。
実施形態における柱施工方法において接続する下柱及び上柱の接続部分を説明する説明図。 実施形態における柱施工方法の処理手順を説明する流れ図。 実施形態において建て起こし作業に用いられる吊り治具の斜視図。 実施形態において建て起こし作業に用いられる吊り治具の正面図。 実施形態において建て起こし作業に用いられる吊り治具の一部分解側面図。 実施形態において建て込み作業に用いられる柱繋ぎ治具の斜視図。 実施形態における柱繋ぎ治具の下柱取付部材の斜視図。 実施形態における柱繋ぎ治具の下柱取付部材の正面図。 実施形態における柱繋ぎ治具の下柱取付部材の上面図。 実施形態における柱施工方法における吊り建て起こし作業を説明する説明図であって、(a)は吊り上げる前の状態、(b)吊り上げた状態を示す。 実施形態における柱繋ぎ治具の下柱取付部材、ねじ鉄筋及び位置決めナットの取り付け作業を説明する説明図であって、(a)は下柱取付部材を取り付けた状態、(b)はねじ鉄筋を固定した状態、(c)は位置決めナットを取り付けた状態を示す。 実施形態における建て込み作業を説明する説明図であって、(a)は上柱を降下させてきた状態、(b)は上柱取付部材を固定した状態を示す。 実施形態において柱面合わせ作業に用いられる掛止板の斜視図。 実施形態において柱面合わせ治具を取り付けた状態の斜視図。 実施形態において柱面合わせ治具を取り付けた状態の平面図。 実施形態において柱面合わせ作業を説明する説明図であって、(a)は柱面を合わせる前の状態、(b)は柱面を合わせた後の状態を示す。 変更例における建て入れ調整作業において、建て入れ調整治具を用いて、建て入れ調整作業を説明する上柱と下柱との接続部を示す概略正面図。 変更例における柱繋ぎ治具を説明する説明図であって、(a)は柱繋ぎ治具の正面図、(b)は柱繋ぎ治具に用いられる下柱取付部材の斜視図、(c)は下柱取付部材の上面図。
以下、図1~図16を用いて、柱施工方法及び建て入れ調整治具を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、木造の柱の施工方法について説明する。ここでは、既に設置されている木造の下柱の上に、木造の上柱を繋げる施工方法を説明する。
図1に示すように、本実施形態の下柱21及び上柱22は、略直方体形状を有し、3つの単板積層材(LVL)をボルトやビス等のつづり材で一体化した柱材で構成される。
更に、上柱22の下端部には、複数の接続筋22aの上部が埋設されて、接着剤によって固着されている。接続筋22aは、上柱22と下柱21との間を繋ぐ鉄筋であり、上柱22の下面から下方に突出している。上柱22は、接続筋22aが突出した状態で工場から搬送される。
下柱21の上端部には、下柱21の軸方向に延在する複数の孔21aが形成されている。各孔21aは、上柱22の各接続筋22aの位置に対応して設けられ、接続筋22aが挿入可能であって接続筋22aの周囲に接着剤が注入される大きさを有する。更に、下柱21には、水平方向に延在する側面孔21ahが形成される。この側面孔21ahは、孔21aの下端部に接続するとともに下柱21の側面に開口し、接着剤を注入する注入口である。
(柱施工方法)
図2に示すように、本実施形態の柱施工方法の全体処理について説明する。
まず、この柱施工方法においては、工事現場にトラック等によって搬送された上柱22を、吊り治具を用いて、昇降装置としてのクレーンで吊りながら、建て起こし作業を行なう(ステップS1)。吊り治具及び建て起こし作業の詳細については、後述する。
また、柱繋ぎ治具の下柱取付部材、ねじ鉄筋及び位置決めナットの取り付け作業を行なう(ステップS2)。柱繋ぎ治具及びこれらの取付作業の詳細については、後述する。
そして、建て起こした上柱22を下柱21の上まで移動させた後、上柱22を下柱21に仮固定する建て込み作業を行なう(ステップS3)。この建て込み作業の詳細については後述する。
建て込み作業が終了すると、玉外し作業を行なう(ステップS4)。これにより、上柱22からクレーンが外される。
次に、柱面合わせ治具を用いて、柱面合わせ作業を行なう(ステップS5)。柱面合わせ治具及び柱面合わせ作業の詳細については、後述する。
そして、上柱22の傾きを調整する建て入れ調整作業を行なう(ステップS6)。この建て入れ調整作業の詳細については、後述する。この建て入れ調整作業の終了後、柱繋ぎ治具によって、下柱21に対して上柱22を固定する。
次に、接続筋22aの周囲に接着剤を注入する接着剤注入作業を行なう(ステップS7)。この場合、下柱21と上柱22との隙間から接着剤が漏れ出ないように、この隙間の外周を覆う。そして、下柱21の孔21aに上柱22の接続筋22aが挿入された状態で、側面孔21ahから接着剤を注入する。この接着剤は、側面孔21ah、孔21a、下柱21と上柱22との隙間に充填される。
そして、接着剤が硬化すると、上柱22が下柱21に、接着剤及び接続筋22aを介して固定される。
その後、上柱22の外周及び下柱21の外周に設けていた柱繋ぎ治具を取り外す(ステップS8)。
(吊り治具)
次に、図3~図5を用いて、建て起こし作業に用いられる吊り治具30について説明する。
図3、図4及び図5は、吊り治具30の斜視図、正面図、一部分解側面図である。
図3に示すように、吊り治具30は、固定板31、突出部材32及びアイボルト35を備える。アイボルト35は、全方向負荷に対応できる市販のアイボルトであって、ボルト36、回動取付部37及びリング部38を備える。
固定板31は、長方形の板状部材である。固定板31の裏面が、上柱22に取り付けられる取付面31fである。
図4に示すように、固定板31には、複数の取付孔31hが設けられている。この取付孔31hは、ビスが貫通する大きさを有する。このビスは、例えば、軸の外径が6mm前後であって、長さが10cm前後の大きさを有する。
更に、アイボルト35は、ボルト36に対して回動取付部37が矢印に示すように360度回動する。更に、回動取付部37に対してリング部38が180度回動する。
図5に示すように、固定板31の中央には、貫通孔31aが設けられている。固定板31の中央領域には、略円筒形状の突出部材32が固定されている。
突出部材32は、中央領域において片方の面から突出した突起部32aを備える。この突起部32aの長さは、固定板31の板厚T1より数mm短く、突起部32aは、固定板31の貫通孔31aに嵌合される。更に、突出部材32は、固定板31の表面に当接している外周部分W1において溶接されている。突出部材32には、貫通するボルト孔32bが形成されている。突出部材32の厚さT2は、アイボルト35のボルト36の軸部36aの長さL1より長い。
(柱繋ぎ治具40)
次に、図6~図9を用いて、下柱21に上柱22を固定する柱繋ぎ治具40について説明する。
図6は、柱繋ぎ治具40の全体の斜視図である。柱繋ぎ治具40は、下柱21に固定される下柱取付部材41a、棒状部材としてのねじ鉄筋45、上柱22に固定される上柱取付部材41bを備える。
ここで、上柱取付部材41bは、下柱取付部材41aと同じ構成である。このため、下柱取付部材41aの構成についてのみ詳述し、上柱取付部材41bは、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7~図9は、柱繋ぎ治具40の下柱取付部材41aの斜視図、正面図及び上面図を示す。
図7に示すように、下柱取付部材41aは、横長の長方形の板部材42と突起部43とを備える。板部材42の周囲には、複数の貫通孔42hが離散して設けられる。貫通孔42hは、ビスが貫通する大きさを有する。このビスは、例えば、軸の外径が6mm前後であって、長さが10cm前後の大きさを有する。
図8に示すように、突起部43は、板部材42の中央領域に固定される。
図9に示すように、突起部43は、L字形状部43aとS字形状部43bとを備える。突起部43は、L字形状部43aの端部にS字形状部43bの端部を溶着し、両形状部(43a,43b)を板部材42の表面に溶接することにより、上下に開口した略直方体形状の貫通領域A1を区画する。この貫通領域A1は、ねじ鉄筋45の断面積の2~3倍程度の面積を有し、ねじ鉄筋45が貫通したときにねじ鉄筋45の周囲において、柱面合わせ作業等の調整時に上柱22が調整移動可能な隙間を区画できる領域である。
更に、図6に示す柱繋ぎ治具40は、下部固定部材、位置決め部材としての位置決めナット48N、座金48W,49W及びナット49Nを備える。位置決めナット48N、座金48W,49W及びナット49Nは、上柱取付部材41bを固定する上柱固定部材として機能する。
下部固定部材は、第1ナットとしてのナット46N,47N及び第1座金としての座金46W,47Wから構成される。ナット(46N,47N,48N,49N)は、ねじ鉄筋45に螺合する。座金46W,47Wは、貫通領域A1よりも大きい四角板形状を有し、ねじ鉄筋45を遊嵌する貫通孔を有する。この貫通孔は、ナット46N,47Nの外径よりも小さく、ナット46N,47Nを係止する大きさを有する。このため、ねじ鉄筋45を挿通した下柱取付部材41aの上下に、それぞれ座金46W,47Wを介してナット46N,47Nを配置し、ナット46N,47Nを下柱取付部材41aに対して締めることにより、ねじ鉄筋45を鉛直方向に延在させた状態で下柱取付部材41aに固定する。
位置決めナット48Nの上には、座金48Wが配置される。また、座金48Wの上には、上述した上柱取付部材41bが載置される。
座金48W,49Wは、座金46W,47Wと同様に、貫通領域A1よりも大きい四角板形状を有し、ねじ鉄筋45を遊嵌する貫通孔を有する。この貫通孔は、ナット(48N,49N)の外径よりも小さく、ナット(48N,49N)を係止する大きさを有する。座金49W及びナット49Nは、それぞれ第2座金及び第2ナットに対応する。そして、下柱21と上柱22との固定時には、ねじ鉄筋45を挿通した上柱取付部材41bの上下に、それぞれ座金49W,48Wを介して、ナット49N及び位置決めナット48Nを配置する。そして、ナット(48N,49N)を上柱取付部材41bに対して締めることにより、ねじ鉄筋45に対して上柱取付部材41bを固定する。
(建て起こし作業)
次に、図10を用いて、建て起こし作業(ステップS1)について説明する。
図10(a)に示すように、工場からトラック等によって、横長状態で搬送された上柱22の上端部に、2つの吊り治具30を取り付ける。本実施形態では、吊り治具30は、上柱22の対向する2面に取り付ける。なお、上柱22の中央には、梁23が固定されている。
この場合、上柱22の四面(各面)の下端部には、上柱取付部材41bを取り付ける。なお、この上柱取付部材41bは、工場で上柱22に取り付けてもよい。
そして、2つの吊り治具30を、上柱22の幅(水平方向の長さ)よりも間隔が広い棒天秤26にワイヤで繋ぐ。更に、棒天秤26の上に設けたワイヤ25の端部を、クレーンのフック(図示せず)に引っ掛ける。
そして、図10(b)に示すように、クレーンのフックを吊り上げることにより、上柱22を建て起こす。
この場合、上柱22の下端部を、ナイロンスリング等を介して、クレーンのフックに吊った状態で下方に引っ張ってもよい。
(下柱取付部材、ねじ鉄筋及び位置決めナットの取り付け作業)
次に、図11を用いて、下柱取付部材、ねじ鉄筋及び位置決めナットの取り付け作業(ステップS2)について説明する。
まず、図11(a)に示すように、下柱21に、柱繋ぎ治具40の下柱取付部材41aを取り付ける。具体的には、下柱取付部材41aの板部材42を、下柱21の四面(各面)の上端部の中央に配置する。この場合、板部材42は、下柱21の側面孔21ahよりも上方となる位置に配置する。そして、板部材42の貫通孔42hに貫通させたビス44を下柱21に螺合する。
次に、図11(b)に示すように、ねじ鉄筋45の下部を下柱取付部材41aに固定する。具体的には、まず、ナット47Nを、ねじ鉄筋45に螺合させて、ねじ鉄筋45の中央辺りに配置する。そして、ねじ鉄筋45の下方から座金47Wを挿入した状態で、ねじ鉄筋45の下部を、下柱取付部材41aの貫通領域A1に上から挿入させる。
これにより、下柱取付部材41aの上に、ナット47Nの下に位置する座金47Wが載置される。更に、この座金47Wがナット47Nによって係止されることにより、ねじ鉄筋45が下柱取付部材41aに対して鉛直方向に立設される。次に、ねじ鉄筋45の下方から、座金46Wを挿入し、ねじ鉄筋45にナット46Nを螺合する。そして、ナット46N,47Nを、座金46W,47Wを介した状態で、下柱取付部材41aの突起部43に締め付ける。これにより、ねじ鉄筋45は、鉛直方向に延在した状態で下柱取付部材41aに固定される。
次に、図11(c)に示すように、ねじ鉄筋45に、上から、位置決めナット48Nを螺合させる。そして、座金48Wを、ねじ鉄筋45の上方から挿入して、位置決めナット48Nの上に載置する。そして、座金48Wの上面が、下柱取付部材41aの突起部43の上面から設置高さH4の位置となるように、ねじ鉄筋45における位置決めナット48Nの高さを調整する。
ここで、設置高さH4は、図12(b)に示すように、下柱取付部材41aの突起部43の上面から下柱21の上面までの高さH1と、上柱22の底面から上柱取付部材41bの突起部43の下面までの高さH2と、下柱21と上柱22との隙間H3との合計値である。
(建て込み作業)
次に、図12を用いて、建て込み作業(ステップS3)について説明する。
図12(a)に示すように、建て起こした上柱22を、下柱21の上方に移動させて降下させる。この場合、上柱22の接続筋22aが、下柱21の孔21aの上方に対応し、かつ上柱22の上柱取付部材41bの突起部43の貫通領域A1が、ねじ鉄筋45の上方に対応するように、上柱22を配置する。
そして、図12(b)に示すように、上柱22を降下させる。この場合、上柱22の接続筋22aを、下柱21の孔21aに挿入し、上柱22の上柱取付部材41bの突起部43の貫通領域A1にねじ鉄筋45を貫通させる。
次に、ねじ鉄筋45に、上方から座金49Wを挿通する。そして、この座金49Wの上から、ナット49Nを、ねじ鉄筋45に螺合して、下に移動させる。次に、上柱取付部材41bの突起部43の上面に、座金49Wを介してナット49Nを緩く締める。これにより、上柱22は、上柱取付部材41b、ねじ鉄筋45、下柱取付部材41aを介して、下柱21に仮固定される。
(柱面合わせ治具)
次に、図13~図15を用いて、柱面合わせ治具J1について説明する。
図13は、柱面合わせ治具J1の掛止板50の斜視図であり、図14及び図15は、柱面合わせ治具J1を柱に設置した状態の斜視図及び上面図である。
この柱面合わせ治具J1は、掛止板50と、図14及び図15に示す押圧治具60とを備える。
図13に示すように、掛止板50は、板状の本体部51を有する。本体部51の中央部は、下柱取付部材41aから上柱取付部材41bまでの距離よりも短い幅を有する。本体部51の一端部には、90度に折れ曲がった先端部55が形成され、本体部51の他端部には、中央部よりも幅が広くなった固定部52が形成されている。先端部55は、本体部51に対して直角に突出して設けられた掛止面部である。
固定部52には、四つ角の近傍にねじ孔53,54が2つずつ離間して設けられている。ねじ孔53,54は、先端部55から、それぞれ距離L53,L54分、離間した位置に設けられている。距離L53,L54は、後述するように先端部55を柱の第1面f1、この第1面f1と直交する第3面f3にそれぞれ掛止した際に、押圧治具60を固定するボルト62が螺合するねじ孔53,54の位置であり、上柱22の水平面における縦及び横の長さに対応して設けられている。
図14に示すように、押圧治具60は、例えば、アールアイ株式会社製の商品名「ピタカイ・ミニ(シングル)」を用いる。この押圧治具60は、ナット部材61、ボルト62、ねじ棒部材63及び押圧板64を備える。
ナット部材61は、掛止板50のねじ孔53(又はねじ孔54)に、ボルト62によって一体的に固定される。ナット部材61の中心のめねじには、ねじ棒部材63のねじ軸が螺合する。ねじ棒部材63の先端には、押圧板64が設けられる。
(柱面合わせ作業)
次に、図14~図16を用いて、上述した柱面合わせ治具を用いた柱面合わせ作業(ステップS5)について説明する。ここでは、まず、柱の短手方向における柱面(第1面f1と、第1面f1に対向する第2面f2)を合わせる作業を行なう。なお、図16(a)は、柱面合わせ作業を行なう前の状態であり、図16(b)は、柱面合わせ作業を終了した状態を示す。なお、図16においては、掛止板50の先端部55及び掛止緩衝板57の厚み、掛止板50と上柱22との隙間は、説明のために大きく示している。
図14及び図15に示すように、掛止板50の先端部55が第1面f1に引っ掛かるように、2つの掛止板50を対向して配置する。ここでは、先端部55と柱(21,22)との間に、先端部55よりも広い面積を有する掛止緩衝板57を配置する。ここで、各掛止板50の本体部51を、下柱取付部材41aの板部材42と上柱取付部材41bの板部材42との間であって、下柱21の上端部から上柱22の下端部に跨るように、対向する2面(第3面f3及び第4面f4)に当接させる。この場合、第2面f2側に、掛止板50の固定部52が突出する。
そして、掛止板50に押圧治具60を固定する。具体的には、押圧治具60の押圧板64を、押圧緩衝板58に当接する。押圧緩衝板58は、押圧治具60の押圧板64よりも広い面積を有し、下柱21の上端部及び上柱22の下端部に当接する。そして、ねじ棒部材63を螺合したナット部材61を、ボルト62を介して、掛止板50のねじ孔53に固定する。
以上のようにして、掛止板50及び押圧治具60を配置した後、ねじ棒部材63のねじ軸を回転させて、ナット部材61に対して、ねじ棒部材63を前進させる。
これにより、図16(a)に示す位置から、移動可能な上柱22が、下柱21に対して水平方向に相対移動(スライド)する。そして、図16(b)に示すように、上柱22の第1面f1が、掛止緩衝板57に当接する位置まで移動し、下柱21の第1面f1と面一になる。
その後、押圧治具60及び掛止板50を取り外す。
そして、第1面f1と直交する方向の第3面f3及び第4面f4について、同様に柱面合わせを行なう。この場合、掛止板50の先端部55を、掛止緩衝板57を介して、第3面f3に引っ掛けて、2つの掛止板50を、対向する2面(第1面f1及び第2面f2)にそれぞれ当接させる。そして、第4面f4側に突出する固定部52のねじ孔54に、押圧治具60をボルト62で固定する。その後、押圧治具60のねじ棒部材63を回転させることにより上柱22を下柱21に対して水平方向に移動させて、上柱22の第3面f3が、下柱21の第3面f3と面一となるように揃える。
(建て入れ調整作業)
次に、上述した柱繋ぎ治具40を用いた建て入れ調整作業(ステップS6)について説明する。
柱面合わせ作業(ステップS5)によって、緩衝板(57,58)を介して掛止板50の先端部55及び押圧治具60の押圧板64の範囲で、柱(21,22)が面一になる。この場合、鉛直に固定されている下柱21に対して、上柱22が傾いている場合に、建て入れ調整作業が行われる。
具体的には、上柱22が倒れている側の面に設けた柱繋ぎ治具40の位置決めナット48N及びナット49Nを緩めた後、位置決めナット48Nを上昇させる。更に、上柱22が倒れている側の面に対向する面に設けた柱繋ぎ治具40の位置決めナット48N及びナット49Nを緩めた後、位置決めナット48Nを降下させる。ここでは、下柱21と上柱22との隙間H3の大きさの許容範囲内において、対向する面に設けた柱繋ぎ治具40の位置決めナット48Nの上昇量や降下量を調整する。この結果、上柱22の倒れを鉛直方向に建て直すことにより、上柱22の傾きをなくすように調整する。
そして、上柱22の傾きの調整が終了した後、緩めた位置決めナット48N及びナット49Nを上柱取付部材41bに対して締め付けて、上柱22を下柱21に固定する。
(作用)
・ねじ鉄筋45の先端を上柱取付部材41bの突起部43の貫通領域A1に挿入し、上柱取付部材41bを位置決めナット48Nの上に座金48Wを介して固定する。これにより、下柱取付部材41aと上柱取付部材41bとを、鉛直方向に延在し水平方向に隙間のあるねじ鉄筋45を用いて上下方向に仮固定した後、微調整することができるので、下柱21の上に上柱22を整合させることができる。
・木造の上柱22の上端部に、吊り治具30を、固定板31の複数の取付孔31hを貫通するビスによって固定する。これにより、固定板31の小さい取付孔31hを介して、上柱22に吊り治具30を取り付けることができる。
・柱面合わせ治具J1は、掛止板50と押圧治具60とを備える。掛止板50は、柱(21,22)の第1面f1に引っ掛ける先端部55を有する。押圧治具60は、掛止板50に固定され、第1面f1と対向する第2面f2を押圧する。これにより、第1面f1と第2面f2とを挟み込んだ状態で柱(21,22)が押圧されるので、スライド可能な上柱22が、第1面f1と第2面f2の間の隙間をなくすようにスライドして、下柱21と上柱22との面の位置を揃えることができる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、木造の下柱21及び上柱22の外周に設けた下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bを、鉛直方向に延在するように固定したねじ鉄筋45によって連結する。これにより、エレクションピースが設けられない木造の下柱21及び上柱22であっても、容易に位置決めして、下柱21と上柱22とを効率的に仮固定することができる。
(2)本実施形態においては、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bは、複数の貫通孔42hを有する板形状の板部材42を備える。貫通孔42hに貫通するビス44によって、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bを、下柱21及び上柱22に固定する。これにより、木造の下柱21及び上柱22に大きな孔を開けずに、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bを固定することができる。
(3)本実施形態においては、ねじ鉄筋45の上部において、設置高さH4に位置決めナット48Nを固定する。位置決めナット48Nの上に、座金48Wを介して、上柱22の上柱取付部材41bを固定する。これにより、設置高さH4で上柱22を仮固定することができる。
(4)本実施形態においては、下柱取付部材41aにねじ鉄筋45を鉛直方向に延在するように固定する。そして、ねじ鉄筋45において、位置決めナット48Nを螺合させる。これにより、位置決めナット48Nを、ねじ鉄筋45において任意の位置に固定することができ、上柱22を下柱21に対する任意の高さで効率的に仮固定することができる。
(5)本実施形態においては、ねじ鉄筋45において、下柱取付部材41aの上下に、座金47W,46Wを介してナット47N,46Nを螺合させた。更に、ねじ鉄筋45において、上柱取付部材41bの上に座金49Wを介してナット49Nを螺合させた。従って、ナット(46N,47N,48N,49N)を締め付けることにより、ねじ鉄筋45を下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bに効率的に固定することができる。
(6)本実施形態においては、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bは、挿入されたねじ鉄筋45が調整時に移動可能な隙間を有する貫通領域A1を区画する突起部43を有する。これにより、ねじ鉄筋45は、下柱21に対する上柱22の上下方向の位置を仮固定できるとともに、鉛直方向や水平方向に、容易に移動させることができるので、柱面合わせや建て入れ調整を容易に行なうことができる。
(7)本実施形態においては、下柱取付部材41aは、横長の板部材42を備える。これにより、下柱21の側面孔21ahが下柱取付部材41aの板部材42によって隠れる恐れを少なくすることができる。
(8)本実施形態においては、柱繋ぎ治具40を、柱(21,22)の各面の中央部に設けた。これにより、柱繋ぎ治具40のねじ鉄筋45の角度や位置決めナット48Nの高さを調整することにより、上柱22の建て入れ調整を効率的に行なうことができる。
(9)本実施形態においては、上柱22の上端部に吊り治具30を設けて、上柱22を吊り上げて建て起こし作業(ステップS1)を実行する。吊り治具30は、アイボルト35を、突出部材32を介して固定板31に取り付けて構成する。固定板31の複数の取付孔31hにビスを貫通させて、吊り治具30を上柱22に取り付ける。これにより、上柱22に大きな孔を開けずに、吊り治具30を上柱22に取り付けることができる。
(10)本実施形態では、2つの吊り治具30を、上柱22よりも間隔が広い棒天秤26にワイヤで繋ぐ。更に、棒天秤26の上に設けたワイヤ25の端部をクレーンのフックに引っ掛ける。これにより、吊り治具30に引っ掛けたワイヤが上柱22の角に接触することを抑制することができる。
(11)本実施形態においては、掛止板50の先端部55を第1面f1に引っ掛けて、2つの掛止板50を対向して配置する。そして、掛止板50に押圧治具60を取り付け、押圧治具60の押圧板64で、下柱21及び上柱22を押圧して、移動可能な上柱22をスライドさせる。これにより、下柱21及び上柱22の柱面を効率的に揃えることができる。
(12)本実施形態においては、掛止板50は、先端部55から距離L53,L54の位置にねじ孔53,54を設ける。これにより、下柱21及び上柱22の断面が長方形状であっても、同じ掛止板50を用いて、縦横の柱(21,22)の各面(f1,f2,f3,f4)を面一に合わせることができる。更に、掛止板50の本体部51においては、ねじ孔53,54が形成された固定部52よりも、柱(21,22)に当接する部分が狭い。これにより、掛止板50を軽量化することができるとともに、本体部51を、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bの間で、柱(21,22)に当接させることができる。
(13)本実施形態においては、掛止板50の先端部55と、柱(21,22)との間に掛止緩衝板57を配置し、押圧治具60の押圧板64と柱(21,22)との間に、押圧緩衝板58を配置する。これにより、広い面積の掛止緩衝板57又は押圧緩衝板58を柱(21,22)との間に入れることにより、仮固定した柱(21,22)に力を分散して伝えるため、掛止板50の先端部55又は押圧治具60の押圧板64が柱(21,22)にめり込むことを抑制することができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、吊り治具30は、アイボルト35のボルト36の軸部36aが螺合するボルト孔32bを備えた突出部材32と、突出部材32の突起部32aが嵌合する固定板31とを備える。吊り治具30は、上柱22を下柱21の上方に配置するために上柱22を吊るための物であればよく、構成はこれに限定されない。例えば、アイボルト35のボルト36の軸部36aの長さよりも突出部材の厚さが長い場合には、突出部材32に突起部32aを設けずに、突出部材32を固定板31と溶接して固定してもよい。また、吊り治具30のアイボルト35の構成も、上述した構成に限定されず、回転しないアイボルトを用いてもよい。
・上記実施形態では、吊り治具30は、上柱22に取り付けた。吊り治具30が、吊り上げる木造の構造要素は、柱に限定されない。例えば、吊り治具30を用いて、木材の床や梁を吊ってもよい。
・上記実施形態においては、建て入れ調整作業を行なう(ステップS6)。この場合、建て入れ調整治具を用いてもよい。
図17に示すように、建て入れ調整治具は、例えば、上柱72の下面の中央部に設けた傾斜調整板73と、下柱71の上面に埋設したインサート75及びレベルボルト76とを備える。インサート75は、レベルボルト76の支持部材として機能する円柱部材である。インサート75には、中心軸方向に延在するめねじが形成されている。レベルボルト76は、軸部76aと、上に突出した曲面形状の頭部76bとを有する。レベルボルト76の軸部76aは、インサート75のめねじに螺合する。レベルボルト76の頭部76bは、傾斜調整板73と当接する。そして、レベルボルト76に対する傾斜調整板73の当接角度を調整することにより、上柱72の傾斜角度を効率的に調整することができる。また、レベルボルト76の軸部76aを、面積の広いインサート75を介して下柱71に埋設するので、上柱72の押圧力によってレベルボルト76が下柱71を押し潰しながら埋め込まれることを抑制することができる。
・上記実施形態においては、工場で上柱22に接続筋22aの上部を埋設した。上柱22及び下柱21に埋設される接続筋22aは、上柱22に予め固定した場合に限定されない。例えば、上柱に孔を設け、現場において、上柱及び下柱に接続筋を配置して、この接続筋を、接着剤を用いて上柱及び下柱を固定してもよい。また、接続筋を下柱に埋設して、接続筋を上柱に形成した孔に貫通させ、上柱に接着剤で固定してもよい。
・上記実施形態においては、柱面合わせ治具J1の掛止板50は、先端部55から、それぞれ距離L53,L54分、離間した位置のねじ孔53,54を形成した固定部52を備える。掛止板50の形状は、これに限定されない。例えば、柱(21,22)の水平方向の2軸の長さがほぼ同じ場合には、先端部55から距離L53離間した位置の1対のねじ孔53を備える固定部52を有する掛止板50であってもよい。更に、固定部52を本体部51よりも幅が広がった形状としたが、本体部51の幅を固定部52と同じ幅としてもよいし、先端部55を大きくしてもよい。後者の場合には、掛止板50の先端部55の柱(21,22)の当接面積によっては、掛止緩衝板57を省略することができる。
・上記実施形態においては、柱繋ぎ治具40が備える鉛直方向に延在する棒状部材として、ねじ鉄筋45を用いた。棒状部材としては、端部から端部までねじが形成されているねじ鉄筋に限られず、一部が螺旋状にねじが形成された異形鉄筋であってもよい。更に、ねじが形成されていない棒状部材であってもよい。この場合には、柱繋ぎ治具40に、棒状部材に、上下方向に自由に取付可能な位置決め部材を固定する機構を設ける。
・上記実施形態においては、柱繋ぎ治具40を、柱の各面(4面)に取り付けた。柱繋ぎ治具40の取付位置は、各面に取り付ける場合に限られない。例えば、対向する2面に、2つずつ離間して配置してもよい。
・上記実施形態では、柱繋ぎ治具40の下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bは、横長の長方形の板部材42と、L字形状部43aとS字形状部43bとから構成される突起部43とを備える。下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bの構成は、これに限定されない。
例えば、図18に示す柱繋ぎ治具としてもよい。図18(a)~(c)には、柱繋ぎ治具の全体図、下柱取付部材91aの斜視図及び上面図を示す。
図18(a)に示す柱繋ぎ治具は、下柱取付部材41a及び上柱取付部材41bの代わりに、同じ形状の下柱取付部材91a及び上柱取付部材91bを有する。
更に、図18(b)及び(c)に示すように、下柱取付部材91aは、複数の貫通孔92hが形成された縦長の長方形状の板部材92を有する。更に、下柱取付部材91aは、板部材を凸形状に屈曲して貫通領域A1を区画した突起部93を、板部材92の中央に溶接により固定してもよい。
また、突起部の形状は、水平断面が略長方形状の貫通領域A1を区画する形状に限定されず、ねじ鉄筋45が水平方向に調整できる隙間がある貫通領域の形状を区画する形状であればよい。従って、水平断面が略円形状の貫通領域を区画する突起部の形状であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)木造の上柱と木造の下柱とを、繋ぎ合わせる柱施工方法であって、
前記上柱に取り付けられた吊り治具により、前記上柱を、吊り下げて建て起こして前記下柱の上方に移動して配置し、
柱繋ぎ治具を用いて、前記下柱に対して前記上柱の傾きを調整し、
柱面合わせ治具を用いて、前記上柱と前記下柱との柱面合わせを行なうことを特徴とする柱施工方法。
(b)木造の上柱と木造の下柱とを、前記上柱と前記下柱との間に接続筋を介して繋ぎ合わせる柱施工方法であって、
前記上柱に取り付けられた吊り治具により、前記上柱を、吊り下げて建て起こして前記下柱の上方に移動して配置し、
前記上柱の設置高さに位置決め部材を取り付け、鉛直方向に延在するように前記下柱の外周に固定された棒状部材を、前記上柱の外周に取り付けられた上柱取付部材に貫通させて、前記棒状部材に前記上柱取付部材を仮固定することにより、前記上柱と前記下柱との間に接続筋を配置させながら、前記設置高さに応じた高さで前記上柱を前記下柱に仮固定し、
柱面合わせ治具を用いて前記下柱と前記上柱の柱面合わせを行ない、前記上柱取付部材と前記棒状部材とを固定し、
前記接続筋を、前記上柱及び前記下柱の少なくとも一方に接着剤で固定することを特徴とする柱施工方法。
(c)前記棒状部材としてねじ鉄筋、前記位置決め部材として位置決め用ナット、前記上柱取付部材として上下方向が開口し前記ねじ鉄筋を挿入する貫通領域が区画された突起部を備えた板状部材を用い、
前記仮固定は、
前記上柱取付部材と同じ構成を有し前記下柱の外周に取り付けられる下柱取付部材の前記貫通領域に前記ねじ鉄筋を貫通させた後、前記ねじ鉄筋において前記突起部の上下に第1座金を介して配置された第1ナットにより前記ねじ鉄筋を前記下柱取付部材に固定し、
前記位置決め用ナットを、前記ねじ鉄筋に上方から挿入して、前記設置高さに固定し、
前記上柱取付部材に前記ねじ鉄筋を挿入させながら前記上柱を降下させて、前記上柱取付部材を前記位置決め用ナットの上に配置し、
前記ねじ鉄筋に上方から第2座金及び第2ナットを挿入し、前記第2ナット及び前記位置決め用ナットにより、前記上柱取付部材の位置を仮固定することを特徴とする前記(a)又は前記(b)に記載の柱施工方法。
(d)昇降装置によって木造の柱を吊るために用いる吊り治具であって、
前記柱に埋設するビスを貫通させる複数の貫通孔を有し、前記柱の外周に当接する固定板と、
前記固定板の取付面に対して垂直方向に延在して配置されるアイボルトと、
前記アイボルトと螺合し、前記固定板に固定された突出部材とを備え、
前記突出部材は、前記アイボルトの軸部を収納可能な長さを有することを特徴とする吊り治具。
(e)木造の上柱と木造の下柱とを固定するために用いる柱繋ぎ治具であって、
前記下柱の外周に取り付けられる下柱取付部材と、
前記下柱取付部材に下部が固定される棒状部材と、
前記棒状部材において高さ調整可能に配置される位置決め部材と、
前記上柱の外周に取り付けられた上柱取付部材と、
前記棒状部材において前記上柱取付部材を固定する上柱固定部材とを備えることを特徴とする柱繋ぎ治具。
(f)木造の下柱と、前記下柱の上に配置される木造の上柱との柱面合わせに用いられる柱面合わせ治具であって、
前記上柱及び下柱の柱面合わせを行なう第1面及び前記第1面に対向する第2面に直交する第3面の長さよりも長い板状の本体部と、前記本体部に対して直角となる掛止面部を有する掛止板と、
前記本体部に固定される押圧部材とを備え、
前記上柱及び前記下柱の前記第1面に前記掛止面部を掛止させて、前記上柱及び前記下柱に跨るように前記掛止板を配置し、
前記掛止板において前記第2面側に突出する部分に、前記押圧部材を固定し、
前記押圧部材によって押圧することにより、前記上柱を前記下柱に対して水平方向に相対移動させて、前記柱面合わせを行なうことを特徴とする柱面合わせ治具。
(g)木造の上柱と木造の下柱との建て入れ調整を行なうために用いる建て入れ調整治具であって、前記下柱の上面の中央に設けられる、上に凸の曲面を有するレベルボルト及び前記レベルボルトを支持する支持部材と、前記上柱の底面に設けられる傾斜調整板とを備えることを特徴とする建て入れ調整治具。
A1…貫通領域、f1…第1面、f2…第2面、f3…第3面、H1,H2…高さ、H3…隙間、H4…設置高さ、J1…柱面合わせ治具、L1…長さ、T1…板厚、T2…厚さ、W1…外周部分、L53,L54…距離、21,71…下柱、21a…孔、21ah…側面孔、22,72…上柱、22a…接続筋、23…梁、25…ワイヤ、26…棒天秤、30…吊り治具、31…固定板、31a,42h,92h…貫通孔、31f…取付面、31h…取付孔、32…突出部材、32a,43,93…突起部、32b…ボルト孔、35…アイボルト、36,62…ボルト、36a,76a…軸部、37…回動取付部、38…リング部、40…柱繋ぎ治具、41a,91a…下柱取付部材、41b,91b…上柱取付部材、42,93…板部材、43a…L字形状部、43b…S字形状部、44…ビス、45…棒状部材としてのねじ鉄筋、46N,47N…第1ナットとしてのナット、46W,47W…第1座金としての座金、48N…位置決め部材としての位置決めナット、48W…座金、49N…第2ナットとしてのナット、49W…第2座金としての座金、50…掛止板、51…本体部、52…固定部、53,54…ねじ孔、55…掛止面部としての先端部、57…掛止緩衝板、58…押圧緩衝板、60…押圧治具、61…ナット部材、63…ねじ棒部材、64…押圧板、73…傾斜調整板、75…インサート、76…レベルボルト、76b…頭部。

Claims (2)

  1. 木造の上柱と木造の下柱とを、繋ぎ合わせる柱施工方法であって、
    前記上柱に取り付けられた吊り治具により、前記上柱を、吊り下げて建て起こして前記下柱の上方に移動して配置し、
    前記下柱に埋設した支持部材によって支持され、前記下柱の上面の中央に設けられた、上に凸の曲面を有するレベルボルトを、前記レベルボルトに当接し、前記上柱の底面に設けられた傾斜調整板に対する傾斜角度を調整することにより、前記木造の上柱と前記木造の下柱との建て入れ調整を行なうことを特徴とする柱施工方法。
  2. 木造の上柱と木造の下柱との建て入れ調整を行なうために用いる建て入れ調整治具であって、
    前記下柱の上面の中央に設けられる、上に凸の曲面を有するレベルボルト及び前記レベルボルトを支持する支持部材と、
    前記上柱の底面に設けられる傾斜調整板と、を備えることを特徴とする建て入れ調整治具。
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