JP2024055195A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能が向上した排ガス浄化用触媒を提供する。【解決手段】排ガス浄化用触媒100は、基材10と触媒層20とを備える。触媒層20は、下層22と、中層24と、上層26と、を備える。上層26は、Rhを含む。中層24は、少なくともPtと、NOx吸蔵材と、を含む。下層22は、Pdを含む下層フロント部22aと、Pdを含む下層リア部22bと、を有し、下層フロント部22aにおけるPdの基材1L当たりの含有量(CF)が、下層リア部22bにおけるPdの基材1L当たりの含有量(CR)よりも大きい。【選択図】図2

Description

本発明は、排ガス用浄化触媒に関する。
自動車エンジン等の内燃機関から排出される排ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)等の有害成分が含まれる。従来、これらの有害成分を除去するために、基材と、触媒金属を含む触媒層と、を備えた排ガス浄化用触媒が用いられている。排ガス浄化用触媒に供給された排ガスは、触媒層と接触し、有害成分が浄化される。例えば、排ガス中のHCやCOは酸化されて水(HO)や二酸化炭素(CO)に変換(浄化)され、排ガス中のNOxは還元されて窒素(N)に変換(浄化)される。
しかし、内燃機関の始動時は、排ガス浄化用触媒が十分に暖機されておらず、触媒金属の活性が低い。このため、触媒金属が所定の活性温度に達するまで、有害成分の残った状態で排ガスが排出されてしまう虞がある。そのため、内燃機関の始動時に供給する混合気の空燃比(A/F)を薄くして、内燃機関の制御をリーン(酸素過剰)の状態、所謂、リーン始動制御とすることで、COやHCを低減させることがある。しかし、リーン雰囲気ではNOxから酸素を引き抜くことが困難で、NOxを浄化できない課題がある。
そこで、リーン始動制御時の暖機過程におけるNOxの排出を抑制するために、NOx吸蔵材を含むNOx吸蔵還元(NSR:NOx Storage-Reduction)触媒が広く用いられている(特許文献1、2参照)。例えば特許文献1には、触媒層を三層構造とし、下層にPtおよび/またはPdを含み、中層にPtおよび/またはPdとNOx吸蔵材とを含み、上層にRhを含む、NSR触媒が開示されている。
特開2018-143935号公報 特開2016-93760号公報
特許文献1、2に開示されるようなNOx吸蔵材を含んだ触媒層では、リーン雰囲気においてNOx吸蔵反応が生じる。すなわち、排ガス中のNOxはNOが大部分を占めるため、一般にはまず、Pt等の触媒金属によってNOが酸化され、NOが生成される。生成されたNOは、NOx吸蔵材(例えばアルカリ土類金属)と反応して硝酸塩の形態となり、NOx吸蔵材に一時的に取り込まれる。これにより、NOxの排出が抑制される。NOx吸蔵材に取り込まれたNOは、制御が、ストイキ(理論空燃比)~リッチ(燃料過剰)雰囲気に切り替えられた際に触媒層から脱離し、HCやCO等の還元ガスを還元剤として、触媒金属上で還元される。これによって、排ガス中のNOx成分が窒素(N)に変換(浄化)される。
近年、排ガス規制はさらに強化される傾向にある。また、例えば省エネ機構を搭載したエコカー等では、運転中にも内燃機関であるエンジンが頻繁に停止と始動を繰り返すことがある。したがって、NOx吸蔵材を備える排ガス浄化用触媒では、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能をさらに高めること、すなわち、NOx排出量(エミッション)を一層低減することが求められている。
本発明者らは、従来とは異なるアプローチで、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能を高めることを考えた。より詳しくは、NOx吸蔵反応、特にはNOの酸化反応を早期に発現させることで、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能を高めようと考えた。
すなわち、上記したNOx吸蔵反応を生じさせるためには、NOを酸化してNOの状態とすることが必要である。しかし、本発明者らの検討によれば、このときCOがNOと共存していると、COの酸化反応が優先的に生じて、NOの酸化反応が阻害されてしまう。その結果、NOが生成されにくくなって、NOx吸蔵反応の発現が遅れてしまうことが新たに判明した。
COは、主にPdによって浄化されるが、例えば特許文献1に開示されるような触媒層において、NOx吸蔵材が中層に含まれる一方、Pdが下層に含まれるような触媒層の構成では、とりわけ中層にCOが残留しやすく、NOの酸化反応が阻害されやすい。したがって、本発明者らは、NOx吸蔵材が中層に含まれ、かつPdが下層に含まれる構成の触媒層において、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能を高めるには、暖機過程でCOをいち早く浄化してNOの酸化反応を進行させ、NOx吸蔵反応を早期に発現させることが重要であると考えた。本発明は、かかる知見に基づき完成されたものである。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[1]は、内燃機関の排気経路内に配置され、上記内燃機関から排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒であって、基材と、上記基材に形成された触媒層と、を備える。上記触媒層は、上記基材側に位置する下層と、表層部側に位置する上層と、上記下層と上記上層との間に位置する中層と、を備える。上記上層は、Rhを含む。上記中層は、少なくともPtと、NOx吸蔵材と、を含む。上記下層は、上記排気経路内に配置された際に排ガスの流れ方向の上流側に位置する下層フロント部と、排ガスの流れ方向の下流側に位置する下層リア部と、を有し、上記下層フロント部および上記下層リア部は、それぞれPdを含む。上記下層フロント部における上記Pdの基材1L当たりの含有量(C)が、上記下層リア部における上記Pdの基材1L当たりの含有量(C)よりも大きい。
排ガス浄化用触媒[1]では、Pdを含む下層が、上流側の下層フロント部と、下流側の下層リア部とを有し、かつ下層フロント部のPd含有量(C)が、下層リア部のPd含有量(C)よりも大きい。すなわち、C>Cを満たす。通常、内燃機関の始動時は、排ガスによって触媒層の下層フロント部分から暖められやすい。そのため、始動時に温められやすい下層フロント部でPd含有量を大きくすること(言い換えれば、Pd濃度を上流側に偏らせること)により、COの浄化反応を活発に生じさせることができる。これにより、COをいち早く浄化できるため、NOの酸化反応が阻害されにくくなる。したがって、NOの酸化反応をスムーズに生じさせることができ、NOx吸蔵反応を早期に発現させることができる。
また、かかるCOの浄化反応時の反応熱(熱容量)が排ガスの流動に伴って下流側に伝達されることで、触媒層全体の暖機性を向上できる。その結果、触媒金属をいち早く活性温度(例えば200~250℃)まで加熱することができる。したがって、排ガス浄化用触媒[1]によれば、特に内燃機関の始動時に、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能を高めることができる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[2]は、上記排ガス浄化用触媒[1]において、上記Cに対する上記Cの比(C/C)が、次の式:1.5≦(C/C)≦3.0;を満たす。これにより、ストイキ~リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能をも高めることができ、リーン~リッチの広範な雰囲気で、NOxのエミッションを低減できる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[3]は、上記排ガス浄化用触媒[1]または[2]において、上記下層の全体に含まれる基材1L当たりの上記Pdの総量が、3.0g/L以下である。このような場合、ここに開示される技術を適用することが特に効果的である。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[5]は、上記排ガス浄化用触媒[1]~[3]のいずれか1つにおいて、上記下層フロント部および上記下層リア部は、それぞれ、酸素吸蔵能を有するOSC材と、酸素吸蔵能を有しない非OSC材と、を含み、上記下層フロント部における上記非OSC材の基材1L当たりの含有量が、上記下層リア部における上記非OSC材の基材1L当たりの含有量よりも大きく、かつ、上記下層フロント部における上記OSC材の基材1L当たりの含有量が、上記下層リア部における上記OSC材の基材1L当たりの含有量よりも小さい。これにより、優れた排ガス浄化性能を長期に亘り発揮できる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[6]は、上記排ガス浄化用触媒[1]~[4]のいずれか1つにおいて、上記下層フロント部の排ガスの流れ方向のコート長が、上記下層リア部の排ガスの流れ方向のコート長よりも短い。これにより、ここに開示される技術の効果を高いレベルで発揮でき、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能をより良く高められる。
ここに開示される排ガス浄化用触媒[7]は、上記排ガス浄化用触媒[1]~[5]のいずれか1つにおいて、上記下層フロント部の排ガスの流れ方向のコート長が、上記基材の全長の30%以上60%以下であり、上記下層リア部の排ガスの流れ方向のコート長が、上記基材の全長の60%以上90%以下である。これにより、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能の向上と、ストイキ~リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能の向上とを、安定して高いレベルで両立できる。
図1は、一実施形態に係る排ガス浄化用触媒を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1の排ガス浄化用触媒を筒軸方向に切断した部分断面図である。 図3は、試験Iにおける下層の構成を模式的に示す断面図である。 図4は、Pd含有量の比(C/C)とCO50%浄化時間との関係を示すグラフである。 図5は、Pd含有量の比(C/C)とNO吸蔵開始時間との関係を示すグラフである。 図6は、CO50%浄化時間とNO吸蔵開始時間との関係を示すグラフである。 図7は、下層のPd総量とCO50%浄化時間との関係を示すグラフである。 図8は、下層のPd総量とNO吸蔵開始時間との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば一般的な排ガス浄化用触媒の製造方法等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。また、本明細書において範囲を示す「A~B」(A,Bは任意の数値)の表記は、A以上B以下の意と共に、「Aより大きい(Aを超える)」および、「Bより小さい(B未満)」の意を包含する。
図1は、排ガス浄化用触媒100の模式図である。排ガス浄化用触媒100は、内燃機関の排気経路内に配置されて、当該内燃機関から排出される排ガスを浄化するものである。排ガス浄化用触媒100は、基材10と、基材10に形成された触媒層20(図2参照)と、を備える。なお、図1等において、矢印Fは、排気経路内に配置された際の排ガスの流れ方向を示す。矢印Xは、基材10の筒軸方向を示す。X1は、排ガスの流れ方向Fにおける上流側(フロント側)を示し、X2は排ガスの流れ方向Fにおける下流側(リア側)を示す。
排ガス浄化用触媒100は、例えば後述する基材10の種類と形状、触媒層20の設計等を適宜選択し、種々の内燃機関、特に自動車エンジンの排気系(排気管)に配置することができる。以下では、排ガス浄化用触媒100を、内燃機関が自動車のガソリンエンジンである場合を前提として説明するが、排ガス浄化用触媒100をかかる用途に限定することを意図したものではない。
<基材10>
基材10は、排ガス浄化用触媒100の骨格を構成するものである。基材10としては、従来この種の用途に用いられる種々の素材及び形態のものを採用することができる。例えば、素材としては、高耐熱性を有することから、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミックスが好適である。あるいは、合金(ステンレス鋼等)製の基材を使用することができる。
形態に関し、基材10は、ここでは筒軸方向X(排ガスの流れ方向)に沿って規則的に配列された複数のセル12と、複数のセル12を区画するリブ壁14と、を有するハニカム構造を有している。セル12は、排ガスの通路として機能する貫通孔である。リブ壁14は、各セル12を仕切る隔壁である。セル12の断面形状は、ここでは四角形状である。ただし、セル12の断面形状は、その他の形状(例えば、円形、三角形、六角形等)であってもよい。
基材10の外形は、ここでは円筒形状である。ただし、基材10の外形は、その他の形状(例えば、楕円筒形、多角筒形等)であってもよい。また、基材10は、ここではハニカム形状である。ただし、基材10は、フォーム形状、ペレット形状等であってもよい。基材10の体積は、典型的には、概ね0.1~10Lであり、例えば0.5~5Lである。また、基材10の筒軸方向Xの全長L(図2参照)は、典型的には、概ね10~500mmであり、例えば50~300mmである。なお、本明細書において、基材10の体積とは、基材10の純容積に加えて、セル12等の内部空隙の容積を含めた嵩容積(見かけの体積)をいう。
図1に示す基材10は、セル12の入口側開口および出口側開口が閉塞されていない、所謂、ストレートフロー型の基材である。ただし、基材10は、多数のセル12の入口側開口および出口側開口が交互に閉塞され、排ガスが、一のセル(入り側セル)からリブ壁14を通過して、隣接するセル(出側セル)に流れていく、所謂、ウォールフロー型(ウォールスルー型ともいう。)の基材であってもよい。
<触媒層20>
図2は、排ガス浄化用触媒100を筒軸方向Xに切断した部分断面図である。図2に示すように、触媒層20は、ここでは基材10(詳しくは、リブ壁14)の上に形成されている。ただし、触媒層20は、その一部がリブ壁14の内部にまで浸透していてもよい。触媒層20は、排ガスを浄化する場として、排ガス浄化用触媒100の主体をなすものである。排ガス浄化用触媒100に供給された排ガスは、基材10の流路内(セル12内)を流動(通過)している間に、触媒層20と接触する。排ガス中の有害成分は、触媒層20と接触して浄化される。
図2に示すように、触媒層20は、ここでは複層構造、具体的には3層構造である。触媒層20は、厚み方向において、基材10側に位置する下層22と、触媒層20の表層部側に位置する上層26と、下層22と上層26との間に位置する中層24と、を備えている。ただし、触媒層20は、本発明の効果を顕著に阻害しない範囲内で、下層22、中層24、上層26以外の層を含んでいてもよい。すなわち、触媒層20は、4層以上の積層構造であってもよい。この場合、下層22と中層24とは、厚み方向に当接していることが好ましい。また、中層24と上層26とは、厚み方向に当接していることが好ましい。
触媒層20全体のコート量は、基材10の種類等に応じて適宜決定することができ、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、例えば150~450g/Lであり、好ましくは200~400g/Lであり、より好ましくは250~350g/Lである。
触媒層20の複層構造(特には3層構造)の部分のコート長、すなわち、基材10の筒軸方向Xにおける平均塗布長さは、例えば、基材10の筒軸方向Xの全長Lの60%以上であるとよく、基材10の筒軸方向Xの全長Lの70%以上、80%以上、90%以上、または100%であるとよい。なお、図2では、下層22、中層24、上層26が同じコート長で図示されているが、下層22、中層24、上層26は、筒軸方向Xの少なくとも一部で3層に積層されている限りにおいて、相互に異なるコート長であってもよい。
触媒層20の複層構造(特には3層構造)の部分のコート厚み、すなわち、筒軸方向Xと垂直な方向の平均厚みは、例えば3~300μm、5~200μm、10~100μmであるとよい。なお、図2では、下層22、中層24、上層26が同じ厚みで図示されているが、下層22、中層24、上層26は、相互に異なる厚みであってもよい。特に限定されないが、下層22のコート厚みは、例えば10~30μm、好ましくは15~25μmである。中層24のコート厚みは、例えば40~60μm、好ましくは45~55μmである。上層26のコート厚みは、例えば20~40μm、好ましくは25~35μmである。また、下層22、中層24、上層26は、コート厚みが均一でなくてもよい。例えば下層22は、筒軸方向Xの中央部で、コート厚みが厚くなっていてもよい。
触媒層20は、少なくとも(1)触媒金属と(2)NOx吸蔵材とを含む。触媒層20は、さらに(3)酸素貯蔵能を有する酸素吸蔵材(OSC材)、および/または、(4)酸素貯蔵能を有しない非OSC材を含むことが好ましい。OSC材および/または非OSC材は、触媒金属を担持する担体として触媒層20に含まれていてもよいし、触媒金属を担持しない形態で触媒層20に含まれていてもよい。また、触媒層20は、OSC材および/または非OSC材を主体(全体の50質量%以上を占める成分。以下同じ。)として構成されていてもよい。
(1)触媒金属は、必須として、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)の3種類の白金族に属する貴金属(PGM)を含む。触媒金属は、上記以外の3種類に加えて、排ガスの有害成分の浄化にあたり酸化触媒および/または還元触媒として機能し得る種々の金属種をさらに含んでもよい。一例として、上記以外のPGM、すなわち、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)や、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の鉄族に属する金属、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等が挙げられる。触媒金属は、典型的には担体(例えば、後述するOSC材および/または非OSC材)に担持されている。触媒金属は、下層22、中層24、上層26の各層にそれぞれ含まれることが好ましい。下層22、中層24、上層26の各層では、主体となる触媒金属の種類が異なっていることが好ましい。なお、各層と触媒金属の種類との対応関係については後述する。
触媒金属は、排ガスとの接触面積を高める観点から、十分に小さい粒径の微粒子であることが好ましい。触媒金属の平均粒径は、例えば1~15nmであり、好ましくは1~10nmであり、より好ましくは1~5nmである。なお、触媒金属の平均粒子径は、触媒金属の透過電子顕微鏡(TEM)画像を取得し、当該画像において任意に選ばれる50個以上の触媒金属の粒径の平均値として求めることができる。
触媒層20全体に含まれる触媒金属の総量は、例えば排ガス量や用途、触媒金属の種類等に応じて適宜決定することができ、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、例えば0.5g/L以上、好ましくは1.0g/L以上、より好ましくは2.0g/L以上であるとよい。一方、触媒層20全体に含まれる触媒金属の総量は、基材10の体積1L当たり、例えば8.0g/L以下、好ましくは7.0g/L以下、より好ましくは6.0g/L以下であるとよい。
(2)NOx吸蔵材としては、従来この種の用途に用いられる公知の材料を使用することができる。NOx吸蔵材は、NOx吸蔵元素として、典型的には、アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素のうちの少なくとも1種を含む。一例として、当該少なくとも1種のNOx吸蔵元素を含み、炭酸塩もしくは酸化物の形態にある化合物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。アルカリ金属元素の例としては、Li、K、Cs等が挙げられ、なかでもKが好ましい。アルカリ土類金属元素の例としては、Mg、Sr、Ba等が挙げられ、なかでもBaが好ましい。NOx吸蔵材は、中層24に必須として含まれる。
触媒層20全体に含まれるNOx吸蔵材の総量は、特に限定されないが、典型的には、OSC材および/または非OSC材の含有量以下であり、具体的には、基材10の体積1L当たり、好ましくは100g/L以下であり、例えば10~50g/Lである。
(3)OSC材としては、従来この種の用途に用いられる公知の材料を使用することができる。一例として、セリア(酸化セリウム、CeO)および、セリアを含む複合酸化物、例えば、セリアとジルコニアとを含む複合酸化物(セリア-ジルコニア複合酸化物、所謂、CZ複合酸化物(ZC複合酸化物ともいう。))が挙げられる。セリアの熱劣化を抑制する観点から、OSC材は、CZ複合酸化物を含むことが好ましく、実質的にCZ複合酸化物からなる(全体の95質量%以上を占めること。以下同じ。)ことがより好ましい。OSC材は、酸素の枯渇を防止する観点等から、下層22、中層24、上層26の各層にそれぞれ含まれることが好ましい。
OSC材(例えばCZ複合酸化物)は、耐熱性や酸素吸放出特性を向上する観点等から、セリアおよびジルコニアを主体として、さらに他の添加成分を含んでいてもよい。OSC材に含まれ得る添加成分の例として、希土類元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素、Si、Al等を含む酸化物が挙げられる。希土類元素の例としては、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。希土類元素の酸化物としては、好適にはPr、Nd、La、およびYである。添加成分は、多結晶体であってもよく単結晶であってもよい。
OSC材がセリアを含む場合、その酸素吸蔵能を十分に発揮させる観点から、OSC材全体に占めるセリアの含有割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは25質量%以上である。一方、OSC材の塩基性を適度に抑える観点から、セリアの含有割合は、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは75質量%以下である。
触媒層20全体に含まれるOSC材の総量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは45~250g/Lであり、より好ましくは80~200g/Lである。
(4)非OSC材としては、従来この種の用途に用いられる公知の材料を使用することができる。なかでも、触媒金属を高分散に担持する観点等から、比表面積が比較的大きく、耐熱性に優れる無機多孔質体を好ましく用いることができる。一例として、アルミナ(Al、酸化アルミニウム)、チタニア(TiO、酸化チタン)、ジルコニア(ZrO、酸化ジルコニウム)、シリカ(SiO、酸化ケイ素)等が挙げられる。なかでも、耐熱性に特に優れること等から、非OSC材は、アルミナを含むことが好ましく、実質的にアルミナからなることがより好ましい。非OSC材は、耐熱性や耐久性を向上する観点等から、下層22、中層24、上層26の各層にそれぞれ含まれることが好ましい。
非OSC材(例えばアルミナ)は、耐熱性を向上する観点等から、上記したような添加成分、例えば、Pr、Nd、La、Y等の希土類元素の酸化物を含んでいてもよい。
触媒層20全体に含まれる非OSC材の総量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは100~370g/Lであり、より好ましくは170~300g/Lである。
触媒層20は、上記(1)~(4)に加えて、さらに補助材料を含んでもよい。補助材料は、例えば、触媒金属のシンタリングや被毒を抑制したり、OSC材の酸素吸蔵量を向上したりするためのものである。補助材料としては、従来この種の用途に用いられる公知の材料を使用することができる。一例として、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、希土類金属元素、遷移金属元素のうちの1つ以上の金属元素を含む金属の単体、合金、化合物(例えば、酸化物、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩、塩化物)が挙げられる。なお、補助材料が含まれ得る層については後述する。
以下、触媒層20に含まれる、下層22、中層24、上層26のそれぞれについて詳細に説明する。
<下層22>
図2に示すように、下層22は、ここでは基材10の表面上に直接形成されている。本実施形態において、下層22は、排ガスの流れ方向Fの上流側X1に位置する下層フロント部22aと、下層フロント部22aよりも排ガスの流れ方向Fの下流側X2に位置する下層リア部22bと、を有する。下層フロント部22aは、ここでは基材10の上流側X1の端部から、筒軸方向Xに沿って設けられている。下層リア部22bは、ここでは基材10の下流側X2の端部から、筒軸方向Xに沿って設けられている。下層22、とりわけ下層フロント部22aは、例えばリーン始動制御時等のリーン雰囲気において、CO浄化層として機能する。
下層フロント部22aおよび下層リア部22bは、それぞれ、触媒金属としてのPdを含有する。Pdは、触媒金属の中でもとりわけ酸化活性が高く、特にCO浄化性能に優れる。始動時に温められやすい下層22にPdを配置することで、リーン始動制御時にCOの浄化反応を好適に生じさせることができる。また、Pd等の酸化触媒は、排ガス中に含まれる被毒物質(例えば硫黄分)の影響を受けやすい。このため、被毒物質が付着しやすい上層26から離れた下層22にPdを配置することで、Pdが被毒物質と接触することを抑制できる。
下層22全体に含まれるPdの総量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、例えば0.1g/L以上、0.5g/L以上、好ましくは1.0g/L以上、より好ましくは2.0g/L以上であるとよい。これにより、リーン始動制御時にCOの浄化反応をより活発に生じさせることができ、ここに開示される技術の効果を高いレベルで発揮できる。一方、下層22全体に含まれるPdの総量は、基材10の体積1L当たり、例えば5.0g/L以下、好ましくは4.0g/L以下、より好ましくは3.0g/L以下、さらには2.9g/L以下、2.5g/L以下であるとよい。このような場合、リーン始動制御時にCOの浄化反応が緩慢になり、とりわけNOの酸化反応が阻害されやすい。したがって、ここに開示される技術を適用することが特に効果的である。
本実施形態では、下層フロント部22aにおけるPdの基材1L当たりの含有量(C)が、下層リア部22bにおけるPdの基材1L当たりの含有量(C)よりも大きい。すなわち、C>Cを満たす。言い換えれば、下層リア部22bのPd含有量(C)に対する、下層フロント部22aのPd含有量(C)の比(C/C)が、次の式:1<(C/C);を満たす。始動時に温められやすい下層フロント部22aでPd含有量を大きくすることにより、COの浄化反応を活発に生じさせることができる。これにより、COをいち早く浄化でき、NOの酸化反応をスムーズに開始させることができる。また、COの浄化反応時の反応熱(熱容量)が、排ガスの流動に伴って下流側に伝達されることで、触媒層全体の暖機性を向上できる。その結果、触媒金属をいち早く活性温度まで加熱することができる。したがって、特に内燃機関の始動時にNOxが排ガス浄化用触媒100をすり抜けてエミッションとして放出されることを抑制できる。
上記比(C/C)は、ここに開示される技術の効果を高いレベルで発揮する観点から、1.2以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。一方、上記比(C/C)の上限は、特に限定されないが、上記比がある程度大きくなると、ここに開示される技術の効果は頭打ちの状態になる。そのため、上記比(C/C)は、概ね10以下、5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、さらには3.0以下であるとよい。
なかでも、上記比(C/C)は、次の式:1.2≦(C/C)≦3.5;を満たすことが好ましく、次の式:1.5≦(C/C)≦3.0;を満たすことがより好ましく、次の式:1.5≦(C/C)≦2.0;を満たすことが特に好ましい。これにより、ストイキ~リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能を高めることができる。したがって、リーン~リッチの広範な雰囲気で、NOxのエミッションを低減できる。
下層フロント部22aのPd含有量(C)は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、概ね0.1g/L以上、0.5g/L以上、好ましくは1.0g/L以上、より好ましくは2.0g/L以上、特には2.5g/L以上であるとよい。これにより、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能をより良く高めることができ、ここに開示される技術の効果を高いレベルで発揮できる。下層フロント部22aのPd含有量(C)は、触媒金属の含有量が多すぎると、ここに開示される技術の効果が頭打ちの状態になったり、触媒金属が粒成長を起こしやすくなったりすることから、基材10の体積1L当たり、6.0g/L以下、好ましくは5.0g/L以下、より好ましくは4.0g/L以下、さらには3.5g/L以下であってもよい。
下層リア部22bのPd含有量(C)は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、概ね0.1g/L以上、0.5g/L以上、好ましくは1.0g/L以上であるとよい。これにより、ストイキ~リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能を高めることができる。下層リア部22bのPd含有量(C)は、触媒金属の含有量が多すぎると、コスト面で不利であること等から、基材10の体積1L当たり、4.0g/L以下、好ましくは3.0g/L以下、より好ましくは2.0g/L以下、例えば1.5g/L以下であってもよい。
下層フロント部22aおよび/または下層リア部22bは、Pd以外の触媒金属を含んでもよい。一例として、上記したような白金族に属する貴金属(PGM)が挙げられる。なかでも、酸化活性の高いPtが好適である。下層フロント部22aおよび下層リア部22bにおいて、触媒金属全体に占めるPdの含有割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、触媒金属が実質的にPdからなることが特に好ましい。
下層フロント部22aおよび下層リア部22bは、それぞれ非OSC材を含むことが好ましい。非OSC材は、Pd等の触媒金属を担持する担体であってもよく、Pd等の触媒金属を担持しない形態であってもよい。非OSC材は、下層フロント部22aおよび下層リア部22bの第1成分(質量基準で最も含有割合の高い成分。以下同じ。)であってもよい。下層フロント部22aにおける非OSC材の基材1L当たりの含有量は、下層リア部22bにおける非OSC材の基材1L当たりの含有量よりも大きいことが好ましい。これにより、下層フロント部22aの耐熱性や耐久性をより良く高めることができる。
下層フロント部22aにおける非OSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは40~110g/Lであり、より好ましくは50~100g/L、例えば60~90g/Lである。下層フロント部22aにおける非OSC材の含有量は、下層リア部22bにおける非OSC材の含有量よりも10g/L以上、さらには20g/L以上、大きいことが好ましい。下層リア部22bにおける非OSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましく20~90g/Lであり、より好ましくは30~80g/Lであり、例えば40~70g/Lである。
下層フロント部22aおよび下層リア部22bは、それぞれOSC材を含むことが好ましい。OSC材は、Pd等の触媒金属を担持する担体であってもよく、Pd等の触媒金属を担持しない形態であってもよい。非OSC材とは逆に、下層フロント部22aにおけるOSC材の基材1L当たりの含有量は、下層リア部22bにおけるOSC材の基材1L当たりの含有量よりも小さいことが好ましい。これにより、ストイキ~リッチ雰囲気における排ガス浄化性能をより良く高めることができる。
下層フロント部22aにおけるOSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは1~60g/Lであり、より好ましくは5~50g/Lであり、例えば10~40g/Lである。下層フロント部22aにおけるOSC材の含有量は、下層リア部22bにおけるOSC材の含有量よりも10g/L以上、20g/L以上、さらには30g/L以上、小さいことが好ましい。下層リア部22bにおけるOSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましく20~90g/Lであり、より好ましくは30~80g/Lであり、例えば40~70g/Lである。
下層フロント部22aおよび/または下層リア部22bは、上記したような補助材料やNOx吸蔵材をさらに含んでもよい。例えば、アルカリ土類元素(Ba等)を含有することで、触媒金属、特には、Pd等の酸化触媒の被毒を抑制できる。また、触媒金属の分散性が高められ、触媒金属のシンタリングを抑制できる。また例えば、OSC材と共にアルカリ土類元素を含むことで、リーン雰囲気において、OSC材への酸素吸蔵量を向上できる。さらに、NOx吸蔵材を含むことで、リーン雰囲気において、NOx吸蔵量を向上できる。
下層フロント部22aおよび/または下層リア部22bにおいて、補助材料および/またはNOx吸蔵材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましく30g/L以下であり、より好ましくは20g/L以下であり、例えば10g/L以下である。下層フロント部22aおよび下層リア部22bでは、補助材料および/またはNOx吸蔵材の基材1L当たりの含有量が略同じ(概ね±10%以内、例えば±5%以内)であってもよい。
下層フロント部22aおよび下層リア部22bのコート量は、特に限定されないが、それぞれ、基材10の体積1L当たり、例えば50~250g/Lが好ましく、70~200g/Lがより好ましく、80~150g/Lがさらに好ましい。
下層フロント部22aの排ガスの流れ方向(筒軸方向X)のコート長Laは、典型的には基材10の延伸方向(筒軸方向X)の全長Lよりも短い。下層フロント部22aのコート長Laは、特に限定されないが、基材10の全長Lの20~70%が好ましく、30~60%がより好ましく、40~50%、例えば50%未満がさらに好ましい。下層リア部22bの排ガスの流れ方向(筒軸方向X)のコート長Lbは、典型的には基材10の延伸方向(筒軸方向X)の全長Lよりも短い。下層リア部22bのコート長Lbは、基材10の全長Lの50%以上が好ましく、60~90%がより好ましく、70~80%がさらに好ましい。これにより、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能の向上と、ストイキ~リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能の向上とを、高いレベルで両立できる。
下層フロント部22aのコート長Laは、下層リア部22bのコート長Lbよりも短いことが好ましい。すなわち、La<Lbが好ましい。これにより、Pd濃度を上流側と下流側とで顕著に異ならせて、Pdを上流側に偏らせることができ、上記した効果をより良く発揮できる。
なお、図2に示す態様では、La+Lb≒Lであり、下層フロント部22aと下層リア部22bとが筒軸方向Xに接している。ただし、下層フロント部22aと下層リア部22bとは筒軸方向Xに離れていてもよい。また、下層フロント部22aのコート長Laと下層リア部22bのコート長Lbとの合計(La+Lb)は、L≦(La+Lb)が好ましく、例えば、L≦(La+Lb)≦1.5Lである。すなわち、下層フロント部22aと下層リア部22bとは、例えばスラリーを用いた製法上の理由等によって、筒軸方向Xの中央部において一部が重なり合っていてもよい。その場合、下層リア部22bを基材10側に配置することが好ましい。
<中層24>
中層24は、触媒金属としてのPtと、上記したようなNOx吸蔵材とを含み、例えばリーン始動制御時等のリーン雰囲気において、NOx吸蔵層として機能する。中層24は、例えばストイキ~リッチ雰囲気において、三元触媒層としても機能しうる。中層24は下層22と上層26に挟まれているので、上層26側から流入してきた排ガスないし排ガスに含まれる有害成分が滞留しやすくなる。このため、NOx吸蔵材を中層24に含ませることで、リーン雰囲気においてNOが吸蔵されやすくなる。また、ストイキ~リッチ雰囲気において、NOx吸蔵材から脱離したNOが、HCやCO等の還元ガスと接触しやすくなる。そのため、リーン~リッチの広範な雰囲気でNOxのエミッションを低減できる。
Ptは、触媒金属の中でもとりわけ酸化性能が高く、特にNO酸化性能に優れる。このため、中層24がPtを含むことにより、リーン雰囲気で、NOx吸蔵材の近傍でNOを酸化してNOを生成できる。またPtは、パラフィン系HCに対する反応性が高い。このため、中層24がPtを含むことにより、例えばストイキ~リッチ雰囲気で、HCやCOを効率よく浄化できる。中層24におけるPtの含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは0.1~5g/L、より好ましくは0.5~3g/Lである。これにより、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能の向上と、ストイキ~リッチ雰囲気におけるHC浄化性能の向上とを、高いレベルで両立できる。
中層24は、Pt以外の触媒金属をさらに含んでもよい。一例として、上記したような白金族に属する貴金属(PGM)が挙げられる。なかでも、酸化活性の高いPdが好適である。中層24において、触媒金属全体に占めるPtの含有割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、触媒金属が実質的にPtからなることが特に好ましい。中層24が、Pdを実質的に含まない(層全体での含有量が、概ね5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下。以下同じ。)場合や、中層24がPdを含み、中層24におけるPdの基材1L当たりの含有量(C)が、下層リア部22bにおけるPdの基材1L当たりの含有量(C)よりも小さい場合は、とりわけ中層24にCOが残留しやすく、NOの酸化反応が阻害されやすい。したがって、ここに開示される技術を適用することが特に効果的である。
NOx吸蔵材は、NOx吸蔵元素としてアルカリ土類金属元素を含むことが好ましく、特にはBaを含むことが好ましい。NOx吸蔵材は、Baを含む酸化物およびBaを含む炭酸塩からなる群より選ばれる1種の化合物であることが特に好ましい。中層24におけるNOx吸蔵材の含有量は特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは1~60g/L、より好ましくは10~50g/L、例えば20~40g/Lである。
中層24は、さらにOSC材を含むことが好ましい。中層24は、OSC材と非OSC材とを含むことがより好ましい。OSC材および/または非OSC材は、Pt等の触媒金属を担持する担体であってもよく、Pt等の触媒金属を担持しない形態であってもよい。OSC材は、中層24の第1成分であってもよい。中層24におけるOSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは60~120g/Lであり、より好ましくは70~110g/Lであり、例えば80~100g/Lである。また、中層24における非OSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは1~60g/L、より好ましくは10~50g/L、例えば20~40g/Lである。
中層24のコート量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、例えば120~200g/Lが好ましく、130~180g/Lがより好ましく、140~170g/Lがさらに好ましい。
<上層26>
上層26は、触媒金属としてのRhを含有する。上層26は、三元触媒層として機能しうる。上層26は、例えばストイキ~リッチ雰囲気において、NOx還元層として機能する。すなわち、中層24に吸蔵されたNOは、気体となってNOx吸蔵材から脱離すると、表層部側に向かって移動しやすい。そのため、中層24よりも表層部側に位置している上層26にRhを含むことで、NOがNOx吸蔵材から脱離した際に、効率よく除去することができる。
Rhは、触媒金属の中でも、とりわけH生成能が高く、また三元性能(特に、NOx浄化性能)も高い。このため、例えばストイキ~リッチ雰囲気で、NOxを効率よく浄化できる。上層26におけるRhの含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは0.01~1.0g/Lであり、より好ましくは0.05~0.5g/Lである。
上層26は、Rh以外の触媒金属をさらに含んでもよい。一例として、上記したような白金族に属する貴金属(PGM)が挙げられる。なかでも、酸化活性の高いPdやPtが好適である。上層26において、触媒金属全体に占めるRhの含有割合は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
上層26は、さらに非OSC材を含むことが好ましい。上層26は、非OSC材とOSC材とを含むことがより好ましい。OSC材および/または非OSC材は、Rh等の触媒金属を担持する担体であってもよく、Rh等の触媒金属を担持しない形態であってもよい。非OSC材は、上層26の第1成分であってもよい。上層26における非OSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは30~100g/Lであり、より好ましくは40~90g/Lであり、例えば50~80g/Lである。上層26におけるOSC材の含有量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、好ましくは1~50g/Lであり、より好ましくは5~40g/Lであり、例えば10~30g/Lである。
上層26は、上記したような補助材料やNOx吸蔵材をさらに含んでもよい。好ましい一実施形態では、上層26は、NOx吸蔵材、アルカリ金属元素を含む補助材料、およびアルカリ土類金属元素を含む補助材料を、実質的に含まない。
上層26のコート量は、特に限定されないが、基材10の体積1L当たり、例えば50~120g/Lが好ましく、60~110g/Lがより好ましく、70~100g/Lがさらに好ましい。
≪排ガス浄化用触媒100の製造方法≫
特に限定されるものではないが、排ガス浄化用触媒100は、例えば以下のような方法で製造することができる。まず、基材10と、触媒層20を形成するための触媒層形成用スラリーとを用意する。触媒層形成用スラリーは、例えば、触媒金属源(例えば、触媒金属をイオンとして含む溶液)と、その他成分(例えば、NOx吸蔵材、非OSC材、OSC材、バインダ、各種添加剤等)とを、分散媒中で混合することにより、調製することができる。分散媒としては、例えば、水や、水と水溶性有機溶媒の混合物等を使用し得る。
スラリーの性状(例えば、粘度、固形分率等)は、使用する基材10のサイズや、セル12ないしリブ壁14の形態、触媒層20への要求特性等によって適宜決定することができる。スラリーの粘度の調整には、増粘剤の使用が有利である。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、HECをクエン酸で架橋したHECクエン酸架橋物等のセルロース系ポリマー等を使用し得る。
具体的には、まず、Pd源を含有する下層形成用スラリーと、Pt源およびNOx吸蔵材を含有する中層形成用スラリーと、Rh源を含有する上層形成用スラリーと、を用意する。このとき、下層形成用スラリーとして、Pd含有量が相対的に多い下層フロント部形成用スラリーと、Pd含有量が相対的に少ない下層リア部形成用スラリーと、を用意する。
次いで、公知の塗布方法(例えば、吸引コート法、エアブロー法、ウォッシュコート法等)により、基材10の下流側X2の端部から所定の位置まで、下層リア部形成用スラリーを、公知方法に従ってコートし、乾燥する。続いて、基材10の上流側X1の端部から所定の位置まで、下層フロント部形成用スラリーを、公知方法に従ってコートし、乾燥する。そして、これを焼成することによって、下層22を形成する。なお、例えば吸引コート法では、基材の一方側の端部をスラリーに浸漬させた状態で、他方側の端部からスラリーを吸引することによって、各層のコート長を精度よく調整できる。
次いで、公知の塗布方法により、下層22の上に、中層形成用スラリーをコートし、乾燥後、焼成して中層24を形成する。さらに、公知の塗布方法により、中層24の上に、上層形成用スラリーをコートし、乾燥後、焼成して上層26を形成する。なお、スラリーの乾燥条件は、典型的には70~150℃、例えば90~130℃の温度で、1~10時間程度とするとよい。また、焼成条件は、典型的には300~800℃程、例えば400~500℃の温度で、1~4時間程度とするとよい。
≪排ガス浄化用触媒100の用途≫
上記の通り、排ガス浄化用触媒100は、例えば内燃機関の始動時に、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能を向上できるものである。また好ましくは、ストイキ~リッチ雰囲気で優れたNOx浄化性能を実現できるものである。したがって、排ガス浄化用触媒100は、自動車やトラック等の車両や、自動二輪車や原動機付き自転車をはじめとして、船舶、タンカー、水上バイク、パーソナルウォータークラフト、船外機等のマリン用製品、草刈機、チェーンソー、トリマー等のガーデニング用製品、ゴルフカート、四輪バギー等のレジャー用製品、コージェネレーションシステム等の発電設備、ゴミ焼却炉等の内燃機関から排出される排ガスの浄化に好適に用いることができる。なかでも、自動車等の車両に対して好適に用いることができ、特に、ガソリンエンジンを備える車両に対して好適に用いることができる。
≪排ガス浄化システムおよび制御方法≫
ここに開示される排ガス浄化用システムは、内燃機関に接続された排気経路と、上記排気経路に配置された排ガス浄化用触媒100と、排ガス浄化用触媒100よりも排ガス流動方向の上流側に設けられた空燃比調整装置と、制御部と、を備える。空燃比調整装置は、例えば、排ガスに対して霧状の燃料(HC)を噴霧する燃料添加装置である。制御部は、内燃機関の始動時に、空燃比調整装置を制御して、排ガスの空燃比をリーンに調整した状態で排ガス浄化用触媒100に供給を開始するリーン始動制御が可能なように構成されている。リーン始動制御時の暖機過程において、排ガス中のNOxは、排ガス浄化用触媒100(詳しくはNOx吸蔵材)に取り込まれる。
このような排ガス浄化システムにおいて、制御部は、リーン始動制御を開始する前に、空燃比調整装置を制御して、排ガスの空燃比をリッチに調整した状態で排ガス浄化用触媒100に供給する準備制御を行うことが好ましい。これにより、酸化触媒(特には、PtやPd)を還元することができ、NOx吸蔵材にNOxを取り込むための準備として、酸化触媒の酸化性能を向上できる。その結果、NOxがNOx吸蔵材に取り込まれやすくなり、NOx吸蔵量を好適に増加させることができる。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔試験例I:リーン雰囲気でのNOx吸蔵性能の評価〕
試験例Iでは、下層フロント部および下層リア部のPd含有量を変化させて、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能、詳しくは、CO50%浄化達成時間とNOx吸蔵開始時間を評価した。
<試験用基材>
まず、円筒形状のコージェライト製ハニカム基材(直径:118.4mm、全長:114.3mm、体積:1.26L)を用意した。この基材の一方の端部を上流側X1の端部(すなわち、排ガス流入側の端部)と規定し、他方の端部を下流側X2の端部(すなわち、排ガス流出側の端部)と規定した。
<実施例1の排ガス浄化用触媒の作製>
実施例1として、下層フロント部のPd含有量が下層リア部よりも多い排ガス浄化用触媒を作製した。具体的には、まず、表1に示す成分を含み、かつ図3に示すような断面形状を有する下層122を形成した。詳しくは、まず、Pd源としての硝酸パラジウム水溶液と、OSC材としてのCZ複合酸化物粉末と、非OSC材としてのAl粉末と、補助材料としての硫酸バリウムと、増粘剤としてのHECとを、イオン交換水中で混合し、さらに粉末の平均粒径(D50)が5μmになるようにミリングして、下層フロント部形成用スラリーと下層リア部形成用スラリーの2種類のスラリーを調製した。
次に、下層リア部形成用スラリーを、吸引コート法によって基材の下流側の端部から基材の全長の45%までの領域にコートし、90℃で1時間乾燥した後、500℃で1時間焼成することで、下層リア部122bを形成した。また、下層フロント部形成用スラリーを、吸引コート法によって基材の下流側の端部から基材の全長の75%までの領域にコートし、90℃で1時間乾燥した後、500℃で1時間焼成することで、下層フロント部122aを形成した。これにより、図3に示すように、基材110の表面に、下層フロント部122aと下層リア部122bとを有する下層122を形成した。なお、下層フロント部122aと下層リア部122bとは、基材110の筒軸方向の中央部(図3のOLの個所)で、一部が重なり合っている。
Figure 2024055195000002
次に、下層の上に、表2に示す成分を含む中層を形成した。具体的には、まず、Pt源としての硝酸白金水溶液と、OSC材としてのCZ複合酸化物粉末と、非OSC材としてのAl粉末と、NOx吸蔵材としての炭酸バリウムと、増粘剤としてのHECとを、イオン交換水中で混合し、さらに粉末の平均粒径(D50)が5μmになるようにミリングして、中層形成用スラリーを調製した。次に、この中層形成用スラリーを、ウォッシュコート法によって、上記形成した下層の上に、基材の全長(100%)にわたってコートし、90℃で1時間乾燥した後、500℃で1時間焼成することで、中層を形成した。
Figure 2024055195000003
次に、中層の上に、表3に示す成分を含む上層を形成した。具体的には、まず、Rh減としての硝酸ロジウム水溶液と、Pd源としての硝酸パラジウム水溶液と、OSC材としてのCZ複合酸化物粉末と、非OSC材としてのAl粉末と、増粘剤としてのHECクエン酸架橋物とを、イオン交換水中で混合し、さらに粉末の平均粒径(D50)が5μmになるようにミリングして、上層形成用スラリーを調製した。次に、この上層形成用スラリーを、ウォッシュコート法によって、上記形成した中層の上に、基材の全長(100%)にわたってコートし、90℃で1時間乾燥した後、500℃で1時間焼成することで、上層を形成した。以上のようにして、実施例1の排ガス浄化用触媒を得た。
Figure 2024055195000004
<実施例2~5、比較例1の排ガス浄化用触媒の作製>
下層フロント部のPd含有量(C)および下層リア部のPd含有量(C)を表4のように変更したこと以外は実施例1と同様にして、各例の排ガス浄化用触媒を得た。なお、表4には、下層リア部のPd含有量(C)に対する、下層フロント部のPd含有量(C)の比(C/C)をあわせて示している。
Figure 2024055195000005
<リーン雰囲気でのCO50%浄化時間とNOx吸蔵開始時間の評価>
各例の排ガス浄化用触媒を、100℃以下に冷却後、エンジンベンチの排気管内に設置した。そして、熱交換器で300℃に温度調節した排ガス(λ値=1.08、A/F=15.7)を、排ガス浄化用触媒に流入させた。このとき、触媒流入前の位置でのCO濃度と触媒流出後の位置でのCO濃度とを測定し、これに基づいて、リーン雰囲気(A/F=15.7)におけるCO50%浄化時間を算出した。また、触媒流入前の位置でのNOx量と触媒流出後の位置でのNOx量とを測定し、これに基づいて、リーン雰囲気(A/F=15.7)におけるNOx吸蔵開始時間を算出した。結果を表4に示す。
図4に、Pd含有量の比(C/C)とCO50%浄化時間との関係を示す。図5に、Pd含有量の比(C/C)とNO吸蔵開始時間との関係を示す。図6に、CO50%浄化時間とNO吸蔵開始時間との関係を示す。表4および、図4、図5に示すように、Pd含有量の比(C/C)が大きくなるほど、CO50%浄化時間およびNO吸蔵開始時間が早くなった。また、図6に示すように、CO50%浄化時間とNO吸蔵開始時間とは、正の相関関係が認められた。以上の結果から、リーン雰囲気では、下層フロント部のPd含有量を大きくすることでCOの浄化反応が促進された結果、NOの酸化反応が起きやすくなったことがわかる。したがって、ここに開示される排ガス浄化用触媒によれば、特に内燃機関の始動時にNOxのエミッションを低減できる。
〔試験例II:リッチ雰囲気でのNOx浄化性能の評価〕
試験例IIでは、試験例IにおいてNOx吸蔵開始時間が40s以下であった実施例1~5の排ガス浄化用触媒について、リッチ雰囲気(A/F=14.45)におけるNOx浄化率を評価した。
<リッチ雰囲気でのNOx浄化率の評価>
各例の排ガス浄化用触媒を、エンジンベンチの排気菅内に設置し、熱交換器で460℃に温度調節した排ガスを排ガス浄化用触媒に流入させた。この時、流入させる排ガスのA/Fを変動させ、A/F=14.45になった際の触媒流入前のNOx量と、触媒流出後のNOx量とを測定し、これに基づいて、リッチ雰囲気(A/F=14.45)におけるNOx浄化率(%)を算出した。結果を表5に示す。
Figure 2024055195000006
表5に示すように、リッチ雰囲気でのNOx浄化率は、Pd含有量の比(C/C)が3.5の場合が最も低かった。これは、下層フロント部のPd含有量を大きくし過ぎたために、リッチ雰囲気で反応しきれなかったNOxが排ガス浄化用触媒をすり抜け、排出されたためと考えられる。
一方、Pd含有量の比(C/C)が1.5~3の場合には、NOx浄化率が90%以上と高い値だった。とりわけ、Pd含有量の比(C/C)が1.5~2.5の場合には、NOx浄化率が92%以上であり、Pd含有量の比(C/C)が1.5~2の場合には、NOx浄化率が94%以上と、顕著に高い値を示した。以上の結果より、Pd含有量の比(C/C)を上記範囲とすることで、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能の向上に加えて、リッチ雰囲気におけるNOx浄化性能を向上できることがわかる。
〔試験例III:Pdの総量とNOx吸蔵性能の検討〕
試験例IIIでは、リーン雰囲気におけるNOx吸蔵性能および、リッチ雰囲気でNOx浄化性能がいずれも優れていた、Pd含有量の比(C/C)=1.5に固定して、下層のPd総量を変化させたときのNOx吸蔵性能を評価した。具体的には、下層フロント部および下層リア部のPd含有量を、表6のように変更したこと以外は、試験例Iの実施例1と同様に、実施例6~8の排ガス浄化用触媒を作製し、リーン雰囲気でCO50%浄化達成時間とNOx吸蔵開始時間を評価した。結果を表6に示す。
Figure 2024055195000007
図7に、下層のPd総量とCO50%浄化時間との関係を示す。図8に、下層のPd総量とNO吸蔵開始時間との関係を示す。表6および、図7、図8に示すように、Pd含有量の比(C/C)=1.5の場合は、下層のPd総量が概ね3を超えたあたり、具体的には2.9を超えたあたりから、ここに開示される技術の効果が小さくなり、頭打ちの状態となった。これは、Pdの使用量が多くなると、下層フロント部に十分な量のPdが含まれるためと考えられる。したがって、下層のPd総量が3.0g/L以下、さらには2.9g/L以下、2.5g/L以下と少ない場合に、ここに開示される技術の効果が特に高いレベルで発揮されることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定
するものではない。請求の範間に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、
変更したものが含まれる。
10、110 基材
12 セル
14 リブ壁
20 触媒層
22、122 下層
22a、122a 下層フロント部
22b、122b 下層リア部
24 中層
26 上層
100 排ガス浄化用触媒

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気経路内に配置され、前記内燃機関から排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒であって、
    基材と、
    前記基材に形成された触媒層と、
    を備え、
    前記触媒層は、前記基材側に位置する下層と、表層部側に位置する上層と、前記下層と前記上層との間に位置する中層と、を備え、
    前記上層は、Rhを含み、
    前記中層は、少なくともPtと、NOx吸蔵材と、を含み、
    前記下層は、前記排気経路内に配置された際に排ガスの流れ方向の上流側に位置する下層フロント部と、排ガスの流れ方向の下流側に位置する下層リア部と、を有し、
    前記下層フロント部および前記下層リア部は、それぞれPdを含み、
    前記下層フロント部における前記Pdの基材1L当たりの含有量(C)が、前記下層リア部における前記Pdの基材1L当たりの含有量(C)よりも大きい、
    排ガス浄化用触媒。
  2. 前記Cに対する前記Cの比(C/C)が、次の式:1.5≦(C/C)≦3.0;を満たす、
    請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記下層の全体に含まれる基材1L当たりの前記Pdの総量が、3.0g/L以下である、
    請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記下層フロント部および前記下層リア部は、それぞれ、酸素吸蔵能を有するOSC材と、酸素吸蔵能を有しない非OSC材と、を含み、
    前記下層フロント部における前記非OSC材の基材1L当たりの含有量が、前記下層リア部における前記非OSC材の基材1L当たりの含有量よりも大きく、かつ、
    前記下層フロント部における前記OSC材の基材1L当たりの含有量が、前記下層リア部における前記OSC材の基材1L当たりの含有量よりも小さい、
    請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記下層フロント部の排ガスの流れ方向のコート長が、前記下層リア部の排ガスの流れ方向のコート長よりも短い、
    請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記下層フロント部の排ガスの流れ方向のコート長が、前記基材の全長の30%以上60%以下であり、
    前記下層リア部の排ガスの流れ方向のコート長が、前記基材の全長の60%以上90%以下である、
    請求項5に記載の排ガス浄化用触媒。
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