JP2024054649A - 光学部材の製造方法および光学部材 - Google Patents

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久博 加藤
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Abstract

【課題】表面荒れおよびフローマークの発生が抑制された光学部材を得ること。【解決手段】スクリュー24を用いて、溶融した樹脂組成物をゲート区間38を介して射出し、キャビティー36内に充填する工程において、以下(条件1)および(条件2)を満たす、光学部材の製造方法。(条件1)下記式(1)により求められる、溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間38の入り口から出口までを通過する際の射出率aに対する、下記式(2)により求められる溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間38の出口を通過した後の射出率bの比b/aが、3以上16以下である。(条件2)上記射出率bが、45cm3/秒以上100cm3/秒以下である。a=σ×va(1)、b=σ×vb(2)σ:シリンダー22内部の断面積va、vb:特定条件のスクリューの前進速度【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材の製造方法および光学部材に関する。
環状オレフィン系共重合体は光学性能に優れるため、例えば、光学レンズ等の光学部材として用いられている。環状オレフィン系共重合体からなる光学部材の製造方法に関する技術としては、例えば、特許文献1~3に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、特定構造の環状オレフィン系重合体からなる環状オレフィン系樹脂を、スクリュー径(d)とシリンダー内径(D)との寸法差(D-d)が0.2mm以上で、スクリューの圧縮比が1.6~2.4であるスクリュー及びシリンダーを用いた成形機により成形することを特徴とする環状オレフィン系樹脂成形体の製造方法が開示されている。当該製造方法によれば、樹脂成形体の黒点発生を抑え、連続運転時における製品歩留まりに優れると記載されている。なお、特許文献1には射出率に関して記載されていない。
特許文献2には、環状ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を、樹脂温度を(Tg+100)℃~400℃(ここで、Tgは該熱可塑性樹脂のガラス転移温度を示す。以下同じ)、金型温度を(Tg-100)℃~(Tg-5)℃、せん断速度を4×10~1×10/秒、該熱可塑性樹脂の成形機中の平均滞留時間を5~200秒として射出成形することを特徴とする光記録媒体の製造方法が開示されている。当該製造方法によれば、シルバーストリークの発生が抑制され、転写性に優れると記載されている。なお、特許文献2には樹脂組成物の射出率を成形機内の場所によって変化させることについて記載されていない。
特許文献3には、シリンダーおよび前記シリンダーに挿入されたスクリューからなる射出ユニットと、光学面を有する光学部材を成形するためのキャビティー、および前記射出ユニットから前記キャビティー内への溶融樹脂組成物の射出口となるゲートを有する金型と、を備える、射出成形装置を用いた光学部材の製造方法であって、前記シリンダー内で、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を溶融する工程と、前記スクリューを用いて、溶融した前記樹脂組成物を前記ゲートを介して射出し、前記キャビティー内に充填する工程と、を含み、前記ゲートを通過する際の前記樹脂組成物の射出率a(cm/秒)に対する、前記キャビティー内の前記樹脂組成物の射出率b(cm/秒)の比b/aが、1.5~6.5である、光学部材の製造方法が開示されている。当該製造方法によれば、光学面の表面荒れが抑制され表面平滑性に優れると記載されている。なお、特許文献3には射出率の具体的な数値範囲は規定されていない。
特開2000-233425号公報 特開2001-121569号公報 特開2022-65314号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載の製造方法においては、得られた樹脂成形品の外観に改善の余地があった。
本発明者らは、検討の結果、射出成型装置内のゲート区間における樹脂組成物の射出率を調整することにより、表面荒れおよびフローマークの発生が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1]
シリンダーおよび前記シリンダーに挿入されたスクリューからなる射出ユニットと、
光学部材を成形するためのキャビティー、および前記射出ユニットから前記キャビティー内への樹脂組成物の射出通路となるゲート区間を有する金型と、
を備える、射出成形装置を用いた光学部材の製造方法であって、
前記シリンダー内で、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を溶融する工程(1)と、
前記スクリューを用いて、溶融した前記樹脂組成物を前記ゲート区間を介して射出し、前記キャビティー内に充填する工程(2)と、を含み、
前記工程(2)において、以下(条件1)および(条件2)を満たす、光学部材の製造方法。
(条件1)下記式(1)により求められる、溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入り口から出口までを通過する際の射出率aに対する、下記式(2)により求められる溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後の射出率bの比b/aが、3以上16以下である。
(条件2)前記射出率bが、45cm/秒以上100cm/秒以下である。
a=σ×v (1)
b=σ×v (2)
σ:前記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
:溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口から出口までを通過する際のスクリューの前進速度
:溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後のスクリューの前進速度
[2]
前記b/aが、7以上16以下である、前記[1]に記載の光学部材の製造方法。
[3]
前記工程(2)において、以下(条件3)および(条件4)をさらに満たす、前記[1]または[2]に記載の光学部材の製造方法。
(条件3)前記射出率aに対する、下記式(3)により求められる溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口を通過する前の射出率xの比x/aが、1以上6以下である。
(条件4)前記射出率xが、6cm/秒以上30cm/秒以下である。
x=σ×v (3)
σ:前記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
:溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口を通過する前のスクリューの前進速度
[4]
前記工程(2)において、下記式(4)により求められる剪断速度γが、300/秒以上である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の光学部材の製造方法。
γ=πDN/h (4)
D:スクリュー直径
N:スクリュー回転数
h:スクリュー溝深さ
[5]
前記金型のキャビティー容量が5cm以上150cm以下である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の光学部材の製造方法。
[6]
前記共重合体が、
下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位、下記一般式(V)で表される繰り返し単位および下記一般式(VI)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、
を有する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の光学部材の製造方法。
Figure 2024054649000002
前記一般式(I)において、R300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
Figure 2024054649000003
前記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000004
前記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000005
前記一般式(IV)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2024054649000006
前記一般式(V)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18の整数である。
Figure 2024054649000007
前記一般式(VI)中、qは1、2または3であり、R32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
[7]
前記共重合体中の前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンおよびベンゾノルボルナジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位を含む、前記[6]に記載の光学部材の製造方法。
[8]
前記共重合体中の前記オレフィン由来の繰り返し単位(a)が、エチレンに由来する繰り返し単位を含む、前記[6]または[7]に記載の光学部材の製造方法。
[9]
前記[1]~[8]のいずれかに記載の光学部材の製造方法により製造される光学部材。
本発明の光学部材の製造方法によれば、表面荒れおよびフローマークの発生が抑制された光学部材を得ることができる。
射出成形装置の金型の概略断面図である。 実施例5で得られたレンズ表面(光学有効面)の光学顕微鏡写真を示す図である。 実施例2で得られたレンズ表面(光学有効面)の光学顕微鏡写真を示す図である。 比較例7で得られたレンズ表面(光学有効面)の光学顕微鏡写真を示す図である。 比較例4で得られたレンズ表面(光学有効面)に発生した表面荒れを示す光学顕微鏡写真を示す図である。
本発明の実施の形態について説明する。
[光学部材の製造方法]
本実施形態にかかる光学部材の製造方法は、
シリンダーおよび前記シリンダーに挿入されたスクリューからなる射出ユニットと、
光学部材を成形するためのキャビティー、および前記射出ユニットから前記キャビティー内への樹脂組成物の射出通路となるゲート区間を有する金型と、
を備える、射出成形装置を用いた光学部材の製造方法であって、
前記シリンダー内でエチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を溶融する工程(1)と、
前記スクリューを用いて、溶融した前記樹脂組成物を前記ゲート区間を介して射出し、前記キャビティー内に充填する工程(2)と、を含み、
前記工程(2)において、以下(条件1)および(条件2)を満たす。
(条件1)下記式(1)により求められる、溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入り口から出口までを通過する際の射出率aに対する、下記式(2)により求められる溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後の射出率bの比b/aが、3以上16以下である。
(条件2)前記射出率bが、45cm/秒以上100cm/秒以下である。
a=σ×v (1)
b=σ×v (2)
σ:前記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
:溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口から出口までを通過する際のスクリューの前進速度
:溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後のスクリューの前進速度
本実施形態にかかる製造方法によると、表面荒れおよびフローマークの発生が抑制された光学部材を得ることができる。
ここで、フローマークとは、射出成形における外観不良の一種であり、樹脂製品の表面に溶融した樹脂が流れた跡が残ってしまう現象のことである。フローマークは、一般的に、射出成型機内での樹脂の流動が滞った場合に起こると言われている。
本発明者らは、射出成型機の中でも、第1金型32と第2金型34との間の幅がもっとも小さな区間、つまり樹脂の流動路がもっとも狭い区間の一つであるゲート区間での樹脂の流動に着目し、上記b/aの値と、上記bの値とを調整することにより、フローマークの発生が抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本実施形態にかかる製造方法に用いる射出成型装置、本実施形態にかかる製造方法の各工程、本実施形態にかかる製造方法に用いる原料等について説明する。
<射出成形装置>
図1に示すように、本実施形態の射出成形装置10は、射出ユニット20と、金型30と、を備える。
射出ユニット20は、シリンダー22と、シリンダー22に挿入されたスクリュー24とからなり、樹脂組成物を投入するホッパー26が接続されている。ホッパー26から投入された樹脂組成物をシリンダー22で加熱溶融し、スクリュー24は溶融した当該樹脂組成物を前方に移送するとともに、ピストン運動によりキャビティー36内に射出することができる。スクリュー24の前進速度により、溶融樹脂の射出率を変化させることができる。
なお、シリンダー22、スクリュー24、ノズルなどの径の好ましい数値範囲は、射出成形装置の仕様や、成形品のサイズによって適宜変化するため特に限定されない。
金型30は、第1金型32と第2金型34とからなり、これらの金型の間には、光学面を有する光学部材を成形するためのキャビティー36を備える。
キャビティー36は、射出ユニット20からキャビティー36内に溶融樹脂を射出するための射出通路となるゲート区間38と連通している。
ゲート区間38は、ランナー40およびスプルー44と連通しており、射出ユニット20から射出された溶融樹脂をキャビティー36内に射出充填することができるように構成されている。
ゲート区間38における樹脂組成物の流動路は、ランナー40およびスプルー44といった他区間における樹脂組成物の流動路と比較して狭い。つまり、ゲート区間38は射出成型装置において樹脂組成物の流動路がもっとも狭い区間のひとつであると言える。
具体的には、ゲート区間38における第1金型32と第2金型34との間の幅、すなわち、図1の方向から見た際のゲート区間38の幅は、ランナー40における第1金型32と第2金型34との間の幅の20%以上99%以下程度である。
また、ゲート区間38における第1金型32(第2金型34)の幅、すなわち、図1の方向に直交する方向(レンズ面を正面から見た方向)から見た際のゲート区間38の幅は、ランナー40における第1金型32(第2金型34)の幅の20%以上99%以下程度である。
なお、本実施形態に係る射出成型装置の各区間における幅とは、各区間において最も幅が大きな地点の幅のことを指す。
本発明者らは、このように樹脂の流動路がもっとも狭い区間の一つであるゲート区間38に着目し、当該区間における樹脂の流動を調整することによりフローマークの発生が抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
ゲート区間38における第1金型32と第2金型34との間の幅は、例えば0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上、更に好ましくは1.0mm以上、更に好ましくは1.2mm以上であり、そして、例えば10mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは2mm以下である。
また、ゲート区間38における第1金型32(第2金型34)の幅は、例えば1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上であり、そして、例えば100mm以下、好ましくは80mm以下、より好ましくは50mm以下、更に好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。
なお、ゲート区間38の断面の形状は任意の形状でよく、例えば円形、楕円形、多角形などであってよい。
ランナー区間40における第1金型32と第2金型34との間の幅は、例えば0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは3.0mm以上、更に好ましくは5.0mm以上であり、そして、例えば50mm以下、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8mm以下である。
また、ランナー区間40第1金型32(第2金型34)の幅は、例えば0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは3.0mm以上、更に好ましくは5.0mm以上であり、そして、例えば50mm以下、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下、さらに好ましくは8mm以下である。
なお、ランナー区間40の断面の形状は任意の形状でよく、例えば円形、楕円形、多角形などであってよい。
キャビティー36は、所望の光学部材を成形するための領域であり、光学部材は断面形状において、片面凸形状-片面凹形状、両面凸形状、両面凹形状、片面平面-片面凹形状、片面平面-片面凸形状、片面平面-片面平面形状などを有する。光学部材は平面視において円形状、楕円形状等であってもよい。
キャビティー36における第1金型32と第2金型34との間の幅aは、例えば2mm以上、好ましくは2.5mm以上であり、そして、例えば15mm以下、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下とすることができる。なお、キャビティー36の断面形状が凸形状や凹形状である場合、第1金型32と第2金型34との距離が最も離れている地点での幅を幅aとする。
第1金型32は、キャビティー36内に、光学部材の光学面を形成するための成形面32aを露出している。成形面32aの形状は、光学部材の光学面の形状に合わせて設定され、断面形状において凸形状、凹形状、または平面形状であってもよく、平面視において円形状、楕円形状等であってもよい。成形面32aの幅(円形状の場合は直径)は図1においてbで示される。
成形面32aの面積は、例えば310mm以上、好ましくは415mm以上、より好ましくは490mm以上であり、そして、例えば2850mm以下、好ましくは2000mm以下とすることができる。成形面32aが平面視において円形状である場合、直径bは、例えば20mm以上、好ましくは23mm以上、より好ましくは25mm以上であり、例えば80mm以下、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下とすることができる。
第2金型34は、キャビティー36内に、光学部材の光学面を形成するための成形面34aを露出している。成形面34aの形状は、光学部材の光学面の形状に合わせて設定され、断面形状において凸形状、凹形状、または平面形状であってもよく、平面視において円形状、楕円形状等であってもよい。成形面34aの幅(円形状の場合は直径)は図1においてcで示される。
成形面34aの面積は、例えば310mm以上、好ましくは415mm以上、より好ましくは490mm以上であり、そして、例えば5030mm以下、好ましくは2850mm以下、より好ましくは2000mm以下とすることができる。成形面34aが平面視において円形状である場合、直径cは、例えば20mm以上、好ましくは23mm以上、より好ましくは25mm以上であり、例えば80mm以下、好ましくは60mm以下、より好ましくは50mm以下とすることができる。
キャビティー36の容量は、好ましくは5cm以上、より好ましくは15cm以上、さら好ましくは25cm以上であり、そして、好ましくは150cm以下、より好ましくは120cm以下、さらに好ましくは100cm以下、さらに好ましくは80cm以下、さらに好ましくは60cm以下、さらに好ましく45cm以下である。キャビティー36の容量の値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
本実施形態においては、第1金型32の成形面32aを構成する部分が摺動可能に構成されており、当該部分が第2金型の方向に移動することでこれらの金型の間に形成された空間を圧縮して、上記キャビティーが形成されるように構成された、射出圧縮成形装置とすることもできる。
<光学部材の製造方法>
本実施形態の光学部材の製造方法は、上述の射出成形装置を用いたものであり、以下の工程を含む。
工程(1):シリンダー22内で、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を溶融する。
工程(2):スクリュー24を用いて、溶融した樹脂組成物をゲート区間38を介して射出し、キャビティー内に充填する。
[工程(1)]
工程(1)においては、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を、ホッパー26を介してシリンダー22内に投入し、シリンダー22内で当該樹脂組成物を加熱し溶融する。さらに、シリンダー22内のスクリュー24を回転させることで当該樹脂組成物を押し出す。
溶融状態の樹脂組成物の温度(シリンダー設定温度)は、樹脂のガラス転移温度(Tg)や融点(Tm)に応じて適宜決定することができるが、例えば「Tg+100℃」以上、好ましくは「Tg+120℃」以上であり、そして、例えば「Tg+180℃」以下、好ましくは「Tg+170℃」以下である。
また、スクリューの回転数は特に限定されないが、例えば10rpm以上であり、そして、例えば300rpm以下であり、当該範囲内で適宜選択される。
(樹脂組成物)
本実施形態における樹脂組成物について説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む。
本実施形態に係る共重合体は、得られる成形体の透明性および屈折率の性能バランスを良好に保ちつつ耐熱性をさらに向上できたり、成形性を向上できたりする観点から、下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位、下記一般式(V)で表される繰り返し単位および下記一般式(VI)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、を有することが好ましい。
例えば、繰り返し単位(a)は、エチレンとプロピレンのように2種類以上を含んでいてもよい。繰り返し単位(b)は、同じ一般式で表わされる繰り返し単位から選択される2種類以上を含んでいてもよく、異なる一般式で表わされる繰り返し単位から選択される2種類以上を含んでいてもよい。
Figure 2024054649000008
上記一般式(I)において、R300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
Figure 2024054649000009
上記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R75~R78は互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000010
上記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000011
上記一般式(IV)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3である。mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R18~R31はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2024054649000012
上記一般式(V)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18の整数である。
Figure 2024054649000013
上記一般式(VI)において、qは1、2または3であり、R32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
一般式(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)で表される繰り返し単位(b)の中でも、一般式(II)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
また、一般式(II)で表される繰り返し単位と、一般式(III)、(IV)、(V)または(VI)で表される繰り返し単位のいずれかを含むことが好ましい。
さらに、一般式(II)、(VI)で表わされる繰り返し単位を有することがより好ましい。
本実施形態に係る共重合体の共重合原料の一つであるオレフィンモノマーは付加共重合して上記一般式(I)で表される構成単位を形成するものである。具体的には上記一般式(I)に対応する下記一般式(Ia)で表されたオレフィンモノマーが用いられる。
Figure 2024054649000014
上記一般式(Ia)において、R300は水素原子または炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン等が挙げられる。より優れた耐熱性、機械的特性および光学特性を有する成形体を得る観点から、これらのなかでも、エチレンおよびプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、エチレンがより好ましい。上記一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマーは2種類以上を用いてもよい。
本実施形態に係る環状オレフィン共重合体を構成する構成単位の全体を100モル%としたとき、オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合が、好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上85モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上80モル%以下である。
なお、オレフィン由来の繰り返し単位(a)の割合は、13C-NMRによって測定することができる。
本実施形態に係る共重合体の共重合原料の一つである環状オレフィンモノマーは、付加共重合して上記一般式(II)、上記一般式(III)、上記一般式(IV)、上記一般式(V)または上記一般式(VI)で表される環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)を形成するものである。具体的には、上記一般式(II)、上記一般式(III)、上記一般式(IV)、上記一般式(V)および上記一般式(VI)にそれぞれ対応する一般式(IIa)、(IIIa)、(IVa)、(Va)および(VIa)で表される環状オレフィンモノマーが用いられる。
Figure 2024054649000015
上記一般式(IIa)において、uは0または1であり、vは0または正の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、wは0または1であり、R61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000016
上記一般式(IIIa)において、xおよびdは0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1であり、yおよびzは0、1または2であり、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
Figure 2024054649000017
上記一般式(IVa)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3である。mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R18~R31はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
Figure 2024054649000018
上記一般式(Va)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18の整数である。
Figure 2024054649000019
上記一般式(VIa)において、qは1、2または3であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基である。
32~R39はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
また、炭素原子数1~20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
共重合成分として、上述した一般式(Ia)で表されるオレフィンモノマー、一般式(IIa)、(IIIa)、(IVa)、(Va)または(VIa)で表される環状オレフィンモノマーを用いることにより、環状オレフィン系重合体の溶媒への溶解性がより向上するため成形性が良好となり、製品の歩留まりが向上する。
一般式(IIa)、(IIIa)または(Va)で表される環状オレフィンモノマーの具体例としては、国際公開第2006/118261号の段落0037~0063に記載のオレフィンモノマーを挙げることができる。
具体的には、ビシクロ-2-ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト-2-エン誘導体)、トリシクロ-3-デセン誘導体、トリシクロ-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ-3-ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ-5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ-6-ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3~20のシクロアルキレン誘導体等が挙げられる。
一般式(IIa)、(IIIa)、(IVa)、(Va)または(VIa)で表される環状オレフィンモノマーの中でも、一般式(IIa)で表される環状オレフィンが好ましい。
また、一般式(IIa)で表される環状オレフィンと、一般式(IIIa)、(IVa)、(Va)または(VIa)で表される環状オレフィンのいずれかを用いることが好ましい。
上記一般式(IIa)で表される環状オレフィンモノマーとして、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン(ノルボルネンとも呼ぶ。)およびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン(テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)からなる群から選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンを用いることがより好ましい。これらの環状オレフィンは剛直な環構造を有するため共重合体および成形体の弾性率が保持され易くなる利点がある。
上記一般式(VIa)で表される環状オレフィンモノマーとして、式(VIa)中のq=1であるモノマーを用いることが好ましい。これらの環状オレフィンは、ベンゼン環を一つ有するため、二つ以上のベンゼン環を有する場合と比べて着色しにくい樹脂組成物が得られやすくなる利点がある。ベンゾノルボルナジエンを用いることが好ましい。ベンゾノルボルナジエンを用いることの利点は、芳香環を有するため、樹脂組成物の屈折率を高くできることである。
上記環状オレフィン由来の繰り返し単位は、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンおよびベンゾノルボルナジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。
本実施形態に係る共重合体を構成する構成単位の全体を100モル%としたとき、環状オレフィンモノマー(b)由来の繰り返し単位(b)の割合が、好ましくは5モル%以上95モル%以下、より好ましくは10モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上60モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上50モル%以下である。
本実施形態に係る共重合体の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、透明性、屈折率および複屈折率等の光学物性に優れ、高精度の光学部材を得ることができる観点から、本実施形態に係る共重合体としてはランダム共重合体を用いることが好ましい。
本実施形態に係る共重合体は、上述の共重合体を1種または2種以上含むことができる。
本実施形態に係る共重合体としては、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体、エチレンとビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテンとのランダム共重合体およびエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとベンゾノルボルナジエンとのランダム共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体およびエチレンとテトラシクロ[[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとベンゾノルボルナジエンとのランダム共重合体からなる群から選択される少なくとも一種がより好ましい。
(その他の成分)
本実施形態における樹脂組成物には、環状オレフィン系共重合体以外に、本実施形態における光学部材の良好な物性を損なわない範囲内で任意成分として公知の添加剤を含有させることができる。
添加剤としては、例えば、親水性安定剤、親水剤、酸化防止剤、二次抗酸化剤、滑剤、離型剤、防曇剤、耐候安定剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
上記の中でも、本実施形態における樹脂組成物は、親水性安定剤を含むことが好ましい。親水性安定剤を含むと、高温高湿条件下における光学性能の劣化が抑制でき、より好ましい。
親水性安定剤は、脂肪酸と多価アルコールとの脂肪酸エステルが好ましい。脂肪酸とエーテル基を1つ以上有する多価アルコールとの脂肪酸エステルがより好ましい。
本実施形態において、樹脂組成物中の共重合体の含有量の下限は、樹脂組成物の全体を100質量%としたとき、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。樹脂組成物中の共重合体の含有量が上記下限値以上であることにより、光学性能をより一層良好にすることができる。
樹脂組成物中の環状オレフィン系共重合体の含有量の上限は特に限定されないが、例えば100質量%以下である。
本実施形態の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは120℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは160℃以下、より好ましくは155℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であると、後述する本実施形態における射出速比やシリンダーの設定温度と組み合わせることにより、金型転写性により優れ、所望の形状を有するとともに光学面の表面荒れをより抑制することができ、さらに成形体を車載カメラレンズや携帯機器用カメラレンズ等の耐熱性が求められる光学部材として使用する際に、十分な耐熱性を得ることができる。
なお、本実施形態においては、樹脂組成物が上記共重合体を2種類以上含む場合や、ガラス転移温度を有するその他の成分を含む場合のように、ガラス転移温度が複数存在する場合には、高い方のガラス転移温度を採用する。
本実施形態の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、例えば、SIIナノテクノロジー社製RDC220を用いて窒素雰囲気下で常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で30℃まで降温した後に5分保持し、次いで10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際にガラス転移温度を測定することができる。
[工程(2)]
工程(2)においては、スクリュー24を用いて、工程(1)で得られた溶融した上記樹脂組成物をゲート区間38を介して射出し、キャビティー36内に充填する。
具体的には、シリンダー22の先端が開くとともにスクリュー24が前進することにより、溶融した上記樹脂組成物が、スプルー44およびランナー40を通過し、ゲート区間38を介して射出される。
本実施形態の製造方法は、工程(2)において、以下(条件1)および(条件2)を満たす。
(条件1)下記式(1)により求められる、溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入り口から出口までを通過する際の射出率aに対する、下記式(2)により求められる溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の出口を通過した後の射出率bの比b/aが、3以上16以下である。
(条件2)上記射出率bが、45cm/秒以上100cm/秒以下である。
a=σ×v (1)
b=σ×v (2)
σ:上記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
:溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入口から出口までを通過する際のスクリューの前進速度
:溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の出口を通過した後のスクリューの前進速度
上記b/aは、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは14以下、さらに好ましくは12以下である。上記b/aの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
上記a(溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入り口から出口までを通過する際の射出率)は、好ましくは1cm/秒以上、より好ましくは3cm/秒以上、さらに好ましくは5cm/秒以上、さらに好ましくは7cm/秒以上であり、そして、好ましくは20cm/秒以下、より好ましくは18cm/秒以下、さらに好ましくは16cm/秒以下である。上記aの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
上記b(溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の出口を通過した後の射出率)は、好ましくは40cm/秒以上、より好ましくは50cm/秒以上、さらに好ましくは60cm/秒以上であり、そして、好ましくは100cm/秒以下、より好ましくは80cm/秒以下、さらに好ましくは70cm/秒以下である。上記bの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
本実施形態の製造方法は、工程(2)において、以下(条件3)および(条件4)を満たすことが好ましい。これにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
(条件3)上記射出率aに対する、下記式(3)により求められる溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入口を通過する前の射出率xの比x/aが、1.0以上6以下である。
(条件4)上記射出率xが、6cm/秒以上30cm/秒以下である。
x=σ×v (3)
σ:上記射出成形機のシリンダー内部の断面積
:溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入口を通過する前のスクリューの前進速度
上記x/aは、好ましくは1以上、より好ましくは1.4以上であり、さらに好ましくは1.8以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。上記x/aの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
上記x(溶融した上記樹脂組成物の先端部が上記ゲート区間の入口を通過する前の射出率)は、好ましくは6cm/秒以上、より好ましくは8cm/秒以上、さらに好ましくは10cm/秒以上であり、さらに好ましくは12cm/秒以上であり、さらに好ましくは14cm/秒以上であり、そして、好ましくは30cm/秒以下、より好ましくは25cm/秒以下、さらに好ましくは20cm/秒以下である。上記xの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
工程(2)においては、下記式(4)により求められる剪断速度γが、好ましくは300/秒以上、より好ましくは500/秒以上、さらに好ましくは1000/秒以上である。剪断速度γの上限に特に制限はないが、例えば5000/秒以下である。剪断速度γの値を上記の通り設定することにより、表面荒れおよびフローマークの発生をより一層抑制することが可能となる。
γ=πDN/h (4)
D:スクリュー直径
N:スクリュー回転数
h:スクリュー溝深さ
なお、工程(2)は、射出圧縮成形装置を用いて行うこともできる。
すなわち、図1において、第1金型32が第2金型34の方向に移動することでこれらの金型の間に形成された空間を圧縮して、キャビティー36が形成されるように構成された射出圧縮成形装置を用いることができる。具体的には、第1金型32の成形面32aを構成する部分が摺動可能に構成されており、当該部分が第2金型34の方向に移動することでこれらの金型の間に形成された空間を圧縮して、キャビティー36が形成されるように構成される。
工程bは、射出圧縮成形装置を用いる場合、スクリュー24を用いて、溶融した樹脂組成物をゲート38を介して空間内に射出するとともに、第1金型32の成形面32aを構成する部分を第2金型34の方向に移動させて、上記空間をキャビティー36形状に圧縮することで溶融樹脂組成物を押圧して、キャビティー36内に溶融樹脂組成物を充填することができる。
上記空間からキャビティー36に圧縮する長さ(圧縮代)は、キャビティー36の大きさにより変化するが、例えば500μm以上、好ましくは1000μm以上、より好ましくは1500μm以上であり、例えば5000μm以下、4000μm以下、より好ましくは3000μm以下とすることができる。
射出率の調整と併せて、圧縮成形による応力を溶融樹脂組成物に印加することにより、金型転写性により優れることとなることから、所望の形状を有するとともに光学面の表面荒れがより抑制された表面が平滑な光学部材を得ることができ、さらに複屈折がより小さい光学部材を得ることができる。
工程bの後、常法に従い、金型内の樹脂を冷却固化させ、次いで金型を開けて樹脂成形品(光学部材)を取り出す。冷却時間は、特に限定されないが、通常1~500秒である。
[光学部材]
本実施形態の製造方法によって得られる樹脂成形体(光学部材)は、円状の有効光学面(直径b)と、その裏面に円状の有効光学面(直径c)を有する。
本実施形態の製造方法は金型転写性に優れており、得られる光学部材の光学面は表面荒れが抑制されている。
本実施形態に係る光学部材は環状オレフィン系共重合体(A)を含むため、光学性能に優れている。そのため像を高精度に識別する必要がある光学系において、光学部材として好適に用いることができる。光学部材とは光学系機器等に使用される部品であり、具体的には、センサーレンズ、ピックアップレンズ、プロジェクタレンズ、プリズム、fθレンズ、撮像レンズ、導光板等が挙げられ、本実施形態に係る効果の観点から、fθレンズ、撮像レンズ、センサー用レンズ、プリズムまたは導光板に好適に用いることができる。
レンズの形状としては、両面が球面の凸レンズ、両面が球面の凹レンズ、片面が球面かつ凸形状でかつ他の面が非球面のレンズ、片面が球面かつ凹形状でかつ他の面が非球面のレンズ、回折レンズ、フレネル型レンズ、ウエハレンズ、ウエハレンズアレイ、ウエハレンズアレイの積層体を挙げることができる。
特に、本実施形態に係る光学部材は、所望の形状を有するとともに光学面の表面荒れが抑制されているため、上記した従来の光学部材としての用途に用いることができるのはもちろん、車載カメラレンズや携帯機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット等)用のカメラレンズ等の光学部材にも用いることができる。車載カメラレンズや携帯機器用カメラレンズとしては、例えば、ビューカメラレンズ、センシングカメラレンズ、ヘッドアップディスプレイの光収束用レンズ、ヘッドアップディスプレイの光拡散用レンズ、また、パソコン用カメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、タブレット端末用カメラ、モバイル装置用カメラ、デジタルカメラ、医療機器用カメラ等の各種光学装置におけるレンズ、等が挙げられる。なお、車載カメラは、可視画像を撮影するものであっても、赤外画像を撮影するものであっても、両方を撮影するものであってもよく、また、可視画像の場合に白黒画像であっても、カラー画像であってもよい。また、上記以外の用途として、自動車内装パネル、自動車ランプレンズ、自動車インナーレンズ、自動車レンズ保護カバー、自動車ライトガイド等が挙げられる。本実施形態に係る光学部材は、特に車載用に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[樹脂組成物の調製]
<触媒の調製>
エチルアルミニウムセスキクロリド(Al(C1.5l1.5)をシクロヘキサンで希釈し、有機アルミニウム化合物触媒溶液を調製した。
<重合>
攪拌式重合器において、上記方法によって調製された有機アルミニウム化合物触媒溶液を触媒として用いてエチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンの共重合反応を行い、共重合体溶液を得た。ここで、エチレンは水素ガスとともに重合器内に供給した。
<脱灰>
得られた共重合体溶液に水および水酸化ナトリウム水溶液を添加し、重合反応を停止させるとともに、共重合体溶液中に存在する触媒残渣を除去(脱灰)した。脱灰した溶液に安定剤としてペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を添加し、攪拌槽で1時間混合した。
<脱溶媒>
安定剤を添加して混合した溶液を180℃に加熱し、溶媒と未反応モノマーを除去することにより、溶融状態の環状オレフィン系共重合体(エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンとのランダム共重合体)を得た。
なお、後述の方法で得られた環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度Tgを評価したところ、155℃であった。
<押出>
得られた環状オレフィン系共重合体100質量部と脂肪酸エステル(リケマールDO-100、理研ビタミン社製)0.9質量部を混錬し、ペレット化し、得られたペレットを温度100℃の熱風で4時間乾燥し、これを樹脂組成物とした。
[ガラス転移温度の測定]
島津サイエンス社製、DSC-6220を用いてN(窒素)雰囲気下にて、得られた樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を測定した。
詳細は下記の通りである。
樹脂組成物を常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で-20℃まで降温した後に5分間保持した。そして10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際の吸熱曲線から樹脂組成物のガラス転移点を得た。
樹脂組成物のガラス転移点は130℃であった。
[光学部材の作製]
<実施例1>
図1に示されるような射出成形装置として、ファナック社製 ROBOSHOT α-S100iBを用いて、得られた樹脂組成物を射出成形し、光学レンズを得た。
用いた射出成形装置の詳細は下記の通りである。
・キャビティー体積:41cm
・ゲート区間38における第1金型32と第2金型34との間の幅(図1の方向から見た際のゲート区間38の幅):1.5mm
・ゲート区間38における第1金型32(第2金型34)の幅(図1の方向に直交する方向から見た際のゲート区間38の幅):10.0mm
・ランナー区間40における第1金型32と第2金型34との間の幅(図1の方向から見た際のランナー区間40の幅):6.0mm
・ランナー区間40における第1金型32(第2金型34)の幅(図1の方向に直交する方向から見た際のランナー区間40の幅):6.0mm
また、射出成形の詳細は下記の通りである。
まず、シリンダー22内の計量完了位置からスクリュー24の前進距離を少しずつ伸ばしていき、スクリュー24の前進距離と、溶融した樹脂組成物の先端の位置の関係を調べた。このとき、保圧により樹脂が注入されることを防ぐために保圧は掛けなかった。
次いで、シリンダー22の温度を260℃、金型30の温度130℃に設定し、スクリュー24の前進距離(樹脂組成物の先端の位置)を確認することによりスクリュー24の前進速度を調整しながら、樹脂組成物を射出成形し、光学レンズを得た。
具体的には、射出率x、aおよびbがそれぞれ下記の通りになるようにスクリュー24の前進速度を調整しながら、樹脂組成物を射出成形した。
溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入口を通過する前の射出率x:16cm/秒
溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入り口から出口までを通過する際の射出率a:5cm/秒
溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の出口を通過した後の射出率b:64cm/秒
なお、射出率は、シリンダー22内部の断面積とスクリュー24の前進速度から、下記の式(1A)により算出された。
射出率=シリンダー22内部の断面積(cm)×スクリュー24の前進速度(cm/秒) (1A)
<実施例2~6、比較例1~9>
「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入口を通過する前の射出率x」、「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入り口から出口までを通過する際の射出率a」および「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の出口を通過した後の射出率b」をそれぞれ表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形品(光学部材)光学レンズを得た。
<比較例10~13>
射出成形装置として、ファナック社製 ROBOSHOT α-S30iAを用いたこと、そして「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入口を通過する前の射出率x」、「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の入り口から出口までを通過する際の射出率a」および「溶融した樹脂組成物の先端部がゲート区間38の出口を通過した後の射出率b」をそれぞれ表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形品(光学部材)光学レンズを得た。
用いた射出成形装置の詳細は下記の通りである。
・キャビティー体積:12cm
・ゲート区間38における第1金型32と第2金型34との間の幅(図1の方向から見た際のゲート区間38の幅):1.5mm
・ゲート区間38における第1金型32(第2金型34)の幅(図1の方向に直交する方向から見た際のゲート区間38の幅):10.0mm
・ランナー区間40における第1金型32と第2金型34との間の幅(図1の方向から見た際のランナー区間40の幅):6.0mm
・ランナー区間40における第1金型32(第2金型34)の幅(図1の方向に直交する方向から見た際のランナー区間40の幅):6.0mm
[表面荒れ]
第1金型32の成形面32aにより成形された光学部材の光学有効面の中央部を倍率100倍の光学顕微鏡で観察し、以下の<基準>で評価した。結果を表1に示す。
<基準>
A:表面荒れが0箇所以上5箇所で発生していた
B:表面荒れ6箇所以上10箇所で発生していた
C:表面荒れ11箇所以上15箇所で発生していた
D:表面荒れ16箇所以上で発生していた
図2には、実施例5で得られた光学部材の光学有効面(表面荒れA)、図3には実施例2で得られた光学部材の光学有効面(表面荒れB)、図4には比較例7で得られた光学部材の光学有効面(表面荒れC)、図5には比較例4で得られた光学部材の光学有効面(表面荒れD)の光学顕微鏡写真をそれぞれ示した。なお、図2~5においては、表面荒れが発生した箇所を囲うようにマーキングした。
[フローマーク]
第1金型32の成形面32aにより成形された光学部材の光学有効面の中央部を目視観察、以下の<基準>で評価した。結果を表1に示す。
以下の基準で評価した。
<基準>
可:フローマークが発生していなかった
不可:フローマークが発生していた
Figure 2024054649000020
実施例の製造方法により製造された光学部材は、表面荒れとフローマークの発生がいずれも抑制されていた。このことから、本実施形態の製造方法によると表面荒れおよびフローマークの発生が抑制された光学部材を製造可能であることがわかる。
10 射出成形装置
20 射出ユニット
22 シリンダー
24 スクリュー
26 ホッパー
30 金型
32 第1金型
32a 成形面
34 第2金型
34a 成形面
36 キャビティー
38 ゲート区間
40 ランナー
44 スプルー

Claims (9)

  1. シリンダーおよび前記シリンダーに挿入されたスクリューからなる射出ユニットと、
    光学部材を成形するためのキャビティー、および前記射出ユニットから前記キャビティー内への樹脂組成物の射出通路となるゲート区間を有する金型と、
    を備える、射出成形装置を用いた光学部材の製造方法であって、
    前記シリンダー内で、エチレンまたはα-オレフィンと環状オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物を溶融する工程(1)と、
    前記スクリューを用いて、溶融した前記樹脂組成物を前記ゲート区間を介して射出し、前記キャビティー内に充填する工程(2)と、を含み、
    前記工程(2)において、以下(条件1)および(条件2)を満たす、光学部材の製造方法。
    (条件1)下記式(1)により求められる、溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入り口から出口までを通過する際の射出率aに対する、下記式(2)により求められる溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後の射出率bの比b/aが、3以上16以下である。
    (条件2)前記射出率bが、45cm/秒以上100cm/秒以下である。
    a=σ×v (1)
    b=σ×v (2)
    σ:前記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
    :溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口から出口までを通過する際のスクリューの前進速度
    :溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の出口を通過した後のスクリューの前進速度
  2. 前記b/aが、7以上16以下である、請求項1に記載の光学部材の製造方法。
  3. 前記工程(2)において、以下(条件3)および(条件4)をさらに満たす、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
    (条件3)前記射出率aに対する、下記式(3)により求められる溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口を通過する前の射出率xの比x/aが、1以上6以下である。
    (条件4)前記射出率xが、6cm/秒以上30cm/秒以下である。
    x=σ×v (3)
    σ:前記射出成形装置のシリンダー内部の断面積
    :溶融した前記樹脂組成物の先端部が前記ゲート区間の入口を通過する前のスクリューの前進速度
  4. 前記工程(2)において、下記式(4)により求められる剪断速度γが、300/秒以上である、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
    γ=πDN/h (4)
    D:スクリュー直径
    N:スクリュー回転数
    h:スクリュー溝深さ
  5. 前記金型のキャビティー容量が5cm以上150cm以下である、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
  6. 前記共重合体が、
    下記一般式(I)で表される少なくとも1種のオレフィン由来の繰り返し単位(a)と、
    下記一般式(II)で表される繰り返し単位、下記一般式(III)で表される繰り返し単位、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位、下記一般式(V)で表される繰り返し単位および下記一般式(VI)で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)と、
    を有する、請求項1または2に記載の光学部材の製造方法。
    Figure 2024054649000021
    前記一般式(I)において、R300は水素原子又は炭素原子数1~29の直鎖状または分岐状の炭化水素基を示す。
    Figure 2024054649000022
    前記一般式(II)において、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61~R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルキル基または炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R75~R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよい。
    Figure 2024054649000023
    前記一般式(III)において、xおよびdは0または1以上の整数であり、yおよびzは0、1または2であり、R81~R99は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~20のアルキル基若しくは炭素原子数3~15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1~3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。
    Figure 2024054649000024
    前記一般式(IV)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18~R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
    Figure 2024054649000025
    前記一般式(V)において、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18の整数である。
    Figure 2024054649000026
    前記一般式(VI)中、qは1、2または3であり、R32~R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。
  7. 前記共重合体中の前記環状オレフィン由来の繰り返し単位(b)が、ビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセンおよびベンゾノルボルナジエンからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し単位を含む、請求項6に記載の光学部材の製造方法。
  8. 前記共重合体中の前記オレフィン由来の繰り返し単位(a)が、エチレンに由来する繰り返し単位を含む、請求項6に記載の光学部材の製造方法。
  9. 請求項1または2に記載の光学部材の製造方法により製造される光学部材。
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