JP2024054502A - 医療用線材、および、ガイドワイヤ - Google Patents

医療用線材、および、ガイドワイヤ Download PDF

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Satohiro Tsuchiyama
拓朗 増村
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Abstract

【課題】復元性に優れた医療用線材およびガイドワイヤの提供を目的とする。【解決手段】ステンレス鋼からなる医療用線材であって、前記線材の横断面の形状は直径がdmmである円であり、前記線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円とによって囲まれる領域で構成される外周部の硬度の平均値が8.0GPa以上である、医療用線材。【選択図】なし

Description

本開示は、医療用線材、および、ガイドワイヤに関する。
心臓を取り巻く冠動脈などの血管に生じた狭窄の治療や、石灰化の進行により血管内が完全に閉塞した部位(例えば、慢性完全閉塞:CTOなど)を治療する際、バルーンカテーテル等の治療器具に先行してこれらを案内するためのガイドワイヤが血管に挿入される。
例えばSUS304により構成されたガイドワイヤが特許文献1に提案されている。特許文献2には、耐疲労性に優れた医療処置具用ワイヤを提供することを目的として、断面における8カ所の特定点のビッカース硬度の平均が670以上770以下である医療処置具用ワイヤが開示されている。
特開2009-172229号公報 特許6596470号
ところで、上記ガイドワイヤでは、ガイドワイヤの操作性と癖づきにくさ(復元性)に相関があることが知られている。しかし、優れた復元性を有するガイドワイヤは提案されていない。
本開示の目的は、復元性に優れた医療用線材およびガイドワイヤを提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示の一形態に係る医療用線材は、ステンレス鋼からなる医療用線材であって、前記線材の横断面の形状は直径がdmmである円であり、前記線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円とによって囲まれる領域で構成される外周部の硬度の平均値が8.0GPa以上である。
前記ステンレス鋼は、Angelの式で与えられる30%のひずみを与えた時に50%の加工誘起マルテンサイトが発生する温度Md30が-50℃以下である安定オーステナイト系ステンレス鋼であってもよい。
前記安定オーステナイト系ステンレス鋼は、ASTM F2581に準拠するステンレス鋼であってもよい。
前記線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、前記線材の横断面全体の硬度の平均値と、前記外周部の硬度の平均値と、の差が0.7GPa以下であってもよい。
前記線材の横断面全体の硬度の平均値が8.9GPa以上であってもよい。
本開示の一形態に係るガイドワイヤは、上記に記載の医療用線材を備える。
本開示は、復元性及び真直性に優れた医療用線材およびガイドワイヤを提供することができる。
本開示の実施形態に係るガイドワイヤの概略断面図を示す。 ナノインデンテーション法で線材の横断面を測定した結果を示す模式図である。 復元性評価に用いる治具の概略図である。 復元性評価の説明図である。 残留角度の測定方法の説明図である。 図2に示した線材の横断面の全ドットのうち、外周部のドットのみを示す図である。 真直性を示す波高さの説明図である。
本発明者等が復元性に優れる医療用線材について鋭意検討したところ、線材横断面の外周部の硬度が特定の範囲であることによって、復元性に優れる医療用線材となることが見出された。すなわち、本開示の医療用線材は、ステンレス鋼からなる医療用線材であって、前記線材の横断面の形状は直径がdmmである円であり、線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円とによって囲まれる領域で構成される外周部の硬度の平均値が8.0GPa以上である。
上記の構成により復元性が改善される理由は定かではないが、線材を屈曲させた時には線材の内側よりも外周部の方が曲げによる歪量が大きくなるため、内部の硬度が高かったとしても、外周部の硬度が低いと歪量が大きい外周部が変形しやすくなってしまうが、外周部の硬度が高いことによって変形し難くなり、復元性が向上するものと推測される。
本開示の医療用線材は、線材の横断面の形状は直径がdmmの円である。円の直径dは限定されないが、0.02~2.00mmであればよく、後述するガイドワイヤに使用する場合は特に、0.10~1.00mmが好ましく、0.20~0.50mmが好ましい。なお、線材の全長で横断面が円である必要はない。例えば、一部の横断面が円であればよく、他の部分の横断面は円でなくてもよい。一部の横断面が円である場合は、横断面が円の部分で上記外周部の硬度の平均値が上記範囲であればよい。
本開示の医療用線材は、線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円によって構成される外周部の硬度の平均値が8.0GPa以上である。復元性および回転操作性をより向上させる観点から、上記外周部の硬度の平均値は、8.4GPa以上であることが好ましく、8.9GPa以上であることがより好ましく、9.0GPa以上であることが更に好ましい。上限値は限定されないが、例えば、脆さの観点から上記横断面全体の硬度の平均値は12.0GPa以下であることが好ましい。上記外周部の硬度の平均値の具体的な算出方法の例を以下に示す。
本明細書中において、ナノインデンテーション法による硬度測定は、ISO 14577「計装化押込み試験」に基づき、最大押込荷重30mN、打点間隔0.01mm以上0.02mm未満の条件にて実施して得られる値である。例えば、打点間隔Xは、[線材の直径(mm)÷(17×n)]が0.01mm以上0.02mm未満となるようにnを設定することで決定することができる。具体的には、直径が0.34mmの線材を測定する場合、ナノインデンテーションによる打点間隔を0.01mmとして、図6に示すような外側2ドット分(0.02mm分)の硬度の平均値を算出することで上記外周部の硬度は求められる。すなわち、この場合の外周部の硬度は、ナノインデンテーションの打点間隔を[線材の直径(mm)÷(17×2)]として測定した場合の外側2ドット分の平均値として求めることができる。
本開示の医療用線材は、復元性及び脆さの観点から、線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、横断面全体の硬度の平均値と、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円によって構成される外周部の硬度の平均値と、の差が0.7GPa以下であることが好ましい。上記の差は、0.6GPa以下が好ましく、0.5GPa以下がより好ましく、0.4GPa以下が更に好ましい。
本開示の医療用線材は、上記横断面全体の硬度の平均値が8.0GPa以上であることが好ましい。復元性をより向上できることから、横断面全体の硬度の平均値は、8.6GPa以上が好ましく、8.9GPa以上がより好ましく、9.4GPa以上が更に好ましい。上限値は限定されないが、例えば、脆さの観点から上記横断面全体の硬度の平均値は12.0GPa以下であることが好ましい。前記横断面全体の硬度の平均値は、外周部の硬度の平均値よりも高いものであってよい。
本開示の医療用線材の残留角度は、12.0°以下であることが好ましく、9.5°以下であることが更に好ましく、7.0°以下であることが特に好ましい。
本開示の医療用線材は、真直性を示す波高さが1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下がより好ましい。上記波高さは、図7に示すように線材が有する1つの波の谷から谷に直線をひき、直線から山の高さを測定することで求めることができる。上記波高さは、線材が複数の波を有している場合、最も大きな波の高さを意味する。
本開示の医療用線材は、引張強度が2800N/mm以上であることが好ましい。復元性をより改善できることから、引張強度は2900N/mm以上であることがより好ましく、3000N/mm以上であることが更に好ましく、3100N/mm以上であることが特に好ましい。線材の引張強度の上限については、特に限定されないが、通常3500N/mm以下である。線材の引張強度の測定については、通常の金属線材の引張試験(例えば、JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」に準じた引張試験)により測定可能である。
本開示の医療用線材は、Angelの式で与えられる30%のひずみを与えた時に50%の加工誘起マルテンサイトが発生する温度Md30が-50℃以下である安定オーステナイト系ステンレス鋼の鋼材(母材)に対して伸線加工を施した後、特定の直線加工を組み合わせることで製造することができる。一般に、直線加工としては、ロータリーストレイトナー、ワイヤーストレイトナー、ストレッチャー等の塑性変形により直線化させる加工方法、テンションアニーリングのような熱を加えることにより直線化させる加工方法が挙げられるが、本発明者等が鋭意検討した結果、上記安定オーステナイト系ステンレス鋼は、塑性変形による直線化ののちに、加熱によって直線化させることによって、外周部の硬度が高くすることができ、これにより復元性に優れる医療用線材とできることが見出された。上記の工程を経ることによって、横断面の平均硬度と外周部の硬度との差も小さくできること、また、真直性も良好な線材が得られることが見出された。
例えば、上記安定オーステナイト系ステンレス鋼を用いた場合であっても、後述する比較例1のように塑性変形による直線化のみでは復元性が劣る。塑性変形による直線化ののちに、熱によるテンションアニールを行うことで、後述する実施例1~5のように復元性を両立できることがわかった。また、材料については、SUS304のような加工誘起マルテンサイト変態が発生してしまう準安定オーステナイト系ステンレス鋼では、後述する比較例2のように塑性変形による直線化ののちにテンションアニール処理を実施したとしても優れた復元性は得られていないことが分かった。
このように、本発明の医療用線材は、特定の材料を用い、特定の加工を施すことによって初めて得られたものである。
本開示の医療用線材は、ステンレス鋼、好ましくは、下記Angelの式で与えられる30%のひずみを与えた時に50%の加工誘起マルテンサイトが発生する温度Md30が-50℃以下である安定オーステナイト系ステンレス鋼により構成されている。
Md30=551-462×(C+N)-9.2×Si-8.1×Mn-13.7×Cr-×9.5Ni-18.5×Mo・・・Angelの式
ここで、C、N、Si、Mn、Cr、Ni、Cu、Moは各元素量(mass%)である。材料のMd30の値が小さいほどオーステナイトは安定といえる。
上記ステンレス鋼は、固溶強化及びひずみ時効の効果が増すことから、窒素(N)含有量が0.1質量%以上である高窒素オーステナイト系ステンレス鋼であることが特に好ましい。上記窒素含有量は、0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が更に好ましい。上記窒素含有量は、耐折損性を優れたものにできることから、1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
上記ステンレス鋼としては、例えば、ASTM F2581(C:0.15~0.25質量%、Mn:9.50~12.50質量%、P:0.020質量%Max、S:0.010質量%Max、Si:0.20~0.60質量%、Cr:16.5~18.0質量%、Ni:0.05質量%Max、Mo:2.70~3.70質量%、N:0 .45~0.55質量%、Cu:0.25質量%Max、Fe:Bal.)、ASTM F138、F1314,F1586、F2229に準拠するステンレス鋼が挙げられ、特に優れた復元性を有する線材が得られることからASTM F2581に準拠するステンレス鋼が好ましい。
伸線加工は、鋼材の線径を連続して縮小できるものであれば特に限定されるものではなく、ダイスによる加工であってもロールによる加工であってもよい。加工における線材の減面率は、例えば、80~97%であることが好ましい。ここで、減面率は(1-r1/r0)×100で定義される。r0は母材(加工前の線材)の半径であり、r1は伸線材(加工後の線材)の半径である。
塑性変形により直線化させる直線加工としては、線材を直線に矯正できるものであれば特に限定されるものではなく、ローラーレベラー、ワイヤーストレーナー、テンションレベラ-、ストレッチャー等が挙げられ、これらを単独でまたは組合せて実施してもよい。塑性変形により直線化させる直線加工は、常温若しくは金属に大きな影響を与えない程度の温度で実施すればよく、例えば、0℃~100℃の温度で実施することが好ましい。
テンションアニール処理は、線材に張力(引張)を加えながら、線材を加熱して実施される。張力は引張強度の10~40%、加熱温度は300~700℃が好ましい。また、張力は、20~30%がより好ましく、加熱温度は500~650℃がより好ましい。
以下、本開示のガイドワイヤの一実施形態について図面を参照して説明するが、本開示は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。
図1は、本開示の一実施形態に係るガイドワイヤ1の概略断面図である。
図1に示すように、ガイドワイヤ1は、コアシャフト10と、コイル体20と、先端接合部30と、基端固着部40とを備える。
コアシャフト10は、基端から先端側に向って先細りとなる丸棒形状である。基端側の端部において、ユーザによるガイドワイヤ1の回転操作等が行われる。
コイル体20は、一本の金属素線21をコアシャフト10の周りに螺旋状に巻回することにより中空円筒形状に形成されている。コイル体20の材料としては、金、白金、タングステン、タンタル、またはこれらの元素を含む合金などのX線不透過材、またはステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金等を使用することも可能である。
先端接合部30は、ガイドワイヤ1の先端を構成し、略半球形状をなしている。先端接合部30の材料としては、銀、金、またはこれらの金属を含む合金、鉛フリーはんだ、ロウ材や接着剤などを使用している。鉛フリーはんだやロウ材の例として、Sn-Ag系合金、Sn-Ag-Cu系合金、Au-Sn系合金、Au-Ge系等の鉛フリーはんだ、銀ロウや金ロウなどが使用可能である。
基端接合部40は、コイル体20の基端をコアシャフト10に固着している。基端接合部40の材料としては、銀、金、またはこれらの金属を含む合金、鉛フリーはんだ、ロウ材または接着剤などを使用している。鉛フリーはんだやロウ材の例として、Sn-Ag系合金、Sn-Ag-Cu系合金、Au-Sn系合金、Au-Ge系等の鉛フリーはんだ、銀ロウや金ロウなどが使用可能である。
コアシャフト10は、上述した本開示の医療用線材を切断し、この線材の端部に、先端に向けて徐々に外径が細くなるようなテーパ加工を施すことにより得られる。本開示の医療用線材を用いることで、復元性に優れたガイドワイヤを得ることができる。
次に、本開示の線材の硬さ測定、引張強さ測定、復元性評価について説明する。評価に用いた線材について表1、表2に示す。表1は、実施例1~5、比較例1~2で用いた、伸線材の組成、線径、引張強度、および真直度を示している。
Figure 2024054502000001
表1に示した実施例1~5および比較例1で用いた伸線材1は、ASTM F2581に準拠するステンレス鋼による線材である。比較例2で用いた伸線材2は、SUS304のステンレス鋼による線材である。
実施例1
伸線材1に対し、室温(25℃)で塑性加工を実施した後、線材の両端を把持し、張力60Nをかけた状態で、500~650℃に加熱する条件でテンションアニールを行って医療用線材を得た。
実施例2
加熱温度を450~600℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして医療用線材を得た。
実施例3
加熱温度を400~550℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして医療用線材を得た。
実施例4
加熱温度を550~700℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして医療用線材を得た。
実施例5
室温(25℃)での塑性加工の条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして医療用線材を得た。
比較例1
テンションアニールを実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして医療用線材を得た。
比較例2
伸線材2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして医療用線材を得た。
実施例1~5及び比較例1~2で得られた線材について、硬度および引張強度を測定し、復元性評価を行った。
<硬度測定>
実施例1~5および比較例1~2の線材を樹脂に埋め込み、線材の横断面が測定軸(インデンター軸)に対して垂直になるように研磨し、研磨した横断面に対し、ナノインデンテーション法(ISO 14577「計装化押込み試験」)に基づき、KLA社製ナノインデンター(iMicro)により、ダイヤモンド製のBerkovich圧子を用い、最大押込荷重30mN、打点間隔0.01mmの条件にて、ナノインデンテーション硬さの測定を行った。
図2は、ナノインデンテーション法で線材の横断面を測定した結果を示す模式図である。図2(a)の横断面は、実施例1の線材の測定結果であり、図2(b)の横断面は、比較例2の線材の測定結果である。各横断面の各ドットは、0.01mm四方の正方形であり、測定箇所に対応する。また、各ドットは、測定された硬度が硬くなるほど色が薄くなるように色分けされており、実施例1の線材の方が全体的に硬いことが分かる。
なお、埋め込みに使用した樹脂の影響を除外するため、硬度が7.0GPaよりも小さい測定点は除外した。
<引張試験>
実施例1~5および比較例1~2の線材の引張強度の測定については、金属線材の引張試験(JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」に準じた引張試験)により測定を行った。
<復元性評価>
実施例1~5および比較例1~2の線材を、図3に示す治具2の溝3に挿通させた後の各線材の残留角度を測定した。
図3は、復元性評価に用いる治具2の概略図である。
第1治具2は、樹脂製(例えば透明のアクリル板)であり、溝3を有する第1プレート2Aと、溝3を覆うための第2プレート2Bとにより構成されている。第1プレート2Aの溝3は、第1プレート2Aに設けられた凸部により形成されている。溝3は、一対の直線部3aと、半円弧部3bとを有する。溝3の幅は、1.0mmであり、溝3の深さは、1.0mmである。直線部3aの長さは、10mmであり、半円弧部3bの半径Rは10.0mmである。第2プレート2Bは、第1プレート2Aの凸部に当接して溝3を覆っている。第2プレート2Bは、4本のボルト4により第1プレート2Aに固定されている。
図4は、復元性評価の説明図である。
ボルト4(図3)を緩めた状態において、所定の長さ(例えば、100mm)にカットした線材Xを、図4(a)に示すように、溝3に挿入し、ボルト4を締める。図4(b)に示すように、線材Xの一方の端部を第1治具2の溝3の開口のぎりぎりまで押し込む。図4(c)に示すように、線材Xの他方の端部を第1治具2の溝3の開口のぎりぎりまで押し込む。図4(d)に示すように、線材Xの一方の端部を押し込み、線材Xの中央を溝3の中央まで移動させ、ボルト4を緩めて、線材Xを取り出す。これにより、線材X全体に対し歪(約1.7)を付与する。歪量(%)は、(R/(L-R))×100により算出される。ここで、Rは、線材Xの線径であり、Lは、線材Xが挿入される溝3の半円弧部3bの直径である。
図5に示すように、線材Xの両端から接線を引き、2つの接線が交差する角度(残留角度θ)を測定する。
硬度測定、引張試験、および復元性評価(残留角度)の結果を表3に示す。
Figure 2024054502000002
Ave(全体)は、測定した横断面の全ドットの硬度の平均値である。Ave(外周部)は、測定した横断面の全ドットのうち外周部のドット(図6)の硬度の平均値である。図6は、図2に示した線材の横断面の全ドットのうち、外周部C3のドットのみを示す図である。
実施例1~5の線材のように、安定オーステナイト系ステンレス鋼からなる伸線材に対し、塑性変形による直線加工を行った後、テンションアニール処理を施すことによって、横断面外周部の平均硬度が高くなり、これにより、残留角度が小さい線材とすることができる。また、線材の横断面全体の平均硬度が高くなり、線材の横断面全体の平均硬度と線材の横断面の外周部の平均硬度との硬度差が小さくなる。
一方、比較例1の線材は、伸線材に対しテンションアニール処理を施していないため、線材の横断面全体の平均硬度が低く、残留角度が大きい。比較例2の線材は、SUS304からなる伸線材に対し、塑性加工及びテンションアニール処理を施すことによって、線材の横断面全体の平均硬度は実施例5と同等であるが、外周部の硬度が低いため残留角度が大きい。
なお、本開示は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記実施形態では、医療用線材は、ガイドワイヤ1のコアシャフト10であったが、コイル体20を構成する素線、あるいは他の医療用器具に用いられる線材、例えばカテーテルを補強するために用いられる補強体(例えば、筒状の網組体、コイル体)を構成する素線であってもよい。上記実施形態の医療用線材を用いて、コイル体20あるいはカテーテルの補強体を構成することにより、コイル体20や補強体を湾曲させた後の復元性を向上させることができる。また当該線材を使用して製造されるコイルや中空体で構成される医療用部材についても、複雑に入り組んだ血管で回転操作をする場合には、上記同様、優れた回転追従性を発揮することが可能となる。
1 ガイドワイヤ
10 コアシャフト
20 コイル体

Claims (6)

  1. ステンレス鋼からなる医療用線材であって、
    前記線材の横断面の形状は直径がdmmの円であり、
    前記線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、外周縁と外周縁からの距離がd/17mmである円とによって囲まれる領域で構成される外周部の硬度の平均値が8.0GPa以上である、医療用線材。
  2. 前記ステンレス鋼は、Angelの式で与えられる30%のひずみを与えた時に50%の加工誘起マルテンサイトが発生する温度Md30が-50℃以下である安定オーステナイト系ステンレス鋼である、請求項1に記載の医療用線材。
  3. 前記安定オーステナイト系ステンレス鋼は、ASTM F2581に準拠するステンレス鋼である、請求項2に記載の医療用線材。
  4. 前記線材の横断面をナノインデンテーション法により硬度を測定した時に、前記線材の横断面全体の硬度の平均値と、前記外周部の硬度の平均値と、の差が0.7GPa以下である、請求項1から請求項3のいずれかに記載の医療用線材。
  5. 前記線材の横断面全体の硬度の平均値が8.9GPa以上である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の医療用線材。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の医療用線材を備えるガイドワイヤ。

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