JP2024052957A - ゴム改質用マスターバッチ、及び水添共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

ゴム改質用マスターバッチ、及び水添共役ジエン系重合体組成物 Download PDF

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真一 元房
亮介 小澤
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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーがゴム中に良好に分散し、優れた耐オゾン性と機械的特性とを硬化後に有するゴム組成物を与える、ゴム成分とセルロースナノファイバーとを含むゴム改質用マスターバッチ、及び、それを用いたゴム組成物を提供する。【解決手段】一態様において、水添共役ジエン系重合体と、セルロースナノファイバーとを含む、水添共役ジエン系重合体組成物が提供される。一態様において、水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である。一態様において、水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含む第1のゴム成分100質量部と、セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下と、を含む、ゴム改質用マスターバッチが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバーを含むゴム改質用マスターバッチ及びゴム組成物に関する。
従来、ゴム組成物の弾性率、硬度、機械強度、耐摩耗性などの特性を向上させる目的で、ゴム組成物中にカーボンブラック及びシリカ等の補強性充填剤を配合することが一般的に行われている。
近年、石油資源の代替及び環境問題への意識の高まりから、低比重で且つ天然素材であるセルロース系繊維の利用が種々提案されている。
セルロースナノファイバーを充填剤としてゴム組成物に配合することで、ゴム組成
物を補強し、硬度及び引張モジュラスを向上できることが知られている(例えば、特許文献1,特許文献2)。
このように、セルロースナノファイバーは、ゴムの補強性充填剤として機能して、高強度、軽量及び薄肉のゴム成形体を提供できることから、カーボンブラック及びシリカに代わる補強性充填剤として注目されている。
例えば特許文献3には、引張特性及び燃費を改善できるタイヤ用ゴム組成物等を提供することを目的として、スチレン・ブタジエン共重合体とセルロースナノファイバーとのマスターバッチ組成物が記載されている。
また特許文献4には、シリカ配合物ではあるが、スチレン・ブタジエン共重合体のブタジエン由来の二重結合を水素添加することで、高強度かつ耐摩耗性に優れたゴム組成物が提案されている。
特開2017-2148号公報 特開2021-191841号公報 特開2020-41076号公報 国際公開第2019/151127号
しかしながら、従来提案されている、ゴムとセルロースナノファイバーとを含むゴム組成物は、セルロースナノファイバーの分散性及び機械強度に劣る傾向にある、という問題点を有している。また、従来提案されている水添共役ジエン系重合体組成物でも、ゴム成形体を薄肉化できる程の高い機械強度を発現していない。更に、従来のジエン系重合体組成物は、各種部材に用いた時にオゾン耐性に劣るという問題点も有している。
本発明は上記の課題を解決し、セルロースナノファイバーがゴム中に良好に分散し、優れた耐オゾン性と機械的特性とを硬化後に有するゴム組成物を与える、ゴムとセルロースナノファイバーとを含むゴム改質用マスターバッチ、及び、それを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の項目を包含する。
[項目1]
水添共役ジエン系重合体と、セルロースナノファイバーとを含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目2]
前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、項目1に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目3]
水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含む第1のゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下と、
を含む、ゴム改質用マスターバッチ。
[項目4]
前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、項目3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目5]
前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、項目3又は4に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目6]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目3~5のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目7]
前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含む、項目3~6のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目8]
前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
の関係を満たす、項目7に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目9]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目3~8のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目10]
前記ゴム改質用マスターバッチが、界面活性剤を更に含む、項目3~9のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目11]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目10に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目12]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目11に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目13]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目11又は12に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目14]
前記ゴム改質用マスターバッチが、液状ゴムを更に含む、項目10~13のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目15]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目16]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目14又は15に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目17]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目14~16のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目18]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目14~17のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目19]
前記第1のゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを10質量部以上200質量部以下含む、項目18に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目20]
項目3~19のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分とを含む混練物である、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目21]
前記第2のゴム成分が天然ゴムを含む、項目20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目22]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対してセルロースナノファイバーを1質量部以上15質量部以下含む、項目20又は21に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目23]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目20~22のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目24]
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目20~23のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目25]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目24に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目26]
項目20~25のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目27]
項目21に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物であって、
前記水添共役ジエン系重合体及び前記セルロースナノファイバーが、前記天然ゴムを含む連続相中に分散している、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目28]
前記水添共役ジエン系重合体が、メディアン径50nm以上1000nm以下の粒子として前記連続相中に分散している、項目27に記載の水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目29]
水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目30]
水添共役ジエン系重合体を5質量%以上及び天然ゴムを含むゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目31]
前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、項目29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目32]
前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、項目29~31のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目33]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目29~32のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目34]
前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含む、項目29~33のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目35]
前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
の関係を満たす、項目34に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目36]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目29~35のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目37]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、界面活性剤を更に含む、項目29~36のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目38]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目37に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目39]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目38に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目40]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目38又は39に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目41]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、液状ゴムを更に含む、項目37~40のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目42]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目43]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目41又は42に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目44]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目41~43のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目45]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目41~44のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目46]
前記ゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目45に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目47]
前記ゴム成分100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目29~46のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目48]
項目29~47のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目49]
項目30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物であって、
前記水添共役ジエン系重合体及び前記セルロースナノファイバーが、前記天然ゴムを含む連続相中に分散している、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目50]
前記水添共役ジエン系重合体が、メディアン径50nm以上1000nm以下の粒子として前記連続相中に分散している、項目49に記載の水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目51]
項目10~13のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目52]
項目14~19のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目53]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目51又は52に記載の方法。
[項目54]
項目37~40のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目55]
項目41~46のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目56]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目54に記載の方法。
[項目57]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目55に記載の方法。
[項目58]
前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含み、
前記第2のゴムが、天然ゴムを含む、項目54に記載の方法。
[項目59]
前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
の関係を満たす、項目58に記載の方法。
本発明の一態様によれば、セルロースナノファイバーがゴム中に良好に分散し、優れた耐オゾン性と機械的特性とを硬化後に有するゴム組成物を与える、ゴムとセルロースナノファイバーとを含むゴム改質用マスターバッチ、及び、それを用いたゴム組成物を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
本発明の一態様は、水添共役ジエン系重合体とセルロースナノファイバーとを含む水添共役ジエン系重合体組成物(本開示で、ゴム組成物ともいう。)を提供する。
本開示において、水添共役ジエン系重合体は、一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である重合体である。
本発明の一態様は、水添共役ジエン系重合体とセルロースナノファイバーとを含むゴム改質用マスターバッチを提供する。
本発明の一態様は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体とセルロースナノファイバーとを含むゴム改質用マスターバッチを提供する。
一態様において、ゴム改質用マスターバッチは、水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分(本開示で、第1のゴム成分ともいう。)100質量部と、セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下とを含む。
一態様において、ゴム改質用マスターバッチは天然ゴム改質用マスターバッチである。
一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、本実施形態のゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分とを含む混合物、より具体的には混練物である。
一態様において、第2のゴム成分は天然ゴムを含む。
一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分(一態様において、第1のゴム成分と第2のゴム成分との合計)100質量部と、セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下とを含む。
一態様において、ゴム成分は天然ゴムを含む。
一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分(一態様において、第1のゴム成分と第2のゴム成分との合計)100質量部と、セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下とを含む。
一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、水添共役ジエン系重合体5質量%以上及び天然ゴムを含む、ゴム成分(一態様において、第1のゴム成分と第2のゴム成分との合計)100質量部と、セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下とを含む。
本実施形態のゴム組成物、特に、ゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分とを混練りして得られるゴム組成物においては、ゴム組成物中にセルロースナノファイバーが良好に分散することでその補強効果が良好に発現される。本実施形態のゴム組成物の硬化物であるゴム成形体は、水添共役ジエン系重合体の寄与により耐オゾン性、引張モジュラス及び弾性率が高い。すなわち、本実施形態のゴム組成物を硬化させることで、高強度、高弾性率、及び高耐摩耗性の硬化物を得ることができる。
以下、本実施形態のゴム改質用マスターバッチ及び水添共役ジエン系重合体組成物の各成分について詳細に説明する。ゴム組成物の製造においてゴム改質用マスターバッチと組合される第2のゴム成分は、ゴム改質用マスターバッチ中の第1のゴム成分と同じ又は異なる材料であってよい。
<セルロースナノファイバー>
セルロースナノファイバーの原料としては、天然セルロース及び再生セルロースを用いることができる。天然セルロースとしては、木材種(広葉樹又は針葉樹)から得られる木材パルプ、非木材種(綿、竹、麻、バガス、ケナフ、コットンリンター、サイザル、ワラ等)から得られる非木材パルプ、動物(例えばホヤ類)、藻類又は微生物(例えば酢酸菌)が産生するセルロース集合体、等を使用できる。再生セルロースとしては、再生セルロース繊維(ビスコース、キュプラ、テンセル等)、セルロース誘導体繊維、エレクトロスピニング法により得られた再生セルロース又はセルロース誘導体の極細糸等を使用できる。
セルロースナノファイバーは、パルプ等のセルロース原料を100℃以上の熱水等で処理し、ヘミセルロースを加水分解して脆弱化したのち、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル、ミキサー(例えばホモミキサー)等の粉砕法により機械的に解繊した微細なセルロース繊維を指す。一態様において、セルロースナノファイバーは数平均繊維径1nm以上1000nm以下である。セルロースナノファイバーは後述のように化学修飾されたものであってもよいが、フィラーとしての補強効果の点では、化学修飾されていないものが好ましい。例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)リン酸エステル等を用いた化学的な酸化処理を行って解繊されたセルロースナノファイバーは、セルロースナノファイバーに導入されたイオン性基(例えばカルボキシ基)によって耐熱性が低くなる傾向があり、また解繊後の繊維径が小さくなる傾向がある。フィラーとしての補強効果の点では、解繊が機械的な解繊のみである(すなわち、酸化等の化学的な解繊処理がされていない)セルロースナノファイバーがより有利である。したがって、好ましい一態様において、セルロースナノファイバーは、イオン性基を有さない。なお本開示で、セルロースナノファイバーがイオン性基を有さないとは、電導度滴定法で測定されるイオン性基量が0.1mmol/g以下であることを意味する。
セルロース繊維を液体媒体中に分散させることによってスラリーを調製できる。スラリー中のセルロース繊維の分散は、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル、ミキサー(例えばホモミキサー)等を用いて行ってよく、例えば上記解繊の生成物を本開示のスラリー調製工程の生成物として得てもよい。スラリー中の液体媒体は、水、及び任意に、1種単独又は2種以上の組合せで水以外の液体媒体(例えば有機溶媒)を更に含み得る。有機溶媒としては、一般的に用いられる水混和性有機溶媒、例えば:沸点が50℃~170℃のアルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール等);エーテル(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等);カルボン酸(例えばギ酸、酢酸、乳酸等);エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ビニル等);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等);含窒素溶媒(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等)、等を使用できる。典型的な態様においては、スラリー中の液体媒体は実質的に水のみである。
セルロース原料は、アルカリ可溶分、及び硫酸不溶成分(リグニン等)を含有するため、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程、及び漂白工程を経て、アルカリ可溶分及び硫酸不溶成分を減らしても良い。他方、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程、及び漂白工程は、セルロースの分子鎖を切断し、重量平均分子量、及び数平均分子量を変化させてしまうため、セルロース原料の精製工程及び漂白工程は、セルロースナノファイバーの重量平均分子量、及び重量平均分子量と数平均分子量との比が適切な範囲となるようにコントロールされていることが望ましい。
また、蒸解処理による脱リグニン等の精製工程、及び漂白工程は、セルロース分子の分子量を低下させるため、これらの工程によって、セルロースナノファイバーが低分子量化すること、及びセルロース原料が変質してアルカリ可溶分の存在比率が増加することが懸念される。アルカリ可溶分は耐熱性に劣るため、セルロース原料の精製工程及び漂白工程は、セルロース原料に含有されるアルカリ可溶分の量が一定の値以下の範囲となるようにコントロールされていることが望ましい。
一態様において、セルロースナノファイバーの数平均繊維径は、1~1000nmであり、セルロースナノファイバーによる物性向上効果を良好に得る観点から、好ましくは2~1000nmである。セルロースナノファイバーの数平均繊維径は、より好ましくは4nm以上、又は5nm以上、又は10nm以上、又は15nm以上、又は20nm以上であり、より好ましくは500nm以下、又は450nm以下、又は400nm以下、又は350nm以下、又は300nm以下、又は250nm以下である。
セルロースナノファイバーの繊維長(L)/繊維径(D)比は、セルロースナノファイバーを含むゴム組成物の機械的特性を少量のセルロースナノファイバーで良好に向上させる観点から、好ましくは、30以上、又は50以上、又は80以上、又は100以上、又は120以上、又は150以上である。上限は特に限定されないが、取扱い性の観点から好ましくは5000以下である。
本開示で、セルロースナノファイバーの繊維長、繊維径、及びL/D比は、セルロースナノファイバーの水分散液を、高剪断ホモジナイザー(例えば日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED-7」)を用い、処理条件:回転数15,000rpm×5分間で分散させた水分散体を、0.1~0.5質量%まで純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとし、走査型電子顕微鏡(SEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)で計測して求める。具体的には、少なくとも100本のセルロースナノファイバーが観測されるように倍率が調整された観察視野にて、無作為に選んだ100本のセルロースナノファイバーの長さ(L)及び径(D)を計測し、比(L/D)を算出する。セルロースナノファイバーについて、繊維長(L)の数平均値、繊維径(D)の数平均値、及び比(L/D)の数平均値を算出する。
又は、ゴム組成物中のセルロースナノファイバーの繊維長、繊維径、及びL/D比は、これらを測定サンプルとして、上述の測定方法により測定することで確認することができる。
又は、ゴム改質用マスターバッチ、ゴム組成物等に含まれるセルロースナノファイバーの繊維長、繊維径、及びL/D比は、これらに含まれるポリマー成分を溶解できる有機又は無機の溶媒に当該ポリマー成分を溶解させ、セルロースナノファイバーを分離し、前記溶媒で充分に洗浄した後、溶媒を純水に置換した水分散液を調製し、セルロースナノファイバー濃度を、0.1~0.5質量%まで純水で希釈し、マイカ上にキャストし、風乾したものを測定サンプルとして上述の測定方法により測定することで確認することができる。この際、測定するセルロースナノファイバーは無作為に選んだ100本以上での測定を行う。
セルロースナノファイバーの結晶化度は、好ましくは55%以上である。結晶化度がこの範囲にあると、セルロース自体の力学物性(強度、寸法安定性)が高いため、セルロースナノファイバーをゴムに分散した際に、ゴム組成物の強度、寸法安定性が高い傾向にある。より好ましい結晶化度の下限は、60%であり、さらにより好ましくは70%であり、最も好ましくは80%である。セルロースナノファイバーの結晶化度について上限は特に限定されず、高い方が好ましいが、生産上の観点から好ましい上限は99%である。
植物由来のセルロースナノファイバーのミクロフィブリル同士の間、及びミクロフィブリル束同士の間には、ヘミセルロース等のアルカリ可溶多糖類、及びリグニン等の酸不溶成分が存在する。ヘミセルロースはマンナン、キシラン等の糖で構成される多糖類であり、セルロースと水素結合して、ミクロフィブリル間を結びつける役割を果たしている。またリグニンは芳香環を有する化合物であり、植物の細胞壁中ではヘミセルロースと共有結合していることが知られている。セルロースナノファイバー中のリグニン等の不純物の残存量が多いと、加工時の熱により変色をきたすことがあるため、押出加工時及び成形加工時のゴム組成物の変色を抑制する観点からも、セルロースナノファイバーの結晶化度は上述の範囲内にすることが望ましい。
ここでいう結晶化度は、セルロースがセルロースI型結晶(天然セルロース由来)である場合には、サンプルを広角X線回折により測定した際の回折パターン(2θ/deg.が10~30)からSegal法により、以下の式で求められる。
結晶化度(%)=([2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]-[2θ/deg.=18の非晶質に起因する回折強度])/[2θ/deg.=22.5の(200)面に起因する回折強度]×100
また結晶化度は、セルロースがセルロースII型結晶(再生セルロース由来)である場合には、広角X線回折において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6°における絶対ピーク強度h0 とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1 とから、下記式によって求められる。
結晶化度(%) =h1 /h0 ×100
セルロースの結晶形としては、I型、II型、III型、IV型などが知られており、その中でも特にI型及びII型は汎用されており、III型、IV型は実験室スケールでは得られているものの工業スケールでは汎用されていない。本開示のセルロースナノファイバーとしては、構造上の可動性が比較的高く、当該セルロースナノファイバーをゴムに分散させることにより、線膨張係数がより低く、引っ張り、曲げ変形時の強度及び伸びがより優れた成形体が得られることから、セルロースI型結晶又はセルロースII型結晶を含有するセルロースナノファイバーが好ましく、セルロースI型結晶を含有し、かつ結晶化度が55%以上のセルロースナノファイバーがより好ましい。
また、セルロースナノファイバーの重合度は、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、より好ましくは200以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上、より好ましくは450以上であり、好ましくは3500以下、より好ましく3300以下、より好ましくは3200以下、より好ましくは3100以下、より好ましくは3000以下である。
加工性と機械的特性発現との観点から、セルロースナノファイバーの重合度を上述の範囲内とすることが望ましい。加工性の観点から、重合度は高すぎない方が好ましく、機械的特性発現の観点からは低すぎないことが望まれる。
セルロースナノファイバーの重合度は、「第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)」の確認試験(3)に記載の銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従って測定される平均重合度を意味する。
一態様において、セルロースナノファイバーの重量平均分子量(Mw)は100000以上であり、より好ましくは200000以上である。重量平均分子量と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は6以下であり、好ましくは5.4以下である。重量平均分子量が大きいほどセルロース分子の末端基の数は少ないことを意味する。また、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は分子量分布の幅を表すものであることから、Mw/Mnが小さいほどセルロース分子の末端の数は少ないことを意味する。セルロース分子の末端は熱分解の起点となるため、セルロースナノファイバーのセルロース分子の重量平均分子量が大きいだけでなく、重量平均分子量が大きいと同時に分子量分布の幅が狭い場合に、特に高耐熱性のセルロースナノファイバー、及びセルロースナノファイバーとゴムとを含むゴム組成物が得られる。セルロースナノファイバーの重量平均分子量(Mw)は、セルロース原料の入手容易性の観点から、例えば600000以下、又は500000以下であってよい。重量平均分子量と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)はセルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、例えば1.5以上、又は2以上であってよい。Mwは、目的に応じたMwを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。Mw/Mnもまた、目的に応じたMw/Mnを有するセルロース原料を選択すること、セルロース原料に対して物理的処理及び/又は化学的処理を適度な範囲で適切に行うこと、等によって上記範囲に制御できる。セルロース原料のMw及びMw/Mnの各々は一態様において上記範囲内であってもよい。Mwの制御、及びMw/Mnの制御の両者において、上記物理的処理としては、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル等の乾式粉砕若しくは湿式粉砕、擂潰機、ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波装置等による衝撃、剪断、ずり、摩擦等の機械的な力を加える物理的処理を例示でき、上記化学的処理としては、蒸解、漂白、酸処理、再生セルロース化等を例示できる。
ここでいうセルロースナノファイバーの重量平均分子量及び数平均分子量とは、セルロースナノファイバーを塩化リチウムが添加されたN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させたうえで、N,N-ジメチルアセトアミドを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィによって求めた値である。
セルロースナノファイバーの重合度(すなわち平均重合度)又は分子量を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロースナノファイバー内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。また同時に、加水分解処理により、上述の非晶質セルロースに加え、ヘミセルロースやリグニン等の不純物も取り除かれるため、繊維質内部が多孔質化する。
加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、アルカリ加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、例えば、繊維性植物からパルプとして得たα-セルロースをセルロース原料とし、これを水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌しながら加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度等により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分間以上セルロースナノファイバーを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロースナノファイバー内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。なお、加水分解時のセルロース原料の分散液は、水の他、本発明の効果を損なわない範囲において有機溶媒を少量含んでいてもよい。
セルロースナノファイバーが含み得るアルカリ可溶多糖類は、ヘミセルロースのほか、β-セルロース及びγ-セルロースも包含する。アルカリ可溶多糖類とは、植物(例えば木材)を溶媒抽出及び塩素処理して得られるホロセルロースのうちのアルカリ可溶部として得られる成分(すなわちホロセルロースからα-セルロースを除いた成分)として当業者に理解される。アルカリ可溶多糖類は、水酸基を含む多糖であり耐熱性が悪く、熱がかかった場合に分解すること、熱エージング時に黄変を引き起こすこと、セルロースナノファイバーの強度低下の原因になること等の不都合を招来し得ることから、セルロースナノファイバー中のアルカリ可溶多糖類含有量は少ない方が好ましい。
一態様において、セルロースナノファイバー中のアルカリ可溶多糖類平均含有率は、セルロースナノファイバーの良好な分散性を得る観点から、セルロースナノファイバー100質量%に対して、好ましくは、20質量%以下、又は18質量%以下、又は15質量%以下、又は12質量%以下である。上記含有率は、セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上であってもよい。
アルカリ可溶多糖類平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載の手法より求めることができ、ホロセルロース含有率(Wise法)からαセルロース含有率を差し引くことで求められる。なおこの方法は当業界においてヘミセルロース量の測定方法として理解されている。1つのサンプルにつき3回アルカリ可溶多糖類含有率を算出し、算出したアルカリ可溶多糖類含有率の数平均をアルカリ可溶多糖類平均含有率とする。
一態様において、セルロースナノファイバー中の酸不溶成分平均含有率は、セルロースナノファイバーの耐熱性低下及びそれに伴う変色を回避する観点から、セルロースナノファイバー100質量%に対して、好ましくは、10質量%以下、又は5質量%以下、又は3質量%以下である。上記含有率は、セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上であってもよい。
酸不溶成分平均含有率は、非特許文献(木質科学実験マニュアル、日本木材学会編、92~97頁、2000年)に記載のクラーソン法を用いた酸不溶成分の定量として行う。なおこの方法は当業界においてリグニン量の測定方法として理解されている。硫酸溶液中でサンプルを撹拌してセルロース及びヘミセルロース等を溶解させた後、ガラスファイバーろ紙で濾過し、得られた残渣が酸不溶成分に該当する。この酸不溶成分重量より酸不溶成分含有率を算出し、そして、3サンプルについて算出した酸不溶成分含有率の数平均を酸不溶成分平均含有率とする。
セルロースナノファイバーの熱分解開始温度(TD)は、車載用途等で望まれる耐熱性及び機械強度を発揮できるという観点から、一態様において270℃以上であり、好ましくは275℃以上、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは285℃以上である。熱分解開始温度は高いほど好ましいが、セルロースナノファイバーの製造容易性の観点から、例えば、320℃以下、又は300℃以下であってもよい。
本開示で、TDとは、熱重量(TG)分析における、横軸が温度、縦軸が重量残存率%のグラフから求めた値である。セルロースナノファイバーの150℃(水分がほぼ除去された状態)での重量(重量減少量0wt%)を起点としてさらに昇温を続け、1wt%重量減少時の温度(T1%)と2wt%重量減少時の温度(T2%)とを通る直線を得る。この直線と、重量減少量0wt%の起点を通る水平線(ベースライン)とが交わる点の温度をTDと定義する。
1%重量減少温度(T1%)は、上記TDの手法で昇温を続けた際の、150℃の重量を起点とした1重量%重量減少時の温度である。
セルロースナノファイバーの250℃重量減少率(T250℃)は、TG分析において、セルロースナノファイバーを250℃、窒素フロー下で2時間保持した時の重量減少率である。
(化学修飾)
セルロースナノファイバーは、化学修飾されたセルロースナノファイバーであってよい。セルロースナノファイバーは、例えば原料パルプ又はリンターの段階、解繊処理中、又は解繊処理後に予め化学修飾されたものであっても良いし、スラリー調製工程中又はその後、或いは乾燥(造粒)工程中又はその後に化学修飾されてもよい。
セルロースナノファイバーの修飾化剤としては、セルロースの水酸基と反応する化合物を使用でき、エステル化剤、エーテル化剤、及びシリル化剤が挙げられる。一方,カルボン酸、リン酸エステルといった、極性基を有する修飾化剤は,セルロースナノファイバーにイオン性基(例えばカルボキシ基)が導入されることで耐熱性を低下させる傾向があり、また解繊後の繊維径を小さくする傾向があることから、フィラーとしての補強効果の観点からは、用いないことが好ましい。好ましい態様において、化学修飾は、エステル化剤を用いたアシル化であり、特に好ましくはアセチル化である。エステル化剤としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、カルボン酸ビニルエステル、及びカルボン酸が好ましい。
酸ハロゲン化物は、下記式で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種であってよい。
1-C(=O)-X
(式中、R1は炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~24のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基を表し、XはCl、Br又はIである。)
酸ハロゲン化物の具体例としては、塩化アセチル、臭化アセチル、ヨウ化アセチル、塩化プロピオニル、臭化プロピオニル、ヨウ化プロピオニル、塩化ブチリル、臭化ブチリル、ヨウ化ブチリル、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、ヨウ化ベンゾイル等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、酸塩化物は反応性と取り扱い性の点から好適に採用できる。尚、酸ハロゲン化物の反応においては、触媒として働くと同時に副生物である酸性物質を中和する目的で、アルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。アルカリ性化合物としては、具体的には:トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン化合物;及びピリジン、ジメチルアミノピリジン等の含窒素芳香族化合物;が挙げられるが、これに限定されない。
酸無水物としては、任意の適切な酸無水物類を用いることができる。例えば、酢酸、プロピオン酸、(イソ)酪酸、吉草酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸の無水物;(メタ)アクリル酸、オレイン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸の無水物;シクロヘキサンカルボン酸、テトラヒドロ安息香酸等の脂環族モノカルボン酸の無水物;安息香酸、4-メチル安息香酸等の芳香族モノカルボン酸の無水物;
二塩基カルボン酸無水物として、例えば、コハク酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸の無水物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物;無水1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の脂環族ジカルボン酸無水物;及び、無水フタル酸、無水ナフタル酸等の芳香族ジカルボン酸無水物等;
3塩基以上の多塩基カルボン酸無水物類として、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の(無水)ポリカルボン酸等
が挙げられる。尚、酸無水物の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
カルボン酸ビニルエステルとしては、下記式:
R-COO-CH=CH2
{式中、Rは、炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基、炭素数3~16のシクロアルキル基、又は炭素数6~24のアリール基のいずれかである。}で表されるカルボン酸ビニルエステルが好ましい。カルボン酸ビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニルアジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オクチル酸ビニル、安息香酸ビニル、及び桂皮酸ビニルからなる群より選択された少なくとも1種であることがより好ましい。カルボン酸ビニルエステルによるエステル化反応のとき、触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、1~3級アミン、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びその誘導体、ピリジン及びその誘導体、並びにアルコキシドからなる群より選ばれる1種又は2種以上を添加しても良い。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、及びアルカリ金属炭酸水素塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等が挙げられる。1~3級アミンとは、1級アミン、2級アミン、及び3級アミンのことであり、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、プロリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン、トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
イミダゾール及びその誘導体としては、1-メチルイミダゾール、3-アミノプロピルイミダゾール、カルボニルジイミダゾール等が挙げられる。
ピリジン及びその誘導体としては、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、ピコリン等が挙げられる。
アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-t-ブトキシド等が挙げられる。
カルボン酸としては、下記式で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
R-COOH
(式中、Rは、炭素数1~16のアルキル基、炭素数2~16のアルケニル基、炭素数3~16のシクロアルキル基、又は炭素数6~16のアリール基を表す。)
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、メタクリル酸、クロトン酸、オクチル酸、安息香酸、及び桂皮酸からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
これらカルボン酸の中でも、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸からなる群から選択される少なくとも一種、特に酢酸が、反応効率の観点から好ましい。
尚、カルボン酸の反応においては、触媒として、硫酸、塩酸、燐酸等の酸性化合物、又はルイス酸、(例えば、MYnで表されるルイス酸化合物であって、MはB、As,Ge等の半金属元素、又はAl、Bi、In等の卑金属元素、又はTi、Zn、Cu等の遷移金属元素、又はランタノイド元素を表し、nはMの原子価に相当する整数であり、2又は3を表し、Yはハロゲン原子、OAc、OCOCF3、ClO4、SbF6、PF6又はOSO2CF3(OTf)を表す。)、又はトリエチルアミン、ピリジン等のアルカリ性化合物を1種又は2種以上添加してもよい。
これらエステル化反応剤の中でも、特に、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及び酢酸からなる群から選択された少なくとも一種、中でも無水酢酸及び酢酸ビニルが、反応効率の観点から好ましい。
セルロースナノファイバーが化学修飾(例えばアシル化等の疎水化によって)されている場合、セルロースナノファイバーのゴム中での分散性は良好である傾向があるが、本開示のセルロースナノファイバーは、非置換又は低置換度であってもゴム中で良好な分散性を示すことができる。
一態様において、セルロースナノファイバーの置換度は0(すなわち非置換)である。
又は、一態様において、熱分解開始温度が高い化学修飾セルロースナノファイバーを得る観点から、セルロースナノファイバーのアシル置換度(DS)は、0超、又は0.1以上、又は0.2以上、又は0.25以上、又は0.3以上、又は0.5以上であってよい。また、エステル化セルロースナノファイバー中に未修飾のセルロース骨格が残存していることにより、セルロース由来の高い引張強度及び寸法安定性と化学修飾由来の高い熱分解開始温度を兼ね備えたエステル化セルロースナノファイバーを得ることができる点で、セルロースナノファイバーのアシル置換度(DS)は、1.2以下、又は1.0以下、又は0.8以下、又は0.7以下、又は0.6以下、又は0.5以下であってよい。
化学修飾セルロースナノファイバーの修飾基がアシル基の場合、アシル置換度(DS)は、エステル化セルロースナノファイバーの減衰全反射型(ATR)赤外吸収スペクトルから、アシル基由来のピークとセルロース骨格由来のピークとのピーク強度比に基づいて算出することができる。アシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピークは1730cm-1に出現し、セルロース骨格鎖に基づくC-Oの吸収バンドのピークは1030cm-1に出現する。エステル化セルロースナノファイバーのDSは、エステル化セルロースナノファイバーの固体NMR測定から得られるDSと、セルロース骨格鎖C-Oの吸収バンドのピーク強度に対するアシル基に基づくC=Oの吸収バンドのピーク強度の比率で定義される修飾化率(IRインデックス1030)との相関グラフを作製し、相関グラフから算出された検量線
置換度DS = 4.13 × IRインデックス(1030)
を使用することで求めることができる。
一態様において、セルロースナノファイバーは、ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物の製造時に、他の成分(例えば、界面活性剤及び/又は液状ゴム)と組合されたセルロースナノファイバー組成物の形態で系中に添加してよい。
ゴム改質用マスターバッチにおいて、第1のゴム成分100質量部に対するセルロースナノファイバーの含有量は、セルロースナノファイバーによる補強効果を良好に得る観点から、好ましくは、15質量部以上、又は20質量部以上であり、水添共役ジエン系重合体組成物においてゴムに対してセルロースナノファイバーを良好に分散させることによって、機械強度及び破断伸びに優れる硬化物を得る観点から、好ましくは、100質量部以下、又は70質量部以下、又は50質量部以下である。
ゴム改質用マスターバッチにおいて、水添共役ジエン系重合体100質量部に対するセルロースナノファイバーの含有量は、好ましくは、15質量部以上、又は20質量部以上、又は25質量部以上であり、好ましくは、100質量部以下、又は80質量部以下、又は60質量部以下である。
ゴム改質用マスターバッチ中のセルロースナノファイバーの含有量は、一態様において、10質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上であり、一態様において、50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下である。
水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対するセルロースナノファイバーの含有量は、セルロースナノファイバーを配合することによる効果を良好に得る観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、ゴム中でのセルロースナノファイバーの分散性の観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
水添共役ジエン系重合体組成物中のセルロースナノファイバーの含有量は、セルロースナノファイバーによる良好な補強効果を得る観点から、好ましくは0.5質量%以上、又は1質量%以上、又は3質量%以上であり、良好なゴム弾性を有する硬化物を得る観点から、好ましくは、30質量%以下、又は20質量%以下、又は10質量%以下である。
<界面活性剤>
一態様において、ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物は界面活性剤を含む。一態様において、界面活性剤は上記セルロースナノファイバー組成物を構成する。一態様において、界面活性剤は、ゴム改質用マスターバッチ中又は水添共役ジエン系重合体組成物中で、セルロースナノファイバーの近傍に存在しており、これによって、界面活性剤はセルロースナノファイバーのゴム中での分散性の向上に寄与する。
一態様において、界面活性剤はノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤は、セルロースナノファイバーの集合体の空隙に入り込んで当該集合体を多孔質とすることができる。例えば、湿潤状態の当該集合体にノニオン性界面活性剤を浸入させた後乾燥して乾燥体を形成すると、当該ノニオン性界面活性剤を使用せずに集合体を乾燥させて得た乾燥体と比べて乾燥時収縮が低減され得るため、乾燥体をゴムと混合したときにセルロースナノファイバーが良好に分散する。
ノニオン性界面活性剤は、好ましくは、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である。
一態様において、ノニオン性界面活性剤は、疎水性部分として炭素数6~30の脂肪族基を有する。本実施形態のセルロースナノファイバーは、典型的には緩やかな集合体を形成しているところ、ノニオン性界面活性剤は、疎水性部分の炭素鎖の寄与によってゴムとの親和性が良好であるとともに、当該疎水性部分の炭素鎖が長すぎないことによってセルロースナノファイバー集合体の空隙に容易に入り込んで当該集合体を多孔質とすることができる。例えば、湿潤状態の当該集合体にノニオン性界面活性剤を浸入させた後乾燥して乾燥体を形成すると、当該ノニオン性界面活性剤を使用せずに集合体を乾燥させて得た乾燥体と比べて乾燥時収縮が低減され得るため、乾燥体をゴムと混合したときにセルロースナノファイバーが良好に分散する。
上記脂肪族基は、鎖状若しくは脂環式又はこれらの組合せであってよい。脂肪族基の炭素数は、セルロースナノファイバーのゴム中での良好な分散性を得る観点から、一態様において、6以上、又は8以上、又は10以上であり、セルロースナノファイバー集合体の空隙への浸入性の観点から、一態様において、30以下、又は25以下、又は20以下である。
ノニオン性界面活性剤は、好ましくは、親水性部分として、オキシエチレン、グリセロール及びソルビタンからなる群から選択される1つ以上の構造(具体的にはこれらの1つ以上を繰り返し単位とする繰り返し構造)を有する。これら構造は、高い親水性を示すととともに、種々の疎水性部分との組合せで種々のノニオン性界面活性剤を容易に得ることができる点で好ましい。上記親水性部分を有するノニオン性界面活性剤において、疎水性部分の炭素数nと、上記親水性部分の繰り返し単位数mとは、セルロースナノファイバーのゴム中への良好な分散性を得る観点から、好ましくは、下記式:n>m の関係を満たす。上記親水性部分の繰り返し数mは、セルロースナノファイバー集合体の空隙へのノニオン性界面活性剤の良好な浸入性の観点から、好ましくは、1以上、又は2以上、又は3以上、又は5以上であり、セルロースナノファイバーのゴム中への良好な分散性を得る観点から、好ましくは、30以下、又は25以下、又は20以下、又は18以下である。
ノニオン性界面活性剤は、好ましくは、
下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び
下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、からなる群から選択される1種以上である。
一般式(1)において、Rは前述の疎水性部分に相当し、(OCH2CH2)(すなわちオキシエチレン単位)は前述の親水性部分に相当する。Rの炭素数及び(OCH2CH2)の繰り返し数mはそれぞれ、疎水性部分の炭素数n及び親水性部分の繰り返し数mについて前述したのと同様の範囲であることが好ましい。
一般式(2)において、R1、R2、R3及びR4の各々について、炭素数1~30の脂肪族基の炭素数は、好ましくは、6以上、又は8以上、又は10以上であり、好ましくは、24以下、又は20以下、又は18以下である。
またyは、1以上であり、好ましくは、2以上、又は4以上であり、好ましくは、30以下、又は25以下、又は20以下である。
セルロースナノファイバー組成物中、ゴム改質用マスターバッチ中、又は水添共役ジエン系重合体組成物中の界面活性剤の量は、セルロースナノファイバー100質量部に対して、好ましくは、10質量部以上、又は15質量部以上、又は20質量部以上であり、好ましくは、50質量部以下、又は45質量部以下、又は40質量部以下である。
<液状ゴム>
一態様において、ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物は液状ゴムを含む。一態様において、液状ゴムは上記セルロースナノファイバー組成物を構成してよい。一態様において、液状ゴムは第1のゴム成分を構成してよい。一態様において、液状ゴムは第2のゴム成分を構成してよい。一態様において、液状ゴムは、ゴム改質用マスターバッチ中又は水添共役ジエン系重合体組成物中で、セルロースナノファイバーの近傍に存在しており、これによって、液状ゴムはセルロースナノファイバーのゴム中での分散性の向上に寄与する。
本開示で、液状ゴムとは、23℃において流動性を有しており、且つ架橋(より具体的には加硫)及び/又は鎖延長によってゴム弾性体を形成する物質を意味する。すなわち液状ゴムは一態様において未硬化物である。また流動性を有しているとは、一態様において、シクロヘキサンに溶解させた液状ゴムを23℃にて胴径21mm×全長50mmのバイアル瓶に入れた後乾燥させることによって、液状ゴムを当該バイアル瓶内に高さ1mmまで充填して密閉し、当該バイアル瓶を上下逆にした状態で24時間静置したときに高さ方向に0.1mm以上の物質の移動が確認できることを意味する。本開示のゴム成分、第1のゴム成分又は第2のゴム成分を構成するゴムは、本開示の液状ゴムの定義を満たさない点で、液状ゴムと区別される。
液状ゴムは、一般的なゴムの単量体組成を有してよく、取り扱いの容易性、及び良好なセルロースナノファイバーの分散性が得られる観点から、比較的低分子量であることが好ましい。液状ゴムは、一態様において、数平均分子量(Mn)が80,000以下であることによって液体形状を呈する。なお、本開示で、各種ゴムの分子量及び分子量分布は、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本を連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィを使用してクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して検量線により計算して得られる値である。なお溶媒としてはテトラヒドロフランを使用する。
ゴム組成物を硬化させてゴム硬化物とする場合、ゴム硬化物の力学物性を向上させる観点から、液状ゴムは硬化時に加硫されることが望ましい。
液状ゴムの数平均分子量(Mn)は、貯蔵弾性率に優れる硬化物を得る観点、及び、ゴム改質用マスターバッチが液状ゴムを含む態様においては第2のゴム成分へのセルロースナノファイバーの分散性に優れるゴム改質用マスターバッチを得る観点から、好ましくは、1,000以上、又は1,500以上、又は2,000以上、又は5,000以上であり、セルロースナノファイバーを液状ゴム中に良好に分散させるのに適した高い流動性を有する点、及び、液状ゴムが硬化後に硬くなり過ぎず良好なゴム弾性を有する点で、好ましくは、80,000以下、又は50,000以下、又は40,000以下、又は30,000以下、又は10,000以下である。
液状ゴムの重量平均分子量(Mw)は、貯蔵弾性率に優れる硬化物を得る観点、及び、ゴム改質用マスターバッチが液状ゴムを含む態様においては、第2のゴム成分へのセルロースナノファイバーの分散性に優れるゴム改質用マスターバッチを得る観点から、好ましくは、1,000以上、又は2,000以上、又は4,000以上であり、セルロースナノファイバーを液状ゴム中に良好に分散させるのに適した高い流動性を有する点、及び、液状ゴムが硬化後に硬くなり過ぎず良好なゴム弾性を有する点で、好ましくは、240,000以下、又は150,000以下、又は30,000以下である。
液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は、分子量がある程度ばらついていることによって硬化物の複数の特性の高度な両立(一態様において、硬化物の貯蔵弾性率とゴム弾性との高度の両立)が可能である点で、好ましくは、1.5以上、又は1.8以上、又は2.0以上であり、分子量のばらつきが過度に大きくなく硬化物の所望の物性が安定して得られる点で、好ましくは、10以下、又は8以下、又は5以下である。
液状ゴムは、共役ジエン系重合体若しくは非共役ジエン系重合体又はこれらの水素添加物であってよい。上記の重合体又はその水素添加物はオリゴマーであってもよい。一態様において、液状ゴムは、両末端に反応性基(例えば、水酸基、カルボキシ基、イソシアナト基、チオ基、アミノ基及びハロ基からなる群から選択される1種以上)を有してよく、したがって2官能性であってよい。これら反応性基は液状ゴムの架橋及び/又は鎖延長に寄与する。
好ましい一態様においては、液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む。
液状ゴムは、変性液状ゴムであってもよい。変性液状ゴムをゴム改質用マスターバッチ中又は水添共役ジエン系重合体組成物中に含有させることは、セルロースナノファイバーの分散性向上の点で好ましい。変性液状ゴムは、一態様において、セルロースナノファイバーと共有結合を形成することが可能な化合物である。変性液状ゴムは、未変性液状ゴムを不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムであることが特に好ましい。
未変性液状ゴムは、主に1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエンなどの共役ジエン系単量体を重合して得られる未変性の液状重合体(液状ジエン系重合体)である。未変性液状ゴムとしては、例えば、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状スチレン-ブタジエンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエンブロック共重合体、液状ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンランダム共重合体、液状スチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合体などの液状ジエン系重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。上記不飽和カルボン酸誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;マレイン酸アミド、フマル酸アミド、イタコン酸アミドなどの不飽和カルボン酸アミド、マレイン酸イミド、イタコン酸イミドなどの不飽和カルボン酸イミド;などが挙げられる。変性液状ゴムは、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体のうち1種で変性されていてもよく、2種以上で変性されていてもよい。
これらの中でも、経済的な観点、及び、引張特性、弾性率等の効果の観点から、無水マレイン酸変性液状ゴムが好ましく、無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、及び無水マレイン酸変性液状スチレン-ブタジエンランダム共重合体が更に好ましい。
変性液状ゴムの変性量は、一態様において、引張特性、及び弾性率の向上等の観点から、変性液状ゴム1分子鎖あたり1個以上、又は3個以上、又は5個以上であり、変性液状ゴムの製造コスト、及び高い流動性を有し取り扱いが容易である観点から、好ましくは25個以下、又は20個以下、又は15個以下である。変性量は、1H-NMR測定から確認される。
変性液状ゴムの重量平均分子量(Mw)は、貯蔵弾性率に優れる硬化物を得る観点、及び、ゴム改質用マスターバッチが液状ゴムを含む態様においては、第2のゴム成分へのセルロースナノファイバーの分散性に優れるゴム改質用マスターバッチを得る観点から、好ましくは、2,000以上、又は5,000以上、又は10,000以上であり、ゴム組成物中にセルロースナノファイバーを良好に分散させるのに適した高い流動性を有する点、及び、変性液状ゴムが硬化後に硬くなり過ぎず良好なゴム弾性を有する点で、好ましくは、150,000以下、又は100,000以下、又は50,000以下である。
ゴム改質用マスターバッチ中の、液状ゴムの含有量又は変性液状ゴムの含有量は、第1のゴム成分100質量部に対して、一態様において、10質量部以上、又は30質量部以上、又は50質量部以上であってよく、一態様において、200質量部以下、又は150質量部以下、又は100質量部以下であってよい。
水添共役ジエン系重合体組成物中の、液状ゴムの含有量又は変性液状ゴムの含有量は、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対して、一態様において、1質量部以上、又は5質量部以上、又は10質量部以上であってよく、一態様において、25質量部以下、又は20質量部以下、又は15質量部以下であってよい。
<セルロースナノファイバー組成物の粉体>
セルロースナノファイバー組成物は、一態様において粉体であってよい。当該粉体は、以下の特性のうち1つ以上を有してよい。これにより、粉体は優れた加工特性を有し、セルロースナノファイバーがゴム中で優れた分散状態を示し得る。
(ゆるめ嵩密度)
一態様において、粉体のゆるめ嵩密度は、粉体の流動性が良好で混練機へのフィード性に優れる点、界面活性剤のゴムへの移行抑制の観点から、好ましくは、0.01g/cm3以上、又は0.05g/cm3以上、又は0.10g/cm3以上、又は0.15g/cm3以上、又は0.20g/cm3以上であり、粉体がゴム中で容易に崩壊してセルロースナノファイバーがゴム中に良好に分散できる点、及び、粉体が重質過ぎず粉体とゴムとの混合不良を回避できる点で、好ましくは、0.50g/cm3以下、又は0.40g/cm3以下、又は0.30g/cm3以下、又は0.25g/cm3以下、又は0.20g/cm3以下、である。
(固め嵩密度)
粉体の固め嵩密度は、ゆるめ嵩蜜度及び圧縮度を好適範囲に制御するのに有用である範囲に制御され、一態様において、好ましくは、0.01g/cm3以上、又は0.05g/cm3以上、又は0.10g/cm3以上、又は0.15g/cm3以上であり、又は0.20g/cm3以上であり、好ましくは、1.00g/cm3以下、又は0.80g/cm3以下、又は0.70g/cm3以下、又は0.60g/cm3以下、又は0.50g/cm3以下、又は0.40g/cm3以下、又は0.30g/cm3以下である。
上記、ゆるめ嵩密度、及び固め嵩密度は、ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスター(型番:PT-X)を用い、本開示の[実施例]の項で説明する手順で測定される。
粉体の製造方法としては、セルロースナノファイバーと液体媒体とを含むスラリーを調製するスラリー調製工程と、該スラリーを乾燥させて粉体を形成する乾燥工程とを含む方法を例示できる。
(スラリー調製工程)
本工程ではスラリーを調製する。液体媒体としては、水混和性有機溶媒、例えば:沸点が50℃~170℃のアルコール(例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール等);エーテル(例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等);カルボン酸(例えばギ酸、酢酸、乳酸等);エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ビニル等);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等);含窒素溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル等)、等を使用できる。典型的な態様においては、スラリー中の液体媒体は実質的に水のみである。スラリーは、セルロースナノファイバーと液体媒体で構成してもよいし、界面活性剤及び/又はゴム、更に任意の追加成分を含んでもよい。
スラリー中のセルロースナノファイバーの濃度は、後続の乾燥工程におけるプロセス効率の観点から、好ましくは、5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上であり、スラリーの粘度の過度な増大、及び凝集による固化を回避して良好な取扱い性を保持する観点から、好ましくは、60質量%以下、又は55質量%以下、又は50質量%以下、又は45質量%以下である。例えば、セルロースナノファイバーの製造は希薄な分散液中で行われることが多いが、このような希薄分散液を濃縮することで、スラリー中のセルロースナノファイバー濃度を前記好ましい範囲に調整してもよい。濃縮には、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心脱液、加熱等の方法を用いることができる。
(乾燥工程)
本工程では、上記スラリーを、制御された乾燥条件で乾燥させることにより、粉体を形成する。セルロースナノファイバー以外の成分の添加タイミングは、スラリーの乾燥前、乾燥中、及び/又は乾燥後であってよい。乾燥には、スプレードライヤー、押出機等の乾燥装置を使用できる。乾燥装置は市販品であってもよく、例えば、マイクロミストスプレードライヤー(藤崎電機製)、スプレードライヤー(大川原化工機製)、二軸押出機(日本製鋼所製)等を例示できる。乾燥条件の中でも、乾燥速度、乾燥温度、及び/又は圧力(減圧度)、特に乾燥速度を適切に制御することは、粉体の所望の形状を実現するのに有利であり得る。
スラリー100質量部当たりの液体媒体の1分当たりの脱離量(質量部)である乾燥速度は、スラリーを急速乾燥させることで望ましい粒子サイズの粉体を形成する観点から、例えば、10%/分以上、又は50%/分以上、又は100%/分以上であってよく、セルロースナノファイバーの過度な微粉化を回避することで当該セルロースナノファイバーの凝集を抑制するとともに良好な取扱い性を得る観点から、例えば、10,000%/分以下、又は1,000%/分以下、又は500%/分以下であってよい。
乾燥速度は、下記式:乾燥速度(%/分)=(乾燥開始時のスラリー水分率(質量%)-乾燥終点の粉体の水分率(質量%))/乾燥開始から乾燥終点までに要した時間(分)に従って求められる値(すなわち、乾燥工程を通じての平均値)である。
ここで、乾燥開始とは、乾燥対象となるスラリー又はケークを装置に供給して目的の乾燥温度、減圧度、ずり速度で乾燥する工程を始めた時点であり、乾燥温度、減圧度、ずり速度が乾燥工程とは異なる状態で予備混合をする時間は乾燥時間に含めない。
また、乾燥終点とは、乾燥開始から長くとも10分の間隔でサンプリングを行い、水分率が初めて7質量%以下になった時点をいう。
連続式の乾燥装置の場合、乾燥開始から乾燥終点までに要した時間は、滞留時間と解釈することができる。スプレードライヤーの場合、滞留時間は加熱風量と乾燥室の容積によって計算することができる。また、押出機を乾燥装置として用いる場合、滞留時間はスクリュー回転数とスクリューの総ピッチ数から計算することができる。
乾燥温度は、乾燥効率、及びセルロースナノファイバーを適度に凝集させて望ましい粒子サイズの粉体を形成する観点から、例えば20℃以上、又は30℃以上、又は40℃以上、又は50℃以上であってよく、セルロースナノファイバー及び追加の成分の熱劣化を生じ難くする観点、及びセルロースナノファイバーの過度な微粉化を回避する観点から、例えば200℃以下、又は150℃以下、又は140℃以下、又は130℃以下、又は100℃以下であってよい。
乾燥温度は、スラリーに接触する熱源の温度であり、例えば、乾燥装置の温調ジャケットの表面温度、加熱シリンダーの表面温度、又は熱風の温度で定義される。
減圧度は、乾燥効率、及びセルロースナノファイバーを適度に凝集させて望ましい粒子サイズの粉体を形成する観点から、-1kPa以下、又は-10kPa以下、又は-20kPa以下、又は-30kPa以下、又は-40kPa以下、又は-50kPa以下であってよく、セルロースナノファイバーの過度な微粉化を回避する観点から、-100kPa以上、又は-95kPa以上、又は-90kPa以上であってよい。
乾燥工程において、スラリーの温度20℃~200℃での滞留時間は、好ましくは、0.01分間~10分間、又は0.05分間~5分間、又は0.1分間~2分間に設定してよい。このような条件での乾燥により、セルロースナノファイバーが急速乾燥されて、望ましい粒子サイズの粉体が良好に生成する。
例えばスプレードライヤ―を用いる場合には、熱ガスを流通させた乾燥室内に噴霧機構(回転ディスク、加圧ノズル等)でスラリーを噴霧導入して乾燥させる。噴霧導入時のスラリー液滴サイズは、例えば、0.01μm~500μm、又は0.1μm~100μm、又は0.5μm~10μmであってよい。熱ガスは、窒素、アルゴン等の不活性ガス、空気等であってよい。熱ガス温度は、例えば、50℃~300℃、又は80℃~250℃、又は100℃~200℃であってよい。乾燥室内でのスラリーの液滴と熱ガスとの接触は、並流、向流、又は並向流であってよい。液滴の乾燥により生じた粒子状の粉体を、サイクロン、ドラム等で補集する。
また、例えば押出機を用いる場合には、スクリューを備える混練部内にホッパーよりスラリーを投入し、減圧及び/又は加熱下の混練部内でスラリーをスクリューで連続的に輸送することで当該スラリーを乾燥させる。スクリューの態様としては、搬送スクリュー、反時計回りスクリュー、及びニーディングディスクを任意の順番に組み合わせてよい。乾燥温度は、例えば、50℃~300℃、又は80℃~250℃、又は100℃~200℃であってよい。
<水添共役ジエン系重合体>
一態様において、ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物は、水添共役ジエン系重合体を含む。一態様において、水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である重合体である。水添共役ジエン系重合体は、機械強度及び耐オゾン性に優れる硬化物を与える観点から有利である。本実施形態の水添共役ジエン系重合体は、機械強度及び耐オゾン性に優れる硬化物を与える点で、好ましくは、芳香族ビニル単量体に基づく構成単位を3質量%以上60質量%以下含有する。
本実施形態の水添共役ジエン系重合体は、一態様において、芳香族ビニル単量体に基づく構成単位(本開示で「芳香族ビニル単量体単位」とも記す)を含む。一態様において、水添共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単量体単位と、共役ジエン単量体に基づく構成単位(本開示で「共役ジエン単量体単位」とも記す)と、エチレンに基づく構成単位(本開示で「エチレン単位」とも記す)とを含むランダム共重合体、又はブロック共重合体である。
本開示で、「ランダム共重合体」とは、芳香族ビニル化合物由来の構造単位全体に対して、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の割合が、10質量%以下である共重合体を意味する。
ここで、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の含有量は、共重合体を、重クロロホルムを溶媒として測定した1H-NMRスペクトルで、以下の(A)~(C)の各化学シフト範囲の積分値の合計に対する、(A)の範囲の積分値の割合で計算することができる。例えば、芳香族ビニル化合物がスチレンの場合、(A)~(C)の各範囲の積分値の合計に対する(A)の範囲の積分値の割合を求め、その値を2.5倍することでスチレンの割合を計算できる。これにより、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の連鎖の状態を把握できる。
(A)芳香族ビニル化合物連鎖8以上: 6.00≦S<6.68
(B)芳香族ビニル化合物連鎖2~7: 6.68≦S<6.89
(C)芳香族ビニル化合物短連鎖 : 6.89≦S≦8.00
本実施形態の水添共役ジエン系重合体は、一態様において、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位、共役ジエン化合物に基づく構成単位、及びエチレンに基づく構成単位を有するランダム共重合体である。芳香族ビニル化合物に基づく構成単位である芳香族部と、共役ジエン化合物に基づく構成単位である共役ジエン部とを有する共重合体に、水素が添加された水添共重合体は、商業生産の観点で好ましいが、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とエチレンとを共重合したランダム共重合体でも構わない。水添共重合体は、共役ジエン部中の二重結合部分に水素が添加されることで、共役ジエン部の一部又は全部がエチレン部に変化したものである。水素添加率を高くすることで、エチレン部の含有量を高めることができる。
本開示で、「ブロック共重合体」とは、芳香族ビニル化合物由来の構造単位全体に対して、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の割合が、10質量%超である共重合体を意味する。ここで、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の含有量は、上記の方法によって計算できる。
芳香族ビニル化合物に由来する構造単位が8個以上連続した連鎖の割合は、水添共役ジエン系重合体組成物中のセルロースナノファイバーの分散性の向上、及び硬化物の破壊特性向上の観点から、好ましくは20質量%以上、又は30質量%以上、又は40質量%以上である。
一態様において、第1のゴム成分は水添共役ジエン系重合体を含む。第2のゴム成分は、水添共役ジエン系重合体を含んでも含まなくてもよい。
水添共役ジエン系重合体は、一態様において、溶解度パラメータ(以下、SP値とする)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である。上記の溶解度パラメータ(SP値)は、機械強度及び耐オゾン性に優れる硬化物を与えることに寄与する。
本実施形態の水添共役ジエン系重合体における溶解度パラメータが16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下であることは。本開示のゴム成分、第1のゴム成分又は第2の成分が天然ゴムを含む場合において特に有利である。天然ゴムのSP値は、17.19(MPa)1/2であることが知られている。水添共役ジエン系重合体のSP値が上記の範囲内である場合、水添共役ジエン系重合体と天然ゴムとの相容性が向上する。これにより、硬化物において、セルロースナノファイバーがゴム中に均一に分散することで当該硬化物のゴムとしての剛性が向上する傾向にある。
SP値は、(SP値)=((モル凝集エネルギー)/(モル容積))1/2の式から算出される。ゴム状重合体が異なる2種類以上の単量体から構成される場合、モル凝集エネルギーは加成性が成立する。そのため、ゴム状重合体のモル凝集エネルギーは、各成分の含有率(モル%)によるモル凝集エネルギーの平均値(含有率に応じて按分した平均値)として算出される。モル容積もモル凝集エネルギーと同様に、加成性が成立し、ゴム状重合体のモル容積は、各成分の含有率(モル%)によるモル容積の平均値(含有率に応じて按分した平均値)として算出される。
異なる2種類以上の単量体とは、特に限定されないが、水素未添加の1,2-結合、水素添加後の1,2-結合、水素未添加の3,4-結合、水素添加後の3,4-結合、水素未添加の1,4-結合及び水素添加後の1,4-結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単量体単位、芳香族ビニル炭化水素単量体単位等が挙げられる。なお、各結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単量体単位の各々の量は、NMR等によって測定することができる。
なお、水素未添加の1,2-結合、水素添加後の1,2-結合、水素未添加の3,4-結合、水素添加後の3,4-結合、水素未添加の1,4-結合及び水素添加後の1,4-結合の結合様式で組み込まれている共役ジエン化合物単量体単位、芳香族ビニル炭化水素単量体単位、及びこれら以外の単量体単位のモル体積及びモル凝集エネルギーは、J. Bicerano, Prediction of Polymer Properties, 3rd Ed. Marcel Dekker, 2002記載の方法(Bicerano法)に従って求める。
当該SP値は、共役ジエン系単量体単位の1,2-ビニル結合量、芳香族ビニル化合物の量、及び水素添加率を制御することにより上記数値範囲に制御することができる。SP値を16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下とする手法としては、例えば、芳香族ビニル化合物量を5~30質量%、共役ジエン系単量体単位の1,2-結合量を20~60質量%、又は水素添加率を40~90モル%とすることが挙げられる。
なお、水添共重合体では、共役ジエン化合物の主鎖の両端でポリマー鎖を形成するもの(例えば、1,3-ブタジエンをモノマーとした重合体の1,4結合)に対して水素が添加されたものをエチレン部とする。すなわち、その他の形態(例えば、1,3-ブタジエンをモノマーとした重合体の1,2結合(ビニル結合))に対して水素が添加されたものはエチレン部に含めない。
芳香族ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性等の実用面の観点でスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性等の実用面の観点から、1,3-ブタジエン、及びイソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンがより好ましい。
本実施形態の水添共役ジエン系重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有量は、水添共役ジエン系重合体組成物中のセルロースナノファイバーの分散性の向上、硬化物の破壊特性向上、及びゴム組成物のガラス転移温度調整の観点から、好ましくは、3質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上であり、水添共役ジエン系重合体が硬化後に硬くなり過ぎず良好なゴム弾性を有する観点から、好ましくは、60質量%以下、又は55質量%以下、又は50質量%以下である。芳香族ビニル単量体単位の含有量は、核磁気共鳴(NMR)で測定され、より具体的には、後述する実施例の方法で測定できる。
本実施形態の水添共役ジエン系重合体の水素添加率(共役ジエン部に対して水素添加された割合)は、架橋性の観点から、一態様において30モル%以上であり、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。また、水素添加率は、架橋性の観点から、一態様において99モル%以下であり、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。水素添加率が30モル%以上99モル%以下であることは、機械強度及び耐オゾン性に優れる硬化物を与える点で有利である。なお、ゴム成分として天然ゴムを用いない場合には、水素添加率を上記範囲内とすることが有利である一方、ゴム成分として天然ゴムを用いる場合には、水素添加率が上記範囲内又は上記範囲外であるものが有利であり得る。
なお、水添共役ジエン系重合体の水素添加率は、水素添加反応時の水素量、反応時間等により制御でき、水添共役ジエン系重合体の1H-NMR測定から計算することができる。
一態様において、水添共役ジエン系重合体は、スチレン単位を含む。この場合、当該重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとは、好ましくは、下記式:
0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
の関係を満たす。一態様において、スチレン単位含有率Stは、芳香族ビニル単量体単位の含有量として上記で例示した範囲であってよい。
スチレン単位含有率が高くなると、水添共役ジエン系重合体中のセルロースナノファイバーの分散性は向上する傾向がある一方、水添共役ジエン系重合体と天然ゴムとの相溶性は低下する傾向がある。水添率が高くなると、水添共役ジエン系重合体と天然ゴムとの相溶性は向上する傾向がある。スチレン単位含有率が高い水添共役ジエン系重合体であっても、水添率が高い場合、天然ゴムとの相溶性が良好であり得る。上記観点から、スチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、0.297×St+29.1≦H の関係を満たす水添共役ジエン系重合体は、天然ゴムと良好に相溶し得るため、硬化物中にセルロースナノファイバーを均一に分散させて当該硬化物に良好な機械強度を付与し得る。
水添共役ジエン系重合体の水添率は、セルロースナノファイバーを水添共役ジエン系重合体中に均一に分散させる観点からは高過ぎないことが有利である。H≦0.0877×St+84.7 の関係を満たす水添共役ジエン系重合体は、セルロースナノファイバーを水添共役ジエン系重合体中に均一に分散させて硬化物に良好な機械強度を付与することに寄与する。
水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、ゴム組成物の硬化物の形状安定性、並びに、ゴム組成物の硬化物の引張強度及び耐摩耗性の観点から、20万以上200万以下であることが好ましい。当該重量平均分子量は、より好ましくは、30万以上、又は40万以上、又は50万以上であり、より好ましくは、180万以下、又は150万以下、又は130万以下である。
水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定される値であり、より具体的には、後述する実施例の方法で測定できる。
水添共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、加工性の観点から、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。水添共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、機械強度の観点から、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましい。
水添共役ジエン系重合体の100℃におけるムーニー粘度は、ゴム組成物を調製する際の、混練のしやすさ及び練り生地の切れ防止の観点から、250以下であることが好ましく、200以下であることがより好ましく、180以下であることがさらに好ましい。当該ムーニー粘度は、ゴム組成物の硬化物の良好な物性を得る観点から、好ましくは、35以上、又は40以上、又は50以上である。
本実施形態において、ムーニー粘度は、ムーニー粘度計を用い、ISO 289(JIS K6300に対応)に準拠し、L形ローターを用いて測定され、より具体的には、後述する実施例の方法で測定できる。
[水添共役ジエン系重合体の製造]
一態様において、水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン系重合体を製造し、これに水素添加することで製造できる。
共役ジエン系重合体の重合方法については、上述した所定の物性が得られれば特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、及びバルク重合法のいずれも用いることができるが、商業生産上の観点で、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。溶液中のモノマー濃度が5質量%以上であると、得られる共役ジエン系重合体の量が十分となり、コストが安くなる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。溶液中のモノマー濃度が50質量%以下であると、溶液粘度が低くなり撹拌が容易となり、重合しやすくなる傾向がある。
(重合開始剤)
共役ジエン系重合体は、一態様においてアニオン重合で得る。アニオン重合の重合開始剤としては、特に制限はないが、有機リチウム化合物が好ましく用いられる。有機リチウム化合物としては、炭素数2~20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、tert-オクチルリチウム、n-デシルリチウム、フェニルリチウム、2-ナフチルリチウム、2-ブチルーフェニルリチウム、4-フェニル-ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられる。これらの中で、入手容易性、安全性等の観点から、n-ブチルリチウム、又はsec-ブチルリチウムが好ましい。
共役ジエン系重合体は、一態様において配位重合で得る。配位重合の重合開始剤としては、特開2020-45500号公報に記載の重合触媒組成物を使用することが好ましい。
(重合方法)
重合開始剤を用いて、アニオン重合又は配位重合によって、共役ジエン系共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、反応に不活性な有機溶媒、例えば鎖式脂肪族、脂環式、又は芳香族の炭化水素化合物等の炭化水素系溶媒中において、例えばブチルリチウムを重合開始剤とし、必要に応じてランダマイザーの存在下でスチレン、1,3-ブタジエン、エチレン等を重合させることにより、目的の共役ジエン系共重合体を得ることができる。
(炭化水素系溶媒)
炭化水素系溶媒としては、炭素数3~8のものが好ましく、例えばプロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1-ブテン、イソブテン、トランス-2-ブテン、シス-2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(アニオン重合におけるランダマイザー)
ランダマイザーとは、共役ジエン系共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御、例えばブタジエンにおける1,2-結合、イソプレンにおける3,4-結合等の増加、或いは共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御、例えばスチレンブタジエン共重合体におけるスチレン単位又はブタジエン単位のランダム化、等の作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン等のエーテル類、及び第三級アミン類等を挙げることができる。また、カリウム-t-アミレート、カリウム-t-ブトキシド等のカリウム塩類、ナトリウム-t-アミレート等のナトリウム塩類も用いることができる。これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量以上では、添加効果が大きく、ランダム化しやすい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、有機リチウム化合物1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量以下では、モノマーの反応速度が大きく変化しないため、ランダム化しにくいという不都合を回避できる。
(反応温度)
重合の際の反応温度は、好適に反応が進行する限り特に限定はないが、通常-10℃~100℃であることが好ましく、25℃~70℃であることがより好ましい。
(反応停止)
アニオン重合は、この分野で通常使用する反応停止剤の添加により、停止させることができる。そのような反応停止剤としては、特に限定されないが、活性プロトンを有する極性溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール、又は酢酸等)及びこれらの混液、又は、上記の1種以上の極性溶媒とヘキサン、シクロヘキサン等の無極性溶媒との混液が挙げられる。反応停止剤の添加量は、通常、アニオン重合開始剤に対し、同モル量若しくは2倍モル量程度で充分である。
(ゴム用安定剤の使用)
共役ジエン系重合体の水添工程の終盤に、ゲル生成防止及び加工安定性向上の観点で、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
(ゴム用軟化剤の使用)
共役ジエン系重合体の重合工程の終盤には、重合体の生産性、及び、ゴム組成物製造時に無機充填剤等を配合したときの加工性を改善するために、必要に応じて、ゴム用軟化剤を添加することができる。ゴム用軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、伸展油、液状ゴム、樹脂等が挙げられる。液状ゴムは、前述で例示したものから選択できる。加工性、生産性及び経済性の点で、伸展油が好ましい。
ゴム用軟化剤を共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、ゴム用軟化剤を重合体溶液に加え、混合して得たゴム用軟化剤含有重合体溶液を脱溶媒する方法が好ましい。
好ましい伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
伸展油の含有量は、硬化物の経年劣化抑制の点で、ゴム改質用マスターバッチにおいては第1のゴム成分100質量部に対して、又は、水添共役ジエン系重合体組成物においてはゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対して、37.5質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が最も好ましい。上記含有量は、一態様において、5質量部以上、又は10質量部以上、又は15質量部以上であってよい。
(水素添加)
共役ジエン系重合体に対する水素添加方法、及び水素添加反応条件については、上述した所定の物性が得られれば特に限定はなく、公知の方法、及び公知の条件で水素添加すればよい。通常は、20℃~150℃、0.1MPa~10MPaの水素加圧下、及び水添触媒の存在下で実施される。なお、水素添加率は、水添触媒の量、水添反応時の水素圧力、反応時間等を変えることにより、任意に選定することができる。
水添触媒として、通常は、元素周期表4~11族金属のいずれかを含む化合物を用いることができる。具体的には、特に限定されないが、例えば、Ti、V、Co、Ni、Zr、Ru、Rh、Pd、Hf、Re、及び/又はPt原子を含む化合物を水添触媒として用いることができる。より具体的な水添触媒としては、特に限定されないが、例えば、Ti、Zr、Hf、Co、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Re等のメタロセン化合物;Pd、Ni、Pt、Rh、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒;Ni、Co等の金属元素の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機アルミニウム等の還元剤とを組み合わせた均一系チーグラー型触媒;Ru、Rh等の有機金属化合物又は錯体;水素を吸蔵させたフラーレン、水素を吸蔵させたカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
これらのうち、Ti、Zr、Hf、Co、及びNiのいずれかを含むメタロセン化合物は、不活性有機溶媒中、均一系で水添反応できる点で好ましい。更に、Ti、Zr、及びHfのいずれかを含むメタロセン化合物が好ましい。水添触媒は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエン系重合体の重合工程の終盤に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;等が挙げられる。ここでの重合工程の終盤とは、添加したモノマーが95モル%以上重合に消費された状態を言う。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9~11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液;炭酸ガス;等が挙げられる。
(溶媒除去)
水添共役ジエン系重合体を含む重合体溶液から溶媒を除去して水添共役ジエン系重合体を取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えばスチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、重合体溶液をフラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
ゴム改質用マスターバッチにおいて、第1のゴム成分100質量%中の、水添共役ジエン系重合体の比率(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体の比率)は、耐オゾン性に優れる硬化物を与える観点から、一態様において、50質量%以上、又は60質量%以上、又は80質量%以上である。上記比率は、100質量%であってもよいが、一態様において、90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下であることもできる。
水添共役ジエン系重合体組成物において、第2のゴム成分が、水添共役ジエン系重合体(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体)を含む場合、第2のゴム成分100質量%中の、水添共役ジエン系重合体の量(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体の量)は、耐オゾン性に優れる硬化物を与える観点から、一態様において、50質量%以上、又は60質量%以上、又は80質量%以上である。上記比率は、一態様において、95質量%以下、又は90質量%以下、又は85質量%以下である。
水添共役ジエン系重合体組成物において、第2のゴム成分が水添共役ジエン系重合体及び天然ゴムを含む場合、第2のゴム成分100質量%中の水添共役ジエン系重合体の量は、機械強度と耐オゾン性のバランスに優れる硬化物を与える観点から、一態様において、5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上である。上記比率は、一態様において、50質量%以下、又は45質量%以下、又は40質量%以下である。
水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分(一態様において、第1のゴムと第2のゴムとの合計)100質量%中の、水添共役ジエン系重合体の比率(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体の比率)は、耐オゾン性に優れる硬化物を与える観点から、一態様において、50質量%以上、又は60質量%以上、又は80質量%以上である。上記比率は、一態様において、95質量%以下、又は90質量%以下、又は85質量%以下である。
水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分が天然ゴムを含む場合、ゴム成分(一態様において、第1のゴムと天然ゴムを含む第2のゴムとの合計)100質量%中の水添共役ジエン系重合体の量は、機械強度と耐オゾン性のバランスに優れる硬化物を与える観点から、一態様において、5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上である。上記比率は、一態様において、50質量%以下、又は45質量%以下、又は40質量%以下である。
<水添共役ジエン系重合体以外のゴム>
本開示のゴム成分、第1のゴム成分及び第2のゴム成分は、それぞれ、ジエン系重合体以外のゴムを含んでよいが、典型的にはジエン系重合体で構成されている。ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物は、ゴム成分として、水添共役ジエン系重合体(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体)以外のゴムを含んでよい。このようなゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば共役ジエン系重合体、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体、天然ゴム等のジエン系重合体、及び、非ジエン系重合体が挙げられる。
具体的には、以下のものに限定されないが、例えば:ブタジエンゴム;イソプレンゴム;スチレン-ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-イソプレンブロック共重合体等のスチレン系エラストマー;アクリロニトリル-ブタジエンゴム、等が挙げられる。
但し、水添共役ジエン系重合体が、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である重合体である態様においては、水添共役ジエン系重合体以外のゴムとして、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体ではないゴムを使用してよい。このようなゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば:ブタジエンゴム又はその水素添加物;イソプレンゴム又はその水素添加物;スチレン-ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン-ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー;アクリロニトリル-ブタジエンゴム又はその水素添加物、等が挙げられる。
水添共役ジエン系重合体組成物において、第1のゴム成分100質量%中、又は第2のゴム成分100質量%中、又は第1及び第2のゴム成分の合計100質量%中、水添共役ジエン系重合体以外のジエン系重合体の比率(一態様において、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体以外のジエン系重合体の比率)は、硬化物の耐オゾン性の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。当該比率は、一態様において、5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上であってよい。
一態様に係る水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分は天然ゴムを含み、ゴム改質用マスターバッチを用いる態様においては第2のゴム成分が天然ゴムを含む。この態様において、第1のゴム成分は、天然ゴムを含んでも含まなくてもよい。天然ゴムは、非変性ゴム又は変性ゴムであってよい。
天然ゴムとしては特に限定されないが、例えば、高分子量成分が多く破壊強度に優れる観点から:スモーク乾燥タイプであるRSS(Ribbed Smoked Sheet)3~5号;機械乾燥のTSR(Technically Specified Rubber)として、SIR(Standard Indonesian Rubber)(インドネシア産)、STR(Standard Thai Rubber)(タイ産)、SMR(Standard Malaysian Rubber)(マレーシア産)等;及びエポキシ化天然ゴム等が挙げられる。
<添加剤>
ゴム改質用マスターバッチ又は水添共役ジエン系重合体組成物は、セルロースナノファイバー及びゴム成分に加えて添加剤を含んでよい。添加剤としては、有機又は無機の補強用充填剤(例えば、カーボンブラック、シリカ系無機充填剤等)、シランカップリング剤、金属酸化物又は金属水酸化物、ステアリン酸、各種老化防止剤、ゴム用軟化剤(オイル、ワックスなど)、加硫剤(硫黄、有機過酸化物など)、加硫促進剤(スルフェンアミド系又はグアニジン系の加硫促進剤など)などの、ゴム工業において一般的に用いられている各種材料を1種以上用いてよい。添加剤としては、追加のポリマー、分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、等のうち1種以上も使用できる。
(シリカ系無機充填剤)
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、シリカ系無機充填剤を含んでもよい。典型的な態様において、シリカ系無機充填剤は、水添共役ジエン系重合体組成物の製造時に、ゴム改質用マスターバッチと組合される。水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対するシリカ系無機充填剤の含有量は、硬化物の機械強度及び弾性率の観点から、好ましくは10質量部以上80質量部以下である。硬化物の軽量化の観点から、シリカ系無機充填剤の含有量は、好ましくは、80質量部以下、又は50質量部以下、又は30質量部以下である。
シリカ系無機充填剤としては特に限定されず公知のものを用いることができるが、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。なお本開示を通じ、主成分とは、全体の50質量%超、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上を占める成分を意味する。
シリカ系無機充填剤としては、以下に限定されないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質が挙げられる。シリカ系無機充填剤の市販品として、例えば、エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も挙げられる。これらの中でも、強度及び耐摩耗性の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。シリカとしては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、及び合成ケイ酸塩シリカが挙げられる。これらの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカがさらに好ましい。
(カーボンブラック)
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、カーボンブラックを含んでもよい。典型的な態様において、カーボンブラックは、水添共役ジエン系重合体組成物の製造時に、ゴム改質用マスターバッチと組合される。水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、硬化物の機械強度及び弾性率の観点から、好ましくは10質量部以上80質量部以下である。硬化物の軽量化の観点から、カーボンブラックの含有量は、好ましくは、80質量部以下、又は50質量部以下、又は30質量部以下である。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用できる。これらの中でも、押し出し成形性の観点、及び例えばタイヤ用途における転がり抵抗特性の観点から、窒素吸着比表面積が50m2/g以上であり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上であるカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの入手容易性の観点から、窒素吸着比表面積は、一態様において130m2/g以下であってよく、ジブチルフタレート(DBP)吸油量は、一態様において120mL/100g以下であってよい。
好ましい一態様において、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対する補強性充填剤の含有量は、硬化物の機械強度及び弾性率の観点から、好ましくは10質量部以上であり、硬化物の軽量化の観点から、好ましくは、80質量部以下、又は50質量部以下、又は30質量部以下である。
(金属酸化物、金属水酸化物)
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、金属酸化物及び/又は金属水酸化物を含有してもよい。金属酸化物は、一態様において、化学式MxOy(Mは金属原子を表し、x及びyは、各々独立に、1~6の整数を表す)を構成単位の主成分とする固体粒子である。例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等を挙げることができる。金属酸化物は、無機充填剤との混合物として用いてもよい。金属水酸化物としては、特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム等が挙げられる。
(ゴム用軟化剤)
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、加工性の改良の目的で、ゴム用軟化剤を含んでもよい。ゴム用軟化剤としては、例えば、鉱物油系ゴム用軟化剤、及び、液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、プロセスオイル又はエクステンダーオイルとも呼ばれ、ゴムの軟化、増容、又は加工性の向上を図るために使用されている。また、上記鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖を含み、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が30~45%のものがナフテン系、芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれている。変性共役ジエン-芳香族ビニル共重合体とともに用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが共重合体との親和性がよい傾向にあるため好ましい。
ゴム用軟化剤は、水添共役ジエン系重合体の製造時、ゴム改質用マスターバッチの製造時、及び/又は水添共役ジエン系重合体組成物の製造時に配合してよい。水添共役ジエン系重合体組成物において、ゴム成分(一態様においては、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対するゴム用軟化剤の含有量は、加工性を改良する観点から、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、30質量部以上がさらに好ましい。またブリードアウトを抑制し、ゴム組成物表面のベタツキを防止できる観点から、好ましくは、100質量部以下、又は70質量部以下、又は50質量部以下、又は40質量部以下、又は30質量部以下である。
<ゴム改質用マスターバッチ>
本実施形態のゴム改質用マスターバッチは、上述した本実施形態の水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分と、セルロースナノファイバーとを含有する。ゴム改質用マスターバッチ中の第1のゴム成分の含有量は、一態様において、30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上であり、一態様において、80質量%以下、又は70質量%以下、又は60質量%以下である。
[ゴム改質用マスターバッチの製造]
ゴム改質用マスターバッチは混練物であってよい。ゴム改質用マスターバッチの構成材料を混合する方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶媒を加熱除去する方法、等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、又は押出機による溶融混練法が、生産性及び混練性の観点から好ましい。また、本実施形態のゴム改質用マスターバッチの構成材料を一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
混練の温度は、常温程度(15℃~30℃程度)でもよいが、ゴムが架橋反応しない程度に高温で加熱してもよく、例えば160℃以下、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。また下限は、好ましくは、70℃以上、又は80℃以上である。一態様において、このような下限は、セルロースナノファイバーのゴム成分への分散性を確保する観点から好ましい。一態様において、加熱温度は、好ましくは、80~160℃、又は80℃~140℃、又は80℃~120℃である。
本開示のゴム改質用マスターバッチが界面活性剤を含む場合の製造方法としては、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法を例示できる。
本開示のゴム改質用マスターバッチが界面活性剤及び液状ゴムを含む場合の製造方法としては、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法を例示できる。
上記の各方法において、セルロースナノファイバー組成物は本開示の粉体であってよい。
ゴム改質用マスターバッチが変性液状ゴムを含む場合、混練りの排出温度を、変性液状ゴムとセルロースナノファイバーとが反応する程度の高温にすることが好ましい。これにより、高い引張モジュラス及び高い弾性率を有する硬化物が得られる。この観点から好ましい混練温度は、100℃~170℃、又は120℃~160℃、又は150℃~160℃である。
ゴム改質用マスターバッチは、まとまり性、及びハンドリング性を良くするため、圧延ロールで例えば、10mm~40mm、又は10mm~30mm厚みのシートに成型することが好ましい。なお、ゴム改質用マスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、本開示で例示した以外の成分を更に含んでもよい。
<水添共役ジエン系重合体組成物>
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、ゴム成分と、セルロースナノファイバーとを含む。一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、ゴム改質用マスターバッチ由来成分と、水添共役ジエン系重合体を含む第2のゴム成分とを含むゴム組成物である。ゴム改質用マスターバッチを用いることで、ゴム中にセルロースナノファイバーが均一に分散したゴム組成物が得られる。その結果、混練工程でのゴム物性の低下防止、及び充填剤などの分散性の向上が実現し、優れた引張モジュラス及び高弾性を達成できる。一態様において、水添共役ジエン系重合体組成物は、本実施形態のゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分と、任意成分である1種以上の添加剤との混練物である。
水添共役ジエン系重合体組成物において、第1及び第2のゴム成分の合計100質量%中、上記マスターバッチ由来の第1のゴム成分の含有量は、ゴム組成物に含まれるセルロースナノファイバーの含有量が少なくなりすぎないため本発明の効果が良好に得られる点で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上記含有量は、ゴム組成物中のセルロースナノファイバーの分散性の観点から、一態様において、50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下であってよい。
水添共役ジエン系重合体組成物中のゴム成分の含有量(一態様において、第1及び第2のゴム成分の合計含有量)は、一態様において、70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上であり、一態様において、99質量%以下、又は95質量%以下、又は90質量%以下である。
[水添共役ジエン系重合体組成物の製造]
水添共役ジエン系重合体組成物は、水添共役ジエン系重合体を含むゴム成分、セルロースナノファイバー(一態様においてセルロースナノファイバー組成物として)、及び任意に添加剤(例えば、シリカ系無機充填剤、カーボンブラック、その他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等)を混合して得ることができる。水添共役ジエン系重合体組成物の構成材料を混合する方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶媒を加熱除去する方法、等が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、又は押出機による溶融混練法が、生産性及び混練性の観点から好ましい。また、本実施形態のゴム組成物の構成材料を一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
セルロースナノファイバーの分散性、硬化物の引張モジュラス及び弾性率等の特性の観点から、予め、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とセルロースナノファイバーとの混合物(マスターバッチ)を製造することが好ましい。
本開示の水添共役ジエン系重合体組成物が界面活性剤を含む場合の製造方法としては、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法を例示できる。
本開示の水添共役ジエン系重合体組成物が界面活性剤及び液状ゴムを含む場合の製造方法としては、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法を例示できる。
上記の各方法において、セルロースナノファイバー組成物は本開示の粉体であってよい。
<水添共役ジエン系重合体硬化物>
本実施形態の水添共役ジエン系重合体組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物(水添共役ジエン系重合体硬化物)としてもよい。加硫剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物等が挙げられる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。加硫剤の含有量は、ゴム成分(一態様において、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、120℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤を用いてもよい。加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下のものに限定されないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、及びジチオカルバメート系の加硫促進剤が挙げられる。また、加硫助剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、亜鉛華、及びステアリン酸が挙げられる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分(一態様において、第1及び第2のゴム成分の合計)100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。
[水添共役ジエン系重合体硬化物のモルフォロジー]
天然ゴムを用いる場合の硬化物の一態様においては、水添共役ジエン系重合体及びセルロースナノファイバーが、天然ゴムを含む連続相中に分散している。なお、水添共役ジエン系重合体が、天然ゴムを含む連続相中に分散しているとは、水添共役ジエン系重合体の、少なくとも一部、典型的には主要部(より具体的には、走査型電子顕微鏡による断面画像上で、水添共役ジエン系重合体全体の50面積%以上)、より典型的には全て(又は実質的に全て)が、当該連続相中に分散していることを意味する。水添共役ジエン系重合体が当該連続相中に分散していることは、水添共役ジエン系重合体硬化物の機械強度及び耐オゾン性において特に有利である。また、セルロースナノファイバーが、天然ゴムを含む連続相中に分散しているとは、セルロースナノファイバーの、少なくとも一部、典型的には主要部(より具体的には、走査型電子顕微鏡による断面画像上で、セルロースナノファイバー全体の50面積%以上)、より典型的には全て(又は実質的に全て)が、当該連続相中に分散していることを意味する。セルロースナノファイバーが当該連続相中に分散していることは、当該セルロースナノファイバーが水添共役ジエン系重合体硬化物中で均一に分散していることを意味し、当該硬化物の機械特性において特に有利である。
一態様において、水添共役ジエン系重合体は、メディアン径50nm以上1000nm以下で、粒子(ドメイン粒子)として当該連続相(マトリクス)中に分散している。当該メディアン径は、硬化物の機械強度向上の観点から、好ましくは、50nm以上、又は70nm以上、又は100nm以上であり、硬化物の耐オゾン性向上、及び機械強度向上の観点から、好ましくは、1000nm以下、又は900nm以下、又は800nm以下である。メディアン径は、硬化物の走査型電子顕微鏡による断面画像から求められる、水添共役ジエン系重合体の円相当径におけるD50である。
本開示は、以下の項目も包含する。
≪態様A≫
[項目1]
共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体と、
セルロースナノファイバーと、
を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目2]
共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含む第1のゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下と、
を含む、ゴム改質用マスターバッチ。
[項目3]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目2に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目4]
前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を3質量%以上60質量%以下含む、項目2又は3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目5]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目2~4のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目6]
前記ゴム改質用マスターバッチが、界面活性剤を更に含む、項目2~5のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目7]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目6に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目8]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目7に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目9]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目7又は8に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目10]
前記ゴム改質用マスターバッチが、液状ゴムを更に含む、項目6~9のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目11]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目10に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目12]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目10又は11に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目13]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目10~12のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目14]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目10~13のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目15]
前記第1のゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを10質量部以上200質量部以下含む、項目14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
[項目16]
項目2~15のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分とを含む混練物である、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目17]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対してセルロースナノファイバーを1質量部以上15質量部以下含む、項目16に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目18]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目16又は17に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目19]
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目16~18のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目20]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目19に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目21]
項目16~20のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目22]
共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目23]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目22に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目24]
前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を3質量%以上60質量%以下含む、項目22又は23に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目25]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目22~24のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目26]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、界面活性剤を更に含む、項目22~25のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目27]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目26に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目28]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目27に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目29]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目27又は28に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目30]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、液状ゴムを更に含む、項目26~29のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目31]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目32]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目30又は31に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目33]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目30~32のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目34]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目30~33のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目35]
前記ゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目34に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目36]
前記ゴム成分100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目22~35のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目37]
項目22~36のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目38]
項目6~15のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目39]
項目10~15のいずれかに記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目40]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目38又は39に記載の方法。
[項目41]
項目26~36のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目42]
項目30~36のいずれかに記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目43]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目41又は42に記載の方法。
≪態様B≫
[項目1]
水添共役ジエン系重合体を5質量%以上及び天然ゴムを含むゴム成分100質量部と、セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目2]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目1に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目3]
前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、項目1又は2記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目4]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目1~3のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目5]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、界面活性剤を更に含む、項目1~4のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目6]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目5に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目7]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目6に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目8]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目6又は7に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目9]
前記水添共役ジエン系重合体組成物が、液状ゴムを更に含む、項目5~8のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目10]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目9に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目11]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目9又は10に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目12]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目9~11のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目13]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目9~12のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目14]
前記ゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目13に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目15]
前記ゴム成分100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目1~14のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目16]
水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含む第1のゴム成分100質量部と、
セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下と、
を含む、天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目17]
前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、項目16に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目18]
前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、項目16又は17に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目19]
前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、項目16~18のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目20]
前記天然ゴム改質用マスターバッチが、界面活性剤を更に含む、項目16~19のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目21]
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、項目20に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目22]
前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、項目21に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目23]
前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
R-(OCH2CH2m-OH (1)
[式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
[式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
からなる群から選択される1種以上である、項目21又は22に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目24]
前記天然ゴム改質用マスターバッチが、液状ゴムを更に含む、項目20~23のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目25]
前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、項目24に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目26]
前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、項目24又は25に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目27]
前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、項目24~26のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目28]
前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目24~27のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目29]
前記第1のゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを10質量部以上200質量部以下含む、項目28に記載の天然ゴム改質用マスターバッチ。
[項目30]
項目16~29のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチと、天然ゴムを含む第2のゴム成分とを含む混練物である、水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目31]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対してセルロースナノファイバーを1質量部以上15質量部以下含む、項目30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目32]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、項目30又は31に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目33]
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、項目30~32のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目34]
前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、項目33に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
[項目35]
項目1~15のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目36]
項目30~34のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
[項目37]
項目5~14のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合して天然ゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記天然ゴム改質用マスターバッチと天然ゴムを含む第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目38]
項目9~14のいずれか一項に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合して天然ゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
前記天然ゴム改質用マスターバッチと天然ゴムを含む第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
を含む、方法。
[項目39]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目37又は38に記載の方法。
[項目40]
項目20~29のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目41]
項目24~29のいずれか一項に記載の天然ゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
を含む、方法。
[項目42]
前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、項目40又は41に記載の方法。
以下の具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。後述する、実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(1)実施例A
(重量平均分子量)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)を求めた。具体的な測定条件を以下に示す。下記測定用液20μLをGPC測定装置に注入して測定を行った。
(測定条件)
装置 :東ソー社製の商品名「HLC-8320GPC」
溶離液 :5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(THF)
ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、
分離カラム :東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」をこの順に連結したもの。
オーブン温度:40℃
流量 :0.6mL/分
検出器 :RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)
測定用液 :測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解した測定溶液20μLをGPC測定装置に注入
(結合スチレン量)
試料100mgを、クロロホルムで100mLに溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料であるゴム状重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した。測定装置としては島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」を用いた。
(ブタジエン部分のミクロ構造:1,2-ビニル結合量)
共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2-ビニル結合量(mol%)を求めた。測定には、日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」を用いた。
(共役ジエン系重合体の水素添加率、及びエチレン構造)
1H-NMR測定により水素添加前の重合体の不飽和結合部の積算値を得た。次いで、水添反応後の反応液に、大量のメタノールを添加することで、水添共役ジエン系重合体を沈殿させて回収した。次いで、水添共役ジエン系重合体をアセトンで抽出し、水添共役ジエン系重合体を真空乾燥した。これを、1H-NMR測定のサンプルとして用いて、水素添加率、エチレン構造、共役ジエン単量体単位を測定した。1H-NMR測定の条件を以下に記す。
(測定条件)
測定機器 :JNM-LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(共役ジエン系重合体及び水添共役ジエン系重合体のムーニー粘度)
ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
(製造例1)水素添加前の共役ジエン系重合体(SB-1)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2,700g、スチレンを300g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を30mmolと2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを4.9mmol、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n-ブチルリチウム33.2mmolを上記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、82℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを34.0mmolを添加しゴム状重合体溶液を得た。共役ジエン系重合体溶液を一部抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前の共役ジエン系重合体(SB-1)を得た。分析した結果を表1に示す。
(製造例2)水素添加前の共役ジエン系重合体(SB-2)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2,220g、スチレンを780g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を30mmolと2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを18.3mmol、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。重合開始剤として、n-ブチルリチウム26.2mmolを上記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、81℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを27.0mmolを添加しゴム状重合体溶液(B-1)を得た。共役ジエン系重合体溶液を一部抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状重合体(SB-2)を得た。分析した結果を表1に示す。
(製造例3)水素添加前の共役ジエン系重合体(SB-3)
内容積40Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを1,800g、スチレンを1,200g、シクロヘキサンを21,000g、極性物質として、テトラヒドロフラン(THF)を30mmolと2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを3.5mmol、反応器へ入れ、反応器内温を40℃に保持した。重合開始剤として、n-ブチルリチウム24.2mmolを上記反応器に供給した。
重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、最終的な反応器内の温度は、82℃に達した。この反応温度ピーク到達後から2分後に、反応停止剤としてメタノールを25.0mmolを添加しゴム状重合体溶液を得た。共役ジエン系重合体溶液を一部抜き出し、乾燥機で脱溶剤し、水素添加前のゴム状重合体(SB-3)を得た。分析した結果を表1に示す。
(水素添加触媒(TC1)の調製)
窒素置換した反応溶液に乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水添触媒(TC1)を得た。
(製造例4)水添共役ジエン系重合体(HSB-1)
製造例1で得た水素添加前のゴム状重合体溶液に、上記水素添加触媒(TC1)を、水素添加前の共役ジエン系重合体100質量部あたり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行った。得られた水添共役ジエン系重合体の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)を得た。
(製造例5)水添共役ジエン系重合体(HSB-2)
製造例2で得た水素添加前の共役ジエン系重合体体溶液に、上記水素添加触媒(TC1)を、水素添加前のゴム状重合体100質量部あたり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行った。得られた水添共役ジエン系重合体の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、水添共役ジエン系重合体(HSB-2)を得た。
(製造例6)水添共役ジエン系重合体(HSB-3)
製造例3で得た水素添加前の共役ジエン系重合体体溶液に、上記水素添加触媒(TC1)を、水素添加前のゴム状重合体100質量部あたり、Ti基準で35ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行った。得られた水添共役ジエン系重合体の溶液に酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去し、乾燥機により乾燥処理を施し、水添共役ジエン系重合体(HSB-3)を得た。
(製造例7)水添共役ジエン系重合体(HSB-4)
上記水素添加触媒(TC1)の添加量を、水素添加前のゴム状重合体100質量部あたり、Ti基準で60ppmに変えた以外は、製造例6と同様にして水添共役ジエン系重合体(HSB-4)を得た。
≪セルロースナノファイバー組成物の調製≫
表2中の各成分について、使用した製品名は以下のとおりである。
<界面活性剤-1>
花王(株)製の商品名「エマルゲン102KG」(ポリオキシエチレン(2)モノラウリルエーテル()内はオキシエチレン鎖の繰り返し数)
<界面活性剤-2>
花王(株)製の商品名「レオドールSP-O10V」(ソルビタンモノオレエート)
<液状ゴム-1>
クレイバレー社製の商品名「Ricon184」(液状ブタジエン-スチレン共重合体、Mn=8,600)
<セルロースナノファイバー>
(CNF:微小繊維状セルロース)
コットンリンターパルプ3質量部を水27質量部に浸漬させて、パルパーで分散を行った。パルパー処理したコットンリンターパルプスラリー30質量部(内、コットンリンターパルプ3質量部)に水を170質量部入れて水中に分散させて(固形分率1.5質量%)、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして該水分散体を30分間叩解処理した。それに引き続き、クリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で徹底的に叩解を行い、叩解水分散体(固形分濃度:1.5質量%)を得た。得られた叩解水分散体を、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NSO15H)を用いて操作圧力100MPa下で10回微細化処理し、微細セルロース繊維スラリー(固形分濃度:1.5質量%)を得た。そして、脱水機により固形分率10質量%まで濃縮し、CNFの濃縮ケーキを得た。
<組成物の調製手順>
(製造例1)CNF組成物(CNF-1)
上記CNF(セルロース繊維の水分散液)に精製水を加えて最終的なセルロースナノファイバーの含有量が5質量%となる水分散液とした。これに液状ゴム-1、及び界面活性剤-1を加え、最終的な組成として、水90質量%、セルロース繊維5質量%、液状ゴム2.86質量%、界面活性剤2.14質量%となるように水分散体を調製した。当該水分散体を、株式会社シンキー製自転公転ミキサーARE-310を用いて5分間混合し、セルロースナノファイバー組成物の分散液を得た。得られた分散液を、エスペック株式会社製SPH-201を用いて80℃で乾燥させ、乾燥体を得た。得られた乾燥体をラボネクト株式会社製ミニスピードミルMS-05で30秒間粉砕し、CNF組成物粉体(CNF-1)を得た。
得られた乾燥粉体の固め嵩密度をホソカワミクロン社のパウダーテスタPT-Xにて測定した。具体的には、ステンレス製100mL(内径50.46mm×深さ50mm)有底円筒容器の上部に、十分な容量の樹脂製アダプター(内径50.46mm×長さ40mm)を密着するように接続し、乾燥体を薬さじを用いて10g/分にて溢れる量まで入れた後、アダプターを接続したまま有底円筒容器に回転軸に偏心錘を取り付けたモーターで振幅1.5mm、50Hzの振動を30秒間与えた。続いて、アダプターを除き、乾燥体をすり切り後、0.01gの位で重量を測定した。当該重量の3回の測定の数平均値を上記有底円筒容器の内容積で除して、固め嵩密度として算出した。
(製造例2)CNF組成物(CNF-2)
液状ゴム-1、及び界面活性剤-1を加え、最終的な組成として、水91.15質量%、セルロース繊維5質量%、液状ゴム2.86質量%、界面活性剤0.99質量%となるように水分散体を調製した以外は、製造例1と同様の方法でCNF組成物粉体(CNF-2)を得た。
(製造例3)CNF組成物(CNF-3)
界面活性剤-1を加え、最終的な組成として、水92.86質量%、セルロース繊維5質量%、界面活性剤2.14質量%となるように水分散体を調製した以外は、製造例1と同様の方法でCNF組成物粉体(CNF-3)を得た。
(製造例4)CNF組成物(CNF-4)
界面活性剤-2を加え、最終的な組成として、水92.86質量%、セルロース繊維5質量%、界面活性剤2.14質量%となるように水分散体を調製した以外は、製造例1と同様の方法でCNF組成物粉体(CNF-4)を得た。
≪マスターバッチの製造≫
表3中の液状ゴムについて、使用した製品名は以下のとおりである。
<液状ゴム>
LR-1:クレイバレー社製 Ricon131MA20(無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン、Mn=5,600、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は11個)
LR-2:クレイバレー社製 Ricon184MA6(無水マレイン酸変性液状スチレンブタジエン共重合体、Mn=9,100、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は6個)
LR―3:クラレ社製 LIR-403(無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、Mn=34000、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は3個)
<シリカ>
エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」(窒素吸着比表面積170m2/g)
(製造例1)ゴム改質用マスターバッチ(MB-1)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整してゴム改質用マスターバッチ(MB-1)を得た。
(製造例2~7)ゴム改質用マスターバッチ(MB-2~MB-7)
ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた原料(水添共役ジエン系重合体とCNF組成物)及び配合量を表3に示すとおりに変更した以外は、製造例1と同様の方法でゴム改質用マスターバッチ(MB-2~MB-7)を得た。
(製造例8)ゴム改質用マスターバッチ(MB-8)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を1分間混練りしたのち、変性液状ポリイソプレン(LR-3)10質量部を加えて混練りした。密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整してゴム改質用マスターバッチ(MB-8)を得た。
(製造例9~11)ゴム改質用マスターバッチ(MB-9~MB-11)
ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた原料(水添共役ジエン系重合体とCNF組成物、液状ゴム)及び配合量を表3に示すとおりに変更した以外は、製造例8と同様の方法でゴム改質用マスターバッチ(MB-9~MB-11)を得た。
(製造例12)ゴム改質用マスターバッチ(MB-12)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、共役ジエン系重合体(SB-1)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整してゴム改質用マスターバッチ(MB-12)を得た。
(製造例13、14)ゴム改質用マスターバッチ(MB-13、14)
ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた原料(共役ジエン系重合体とCNF組成物)及び配合量を表3に示すとおりに変更した以外は、製造例12と同様の方法でゴム改質用マスターバッチ(MB-13、14)を得た。
≪水添共役ジエン系重合体組成物の調製≫
表4~7中の各成分について、使用した製品名は以下のとおりである。
<液状ゴム>
LR-1:クレイバレー社製の商品名「Ricon131MA20」(無水マレイン酸変性液状ポリブタジエン、Mn=5,600、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は11個)
LR-2:クレイバレー社製の商品名「Ricon184MA6」(無水マレイン酸変性液状スチレンブタジエン共重合体、Mn=9,100、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は6個)
LR―3:クラレ社製の商品名「LIR-403」(無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、Mn=34,000、1分子鎖あたりの無水マレイン酸の数は3個)
<シリカ>
エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」(窒素吸着比表面積170m2/g)
<カーボンブラック>
東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」
<S-RAEオイル>
JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」
<シランカップリング剤>
エボニック デグサ社製の商品名「Si75」(ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
<亜鉛華>
堺化学工業社製の商品名「酸化亜鉛」
<ステアリン酸>
花王社製の商品名「ルナック S-90V」)
<老化防止剤>
大内新興化学(株)製の商品名「ノクラック6C」(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
<ワックス>
大内新興化学社製の商品名「サンノック」
<硫黄>
鶴見化学工業社製「サルファックス 200S」(粉末硫黄)
<加硫促進剤-1>
大内新興化学(株)製の商品名「ノクセラーCZ」(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
<加硫促進剤-2>
大内新興化学(株)製の商品名「ノクセラーD」(1,3-ジフェニルグアニジン)
加硫前の共役ジエン系重合体組成物(ゴム組成物)、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物(硬化物)の特性を下記の方法により評価した。
(セルロースナノファイバーの分散性)
共役ジエン系重合体組成物の硬化物を加硫プレス用金型に入れた状態で、表面上の5cm四方の領域について目視にて、セルロースナノファイバーの分散状態を下記の基準で評価した。
A:凝集物が目視確認できない
B:凝集物が少数(1~10個)確認される。
C:凝集が多数(11個以上)確認される。
(加工性:配合物ムーニー粘度)
上記で得た第二段の混練り後、かつ、後述の第三段の混練り前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300-1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
比較例7の結果を100として指数化した。指数が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(引張強度、引張モジュラス及び引張伸び)
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度、引張モジュラス(100%モジュラス及び200%モジュラス)及び引張伸びを測定し、比較例7の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度、引張モジュラス、引張伸びが良好であることを示す。
(硬さ)
JIS K6253の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に従って、タイプAデュロメーターにより、加硫物の硬さを測定した。測定は、25℃で行った。比較例7の結果を100として指数化した。指数が大きいほど硬さが良好であることを示す。
ることを示す。
(貯蔵弾性率)
TAインスツルメント社製 粘弾性試験装置ARES-G2を用いて、ねじり方式により、25℃、周波数10Hz、歪み1%における貯蔵弾性率を評価した。比較例7の結果を100として指数化した。指数が大きいほど貯蔵弾性率が高いことを示す。
(耐オゾン性)
得られた硬化物を用いて、以下に示す試験法でオゾン耐性を測定した。
160℃で15~30分間の条件で、所定の金型(縦15cm×横15cm×厚み2.0mm)により加硫プレスした加硫ゴムシートから、短冊状サンプル(長さ6cm×幅1cm×厚み2.0mm)を打ち抜き、オゾン槽(50℃、100pphm)に入れ、20%伸張の状態で48時間静置した。その後、短冊状サンプル(加硫ゴムシート)を観察し、表面に存在する長さ1mm以上の亀裂の個数を数えた。そして、以下の基準により評価した。
[判定基準]
不良:加硫ゴムシートが破断
可:1mm以上の亀裂が21個以上
良:1mm以上の亀裂が10個以上20個以下
優:1mm以上の亀裂が1個以上10個未満
(実施例1~14、及び比較例1~3)
表4、5に示すマスターバッチ、水添共役ジエン系重合体、及び共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表4に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(水添共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体)、充填剤(シリカ、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、CNF又は充填剤(シリカ、カーボンブラック)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表4、5に示す。
(比較例4)
表4、5に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表4、5に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-2)、シリカ、シランカップリング剤、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表4、5に示す。
(実施例15~21)
表6、7に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表6、7に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)、セルロースナノファイバー組成物、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の水添共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表6、7に示す。
(実施例22~23)
表6、7に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表6、7に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、原料ゴム(水添共役ジエン系重合体)、セルロースナノファイバー組成物、補強性充填剤(シリカ、カーボンブラック)、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、セルロースナノファイバーと補強性充填剤(シリカ、カーボンブラック)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表6、7に示す。
(実施例24~28)
表6、7に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表6、7に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、原料ゴム(水添共役ジエン系重合体)、セルロースナノファイバー組成物、変性液状ゴム、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、CNF又は充填剤(シリカ、カーボンブラック)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表6、7に示す。
(比較例5~7)
表6、7に示す共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表6、7に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、共役ジエン系重合体、セルロースナノファイバー組成物、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表6、7に示す。
(実施例29~33、比較例8~10)
表8に示す水添共役ジエン系重合体、天然ゴム、ポリブタジエンを原料ゴム成分として、表8に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、原料ゴム(水添共役ジエン系重合体、天然ゴム、ポリブタジエン)、セルロースナノファイバー組成物、変性液状ゴム、プロセスオイル、ワックス、亜鉛華、ステアリン酸を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で各共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1,加硫促進剤-2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫前の共役ジエン系重合体組成物、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表8に示す。
表4~表8に示す通り、実施例1~28で得られた水添共役ジエン系重合体組成物は、比較例1~7で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、配合物ムーニー粘度が低くゴム組成物の加工性に優れることが確認された。
また、実施例1~28で得られた水添共役ジエン系重合体組成物は、比較例1~7で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、耐オゾン性に優れ、高い引張強度と高い引張モジュラス、及び高い弾性率を有することが確認された。
また、実施例1~14で得られたマスターバッチを用いた共役ジエン系重合体組成物は、実施例15~28で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、マスターバッチを使用することによる物性向上が確認された。
また実施例10~14、及び実施例24~28で得られた水添共役ジエン系重合体組成物は、実施例1~9、及び実施例15~23で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、高い引張強度と高い引張モジュラス、及び高い弾性率を有することが確認され、変性液状ゴムを配合することによる物性向上が確認された。
更に、実施例29~33で得られた水添共役ジエン系重合体組成物は、比較例8~10で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、高い引張強度と高い引張モジュラス、及び高い弾性率を有することが確認され、天然ゴム、ポリブタジエンを配合した配合物でも物性向上が確認された。
(2)実施例B
(重量平均分子量)、(結合スチレン量)、(ブタジエン部分のミクロ構造:1,2-ビニル結合量)、(共役ジエン系重合体の水素添加率、及びエチレン構造)、(共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物のムーニー粘度)の評価手順は、実施例Aと同様である。
(製造例1)水素添加前の共役ジエン系重合体(SB-2)
実施例AのSB-2と同様である。
(水素添加触媒(TC1)の調製)
実施例Aと同様である。
(製造例2)水添共役ジエン系重合体(HSB-1)
実施例Aの製造例1と同様の手順で水素添加前のゴム状重合体溶液を得た後、実施例Aの製造例4と同様の手順で水添共役ジエン系重合体(HSB-1)を得た。
(製造例3)水添共役ジエン系重合体(HSB-2)
製造例1で得た水素添加前の共役ジエン系重合体溶液から、実施例Aの製造例5と同様の手順にて、水添共役ジエン系重合体(HSB-2)を得た。
(製造例4)水添共役ジエン系重合体(HSB-5)
上記水素添加触媒(TC1)の添加量を、水素添加前のゴム状重合体100質量部あたり、Ti基準で30ppmに変えた以外は、製造例2と同様にして水添共役ジエン系重合体(HSB-5)を得た。
≪セルロースナノファイバー組成物の調製≫
表9中の各成分について、<界面活性剤-1>、<界面活性剤-2>、<液状ゴム-1>、<セルロースナノファイバー>は、実施例Aと同様である。
<組成物の調製手順>
(製造例1)CNF組成物(CNF-1)
実施例Aと同様である。
(製造例2)CNF組成物(CNF-2)
液状ゴム-1、及び界面活性剤-1を加え、最終的な組成として、水91.43質量%、セルロース繊維5質量%、液状ゴム2.86質量%、界面活性剤0.71質量%となるように水分散体を調製した以外は、製造例1と同様の方法でCNF組成物粉体(CNF-2)を得た。
(製造例3)CNF組成物(CNF-3)
実施例AのCNF-3と同様である。
(製造例4)CNF組成物(CNF-4)
実施例AのCNF-4と同様である。
≪マスターバッチの製造≫
表10中の液状ゴムは、実施例Aと同様である。
(製造例1)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-1)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-2)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整して天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-1)を得た。
(製造例2~5)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-2~MB-5)
天然ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた原料(水添共役ジエン系重合体とCNF組成物)及び配合量を表10に示すとおりに変更した以外は、製造例1と同様の方法で天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-2~MB-5)を得た。
(製造例6)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-6)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を1分間混練りしたのち、変性液状ポリイソプレン(LR-3)50質量部を加えて混練りした。密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整して天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-6)を得た。
(製造例7~8)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-7~MB-8)
天然ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた原料(水添共役ジエン系重合体とCNF組成物、液状ゴム)及び配合量を表10に示すとおりに変更した以外は、製造例6と同様の方法で天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-7~MB-8)を得た。
(製造例9)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-9)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、共役ジエン系重合体(SB-2)100質量部、CNF組成物(CNF-1)50質量部を混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃でゴム組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、CNFの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、密閉式混合機の温度を制御し、排出温度を155~160℃に調整して天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-9)を得た。
(製造例10)天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-10)
天然ゴム改質用マスターバッチの製造に用いた水添共役ジエン系重合体を表10に示すとおりに変更した以外は、製造例9と同様の方法で天然ゴム改質用マスターバッチ(MB-10)を得た。
≪水添共役ジエン系重合体組成物の調製≫
表11及び表12中の各成分について、使用した製品名は以下のとおりである。
<天然ゴム>
RSS No.3(生産者:UNIMAC RUBBER CO.,LTD.(タイ)、供給者:丸紅テクノラバー)
<液状ゴム>、<シリカ>、<カーボンブラック>、<シランカップリング剤>、<亜鉛華>、<ステアリン酸>、<老化防止剤>、<ワックス>、<硫黄>、<加硫促進剤-1>、<加硫促進剤-2>の製品名は、実施例Aと同様である。
加硫前の共役ジエン系重合体組成物(ゴム組成物)、及び加硫後の共役ジエン系重合体組成物(硬化物)の特性を下記の方法により評価した。
(セルロースナノファイバーの分散性)
実施例Aと同様に評価した。
(引張強度、引張モジュラス及び引張伸び)
実施例Aと同様に測定し、比較例1の結果を100として指数化した。
(硬さ)
実施例Aと同様に測定し、比較例1の結果を100として指数化した。
(貯蔵弾性率)
実施例Aと同様に測定し、比較例1の結果を100として指数化した。
(耐オゾン性)
得られた硬化物を用いて、以下に示す試験法でオゾン耐性を測定した。
160℃で10~20分間の条件で、所定の金型(縦15cm×横15cm×厚み2.0mm)により加硫プレスした加硫ゴムシートから、短冊状サンプル(長さ6cm×幅1cm×厚み2.0mm)を打ち抜き、オゾン槽(50℃、100pphm)に入れ、15%伸張の状態で48時間静置した。その後、短冊状サンプル(加硫ゴムシート)を観察し、表面に存在する長さ1mm以上の亀裂の個数を数えた。そして、以下の基準により評価した。
[判定基準]
不良:加硫ゴムシートが破断
可:1mm以上の亀裂が21個以上
良:1mm以上の亀裂が10個以上20個以下
優:1mm以上の亀裂が1個以上10個未満
(モルフォロジー)
高分解能走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、SU8220)を用いて、硬化物の断面モルフォロジーを観察した。クライオミクロトーム(Leica製UC7)を用いて、ダイヤモンドナイフにより、-120℃で硬化物を切削し、平滑な断面を作製した後、四酸化オスミウムによる電子染色を行い、観察試料を得た。カーボンペーストを用いて観察試料を試料台にマウントした後、導通処理としてオスミウムコーティングを実施した。高分解能走査型電子顕微鏡による観察条件として、加速電圧2kV、ワーキングディスタンス約4mm、Upper検出器(LA100)を選択し、組成コントラストを強調した反射電子像を取得した。得られた断面画像に対し、ImageJを用いて画像処理を行い、2値化処理によって島部のサイズを計測した。島部のサイズを円に換算した時の直径を島部のサイズとし、島部のメディアン径(D50)を算出した。そして、以下の基準により評価した。
[判定基準]
不良:島部が存在せず、又は、島部は存在するがセルロースナノファイバーが島部にある。
可:セルロースナノファイバーが連続相(海部)中に分散しており、且つ、島部のD50が50nm未満又は1000nm超である。
良:セルロースナノファイバーが連続相(海部)中に分散しており、且つ、島部のD50が50nm以上1000nm以下である。
(実施例1~5)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例6)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、補強性充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(シリカ)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1、加硫促進剤―2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例7)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、補強性充填剤(カーボンブラック)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(カーボンブラック)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例8~10)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例11)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、補強性充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(シリカ)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1、加硫促進剤―2を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例12)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(比較例1)
表11に示すマスターバッチ、及び天然ゴムを原料ゴム成分として、表11に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、マスターバッチ、原料ゴム(天然ゴム)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練した。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練りした。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。結果を表11に示す。
(実施例13~17)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1またはHSB-2)、原料ゴム(天然ゴム)、セルロースナノファイバー組成物、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例18)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)、原料ゴム(天然ゴム)、セルロースナノファイバー組成物、補強性充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(シリカ)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1、加硫促進剤-2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例19)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)、原料ゴム(天然ゴム)、セルロースナノファイバー組成物、補強性充填剤(カーボンブラック)、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(カーボンブラック)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例20~22)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1またはHSB-2)、原料ゴム(天然ゴム)、変性液状ゴム、セルロースナノファイバー組成物、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例23)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-1)、原料ゴム(天然ゴム)、変性液状ゴム、セルロースナノファイバー組成物、補強性充填剤(シリカ)、シランカップリング剤、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバー及び補強性充填剤(シリカ)の分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1、加硫促進剤-2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(実施例24)
表12に示す水添共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして水添共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、水添共役ジエン系重合体(HSB-5)、原料ゴム(天然ゴム)、変性液状ゴム、セルロースナノファイバー組成物、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で水添共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の水添共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
(比較例2)
表12に示す共役ジエン系重合体を原料ゴム成分として、表12に示す配合に従い、次の方法により混練りして共役ジエン系重合体組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.35L)を使用し、第一段の混練りとして、充填率65%、ローター回転数30~70rpmの条件で、共役ジエン系重合体(SB-2)、原料ゴム(天然ゴム)、セルロースナノファイバー組成物、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤、ワックスを混練りした。このとき、密閉混合器の温度を制御し、排出温度は155~160℃で共役ジエン系重合体組成物(配合物)を得た。
次に第二段の混練りとして、上記で得た配合物を室温まで冷却後、セルロースナノファイバーの分散を向上させるため再度混練りした。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155~160℃に調整した。冷却後、第三段の混練りとして、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤-1を加えて混練した。その後、成型し、160℃で15分間、加硫プレスにて加硫した。加硫後の共役ジエン系重合体組成物の特性を評価した。その結果を表12に示す。
表11、及び表12に示す通り、実施例1~24で得られた水添共役ジエン系重合体組成物は、比較例1~2で得られた共役ジエン系重合体組成物と比較して、加硫物としたときにセルロースナノファイバーの分散性に優れ、高い引張モジュラスと高い弾性率を有し、且つ耐オゾン性に優れることが確認された。
本発明の水添共役ジエン系重合体組成物は、例えば、自動車の内装品及び外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品などの用途に好適に使用される。当該水添共役ジエン系重合体組成物は、特に、ゴム又は柔軟なプラスチックが用いられている部材への適用が可能であり、タイヤへの適用が好適である。タイヤ用途としては例えば、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用などのタイヤのトレッド及びサイドウォールが挙げられる。

Claims (59)

  1. 水添共役ジエン系重合体と、セルロースナノファイバーとを含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
  2. 前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、請求項1に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  3. 水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含む第1のゴム成分100質量部と、
    セルロースナノファイバー15質量部以上100質量部以下と、
    を含む、ゴム改質用マスターバッチ。
  4. 前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  5. 前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  6. 前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  7. 前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含む、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  8. 前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
    0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
    の関係を満たす、請求項7に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  9. 前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  10. 前記ゴム改質用マスターバッチが、界面活性剤を更に含む、請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  11. 前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、請求項10に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  12. 前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、請求項11に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  13. 前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
    R-(OCH2CH2m-OH (1)
    [式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
    1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
    [式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
    からなる群から選択される1種以上である、請求項11に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  14. 前記ゴム改質用マスターバッチが、液状ゴムを更に含む、請求項10に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  15. 前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、請求項14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  16. 前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、請求項14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  17. 前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  18. 前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、請求項14に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  19. 前記第1のゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを10質量部以上200質量部以下含む、請求項18に記載のゴム改質用マスターバッチ。
  20. 請求項3に記載のゴム改質用マスターバッチと、第2のゴム成分とを含む混練物である、水添共役ジエン系重合体組成物。
  21. 前記第2のゴム成分が天然ゴムを含む、請求項20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  22. 前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対してセルロースナノファイバーを1質量部以上15質量部以下含む、請求項20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  23. 前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、請求項20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  24. 不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、請求項20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  25. 前記第1のゴム成分と前記第2のゴム成分との合計100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、請求項24に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  26. 請求項20に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
  27. 請求項21に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物であって、
    前記水添共役ジエン系重合体及び前記セルロースナノファイバーが、前記天然ゴムを含む連続相中に分散している、水添共役ジエン系重合体硬化物。
  28. 前記水添共役ジエン系重合体が、メディアン径50nm以上1000nm以下の粒子として前記連続相中に分散している、請求項27に記載の水添共役ジエン系重合体硬化物。
  29. 水添共役ジエン系重合体を50質量%以上含むゴム成分100質量部と、
    セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
    を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
  30. 水添共役ジエン系重合体を5質量%以上及び天然ゴムを含むゴム成分100質量部と、
    セルロースナノファイバー1質量部以上15質量部以下と、
    を含む、水添共役ジエン系重合体組成物。
  31. 前記水添共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する構造単位の水素添加率が30モル%以上99モル%以下である水添共役ジエン系重合体である、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  32. 前記水添共役ジエン系重合体の溶解度パラメータ(SP値)が、16.8(MPa)1/2以上、17.6(MPa)1/2以下である、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  33. 前記水添共役ジエン系重合体の重量平均分子量が、20万以上200万以下である、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  34. 前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含む、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  35. 前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
    0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
    の関係を満たす、請求項34に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  36. 前記セルロースナノファイバーがイオン性基を有さない、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  37. 前記水添共役ジエン系重合体組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  38. 前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、請求項37に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  39. 前記ノニオン性界面活性剤が、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、及びアミノ基からなる群から選択される親水基と、炭化水素基とを有する化合物である、請求項38に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  40. 前記ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(1):
    R-(OCH2CH2m-OH (1)
    [式中、Rは炭素数6~30の1価の脂肪族基を表し、そしてmはRの炭素数よりも小さい自然数である。]で表される化合物、及び下記一般式(2):
    1OCH2-(CHOH)4-CH2OR2 (2)
    [式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、炭素数1~30の脂肪族基、-COR3{式中、R3は、炭素数1~30の脂肪族基を表す。}、又は-(CH2CH2O)y-R4{式中、R4は、水素原子、又は炭素数1~30の脂肪族基を表し、そしてyは1~30の整数である。}を表す。]で表される化合物、
    からなる群から選択される1種以上である、請求項38に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  41. 前記水添共役ジエン系重合体組成物が、液状ゴムを更に含む、請求項37に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  42. 前記液状ゴムの数平均分子量が、1,000~80,000である、請求項41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  43. 前記液状ゴムの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が、1.5~5である、請求項41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  44. 前記液状ゴムが、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴム並びにこれらの水素添加物からなる群から選択される1種以上を含む、請求項41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  45. 前記液状ゴムが、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性した変性液状ゴムを含む、請求項41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  46. 前記ゴム成分100質量部に対して前記変性液状ゴムを1質量部以上25質量部以下含む、請求項45に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  47. 前記ゴム成分100質量部に対して補強性充填剤を10質量部以上80質量部以下含む、請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物。
  48. 請求項29又は30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物。
  49. 請求項30に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の硬化物である、水添共役ジエン系重合体硬化物であって、
    前記水添共役ジエン系重合体及び前記セルロースナノファイバーが、前記天然ゴムを含む連続相中に分散している、水添共役ジエン系重合体硬化物。
  50. 前記水添共役ジエン系重合体が、メディアン径50nm以上1000nm以下の粒子として前記連続相中に分散している、請求項49に記載の水添共役ジエン系重合体硬化物。
  51. 請求項10に記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
    セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
    前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
    を含む、方法。
  52. 請求項14に記載のゴム改質用マスターバッチの製造方法であって、
    セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、及び
    前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合する工程、
    を含む、方法。
  53. 前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、請求項51又は52に記載の方法。
  54. 請求項37に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
    セルロースナノファイバーと界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
    前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
    前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
    を含む、方法。
  55. 請求項41に記載の水添共役ジエン系重合体組成物の製造方法であって、
    セルロースナノファイバーと、液状ゴムと、界面活性剤とを含むセルロースナノファイバー組成物を調製する工程、
    前記セルロースナノファイバー組成物と、水添共役ジエン系重合体を含む第1のゴム成分とを混合してゴム改質用マスターバッチを調製する工程、及び
    前記ゴム改質用マスターバッチと第2のゴム成分とを混合して水添共役ジエン系重合体組成物を調製する工程、
    を含む、方法。
  56. 前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、請求項54に記載の方法。
  57. 前記セルロースナノファイバー組成物が粉体である、請求項55に記載の方法。
  58. 前記水添共役ジエン系重合体が、芳香族ビニル単量体単位を含み、
    前記第2のゴムが、天然ゴムを含む、請求項54に記載の方法。
  59. 前記水添共役ジエン系重合体がスチレン単位を含み、前記水添共役ジエン系重合体のスチレン単位含有率Stと水素添加率Hとが、下記式:
    0.297×St+29.1≦H≦0.0877×St+84.7
    の関係を満たす、請求項58に記載の方法。
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