JP2024051400A - 粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法 - Google Patents

粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】軟質な粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適した積層フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】積層フィルムの製造方法は、用意工程と、外形加工工程とを含む。用意工程では、フィルム層10と、粘着剤層20と、フィルム層30とを厚さ方向Hにこの順で備える長尺のワークフィルムWを用意する。粘着剤層20は、25℃において100kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有する。外形加工工程では、ワークフィルムWに対してフィルム層30側からレーザー光Lを照射および走査して、フィルム層10上で粘着剤層20およびフィルム層30を切断する。外形加工工程において、ワークフィルムWに照射されるレーザー光Lのスポット径は50μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法に関する。
ディスプレイパネルは、例えば、画素パネル、偏光フィルム、タッチパネルおよびカバーフィルムなどの要素を含む積層構造を有する。そのようなディスプレイパネルの製造過程では、積層構造に含まれる要素どうしの接合のために、例えば、光学的に透明な粘着シート(光学粘着シート)が用いられる。光学粘着シートは、同シートの両面がはく離ライナーで被覆された形態(粘着剤層を有する積層フィルムの形態)で製造される。
一方、例えばスマートフォン用およびタブレット端末用に、繰り返し折り曲げ可能(フォルダブル)なディスプレイパネルの開発が進んでいる。フォルダブルディスプレイパネルは、具体的には、屈曲形状とフラットな非屈曲形状との間で、繰り返し変形可能である。このようなフォルダブルディスプレイパネルでは、積層構造中の各要素が、繰り返し折り曲げ可能に作製されており、そのような要素間の接合に薄い光学粘着シートが用いられている。フォルダブルディスプレイパネルなどフレキシブルデバイス用の光学粘着シートについては、例えば下記の特許文献1に記載されている。
特開2018-111754号公報
ディスプレイパネル用の光学粘着シートは、従来、例えば次のようにして製造される。
まず、図6Aに示すように、長尺の原反シートとしての積層シート90を用意する。積層シート90は、はく離ライナー91と、粘着剤層92と、はく離ライナー93とを、厚さ方向Hにこの順で有する。はく離ライナー91は、粘着剤層92の一方面に剥離可能に接している。はく離ライナー93は、粘着剤層92の他方面に剥離可能に接している。このような積層シート90が、例えばキャリアフィルム(図示略)上に支持された状態で、製造ラインを流される。
次に、図6Bに示すように、積層シート90の粘着剤層92に対するプレス加工により、複数の枚葉状の光学粘着シート92Aを形成する。プレス加工では、図7に示すように、積層シート90に対して、刃型100の刃101を、はく離ライナー93側からはく離ライナー91に至るまで押し入れる。これにより、所定の平面視形状の光学粘着シート92Aを形成する。本工程では、粘着剤層92における光学粘着シート92Aまわりに、周囲部92aが生ずる。はく離ライナー93もプレス加工されて、光学粘着シート92Aと同一の平面視形状のはく離ライナー93Aが形成され、はく離ライナー93Aまわりに周囲部93aが生ずる。本工程では、図8に示すように、積層シート90において切断溝95が形成される。切断溝95は、粘着剤層92およびはく離ライナー93に押し入る刃101(図7)が、粘着剤層92およびはく離ライナー93を面方向Dに押圧することより、形成される。はく離ライナー91上で隣り合う光学粘着シート92Aおよび周囲部92aの端縁部T,Tは、互いに対向する。
図9は、従来のプレス加工工程の一例を表す。図9に示すプレス加工工程では、製造ラインを流れる積層シート90が、一対のニップローラ201,201間と、プレス加工機202と、一対のニップローラ203,203間とを、この順で通過する。プレス加工機202は、間欠送り装置と、加工ステージと、同ステージの上方に配置された刃型とを備える(いずれも図示略)。一対のニップローラ201,201とプレス加工機202との間では、積層シート90は弛ませられる。プレス加工機202と一対のニップローラ203,203との間では、積層シート90は弛ませられる。ニップローラ201,201とニップローラ203,203との間では、積層シート90は、プレス加工機202の間欠送り装置によって間欠的に送られる。これにより、積層シート90における未加工領域が、プレス加工機202の加工ステージ上に間欠的に供給される。加工ステージ上では、間欠的に供給される積層シート90の未加工領域ごとに、刃型によるプレス加工が実施される。
このようなプレス加工工程の後、図6Cに示すように、はく離ライナー91上から周囲部92a,93aを除去する(除去工程)。この後、図6Dに示すように、長尺のはく離ライナー91が枚葉状のはく離ライナー91Aに切断される。これにより、粘着剤層を有する枚葉状の積層フィルム(はく離ライナー91A/光学粘着シート92A/はく離ライナー93A)が得られる。
フレキシブルデバイス用の光学粘着シートには、デバイス屈曲時の被着体への充分な追従性と、優れた応力緩和性とを有するように、高度に軟質であることが求められる。しかしながら、上述の従来の製造方法では、粘着剤層92が軟質なほど、プレス加工工程(図6B)後に、はく離ライナー91上で隣り合う光学粘着シート92Aおよび周囲部92aの端縁部T,Tが、図8において一点鎖線で示すように、それぞれ外方に膨らむように変形しやすい。具体的には、プレス加工時の刃101の押し入りによって間が開いた端縁部T,Tは、元の位置に復帰するように変形しやすい(復帰的変形)。
加えて、従来の製造方法では、プレス加工機202を経た積層シート90が一対のニップローラ203,203(図9)によって挟まれる時、積層シート90に対して厚さ方向Hに圧力が作用して、端縁部T,T(図8)が外方に膨らむように変形しやすい。
このような端縁部Tの変形は、隣り合う端縁部T,Tどうしが接触して付着すること(ブロッキング)の原因となる。端縁部T,T間にブロッキングが生じると、除去工程(図6C)において、周囲部92a,93aを適切に除去できない。端縁部T,T間のブロッキングは、粘着剤層を有する積層フィルムの製造歩留まりを低下させる。
本発明は、軟質な粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適した積層フィルムの製造方法を提供する。
本発明[1]は、粘着剤層を有する積層フィルムのロールトゥロール方式の製造方法であって、第1フィルム層と、粘着剤層と、第2フィルム層とを厚さ方向にこの順で備える長尺のワークフィルムを用意する用意工程と、前記ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射および走査して、前記第1フィルム層上で前記粘着剤層および前記第2フィルム層を切断する、外形加工工程とを含み、前記粘着剤層は、25℃において100kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、前記外形加工工程において、前記ワークフィルムに照射されるレーザー光のスポット径は50μm以上である、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
本製造方法の外形加工工程においては、上記のように、25℃でのせん断貯蔵弾性率が100kPa以下の柔らかい粘着剤層に対して、スポット径50μm以上のレーザー光が照射されることにより、粘着剤層が切断される。粘着剤層に対してレーザー光が照射された部分では、粘着剤層の材料が蒸発して除去される。すなわち、外形加工工程では、粘着剤層の部分的除去により、当該粘着剤層において、個片化された粘着剤層とその周りの周囲部とが、隔てられて形成される。粘着剤層はプレス刃の押し入りによって粘着剤層とその周囲部とに切断されるのではないので、粘着剤層と周囲部の上述の復帰的変形が生じない。加えて、レーザー光のスポット径が50μm以上であることは、粘着剤層と周囲部との間に長い離隔距離を確保するのに適する。このような外形加工工程は、軟質であるために変形しやすい粘着剤層と周囲部との間で上述のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。
また、外形加工工程では、上記のように、粘着剤層を有する積層フィルムの当該粘着剤層は、レーザー加工によって外形加工される。レーザー加工は、ワークフィルムを連続的に流しながら粘着剤層を連続的に外形加工するのに適する(粘着剤層の外形加工のためにワークフィルムを間欠的に送る必要がない)。したがって、本製造方法は、粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適する。
以上のように、本製造方法は、軟質な粘着剤層を有する積層フィルムを効率よく製造するのに適する。
本発明[2]は、前記スポット径は700μm以下である、上記[1]に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
本製造方法において、外形加工工程でのレーザー光のスポット径が700μm以下であることは、外形加工工程でのハーフカットによって除去される部分の幅(エッジ幅)が大きくなりすぎないようにする観点から好ましい。
本発明[3]は、前記外形加工工程において、前記レーザー光の照射のトータルエネルギーをE(μJ/mm)とし、前記スポット径をD(μm)とし、前記ワークフィルムに対する切断深さをL(μm)とするとき、E/(L×D)の値が1以上20以下である、上記[1]または[2]に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
このような構成は、第1フィルム層上の粘着剤層および第2フィルム層の合計厚さに応じて、第2フィルム層側から第1フィルム層に至るまで適切に切断(ハーフカット)するのに好ましい。
本発明[4]は、前記外形加工工程において、前記レーザー光による切断速度をR(mm/秒)とし、前記レーザー光のパルスの周波数をF(kHz)とし、前記スポット径をD(μm)とするとき、R/(F×D)の値が1以下である、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
このような構成は、粘着剤層および第2フィルム層において生ずる、レーザー加工による切断端面の、凸凹を抑制するのに好ましい。切断端面の凸凹の抑制は、切断不良を抑制するのに役立ち、また、製造される積層フィルムの端部の品位を確保するのに役立つ。
本発明[5]は、前記レーザー光はCOレーザーである、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
COレーザーは、材質および光学特性(吸光度など)の異なる粘着剤層と第2フィルム層とを共に切断するのに好ましい。
本発明[6]は、前記外形加工工程では、前記ワークフィルムを吸着可能な加工ステージによって前記ワークフィルムの前記第1フィルム層側を吸引しつつ、当該ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射する、上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
このような構成は、外形加工工程において、ワークフィルムに対してレーザー光の焦点を高精度に合わせるのに好ましく、従って、ワークフィルムを高精度にレーザー加工するのに好ましい。
本発明[7]は、前記外形加工工程では、前記ワークフィルムを吸着可能な加工ステージによって前記ワークフィルムの前記第1フィルム層側を吸引しつつ、当該ワークフィルムを長さ方向に前記加工ステージ上をスライド走行させ、当該ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射して、前記第1フィルム層上で前記粘着剤層および前記第2フィルム層を切断する、上記[1]から[6]のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法を含む。
このような構成は、外形加工工程において、製造ラインを連続的に流れるワークフィルムに対してレーザー光の焦点を高精度に合わせるのに好ましく、従って、ワークフィルムを効率的かつ高精度にレーザー加工するのに好ましい。
本発明の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法の一実施形態の工程を表す。図1Aは積層フィルムを用意する工程を表し、図1Bは外形加工工程を表し、図1Cは除去工程を表し、図1Dは切断工程を表す。 外形加工工程を表す斜視図である。 外形加工工程を表す断面図である。 レーザー加工ユニットの内部構成の模式図である。 ガルバノスキャナの一例の斜視図である。 従来の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法の一例を表す。図6Aは積層シートを用意する工程を表し、図6Bはプレス加工工程を表し、図6Cは除去工程を表し、図6Dは切断工程を表す。 刃型によるプレス加工工程を表す。 プレス加工工程後の切断箇所の部分拡大断面模式図である。 従来のプレス加工工程の一例を表す。
本発明の一実施形態の積層フィルムの製造方法は、粘着剤層を有する枚葉状の積層フィルムのロールトゥロール方式での製造方法である。本製造方法は、図1Aから図1Dに示すように、用意工程(図1A)と、外形加工工程(図1B)と、除去工程(図1C)と、切断工程(図1D)とを含む。
用意工程では、図1Aに示すように、長尺の原反フィルムとしての積層フィルムXを用意する。本製造方法を実施する製造ラインにおいて、積層フィルムXは、キャリアフィルムC上に用意される。
積層フィルムXは、フィルム層10(第1フィルム層)と、粘着剤層20と、フィルム層30(第2フィルム層)とを、厚さ方向Hにこの順で備える。粘着剤層20は、第1面20aと、当該第1面20aとは反対の第2面20bとを有する。フィルム層10は第1面20aに接している。フィルム層30は第2面20bに接している。積層フィルムXは、厚さ方向Hと直交する面方向に広がる。
キャリアフィルムCは、厚さ方向Hの一方側に粘着面を有する片面粘着フィルムである。キャリアフィルムCおよび積層フィルムXは、ワークフィルムWを形成する。ワークフィルムWにおいて、キャリアフィルムCの粘着面が積層フィルムXのフィルム層10側に貼り合わせられている。ワークフィルムWは、具体的には、キャリアフィルムCと、フィルム層10と、粘着剤層20と、フィルム層30とを厚さ方向Hにこの順で備える。また、キャリアフィルムCは、本実施形態では、ワークフィルムWの流れ方向D1(図2)と直交する幅方向D2(図2,図3)において、積層フィルムXよりも幅広である。積層フィルムXは、キャリアフィルムC上において、幅方向D2の中央位置に配置される。積層フィルムXの幅(幅方向D2の長さ)は、例えば200mm以上、好ましくは280mm以上、より好ましくは400mm以上であり、また、例えば1200mm以下、好ましくは1000mm以下、より好ましくは800mm以下である。このようなワークフィルムWが、製造ラインを流される。
フィルム層10は、例えば、はく離ライナー、機能性光学フィルム、または基材フィルム(支持フィルム)である。
はく離ライナーの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびシクロオレフィンポリマー(COP)が挙げられる。はく離ライナーとしてのフィルム層10は、粘着剤層20の第1面20aに剥離可能に接している。そのようなフィルム層10の表面(粘着剤層20側の表面)は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。はく離ライナーの厚さは、粘着剤層に対する保護機能を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。はく離ライナーの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
機能性光学フィルムとしては、例えば、偏光フィルムおよび位相差フィルムが挙げられる。機能性光学フィルムは、パネル補強材などの他の光学フィルムであってもよい。フィルム層10が機能性光学フィルムである場合、そのようなフィルム層10に対し、粘着剤層20の第1面20aは接合している。機能性光学フィルムとしてのフィルム層10と、粘着剤層20とは、粘着剤層付き機能性光学フィルムを形成する。
偏光フィルムとしては、例えば、二色性物質による染色処理とその後の延伸処理とを経た親水性高分子フィルムが挙げられる。二色性物質としては、例えば、ヨウ素および二色性染料が挙げられる。親水性高分子フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、部分ホルマール化PVAフィルム、および、エチレン・酢酸ビニル共重合体の部分ケン化フィルムが挙げられる。偏光フィルムとしては、ポリエン配向フィルムも挙げられる。ポリエン配向フィルムの材料としては、例えば、PVAの脱水処理物、および、ポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物が挙げられる。偏光フィルムは、厚さ方向の一方面および/または他方面に、接着剤を介して接合された保護フィルムを有していてもよい。偏光フィルムの厚さは、偏光フィルムの機能、強度および耐久性確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。偏光フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
位相差フィルムとしては、例えば、λ/2波長フィルムおよびλ/4波長フィルム、および視野角補償フィルムが挙げられる。位相差フィルムの材料としては、例えば、延伸処理によって複屈折化された高分子フィルムが挙げられる。高分子フィルムとしては、例えば、セルロースフィルムおよびポリエステルフィルムが挙げられる。セルロースフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、およびポリブチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。位相差フィルムとしては、セルロースフィルムなどの基材と、当該基材上の液晶性ポリマーなど液晶化合物の配向層とを備えるフィルムも挙げられる。位相差フィルムの厚さは、位相差フィルムの機能および強度を確保する観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。位相差フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
基材フィルムの材料としては、例えば、はく離ライナーの材料として上記した材料が挙げられる。フィルム層10が基材フィルムである場合、そのようなフィルム層10に対し、粘着剤層20の第1面20aは接合している。基材フィルムとしてのフィルム層10と、粘着剤層20とは、片面粘着シートを形成する。基材フィルムの厚さは、基材としての強度を確保する観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上である。基材フィルムの厚さは、積層フィルムXの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
粘着剤層20は、粘着剤組成物から形成されている。粘着剤組成物は、ベースポリマーを含む。ベースポリマーは、粘着性を発現させる粘着成分である。ベースポリマーとしては、例えば、アクリルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリアミドポリマー、およびポリビニルエーテルポリマーが挙げられる。ベースポリマーは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。粘着剤層20における良好な透明性および粘着性を確保する観点から、ベースポリマーとしては、好ましくはアクリルポリマーが用いられる。
アクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを50質量%以上の割合で含むモノマー成分の共重合体である。「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸エステルとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられ、より好ましくは、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル(即ちラウリル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、および(メタ)アクリル酸テトラデシルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、好ましくは、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)と、ラウリルアクリレート(LA)と、アクリル酸n-ブチルとからなる群より選択される少なくとも一つである。モノマー成分における(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、粘着剤層20において粘着性等の基本特性を適切に発現させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、例えば99質量%以下である。
モノマー成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な共重合性モノマーを含んでもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、極性基を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、および窒素原子含有環を有するモノマーが挙げられる。極性基含有モノマーは、アクリルポリマーへの架橋点の導入、アクリルポリマーの凝集力の確保など、アクリルポリマーの改質に役立つ。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、および(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルが挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルからなる群より選択される少なくとも一つが用いられる。モノマー成分におけるヒドロキシ基含有モノマーの割合は、アクリルポリマーへの架橋構造の導入、および、粘着剤層20における凝集力の確保の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーの極性(粘着剤層20における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
窒素原子含有環を有するモノマーとしては、例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、およびN-(メタ)アクリロイル-2-ピロリドンが挙げられる。窒素原子含有環を有するモノマーとしては、好ましくは、N-ビニル-2-ピロリドンが用いられる。モノマー成分における、窒素原子含有環を有するモノマーの割合は、粘着剤層20における凝集力の確保、および、粘着剤層20における対被着体密着力の確保の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。同割合は、アクリルポリマーのガラス転移温度の調整、および、アクリルポリマーの極性(粘着剤層20における各種添加剤成分とアクリルポリマーとの相溶性に関わる)の調整の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
ベースポリマーは、好ましくは、架橋構造を有する。ベースポリマーへの架橋構造の導入方法としては、架橋剤と反応可能な官能基を有するベースポリマーと架橋剤とを粘着剤組成物に配合し、ベースポリマーと架橋剤とを粘着剤層中で反応させる方法(第1の方法)、および、ベースポリマーを形成するモノマー成分に架橋剤としての多官能モノマーを含め、当該モノマー成分の重合により、ポリマー鎖に分枝構造(架橋構造)が導入されたベースポリマーを形成する方法(第2の方法)が、挙げられる。これら方法は、併用されてもよい。
上記第1の方法で用いられる架橋剤としては、例えば、ベースポリマーに含まれる官能基(ヒドロキシ基およびカルボキシ基など)と反応する化合物が挙げられる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、過酸化物架橋剤、およびエポキシ架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
上記第2の方法では、モノマー成分(架橋構造を導入するための多官能モノマーと他のモノマーとを含む)は、一度で重合させてもよいし、多段階で重合させてもよい。多段階重合の方法では、まず、ベースポリマーを形成するための単官能モノマーを重合させ(予備重合)、これによって部分重合物(低重合度の重合物と未反応のモノマーとの混合物)を含有するプレポリマー組成物を調製する。次に、プレポリマー組成物に架橋剤としての多官能モノマーを添加した後、部分重合物と多官能モノマーとを重合させる(本重合)。多官能モノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和二重結合を1分子中に2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーとしては、活性エネルギー線重合(光重合)によって架橋構造を導入可能な観点から、多官能アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)が用いられる。
アクリルポリマーは、上述のモノマー成分を重合させることによって形成できる。重合方法としては、例えば、溶液重合、無溶剤での光重合(例えばUV重合)、塊状重合、および乳化重合が挙げられる。溶液重合の溶媒としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。また、重合の開始剤としては、例えば、熱重合開始剤および光重合開始剤が用いられる。
ベースポリマーの重量平均分子量は、粘着剤層20における凝集力の確保の観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上である。同重量平均分子量は、好ましくは500万以下、より好ましくは300万以下、更に好ましくは200万以下である。ベースポリマーの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)によって測定してポリスチレン換算により算出される。
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)は、粘着剤層20の柔らかさを確保する観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下である。同ガラス転移温度は、例えば-80℃以上である。
ベースポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができる。例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons, Inc., 1999年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
粘着剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、溶剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、軟化剤、および酸化防止剤が挙げられる。溶剤としては、例えば、アクリルポリマーの重合時に必要に応じて用いられる重合溶媒、および、重合後に重合反応溶液に添加される溶剤が、挙げられる。当該溶剤としては、例えば、酢酸エチルおよびトルエンが用いられる。
粘着剤層20のヘイズは、好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である。粘着剤層20のヘイズは、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘイズメーターを使用して測定できる。ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色工業社製の「NDH2000」、および、村上色彩技術研究所社製の「HM-150型」が挙げられる。
粘着剤層20の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、粘着剤層20の凝集力を確保する観点から、好ましくは10kPa以上、より好ましくは15kPa以上、更に好ましくは20kPa以上、特に好ましくは25kPa以上である。粘着剤層20の25℃でのせん断貯蔵弾性率は、フレキシブルディスプレイパネル用途の光学粘着シートに求められる柔らかさを粘着剤層20において実現する観点から、100kPa以下であり、好ましくは80kPa以下、より好ましくは70kPa以下、更に好ましくは60kPa以下、特に好ましくは50kPa以下である。せん断貯蔵弾性率の調整方法としては、例えば、粘着剤層20におけるベースポリマーの種類の選択、分子量の調整、配合量の調整、ガラス転移温度の調整、および架橋度の調整が挙げられる。せん断貯蔵弾性率の調整方法としては、粘着剤層20におけるベースポリマー以外の成分の選択および配合量の調整も挙げられる。粘着剤層のせん断貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定によって求められる。同測定は、Rheometric Scientific社製の動的粘弾性測定装置「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」によって実施できる。同測定では、測定モードをせん断モードとし、測定温度範囲を-40℃~100℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとする。
フィルム層30は、本実施形態では、はく離ライナーである。はく離ライナーの材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、およびポリカーボネートが挙げられる。具体的には、フィルム層10に関して上記したはく離ライナーの材料が挙げられる。はく離ライナーとしてのフィルム層30は、粘着剤層20の第2面20bに剥離可能に接している。そのようなフィルム層30の表面(粘着剤層20側の表面)は、好ましくは剥離処理されている。剥離処理としては、例えば、シリコーン剥離処理およびフッ素剥離処理が挙げられる。フィルム層30の厚さは、例えば10μm以上であり、また、例えば200μm以下である。
積層フィルムXは、例えば次のようにして製造できる。まず、上述の粘着剤組成物をフィルム層10上に塗布して塗膜を形成する。次に、フィルム層10上の塗膜の上にフィルム層30を貼り合わせる。次に、フィルム層10,30間の塗膜を乾燥させ、且つ、必要に応じて塗膜に対して光照射する。これにより、フィルム層10,30間に粘着剤層20を形成する。粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、およびダイコートが挙げられる。塗膜の乾燥温度は、例えば50℃~200℃である。乾燥時間は、例えば5秒~20分である。
外形加工工程では、図1Bに示すように、ワークフィルムWに対するレーザー加工を実施する。具体的には、レーザー加工装置により、ワークフィルムWに対してフィルム層30側からレーザー光Lを照射して、フィルム層10上で粘着剤層20およびフィルム層30を切断する。これにより、粘着剤層20において、個片化された粘着剤層21と、粘着剤層21まわりの周囲部22とが形成される。また、フィルム層30において、粘着剤層21上のフィルム31と、フィルム31まわりの周囲部32とが形成される。フィルム層10には、ハーフカット溝10aが形成される。ハーフカット溝10aは、粘着剤層21の端縁21aに沿って形成される。本実施形態では、レーザー加工装置として、図2および図3に示すようにレーザー加工装置100を用いる。
レーザー加工装置100は、本実施形態では、加工ステージ110と、レーザー加工ユニット120と、制御部(図示略)とを備える。図2および図3は、レーザー加工装置100が1台のレーザー加工ユニット120を備える場合を例示的に図示する。
加工ステージ110は、製造ラインを流れるワークフィルムWを支持するステージである。加工ステージ110は、図3に示すように、支持テーブル111と、吸引路112とを有する。支持テーブル111は、加工ステージ110において、ワークフィルムWに対する支持面を形成する。支持テーブル111は、当該支持テーブル111を厚さ方向に貫通する複数の吸引孔111aを有する。吸引路112は、加工ステージ110内に形成された空間である。吸引路112は、支持テーブル111の下方に位置する。支持テーブル111の各吸引孔111aは、吸引路112と連通する。吸引路112は、減圧ポンプ(図示略)の吸引路と連結されている。減圧ポンプの稼働により、吸引路112は減圧される。減圧ポンプは、制御部による制御に従って、稼働状態と非稼働状態とを選択可能である。支持テーブル111上にワークフィルムWがある場合、吸引路112が減圧されることにより、ワークフィルムWは加工ステージ110の支持テーブル111に対して吸引される。
加工ステージ110の製造ライン上流側には、図2に示すように、一対のニップローラN1,N1が配置されている。一対のニップローラN1,N1によってワークフィルムWを挟んだ状態で各ニップローラN1を一定速度で回転させることにより、ワークフィルムWを引っ張って加工ステージ110に向けて送る。一方、加工ステージ110の製造ライン下流側には、一対のニップローラN2,N2が配置されている。一対のニップローラN2,N2によってワークフィルムWを挟んだ状態で各ニップローラN2を一定速度で回転させることにより、ワークフィルムWを引っ張ってニップローラN2,N2より下流側に向けて送る。ニップローラN1,N1とニップローラN2,N2とにより、ワークフィルムWは、加工ステージ110の支持ステージ111上を同フィルムの長さ方向(流れ方向D1)に流される。この状態において加工ステージ110の吸引路112が減圧されることにより、ワークフィルムWは、加工ステージ110に吸引されつつ、加工ステージ110上をスライド走行する。
レーザー加工ユニット120は、図4に模式的に示すように、筐体121と、レーザー光源122と、ビームエキスパンダ123と、可動レンズ124と、集光レンズ125と、ガルバノスキャナSとを備える。レーザー光源122、ビームエキスパンダ123、可動レンズ124、集光レンズ125、およびガルバノスキャナSは、筐体121内に収容されている。筐体121はレーザー光出射口(図示略)を有する。
レーザー光源122は、レーザー光Lを発振する。レーザー光源122としては、例えば、気体レーザー光源、固体レーザー光源、および半導体レーザー光源が挙げられる。気体レーザー光源としては、例えば、赤外域の波長を有するレーザー光をパルス発振するレーザー光源が挙げられる。そのようなレーザー光源としては、例えば、COレーザー光源(5μm)およびCOレーザー光源(9.3~10.6μm)が挙げられる(括弧内の数値はレーザー光源からのレーザー光の波長を表す。レーザー光源に関して以下同じ)。気体レーザー光源としては、エキシマレーザー光源も挙げられる。エキシマレーザー光源としては、例えば、Fエキシマレーザー光源(157nm)、ArFエキシマレーザー光源(193nm)、KrFエキシマレーザー光源(248nm)、およびXeClエキシマレーザー光源(308nm)が挙げられる。固体レーザー光源としては、例えば、Nd:YAGレーザー光源(1064nm)が挙げられる。半導体レーザー光源としては、例えば、波長405nmの半導体レーザー光源が挙げられる。レーザー光源としては、材質および光学特性(吸光度など)の異なる粘着剤層20とフィルム層30とを共に適切に切断する観点から、COレーザー光源が好ましい。すなわち、レーザー光Lとしては、COレーザーが好ましい。
ビームエキスパンダ123は、レーザー光Lのビームサイズを調整する光学部品である。ビームエキスパンダ123と可動レンズ124との間には、他の光学部品が配置されてもよい。他の光学部品としては、例えば、コリメータレンズおよびホモジナイザが挙げられる。
可動レンズ124は、レーザー光Lの光軸方向に変位可能なレンズである。可動レンズ124が光軸方向に変位することにより、集光レンズ125で集光されるレーザー光Lの焦点の位置(ワークフィルムWでの焦点の位置)が変動する。可動レンズ124は、制御部による制御に従って、光軸方向の位置を調節可能である(可動レンズ124の位置制御)。
集光レンズ125を通過したレーザー光Lは、ガルバノスキャナSで反射される。ガルバノスキャナSは、図5に示すように、ガルバノミラー126(第1ガルバノミラー)と、ガルバノモータ127(第1ガルバノモータ)と、ガルバノミラー128(第2ガルバノミラー)と、ガルバノモータ129(第2ガルバノモータ)とを備える。
ガルバノミラー126は、レーザー光Lを反射可能なミラー面126aを有する。ガルバノモータ127は、ガルバノミラー126に連結されたモータ軸芯127aを有する。モータ軸芯127aは、第1方向に延びる。第1方向は、好ましくは、ワークフィルムWの流れ方向D1および幅方向D2のそれぞれと直交する方向である。ガルバノモータ127は、ガルバノミラー126のミラー面126aが向く方向(第1ミラー面方向)を、モータ軸芯127aに沿って延びる回転軸まわりに揺動させることができる。ガルバノモータ127は、制御部による制御に従って、ガルバノミラー126における第1ミラー面方向を制御可能である。
ガルバノミラー128は、レーザー光Lを反射可能なミラー面128aを有する。ガルバノモータ129は、ガルバノミラー128に連結されたモータ軸芯129aを有する。モータ軸芯129aは、第2方向に延びる。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、好ましくは、第1方向と直交する。第2方向は、好ましくは、幅方向D2である。ガルバノモータ129は、ガルバノミラー128のミラー面128aが向く方向(第2ミラー面方向)を、モータ軸芯129aに沿って延びる回転軸まわりに揺動させることができる。ガルバノモータ129は、制御部による制御に従って、ガルバノミラー128における第2ミラー面方向を制御可能である。
ガルバノスキャナSにおいて、レーザー光Lは、ガルバノミラー126のミラー面126aと、ガルバノミラー128のミラー面128aとで順次に反射される。このレーザー光Lは、筐体121のレーザー光出射口を通過した後、加工ステージ110上のワークフィルムWに照射される。
レーザー加工ユニット120において、レーザー光Lは、ガルバノモータ127,129の第1・第2ミラー面方向の制御により、ワークフィルムWに対して走査される。具体的には、レーザー加工ユニット120からのレーザー光LのワークフィルムW上の照射スポットが、ワークフィルムWにおける切断予定ラインをたどるように、ガルバノモータ127,129の第1・第2ミラー面方向の制御により、流れ方向D1および面方向D2に走査される。レーザー加工ユニット120において、レーザー光Lは、ガルバノスキャナSの実質的に直下を中心とする所定の範囲(走査エリア)内を走査される。また、走査されるレーザー光Lにおいて、ワークフィルムWに対する入射角(同フィルムの表面の法線方向と、レーザー光Lの光軸方向とが形成する角度)の変化に関わらず照射スポットのサイズ(スポット径)が同じになるように、第1・第2ミラー面方向に応じて可動レンズ124は位置制御される。加えて、レーザー光Lの走査においては、ワークフィルムWの搬送速度(ベクトル)とレーザー光Lの走査速度(ベクトル)との合成速度(ベクトル)によって定まる照射スポットの位置が、ワークフィルムWにおける切断予定ラインをたどるように、制御部によってガルバノスキャナS(ガルバノモータ127,129)が制御される。
以上のような外形加工工程において、レーザー光Lのスポット径(D)は、レーザー加工後の粘着剤層21と周囲部22との間の離隔距離を確保する観点から、50μm以上であり、好ましくは70μm以上、より好ましくは80μm以上、更に好ましくは100μm以上である。スポット径(D)は、外形加工工程でのハーフカットによって除去される部分の幅(エッジ幅)が大きくなりすぎないようにする観点、および、切断端部の加熱による変質(物性の変化)を抑制する観点から、好ましくは700μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下である。外形加工工程で形成される切断端部(エッジ)は、エッジアライメントに利用できる。エッジ幅の抑制は、エッジアライメントにおけるアライメントエラーの抑制の観点から好ましい。
レーザー光Lによる切断速度(R)は、製造される積層フィルムYの生産性向上(生産コスト削減に役立つ)の観点から、好ましくは300mm/秒以上、より好ましくは400mm/秒以上、更に好ましくは500mm/秒以上である。レーザー光Lによる切断速度(R)は、切断精度の向上(積層フィルムYの寸法精度の確保に役立つ)、および、積層フィルムYの端部品位の確保の観点から、好ましくは800mm/秒以下、より好ましくは700mm/秒以下、更に好ましくは600mm/秒以下である。レーザー光Lによる切断速度(R)とは、ワークフィルムWの搬送速度(ベクトル)と、当該ワークフィルムWに対するレーザー光Lの照射スポットの走査速度(ベクトル)との、合成速度である。外形加工工程では、ワークフィルムWに対するレーザー光Lの照射スポットの走査速度は、好ましくは、レーザー光Lによる切断速度(R)が一定となるように制御される(即ち、前記合成速度が一定となるように、ワークフィルムWにおけるレーザー切断の方向に応じて前記走査速度が調整される)。
レーザー光Lの出力は、高い切断速度の確保、および、スキャン回数(パス数,理想は1パス)の低減の観点から、好ましくは2W以上、より好ましくは10W以上、更に好ましくは20W以上である。高い切断速度の確保、および、パス数の低減は、積層フィルムYの生産性の向上に役立つ。レーザー光Lの出力は、切断端部の加熱による変質を抑制する観点から、好ましくは500W以下、より好ましくは400W以下、更に好ましくは350W以下である。
レーザー光Lのパルスの周波数(F)は、製造される積層フィルムYの端部品位と生産性との両立の観点から、好ましくは10kHz上、より好ましくは20kHz以上、更に好ましくは30kHz以上である(レーザー光Lによる切断速度を高めて生産性を高めるほど、切断不良を回避して品位を確保するためには、照射パルスの周波数を上げるのが好ましい)。レーザー光Lのパルスの周波数(F)は、切断端部の加熱による変質を抑制する観点から、好ましくは300kHz以下、より好ましくは200kHz以下、更に好ましくは100kHz以下である(照射パルスが重なりすぎると熱影響が過大となり、エッジ幅が広がる傾向にある)。
レーザー光Lの照射におけるパルスエネルギーは、良好な切断の実現の観点から、例えば300μJ以上であり、また、例えば20000μJ以下である。レーザー光Lのパルスエネルギーは、レーザー光Lの出力をレーザー光Lのパルス周波数で除した値として、算出される。
レーザー光Lの照射におけるトータルエネルギー(E)は、良好な切断の実現の観点から、例えば30000μJ/mm以上であり、また、例えば1000000μJ/mm以下である。レーザー光Lのトータルエネルギーは、レーザー光Lの出力をレーザー光Lによる切断速度で除した値と、スキャン回数(パス数)との積として、算出される。
レーザー加工における切断深さ(L)は、ワークフィルムWの厚さに応じて、例えば50μm以上であり、また、例えば500μm以下である。ワークフィルムWの厚さに対する切断深さ(L)は、例えば0.1以上であり、また、例えば0.9以下である。
トータルエネルギーをE(μJ/mm)とし、スポット径をD(μm)とし、ワークフィルムに対する切断深さをL(μm)とするとき、E/(L×D)の値は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは7以下である。このような構成は、適度な切断深さを実現するうえで好ましい。切断深さが浅すぎると、切断不良のリスクが高まり、切断深さが深すぎると、はく離ライナーの剥離時に剥離エラー(具体的には、はく離ライナーの不意の切断)のリスクが高まる。
レーザー光Lによる切断速度をR(mm/秒)とし、レーザー光Lのパルスの周波数をF(kHz)とし、スポット径をD(μm)とするとき、R/(F×D)の値は、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.17以下である。このような構成は、積層フィルムYにおいて良好な切断端部品位を確保するうえで好ましい。R/(F×D)の値が小さすぎる場合、隣り合う照射パルスの重なりが過少であり、切断不良が生じやすい。そのような切断不良が生じると、外形加工工程(図1B)の後に適切に除去工程(図1C)を実施できないリスクが高まる。R/(F×D)の値は、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上である。このような構成は、積層フィルムYにおいて良好な切断端部品位を確保するうえで好ましく、また、加熱による変質(物性の変化)を抑制するのに好ましい。R/(F×D)の値が大きすぎる場合、隣り合う照射パルスの重なりが過大であり、積層フィルムXが熱影響を受けて溶けてしまうリスクが高まる。
外形加工工程のライン速度R’(外形加工工程中のワークフィルムWの搬送速度)は、生産効率の確保の観点から、好ましくは5m/秒以上、より好ましくは10m/秒以上である。ライン速度R’は、切断精度の確保の観点から、好ましくは100m/秒以下、より好ましくは80m/秒以下である。
次に、除去工程では、図1Cに示すように、フィルム層10上から周囲部22,32を除去する。
次に、切断工程では、図1Dに示すように、フィルム層10が、枚葉状のフィルム11に切断される。切断方法としては、例えば、レーザー加工による切断、および、プレス加工による切断が挙げられる。
以上のようにして、積層フィルムY(粘着剤層を有する積層フィルム)を製造できる。フィルム31を粘着剤層21から剥離した後、粘着剤層21に他のフィルムを貼り合わせてもよい。
本製造方法の外形加工工程(図1B)においては、上述のように、25℃でのせん断貯蔵弾性率が100kPa以下の柔らかい粘着剤層20に対して、スポット径50μm以上のレーザー光Lが照射されることにより、粘着剤層20が切断される。粘着剤層20に対してレーザー光Lが照射された部分では、粘着剤層20の材料が蒸発して除去される。すなわち、外形加工工程では、粘着剤層20の部分的除去により、粘着剤層20において、個片化された粘着剤層21とその周りの周囲部22とが、隔てられて形成される。粘着剤層20はプレス刃の押し入りによって粘着剤層21とその周囲部22とに切断されるのではないので、粘着剤層21と周囲部22の上述の復帰的変形が生じない。加えて、レーザー光Lのスポット径Dが50μm以上であることは、粘着剤層21と周囲部22との間に長い離隔距離を確保するのに適する。このような外形加工工程は、軟質であるために変形しやすい粘着剤層21と周囲部22との間で上述のブロッキングが生じるのを抑制するのに適する。
また、外形加工工程では、上述のように、粘着剤層20を有する積層フィルムXの当該粘着剤層20は、レーザー加工によって外形加工される。レーザー加工は、ワークフィルムWを連続的に流しながら粘着剤層20を連続的に外形加工するのに適する(粘着剤層20の外形加工のためにワークフィルムWを間欠的に送る必要がない)。したがって、本製造方法は、粘着剤層20を有する積層フィルムXを効率よく製造するのに適する。
以上のように、本製造方法は、軟質な粘着剤層21を有する積層フィルムYを効率よく製造するのに適する。
外形加工工程では、製造ラインを連続的に流れるワークフィルムWは、加工ステージ110に吸引されつつ、加工ステージ110上をスライド走行される。このことは、外形加工工程において、ワークフィルムWの粘着剤層20に対してレーザー光Lの焦点を高精度に合わせるのに好ましく、従って、ワークフィルムWを効率的かつ高精度に切断するのに好ましい。
外形加工工程において、ワークフィルムWは、加工ステージ110に吸引されつつ、加工ステージ110上を間欠的に送られてもよい。この場合、一対のニップローラN1,N1とレーザー加工装置100との間でワークフィルムWは弛ませられ、レーザー加工装置100と一対のニップローラN2,N2との間でワークフィルムWは弛ませられる。そして、レーザー加工装置100の加工ステージ110上では、間欠的に供給されるワークフィルムWの未加工領域ごとに、外形加工工程(レーザー加工)が実施される。ワークフィルムWが加工ステージ110に吸引されることは、ワークフィルムWに対してレーザー光Lの焦点を高精度に合わせるのに好ましく、従って、ワークフィルムWを高精度にレーザー加工するのに好ましい。
本製造方法において、レーザー加工装置100におけるレーザー加工ユニット120の数は1に限らない。すなわち、レーザー加工装置100が備えるガルバノスキャナSの数は1に限らない。レーザー加工装置100におけるレーザー加工ユニット120の数は、2、3、または、4以上であってもよい。すなわち、レーザー加工装置100が備えるガルバノスキャナSの数は、2、3、または、4以上であってもよい。ワークフィルムWには、ワークフィルムWの幅方向D2に連なるように、ガルバノスキャナSと同数(2、3、または、4以上)の走査領域が設定される。
レーザー加工ユニット120は、レーザー光LがガルバノスキャナSの後に通過する位置に、テレセントリックタイプのfθレンズを備えてもよい。当該fθレンズは、レーザー光LのワークフィルムWに対する入射角の変化に関わらずレーザー光Lの照射スポットのスポット径が同じになるようにするのに役立つ。レーザー加工ユニット120は、そのようなfθレンズを備える場合、必ずしも可動レンズ124を備えなくてもよい。レーザー加工ユニット120に割り当てられる走査領域Rの幅(幅方向D2の長さ)よりも直径が大きなテレセントリックタイプfθレンズを用いることができる場合、そのようなfθレンズを用いることが好ましい。また、レーザー加工ユニット120においては、テレセントリックタイプfθレンズと上述の可動レンズ124とを併用してもよい。
本発明について、以下に実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。また、以下に記載されている配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上述の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〔実施例1〕
以下のようにして、はく離ライナー付き光学粘着シートを製造した。
〈粘着剤組成物の調製〉
まず、アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA)56質量部と、ラウリルアクリレート(LA)34質量部と、アクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA)7質量部と、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP)2質量部と、光重合開始剤(品名「Omnirad 184」,IGM Resins社製)0.015質量部とを含む混合物に対して紫外線を照射し(重合反応)、プレポリマー組成物(重合率は約10%)を得た(プレポリマー組成物は、重合反応を経ていないモノマー成分を含有する)。次に、プレポリマー組成物100質量部と、多官能アクリレートモノマーとしてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)0.08質量部と、シランカップリング剤(品名「KBM-403」,3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,信越化学工業社製)0.3質量部とを混合し、粘着剤組成物を得た。
〈積層シートの作製〉
まず、第1フィルム層としてのはく離ライナーL1の剥離処理面上に、粘着剤組成物を塗布して塗膜を形成した。はく離ライナーL1は、片面がシリコーン剥離処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(品名「ダイアホイル MRV#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、はく離ライナーL1上の塗膜に、第2フィルム層としてのはく離ライナーL2の剥離処理面を貼り合わせた。はく離ライナーL2は、片面がシリコーン剥離処理されたPETフィルム(品名「ダイアホイル MRE#75」,厚さ75μm,三菱ケミカル社製)である。次に、塗膜に対してはく離ライナーL2越しに紫外線を照射して塗膜を紫外線硬化させ、厚さ50μmの粘着剤層を形成した。これにより、はく離ライナー付き光学粘着シートの原材シートとしての積層シート(はく離ライナーL1/粘着剤層/はく離ライナーL2)を得た。紫外線照射では、照射光源としてブラックライトを用い、照射強度を5mW/cmとした。
〈外形加工〉
次に、積層シートの粘着剤層およびはく離ライナーL2を外形加工した(外形加工工程)。具体的には、積層シートにおける所定の第1切断予定ラインに沿って、積層シートに対してはく離ライナーL2側から厚さ方向にレーザー光を照射することにより、はく離ライナーL1上の光学粘着シートおよびはく離ライナーL2を厚さ方向に切断した(レーザー加工)。このレーザー加工では、レーザー加工装置(品名「LC500」,武井電機工業製)を使用し、波長9360nmのCOレーザーをレーザー光として用い、レーザー光のスポット径を100μmとし、レーザー出力を20Wとし、パルスの周波数を30kHzとし、レーザー光Lによる切断速度を500mm/秒とし(一定に制御し)、走査回数(スキャン回数)を1とした。したがって、本工程において、照射レーザー光のパルスエネルギーは666.7μJであり、トータルエネルギーは40000μJ/mmであった(パルスエネルギーは、出力/周波数で算出され、トータルエネルギーは、レーザー光Lの出力をレーザー光Lによる切断速度で除した値と、スキャン回数との積として、算出される)。本工程では、大判の粘着剤層において、所定の平面視形状の光学粘着シートとその周りの第1周囲部が生じ、はく離ライナーL2において、第1周囲部上に第2周囲部が生じた。
〈除去工程,切断工程〉
外形加工工程の後、はく離ライナーL1上から第1・第2周囲部を除去した(除去工程)。その後、はく離ライナーL1を外形加工した(切断工程)。具体的には、はく離ライナーL1における所定の第2切断予定ラインに沿って、はく離ライナーL1に対して厚さ方向にCOレーザーを照射することにより、はく離ライナーL1を所定の平面視形状に切断した。第2切断予定ラインは、上述の第1切断予定ラインよりも面方向外側に3mm離れている。また、本工程のレーザー加工では、レーザー加工装置(品名「LC500」,武井電機工業製)を使用し、波長9360nmのCOレーザーをレーザー光として用い、レーザー光のスポット径を100μmとし、レーザー出力を20Wとし、パルスの周波数を30kHzとし、レーザー光Lによる切断速度を500mm/秒とし(一定に制御し)、走査回数を1とした。
以上のようにして、実施例1のはく離ライナー付き光学粘着シート(粘着剤層を有する積層フィルム)を作製した。
〔実施例2〕
次のこと以外は実施例1と同様に、はく離ライナー付き光学粘着シートを作製した。積層シートの作製において、はく離ライナーL1,L2間に形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて100μmとした。外形加工工程でのレーザー加工において、レーザー出力を27Wとした。したがって、実施例2では、照射レーザー光のパルスエネルギーは900μJであり、トータルエネルギーは54000μJ/mmであった。
〔実施例3〕
次のこと以外は実施例1と同様にして、はく離ライナー付き光学粘着シートを作製した。積層シートの作製において、はく離ライナーL1,L2間に形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて100μmとした。外形加工工程でのレーザー加工において、所定のレーザー加工装置を使用し、波長10600nmのCOレーザーをレーザー光として用い、レーザー光のスポット径を500μmとし、レーザー出力を350Wとした。したがって、本工程において、照射レーザー光のパルスエネルギーは11667μJであり、トータルエネルギーは700000μJ/mmであった。
〔実施例4〕
次のこと以外は実施例1と同様にして、はく離ライナー付き光学粘着シートを作製した。積層シートの作製において、はく離ライナーL1,L2間に形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて75μmとした。外形加工工程でのレーザー加工において、レーザー出力を27Wとした。したがって、本工程において、照射レーザー光のパルスエネルギーは900μJであり、トータルエネルギーは54000μJ/mmであった。
〔実施例5〕
次のこと以外は実施例1と同様にして、はく離ライナー付き光学粘着シートを作製した。積層シートの作製において、はく離ライナーL1,L2間に形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて75μmとした。外形加工工程でのレーザー加工において、所定のレーザー加工装置を使用し、レーザー出力を21.6Wとし、パルスの周波数を10kHzとし、レーザー光Lによる切断速度を1500mm/秒とし(一定に制御し)、走査回数を4とした。したがって、本工程において、照射レーザー光のパルスエネルギーは2160μJであり、トータルエネルギーは57600μJ/mmであった。
〔実施例6〕
次のこと以外は実施例1と同様にして、はく離ライナー付き光学粘着シートを作製した。積層シートの作製において、はく離ライナーL1,L2間に形成される粘着剤層の厚さを50μmに代えて75μmとした。外形加工工程でのレーザー加工において、所定のレーザー加工装置を使用し、レーザー出力を16.2Wとし、パルスの周波数を10kHzとし、レーザー光Lによる切断速度を1500mm/秒とし(一定に制御し)、走査回数を8とした。したがって、本工程において、照射レーザー光のパルスエネルギーは1620μJであり、トータルエネルギーは86400μJ/mmであった。
〈せん断貯蔵弾性率〉
実施例1~6における光学粘着シートについて、動的粘弾性を測定した。
まず、光学粘着シートから、必要数の測定用サンプルを作製した。具体的には、まず、光学粘着シートから切り出した複数の粘着シート片を貼り合わせて、約1.5mmの厚さのサンプルシートを作製した。次に、このシートを打抜いて、測定用サンプルである円柱状のペレット(直径7.9mm)を得た。
そして、測定用サンプルについて、動的粘弾性測定装置(品名「Advanced Rheometric Expansion System (ARES)」,Rheometric Scientific社製)を使用して、直径7.9mmのパラレルプレートの治具に固定した後に動的粘弾性測定を行った。本測定において、測定モードをせん断モードとし、測定温度範囲を-40℃~100℃とし、昇温速度を5℃/分とし、周波数を1Hzとした。測定結果から25℃におけるせん断貯蔵弾性率を読み取った。その値を表1に示す。
〈形状解析〉
実施例1~6によって製造したはく離ライナー光学粘着シートについて、形状解析レーザー顕微鏡(品名「VK-X1000」,KEYENCE製)により、ワークフィルムに形成される切断溝の深さ(切断深さ)と幅(切断幅)を測定した。その結果を表1に示す。
〈除去工程時のブロッキング〉
実施例1~6の製造方法における、除去工程時のブロッキングの有無を、表1に示す。実施例1~6の製造方法では、外形加工工程でのレーザー光のスポット径は50μm以上であり、除去工程時のブロッキングが生じなかった。除去工程時のブロッキングとは、外形加工工程後において、はく離ライナーL1上で隣り合う光学粘着シートとその周囲部との端縁部どうしが接触して付着するために、除去工程時に光学粘着シートの端縁部が、周囲部の端縁部に引っ張られることである。
〈切断端面の凸凹〉
実施例1~6によって製造した各はく離ライナー付き光学粘着シートについて、形状解析レーザー顕微鏡(品名「VK-X1000」,KEYENCE製)によって切断端面を観察し、切断端面の凹凸の有無を確認した。そして、光学粘着シートの切断端面の平面視における切断長さ(切断方向の長さ)1mmの範囲内での、切断端面の最内位置と最外位置との差が10μm未満である場合、切断端面に凹凸が無いと評価し、切断端面の最内位置と最外位置との差が10μm以上である場合、切断端面に凹凸が有ると評価した。この評価結果を表1に示す。
Figure 2024051400000002
W ワークフィルム
X 積層フィルム
C キャリアフィルム
H 厚さ方向
D1 流れ方向
D2 幅方向
10 フィルム層(第1フィルム層)
11 フィルム
20,21 粘着剤層
22 周囲部
30 フィルム層(第2フィルム層)
31 フィルム
32 周囲部
100 レーザー加工装置
110 加工ステージ
111 支持テーブル
111a 吸引孔
112 吸引路
120 レーザー加工ユニット
S ガルバノスキャナ

Claims (7)

  1. 粘着剤層を有する積層フィルムのロールトゥロール方式の製造方法であって、
    第1フィルム層と、粘着剤層と、第2フィルム層とを厚さ方向にこの順で備える長尺のワークフィルムを用意する用意工程と、
    前記ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射および走査して、前記第1フィルム層上で前記粘着剤層および前記第2フィルム層を切断する、外形加工工程とを含み、
    前記粘着剤層は、25℃において100kPa以下のせん断貯蔵弾性率を有し、
    前記外形加工工程において、前記ワークフィルムに照射されるレーザー光のスポット径は50μm以上である、粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  2. 前記スポット径は700μm以下である、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  3. 前記外形加工工程において、前記レーザー光の照射のトータルエネルギーをE(μJ/mm)とし、前記スポット径をD(μm)とし、前記ワークフィルムに対する切断深さをL(μm)とするとき、E/(L×D)の値が1以上20以下である、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  4. 前記外形加工工程において、前記レーザー光による切断速度をR(mm/秒)とし、前記レーザー光のパルスの周波数をF(kHz)とし、前記スポット径をD(μm)とするとき、R/(F×D)の値が1以下である、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  5. 前記レーザー光はCOレーザーである、請求項1に記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  6. 前記外形加工工程では、前記ワークフィルムを吸着可能な加工ステージによって前記ワークフィルムの前記第1フィルム層側を吸引しつつ、当該ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射する、請求項1から5のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
  7. 前記外形加工工程では、前記ワークフィルムを吸着可能な加工ステージによって前記ワークフィルムの前記第1フィルム層側を吸引しつつ、当該ワークフィルムを長さ方向に前記加工ステージ上をスライド走行させ、当該ワークフィルムに対して前記第2フィルム層側からレーザー光を照射して、前記第1フィルム層上で前記粘着剤層および前記第2フィルム層を切断する、請求項1から5のいずれか一つに記載の粘着剤層を有する積層フィルムの製造方法。
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