JP2024049759A - 分離膜エレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】分離膜エレメントを運転したときの膜面濃度分極を低減し、造水量や脱塩性能を向上できる分離膜エレメントを提供する。【解決手段】本発明の分離膜エレメントは、集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備え、供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yの少なくとも2種類以上の繊維が互いに立体交差して交点を形成したネット形状であり、分離膜と繊維状物Aもしくは繊維状物Bとの距離L1が30~80μm、分離膜と繊維状物の間に形成される分割領域の面積の変動係数が0~0.20、供給側流路材の厚みDと繊維状物Aおよび繊維状物Bの前記厚みD方向における繊維状物の厚みD1の比D1/Dが0.4~0.6の範囲、供給側流路材の原水流れ方向に対して平行方向の交点部の間隔が3.5~5.5mmの範囲である。【選択図】図3

Description

本発明は、不純物を含む種々の液体から不純物を分離するため、特に海水の淡水化、かん水の脱塩、超純水の製造または排水処理などに用いるための分離膜エレメントに関するものである。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜および正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に原水を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、集水管と、集水管の周囲に巻き付けられた分離膜ユニットとを備える。分離膜ユニットは、供給水としての原水(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原水に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過流体を集水管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメントは、原水に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
分離膜エレメントを用いて供給水を処理する際に、供給水中の塩などの溶存物質が分離膜に垂直な方向に沿って濃度勾配を形成する濃度分極が生じることがある。濃度分極が生じると、膜面浸透圧が増大し、分離膜エレメントの性能を低下させる。分離膜エレメントにおいて、透過の駆動力は膜間差圧であるため、造水量を向上させるためには膜間差圧を増加させることが有効である。膜間差圧は、分離膜エレメントへの印加圧力から浸透圧と流動抵抗を差し引いたもので表される。よって、膜間差圧を増加させるには、印加圧力を大きくする、膜面浸透圧を下げる又は流動抵抗を下げることが必要である。印加圧力が同じ場合を考えると、造水量向上のためには膜面浸透圧か流動抵抗を下げればよい。膜面浸透圧を下げるためには、繊維状物周辺の乱流の程度を増すことが重要である。乱流により分離膜表面にまだ膜に接触していない供給水が供給されるからである。
また、エレメント性能を高めるためには圧力損失ができるだけ低い方が好ましく、圧力損失と濃度分極を抑制することが求められる。そこで、供給側流路材による分離膜エレメントの性能向上が提案されている。
具体的には、特許文献1では、供給側流路材中の螺旋状の繊維状物が繰り返し構造を取ることで濃度分極を低減させたネットが提案されている。
特許第6693027号公報
しかし、上記した分離膜エレメントは、流動抵抗と膜面濃度分極の低減のバランスが十分とは言えず、分離膜エレメントの性能を十分に発揮できていない場合があった。そこで、本発明は、供給側流路の流動抵抗を低減しながら、膜面濃度分極を低減できる分離膜エレメントを提供することを課題とする。
上記目的を達成するため、本発明によれば、少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、前記供給側流路材は、前記分離膜の二つの面の間に配置されて供給側流路を形成しており、前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yの少なくとも2種類以上の繊維が互いに立体交差して交点を形成したネット形状であり、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、任意の繊維状列を含む、当該任意の繊維状列の長手方向に沿った縦断面において、前記繊維状列Xおよび前記繊維状列Yの交点部間における中央部が太径部に比べて細径の糸で構成されており、前記分離膜と前記繊維状物Aもしくは前記繊維状物Bとの距離Lが30~80μmであり、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面において、前記分離膜と繊維状物の間に形成される領域を前記分離膜に平行な方向に20等分した各領域の面積の変動係数が0~0.20であり、前記供給側流路材の厚みDと前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの前記厚みD方向における繊維状物の厚みDの比D/Dが0.4~0.6の範囲であり、前記供給側流路材の原水流れ方向に対して平行方向の交点部の間隔が3.5~5.5mmの範囲である分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記供給側流路材の前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面が半楕円形状である分離膜エレメントが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記分離膜エレメントを用いた液体のろ過方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記分離膜エレメントを用いた膜ろ過装置が提供される。
本発明によって、膜面濃度分極が生じやすい繊維の周囲に渦を形成させることができるため、濃度分極を抑制し、透水性や脱塩率といった分離性能に優れた分離膜エレメントを得ることができる。
図1は、分離膜エレメントの一例を示す一部展開斜視図である。 図2は、本発明の供給側流路材の一例を示す平面図である。 図3は、本発明の供給側流路材の例を示す断面図である。 図4は、本発明の供給側流路材の一例を示す側面図である。 図5は、本発明以外に適用される供給側流路材の一例を示す側面図である。 図6は、本発明の供給側流路材の一例を示す側面図である。 図7は、本発明の供給側流路材の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
尚、本明細書において、「質量」は「重量」と同義である。また、本明細書において、「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
<分離膜エレメント>
本発明の分離膜エレメントは、少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える。
図1に示すスパイラル型分離膜エレメント1では、供給側の流路を形成する供給側流路材2としては、高分子製のネットが使用されている。また、透過側流路材4としては、分離膜3の落ち込みを防ぎ、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材2よりも間隔が細かいトリコットが使用されている。透過側流路材4と該透過側流路材4の両面に重ね合わせて封筒状に接着された分離膜3とにより、封筒状膜5が形成される。封筒状膜5の内側が透過側流路を構成している。供給側流路材2と交互に積層された封筒状膜5は、開口部側の所定部分を集水管6の外周面に接着しスパイラル状に巻囲される。図1に示すx軸の方向が集水管6の長手方向である。またy軸の方向が集水管6の長手方向と垂直な方向である。
スパイラル型分離膜エレメント1では、通常一方の側面から、供給水7が供給され、供給水7は、集水管6と平行に流れながら、透過水8と濃縮水9とに徐々に分離される。透過水8は、供給水7が供給される反対の側面からスパイラル型分離膜エレメント1の外部へと出ていく。
この方式においては、供給水7がスパイラル型分離膜エレメント1の一方の側面から他方の側面へ流れるため必然的に膜に接している距離が十分にあり、それにより供給水7が、透過水8と濃縮水9とに十分に分離されるという特徴がある。分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に供給水を供給し、他方の面から透過水を得る点では共通している。本発明の分離膜エレメントとしては、用途や目的に合わせて、スパイラル型以外にも、プレート・アンド・フレーム型や平膜集積型等の平膜を使用する各種形状の分離膜エレメントに採用することができる。
<供給側流路>
(供給側流路材)
本実施形態の供給側流路材は、図2に示すように、一方向に並んだ、繊維状物A(21)から構成される複数の繊維状列X、および繊維状列Xとは異なる方向に並んだ、繊維状物B(22)から構成される複数の繊維状列Yから構成され、繊維状列Xと繊維状列Yとが互いに立体交差して複数の地点で交点を形成したネット形状をしている。
分離膜エレメントにおいて、透過の駆動力は膜間差圧であるため、造水量を向上させるためには膜間差圧を増加させることが有効である。膜間差圧は、分離膜エレメントへの印加圧力から流動抵抗と浸透圧を差し引いたもので表される。よって、膜間差圧を増加させるには、印加圧力を大きくする、流動抵抗を下げる又は膜面浸透圧を下げることが必要である。膜面浸透圧は膜面濃度分極が生じることで増大する。
供給側流路材の繊維状物は、供給水をかき乱す役割があり、膜面濃度分極を抑制するためには、繊維状物後方の膜面に供給水の渦(流れ)を生み出すことが重要である。滞留箇所を減らすことで塩濃度の上昇が抑制されるからである。繊維の形状によって繊維周辺に生じる渦の大小が変化する。渦が大きいと、膜面がかき乱され、滞留箇所が減少し、塩濃度の上昇を抑制することができる。本実施形態の供給側流路材は繊維状物Aおよび繊維状物Bの少なくとも一方は、任意の繊維状列を含む、当該任意の繊維状列の長手方向に沿った縦断面において、繊維状列Xおよび繊維状列Yの交点部間における中央部が太径部に比べて細径の糸で構成されている。つまり、繊維が膜面から浮いている。繊維が膜面から浮いていると、供給水の滞留個所を減らすことができ、汚れの蓄積を緩和し、繊維前後の膜面に流れが生まれるため、塩濃度の上昇を抑制することができる。本発明における太径部とは、図4において、繊維状物A(21)もしくは繊維状物B(22)のうち例えば繊維状物A(21)の側面を観察するとき、供給側流路材の平面に垂直な方向に繊維状物Bと隣接する繊維状物B′の断面の接線2本が繊維状物Aを通る線分であり、それぞれ太径部D、太径部Dとし、これらのいずれか一方に比べて中央部Rが細径の繊維で構成されていればよい。繊維状列Xおよび繊維状列Yの交点部間における中央部とは、図4に符号Rとして示すように、繊維状物Aおよび繊維状物Bのいずれかの、任意の繊維状列を含む、当該繊維状列の長手方向に沿った縦断面において、隣接する2つの交点部P間の距離Rを10等分した際の、片側の交点部Pからもう一方の交点部Pに向かって30%以上70%以下までの範囲、つまり交点部P間の中心点Pからそれぞれ隣接する交点に向かって20%までの範囲を言う。なお、交点部Pとは、繊維状物A及び繊維状物Bが交差し、重なり合った繊維が最も分厚くなる箇所を指す。繊維状物A及び繊維状物Bは互いに溶け合っているため、各々の最大の繊維径よりも交点部の厚みは薄くなる。
ただし、膜面と繊維の距離が重要であり、分離膜と繊維状物Aもしくは繊維状物Bとの距離Lは30~80μmである。距離Lが小さすぎると、繊維と分離膜の間に流れる供給水の流速が低下し、十分な濃度分極抑制効果が得られない。また、距離Lが大きすぎると、繊維の前後に十分な渦が形成されず、膜面のかき乱し効果が低くなるため、十分な濃度分極抑制効果が得られない。距離Lは、図6に示すように、繊維状物Aもしくは繊維状物Bの長手方向に沿った縦断面において、観察している繊維状物と接している膜面が形成する空間の膜面との最大距離をいう。距離Lは、市販のマイクロスコープを用いて、2枚の分離膜で供給側流路材を挟み、同じ底面積を持つ2kgの重りを乗せ、繊維状列に平行な縦断面を観察し、繊維状物と膜面の最大距離を測定することで求めることができ、測定モードを用いて任意の30カ所の繊維を抽出して測定し、その平均値とすることができる。
また、距離Lが30~80μmである範囲は、少なくとも中央部Rにおいて達成されることが好ましい。中央部Rにおいてこの距離が保たれていると、繊維の前後に十分な渦を形成することができ、濃度分極を抑制することができる。
(繊維断面形状)
本実施形態において、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面において、繊維断面形状は図3に示したように、半楕円形状、三角形、四角形、台形など多角形などが好ましく、半楕円形状がより好ましい。
(繊維形状)
本実施形態における繊維形状は、繊維状物Aと繊維状物Bが同様の形状をしていても、異なる形状をしていても良い。図4は本実施形態の供給側流路材の一例を示した側面図である。本実施形態の供給側流路材は、繊維状物Aおよび繊維状物Bの少なくとも一方が、任意の繊維状列を含む、当該任意の繊維状列の長手方向に沿った縦断面において、繊維状列Xおよび繊維状列Yの交点部間における中央部が太径部に比べて細径の糸で構成されている。図4のように、細径の糸で構成されていると、繊維後方に塩が溜まりにくく、濃度分極を抑制することができ、淀む箇所が減るため汚れ物質の付着を抑制することができる。
(供給側流路材の厚み)
本実施形態において、供給側流路材の平均厚さDは、好ましくは0.30mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.6mm以上1.0mm以下である。供給側流路材の平均厚さがこの範囲であれば、圧力損失が大きくなりすぎず、膜面や供給側流路材に堆積し得るファウラントなどの物質が詰まりにくい十分な供給側流路を確保でき、供給水中の不純物や、微生物などのファウラントによる供給側流路の閉塞を抑制し、ポンプの必要動力を大きくすることなく、長期にわたり安定的に分離膜エレメントの運転を行うことが可能となる。この範囲よりも供給側流路材が薄くなると、圧力損失が大きくなったり、ファウリングが進行しやすくなる原因になる。この範囲よりも供給側流路材が厚くなると、ハンドリング性の観点で好ましくないが、交点ピッチや素材を適当なものを選ぶことで、適切な剛性に調整することができる。
なお、交点部及び供給側流路材の厚みの測定には市販のマイクロスコープやX線CT測定装置を用いて、繊維状列に平行な縦断面を観察し、その距離を測定することで求めることができ、測定モードを用いて交点部または供給側流路材の厚みの任意の30カ所の径を抽出して測定し、その平均値とすることができる。
また、供給側流路材の厚さのばらつきは、供給側流路材の平均厚さの0.85倍以上1.15倍以下であることが好ましい。供給側流路材の厚さのばらつきがこの範囲であれば、分離膜エレメントに均一に供給水を供給できるため、分離膜の性能を均一に発揮させることができる。
(繊維状物の厚みと供給側流路材の厚み比)
繊維状物の厚みDは繊維状物と膜面の距離Lを測定した箇所の繊維径を使用する。繊維状物の厚みDと供給側流路材の厚みDの比D/Dは0.4~0.6の範囲である。DとDの比がこの範囲であると、繊維状物周辺の膜面に渦が形成されやすく、流れを阻害しないため、圧損を低くすることができ、また、適度に乱流を促進することができるため、濃度分極を抑制し脱塩率を向上させることができる。
繊維状物の厚みDはLの測定方法と同じ方法を用いることができる。
(空間面積の変動係数)
繊維状物Aおよび繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面において、前記分離膜と繊維状物の間に形成され、距離Lを含む空間面積を20等分した各面積(積分値)の変動係数が0~0.20である。膜面と繊維の間に形成される空間は繊維の前方、後方の渦形成に重要な要素である。この空間における面積の積分値の変動係数が0~0.20の範囲であると、膜面に十分な大きさの渦が形成され、濃度分極を抑制でき、脱塩率を向上させることができる。
具体的な一例を図7に示す。繊維断面から膜に向かって、繊維断面と膜間に存在する空間を20等分するように垂線を下ろす。繊維断面と膜の垂線の距離を測定し、隣接する垂線と繊維断面、膜面の4辺によって形作られる台形の面積を計算する。それぞれの台形の面積の平均値及び標準偏差を計算し、標準偏差を平均値で割ることで変動係数が算出することができる。
空間面積の変動係数の測定方法としては、市販のマイクロスコープを用いて、2枚の分離膜で供給側流路材を挟み、同じ底面積を持つ2kgの重りを乗せ、繊維状列に垂直な縦断面を観察することで面積を測定することができ、その面積から変動係数を算出することができる。
(交点部間隔)
本実施形態では、図2に示す、供給側流路材2の供給水流れ方向に対して平行方向の交点部間隔dは3.5~5.5mmの範囲である。供給側流路材の供給水流れ方向に対して平行方向の交点部間隔dがこの範囲であれば、繊維後方に大きな渦を発生させることが可能であり、供給水の乱流強度と流動抵抗のバランスを両立できるため、分離膜エレメントの脱塩率および造水性の向上が可能となる。
また、供給水流れ方向(原水流れ方向)に対して垂直方向の交点部間隔(交点部周期)cは3~5mmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3.5~4.5mmの範囲である。供給側流路材の供給水流れ方向に対して垂直方向の交点部間隔cがこの範囲であれば、分離膜エレメントの作製時に分離膜が供給側流路材の空隙部分に落ち込む現象を抑制でき、特に供給水流入端面部分の流路を安定に形成することが可能となる。
交点部間隔の測定方法としては、供給側流路材を厚み方向の上部(すなわち、供給側流路材の平面)から観察し、例えばマイクロスコープにより距離を測定することができる。
(供給水流れ方向と繊維状物との角度)
供給側流路材を平面から観察したとき、供給水流れ方向(すなわち集水管の長手方向)と繊維状物との角度が大きくなるにつれて乱流強度が増すものの、流動抵抗が増す傾向にある。よって、前記角度は10°以上50°以下が好ましく、20°以上45°以下が更に好ましい。
(素材)
供給側流路材の素材は特に限定されないが、成形性の観点から熱可塑性樹脂が好ましく、特にポリエチレンおよびポリプロピレンは分離膜の表面を傷つけにくく、また安価であるので好適である。また、供給側流路材は、繊維状物Aと繊維状物Bが同じ素材で形成されても構わないし、異なる素材で形成されていても構わない。
(製造方法)
本実施形態のように、繊維状物の断面が半楕円や三角形のような形状を有する供給側流路材を製造するには、インクジェット方式の3Dプリンタによって造形する方法を採用することができる。
なお、本実施形態のネットを製造する方法はこれらに限定されず、金型に溶融樹脂を流延し取り出す方法、他の方式の3Dプリンタを用いて製造しても構わない。
<透過側流路>
(透過側流路材)
封筒状膜5において、分離膜3は透過側の面を対向させて重ね合わされており、分離膜3同士の間には透過側流路材4が配置され、透過側流路材4によって透過側流路が形成される。透過側流路材の材料としては限定されず、トリコットや不織布、突起物を固着させた多孔性シート、凹凸成形し、穿孔加工を施したフィルム、凹凸不織布を用いることができる。また、透過側流路材として機能する突起物を分離膜の透過側に固着させてもよい。
<分離膜リーフの形成>
分離膜リーフは、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成されてもよいし、別々の2枚の分離膜を、供給側の面が向かい合うようにして重ね合わせ、分離膜の周囲を封止することで形成されてもよい。
なお、「封止」する方法としては、接着剤またはホットメルトなどによる接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
<分離膜エレメントの利用>
分離膜エレメントは、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の分離膜エレメント、分離膜モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性を考慮すると、分離膜モジュールに供給水を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上6MPa以下が好ましい。
供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上45℃以下が好ましい。
また、原水のpHが中性領域にある場合、原水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
(供給水)
本実施形態の分離膜エレメントへの供給水は特に限定されず、予め処理された水道水でもよく、海水やかん水、下廃水のように溶液中の不純物が多いものでもよい。例えば、水処理に使用する場合、原水(供給水)としては、海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「重量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5~40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(供給側流路材の厚み測定)
ネット状サンプルを10×10cmに切り出し、キーエンス社製ワンショット3D形状測定機VR-3000を用い、ネット状サンプルの繊維状列に平行な縦断面を倍率20倍で観察し、任意の交点部分の厚みを30カ所抽出して測定し、その平均値を算出した。
(交点部間隔)
キーエンス社製ワンショット3D形状測定機VR-3000を用い、ネット状サンプルを厚み方向上部から倍率20倍で観察し、供給側流路材の供給水流れ方向に対して垂直方向の交点部間隔と供給側流路材の供給水流れ方向に対して平行方向の交点部間隔について、任意の交点部間隔を30カ所抽出して測定し、その平均値を算出した。
(分離膜と繊維状物との距離、繊維状物の厚み)
分離膜と繊維状物Aもしくは繊維状物Bとの距離L、繊維状物の厚みDは、キーエンス社製ワンショット3D形状測定機VR-3000を用いて測定した。2枚の分離膜で供給側流路材を挟み、同じ底面積を持つ2kgの重りを乗せ、繊維状列に平行な繊維状物の縦断面を倍率120倍で観察し、繊維状物と膜面の最大距離を測定して求めた。Lを測定した箇所の繊維径を測定し、繊維状物の厚みDとした。同様の操作を30カ所抽出して測定し、その平均値を算出した。
(空間面積の変動係数)
空間面積の変動係数はキーエンス社製ワンショット3D形状測定機VR-3000を用いて測定した。2枚の分離膜で供給側流路材を挟み、同じ底面積を持つ2kgの重りを乗せ、繊維状列に垂直な縦断面を倍率120倍で観察した。繊維断面から膜に向かって、繊維断面と膜間に存在する空間を20等分するように垂線を下ろし、繊維断面と膜の垂線の距離を測定し、隣接する垂線と繊維断面、膜面の4辺によって形作られる台形の面積を計算した。それぞれの台形の面積の平均値及び標準偏差を計算し、標準偏差を平均値で割ることで変動係数を算出した。同様の操作を30カ所抽出して測定し、その平均値を算出した。
(繊維形状)
キーエンス社製ワンショット3D形状測定機VR-3000を用い、ネット状サンプルの任意の繊維を抽出し、供給側流路材の平面と平行な方向かつ繊維状物の長手方向に対して垂直な方向から倍率25倍で繊維形状を観察した。観察した繊維形状は図4または図5であった。
<実施例>
(供給側流路材Pの作製)
Dassault Systemes SOLIDWORKS社製3次元CAD設計ソフトウェアSOLIDWORKSを用い、3Dモデルを設計した。モデル材にAR-M2、サポート材にAR-S1を用い、キーエンス社製AGILISTA-3200を使用して表1の供給側流路材形状となるよう構造制御を行った。
(分離膜の作製)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(繊度:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、密度0.80g/cm)上にポリスルホンの16.0質量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜のポリスルホンからなる層の表面をm-PDAの1.5質量%およびε-カプロラクタム1.0重量%を含む水溶液中に2分間浸漬してから、垂直方向にゆっくりと引き上げた。さらに、エアーノズルから窒素を吹き付けることで、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。
その後、トリメシン酸クロリド0.08質量%を含むn-デカン溶液を、膜の表面が完全に濡れるように塗布してから、1分間静置した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、80℃の熱水で1分間洗浄して、複合分離膜ロールを得た。
(造水量)
作製した分離膜を14cm×10cmの大きさに切り取った。SUEZ社製クロスフロー式平膜試験機SEPA CFに分離膜、供給側流路材、透過側流路材をセットし、供給水として、温度25℃、濃度32000ppmの食塩水、pH7.0のNaCl水溶液を用い、運転圧力5.52MPa、濃縮水流量1L/minで運転を行った。
2時間運転した後に10分間のサンプリングを行い、1日あたりの透水量(ガロン)を造水量(GPD(ガロン/日))として表した。
(除去率(TDS除去率))
造水量の測定における1分間の運転で用いた供給水およびサンプリングした透過水について、TDS濃度を伝導率測定により求め、下記式からTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1-(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(分離膜表面及び供給側流路材のファウラント付着割合)
分離膜と供給側流路材、透過側流路材を透明なアクリルセルに入れて、供給水として蛍光物質を標識したウシ血清アルブミン100ppmの水溶液を用い、運転圧力0.5MPa、温度25℃の条件下で12時間運転した後に、蛍光物質が標識されていないウシ血清アルブミン100ppmの水溶液でフラッシングを行った。
その後、オプトサイエンス社製デジタルマイクロスコープDino-Liteを用いて蛍光観察し、膜面及び供給側流路材に堆積した蛍光物質の付着面積割合(%)をImageJを用いて算出した。
(実施例1)
作製した供給側流路材について評価セルを用い、上述の条件で評価したところ、結果は表1の通りであった。
(実施例2~9)
作製した供給側流路材について評価セルを用い、実施例1と同条件で各性能を評価したところ、結果は表1の通りであった。
<比較例>
(供給側流路材Qの作製)
Dassault Systemes SOLIDWORKS社製3次元CAD設計ソフトウェアSOLIDWORKSを用い、3Dモデルを設計した。モデル材にAR-M2、サポート材にAR-S1を用い、キーエンス社製AGILISTA-3200を使用して表2の供給側流路材形状となるよう構造制御を行った。
(比較例1)
作製した供給側流路材について評価セルを用い、上述の条件で各性能を評価したところ、結果は表2の通りであった。
(比較例2~9)
作製した供給側流路材について評価セルを用い、上述の条件で各性能を評価したところ、結果は表2の通りであった。
Figure 2024049759000002
Figure 2024049759000003
表1、2に示す結果から明らかなように、実施例1~9の分離膜エレメントは、供給水を十分にかき乱し、膜面濃度分極を抑制し優れた分離性能を安定して備えているといえる。
本発明の膜エレメントは、特に、RO浄水器としての利用や、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
1 スパイラル型分離膜エレメント
2 供給側流路材
2a~2e 供給側流路材
21 繊維状物A
22 繊維状物B
3 分離膜
4 透過側流路材
5 封筒状膜
6 集水管
7 供給水
8 透過水
9 濃縮水
c 供給側流路材の供給水流れ方向に対して垂直方向の交点部間隔
d 供給側流路材の供給水流れ方向に対して平行方向の交点部間隔
繊維状物Aもしくは繊維状物Bの長手方向に沿った縦断面において、膜面と近い側に存在する空間の膜面との最大距離
D 交点厚み
を測定した箇所の繊維状物の厚み
太径部(繊維状物Bの断面の接線が繊維状物Aを通る線分)
太径部(繊維状物B′の断面の接線が繊維状物Aを通る線分)
側面から観察したときの交点部間距離
交点部間における中央部
P 交点部
交点部間の中心点

Claims (4)

  1. 少なくとも集水管と、分離膜と、供給側流路材と、透過側流路材とを備える分離膜エレメントであって、
    前記供給側流路材は、前記分離膜の二つの面の間に配置されて供給側流路を形成しており、前記供給側流路材は一方向に並んだ複数の繊維状物Aから構成される繊維状列Xおよび前記繊維状列Xとは異なる方向に並んだ複数の繊維状物Bから構成される繊維状列Yの少なくとも2種類以上の繊維が互いに立体交差して交点を形成したネット形状であり、
    前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、任意の繊維状列を含む、当該任意の繊維状列の長手方向に沿った縦断面において、前記繊維状列Xおよび前記繊維状列Yの交点部間における中央部が太径部に比べて細径の糸で構成されており、
    前記分離膜と前記繊維状物Aもしくは前記繊維状物Bとの距離Lが30~80μmであり、前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面において、前記分離膜と繊維状物の間に形成される領域を前記分離膜に平行な方向に20等分した各領域の面積の変動係数が0~0.20であり、前記供給側流路材の厚みDと前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの前記厚みD方向における繊維状物の厚みDの比D/Dが0.4~0.6の範囲であり、前記供給側流路材の原水流れ方向に対して平行方向の交点部の間隔が3.5~5.5mmの範囲である分離膜エレメント。
  2. 前記供給側流路材の前記繊維状物Aおよび前記繊維状物Bの少なくとも一方は、当該任意の繊維状列の長手方向に垂直な方向の縦断面が半楕円形状であることを特徴とする請求項1に記載の分離膜エレメント。
  3. 請求項1または2に記載の分離膜エレメントを用いた液体のろ過方法。
  4. 請求項1または2に記載の分離膜エレメントを用いた膜ろ過装置。
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