JP2024048952A - 反射防止フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルムおよびその製造方法、ならびに画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】タッチセンサーを備える画像表示装置に適用した場合に、タッチセンサーの検出の異常が生じ難い反射防止フィルムを提供する。【解決手段】反射防止フィルム(101)は、透明フィルム基材(1)の一主面上に、プライマー層(3)および反射防止層(5)を備える。反射防止層は、屈折率が異なる複数の薄膜の積層体である。プライマー層は、酸化インジウムスズ層であり、X線電子分光のC1sスペクトルにおいて、532eVのピーク強度が、530eVのピーク強度の0.93倍以下であることが好ましい。プライマー層の厚みは、0.5~10nmが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルムおよびその製造方法に関する。さらに、本発明は、反射防止フィルムを備える画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置の表面には、表示画像の視認性向上を目的として反射防止フィルムが設けられる場合がある。反射防止フィルムは、フィルム基材上に、屈折率の異なる複数の薄膜からなる反射防止層を備えている。反射防止層を構成する薄膜として無機酸化物等の無機薄膜を用いた反射防止フィルムは、屈折率や膜厚の調整が容易であるため、高い反射防止特性を実現できる。
反射防止フィルムは、樹脂フィルム上、または樹脂フィルムの表面に設けられたハードコート層上に、無機薄膜からなる反射防止層を備えているが、樹脂フィルムやハードコート層等の有機材料は、無機薄膜との層間の密着力が小さい。そのため、フィルム基材上への反射防止層の密着性を高めるために、フィルム基材の表面に無機酸化物プライマー層を設け、その上に反射防止層を形成することが提案されている。
例えば、特許文献1では、ハードコート層上に酸化インジウムスズ(ITO)等の酸化インジウム系のプライマー層を設け、その上に複数の薄膜からなる反射防止層を形成した反射防止フィルムが開示されている。
国際公開第2021/106788号
ITOは導電性を有するため、ITOプライマー層を備える反射防止フィルムは帯電防止性を有しており、静電気に起因するタッチセンサーの誤作動の抑制が可能である。しかし、タッチセンサーを備える画像表示パネルの視認側表面に反射防止フィルムを配置した画像表示装置において、反射防止フィルムのプライマー層がITO等の導電性材料である場合は、屋外での使用時に、タッチセンサーによる検出に異常が生じ、タッチ操作が困難または不可能となる場合がある。
上記に鑑み、本発明は、タッチセンサーを備える画像表示装置に適用した場合に、タッチ検出の異常が生じ難い反射防止フィルムの提供を目的とする。
画像表示装置を屋外で使用した際にタッチセンサーの検出異常が生じる要因について本発明者らが検討を行ったところ、紫外線照射により、反射防止フィルムのプライマー層の抵抗が一時的に変化することが判明し、これがタッチ検出異常の一因であると推定された。当該推定に基づいてさらに検討の結果、反射防止フィルムが所定のプライマー層を備えることにより、紫外線下におけるタッチセンサーの検出異常を抑制可能であることを見出した。
本発明の一実施形態は、透明フィルム基材の一方の主面上に、プライマー層、および反射防止層を備える反射防止フィルムに関する。反射防止層は、屈折率が異なる複数の薄膜の積層体である。反射防止フィルムは、反射防止層上に、防眩層を備えていてもよい。
プライマー層は、酸化インジウムスズ(ITO)層である。プライマー層の厚みは0.5~10nmが好ましい。ITOプライマー層において、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの量は、5~60重量%が好ましい。ITOプライマー層は、X線電子分光スペクトルの532eVのピーク強度が、530eVのピーク強度の0.93倍以下であることが好ましい。
プライマー層の表面抵抗Rは、1×10~5×1011Ω/sqが好ましい。放射強度1.6W/mで紫外線を1分間照射した後のプライマー層の表面抵抗Rと、紫外線を照射する前のプライマー層の表面抵抗Rとの比R/Rは、100以下が好ましい。
反射防止フィルムの透明フィルム基材は、透明樹脂フィルムの一主面上にハードコート層を備えるハードコートフィルムであってもよい。ハードコート層は、硬化性樹脂の硬化物を含む。ハードコート層は、さらに微粒子を含んでいてもよい。透明フィルム基材がハードコートフィルムである場合は、ハードコート層に接してプライマー層が設けられていることが好ましい。
プライマー層は、例えば、酸化物ターゲットを用いてスパッタ法により成膜される。反射防止層は、例えば、スパッタ法により形成される。反射防止層は、反応性スパッタにより成膜することもできる。
反射防止フィルムは、画像表示装置の構成部材として好適に用いられ、例えば、タッチセンサーを備える画像表示装置の視認側表面に配置される。
本発明の反射防止フィルムは、透明フィルム基材と反射防止層の間にITOプライマー層を備えるため、反射防止層の密着性に優れるとともに、帯電防止性が付与されるため、静電気に起因するタッチセンサーの誤作動を抑制できる。また、屋外での画像表示装置の使用時等において紫外線が照射された場合でも、タッチセンサーの誤作動が生じ難い。
一実施形態の反射防止フィルムの断面図である。 一実施形態の画像表示装置の断面図である。
図1は、反射防止フィルムの積層構成例を示す断面図である。反射防止フィルム101は、透明フィルム基材1上にプライマー層3を備え、プライマー層3上に反射防止層5を備える。反射防止層5は、屈折率の異なる2層以上の無機薄膜の積層体である。図1に示す反射防止フィルム101において、反射防止層5は、高屈折率層51,53と低屈折率層52,54とを交互に積層した構成を有する。反射防止層5上には防汚層7が設けられていてもよい。
図2は、画像表示パネル8の視認側表面に反射防止フィルム101を備える画像表示装置の構成を模式的に示す断面図である。画像表示装置201では、画像表示パネル8の視認側表面に、適宜の粘着剤層2を介して反射防止フィルム101が貼り合わせられている。画像表示パネル8は、タッチセンサー機能を有し、画像表示部81の視認側表面に、位置検出のためのタッチセンサー部85を備える。
タッチセンサー部85は、位置検出のための電極(不図示)を備えている。画像表示装置201の視認側表面(反射防止フィルム101の防汚層7)に指やタッチペンが触れると、電極の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検知することにより、タッチ位置の検出が行われる。
[反射防止フィルム]
<透明フィルム基材>
透明フィルム基材1としては、透明樹脂フィルムが用いられる。透明フィルム基材1は、透明樹脂フィルム10の一方の面にハードコート層11を備えるものであってもよい。透明フィルム基材1の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。透明フィルム基材1の厚みは特に限定されないが、強度や取扱性等の作業性、薄層性等の観点から、5~300μm程度が好ましく、10~250μmがより好ましく、20~200μmがさらに好ましい。
(透明樹脂フィルム)
透明樹脂フィルム10を構成する樹脂材料としては、透明性、機械強度、および熱安定性に優れる樹脂材料が好ましい。樹脂材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
(ハードコート層)
透明樹脂フィルム10の反射防止層形成面にハードコート層11が設けられることにより、反射防止フィルムの表面硬度や耐擦傷性等の機械特性を向上できる。透明樹脂フィルム10の裏面側にもハードコート層(不図示)が設けられていてもよい。
ハードコート層11を構成する硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等が挙げられる。これらの中でも、硬度が高く、光硬化が可能であることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましく、中でもアクリルウレタン系樹脂が好ましい。
光硬化性樹脂組成物は、2個以上の光重合性(好ましくは紫外線重合性)の官能基を有する多官能化合物を含む。多官能化合物はモノマーでもオリゴマーでもよい。光重合性の多官能化合物としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物(多官能(メタ)アクリレート)が好ましく用いられる。
ハードコート層11は、微粒子を含んでいてもよい。ハードコート層が微粒子を含むことにより、表面形状を調整し、防眩性等の光学特性の付与や反射防止層の密着性向上等の作用を持たせることができる。
微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の無機酸化物微粒子、ガラス微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル-スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の透明ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子、シリコーン系微粒子等を特に制限なく使用できる。
微粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、10nm~10μm程度が好ましい。微粒子は、粒径に応じて、0.5μm~10μm程度のサブミクロンまたはμmオーダーの平均粒子径を有する微粒子(以下「マイクロ粒子」と記載する場合がある)、10nm~100nm程度の平均粒子径を有する微粒子(以下「ナノ粒子」と記載する場合がある)、およびマイクロ粒子とナノ粒子の中間の粒子径を有する微粒子に大別できる。
ハードコート層11がナノ粒子を含むことにより、表面に微細な凹凸が形成され、ハードコート層11とプライマー層3および反射防止層5との密着性が向上する傾向がある。ナノ粒子としては、無機微粒子が好ましく、中でも無機酸化物微粒子が好ましい。中でも、屈折率が低く、バインダー樹脂との屈折率差を小さくできることから、シリカ粒子が好ましい。
ハードコート層11の表面に、プライマー層3等の無機薄膜との密着性に優れる凹凸形状を形成する観点から、ナノ粒子の平均一次粒子径は、20~80nmが好ましく、25~70nmがより好ましく、30~60nmがさらに好ましい。また、ハードコート層表面での反射光の色付きを抑制する観点から、ナノ粒子の平均一次粒子径は、55nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、45nm以下がさらに好ましい。平均一次粒子径は、コールターカウント法により測定される重量平均粒子径である。
ハードコート層11におけるナノ粒子の量は、バインダー樹脂100重量部に対して、1~150重量部程度であってもよい。ハードコート層11の表面に、無機薄膜との密着性に優れた表面形状を形成する観点から、ハードコート層11におけるナノ粒子の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、20~100重量部が好ましく、25~90重量部がより好ましく、30~80重量部がさらに好ましい。
ハードコート層11がマイクロ粒子を含むことにより、ハードコート層11の表面およびその上に形成される薄膜の表面に、直径がサブミクロンまたはμmオーダーの突起が形成され、防眩性が付与される。マイクロ粒子は、ハードコート層のバインダー樹脂との屈折率差が小さいことが好ましく、シリカ等の低屈折率無機酸化物粒子、またはポリマー微粒子が好ましい。
防眩性付与に適した表面形状を形成する観点から、マイクロ粒子の平均一次粒子径は、1~8μmが好ましく、2~5μmがより好ましい。粒子径が小さい場合は、防眩性が不足する傾向があり、粒子径が大きい場合は画像の鮮明度が低下する傾向がある。ハードコート層11におけるマイクロ粒子の含有量は特に制限されないが、バインダー樹脂100重量部に対して1~15重量部が好ましく、2~10重量部がより好ましく、3~8重量部がさらに好ましい。
ハードコート層11は、ナノ粒子およびマイクロ粒子のいずれか一方のみを含んでいてもよく、両方を含んでいてもよい。また、ナノ粒子とマイクロ粒子の中間の粒子径を有する微粒子を含んでいてもよい。
ハードコート層形成用組成物は、硬化性樹脂を含み、必要に応じて硬化性樹脂を溶解可能な溶媒を含んでいてもよい。上記の通り、ハードコート層形成用組成物は微粒子を含んでいてもよい。硬化性樹脂が光硬化型樹脂である場合には、組成物中に光重合開始剤が含まれることが好ましい。ハードコート層形成用組成物は、上記の他に、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
フィルム基材上にハードコート層形成用組成物を塗布し、必要に応じて溶媒の除去および樹脂の硬化を行うことにより、ハードコート層が形成される。ハードコート層形成用組成物の塗布方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法等の任意の適切な方法を採用し得る。塗布後の加熱温度は、ハードコート層形成用組成物の組成等に応じて、適切な温度に設定すればよく、例えば、50℃~150℃程度である。バインダー樹脂成分が光硬化性樹脂である場合は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより光硬化が行われる。照射光の積算光量は、好ましくは100~500mJ/cm程度である。
ハードコート層11の厚みは特に限定されないが、高い硬度を実現するとともに、表面形状を適切に制御する観点から、1~30μm程度が好ましく、2~20μmまたは3~10μmであってもよい。
<プライマー層>
透明フィルム基材1上(ハードコート層11上)には、プライマー層3が形成され、その上に反射防止層5が形成される。ハードコート層11上に接してプライマー層3を設け、プライマー層3上に接して反射防止層5を設けることにより、層間の密着性が高められ、反射防止層の剥離が生じ難い反射防止フィルムが得られる。
プライマー層3は、酸化インジウムスズ(ITO)層である。ITOは高透明であり、密着性に優れている。また、ITOは導電性が高いため、ITOプライマー層を設けることにより、反射防止フィルムに帯電防止性が付与される。ITOにおける酸化インジウムの量は40~95重量%が好ましく、酸化スズの量は5~60重量%が好ましい。
反射防止フィルムに適度の帯電防止性を持たせるとともに、画像表示装置のタッチセンサーでの検出を適切に行う観点から、プライマー層3の表面抵抗Rは、1×10~5×1011Ω/sqが好ましく、1×10~1×1011Ω/sqがより好ましく、5×10~8×1010Ω/sqがさらに好ましい。
プライマー層3の厚みは、例えば、0.5~10nm程度であり、好ましくは1~8nmである。プライマー層の厚みは、6nm以下、5nm以下または4nm以下であってもよい。プライマー層の厚みが上記範囲であれば、透明フィルム基材1と反射防止層5との密着性を向上可能であるとともに、表面抵抗を適切な範囲に制御できる。
プライマー層3は、C1sスペクトルの532eVのピーク強度I532が、530eVのピーク強度I530の0.93倍以下であることが好ましい。I532/I530は、0.92以下がより好ましく、0.91以下がさらに好ましく、0.90以下であってもよい。
ITO等の酸化インジウム系の金属酸化物は、XPSのC1sスペクトルにおいて、530eV付近に正常な完全酸化物(InおよびSnO)のピークトップが現れる。なお、ここでの結合エネルギーは、C1sスペクトルのC-C結合由来のピークトップの位置が285eVとなるようにシフトさせて補正した値である。
正常な完全酸化物では、C1sスペクトルの532eVのピーク強度I532は、530eV(ピークトップ)のピーク強度I530の0.80~0.90倍の範囲である。ITOに過剰な酸素が含まれていると、531~533eV付近にショルダーが現れ、530eVのピーク強度I530に対する532eVのピーク強度I532の比I532/I530が大きくなる。
プライマー層3は、紫外線照射による抵抗変化が小さいことが好ましい。ITO等の導電性のプライマー層に紫外線を照射すると、抵抗が低下する(導電性が高くなる)場合がある。反射防止フィルムのプライマー層の抵抗が低下すると、タッチセンサー部での検出異常が生じる場合がある。I532/I530が小さい、すなわち過剰な酸素が少ないほど、紫外線照射による抵抗変化が小さい傾向があり、反射防止フィルムを備える画像表示装置におけるタッチセンサー部での検出異常が抑制される。
反射防止フィルムに、反射防止層5形成面側から放射強度1.6W/mで紫外線を1分間照射した後のプライマー層3の表面抵抗Rは、紫外線を照射する前のプライマー層3の表面抵抗Rの0.01倍以上が好ましい。換言すると、R/Rが100以下であることが好ましい。
/Rは、50以下が好ましく、30以下、10以下、7以下または5以下であってもよい。R/Rが小さく、1に近い場合に、外光下(太陽光等の紫外線下)でのタッチセンサーでの検出異常が抑制される。R/Rの下限は特に限定されないが、一般には0.1以上であり、0.5以上、1以上、1.5以上または2以上であってもよい。
反射防止フィルムに、反射防止層5形成面側から放射強度1.6W/mで紫外線を1分間照射した後のプライマー層3の表面抵抗Rは、7×10Ω/sq以上が好ましく、1×10Ω/sq以上がより好ましく、5×10Ω/sq以上または1×10Ω/sq以上であってもよい。Rは、5×1011Ω/sq以下が好ましく、1×1011Ω/sq以下がより好ましく、8×1010Ω/sq以下がさらに好ましく、5×1010Ω/sq以下または1×1010Ω/sq以下であってもよい。
上記の様に、プライマー層3のC1sスペクトルのピーク強度比I532/I530が小さいほど、紫外線照射時の抵抗変化率R/Rが小さく、タッチセンサー部での検出異常が抑制される傾向がある。ITOプライマー層では、酸化スズの比率が高く、成膜時の酸素導入量が少ないほど、I532/I530が小さくなる傾向がある。
532/I530を小さくする観点から、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの量は、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましく、15重量%以上または20重量%以上であってもよい。一方、プライマー層に適度の導電性を持たせるとともに、透明性を確保する観点から、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの量は、60重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、40重量%以下または30重量%以下であってもよい。
<反射防止層>
反射防止層5は、屈折率の異なる複数の薄膜の積層体である。一般に、反射防止層は、入射光と反射光の逆転した位相が互いに打ち消し合うように、薄膜の光学膜厚(屈折率と厚みの積)が調整される。屈折率の異なる複数の薄膜の多層積層体により、可視光の広帯域の波長範囲において、反射率を小さくできる。反射防止層5を構成する薄膜としては、無機材料が好ましく、金属または半金属の酸化物、窒化物、フッ化物等からなるセラミック材料が好ましく、中でも金属または半金属の酸化物(無機酸化物)が好ましい。
反射防止層5は、好ましくは、高屈折率層と低屈折率層の交互積層体である。空気界面での反射を低減するために、反射防止層5の最外層(透明フィルム基材1から最も離れた層)として設けられる薄膜54は、低屈折率層であることが好ましい。
高屈折率層51,53は、例えば屈折率が1.9以上、好ましくは2.0以上である。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が挙げられる。中でも、酸化チタンまたは酸化ニオブが好ましい。低屈折率層52,54は、例えば屈折率が1.6以下、好ましくは1.5以下である。低屈折率材料としては、酸化シリコン、窒化チタン、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ハフニウム、フッ化ランタン等が挙げられる。中でも酸化シリコンが好ましい。特に、高屈折率層としての酸化ニオブ(Nb)薄膜51,53と、低屈折率層としての酸化シリコン(SiO)薄膜52,54とを交互に積層することが好ましい。低屈折率層と高屈折率層に加えて、屈折率1.6~1.9程度の中屈折率層が設けられてもよい。
高屈折率層および低屈折率層の厚みは、それぞれ、5~200nm程度であり、15~150nm程度が好ましい。屈折率や積層構成等に応じて、可視光の反射率が小さくなるように、各層の厚みを設計すればよい。例えば、高屈折率層と低屈折率層の積層構成としては、透明フィルム基材1側から、光学膜厚25~55nm程度の高屈折率層51、光学膜厚35~55nm程度の低屈折率層52、光学膜厚80~240nm程度の高屈折率層53、および光学膜厚120~150nm程度の低屈折率層54の4層構成が挙げられる。反射防止層は4層構成に限定されず、2層構成、3層構成、5層構成、または6層以上の積層構成であってもよい。
<プライマー層および反射防止層の成膜>
透明フィルム基材1上にプライマー層3および反射防止層5を形成することにより、反射防止フィルムが形成される。透明フィルム基材1が透明樹脂フィルム10の表面にハードコート層11を備えるハードコートフィルムである場合は、ハードコート層11上に、プライマー層3および反射防止層5が順に形成される。
プライマー層および反射防止層を形成する前に、フィルム基材1の表面処理を行ってもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、アルカリ処理、酸処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が挙げられる。表面処理として真空プラズマ処理を行ってもよい。表面処理により、ハードコート層の表面粗さを調整することもできる。例えば、微粒子を含むハードコート層11上にプライマー層3を形成する場合、ハードコート層11の表面に高放電電力でプラズマ処理を行うと、樹脂成分がエッチングされ、微粒子が表面に露出するために、ハードコート層表面の表面凹凸が大きくなり、薄膜との密着性が向上する傾向がある。
プライマー層3および反射防止層5を構成する薄膜の成膜方法は特に限定されず、ウェットコーティング法、ドライコーティング法のいずれでもよい。膜厚が均一な薄膜を形成できることから、真空蒸着、CVD,スパッタ、電子線蒸等のドライコーティング法が好ましい。中でも、膜厚の均一性に優れ、かつ緻密な膜を形成しやすいことから、スパッタ法が好ましい。
スパッタ法では、ロールトゥーロール方式により、フィルム基材を一方向(長手方向)に搬送しながら、薄膜を連続成膜できる。そのため、透明フィルム基材1上に、プライマー層3および複数の薄膜からなる反射防止層5を備える反射防止フィルムの生産性を向上できる。
スパッタ法では、アルゴン等の不活性ガス、および必要に応じて酸素等の反応性ガスをチャンバー内に導入しながら成膜が行われる。スパッタ法による酸化物層の成膜は、酸化物ターゲットを用いる方法、および(半)金属ターゲットを用いた反応性スパッタのいずれでも実施できる。
高レートで無機酸化物を成膜できることから、反射防止層5を構成する薄膜は、金属または半金属のターゲットを用いた反応性スパッタにより成膜することが好ましい。反応性スパッタに用いるスパッタ電源としては、DCまたはMF-ACが好ましい。
反応性スパッタでは、アルゴン等の不活性ガスおよび酸素等の反応性ガスをチャンバー内に導入しながら成膜が行われる。反応性スパッタでは、金属領域と酸化物領域との中間の遷移領域となるように酸素量を調整することが好ましい。スパッタ成膜が遷移領域となるように酸素量を調整することにより、高レートで酸化物膜を成膜できる。
プライマー層の成膜には、酸化物ターゲットを用いることが好ましい。金属ターゲットを用いる反応性スパッタは、成膜速度が大きい利点を有する反面、成膜条件(成膜環境)のわずかな変化により膜質が大きく変化する場合がある。一方、酸化物ターゲットを用いることにより、プライマー層の膜質が安定化する。ITOプライマー層3の成膜には、酸化インジウムと酸化スズを含む混合酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
プライマー層をスパッタ成膜する際の基板温度は、-30~150℃程度であり、透明フィルム基材が耐久性を有する範囲であれば特に限定されない。プライマー層をスパッタ成膜する際の圧力やパワー密度は、ターゲットの種類や、プライマー層の厚みに応じて適宜設定可能である。
酸化物ターゲットを用いたスパッタによりプライマー層を成膜する場合、アルゴン等の不活性ガスに加えて、酸素等の酸化性ガスを導入してもよい。酸素を導入することにより、スパッタ時にターゲットから脱離する酸素が補われるため、化学量論組成のITOが形成されやすく、透明性が向上する傾向がある。
一方、スパッタ成膜時の酸素導入量が大きい場合は、過剰な酸素が多くなり、530eVのピーク強度I530に対する532eVのピーク強度I532の比I532/I530が大きくなる傾向がある。スパッタ成膜時の酸素導入量は、不活性ガス100体積部に対して、5体積部以下が好ましく、3体積部以下がより好ましく、2体積部以下がより好ましく、1体積部以下がさらに好ましく、0.5体積部以下、0.3体積部以下または0.1体積部以下であってもよい。酸素を導入せずに不活性ガスのみを導入しながら、プライマー層を成膜してもよい。酸化物ターゲットを用いれば、酸素を全く導入しない場合であっても酸素欠損はわずかであり、透明性の著しい低下を回避できる。
前述のように、ITOプライマー層3における酸化スズの比率が高いほど、ピーク強度比I532/I530が小さくなる傾向がある。すなわち、ITO層の成膜に用いるターゲットの酸化スズの比率が高く、成膜時の酸素導入量が少ないほど、ITOプライマー層のI532/I530が小さく、紫外線照射時の抵抗率変化が小さくなる傾向がある。
<防汚層>
反射防止フィルムは、反射防止層5上に、付加的な機能層を備えていてもよい。反射防止フィルムがタッチセンサーを備える画像表示装置の最表面に配置される場合は、タッチ操作による指紋や手垢等の汚染物質の付着防止や、付着した汚染物質の除去を容易とする等の目的で、反射防止層5上に防汚層7を設けることが好ましい。
反射防止フィルムの表面に防汚層7を設ける場合は、界面での反射を低減する観点から、反射防止層5の最表面の低屈折率層54と防汚層7との屈折率差が小さいことが好ましい。防汚層の屈折率は、1.6以下が好ましく、1.55以下がより好ましい。防汚層の材料としては、フッ素基含有のシラン系化合物や、フッ素基含有の有機化合物等が好ましい。防汚層は、リバースコート法、ダイコート法、グラビアコート法等のウエット法や、真空蒸着法、CVD法等のドライ法により形成できる。防汚層の厚みは、通常、1~100nm程度であり、好ましくは2~50nm、より好ましくは3~30nmである。
[画像表示装置]
反射防止フィルムは、画像表示装置の表面に配置して用いられる。画像表示媒体(画像表示部)を含む画像表示パネルの視認側表面に、反射防止フィルムを配置することにより、外光の反射を低減して、画像表示装置の視認性を向上できる。
図2に示す画像表示装置201では、画像表示部81上にタッチセンサー部85を備える画像表示パネル8の視認側表面に、粘着剤層2を介して反射防止フィルム101が貼り合わせられている。
粘着剤層2は、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等により構成される。粘着剤層2の厚みは特に限定されず、例えば1~100μm程度である。画像表示パネル8と反射防止フィルム101は、硬化型の接着剤を介して貼り合わせられていてもよい。反射防止フィルム101は、必ずしも画像表示パネル8と貼り合わせされている必要はなく、画像表示パネル上に空間を隔てて反射防止フィルムが配置されていてもよい。
画像表示部8は、液晶セル、有機ELセル等の画像表示セルである。画像表示部8は、画像表示セルの表面に偏光板等の光学フィルムを備えるものであってもよい。
タッチセンサー部85は、例えば、静電容量方式のタッチパネルであり、位置検出のための電極を備えている。静電容量方式タッチパネルは、指やタッチペンがタッチ面(画像表示装置201の視認側表面)に触れた際の、電極の静電容量の変化を検知することにより、タッチ位置を検出する。
図2では、画像表示部81の視認側表面にタッチセンサー部85が配置されたオンセル型のタッチパネルを図示しているが、タッチパネルは、画像表示セルの内部にタッチセンサーが設けられたインセル型のものでもよい。また、画像表示セルと隔ててタッチパネルが配置されていてもよい。
画像表示装置201は、タッチセンサー部85の視認側表面に配置された反射防止フィルム101が、ITOプライマー層3を備えるため、帯電防止性を有し、静電気に起因するタッチセンサーの誤作動を防止できる。また、プライマー層3は、紫外線照射時の抵抗変化率R/Rが小さいため、屋外で画像表示装置を使用した際も、プライマー層の抵抗変化が小さく、検出異常が生じ難い。
反射防止フィルム101は、プライマー層3および反射防止層5を形成するための基板材料として、透明樹脂フィルムを用いているため、可撓性を有し、屈曲可能である。そのため、反射防止フィルムは、曲面ディスプレイや、折り畳み可能なディスプレイ(フォルダブルディスプレイ)を備える画像表示装置の表面板(カバーウィンドウ)としても適用可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
[比較例1]
(ハードコートフィルムの作製)
平均粒子径が50nm以下のシリカ粒子を含有する紫外線硬化型のアクリル系ハードコート剤(アイカ工業製「アイカアイトロン Z-850-50H-D」、固形分濃度44重量%)を固形分換算で100重量部、光重合開始剤(BASF製「OMNIRAD 2959」)4重量部、およびレベリング剤(共栄社化学製「LE-303」)0.05重量部を混合し、メチルイソブチルケトンで希釈して、固形分濃度40重量%のハードコート組成物を調製した。厚み50μmのPETフィルム(東レ製「ルミラー U48」)の片面に、上記のハードコート組成物を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、80℃で1分加熱して乾燥させた。その後、高圧水銀ランプを用いて、波長365nmでの積算光量が300mJ/cmとなるように紫外線を照射して組成物を硬化させ、PETフォイルム上にハードコート層を備えるハードコートフィルムを作製した。
(プラズマ処理)
ロールトゥーロール方式のプラズマ処理装置内でハードコートフィルムを搬送しながら、1.0Paの真空雰囲気下、150Wの放電電力でハードコート層の表面のアルゴンプラズマ処理を行った。
(プライマー層および反射防止層の形成)
プラズマ処理後のハードコートフィルムをロールトゥーロール方式のスパッタ成膜装置に導入し、槽内を1×10-4Paまで減圧した後、フィルムを走行させながら、基板温度-8℃で、1.5nmのITOプライマー層、12nmのNb層(第一高屈折率層)、28nmのSiO層(第一低屈折率層)、100nmのNb層(第二高屈折率層)および85nmのSiO層(第二低屈折率層)を、ハードコート層形成面に順に成膜した。
ITOプライマー層の形成には、酸化インジウムと酸化スズを96.7:3.3の重量比で含む酸化物ターゲットを用い、アルゴン100体積部に対して0.4体積部の酸素を導入しながら、圧力0.2Pa、放電電圧400Vの条件で、MF-ACスパッタ成膜を行った。
Nb層(高屈折率層)の形成にはNbターゲットを用い、SiO層(低屈折率層)の形成にはSiターゲットを用い、圧力0.7PaでMF-ACスパッタ成膜を行った。第一高屈折率層の成膜では、アルゴン100体積部に対して5体積部の酸素を導入し、放電電圧を415Vとした。第一低屈折率層の成膜では、アルゴン100体積部に対して30体積部の酸素を導入し、放電電圧を350Vとした。第二高屈折率層の成膜では、アルゴン100体積部に対して13体積部の酸素を導入し、放電電圧を460Vとした。第二低屈折率層の成膜では、アルゴン100体積部に対して30体積部の酸素を導入し、放電電圧を340Vとした。
(防汚層の形成)
フッ素系防汚コーティング剤(信越化学工業製「KY1903-1」)を乾燥して固化したものを蒸着源として、真空蒸着法により、反射防止層上に厚み12nmの防汚層を形成した。
上記により、ハートコートフィルムのハードコート層上に、厚み1.5nmのITOプライマー層、計4層からなる反射防止層、および厚み12nmの防汚層を順に備える反射防止フィルムを得た。
[参考例1]
比較例1において、ITOプライマー層の形成までを行い、反射防止層および防汚層を形成せずに、ハードコートフィルムのハードコート層上に、厚み1.5nmのITOプライマー層を備えるフィルムを作製した。
[実施例1および実施例2]
比較例1におけるITOプライマー層の形成に用いるターゲットを変更し、実施例1では酸化スズ含有量が10重量%のターゲットを用い、実施例2では酸化スズ含有量が30重量%のターゲットを用いた。それ以外は比較例1と同様にして、ハートコートフィルムのハードコート層上に、厚み1.5nmのITOプライマー層、計4層からなる反射防止層、および厚み12nmの防汚層を順に備える反射防止フィルムを作製した。
[参考例2~5]
参考例1におけるITOプライマー層の形成において、ターゲットの組成(酸化スズ含有量)、およびスパッタ成膜時の酸素導入量を、表1に示す様に変更した。それ以外は参考例1と同様にして、ハードコートフィルムのハードコート層上に、厚み1.5nmのITO層を備えるフィルムを作製した。
[評価]
<ITOプライマー層のXPS分析>
参考例1~5の試料を、1cm×1cmのサイズに切り出し、走査型X線光電子分光(XPS)装置(アルバック・ファイ製「Quantera SXM」)の試料台に固定した。Arガスクラスターイオン(Ar )により、加速電圧10kVでエッチングを行い(エッチング領域:2mm×2mm)表面のクリーニングを実施した。その後、下記の条件で、ITOプライマー層のXPS測定(ナロースキャン)を実施した。
X線源:モノクロAlKα
X線ビーム径:100μmφ
X線出力:25W(15kV)
光電子取り出し角度:試料面に対して5°
中和条件:中和銃とArイオン銃(中和モード)の併用
ナロースキャンのC1sスペクトルにおいて、530eVのスペクトル強度I530および532eVのスペクトル強度I532を読み取り、両者の強度比I532/I530を算出した。なお、結合エネルギーは、C1sスペクトルのC-C結合由来のピークトップの位置が285eVとなるようにシフトさせて補正した値である。
<表面抵抗>
抵抗率計(TREK製「152-1」)を用いて、実施例1,2および比較例1の反射防止フィルムの防汚層の表面、および参考例1~4のフィルムのITO層の表面の表面抵抗Rを測定した。その後、キセノンウェザーメーター(ATLAS製「Ci4000」)にて、温度25℃、相対湿度25%の環境下、放射強度1.6W/mで紫外線を1分間照射した。紫外線照射後30秒以内に、表面抵抗を再測定して、紫外線照射後の表面抵抗Rとした。
<紫外線照射後のタッチ操作性>
Apple製「iPad Air」の画面上に、実施例・比較例の反射防止フィルムおよび参考例のITO付きフィルムのPETフィルム側の面を、粘着剤層を介して貼り合わせた。この試料に、ハンディ型のブラックライト(Alonefire製「SV003」、放射強度10W,波長365nm)を用いて紫外線を1分間照射した後、フィルムの表面をタッチして、下記の基準に従ってタッチ操作性を評価した。
〇:紫外線照射前と同様に、スムーズにタッチ操作ができる
×:タッチ操作が検出されず、操作できない
実施例、比較例および参考例のプライマー層の成膜条件(ターゲットのスズ含有量、アルゴン100体積部に対する酸素流量)、および評価結果を表1に示す。なお、比較例1、実施例1および実施例2の表面抵抗Ro,Rは、プライマー層上に反射防止層および防汚層を備える反射防止フィルムの表面抵抗であり、プライマー層の表面抵抗を直接測定したものではないため、参考値として記載している。
Figure 2024048952000002
ITOプライマー層のC1sスペクトルにおけるピーク強度比I532/I530が0.963である参考例1のフィルムは、R/Rが1000であり、紫外線照射により表面抵抗が1/1000に減少していた。参考例1のフィルムをタッチパネルの表面に配置した状態で紫外線を照射した後は、検出異常が生じており、タッチ操作ができなかった。I532/I530が0.963である参考例2においても、参考例1と同様、紫外線を照射後に、タッチセンサーの検出異常が生じていた。
参考例1のフィルムのITOプライマー層上に、反射防止層および防汚層を設けた比較例1の反射防止フィルムは、参考例1と同様、紫外線を照射後に、タッチセンサーの検出異常が生じていた。
ITOプライマー層のI532/I530が0.906である参考例3のフィルムは、R/Rが50であり、タッチパネルの表面に配置した状態で紫外線を照射した後も、正常にタッチ操作が可能であった。参考例3のフィルムのITOプライマー層上に、反射防止層および防汚層を設けた実施例1の反射防止フィルムは、参考例3と同様、紫外線を照射後においても、正常にタッチ操作が可能であった。
ITOプライマー層のI532/I530が0.898である参考例5のフィルム、ならびにITO層上に反射防止層および防汚層を設けた実施例3の反射防止フィルムは、参考例3および実施例1と同様、紫外線を照射後においても、正常にタッチ操作が可能であった。
/Rが小さい(紫外線照射による表面抵抗の変化率が小さい)、参考例4は、参考例3,5と同様、紫外線を照射後においても、正常にタッチ操作が可能であった。
これらの結果から、反射防止層(および防汚層)の有無に関わらず、紫外線照射によるITOプライマー層の抵抗の低下が、タッチセンサーの検出異常の原因であること、およびITOプライマー層のC1sスペクトルにおけるピーク強度比I532/I530が小さい場合に、紫外線照射によるITOプライマー層の抵抗変化が小さく、タッチセンサーの検出異常が生じないことが分かる。
参考例1,3,5の対比から、ITOプライマー層の酸化スズ含有量(成膜に用いたターゲットの酸化スズ含有量)が大きいほど、I532/I530が小さく、R/Rが小さくなる傾向がみられたあることが分かる。また、参考例2~4の対比から、ITOプライマー層成膜時の酸素導入量が小さいほど、I532/I530が小さく、R/Rが小さくなる傾向があることが分かる。
以上の結果から、ITOプライマー層の酸化スズ含有量を高める、および/またはITOプライマー層成膜時の酸素導入量を多くすることにより、XPSのC1sスペクトルにおけるピーク強度比I532/I530が小さくなる傾向があり、I532/I530が小さい場合に、紫外線照射によるプライマー層の抵抗の変化率が小さく、タッチセンサーの検出異常を防止できることが分かる。
なお、比較例1,および参考例1,2では、紫外線照射直後には、タッチセンサーの検出異常が生じていたが、紫外線照射から1時間経過後にタッチ操作を実施すると、正常にタッチ操作が可能であった。紫外線照射による抵抗変化、およびこれに起因するタッチセンサーの検出異常は、紫外線照射直後に一時的に生じるものであると考えられる。
1 透明フィルム基材(ハードコートフィルム)
10 透明樹脂フィルム
11 ハードコート層
3 プライマー層
5 反射防止層
51,53 高屈折率層
52,54 低屈折率層
7 防汚層
101 反射防止フィルム
2 粘着剤層
81 画像表示部
85 タッチセンサー部
8 画像表示パネル
201 画像表示装置

Claims (10)

  1. 透明フィルム基材の一主面上に、プライマー層および反射防止層を備える反射防止フィルムであって、
    前記反射防止層は、屈折率が異なる複数の薄膜の積層体であり、
    前記プライマー層は、厚みが0.5~10nmの酸化インジウムスズ層であり、
    前記プライマー層は、X線電子分光のC1sスペクトルにおいて、532eVのピーク強度が、530eVのピーク強度の0.93倍以下である、
    反射防止フィルム。
  2. 前記プライマー層の表面抵抗Rが、1×10~5×1011Ω/sqである、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 放射強度1.6W/mで紫外線を1分間照射した後の前記プライマー層の表面抵抗Rと、紫外線を照射する前の前記プライマー層の表面抵抗Rとの比R/Rが、100以下である、請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記プライマー層は、酸化インジウムと酸化スズの合計に対する酸化スズの量が、5~60重量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. さらに、前記反射防止層上に、防眩層を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記透明フィルム基材は、透明樹脂フィルムの一主面上にハードコート層を備え、
    前記ハードコート層と前記プライマー層とが接している、請求項1~3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記ハードコート層が、硬化性樹脂の硬化物および微粒子を含む、請求項6に記載の反射防止フィルム。
  8. 画像表示部、タッチセンサー部、および前記タッチセンサー部の視認側表面に配置された反射防止フィルムを備え、タッチセンサーによる位置検出が可能な画像表示装置であって、
    前記反射防止フィルムが、請求項1~3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムである、
    画像表示装置。
  9. 請求項1~3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを製造する方法であって、
    酸化物ターゲットを用いたスパッタ法により、透明フィルム基材の一主面上にプライマー層を形成する、反射防止フィルムの製造方法。
  10. 前記プライマー層上に、反応性スパッタにより反射防止層を形成する、請求項9に記載の反射防止フィルムの製造方法。

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