JP2024044625A - 多孔質体の製造方法及び多孔質体 - Google Patents

多孔質体の製造方法及び多孔質体 Download PDF

Info

Publication number
JP2024044625A
JP2024044625A JP2022150267A JP2022150267A JP2024044625A JP 2024044625 A JP2024044625 A JP 2024044625A JP 2022150267 A JP2022150267 A JP 2022150267A JP 2022150267 A JP2022150267 A JP 2022150267A JP 2024044625 A JP2024044625 A JP 2024044625A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous body
polymerizable monomer
solvent
solution
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022150267A
Other languages
English (en)
Inventor
広平 松延
浩 宇山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2022150267A priority Critical patent/JP2024044625A/ja
Priority to US18/234,958 priority patent/US20240101857A1/en
Priority to CN202311049449.2A priority patent/CN117736489A/zh
Publication of JP2024044625A publication Critical patent/JP2024044625A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D135/00Coating compositions based on homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical, and containing at least another carboxyl radical in the molecule, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof; Coating compositions based on derivatives of such polymers
    • C09D135/02Homopolymers or copolymers of esters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F122/00Homopolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a carboxyl radical and containing at least one other carboxyl radical in the molecule; Salts, anhydrides, esters, amides, imides or nitriles thereof
    • C08F122/10Esters
    • C08F122/1006Esters of polyhydric alcohols or polyhydric phenols, e.g. ethylene glycol dimethacrylate
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D4/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; Coating compositions, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09D183/00 - C09D183/16
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/02Emulsion paints including aerosols
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D7/00Features of coating compositions, not provided for in group C09D5/00; Processes for incorporating ingredients in coating compositions
    • C09D7/20Diluents or solvents

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】生産性により優れる多孔質体の製造方法を提供する。【解決手段】本開示の多孔質体の製造方法は、二官能以上の重合性モノマー、及び前記重合性モノマーと相溶する溶剤を含有し、重合開始剤を含有しない溶液を調製することと、前記溶液に含まれる前記重合性モノマーを直接にラジカル化し、前記重合性モノマーを重合させて、多孔質体及び前記溶剤を含む相分離物を前記溶液から形成することと、前記相分離物に含まれる前記溶剤を気化することと、を含む。前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の所定の溶剤を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、多孔質体の製造方法及び多孔質体に関する。
高分子多孔質体(以下、単に「多孔質体」という。)は、様々な分野で使用されている。多孔質体は、例えば、発泡体(例えば、クッション材等)、分離膜(例えば、水処理等)、多孔質膜(例えば、電池セパレータ等)、反射基材(例えば、照明器具等)に利用されている。
特許文献1は、多孔質体の形成方法を開示している。特許文献1に開示の形成方法では、バインダー樹脂、感光性化合物及び光重合開始剤を含む組成物を基板上に塗設して塗膜を形成する。次いで、塗膜に超高圧水銀灯を用いて所望のパターンに応じた紫外線を照射する。次いで、塗膜をバインダー樹脂に対する貧溶媒に浸漬する。次いで、塗膜の内部に浸透した貧溶媒を揮発させる。これにより、多孔質体が得られる。
特開2004-143427号公報
しかしながら、特許文献1に開示の形成方法では、紫外線の照射時間は、1分~2分程度である。そのため、より短時間で多孔質体を製造できる(換言すると、生産性により優れる)多孔質体の製造方法が求められている。
本開示は、上記事情に鑑みたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、生産性により優れる多孔質体の製造方法及び多孔質体を提供することである。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、紫外線よりもエネルギーレベルが高い電子線を用いて、重合性モノマーの種類と溶剤の種類との組み合わせを適切に選択することで、多孔質体を従来よりも短い時間で製造することができるとの知見を実験的に得た。本発明者は、このような知見に基づき、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 二官能以上の重合性モノマー、及び前記重合性モノマーと相溶する溶剤を含有し、重合開始剤を含有しない溶液を調製することと、
前記溶液に含まれる前記重合性モノマーを直接にラジカル化し、前記重合性モノマーを重合させて、多孔質体及び前記溶剤を含む相分離物を前記溶液から形成することと、
前記相分離物に含まれる前記溶剤を気化することと、
を含み、
前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-メトキシエタノール、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジアセタート、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、テトラデカン、1-ヘキサノール、1-デカノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、2-プロピルアルコール、1-プロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、ヘキシレングリコール、1,4-ジオキサン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルエチレンウレア、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチルグリコールアセテート、及び2-ピロリドンから選択される少なくとも1種を含む、多孔質体の製造方法。
<2> 前記相分離物を形成することにおいて、前記溶液に電子線の照射を行い、前記重合性モノマーを直接にラジカル化する、前記<1>に記載の多孔質体の製造方法。
<3> 前記電子線の照射が、10kGray~200kGrayの吸収線量となるように行われる、前記<2>に記載の多孔質体の製造方法。
<4> 前記溶液を調製することにおいて、前記重合性モノマーの含有量が、前記重合性モノマー及び前記溶剤の総量に対して、5質量%~50質量%である、前記<1>~<3>のいずれか1つに記載の多孔質体の製造方法。
<5> 二官能以上の重合性モノマーに由来する構成単位を有し、重合開始剤を含有しない多孔質体。
本開示によれば、生産性により優れる多孔質体の製造方法及び多孔質体が提供される。
図1は、実施例1の多孔質体の表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真(撮影倍率:1万倍)である。 図2は、実施例3の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)である。 図3は、実施例4の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)である。 図4は、実施例5の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)である。 図5は、実施例32の多孔質体の表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真(撮影倍率:1万倍)である。 図6は、比較例29の多孔質体の表面を撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真(撮影倍率:1万倍)である。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。本開示において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本開示において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を示し、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を示す。
(1)多孔質体の製造方法
本開示の多孔質体の製造方法は、二官能以上の重合性モノマー、及び前記重合性モノマーと相溶する溶剤を含有し、重合開始剤を含有しない溶液を調製すること(以下、「調製工程」ともいう。)と、前記溶液に含まれる前記重合性モノマーを直接にラジカル化し、前記重合性モノマーを重合させて、多孔質体及び前記溶剤を含む相分離物を前記溶液から形成すること(以下「形成工程」ともいう。)と、前記相分離物に含まれる前記溶剤を気化すること(以下、「気化工程」ともいう。)と、を含む。前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-メトキシエタノール、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジアセタート、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、テトラデカン、1-ヘキサノール、1-デカノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、2-プロピルアルコール、1-プロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、ヘキシレングリコール、1,4-ジオキサン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルエチレンウレア、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチルグリコールアセテート、及び2-ピロリドンから選択される少なくとも1種(以下、「所定溶剤」ともいう。)を含む
「重合性モノマー」とは、エチレン性不飽和基を含むモノマーを示す。「二官能以上」とは、1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有することを示す。「重合開始剤」とは、活性エネルギー線(例えば、電磁波、放射線等)の照射によりラジカルを発生させる化合物(モノマーを除く)を示す。重合開始剤は、紫外線硬化で使用される公知の重合開始剤を含む。「重合開始剤を含有しない」とは、重合開始剤の含有量が溶液の総量に対して、0.001質量%以下であることを示し、重合開始剤の含有量が0質量%である場合が含まれる。「重合性モノマーを直接にラジカル化し」とは、重合性モノマーは、放射線(例えば、電子線、X線、ガンマ線等)の照射等によって、重合開始剤によるラジカルの発生がなくても、重合が進行することを示す。「溶液」とは、均一に相溶した液相を示す。「多孔質体」は、重合性モノマーの重合体(固相)を示す。
本開示の多孔質体の製造方法は、上記の構成を有するので、生産性により優れる。
(1.1)調製工程
調製工程では、二官能以上の重合性モノマー、及び前記重合性モノマーと相溶する溶剤を含有し、重合開始剤を含有しない溶液を調製する。
溶液は、二官能以上の重合性モノマーを含有する。二官能以上の重合性モノマーは、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。
二官能の重合性モノマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能以上の重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、1種で単独で使用されても、2種以上で併用されてもよい。
溶液は、所定溶剤を含有する。溶液は、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-メトキシエタノール、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジアセタート、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、テトラデカン、1-ヘキサノール、1-デカノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、2-プロピルアルコール、1-プロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、及び2-エトキシエタノールから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
重合性モノマーの含有量(以下、「モノマー比」ともいう)は、特に限定されず、重合性モノマー及び溶剤の総量に対して、好ましくは5質量%~50質量%、より好ましくは10質量%~40質量%、さらに好ましくは10質量%~25質量%である。モノマー比が5質量%~50質量%の範囲内であれば、所望の多孔質体が得られやすい。
溶液は、重合開始剤を含有しない。溶液は、二官能以上の重合性モノマー及び溶剤に加えて、添加剤を含有してもよいし、添加剤を含有しなくてもよい。分散剤、シランカップリング剤等の密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
(1.2)形成工程
形成工程では、前記溶液に含まれる前記重合性モノマーを直接にラジカル化し、前記重合性モノマーを重合させて、多孔質体及び前記溶剤を含む相分離物を前記溶液から形成する。
重合性モノマーを直接にラジカル化する方法は、特に限定されず、溶液に放射線(例えば、電子線、X線、ガンマ線等)を照射する方法等が挙げられる。なかでも、溶液に電子線の照射を行い、重合性モノマーを直接にラジカル化することが好ましい。これにより、紫外線硬化のような従来の方法よりも短時間で重合性モノマーの重合を進行させることができる。
重合性モノマーを直接にラジカル化する際、溶液は基材の表面上に塗布された塗膜の形態であってもよい。
電子線の照射は、特に限定されず、10kGray~200kGrayの吸収線量となるように行われることが好ましい。これにより、所望の多孔質体が得られやすい。
電子線の吸収線量は、特に限定されず、より好ましくは30kGy~100kGy、さらに好ましくは30kGy~80kGyである。
電子線の加速電圧は、多孔質体のサイズに応じて適宜調整すればよく、80kV~300kVであってもよい。
(1.3)気化工程
気化工程では、前記相分離物に含まれる前記溶剤を気化する。
溶剤を気化する方法としては、特に限定されず、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。加熱乾燥では、加熱温度が重合性モノマー又はその重合体のガラス転移温度以下の温度であれば、多孔質体の多孔質構造を崩すことなく、相分離物から溶剤を除去することができる。加熱乾燥は、赤外線ヒータを用いた輻射熱乾燥や送風機による送風乾燥などが挙げられる。
(2)多孔質体
本開示の多孔質体は、二官能以上の重合性モノマーに由来する構成単位を有し、重合開始剤を含有しない。
「重合開始剤を含有しない」とは、重合開始剤の含有量が、多孔質体の総量に対して、0.001質量%以下であることを示し、重合開始剤の含有量が0質量%である場合が含まれる。
本開示の多孔質体は、本開示の多孔質体の製造方法により製造された多孔質体であることが好ましい。二官能以上の重合性モノマーとしては、多孔質体の製造方法において、二官能以上の重合性モノマーとして例示した化合物と同様である。多孔質体のサイズは、特に限定されず、多孔質体の用途に応じて適宜選択される。
多孔質体は、例えば、発泡体(例えば、クッション材等)、分離膜(例えば、水処理等)、多孔質膜(例えば、電池セパレータ等)、反射基材(例えば、照明器具等)に好適に用いられる。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、本開示の発明がこれら実施例のみに限定されるものではない。
[1]実施例1
[1.1]調製工程
重合性モノマーとして、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(官能基数:2つ)を準備した。溶剤として、ジエチレングリコールジエチルエーテルを準備した。
重合性モノマーと、溶剤とをサンプル瓶に入れた。モノマー比は、30質量%であった。サンプル瓶を手で振って、重合性モノマー及び溶剤を攪拌し、溶液を得た。
サンプル瓶を静置し、溶液を目視で観察して、下記の基準で相溶性評価をした。許容可能な相溶性評価の結果は、「A1」である。
「A1」:重合性モノマーと溶剤との分離等は見られなかった。
「B1」:重合性モノマーと溶剤との分離が見られた。
「A1」は、重合性モノマーと溶剤とが相溶していると評価できる。「B1」は、重合性モノマーと溶剤とが相溶していないと評価できる。
実施例1では、相溶性評価の結果は、「A1」であった。
[1.2]形成工程
溶液をアルミニウム箔上にキャスティングにより塗布して、塗膜を形成した。塗膜の厚みは、350μmであった。
塗膜に電子線を照射して、照射済塗膜を得た。電子線の照射には、ベルトコンベアー式のエリアビーム型電子線照射装置を用いた。電子線の加速電圧は200kV、吸収線量は50kGyであった。電子線の照射時間は、1.2秒であった。「電子線の照射時間」は、ベルトコンベアーで移動する塗膜が電子線の照射領域を通過するのに要した時間を示す。許容可能な照射時間は、20秒以内である。
照射済塗膜を目視で観察し、下記の基準で重合性評価をした。許容可能な重合性評価の結果は、「A2」である。
「A2」:照射済塗膜の色は、白色であった。
「B2」:照射済塗膜の色は、透明であった。
「A2」は、多孔質体を形成するために重合性モノマーの重合が十分に進行していると評価できる。「B2」は、多孔質体を形成するために重合性モノマーの重合が十分に進行していないと評価できる。
実施例1では、重合性評価の結果は、「A2」であった。つまり、照射済塗膜は、多孔質体を形成するために重合性モノマーの重合が十分に進行していることがわかった。
[1.3]気化工程
照射済塗膜が形成されたアルミニウム箔をホットプレート上に載置した。ホットプレートの設定温度を120℃に設定し、照射済塗膜を120℃、2分程度加熱して、溶媒を揮発除去した。これにより、照射済塗膜から重合体を分離した。
走査型電子顕微鏡(SEM)(撮影倍率:1万倍又は5万倍)を用いて、重合体の表面を観察し、下記の基準で重合体の多孔性評価をした。許容可能な多孔性評価の結果は、「A3」である。
「A3」:独立気孔及び連続気孔のいずれかを確認した。
「B3」:独立気孔及び連続気孔のいずれも確認できなかった。
「A3」は、重合体が多孔質体であると評価できる。「B3」は、重合体が多孔質体ではないと評価できる。
実施例1では、多孔性評価の結果は、「A3」であった。つまり、重合体は、多孔質体であることがわかった。図1に、実施例1の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。
[2]実施例2~実施例33、比較例1~比較例28
実施例2~実施例33、比較例1~比較例28では、重合性モノマー、溶剤、モノマー比、吸収線量及び照射時間の各々を表1~表3に示すように変更したことの他は、実施例1と同様にして、調整工程、形成工程、及び気化工程を実施した。相溶性評価、重合性評価及び多孔性評価の各々の評価結果を表1~表3に示す。図2に、実施例3の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。図3に、実施例4の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。図4に、実施例1の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。図5、実施例1の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。
[3]比較例29
[3.1]調製工程
重合性モノマーとして、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(官能基数:2つ)を準備した。溶剤として、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを準備した。重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製の「Omnirad 184」)を準備した。
重合性モノマーと、溶剤と、重合開始剤とを混合し、溶液を得た。配合比(重合性モノマー/溶剤/重合開始剤)は、19質量部/80質量部/1質量部であった。
[3.2]形成工程
溶液を基板フィルム(材質:ポリエチレンテレフタレート)上にスピンコータを用いて塗布し、80℃で15分乾燥させて冷却して、塗膜を形成した。塗膜にカバーフィルム(材質:ポリエチレンテレフタレート)を貼り合わせて、樹脂シートを得た。樹脂シートの塗膜厚は100μmであった。
樹脂シートに紫外線を照射し、85℃で2分間加熱して室温まで冷却して、照射済樹脂シートを得た。紫外線の照射には、超高圧水銀灯を用いた。紫外線の照射強度は、220mW/cmであった。紫外線の照射時間は、60秒~120秒であった。
照射済樹脂シートに含まれる照射済塗膜の重合性評価を行った。重合性評価の結果を表3に示す。
[3.3]気化工程
照射済樹脂シートからカバーフィルムを剥離して、塗膜シートを得た。塗膜シートをメタノール槽に4時間浸漬後、メタノール槽から取り出した。次いで、超高圧水銀灯を用いて、塗膜の表面側と、基板フィルム側とに1000mJ/cm照射し、室温で一晩放置し、メタノールを揮発させた。これにより、基板フィルム上に形成された重合体を得た。
重合体の多孔性評価を行った。多孔性評価の結果を表3に示す。図6に、比較例29の多孔質体の表面を撮影したSEM写真(撮影倍率:1万倍)を示す。
[4]比較例30~比較例34
比較例30~比較例34では、溶剤を表3に示すように変更したこと、及び比較例30、比較例32及び比較例34の配合比(重合性モノマー/溶剤/重合開始剤)を39質量部/60質量部/1質量部に変更したことの他は、比較例29と同様にして、調整工程、形成工程、及び気化工程を実施した。重合性評価及び多孔性評価の各々の評価結果を表3に示す。
表1~表3中、「アクリルA」とは、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(官能基数:2つ)を示す。「アクリルB」とは、トリメチロールプロパントリアクリレート(官能基数:3つ)を示す。「アクリルC」とは、イソボニルアクリレート(官能基数:1つ)を示す。「開始剤A」とは、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを示す。「EB」とは、電子線を示す。「UV」とは、紫外線を示す。「モノマー比」とは、重合性モノマー及び溶剤の総量に対する重合性モノマーの割合を示す。
実施例1~実施例33の製造方法は、調製工程、形成工程及び気化工程を含み、溶剤は所定溶剤を含む。そのため、実施例1~実施例33では、電子線の照射時間が20秒以内であっても、多孔質体が得られた。その結果、実施例1~実施例33の製造方法は、生産性により優れる多孔質体の製造方法であることがわかった。
図1と図3とを比較しても、多孔質体の表面に大きな違いは見られず、吸収線量が高い方が多孔質体の表面の孔の数が多いことがわかった。
図2~図4を比較すると、モノマー比率が高くなるほど、多孔質体の表面の孔の数が減る傾向にあることがわかった。
図1~図4と、図5とを比較すると、図5に示す多孔質体は、複数の粒子状物の各々が連結した構造であることがわかった。これにより、三官能の重合性モノマーを用いても、多孔質体が得られることがわかった。
比較例1~比較例11の製造方法では、溶剤は所定溶剤を含まなかった。そのため、比較例1~比較例11の重合性評価は「B2」であった。
比較例12~比較例18の製造方法では、2官能以上の重合性モノマーを用いなかった。そのため、比較例12~比較例18の重合性評価は「B2」であった。これは、単官能の重合性モノマーでは架橋構造が形成されにくいことと、単官能の重合性モノマーに由来する構成単位を有する重合体の鎖長が短いこととが主要因であると推測される。
比較例19~比較例28の製造方法では、溶剤は所定溶剤を含まなかった。そのため、比較例19~比較例28の相溶性評価は「B1」であった。
比較例29~比較例34の製造方法では、溶液は重合開始剤を含み、形成工程において電子線の照射の代わりに紫外線の照射が行われた。そのため、紫外線の照射時間が20秒超であった。
これらの結果、比較例1~比較例34の製造方法は、生産性により優れる多孔質体の製造方法ではないことがわかった。

Claims (5)

  1. 二官能以上の重合性モノマー、及び前記重合性モノマーと相溶する溶剤を含有し、重合開始剤を含有しない溶液を調製することと、
    前記溶液に含まれる前記重合性モノマーを直接にラジカル化し、前記重合性モノマーを重合させて、多孔質体及び前記溶剤を含む相分離物を前記溶液から形成することと、
    前記相分離物に含まれる前記溶剤を気化することと、
    を含み、
    前記溶剤は、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-メトキシエタノール、ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジアセタート、γ-ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジメチルホルムアミド、テトラデカン、1-ヘキサノール、1-デカノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、2-プロピルアルコール、1-プロピルアルコール、1-メトキシ-2-プロパノール、2-エトキシエタノール、ジメチルスルホキシド、ヘキシレングリコール、1,4-ジオキサン、スルホラン、アセトニトリル、ジメチルエチレンウレア、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチルグリコールアセテート、及び2-ピロリドンから選択される少なくとも1種を含む、多孔質体の製造方法。
  2. 前記相分離物を形成することにおいて、前記溶液に電子線の照射を行い、前記重合性モノマーを直接にラジカル化する、請求項1に記載の多孔質体の製造方法。
  3. 前記電子線の照射が、10kGray~200kGrayの吸収線量となるように行われる、請求項2に記載の多孔質体の製造方法。
  4. 前記溶液を調製することにおいて、前記重合性モノマーの含有量が、前記重合性モノマー及び前記溶剤の総量に対して、5質量%~50質量%である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の多孔質体の製造方法。
  5. 二官能以上の重合性モノマーに由来する構成単位を有し、重合開始剤を含有しない多孔質体。
JP2022150267A 2022-09-21 2022-09-21 多孔質体の製造方法及び多孔質体 Pending JP2024044625A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022150267A JP2024044625A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 多孔質体の製造方法及び多孔質体
US18/234,958 US20240101857A1 (en) 2022-09-21 2023-08-17 Method of producing porous body, and porous body
CN202311049449.2A CN117736489A (zh) 2022-09-21 2023-08-18 多孔体的制造方法和多孔体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022150267A JP2024044625A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 多孔質体の製造方法及び多孔質体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024044625A true JP2024044625A (ja) 2024-04-02

Family

ID=90280065

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022150267A Pending JP2024044625A (ja) 2022-09-21 2022-09-21 多孔質体の製造方法及び多孔質体

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20240101857A1 (ja)
JP (1) JP2024044625A (ja)
CN (1) CN117736489A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
CN117736489A (zh) 2024-03-22
US20240101857A1 (en) 2024-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Xu et al. Effects of Irgacure 2959 and lithium phenyl-2, 4, 6-trimethylbenzoylphosphinate on cell viability, physical properties, and microstructure in 3D bioprinting of vascular-like constructs
WO2016125481A1 (ja) 蛍光体分散組成物及びそれを用いて得られた蛍光成形体、波長変換膜、波長変換部材、バックライトユニット、液晶表示装置
JP2011514145A5 (ja)
CN103130969A (zh) 含氟聚合物微球
CN109847602B (zh) 一种原位制备金属有机框架杂化膜的方法及金属有机框架杂化膜的用途
JPS6364458B2 (ja)
US4256782A (en) Treating method for giving hydrophilic property to the surface of hydrophobic polymer substrate
JP2002275205A (ja) 表面に周期性の皺模様を有する樹脂成形物の製造方法
JP2008248181A (ja) 親水性グラフトポリマーを有する多孔質フィルム及びその使用方法並びにその製造方法
CN112703049B (zh) 适合检测、过滤和/或纯化生物分子的由阳离子单体形成的膜
JP2024044625A (ja) 多孔質体の製造方法及び多孔質体
JP2009237342A (ja) 光拡散フィルム及び光拡散フィルムの製造方法
KR102025864B1 (ko) 아크릴산을 포함하는 하이드로젤 액추에이터 및 그 제조방법
TW499789B (en) Process and apparatus for insulating electrical components
EP1492630B1 (en) Preparation of superabsorbent materials by plasma modification
Aroca et al. Plasma-induced polymerisation of hydrophilic coatings onto macroporous hydrophobic scaffolds
JP2009018215A (ja) コア−シェル型高分子ゲル微粒子の固定化方法及び分離材
US3857768A (en) Process for radiation cross-linking polymethyl acrylate-methyl acrylate compositions
JP6878958B2 (ja) 電離放射線重合性組成物、電離放射線硬化フィルム及びこの電離放射線硬化フィルムの製造方法
JP2024070507A (ja) 多孔質体の製造方法
Lin et al. Preparation of a nanosilica‐modified negative‐type acrylate photoresist
CN103360807A (zh) 一种含氟光固化水性涂料及其制备方法
Gao et al. Photografting of methacrylic acid onto hydroxyapatite particles surfaces
Goganian et al. Microwave promoted synthesis of smart superporous poly (dimethylaminoethyl methacrylate-co-acrylamide) hydrogels and study of Kamlet-Abboud-Taft polarity functions for obtained materials
JP2017014322A (ja) 光硬化性組成物および硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231011