JP2024044024A - シリカ粒子、シリカ粒子の製造方法、シリカゾル及びシリカゾルの製造方法 - Google Patents

シリカ粒子、シリカ粒子の製造方法、シリカゾル及びシリカゾルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率を有するシリカ粒子及びその製造方法を提供すること。【解決手段】金属含有率が5ppm以下であり、化学構造中にSi-CH3単位を含む、シリカ粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、シリカ粒子、シリカ粒子の製造方法、シリカゾル及びシリカゾルの製造方法に関する。
シリカ膜は、高屈折率、透明性、電気絶縁性等の特性を有しており、幅広く産業上で利用されている。特に、高屈折率の特性を利用した分野では、反射防止膜、光導波路、レンズ等があり、電子機器ディスプレイ、自動車パネル、照明用灯具、太陽光利用装置、カメラレンズ等に実用化が検討されている。シリカ膜の特性の1つである屈折率は、それを形成するためのシリカ粒子の屈折率に大きく依存するため、その制御は極めて重要である。
シリカ粒子の特性を所望のものとするために、これまで多くの検討がなされてきた。例えば、特許文献1~2には、粒子径が一定の範囲にあるシリカ粒子及びその製造方法が開示されている。
特開2005-060217号公報 特開2021-123527号公報
しかしながら、特許文献1~2には、シリカ粒子の屈折率やその制御方法に関して何ら開示されておらず、シリカ粒子の屈折率を制御する有効な手段は明らかでなかった。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高屈折率を有するシリカ粒子及びその製造方法を提供することにある。
従来、高屈折率を有するシリカ粒子とするための指針が開示されていなかった。しかしながら、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、金属含有率が所定の範囲であり、かつ、化学構造中にSi-CH単位を含むシリカ粒子とすることにより、高屈折率を有するシリカ粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。更に、本発明者らは、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを原料として用いることで、高屈折率を有するシリカ粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
本発明の態様1は、
金属含有率が5ppm以下であり、化学構造中にSi-CH単位を含む、シリカ粒子である。
本発明の態様2は、
炭素含有率が0.01質量%~1質量%である、態様1に記載のシリカ粒子である。
本発明の態様3は、
シリカ粒子がアモルファスである、態様1又は2に記載のシリカ粒子である。
本発明の態様4は、
BET法により測定した平均1次粒子径が5nm~100nmである、態様1~3のいずれか1つに記載のシリカ粒子である。
本発明の態様5は、
DLS法により測定した平均2次粒子径が10nm~200nmである、態様1~4のいずれか1つに記載のシリカ粒子である。
本発明の態様6は、
メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを、加水分解反応及び縮合反応させる工程を含む、シリカ粒子の製造方法である。
本発明の態様7は、
前記加水分解反応及び縮合反応させる工程が、アルカリ触媒を含む液(A)中に、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、加水分解反応及び縮合反応させる工程である、態様6に記載のシリカ粒子の製造方法である。
本発明の態様8は、
前記メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)におけるメチルトリアルコキシシランの含有率が、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの合計100質量%中、0.05質量%~5質量%である、態様7に記載のシリカ粒子の製造方法である。
本発明の態様9は、
態様1~5のいずれか1つに記載のシリカ粒子を含む、シリカゾルである。
本発明の態様10は、
態様6~8のいずれか1つに記載のシリカ粒子の製造方法を含む、シリカゾルの製造方法である。
本発明のシリカ粒子は、高屈折率である。また、本発明のシリカ粒子の製造方法により、高屈折率のシリカ粒子が得られる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いる。
(シリカ粒子)
本発明のシリカ粒子は、金属含有率が5ppm以下であり、化学構造中にSi-CH単位を含む。
シリカ粒子に金属が5ppmを超えて存在すると、シリカ粒子から得られるシリカ膜の光透過率が著しく低下する。
また、シリカ粒子に金属が5ppmを超えて存在すると、酸性を示す表面シラノール基と金属とが配位的な相互作用が発生し、表面シラノール基の化学的性質(酸性度等)を変化させたり、シリカ粒子表面の立体的な環境(シリカ粒子の凝集のしやすさ等)を変化させたり、膜の形成に影響を及ぼす。
シリカ粒子の金属含有率は、高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定する。具体的には、シリカ粒子0.4g又はシリカ粒子0.4g含むシリカゾルを正確に量り取り、硫酸とフッ酸を加え、加温、溶解、蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう純水を加えて試験液を作成し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定する。対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルとし、これらの金属の含有率の合計を金属含有率とする。
シリカ粒子の金属含有率は、アルコキシシランを主原料として加水分解反応及び縮合反応を行ってシリカ粒子を得ることで、5ppm以下とすることができる。
水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによる方法では、原料由来のナトリウム等が残存するため、シリカ粒子の金属含有率を5ppm以下とすることが極めて困難である。
シリカ粒子は化学構造中にSi-CH単位を含む。これにより、高屈折率のシリカ粒子を得ることができる。
シリカ粒子が化学構造中にSi-CH単位を含むことにより高屈折率のシリカ粒子が得られる理由は定かではないが、Si-CH単位が1つ導入されることでシリカ粒子の化学構造に含まれるシロキサン結合(Si-O-Si結合)が1つ少なくなるため、シリカ粒子の化学構造中の原子の詰まり方が自由になり、結果として原子がより密に詰まるようになったためと考えられる。
シリカ粒子の化学構造中におけるSi-CH単位の含有量は、シリカ粒子に含まれる全Si原子の個数当たり、0.05~6個%であることが好ましく、0.8~3個%であることがより好ましく、0.1~1.5個%であることがさらに好ましい。
シリカ粒子の化学構造中におけるSi-CH単位の含有量を、シリカ粒子に含まれる全Si原子の個数当たり、0.05個%以上とすることにより、屈折率を大きくすることができる。また、シリカ粒子に含まれる全Si原子の個数当たり、6個%以下とすることにより、シリカ粒子の粒子径の制御性に優れる。
また、シリカ粒子の化学構造中のSi-CH単位は、例えば、Siの4つの結合手のうち、1つの結合手が-CHと結合するための結合手であり、残りの3つの結合手がシロキサン結合を形成するための結合手であることができる。
シリカ粒子の化学構造中におけるSi-CH単位の含有量は、例えば、固体13C-NMR法により求めることができる。
シリカ粒子の化学構造中におけるSi-CH単位の含有量は、後述するように、例えば、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを用いてシリカ粒子を製造する場合において、メチルトリアルコキシシランの含有量により調節することができる。
シリカ粒子は高屈折率であり、具体的には、屈折率は1.393以上が好ましく、1.394以上がより好ましく、1.395以上がさらに好ましい。シリカ粒子が高屈折率であることにより、反射防止膜などの用途に好適に用いることができる。
シリカ粒子の屈折率の上限には特に制限がないが、例えば、1.450以下が好ましく、1.430以下がより好ましく、1.410以下がさらに好ましい。
シリカ粒子の屈折率は、シリカ粒子を入れた容器に特級2-プロパノール及び特級トルエンの比率を変えて添加し、容器内のシリカ粒子が透明になったときの上澄みをアッベ屈折計で測定し、そのときの屈折率をシリカ粒子の屈折率とする。
シリカ粒子の炭素含有率は0.01質量%~1質量%であることが好ましく、0.015質量%~0.2質量%であることがより好ましく、0.02質量%~0.1質量%であることがさらに好ましい。
シリカ粒子の炭素含有率が0.01質量%以上であることにより、シリカ粒子の屈折率を大きくすることができる。また、1質量%以下であることにより、シリカ粒子の粒子径を制御しやすくなる
シリカ粒子の炭素含有率は、例えば、炭素成分を燃焼させて生じたCOガスを定量する方法により求めることができる。
シリカ粒子の炭素含有率は、例えば、シリカ粒子の合成に用いるテトラアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランの比率を変えることにより調節することができる。
シリカ粒子はアモルファスであることが好ましい。この場合、シリカ粒子の特に表面におけるマイクロ孔やメソ孔が適度に存在し、シリカ粒子を膜にする際にシリカ粒子が破砕しにくく、膜の成形性に優れる。
シリカ粒子がアモルファスであることは、広角X線散乱測定でのハローパターンにより確認することができる。
シリカ粒子の平均1次粒子径は、5nm~100nmが好ましく、20nm~80nmがより好ましく、30nm~40nmがさらに好ましい。シリカ粒子の平均1次粒子径が5nm以上であると、分散性に優れる。また、シリカ粒子の平均1次粒子径が100nm以下であると、シリカ粒子の沈降が抑制される。
シリカ粒子の平均1次粒子径は、BET法により測定する。具体的には、比表面積自動測定装置を用いてシリカ粒子の比表面積を測定し、下記式(1)を用いて平均1次粒子径を算出する。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm)) ・・・ (1)
シリカ粒子の平均1次粒子径は、後述する条件により、設定することができる。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、10nm~200nmが好ましく、30nm~130nmがより好ましく、65nm~80nmがさらに好ましい。シリカ粒子の平均2次粒子径が10nm以上であると、分散性に優れる。また、シリカ粒子の平均2次粒子径が200nm以下であると、シリカ粒子の沈降が抑制される。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、DLS法により測定する。具体的には、動的光散乱粒子径測定装置を用いて測定する。
シリカ粒子の平均2次粒子径は、後述する条件により、設定することができる。
シリカ粒子のcv値は、15以上が好ましく、20以上がより好ましく、25以上がさらに好ましく、また、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましい。シリカ粒子のcv値が15以上であると、膜の均一性に優れる。また、シリカ粒子のcv値が50以下であると、膜の平滑性に優れる。
シリカ粒子のcv値は、動的光散乱粒子径測定装置を用いてシリカ粒子の平均2次粒子径を測定し、下記式(2)を用いて算出される値であり、均一な粒子径の指標となる値である。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100 ・・・ (2)
シリカ粒子の会合比は、1.0~4.0が好ましく、1.1~3.0がより好ましい。シリカ粒子の会合比が1.0以上であると、膜の均一性に優れる。また、シリカ粒子の会合比が4.0以下であると、膜の平滑性に優れる。
シリカ粒子の会合比は、前述の測定方法にて測定した平均1次粒子径と前述の測定方法にて測定した平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて会合比を算出する。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径 ・・・ (3)
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、0.1個/nm~10個/nmが好ましく、0.5個/nm~7.5個/nmがより好ましく、2.0個/nm~7.0個/nmがさらに好ましい。シリカ粒子の表面シラノール基密度が0.1個/nm以上であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカゾルの分散安定性に優れる。また、シリカ粒子の表面シラノール基密度が10個/nm以下であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、シアーズ法により測定する。具体的には、下記に示す条件で測定、算出する。
シリカ粒子1.5gに相当するシリカゾルを採取し、純水を加えて液量を90mLにする。25℃の環境下、pHが3.6になるまで0.1mol/Lの塩酸水溶液を加え、塩化ナトリウム30gを加え、純水を徐々に加えながら塩化ナトリウムを完全に溶解させ、最終的に試験液の総量が150mLになるまで純水を加え、試験液を得る。
得られた試験液を自動滴定装置に入れ、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが4.0から9.0になるのに要する0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量A(mL)を測定する。
下記式(4)を用いて、シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の消費量V(mL)を算出し、下記式(5)を用いて、シリカ粒子の表面シラノール基密度ρ(個/nm)を算出する。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・ (4)
A:シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(mL)
f:用いた0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の力価
C:シリカゾル中のシリカ粒子の濃度(質量%)
W:シリカゾルの採取量(g)
ρ=(B×N)/(1018×M×SBET) ・・・ (5)
B:Vから算出したシリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した水酸化ナトリウム量(mol)
:アボガドロ数(個/mol)
M:シリカ粒子量(1.5g)
BET:平均1次粒子径の算出の際に測定したシリカ粒子の比表面積(m/g)
尚、前記シリカ粒子の表面シラノール基密度の測定、算出方法は、「G.W.Sears,Jr., Analytical Chemistry, Vol.28, No.12, pp.1981-1983(1956).」、「羽場真一, 半導体集積回路プロセス用研磨剤の開発, 高知工科大学博士論文, pp.39-45, 2004年3月」、「特許第5967118号公報」、「特許第6047395号公報」を参考にした。
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の条件を調整することで、所望の範囲に設定することができる。
シリカ粒子の形状としては、例えば、球状、鎖状、繭状(こぶ状や落花生状とも称される)、異形状(例えば、疣状、屈曲状、分岐状等)等が挙げられる。これらのシリカ粒子の形状の中でも、膜の均一性と平滑性のためには繭状の形状が好ましい。
(シリカ粒子の製造方法)
本発明のシリカ粒子の製造方法は、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを、加水分解反応及び縮合反応させる工程を含む。
メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを、加水分解反応及び縮合反応させることにより、原料由来のナトリウム等が残存することがなく、得られるシリカ粒子の金属含有率を5ppm以下とすることができる。
また、加水分解反応及び縮合反応させる工程において、メチルトリアルコキシシランをテトラアルコキシシランと反応させることにより、得られるシリカ粒子の化学構造中にSi-CH単位を導入することができる。
本明細書において、反応液とは、加水分解反応及び縮合反応における反応系内の物質が液体に溶解した溶液をいう。
本明細書において、反応温度とは、加水分解反応及び縮合反応における反応開始から反応終了までの反応液の温度をいう。
本明細書において、反応液のアルカリ触媒の濃度とは、反応液の総量、すなわち加水分解反応及び縮合反応における反応系内の液体及び液体に溶解した物質の総量、に対するアルカリ触媒の総量の比率を質量%で表したものをいう。
本明細書において、反応系内の液体及び液体に溶解した物質の総量は、反応開始時は後述する溶液(A)の全量のみとなり、反応中は後述する溶液(A)の全量、供給した後述する溶液(B)の量、供給した後述する溶液(C)の量及び反応において生成したアルコールの量に、反応において消費されたメチルトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン及び水の量を除いた量となる。なお、反応系内の液体及び液体に溶解した物質に、液体に分散しているシリカ粒子は含まない。
加水分解反応及び縮合反応させる工程は、アルカリ触媒を含む液(A)中に、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、加水分解反応及び縮合反応させる工程であることが好ましい。加水分解反応及び縮合反応させる工程をこのような工程とすることにより、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを同時に加水分解反応及び縮合反応させることができ、シリカ粒子の化学構造中にSi-CH単位を導入することができる。
溶液(A)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(A)100質量%中、1.20質量%以下が好ましく、1.00質量%以下がより好ましく、0.90質量%以下がさらに好ましい。溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度は、0.50質量%以上が好ましく、0.60質量%以上がより好ましく、0.70質量%以上がさらに好ましい。
反応液中のアルカリ触媒の濃度は、後述する溶液(C)を添加すること等により、反応開始から反応終了まで、溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度と同じ濃度のまま一定に保つことが好ましい。
溶液(A)は、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を進行させることができることから、水を含むことが好ましい。
溶液(A)は、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの反応液中での分散性に優れることから、水以外の溶媒を含むことが好ましい。
溶液(A)中の水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの水以外の溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの水以外の溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。
溶液(A)中の水の濃度は、前述した好ましい範囲の平均1次粒子径を有するシリカ粒子を得やすいことから、溶液(A)100質量%中、3質量%~25質量%が好ましく、7質量%~20質量%がより好ましい。
溶液(B)中のメチルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。これらのメチルトリアルコキシシランは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのメチルトリアルコキシシランの中でも、加水分解反応が速く、未反応物が残留しづらく、生産性に優れ、安定なシリカゾルを容易に得ることができることから、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、メチルトリメトキシシランがより好ましい。
溶液(B)中のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が挙げられる。これらのテトラアルコキシシランは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのテトラアルコキシシランの中でも、加水分解反応が速く、未反応物が残留しづらく、生産性に優れ、安定なシリカゾルを容易に得ることができることから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランがより好ましい。
シリカ粒子の原料は、テトラアルコキシシランの低縮合物等のメチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン以外の原料を用いてもよいが、反応性に優れることから、シリカ粒子を構成する全原料100質量%中、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランが50質量%以上で、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン以外の原料が50質量%以下であることが好ましく、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランが90質量%以上で、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン以外の原料が10質量%以下であることがより好ましい。
得られるシリカ粒子の屈折率が大きくなることから、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)におけるメチルトリアルコキシシランの含有率は、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの合計100質量%中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.08質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましい。
また、シリカ粒子の粒子径の制御性に優れることから、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)におけるメチルトリアルコキシシランの含有率は、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの合計100質量%中、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
溶液(B)は、溶媒を含まずメチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランのみでもよいが、反応液中でのメチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの分散性に優れることから、溶媒を含むことが好ましい。
溶液(B)中の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールがさらに好ましい。
溶液(B)のメチルトリアルコキシシランの濃度とテトラアルコキシシランの濃度とを合計した濃度は、溶液(B)100質量%中、70質量%~95質量%が好ましく、80質量%~90質量%がより好ましい。溶液(B)のメチルトリアルコキシシランの濃度とテトラアルコキシシランの濃度とを合計した濃度が70質量%以上であると、反応に用いるシリカ粒子の原料の比率が高くなるため得られるシリカ粒子の量が多くなり、製造効率に優れる。また、溶液(B)のメチルトリアルコキシシランの濃度とテトラアルコキシシランの濃度とを合計した濃度が95質量%以下であると、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの分散性に優れ、反応液を均一になりやすい。さらに、ゲル状物の生成を抑制することができる。
溶液(B)の溶媒の濃度は、溶液(B)100質量%中、5質量%~30質量%が好ましく、10質量%~20質量%がより好ましい。溶液(B)の溶媒の濃度が5質量%以上であると、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの分散性に優れ、反応液を均一になりやすい。さらに、ゲル状物の生成を抑制することができる。また、溶液(B)の溶媒の濃度が30質量%以下であると、反応に用いる原料の比率が高くなるので得られるシリカ粒子の量が多くなり、効率に優れる。
溶液(A)の体積に対する時間当たりの溶液(B)の添加速度は、0.05kg/時間/L~1.3kg/時間/Lが好ましく、0.1kg/時間/L~0.8kg/時間/Lがより好ましい。溶液(B)の添加速度が0.05kg/時間/L以上であると、シリカ粒子の生産性に優れる。また、溶液(B)の添加速度が1.3kg/時間/L以下であると、ゲル状物の生成を抑制することができる。
溶液(C)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属不純物の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
溶液(C)は、反応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができることから、溶媒を含むことが好ましい。
溶液(C)中の溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好ましい。
溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(C)100質量%中、0.5質量%~10質量%が好ましく、1質量%~6質量%がより好ましい。溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度が0.5質量%以上であると、反応開始から反応終了まで反応液中のアルカリ触媒の濃度を調整しやすい。また、溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度が10質量%以下であると、反応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができる。
溶液(C)中の溶媒の濃度は、溶液(C)100質量%中、90質量%~99.5質量%が好ましく、94質量%~99質量%がより好ましい。溶液(C)中の溶媒の濃度が90質量%以上であると、反応液中のアルカリ触媒の濃度の変動を小さくすることができる。また、溶液(C)中の溶媒の濃度が99.5質量%以下であると、反応開始から反応終了まで反応液中のアルカリ触媒の濃度を調整しやすい。
溶液(A)の体積に対する時間当たりの溶液(C)の添加速度は、0.02kg/時間/L~0.5kg/時間/Lが好ましく、0.03kg/時間/L~0.3kg/時間/Lがより好ましい。溶液(C)の添加速度が0.02kg/時間/L以上であると、シリカ粒子の生産性に優れる。また、溶液(C)の添加速度が0.5kg/時間/L以下であると、ゲル状物の生成を抑制することができる。
加水分解反応及び縮合反応の反応系内の水の濃度は、前述した好ましい範囲の平均1次粒子径を有するシリカ粒子を得やすいことから、反応系内の全量100質量%中、3質量%~25質量%に維持することが好ましく、7質量%~20質量%に維持することがより好ましい。
反応開始から反応終了までの反応温度は、35℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、28℃以下がさらに好ましい。また、反応開始から反応終了までの反応温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、24℃以上がさらに好ましい。
反応開始から反応終了までの反応温度を上記の範囲とすることにより、平均粒子径を前述の範囲に制御できるため、またゲル状物の発生を抑制できるため、好ましい。
反応開始から反応終了までの反応液のアルカリ触媒の濃度は、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましく、0.90質量%以下がさらに好ましい。また、反応開始から反応終了までの反応液のアルカリ触媒の濃度は、0.5質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上がさらに好ましい。
反応開始から反応終了までの反応液のアルカリ触媒の濃度を上記の範囲とすることにより、平均粒子径を前述の範囲に制御できるため、またゲル状物の発生を抑制できるため、ため、好ましい。
反応開始から反応終了までの反応液のアルカリ触媒の濃度は、例えば、反応液を都度ガスクロマトグラフィーで分析すること等により確認することができる。
反応開始から反応終了までの反応液の水の濃度は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。また、反応開始から反応終了までの反応液の水の濃度は、3質量%以上が好ましく、7.5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
反応開始から反応終了までの反応液の水の濃度を上記の範囲とすることにより、平均粒子径を前述の範囲に制御できるため、またゲル状物の発生を抑制できるため、好ましい。
本発明のシリカ粒子の製造方法は、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することができることから、更に、以下の工程(1)を含むことが好ましい。
工程(1):加水分解反応及び縮合反応後の反応液を濃縮し、分散媒を添加することによりシリカ粒子の分散液を得る工程
分散媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの分散媒の中でも、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好ましい。
本発明のシリカ粒子の製造方法は、シリカ粒子の縮合度を高めることができることから、更に、以下の工程(2)を含むことが好ましい。
工程(2):工程(1)で得られたシリカ粒子の分散液を加圧加熱処理する工程
加圧加熱処理の圧力は、0.10MPa~2.3MPaが好ましく、0.14MPa~1.0MPaがより好ましい。加圧加熱処理の圧力が0.10MPa以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。また、加圧加熱処理の圧力が2.3MPa以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、会合比、屈折率を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧は、密閉した状態でシリカ粒子の分散液を分散媒の沸点以上に加熱すればよい。密閉した状態でシリカ粒子の水分散液を100℃以上に加熱した場合、圧力は、その温度の飽和水蒸気圧となる。
加圧加熱処理の温度は、100℃~220℃が好ましく、110℃~180℃がより好ましい。加圧加熱処理の温度が100℃以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。加圧加熱処理の温度が220℃以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、会合比、屈折率を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧加熱処理の時間は、0.25時間~10時間が好ましく、0.5時間~8時間がより好ましい。加圧加熱処理の時間が0.25時間以上であると、シリカ粒子の縮合度を高めることができる。加圧加熱処理の時間が10時間以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、会合比、屈折率を大きく変化させることなくシリカ粒子を製造することができ、シリカゾルの分散安定性に優れる。
加圧加熱処理は、平均1次粒子径、平均2次粒子径、会合比、屈折率を大きく変化させることなくシリカ粒子の縮合度を高めることができることから、水分散液中で行うことがより好ましい。
加圧加熱処理を水分散液中で行う際のpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。加圧加熱処理を水分散液中で行う際のpHが6.0以上であると、シリカゾルのゲル化を抑制することができる。また、加圧加熱処理を水分散液中で行う際のpHが8.0以下であると、平均1次粒子径、平均2次粒子径、会合比、屈折率を大きく変化させることなくシリカ粒子の縮合度を高めることができる。
なお、前記工程(1)及び工程(2)は加水分解反応及び縮合反応後の工程であり、加水分解反応及び縮合反応には含まれない。
(シリカゾルの製造方法)
本発明のシリカゾルの製造方法は、本発明のシリカ粒子の製造方法を含む。
シリカゾルは、本発明のシリカ粒子の製造方法で得られたシリカ粒子の分散液をそのまま用いてもよく、得られたシリカ粒子の分散液中の成分のうち、不必要な成分の除去や必要な成分の添加をして製造してもよい。
(シリカゾル)
本発明のシリカゾルは、本発明のシリカ粒子を含む。また、本発明のシリカゾルは、本発明のシリカ粒子及び分散媒を含むことが好ましい。
シリカゾル中の分散媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。これらのシリカゾル中の分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカゾル中の分散媒の中でも、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好ましい。
シリカゾル中のシリカ粒子の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、3質量%~50質量%が好ましく、4質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%がさらに好ましい。シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が3質量%以上であると、膜の生産性に優れる。また、シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が50質量%以下であると、シリカゾル中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルの保存安定性に優れる。
シリカゾル中の分散媒の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、50質量%~97質量%が好ましく、60質量%~96質量%がより好ましく、70質量%~95質量%がさらに好ましい。シリカゾル中の分散媒の含有率が50質量%以上であると、シリカゾル中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルの保存安定性に優れる。また、シリカゾル中の分散媒の含有率が97質量%以下であると、膜の生産性に優れる。
シリカゾル中のシリカ粒子や分散媒の含有率は、得られたシリカ粒子の分散液中の成分のうち、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
シリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌殺生物剤等の他の成分を含んでもよい。
特に、シリカゾルの保存安定性に優れることから、シリカゾル中に抗菌殺生物剤を含ませることが好ましい。
抗菌殺生物剤としては、例えば、過酸化水素、アンモニア、第四級アンモニウム水酸化物、第四級アンモニウム塩、エチレンジアミン、グルタルアルデヒド、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。これらの抗菌殺生物剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの抗菌殺生物剤の中でも、シリカゾルとの親和性に優れることから、過酸化水素が好ましい。
殺生物剤は、一般に殺菌剤と言われるものも含む。
シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、0.0001質量%~10質量%が好ましく、0.001質量%~1質量%がより好ましい。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が0.0001質量%以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が10質量%以下であると、シリカゾルの本来の性能を損なわない。
シリカゾルのpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。シリカゾルのpHが6.0以上であると、分散安定性に優れて、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。また、シリカゾルのpHが8.0以下であると、シリカ粒子の溶解を防ぎ、長期間の保存安定性に優れる。
シリカゾルのpHは、pH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
(用途)
本発明のシリカ粒子の製造方法で得られたシリカ粒子、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルは、高屈折率、透明性、電気絶縁性等の特性、特に高屈折率の特性を有するため、反射防止膜、光導波路、レンズ等の用途に好適に用いることができ、例えば、電子機器ディスプレイ、自動車パネル、照明用灯具、太陽光利用装置、カメラレンズ等に実用化が検討されている。シリカ粒子を膜として利用する場合、その成膜方法は限定されないが、例えば、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法等の公知の方法を用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(平均1次粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を150℃で乾燥し、比表面積自動測定装置「BELSORP-MR1」(機種名、マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて、シリカ粒子の比表面積を測定し、下記式(1)を用い、密度を2.2g/cmとし、平均1次粒子径を算出した。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm)) ・・・ (1)
(平均2次粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液を、動的光散乱粒子径測定装置「ゼーターサイザーナノZS」(機種名、マルバーン社製)を用いて、シリカ粒子の平均2次粒子径を測定した。
(屈折率の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカ粒子の分散液から、シリカ粒子の乾燥粉を得た。シリカ粒子の乾燥粉0.1gを10mLのガラス瓶に入れ、特級2-プロパノール及び特級トルエンの比率を変えて添加し、ガラス瓶内の粉体が透明になったときの上澄みをアッベ屈折計で測定し、シリカ粒子の屈折率とした。
[実施例1]
メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン混合物とメタノールとを85:15(重量比)で混合した溶液(B)と2.4質量%アンモニア水溶液の溶液(C)とをそれぞれ調液した。温度計、攪拌機、供給管及び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール、純水及びアンモニアを混合した溶液(A)を仕込んだ。溶液(A)中の水の濃度を15質量%、溶液(A)中のアンモニアの濃度を0.85質量%とした。
反応液の温度を26℃に保持したまま、溶液(A)160体積%に、溶液(B)100体積%及び溶液(C)36体積%を、それぞれ等速で滴下し、シリカ粒子の分散液を得た。溶液(A)の体積に対する時間当たりの溶液(B)の添加速度を0.243kg/時間/Lとして、一定の速度で滴下した。
実施例1における、メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン混合物中のメチルトリメトキシシランの含有率(質量%)を表1に示す。
得られたシリカ粒子の分散液を、シリカ粒子の含有率が約20質量%になるように、液量を純水追加で調整しながら、温度を上げてメタノールとアンモニアの除去を行い、シリカ粒子の含有率が約20質量%のシリカ粒子の分散液を得た。
実施例1にて得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
Figure 2024044024000001
[実施例2~3]
メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン混合物中のメチルトリメトキシシランの含有率(質量%)をそれぞれ表1に記載のとおり変更したことを除き、実施例1と同様の方法により実施例2~3のシリカ粒子の分散液を得た。
実施例2~3にて得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
[比較例1]
メチルトリメトキシシラン/テトラメトキシシラン混合物に代えてテトラメトキシシランのみを用いたことを除き、実施例1と同様の方法により比較例1のシリカ粒子の分散液を得た。
比較例1にて得られたシリカ粒子の評価結果を、表1に示す。
表1より明らかなように、メチルトリメトキシシランを原料として含む実施例のシリカ粒子は、高屈折率を示した。
一方、メチルトリメトキシシランを原料として含まない比較例のシリカ粒子は、実施例のシリカ粒子に比べて低い屈折率を示した。
本発明のシリカ粒子は高屈折率を示すため、例えば、反射防止膜、光導波路、レンズ等の用途に好適に用いることができ、例えば、電子機器ディスプレイ、自動車パネル、照明用灯具、太陽光利用装置、カメラレンズ等に実用化が検討されている。

Claims (10)

  1. 金属含有率が5ppm以下であり、化学構造中にSi-CH単位を含む、シリカ粒子。
  2. 炭素含有率が0.01質量%~1質量%である、請求項1に記載のシリカ粒子。
  3. シリカ粒子がアモルファスである、請求項1に記載のシリカ粒子。
  4. BET法により測定した平均1次粒子径が5nm~100nmである、請求項1に記載のシリカ粒子。
  5. DLS法により測定した平均2次粒子径が10nm~200nmである、請求項1に記載のシリカ粒子。
  6. メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを、加水分解反応及び縮合反応させる工程を含む、シリカ粒子の製造方法。
  7. 前記加水分解反応及び縮合反応させる工程が、アルカリ触媒を含む液(A)中に、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)及びアルカリ触媒を含む液(C)を添加し、加水分解反応及び縮合反応させる工程である、請求項6に記載のシリカ粒子の製造方法。
  8. 前記メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランを含む液(B)におけるメチルトリアルコキシシランの含有率が、メチルトリアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの合計100質量%中、0.05質量%~5質量%である、請求項7に記載のシリカ粒子の製造方法。
  9. 請求項1~5のいずれか1項に記載のシリカ粒子を含む、シリカゾル。
  10. 請求項6~8のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法を含む、シリカゾルの製造方法。
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