JP2024043760A - 木質基材用表面改質剤、及び木質材料 - Google Patents

木質基材用表面改質剤、及び木質材料 Download PDF

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Abstract

【課題】塗工適性、表面乾燥性、及び内面硬化性に優れ、耐衝撃性に優れる改質基材が得られる木質基材用表面改質剤、及び該木質基材用表面改質剤が塗工された改質基材を提供することである。【解決手段】空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)と、(メタ)アクリル単量体(B)とを含有する木質基材用表面改質剤であって、前記(メタ)アクリル単量体(B)が、多官能(メタ)アクリル単量体を含むものであることを特徴とする木質基材用表面改質剤を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、木質基材用表面改質剤、及び木質材料に関する。
床材用途として針葉樹単板から構成される合板(針葉樹合板)の利用が検討されている。このような中、針葉樹材の柔らかさを保護して落下衝撃に対する凹みを防止することを目的に、活性エネルギー線硬化性塗料を針葉樹材の単板に塗工して硬化させる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、活性エネルギー線が単板含浸部まで到達せず、単板含浸部の樹脂が硬化不良となる問題があった。
そこで、木質基材の内面硬化性にも優れる表面改質剤が求められていた。
特開2011-161853号公報
本発明が解決しようとする課題は、塗工適性、表面乾燥性、及び内面硬化性に優れ、耐衝撃性に優れる木質材料が得られる木質基材用表面改質剤を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、空乾性付与型不飽和ポリエステルと、特定の(メタ)アクリル単量体とを含有する木質基材用表面改質剤が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)と、(メタ)アクリル単量体(B)とを含有する木質基材用表面改質剤であって、前記(メタ)アクリル単量体(B)が、多官能(メタ)アクリル単量体を含むものであることを特徴とする木質基材用表面改質剤を提供するものである。
本発明の木質基材用表面改質剤は、塗工適性、表面乾燥性、及び内面硬化性に優れ、耐衝撃性に優れる木質材料が得られることから、合板、床材、構造部材、コンクリートパネル等の建築部材に好適に用いることができる。
本発明の木質基材用表面改質剤は、空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)と、(メタ)アクリル単量体(B)とを含有する木質基材用表面改質剤であって、前記(メタ)アクリル単量体(B)が、多官能(メタ)アクリル単量体を含むものである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル単量体」とは、アクリル単量体とメタクリル単量体の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリルロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物とメタクリル化合物の一方又は両方をいう。
前記空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)は、空乾性が付与されていることにより、空気下においても優れた硬化性を有するものであるが、表面乾燥性がより向上することから、アリルエーテル基及び/又はシクロヘキセン環を有するものが好ましい。
前記不飽和ポリエステル(A)にアリルエーテル基を導入するためには、アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物を空乾性原料として用いることが好ましい。
前記アリルエーテル基を有するヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、トリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、1,2-ブチレングリコールモノアリルエーテル、1,3-ブチレングリコールモノアリルエーテル、ヘキシレングリコールモノアリルエーテル、オクチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等の多価アルコールのアリルエーテル化合物などが挙げられる。
前記不飽和ポリエステル(A)にシクロヘキセン環を導入するためには、シクロヘキセン環を有する多塩基酸を空乾性原料として用いることが好ましい。
前記シクロヘキセン環を有する多塩基酸としては、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、α-テルピネン・無水マレイン酸付加物、トランス-ピペリレン・無水マレイン酸付加物等が挙げられるが、これらの中でも、特に空乾性が向上することから、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。
また、上記した以外の空乾性原料としては、例えば、ジシクロペンタジエン系化合物、アマニ油、桐油、大豆油、脱水ヒマシ油、魚油あるいはこれらのエステル交換油、脂肪酸類等の動植物油等を用いることができる。
上記した空乾性原料は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記不飽和ポリエステル(A)の製造に使用される多塩基酸としては、α,β-不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸が使用できる。
前記α,β-不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。また、前記飽和二塩基酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸,2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、これらの飽和二塩基酸のジアルキルエステルも挙げられる。
前記不飽和ポリエステル(A)の製造に使用される多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、1,4-ブタンジオール、ビスフェノールAのプロピレンオキシド又はエチレンオキシドの付加物、1,2,3,4-テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3-プロパンジオール、1,2-シクロヘキサングリコール、1,3-シクロヘキサングリコール、1,4-シクロヘキサングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,6-デカリングリコール、2,7-デカリングリコール等が挙げられる。
前記不飽和ポリエステル(A)の原料である多塩基酸、多価アルコール等は、それぞれ1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記(メタ)アクリル単量体(B)は、反応性希釈剤として使用されるが、表面乾燥性及び内面硬化性の観点から、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル単量体を含むことが重要である。
前記多官能(メタ)アクリル単量体は、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ-ト、ポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕-2-プロパノール、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル〕プロパン、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート等の2官能(メタ)アクリル単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ-ト、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド・ε-カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリル単量体が挙げられる。これらの中でも、表面乾燥性及び内面硬化性がより向上することから、3官能以上の(メタ)アクリル単量体が好ましい。
前記多官能(メタ)アクリル単量体以外の前記(メタ)アクリル単量体(B)としては、基材への含浸性がより向上することから、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましく、アルキル基の炭素原子数が1~4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
上記した以外の(メタ)アクリル単量体(B)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が使用できる。
前記(メタ)アクリル単量体(B)は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
前記(メタ)アクリル単量体(B)中の多官能(メタ)アクリル単量体は、表面乾燥性及び内面硬化性がより向上することから、20~80質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体(B)中のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、表面乾燥性及び内面硬化性がより向上することから、20~80質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましい。
本発明の木質基材用表面改質剤における前記不飽和ポリエステルと前記(メタ)アクリル単量体(B)との質量比(A/B)としては、20/80~70/30が好ましく、30/70~60/40がより好ましい。
また、本発明の木質基材用表面改質剤には、必要に応じて、前記不飽和ポリエステル(A)及び前記(メタ)アクリル単量体(B)以外のその他の樹脂成分、硬化剤、硬化促進剤、光重合開始剤、体質顔料、重合禁止剤、充填剤、増粘剤、減粘剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、抗菌剤、紫外線安定剤、補強材等を含有することができる。
前記その他の樹脂成分としては、前記不飽和ポリエステル(A)以外の不飽和ポリエステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及び、ポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前硬化剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物が好ましく、例えば、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、ケトンパーオキサイド化合物、アルキルパーエステル化合物、パーカーボネート化合物等が挙げられる。これらの硬化剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。これらの硬化剤の配合量は、前記不飽和ポリエステル(A)及び(メタ)アクリル単量体(B)の合計100質量部に対して、0.1~6質量部が好ましく、0.5~4質量部がより好ましい。
前記硬化促進剤としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸;バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート化合物;アニリン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、p-トルイジン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4-(N-メチル-N-ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、N-エチル-m-トルイジン、トリエタノールアミン、m-トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N-置換アニリン、N,N-置換-p-トルイジン、4-(N,N-置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの硬化促進剤の中でも、金属石鹸が好ましい。これらの硬化促進剤の配合量は、前記不飽和ポリエステル(A)及び(メタ)アクリル単量体(B)の合計100質量部に対して、0.1~5質量部が好ましく、0.2~3質量部がより好ましい。
前記光重合開始剤としては、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;4,4’-ジメチルアミノチオキサントン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、α-アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート、2-エチルアンスラキノン等のアンスラキノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン等を用いることができる。これらの光重合開始剤は、1種で用いることも2種以上併用することもできる。これらの光重合開始剤の配合量は、前記不飽和ポリエステル(A)及び(メタ)アクリル単量体(B)の合計100質量部に対して、0.1~8質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましい。
前記光重合開始剤としては、硬化性がより向上することから、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドを用いることが好ましい。
前記体質顔料としては、無機顔料、及び有機顔料が挙げられるが、これらの体質顔料は、作業性や得られる基材の強度、外観、目止め、着色などを考慮して選択することができる。なお、これらの体質顔料は表面処理されたものを使用することもできる。
前記無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、マイカ、タルク、カオリン、クレー、セライト、アスベスト、バーライト、バライタ、シリカ、ケイ砂、ドロマイト、石灰石、セッコウ、アルミニウム微粉、中空バルーン、アルミナ、ガラス粉、水酸化アルミニウム、寒水石、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、二酸化モリブデン、ステアリン酸亜鉛等が挙げられるが、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク等が好ましい。
本発明の木質基材用表面改質剤の粘度は、塗工量を確保でき、耐衝撃性がより向上することから、1mPa・s以上が好ましく、10mPa・s以上がより好ましい。また、流動性に優れ、均一塗工性、基材含浸性、外観がより向上することから、1200mPa・s以下がより好ましい。
本発明の木質基材用表面改質剤が塗工される木質基材としては、特に限定されないが、耐衝撃性等の改質効果がより大きいことから、針葉樹材合板、広葉樹材合板が好ましく、針葉樹合板がより好ましい。前記針葉樹合板としては、例えば、スギ、ヒノキ、カラ松、ベイ松、モミ等の合板が挙げられる。
本発明の木質基材用表面改質剤の硬化方法としては、レドックス硬化、UV硬化、加熱硬化等が挙げられるが、基材内部及び基材表面を十分に硬化できることから、基材内部に含浸した樹脂をレドックス硬化で硬化させ、表層の樹脂をUV硬化で硬化させるデュアル硬化が好ましい。また、連続生産可能な加熱設備を用いた加熱硬化を適用することもできる。
前記デュアル硬化においては、木質基材用表面改質剤に前記硬化剤、前記金属石鹸、及び前記光重合開始剤を配合することが好ましい。
木質基材用表面改質剤の塗装方法としては、例えば、バーコーター、スポンジロールコーター、リバースコーター、ナチュラルロールコーター、カーテンフローコーター、ナイフコーターが用いられるが、設備簡素化の観点から、バーコーターが好ましい。
木質基材用表面改質剤の塗工量としては、0.1g/900cm~100g/900cmが好ましく、1g/900cm~50g/900cmがより好ましい。
レドックス硬化条件としては、-10~60℃で0.1~300分間が好ましい。
UV硬化におけるUV照射装置としては、照射範囲により、スポット型、ライン型、エリア型に大別されるが、生産性の観点から、ライン型UV照射装置が好ましい。また、光源からサンプルまでの距離(照射距離)としては、1~100cmが好ましく、5~30cmがより好ましい。塗工速度としては、0.1~100m/分が好ましく、0.5m/分~30m/分がより好ましい。UV照射量としては、20~800mJ/cmが好ましい。
加熱硬化条件としては、60~200℃で0.1~300分間が好ましい。また、基材の反り防止の観点から、60~90℃で0.1~180分間がより好ましい。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、酸価は、樹脂試料1gをJIS K-0070の規定の方法に基づき酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数(KOHmg/g)を測定した。
(合成例1:空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、ジエチレングリコール292g、フマル酸269g、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル236g、テトラヒドロ無水フタル酸257gを仕込み窒素気流下、加熱を開始した。内温215℃、常法にて脱水縮合反応を行い、酸価が20(KOHmg/g)になったところで、トルハイドロキノン0.4gを添加し、さらに170℃まで冷却し、常温固体の空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)を得た。
(合成例2:空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-2)の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、ジエチレングリコール403g、フマル酸440g、トリメチロールプロパンジアリルエーテル192gを仕込み窒素気流下、加熱を開始した。内温215℃、常法にて脱水縮合反応を行い、酸価が20(KOHmg/g)になったところで、トルハイドロキノン0.4gを添加し、さらに170℃まで冷却し、常温固体の空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-2)を得た。
(合成例3:不飽和ポリエステル(1)の製造)
窒素ガス導入管、温度計、還流コンデンサ、攪拌機を備えた2Lのガラス製フラスコに、エチレングリコール251g、ジプロピレングリコール189g、フマル酸299g、フタル酸352gを仕込み窒素気流下、加熱を開始した。内温215℃、常法にて脱水縮合反応を行い、酸価が20(KOHmg/g)になったところで、トルハイドロキノン0.4gを添加し、さらに170℃まで冷却し、常温固体の不飽和ポリエステル(1)を得た。
(実施例1)
合成例1で得た空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)45質量部を2-ヒドロキシエチルメタクリレート30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート25質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%オクチル酸コバルト(DIC株式会社製「RP-330」;常温硬化促進剤)0.5質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン(IGM RESIN B.V.製「Omnirad 184」;光重合開始剤)3質量部、メチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製「パーメックN」;常温硬化剤)2質量部を撹拌機により混合して木質基材用表面改質剤(1)を得た。
(実施例2)
実施例1で使用したペンタエリスリトールトリアクリレート25質量部を、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート25質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、木質基材用表面改質剤(2)を得た。
(実施例3)
実施例1で使用した空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)を、空乾性付与型不飽和ポリエステル樹脂(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、木質基材用表面改質剤(3)を得た。
(比較例1)
実施例1で使用した空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)を、不飽和ポリエステル樹脂(1)に変更した以外は、実施例1と同様にして、木質基材用表面改質剤(R1)を得た。
(比較例2)
合成例1で得た空乾性付与型不飽和ポリエステル(A-1)60質量部をメチルメタクリレート40質量部に溶解させた樹脂溶液100質量部に、6%オクチル酸コバルト(DIC株式会社製「RP-330」;常温硬化促進剤)0.5質量部、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン(IGM RESIN B.V.製「Omnirad 184」;光重合開始剤)3質量部、メチルエチルケトンパーオキサイド(日油株式会社製「パーメックN」;常温硬化剤)2質量部を撹拌機により混合して木質基材用表面改質剤(R2)を得た。
上記の実施例1~3及び比較例1~2で得た木質基材用表面改質剤(1)~(3)及び(R1)~(R2)を用いて、それぞれ下記の評価を行った。なお、比較例で得た木質基材用表面改質剤については、表面乾燥性及び内面硬化性が不十分であったため、耐衝撃性の評価は行わなかった。
[塗工適性の評価]
上記で得た木質基材用表面改質剤について、25℃での粘度を測定し、下記の基準により塗工適性を評価した。粘度計は東機産業製TVB-10を使用した。
〇:1500mPa・s未満
×:1500mPa・s以上
[改質された木質材料の作製]
上記で得た木質基材用表面改質剤をヒノキ基材にバーコーターにて10.0g/900cm程度塗工した後、25℃で30分間静置することで基材に含浸した樹脂組成物のレドックス硬化を行った。その後、UV照射機にて高圧水銀ランプ80W/cm、照射高さ15cm、ライン速度3m/分の条件でヒノキ基材にUV照射を行い、基材表面に塗工された樹脂組成物のUV硬化を行い、木質材料を得た。
[表面乾燥性の評価]
上記で得た木質材料の表面を指触し、下記の基準により表面硬化性を評価した。
〇:タックなし(樹脂硬化)
×:タックあり(樹脂未硬化)
[内面硬化性の評価]
上記で得た木質材料をサーキュラーソーで切断し、樹脂が基材に含浸している断面部を指触し、下記の基準により内面硬化性を評価した。
〇:タックなし(樹脂硬化)
×:タックあり(樹脂未硬化)
[耐衝撃性の評価]
JIS A1408に準拠して、上記で得た木質材料の塗工面を上に向けて、高さ750mmから重り500gの鋼球を落球させる落球試験を行い、その時の基材の凹み深さ(単位:μm)を測定した。尚、凹み深さが小さい程、耐衝撃性に優れる。未改質基材の凹み深さは220μmであった。
上記で得た木質基材用表面改質剤の組成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2024043760000001
表1中の略号は下記の通りである。
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
実施例1~3の木質基材用表面改質剤は、塗工適性、表面乾燥性、及び内面硬化性に優れ、耐衝撃性に優れる木質材料が得られることが確認された。
一方、空乾性が付与されていない不飽和ポリエステルを使用した例であるが、表面乾燥性及び内面硬化性が不十分であることが確認された。
比較例2は多官能(メタ)アクリル単量体を用いなかった例であるが、表面乾燥性及び内面硬化性が不十分であることが確認された。

Claims (4)

  1. 空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)と、(メタ)アクリル単量体(B)とを含有する木質基材用表面改質剤であって、前記(メタ)アクリル単量体(B)が、多官能(メタ)アクリル単量体を含むものであることを特徴とする木質基材用表面改質剤。
  2. 前記空乾性付与型不飽和ポリエステル(A)が、アリルエーテル基及び/又はシクロヘキセン環を有するものである請求項1記載の木質基材用表面改質剤。
  3. 前記(メタ)アクリル単量体(B)が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含むものである請求項1記載の木質基材用表面改質剤。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の木質基材用表面改質剤が塗工された木質材料。
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