JP2024040387A - 超音波診断装置、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波画像に対してより適切な画質調整を行うことである。【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、取得部と、解析部と、決定部とを備える。取得部は、被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得する。超音波画像は、被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含む。解析部は、画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行う。決定部は、解析部により解析された情報に基づいて超音波画像に関する画像処理内容を決定する。また、決定部は、超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる。【選択図】図1
Description
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置、およびプログラムに関する。
近年では、被検体内の生体部位の診断において、超音波診断装置により生成された超音波画像が用いられている。超音波診断装置は、複数の超音波振動子が配列された超音波プローブにより被検体に対して超音波を放射し、放射した超音波の反射波を受信して超音波画像を生成する。しかしながら、超音波画像は、心臓等の生体部位によっては、必ずしも利用者が期待する輝度にならない場合があった。近年では、超音波画像の輝度レベルを均一に調整する機能を備えた超音波診断装置も存在するが、生体部位が心臓の場合には診断したい部分や画像中の心臓の向きによって期待する輝度等が異なるため、適切な画質調整ができない場合があった。
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、超音波画像に対してより適切な画質調整を行うことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態の超音波診断装置は、取得部と、解析部と、決定部とを備える。取得部は、被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得する。超音波画像は、被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含む。解析部は、画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行う。決定部は、解析部により解析された情報に基づいて超音波画像に関する画像処理内容を決定する。また、決定部は、超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる。
以下、図面を参照しながら、実施形態の超音波診断装置、およびプログラムについて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の超音波診断装置100を含む超音波診断システム1の構成図である。超音波診断システム1は、超音波プローブ10と、外部装置20と、超音波診断装置100とを備える。外部装置20と、超音波診断装置100とは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダ等のネットワークNWを介して接続される。超音波プローブ10は、超音波診断装置100の構成に含まれてもよい。
図1は、第1の実施形態の超音波診断装置100を含む超音波診断システム1の構成図である。超音波診断システム1は、超音波プローブ10と、外部装置20と、超音波診断装置100とを備える。外部装置20と、超音波診断装置100とは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダ等のネットワークNWを介して接続される。超音波プローブ10は、超音波診断装置100の構成に含まれてもよい。
超音波プローブ10は、例えば、超音波診断装置100からの制御により、被検体である生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。スキャン領域とは、例えば、超音波プローブ10のプローブ表面の位置や方向に対応付けられた領域である。超音波プローブ10は、例えば、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、および圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ10は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイリニアプローブである。超音波プローブ10は、超音波診断装置100と着脱自在に接続されてもよく、複数の超音波プローブ10が超音波診断装置100と接続されてもよい。複数の超音波プローブ10が超音波診断装置100と接続されている場合、接続された超音波プローブのうちいずれを超音波スキャンに使用するかは、操作者等による切り替え操作によって任意に選択される。
外部装置20は、例えば、各種の医用画像データを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等である。また、外部装置20は、ストレージサーバやデータベース等の記憶装置であってもよい。
超音波診断装置100は、例えば、超音波送信回路110と、超音波受信回路112と、信号処理回路120と、通信インタフェース130と、入力インタフェース140と、ディスプレイ150と、処理回路160と、記憶回路180とを備える。入力インタフェース140は、「受付部」の一例である。ディスプレイ150は、「表示部」の一例である。記憶回路180は、「記憶部」の一例である。
超音波送信回路110は、超音波プローブ10の複数の圧電振動子に駆動信号を送信し、圧電振動子の振動により超音波を発生させる。これにより、超音波プローブ10のプローブ表面と接触する生体Pの表面(体表)から内部へ超音波が送信される。
超音波受信回路112は、超音波プローブ10から送信された超音波が生体Pの体内組織で反射され、反射された信号(反射波信号)が複数の圧電振動子で受信されて電気信号に変換された信号を受信する。生体P内へ送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波受信回路112は、超音波プローブ10が受信した反射波信号を増幅したり、デジタル信号に変換する。また超音波受信回路112は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算することで、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号を生成してもよい。
信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された信号に基づいて、超音波データを生成するための信号処理を行う。超音波データには、例えば、Bモードデータが含まれる。例えば、信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された受信信号(反射波信号)に対して包絡線検波処理および対数増幅処理等を行い、信号強度が輝度の高さで表現されるBモードデータを生成する。また、信号処理回路120は、例えば、超音波走査の走査線信号列を、ディスプレイ150等で表示可能なフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、スキャン領域内の二次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードデータを含むBモード画像データを生成する。Bモード画像データには、生成された時刻に関する情報が含まれてよい。
また、超音波データには、ドプラデータが含まれてもよい。この場合、信号処理回路120は、超音波受信回路112により受信された受信信号に基づいて周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路120は、スキャン領域に含まれる対象物(移動体)の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点のそれぞれで推定したドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流、心壁等の組織、および造影剤等である。例えば、信号処理回路120は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点のそれぞれで推定したドプラデータを生成する。また、信号処理回路120は、例えば、生成されたドプラデータに基づいて超音波走査の走査線信号列をスキャンコンバートし、ROI内の二次元的な超音波走査線上のドプラデータを含むドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データには、生成された時刻に関する情報が含まれてよい。以下では、主に超音波画像データがBモード画像データであるものとして説明する。
通信インタフェース130は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インタフェースを含む。通信インタフェース130は、ネットワークNWを介して外部装置20と接続され、外部装置20との間でデータ通信を行う。
入力インタフェース140は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路160に出力する。例えば、入力インタフェース140は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等により実現される。また、入力インタフェース140は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインタフェースによって実現されてもよい。入力インタフェース140がタッチパネルである場合、後述するディスプレイ150は入力インタフェース140と一体として形成されてよい。なお、本明細書において入力インタフェース140は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース140の例に含まれる。
ディスプレイ150は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ150は、表示制御機能172の制御により処理回路160によって生成された画像を所定の表示状態で表示したり、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示したりする。例えば、ディスプレイ150は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
処理回路160は、例えば、取得機能162と、解析機能164と、判定機能166と、決定機能168と、画像生成機能170と、表示制御機能172とを備える。処理回路160は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路180)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA))等の回路(circuitry)を意味する。記憶回路180にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予め記憶回路180に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が超音波診断装置100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体から記憶回路180にインストールされてもよい。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。取得機能162は、「取得部」の一例である。解析機能164は、「解析部」の一例である。判定機能166は、「判定部」の一例である。決定機能168は、「決定部」の一例である。画像生成機能170は、「画像生成部」の一例である。表示制御機能172は、「表示制御部」の一例である。
記憶回路180は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。非一過性の記憶媒体を含むこれらの記憶媒体は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置といったネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。また、記憶回路180には、ROM(Read Only Memory)やレジスタ等の一過性の記憶媒体が含まれてもよい。記憶回路180には、例えば、向き判定テーブル182、画像処理内容設定テーブル184、プログラム、およびその他の情報が格納される。向き判定テーブル182および画像処理内容設定テーブル184の内容については後述する。
取得機能162は、信号処理回路120により処理されたBモード画像データを取得する。また、取得機能162は、入力インタフェース140により入力された操作者の操作内容に基づいて、超音波診断装置100におけるスキャンモードを示す情報を受け付ける。スキャンモードには、例えば、被検体の心臓に相当する部分をスキャンする第1スキャンモードと、心臓以外の部位に相当する部分をスキャンする第2スキャンモードとが含まれる。
解析機能164は、取得機能162により第1スキャンモードを示す情報を受け付けた場合、取得機能162により取得されたBモード画像データに基づいて、超音波プローブ10のプローブ表面からの距離(深さ)に基づく信号輝度レベルを解析する。超音波プローブ10のプローブ表面からの距離とは、生体Pの体表からの距離と読み替えてもよい。以下も同様とする。また、解析機能164は、解析した信号輝度レベルの分布を解析してBモード画像データの特徴情報を取得する。特徴情報には、例えば、信号輝度レベルの分布におけるピーク数や、ピーク間隔、ピーク区間等が含まれる。解析機能164における処理の詳細については後述する。
判定機能166は、解析機能164により解析された特徴情報に基づいて、Bモード画像における心臓に相当する部分(以下、画像内心臓を称する)の向きを判定する。
決定機能168は、判定機能166により判定された結果に基づいて、画像生成機能170によりBモード画像データに実行される画像処理内容を決定する。解析機能164、判定機能166、および決定機能168における処理の詳細については後述する。
画像生成機能170は、取得機能162により取得されたBモード画像データに基づいて、ディスプレイ150に表示させるための表示用画像(超音波画像)を生成する。例えば、画像生成機能170は、Bモード画像データの各座標位置(例えば、ピクセル位置)に含まれる輝度の高さを示す情報を、画像上の所定の色または輝度に変換した二次元のBモード画像を表示用画像として生成する。
また、画像生成機能170は、Bモード画像における複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行ってもよい。
なお、画像生成機能170は、取得機能162によりドプラ画像データが取得された場合には、ドプラ画像データに基づくドプラ画像を生成してもよい。この場合、画像生成機能170は、例えば、ドプラ画像データの各座標位置における移動体の運動情報(例えば、血流の平均速度、平均分散値、平均パワー値等)の大きさに応じて色や模様等に変換して二次元のドプラ画像を生成する。また、画像生成機能170は、生成したドプラ画像をBモード画像に重畳した表示用画像を生成してもよい。
また、画像生成機能170は、例えば、入力インタフェース140により標準画質調整を行う指示を受け付けた場合に、スキャンモードの種類に関係なく、表示用画像に対して標準画質調整に対応する画像処理を行ってもよい。標準画質調整とは、例えば、ゲイン(GAIN)調整やSTC(Sensitivity Time Control)調整である。ゲイン調整には、例えば、表示用画像全体の平均輝度、最大輝度値、または最小輝度値が所定輝度範囲内となるように表示用画像全体の輝度レベルの調整や、信号処理回路120によって実行される反射波信号の増幅処理における増幅度合の調整が含まれる。STC調整には、例えば、表示用画像の深さ(すなわち、超音波プローブ10のプローブ表面からの距離)に応じた超音波の減衰による輝度の低下を補完したり、深部心筋の強エコー部分の輝度を下げるために、深さごとの輝度の高さをそれぞれ独立して調整する機能である。例えば、画像生成機能170は、STC調整により深いエリアのゲインを上げて輝度を高くすることで、深いエリアに存在する部位の画像を操作者等に視認させ易くすることができる。
なお、入力インタフェース140は、スキャン中において標準画質調整を継続的に実行するか否かを切り替えるスイッチを設けられていてもよい。この場合、画像生成機能170は、上記のスイッチがオンである場合に、上述した標準画質調整を継続して実行する。また、画像生成機能170は、例えば、入力インタフェース140のダイヤルスイッチ等により操作者が手動で入力したゲインやSTCの調整値を取得した場合には、その調整値に基づいて表示用画像のゲイン調整やSTC調整を実行してもよい。
また、画像生成機能170は、標準画質調整処理の際、または処理の後、決定機能168で決定された画像処理を実行して、表示用画像を生成する。
また、画像生成機能170は、表示用画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、及びボディマークを示す情報等を合成してもよい。種々のパラメータの文字情報とは、例えば、スキャンモードや超音波プローブ10のプローブ表面から所定部位(例えば、心臓や血管)までの距離、解析機能164の解析により得られた特徴情報を示す情報である。
表示制御機能172は、画像生成機能170により生成された表示用画像をディスプレイ150に表示させる。例えば、表示制御機能172は、入力インタフェース140により入力された操作者等の操作内容に基づいて、ディスプレイ150に表示される表示内容や画像生成機能170により生成させる画像の内容を切り替えてもよい。例えば、表示制御機能172は、操作者等の操作内容に基づいて、表示用画像の表示と非表示を切り替えたり、Bモード画像にドプラ画像を重畳させるか否かを切り替えたり、スキャンモードに応じた表示形態で表示させる等の制御を行う。
以下、解析機能164、判定機能166、および決定機能168における処理の詳細については後述する。図2は、解析機能164によって実行される処理について説明するための図である。図2の例では、Bモード画像IM1および信号輝度レベルの分布を簡略化して示している。以降の図についても同様とする。例えば、解析機能164は、Bモード画像データに対し、スキャン領域に対応した所定の超音波送受信方向(以下、ビーム方向と称する)の深さに対する信号輝度レベルを解析する。図2の例では、二次元座標(XY座標)上のBモード画像IM1におけるビーム方向L1(図2のY軸に沿った方向)の深さ(言い換えると、超音波プローブ10のプローブ表面からの距離)に対する信号輝度レベルの分布が示されている。Bモード画像IM1には、輝度情報により表現された画像内心臓H1が含まれる。ビーム方向L1は、例えば、スキャン領域の中央(Bモード画像の中央)に対応する方向である。心臓には、例えば、四つの心腔(右心室、左心室、右心房、左心房)の部分や、心筋、心内膜または心膜の部分が存在し、それぞれの部分に対応する輝度レベルも異なる。そのため、図2に示すような信号輝度レベルの分布が得られる。
また、解析機能164は、信号輝度レベルの分布を解析して画像の特徴情報を取得する。例えば、解析機能164は、信号輝度レベルが予め決められた閾値TH1以上となる連続する区間を1つのピークとして、ピーク数やピーク間隔、ピーク区間を解析する。図2の例において、解析機能164は、ピーク数3、ピーク間隔W1、W2、ピーク区間Wa、Wb、Wcという情報を特徴情報として取得する。また、解析機能164は、例えば、ピークの位置や最大輝度レベル、ピークパターン等のように信号輝度レベルの分布から得られる他の情報を特徴情報に含めてもよく、信号輝度レベルの分布自体を特徴情報に含めてもよい。
また、解析機能164は、スキャン領域におけるビーム方向L1以外の方向の深さに対する信号輝度レベルを解析して、特徴情報を取得してもよい。図3は、ビーム方向L1以外の方向に対して解析を行うことについて説明するための図である。図3の例では、Bモード画像IM1に対し、プローブ表面の位置を基準としてビーム方向L1の角度(基準角度0度)から所定の角度θ1だけ傾けたビーム方向L2の深さに対する信号輝度レベルの分布が示されている。解析機能164は、ビーム方向L2の深さに対して、図3に示すような信号輝度レベルの分布に対しても解析を行い、ピーク数1、ピーク区間Wdという特徴情報を取得する。特徴情報を取得する対象の角度θ1は、一以上の角度が予め設定されていてもよく、操作者により設定されてもよい。解析機能164は、異なる角度θ1ごとに特徴情報を取得してもよく、各角度における特徴情報を1つのBモード画像における特徴情報として取得してもよい。
上述した特徴情報は、Bモード画像に含まれる画像内心臓H1の向きによって大きく異なる。図4は、Bモード画像IM2におけるビーム方向L1の深さに対する信号輝度レベルの分布を示す図である。図5は、Bモード画像IM2におけるビーム方向L2の深さに対する信号輝度レベルの分布を示す図である。Bモード画像IM2の画像内心臓H1の向きは、Bモード画像IM1における画像内心臓H1の向きとは異なるものである。例えば、超音波プローブ10の位置や向きによって、画像内心臓H1の向きが異なるBモード画像が取得される。図4に示すビーム方向L1の深さに対する信号輝度レベルの分布は、図2に示す分布と異なり、図5に示すビーム方向L2の深さに対する信号輝度レベルの分布は図3に示す分布と異なる。したがって、それぞれの特徴情報も異なることになる。判定機能166は、解析機能164により解析された特徴情報と、予め画像内心臓H1の向きごとに取得した特徴情報とを比較することで、Bモード画像に含まれる画像内心臓H1の向きを判定することができる。また、判定機能166は、1つのBモード画像に対して、複数のビーム方向の特徴情報を取得することで、判定機能166における画像内心臓H1の向きの判定を、より高精度に行うことができる。
ここで、図2~図5に示すように画像内心臓H1が画像IM1の中心付近に存在する場合、角度θ1の値が大きくなるほど(超音波送受信方向が画像の中心から離れた方向になるほど)画像内心臓H1から離れるため、その方向に対する信号輝度レベルは全体的に小さくなる。したがって、解析機能164は、信号輝度レベルのピークが閾値TH1以上にならなくなる角度θ1の値を解析し、その角度θを特徴情報に含めてもよい。これにより、判定機能166は、信号輝度レベルのピークが閾値TH1以上にならなくなる角度を示す情報を用いて画像内心臓H1の向きを判定することができる。
次に、判定機能166における処理の詳細について説明する。例えば、判定機能166は、予め記憶回路180に記憶された向き判定テーブル182を用いて画像内心臓の向きを判定する。図6は、向き判定テーブル182の内容の一例を示す図である。向き判定テーブル182には、例えば、画像内心臓の向きを示す情報に、角度θ1および特徴情報が対応付けられている。図6に例示した向き判定テーブル182には、画像内心臓の向きとして、縦向きと、横向きとが含まれている。縦向きとは、例えば、Bモード画像の視点から心臓までの方向が心臓の長手方向に交差する向きである。縦向きの場合には、例えば、図2、図3のBモード画像IM1に示すように、画像内心臓H1の長手方向が画像の縦方向(Y軸方向)に位置付けられる。また、横向きとは、例えば、Bモード画像の視点から心臓までの方向が心臓の長手方向に沿う向きである。横向きの場合には、例えば、図4、図5のBモード画像IM2に示すように、画像内心臓H1の長手方向が画像の横方向(X軸方向)に位置付けられる。
判定機能166は、例えば、角度θ1に対応づけてそれぞれの向きの特徴情報と比較し、類似度が最も高い方の向きを、画像内心臓H1の向きとして取得する。また、向き判定テーブル182には、縦向き、横向きに加えて、3以上の異なる向きの特徴情報が登録されていてもよい。これにより、判定機能166は、更に詳細な向きを判定することができる。
また、判定機能166は、画像内心臓H1の向きが所定の向きであるか否かを判定してもよい。所定の向きとは、縦向きでもよく、横向きでもよく、その他の向きでもよい。例えば、所定の向きが縦向きであるか否かを判定する場合、向き判定テーブル182には縦向きである場合の特徴情報が格納されていればよい。この場合、判定機能166は、解析機能164により解析された特徴情報と、縦向きに対応付けられた特徴情報とを比較し、特徴情報の類似度が所定値以上である場合に、画像内心臓H1の向きが縦向きであると判定し、所定値未満である場合に、画像内心臓H1の向きが縦向きではないと判定する。このように、画像内心臓H1の向きが所定の向きであるか否かを判定することで、複数の向きに対応付けられた特徴情報との比較を行う必要がないため、処理負担を低減することができ、より迅速に判定結果を取得することができる。
次に、決定機能168における処理の詳細について説明する。決定機能168は、判定機能166により判定された結果に基づいて、画像生成機能170により生成される表示用画像に対する画像処理内容を決定する。例えば、決定機能168は、判定機能166により判定された画像内心臓の向きを示す情報を用いて予め記憶回路180に記憶された画像処理内容設定テーブル184を参照し、表示用画像に対する画像処理内容を決定する。
図7は、画像処理内容設定テーブル184の内容の一例を示す図である。画像処理内容設定テーブル184には、例えば、画像内心臓の向きを示す情報に、画像内心臓を含む画像に対する画像処理内容が対応付けられている。画像処理内容には、例えば、画質調整のためのゲイン値を示す情報や、画質調整を行う画像の対象エリアに関する情報が含まれる。ゲイン値は、例えば、上述した標準画質調整が実行された場合のゲイン調整やSTC調整の値を更に調整するための情報であってもよく、標準画質調整を実行する際のゲイン調整やSTC調整の調整度合を示す情報であってもよい。また、ゲイン値には、標準画質調整を実行しない場合のゲイン調整やSTC調整の調整度合を示す情報であってもよい。
また、画像処理内容には、画像内心臓の向きに応じた画像処理を実行するためのアルゴリズム(プログラム)の情報が含まれていてもよい。
また、画像処理内容には、画像内心臓の向きに応じた画像処理を実行するためのアルゴリズム(プログラム)の情報が含まれていてもよい。
例えば、画像処理内容設定テーブル184には、画像内心臓の向きが縦向きの場合に、第1のビューモードに適した画像処理内容が格納され、心臓の向きが縦向きでない場合(例えば、横向きの場合)には、第2のビューモードに適した画像処理内容が格納されている。したがって、決定機能168は、画像内心臓の向きが縦向きの場合に第1のビューモードに適した画像処理内容を取得し、画像内心臓の向きが横向きの場合に第2のビューモードに適した画像処理内容を取得して、画像生成機能170に画像処理内容に応じた処理を実行させる。
ここで、第1のビューモードおよび第2のビューモードと、それぞれに適した画像処理内容について具体的に説明する。図8は、第1のビューモードにおける画像処理内容について説明するための図である。図8の例では、二次元のBモード画像IM3に、縦向きの画像内心臓H1が示されている。第1のビューモードは、例えば、心尖断面像(apical view)に相当するビューモードである。第1のビューモードは、例えば、超音波プローブ10を心尖部側に位置付けて超音波スキャンを行い、四つまたは二つの心腔の断面を表示させるモードである。また、第1のビューモードは、心腔の断面をクリアに表示させると同時に、心尖部に相当する部分H2の心筋や心内膜についてもクリアに表示されることが期待される。しかしながら、心臓が縦向きになるようにスキャンされた場合には、心尖部に相当する部分H2には、生体起因のアーチファクトと呼ばれるノイズも同時に表示される場合が多い。そのため、心筋や心内膜に相当する部分の像がノイズの裏に隠れてしまう可能性がある。また、縦向きの画像内心臓H1を含むBモード画像IM3に上述した標準画質調整を実行すると、上述したノイズが信号として認識されてしまい、ノイズによって高くなった画像全体の輝度を下げる(低くする)ための画質調整が実行されるため、本来視認したい心筋や心内膜の信号輝度レベルが下がり、心尖部の構造がクリアに表示されなくなる可能性がある。
そこで、画像生成機能170は、第1のビューモードに適した画像処理内容として、Bモード画像IM3に含まれる心尖部に相当する部分H2を含むエリアAR1内の画像処理の度合をエリアAR1外のエリアの度合と異ならせる。例えば、画像生成機能170は、Bモード画像IM3の全体に対して標準画質調整が行われた場合には、エリアAR1の輝度が下がっている(暗くなっている)ため、エリアAR1内の輝度を所定量だけ上げる(高くする)輝度調整を行う。所定量とは、標準画質調整が実行される前の輝度に対応付けられた量でもよく、固定量でもよい。また、画像生成機能170は、標準画質調整が行われる前に、エリアAR1内の輝度を所定量だけ上げる輝度調整を行ってもよい。
また、画像生成機能170は、第1のビューモードに対応付けられた画像処理内容に基づいて、標準画質調整の際に、エリアAR1内の輝度の調整度合を、エリアAR1以外のエリアの調整度合より小さくしてもよい。これにより、エリアAR1の輝度が下がるのを抑制することができる。
上述した画質調整により、心筋、心内膜の描出能を低下させることなく、心尖部の構造等をよりクリアに表示させることができる。
また、画像生成機能170は、エリアAR1の境界付近の画像処理において、エリア外からエリア内に向けて画像処理の度合を徐々に変化させた超音波画像を生成してもよい。この場合、画像生成機能170は、例えば、標準画質調整の内容や決定機能168により取得された画像処理内容に基づいて、エリアAR1外における輝度調整度合と、エリアAR1内における輝度調整度合とを取得する。そして、画像生成機能170は、エリアAR1外の位置からエリアAR1内に向かう位置に存在する所定ピクセル数を用いて、輝度の調整度合を連続的に変化させた輝度調整処理(例えば、グラデーション処理)を行う。これにより、エリアAR1の境界で輝度の調整度合が大きく変化することを抑制し、エリアAR1の境界付近において違和感の少ない画像を表示させることができる。
なお、エリアAR1の形状については、図8の例に限定されるものではなく、例えば、矩形や円形、その他の形状等でもよい。また、対象エリア(例えば、エリアAR1)の位置に関する情報が画像処理内容設定テーブル184の画像処理内容に含まれていない場合、画像生成機能170は、Bモード画像IM3における隣接ピクセル間の輝度差等に基づいてエッジ情報を取得し、取得したエッジ情報に基づく輪郭形状から心尖部に相当する部分H2を予測して、エリアAR1を設定してもよい。また、画像生成機能170は、第1のビューモードである場合に、対象エリアを設定せずに、Bモード画像IM3全体に対して上述した画質調整を行ってもよい。
第2のビューモードは、例えば、傍胸骨断面像(parasternal view)に相当するビューモードである。第2のビューモードは、例えば、超音波プローブ10を胸骨左縁の肋間に位置付けて超音波スキャンを行い、左室流出路から大動脈弁付近を表示させるモードである。第2のビューモードの場合には、プローブ表面から近距離付近に操作者等が視認したい構造物がないため、アーチファクトが目立たない場合が多く、仮に近距離付近にアーチファクトが表示されたとしても診断上の問題はない。したがって、第2のビューモードの場合、画像生成機能170は、標準画質調整のみを行えばよい。この場合、画像処理内容設定テーブル184の画像処理内容には、標準画質調整のみを行う処理内容が格納されていてもよく、処理内容が何も格納されていなくてもよく、第1のビューモードの処理内容よりも調整度合の小さい処理内容が格納されていてもよい。また、第2のビューモードは、例えば、画像内心臓の向きが縦向き以外である場合の超音波画像または第2スキャンモードによって得られた心臓以外の部位を含む超音波画像を表示させる際に用いられてもよい。
画像生成機能170は、Bモード画像に含まれる画像内心臓の向きに応じてビューモードに基づく画像処理を行うことができるため、操作者等が期待する画像の輝度調整をより適切に実行することができる。また、被検体の心臓に相当する部分をスキャンする第1スキャンモードが指示された場合には、画像内心臓の向きに応じた画質調整が自動で実行されるため、ビューモードの変更ごとに操作者が手動で画質の調整を行うことがないため、操作者の負担を軽減させることができる。
次に、第1の実施形態の超音波診断装置100の動作について説明する。まず、操作者は、入力インタフェース140により超音波診断装置100に対して本実施形態に係るプログラムの実行を指示する。超音波診断装置100の処理回路160は、上記指示に従って、記憶回路180から本実施形態に係るプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行する。
操作者は、入力インタフェース140からスキャンモードの入力と、標準画質調整等の画像処理を実行するための指示を入力して、超音波プローブ10を用いて心臓のスキャンを実施する。スキャンは、心臓を含むスキャン領域のBモードデータを収集するためのスキャンであるが、ドプラデータを収集するためのスキャンが含まれていてもよい。以下では、Bモードデータを収集した場合について説明する。超音波プローブ10から患者等の被検体の体内へ送信された超音波は、体内組織で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ10で受信される。超音波受信回路112は、超音波プローブ10が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成する。信号処理回路120は、超音波受信回路112から受け取った受信信号に基づき、BモードデータおよびBモード画像データを生成し、生成したデータを処理回路160に出力する。
処理回路160は、信号処理回路120から入力したデータを用いた各種処理を実行する。図9は、第1の実施形態の処理回路160により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9の例において、処理回路160の取得機能162は、入力インタフェース140から入力されたスキャンモードを取得する(ステップS100)。次に、取得機能162は、Bモードデータを取得する(ステップS102)。
次に、解析機能164は、取得機能162により取得された画像表示モードが第1スキャンモードであるか否かを判定する(ステップS104)。画像表示モードが第1スキャンモードであると判定された場合、解析機能164は、Bモードデータに含まれるビーム方向(超音波送受信方向)ごとの深さに対する輝度レベル分布等に基づく解析を行い、特徴情報を生成する(ステップS106)。次に、判定機能166は、解析機能164により解析された結果(特徴情報)に基づいて、Bモードデータに含まれる画像内心臓の向きを判定する(ステップS108)。次に、判定機能166は、心臓の向きが所定の向きであるか否かを判定する(ステップS110)。所定の向きとは、例えば、縦向きであるが、が、診断の内容や用途によって他の向きに変更されてもよい。
心臓の向きが所定の向きであると判定された場合、決定機能168は、第1のビューモード用の画像処理内容を取得する(ステップS112)。また、ステップS104の処理において、第1スキャンモードでないと判定された場合、またはステップS110の処理において、心臓の向きが所定の向きでないと判定された場合、決定機能168は、第2のビューモード用の画像処理内容を取得する(ステップS114)。
次に、画像生成機能170は、Bモードデータに基づいてBモード画像を生成すると共に、標準画質調整等の画像処理を実行する(ステップS116)。また、画像生成機能170は、ステップS116の画像処理を実行する際または実行した後に、ステップS112またはステップS114の処理で取得した画像処理内容に基づく輝度調整等の画像処理を実行して表示用画像を生成する(ステップS118)。次に、表示制御機能172は、生成した表示用画像をディスプレイ150に表示させる(ステップS120)。これにより本フローチャートの処理は、終了する。なお、上述した処理において、ステップS118の処理は、ステップS116の画像処理の前に実行されてもよい。また、図9に示す処理は、スキャン中は継続して実行される。
以上説明した第1の実施形態によれば、超音波画像に対してより適切な画質調整を行うことができる。具体的には、第1の実施形態によれば、例えば、Bモード画像データを用いた信号輝度レベルの分布に基づいて心臓に相当する部分の向きを判定することができ、判定された向きに合わせて輝度調整を行うことにより、表示用画像の最適化を行うことができる。また、第1の実施形態によれば、信号輝度の自動調整能の高い超音波診断装置を提供することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態における超音波診断装置について説明する。図10は、第2の実施形態の超音波診断装置100Aを含む超音波診断システム1Aの構成図である。第1の実施形態の超音波診断システム1と共通する構成要素については同じ符号を付し、それらについての再度の説明を省略する。超音波診断装置100Aは、例えば、超音波送信回路110と、超音波受信回路112と、信号処理回路120と、通信インタフェース130と、入力インタフェース140と、ディスプレイ150と、処理回路160Aと、記憶回路180Aとを備える。処理回路160Aは、取得機能162と、解析機能164と、決定機能168Aと、画像生成機能170と、表示制御機能172と、学習機能174とを備える。記憶回路180Aには、例えば、画像処理内容設定テーブル184、学習済みモデル186、プログラム、およびその他の情報が格納される。第2の実施形態の超音波診断装置100Aは、第1の実施形態の超音波診断装置100と比較すると、処理回路160Aに、解析機能164および判定機能166に代えて学習機能174を備える点、および記憶回路180Aに向き判定テーブル182に代えて学習済みモデル186を備える点で相違する。以下では、主に上記の相違点を中心として説明する。
以下、第2の実施形態における超音波診断装置について説明する。図10は、第2の実施形態の超音波診断装置100Aを含む超音波診断システム1Aの構成図である。第1の実施形態の超音波診断システム1と共通する構成要素については同じ符号を付し、それらについての再度の説明を省略する。超音波診断装置100Aは、例えば、超音波送信回路110と、超音波受信回路112と、信号処理回路120と、通信インタフェース130と、入力インタフェース140と、ディスプレイ150と、処理回路160Aと、記憶回路180Aとを備える。処理回路160Aは、取得機能162と、解析機能164と、決定機能168Aと、画像生成機能170と、表示制御機能172と、学習機能174とを備える。記憶回路180Aには、例えば、画像処理内容設定テーブル184、学習済みモデル186、プログラム、およびその他の情報が格納される。第2の実施形態の超音波診断装置100Aは、第1の実施形態の超音波診断装置100と比較すると、処理回路160Aに、解析機能164および判定機能166に代えて学習機能174を備える点、および記憶回路180Aに向き判定テーブル182に代えて学習済みモデル186を備える点で相違する。以下では、主に上記の相違点を中心として説明する。
学習機能174は、Bモード画像データが入力された場合に、Bモード画像データに含まれる画像内心臓の向きを示す情報を出力するように学習された学習済みモデル186を生成する。例えば、学習機能174は、過去に心臓に相当する部分を含む領域を超音波スキャンした際に収集したBモード画像データと、このBモード画像データに基づく心臓の向きを示す情報との関係を、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能を用いて学習することで、入力されたBモード画像データに対する画像内心臓の向きを判定結果として出力する学習済みモデル186を生成する。また、学習機能174は、過去に心臓に相当する部分を含む領域を超音波スキャンした際に収集したBモード画像データと、画像内心臓の向きが所定の向きである場合のBモード画像データとの類似度を判定する機能を実現するための機械学習を行ってもよい。以下の説明においては、学習機能174が、学習済みモデル186を生成する構成であるものとして説明する。
図11は、第2の実施形態に係る学習機能174における学習済みモデル186の生成方法の一例を模式的に示す図である。学習済みモデル186は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)やDNN(Deep Neural Network)等の技術を用いて、Bモード画像データが入力されると、入力されたBモード画像データに含まれる画像内心臓の向きを示す情報を出力するように学習された学習済みモデルである。CNNは、畳み込み(Convolution)層やプーリング(Pooling)層等のいくつかの層が繋がれたニューラルネットワークである。DNNは、任意の形態の層が多層に連結されたニューラルネットワークである。学習済みモデル186は、例えば、不図示の演算装置等よる機械学習モデルLMを用いた機械学習によって生成される。不図示の演算装置は、機械学習によって学習済みモデル186を生成する際、機械学習モデルLMに、Bモード画像データと、このBモード画像データにおける判定結果とを入力する。機械学習モデルLMは、例えば、CNNやDNN等の形態を有し、暫定的にパラメータが設定されたモデルである。
図11の例では、心臓の向きごとのBモード画像データを機械学習モデルLMに入力している状態を模式的に示している。不図示の演算装置は、画像内心臓の向きが特定されたBモード画像データを機械学習モデルLMに入力した際の機械学習モデルLMの出力が、入力されたBモード画像データにおける心臓の向きに近づくように、機械学習モデルLMのパラメータを調整する。パラメータを調整する方法としては、例えば、バックプロパゲーション法(誤差逆伝播法)等の手法がある。不図示の演算装置によってパラメータが調整された機械学習モデルLMが、学習済みモデル186となる。
なお、学習済みモデル186は、CNNやDNN等の技術を用いた学習により生成されるものに限定されない。例えば、学習済みモデル186は、SGD(Stochastic Gradient Descent)、Momentum SGD、AdaGrad、RMSprop、AdaDelta、Adam(Adaptive moment estimation)等の勾配法、ロジスティック回帰分析、サポートベクターマシンに基づく技術等の任意の機械学習の技術を用いて生成されるものであってもよい。
学習済みモデル186は、Bモード画像データが入力されると、画像内心臓の向きごとのBモード画像データとの類似度を判定し、類似度が最も高い心臓の向きの情報を判定結果として出力する。
決定機能168Aは、学習機能174により学習された学習済みモデル186を用いて、取得機能162により取得されたBモード画像データに対する心臓の向きを決定する。また、決定機能168Aは、学習済みモデル186により判定された心臓の向きの情報に基づいて、画像処理内容設定テーブル184の画像内心臓の向きを参照し、合致する向きに対応付けられた画像処理内容を取得する。また、決定機能168Aは、取得した画像処理内容に基づく処理を画像生成機能170に実行させる。
なお、学習機能174は、例えば、Bモード画像データが入力された場合に、Bモード画像データに含まれる画像内心臓の向きを示す情報を出力するように学習された学習済みモデル186に代えて、画像内心臓が所定の向き(例えば、縦向き)であるか否かの判定結果を出力するように学習された学習済みモデルを生成してもよい。この場合、決定機能168Aは、学習済みモデルを用いて、Bモード画像データに対する心臓の向きが所定の向きである場合に、画像処理内容設定テーブル184の画像内心臓の向きを参照し、合致する向きに対応付けられた画像処理内容を取得する。これにより、画像内心臓が所定の向きである場合に、より適切な画像処理を行うことができる。
また、学習機能174は、Bモード画像データに代えて、Bモードデータが入力された場合に、Bモード画像データに含まれる画像内心臓の向きの判定結果を出力するように学習された学習済みモデルを生成してもよい。この場合、取得機能162は、信号処理回路120からBモードデータを取得する。そして、決定機能168Aは、学習済みモデルを用いて、Bモードデータに対する心臓の向きを決定する。
また、第2の実施形態において、学習機能174は、超音波診断装置100Aに含まれていなくてもよい。この場合、取得機能162は、学習機能174が設けられた外部装置または学習済みモデル186を管理する外部装置から学習済みモデル186を取得して記憶回路180に記憶させる。また、記憶回路180に学習済みモデル186が格納されていない場合、決定機能168Aは、学習済みモデル186を備えた外部装置にBモード画像データを送信し、Bモード画像データに含まれる画像内心臓の向きに関する情報を外部装置から受信してもよい。
図12は、第2の実施形態の処理回路160Aにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の実施形態の処理回路160Aにより実行される処理は、第1の実施形態の処理回路160により実行されるステップS100~S120の処理と比較すると、ステップS106およびS108の処理に代えて、ステップS200の処理を行う点で相違する。以下では、主に上記の相違点を中心として説明する。また、図12の例では、既に学習機能174により学習済みモデル186が生成されているものとする。
図12のステップS104の処理において、取得したスキャンモードが第1スキャンモードであると判定された場合、決定機能168Aは、学習済みモデル186に基づいて、Bモード画像データに含まれる心臓の向きを決定する(ステップS200)。次に、決定機能168Aは、決定された心臓の向きが所定の向きであるか否かを判定する(ステップS110)。
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、学習済みモデル186を用いることで、輝度レベルの分布に基づく解析を行うことなく、Bモード画像データに含まれる画像内心臓の向きを決定することができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを格納するメモリと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得し、
前記超音波画像は、前記被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、前記被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含み、
前記画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行い、
解析された情報に基づいて前記超音波画像に関する画像処理内容を決定し、
前記超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を前記心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる、
ように構成されている、超音波診断装置。
プログラムを格納するメモリと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得し、
前記超音波画像は、前記被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、前記被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含み、
前記画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行い、
解析された情報に基づいて前記超音波画像に関する画像処理内容を決定し、
前記超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を前記心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる、
ように構成されている、超音波診断装置。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述した第1または第2の実施形態では、心臓以外の部位に相当する部分をスキャンする第2スキャンモードに代えて、被検体の部位(心臓以外の部位)ごとに細分化した複数のスキャンモードが存在してもよい。また、第1または第2の実施形態では、画像内心臓の向きに応じて3以上のビューモードが存在してもよい。この場合、画像内心臓の向きに応じたそれぞれのビューモードにおける画像処理内容が、画像処理内容設定テーブル184に格納される。決定機能168(168A)は、画像処理内容設定テーブル184を参照して取得した画像処理内容に基づいて、画像生成機能170に画像処理を実行させる。
また、上述した第1または第2の実施形態において、縦向きである場合に第1のビューモードに対応付けられた画像処理を実行したが、これに代えて、他の特定の向きに応じて第1のビューモードに対応付けられた画像処理を実行してもよい。また、上述した第1または第2の実施形態において、信号処理回路120における処理の一部または全部は画像生成機能170に含まれていてもよく、画像生成機能170における処理の一部または全部は、信号処理回路120に含まれていてもよい。例えば、画像生成機能170は、BモードデータやBモード画像データを生成してもよい。また、信号処理回路120は、Bモード画像や表示用画像を生成してもよい。
1、1A…超音波診断システム、10…超音波プローブ、20…外部装置、100、100A…超音波診断装置、110…超音波送信回路、112…超音波受信回路、120…信号処理回路、130…通信インタフェース、140…入力インタフェース、150…ディスプレイ、160、160A…処理回路、162…取得機能、164…解析機能、166…判定機能、168、168A…決定機能、170…画像生成機能、172…表示制御機能、174…学習機能、180、180A…記憶回路
Claims (6)
- 被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得する取得部と、
前記超音波画像は、前記被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、前記被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含み、
前記画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行う解析部と、
前記解析部により解析された情報に基づいて前記超音波画像に関する画像処理内容を決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を前記心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる、
超音波診断装置。 - 前記解析部は、前記画像データの輝度レベルの分布に基づいてエッジ情報を取得し、取得した前記エッジ情報に基づく輪郭形状から前記心尖部に相当するエリアを予測する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記決定部により決定された画像処理内容に基づいて、前記心尖部に相当するエリアの境界付近の画像処理を行い、前記エリア外から前記エリア内に向けて前記画像処理の度合を徐々に変化させた超音波画像を生成する画像生成部を更に備える、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記解析部は、前記画像データの輝度レベルの分布に基づく特徴情報を生成する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記超音波画像は、Bモード画像である、
請求項4に記載の超音波診断装置。 - 超音波診断装置に、
被検体の心臓に相当する部分を含む超音波画像を取得させ、
前記超音波画像は、前記被検体内のスキャン領域に超音波を送信し、前記被検体内で反射された反射波の信号強度が輝度によって表現された画像データを含み、
前記画像データの輝度レベルの分布に基づく解析を行わせ、
解析された情報に基づいて前記超音波画像に関する画像処理内容を決定させ、
前記超音波画像に含まれる心臓の心尖部に相当するエリアに対する画像処理の度合を前記心尖部に相当するエリア外のエリアの度合と異ならせる、
プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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