JP2024038983A - 回転電機の制御装置、及びプログラム - Google Patents

回転電機の制御装置、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】回転電機の必要電圧の低下と出力向上とを実現する。【解決手段】巻線界磁式の回転電機40は、ステータ巻線52を含むステータ50と、周方向に並ぶ複数の磁極を有しその磁極ごとに設けられた界磁巻線70を含むロータ60とを有する。制御装置30は、ステータ巻線52に流れるステータ電流及び界磁巻線70に流れる界磁電流を制御する制御部と、ロータ60の回転状態を示す回転パラメータを取得する取得部と、を備えている。制御装置30は、回転パラメータに基づいて界磁電流の大きさとステータ電流の位相とを制御するものであり、ロータ60が高回転状態である場合に、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くし、かつステータ電流の位相を、界磁巻線70の界磁磁束を弱める弱め界磁位相に制御する。【選択図】 図1

Description

この明細書における開示は、回転電機の制御装置、及びプログラムに関する。
従来、例えば特許文献1に記載されているように、ステータ巻線を含むステータと、界磁巻線を含むロータとを有する巻線界磁式の回転電機が知られている。この回転電機においては、回転電機のトルクを指令トルクに制御するために、ステータ巻線に流れる電流及び界磁巻線に流れる界磁電流が操作される。
特開2018-102111号公報
ところで、磁石埋込式の回転電機(IPMモータ)では、高回転領域において弱め界磁制御を行うことが知られている。これは、ステータ巻線への鎖交磁束を低減(逆起電力の低減)することで、リラクタンストルクの増加を図るものとなっている。
一方、上記のような巻線界磁式の回転電機においても弱め界磁を行うことが考えられる。この場合、界磁巻線による界磁量を可変とする上で、好適なる構成が構築されることが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、回転電機の必要電圧の低下と出力向上とを実現することができる回転電機の制御装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明における回転電機の制御装置は、
ステータ巻線を含むステータと、周方向に並ぶ複数の磁極を有しその磁極ごとに設けられた界磁巻線を含むロータと、を有する巻線界磁式の回転電機を備えるシステムに適用され、
前記ステータ巻線に流れるステータ電流及び前記界磁巻線に流れる界磁電流を制御する制御部と、
前記ロータの回転状態を示す回転パラメータを取得する取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記回転パラメータに基づいて前記界磁電流の大きさと前記ステータ電流の位相とを制御するものであり、前記ロータの回転速度が所定回転速度よりも高い高回転状態である場合に、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を、前記界磁巻線の界磁磁束を弱める弱め界磁位相に制御する。
上記構成では、ロータが所定の高回転状態である場合に、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くする制御と、ステータ電流の位相を、界磁巻線の界磁磁束を弱める弱め界磁位相とする制御とが行われる。この場合、界磁電流を高くすることによりロータの磁極中心(d軸)のインダクタンスを低減しつつ、界磁磁束を大きくすることが可能となる。また、ステータ電流が弱め界磁位相で制御されることで、ステータ巻線に鎖交する鎖交磁束が低減される。これにより、ステータ巻線に印加される駆動電圧の低減を図りつつ、回転電機の出力トルクの増加が可能となる。その結果、回転電機の必要電圧の低下と出力向上とを実現することができる。
回転電機の制御システムの全体構成図。 インバータ及びその周辺構成を示す図。 ロータ及びステータの横断面図。 ロータに備えられる電気回路を示す図。 トルク制御の機能ブロック図。 基本波電流及び高調波電流の推移を示す図。 弱め界磁の状態でステータとロータとの間に生じる磁束を示す図。 弱め界磁を行った場合の界磁電流とステータ電流の位相との関係を出力トルクに対して表した図。 界磁電流と必要電圧との関係を示す図。 電流位相とトルクとの関係を示す図。 U相電流、U相電圧、出力トルク、界磁電流の推移を示すタイムチャート。 U相電流、U相電圧、出力トルク、界磁電流の推移を示すタイムチャート。 1相分の基本波電流及び高調波電流の推移と高調波重畳電流の推移とを示すタイムチャート。 回転電機の運転状態ごとの通電制御を説明する図。 通電制御処理を示すフローチャート。 高回転高負荷状態である場合に界磁磁束を増加させる処理手順を示すフローチャート。 ロータ回転速度と界磁電流との関係、ロータ回転速度とステータ電流位相との関係を示す図。
以下、本発明に係る制御装置を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。制御装置は、回転電機の制御システムを構成し、制御システムは車両に搭載されている。回転電機は、車両の走行動力源である。
図1に示すように、制御システムは、直流電源10、インバータ20、制御装置30及び回転電機40を備えている。回転電機40は、巻線界磁式の同期機である。例えば、回転電機40、インバータ20及び制御装置30を備えて機電一体型駆動装置が構成されたり、回転電機40、インバータ20及び制御装置30それぞれが各コンポーネントで構成されたりする。
回転電機40は、ハウジング41と、ハウジング41内に収容されるステータ50及びロータ60とを備えている。本実施形態の回転電機40は、ロータ60がステータ50の径方向内側に配置されたインナロータ型の回転電機である。
ステータ50は、ステータコア51と、ステータ巻線52とを備えている。ステータ巻線52は、例えば銅線で構成されており、電気角で互いに120°ずれた状態で配置されたU,V,W相巻線52U,52V,52Wを含む。
ロータ60は、ロータコア61と、界磁巻線70とを備えている。界磁巻線70は、例えば圧縮成形にて構成されている。これにより、占積率が向上し、界磁巻線70の組付性が向上する。なお、界磁巻線70は、例えばアルミ線で構成されていればよい。アルミ線は、比重が小さく、ロータ60が回転する場合における遠心力を低減できる。アルミ線は、銅線に比べて強度及び硬さが低く、圧縮成形する場合に好適である。また、界磁巻線70は、アルミ線に限らず、例えば、銅線又はCNT(カーボンナノチューブ)等であってもよい。また、界磁巻線は、圧縮成形のものでなくてもよい。
ロータコア61の中心孔には、回転軸32が挿通されている。回転軸32は、軸受42を介してハウジング41に回転可能に支持されている。
図2に示すように、インバータ20は、U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpと、U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの直列接続体を備えている。U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpと、U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの接続点には、U,V,W相巻線52U,52V,52Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線52U,52V,52Wの第2端は、中性点で接続されている。すなわち、本実施形態において、U,V,W相巻線52U,52V,52Wは星形結線されている。なお、本実施形態において、各スイッチSUp~SWnは、IGBTである。各スイッチSUp~SWnには、フリーホイールダイオードが逆並列に接続されている。
U,V,W相上アームスイッチSUp,SVp,SWpのコレクタには、直流電源10の正極端子が接続されている。U,V,W相下アームスイッチSUn,SVn,SWnのエミッタには、直流電源10の負極端子が接続されている。なお、直流電源10には、平滑コンデンサ11が並列接続されている。
続いて、図3を用いて、ステータ50及びロータ60について説明する。
ステータ50及びロータ60は、いずれも回転軸32とともに同軸上に配置されている。以下の記載では、回転軸32が延びる方向を軸方向とし、回転軸32の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸32を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
ステータコア51は、軟磁性体からなる積層鋼板により構成されており、円環状のバックヨーク51aと、バックヨーク51aから径方向内側に向かって突出する複数のティース51bとを有している。隣り合うティース51bの間に、周方向並ぶ複数のスロット54が形成されている。これら各スロット54に各相の相巻線が所定順序で収容されることにより、ステータ巻線52が構成されている。例えば、ステータ50において、複数の導体セグメントを用いたセグメントコイル構造が採用されているとよい。ただし、ステータ巻線52の構造は任意である。
ロータコア61は、軟磁性体からなり、例えば積層鋼板により構成されている。ロータコア61は、円筒状の円筒部61aと、円筒部61aから径方向外側に向かって突出する複数の主極部62とを有している。本実施形態において、主極部62は、周方向において等間隔に8個設けられている。
界磁巻線70は、第1巻線部71a及び第2巻線部71bを備えている。各主極部62において、径方向外側に第1巻線部71aが巻回され、第1巻線部71aよりも径方向内側に第2巻線部71bが巻回されている。各主極部62において、第1巻線部71a及び第2巻線部71bの巻方向は互いに同じになっている。また、周方向に隣り合う主極部62のうち、一方に巻回された各巻線部71a,71bの巻方向と、他方に巻回された各巻線部71a,71bの巻方向とが逆になっている。このため、周方向に隣り合う主極部62同士で互いに磁化方向が逆になる。ロータ60では、ロータコア61における各主極部62と、その各主極部62に巻装された界磁巻線70とにより、周方向に並ぶ複数の磁極(界磁極)が形成されている。
図4に、主極部62に巻回された各巻線部71a,71bを備えるロータ60側の電気回路を示す。第1巻線部71a及び第2巻線部71bは直列接続されており、それら各巻線部71a,71bからなる直列接続体の両端間に整流素子としてのダイオード80が接続されている。つまり、ダイオード80のカソードには、第1巻線部71aの第1端が接続され、第1巻線部71aの第2端には、第2巻線部71bの第1端が接続されている。第2巻線部71bの第2端には、ダイオード80のアノードが接続されている。第2巻線部71bには、コンデンサ90が並列接続されている。なお、第2巻線部71bに代えて、第1巻線部71aにコンデンサ90が並列接続されていてもよい。図4において、L1は第1巻線部71aのインダクタンスを示し、L2は第2巻線部71bのインダクタンスを示し、Cはコンデンサ90の静電容量を示す。
本実施形態では、第1巻線部71a、コンデンサ90及びダイオード80からなる直列共振回路が構成され、第2巻線部71b及びコンデンサ90からなる並列共振回路が構成されている。直列共振回路の共振周波数である第1共振周波数をf1とし、並列共振回路の共振周波数である第2共振周波数をf2とする。各共振周波数f1,f2は、下式(eq1),(eq2)で表される。
Figure 2024038983000002
Figure 2024038983000003
図2の説明に戻り、制御システムは、電流センサ21、角度センサ22、電圧センサ23及びアクセルセンサ24を備えている。電流センサ21は、回転電機40に流れる各相電流のうち、少なくとも2相分の電流を検出する。角度センサ22は、ロータ60の回転角(電気角)を検出する。電圧センサ23は、直流電源10の電圧を検出するセンサと、各相巻線52U~52Wの逆起電圧を検出するセンサとを含む。アクセルセンサ24は、車両のドライバにより操作されるアクセル操作部材(具体的にはアクセルペダル)の操作量を検出する。各センサ21~24の検出値は、制御装置30に入力される。
制御装置30は、インバータ20を構成する各スイッチSUp~SWnをオンオフする駆動信号を生成する。詳しくは、制御装置30は、直流電源10から出力された直流電力を交流電力に変換してU,V,W相巻線52U,52V,52Wに供給すべく、各アームスイッチSUp~SWnをオンオフする駆動信号を生成し、生成した駆動信号を各アームスイッチSUp~SWnのゲートに供給する。
制御装置30は、各相巻線52U,52V,52Wに基本波電流及び高調波電流の合成電流を流すように各スイッチSUp~SWnをオンオフする。基本波電流は、回転電機40にトルクを発生させることを主とする電流である。高調波電流は、界磁巻線70を励磁することを主とする電流である。各相巻線52U,52V,52Wに流れる相電流は、電気角で120°ずつずれている。
制御装置30は、マイコン(コンピュータに相当)を主体として構成され、マイコンは、CPUを備えている。マイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図15等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
図5を用いて、制御装置30により実行される回転電機40のトルク制御について説明する。
2相変換部100は、電流センサ21の検出値と、角度センサ22により検出された電気角θeとに基づいて、3相固定座標系におけるU,V,W相電流を、2相回転座標系(dq座標系)におけるd軸電流Idr及びq軸電流Iqrに変換する。
指令電流算出部101は、指令トルクTrq*に基づいて、d,q軸指令電流Id*,Iq*を算出する。d,q軸指令電流Id*,Iq*は、基本波電流と、界磁巻線70を励磁する高調波電流とが反映された値になっている。詳しくは、指令電流算出部101は、指令トルクTrq*と、指令トルクTrq*及びd,q軸指令電流Id*,Iq*が関係付けられたマップ情報とに基づいて、d,q軸指令電流Id*,Iq*を算出する。ここで、指令トルクTrq*は、アクセルセンサ24により検出されたアクセル操作量が大きいほど大きく設定される。指令電流算出部101は、ロータ60の回転速度Nmが高くなって弱め界磁領域に入ると、弱め界磁制御が実行されるようにd軸指令電流Id*を設定する。電流制御部102は、弱め界磁領域においてd軸指令電流Id*を負の方向に大きくする。なお、ロータ60の回転速度Nmは、角度センサ22の検出値に基づいて算出されればよい。
電流制御部102は、d軸指令電流Id*からd軸電流Idrを減算することにより、d軸電流偏差ΔIdを算出する。電流制御部102は、q軸指令電流Iq*からq軸電流Iqrを減算することにより、q軸電流偏差ΔIqを算出する。
電流制御部102は、d軸電流偏差ΔIdに基づいて、d軸電流Idrをd軸指令電流Id*にフィードバック制御するための操作量として、d軸指令電圧Vd*を算出する。電流制御部102は、q軸電流偏差ΔIqに基づいて、q軸電流Iqrをq軸指令電流Iq*にフィードバック制御するための操作量として、q軸指令電圧Vq*を算出する。
3相変換部103は、d,q軸指令電圧Vd*,Vq*及び電気角θeに基づいて、2相回転座標系におけるd,q軸指令電圧Vd,Vqを、3相固定座標系におけるU,V,W相電圧指令値VU*,VV*,VW*に変換する。U,V,W相電圧指令値VU*,VV*,VW*は、電気角で位相が120度ずつずれた波形となる。
U,V,W相電圧指令値VU*,VV*,VW*に含まれる高調波成分の周波数は、上記第1共振周波数f1近傍の周波数、又は上記第2共振周波数f2近傍の周波数にされている。これにより、励磁性を高めて高調波電流の振幅を低減でき、回転電機40のトルクリップルを低減できる。
図6に示すように、高調波電流の包絡線は、基本波電流の1/2の周期を有している。包絡線を、図6(b)に一点鎖線にて示す。図6に示す縦軸の値は、図6(a),(b)に示す波形の大きさの相対関係を示す。包絡線がそのピーク値となるタイミングが、基本波電流がそのピーク値となるタイミングからずれている。具体的には、包絡線がそのピーク値となるタイミングが、基本波電流がその変動中心(0)となるタイミングとされている。
なお、高調波電流の包絡線がそのピーク値となるタイミングが、例えば、基本波電流がそのピーク値となるタイミングになっていてもよい。
図5の説明に戻り、信号生成部104は、U,V,W相電圧指令値VU*,VV*,VW*と、電圧センサ23により検出された直流電源10の電圧Vdcとに基づく3相変調により、U,V,W相の上,下アームスイッチの駆動信号を生成する。生成された駆動信号は、各スイッチのゲートに入力される。これにより、インバータ20のスイッチング操作が実行される。
本実施形態では、巻線界磁式の回転電機40において、ロータ回転速度が所定回転速度よりも高い高回転状態である場合に、界磁巻線70に流れる界磁電流を高回転状態でない場合に比べて高くし、かつステータ巻線52に流れるステータ電流の位相を、界磁巻線70の界磁磁束を弱める弱め界磁位相とすることとしている。ここで、回転電機40の高回転状態は、ステータ巻線52の駆動電圧が飽和領域、すなわち弱め界磁領域に到達する回転速度域での回転状態を含む状態である。高回転状態であることの判定閾値は、例えば回転電機40の最高回転速度の1/2或いは1/3の回転速度であるとしてもよい。また、弱め界磁位相は、d-q座標系において、d軸電流Id及びq軸電流Iqにより定められる電流ベクトルとq軸とのなす角度(詳しくはq軸から反時計回り方向を正とする角度)であり、例えば45°以上であるとよい。この場合、力行状態では、弱め界磁位相の範囲が45~90°である。また、回生状態では、弱め界磁位相の範囲が90~135°である。なお、弱め界磁位相の範囲がこれ以外の範囲で設定されていてもよく、例えば力行状態において弱め界磁位相の範囲の下限値が40°、上限値が85°等であってもよい。
図7は、弱め界磁の状態でステータ50とロータ60との間に生じる磁束を示す図である。図7では、例えばU相巻線(U+,U-)にU相電流が流れ、その通電に伴いステータ50とロータ60との間に互いに逆向きの磁束φ1,φ2が発生している。また、U相電流に含まれる高調波電流により界磁巻線70に界磁電流が誘起され、その界磁電流により界磁磁束が生じるものとなっている。図7では、ロータ60において一方(図の左側)の主極部62がN極、他方(図の右側)の主極部62がS極になっており、ロータ60は反時計回り方向に回転する。
図7では、ステータ電流の位相が進角側にずれていることにより弱め界磁位相となっている。この場合、ステータ巻線52に鎖交する鎖交磁束を低減させつつ、界磁電流の通電により界磁磁束が生じていることで主磁束トルクの低下が抑制されるものとなっている。回転電機40の高回転状態では、図7に示す状態での通電制御が行われるようになっている。以下には、回転電機40の高回転状態におけるステータ電流及び界磁電流の制御について詳しく説明する。
図8は、回転電機40の高回転状態において、弱め界磁を行った場合の界磁電流とステータ電流の位相との関係を出力トルクに対して表したものである。なおここでは、ステータ電流を一定としている。
図8から分かるように、界磁電流が低い場合には、トルクを確保する上でステータ電流の弱め界磁の度合は比較的小さいものとなるが、界磁電流の増加に伴い、トルクを確保する上でステータ電流の弱め界磁の度合が大きくなっている。また、界磁電流を増加させ、ステータ電流の弱め界磁の度合を大きくする(図の電流位相を大きくする)ことで、出力トルクが増加することが分かる。
次に、高回転状態での弱め界磁を行う場合の課題について説明する。
界磁巻線70の界磁電流を増加させる場合、界磁電流の増加を指令して界磁磁束増加の状態にする際には、その電流増加の指令後において界磁電流が徐々に増加する。この場合、界磁電流が十分に増加する前(すなわち界磁巻線70の励磁による界磁磁束の増加前)にステータ電流の位相を弱め界磁位相とすると、その界磁電流の増加前において、ステータ巻線52の通電に必要な駆動電圧(必要電圧)の増加が生じる。例えば、界磁電流が0の状態から界磁電流を増加させる際には、その当初において界磁電流が0のままステータ電流が弱め界磁位相で通電される。この場合、回転電機40が一時的にリラクタンスモータ状態になり、d軸でインダクタンスが高くなり磁束が流れ易くなることにより、必要電圧が高くなることが懸念される。
界磁電流と必要電圧との関係を、図9を用いて説明する。図9において、a1~a4は各々界磁電流が異なる場合の電流位相と電圧との関係を示す。界磁電流の例としてa1は0A、a2は10A、a3は20A、a4は30Aである。a1~a4はステータ電流の実効値を一定(250Arms)としている。また、a11は、界磁電流を30A、ステータ電流の実効値を150Armsとしている。
図9では、弱め界磁を行う場合(例えば電流位相45°以上の場合)において、界磁電流が低いほど、回転電機40での必要電圧が高くなり、その傾向は弱め界磁の度合が大きくなるほど顕著になることが分かる。一方、界磁電流が高い状態では、弱め界磁位相にすることで必要電圧が低くなり、その傾向は界磁電流を大きくするほど顕著となることが分かる。つまり、界磁電流が高くなると、ロータ60においてd軸インダクタンスが小さくなり、界磁極にステータ電流起因の磁束が流れにくくなる。この場合、弱め界磁位相にすることにより、必要電圧を低くすることが可能となる。また、弱め界磁状態における同一の界磁電流での比較においして、ステータ電流が高い場合には、ステータ電流が低い場合に比べて必要電圧が低いことが分かる。
また、図10には、電流位相とトルクとの関係を示す。図10において、b1~b4は各々界磁電流が異なる場合の電流位相とトルクとの関係を示す。界磁電流の例としてb1は0A、b2は10A、b3は20A、b4は30Aである。ステータ電流の実効値は一定である。図10によれば、弱め界磁の状態(例えば位相-60°)において、界磁電流が高いほど、トルクが高いことが分かる。
そこで本実施形態では、界磁電流を増加させる場合において、界磁電流の増加の指令に伴い界磁電流が増加し、界磁磁束増加の状態となるまでは、ステータ電流の位相を移行させず弱め界磁位相でないままとする。そして、界磁電流が増加し、界磁磁束増加の状態となった後に、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とするとともに、ステータ電流を増加させることとしている。例えば、界磁電流の増加の指令に伴い界磁電流が指令値(目標値)に達した状態が、界磁磁束増加の状態である。ただし、界磁電流の増加の指令後において、界磁電流が指令値未満の所定値まで上昇した状態が、界磁磁束増加の状態であってもよい。
また、本実施形態では、界磁巻線70に対して高調波電流による励磁(高調波励磁)を行う構成としており、高調波励磁の初期状態において、高調波電流による界磁電流の誘起が十分でなく、界磁磁束が所望の状態になっていないことが考えられる。この場合、界磁磁束が所望の状態になっていないと、上述したとおりステータ電流を弱め界磁位相とすることに伴い必要電圧が電源電圧を超えることが懸念される。
図11は、ステータ電流(基本波電流)の位相を弱め界磁位相とした状態において、所定の高調波電流を重畳させた状態の1相分ステータ電流(U相電流)の推移と、1相分の駆動電圧(U相電圧)の推移と、出力トルクの推移と、界磁電流の推移とを示すタイムチャートである。なお、ロータ回転速度は9000rpm、ステータ電流の実効値は260Arms、ステータ電流位相は-60°である。
図11では、高調波励磁の開始直後である初期状態からステータ電流の位相が弱め界磁位相になっている。また、高調波重畳電流であるU相電流の通電に伴い、界磁電流が徐々に増加する。この場合、高調波励磁の開始当初において駆動電圧が電源電圧を超過し、界磁電流の増加に伴い徐々に低下する。また、トルクは、界磁電流の増加に伴い徐々に増加する。ただし、高調波励磁の開始当初において、界磁電流が低い状態では出力トルクが負トルクとなっている。
これに対して、図12では、高調波励磁の開始直後である初期状態と、その後の励磁完了状態とで、ステータ電流の振幅と位相とを相違させるようにしている。なお、ロータ回転速度は9000rpm、初期状態においてステータ電流の実効値は150Arms、ステータ電流位相は-30°であり、励磁完了状態においてステータ電流の実効値は260Arms、ステータ電流位相は-60°である。
図12において、初期状態では、界磁電流が増加途中であり、十分な界磁磁束が生じていないため、ステータ電流(U相電流)の位相を弱め界磁位相にしない(図のt1~t2の期間)。そして、タイミングt2において、ステータ電流の位相が弱め界磁位相に移行され、タイミングt3において、ステータ電流の振幅が増幅される。この場合、界磁電流の増加の指令後において界磁電流の増加を待って、ステータ電流の弱め界磁位相への移行と、ステータ電流の振幅の増加とが行われる。これにより、図12において初期状態を含む全期間を通じて、U相電圧が電源電圧を超過することが抑制される。また、出力トルクは、初期状態から界磁電流の増加に伴い徐々に増加する。なお、ステータ電流の位相を弱め界磁位相に移行するタイミングと、ステータ電流の振幅を増加させるタイミングとは同じであってもよい。
初期状態と励磁完了状態とでは、ステータ電流において基本波電流の振幅が異なっている。図13(a)には、初期状態(図12のX1)において、1相分の基本波電流及び高調波電流の推移と、それら基本波電流及び高調波電流の合成電流(高調波重畳電流)の推移とを示す。また、図13(b)には、励磁完了状態(図12のX2)において、1相分の基本波電流及び高調波電流の推移と、それら基本波電流及び高調波電流の合成電流(高調波重畳電流)の推移とを示す。これら各図に示すように、初期状態では、基本波電流の振幅が低めに設定されるのに対し、励磁完了状態では、基本波電流の振幅が増幅されるようになっている。
また、本実施形態では、回転電機40の運転領域を、低回転領域と、高回転低負荷領域と高回転高負荷領域とに分け、これら各領域で、ステータ電流制御と界磁電流制御とを個別に実施することとしている。図14(a)は、低回転領域での通電制御の状態を示し、図14(b)は、高回転低負荷領域での通電制御の状態を示し、図14(c)は、高回転低高荷領域での通電制御の状態を示す。
図14(a)に示す低回転領域では、ステータ電流の位相(基本波電流位相)を弱め界磁無しの位相(電流位相0°)又はその近傍とし、低回転状態でトルク増加の要求が生じた場合には、ステータ電流及び界磁電流の増加によるトルク増加を行うようにしている。低回転領域では逆起電圧やインダクタンスによる電圧降下が小さいため、弱め界磁無しの状態で界磁磁束を大きくしても電源電圧内での対応が可能となっている。この場合、界磁電流とステータ電流の設定は効率によって決定されるとよい。
図14(b)に示す高回転低負荷領域では、低回転領域と同様にステータ電流の位相(基本波電流位相)を弱め界磁無しの位相(電流位相0°)又はその近傍としており、その状態で、ステータ電流及び界磁電流の増加によるトルク増加を行おうとすると、ステータ電流及び界磁電流の増加に伴い、駆動電圧が電源電圧を超えることが懸念される。そこで、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とせず、かつ高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くしない(すなわち低回転状態と同等以下にする)一方、ステータ電流の振幅を高回転状態でない場合に比べて大きくする。ステータ電流の振幅の設定に関して、例えば、指令トルクに対するステータ電流の指令値(d,q軸指令電流Id*,Iq*)の関係として、同一の指令トルクで対比して、高回転状態では低回転状態である場合よりもステータ電流の指令値が大きくなる関係が定められているとよい。この場合、界磁電流を低くし鎖交磁束を小さくすることで逆起電圧が抑えられ、駆動電圧が低減される。鎖交磁束が小さいとトルクの制限が生じるが、低負荷領域では有効な手段となる。
図14(c)に示す高回転高負荷領域では、ステータ電流の位相(基本波電流位相)を弱め界磁位相とし、その状態下で界磁電流を増加させる。つまり、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くし、かつステータ電流の位相を弱め界磁位相とする。界磁電流の設定に関して、例えば、指令トルクに対する界磁電流の指令値の関係として、同一の指令トルクで対比して、高回転状態では低回転状態である場合よりも界磁電流の指令値が大きくなる関係が定められているとよい。この場合、界磁磁束を増強することでd軸インダクタンスが低減され、出力向上が可能となるため、高負荷領域において有効な手段となる。また、ステータ電流の振幅を高回転状態でない場合に比べて大きくするとよい。なお、弱め界磁を行う場合において電流位相とトルクとの関係が図8のようになることを考慮しつつ、主磁束トルクを余り低下させないように調整が行われるとよい。
図15は、本実施形態における通電制御処理を示すフローチャートであり、本処理は、制御装置30により所定周期で実行される。
図15において、ステップS11では、ロータ60が所定の高回転状態であるか否かを判定する。具体的には、ロータ回転速度が所定回転速度(例えば6000rpm)よりも高いか否かを判定する。このとき、ロータ60の回転状態を示す回転パラメータとして、角度センサ22の検出値に基づいて算出されたロータ回転速度を取得し(取得部)、そのロータ回転速度に基づいて、ロータ60が高回転状態であるか否かを判定するとよい。ロータ60が高回転状態でない場合、ステップS12に進み、ロータ60が高回転状態である場合、ステップS13に進む。ステップS12では、低回転モードで回転電機40を制御する。すなわち、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とせず、指令トルクに基づいてステータ電流及び界磁電流を制御する。
また、ステップS13では、回転電機40の指令トルクが所定値よりも大きい高負荷状態であるか否かを判定する(トルク判定部)。ステップS13で高負荷状態でないと判定される場合(すなわち、高回転低負荷状態である場合)、ステップS14に進み、ステップS13で高負荷状態であると判定される場合(すなわち、高回転高負荷状態である場合)、ステップS15に進む。
ステップS14では、高回転低負荷モードで回転電機40を制御する。すなわち、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とせず、かつ高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くしない(すなわち界磁電流を低回転状態と同等以下にする)一方、高回転状態でない場合に比べてステータ電流の振幅を大きくする。ステップS15では、高回転高負荷モードで回転電機40を制御する。すなわち、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くし、かつステータ電流の位相を弱め界磁位相とする。また、高回転状態でない場合に比べてステータ電流の振幅を大きくする。
図16は、高回転高負荷状態である場合に界磁磁束を増加させる処理手順を示すフローチャートである。本処理は、例えば図15のステップS15にて実行される。
図16において、ステップS21では、界磁磁束を増加させる状況下であるか否かを判定する。車両走行状態下では、例えば回転電機40の高回転状態から加速操作が行われ、指令トルクが増加される状況下においてステップS21が肯定される。換言すれば、回転電機40が高回転低負荷状態から高回転高負荷状態に移行する際に、ステップS21が肯定される。ステップS21が肯定されると、ステップS22に進む。
ステップS22では、界磁電流を増加させるべく高調波励磁の開始を指令する。具体的には、ステータ電流に含まれる高調波電流の振幅を増加させる。このとき、ステータ電流の位相が弱め界磁位相になっていない状態で高調波励磁の開始が指令される。続くステップS23では、界磁電流増加の指令開始から所定時間Taが経過したか否かを判定し、ステップS23が肯定されることを条件に後続のステップS24に進む。
ステップS24では、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とする。続くステップS25では、界磁電流増加の指令開始から所定時間Tb(>Ta)が経過したか否かを判定し、ステップS25が肯定されることを条件に後続のステップS26に進む。ステップS26では、基本波電流の振幅を増幅させる。なお、図16の処理において、ステップS25の処理を省略し、界磁電流増加の指令開始から所定時間Taが経過した時点で、ステータ電流の弱め界磁(ステップS24)と、基本波電流の振幅増加(ステップS26)とを実施する構成であってもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
ロータ60が所定の高回転状態である場合に、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くする制御と、ステータ電流の位相を、界磁巻線70の界磁磁束を弱める弱め界磁位相とする制御とを行う構成とした。この場合、界磁電流を高くすることによりロータ60のd軸インダクタンスを低減しつつ、界磁磁束を大きくすることができる。また、ステータ電流が弱め界磁位相で制御されることで、ステータ巻線52に鎖交する鎖交磁束が低減される。これにより、ステータ巻線52に印加される駆動電圧の低減を図りつつ、回転電機40の出力トルクの増加が可能となる。その結果、回転電機40の必要電圧の低下と出力向上とを実現することができる。
ロータ60が所定の高回転状態である場合において、界磁電流を高くする制御と、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とする制御とに加えて、ステータ電流の振幅を高回転状態でない場合に比べて大きくする制御を行う構成とした。これにより、ステータ巻線52に印加される駆動電圧の低減と、回転電機40のトルク増加の効果を一層高めることができる。
界磁電流の増加を指令して界磁磁束増加の状態にする際には、その電流増加の指令後に界磁電流が徐々に増加する。この場合、界磁電流が十分に増加する前(すなわち界磁巻線70の励磁による界磁磁束の増加前)にステータ電流の位相を弱め界磁位相とすると、その界磁電流の増加前において、ステータ巻線52の駆動電圧の増加が生じる。この点、界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とするようにしたため、界磁電流の増加に際しその増加指令直後を含む期間において、ステータ巻線52に印加される駆動電圧の低減と、回転電機40のトルク増加の効果を好適に実現できる。
界磁電流の増加を指令した後、界磁電流が十分に増加する前(すなわち界磁巻線70の励磁による界磁磁束の増加前)にステータ電流の位相を弱め界磁位相したり、ステータ電流を増加したりすると、その界磁電流の増加前において、ステータ巻線52の駆動電圧の増加が生じる。この点、界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とし、かつステータ電流を増加させることにより、界磁電流の増加指令直後を含む期間において、ステータ巻線52に印加される駆動電圧の低減と、回転電機40のトルク増加の効果を好適に実現できる。
ステータ電流に含まれる高調波電流により界磁巻線70に界磁電流を誘起させる構成では、界磁電流とステータ電流の弱め界磁との組み合わせによって回転電機40の出力向上を実現することができる。この場合特に、高調波電流を、界磁磁束の増加分に相当する指令値に切り替え、その切り替えに伴う界磁電流の誘起により界磁磁束増加の状態となった後に、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とするようにしたため、界磁電流の増加に際し高調波電流の指令直後を含む期間において、ステータ巻線52に印加される駆動電圧の低減と、回転電機40のトルク増加の効果を好適に実現できる。
高回転状態下において高負荷状態と低負荷状態とでは、出力トルクの要求レベルが異なる。この点を考慮しつつステータ電流及び界磁電流を制御することにより、回転電機40の運転状態に応じて、適正な通電制御を実現することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・制御装置30は、ロータ60が高回転状態である場合において、ロータ回転速度が相対的に高い場合に、ロータ回転速度が相対的に低い場合に比べて界磁電流を高くしかつステータ電流の位相を進角させるとよい。具体的には、制御装置30は、ロータ60が高回転状態である場合において、各相の相電流に含まれる高調波電流により界磁電流を増加させる際(例えば図16のステップS22)に、図17(a)の関係に基づいて、界磁電流を増加させるとよい。図17(a)では、ロータ回転速度が所定値Nx未満となる回転状態において、ロータ回転速度に関係なく界磁電流が所定値(下限値)に定められる一方、ロータ回転速度が所定値Nx以上となる高回転状態において、ロータ回転速度が高いほど、界磁電流が高くなる関係が定められている。
また、制御装置30は、ロータ60が高回転状態である場合において、ステータ電流の位相を弱め界磁位相とする際(例えば図16のステップS24)に、図17(b)の関係に基づいて、ステータ電流の位相を進角させるとよい。図17(b)では、ロータ回転速度が所定値Nx未満となる回転状態において、ロータ回転速度に関係なくステータ電流の位相が所定値(最遅角値)に定められる一方、ロータ回転速度が所定値Nx以上となる高回転状態において、ロータ回転速度が高いほど、ステータ電流の位相を進角させる関係が定められている。
なお、図17(a),(b)では、ロータ60の高回転状態下において、ロータ回転速度に応じて多段階で界磁電流やステータ電流位相が定められていてもよい。
・制御装置30は、ステータ巻線52に印加される駆動電圧とロータ回転速度との相関を用い、ステータ巻線52の駆動電圧に基づいて、ロータ60の回転状態を判定してもよい。回転電機では、ロータ回転速度が高いほどステータ巻線52の駆動電圧が大きくなる。この場合、ステータ巻線52の駆動電圧が「回転パラメータ」に相当する。
また、制御装置30は、ステータ巻線52の電圧指令値に基づいてロータ回転速度を算出し、そのロータ回転速度に基づいて、ロータ60の回転状態を判定してもよい。この場合、ステータ巻線52の電圧指令値により算出されたロータ回転速度が「回転パラメータ」に相当する。
・上記実施形態では、図15において、ロータ回転速度と所定回転速度(例えば6000rpm)との比較によりロータ60が高回転状態であるか否かを判定し(ステップS11)、ロータ60が高回転状態である場合に、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くし、かつステータ電流の位相を弱め界磁位相に制御する構成としたが、これを変更してもよい。具体的には、ロータ回転速度と所定回転速度との比較によるロータ回転状態の判定を行わず、図17(a),(b)の関係を用いて、ロータ60が高回転状態である場合に、高回転状態でない場合に比べて界磁電流を高くし、かつステータ電流の位相を弱め界磁位相に制御するようにしてもよい。
・上記実施形態では、図5の指令電流算出部101において、d,q軸指令電流を、基本波電流と高調波電流とが反映された値になるように算出する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、指令トルクに基づいて、d,q軸指令電流を基本波電流が反映された値として算出し、そのd,q軸指令電流からU,V,W相の基本波電圧指令値を算出する一方(指令電流算出部101、電流制御部102、3相変換部103)、指令トルクに応じて設定される高調波電流について、U,V,W相の高調波電圧指令値を算出する。そして、U,V,W相の基本波電圧指令値と高調波電圧指令値とを加算してU,V,W相の電圧指令値を算出し、これら各相の電圧指令値によりインバータ20のスイッチング制御を実施する。
・共振回路を構成するコンデンサ90は、第2巻線部71bではなく第1巻線部71aに並列接続されていてもよい。また、共振回路において、第1,第2巻線部71a,71bの直列接続体のうち、第1巻線部71a側にダイオード80のアノードが接続され、第2巻線部71b側にダイオード80のカソードが接続されていてもよい。
・ロータ60において、第2巻線部71bが第1巻線部71aよりも径方向でステータ50側に配置されていてもよい。
・回転電機としては、インナロータ型の回転電機に限らず、アウタロータ型の回転電機であってもよい。この場合、主極部は、ロータコアから径方向内側に突出している。
・回転電機としては、星形結線された回転電機に限らず、Δ結線された回転電機であってもよい。
・ステータコアとしては、ティースが設けられていないステータコアであってもよい。
・界磁巻線に界磁電流を流すための構成としては、図4に示した回路に限らず、例えば、界磁巻線に電気的に接続されたブラシと、ブラシに電気的に接続された電源とを備える構成であってもよい。この場合、制御装置30は、ロータ60の高回転状態において、ブラシに電気的に接続された電源の出力電圧を増加させることにより、界磁巻線に流れる界磁電流を制御する。なお、ブラシが用いられる場合、ステータ巻線に、界磁電流を誘起させるための高調波電流を流す必要はない。
・回転電機としては、車載主機として用いられる回転電機に限らず、例えば、電動機兼発電機であるISG(Integrated Starter Generator)として用いられる回転電機であってもよい。
・制御システムが搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、制御システムは、移動体に搭載されるシステムに限らず、定置式のシステムであってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
上述の実施形態から抽出される技術思想を以下に記載する。
[構成1]
ステータ巻線(52)を含むステータ(50)と、周方向に並ぶ複数の磁極を有しその磁極ごとに設けられた界磁巻線(70)を含むロータ(60)と、を有する巻線界磁式の回転電機(40)を備えるシステムに適用され、
前記ステータ巻線に流れるステータ電流及び前記界磁巻線に流れる界磁電流を制御する制御部と、
前記ロータの回転状態を示す回転パラメータを取得する取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記回転パラメータに基づいて前記界磁電流の大きさと前記ステータ電流の位相とを制御するものであり、前記ロータの回転速度が所定回転速度よりも高い高回転状態である場合に、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を、前記界磁巻線の界磁磁束を弱める弱め界磁位相に制御する、回転電機の制御装置(30)。
[構成2]
前記制御部は、前記高回転状態である場合において、前記ロータの回転速度が相対的に高い場合に、当該回転速度が相対的に低い場合に比べて前記界磁電流を高くしかつ前記ステータ電流の位相を進角させる、構成1に記載の回転電機の制御装置。
[構成3]
前記制御部は、前記高回転状態である場合において、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相に制御することに加えて、高回転状態でない場合に比べて前記ステータ電流の振幅を大きくする、構成1又は2に記載の回転電機の制御装置。
[構成4]
前記制御部は、前記高回転状態下において前記界磁電流を増加させる場合に、前記界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とする、構成1~3のいずれかに記載の回転電機の制御装置。
[構成5]
前記制御部は、前記高回転状態下において前記界磁電流を増加させる場合に、前記界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とするとともに、前記ステータ電流の振幅を増加させる、構成1~3のいずれかに記載の回転電機の制御装置。
[構成6]
前記システムは、前記ステータ巻線に電気的に接続されたインバータ(20)を備え、
前記ロータは、ロータコア(61)と、前記磁極ごとに設けられかつ前記ロータコアから径方向に突出する主極部(62)とを有し、
前記界磁巻線は、第1巻線部(71a)及び第2巻線部(71b)の直列接続体を有し、
前記第1巻線部及び前記第2巻線部が前記各主極部に巻回されており、
前記直列接続体の両端間に整流素子(80)が接続され、前記第1巻線部又は前記第2巻線部のいずれかにコンデンサ(90)が並列接続されており、
前記制御部は、
前記回転電機の指令トルクに応じた基本波電流を前記ステータ巻線に流すとともに、前記基本波電流に比べて周期が短く前記界磁巻線に前記界磁電流を誘起させるための高調波電流を前記ステータ巻線に流すべく、前記インバータのスイッチング操作を行うものであり、
前記高回転状態である場合に、前記高調波電流を、界磁磁束の増加分に相当する指令値に切り替え、その切り替えに伴う前記界磁電流の誘起により界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とする、構成1~5のいずれかに記載の回転電機の制御装置。
[構成7]
前記回転電機の指令トルクが所定値よりも大きい状態であるか否かを判定するトルク判定部を備え、
前記制御部は、
前記高回転状態であり、かつ前記指令トルクが前記所定値よりも大きい高負荷状態であると判定された場合に、高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とし、
前記高回転状態であり、かつ前記指令トルクが前記所定値よりも小さい低負荷状態であると判定された場合に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とせず、かつ高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くしない一方、高回転状態でない場合に比べて前記ステータ電流の振幅を大きくする、構成1~6のいずれか記載の回転電機の制御装置。
30…制御装置、40…回転電機、50…ステータ、52…ステータ巻線、60…ロータ、70…界磁巻線。

Claims (8)

  1. ステータ巻線(52)を含むステータ(50)と、周方向に並ぶ複数の磁極を有しその磁極ごとに設けられた界磁巻線(70)を含むロータ(60)と、を有する巻線界磁式の回転電機(40)を備えるシステムに適用され、
    前記ステータ巻線に流れるステータ電流及び前記界磁巻線に流れる界磁電流を制御する制御部と、
    前記ロータの回転状態を示す回転パラメータを取得する取得部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記回転パラメータに基づいて前記界磁電流の大きさと前記ステータ電流の位相とを制御するものであり、前記ロータの回転速度が所定回転速度よりも高い高回転状態である場合に、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を、前記界磁巻線の界磁磁束を弱める弱め界磁位相に制御する、回転電機の制御装置(30)。
  2. 前記制御部は、前記高回転状態である場合において、前記ロータの回転速度が相対的に高い場合に、当該回転速度が相対的に低い場合に比べて前記界磁電流を高くしかつ前記ステータ電流の位相を進角させる、請求項1に記載の回転電機の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記高回転状態である場合において、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相に制御することに加えて、高回転状態でない場合に比べて前記ステータ電流の振幅を大きくする、請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記高回転状態下において前記界磁電流を増加させる場合に、前記界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とする、請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記高回転状態下において前記界磁電流を増加させる場合に、前記界磁電流の増加の指令に伴い界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とするとともに、前記ステータ電流の振幅を増加させる、請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  6. 前記システムは、前記ステータ巻線に電気的に接続されたインバータ(20)を備え、
    前記ロータは、ロータコア(61)と、前記磁極ごとに設けられかつ前記ロータコアから径方向に突出する主極部(62)とを有し、
    前記界磁巻線は、第1巻線部(71a)及び第2巻線部(71b)の直列接続体を有し、
    前記第1巻線部及び前記第2巻線部が前記各主極部に巻回されており、
    前記直列接続体の両端間に整流素子(80)が接続され、前記第1巻線部又は前記第2巻線部のいずれかにコンデンサ(90)が並列接続されており、
    前記制御部は、
    前記回転電機の指令トルクに応じた基本波電流を前記ステータ巻線に流すとともに、前記基本波電流に比べて周期が短く前記界磁巻線に前記界磁電流を誘起させるための高調波電流を前記ステータ巻線に流すべく、前記インバータのスイッチング操作を行うものであり、
    前記高回転状態である場合に、前記高調波電流を、界磁磁束の増加分に相当する指令値に切り替え、その切り替えに伴う前記界磁電流の誘起により界磁磁束増加の状態となった後に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とする、請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  7. 前記回転電機の指令トルクが所定値よりも大きい状態であるか否かを判定するトルク判定部を備え、
    前記制御部は、
    前記高回転状態であり、かつ前記指令トルクが前記所定値よりも大きい高負荷状態であると判定された場合に、高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とし、
    前記高回転状態であり、かつ前記指令トルクが前記所定値よりも小さい低負荷状態であると判定された場合に、前記ステータ電流の位相を前記弱め界磁位相とせず、かつ高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くしない一方、高回転状態でない場合に比べて前記ステータ電流の振幅を大きくする、請求項1又は2に記載の回転電機の制御装置。
  8. ステータ巻線(52)を含むステータ(50)と、周方向に並ぶ複数の磁極を有しその磁極ごとに設けられた界磁巻線(70)を含むロータ(60)と、を有する巻線界磁式の回転電機(40)を備えるシステムに適用され、コンピュータにより実行されるプログラムであって、
    前記ステータ巻線に流れるステータ電流及び前記界磁巻線に流れる界磁電流を制御する制御処理と、
    前記ロータの回転状態を示す回転パラメータを取得する取得処理と、
    を含み、
    前記制御処理は、前記回転パラメータに基づいて前記界磁電流の大きさと前記ステータ電流の位相とを制御するものであり、前記ロータの回転速度が所定回転速度よりも高い高回転状態である場合に、前記高回転状態でない場合に比べて前記界磁電流を高くし、かつ前記ステータ電流の位相を、前記界磁巻線の界磁磁束を弱める弱め界磁位相に制御する、プログラム。
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