JP2024038771A - プロテオグリカンの精製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロテオグリカンの簡易な精製法を提供する。【解決手段】以下の工程からなる精製法。1)pHが7.5になるよう、かつ終濃度が5mMより高い濃度のリン酸ナトリウム緩衝液をプロテオグリカンが溶解している溶液に加え、混合する工程。2)次に、終濃度が50mM以上になるように塩化カルシウムを上記1)の溶液に加え、混合する工程。3)上記2)で生じた不溶化した固体を集める工程。【選択図】なし

Description

本発明は、プロテオグリカンの精製法に関するものである。
プロテオグリカンは、保水性、細胞増殖因子様作用、ヒアルロン酸産生作用、抗アレルギー作用など様々な機能を有することが報告されている。近年、食品や化粧品などにプロテオグリカンが用いられてきており、需要が増加している。プロテオグリカンの製造は、一般に抽出工程、精製工程であるが、精製の効率化が求められている。また、プロテオグリカンは微量で効果を発揮することが明らかになっており、食品や化粧品などに含まれているプロテオグリカンも極微量であることから、これらに含まれるプロテオグリカンの量を分析するにあたって、前処理工程における簡易な精製方法が必要である。精製法とは具体的に、溶液にプロテオグリカンとその他の物質として各種塩、糖やタンパク質、アミノ酸、有機酸などの有機化合物が共存している中から、プロテオグリカン以外の成分をできる限り取り除き、プロテオグリカン単体、または高純度のプロテオグリカンを得ることである。精製にあたっては、プロテオグリカンの損失がないことが条件となる。
プロテオグリカンの精製法として、陰イオン交換樹脂を用いる方法が一般的であるが(特許文献1、特許文献2、特許文献3)、塩濃度が高い溶液やプロテオグリカン以外のイオン性の物質が多く混在しているときは、プロテオグリカンの精製が困難である。また、他の精製法として、限外ろ過膜を用いる方法や有機溶剤による分別沈殿法もあるが、他の高分子の化合物が混在しているときは、プロテオグリカンの精製は困難である。
特開2001-172296号 公報 特開2020-134435号 公報 特開2021-189178号 公報
上記課題に鑑み、本発明は、プロテオグリカンの簡易な精製法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、以下の方法がプロテオグリカンの精製に優れた方法であることを見出した。それは、最初にプロテオグリカンが溶解している溶液に、pHが7.5になるよう、かつ終濃度が5mMより高い濃度のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、混合し、次に、このプロテオグリカンとリン酸ナトリウム緩衝液を含む溶液に、終濃度が50mM以上の濃度になるように塩化カルシウムを加え、混合し、次に、生じた不溶化した固体を集める工程、である。
本発明により、プロテオグリカンを簡易に精製することが可能である。また、プロテオグリカンの精製にあたって、プロテオグリカンの損失を防ぐ効果がある。
以下、実施の形態をより具体的に説明する。
本発明のプロテオグリカンは糖タンパク質の一種であるが、本発明でいうプロテオグリカンは、動物や魚類に存在し、タンパク質にコンドロイチン硫酸やケラタン硫酸などのグルコサミノグルカンが共有結合したものであり、分子量数万から数百万の天然高分子化合物である。起源となる生物や抽出・製造条件により、分子量や含まれる糖(ウロン酸、アミノ糖、中性糖など)、タンパク質を構成するアミノ酸の種類や量、比率も異なっているが、本発明でいうプロテオグリカンは、起源となる生物や抽出・製造条件を問わない。本発明でいうリン酸ナトリウム緩衝液は、リン酸二水素ナトリウムもしくはリン酸二水素ナトリウム水和物と、リン酸水素二ナトリウムもしくはリン酸水素二ナトリウム水和物とで調製される緩衝液であり、塩化カルシウムは、塩化カルシウムもしくは塩化カルシウムの水和物である。
最初に、プロテオグリカンを含む水溶液を用意する。プロテオグリカンが固体状の場合は、水溶液に溶解する。プロテオグリカンの濃度は1%(w/v)以下が好ましく、0.5%(w/v)以下がさらに好ましい。水に不溶な物質がある場合は、ろ過などにより除いておく。この水溶液にpHが7.5でかつ終濃度が5mMより高い濃度のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、混合する。プロテオグリカンの濃度が高いほど、リン酸ナトリウム緩衝液の濃度を高くしたほうがよい。水溶液がpH7.5から乖離しているときはリン酸ナトリウム緩衝液を加える前に、水酸化ナトリウムやリン酸などでpHを7.5に調整することや高濃度の塩が含まれているときなどは、限外ろ過膜や透析膜、有機溶剤などで低分子物質を除去した後に、リン酸ナトリウム緩衝液を加える。
次に、上記溶液に終濃度が50mM以上になるように塩化カルシウムを加え、混合する。プロテオグリカンの濃度が高いほど、塩化カルシウムの濃度を高くしたほうがよい。最後は、塩化カルシウムを加え混合すると不溶物が発生するので、この不溶物をろ過や遠心などで回収する工程である。この不溶物はプロテオグリカンとリン酸とカルシウムを含み、プロテオグリカンの回収率はほぼ100%である。この不溶物からプロテオグリカンを抽出するには、pHが6より低い、例えば酢酸などの酸性溶液を加えて、不溶物を再溶解し、限外ろ過膜や透析膜の使用、有機溶剤などの沈殿などの常法により可能である。
本方法により、プロテオグリカンを含む混合物から容易にプロテオグリカンを精製できる。溶液中に含まれるプロテオグリカンの濃度は薄い場合が多いので、本方法は従来の精製法に比較し効果的である。特にプロテオグリカンとそれ以外の水可溶性高分子化合物が存在したときに、プロテオグリカンの粗精製に威力を発揮する。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これは単に例示の目的で述べるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
プロテオグリカンは、市販のプロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を用いた。容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブを用い、総量0.4mLで行った。最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度10mMになるようにリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。リン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムは和光純薬工業(株)を用いた。リン酸ナトリウム緩衝液のpHは、5.0、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、9.0で行った。次に終濃度100mMになるように塩化カルシウム溶液をこれらのマイクロチューブに加え、かく拌した。塩化カルシウムは塩化カルシウム二水和物(和光純薬工業(株))を用いた。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定する比色法であるカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、試料溶液0.1mLに、冷却しながら濃硫酸0.6mLを加えてかく拌し、次に0.125%カルバゾール溶液0.02mLを加えてかく拌し、15分間100℃で加熱した。本方法は極めて感度の高い測定方法であり、プロテオグリカンが存在すると反応液は赤い色を呈し、530nm付近の波長に最大吸収を有する。上清中のプロテオグリカンの有無は反応液の赤色の着色度合いで判定した。
リン酸ナトリウム緩衝液のpH7.0~9.0は下部に白色の沈殿が生じたが、pH5.0~6.5では沈殿は見られなかった。リン酸ナトリウム緩衝液のpH7.5のときだけ、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、上清にプロテオグリカンは存在せず、全て不溶化し、沈殿することが示された。pH7.5以外の7.0、8.0、9.0ではカルバゾール硫酸法反応液で薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していた。リン酸ナトリウム緩衝液のpHに対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表1に示す。
Figure 2024038771000001
(比較実験1)
最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度100mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。次に、終濃度10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化カルシウム二水和物は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は前記と同様に行った。結果、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカン溶液に加えるリン酸ナトリウム緩衝液と塩化カルシウム溶液の順序により、プロテオグリカンの沈殿の度合が異なることがわかった。
(比較実験2)
最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度20mMになるようにpH7.5のリン酸カリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度200mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は前記と同様に行った。結果、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、リン酸カリウム緩衝液では、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示され、リン酸ナトリウム緩衝液を使用したときとは異なることがわかった。
(比較実験3)
最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度pH7.5に水酸化ナトリウムで調整した終濃度20mMになるようにリン酸を加え、かく拌した。次に終濃度200mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。結果、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、リン酸溶液をpH7.5に調整したものでは、プロテオグリカンは全て沈殿せず、上清に溶解していることが示され、リン酸ナトリウム緩衝液を使用したときとは異なることがわかった。
最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、塩化カルシウムが50mM、60mM、70mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液で薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。塩化カルシウムが80mM、90mM、100mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表2に示す。
Figure 2024038771000002
最初に終濃度0.1mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度がリン酸ナトリウム緩衝液の10倍の濃度(50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM)になるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、リン酸ナトリウム緩衝液5mMで塩化カルシウムが50mM、緩衝液6mMで塩化カルシウム60mM、緩衝液7mMで塩化カルシウム70mM、緩衝液8mMで塩化カルシウム80mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液で薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。リン酸ナトリウム緩衝液9mMで塩化カルシウム90mM、緩衝液10mMで塩化カルシウム100mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。リン酸ナトリウム緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表3に示す。
Figure 2024038771000003
最初に終濃度0.05mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度5mM、10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度5mMの緩衝液には終濃度50mM塩化カルシウム溶液を、終濃度10mMの緩衝液には終濃度50mMと100mM塩化カルシウム溶液をマイクロチューブに加え、かく拌した。塩化カルシウムは塩化カルシウム二水和物を用いた。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、プロテオグリカン0.05mg/mLで、リン酸ナトリウム緩衝液5mM、塩化カルシウム50mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。プロテオグリカン0.05mg/mL、緩衝液10mMで、塩化カルシウム50mM及び100mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。プロテオグリカン0.05mg/mLのときのリン酸緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表4に示す。
Figure 2024038771000004
最初に終濃度0.2mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度10mM、20mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度10mMの緩衝液には終濃度100mM塩化カルシウム溶液を、終濃度20mMの緩衝液には終濃度50mM、100mM、200mM塩化カルシウム溶液をマイクロチューブに加え、かく拌した。塩化カルシウムは塩化カルシウム二水和物を用いた。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、プロテオグリカン0.2mg/mLで、リン酸ナトリウム緩衝液10mM、塩化カルシウム100mMのときと、緩衝液20mM、塩化カルシウム200mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。プロテオグリカン0.2mg/mL、緩衝液20mMで、塩化カルシウム50mM及び100mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。プロテオグリカン0.2mg/mLのときのリン酸緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表5に示す。
Figure 2024038771000005
最初に終濃度0.3mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度30mM、40mM、50mM、100mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度30mMの緩衝液には終濃度300mM塩化カルシウム溶液を、終濃度40mMの緩衝液には終濃度500mM塩化カルシウム溶液を、終濃度50mMの緩衝液には終濃度300mM、400mM、500mM塩化カルシウム溶液を、終濃度100mMの緩衝液には終濃度400mM塩化カルシウム溶液をマイクロチューブに加え、かく拌した。塩化カルシウムは塩化カルシウム二水和物を用いた。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、プロテオグリカン0.3mg/mLで、リン酸ナトリウム緩衝液30mM、塩化カルシウム300mMと、緩衝液40mM、塩化カルシウム500mMと、緩衝液50mM、塩化カルシウム300mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。プロテオグリカン0.3mg/mL、緩衝液50mMで、塩化カルシウム400mM及び500mMのときと、プロテオグリカン0.3mg/mL、緩衝液100mM、塩化カルシウム400mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。プロテオグリカン0.3mg/mLのときのリン酸緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表6に示す。
Figure 2024038771000006
最初に終濃度0.4mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度60mM、70mM、80mM、90mM、100mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度60mMの緩衝液には終濃度500mM塩化カルシウム溶液を、終濃度70mM、80mM、90mM、100mMの緩衝液には終濃度400mM塩化カルシウム溶液をマイクロチューブに加え、かく拌した。塩化カルシウムは塩化カルシウム二水和物を用いた。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、プロテオグリカン0.4mg/mL、リン酸ナトリウム緩衝液60mM、塩化カルシウム500mMのときと、プロテオグリカン0.4mg/mL、緩衝液70mM及び80mM、塩化カルシウム400mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液で薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。プロテオグリカン0.4mg/mL、緩衝液90mM及び100mM、塩化カルシウム400mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。プロテオグリカン0.4mg/mLのときのリン酸緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表7に示す。
Figure 2024038771000007
最初に終濃度0.5mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液を容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度90mM、100mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度400mMになるようにそれぞれ塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、プロテオグリカン0.5mg/mL、リン酸ナトリウム緩衝液90mM、塩化カルシウム400mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は薄く赤い着色が見られ、プロテオグリカンの大部分は沈殿したが、一部上清に溶解していることが示された。プロテオグリカン0.5mg/mL、緩衝液100mM、塩化カルシウム400mMのときは、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。プロテオグリカン0.5mg/mLのときのリン酸緩衝液濃度と塩化カルシウム濃度に対する上清中のプロテオグリカンの有無についての結果を表8に示す。
Figure 2024038771000008
プロテオグリカンは、特開2002-69097号に記載の方法により調製した。鮭1匹の頭の皮を剥ぎ、鼻軟骨を取り出し、4.5%酢酸溶液1Lに3日間浸漬した。酢酸溶液を珪藻土ろ過し、このろ液を分子量10万の限外ろ過膜を装着したかく拌式セル(アミコン社)に入れ、10mLまで濃縮した。次に水を40mL加え、約10mLまで濃縮した。この操作を2回繰り返した。溶液量の5倍量の含塩化ナトリウムエタノールを加え、遠心し、プロテオグリカンを含む沈殿を得た。この沈殿をアセトンとエタノールで洗浄し、プロテオグリカンを調製した。このプロテオグリカンをガラス製デシケータに入れ、真空ポンプを用いて減圧乾燥した。
上記で得られた粉末状のプロテオグリカンを終濃度0.5mg/mLになるように水に溶解し、容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに入れた。次に、このマイクロチューブに終濃度10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度100mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは(株)角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。異なるプロテオグリカンを用いても、本発明の方法は有効であることが示された。
容量15mLのポリプロピレン製遠沈管に、終濃度0.2mg/mLになるようにプロテオグリカンと、終濃度0.2mg/mLになるようにデキストラン(MW100,000~200,000)を入れた。次にこの遠沈管に終濃度20mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度200mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)を遠沈管に加え、かく拌した。遠沈管に加えた溶液の総量は3mLで行った。遠沈管を高速冷却遠心機(商品名:himac CR20F、日立工機(株))にて5,000rpm、20分間遠心した。プロテオグリカンは株式会社角弘プロテオグリカン研究所製、その他の試薬は全て和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。
沈殿に2%酢酸を1mL加え、溶解した。前記の上清とこの溶解した沈殿に含まれているデキストランの量を測定した。デキストランの濃度は中性糖量を測定するフェノール硫酸法により、別にデキストランの検量線を作成して求めた、フェノール硫酸法は、試料溶液0.1mLに、5%フェノール溶液0.1mLを加え、次に濃硫酸0.5mLを加えてかく拌し、室温に放置後、96穴のガラス製のマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダー(Labsystems社、iEMS)で492nmの吸光度を測定した。
結果、デキストランは上清に97.6%、沈殿に2.4%存在していた。本発明の方法により、プロテオグリカンを失うことなく、デキストランが大幅に減少し、プロテオグリカンの純度が高くなることが示された。
容量1.5mLのポリプロピレン製マイクロチューブに、終濃度0.05mg/mLになるようにプロテオグリカンの水溶液と終濃度0.5mg/mLになるようにタンパク質であるアルブミンを入れた。次にこのマイクロチューブに終濃度10mMになるようにpH7.5のリン酸ナトリウム緩衝液を加え、かく拌した。次に終濃度100mMになるように塩化カルシウム溶液(塩化カルシウム二水和物を使用)をマイクロチューブに加え、かく拌した。マイクロチューブに加えた溶液の総量は0.4mLで行った。マイクロチューブを卓上遠心機(商品名:himac CT13、日立工機(株))にて10,000rpm、10分間遠心した。プロテオグリカンは株式会社角弘プロテオグリカン研究所製、アルブミンはPIERCE社製、その他の試薬は全て和光純薬工業(株)製を用いた。
これらの上清のプロテオグリカンの有無について、プロテオグリカン中のウロン酸量を測定するカルバゾール硫酸法により測定した。カルバゾール硫酸法は、実施例1に記載の方法と同様に行った。結果、カルバゾール硫酸法反応液は無色透明であり、プロテオグリカンは上清に存在することなく、すべて不溶化し、沈殿することが示された。
上清のアルブミン量を比色法であるローリー法により測定した。96穴マイクロプレートに上清0.04mLを入れ、アルカリ性銅溶液(2%炭酸ナトリウム(0.1M水酸化ナトリウム水溶液):0.5%硫酸銅(1%酒石酸ナトリウム水溶液)=50:1(v:v))0.2mLを添加して10分間静置し、2倍希釈のフォーリン&チオカルト-フェノール試薬(関東化学(株))0.02mLを添加して30分静置し、マイクロプレートリーダー(Labsystems社、iEMS)で690nmの吸光度を測定した。あらかじめアルブミン(PIERCE社)を標準物質として作成した検量線により、上清中のアルブミン量を求めた。
その結果、アルブミンは上清に90.1%、沈殿に9.9%存在していた。本発明の方法により、プロテオグリカンを失うことなく、アルブミンが大幅に減少し、プロテオグリカンの純度が高くなることが示された。
本発明によりプロテオグリカンを簡易に精製する方法が提供されることにより、食品産業、化粧料産業に広く利用されることが可能となる。

Claims (1)

  1. 下記工程による水溶液に溶解しているプロテオグリカンの精製方法。
    1)pHが7.5になるよう、かつ終濃度が5mMより高い濃度のリン酸ナトリウム緩衝液をプロテオグリカンが溶解している溶液に加え、混合する工程、
    2)次に、終濃度が50mM以上になるように塩化カルシウムを上記1)の溶液に加え、混合する工程、
    3)上記2)で生じた不溶化した固体を集める工程。
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