JP2024037393A - フォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した水性インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れと共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した筆記具用、インクジェット用に好適な水性インク組成物を提供する。【解決手段】本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、少なくとも、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、フォトクロミック材料とで構成されるフォトクロミック粒子が水に分散されていることを特徴とする。【化1】TIFF2024037393000007.tif20131〔上記式(I)中、Aは、水素原子(H)又はメチル基(CH3)であり、Rは、水素原子(H)、炭素数1~22のアルキル基などである。〕このフォトクロミック粒子水分散体を含有した筆記具用、インクジェット用の水性インク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した筆記具用、インクジェット用に好適な水性インク組成物に関する。
従来のフォトクロミック材料、これらを利用した技術等としては、例えば、
1)ジアリールエテン系フォトクロミック化合物と、融点或いは軟化点が40°以下であり、且つ、200℃以上の芳香族化合物及び/又はエステル化合物とをカプセルに内包してなるフォトクロミック材料(例えば、特許文献1参照)、
2) スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーと、フェノール性水酸基を有する化合物とをカプセル壁膜に内包したフォトクロミックマイクロカプセル(例えば、特許文献2参照)、
3) フォトクロミック化合物と、重量平均分子量が5000以下のスチレン系オリゴマー又は重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマーと、重量平均分子量が10000~100000のポリマーとからなるフォトクロミック材料(例えば、特許文献3参照)、
4) スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物と、重量平均分子量が12000以下のアクリル系オリゴマーとからなるフォトクロミック材料、これをマイクロカプセルに内包してなるフォトクロミック材料(例えば、特許文献4参照)、
5)フォトクロミックマイコロカプセルを含有するインクジェット用水性インク(例えば、特許文献5参照)、
などが知られている。
しかしながら、上記特許文献1~5に記載のフォトクロミック材料などは、従来よりも良好な色調を呈すると共に、発色時の色濃度もあり、変色感度も良好のものであるが、未だ水に不溶なものが多く、用途が多用となる水分散体への技術は少ないのが現状であり、また、耐光性も未だ不十分な点があり、更に、上記各特許文献に記載されるように、マイクロカプセルへの内包を狙った技術も知られているが、分散安定性が不十分なことや、粒子径が大きい故に、インクジェット用、筆記具用では目詰まりを起こすなどの課題が未だあり、十分ではなかった。
特開2007-112922号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2008-120862号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2014-132061号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2014-231573号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2021-80315号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れと共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した筆記具用、インクジェット用に好適な水性インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、少なくとも、特定式で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、特定のフォトクロミック材料とで構成されるフォトクロミック粒子水分散体とすることなどにより、上記目的のフォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した筆記具用、インクジェット用に好適な水性インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、少なくとも、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、フォトクロミック材料とで構成されるフォトクロミック粒子が水に分散されていることを特徴とする。
Figure 2024037393000001
〔上記式(I)中、Aは、水素原子(H)又はメチル基(CH)であり、Rは、水素原子(H)、炭素数1~22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2~18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のパーフルオロアルキル基、又はトリアルコキシシリル基を有していてもよい。〕
前記フォトクロミック粒子には、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。
前記フォトクロミック材料が、希土類錯体、フルギド化合物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、ジアリールエテン化合物、ベンズアルドキシム化合物、アゾメチン化合物、ケイ皮酸化合物、レチナール化合物、ヘミチオインジコ化合物およびナフトピラン、クロメン、スピロピラン、スピロオキサジンおよびチオスピロピラン、ベンゾピラン、スチルベン、アゾベンゼン、チオインジゴ、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニリン、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、スピロペリミジン、トリアリールメタン、並びに、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記フォトクロミック粒子には、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。
前記フォトクロミック粒子の平均粒子径は、10~800nmであることが好ましい。
本発明の水性インク組成物は、前記フォトクロミック粒子水分散体を含むことを特徴とする。
本発明によれば、良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れると共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック粒子水分散体及びこれを含有した筆記具用、インクジェット用に好適な水性インク組成物が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
以下に、本発明の実施形態について詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、少なくとも、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、フォトクロミック材料とで構成されるフォトクロミック粒子が水に分散されていることを特徴とするものである。
Figure 2024037393000002
〔上記式(I)中、Aは、水素原子(H)又はメチル基(CH)であり、Rは、水素原子(H)、炭素数1~22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2~18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のパーフルオロアルキル基、又はトリアルコキシシリル基を有していてもよい。〕
本発明に用いる上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、内包可能なフォトクロミック材料の強さと持続的で安定な粒子を作製できる点、他の配合成分等に悪影響を及ぼすことがない、効果の持続性が高いなどの点などから用いるものである。
上記一般式(I)中のRは、水素原子(H)、炭素数1~22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2~18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のパーフルオロアルキル基、又はトリアルコキシシリル基を有していてもよいものであり、例えば、炭素数1~20の直鎖又は分岐を有するアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数1~18の、置換基としてエポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1~4のアルコキシ基を有していてもよいアルキル基が挙げられ、とりわけ炭素数1~6の、置換基としてエポキシ基、水酸基、炭素数1~2のアルコキシ基を有していてもよいアルキル基、炭素数1~6の、置換基としてエポキシ基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。
好ましくは、上記一般式(I)中のRは、炭素数1~20の直鎖又は分岐を有するアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、ヒドロキシル基、トリフルオロエチル基、ジメチルアミノエチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アリル基、テトラヒドロフルフリル基、フェニル基、ベンジル基、ブトキシジエチレングリコール基、メトキシポリエチレングリコール基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、グリシジル基、リン酸エチル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオールなどが望ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」の表記は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を表す。
用いる上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、フタル酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシテトラエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、2-(ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)ブチル、(メタ)アクリル酸2-イソシアノエチル、(メタ)アクリル酸2-(アセトアセトキシ)エチル、炭素数1~18のパーフルオロアルキルを有するパーフルオロエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸2-(リン酸)エチル〔2-(Methacryloyloxy)ethyl phosphate〕、(メタ)アクリル酸トリアルコキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジアルコキシメチルシリルプロピル等の少なくとも1種(各単独又は2種以上、以下同様)が挙げられる。
これらのうち、工業的に入手が容易であり、製造時に取り扱いが容易で安全である点、本発明の効果を更に向上させる点などから、好ましくは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが望ましい。
本発明においては、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの他に、更に、持続的な
色調、発色時の色濃度、優れた変色感度と、分散安定性と、耐光性とを兼ね備える効果を得る点等から、好ましくは、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー以外の疎水性ビニルモノマー、水性モノマーを用いることができる。
疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー以外の、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン類などの少なくとも1種のモノマーを用いることができる。
用いることができる疎水性ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、炭素数1~12までのアルキル基を有するアルキルスチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、フェニルスチレン、ビニルナフタレン等の少なくとも1種が挙げられる。
用いることができる水性モノマーとしては、例えば、グリセリンモノメタクリレート、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-プロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール-テトラメチレングリコール-モノメタクリレート、プロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノメタクリレート等の少なくとも1種が挙げられる。
本発明に用いるフォトクロミック材料としては、色変換の過程が光によっておきる材料、色変換の過程が光以外の熱によっても起きる、従来より用いられている材料、例えば、無機系材料、希土類錯体や有機系材料(色素)及びそれらの複合物の何れであっても良く、また、市販品が存在するものであればそれらを用いることができる。
無機系材料では、例えば、ハロゲン化銀や酸化タングステン、モリブデンを含有する酸化チタンフォトクロミック材料(例えば、チタンとモリブデンの総物質量に対するモリブデンの物質量の割合が0.1~3.0%、紫外線の照射により黒色に発色するもの)、Y22S:ユウロピウム(Eu),Mg,Ti,Tb(テルビウム)、Er3+イオンを含有した酸化フッ化物系結晶化ガラス、酸化ストロンチウムと酸化アルミニウムからなる化合物に希土類元素のEuとジスプロシウム(Dy)を添加したSrAl24:Eu,Dyや、Sr4Al1425:Eu,Dyや、CaAl24:Eu,Dyや、ZnS:Cu等を挙げることができる。
希土類錯体としては、例えば、1)希土類イオン(例えば、Er3+などのランタノイド系イオン)と、ジホスフィンジオキシド配位子と、β-ジケトン配位子とを含む希土類錯体であって、前記ジホスフィンジオキシド配位子に含まれる2つのリン原子のそれぞれに結合する置換基(例えば、脂肪族炭化水素基と、芳香族炭化水素基が結合している)の組み合わせが相互に異なっている希土類錯体、2)三価の希土類イオンと、β-ジケトン配位子、カルボン酸配位子、ホスフィンオキシド配位子、及び含窒素芳香族複素環配位子から選ばれる少なくとも1種の有機配位子とを含む、1種又は2種以上の希土類錯体を含有し、前記1種又は2種以上の希土類錯体に含まれる前記三価の希土類イオンとして、下記グループAから選ばれる少なくとも1種と、下記グループBから選ばれる少なくとも1種とを含む、インキ組成物。グループA:Eu3+、Sm3+、Pr3+、及びHo3+;グループB:Tb3+、Er3+、Tm3+、Dy3+、Yb3+、Nd3+、Ce3+、及びGd3+などが挙げられる。
また、有機系材料では、例えば、Tタイプ型色素(色変換の過程が光以外の熱によっても起きる色素)や、Pタイプ型色素(色変換の過程が光によってのみ起きる色素)等が挙げられる。Pタイプ型色素としては、例えば、フルギド化合物、ジアリールエテン化合物、フェノキシナフタセンキノン化合物等が挙げられる。また、Tタイプ型色素としては、アゾベンゼン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、スピロピラン・スピロオキサジン化合物、ナフトピラン化合物、アントラセンダイマー、サリチリデンアニリン化合物等が挙げられる。
また、具体的なフォトクロミック材料としては、例えば、消色状態で400nm以下の領域に光吸収ピークを有し、有色状態で400nm以上の領域に光吸収ピークを有するものや、フォトクロミック材料が有色状態(例えば、黄色、赤色)から消色状態へ変化する場合、光吸収ピークの吸収端は1000nm以下であるもの、ブラックライト(365nm)の照射により強い赤色蛍光(612nm)を発光する材料などが挙げられる。
更に、上記複数のフォトクロミック材料を組み合わせたり、例えば、第1種のフォトクロミック材料に波長変換機能を担わせて、第2種のフォトクロミック材料に与える励起光を得るようにしてもよい。
用いることができる市販品のフォトクロミック材料としては、例えば、1’,3’-ジヒドロ-8-メトキシ-1’,3’,3’-トリメチル-6-ニトロスピロ[2H-1-ベンゾピラン-2,2’-[2H]インドール]6-ニトロ-8-メトキシBIPS8-メトキシ-1’,3’,3’-トリメチル-6-ニトロスピロ[クロメン-2,2’-インドール];スピロピラン化合物(東京化成工業社製)、;2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物;ジアリールエテン化合物(東京化成工業社製)、4,4’-ビス(ヘキシルオキシ)-3-メチルアゾベンゼン;アゾベンゼン化合物(東京化成工業社製)などが挙げられる。
本発明に用いる好ましいフォトクロミック材料としては、発色濃度、初期着色、耐久性、退色速度の点から、希土類錯体、フルギド化合物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、ジアリールエテン化合物、ベンズアルドキシム化合物、アゾメチン化合物、ケイ皮酸化合物、レチナール化合物、ヘミチオインジコ化合物およびナフトピラン、クロメン、スピロピラン、スピロオキサジンおよびチオスピロピラン、ベンゾピラン、スチルベン、アゾベンゼン、チオインジゴ、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニリン、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、スピロペリミジン、トリアリールメタン、並びに、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、少なくとも、上記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、上述のフォトクロミック材料とで構成されるものであり、その製造法としては、例えば、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー(各単独又は2種以上、以下同様)に、または、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとこれ以外の疎水性ビニルモノマー及び/又は水性モノマーを含む混合モノマーに、上記フォトクロミック材料を溶解し、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などを重合開始剤として、また還元剤を更に併用した重合開始剤とし、更にトリアリルイソシアヌレート、イソシアヌル酸トリアリル、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、ジトリメチロールプロパンアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、メトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、ペンタエリスリトールメタクリレート、ジトリメチロールプロパンメタクリレート、ジペンタエリスリトールメタクリレート、エトキシ化ポリグリセリンメタクリレート、シクロヘキシル-メタクリラートなどの架橋剤や、必要に応じて、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)-アルキルエーテル硫酸アンモニウム、エーテルサルフェート、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、ポリアクリル酸アンモニウム、スチレン-マレイン酸コポリマーアンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート20)、パルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80)などの重合性界面活性剤(乳化剤)を用いて乳化重合することなどにより製造することができ、フォトクロミック粒子の水分散体の分散液として製造された後、乾燥などにより、フォトクロミック粒子などとすることができる。
上記の架橋剤を用いると、フォトクロミック粒子水分散体の耐熱性、機械的特性、耐加水分解性、耐候性が向上できるので好ましい。
本発明において、上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーなどに、更に、ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーなどを適宜量混合して乳化重合を行ってもよい。このジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーを更に、混合して乳化重合したものでは、分散液中の水分が揮発したとしても安定性が損なわれにくく、更に安定性に優れたフォトクロミック粒子水分散体の分散液、フォトクロミック粒子が得られるものとなる。
用いることができるジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーには、ジシクロペンタニルアクリレートモノマー、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレートモノマー、ジシクロペンテニルメタクリレートを含むものである。
また、本発明において、上記乳化重合の際には、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー、これ以外の上記疎水性ビニルモノマーなど、上記ジシクロペンタ(テ)ニル(メタ)アクリレートモノマーの他に、エポキシ基、ヒドロキシメチルアミド基、イソシアネート基などの反応性架橋基を有するモノマーや2つ以上のビニル基を有する多官能性モノマーを適宜量配合して架橋してもよい。
本発明において、前記フォトクロミック粒子水分散体を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸エステルルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子水分散体を構成する全ポリマー成分に対して、30質量%以上であることが必要であり、好ましくは、30~95質量%、更に好ましくは、30~70質量%であることが望ましい。
なお、本発明において、「全ポリマー成分」とは、フォトクロミック粒子水分散体を構成する重合性成分をいい、具体的には、用いる(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、用いる他のモノマー成分と、後述する架橋剤の合計量をいう。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量を全ポリマー成分に対して、30質量%以上とすることにより、本発明の効果を発揮せしめることができ、一方、この含有量が30質量%未満であると、経時安定性が劣ることとなり、好ましくない。
また、前記フォトクロミック粒子水分散体を構成するポリマー成分のうち、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー以外の他のモノマー成分の含有量は、用いる(メタ)アクリル酸エステルモノマーと後述する架橋剤との合計量の残部となるものである。
好ましくは、他のモノマー成分の含有量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点、分散性の点、反応性の点から、全ポリマー成分に対して、0.5~70質量%とすることが望ましい。
本発明において、上記フォトクロミック材料の含有量は、発色性の点、安定性などの点から、全ポリマー成分に対して、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上とすることが望ましく、更に好ましくは、3~30質量%、特に好ましくは、4~20質量%とすることが望ましい。
このフォトクロミック材料の含有量を0.1質量%以上とすることにより、発色性を発揮せしめることができ、一方、フォトクロミック材料の含有量が0.1質量%未満であると、発色性が不十分で、本発明の効果を発揮できないものとなる。
上記必要に応じて用いることができる重合性界面活性剤としては、上記乳化重合に通常用いられる重合性界面活性剤であれば特に制限はなく、例えば、アニオン系またはノニオン系などの重合性界面活性剤が挙げられる。
アニオン系重合性界面活性剤の一例として、以下にその具体例を例示するが、本発明において使用可能とするアニオン系重合界面活性剤は、以下に記載するもののみを限定するものではない。
アルキルエーテル系(市販品としては、例えば第一工業製薬社製アクアロンKH-05,KH-10,KH-20,ADEKA社製アデカリアソープSR-10,SR-20,花王社製ラテムルPD-104等)、スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば花王製ラテムルS-120,S-120A,S-180P,S-180A,三洋化成社製エレミノールJS-2等)、アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば第一工業製薬社製アクアロンH-2855A,H-3855B,H-3855C,H-3856,HS-05,HS-10,HS-20,HS-30,旭電化工業社製アデカリアソープSDX-222,SDX-223,SDX-232,SDX-233,SDX-259,SE-10N,SE-20N,SE-1025A等)が挙げられる。
(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば日本乳化剤社製アントックスMS-60,MS-2N,三洋化成工業社製エレミノールRS-30等)やリン酸エステル系(市販品としては、例えば第一工業製薬社製H-3330PL,ADEKA社製アデカリアソープPP-70等)が挙げられる。
本発明においては、必要に応じて前記したアニオン系重合性界面活性剤と共に、若しくは単独でノニオン系重合性活性剤を使用することができる。
本発明において使用可能とするノニオン系重合性活性剤は、以下に記載するもののみに限定するものではない。
ノニオン系重合活性剤のアルキルエーテル系の市販品としては、例えば、ADEKA社製アデカリアソープER-10,ER-20,ER-30,ER-40,花王社製ラテムルPD-420,PD-430,PD-450が挙げられる。
アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系の市販品としては、例えば第一工業製薬社製アクアロンRN-10,RN-20,RN-30,RN-50,ADEKA社製アデカリアソープNE-10,NE-20,NE-30,NE-40が挙げられる。
(メタ)アクリレート硫酸エステル系の市販品としては、例えば、日本乳化剤社製RMA-564,RMA-568,RMA-1114が挙げられる。
これらの重合性界面活性剤の使用量は、上記モノマー全量に対して、0~50質量%、好ましくは、0.1~50質量%が望ましい。
また、上記の架橋剤の含有量は、上記モノマー全量に対して、0~50質量%、好ましくは、0.1~25質量%が望ましい。
本発明において、上記好ましい態様、具体的には、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーに、上述のフォトクロミック材料を溶解し、乳化重合することにより、または、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマー成分を含む混合モノマーの重合後にフォトクロミック材料を溶解して乳化重合することにより、フォトクロミック粒子が水に分散されているフォトクロミック粒子水分散体(分散液)が得られる。これらの製造条件で得られるフォトクロミック粒子水分散体中のフォトクロミック材料は、用いる上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー、フォトクロミック材料などの配合量、重合条件などにより、その製造量は変動するものであり、製造性、作業性、効率性など点から、固形分量で1~50質量%となるように製造することが好ましい。更に好ましくは、固形分量で10~40質量%となるように製造することが好ましい。
本発明では、更に、紫外線劣化防止効果、光安定性効果を高めるために、前記フォトクロミック粒子には、上記フォトクロミック材料と共に、紫外線吸収剤、及び/又は光安定剤を含むことができる。
用いることができる紫外線吸収剤は、従来より公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用でき、上記の紫外線吸収剤は、重合性不飽和基を有するものが好ましい。
ベンゾトリアゾール系吸収剤の具体例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-(3’’,4’’,5’’,6’’-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン系吸収剤の具体例としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4((2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-[4-((2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)-オキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
サリチル酸誘導体系吸収剤の具体例としては、フェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
ベンゾフェノン系吸収剤の具体例としては、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノントリヒドレート、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ-5-スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、5-クロロ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジベンゾイルレゾルシノール、4,6-ジベンゾイルレゾルシノール、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4(3-メタクリルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、「Tinuvin900」、「Tinuvin928」、「Tinuvin348-2」、「Tinuvin479」、Tinuvin405」、「Tinuvin400」(以上、BASF社製、商品名、Tinuvin\チヌビンは登録商標)、「RUVA-93」(以上、大塚化学社製、商品名)等が挙げられる。
このフォトクロミック粒子における紫外線吸収剤の含有率としては、溶媒を除いた粒子の全量に対して、発色性の点、耐光性の点、安定性の点から、1~50質量%とすることができ、10~40質量%であることが好ましい。
用いることができる光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、フェノール系紫外線吸収剤、マロン酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。
光安定剤のより好ましい態様は、上記メタクリル基を有する重合性(反応型)の光安定剤が望ましく、上記(メタ)メタクリル酸エステル等と容易に重合し、光安定性官能基を高分子鎖に組み込むことができる、重合性(反応型)光安定剤を好適に用いることでき、光安定剤の揮散や溶出がなく、高い安全性と長期間安定した光安定性を有するフォトクロミック粒子を得ることができる。なお、非重合性の光安定剤であってもフォトクロミック粒子に含むことにより、目的の光安定性を付与することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ヒンダードピペリジン化合物等の従来から公知のものが使用できる。また、上記ヒンダードアミン系光安定剤は、特に重合性不飽和基を有するものであってもよい。
具体的なヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、ビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2’,6,6’-テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート等のモノマータイプのもの;ポリ{[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノール]}等のオリゴマータイプのもの;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとコハク酸とのポリエステル化物等のポリエステル結合タイプのもの;1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート等の重合性不飽和基を有するもの、等の公知のものが挙げられる。
また、ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、「Tinuvin765」、「Tinuvin770DF」、「Tinuvin144」、「Tinuvin622SF」、「Tinuvin152」(以上、BASF社製、商品名、Tinuvin\チヌビンは登録商標)、「アデカスタブLA-52」、「アデカスタブLA-57」、「アデカスタブLA-63P、「アデカスタブLA-72」、「アデカスタブLA-77Y」、アデカスタブLA-81」、「アデカスタブLA-82」、「アデカスタブLA-87」(以上、株式会社ADEKA製、商品名、アデカスタブ\ADKSTAB及びアデカスタブは登録商標)等が挙げられる。
このフォトクロミック粒子における光安定剤の含有率としては、溶媒を除いた粒子の全量に対して、発色性の点、耐光性の点、安定性の点から、1~50質量%とすることができ、10~40質量%であることが好ましい。
本発明では、更に、経時安定性、防腐性、発色性、香気性を高めるために、前記フォトクロミック粒子には、上記フォトクロミック材料と共に、防腐剤、還元剤、フォトクロミック材料を除く染料または顔料を含む着色剤、サーモクロミックを含む色材、香料等を含むことができる。
上記フォトクロミック材料と共に、紫外線吸収剤、光安定剤などの好ましい成分を含むフォトクロミック粒子の製造は、上記フォトクロミック材料を含むフォトクロミック粒子の製造に準拠することができ、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーに、上述のフォトクロミック材料、紫外線吸収剤、光安定剤を溶解し、乳化重合することにより、または、少なくとも、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマー成分を含む混合モノマーの重合後にフォトクロミック材料、紫外線吸収剤、光安定剤を溶解して乳化重合することにより、フォトクロミック粒子が水に分散されているフォトクロミック粒子水分散体(分散液)が得られる。これらの製造条件で得られるフォトクロミック粒子水分散体中のフォトクロミック粒子は、用いる上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー、フォトクロミック材料、紫外線吸収剤、光安定剤などの配合量、重合条件などにより、その製造量は変動するものであり、製造性、作業性、効率性など点から、固形分量で1~50質量%となるように製造することが好ましい。更に好ましくは、固形分量で10~40質量%となるように製造することが好ましい。
上記製造の際に消泡剤を適宜量用いて製造することが好ましい。消泡剤としては、例えば、シリコーン系、ミネラルオイル系、ポリマー系、脂肪酸エステル系などを用いることができる。
好ましくは、シリコーン系消泡剤としてエマルジョン型消泡剤、例えば、シリコーンオイルコンパウンドをノニオン系の活性剤で乳化したものが、取り扱いが容易で、安全性も高く、さらに品種が豊富なため、さまざまな水系液に使用することができ、具体的には、信越化学社製のKM-90、KM-7752や日信化学工業性のサーフィノール104A、104E、104H、104PA、104PG-50、AD01、DF110D、MD-20、さらに自己乳化型であれば、信越化学社製のKS-530などを挙げることができる。
また、本発明において、得られるフォトクロミック粒子(フォトクロミック材料含有、または、フォトクロミック材料+紫外線吸収剤及び/又は光安定剤含有、以下同様)の平均粒子径は、上記一般式(I)の構造単位を有するモノマー、含有量、重合の際の重合条件等により変動するものであるが、好ましくは、10~800nm、更に好ましくは、20~400nm、更に好ましくは、30~200nmであることが望ましい。
上記好ましい平均粒子径の範囲とすることにより、各種用途に好適に用いることができ、また、保存安定性などに優れたものとなる。
さらに本発明においては、上記の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤としては重合性のものを用いることがより望ましい。
なお、本発明で規定する「平均粒子径」は、散乱光強度分布によるヒストグラム平均粒子径であり、本発明(後述する実施例を含む)では、粒度分布測定装置〔FPAR1000(大塚電子社製)〕にて、測定した値D50の値である。
本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、上記フォトクロミック材料を含む特性の粒子が良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れと共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック性能を有すると共に、その持続性をもちながら、他の配合成分等に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、分散安定性に優れるものとなり、上記優れたフォトクロミック性能を発揮することができ、その性能の持続効果も長期間に亘るものとなる。
また、上述のフォトクロミック材料と紫外線吸収剤、光安定剤を含むフォトクロミック粒子は、更に分散安定性、フォトクロミック性能を損なうことなく、更に耐光性、耐候性に優れる、今までにないフォトクロミック粒子水分散体が得られるものとなる。
本発明のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)は、上述の如く、優れた作用効果を発揮するので、例えば、医療用具、ベビー用品、玩具、コンタクトレンズ等のプラスチックレンズ用品、介護用品、浴場用品、台所用品、食器、飲料水配管部品 、生活衛生用品、家電製品、衣料品、建築資材、農業用資材、自動車用内装部品、文房具、筆記具やインクジェットプリンターなどのインク組成物など、様々な製品にフォトクロミック性能を付与するために利用することができる。
具体的な用途としては、偽造防止インキ及び偽造防止印刷物、製品トレーサビリティ用途にも好適に用いることができる。
更に、本発明のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)をサインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具用水性インク組成物、並びに、インクジェット用水性インク組成物に利用した場合の形態等を以下に詳述する。
(筆記具用水性インク組成物)
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも、上記構成のフォトクロミック粒子水分散体を含有することを特徴とするものであり、このフォトクロミック粒子水分散体の他、水溶性有機溶剤を含有することができる。
インク組成物中のフォトクロミック粒子の含有量は、筆記性能を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめる点、保存安定性点から、インク組成物全量に対して、固形分量で0.1~30.0質量%であることが好ましく、更に好ましくは、1.0~15.0質量%であることが望ましい。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジ オール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル1,3-ブタンジオール、2メチルペンタン -2,4-ジオール、3-メチルペンタン-1,3,5トリオール、1,2,3-ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどのグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダリジノンなどの少なくとも1種が挙げられる。
その他にも、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトン類などの水溶性溶剤を混合することもできる。
これらの水溶性有機溶剤の含有量は、サインペンやマーキングペン、ボールペンなどの筆記具種により変動するものであり、インク組成物全量に対して、1~40質量%、描線乾燥性を更に向上させる点から、10質量%以下としたインク組成に対して特に有効であり、より好ましくは、3~8質量%とすることが望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物には、上記特性の粒子、水溶性溶剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、他の着色剤、分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、増粘剤、蒸発抑制剤、界面活性剤、固着剤などを適宜含有することができる。
用いることができる着色剤としては、水溶性染料、顔料、例えば、無機顔料、有機顔料、プラスチックピグメント、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は白色顔料として、または、発色性、分散性に優れる染料で染色した樹脂粒子(擬似顔料)等も補色的に使用することができる。水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも本発明の効果を損なわない範囲で適宜量用いることができる。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、発酵セルロース、結晶セルロースなどのセルロース誘導体、多糖類などが挙げられる。用いることができる多糖類としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、カゼイン、アラビアガム、ゼラチン、アミロース、アガロース、アガロペクチン、アラビナン、カードラン、カロース、カルボキシメチルデンプン、キチン、キトサン、クインスシード、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、ニゲラン、ヒアルロン酸、プスツラン、フノラン、HMペクチン、ポルフィラン、ラミナラン、リケナン、カラギーナン、アルギン酸、トラガカントガム、アルカシーガム、サクシノグリカン、ローカストビーンガム、タラガムなどが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる。
蒸発抑制剤としては、例えば、ペンタエリスリトール、p-キシレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、デキストリンなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、フッ素系、シリコーン系、アセチレングリコール系などが挙げられる。
固着剤としては、ポリアクリル酸、水溶性スチレン-アクリル樹脂、水溶性スチレン・マレイン酸樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性マレイン酸樹脂、水溶性スチレン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、水溶性エステル-アクリル樹脂、エチレン-マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタン樹脂等の分子内に疎水部を持つ水溶性樹脂、また、ポリオレフィン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、スチレン-ブタジエンエマルジョン、スチレンアクリロニトリルエマルジョンなどの樹脂エマルジョンなどから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらはそれぞれ1種類以上、計2種類以上の使用が望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、上記特性の粒子、水溶性溶剤、その他の各成分を筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって筆記具用水性インク組成物を調製することができる。
また、本発明の筆記具用水性インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5~10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6~9.5とすることが望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、ボールペンチップ、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン先部を備えたボールペン、マーキングペン等に搭載される。
ボールペンとしては、上記組成の筆記具用水性インク組成物を直径が0.18~2.0
mmのボールを備えたボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペン、マーキングペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の筆記具用水性インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペン、マーキングペンであってもよいものである。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物にあっては、用いる上記特性のフォトクロミック粒子水分散体等が筆記具用水性インク組成物中に配合されているため、良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れると共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック性能を有すると共に、その持続性をもちながら、他の配合成分等に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、分散安定性に優れ、その持続効果を長期間に亘り、しかも、これらの粒子は保存安定性、筆記性能を損なわず、粒子径も小さくでき、筆記具用ではペン芯やボールペンチップ等に目詰まりを起こすなどの課題もなく、インク設計の自由度を更に高めることができ、ボールペン、マーキングペンなどの筆記具に好適な筆記具用水性インク組成物が得られることとなる。
(インクジェット用水性インク組成物)
本発明のインクジェット用インク組成物は、上記構成のフォトクロミック粒子水分散体を含むことを特徴とするものである。
好ましいインクジェット用インク組成物としては、上記構成のフォトクロミック粒子水分散体と、溶媒とを含有するものが望ましい。
このインクジェット用インクの調製は、上記構成のフォトクロミック粒子水分散体に溶媒を加え撹拌することで得ることができる。なお、必要に応じて、樹脂、分散剤などを加えてもよい。
インクジェット用インクに使用する溶媒としては、特に制限されないが、具体的には、水(精製水、イオン交換水、蒸留水、純水等、以下、単に「水」という)の他、水溶性有機溶剤を混合溶媒として使用することができる。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の炭素数1~4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でもジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して、3~50質量%の範囲が好ましく、より好ましくは3~30質量%の範囲とする。
インクジェット用インクに使用する樹脂としては、インクに配合される上記溶媒に対して溶解、または分散すれば良く、特に限定されない。具体的には、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース樹脂、ポリウレタン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上混合して使用することができる。また、樹脂の種類は媒体の種類によって選択すればよい。
本発明のインクジェット用インク組成物において、上述のフォトクロミック粒子水分散体をそのまま用いることも可能であり、上記溶媒、必要に応じて、樹脂、分散剤を配合することも可能であり、更に、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。例えば、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、界面活性剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。また、フォトクロミック粒子水分散体を非水系溶剤で希釈してもよい。
フォトクロミック粒子の含有量は、印刷方式等により変動するものであるが、固形分量で、インクジェット用インク組成物全量に対して、1~30質量%が好ましい。
インクジェット用インクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、通常に、25℃において1~20mPa・sであることが好ましい。
本発明のインクジェット用インク組成物を用いたインクジェット記録方式には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインク組成物を吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインク組成物に照射して放射圧を利用してインク組成物を吐出させる音響インクジェット方式、及びインク組成物を加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式が挙げられる。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、光沢紙、コピー用紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが使用できる。
このように構成される本発明のインクジェット用インク組成物では、良好な色調、発色時の色濃度、変色感度に優れると共に、分散安定性、耐光性に優れるフォトクロミック性能を有すると共に、その持続性をもちながら、他の配合成分等に悪影響を及ぼすことがなく、しかも、分散安定性に優れ、その持続効果を長期間に亘り、しかも、これらの粒子は保存安定性、インクジェット性能を損なわず、粒子径も小さくでき、ノズル等に目詰まりを起こすなどの課題もなく、フォトクロミック特性、耐熱性、耐水性、耐光性などに優れると共に、耐滲み性、耐裏抜け性などのインクジェット用インクの色材としての機能に格段に優れるので、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式の印刷、また、普通紙、光沢紙、特殊紙、布(Tシャツ等の被服)、フィルム、OHPシートなどの印刷に好適なインクジェット用インク組成物が得られることとなる。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1~9、比較例1~2:フォトクロミック粒子水分散体(粒子1~11)の製造〕
なお、以下の「部」は質量部を表す。フォトクロミック染料成分は90~99質量%が固形分量である。
(実施例1)
2リットルのフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、モノマー投入用1000ml分液漏斗を取り付け、温水槽にセットし、蒸留水329.5部、グリセリンモノメタクリレート〔ブレンマーGLM、日油社製〕5部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム〔アクリルエステルSEM-Na、三菱ケミカル社製〕5部、重合性界面活性剤〔ADEKA社製、アデカリアソープSE-10N、エーテルサルフィート〕60部及び過硫酸アンモニウム0.5部を仕込んで、窒素ガスを導入しながら、内温を50℃まで昇温した。
一方、メタクリル酸シクロヘキシルモノマー50部と、メタクリル酸n-ブチル20部とからなる混合モノマーに、フォトクロミック材料として、ユウロピウム錯体5部、紫外線吸収剤として3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル-メタクリラート10部、光安定剤として1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル-メタクリラート10部、架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル5部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度90℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子1)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、60質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、20質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、20質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、91nmであった。
(実施例2)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸n-ブチル30部と、メタクリル酸メチル50部とからなる混合モノマーに、フォトクロミック材料として、テルビウム錯体10部、紫外線吸収剤として(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル-メタクリラート)5部、光安定化剤として2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-メタクリラート5部、を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子2)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、57質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、27質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、16質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、102nmであった。
(実施例3)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸2-エトキシエチル60部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として、1',3'-ジヒドロ-8-メトキシ-1',3',3'-トリメチル-6-ニトロスピロ[2H-1-ベンゾピラン-2,2'-[2H]インドール]6-ニトロ-8-メトキシBIPS8-メトキシ-1',3',3'-トリメチル-6-ニトロスピロ[クロメン-2,2'-インドール])10部、紫外線吸収剤として(2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール)10部、光安定化剤としてビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-3,4-ビス{[(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)オキシ]カルボニル}ヘキサンジオアート10部、架橋剤として、イソシアヌル酸トリアリル5部とシクロヘキシル-メタクリラート5部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子3)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、56質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、27質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、17質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、110nmであった。
(実施例4)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸2-エチルヘキシル70部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物5部、紫外線吸収剤として6,6’,6’’-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイル)トリス[3-(ヘキシルオキシ)-2-メチルフェノール]7部、光安定化剤としてテトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボキシラート10部、架橋剤としてシクロヘキシル-メタクリラート8部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子4)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、59質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、29質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、12質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、88nmであった。
(実施例5)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸シクロヘキシルモノマー50部と、メタクリル酸2-エトキシエチル27部とからなる混合モノマーに、フォトクロミック材料として2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物3部と4,4'-ビス(ヘキシルオキシ)-3-メチルアゾベンゼン2部、紫外線吸収剤として3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル-メタクリラート5部、光安定剤としてビス[2,2,6,6-テトラメチル-1-(ウンデシルオキシ)ピペリジン-4-イル]-カルボナート10部、架橋剤としてシクロヘキシル-メタクリラート3部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子5)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、58質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、30質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、12質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、78nmであった。
(実施例6)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸n-ブチル50部と、メタクリル酸2-エチルヘキシル28部とからなる混合モノマーに、フォトクロミック材料としてユウロピウム錯体15部、紫外線吸収剤として2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール5部、架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル1部とシクロヘキシル-メタクリラート1部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子6)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、62質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、28質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、10質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、70nmであった。
(実施例7)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸シクロヘキシル15部とメタクリル酸2-エトキシエチル50部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として、テルビウム錯体15部、光安定化剤として、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-メタクリラート10部、架橋剤としてシクロヘキシル-メタクリラート10部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子7)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、60質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、18質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、22質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、458nmであった。
(実施例8)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸シクロヘキシル80部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として1',3'-ジヒドロ-8-メトキシ-1',3',3'-トリメチル-6-ニトロスピロ[2H-1-ベンゾピラン-2,2'-[2H]インドール]6-ニトロ-8-メトキシBIPS8-メトキシ-1',3',3'-トリメチル-6-ニトロスピロ[クロメン-2,2'-インドール]1部、2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物5部、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)-3,4-ビス{[(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)オキシ]カルボニル}ヘキサンジオアート10部、架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル4部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子8)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、55質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、35質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、10質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、673nmであった。
(実施例9)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸n-ブチル70部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物5部、4,4'-ビス(ヘキシルオキシ)-3-メチルアゾベンゼン5部、紫外線吸収剤として3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル-メタクリラート5部、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール5部、光安定剤として1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル-メタクリラート10部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子9)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、62質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、7質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、31質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、468nmであった。
(比較例1)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸イソボルニル70部からなるモノマーに、フォトクロミック材料として、ユウロピウム錯体5部、紫外線吸収剤として3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェネチル-メタクリラート10部、光安定化剤として1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル-メタクリラート10部、架橋剤としてイソシアヌル酸トリアリル5部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子10)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、58質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、17質量%、前記紫外線吸収剤成分及び/又は光安定剤成分の含有量は全ポリマー成分に対して、25質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、268nmであった。
(比較例2)
上記実施例1に準拠して、メタクリル酸イソボルニル80部とからなるモノマーに、フォトクロミック材料として、2,3-ビス(2,4,5-トリメチル-3-チエニル)マレイン酸無水物15部、架橋剤としてシクロヘキシル-メタクリラート5部を混合した液を調製した。
この調製液を上記分液漏斗から温度50℃付近に保った上記フラスコ内に撹拌下で3時間にわたって添加し、乳化重合を行った。さらに5時間熟成して重合を終了し、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)(粒子11)を得た。
前記メタクリル酸エステルモノマーの含有量は、フォトクロミック粒子を構成する全ポリマー成分に対して、75質量%、前記フォトクロミック染料の含有量は全ポリマー成分に対して、25質量%であった。また、フォトクロミック粒子の平均粒子径は、901nmであった。
上記で得られた実施例1~9、比較例1~2のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いて、下記各評価方法により、耐光性(6h)、経時安定性(60℃、2週間)、発色性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
(耐光性の評価方法)
上記で得られた実施例1~9、比較例1~2の各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いて、耐光性について、スガ試験機製・キセノンウェザーメーターX25を用いて、JIS L 0843のキセノンアーク灯光にて、50W/m2(300~400nm)の照射を6時間行った後、365nmのUVランプを当てた際の視認性について、目視及び蛍光強度(365nm)の変化率について下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:初期と変わらない発色及び高い視認性。蛍光強度の減少率が50%以内
B:難なく視認可能。蛍光強度の減少率が75%以内
C:視認し辛いが視認自体は可能。蛍光強度の減少率が95%以内
D:視認不能。蛍光強度の減少率が95%より大きい。
(経時安定性の評価方法)
上記で得られた実施例1~9、比較例1~2のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いて、経時安定性について、フォトクロミック粒子水分散体(分散液)をガラス製マヨネーズ瓶(アズワン社製)に入れ、温度60℃、期間2週間後における析出物の有無を目視にて下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:析出物なし
B:若干析出が見られる
C:全体的に析出が見られる
D:析出物が堆積している
(発色性の評価方法)
上記で得られた実施例1~9、比較例1~2のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いて、発色性について、UVランプ(365nm)照射時の視認性及び、分光光度計・日立製作所製F-7000を用いた際の365nmにおける蛍光強度を用いて下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:蛍光強度500au以上
B:蛍光強度200au以上
C:蛍光強度50au以上
D:蛍光強度50au未満
Figure 2024037393000003
上記表1の結果から明らかなように、上記で得られた各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)において、本発明範囲の実施例1~9は、耐光性、経過安定性、発色性に優れていることが判明した。
これに対して、本発明の範囲外となる比較例1~2のフォトクロミック粒子水分散体(分散液)は、耐光性、経過安定性、発色性の何れかが劣ることを確認した。
〔実施例10~12及び比較例3~4:筆記具用水性インク組成物の調製〕
実施例10~12用として、上記実施例2、5、6で得た各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いた。一方、比較例3~4用として、上記比較例1、2で得た各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いた。
下記表2に示す配合組成(全量100質量%)により常法により各筆記具用水性インク組成物を調製した。表2中の粒子種の量は固形分量である。
得られた各筆記具用水性インク組成物(全量100質量%)について、下記構成の筆記具(サインペン)を用いて、下記評価方法で耐水性、筆記性、裏抜け性について評価し、上記評価方法にて、耐光性、発色性、経過安定性について評価した。
下記表2に、実施例10~12及び比較例3~4の各評価結果を示す。
(筆記具:サインペンの作製)
サインペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:PUS-138、ペン先:PET製焼結芯〕を使用し、収容室に上記各水性インク組成物を充填してサインペンを作製した。
〔筆記性の評価方法〕
上記構成の各サインペンを、室温(25℃、以下同様)下で、PPC用紙に直径約5cmの円を筆記をし、下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:均一な描線である。
B:若干のムラがかすかにある
C:一部にムラがある
D:全体的にムラがある
〔耐水性の評価方法〕
上記構成の各サインペンを、室温(温度25℃以下同様)下で、PPC用紙に直径約5cmの円を筆記した描線を1時間乾燥させ、これを初期の描線状態とした。前記描線の半分を蒸留水に24時間浸漬し、耐水性について初期描線との比較を下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:描線の濃度に変化なし
B:一部で描線の濃度が変化している
C:全体的に描線の濃度が変化している
D:描線の濃度が顕著に変化し視認できない
〔裏抜け性の評価方法〕
上記構成の各サインペンを、室温(25℃、以下同様)下で、PPC用紙に10秒押し当てた場合の裏抜け性の評価を下記基準で評価した。
評価基準:
A:裏抜けがない
B:一部に裏抜けがある
C:全体的に裏抜けがある
D:顕著な裏抜けがある
Figure 2024037393000004
上記表2中の*1は、下記のとおりである。
*1:サーフィノール104H、日信化学工業社製
上記表2を考察すると、本発明範囲となる実施例10~12の筆記具用水性インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例3、4に較べ、耐水性、耐光性、経過安定性、発色性に優れた上、裏抜けもなく、筆記性に優れることが判明した。
これに対して、本発明の範囲外となる比較例3~4の筆記具用水性インク組成物は、耐水性、経時安定性、筆記性等に劣り、本発明の効果を奏することができなかった。
〔実施例13~15及び比較例5~6:インクジェット用水性インク組成物の調製〕
実施例13~15用として、上記実施例2,5、6で得た各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いた。一方、比較例5~6用として、上記比較例1、2で得た各フォトクロミック粒子水分散体(分散液)を用いた。
下記表3に示す配合組成(全量100質量%)により常法により各インクジェット用水性インク組成物を調製した。表3中の粒子種の量は固形分量である。
得られた各インクジェット用水性インク組成物(全量100質量%)について、下記構成のインクジェット装置を用いて、印刷紙に印字して上記評価に準拠して、耐水性、耐光性、発色性、経過安定性、裏抜け性について評価し、また、下記評価方法で被覆性について、評価した。
下記表3に、実施例13~15及び比較例5~6の各評価結果を示す。
(インクジェット装置)
上記で得られた実施例10~12の各インクジェットインク用組成物を用いて、インクジェットプリンター(PM-3000C、エプソン社製)のカートリッジに充填して、コピー用紙からなる支持体上(印刷紙)に印字した。
〔被覆性の評価方法〕
上記インクジェットプリンターにより「三菱鉛筆」と印字した印刷紙を目視にて印刷紙へのインクの被覆の状態を確認し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
A:均一である
B:若干のムラがかすかにある
C:一部にムラがあり、文字の欠けが一部見られる
D:全体的にムラがあり、文字の欠けが顕著である
Figure 2024037393000005
上記表3中の*2、*3は、下記のとおりである。
*2:サーフィノールDF58、日信化学工業社製
*3:バイオデン421、大和化学工業社製
上記表3を考察すると、本発明範囲となる実施例13~15のインクジェット用水性インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例5、6に較べ、耐水性、耐光性、経過安定性、発色性に優れた上、裏抜けもなく、被覆性に優れることが判明した。
これに対して、本発明の範囲外となる比較例5、6のインクジェット用水性インク組成物は、耐水性、経時安定性等に劣り、本発明の効果を奏することができなかった。
本発明のフォトクロミック粒子水分散体は、筆記具用、インクジェット用などの水性インク組成物の色材として、偽造防止用の各種印刷物、インジケーター、玩具類、衣類、屋内装飾品、布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、装飾品、台所用品など、様々な製品にフォトクロミック特性を付与するために利用することができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、下記一般式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、フォトクロミック材料とで構成されるフォトクロミック粒子が水に分散されていることを特徴とするフォトクロミック粒子水分散体。
    Figure 2024037393000006
    〔上記式(I)中、Aは、水素原子(H)又はメチル基(CH)であり、Rは、水素原子(H)、炭素数1~22のアルキル基、又はアルキレン鎖の炭素数が2~18であるポリアルキレングリコール鎖を有する置換基を表し、該アルキル基又はポリアルキレングリコール鎖を有する置換基は、置換基としてフェニル基、ベンジル基、エポキシ基、水酸基、ジアルキルアミノ基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数1~18のパーフルオロアルキル基、又はトリアルコキシシリル基を有していてもよい。〕
  2. 前記フォトクロミック材料が、希土類錯体、フルギド化合物、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、クロメン化合物、ジアリールエテン化合物、ベンズアルドキシム化合物、アゾメチン化合物、ケイ皮酸化合物、レチナール化合物、ヘミチオインジコ化合物およびナフトピラン、クロメン、スピロピラン、スピロオキサジンおよびチオスピロピラン、ベンゾピラン、スチルベン、アゾベンゼン、チオインジゴ、ビスイミダゾール、スピロジヒドロインドリジン、キニーネ、ペリミジンスピロシクロヘキサジエノン、ビオロゲン、フルギド、フルギミド、ジアリールエテン、ヒドラジン、アニリン、アリールジスルフィド、アリールチオスルホネート、スピロペリミジン、トリアリールメタン、並びに、これらの化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のフォトクロミック粒子水分散体。
  3. 前記フォトクロミック粒子には、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトクロミック粒子水分散体。
  4. 前記フォトクロミック粒子の平均粒子径は、10~800nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトクロミック粒子水分散体。
  5. 前記フォトクロミック粒子水分散体を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インク組成物。
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