JP2024034110A - 緊張係留浮体の設置方法および緊張係留浮体の設置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成が簡単で反力を確実に確保でき、低コストで設置できる緊張係留浮体の設置方法および緊張係留浮体の設置構造を提供する。【解決手段】浮体2の下方に枠体3を吊り下げ、浮体2と枠体3を敷設場所まで曳航する。そして、枠体3を海底1に吊り下ろした後、枠体3と線材5で連結した状態で浮体2を枠体3の上方から退避させて、枠体3に上方からコンクリートシンカ等の錘体を設置する。その後、線材5に張力を付与して浮体2を枠体3に緊張係留して、緊張係留浮体の設置構造の設置を完了する。【選択図】図2

Description

本発明は、緊張係留浮体の設置方法および緊張係留浮体の設置構造に関するものである。
従来、水深が約50mより深い水域では、浮体式の洋上風力発電設備が一部実用化されている。浮体式洋上風力発電の代表的な型式であるセミサブ型やスパー型ではカテナリー係留が基本であるが、テンションレグプラットフォーム(TLP)型では鉛直方向の緊張係留が提案されている。これは、係留策を海底に固定し張力をかけることで復元性を保つ方法であり、特許文献1には、係留策で連結したシンカーと浮体を所定の位置まで移動した後、シンカーに注水して沈降させるとともに浮体を浮かせ、シンカーが海底に着底したら係留策を緊張させる方法が記載されている。
特開2012-201191号公報
しかしながら、カテナリー係留では、係留策が浮体付近の広い範囲に配置されるので船舶の航行や漁業への影響が大きい。緊張係留では、係留策が鉛直方向に配置されるので船舶等への影響が小さく、風車の自動停止要因となる浮体のピッチ方向の揺れも抑制できるが、低コスト化が課題である。例えば特許文献1の方法では、シンカーに注水して海底部の反力を確保するために大規模なシンカーを製作する必要がある。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、構成が簡単で反力を確実に確保でき、低コストで設置できる緊張係留浮体の設置方法および緊張係留浮体の設置構造を提供することである。
前述した目的を達成するために第1の発明は、緊張係留浮体の設置方法であって、浮体の下方に、枠体を吊り下げた状態で敷設場所まで曳航する工程と、前記枠体を海底に吊り下ろす工程と、前記枠体と線材で連結した状態で前記浮体を退避させて、前記枠体へ上方から錘体を設置する工程と、前記線材に張力を付与して前記浮体を前記枠体に緊張係留する工程と、を具備することを特徴とする緊張係留浮体の設置方法である。
第1の発明では、海底に吊り降ろした枠体と線材で連結した状態で浮体を退避させた後、枠体へ上方から錘体を設置する。そのため、浮体や線材が、錘体を枠体に設置する作業の妨げとならない。また、枠体自体には、重力基礎を構成するための重量が不要であるため、軽量で取り扱いも容易である。第1の発明によれば、構成が簡単で海底部の反力を確実に確保できる重力式アンカーを低コストで設置し、浮体を緊張係留できる。
前記線材は、一方の端部が巻取り装置に接続され、少なくとも一部の前記線材は、前記枠体の近傍に配置された滑車に掛けられ、他方の端部が前記浮体に接続され、前記巻取り装置によって前記線材を送り出すことで、前記枠体を海底に吊り下ろし、前記巻取り装置によって前記線材を巻き取ることによって前記線材に張力を付与することが望ましい。また、浮体内部に注水し、浮体を沈降させ、前記巻取り装置によって前記線材を巻き取るまたは巻き出すことによって、前記線材を所定の長さにし、さらに浮体内部から排水し、浮体を上昇させることで所定の緊張力を得る方法であれば、前記巻取り装置の能力を最小限にすることが可能である。
線材の一方の端部を巻取り装置に接続することにより、線材の長さや張力を容易に調整できる。また、滑車に掛けることにより、線材1本に線材2本分の張力を付与できる。
前記滑車に掛けられた前記線材は、前記滑車に対して一方の側が前記浮体に対して略鉛直に緊張され、前記滑車に対して他方の側が前記浮体に対して斜めに緊張されてもよい。
これにより、斜めに緊張された線材をブレースとして機能させることができる。
前記枠体は、複数に分割されており、それぞれの前記枠体が、それぞれ前記線材によって前記浮体と連結されてもよい。
これにより、海底に不陸がある場合にも、枠体を海底に確実に着底させることができる。
枠体が複数に分割されている場合、前記枠体には吊り天秤が設けられ、前記吊り天秤と前記枠体とが連結部材で連結され、前記錘体を前記枠体に設置する前に、前記吊り天秤を前記枠体の側方に退避させ、前記吊り天秤を退避させる際に、前記連結部材が前記枠体の上部にかからないように、連結部材退避構造を有することが望ましい。
これにより、錘体を、連結部材や吊り天秤と干渉することなく枠体へ上方から設置することができる。
前記吊り天秤及び前記枠体の水中での向きを一定に制御する方向規制構造を有し、前記吊り天秤を前記枠体の側方に退避させる際に、前記枠体に対する前記吊り天秤の退避方向を規制することが可能であることが望ましい。
これにより、海底付近での水流等の方向に関わらず、吊り天秤を所望の方向に設置並びに退避させることができる。
前記錘体は、例えばフックを有するコンクリート製のブロックである。
コンクリート製のブロックを用いることにより、錘体の耐久性と重量を確保できる。また、フックを設けることにより、錘体の枠体への設置や枠体からの撤去が容易になる。前記錐体の撤去を容易で、枠体の撤去も容易なため、浮体の修理や供用終了の浮体撤去時に海底に何も残さなくすることが容易となる。
第2の発明は、緊張係留浮体の設置構造であって、浮体と、前記浮体の下方に海底に配置される枠体と、前記浮体と前記枠体とを連結する複数の線材と、前記枠体に配置される錘体と、を具備し、前記線材に張力が付与されていることを特徴とする緊張係留浮体の設置構造である。
第2の発明では、海底に配置された枠体に錘体が配置され、浮体が枠体に緊張係留される。そのため、鋼製ワイヤだけでなく、線材が海底でひきずられることがなく、高強度・軽量・安価ではあるが摩擦に弱いとされる合成繊維製のロープ等も線材として使用可能である。第2の発明によれば、簡単な構成の重力式アンカーで海底部の反力を確実に確保して浮体を緊張係留できる。
前記線材は、一方の端部が巻取り装置に接続され、少なくとも一部の前記線材は、前記枠体の近傍に配置された滑車に掛けられ、他方の端部が前記浮体に接続されることが望ましい。
線材の一方の端部を巻取り装置に接続することにより、緊張係留浮体の設置構造の供用中に、個々の線材の緊張力を容易に調整できる。また、滑車に掛けることにより、線材1本に線材2本分の張力を付与できる。
前記滑車に掛けられた前記線材は、前記滑車に対して一方の側が前記浮体に対して略鉛直に緊張され、前記滑車に対して他方の側が前記浮体に対して斜めに緊張されてもよい。
これにより、斜めに緊張された線材をブレースとして機能させることができる。
前記枠体は、複数に分割されており、それぞれの前記枠体が、それぞれ前記線材によって前記浮体と連結されてもよい。
これにより、海底に不陸がある場合にも、枠体を海底に確実に着底させることができる。
本発明によれば、構成が簡単で反力を確実に確保でき、低コストで設置できる緊張係留浮体の設置方法および緊張係留浮体の設置構造を提供できる。
(a)は浮体2と枠体3を連結した状態を示す図、(b)は浮体2の下方に枠体3を移動させている状態を示す図、(c)は浮体2の下方に枠体3を吊り下げた状態を示す図。 (a)は浮体2に風車7を搭載した状態を示す図、(b)は枠体3を吊下げた浮体2を敷設場所に曳航した状態を示す図、(c)は枠体3を海底1に吊り下ろした状態を示す図。 (a)は枠体3にコンクリートシンカ10を設置している状態を示す図、(b)は浮体2を枠体3に緊張係留した状態を示す図。 (a)はコンクリートシンカ10を示す図、(b)は枠体3へのコンクリートシンカ10の設置方法を示す図。 他の吊り治具9aを示す図。 (a)は枠体3にフィルターユニット10bを設置している状態を示す図、(b)は枠体3にフィルターユニット10bを設置した状態を示す図。 (a)は滑車13を用いて線材5aを配置した例を示す図、(b)は滑車を用いずに線材5を配置した例を示す図。 (a)は枠体3の上方に浮体2が位置する状態を示す図、(b)は枠体3の上方から浮体2を退避させた状態を示す図。 (a)(b)は線材5と線材5bが混在する例を示す図、(c)は線材5と線材5dが混在する例を示す図、(d)は線材5と線材5eが混在する例を示す図。 (a)は枠体3aを吊下げた浮体2を敷設場所に曳航した状態を示す図、(b)は枠体3aを海底1に吊り降ろした状態を示す図、(c)は枠体3aにコンクリートシンカ10を設置している状態を示す図。 (a)は図10(a)に示す範囲G1の拡大図であり、吊り天秤16を退避させていない状態を示す図、(b)は図10(c)に示す範囲G2の拡大図であり、吊り天秤16を退避させた状態を示す図。 (a)は吊り天秤16aを退避させていない状態を示す図、(b)は吊り天秤16aを退避させた状態を示す図。
[第1の実施形態]
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施形態を詳細に説明する。
図1から図3は緊張係留浮体の設置方法を示す図、図4は枠体3とコンクリートシンカ10を示す図である。第1の実施形態では、風車7を搭載した浮体2を海底1に係留する緊張係留浮体の設置方法および設置構造について説明する。
緊張係留浮体を設置するには、まず図1(a)に示すように岸壁付近で浮体2と枠体3とを線材5で連結する。浮体2は、洋上風力発電設備の風車7(図2)を搭載可能な仕様とする。枠体3は、例えば鋼材のトラス構造であり、重防食または腐食代を設けること等により耐腐食性を確保する。枠体3は鉄筋コンクリートスラブやPCスラブを用いて構成してもよい。枠体3は、例えば底部31と側部32を有し、複数のフロート4を取り付けることにより水面に浮遊する。線材5は、例えば、チェーンや、繊維編み込み線などのロープや、被覆鋼より線などのワイヤである。線材5は、浮体2に設置された巻取り装置(巻取り機6)に一端が接続され、他端が枠体3に接続される。線材5は、巻取り機6のロック機構でロックされると同時に、巻取り機6近傍において浮体2に設けられた図示しないロック箇所で保持されることが望ましい。線材5は、平面視において矩形である浮体2および枠体3の4つの隅部付近に各1本ずつ配置される。
浮体2と枠体3とを連結したら、図1(b)に示すようにフロート4を枠体3から順次取り外し、枠体3を浮体2の下方に沈降させる。このとき、タグボートで枠体3の移動をサポートしてもよい。そして、図1(c)に示すように浮体2の下方に枠体3を吊り下げる。浮体2は、枠体3を吊り下げた状態で水面に浮かぶものとする。線材5は、巻取り機6で長さ調整され、枠体3を水中の適切な位置に吊下げる。
浮体2に枠体3を吊り下げたら、陸側からクレーンを用いて、図2(a)に示すように風車7を浮体2に搭載する。そして、枠体3を吊り下げて風車7を搭載した浮体2を、図示しない曳航船を用いて、図2(b)に示すように敷設場所まで曳航する。次に、巻取り機6によって線材5を送り出すことで、図2(c)に示すように枠体3を海底1に吊り下ろして着底させる。
枠体3を海底1に着底させたら、枠体3と浮体2を連結する線材5を巻取り機6でさらに送り出しながら、図示しない曳航船で図3(a)に示すように浮体2を枠体3の上方から退避させる。そして、錘体であるコンクリート製のブロック(コンクリートシンカ10)を吊り下げた吊り治具9をクレーン台船8等で水中に吊り下ろし、枠体3へ上方からコンクリートシンカ10を設置する。コンクリートシンカ10は例えば直方体であり、複数個を一括で設置することで位置ずれを防止できる。コンクリートシンカ10の設置時には、遠隔操作型の無人探査機であるROV27のカメラを用いて、吊り治具9やコンクリートシンカ10の位置をリアルタイムで監視し、枠体3上へ誘導することが望ましい。なお、監視方法はROV27のカメラに限らず、ソナー画像を用いてもよいし、吊り治具9に発信機をつけて水中GPSにより位置を検知してもよい。
コンクリートシンカ10を枠体3に設置したら、線材5を巻取り機6で巻き取りながら、図3(b)に示すように浮体2を枠体3の上方の位置に戻す。そして、浮体2に注水して適度に沈降させ、巻取り機6で線材5を弛みがなくなるまで巻き取る。その後、浮体2から排水し、浮体2に矢印Aの方向の浮力を生じさせることで線材5に矢印Bで示す方向の張力を付与し、浮体2を枠体3に緊張係留して、緊張係留浮体の設置構造30を完成する。
このように、第1の実施形態で設置された緊張係留浮体の設置構造30は、浮体2の下方の海底1に配置された枠体3にコンクリートシンカ10を載せたものを重力式アンカーとし、浮体2と枠体3とを連結する複数の線材5に張力が付与されて浮体2が緊張係留される。そのため、線材5が海底1でひきずられることがなく、安価な合成繊維製のロープ等も線材5として使用可能である。また、線材5の一方の端部を巻取り機6に接続することにより、緊張係留浮体の設置構造30の供用中に、個々の線材5の緊張力を容易に調整できる。
第1の実施形態では、緊張係留浮体の設置構造30を設置する際に、海底1に吊り下ろした枠体3と線材5で連結した状態で浮体2を枠体3の上方から退避させ、枠体3へ上方からコンクリートシンカ10を設置するため、浮体2や線材5が、コンクリートシンカ10を枠体3に設置する作業の妨げとならない。第1の実施形態によれば、構成が簡単で海底1の反力を確実に確保できる重力式アンカーを低コストで構築し、浮体2を緊張係留できる。
なお、第1の実施形態では、平面視において、矩形である浮体2および枠体3の4つの隅部付近に線材5を各1本ずつ配置したが、線材5の本数は必要な緊張力を確保できるように決定すればよい。また、コンクリートシンカ10の寸法や数量は設計上必要な水中重量による反力を確保できるように決定される。
第1の実施形態では、浮体2を枠体3に緊張係留する際に浮体2に注排水したが、この作業は必須ではない。巻取り機6による線材5の巻取りのみで張力を調整して緊張係留してもよい。
また、コンクリートシンカ10の形状や設置方法は上記したものに限らない。図4(a)に示すコンクリートシンカ10aのように、直方体の下面の1辺を隅切りして傾斜面12aを形成し、上面の1辺を隅切りして傾斜面12aと平行な傾斜面12bを形成してもよい。
コンクリートシンカ10aを用いる場合、図4(b)に示すように、枠体3の1辺の側部32の上端にテーパガイド33を設ける。枠体3にコンクリートシンカ10aを設置する際には、傾斜面12aをテーパガイド33や先行設置されたコンクリートシンカ10aの傾斜面12bに沿って矢印Cに示すようにスライドさせた後、側面12を側部32や先行設置されたコンクリートシンカ10aの側面12に沿って矢印Dに示すようにスライドさせる。これにより、コンクリートシンカ10aを枠体3や先行設置されたコンクリートシンカ10aに密着させ、整列させることができる。
また、コンクリートシンカ10、10aは、図4(a)に示すように上面に吊り治具9に吊下げるためのフック11を設けることが望ましい。フック11を設けておけば、20~25年程度の風力発電期間終了後にコンクリートシンカを吊り上げて撤去しやすい。
吊り治具9は図3に示したものに限らない。図5は他の吊り治具9aを示す図である。吊り治具9aは、回転制御装置19とスラスタ20とを有する。回転制御装置19は吊り治具9aの水平方向の向きを任意に制御でき、スラスタ20は吊り治具9aの位置や向きの微調整を行うことができる。吊り治具9aの位置や向きを遠隔操作で制御すれば、潮流がある場所でもコンクリートシンカ10の所望の向きにでき、施工性が向上する。
錘体はコンクリートシンカ10に限らない。図6は、錘体としてフィルターユニット10bを用いた例を示す図である。フィルターユニット10bは、合成繊維の網袋に砕石を入れたものである。錘体としてフィルターユニット10bを用いる場合も、図6(a)に示すようにフィルターユニット10bを吊り下げた吊り治具9を水中に吊り下ろし、フィルターユニット10bを枠体3に上方から設置する。フィルターユニット10bは図6(b)に示すように枠体3上に積み重ねて設置してもよい。
以下、本発明の別の例について、第2~第4の実施形態として説明する。各実施形態はそれまでに説明した実施形態と異なる点について説明し、同様の構成については図等で同じ符号を付すなどして説明を省略する。また、第1の実施形態も含め、各実施形態で説明する構成は必要に応じて組み合わせることができる。
[第2の実施形態]
図7(a)は、滑車13を用いて線材5aを配置した例を示す図である。第2の実施形態は、線材5aが巻取り機6と浮体2に接続される点で第1の実施形態と主に異なる。
図7(a)に示すように、線材5aは、枠体3の隅部の近傍に配置された滑車13に掛けられる。線材5aは、滑車13に対して一方の側が巻取り機6に接続され、他方の側が固定部14によって浮体2に接続される。
図7(a)の例では、第1の実施形態と同様に、巻取り機6によって線材5aを送り出すことで、枠体3を海底1に吊り下ろしたり、浮体2を枠体3の上方から退避させたりする。また、巻取り機6によって線材5aを巻き取ることで、浮体2を枠体3の上方に戻したり、線材5aに張力を付与したりする。浮体2を枠体3に緊張係留する際には、線材5aが滑車13と巻取り機6の間および滑車13と固定部14の間において浮体2に対して略鉛直に緊張される。
第2の実施形態では、1本の線材5で所要の緊張力が確保できない場合に、滑車13を用いて配置した1本の線材5aに張力を付与することで所要の緊張力を確保できる。例えば、図7(a)に示すように4本の線材5aを滑車13を用いて配置すれば、図7(b)に示すように一方の端部が巻取り機6に接続されて他方の端部が固定部15で枠体3に接続された8本の線材5を配置した場合と同等の緊張力を確保できる。
[第3の実施形態]
図8は、滑車13を用いて線材5b、5cを配置した例を示す図である。第3の実施形態は、線材5b、5cの滑車13に対して一方の側が浮体2に対して斜めに配置される点で第2の実施形態と主に異なる。
図8(a)に示すように、線材5b、5cは、枠体3の隅部の近傍に配置された滑車13に掛けられる。線材5bは、滑車13に対して一方の側が巻取り機6に接続され、他方の側が固定部14によって浮体2の側面21bに接続される。線材5cは、滑車13に対して一方の側が巻取り機6に接続され、他方の側が固定部14aによって浮体2の側面21aに接続される。固定部14aは、側面21aの中央寄りに位置する本固定部29と、側面21aの両端寄りに位置する仮固定部28とからなる。なお、図8において浮体2の裏側となる2つの側面21bに接続される線材5bは図示を省略している。
図8に示す例では、第1の実施形態と同様に、巻取り機6によって線材5b、5cを送り出すことで、枠体3を海底1に吊り下ろしたり、浮体2を枠体3の上方から退避させたりする。また、巻取り機6によって線材5b、5cを巻き取ることで、浮体2を枠体3の上方に戻したり、線材5b、5cに張力を付与したりする。浮体2を枠体3に緊張係留する際には、線材5b、5cが、滑車13と巻取り機6の間において浮体2に対して略鉛直に緊張され、滑車13と固定部14、14aの間において浮体2に対して斜めに緊張される。
線材5cは、枠体3を海底に吊り下ろす際や、浮体2を枠体3に緊張係留する際には、図8(a)に示すように本固定部29に接続される。線材5cは、浮体2を退避させる際には、図8(b)に示すように仮固定部28に接続される。線材5cを仮固定部28に接続して浮体2を矢印Eの方向に退避させることにより、線材5cと干渉することなく錘体を上方から枠体3に設置できる。
第3の実施形態では、1本の線材5で所要の緊張力が確保できない場合に、滑車13を用いて配置した1本の線材5b、5cに張力を付与することで所要の緊張力を確保できる。また、線材5b、5cの滑車13に対して一方の側を略鉛直に緊張して他方の側を斜めに緊張することで、斜めに緊張した部分が水流による水平力に抵抗するブレースとして機能するので、緊張係留浮体の設置構造を安定させることができる。
なお、第3の実施形態では、浮体2と枠体3を連結する全ての線材を滑車13に掛けたが、一部の線材のみを滑車13に掛けてもよい。図9は線材の配置例を示す図である。図9(a)に示す例は、矢印F1に示す向きが波の主方向である水域に設置される緊張係留浮体の設置構造に適しており、枠体3の4つの隅部のうち水流の上流側に位置する2つの隅部の近傍に滑車13が設けられ、浮体2と枠体3に挟まれた4つの面のうち矢印F1に平行な2面に線材5bが配置される。枠体3の残り2つの隅部の近傍には、略鉛直に緊張される線材5が接続される。これにより、矢印F1に示す方向の水流に対して、緊張係留浮体の設置構造を安定させることができる。
図9(b)に示す例は、矢印F2に示す向きが波の主方向である水域に設置される緊張係留浮体の設置構造に適しており、枠体3の4つの隅部のうち水流の上流側に位置する1つの隅部の近傍に2つの滑車13が設けられ、浮体2と枠体3に挟まれた4つの面のうち矢印F2の上流側の直交する2面に線材5bが配置される。枠体3の残り3つの隅部の近傍には、略鉛直に緊張される線材5が接続される。これにより、矢印F2に示す方向の水流に対して、緊張係留浮体の設置構造を安定させることができる。
図9(c)に示す例は、矢印F3に示す向きが波の主方向である水域に設置される緊張係留浮体の設置構造に適しており、枠体3の矢印F3と直交する方向の対角の隅部の近傍に滑車13が設けられる。線材5dは滑車13に掛けられ、一端が巻取り機6に接続されて他端が浮体2に接続される。線材5dは、滑車13に対して一方の側が略鉛直に緊張され、他方の側が浮体2と枠体3に挟まれた空間を横切るように斜めに緊張される。これにより、矢印F3に示す方向の水流に対して、緊張係留浮体の設置構造を安定させることができる。
なお、線材を斜めに緊張するとき、滑車13は必須ではない。図9(d)に示すように、略鉛直に緊張される線材5と、斜めに緊張される線材5eとを別々に設ける場合もある。線材5eは、一端が巻取り機6に接続され、他端が固定部15で枠体3に接続されて、水流による水平力に抵抗するブレースとして機能する。
[第4の実施形態]
図10は複数に分割された枠体3aを用いた例を示す図、図11は枠体3aの詳細を示す図である。第4の実施形態は、錘体を設置する枠体3aが複数に分割される点で第1の実施形態と主に異なる。
図10に示すように、枠体3aは、複数に分割されており、それぞれの枠体3aが1本の線材5fによって浮体2と連結され、浮体2に吊り下げられる。線材5fおよび枠体3aは、例えば、平面視において矩形である浮体2および枠体3の4つの隅部付近に配置される。線材5fは、浮体2に設置された巻取り機6に一端が接続され、方向規制構造23に掛けられ、他端が浮体2に接続される。
第4の実施形態では、第1の実施形態と同様に、図10(a)に示すように枠体3aを吊り下げて風車7を搭載した浮体2を敷設場所まで曳航する。次に、巻取り機6によって線材5fを送り出すことで、図10(b)に示すように枠体3aを吊り下ろし、それぞれ海底1に着底させる。
図11(a)に示すように、枠体3aには吊り天秤16が設けられ、吊り天秤16と枠体3aの側部32aが4本の連結部材17で連結される。吊り天秤16と連結部材17、側部32aと連結部材17は、いずれもヒンジ18で接合される。ヒンジ18は、吊り天秤16や側部32aに対して連結部材17を回転可能に接合する。
また、吊り天秤16の上方には、方向規制構造23が4本の線材24で連結される。方向規制構造23は、水平材26と、水平材26の両端に設けられた滑車25とからなり、滑車25の回転軸がヒンジ18の回転軸と平行になるように配置される。方向規制構造23の2つの滑車25に線材5fを掛けることにより、枠体3aの吊り下ろし時に、吊り天秤16及び枠体3aの水中での向きを、水流等を考慮して決定した枠体3aの海底1への着底時の向きに合わせて一定に規制できる。
枠体3aを海底1に着底させたら、図10(c)に示すように、線材5fを巻取り機6でさらに送り出しながら浮体2を枠体3aの上方から退避させる。また、図11(b)に示すように吊り天秤16を枠体3aの側方に退避させる。浮体2の退避方向は、方向規制構造23の滑車25により図11(b)の矢印Hの方向に規制される。また、枠体3aに対する吊り天秤16の退避方向は、ヒンジ18で連結部材17が回転することにより浮体2の退避方向と略一致するように規制される。連結部材17は、連結部材17を吊り天秤16と枠体3aにヒンジ18で接合する連結部材退避構造によって、枠体3aの上部にかからないように側方に倒すことができる。
吊り天秤16を枠体3aの側方に退避させたら、図10(c)に示すように錘体であるコンクリートシンカ10を吊り下げた吊り治具9をクレーン台船8等で水中に吊り下ろし、枠体3aに上方からコンクリートシンカ10を設置する。そして、第1の実施形態と同様に、線材5fを巻取り機6で巻き取りながら浮体2を枠体3aの上方の位置に戻し、巻取り機6で巻き取ることによって線材5fに張力を付与し、浮体2を枠体3aに緊張係留する。
第4の実施形態においても、線材5fが海底1でひきずられることがなく、安価だが摩擦に弱いとされるロープ等を線材5fとして使用可能である。また、浮体2や吊り天秤16を退避させるので、これらがコンクリートシンカ10を枠体3aに設置する作業の妨げとならない。そのため、第1の実施形態と同様に、構成が簡単で海底1の反力を確実に確保できる重力式アンカーを低コストで構築し、浮体2を緊張係留できる。
第4の実施形態では、枠体3aが複数に分割されているので、図10に示すように海底1に不陸がある場合にも、枠体3aを海底1に確実に着底させて反力を確保することができる。また、連結部材17の退避構造と方向規制構造23を設けることにより、吊り天秤16や連結部材17を所望の方向に退避させることができる。
なお、分割された枠体は上述したものに限らない。図12は枠体3bの詳細を示す図である。図12(a)に示すように、枠体3bの底部31aと、枠体3bの上方に設けられる吊り天秤16aは、平面視において台形である。吊り天秤16aと枠体3bの側部32aは、線材である4本の連結部材17aで連結される。連結部材17aはチェーンやワイヤやロープ等である。また、吊り天秤16aの上方には方向規制構造23が連結される。方向規制構造23は、滑車25の回転軸が吊り天秤16aの底辺の34と平行になるように配置される。方向規制構造23に線材5fを掛けることにより、枠体3bの吊り下ろし時に、吊り天秤16a及び枠体3bの水中での向きを一定に制御することができる。
枠体3bを用いる場合にも、図10(c)に示すように、線材5fを巻取り機6でさらに送り出しながら浮体2を枠体3bの上方から退避させる。また、図12(b)に示すように吊り天秤16aを枠体3bの側方に(退避させる。浮体2の退避方向は、方向規制構造23の滑車25により矢印Jの方向すなわち吊り天秤16aの底辺34の長辺から短辺に向かう方向に規制される。また、枠体3bに対する吊り天秤16aの退避方向は、枠体3bと吊り天秤16aとを4本の連結部材17aで連結することにより浮体2の退避方向と略一致するように規制される。連結部材17aは、吊り天秤16aと枠体3bを台形とする連結部材退避構造によって、枠体3bの上部にかからないように側方に倒すことができる。
枠体3bは、図12(a)に示すように底部31aの下面に突起22を設けてもよい。突起22を設けることにより、枠体3bを海底1に吊り下ろした時に図12(b)に示すように突起22が海底1に貫入して水流による枠体3bの位置ずれが防止される。そのため、吊り天秤16aを退避させる際に連結部材17aが枠体3bの上部にかからないようにする連結部材退避構造をより確実に機能させることができる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………海底
2………浮体
3、3a、3b………枠体
4………フロート
5、5a、5b、5c、5d、5e、5f………線材
6………巻取り機
7………風車
8………クレーン台船
9、9a………吊り治具
10、10a………コンクリートシンカ
10b………フィルターユニット
11………フック
12、21a、21b………側面
12a、12b………傾斜面
13………滑車
14、14a、15………固定部
16、16a………吊り天秤
17、17a………連結部材
18………ヒンジ
19………回転制御装置
20………スラスタ
22………突起
23………方向規制構造
24………線材
25………滑車
26………水平材
27………ROV
28………仮固定部
29………本固定部
30………緊張係留浮体の設置構造
31、31a………底部
32、32a………側部
33………テーパガイド
34………底辺

Claims (11)

  1. 緊張係留浮体の設置方法であって、
    浮体の下方に、枠体を吊り下げた状態で敷設場所まで曳航する工程と、
    前記枠体を海底に吊り下ろす工程と、
    前記枠体と線材で連結した状態で前記浮体を退避させて、前記枠体へ上方から錘体を設置する工程と、
    前記線材に張力を付与して前記浮体を前記枠体に緊張係留する工程と、
    を具備することを特徴とする緊張係留浮体の設置方法。
  2. 前記線材は、一方の端部が巻取り装置に接続され、
    少なくとも一部の前記線材は、前記枠体の近傍に配置された滑車に掛けられ、他方の端部が前記浮体に接続され、
    前記巻取り装置によって前記線材を送り出すことで、前記枠体を海底に吊り下ろし、前記巻取り装置によって前記線材を巻き取ることによって前記線材に張力を付与することを特徴とする請求項1記載の緊張係留浮体の設置方法。
  3. 前記滑車に掛けられた前記線材は、前記滑車に対して一方の側が前記浮体に対して略鉛直に緊張され、前記滑車に対して他方の側が前記浮体に対して斜めに緊張されることを特徴とする請求項2記載の緊張係留浮体の設置方法。
  4. 前記枠体は、複数に分割されており、それぞれの前記枠体が、それぞれ前記線材によって前記浮体と連結されることを特徴とする請求項1記載の緊張係留浮体の設置方法。
  5. 前記枠体には吊り天秤が設けられ、前記吊り天秤と前記枠体とが連結部材で連結され、前記錘体を前記枠体に設置する前に、前記吊り天秤を前記枠体の側方に退避させ、
    前記吊り天秤を退避させる際に、前記連結部材が前記枠体の上部にかからないように、連結部材退避構造を有することを特徴とする請求項4記載の緊張係留浮体の設置方法。
  6. 前記吊り天秤及び前記枠体の水中での向きを一定に制御する方向規制構造を有し、
    前記吊り天秤を前記枠体の側方に退避させる際に、前記枠体に対する前記吊り天秤の退避方向を規制することが可能であることを特徴とする請求項5記載の緊張係留浮体の設置方法。
  7. 前記錘体は、フックを有するコンクリート製のブロックであることを特徴とする請求項1記載の緊張係留浮体の設置方法。
  8. 緊張係留浮体の設置構造であって、
    浮体と、
    前記浮体の下方に海底に配置される枠体と、
    前記浮体と前記枠体とを連結する複数の線材と、
    前記枠体に配置される錘体と、
    を具備し、
    前記線材に張力が付与されていることを特徴とする緊張係留浮体の設置構造。
  9. 前記線材は、一方の端部が巻取り装置に接続され、
    少なくとも一部の前記線材は、前記枠体の近傍に配置された滑車に掛けられ、他方の端部が前記浮体に接続されることを特徴とする請求項8記載の緊張係留浮体の設置構造。
  10. 前記滑車に掛けられた前記線材は、前記滑車に対して一方の側が前記浮体に対して略鉛直に緊張され、前記滑車に対して他方の側が前記浮体に対して斜めに緊張されることを特徴とする請求項9記載の緊張係留浮体の設置構造。
  11. 前記枠体は、複数に分割されており、それぞれの前記枠体が、それぞれ前記線材によって前記浮体と連結されることを特徴とする請求項8記載の緊張係留浮体の設置構造。
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