JP2024033857A - 過渡電圧保護デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】過渡電圧保護特性を向上し得る過渡電圧保護デバイスを提供する。【解決手段】過渡電圧保護デバイスは、素体2と、互いに対向するように素体2内に配置されている一対の内部電極と、一対の内部電極に接するように素体2内に配置されている放電補助部7と、を備えている。放電補助部7は、複数の金属粒子Mを有している。複数の金属粒子Mの、粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径d95は、3.5μm以下である。【選択図】図6
Description
本発明は、過渡電圧保護デバイスに関する。
知られている過渡電圧保護デバイスは、素体と、互いに対向するように素体内に配置されている一対の内部電極と、一対の内部電極に接するように素体内に配置されている放電補助部と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。放電補助部は、複数の金属粒子を有している。複数の金属粒子の平均粒径は、0.3μm以上1.5μm以下である。
本発明者らは、調査研究の結果、以下の事項を新たに見出した。放電補助部が有する複数の金属粒子の粒径は、過渡電圧保護デバイスの放電開始電圧に影響を与える。具体的には、複数の金属粒子において、規定された値より粒径の大きい金属粒子の割合が、放電開始電圧に影響を与える。複数の金属粒子において、規定された値より粒径の大きい金属粒子の割合が大きい構成では、放電開始電圧が高い。放電開始電圧が高い過渡電圧保護デバイスでは、過渡電圧保護特性が劣化するおそれがある。
上述した過渡電圧保護デバイスでは、複数の金属粒子の粒径が、平均粒径によって、規定されている。平均粒径によって複数の金属粒子の粒径が規定された場合、規定された値より粒径の大きい金属粒子の割合が増大するおそれがある。したがって、上述した過渡電圧保護デバイスでは、放電開始電圧が高い傾向にある。すなわち、複数の金属粒子の粒径が平均粒径によって規定された過渡電圧保護デバイスでは、過渡電圧保護特性が劣化するおそれがある。
本発明の一つの態様は、過渡電圧保護特性を向上し得る過渡電圧保護デバイスを提供することを目的とする。
一つの態様に係る過渡電圧保護デバイスは、素体と、一対の内部電極と、放電補助部と、を備える。一対の内部電極は、互いに対向するように素体内に配置されている。放電補助部は、一対の内部電極に接するように素体内に配置されている。放電補助部は、複数の金属粒子を有している。複数の金属粒子の、粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径d95は、3.5μm以下である。
複数の金属粒子の粒径を平均粒径で規定した場合と比して、上記粒径を粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径d95によって規定した場合では、規定された値より粒径の大きい金属粒子の割合が小さい。粒径d95においては、規定された値より大きい金属粒子の割合は5%である。
本発明者らは、過渡電圧保護特性を向上し得る過渡電圧保護デバイスについて、調査研究を行った。この結果、本発明者らは、以下の事項を新たに見出した。
放電補助部が有する、複数の金属粒子の粒径d95が3.5μm以下である場合、一対の内部電極の間において放電が生じやすく、放電開始電圧が低下する傾向がある。したがって、複数の金属粒子の粒径d95が3.5μm以下である過渡電圧保護デバイスは、過渡電圧保護特性を向上し得る。
放電補助部が有する、複数の金属粒子の粒径d95が3.5μm以下である場合、一対の内部電極の間において放電が生じやすく、放電開始電圧が低下する傾向がある。したがって、複数の金属粒子の粒径d95が3.5μm以下である過渡電圧保護デバイスは、過渡電圧保護特性を向上し得る。
上記一つの態様では、放電補助部が有する、複数の金属粒子の粒径d95は、3.5μm以下である。したがって、上記一つの態様は、過渡電圧保護特性を向上し得る。
上記一つの態様では、複数の金属粒子の粒径d95は、2.0μm以下であってもよい。
複数の金属粒子の粒径d95が2.0μm以下である構成は、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
複数の金属粒子の粒径d95が2.0μm以下である構成は、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
上記一つの態様では、素体の内部には、空洞が形成されていてもよい。一対の内部電極は、空洞に露出していてもよい。
素体の内部に空洞が形成されており、一対の内部電極が該空洞に露出している構成では、一対の内部電極間において、放電が確実に生じる。したがって、上記一つの態様は、過渡電圧保護特性を確実に向上し得る。
素体の内部に空洞が形成されており、一対の内部電極が該空洞に露出している構成では、一対の内部電極間において、放電が確実に生じる。したがって、上記一つの態様は、過渡電圧保護特性を確実に向上し得る。
本発明の一つの態様は、過渡電圧保護特性を向上し得る過渡電圧保護デバイスを提供する。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1~図4を参照して、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイス1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。図2は、素体の構成を示す分解斜視図である。図3は、一対の内部電極と放電補助部とを示す図である。図4は、本実施形態に係る過渡電圧保護デバイスの断面構成を示す図である。
図1及び図2に示されるように、過渡電圧保護デバイス1は、素体2と、一対の外部電極3,4と、一対の内部電極5,6と、放電補助部7と、を備えている。過渡電圧保護デバイス1は、不図示の電子機器に実装される。過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧から電子機器を保護する。過渡電圧保護デバイス1が保護する電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。過渡電圧は、たとえば、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)に起因する。
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状は、たとえば、角部及び稜線部が面取されている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。素体2は、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の側面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。本実施形態では、一対の端面2a,2bは第一方向D1で互いに対向し、一対の側面2e,2fは第二方向D2で互いに対向し、一対の側面2c,2dは第三方向D3で互いに対向している。一対の端面2a,2b及び四つの側面2c,2d,2e,2fは、素体2の外表面を構成している。四つの側面2c,2d,2e,2fは、それぞれ端面2a及び端面2bと隣り合うと共に、端面2aと端面2bとを接続するように第一方向D1に延在している。四つの側面2c,2d,2e,2fのうちの一側面は、過渡電圧保護デバイス1が実装される電子機器と対向する実装面として規定される。
図2に示されるように、素体2は、第三方向D3に複数の絶縁体層20が積層されて構成されている。素体2は、積層されている複数の絶縁体層20を有している。素体2では、各絶縁体層20は、各絶縁体層20の間の境界が視認できない程度に一体化されている。各絶縁体層20は、たとえば、絶縁体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体として構成されている。
絶縁体材料は、たとえば、セラミック材料を含む。セラミック材料は、たとえば、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、MnCO3、SrCO3、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZrO2、及びB2O3からなる群から選ばれる。絶縁体層20は、単独のセラミック材料からなっていてもよいし、二種類以上のセラミック材料からなっていてもよい。絶縁体層20は、ガラスを含有していてもよい。絶縁体層20は、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO又はCu2O)を含有していてもよい。
第一方向D1は、素体2の長さ方向であり、第二方向D2は、素体2の幅方向であり、第三方向D3は、素体2の高さ方向である。素体2の長さは、たとえば、0.6mm以上2.0mm以下である。素体2の幅は、たとえば、0.3mm以上1.2mm以下である。素体2の高さは、たとえば、0.2mm以上1.2mm以下である。本実施形態では、素体2の長さは1.0mmであり、素体2の幅は0.5mmであり、素体2の高さは0.5mmである。
外部電極3,4は、素体2上に配置されている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに対向するように素体2上に配置されている。外部電極3,4は、素体2の第一方向D1の両端部に配置されている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに離間している。
外部電極3は、端面2aに配置されている。外部電極3は、内部電極5と接続されている。外部電極3は、内部電極5と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極3は、端面2aを覆っている。外部電極3は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極3に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2a寄りに位置している。外部電極3は、端面2aの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2a寄りの端部とに配置されている。
外部電極4は、端面2bに配置されている。外部電極4は、内部電極6と接続されている。外部電極4は、内部電極6と物理的かつ電気的に接続されている。外部電極4は、端面2bを覆っている。外部電極4は、四つの側面2c,2d,2e,2fの各一部も覆っている。四つの側面2c,2d,2e,2fの、外部電極4に覆われている各一部は、対応する側面2c,2d,2e,2fにおいて、端面2b寄りに位置している。外部電極4は、端面2bの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2b寄りの端部とに配置されている。
内部電極5,6は、第二方向D2において、互いに対向するように素体2内に配置されている。各内部電極5,6は、第一方向D1に延在している。内部電極5は、側面2e寄りに配置されている。内部電極6は、側面2f寄りに配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3において、同じ高さ位置、すなわち、同じ積層位置に配置されている。図2に示されるように、内部電極5,6は、互いに同じ絶縁体層20上に配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3、すなわち、絶縁体層20の積層方向の略中央に配置されている。
図3に示されるように、内部電極5は、一対の端5a,5bと、互いに対向している一対の端縁5c,5dと、互いに対向している一対の面5e,5fと、を有している。一対の端縁5c,5dは第二方向D2で互いに対向し、一対の面5e,5fは第三方向D3で互いに対向している。端縁5cは内部電極6と対向している。各端縁5c,5dは、面を構成していてもよい。各端縁5c,5dは、面5e及び面5fのそれぞれと隣り合っている。内部電極5は、端面2b及び側面2c,2d,2e,2fから離間している。
端5aは、端面2aに露出している。端5aは、外部電極3と接続されている。本実施形態では、端5aは、外部電極3と直接接続されている。端5aは、外部電極3と接続されている接続端を構成する。端5aは、先端面を構成していてもよい。端5bは、端5aとは、第一方向D1において反対側に位置している。端5bは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端5bは、各端面2a,2bから離間している。本実施形態では、端5bは、内部電極5の先端だけでなく、内部電極5の先端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端5bは、第一方向D1に上記所定の長さを有している。端5bは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端5bは、外部電極4から離間しており、外部電極4と重なっていない。端5bは、内部電極5の先端のみで構成されていてもよい。この場合、端5bは、先端面のみを構成していてもよい。
図3に示されるように、内部電極6は、一対の端6a,6bと、互いに対向している一対の端縁6c,6dと、互いに対向している一対の面6e,6fと、を有している。一対の端縁6c,6dは第二方向D2で互いに対向し、一対の面6e,6fは第三方向D3で互いに対向している。端縁6cは内部電極5と対向している。各端縁6c,6dは、面を構成していてもよい。各端縁6c,6dは、面6e及び面6fのそれぞれと隣り合っている。内部電極6は、端面2a及び側面2c,2d,2e,2fから離間している。
端6aは、端面2bに露出している。端6aは、外部電極4と接続されている。本実施形態では、端6aは、外部電極4と直接接続されている。端6aは、外部電極4と接続されている接続端を構成する。端6aは、先端面を構成していてもよい。端6bは、端6aとは、第一方向D1において反対側に位置している。端6bは、素体2内に位置しており、素体2の外表面には露出していない。端6bは、各端面2a,2bから離間している。本実施形態では、端6bは、内部電極6の先端だけでなく、内部電極6の先端から所定の長さまでの領域を含む。したがって、端6bは、第一方向D1に上記所定の長さを有している。端6bは、素体2に埋まっており、素体2のみと接している。第三方向D3から見て、端6bは、外部電極3から離間しており、外部電極3と重なっていない。端6bは、内部電極6の先端のみで構成されていてもよい。この場合、端6bは、先端面のみを構成していてもよい。
外部電極3,4及び内部電極5,6は、導電材料を含んでいる。導電材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又は、Wを含む。導電材料は、たとえば、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又は、Ag/Pt合金を含んでいてもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに同じ導電材料を含んでいてもよい。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに異なる導電材料を含んでいてもよい。
外部電極3,4は、たとえば、素体2の外表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成される。外部電極3,4を形成するための導電性ペーストは、上記導電材料を含む。内部電極5,6は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された導電性ペーストを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。導電性ペーストは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。内部電極5,6を形成するための導電性ペーストも、上記導電材料を含む。
図2~図4に示されるように、放電補助部7は、素体2内に配置されている。放電補助部7は、第三方向D3から見て、矩形状を呈している。放電補助部7の平面形状は、第一方向D1に延在している一対の長辺と、第二方向D2に延在している一対の短辺と、を有する。放電補助部7の平面形状は、放電補助部7を第三方向D3から見たときの形状を示す。矩形状は、角が丸められている形状、及び、角が取られている形状を含む。放電補助部7は、素体2の外表面から離間している。放電補助部7は、素体2から露出していない。
放電補助部7は、互いに対向している一対の面7a,7bを有する。一対の面7a,7bは、第三方向D3で互いに対向している。面7aは、内部電極5,6と接している。面7aは、内部電極5の面5e及び内部電極6の面6eと接している。内部電極5,6は、面7a上に配置されている。面7aは、内部電極5,6に覆われている部分と、内部電極5,6から露出している部分と、を含む。面7bは、素体2と接している。面7bの全体は、素体2に覆われている。放電補助部7は、内部電極5,6に接していると共に内部電極5,6を互いに接続している。内部電極5と内部電極6とは、放電補助部7を介して互いに連結されている。放電補助部7は、内部電極5,6と共に、過渡電圧サプレッサを構成している。過渡電圧サプレッサは、過渡電圧吸収性能を有する。
放電補助部7の長さは、たとえば、0.03mm以上1.6mm以下である。放電補助部7の幅は、たとえば、0.03mm以上0.9mm以下である。放電補助部7の厚さは、たとえば、0.5μm以上10μm以下である。本実施形態では、放電補助部7の長さ、幅及び厚さは、それぞれ、0.5mm、0.2mm及び2μmである。放電補助部7の長さ、幅、及び厚さは、たとえば、それぞれ、第一方向D1での長さ、第二方向D2での長さ、及び第三方向D3での長さで規定される。
放電補助部7は、絶縁体及び複数の金属粒子Mを有する。絶縁体は、たとえば、セラミック材料からなる。セラミック材料は、たとえば、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO2、TiO2、MnCO3、SrCO3、CaCO3、BaCO3、Al2O3、ZrO2、及びB2O3からなる群から選ばれる。放電補助部7は、この群から選ばれる一種類のセラミック材料のみを含んでもよいし、この群から選ばれる二種類以上のセラミック材料を含んでもよい。複数の金属粒子Mは、たとえば、Pd、Ag、Au、Pt、Cu、Ir、Rh、又はそれらの合金を含む。本実施形態では、複数の金属粒子Mは、Pdである。放電補助部7は、半導体粒子を含んでもよい。半導体粒子は、たとえば、RuO2からなる。放電補助部7は、ガラスを含んでもよい。
放電補助部7は、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与されたスラリーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。スラリーは、上記セラミック材料及び複数の金属粒子Mを含む。スラリーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
図3及び図4に示されるように、素体2の内部には、空洞Sが形成されている。空洞Sは、素体2の外表面から離間している。空洞Sを画成する面は、内部電極5の端縁5c及び面5fと、内部電極6の端縁6c及び面6fと、を含む。空洞Sを画成する面は、放電補助部7の内部電極5,6から露出している部分も含む。放電補助部7の、内部電極5,6から露出している部分は、空洞Sに露出している。第三方向D3から見て、空洞Sは、放電補助部7の外縁の外側に位置している。放電補助部7の外縁は、上述した、第一方向D1に延在している一対の長辺と、第二方向D2に延在している一対の短辺と、で規定される。第三方向D3から見て、放電補助部7は、空洞Sの内側に位置している。
空洞Sは、たとえば、絶縁体グリーンシート上に付与された有機ラッカーを、絶縁体グリーンシートと共に焼成することにより形成される。空洞Sは、有機ラッカーの焼失により形成される。有機ラッカーは、有機溶剤及び有機バインダを含む。有機ラッカーは、たとえば、印刷により、絶縁体グリーンシート上に付与される。
図4に示されるように、内部電極5,6は、空洞Sに露出している。内部電極5の端縁5c及び内部電極6の端縁6cが、空洞Sに露出している。本実施形態では、端縁5cの一部及び端縁6cの一部が、空洞Sに露出している。空洞Sに露出している、端縁5cの一部と端縁6cの一部とは、空洞S内において、第二方向D2で互いに対向している。空洞Sに露出している、端縁5cの一部及び端縁6cの一部は、放電補助部7と接している。放電補助部7は、端縁5cの上記一部及び端縁6cの上記一部と接するように素体2内に配置されている。端縁5c及び端縁6cは、空洞Sに露出している部分と、空洞Sに露出していない部分と、を含む。端縁5c及び端縁6cのうち、空洞Sに露出していない部分は、素体2に覆われている。
次に、放電補助部7が有する複数の金属粒子Mの粒径d95と、放電開始電圧と、の関係について説明する。
複数の金属粒子Mの粒径d95は、以下のように規定される。
放電補助部7を有する過渡電圧保護デバイス1の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、素体2を、空洞Sが形成され、かつ、放電補助部7が配置されている位置において、第一方向D1に直交する平面で切断したときの断面を撮影することにより得られる。断面写真は、たとえば、断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
撮影された断面写真をソフトウェアにより画像処理する。画像処理により各金属粒子Mの境界を判別し、各金属粒子Mの面積を算出する。算出した各金属粒子Mの面積から、円相当径に換算した粒径をそれぞれ算出する。
算出された各粒径から金属粒子Mの粒度分布を求める。たとえば、100個の金属粒子Mの粒径を算出し、これらの金属粒子Mの粒度分布を求める。求められた粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径が、「粒径d95」として規定される。
放電補助部7を有する過渡電圧保護デバイス1の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、素体2を、空洞Sが形成され、かつ、放電補助部7が配置されている位置において、第一方向D1に直交する平面で切断したときの断面を撮影することにより得られる。断面写真は、たとえば、断面SEM(走査型電子顕微鏡)写真である。
撮影された断面写真をソフトウェアにより画像処理する。画像処理により各金属粒子Mの境界を判別し、各金属粒子Mの面積を算出する。算出した各金属粒子Mの面積から、円相当径に換算した粒径をそれぞれ算出する。
算出された各粒径から金属粒子Mの粒度分布を求める。たとえば、100個の金属粒子Mの粒径を算出し、これらの金属粒子Mの粒度分布を求める。求められた粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径が、「粒径d95」として規定される。
本発明者らは、上述した、複数の金属粒子Mの粒径d95と、放電開始電圧と、の関係を明らかにするために、以下の試験を行った。この試験では、複数の金属粒子Mの粒径d95が異なる複数のサンプル(過渡電圧保護デバイス)1~6を用意し、各サンプル1~6の放電開始電圧を測定した。各サンプル1~6は、複数の検体を含むロットである。各サンプル1~6の検体は、複数の金属粒子Mの粒径d95が異なる点を除いて、上述した過渡電圧保護デバイス1と同じ構成である。本発明者らは、放電補助部7を焼成する際の温度条件などを調節することによって、各金属粒子Mの粒径を調節し、複数の金属粒子Mの粒径d95が異なる複数のサンプル1~6を用意した。
各サンプル1~6での複数の金属粒子Mの粒径d95は、たとえば、以下のようにして求められる。
各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体が選ばれ、各検体での複数の金属粒子Mの粒径d95が上述した手法に基づいて求められる。各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体での平均値が求められる。求められた平均値が、各サンプル1~6での、複数の金属粒子Mの粒径d95とされる。断面写真の例として、図5に、サンプル5での断面SEM写真が示され、図6に、サンプル1での断面SEM写真が示される。所定個数は、たとえば、「2」である。所定個数は、「1」でもよい。
サンプル1での複数の金属粒子Mの粒径d95は、1.4μmであった。
サンプル2での複数の金属粒子Mの粒径d95は、1.6μmであった。
サンプル3での複数の金属粒子Mの粒径d95は、2.2μmであった。
サンプル4での複数の金属粒子Mの粒径d95は、3.5μmであった。
サンプル5での複数の金属粒子Mの粒径d95は、3.6μmであった。
サンプル6での複数の金属粒子Mの粒径d95は、5.0μmであった。
各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体が選ばれ、各検体での複数の金属粒子Mの粒径d95が上述した手法に基づいて求められる。各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体での平均値が求められる。求められた平均値が、各サンプル1~6での、複数の金属粒子Mの粒径d95とされる。断面写真の例として、図5に、サンプル5での断面SEM写真が示され、図6に、サンプル1での断面SEM写真が示される。所定個数は、たとえば、「2」である。所定個数は、「1」でもよい。
サンプル1での複数の金属粒子Mの粒径d95は、1.4μmであった。
サンプル2での複数の金属粒子Mの粒径d95は、1.6μmであった。
サンプル3での複数の金属粒子Mの粒径d95は、2.2μmであった。
サンプル4での複数の金属粒子Mの粒径d95は、3.5μmであった。
サンプル5での複数の金属粒子Mの粒径d95は、3.6μmであった。
サンプル6での複数の金属粒子Mの粒径d95は、5.0μmであった。
各サンプル1~6での放電開始電圧は、たとえば、以下のようにして求められる。
各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体が選ばれ、各検体での放電開始電圧が測定される。各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体での平均値が求められる。求められた平均値が、各サンプル1~6での、放電開始電圧とされる。所定個数は、たとえば、「5」である。所定個数は、「1」でもよい。
放電開始電圧は、IEC規格(IEC61000-4-2)に定められている静電気放電イミュニティ試験に基づき、接触放電にて1kV~8kVの範囲で電圧を印加し、測定した。一般的な電子機器への適用を考慮する場合、過渡電圧保護デバイスは、6kV以下の放電開始電圧を有することが望まれる。したがって、放電開始電圧が4kV以下である場合に、「良(A)」と判定し、放電開始電圧が6kV以下である場合に、「可(B)」と判定した。放電開始電圧が6kVより大きい場合に、「不可(F)」と判定した。
サンプル1の放電開始電圧は3kVであったため、サンプル1は「A」と判定された。
サンプル2の放電開始電圧は3.5kVであったため、サンプル2は「A」と判定された。
サンプル3の放電開始電圧は5.2kVであったため、サンプル3は「B」と判定された。
サンプル4の放電開始電圧は5.8kVであったため、サンプル4は「B」と判定された。
サンプル5の放電開始電圧は7.5kVであったため、サンプル5は「F」と判定された。
サンプル6の放電開始電圧は8kVであったため、サンプル6は「F」と判定された。
各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体が選ばれ、各検体での放電開始電圧が測定される。各サンプル1~6ごとに、所定個数の検体での平均値が求められる。求められた平均値が、各サンプル1~6での、放電開始電圧とされる。所定個数は、たとえば、「5」である。所定個数は、「1」でもよい。
放電開始電圧は、IEC規格(IEC61000-4-2)に定められている静電気放電イミュニティ試験に基づき、接触放電にて1kV~8kVの範囲で電圧を印加し、測定した。一般的な電子機器への適用を考慮する場合、過渡電圧保護デバイスは、6kV以下の放電開始電圧を有することが望まれる。したがって、放電開始電圧が4kV以下である場合に、「良(A)」と判定し、放電開始電圧が6kV以下である場合に、「可(B)」と判定した。放電開始電圧が6kVより大きい場合に、「不可(F)」と判定した。
サンプル1の放電開始電圧は3kVであったため、サンプル1は「A」と判定された。
サンプル2の放電開始電圧は3.5kVであったため、サンプル2は「A」と判定された。
サンプル3の放電開始電圧は5.2kVであったため、サンプル3は「B」と判定された。
サンプル4の放電開始電圧は5.8kVであったため、サンプル4は「B」と判定された。
サンプル5の放電開始電圧は7.5kVであったため、サンプル5は「F」と判定された。
サンプル6の放電開始電圧は8kVであったため、サンプル6は「F」と判定された。
上述した試験の結果、複数の金属粒子Mの粒径d95が3.5μm以下である過渡電圧保護デバイスでは、放電開始電圧が低く、一対の内部電極5,6の間において、放電が生じやすい。したがって、複数の金属粒子Mの粒径d95が3.5μm以下である過渡電圧保護デバイスは、過渡電圧保護特性を向上し得る。
複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である過渡電圧保護デバイスでは、放電開始電圧がより一層低く、一対の内部電極5,6の間において、放電がより一層生じやすい。したがって、複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である過渡電圧保護デバイスは、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である過渡電圧保護デバイスでは、放電開始電圧がより一層低く、一対の内部電極5,6の間において、放電がより一層生じやすい。したがって、複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である過渡電圧保護デバイスは、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
以上のことから、複数の金属粒子Mの粒径d95が3.5μm以下である構成が採用された過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性を向上し得る。
複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である構成が採用された過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
複数の金属粒子Mの粒径d95が2.0μm以下である構成が採用された過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性をより一層向上し得る。
過渡電圧保護デバイス1では、素体2内部に空洞Sが形成されており、一対の内部電極5,6は空洞Sに露出している。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の間において、放電が確実に生じる。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性を確実に向上し得る。
過渡電圧保護デバイス1では、一対の内部電極5,6の間において、放電が確実に生じる。したがって、過渡電圧保護デバイス1は、過渡電圧保護特性を確実に向上し得る。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
過渡電圧保護デバイス1では、素体2内部に空洞Sが形成されていなくてもよい。素体2内部に空洞Sが形成され、一対の内部電極5,6が空洞Sに露出している過渡電圧保護デバイス1は、上述したように、過渡電圧保護特性を確実に向上し得る。
過渡電圧保護デバイス1では、複数の金属粒子Mの間に空隙が存在していてもよい。数の金属粒子Mの間に空隙が存在する構成は、放電補助部7の容量を低減しつつ、過渡電圧保護特性を向上し得る過渡電圧保護特性デバイスを実現する。
1…過渡電圧保護デバイス、2…素体、5,6…内部電極、7…放電補助部、M…金属粒子、S…空洞。
Claims (3)
- 素体と、
互いに対向するように前記素体内に配置されている一対の内部電極と、
前記一対の内部電極に接するように前記素体内に配置されている放電補助部と、を備え、
前記放電補助部は、複数の金属粒子を有しており、
前記複数の金属粒子の、粒度分布における頻度の累積が95%となる粒径d95は、3.5μm以下である、過渡電圧保護デバイス。 - 前記複数の金属粒子の前記粒径d95は、2.0μm以下である、請求項1に記載の過渡電圧保護デバイス。
- 前記素体の内部には、空洞が形成されており、
前記一対の内部電極は、前記空洞に露出している、請求項1又は2に記載の過渡電圧保護デバイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022137735A JP2024033857A (ja) | 2022-08-31 | 2022-08-31 | 過渡電圧保護デバイス |
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