JP2024033571A - 粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置 - Google Patents

粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置 Download PDF

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【課題】目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる粉体量調整ユニットを提供する。【解決手段】粉体量調整ユニット11は、シート5上に供給された粉体4をならすことで粉体4の量を調整する粉体量調整ユニット11である。粉体量調整ユニット11は、少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージ1と、スキージ1の一方の端部に配置され、スキージ1の一方の端部に対して波を励振する振動子2と、を備える。振動子2は、スキージ1の前記一方の端部から他方の端部に向かう進行波を発生させる。【選択図】図3

Description

本開示は、粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置に関する。
近年、粉体を直接塗工する乾式塗工方法は、溶媒中に粉体を分散させて塗工する湿式塗工法に比べ、高性能かつ、環境負荷が小さい粉体層を形成できる工法として注目されている。乾式塗工方法によれば、(i)溶媒による粉体へのダメージが少なく、高性能を維持でき、(ii)溶媒を乾燥する必要がなく、消費エネルギー量を大幅に削減可能な粉体層を得ることができる。
粉体を乾式塗工する方法としては、従来、金属箔等の基材を搬送装置で搬送しつつ、基材の表面上に粉体を塗工する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、長尺の金属箔の表面上に、粉体を塗工する技術が開示されている。特許文献1には、金属箔の表面上に粉体を供給した後、粉体を振動するスキージによって平坦にすることにより、粉体の厚みを均一に調整することが記載されている。本明細書では、スキージを備え、金属箔等の基材上に供給された粉体をならすことで粉体量を調整する機構を粉体量調整ユニットと呼ぶこととする。
特開2021-178271号公報
乾式塗工方法によって形成される粉体層では、粉体層の品質を高めるために、目付量の均一性が求められる場合がある。
本開示は、目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる粉体量調整ユニットを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る粉体量調整ユニットは、基材上に供給された粉体をならすことで前記粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージと、前記スキージの一方の端部に配置され、前記一方の端部に対して波を励振する振動子と、を備え、前記振動子は、前記スキージの前記一方の端部から他方の端部に向かう進行波を発生させる。
本開示の一態様に係る粉体塗工装置は、基材の表面上に粉体を供給する粉体供給部と、上記粉体量調整ユニットであって、前記スキージが前記基材との間に隙間が形成されるように配置される粉体量調整ユニットと、前記スキージに対して前記基材を所定の方向に相対移動させる駆動部と、を備える。
本開示の一態様に係る粉体量調整ユニット等によれば、目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる。
図1は、粉体塗工装置の一例を示す図である。 図2Aは、図1で示される粉体塗工装置が備えるスキージを正面から見た場合を示す図である。 図2Bは、図1で示される粉体塗工装置によって塗工された粉体層を正面から見た場合を示す図である。 図3は、実施の形態に係る粉体量調整ユニットを示す斜視図である。 図4は、実施の形態に係る粉体量調整ユニットを正面から見た場合を示す図である。 図5Aは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Bは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Cは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Dは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Eは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Fは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Gは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図5Hは、実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。 図6は、実施の形態に係る粉体塗工装置の粉体量調整ユニット付近を示す図である。 図7は、実施の形態に係る粉体塗工装置を正面から見た場合を示す図である。
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
まず、本発明者らが、本開示の一態様を得るに至った経緯について説明する。
図1は、粉体塗工装置30の一例を示す図である。図2Aは、図1で示される粉体塗工装置30が備えるスキージ21をシート25の進行方向の正面から見た場合を示す図である。図2Bは、図1で示される粉体塗工装置30によって塗工された粉体層28を正面から見た場合を示す図である。また、図2Aには、スキージ21を正面から見た場合において、正弦定常波でスキージ21が共振(固有振動)する場合の振動波形が模式的に示されている。
図1に示すように、スキージ21は、例えば、図示されていない振動子等の振動発生器により超音波帯近傍の高周波(例えば、周波数2kHz以上300kHz)で振動しながらシート25上に供給された粉体24をならして、粉体層28を形成する。粉体塗工装置30では、例えば、シート25が白抜きの矢印で示される方向に移動することで、スキージ21とシート25との間に所定の間隔で設けられた空間(以降、隙間と述べる)を粉体24が通過し、粉体層28が形成される。この際、振動が粉体24に伝わり粉体24の流動性を向上させることで、粉体閉塞のない塗工を実現している。
また、図2Aに示すように、スキージ21を高周波で振動させると、スキージ21は、共振(固有振動)により、正弦定常波で振動する。そのため、スキージ21とシート25との間の隙間を通過した粉体層28の表面には、図2Bに示すように、正弦定常波状に削られた凹凸構造が形成される。そのため、粉体層28では、塗工幅方向の目付量ばらつきが大きくなる。
このように、本発明者らは、粉体層の形成において、粉体の流動性向上のためにスキージを振動させる場合に、スキージの振動に起因した粉体層の目付量ばらつきが発生しうることに着目した。そこで、本開示では、スキージを振動させる場合であっても、目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる粉体量調整ユニット等を提供する。
(本開示の概要)
以下に本開示に係る粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置の例について示す。
本開示の第1態様に係る粉体量調整ユニットは、基材上に供給された粉体をならすことで前記粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージと、前記スキージの一方の端部に配置され、前記一方の端部に対して波を励振する振動子と、を備え、前記振動子は、前記スキージの前記一方の端部から他方の端部に向かう進行波を発生させる。
これにより、少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージの端部に振動子が配置されるため、振動子が励振した波が、樹脂部材で減衰して、振動子が配置されたスキージの端部とは反対側のスキージの端部で反射しにくくなる。その結果、スキージで共振が生じにくくなり、スキージに振動子から進行する進行波が発生する。そのため、正弦定常波のような振動の腹と節とがスキージに発生しない。よって、粉体をならすことで形成される粉体層にスキージの振動に由来する凹凸が生じにくくなり、目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる。
また、例えば、本開示の第2態様に係る粉体量調整ユニットは、第1態様に係る粉体量調整ユニットであって、前記スキージは、全体が前記樹脂部材で構成される。
これにより、振動子が励振する波がより減衰しやすくなり、スキージで共振がより生じにくくなる。
また、例えば、本開示の第3態様に係る粉体量調整ユニットは、第1態様に係る粉体量調整ユニットであって、前記スキージは、前記樹脂部材と金属部材とを含む複合部材で構成される。
これにより、樹脂部材によってスキージの波を減衰させつつ、金属部材によってスキージの耐久性を高めることができる。
また、例えば、本開示の第4態様に係る粉体量調整ユニットは、第1態様から第3態様のいずれか1つに係る粉体量調整ユニットであって、前記樹脂部材は、繊維強化樹脂材料で構成される。
これにより、スキージの耐久性を高めることができる。また、繊維の含有量によって、スキージ1の波の減衰を調整することができる。
また、本開示の第5態様に係る粉体塗工装置は、基材の表面上に粉体を供給する粉体供給部と、第1態様から第4態様のいずれか1つに係る粉体量調整ユニットであって、前記スキージが前記基材との間に隙間が形成されるように配置される粉体量調整ユニットと、前記スキージに対して前記基材を所定の方向に相対移動させる駆動部と、を備える。
これにより、粉体塗工装置が上記の粉体量調整ユニットを備えるため、目付量ばらつきを低減した粉体層を形成できる。
また、例えば、本開示の第6態様に係る粉体塗工装置は、第5態様に係る粉体塗工装置であって、前記スキージを支える支柱と、前記支柱と前記スキージとの間に配置され、樹脂を含む支持部材を備え、前記支柱は、前記支持部材を介して前記スキージを支える。
これにより、樹脂を含む支持部材によって、スキージの振動による焼き付きを抑制しながら、支柱がスキージを支えることができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ(工程)、ステップ(工程)の順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡素化される場合がある。
(実施の形態)
以下では、図3から図7を参照して、実施の形態について説明する。
[粉体量調整ユニット]
まず、本実施の形態に係る粉体量調整ユニットについて図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る粉体量調整ユニット11を示す斜視図である。図4は、本実施の形態に係る粉体量調整ユニット11を正面から見た場合を示す図である。図4では、スキージ1を正面から見た場合において、進行波でスキージ1が振動する場合の振動波形が模式的に示されている。図4では、異なる線種で示された波形によって振動波形の時間変化が示されている。また、図4において、正面から見た場合とは、スキージ1に対する粉体4の相対的な移動方向において正面から見た場合である。
図3に示すように、粉体量調整ユニット11は、少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージ1と、所定の方向におけるスキージ1の一方の端部に配置され、当該一方の端部に対して波を励振する振動子2と、を備える。粉体量調整ユニット11は、スキージ1を用いてシート5上に供給された粉体4をならすことで粉体4の量を調整し、粉体層8を形成する。
本実施の形態において、スキージ1は長尺状であり、振動子2は、例えば、スキージ1の長手方向の端部に配置される。また、粉体量調整ユニット11において、振動子2は、スキージ1の長手方向の一方の端部にのみ配置され、他方の端部には振動子が配置されない。なお、本明細書において、スキージ1の「端部」とは、ある方向におけるスキージ1の先端のみを意味するものではなく、ある方向におけるスキージ1の先端から所定の範囲の領域を意味する。具体的には、本実施の形態において、「端部」は、スキージ1における粉体4が通過する領域よりも外側の領域である。また、「端部」は、ある方向におけるスキージ1の先端から、ある方向のスキージ1の長さの25%以下の範囲の領域であってもよい。また、本明細書において「長尺」であるとは、ある方向の長さが、ある方向に直交するいずれの方向の長さの2倍以上であることを意味する。
スキージ1は、振動子2による、スキージ1の一方の端部から他方の端部に向かう進行波により振動している。つまり、スキージ1において振幅が最大になる位置が経時で移動する。図3及び図4に示す例では、この進行波は、スキージ1の長手方向に進行する。粉体層8を形成する場合に、スキージ1の長手方向は、例えば、シート5の上面視において、シート5に対するスキージ1の相対的な進行方向に交差(具体的には直交)する方向である。つまり、スキージ1において、進行波の進行方向は、シート5に対するスキージ1の相対的な進行方向に交差(具体的には直交)する。
シート状の部材であるシート5)上に、シート5の上面を露出させる開口が形成されたシート状のマスク6を配置させ、マスク6の開口に粉体4を供給する。そして、粉体量調整ユニット11を移動させることで、スキージ1を用いて粉体4の膜厚及び充填率を整え、粉体4を所望の粉体量(以下、目付量)にしつつ、目付量のばらつきを少なくした粉体層8を形成する。本実施の形態において、シート5は基材の一例である。
ここで、目付量とは、単位面積当たりの粉体量を重さで示した値であり、目付量の単位は例えばg/cmで示される。
なお、粉体層8の形成において、スキージ1と粉体4とが相対的に移動していれば、粉体量調整ユニット11を移動させなくてもよい。例えば、粉体量調整ユニット11を固定しておいて、シート5及びマスク6を移動させてもよい。また、粉体量調整ユニット11、並びに、シート5及びマスク6の両方を移動させてもよい。また、これらを移動させる手段は特に制限されず、駆動装置を用いてもよく、手動であってもよい。
粉体層8の形成において、スキージ1とシート5との間に所定の隙間が形成されている。例えば、スキージ1をマスク6の上面に接触させることでスキージ1とシート5との間に隙間を形成する。つまり、マスク6の厚みによって隙間が調整される。この隙間を、シート5上に供給された粉体4が通過する。粉体4が隙間を通過する際に、スキージ1は、シート5の表面に供給された粉体4の膜厚及び充填率を整え、粉体層8の目付量ばらつきを少なくする。
本実施の形態において、シート5は、例えば、金属箔を含む集電体であるが、粉体4が供給される基材の材質及び形状は特に限定されない。
粉体4は、粉状の物質であればよい。つまり、粉体4の原料、粉体4の組成及び粉体4の粒子形状は、特に限定されない。また粉体4は、複数の原料、組成、形状の粉体が混合したものでもよい。本実施の形態では、粉体4は、活物質及び固体電解質の少なくとも一方を含む粒子群である。
粉体4の粒子径(D50)は、例えば、0.005μm以上30μm以下である。粉体4の粒子径が小さくなると、粉体4の流動性は低下しやすいが、スキージ1の振動によって粉体4の流動性が促進される。よって、粉体4の滞留及び凝集が抑制されるため、目付量ばらつきの少ない粉体層8を形成することができる。ここで、粒子径(D50)とは、レーザ回折・散乱法等による粒度分布の測定値から算出される体積基準のメディアン径である。この粒子径(D50)は、市販のレーザ解析・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、粉体4は、1種の粉体のみを含有してもよく、2種以上の粉体を含有してもよい。
以下、スキージ1及び振動子2の詳細について説明する。
[スキージ及び振動子]
スキージ1は、振動子2によって、進行波により振動するので、正弦定常波で振動する場合のようなスキージ1の振動の節と腹とが発生しない。つまり、スキージ1において振幅が最大になる位置及び最小になる位置は変化する。よって、スキージ1の振動の節と腹とに起因する目付量ばらつきが発生しないため、塗工幅方向においての目付量ばらつきの少ない粉体層8を形成できる。なお、本明細書において、粉体層8の塗工幅方向を単に「幅方向」と称する場合がある。
以下、スキージ1における進行波の発生の詳細について述べる。
上述のように、スキージ1は少なくとも一部が樹脂を含む樹脂部材で構成される。また、スキージ1の片側の端部には、波を励振する振動子2が配置され、スキージ1に接続されている。具体的には、振動子2は、スキージ1の長手方向におけるスキージ1の一方の端部に取り付けられている。これにより、振動子2から波が発振され、スキージ1内で減衰されながら波が伝搬される。そのため、スキージ1での共振が抑制されるため、スキージ1には進行波が伝搬される状態となる。つまり、振動子2は、スキージ1に対して、スキージ1の一方の端部から他方の端部に向かう進行波を発生させる。この進行波の振動を用いて粉体4をならすので、定常波の腹及び節の部分に起因する、粉体層8の幅方向の粉体目付量ばらつきを抑制することができる。つまり、粉体量調整ユニット11を用いることで、幅方向において目付量ばらつきが少ない粉体層8を形成できる。粉体層8の幅方向は、粉体層8の厚み方向、及び、粉体4に対してスキージ1が相対移動する方向に直交する方向である。
スキージ1は、少なくとも一部が樹脂を含む樹脂部材で構成される。そのため、波長の短い高周波は、樹脂によって減衰されやすく、減衰しながらスキージ1を伝搬する。ここで、金属のみからなるスキージでは、スキージ内での減衰が少なく、スキージ内で振動子側から伝搬する波と、当該波がスキージの他方の端部で反射した波とが共振してしまう。一方、少なくとも一部が樹脂を含む樹脂部材で構成されるスキージ1を用いることで、前述した共振を抑制し、スキージ1に進行波を発生させることができる。また、スキージ1は、樹脂部材と金属からなる金属部材との複合部材で構成されていてもよい。なお、本明細書において、「樹脂」の用語は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に分類される材料だけでなく、ゴム及びエラストマー等の高分子材料全般を指す用語として用いる。また、樹脂は、合成樹脂であってもよく、天然樹脂であってもよい。
樹脂部材は、例えば、含有成分の半分以上の主成分として樹脂を含む。樹脂部材は、例えば、樹脂及び樹脂用添加剤とで構成される。樹脂部材に用いられる樹脂の材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂及びポリスチレン樹脂などが挙げられる。樹脂のヤング率は、例えば、100MPa以上6000MPa以下である。これにより、樹脂がより効果的に振動を減衰できる。
また、樹脂部材は、帯電しやすく粉体4の付着を抑制するため、表面が帯電防止剤でコーティングされていてもよい。また、樹脂部材は、樹脂用添加剤として、帯電防止剤を含んでいてもよい。
また、樹脂部材は、樹脂と繊維とを含む繊維強化樹脂で構成されていてもよい。これにより、スキージ1の摩耗等を抑制し、耐久性を高めることができる。また、内部に繊維を含有させる含有量によって、スキージ1内部の波の伝搬を減衰させる効果を調整することができる。繊維としては、カーボンファイバー及びセルロースファイバー等が挙げられる。
金属部材に用いられる金属の材料としては、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅、鉄及びニッケルなどが挙げられる、耐食性が高く、錆びにくいという観点から、これらの材料の中でも、ステンレス又はチタンが用いられてもよい。また、材料としてチタンを用いる場合には、チタンが軽いため、高周波で振動しやすい。
次に、スキージの構成例について、図5Aから図5Hを用いて説明する。図5Aから図5Hはそれぞれ、本実施の形態に係るスキージの構成の一例を示す断面図である。本実施の形態に係る粉体量調整ユニット11のスキージ1は、例えば、図5Aから図5Hに示されるスキージ1Aから1Hのいずれかの構成を有する。
図5Aに示すように、スキージ1Aは、全体が樹脂部材13で構成される。スキージ1の全体に樹脂部材13を用いることで上述した共振の発生を抑制することができる。樹脂部材13は、例えば、円柱又は角柱等の長尺の柱状である。
また、図5Bに示すように、スキージ1Bは、内部の少なくとも一部に空洞113が形成された中空構造の樹脂部材13Bで構成されていてもよい。樹脂部材13Bは、例えば、樹脂部材13に対して空洞113が形成された構成を有する。空洞113により、スキージ1Bの波が減衰されやすくなり、進行波によるスキージ1Bの振動が発生しやすくなる。
空洞113は、例えば、樹脂部材13Bの中心を長手方向に貫通する貫通孔である。なお、空洞113の形状は特に制限されず、例えば、空洞113は、樹脂部材13Bを貫通していなくてもよい。
また、図5Cに示すように、スキージ1Cは、金属部材14と、金属部材14の一部に貼り付けられた樹脂部材13Cとで構成される複合部材であってもよい。この場合でも、樹脂部材13Cにより、スキージ1Cの波が減衰されて、進行波によるスキージ1Cの振動が発生しやすくなる。
金属部材14は、例えば、円柱又は角柱等の長尺の柱状である。スキージ1Cでは、振動子2は、金属部材14の一方の端部に取り付けられており、樹脂部材13Cは金属部材14の他方の端部を含む領域に貼り付けられている。金属部材14には、金属部材14の長手方向において、振動子2と樹脂部材13Cとの間に、樹脂部材13Cが貼り付けられていない領域が設けられている。ここで、樹脂部材13Cを金属部材14の表面に貼り付けて固定する方法は特に限定されないが、例えば、樹脂部材13Cが接着剤を含み、当該接着剤により金属部材14に貼り付けられる。その場合、超音波の振動で容易に剥がれないことが必要であり、必要に応じて剥がれ防止の固定機構を有してもよい。重要なのは金属部材14と樹脂部材13Cとの界面が密接していることである。また、樹脂部材13Cが、金属と親和性の高い樹脂又は金属と樹脂との接着性を高めるカップリング剤を含む等の場合には、樹脂部材13Cが金属部材14に直接貼り付けられていてもよい。
また、図5Dに示すように、スキージ1Dは、一部がくり抜かれて凹部が設けられた柱状の金属部材14Dと、当該凹部に埋め込まれた樹脂部材13Dとで構成される複合部材であってもよい。金属部材14Dは、例えば、金属部材14に対して凹部が形成された構成を有する。凹部は、例えば、金属部材14Dの長手方向に延び、金属部材14Dの表面に設けられた溝である。スキージ1Dでは、振動子2は、金属部材14Dの一方の端部に取り付けられており、樹脂部材13Dは金属部材14Dの他方の端部を含む領域に設けられた凹部に埋め込まれている。
スキージ1Dにおいても、スキージ1D内を伝搬する波を減衰させるため、金属部材14Dと樹脂部材13Dとの界面は密接させておくことが重要であり、例えば、スキージ1Cと同様の方法で金属部材14Dと樹脂部材13Dとが接着される。樹脂部材13Dが金属部材14Dの凹部に埋め込まれることにより、樹脂部材13Dが金属部材14Dから剥がれにくくなる。また、図5Eに示すスキージ1Eのように、金属部材14Dに複数の凹部が設けられ、それぞれの凹部に樹脂部材13Dが埋め込まれていてもよい。
スキージ1D及びスキージ1Eは、例えば、金属部材14に凹部を形成することで金属部材14Dを形成し、形成した凹部に樹脂部材13Dの材料(例えば樹脂を含む樹脂溶液又は樹脂融液)を流し込み、硬化させることで作製する。
また、図5Fに示すように、スキージ1Fは、空洞が設けられた金属部材14Fと、当該空洞に充填された樹脂部材13Fとで構成される複合部材であってもよい。金属部材14Fは、例えば、金属部材14に対して空洞が形成された構成を有する。空洞は、例えば、金属部材14Fの中心を長手方向に貫通する貫通孔である。なお、空洞の形状は特に制限されず、例えば、空洞は、金属部材14Fを貫通していなくてもよい。スキージ1Fの作製方法は特に限定されず、例えば金属部材14Fに形成された空洞に樹脂部材13Fの材料を圧入して作製してもよく、樹脂部材13Fの材料(例えば樹脂を含む樹脂溶液又は樹脂融液)を金属部材14Fに形成された空洞に流し込み、硬化させることで作製してもよい。スキージ1Fにおいても、金属部材14Fと樹脂部材13Fとの界面が密接していることが重要である。樹脂部材13Fが金属部材14Fの空洞に充填されることにより、金属部材14Fと樹脂部材13Fとの密着性を高めることができる。
また、図5Gに示すように、スキージ1Gは金属部材14と、金属部材14とは別の金属部材15と、金属部材14と金属部材15とを接着する接着性の樹脂部材16とで構成されていてもよい。樹脂部材16は、例えば、樹脂接着剤からなる。樹脂部材16は、金属部材14と金属部材15との間に挟まれて、金属部材14と金属部材15とに接着している。スキージ1Gでは、振動子2は金属部材14の一方の端部に取り付けられており、樹脂部材16は金属部材14の他方の端部を含む領域と金属部材15とを接着している。金属部材14には、金属部材14の長手方向において、振動子2と金属部材15との間に、金属部材15が樹脂部材16によって接着されていない領域が設けられている。スキージ1Gにおいても、金属部材14と樹脂部材16との界面、及び、金属部材15と樹脂部材16との界面は密接した構成であることが重要である。
スキージ1Gでは、金属部材14内を伝搬する波による振動のエネルギーが、金属部材14と樹脂部材16との界面、及び、金属部材15と樹脂部材16との界面における剪断力として吸収される。その結果、金属部材14内を伝搬する波が減衰する。そのため、スキージ1Gを伝搬する波を減衰させる効果が得られ、進行波が発生しやすくなる。
また、図5Hに示すように、スキージ1Hは、金属部材14Hと、金属部材15Hと、金属部材14Hと金属部材15Hとを接着する樹脂部材16とで構成される。金属部材14Hと金属部材15Hとは、金属部材14H及び金属部材15Hの長手方向の全体にわたって樹脂部材16によって接着されている。金属部材14Hと金属部材15Hとは、長手方向において、両端の位置が一致する。金属部材14Hと金属部材15Hとは、例えば、金属部材14が長手方向に沿って切断するように分割されることで形成される。そして、切断されることで形成された2つ切断面が樹脂部材16によって接着される。スキージ1Hにおいても、スキージ1Gと同様のメカニズムによって、スキージ1Hを伝搬する波を減衰させる効果が得られ、進行波が発生しやすくなる。
上記の図5Aから図5Hで示して述べた構成例は、あくまでも一例であり、スキージ1の少なくとも一部に、波の伝搬を減衰させやすい樹脂を含む樹脂部材を配置させることで、スキージ1内における波の伝搬を減衰させ、前述した共振の発生を抑制することができる。
また、スキージ1Cからスキージ1Hにおいて、減衰の効果の強弱を調整するために、樹脂部材を配置する位置および面積などは適宜調整可能である。
また、図5Aから図5Hで示される例では、各図におけるスキージの下側を粉体4が通過し、各図におけるスキージの下側の面が粉体に接する。図5Cから図5Hに示した構成例では、スキージにおける粉体4と接する面は、金属部材の表面で構成される。つまり、粉体層8の形成において、シート5と金属部材とは対面するように配置され、スキージにおけるシート5に最も近い部分は金属部材で構成される。これにより、粉体4によりスキージが摩耗することを抑制できる。
次に、再び図3及び図4を参照しながら振動子2について説明する。
振動子2は、それぞれ、例えば、複数の圧電体と、複数の圧電体のそれぞれの端面に設けられる電極を含む。振動子2において、複数の圧電体はそれぞれ、電極に挟まれており、振動子2は、圧電体と電極とのサンドイッチ構造を有する。振動子に含まれる圧電体の数は、例えば、2枚、4枚、6枚などの偶数枚である。電極は、例えば銅、リン青銅製などの薄い金属板である。
振動子2は、例えば、直接スキージ1に取り付けられる。
圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系(PbTiO-PbZrO系、通称PZT)及びチタン酸バリウム(BaTiO)などの圧電セラミックス、並びに、水晶及びLiNbOなどの圧電単結晶などが挙げられる。
圧電体がPZTなどの圧電セラミックスである場合、一枚あたりの厚さは、例えば2mm以上5mm以下である。
また、振動子2は、圧電体を金属の前面板及び裏打ち板で挟み込んだサンドイッチ構造であり、その全体の長さを半波長の長さとしたランジュバン型振動子であってもよい。この場合、ランジュバン型振動子がスキージ1に連結される。ランジュバン型振動子は、具体的には、PZTなどの圧電体の両側に配置された前面板と裏打ち板とをボルトで締めこむ構造となる。前面板及び裏打ち板はそれぞれ、例えば、ジュラルミン製である。ボルトは、例えば、鉄鋼製又はチタン合金製である。前面板の中心にはスキージ1と連結するためのネジ穴が設けられ、そのネジ穴に、スキージ1を挿入して締め込むことで、振動子2とスキージ1とを強固に密着させて連結される。これにより、振動子2で発生した振動をスキージ1に伝達できる。
振動子2は、波を励振する振動子であり、圧電体の両側の端面に設けられた金属板には、それぞれにプラスの電荷とマイナスの電荷とが加えられる。これにより、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する。具体的には、電気信号が機械振動に変換され、振動子2が高周波で振動する。この振動がスキージ1に伝搬し、スキージ1には進行波が伝わっていく。
このように、スキージ1の一方の端部に波を励振する振動子2を設け、少なくとも一部が波を減衰しやすい樹脂部材で構成されるスキージ1を設けることで、スキージ1に進行波が伝わる状態となる。これは、振動子2によって励振された波がスキージ1の他方の端部で反射し、励振された波と反射した波とが共振することで正弦定常波が発生する現象が起こりにくくなったためである。
スキージ1は、例えば、周波数2kHz以上300kHz以下で振動する。すなわち、スキージ1は、超音波帯近傍の高周波で振動する。具体的には、シート5上に供給された粉体4がスキージ1とシート5との隙間を通過する際に、スキージ1の高周波振動が、粉体4に伝わり粉体4の流動性が高まる。このため、粉体4がスキージ1とシート5との隙間を通過する際の粉体詰まりが抑制される。これは、スキージ1が高周波振動することで、スキージ1に接する粉体4は、粉体圧による摩擦抵抗を受けにくくなって流動性が高まり、その結果、粉体4の滞留及び凝集が抑制されるためである。また、スキージ1及び近傍に位置する粉体4についても、スキージ1による振動効果により粉体粒子間の摩擦力が低下して流動性が高まることで、粉体4の凝集が抑制されるためである。
粉体4の流動性は、スキージ1の振動の周波数が高いほど高くなりやすいという傾向にある。そのため、超音波帯近傍の高周波領域の2kHz以上の周波数でスキージ1を振動させることで、粉体4の流動性を十分に高めることができる。ただし、周波数が高すぎると振動が減衰しやすくなるため、スキージ1の振動が粉体4中を伝わっていきにくくなる。周波数が300kHz以下であることにより、粉体4の流動性を十分に高めることができる。
これにより、粒子径が30μm以下の流動性が低い粉体4を用いた場合でも、振動するスキージ1によって、粉体4は、滞留したり凝集したりすることが抑制されてスキージ1とシート5との隙間を通過できるので、粉体4の膜厚と充填率とが整えられる。よって目付量ばらつきの少ない粉体層8を形成することができる。
スキージ1の高周波振動の方向は、垂直方向の成分と水平方向の成分とのうちの少なくとも一つを含む。すなわち、スキージ1は、垂直方向と水平方向との少なくともいずれかの方向に振動する。
垂直方向とは、スキージ1の主面に対して垂直な方向である。スキージ1の主面は、スキージ1における粉体4に接触する面である。また、スキージ1の主面は、例えば、スキージ1の長手方向に平行であり、スキージ1におけるシート5側に配置される面である。垂直方向の振動では、粉体4に対して縦波(スキージ1が粉体4に対して近接及び離間する振動方向の波)が伝わりやすい。
スキージ1の高周波振動の垂直方向の成分は、粉体4間の摩擦抵抗低下への効果が大きい。これは、垂直方向の振動は、スキージ1から粉体4に対して近接及び離間する振動方向であるため、粉体4同士の衝突が繰り返され、粉体4に対して振動が伝わりやすくなるためである。高周波は一般に伝搬しにくいため、粉体4同士の振動が伝わり難くなるおそれがあるが、垂直方向の振動であれば、粉体4に対して特に振動が伝わりやすくなる。
また、水平方向とは、スキージ1の主面と平行、かつ、スキージ1の軸と平行な方向である。水平方向の振動では、粉体4に対して横波(スキージ1が粉体4に対して擦れあって振動する方向の波)が伝わりやすい。ここで、スキージ1の軸とは、シート5の幅方向と平行な方向の軸を意味する。スキージ1の軸は、スキージ1の長手方向と平行であってもよい。
スキージ1の高周波振動の水平方向の成分は、粉体4間の摩擦抵抗低下に加えて、スキージ1と粉体4との摩擦力低下にも大きく寄与する。垂直方向の振動成分を大きくしすぎると、粉体4に振動が伝わりすぎて粉体4が大きく振動し、膜厚ばらつきが大きくなる可能性がある。しかし、水平方向の振動成分は、スキージ1と粉体4との間の摩擦力も低下させることができるため、粉体4の流動性を特に高めることができる。
スキージ1の高周波振動の方向は、垂直方向のみであってもよく、水平方向のみであってもよい。ただし、垂直方向及び水平方向の両方の超音波帯近傍の高周波振動を併用すれば、粉体4の流動性をさらに高めることができる。例えば、一つの粉体4に着目した場合、粉体4の振動方向がランダムになり、粉体4の表面全体に振動が加わるので、振動が伝わらずに摩擦抵抗が高くなる面がなくなり、粉体4の流動性が向上するためである。
スキージ1が垂直方向及び水平方向に超音波帯近傍の高周波振動する場合、スキージ1の水平方向の振動の大きさは、例えば、スキージ1の垂直方向の振動の大きさよりも大きい。すなわち、スキージ1では、例えば、粉体4の横波成分(スキージ1が粉体4に対して擦れあって振動する方向)の振動の大きさが、粉体4の縦波成分(スキージ1が粉体4に対して近接及び離間する振動方向)の振動の大きさよりも大きい。この場合、特に摩擦抵抗が高くなりやすいスキージ1と粉体4との界面における摩擦抵抗を、スキージ1の水平方向の振動によって低減することができるとともに粉体4間の摩擦抵抗も低減できる。このため、粉体4の流動性をより高めることができる。
スキージ1の垂直方向の振動の大きさは、例えば、10nm以上である。すなわち、スキージ1の垂直方向の振幅は、例えば、10nm以上である。この場合、粉体4間の摩擦抵抗を十分低下させることができ、粉体4の流動性をより高めることができる。また、スキージ1の垂直方向の振幅は、例えば、10μm以下である。これにより、粉体4が大きく振動しすぎることにより、粉体4が粉塵となって飛散し周囲を汚染することを抑制できる。
スキージ1の水平方向の振動の大きさは、例えば、20nm以上である。すなわち、スキージ1の水平方向の振幅は、例えば、20nm以上である。この場合、スキージ1と粉体4との界面の摩擦抵抗を十分低下させることができ、粉体4の流動性をより高めることができる。また、スキージ1の水平方向の振幅は、例えば、20μm以下である。これにより、粉体4が大きく振動しすぎることにより、粉体4が粉塵となって飛散し周囲を汚染することを抑制できる。
本実施の形態に係るスキージ1は、例えば、軸方向が長尺で断面が円形の円柱状であり、例えば、円柱の軸方向(円柱の高さ方向)が、シート5の上面と平行、かつ、スキージ1に対するシート5の相対的な移動方向と交差(例えば、直交)するように配置される。スキージ1の長手方向は、円柱の軸方向である。スキージ1において、進行波は、軸方向に進行する。なお、スキージ1の形状は特に限定されるものではなく、例えば、断面が多角形である多角柱であってもよい。また、スキージ1の断面の面積は、一定でなくてもよく、スキージ1は、長手方向に沿って太さが変化してもよい。
[粉体塗工装置]
次に、本実施の形態に係る粉体塗工装置について図6及び図7を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る粉体塗工装置10の粉体量調整ユニット11付近を示す図である。図7は、本実施の形態に係る粉体塗工装置10を正面から見た場合を示す図である。なお、図6では、図7のVI-VI線における断面が示されている。また、図6では、ステージ7の図示は省略されている。また、図7では、スキージ1を正面から見た場合において、進行波でスキージ1が振動する場合の振動波形が模式的に示されている。図7では、異なる線種で示された波形によって振動波形の時間変化が示されている。また、図7において、正面から見た場合とは、スキージ1に対する粉体4の相対的な移動方向において正面から見た場合である。
図6及び図7に示すように、粉体塗工装置10は、粉体量調整ユニット11と、粉体量調整ユニット11のスキージ1を支える支柱9と、スキージ1と支柱9との間に配置される緩衝材12と、シート5を移動させる駆動部18と、粉体供給部19とを備える。粉体量調整ユニット11は、スキージ1がシート5との間に隙間が形成されるように配置される。これにより、スキージ1は、粉体供給部19によって、シート5の上に供給された粉体4の厚みを調整する。上述のように、スキージ1が金属部材を含む場合には、金属部材は、例えば、粉体4に接するように、スキージ1においてシート5(ステージ7)に最も近い部分を構成する。シート5は、例えば、ステージ7に支持される。なお、シート5は、搬送ロール等によって支持されていてもよい。
粉体塗工装置10では、駆動部18によってシート5を進行方向に沿って搬送する。粉体塗工装置10では、搬送するシート5の表面に粉体供給部19を用いて粉体4を連続的に供給する。そして、粉体塗工装置10では、スキージ1を用いて、シート5の表面に供給された粉体4の膜厚及び充填率を整え、粉体層8を所望の目付量にしつつ、目付量のばらつきを少なくする。
上述のように、粉体量調整ユニット11におけるスキージ1には進行波が伝搬される状態となっている。粉体塗工装置10では、進行波の振動を用いて粉体4をならすので、定常波の腹と節の部分に起因する、幅方向の粉体目付量ばらつきを抑制することができる。つまり幅方向において目付量ばらつきが少ない粉体層8を形成できる。
駆動部18は、例えば、シート5を所定の方向に移動させる搬送装置である。なお、搬送装置は、シート5を搬送できれば、如何様な装置を用いてもよく、特に限定されない。搬送装置は、例えば、ロール状に巻回されたシート5を連続的に繰り出すことが可能な搬送装置でもよく、シート5を断続的に繰り出すことが可能な搬送装置でもよい。
なお、シート5の搬送経路上には、シート5の移動に伴って回転するガイドローラ、及びシート5の蛇行を修正する制御装置等が設けられてもよい。また、駆動部18は、スキージ1及び粉体供給部19を移動させる装置であってもよい。つまり、駆動部18は、スキージ1及び粉体供給部19に対して、シート5を所定の方向に相対移動させる。
本実施の形態では、シート5は、例えば、長尺な帯状の薄板であり、巻回されている。なお、シート5は、長尺な帯状の薄板に限定されない。例えば、所望の形状のシート5を搬送装置から繰り出し、シート5への粉体4の塗工を終えてから、新たなシート5を搬送装置から繰り出してもよい。また、シート5は、ロール状に巻回されていなくてもよい。つまり、シート5は、粉体塗工装置10を用いて粉体4を塗工可能な形状であればよい。このため、シート5の形状は特に限定されない。
粉体供給部19は、シート5の表面上に粉体4を供給する。本実施の形態では、粉体供給部19は、例えば、ホッパである。ホッパは、その内部に粉体4を貯溜すると共に、粉体4をシート5の表面に供給する。
粉体供給部19は、スキージ1よりもシート5の進行方向における上流側に配置される。粉体供給部19によって、シート5の表面に供給された粉体4は、シート5の移動に伴ってスキージ1に到達することとなる。なお、本実施の形態では、粉体供給部19としてホッパを用いているが、これに限られず、粉体供給部19は、シート5の表面に粉体4を供給可能な装置であればよい。粉体供給部19は、例えば、スクリューフィーダ等のフィーダであってもよい。
また、スキージ1の軸方向において、振動子2が設置されているスキージ1の一方の端部と、振動子2が設置されていないスキージ1の他方の端部に、スキージ1を支える一対の支柱9が配置されている。ここで、振動子2は、例えば、スキージ1の一方の端部に配置される支柱9と、スキージ1の他方の端部に配置される支柱9との間に設置される。これにより、振動子2により発振され生成した進行波がスキージ1を伝搬して粉体4に伝わる前の伝搬経路内において支柱9が配置されないため、支柱9によるスキージ1の固定の影響を低減させ、粉体4に進行波を安定的に伝えることができる。進行波は、正弦定常波に比べ波の振幅が小さいので、このような装置構成にすることが重要である。また、一対の支柱9は、例えば、シート5が移動する領域を挟むように、ステージ7から立設している。
また、スキージ1は、緩衝材12を介して支柱9に支えられる。緩衝材12は、支持部材の一例である。スキージ1は、例えば、緩衝材12を介して支柱9に摺動可能に固定される。緩衝材12は、スキージ1の振動の支柱9への伝搬を緩衝する。
緩衝材12としては、例えば、スキージ1を水平方向(スキージ1の軸方向)に摺動させる機構を有したベアリングを用いられる。また、水平方向の摺動量は、スキージ1にストッパー等を取り付けることで調整できる。また、スキージ1の円柱の軸方向の両端を円形状のベアリングの口径に差し込む形状にし、スキージ1の径とベアリング口径との差分を調整することで、スキージの垂直方向の振動量を調整することができる。この方法で、水平方向の振幅と垂直方向の振幅との関係を調整することも可能である。
また、緩衝材12は樹脂を含んでいてもよい。例えば、緩衝材12をベアリングで構成する代わりに、緩衝材12をゴム又はエラストマーなどの樹脂で構成してもよい。例えば、スキージ1の端部を樹脂で構成される緩衝材12で包み、緩衝材12の外側を支柱9で固定する。ここで、支柱9に樹脂の圧縮量を調整する調整機構を設けることで、上述したベアリングと同様な効果が期待できる。また、樹脂による緩衝作用を利用することで、スキージ1の高周波振動による緩衝材12の焼き付きの発生を抑制できる。
なお、粉体塗工装置10は、スキージ1がシート5との間に隙間が形成されるように配置される構造であれば、支柱9を備えていなくてもよい。例えば、粉体量調整ユニット11が駆動部18によって駆動される場合には、スキージ1が駆動部18に取り付けられていてもよい。
[粉体層の製造方法]
以下、粉体層8の製造方法について説明する。粉体塗工装置10を用いれば、粉体層8を製造することができる。
粉体層8の製造方法は、集電体等のシート5を所定の方向に移動させながら、シート5の表面に粉体4を供給すること(粉体供給工程)と、シート5の表面に供給された粉体4の厚み及び目付量を、スキージ1を用いて調整すること(粉体整列工程)と、を含む。
まず、粉体4を作製する。粉体4の原料は特に限定されないが、例えば活物質及び固体電解質の少なくとも一方を含む粒子群を用いてもよい。活物質を含む粒子群を用いる場合、活物質及に適宜の添加物(例えば、結着剤、導電材及び固体電解質等)を加えたものを混合し、粉体4を作製する。混合する方法としては、例えば、乳鉢、ボールミル、ミキサー等で混合する方法がある。特に溶剤等を用いず、粉体4を混合する方法が、材料劣化がなく好ましい。
粉体供給工程では、シート5を所定の方向に移動させながら、ホッパ等の粉体供給部19を用いて、シート5の表面に粉体4を供給する。粉体4が供給される基材は、シート状以外の形状、例えば、板又はブロック形状であってもよい。この場合、粉体供給工程における基材の移動は、板又はブロックを間欠的に流す形態でもよい。
粉体整列工程は、粉体塗工装置10のスキージ1を用いて、粉体4をシート5の表面上に整列させる工程である。すなわち、粉体整列工程では、シート5の表面に供給された粉体4の厚み及び目付量を、スキージ1を用いて調整する。これにより、粉体層8が形成される。この時、スキージ1は、例えば、周波数2kHz以上300kHz以下で振動している。また、スキージ1には、スキージ1の一方の端部に配置された振動子2からスキージ1の他方の端部に向かって進行波が伝搬している。
粉体層8の製造方法は、粉体シート化工程をさらに含んでいてもよい。粉体シート化工程は、例えば、ロールプレス等のプレス機を用いて、シート5に整列させた粉体4から形成された粉体層8を圧縮する工程である。これにより、シート5の表面に粉体層8を圧縮した圧縮粉体層が形成される。
以上のように、粉体層8の製造方法において、粉体供給工程及び粉体整列工程をこの順番で行うことによって、シート5の表面に粉体4で構成された粉体層8が形成される。このような、シート5と粉体層8との積層体は、エネルギーデバイスに用いることができる。例えば、シート5として集電体を用い、粉体4として活物質を含む粒子群を用いる場合、エネルギーデバイス用の電極を製造することができる。
粉体塗工装置10を用いて作製されたエネルギーデバイスは、粉体4に流動性を付与し直接塗工された、目付量ばらつきの少ない粉体層8を有することができる。したがって、粉体層8の製造方法によれば、粉体4を溶剤等に分散させて塗工し、その後乾燥させる工程を用いずに、粉体4を直接塗工している工程を用いているので、溶剤による材料の劣化を防ぐことができ、エネルギーデバイスの高容量化につながる。また、溶剤を使用すること、及び、溶剤を乾燥することによるコストアップを抑制することができる。さらには乾燥工程におけるエネルギーの大量消費を抑制することができ、環境にもやさしい製造方法となる。一方、粉体層8の目付量の均一性が高いことで、エネルギーデバイス内の電極としての品質を高めることができ、良好な品質を有する高容量なエネルギーデバイスを低コストで製造することができる。
[粉体層]
次に、粉体塗工装置10を用いて形成される粉体層8について説明する。
本実施の形態に係る粉体層8は、例えば、全固体電池等のエネルギーデバイスに用いられる。粉体層8の膜厚は、例えば、30μm以上である。また、粉体層8は、少なくとも1種類の粒子材料で構成される粉体を含む。また、粉体層8に含まれる溶剤の濃度は50ppm以下である。また、粉体層8の目付量ばらつきは小さい。
これにより、目付量ばらつきが小さく、溶剤による劣化が抑制された粉体層8が実現される。また、溶剤の乾燥を必要としないので、溶剤を乾燥させるための消費エネルギーを削減することができるため、環境負荷を抑制し、かつ、製造コストの高騰化を抑制することができる。よって、このような粉体層8をエネルギーデバイスに用いることで、エネルギーデバイスの容量及び品質を高め、環境負荷が小さく、かつ、低コスト化を実現することができる。
なお、粉体層8は、粉体塗工装置10によって形成された粉体層8をプレスした圧縮粉体層であってもよい。
本実施の形態の粉体層8は、例えば、全固体電池に用いることができる。
以下、粉体層8を全固体電池に用いる場合の詳細について述べる。
粉体層8は、例えば、集電体であるシート5上に形成されており、全固体電池の電極(つまり、正極又は負極)に用いられる。電極は、集電体と粉体層8とを備える。
なお、電極は、集電体と粉体層8との間に位置する他の層をさらに備えていてもよい。他の層は、例えば、導電性炭素材料等からなる接続層等である。
粉体層8の膜厚は、30μm以上である。また、粉体層8の膜厚の上限値は、特に制限されないが、粉体層8の膜厚は、例えば、2000μm以下である。
また、粉体層8は、少なくとも1種類の粒子材料で構成される粉体4を含む。
粉体層8に含まれる溶剤の濃度は、50ppm以下である。つまり、粉体層8は、溶剤を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、全く含まない場合、及び、不純物等として不可避的に50ppm以下で含まれる場合を意味する。溶剤の濃度は、重量基準の濃度である。
平面視における粉体層8の大きさは、例えば、30mm×30mm以上である。平面視における粉体層8の大きさの上限は、特に制限されないが、平面視における粉体層8の大きさは、例えば、700mm×1400mm以下である。
粉体層8の表面における任意の30mm×30mmの領域において、粉体層8の目付量ばらつきは、例えば、8%以下である。
目付量の測定方法としては、例えば、以下の方法で行われる。まず、粉体層8と集電体とを上下からプレスすることで押し固め、その後、粉体層8と集電体とを直径5mm以上直径9mm以下の円形に打ち抜き、打ち抜かれた粉体層8と集電体との合計重量を測定する。そして、あらかじめ測定していた直径5mm以上直径9mm以下で打ち抜いた同ロットの集電体の重さを、上記合計重量から差し引くことで、粉体層8の重量を求める。この重量を打ち抜いた円の面積で割ることで、目付量を求めることができる。
また、目付量のばらつきの測定は、例えば、以下の方法で行われる。まず、平面視での粉体層8の表面における任意の30mm×30mmの領域を選択する。この領域は、粉体層8の表面における中央部の領域であってもよく、粉体層8の端部を含む領域であってもよい。そして、この領域の範囲内で、例えば、直径5mm以上直径9mm以下の円形で5箇所以上打ち抜いて、上述の方法を用いて目付量を測定する。ばらつきの測定の精度を高める観点から9箇所以上打ち抜いてもよい。打ち抜いた全箇所の目付量の平均と、打ち抜いた各箇所の目付量のうち最も当該平均との差が大きい箇所の目付量との差(詳細には差の絶対値)を、当該平均で割ることで目付量ばらつきが算出される。つまり、目付量ばらつきが8%以下であるとは、打ち抜いたいずれの箇所においても、目付量の当該平均との差が、当該平均の8%以下であることを意味する。
粉体層8は、上述のように、シート5の表面に供給された粉体4に高周波の振動が与えられることで、粉体4に流動性を付与しながら粉体層8における粉体4を整列させることで形成される。スキージ1が進行波により振動することで、幅方向にも粉体層8の目付量ばらつきが小さいので、大きさが30mm×30mm以上、厚みが30μm以上の粉体層8を高品質に作製することができる。このため、粉体層8を大型高容量のエネルギーデバイスに用いることができる。
また、粉体層8は、例えば、溶剤を実質的に含まない塗工工程を経て作製される。このため、溶剤を実質的に含まない粉体層8を形成できる。これにより、粉体層8には、溶剤によるダメージがない。したがって、粉体層8の劣化が抑制され、かつ、粉体層8における粉体4の目付量ばらつきが小さいので、高容量で優れた品質を有する、大型高容量のエネルギーデバイスの粉体層8が形成可能となる。
また、粉体層8は、例えば、全固体電池等のエネルギーデバイスの正極、負極、又は固体電解質層に用いることができる。
粉体層8が正極に用いられる場合は、例えば、シート5は正極集電体であり、粉体4を含む粉体層8は正極合剤層である。つまり、正極合剤層は、正極集電体上に形成される。正極合剤層における粉体4は、例えば、正極活物質と、イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。
粉体層8が負極に用いられる場合は、例えば、シート5は負極集電体であり、粉体4を含む粉体層8は負極合剤層である。つまり、負極合剤層は、負極集電体上に形成される。負極合剤層における粉体4は、例えば、負極活物質と、イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。
粉体層8が固体電解質層に用いられる場合は、例えば、粉体4を含む粉体層8は、固体電解質層である。固体電解質層は、上記の正極集電体上に形成された正極合剤層の表面又は負極集電体上に形成された負極合剤層の表面に形成される。つまり、シート5は、例えば、正極集電体上に形成された正極合剤層又は負極集電体上に形成された負極合剤層である。固体電解質層における粉体4は、例えば、イオン伝導性を有する固体電解質を含む。
上記の正極合剤層、負極合剤層及び固体電解質層に含まれる溶剤の濃度は、50ppm以下である。すなわち、正極合剤層、負極合剤層及び固体電解質層は、溶剤を実質的に含まない。ここで、溶剤を実質的に含まないとは、これらの層が溶剤を全く含まない場合、及び、これらの層で不純物等として不可避的に50ppm以下の溶剤が含まれる場合を意味する。
なお、溶剤とは、例えば、有機溶剤である。また、溶剤の測定方法は、特に限定されず、例えば、ガスクロマトグラフィー、質量変化法等を用いて測定できる。有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、キシレン及びトルエン等の無極性有機溶剤、第三級アミン系溶剤、エーテル系溶剤、チオール系溶剤及びエステル系溶剤等の極性有機溶剤、並びに、これらの組み合わせを含む。第三級アミン系溶剤の例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリアミルアミンを含む。エーテル系溶剤の例は、テトラヒドロフラン及びシクロペンチルメチルエーテルを含む。チオール系溶剤の例は、エタンメルカプタンを含む。エステル系溶剤の例は、酪酸ブチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルを含む。
次に、正極合剤層、負極合剤層、及び固体電解質層に用いられる材料の詳細について述べる。
正極活物質は、負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウム(Li)等の金属イオンが挿入又は離脱され、リチウム等の金属イオンの挿入又は離脱に伴って酸化又は還元が行われる物質である。正極活物質の種類は、全固体電池の種類に応じて適宜選択され、例えば、酸化物活物質、硫化物活物質等が挙げられる。
本実施の形態における正極活物質は、例えば、酸化物活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)が用いられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiNiPO、LiFePO、LiMnPO及びこれらの化合物の遷移金属を1又は2の異種元素で置換することによって得られる化合物等が挙げられる。上記化合物の遷移金属を1又は2の異種元素で置換することによって得られる化合物としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.5Mn1.5等、公知の材料が用いられる。正極活物質は、1種で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質の形状としては、例えば、粒子状等が挙げられる。正極活物質が粒子状である場合、正極活物質の粒子径は、例えば、50nm以上30μm以下の範囲であり、1μm以上15μm以下の範囲内であってもよい。正極活物質の粒子径を50nm以上とすれば、取扱性が良くなりやい。一方、粒子径を30μm以下とすれば、小粒径の活物質を用いることで、表面積が大きくなり、高容量な正極が得られやすい。なお、本明細書における正極合剤層又は負極合剤層に含まれる材料の粒子径は、例えば、上述したD50である。
正極活物質の表面は、コート層で被覆されていてもよい。正極活物質(例えば酸化物活物質)と固体電解質(例えば、硫化物系固体電解質)との反応を抑制することができるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物が挙げられる。コート層の平均厚さは、例えば、1nm以上20nm以下の範囲内であり、1nm以上10nm以下の範囲内であってもよい。
正極合剤層に含まれる正極活物質と固体電解質との割合は、重量換算で正極活物質/固体電解質=重量比とした場合に、重量比が1以上99以下の範囲内であってもよく、2.3以上19以下の範囲内であってもよい。この重量比の範囲内であることにより、正極合剤層内でのリチウムイオン伝導経路及び電子伝導経路の両方が確保されやすい。
負極活物質は、正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウム等の金属イオンが挿入又は離脱され、リチウム等の金属イオンの挿入又は離脱に伴って酸化又は還元が行われる物質である。
本実施の形態における負極活物質としては、例えば、リチウム、インジウム、スズ、ケイ素といったリチウムとの易合金化金属、ハードカーボン、黒鉛等の炭素材料、及び、LiTi12、SiO等の酸化物活物質等の、公知の材料が用いられる。また、負極活物質としては、上述した負極活物質を適宜混合した複合体等も用いてもよい。
負極活物質の粒子径は、例えば、30μm以下である。小粒径の活物質を用いることで、表面積が大きくなり、高容量にできる。
負極合剤層に含まれる負極活物質と固体電解質との割合は、重量換算で負極活物質/固体電解質=重量比とした場合に、例えば、重量比が0.6以上19以下の範囲内であり、1以上9以下の範囲内であってもよい。この重量比の範囲内であることにより、負極合剤層内でのリチウムイオン伝導経路と電子伝導経路の両方が確保されやすい。
固体電解質は、伝導イオン種(例えば、リチウムイオン)に応じて適宜選択すればよい。固体電解質としては、例えば、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とハロゲン化物系固体電解質とが挙げられる。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の種類は特に限定しないが、硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P及びLiS-P等が挙げられる。特に、リチウムイオン伝導性が優れている観点から、硫化物系固体電解質は、Li、P及びSを含んでもよい。硫化物系固体電解質は、1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、硫化物系固体電解質は、結晶質であってもよく、非晶質であってもよく、ガラスセラミックスであってもよい。なお、上記「LiS-P」の記載は、LiS及びPを含む原料組成を用いてなる硫化物系固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
本実施の形態においては、硫化物系固体電解質の一形態は、LiS及びPを含む硫化物ガラスセラミックスであり、LiS及びPの割合は、モル換算でLiS/P=モル比とした場合、例えば、モル比が2.3以上4以下の範囲内であり、3以上4以下の範囲内であってもよい。このモル比の範囲内であることにより、電池特性に影響するリチウム濃度を保ちながら、イオン伝導性の高い結晶構造とすることができる。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状等が挙げられる。硫化物系固体電解質材料が粒子形状である場合、硫化物系固体電解質の粒子径は、特に限定されるものではないが、正極又は負極内の充填率を向上させやすくなるため、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。一方、硫化物系固体電解質の粒子径は、0.001μm以上であってもよく、0.01μm以上であってもよい。
次に、本実施の形態における酸化物系固体電解質について説明する。酸化物系固体電解質の種類は特に限定しないが、LiPON、LiPO、LiSiO、LiSiO、Li0.5La0.5TiO、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、La0.51Li0.34TiO0.74、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。酸化物系固体電解質は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、正極集電体及び負極集電体の詳細について述べる。
本実施の形態における正極は、例えば、金属箔等からなる正極集電体を備える。正極集電体には、例えば、アルミニウム、金、白金、亜鉛、銅、ステンレス(SUS)、ニッケル、スズ、チタン、又は、これらの2種以上の合金等からなる箔状体、板状体、網目状体等が用いられる。
また、正極集電体の厚さ及び形状等については、正極の用途に応じて適宜選択してもよい。
本実施の形態における負極は、例えば、金属箔等からなる負極集電体を備える。負極集電体には、例えば、SUS、金、白金、亜鉛、銅、ニッケル、チタン、スズ、又は、これらの2種以上の合金等からなる箔状体、板状体、網目状体等が用いられる。
また、負極集電体の厚さ及び形状等については、負極の用途に応じて適宜選択してもよい。
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したもの、及び、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、スキージ1は、超音波帯近傍の高周波で振動したが、これに限らない。スキージ1の振動の周波数は、粉体4の特性に応じて設定されればよく、例えば、2KHz以下であってもよい。
本開示に係る粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置は、溶剤を用いずに膜厚のばらつきが少なく均一な粉体層を形成できるため、高品質な全固体電池の合剤層等の様々な粉体層の形成に用いることができる。
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、21 スキージ
2 振動子
4、24 粉体
5、25 シート
6 マスク
7 ステージ
8、28 粉体層
9 支柱
10、30 粉体塗工装置
11 粉体量調整ユニット
12 緩衝材
13、13B、13C、13D、13F、16 樹脂部材
14、14D、14F、14H、15、15H 金属部材
18 駆動部
19 粉体供給部
113 空洞

Claims (6)

  1. 基材上に供給された粉体をならすことで前記粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、
    少なくとも一部が樹脂部材で構成されるスキージと、
    前記スキージの一方の端部に配置され、前記一方の端部に対して波を励振する振動子と、を備え、
    前記振動子は、前記スキージの前記一方の端部から他方の端部に向かう進行波を発生させる
    粉体量調整ユニット。
  2. 前記スキージは、全体が前記樹脂部材で構成される
    請求項1に記載の粉体量調整ユニット。
  3. 前記スキージは、前記樹脂部材と金属部材とを含む複合部材で構成される
    請求項1に記載の粉体量調整ユニット。
  4. 前記樹脂部材は、繊維強化樹脂材料で構成される、
    請求項2に記載の粉体量調整ユニット。
  5. 基材の表面上に粉体を供給する粉体供給部と、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の粉体量調整ユニットであって、前記スキージが前記基材との間に隙間が形成されるように配置される粉体量調整ユニットと、
    前記スキージに対して前記基材を所定の方向に相対移動させる駆動部と、を備える
    粉体塗工装置。
  6. 前記スキージを支える支柱と、
    前記支柱と前記スキージとの間に配置され、樹脂を含む支持部材を備え、
    前記支柱は、前記支持部材を介して前記スキージを支える
    請求項5に記載の粉体塗工装置。
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