JP2024061451A - 粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部材上に形成される粉体層の目付量のばらつきを抑制することができる粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置を提供する。【解決手段】粉体量調整ユニット11は、シート5上に供給された粉体4をならすことで粉体4の量を調整する粉体量調整ユニットであって、複数の振動子6a~6dと、複数の振動子6a~6dと直接的又は間接的に接続されているスキージ3と、複数の振動子6a~6dのそれぞれを制御する制御部10とを備える。また、複数の振動子6a~6dには、互いに異なる周波数で振動する振動子が含まれる。また、制御部10は、複数の振動子6a~6dのうち、制御している所定の振動子を別の振動子を制御することに切り替える。そして、スキージ3は、複数の振動子6a~6dによって、中心周波数に対して-50%以上+50%以下の範囲で周波数が切り替わり、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下で固有振動する。【選択図】図1

Description

本開示は、粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置に関する。
近年では、粉体を直接塗工する乾式塗工方法は、溶媒中に粉体を分散させて塗工する湿式塗工法に比べ、高性能かつ、環境負荷が小さい粉体層を形成できる工法として注目されている。乾式塗工方法によれば、溶媒による粉体への材料ダメージが少なく、高性能を維持でき、溶媒を乾燥する必要がなく、消費エネルギー量を大幅に削減可能な粉体層を得ることができる。
粉体の乾式塗工方法としては、従来、金属箔等のシートを搬送装置で搬送させつつ、シートの表面上に粉体を塗工する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、長尺の金属箔の表面上に、粉体を塗工する技術が開示されている。特許文献1には、金属箔の表面上に粉体を供給した後、粉体をスキージによって平坦にすることにより、粉体の厚みを均一に調整することが記載されている。ここで、図5は、従来の粉体塗工装置30のスキージ23を示す概略図である。また、図6は、従来のスキージの振動状態、及び粉体層を示す概略図である。具体的には、図6の(a)は、スキージ23を正面から見た場合において、正弦定常波でスキージ23が共振(固有振動)する場合を示した図である。また、図6の(b)は、シート25に塗工された粉体層28を正面から見た場合を示す図である。
図5に示すように、スキージ23は、振動子により超音波帯近傍の高周波(周波数2(kHz)以上300(kHz)以下の間)で振動することで、振動が粉体24に伝わる。これにより、振動するスキージ23が粉体24の流動性を向上させることで、粉体閉塞のない塗工を実現している。
図6の(a)に示すように、スキージ23を高周波で振動させると、スキージ23は、共振(固有振動)により、正弦定常波で振動する。これにより、スキージ23の間隔を通過した粉体層28には、図6の(b)に示したように、正弦定常波状に削られた凹凸構造が形成される。
なお、粉体塗工装置30に含まれるユニットであって、粉体24をスキージ23でならすことでシート25に塗工された粉体量を調整するユニットを、粉体量調整ユニットとよぶことがある。このような粉体量調整ユニットは、スキージ23を振動させる振動子を含んでいる。
特開2021-178271号公報
しかしながら、特許文献1では、シートに塗工された粉体層の目付量にばらつきが発生してしまうため、目付量の均一性が求められる場合には、改善の余地がある。
そこで、本開示は、部材上に形成される粉体層の目付量のばらつきを抑制することができる粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る粉体量調整ユニットは、部材上に供給された粉体をならすことで前記粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、複数の振動子と、前記複数の振動子と直接的又は間接的に接続されているスキージと、前記複数の振動子のそれぞれを制御する制御部とを備え、前記複数の振動子には、互いに異なる周波数で振動する振動子が含まれ、前記制御部は、前記複数の振動子のうち、制御している所定の振動子を別の振動子を制御することに切り替え、前記スキージは、前記複数の振動子によって、中心周波数に対して-50%以上+50%以下の範囲で周波数が切り替わり、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下で固有振動する。
また、本開示の一態様に係る粉体塗工装置は、粉体量調整ユニットであって、前記スキージと前記部材との間に隙間が形成されるように前記スキージが配置される粉体量調整ユニットと、前記部材の表面上に前記粉体を供給する粉体供給部と、前記スキージに対して前記部材を所定の方向に相対移動させる駆動部と、を備える。
本開示の粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置によれば、部材上に形成される粉体層の目付量のばらつきを抑制することができる。
図1は、本開示の一実施の形態に係るスキージの振動状態と、塗工された粉体層とを示す概略図である。 図2は、本開示の一実施の形態に係るスキージの振動状態を示す概略図である。 図3は、本開示の一実施の形態に係る粉体量調整ユニットを示す概略図である。 図4は、本開示の一実施の形態に係るスキージと粉体とを示す概略図である。 図5は、従来の粉体塗工装置のスキージの一部を示す概略図である。 図6は、従来のスキージの振動状態、及び粉体層を示す概略図である。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
また、以下の実施の形態において、略平行及びシート状等の表現を用いている。例えば、略平行又はシート状は、完全に平行又はシートであることを意味するだけでなく、実質的に平行又はシートである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行又はシートは、本開示による効果を奏し得る範囲において平行又はシートという意味である。他の「略」又は「状」を用いた表現についても同様である。
(概要)
以下、本開示に係る粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置について示す。
本開示の一態様に係る粉体量調整ユニットは、部材上に供給された粉体をならすことで粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、複数の振動子と、前記複数の振動子と直接的又は間接的に接続されているスキージと、前記複数の振動子のそれぞれを制御する制御部とを備え、前記複数の振動子には、互いに異なる周波数で振動する振動子が含まれ、前記制御部は、前記複数の振動子のうち、制御している所定の振動子を別の振動子を制御することに切り替え、前記スキージは、前記複数の振動子によって、中心周波数に対して-50%以上+50%以下の範囲で周波数が切り替わり、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下で固有振動する。
これにより、スキージが振動したときの正弦定常波における腹の部分と節の部分との位置が移動するので、粉体層の幅方向における目付量のばらつきを抑制することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
以下では、図1~図4を参照して、本実施の形態について説明する。
図1は、本開示の一実施の形態に係るスキージ3の振動状態と、塗工された粉体層8とを示す概略図である。また、図2は、本開示の一実施の形態に係るスキージ3の振動状態を示す概略図である。また、図3は、本開示の一実施の形態に係る粉体量調整ユニット11を示す概略図である。また、図4は、本開示の一実施の形態に係るスキージ3と粉体4とを示す概略図である。
図1の(a)は、スキージ3を正面から見た場合に高周波によるスキージ3の振動状態を示す図であり、図1の(b)は、スキージ3における高周波の振動状態を波長ごとに分解した図であり、図1の(c)は、塗工された粉体層8を正面から見た場合を示す図である。図2は、周波数が切り替えるときの様子を示した図である。図3の(a)は粉体量調整ユニット11を上から見た場合を示す図であり、図3の(b)は、粉体量調整ユニット11を横から見た場合を示す図である。図4の(a)は、スキージ3と粉体4とを横から見た場合を示す概略図であり、図4の(b)は、スキージ3と粉体4とを上から見た場合を示す概略図である。
[粉体量調整ユニット11]
まず、粉体量調整ユニット11について説明する。
図3の(a)、(b)、図4の(a)、(b)に示すように、粉体量調整ユニット11は、シート状の部材(以下、シート5ともいう)を用いてシート5上に供給された粉体4をスキージ3でならすことで、シート5上における粉体4の量を調整し、粉体4の量が調整された粉体層8を形成する。本実施の形態では、シート5が進行方向に移動するため、スキージ3は、シート5上に供給された粉体4をならすことができる。
粉体量調整ユニット11は、スキージ3と、振動子6a~6dと、制御部10とを備えている。
スキージ3は、長尺な柱状をなしており、シート5から所定距離離間した状態で配置されている。スキージ3は、スキージ3の軸方向(長手方向)がシート5の表面と略平行な姿勢となるように配置される。
スキージ3は、振動子6a~6dと直接的又は間接的に接続されている。本実施の形態では、スキージ3は、継手9を介して振動子6aと接続され、別の継手9を介して振動子6bと接続され、さらに別の継手9を介して振動子6cと接続され、さらに別の継手9を介して振動子6dと接続されている。このため、スキージ3は、振動子6a~6dのうちの少なくとも一つが振動することで、それぞれの継手9を介して振動させられる。
複数の振動子6a~6dには、互いに異なる周波数で振動する振動子が含まれている。本実施の形態では、それぞれの振動子6a~6dは、励振する周波数帯が異なる。それぞれの振動子6a~6dのうち、振動子6aは最も周波数が低い領域で動作し、振動子6b、振動子6c、振動子6dのこの順で周波数が次第に高くなる。振動子6a~6dは、それぞれの周波数の領域で動作する。
振動子6a~6dは、制御部10に接続されている。制御部10は、複数の振動子6a~6dのそれぞれに制御信号を出力することで、複数の振動子6a~6dのそれぞれを制御する。具体的には、制御部10は、複数の振動子6a~6dのうちから動作させる振動子を切り替える。つまり、制御部10は、複数の振動子6a~6dのうちの制御している所定の振動子を別の振動子を制御することに切り替える。一つの振動子では動作できる周波数帯が限られているため、複数の振動子6a~6dのうちから動作させる振動子を切り替えることで、複数の振動子6a~6dによって、図1の(a)、(b)に示すように、スキージ3が振動する周波数を広範囲に変化させることができる。
図4の(a)、(b)に示すように、粉体量調整ユニット11は、シート5上に粉体4を供給し、スキージ3とシート5との間隔を一定に保ちながら、シート5を進行方向に移動させる。これにより、シート5上の粉体4が進行方向に移動し、粉体4がスキージ3にならされることで、粉体層8がシート5上に形成される。具体的には、スキージ3とシート5との間を粉体4が通過する際に、シート5上における粉体4の厚さ、シート5上における粉体4の充填状態がスキージ3に整えられる。このため、スキージ3上において、粉体4を所望の粉体量(以下、目付量ともいう)にしつつ、目付量のばらつきが少なくなるように粉体層8が形成される。
ここで、目付量とは、単位面積当たりの粉体量を重さで示した値であり、目付量の単位は例えばg/cmで示される。
なお、スキージ3と粉体4とが相対的に移動していればよい。具体的には、本実施の形態のように、スキージ3を固定しておいて、スキージ3に対してシート5を移動させてもよい。また、別の一例として、シート5を固定しておいて、粉体量調整ユニット11つまりスキージ3をシート5に対して移動させてもよい。さらに、別の一例として、粉体量調整ユニット11及びシート5の両方を移動させてもよい。
スキージ3はシート5から所定距離離間した状態で配置されている、つまりスキージ3とシート5との間に所定の間隔が形成されている。シート5を移動させることで、シート5に供給された粉体4は、この間隔を通過する。粉体4がこの間隔を通過する際に、スキージ3は、シート5の表面に供給された粉体4の膜厚と充填率とを整えることで、シート5上に形成する粉体層8の目付量のばらつきを少なくする。
本実施の形態において、シート5は、金属箔を含む集電体である。なお、シート5の材質は、集電体に限定されず、公知の材質を用いることができる。
粉体4は、粉状の物質であればよい。つまり、粉体4の原料、粉体4の組成、及び粉体4の粒子形状は、特に限定されない。本実施の形態では、粉体4は、固体電解質を含む粒子群である。
粉体4の粒子径(D50)は、例えば、0.005(μm)以上30(μm)以下であることが好ましい。この場合、粉体4の粒子径が小さくなるほど、粉体4の流動性は低下しやすいが、スキージ3の振動によって粉体4の流動性が促進される。よって、粉体4の滞留及び凝集が抑制されるため、目付量のばらつきの少ない粉体層8を形成することができる。ここで、粒子径(D50)とは、レーザ回折・散乱法等による粒度分布の測定値から算出される体積基準のメディアン径である。この粒子径(D50)は、市販のレーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、粉体4は、1種類の粉体のみを含有してもよく、2種類以上の粉体を含有してもよい。
[スキージ3を振動させる周波数]
次に、スキージ3を振動させる周波数について説明する。
スキージ3は、例えば、複数の振動子6a~6dによって、中心周波数-50%以上+50%以下の範囲で周波数が切り替わり、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下の間で別々に固有振動する。すなわち、スキージ3は、超音波帯近傍の高周波で振動する。具体的には、シート5上に供給された粉体4がスキージ3とシート5との間の間隔を通過する際に、スキージ3の振動が粉体4に伝わることで、粉体4の流動性が高まる。このため、粉体4がスキージ3とシート5との間の間隔を通過する際の粉体詰まりが抑制される。
これは、スキージ3が高周波で振動することで、スキージ3に接する粉体4は粉体圧による摩擦抵抗を受けにくくなる。これにより、スキージ3に接する粉体4の流動性が高まることで、粉体4の滞留及び凝集が抑制される。
また、スキージ3の近傍に位置する粉体4についても、スキージ3の振動により、粉体粒子間の摩擦力が低下して流動性が高まることで、粉体4の凝集が抑制される。
粉体4の流動性は、スキージ3の振動の周波数が高いほど高くなりやすいという傾向にある。そのため、超音波帯近傍の高周波領域である2(kHz)以上の周波数でスキージ3を振動させれば、粉体4の流動性を十分に高めることができる。ただし、周波数が高くなるほど振動は減衰する傾向にあるため、スキージ3の振動が粉体4中を伝わり難くなる。しかし、周波数が300(kHz)以下であれば、粉体4の流動性を十分に高めることができる。
これにより、粒子径が30(μm)以下の流動性が低い粉体4を用いた場合でも、振動するスキージ3によって、粉体4は、滞留したり凝集したりすることなくスキージ3とシート5との間の間隔を通過できる。これにより、粉体4の膜厚と充填率とを整えることができる。よって、シート5上に目付量のばらつきの少ない粉体層8を形成することができる。
[スキージ3の振動]
次に、スキージ3の振動について説明する。
図1の(a)~(c)及び図2に示すように、スキージ3は、複数の周波数が異なる正弦定常波で、共振(固有振動)している。スキージ3は、複数の周波数の異なる振動が切り替ることによって振動している。
例えば、振動1cを中心周波数とした場合、振動1aの場合に振動1cの中心周波数に対して1/2の周波数、振動1bの場合に振動1cの中心周波数に対して3/4の周波数、振動1dの場合に振動1cの中心周波数に対して5/4の周波数、振動1eの場合に振動1cの中心周波数に対して3/2の周波数となるように、スキージ3が振動する。
具体的には、振動1cを中心周波数40(kHz)とした場合、振動1aの周波数が20(kHz)、振動1bの周波数が30(kHz)、振動1dの周波数が50(kHz)、振動1eの周波数が60(kHz)となるように、スキージ3が振動する。
周波数の範囲は、中心周波数に対し、-30%以上+30%以下が好ましく、-50%以上+50%以下が更に好ましい。このように周波数範囲が広いと、スキージ3が振動するそれぞれの周波数において、正弦定常波の凹凸の箇所(腹の部分)が異なって分布するので、シート5上に供給された粉体4によって形成された粉体層8を均一にならすことができる。
詳細を述べると、正弦定常波の形状に伴って振動するスキージ3によって、シート5上に供給された粉体4によって形成された粉体層8の表面が削り取られる。これは、正弦定常波の振幅がない節の部分に比べ、正弦定常波の腹の部分は大きく振幅しているからである。このため、正弦定常波の腹の部分に対応する粉体層8は、正弦定常波の節の部分に対応する粉体層8に比べ、スキージ3によって多く削り取られる。
また、異なる周波数成分の振動は、正弦定常波における腹の部分と正弦定常波における節の部分とが異なる。よって、それぞれの異なる周波数成分によって振動するスキージ3は、ある周波数成分の振動によって目付量が多くなった粉体層8の部分、つまり正弦定常波における節の部分に対応する粉体層8を削り取る。また、目付量が少なくなった部分、つまり他の周波数成分で振動したときの正弦定常波の腹の部分に、スキージ3で削り取られた粉体層8の部分が補完される。このようにして、粉体4を均一にならすことができる。
スキージ3が振動する周波数の変化の度合いが小さい場合、正弦定常波の凹凸の箇所が、近い場所に発生するので、粉体4を均一にならす効果が小さくなる。この周波数の変化を中心周波数に対して-30%以上+30%以下にすることで、効果を得ることができ、更に-50%以上+50%以下にすると均一にする効果は向上する。シミュレーションによると、この周波数を-50%以上+50%以下にすることで、幅方向の目付量ばらつきを、50%低減できることが判っている。
スキージ3は、複数の周波数によって、異なる振動をしている。図2に示すように、周波数が別の周波数に切り替わる時に、切り替え前と切り替え後との周波数差が大きくならないように周波数が切り替わる。具体的には、スキージ3は、第1周波数と第1周波数よりも高い第2周波数との間をシーケンシャル(周波数順)に往復するように固有振動する。
例えば、周波数が切り替わることで、振動1a→振動1b→振動1c→振動1d→振動1e→振動1d→振動1c→振動1b→振動1a(以下繰り返し)の順で、スキージ3の振動が切り替わる。
周波数の切り替え時に、例えば振動1e→振動1aの場合のように周波数差が大きいと、スキージ3の振動状態が不安定となり、スキージ3が周波数の変化に伴う振動を行い難くなることがある。このため、周波数を順に切り替えることで振動1a~1eを安定させる。切り替え後の周波数は、切り替え前の周波数の33%以上300%以下であることが好ましい。これによりスキージ3の振動は安定する。
周波数の異なる振動の切り替えは、周波数が異なるそれぞれの振動子6a~6dのうち、振動子を別の振動子に切り替えることで行う。
図2及び図3の(a)に示すように、振動子6a~6dを用いる。振動子6aは振動1aに対応し、振動子6bは振動1bに、振動子6cは振動1cに対応する。また、例えば2つの振動成分を、1つの振動子で発生させてもよい。例えば、図2及び図3の(b)に示すように、振動子6dは、振動1dと振動1eとに対応してもよい。
複数の振動子6a~6dの対応する周波数は、低い方から振動子6a、振動子6b、振動子6c、振動子6dと高い方へ対応する。
制御部10は、動作する複数の振動子6a~6dを切り替えるように制御する。制御部10が振動子6a~6dを制御することで、スキージ3は、第1周波数と第2周波数との間をシーケンシャル(周波数順に)に往復するように振動する。このため、振動子6a~6dは、振動子6a→振動子6b→振動子6c→振動子6d→振動子6c→振動子6b→振動子6a(以下繰り返し)の順で振動する。
これにより、粉体層8の幅方向における目付量のばらつきが抑制された塗工をすることができる。その結果、品質の良い粉体層8を形成することができる。
また、それぞれの振幅の大きさは同等であることが好ましいが、振幅の大きさの比(最小の振幅/最大の振幅)が0.5以上1以下となってもよい。これは、振幅に大きい成分があると、その成分による影響が強くなるが、それぞれの振幅の大きさが等しいと、それぞれの振動成分によって形成された粉体層8の凹凸を均等にならすことができるためである。
本実施の形態のように、同一スキージ3を複数の周波数で振動させることで、省スペース化が可能となる。これは、5本の周波数成分の異なるスキージを粉体4の進行方向に沿って並べる方法も可能であるが、本実施の形態では、スキージが1本で行える。このため、スキージを5本並べる場合に比べて粉体量調整ユニット11の省スペース化を実現することができる。
スキージ3が振動するときの振幅の大きさは、10(nm)以上であることが好ましい。この場合、粉体層8の表層における粉体4間の摩擦抵抗を十分に低下させることができるため、粉体4の流動性をより高めることができる。また、スキージ3が振動するときの振幅の大きさは、例えば、10(μm)以下であってもよい。この場合、粉体4が大きく振動しすぎることにより、粉体4が粉塵となって飛散し周囲を汚染することを抑制できる。
[スキージ3の材料及び形状]
次に、スキージ3の材料及び形状について説明する。
スキージ3は、例えば、金属材料で形成されている。スキージ3に金属材料を用いることで、高周波がさほど減衰することなくスキージ3を伝搬する。波長の短い高周波は減衰しやすいという性質があるが、金属材料には波が伝わりやすい性質があるため、金属材料を用いたスキージ3は高周波の減衰を抑制できる。このため、スキージ3の軸方向における一方側と他方側において、振動状態が略均一となるため、粉体層8の幅方向における、粉体層8の目付量のばらつきが抑制される。
金属材料としては、例えば、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル等が用いられる。特に、金属材料としては、耐食性が高く、錆びにくいという観点から、ステンレス又はチタンが好ましい。また、チタンは、軽く超音波で振動しやすいため、金属材料として用いる場合により好ましい。
なお、スキージ3には、金属材料以外の材料で形成されていてもよい。例えば、スキージ3は、樹脂材料又はセラミックス材料で形成されていてもよく、金属材料、樹脂材料及びセラミックス材料のうちから2以上の材料を選択的に用いた複合部材で形成されていてもよい。
スキージ3は、例えば、所定の方向に沿って延びた長尺の円柱状である。スキージ3は、例えば、スキージ3の軸方向(円柱の長手方向)が、シート5の表面と略平行、かつ、シート5の移動方向と交差するように配置される。本実施の形態では、スキージ3は、シート5の移動方向と、略直交するように配置されている。
[振動子6a~6d]
次に、複数の振動子6a~6dについて説明する。
複数の振動子6a~6dのそれぞれは、複数の圧電体と、複数の圧電体のそれぞれの端面に設けられる電極とを有する。複数の振動子6a~6dにおいて、複数の圧電体のそれぞれは、電極に挟まれている。つまり、複数の振動子6a~6dのそれぞれは、圧電体と電極とのサンドイッチ構造となっている。例えば、圧電体の数は、2枚、4枚、6枚等の偶数枚である。電極は、例えば銅、リン青銅製などの薄い金属板である。
圧電体としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系(PbTiO-PbZrO系、通称PZT)、及び、チタン酸バリウム(BaTiO)等の圧電セラミックスを用いてもよい。また、圧電体としては、例えば、水晶、及び、LiNbO等の圧電単結晶を用いてもよい。
圧電体が圧電セラミックス(例えばPZT)の場合、圧電体は、一枚あたりおよそ2(mm)以上5(mm)以下の厚みである。
また、複数の振動子6a~6dのそれぞれは、圧電体を金属の前面板及び金属の裏打ち板で挟み込んだサンドイッチ構造をなし、その全体の長さを、半波長の長さとしたランジュバン型振動子であってもよい。
具体的には、ランジュバン型振動子は、PZT等の圧電体の両側に配置された、金属の前面板と金属の裏打ち板とをボルトで締め込む構造となっている。金属の前面板と金属の裏打ち板とは、ジュラルミン製である。ボルトは、鉄鋼製又はチタン合金製等である。金属の前面板の中心には、継手9と連結するためのネジ穴が形成されており、そのネジ穴に、継手9が挿入されて締め込まれ、複数の振動子6a~6dのそれぞれと継手9とを強固に密着させて連結している。これにより、複数の振動子6a~6dのそれぞれから発生した振動を、継手9を介してスキージ3に伝達できる。
複数の振動子6a~6dのそれぞれは、波を励振させる振動子であり、圧電体における両側の端面に設けられた薄い金属板には、それぞれにプラス極の電荷とマイナス極の電荷とが加えられる。これにより、電気エネルギーが機械エネルギーに変換される。電気信号が機械振動に変換されることで、複数の振動子6a~6dのそれぞれが高周波で振動する。この振動は、スキージ3に伝搬する。
複数の振動子6a~6dのそれぞれが長尺な場合、PZT等の圧電体の分極方向は、複数の振動子6a~6dがそれぞれの長手方向に伸縮する構造となるように、複数の振動子6a~6dがそれぞれの長手方向と一致していることが好ましい。この場合、図3の(b)に示すように、複数の振動子6a~6dのそれぞれの振動方向は、複数の振動子6a~6dのそれぞれの長手方向になるので、発生させた振動の振動方向をコントロールしやすくなる。
[粉体塗工装置15]
次に、粉体塗工装置15について図4を用いて説明する。
図4の(a)、(b)に示すように、粉体塗工装置15は、粉体量調整ユニット11と、シート5を移動させる搬送装置である駆動部13と、粉体供給部12とを備えている。粉体量調整ユニット11は、スキージ3とシート5との間に隙間が形成されるようにスキージ3を配置している。つまり、粉体量調整ユニット11のスキージ3は、粉体供給部12によって、シート5上に供給された粉体4による粉体層8の厚みを調整するように配置される。
駆動部13は、スキージに対してシート5を所定の方向(進行方向)に沿って移動(搬送)させる。粉体塗工装置15は、移動するシート5の表面に、粉体供給部12を用いて粉体4を連続的に供給する。そして、粉体塗工装置15は、スキージ3を用いて、シート5の表面に供給された粉体4によって形成された粉体層8の膜厚及び充填率を整え、粉体層8を所望の目付量にしつつ、目付量のばらつきを少なくする。
上述したように、スキージ3は、複数の振動子6a~6dによって、粉体層8をならすため、それぞれの振動における正弦定常波の腹の部分と節の部分とに起因する、粉体層8の幅方向における目付量のばらつきを抑制することができる。つまり、幅方向において目付量のばらつきが抑制された粉体層8を形成できる。
なお、駆動部13は、シート5を移動させることができれば、如何様な装置を用いてもよく、特に限定されない。駆動部13は、例えば、ロール状に巻回されたシート5を連続的に繰り出すことが可能な搬送装置でもよく、シート5を断続的に繰り出すことが可能な搬送装置でもよい。
なお、シート5の移動経路上(搬送経路上)には、シート5の移動に伴って回転するガイドローラ、及びシート5の蛇行を修正する制御装置等が設けられてもよい。また、駆動部13は、スキージ3及び粉体供給部12に対して、シート5を所定の方向に相対移動させることができてもよい。
本実施の形態では、シート5は、長尺な帯状の薄板であり、巻回される。なお、シート5は、長尺な帯状の薄板に限定されない。例えば、シート5は、ロール状に巻回されていなくてもよく、所望の形状のシート5を駆動部13から繰り出し、シート5への粉体4の塗工を終えてから、新たなシート5を駆動部13から繰り出してもよい。つまり、シート5は、粉体塗工装置15を用いて粉体を塗工可能な形状であればよい。このため、シート5の形状は特に限定されない。
粉体供給部12は、シート5上に粉体4、つまりシート5の表面に粉体4を供給する。本実施の形態では、粉体供給部12としてホッパを用いる。ホッパは、その内部に粉体4を貯溜するとともに、粉体4をシート5の表面に供給する。
ホッパは、スキージ3よりもシート5の進行方向における上流側に配置される。ホッパによってシート5の表面に供給された粉体4は、シート5の移動に伴ってスキージ3に到達する。なお、本実施の形態では、粉体供給部12としてホッパを用いているが、これに限定されない。例えば、粉体供給部12として、シート5の表面に粉体4を供給可能な装置であれば、如何様な装置を用いてもよい。
[粉体層8の製造方法]
次に、粉体層8の製造方法について説明する。粉体塗工装置15を用いれば、粉体層8を製造することができる。
粉体層8の製造方法は、集電体等のシート5を所定の方向に移動させながら、シート5の表面に粉体4を供給すること(粉体供給工程)と、シート5の表面に供給された粉体4の厚み及び目付量を、スキージ3を用いて調整すること(粉体整列工程)と、を含む。
まず、粉体4を作製する。粉体4の原料は特に限定されないが、例えば活物質及び固体電解質の少なくとも一方を含む粒子群を用いてもよい。活物質を含む粒子群を用いる場合、活物質に適宜の添加物(例えば、結着剤、導電材及び固体電解質等)を加えたものを混合し、粉体4を作製する。混合する方法としては、例えば、乳鉢、ボールミル又はミキサー等で混合する方法がある。特に溶剤等を用いず、粉体4を混合する方法が、材料劣化がなく好ましい。
次に、粉体供給工程では、シート5を所定の方向に移動させながら、ホッパ等の粉体供給部12を用いて、シート5の表面に粉体4を供給する。粉体4が供給されるシート5は、シート状以外の部材として、例えば、板又はブロック状等の部材であってもよい。この場合、板又はブロック状等の部材を間欠的に搬送する形態でもよい。
粉体整列工程では、粉体塗工装置15のスキージ3を用いて、粉体4をシート5上に整列させる。すなわち、粉体整列工程では、シート5の表面に供給された粉体4によって形成された粉体層8の厚み及び目付量を、スキージ3を用いて調整する。これにより、シート5上に目付量が調整された粉体層8が形成される。
この時、スキージ3は、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下となるように振動している。
スキージ3は、複数の周波数が異なる正弦定常波で、共振(固有振動)している。スキージ3は、周波数が別の周波数に切り替り振動している。周波数の範囲は、中心周波数に対し、-30%以上+30%以下が好ましく、-50%以上+50%以下が更に好ましい。このように周波数範囲が広いと、正弦定常波における凹凸の箇所(腹の部分)が異なって分布するので、粉体4を均一にならすことができる。周波数が別の周波数に切り替わる時に、切り替え前と切り替え後との周波数差が大きくならないように周波数が切り替わる。具体的には、スキージ3は、第1周波数と第2周波数との間をシーケンシャル(周波数順に)に往復するように振動する。
また、粉体層8の製造方法は、粉体シート化工程をさらに含んでいてもよい。粉体シート化工程は、粉体塗工装置15のロールプレス等のプレス機を用いたロールプレス工程を経て、シート5に整列させた粉体4によって形成された粉体層8を圧縮する。これにより、シート5上の粉体層8を圧縮した圧縮粉体層が形成される。
以上のように、粉体層8の製造方法において、粉体供給工程、及び粉体整列工程をこの順番で行うことによって、シート5上に粉体4によって構成された粉体層8が形成される。このような、シート5と粉体層8との積層体は、エネルギーデバイスに用いることができる。例えば、シート5として集電体を用い、粉体4として活物質を含む粒子群を用いる場合、エネルギーデバイス用の電極を製造することができる。
粉体塗工装置15を用いて作製されたエネルギーデバイスは、粉体4に流動性を付与し直接塗工された、目付量ばらつきの少ない粉体層8を有することができる。したがって、粉体層8の製造方法によれば、粉体4を溶剤等に分散させて塗工し、その後、乾燥させる工程を用いずに、粉体4を直接塗工している工程を用いているので、溶剤による材料の劣化を抑制することができ、エネルギーデバイスの高容量化を実現することができる。また、溶剤を使用すること、及び、溶剤を乾燥することによるコストアップを抑制することができる。さらには、乾燥工程におけるエネルギーの大量消費を抑制することができ、環境にもやさしい製造方法となる。一方、粉体層8の目付量の均一性が高い場合、エネルギーデバイス内の電極としての品質を高めることができ、良好な品質を有する高容量なエネルギーデバイスを低コストで製造することができる。
[粉体層8]
次に、粉体塗工装置15を用いて形成される粉体層8について説明する。
本実施の形態に係るにおける粉体層8は、例えば、エネルギーデバイスに用いられる。シート5である集電体上に形成された粉体層8の膜厚は、30(μm)以上である。また、粉体層8は、少なくとも1種類の粒子材料で構成される粉体を含む。また、粉体層8に含まれる溶剤の濃度は50(ppm)以下である。また、粉体層8における目付量のばらつきは小さい。
これにより、目付量ばらつきが小さく、溶剤による劣化が抑制された粉体層8を形成することができる。また、溶剤の乾燥を必要としないので、溶剤を乾燥させるための消費エネルギーを削減することができるため、環境負荷を抑制し、かつ、製造コストの高騰化を抑制することができる。よって、このような粉体層8をエネルギーデバイスに用いることで、エネルギーデバイスの容量及び品質を高め、環境負荷が小さく、かつ、低コスト化を実現することができる。
本実施の形態の粉体層8は、例えば全固体電池に用いることができる。
以下、粉体層8を全固体電池に用いる場合の詳細について説明する。
粉体層8は、例えば、シート5である集電体上に形成されており、全固体電池の電極(正極又は負極)に用いられる。このような電極は、集電体と粉体層8とを有している。
なお、電極は、集電体と粉体層8との間に位置する他の層をさらに備えていてもよい。他の層は、例えば、導電性炭素材料等からなる接続層等である。
粉体層8の膜厚は、30(μm)以上である。また、粉体層8の膜厚の上限値は、特に制限されないが、粉体層8の膜厚は、例えば、2000(μm)以下である。
また、粉体層8は、少なくとも1種類の粒子材料で構成される粉体4を含む。
粉体層8に含まれる溶剤の濃度は、50(ppm)以下である。つまり、粉体層8は、溶剤を実質的に含まない。ここで、実質的に含まないとは、全く含まない場合、及び、不純物等として不可避的に50(ppm)以下で含まれる場合を意味する。溶剤の濃度は、重量基準の濃度である。
平面視における粉体層8の大きさは、例えば、30(mm)×30(mm)以上である。平面視における粉体層8の大きさの上限は、特に制限されないが、平面視における粉体層8の大きさは、例えば、300(mm)×600(mm)以下である。
粉体層8の表面における任意の30(mm)×30(mm)の領域において、粉体層8の目付量ばらつきは、例えば、8%以下である。
目付量の測定方法としては、例えば、以下の方法で行われる。
まず、粉体層8と集電体とを上下からプレスすることで押し固め、その後、粉体層8と集電体とを直径5(mm)以上直径9(mm)以下の円形に打ち抜き、打ち抜かれた粉体層8と集電体との合計重量を測定する。そして、あらかじめ測定していた直径5(mm)以上直径9(mm)以下で打ち抜いた同ロットの集電体の重さを、上記合計重量から差し引くことで、粉体層8の重量を求める。この重量を打ち抜いた直径5(mm)以上直径9(mm)以下の円の面積で除算することで、目付量を求めることができる。
また、目付量のばらつきの測定は、例えば、以下の方法で行われる。
まず、平面視での粉体層8の表面における任意の30(mm)×30(mm)の領域を選択する。この領域は、粉体層8の表面における中央部の領域であってもよく、粉体層8の端部を含む領域であってもよい。そして、この領域の範囲内で、例えば、直径5(mm)以上直径9(mm)以下の円形で5箇所以上打ち抜いて、上述の方法を用いて目付量を測定する。ばらつきの測定の精度を高める観点から9箇所以上打ち抜いてもよい。打ち抜いた全箇所の目付量の平均と、打ち抜いた各箇所の目付量のうち最も当該平均との差が大きい箇所の目付量との差(詳細には差の絶対値)を、当該平均で割ることで目付量ばらつきが算出される。つまり、目付量ばらつきが8%以下であるとは、打ち抜いたいずれの箇所においても、目付量の当該平均との差が、当該平均の8%以下であることを意味する。
粉体層8は、例えば、シート5の表面に供給された粉体4に高周波の振動が与えられることで、粉体4に流動性を付与しながら粉体層8における粉体4を整列させることで形成される。スキージ3が振動することで、幅方向における目付量のばらつきが小さいので、大きさが30(mm)×30(mm)以上、厚みが30(μm)以上の粉体層8を高品質に作製することができる。このため、粉体層8を大型高容量のエネルギーデバイスに用いることができる。
また、粉体層8は、例えば、溶剤を実質的に含まない塗工工程を経て作製される。このため、溶剤を実質的に含まない粉体層8を形成できる。これにより、粉体層8には、溶剤によるダメージがない。したがって、粉体層8の劣化が抑制され、かつ、粉体層8における粉体4の目付量ばらつきが小さいので、高容量で優れた品質を有する、大型高容量のエネルギーデバイスの粉体層8が形成可能となる。
また、粉体層8は、例えば、全固体電池等のエネルギーデバイスの正極、負極、又は固体電解質層に用いることができる。
粉体層8が正極に用いられる場合は、例えば、シート5は正極集電体であり、粉体4を含む粉体層8は正極合剤層である。つまり、正極合剤層は、正極集電体上に形成される。正極合剤層における粉体4は、少なくとも1種類の粒子材料として、正極活物質と、イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。
粉体層8が負極に用いられる場合は、例えば、シート5は負極集電体であり、粉体4を含む粉体層8は負極合剤層である。つまり、負極合剤層は、負極集電体上に形成される。負極合剤層における粉体4は、少なくとも1種類の粒子材料として、負極活物質と、イオン伝導性を有する固体電解質とを含む。
粉体層8が固体電解質層に用いられる場合は、例えば、粉体4を含む粉体層8は、固体電解質層である。固体電解質層は、上記正極集電体上に形成された正極合剤層の表面又は負極集電体上に形成された負極合剤層の表面に形成される。固体電解質層における粉体4は、少なくとも1種類の粒子材料として、イオン伝導性を有する固体電解質を含む。
正極合剤層、負極合剤層、及び固体電解質層に含まれる溶剤の濃度は、50(ppm)以下である。すなわち、正極合剤層、負極合剤層、及び固体電解質層は、溶剤を実質的に含まない。ここで、溶剤を実質的に含まないとは、これらの層が溶剤を全く含まない場合、及び、これらの層で不純物等として不可避的に50(ppm)以下の溶剤が含まれる場合を意味する。
なお、溶剤とは、例えば、有機溶剤である。また、溶剤の測定方法は、特に限定されず、例えば、ガスクロマトグラフィー、質量変化法等を用いて測定できる。有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、キシレン及びトルエン等の無極性有機溶剤、第三級アミン系溶剤、エーテル系溶剤、チオール系溶剤及びエステル系溶剤等の極性有機溶剤、並びに、これらの組み合わせを含む。第三級アミン系溶剤の例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びトリアミルアミンを含む。エーテル系溶剤の例は、テトラヒドロフラン及びシクロペンチルメチルエーテルを含む。チオール系溶剤の例は、エタンメルカプタンを含む。エステル系溶剤の例は、酪酸ブチル、酢酸エチル及び酢酸ブチルを含む。
次に、正極合剤層、負極合剤層、及び固体電解質層に用いられる材料の詳細について述べる。
正極活物質は、負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウム(Li)等の金属イオンが挿入又は離脱され、リチウム等の金属イオンの挿入又は離脱に伴って酸化又は還元が行われる物質である。正極活物質の種類は、全固体電池の種類に応じて適宜選択され、例えば、酸化物活物質、硫化物活物質等が挙げられる。
本実施の形態における正極活物質は、例えば、酸化物活物質(リチウム含有遷移金属酸化物)が用いられる。酸化物活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiNiPO、LiFePO、LiMnPO及びこれらの化合物の遷移金属を1又は2の異種元素で置換することによって得られる化合物等が挙げられる。上記化合物の遷移金属を1又は2の異種元素で置換することによって得られる化合物としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.5Mn1.5等、公知の材料が用いられる。正極活物質は、1種で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正極活物質の形状としては、例えば、粒子状等が挙げられる。正極活物質が粒子状である場合、正極活物質の粒子径は、例えば、50(nm)以上30(μm)以下の範囲であり、1(μm)以上15(μm)以下の範囲内であってもよい。正極活物質の粒子径を50(nm)以上とすれば、取扱性が良くなりやすい。一方、粒子径を30(μm)以下とすれば、小粒径の活物質を用いることで、表面積が大きくなり、高容量な正極が得られやすい。なお、本明細書における正極合剤層又は負極合剤層に含まれる材料の粒子径は、例えば、上述したD50である。
正極活物質の表面は、コート層で被覆されていてもよい。正極活物質(例えば酸化物活物質)と固体電解質(例えば、硫化物系固体電解質)との反応を抑制することができるからである。コート層の材料としては、例えば、LiNbO、LiPO、LiPON等のLiイオン伝導性酸化物が挙げられる。コート層の平均厚さは、例えば、1(nm)以上20(nm)以下の範囲内であり、1(nm)以上10(nm)以下の範囲内であってもよい。
正極合剤層に含まれる正極活物質と固体電解質との割合は、重量換算で正極活物質/固体電解質=重量比とした場合に、重量比が1以上99以下の範囲内であってもよく、2.3以上19以下の範囲内であってもよい。この重量比の範囲内であることにより、正極合剤層内でのリチウムイオン伝導経路及び電子伝導経路の両方が確保されやすい。
負極活物質は、正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウム等の金属イオンが挿入又は離脱され、リチウム等の金属イオンの挿入又は離脱に伴って酸化又は還元が行われる物質である。
本実施の形態における負極活物質としては、例えば、リチウム、インジウム、スズ、ケイ素といったリチウムとの易合金化金属、ハードカーボン、黒鉛等の炭素材料、及び、LiTi12、SiO等の酸化物活物質等の、公知の材料が用いられる。また、負極活物質としては、上述した負極活物質を適宜混合した複合体等も用いてもよい。
負極活物質の粒子径は、例えば、30(μm)以下である。小粒径の活物質を用いることで、表面積が大きくなり、高容量にできる。
負極合剤層に含まれる負極活物質と固体電解質との割合は、重量換算で負極活物質/固体電解質=重量比とした場合に、例えば、重量比が0.6以上19以下の範囲内であり、1以上9以下の範囲内であってもよい。この重量比の範囲内であることにより、負極合剤層内でのリチウムイオン伝導経路と電子伝導経路の両方が確保されやすい。
固体電解質は、伝導イオン種(例えば、リチウムイオン)に応じて適宜選択すればよい。固体電解質として、例えば、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質とハロゲン化物系固体電解質とを挙げることができる。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の種類は特に限定しないが、硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P及びLiS-P等が挙げられる。特に、リチウムイオン伝導性が優れている観点から、硫化物系固体電解質は、Li、P及びSを含んでもよい。硫化物系固体電解質は、1種で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、硫化物系固体電解質は、結晶質であってもよく、非晶質であってもよく、ガラスセラミックスであってもよい。なお、上記「LiS-P」の記載は、LiS及びPを含む原料組成を用いてなる硫化物系固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
本実施の形態においては、硫化物系固体電解質の一形態は、LiS及びPを含む硫化物ガラスセラミックスであり、LiS及びPの割合は、モル換算でLiS/P=モル比とした場合、例えば、モル比が2.3以上4以下の範囲内であり、3以上4以下の範囲内であってもよい。このモル比の範囲内であることにより、電池特性に影響するリチウム濃度を保ちながら、イオン伝導性の高い結晶構造とすることができる。
本実施の形態における硫化物系固体電解質の形状としては、例えば、真球状、楕円球状等の粒子形状等が挙げられる。硫化物系固体電解質材料が粒子形状である場合、硫化物系固体電解質の粒子径は、特に限定されるものではないが、正極又は負極内の充填率を向上させやすくなるため、30(μm)以下であってもよく、20(μm)以下であってもよく、10(μm)以下であってもよい。一方、硫化物系固体電解質の粒子径は、0.001(μm)以上であってもよく、0.01(μm)以上であってもよい。
次に、本実施の形態における酸化物系固体電解質について説明する。酸化物系固体電解質の種類は特に限定しないが、LiPON、LiPO、LiSiO、LiSiO、Li0.5La0.5TiO、Li1.3Al0.3Ti0.7(PO、La0.51Li0.34TiO0.74、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO等が挙げられる。酸化物系固体電解質は、1種を使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
次に、正極集電体及び負極集電体の詳細について述べる。
本実施の形態における正極は、例えば、金属箔等からなる正極集電体を備える。正極集電体には、例えば、アルミニウム、金、白金、亜鉛、銅、ステンレス(SUS)、ニッケル、スズ、チタン、又は、これらの2種以上の合金等からなる箔状体、板状体、網目状体等が用いられる。
また、正極集電体の厚さ及び形状等については、正極の用途に応じて適宜選択してもよい。
本実施の形態における負極は、例えば、金属箔等からなる負極集電体を備える。負極集電体には、例えば、ステンレス、金、白金、亜鉛、銅、ニッケル、チタン、スズ、又は、これらの2種以上の合金等からなる箔状体、板状体、網目状体等が用いられる。
また、負極集電体の厚さ及び形状等については、負極の用途に応じて適宜選択してもよい。
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したもの、及び、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
本開示の粉体量調整ユニット及び粉体塗工装置は、溶剤を用いずに膜厚のばらつきが少なく均一な粉体層を形成することで、高品質な全固体電池の合剤層等の用途に適用できる。
1a~1e 振動
3 スキージ
4 粉体
5 部材(シート)
6a~6d 振動子
8 粉体層
9 継手
10 制御部
11 粉体量調整ユニット
12 粉体供給部
13 駆動部
15 粉体塗工装置

Claims (3)

  1. 部材上に供給された粉体をならすことで前記粉体の量を調整する粉体量調整ユニットであって、
    複数の振動子と、
    前記複数の振動子と直接的又は間接的に接続されているスキージと、
    前記複数の振動子のそれぞれを制御する制御部とを備え、
    前記複数の振動子には、互いに異なる周波数で振動する振動子が含まれ、
    前記制御部は、前記複数の振動子のうち、制御している所定の振動子を別の振動子を制御することに切り替え、
    前記スキージは、前記複数の振動子によって、中心周波数に対して-50%以上+50%以下の範囲で周波数が切り替わり、周波数2(kHz)以上300(kHz)以下で固有振動する
    粉体量調整ユニット。
  2. 前記スキージは、第1周波数と前記第1周波数よりも高い第2周波数との間をシーケンシャルに往復するように固有振動する
    請求項1に記載の粉体量調整ユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の粉体量調整ユニットであって、前記スキージと前記部材との間に隙間が形成されるように前記スキージが配置される粉体量調整ユニットと、
    前記部材の表面上に前記粉体を供給する粉体供給部と、
    前記スキージに対して前記部材を所定の方向に相対移動させる駆動部と、を備える
    粉体塗工装置。
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