JP2024033151A - 複合基板の製造方法、及び、複合基板 - Google Patents

複合基板の製造方法、及び、複合基板 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチングを行うことなく、金属回路を有する複合基板を製造可能な複合基板の製造方法及び複合基板を提供する。【解決手段】複合基板100の製造方法であって、樹脂充填板2と樹脂充填板の少なくとも一方の主面上に設けられた半硬化樹脂層4とを有する積層体6の、半硬化樹脂層4側に、金属回路8を接合することを含む。樹脂充填板2は、多孔質の窒化物焼結板と上記窒化物焼結板の気孔に充填された硬化樹脂とを有する。【選択図】図1

Description

本開示は、複合基板の製造方法、及び、複合基板に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、及びCPU等の部品においては、使用時に発生する熱を効率的に放熱することが求められる。このような要請から、電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層の高熱伝導化を図ること、電気絶縁性を有する熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介して電子部品又はプリント配線板をヒートシンクに取り付けることが行われてきた。このような絶縁層及び熱インターフェース材には、放熱部材として、窒化ホウ素等のセラミックスと樹脂とで構成される複合シートが用いられる。
このような複合シートとして、多孔性のセラミックス焼結体(例えば、窒化ホウ素焼結板)に熱硬化性樹脂組成物の半硬化物を含浸させた窒化物系セラミックス樹脂複合体(半硬化樹脂含浸板)が検討されている(例えば、特許文献1参照)。このような半硬化樹脂含浸板では、金属板と積層し、加熱及び加圧することによって、半硬化樹脂含浸板に含まれる半硬化物を溶融させると共に金属板との界面に溶融樹脂を染み出させ、当該溶融樹脂の硬化を進行させることによって、半硬化樹脂含浸板の硬化物である樹脂充填板と被着体との接着性を確保している。
国際公開第2019/111978号
複合シートと金属板との接着の後、金属板に対するエッチングによって製品用途に応じた配線等のパターンを有する回路(例えば、金属回路)が形成されるが、環境負荷を低減する観点から、エッチングを使用せずに、回路基板を製造することができれば望ましい。
そこで、予め配線等のパターンが形成された回路を上述の複合シート上に配置し、加熱及び加圧することで、直接、金属回路を設ける方法が考えられる。しかし、上述の複合シートは、含浸された熱硬化性樹脂が半硬化の状態では機械的な強度が高いとはいえず、金属回路が配置された部分とその他の部分とに加わる圧力の違いによって、複合シートに亀裂等が発生し得る。このため、信頼性に優れる製品を製造するためには、別途、複合シートに加わる圧力を調整する手段が必要となり得る。より簡易な方法で、金属回路を有する回路基板を製造することができれば有用である。
本開示は、エッチングを行うことなく、金属回路を有する複合基板を製造可能な複合基板の製造方法を提供することを目的とする。本開示はまた、絶縁層と金属回路との接着性に優れ、且つ優れた絶縁性を発揮し得る複合基板を提供する。
本開示は、以下の[1]~[12]を提供する。
[1]
樹脂充填板と前記樹脂充填板の少なくとも一方の主面上に設けられた半硬化樹脂層とを有する積層体の、前記半硬化樹脂層側に、金属回路を接合することを含み、
前記樹脂充填板は、多孔質の窒化物焼結板と前記窒化物焼結板の気孔に充填された硬化樹脂とを有する、複合基板の製造方法。
[2]
前記半硬化樹脂層の厚さが50μm以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記硬化樹脂の硬化率が60%以上である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
前記樹脂充填板の体積が0.1cm以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]
前記樹脂充填板における空隙率が8体積%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
前記金属回路の厚さが0.3mm以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
前記金属回路が2以上の導体部を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]
樹脂充填板と、
前記樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、を備え、
前記金属回路の側面の傾斜角が、前記樹脂充填板の主面が延びる方向に対して85°以上であり、
前記樹脂充填板の主面に対して垂直な方向から観察したときの、硬化樹脂で構成されるはみ出し部の平均はみ出し長さが1.0mm未満であり、絶縁破壊電圧が4.0kV以上である、複合基板。
[9]
前記樹脂充填板の体積が0.1cm以上である、[8]に記載の複合基板。
[10]
前記樹脂充填板における空隙率が8体積%以下である、[8]又は[9]請に記載の複合基板。
[11]
前記金属回路の厚さが0.3mm以上である、[8]~[10]のいずれかに記載の複合基板。
[12]
前記金属回路が2以上の導体部を含む、[8]~[11]のいずれかに記載の複合基板。
本開示によれば、エッチングを行うことなく、金属回路を有する複合基板を製造可能な複合基板の製造方法を提供できる。本開示によればまた、絶縁層と金属回路との接着性に優れ、且つ優れた絶縁性を発揮し得る複合基板を提供できる。
図1は、複合基板の製造方法の一例を説明するための模式図である。 図2は、図1の(b)に示す領域Rの拡大図である。 図3は、複合基板の一例を示す模式図である。 図4は、複合基板のはみ出し部の説明をするための模式図である。 図5は、実施例で作成した金属回路のパターンを示す模式図である。
以下、場合によって図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本開示を説明するための例示であり、本開示を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合によって重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、各要素の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。なお、本明細書において、「~」の記号で示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む。すなわち、「x~y」で示される数値範囲は、x以上且つy以下を意味する。
本明細書において例示する材料は特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中の各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
複合基板の製造方法の一実施形態は、樹脂充填板と上記樹脂充填板の少なくとも一方の主面上に設けられた半硬化樹脂層とを有する積層体の、上記半硬化樹脂層側に、金属回路を接合することを含む。ここで、金属回路は、パターンを有する回路である。金属回路は、回路パターンを有する金属層ともいえる。
上記複合基板の製造方法では、窒化物焼結板と硬化樹脂とを有する樹脂充填板を用いる。そして、樹脂の硬化が進行した樹脂充填板は比較的強度に優れることから、これを用いることで、樹脂充填板と金属回路とを接合する際に、樹脂充填板の場所によって異なる圧力が加わる場合であっても、樹脂充填板に亀裂が発生することを抑制し得る。また、樹脂充填板の構成要素である樹脂として、半硬化樹脂ではなく硬化樹脂を用いることで低下する接着性を補うために、接着性を確保する半硬化樹脂層を樹脂充填板の金属回路側に設ける。半硬化樹脂層を備えることによって、充分な接着が可能であり、また従前の半硬化樹脂を含む半硬化樹脂含浸板を用いる製法のように、接着性を確保するため、比較的高い圧力を印加して半硬化樹脂含浸板から溶融樹脂を染み出させるといった必要がなく、樹脂充填板に亀裂が生じることをより抑制できる。上述のように、樹脂充填板に亀裂が生じることが抑制できることから、予め配線パターンが設けられた金属回路を直接接合することが可能であり、金属回路を有する複合基板を製造する際にエッチング行う必要がない。
図1は、複合基板の製造方法の一例を説明するための模式図である。図1の(a)は、樹脂充填板2、及び樹脂充填板2の両主面上に半硬化樹脂層4をそれぞれ有する積層体6と、積層体6の一方の半硬化樹脂層4側に金属回路8が積層され、もう一方の半硬化樹脂層4側に金属層9を積層された状態が示されている。図1の(b)は、半硬化樹脂層4を硬化させ硬化樹脂層5とすることで金属回路8及び金属層9を接合した後の複合基板100を示している。接合は、例えば、半硬化樹脂層4に熱を加え、積層体6の積層方向に沿って、金属回路8及び金属層9と積層体6とに圧力を加えることによって、行われてよい。図1では複合基板100として、樹脂充填板2の両面に半硬化樹脂層4を有し、樹脂充填板2の金属回路8側とは反対側に金属層9を備える態様を示したが、半硬化樹脂層4は樹脂充填板2の一方の主面上にのみ設けられていてもよく、金属層9が接合されていなくてもよい。
樹脂充填板は、多孔質の窒化物焼結板と、窒化物焼結板の気孔に充填された硬化樹脂とを有する。樹脂充填板は、上記窒化物焼結板及び上記硬化樹脂からなってよい。
上記樹脂充填板の体積の下限値は、例えば、0.1cm以上、0.3cm以上、0.5cm以上、又は0.7cm以上であってよい。上述の製造方法では、硬化樹脂を含浸させた樹脂充填板を用いることから、金属回路との接合に際する樹脂の染み出しが少なく、より大きな体積の樹脂充填板を用いることもできる。上記樹脂充填板の体積の上限値は、例えば、2.0cm以下、1.7cm以下、1.5cm以下、又は1.3cm以下であってよい。上記樹脂充填板の体積の上限値が上記範囲内である、より小さな体積の樹脂充填板とすることで、当該樹脂充填板を用いて得らえる積層体部分の熱抵抗をより低下させることができ、得られる複合基板における金属回路で発生する熱の伝達を促進できる。
上記樹脂充填板における空隙率の上限値は、例えば、10.0面積%以下、8.0面積%以下、7.0面積%以下、又は5.0面積%以下であってよい。上記空隙率の上限値が上記範囲内であることで、樹脂充填板に電圧を印加した際の部分放電の発生をより抑制することができ、長期信頼性に優れた複合基板を作製することができる。上記樹脂充填板における空隙率の下限値は、特に限定されるものではなく、0面積%(空隙が形成されていない)であってもよいが、例えば、0.1面積%以上、又は0.3面積%以上であってよい。
本明細書における上記樹脂充填板における空隙率とは、いわゆるボイドの面積割合を意味し、以下の方法によって測定される値である。まず、測定対象となる樹脂充填板を裁断し、クロスポリッシャー研磨によって断面を研磨し、観察面を備える測定サンプルを調製する。得られた測定サンプルの断面に対する走査型電子顕微鏡(SEM)によって断面画像を取得する。取得された断面画像中、樹脂充填板の領域において何も充填されていない領域を「空隙」と判断し、当該「空隙」に対応する部分の総面積を決定する。そして、得られた空隙の総面積の測定サンプル全体の面積に対する割合を算出する。同じ測定を、上記樹脂充填板の3個の裁断面において行い、得られた割合の算術平均値を、測定対象の樹脂充填板における空隙率とする。
窒化物焼結板としては、例えば、窒化ホウ素焼結板、窒化アルミニウム焼結板、及び窒化ケイ素焼結板等が挙げられる。窒化物焼結板は、窒化物の一次粒子同士が焼結して構成される窒化物粒子と気孔とを含有する。
窒化物焼結板の気孔のメジアン細孔径は、例えば、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下、又は3.5μm以下であってよい。このような窒化物焼結板は、気孔のサイズが小さいことから、窒化物粒子の粒子同士の接触面積を十分に大きくすることができる。したがって、熱伝導率を高くすることができる。窒化物焼結板の気孔のメジアン細孔径は、例えば、0.3μm以上、0.5μm以上、1.0μm以上、又は1.5μm以上であってよい。このような窒化物焼結板は、金属回路を接合する際に適度な変形を可能とし、金属回路との密着性に向上し得る。
窒化物焼結板の気孔のメジアン細孔径は、以下の手順で測定することができる。まず、樹脂充填板を加熱して硬化樹脂を除去する。そして、水銀ポロシメーターを用い、0.0042MPaから206.8MPaまで圧力を増やしながら窒化物焼結板を加圧したときの細孔径分布を求める。横軸を細孔径、縦軸を累積細孔容積としたときに、累積細孔容積が全細孔容積の50%に達するときの細孔径がメジアン細孔径である。水銀ポロシメーターとしては、例えば、株式会社島津製作所製のものを用いることができる。なお、複合基板を対象とする場合には、まず、金属回路等をはく離し、表面に硬化樹脂層を備える樹脂充填板を取り出した後、これを加熱することによって硬化樹脂を除去して、測定サンプルを調製する。
窒化物焼結板の気孔率、すなわち、窒化物焼結板における気孔の体積(V1)の比率は、30~65体積%であってよく、40~60体積%であってよい。気孔率が大きくなり過ぎると窒化物焼結板の強度が低下する傾向にある。一方、気孔率が小さくなり過ぎると樹脂充填板中の硬化樹脂の充填量が低下する傾向にある。
気孔率は、窒化物焼結板の体積及び質量から、かさ密度[B(kg/m)]を算出し、このかさ密度と窒化物の理論密度[A(kg/m)]とから、下記式(1)によって求めることができる。窒化物焼結板は、窒化ホウ素焼結板、窒化アルミニウム焼結板、又は窒化ケイ素焼結板であってよい。窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも一種を含んでよいの場合、理論密度Aは2280kg/mである。窒化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも一種を含んでよいの場合、理論密度Aは3260kg/mである。窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも一種を含んでよいの場合、理論密度Aは3170kg/mである。
気孔率(体積%)=[1-(B/A)]×100 … 式(1)
窒化物焼結板が窒化ホウ素焼結板である場合、かさ密度Bは、800~1500kg/m、又は1000~1400kg/mであってもよい。かさ密度Bの下限値を上記範囲内とすることで、樹脂充填板の強度をより向上し得る。また、かさ密度Bの上限値を上記範囲内とすることによって、硬化樹脂の充填量をより十分なものとし、得られる複合基板における絶縁性をより向上し得る。
樹脂充填板に含まれる硬化樹脂は、熱硬化性成分を含む主剤と、硬化剤と、を含む樹脂組成物の硬化を進行させたものである。上記硬化樹脂の硬化率は60%以上であるが、例えば、70%以上、80%以上、90%以上、93%以上、95%以上、又は98%以上であってよい。硬化樹脂の硬化率が上記範囲内であることで、樹脂充填板がより十分な機械的強度を有し、金属回路を設ける際の亀裂の発生を更に抑制することができる。上記硬化樹脂の硬化率は、例えば、100%(すなわち、樹脂組成物を完全硬化させたもの)であってもよいが、例えば99%以下であってよい。換言すれば、樹脂充填板に含まれる硬化樹脂は、主剤及び硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物(Cステージ)であってもよい。なお、樹脂組成物の硬化反応が一部進行したものは、半硬化物(Bステージ)である。半硬化物は、その後の硬化処理によって、更に硬化が進行し、他部材との接着性を発揮し得る。
上記硬化率は、示差走査熱量計を用いた測定によって決定することができる。硬化樹脂の硬化率は、示差走査熱量計を用いた測定によって決定することができる。まず、未硬化の状態の樹脂組成物2mgを完全に硬化させた際に生じる単位質量当たりの発熱量Qを測定する。そして、樹脂充填板が備える硬化樹脂から採取したサンプル10mgを同様に昇温させて、完全に硬化させた際に生じる単位質量当たりの発熱量Rを求める。硬化樹脂中に熱硬化性を有する成分がc(質量%)含有されているとすると、下記式(2)によって樹脂充填板に含浸している硬化樹脂の硬化率が求められる。なお、硬化樹脂が完全に硬化したか否かは、示差走査熱量測定によって得られる発熱曲線において、発熱が終了することで確認することができる。
硬化樹脂の硬化率(%)={1-[(R/c)×100]/Q}×100 … 式(2)
硬化樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ビスマレイミド樹脂、熱硬化性ポリイミド、マレイミド樹脂、マレイミド変性樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、及びアルキド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでいてよい。
樹脂充填板における上記窒化物焼結板の体積比率は、樹脂充填の全体積を基準として、例えば、40~70体積%、又は45~65体積%であってよい。樹脂充填板における硬化樹脂の体積比率は、樹脂充填板の全体積を基準として、例えば、30~60体積%、又は35~55体積%であってよい。このような体積比率の樹脂充填板は、より優れた機械的強度を発揮し得ることから、複合基板を製造する際に樹脂充填板に亀裂等が生じることをより抑制できる。
半硬化樹脂層は、熱硬化性樹脂を含み、熱硬化成分を含む主剤と、硬化剤と、を含む樹脂組成物を半硬化させることによって形成されたものであってよい。半硬化樹脂層は、金属回路等の他部品との接着性を発揮し得る。半硬化樹脂層は、熱硬化性樹脂の半硬化物で構成されいてもよい。
半硬化樹脂層は、加熱によって溶融可能であり、粘性を帯び得る。半硬化樹脂層の100℃におけるせん断粘度の下限値は、例えば、100mPa・s以上、300mPa・s以上、500mPa・s以上、600mPa・s以上、900mPa・s以上、又は1000mPa・s以上であってよい。上記せん断粘度の下限値が上記範囲内であることで、半硬化樹脂層の常温における粘性が小さく、ハンドリングにより優れたものとすることができる。半硬化樹脂層の100℃におけるせん断粘度の上限値は、例えば、8000mPa・s以下、7000mPa・s以下、6000mPa・s以下、又は5000mPa・s以下であってよい。上記せん断粘度の上限値が上記範囲内であることで、半硬化樹脂層の接着性をより向上させることができ、金属板等との接着をより容易なものとする。半硬化樹脂層の100℃におけるせん断粘度は上述の範囲内で調整することができ、例えば、100~8000mPa・s、500~6000mPa・s、又は1000~5000mPa・sであってよい。
本明細書に記載の100℃におけるせん断粘度は、レオメーター等の装置によって樹脂にせん断力を加えた際の応力で測定される値を意味する。具体的には、まず回転式レオメーターによって、ステージを100℃に加温する。その後、測定サンプルとなる硬化樹脂をステージ上に置き、測定サンプルの上部から、ステージ側から1mmの高さになるまで、25mmφのパラレルプレートを装着したシャフトをおろす。測定サンプルが溶融し、ステージとパラレルプレートとの間に樹脂が満たされているのを確認した後に、せん断速度を10/sとして上記シャフトを回転させた際の応力を決定し、当該応力の値を用いてせん断粘度を計算する。回転式レオメーターとしては、例えば、Anton paar社製の「MCR-92」(製品名)等を用いることができる。
半硬化樹脂層における熱硬化性樹脂の硬化率は、樹脂充填板に含まれる硬化樹脂の硬化率よりも小さい。半硬化樹脂層における熱硬化性樹脂の硬化率の上限値は、例えば、50%以下、45%以下、又は40%以下であってよい。熱硬化性樹脂の硬化率の上限値を上記範囲内とすることで、金属回路等の他部品との接合の際に再溶融させ、樹脂に適度な流動性を持たせることができ、他部品の表面の微細な凹凸に十分に浸透すること等が可能になる。半硬化樹脂層における熱硬化性樹脂の硬化率の下限値は、例えば、15%以上、25%以上、又は35%以上であってよい。熱硬化性樹脂の硬化率の下限値を上記範囲内とすることで、非加熱条件下においてのべたつきを抑制し、取扱い性をより向上させることができる。半硬化樹脂層における熱硬化性樹脂の硬化率は上述の範囲内で調整することができ、例えば、15~50%、又は35~40%であってよい。半硬化樹脂層における熱硬化性樹脂の硬化率は、半硬化樹脂層から採取するサンプルを用いて、樹脂充填板の硬化樹脂の硬化率を測定する方法と同様にして測定することができる。
半硬化樹脂層の厚さの上限値は、例えば、50μm以下、45μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、又は20μm以下であってよい。半硬化樹脂層の厚さの上限値を上記範囲内とすることで、複合基板の製造の際に加熱処理等の時間を短時間化することができ、圧力を加える時間も短くすることが可能であることから、樹脂充填板に亀裂等が発生することをより十分に抑制できる。半硬化樹脂層の厚さの上限値を上記範囲内とすることによってまた、得られる複合基板において、樹脂充填板と金属回路等との間に必要以上の厚さの樹脂層が形成されることを抑制し、複合基板における放熱性の低下をより抑制することができる。半硬化樹脂層の厚さの下限値は、例えば、4μm以上、6μm以上、8μm以上、又は10μm以上であってよい。半硬化樹脂層の厚さの下限値を上記範囲内とすることで、金属回路等の他部品との接着性をより向上させることができる。半硬化樹脂層の厚さは上述の範囲内で調整することができ、例えば、4~50μm、4~45μm、4~35μm、又は8~35μmであってよい。半硬化樹脂層の厚さは、主面に直交する方向に沿って測定され、厚さが一定ではない場合、任意の10箇所を選択して厚さの測定を行い、その平均値が上述の範囲であればよい。
金属回路は、例えば、銅、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含んでよく、半硬化樹脂層との濡れ性をより向上させる観点から、好ましくは、銅を含む。
上記金属回路の厚さの下限値は、例えば、0.1mm以上、0.3mm以上、0.5mm以上、又は0.7mm以上であってよい。金属回路の厚さの下限値を上記範囲内とすることで、金属回路の全体的な放熱性が改善し、複合基板全体の放熱性を向上させることができる。上記金属回路の厚さの上限値は、例えば、3.0mm以下、2.5mm以下、2.0mm以下、又は1.5mm以下であってよい。金属回路の厚さの上限値を上記範囲内とすることで、加熱及び冷却時の熱膨張及び収縮による接着界面への負荷を抑えることができ、長期信頼性により優れた複合基板を作製することができる。
上記金属回路は、予め所定のパターンに加工されたものであってよい。加工は、例えば、打ち抜き加工、レーザー加工等であってよい。金属回路の形状は、特に限定されるものではない。また金属回路はパターンを有するが、パターンの形状も特に限定されるものではない。また上記パターンは、例えば、配線パターンであってよく、いわゆるベタパターン(Solid pattern)であってよもよい。
上記金属回路は2以上の導体部を含んでもよい。上述の製造方法では、互いに分離された複数の導体部を樹脂充填板上に直接接合することもできる。金属回路は、例えば、上面視において、その一部が樹脂充填板の主面の外部へと突出するように配置されてもよい。
上記金属回路の側面の傾斜角の下限値は、上記樹脂充填板の主面が延びる方向に対して、例えば、85°以上、86°以上、87°以上であってよい。上記傾斜角の下限値が上記範囲内であることで、金属回路上面の面積が大きくなり回路上へのはんだ付けや部材の搭載を容易に行うことができる。上記金属回路の側面の傾斜角の上限値は、特に限定されるものではないが、金属板等の加工によって得られるものであることから、通常、90°未満であり、例えば、89°以下、又は88°以下であってよい。上記傾斜角の上限値が上記範囲内であることで、金属回路端部の放熱性が向上し、回路上の発熱面積が大きい場合により高放熱な複合基板とすることができる。
金属回路の側面の傾斜角θは、複合基板の断面画像を取得し、図2で示されるように、樹脂充填板の主面内に存在する金属回路の側面について測定を行うことで得られる。なお、金属回路が、樹脂充填板の平面上に、それぞれ独立に複数個所に設けられている場合には、それぞれ上記の測定を行い、その平均値を傾斜角θとする。
金属層は、例えば、銅、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属を含んでよく、半硬化樹脂層との濡れ性をより向上させる観点から、好ましくは、銅を含む。金属層の材質は、金属回路の材質と同一であってもこのなってもよい。金属層の形状は、いわゆるベタパターンを有するものであってよく、ヒートシンクや冷却フィンのような形状であってもよい。
上記製造方法において、積層体6を金属回路8及び金属層9との接合は、例えば、半硬化樹脂層4に熱を加え、積層体6の積層方向に沿って、金属回路8及び金属層9と積層体6とに圧力を加えることによって、行われてよい。
接合における加熱処理の温度は、例えば、200℃以下、195℃以下、190℃以下、又は180℃以下であってよい。上記加熱処理の温度の上限値が上記範囲内であることで、半硬化樹脂を十分に溶融させることができ、金属回路8等との接合時における接着性と放熱性とをより高水準で両立することができる。上記加熱処理の温度の下限値は、例えば、150℃以上、160℃以上、又は170℃以上であってよい。上記加熱処理の温度の下限値を上記範囲内とすることで、半硬化樹脂の硬化をより十分なものとすることができ、樹脂充填板2と金属回路8及び金属層9との接着力をより向上させることができる。上記加熱処理の温度は上述の範囲内で調整してよく、例えば、150~200℃、又は160~195℃であってよい。
接合における加熱処理の時間の下限値は、例えば、1分間以上、5分間以上、10分間以上、又は30分間以上であってよい。上記時間の下限値を上記範囲内とすることで、半硬化樹脂層の硬化をより十分なものとすることができ、複合基板の信頼性を向上し得る。上記加熱処理の時間の上限値は、例えば、360分間以下、330分間以下、300分間以下、又は270分間以下であってよい。上記時間の上限値を上記範囲内とすることで、樹脂の熱による劣化をより抑制することができる。上記加熱処理の時間は上述の範囲内で調整してよく、例えば、1~360分間、又は5~330分間であってよい。
接合の際に、上述の積層方向に沿って印加する圧力の上限値は、例えば、10.0MPa以下、7.5MPa以下、又は5.0MPa以下であってもよい。上記圧力の上限値が上記範囲内であることによって、樹脂充填板に亀裂等が発生することを更に抑制することができる。上記圧力の下限値は、例えば、0.5MPa以上、1.0MPa以上、1.5MPa以上、又は2.0MPa以上であってもよい。上記圧力の下限値が上記範囲内であることによって、樹脂充填板2と金属回路8との接着力をより向上させることができる。
複合基板の一実施形態は、樹脂充填板と上記樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、を備える。複合基板の変形例では、樹脂充填板と、樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、樹脂充填板の上記金属回路側とは反対側の主面上に接合された金属層と、を備えてもよい。上記複合基板は、絶縁層である樹脂充填板と金属回路との接着性に優れており、且つ優れた絶縁性を発揮し得る。
図3は、複合基板の一例を示す模式図である。複合基板102は、樹脂充填板2と、樹脂充填板2の一方の主面上に接合された金属回路8と、他方の主面上に接合された金属層9と、を備える。複合基板102の例では、樹脂充填板2と金属回路8との接合、及び樹脂充填板2と金属層9との接合は、それぞれ樹脂充填板2の両主面に設けられた硬化樹脂層5によってなされている。金属回路8の側面の傾斜角は、上記樹脂充填板2の主面が延びる方向に対して、85°以上である。
上記複合基板は、上記樹脂充填板の主面に対して垂直な方向から観察したときの、硬化樹脂で構成されるはみ出し部の平均はみ出し長さが1.0mm未満である。上記はみ出し長さの上限値は、例えば、0.8mm以下、0.7mm以下、0.6mm以下、又は0.5mm以下であってよい。上記はみ出し長さの上限値が上記範囲内であることで、上下の金属回路への樹脂の這い上がりを防ぐことができ、金属回路上のコンタミをより十分に防ぐことができる。上記はみ出し長さの下限値は、特に限定されるものではなく、はみ出し部が観測されなくともよく、0.0mmであってよいが、例えば、0.0mm超、0.1mm以上、又は0.2mm以上であってよい。
平均はみ出し長さは、後述する方法によって測定される値を意味する。具体的には、図4に示すように、測定対象となる複合基板を上面視した画像を取得し、画像解析によって、複合基板を構成する樹脂充填板の面積の外側にはみ出している部分(はみ出し部10)の面積[単位:mm]を決定する。得られたはみ出し部10の面積を、樹脂充填板の周囲長[単位:mm](図4では、樹脂充填板が正方形の例であるので、4辺の長さの和)で割ることによって得られた値を、平均はみ出し長さ[単位:mm]とするものとする。なお、上記はみ出し部10は、半硬化樹脂層を構成する樹脂が流れ出し硬化したものに相当することから、半硬化樹脂層と同様の樹脂で構成される硬化樹脂部ということができる。
上記複合基板の絶縁破壊電圧は、例えば、4.0kV以上であってよく、4.2kV以上、4.4kV以上、又は4.6kV以上とすることができる。複合基板の絶縁破壊電圧の下限値が上記範囲内であることで、複合基板はより優れた絶縁性を発揮し得る。上記複合基板の絶縁破壊電圧の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、10.0kV以下、9.5kV以下、又は9.0kV以下であってよい。
上記樹脂充填板の体積は0.1cm以上であってよい。
上記樹脂充填板における空隙率は8体積%以下であってよい。
上記金属回路の厚さは0.3mm以上であってよい。
上記金属回路は2以上の導体部を含んでよい。
複合基板のより具体的な形態としては、例えば、樹脂充填板と、上記樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、を備え、上記金属回路の側面の傾斜角が、上記樹脂充填板の主面が延びる方向に対して85°以上であり、上記樹脂充填板の主面に対して垂直な方向から観察したときの、硬化樹脂で構成されるはみ出し部の平均はみ出し長さが1.0mm未満であり、絶縁破壊電圧が4.0kV以上である、複合基板である。複合基板のより具体的な形態としてはまた、樹脂充填板と、上記樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、を備え、上記金属回路の側面の傾斜角が、上記樹脂充填板の主面が延びる方向に対して85°以上であり、上記樹脂充填板の主面に対して垂直な方向から観察したときの、硬化樹脂で構成されるはみ出し部の平均はみ出し長さが0.0mm超1.0mm未満である、複合基板である。
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。また、上述した実施形態についての説明内容は、互いに適用することができる。
以下、本開示について、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。なお、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[窒化物焼結板]
新日本電工株式会社製のオルトホウ酸100質量部と、デンカ株式会社製のアセチレンブラック(商品名:HS100)35質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合した。得られた混合物を、黒鉛製のルツボ中に充填し、アーク炉にて、アルゴン雰囲気下で、2200℃にて5時間加熱し、塊状の炭化ホウ素(BC)を得た。得られた塊状物を、ジョークラッシャーで粗粉砕して粗粉を得た。この粗粉を、炭化ケイ素製のボール(φ10mm)を有するボールミルによってさらに粉砕して粉砕粉を得た。
調製した粉砕粉を、窒化ホウ素製のルツボに充填した。その後、抵抗加熱炉を用い、窒素ガス雰囲気下で、2000℃、0.85MPaの条件で10時間加熱した。このようにして炭窒化ホウ素(BCN)及び窒化ホウ素(BN)を含む焼成物を得た。
粉末状のホウ酸と炭酸カルシウムを配合して焼結助剤を調製した。調製にあたっては、100質量部のホウ酸に対して、炭酸カルシウムを50.0質量部配合した。このときのホウ素とカルシウムの原子比率は、ホウ素100原子%に対してカルシウムが17.5原子%であった。こうして、焼成物100質量部に対して焼結助剤を20質量部配合し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して粉末状の原料粉末を調製した。
原料粉末を、粉末プレス機を用いて、150MPaで30秒間加圧して、シート状(縦×横×厚さ=50mm×50mm×0.31mm)の成形板を得た。得られた成形体を窒化ホウ素製容器に入れ、バッチ式高周波炉に導入した。バッチ式高周波炉において、常圧、窒素流量5L/分、2000℃の条件で5時間加熱した(焼成工程)。その後、窒化ホウ素製容器から取り出し、窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)を得た。
[半硬化樹脂含浸板の調製]
容器に、シアネート基を有する化合物が80質量部、ビスマレイミド基を有する化合物が20質量部、エポキシ基を有する化合物が50質量部となるように測り取り、上記3種の化合物合計量100質量部に対して、ホスフィン系硬化剤を1質量部及びイミダゾール系硬化剤を0.01質量部加えて混合した。なお、エポキシ樹脂が室温で固体状態であったため、80℃程度に加熱した状態で混合した。得られた熱硬化性樹脂組成物の100℃における粘度は、10mPa・秒であった。調製した熱硬化性樹脂組成物を100℃にした後、その温度を維持したままディスペンサーを用いて、窒化ホウ素焼結板の上側の主面上に滴下して熱硬化性樹脂組成物を含浸させた。熱硬化性樹脂組成物の滴下量は、窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の1.2倍とした。熱硬化性樹脂組成物の一部は、窒化ホウ素焼結板に含浸せず、主面上に残存した。
次に、大気圧下、窒化ホウ素焼結板の上側の主面上に残存する熱硬化性樹脂組成物を、ステンレス製のスクレーパー(株式会社ナルビー製)を用いて平滑化し、余剰分の熱硬化性樹脂組成物を除去した。次に、大気圧下、120℃で4時間加熱することによって、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させ、半硬化樹脂とした。このようにして、四角柱状の半硬化樹脂含浸板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×0.32mm)を作製した。硬化樹脂の硬化率は、示差走査熱量計を用いた測定によって決定した。半硬化樹脂の硬化率は32%であった。
なお、熱硬化性樹脂組成物の調製には、以下の化合物を用いた。
シアネート基を有する化合物:ジメチルメチレンビス(1,4-フェニレン)ビスシアナート(三菱ガス化学株式会社製、商品名:TA-CN)
ビスマレイミド基を有する化合物:N,N’-[(1-メチルエチリデン)ビス[(p-フェニレン)オキシ(p-フェニレン)]]ビスマレイミド(ケイ・アイ化成株式会社製、商品名:BMI-80)
エポキシ基を有する化合物:1,6-ビス(2,3-エポキシプロパン-1-イルオキシ)ナフタレン(DIC株式会社製、商品名:HP-4032D)
ホスフィン系硬化剤:テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート(化学株式会社製、商品名:TPP-MK)
イミダゾール系硬化剤:1-(1-シアノメチル)-2-エチル-4-メチル-1H-イミダゾール(四国化成工業株式会社製、商品名:2E4MZ-CN)
[樹脂充填板の調製]
上述のように作製された半硬化樹脂含浸板を、大気圧下、175℃で2時間加熱することによって、熱硬化性樹脂組成物を硬化させ、硬化樹脂とした。このようにして、四角柱状の樹脂充填板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×0.32mm、体積:0.8cm)を作製した。硬化樹脂の硬化率は、示差走査熱量計を用いた測定によって決定した。硬化樹脂の硬化率は85%であった。樹脂充填板における空隙率(ボイド率)は、2体積%であった。
[複合基板の製造]
上記樹脂含浸板を調製した際に窒化ホウ素焼結板に含浸させたものと同様の熱硬化性樹脂を用意し、120℃で6時間、加熱することで樹脂を半硬化状態とした。半硬化状態の樹脂の硬化率は示唆操作熱量計を用いた測定によって決定した。半硬化状態の樹脂の硬化率は30%であった。この樹脂を0.1gサンプリングし、離型処理を行ったPETフィルム(厚み:75μm)と離型処理を行っていないPETフィルム(厚み:75μm)とで挟み、PETフィルム間に半硬化樹脂層を有する積層フィルムとした。次に、ステージを80℃に加熱した加熱プレスに、上記積層フィルムをセットし、加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を151.5μmとし、1MPaの圧力をかけることで半硬化樹脂層を狙い厚みとした。半硬化樹脂層の厚みは、積層フィルムの厚みから2層分のPETフィルムの厚みを差し引くことで求めた。作製した半硬化樹脂層の厚みは1.5μmとなった。
上述のようにした半硬化樹脂層を備える積層フィルムを2枚用意し、それぞれ離型処理を行ったPETフィルムを剥がし、半硬化樹脂層の主面を露出させた。次に、半硬化樹脂層の主面を、上述のように調製した樹脂充填板の主面の両側から挟み込む形で、それぞれ樹脂充填板の主面と半硬化樹脂層の主面と貼り合わせ、仮積層させた。その後、ステージを100℃に加熱した加熱プレスに、上述のように仮積層した仮積層シートをセットし、加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.473mmに調整したうえで1MPaの圧力をかけることで、半硬化樹脂層を樹脂充填板に積層した。この後、PETフィルムをはがすことによって、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を得た。
次に、上記積層体の一方の主面上(半硬化樹脂層の主面上)に、予め配線パターンを形成した、厚さ0.5mmの金属回路を配置し、上記積層体の他方の主面には、樹脂充填板と同一形状(縦×横×厚さ=50mm×50mm)であり厚さ0.5mmの金属板を配置し、温度:200℃、圧力:1MPa、時間:5分間の条件で加熱プレスすることによって、複合基板を得た。なお、上記金属回路は、銅板に対する金属プレス加工によって形成した。金属回路は図5に示すような、長方形形状の3つの導体部を有するものとした。金属回路の導体部のサイズは、それぞれ42mm×19mm、25mm×19mm、及び13mm×19mmとした。金属回路の配置は、複合基板を上面視した際に、樹脂充填板の外周から導体部までの距離、導体部間の距離のすべてが4mmとなるような配置とした。
得られた複合基板について、硬化樹脂が流れ出ることで形成されるはみ出し部の平均はみ出し長さを確認したところ、上記複合基板については平均はみ出し長さが0.0mmとなり、実質的にはみ出し部分がないといと評価できることが確認された。
[積層基板の絶縁性評価]
得られた積層基板について、超高圧耐電圧試験機(株式会社計測技研研究所製)及び測定治具(大西電子株式会社製)を用いて、金属回路における絶縁破壊電圧を測定した。結果を表1に示す。絶縁破壊電圧が高いほど絶縁性に優れていることを意味する。
[積層基板の接着性評価]
得られた積層基板について、超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製、商品名:Fine SAT V)を用いて、絶縁板である樹脂充填板と、樹脂充填板の主面上に設けられた金属回路との接着度合いを、接着部分の金属回路の面積比率に基づいて評価した。測定結果から、以下の基準で接着性を評価した。結果を表1に示す。なお、接着部分とは、超音波探傷装置測定時に、界面に空気層がある場合の超音波の反射波の強度に対し、20%から50%の強度の反射波の領域を示す。
A:接着部分の面積比率が90面積%以上である。
B:接着部分の面積比率が70面積%以上90面積%未満である。
C:接着部分の面積比率が70面積%未満である。
(実施例2)
窒化物焼結板の調製の際のシート状の成形板の厚みを0.47mmとし、焼成後の窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)の厚みを0.48mmとすることで、樹脂充填板の体積を1.2cmとしたこと、半硬化樹脂含浸板を調製する際の熱硬化性樹脂組成物の滴下量を窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の1.5倍としたこと、及び、樹脂充填板を調製する際の加熱温度を200℃とすることで樹脂充填板における硬化樹脂の硬化率を95%としたこと以外は、実施例1と同様にして、空隙率が1面積%である樹脂充填板を作製した。
上述のように作製した、空隙率が1面積%である樹脂充填板を用いたこと、半硬化樹脂層の厚さを22.5μmとしたこと、及び、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を作製する際の加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.675mmに調整したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。こうして作成した積層体を用いたこと、及び、厚さが0.1mmである金属回路(パターンは実施例1と同一)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
窒化物焼結板の調製の際のシート状の成形板の厚みを0.70mmとし、焼成後の窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)の厚みを0.72mmとすることで、樹脂充填板の体積を1.8cmとしたこと、半硬化樹脂含浸板を調製する際の熱硬化性樹脂組成物の滴下量を窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の0.9倍としたこと、及び、樹脂充填板を調製する際の加熱温度を150℃とすることで樹脂充填板における硬化樹脂の硬化率を70%としたこと以外は、実施例1と同様にして、空隙率が8面積%である樹脂充填板を作製した。
上述のように作製した、空隙率が8面積%である樹脂充填板を用いたこと、半硬化樹脂層の厚さを15μmとしたこと、及び、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を作製する際の加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.900mmに調整したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。こうして作製した積層体を用いたこと、及び、厚さが2.0mmである金属回路(パターンは実施例1と同一)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
窒化物焼結板の調製の際のシート状の成形板の厚みを0.35mmとし、焼成後の窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)の厚みを0.36mmとすることで、樹脂充填板の体積を0.9cmとしたこと、半硬化樹脂含浸板を調製する際の熱硬化性樹脂組成物の滴下量を窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の1.0倍としたこと、及び、樹脂充填板を調製する際の加熱温度を180℃とすることで樹脂充填板における硬化樹脂の硬化率を89%としたこと以外は、実施例1と同様にして、空隙率が3面積%である樹脂充填板を作製した。
上述のように作製した、空隙率が3面積%である樹脂充填板を用いたこと、半硬化樹脂層の厚さを10μmとしたこと、及び、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を作製する際の加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.530mmに調整したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。こうして作製した積層体を用いたこと、及び、厚さが3.0mmである金属回路(パターンは実施例1と同一)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
窒化物焼結板の調製の際のシート状の成形板の厚みを0.58mmとし、焼成後の窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)の厚みを0.60mmとすることで、樹脂充填板の体積を1.5cmとしたこと、半硬化樹脂含浸板を調製する際の熱硬化性樹脂組成物の滴下量を窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の0.95倍としたこと、及び、樹脂充填板を調製する際の加熱温度を140℃とすることで樹脂充填板における硬化樹脂の硬化率を60%としたこと以外は、実施例1と同様にして、空隙率が5面積%である樹脂充填板を作製した。
上述のように作製した、空隙率が5面積%である樹脂充填板を用いたこと、半硬化樹脂層の厚さを20μmとしたこと、及び、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を作製する際の加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.790mmに調整したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。こうして作製した積層体を用いたこと、及び、厚さが1.0mmである金属回路(パターンは実施例1と同一)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
窒化物焼結板の調製の際のシート状の成形板の厚みを0.70mmとし、焼成後の窒化ホウ素焼結板(窒化物焼結板)の厚みを0.72mmとすることで、樹脂充填板の体積を1.8cmとしたこと、半硬化樹脂含浸板を調製する際の熱硬化性樹脂組成物の滴下量を窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の0.97倍としたこと、及び、樹脂充填板を調製する際の加熱温度を145℃とすることで樹脂充填板における硬化樹脂の硬化率を65%としたこと以外は、実施例1と同様にして、空隙率が4面積%である樹脂充填板を作製した。
上述のように作製した、空隙率が4面積%である樹脂充填板を用いたこと、半硬化樹脂層の厚さを5μmとしたこと、及び、半硬化樹脂層と樹脂充填板とを備える積層体を作製する際の加熱プレスの熱板間の距離(間隙)を0.880mmに調整したこと以外は、実施例1と同様にして、積層体を作製した。こうして作製した積層体を用いたこと、及び、厚さが1.0mmである金属回路(パターンは実施例1と同一)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2024033151000002
(比較例1)
[半硬化樹脂含浸板の調製]
容器に、シアネート基を有する化合物が80質量部、ビスマレイミド基を有する化合物が20質量部、エポキシ基を有する化合物が50質量部となるように測り取り、上記3種の化合物合計量100質量部に対して、ホスフィン系硬化剤を1質量部及びイミダゾール系硬化剤を0.01質量部加えて混合した。なお、エポキシ樹脂が室温で固体状態であったため、80℃程度に加熱した状態で混合した。得られた熱硬化性樹脂組成物の100℃における粘度は、10mPa・秒であった。調製した熱硬化性樹脂組成物を100℃にした後、その温度を維持したままディスペンサーを用いて、窒化ホウ素焼結板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×0.48mm)の上側の主面上に滴下して熱硬化性樹脂組成物を含浸させた。熱硬化性樹脂組成物の滴下量は、窒化ホウ素焼結板の気孔の全体積の1.5倍とした。熱硬化性樹脂組成物の一部は、窒化ホウ素焼結板に含浸せず、主面上に残存した。
次に、大気圧下、窒化ホウ素焼結板の上側の主面上に残存する熱硬化性樹脂組成物を、ステンレス製のスクレーパー(株式会社ナルビー製)を用いて平滑化し、余剰分の熱硬化性樹脂組成物を除去した。次に、大気圧下、120℃で3時間加熱することによって、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させ、半硬化樹脂とした。このようにして、四角柱状の半硬化樹脂含浸板(縦×横×厚さ=50mm×50mm×0.48mm)を作製した。硬化樹脂の硬化率は、示差走査熱量計を用いた測定によって決定した。半硬化樹脂の硬化率は25%であった。半硬化樹脂含浸板における空隙率(ボイド率)は、1面積%であった。
上述の半硬化樹脂含浸板を樹脂充填板の代わりに使用し、半硬化樹脂層を設け無かったこと、並びに、金属回路及び金属板との接合を行う際の加熱プレスの条件を、温度:200℃、圧力:5MPa、時間:5分間に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作によって、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
金属回路及び金属板との接合を行う際の加熱プレスの条件を、温度:200℃、圧力:1MPa、時間:5分間としたこと以外は、比較例1と同様にして、複合基板を得た。得られた複合基板について、実施例1と同様にして、種々の性状を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2024033151000003
本開示によれば、エッチングを行うことなく、金属回路を有する複合基板を製造可能な複合基板の製造方法を提供できる。本開示によればまた、絶縁層と金属回路との接着性に優れ、且つ優れた絶縁性を発揮し得る複合基板を提供できる。
2…樹脂充填板、4…半硬化樹脂層、5…硬化樹脂層、6…積層体、8…金属回路、9…金属層、10…はみ出し部、100,102…複合基板。

Claims (12)

  1. 樹脂充填板と前記樹脂充填板の少なくとも一方の主面上に設けられた半硬化樹脂層とを有する積層体の、前記半硬化樹脂層側に、金属回路を接合することを含み、
    前記樹脂充填板は、多孔質の窒化物焼結板と前記窒化物焼結板の気孔に充填された硬化樹脂とを有する、複合基板の製造方法。
  2. 前記半硬化樹脂層の厚さが50μm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記硬化樹脂の硬化率が60%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記樹脂充填板の体積が0.1cm以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂充填板における空隙率が8体積%以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  6. 前記金属回路の厚さが0.3mm以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  7. 前記金属回路が2以上の導体部を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  8. 樹脂充填板と、
    前記樹脂充填板の一方の主面上に接合された金属回路と、を備え、
    前記金属回路の側面の傾斜角が、前記樹脂充填板の主面が延びる方向に対して85°以上であり、
    前記樹脂充填板の主面に対して垂直な方向から観察したときの、硬化樹脂で構成されるはみ出し部の平均はみ出し長さが1.0mm未満であり、
    絶縁破壊電圧が4.0kV以上である、複合基板。
  9. 前記樹脂充填板の体積が0.1cm以上である、請求項8に記載の複合基板。
  10. 前記樹脂充填板における空隙率が8体積%以下である、請求項8又は9に記載の複合基板。
  11. 前記金属回路の厚さが0.3mm以上である、請求項8又は9に記載の複合基板。
  12. 前記金属回路が2以上の導体部を含む、請求項8又は9に記載の複合基板。
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