JP2024032359A - 転がり軸受 - Google Patents

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Nao TSUJIMURA
光生 川村
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Abstract

【課題】高速ホワール現象の発生を可及的に防止することができる転がり軸受を低コストに実現する。【解決手段】保持器5が、外輪3に設けられた円環状の案内面Sa(内周面3a)により案内される円環状の被案内面Sb(外周面5b)を有する転がり軸受1において、案内面Saと被案内面Sbとの間に形成される径方向すきまGa2の大きさをδ、転動体4とポケット5の間に形成される周方向すきまGbの大きさをε、案内面Saの真円度をR1、被案内面Sbの真円度をR2としたとき、下記の式(1)を満たす。【数1】TIFF2024032359000007.tif14169【選択図】図3

Description

本発明は、転がり軸受に関する。
図6(a)に、一般的な転がり軸受100の概略横断面図を示す。同図に示す転がり軸受100は、径方向に対向配置された状態で複数の転動体103を介して相対回転する一対の軌道輪(内輪101及び外輪102)と、複数の転動体(例えば、ボール)103を周方向に間隔を空けて保持する環状の保持器104とを備えており、保持器104は、径方向及び周方向に移動可能な状態で内輪101の外周面101aと外輪102の内周面102aの間に組み込まれている。すなわち、保持器104は、中立状態で、内輪101の外周面101a及び外輪102の内周面102aとの間にそれぞれ径方向すきま111,112を、また、周方向の開口寸法Yが径方向に沿って一定とされた転動体収容部(ポケット105)に収容・保持される転動体103との間に周方向すきま113を形成するように、一対の軌道輪間に組み込まれている。
転がり軸受は、保持器104の案内形式によって「転動体案内型」と「軌道輪案内型」とに大別され、「軌道輪案内型」は、さらに図6(a)に例示するような「外輪案内型」と、図6(b)に例示するような「内輪案内型」とに大別される。「外輪案内型」は、広義には、中立位置に位置する保持器104が内輪101及び外輪102との間にそれぞれ形成する径方向すきま111,112のうち、径方向すきま112の方が小さいタイプであり、「内輪案内型」は、広義には、上記2つの径方向すきま111,112のうち、径方向すきま111の方が小さいタイプである。
ところで、転がり軸受100,100’の作動時(内輪101と外輪102の相対回転時)には、保持器104とそのポケット105に収容された転動体103とが接触するのに伴って生じる摩擦力Fによって、保持器104に「高速ホワール現象」とも称される異常な速度での振れ回り(保持器自転周波数の数倍以上で振動する自励振動)が生じることがある。高速ホワール現象が発生すると、異音、振動、トルクの増大、トルク変動、発熱などといった不具合を引き起こし、時には保持器の破断といった致命的な不具合を引き起こすおそれもある。
そこで、例えば下記の特許文献1においては、保持器に所定のアンバランス量を故意に与えて保持器を偏心させた状態(保持器の一部を軌道輪に常時接触させた状態)で回転可能とすることにより、高速ホワール現象の発生、さらにはこれに起因した異音・振動等の不具合発生を可及的に防止するようにしている。
なお、特許文献1に記載の技術手段が、高速ホワール現象の発生を可及的に防止し得る理由を以下簡単に説明する。
例えば、図6(a)に例示した外輪案内型の転がり軸受100において、同図中に示すように、保持器104が軸受中心Oに対して0時(12時)の方向に偏心しているとする。このとき、時計回りに回転する内輪101の回転力を受けて内輪101とは逆向き(反時計回り)に回転する転動体103(図示例においては、計4つの転動体103のうち、3時及び9時の位置に位置する転動体103)がポケット105の内面に接触すると、これらの転動体103と保持器104の間には、紙面右向きの摩擦力Fが生じる。その一方、上記態様で偏心した保持器104が外輪102に接触すると、外輪102と保持器104の間には、転動体103と保持器104の間に生じる上記の摩擦力Fとは力の向きが反対の摩擦力F’が生じる。
前述したとおり、高速ホワール現象は、転動体103と保持器104の間に生じる摩擦力Fによって引き起こされる。そのため、転がり軸受の作動時に、軌道輪(外輪102又は内輪101)と保持器104の間に摩擦力F’を発生させれば、転動体103と保持器104の間に生じる摩擦力Fが軽減(相殺)され、その結果、高速ホワール現象の発生を可及的に防止することが可能になる。
特開2011-196513号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている上記の技術手段では、軌道輪と保持器の接触部での摩耗を抑制すべく、互いに接触する軌道輪と保持器の対向二面に精密研磨等の仕上げ加工を施し、上記二面を極めて精度良く仕上げる必要があることから、加工・製造コストが嵩むという課題がある。
係る実情に鑑み、本発明は、高速ホワール現象の発生、さらにはこれに起因して生じ得る異音や振動などの不具合発生を可及的に防止することができる転がり軸受を低コストに実現することを目的とする。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、径方向に対向配置された状態で複数の転動体を介して相対回転する一対の軌道輪と、転動体を個別に収容した複数のポケットが周方向に間隔を空けて設けられた保持器と、を備え、保持器が、軌道輪に設けられた円環状の案内面により案内される円環状の被案内面を有する転がり軸受において、案内面と被案内面との間に形成される径方向すきまの大きさをδ、転動体とポケットの間に形成される周方向すきまの大きさをε、案内面の真円度をR1、被案内面の真円度をR2としたとき、下記の式(1)を満たすことを特徴とする。
なお、上記の「径方向すきまの大きさ」とは、厳密には一つの軸受内の各位相における径方向すきまの大きさの平均値であり、「周方向すきまの大きさ」とは、“ポケットの周方向の開口寸法”から“転動体の直径寸法”を減じた値である。また、「真円度」とは、JIS B 0621に規定の真円度を言う。
Figure 2024032359000002
まず、上記の式(1)のうち、δ/2+(R1+R2)/2>ε/2の関係式が成立する位相で保持器が径方向に移動すると、保持器が軌道輪と接触する前に保持器と転動体(ポケットに収容された転動体)が周方向で接触することによって径方向における保持器の位置(移動)が制限される。また、式(1)のうち、ε/2>δ/2-(R1+R2)/2の関係式が成立する位相で保持器が径方向に移動すると、保持器が転動体と接触する前に保持器と軌道輪が接触することによって径方向における保持器の位置(移動)が制限される。
要するに、本発明に係る転がり軸受は、一対の軌道輪が相対回転するのに伴って保持器が径方向に移動するときの可動範囲が、転動体によって制限される部分と、軌道輪(の案内面)によって制限される部分とを併せ持つことから、保持器は、転動体及び軌道輪(案内面)の双方と接触可能である。そして、前述したように、保持器のうち、転動体との接触部で生じる摩擦力と、軌道輪との接触部で生じる摩擦力とは、力の向きが互いに反対方向であることから、高速ホワール現象の発生原因である保持器と転動体との接触部で生じる摩擦力が、保持器と軌道輪との接触部で生じる摩擦力によって軽減される。これにより、高速ホワール現象の発生を可及的に防止することができる。
本発明の構成上、保持器(の被案内面)は、軌道輪(の案内面)と常に接触するわけではなく、案内面と被案内面の接触頻度は抑えられる。そのため、軌道輪の案内面(及び保持器の被案内面)を、精密研磨等の仕上げ加工が追加で施された極めて高精度な面に仕上げずとも、案内面及び被案内面の摩耗を抑制することができる。従って、案内面(及び被案内面)に対する仕上げ加工は実施せずとも足りるので、製造コストの増加を防止することができる。
上記のとおり、本発明に係る転がり軸受では、軌道輪の案内面に対し、当該案内面を精度良く仕上げるための仕上げ加工を施す必要がない。そのため、上記案内面は、表面粗さ(JIS B 0601-2001に規定された算術平均粗さ)Raが0.1μm以上とされた面(仕上げ加工が施されていない非仕上げ面)とすることができる。
保持器を樹脂の射出成形品とした場合には、保持器を金属の機械加工品やプレス成形品とする場合に比べて被案内面の真円度(R2の値)が大きくなり易いことから、上記の式(1)が成立し易くなる。そのため、本発明は、樹脂の射出成形品からなる保持器を用いる転がり軸受に好適に採用することができる。
保持器のポケットと転動体の間に径方向すきまが形成される場合、この径方向すきまは、案内面と被案内面との間に形成される径方向すきまよりも大きくする。要するに、本発明に係る転がり軸受は、いわゆる軌道輪案内型であることを基本とする。
上記構成において、案内面は、一対の軌道輪のうち、保持器の径方向外側に配置された外輪の内周面としても良いし、一対の軌道輪のうち、保持器の径方向内側に配置された内輪の外周面としても良い。すなわち、本発明は、外輪案内型の転がり軸受及び内輪案内型の転がり軸受の何れにも適用することができる。
以上から、本発明によれば、高速ホワール現象の発生、さらにはこれに起因して生じ得る異音や振動などの不具合発生を可及的に防止することができる転がり軸受を低コストに実現することができる。
(a)図は、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受の部分正面図、(b)図は、(a)図のA-A線矢視断面図である。 本発明の第1実施形態に係る転がり軸受が有する特徴的構成を説明するための概略横断面図である。 図1-2の転がり軸受が有する特徴的構成を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係る転がり軸受が有する特徴的構成を説明するための概略横断面図である。 図4の転がり軸受が有する特徴的構成を説明するための図である。 (a)図は、一般的な外輪案内型の転がり軸受の概略横断面図、(b)図は、一般的な内輪案内型の転がり軸受の概略横断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、方向性を示すために以下使用する「軸方向」、「径方向」及び「周方向」とは、それぞれ、図1(a)に示す転がり軸受1の軸心Oと平行な方向、軸心Oを中心とする円の径方向、及び軸心Oを中心とする円の周方向である。
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受1の部分正面図、図1(b)は、図1(a)のA-A線矢視断面図、図2は、転がり軸受1が有する特徴的構成を説明するために、転がり軸受1の構成部材を簡略化等したかたちで描いた概略横断面図である。従って、図2においては、後述するボール4の個数等を減じている。この転がり軸受1は、軸受鋼(高炭素クロム軸受鋼)等の高剛性の金属材料で形成された一対の軌道輪(内輪2及び外輪3)と、内輪2と外輪3の間に転動自在に介在する複数の転動体(ここでは、ボール4)と、複数のボール4を保持した円環状の保持器5とを備え、ボール4が、内輪2の外周面2aに形成された円弧状の内側軌道面2b及び外輪3の内周面3aに形成された円弧状の外側軌道面3bに対して接触角αをもって接触する、いわゆるアンギュラ玉軸受である。
保持器5は、周方向に間隔を空けて設けられた複数のポケット6を有し、各ポケット6にボール4が1個ずつ収容されている。各ポケット6は、図2に示すように、周方向の開口寸法Xが径方向に沿って一定となるように形成されている。なお、図1(a)には、ポケット6が20°間隔で計18個設けられた保持器5を構成部材とする転がり軸受1を例示している。
保持器5には、樹脂材料の射出成形品からなる樹脂保持器を使用している。但し、保持器5としては、樹脂保持器以外にも、金属材料を所定形状に削り出すことで得られる、いわゆるもみ抜き保持器、あるいは、所定の環状形態にプレス成形(打ち抜き加工)された一対の保持器素材を結合して得られるプレス保持器を使用することもできる。
保持器5は、転がり軸受1に重力や回転力等が作用しない無負荷状態において、内輪2及び外輪3との間に径方向すきまを、また、ポケット6に収容したボール4との間に周方向すきまをそれぞれ形成するように内輪2と外輪3の間に組み込まれている。すなわち、保持器5が中立位置に位置しているとき、内輪2の外周面2aと保持器5の内周面5aとの間には第1の径方向すきまGa1が形成され、外輪3の内周面3aと保持器5の外周面5bとの間には第2の径方向すきまGa2が形成され、ボール4とこれを収容した保持器5のポケット6の内面(ポケット面)6aとの間には周方向すきまGbが形成される。これにより、転がり軸受1は滑らかに作動可能である。
本実施形態の転がり軸受1では、第1の径方向すきまGa1よりも第2の径方向すきまGa2の方が小さく、従って、保持器5の径方向の可動範囲は外輪3の内周面3aによって制限される。このため、本実施形態の転がり軸受1は、本発明で言う案内面(Sa)及び被案内面(Sb)が、それぞれ、外輪3の内周面3a及び保持器5の外周面5bで構成される外輪案内型のアンギュラ玉軸受である。
以上の構成を有する本実施形態の転がり軸受1、すなわち外輪案内型のアンギュラ玉軸受が有する特徴的構成を説明するための模式図を図3に示す。同図に示すように、この転がり軸受1において第2の径方向すきまGa2の大きさ(=すきまを形成する対向二面の直径寸法の差)は周方向で一定ではなく、周方向に沿って徐々に変化する。ここでは、径方向すきまGa2の大きさが最大となるすきま最大部7が時計の3時及び9時を通る直線上に配置されると共に、径方向すきまGa2の大きさが最小となるすきま最小部8が時計の0時(12時)及び6時を通る直線上に配置された径方向すきまGa2を示している。
なお、図3は、理解の容易化のために、外輪3の内周面3a(案内面Sa)及び保持器5の外周面5b(被案内面Sb)の輪郭形状や、すきま最大部7とすきま最小部8の寸法差を誇張して描いているが、実際には、すきま最大部7とすきま最小部8の間には最大でも数百μm程度の寸法差が存在するに過ぎない。
すきま最大部7における径方向すきまGa2の大きさ(直径値)をδMAXとし、径方向すきまGa2の大きさの平均値をδとし、案内面Saとしての外輪3の内周面3aの真円度をR1とし、被案内面Sbとしての保持器5の外周面5bの真円度をR2とすると、図3に示すように
δMAX/2=δ/2+(R1+R2)/2
である。
また、すきま最小部8における径方向すきまGa2の大きさ(直径値)をδMINとすると、図3に示すように、
δMIN/2=δ/2-(R1+R2)/2
である。
そして、ボール4と保持器5のポケット6の内面6aとの間に形成される周方向すきまGbの大きさ(ここでは、“ポケット6の開口寸法X”-“ボール4の直径寸法”)をεとすると、εの大きさは、上記のδMAXとδMINの間に設定される。つまり、
δMAX>ε>δMIN
であり、これを変換すると、本発明に係る転がり軸受が有する上記の式(1)が成立する。
上記の構成を有する本実施形態の転がり軸受1において、内輪2と外輪3が相対回転するのに伴って、上記の式(1)のうちδ/2+(R1+R2)/2>ε/2の関係式が成立する位相(図3においては、3時及び9時の位置)で保持器5が径方向に移動すると、保持器5の外周面5a(被案内面Sb)が外輪3の内周面3a(案内面Sa)と接触する前に、ボール4とボール4を収容した保持器5のポケット面6aが周方向で接触することにより、径方向における保持器5の位置(移動)が制限される。また、内輪2と外輪3が相対回転するのに伴って、上記式(1)のうち、ε/2>δ/2-(R1+R2)/2の関係式が成立する位相(図3においては、12時及び6時の位置)で保持器5が径方向に移動すると、ボール4が保持器5のポケット面6aと接触する前に保持器5の被案内面Sbと外輪3の案内面Saが接触することによって径方向における保持器5の位置(移動)が制限される。
要するに、本実施形態の転がり軸受1(外輪案内型の玉軸受)は、内輪2と外輪3が相対回転するのに伴って保持器5が径方向に移動するときの可動範囲が、ポケット6に収容されたボール4によって制限される部分と、案内輪である外輪3(の案内面Sa)によって制限される部分とを併せ持つことから、保持器5は、ボール4及び外輪3の双方と接触可能である。そして、図6(a)を参照して説明したように、保持器5のうち、ボール4との接触部(ポケット面6a)で生じる摩擦力Fと、外輪3との接触部(被案内面Sb)で生じる摩擦力F’とは、力の向きが互いに反対方向であることから、高速ホワール現象の発生原因であるポケット面6aで生じる摩擦力Fを被案内面Sbで生じる摩擦力F’によって軽減することができる。これにより、高速ホワール現象の発生を可及的に防止することができる。
但し、本発明の構成上、保持器5の被案内面Sbは、外輪3の案内面Saと常に接触するわけではなく、案内面Saとの接触頻度は抑えられる。そのため、鋼材からなる外輪3の案内面Saを、精密研磨等の仕上げ加工が追加で施された極めて高精度な(滑らかな)面ではなく、例えば表面粗さ(算術平均粗さ)Raが0.1μm以上とされた、仕上げ加工が施されていない面(非仕上げ面)とした場合でも、案内面Saや被案内面Sbの摩耗を抑制することができる。また、金属製の保持器5を用いる場合であっても、保持器5の被案内面Sbを特別高精度に仕上げる必要もない。従って、案内面Sa(及び被案内面Sb)に対する仕上げ加工は実施せずとも足りるので、製造コストの増加を防止することができる。
以上のことから、本発明によれば、内輪2と外輪3の相対回転時に保持器5が高速で振れ回る高速ホワール現象の発生、さらにはこの高速ホワール現象に起因した異音や振動等の不具合発生を可及的に防止することができる静粛で信頼性に富む転がり軸受1を低コストに実現することができる。
なお、本実施形態では、保持器5に樹脂保持器を使用していることから、保持器5に金属製のもみ抜き保持器やプレス保持器を用いる場合に比べて、被案内面Rbの真円度(R2の値)が大きくなり易い。R2の値が大きくなると、すきま最大部7における径方向すきまGa2の大きさ(=δMAX)が大きくなり、すきま最小部8における径方向すきまGa2の大きさ(=δMIN)が小さくなることから、上記の式(1)が成立し易くなる。そのため、保持器5に樹脂保持器を用いる本実施形態の転がり軸受1は、本発明を容易に適用可能であるという利点を有する。
以上、本発明の第1実施形態に係る転がり軸受1について説明したが、本発明は、以上で説明した外輪案内型のみならず、内輪案内型の転がり軸受にも適用することができる。以下、図4及び図5に基づき、本発明の第2実施形態に係る内輪案内型の転がり軸受について説明するが、第1実施形態の転がり軸受1が有する部材・部位と役割や機能を実質的に同じくする部材・部位には共通の参照番号を付し、重複説明を省略するか、あるいは説明を簡略化する。
図4に、本発明の第2実施形態に係る転がり軸受1’の特徴的構成を説明するための概略横断面図を示す。同図に示す転がり軸受1’は、図1及び図2に示した転がり軸受1と同様に、一対の軌道輪(内輪2及び外輪3)と、複数の転動体(ボール4)と、保持器5とを備えた玉軸受(アンギュラ玉軸受)であり、保持器5は、中立位置に位置するとき、内輪2及び外輪3との間に径方向すきまGa1,Ga2を、また、ポケット6に収容したボール4との間に周方向すきまGbをそれぞれ形成するように内輪2と外輪3の間に組み込まれている。但し、内輪2の外周面2aと保持器5の内周面5aとの間に形成される第1の径方向すきまGa1の大きさが、外輪3の内周面3aと保持器5の外周面5bとの間に形成される第2の径方向すきまGa2の大きさよりも小さく設定されており、保持器5の径方向の可動範囲は内輪2の外周面2aによって制限される。このため、本実施形態の転がり軸受1’は、案内面Sa及び被案内面Sbが、それぞれ、内輪2の外周面2a及び保持器5の内周面5aで構成される内輪案内型の転がり軸受(アンギュラ玉軸受)である。
係る構成を有する第2実施形態の転がり軸受1’が有する特徴的構成を説明するための模式図を図5に示す。同図に示すように、この転がり軸受1’において第1の径方向すきまGa1の大きさは一定ではなく、周方向に沿って徐々に変化する。ここでは、径方向すきまGa1の大きさが最大となるすきま最大部7が時計の3時及び9時を通る直線上に配置されると共に、径方向すきまGa1の大きさが最小となるすきま最小部8が時計の0時(12時)及び6時を通る直線上に配置されている。
なお、図5においても、理解の容易化のために、内輪2の外周面2a(案内面Sa)及び保持器5の内周面5b(被案内面Sb)の輪郭形状や、すきま最大部7とすきま最小部8の寸法差を誇張して描いているが、実際には、すきま最大部7とすきま最小部8の間には最大でも数百μm程度の寸法差が存在するに過ぎない。
すきま最大部7における径方向すきまGa1の大きさ(直径値)をδMAXとし、径方向すきまGa1の大きさの平均値をδとし、案内面Saとしての内輪2の外周面2aの真円度をR1とし、被案内面Sbとしての保持器5の内周面5aの真円度をR2とすると、図5に示すように、
δMAX/2=δ/2+(R1+R2)/2
である。
また、すきま最小部8における径方向すきまGa2の大きさ(直径値)をδMINとすると、図5に示すように、
δMIN/2=δ/2-(R1+R2)/2
である。
そして、ボール4と保持器5のポケット6の内面6aとの間に形成される周方向すきまGbの大きさ(ここでは、“ポケット6の開口寸法X”-“ボール4の直径寸法”)をεとすると、εの大きさは、上記のδMAXとδMINの間に設定される。つまり、
δMAX>ε>δMIN
であり、これを変換すると、本発明に係る転がり軸受が有する式(1)が成立する。
係る構成により、第2実施形態に係る転がり軸受1’においても、図1~図3を参照して説明した第1実施形態に係る転がり軸受1と同様の作用効果を奏することができる。
以上、本発明の第1及び第2実施形態に係る転がり軸受1,1’について説明したが、本発明の実施の形態はこれに限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施すことができる。
例えば、転がり軸受1,1’を構成する転動体4には、ボールに替えてころ(円筒ころ、針状ころ等)を用いることも可能である。すなわち、本発明は、玉軸受のみならず、円筒ころ軸受や針状ころ軸受等のころ軸受にも適用可能である。また、転がり軸受1,1’を構成する保持器5には、複数のポケット6(ポケット群)が一列に配置された単列保持器に替えて、ポケット群が二列配置された複列保持器を用いることも可能である。すなわち、本発明は、単列の転がり軸受のみならず、複列の転がり軸受にも適用可能である。
また、図示は省略するが、転動体4との間に径方向すきまを形成するポケット6を有する保持器5が採用される場合がある。この場合、この径方向すきまは、案内面Saと被案内面Sbとの間に形成される径方向すきま(案内すきま)よりも大きくする。このようにすれば、上記のような保持器5が採用される転がり軸受であっても本発明を適用することができる。
以上で説明したとおり、本発明は、転がり軸受1を構成する保持器5の高速ホワール現象の発生を効果的に防止可能とするものであることから、高速ホワール現象が発生し易い用途等で使用される転がり軸受に特に好ましく適用することができる。
例えば、工作機械の主軸や宇宙機器のリアクションホイールを支持するための転がり軸受に玉軸受を用いる場合、この玉軸受は、使用時に比較的大きな軸方向の予圧を受けている。具体的には、運転中に受ける径方向荷重Frと軸方向荷重Faの比(=Fr/Fa)が3以下である場合が多く、このような場合には高速ホワール現象が特に発生し易い。これは、転動体(ボール)の配置間隔が一定になるほど高速ホワール現象が発生し易いためである。逆に言えば、玉軸受に作用する径方向荷重が軸方向荷重に比べて格段に大きい場合(例えば、上記の比Fr/Faが3を超える場合)には、各ボールに進み遅れが生じてボールの配置間隔が不均一になるため、高速ホワール現象が発生しにくくなる。従って、工作機械の主軸や宇宙機器のリアクションホイールの支持軸受等、下記の式(2)が成立する用途で使用される玉軸受には、本発明を特に好適に適用することができる。
Figure 2024032359000003
また、保持器の理論回転数をNc(rpm)、ポケットすきまの大きさをc(mm)、保持器質量をm(kg)、軸受内の平均転動体荷重をQ(N)としたとき、下記の式(3)が成立するときには高速ホワール現象が発生し易い。すなわち、下記の式(3)が成立する運転状況では、保持器の遠心力により転動体が外輪の軌道面(外側軌道面)に対して滑り難いため、転動体の配置間隔が不均一になり難い。従って、本発明は、下記の式(3)が成立する状況で運転される転がり軸受に好適に適用することができる。
Figure 2024032359000004
なお、上記の式(3)における、保持器理論回転数Ncは、内輪回転数をn(rpm)、外輪回転数をn(rpm)、転動体径をD(mm)、転動体のピッチ円直径をd(mm)、軌道面に対する転動体の接触角をα(rad)としたとき、以下の式(4)によって算出することができる。
Figure 2024032359000005
以上、本発明に係る転がり軸受1について説明したが、本発明は以上で説明した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは言うまでもない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
1 転がり軸受
1’ 転がり軸受
2 内輪
2a 外周面
3 外輪
3a 内周面
4 転動体
5 保持器
6 ポケット
6a ポケット面
7 すきま最大部
8 すきま最小部
F,F’ 摩擦力
Ga1 第1の径方向すきま
Ga2 第2の径方向すきま
Gb 周方向すきま
δ 径方向すきまの大きさ
ε 周方向すきまの大きさ
R1 案内面の真円度
R2 被案内面の真円度
Sa 案内面
Sb 被案内面

Claims (5)

  1. 複数の転動体を介して相対回転する一対の軌道輪と、前記転動体を個別に収容した複数のポケットが周方向に間隔を空けて設けられた円環状の保持器と、を備え、前記保持器が、前記軌道輪に設けられた円環状の案内面により案内される円環状の被案内面を有する転がり軸受において、
    前記案内面と前記被案内面との間に形成される径方向すきまの大きさをδ、前記転動体と前記ポケットの間に形成される周方向すきまの大きさをε、前記案内面の真円度をR1、前記被案内面の真円度をR2としたとき、下記の式(1)を満たすことを特徴とする転がり軸受。
    Figure 2024032359000006
  2. 前記案内面の表面粗さRaが0.1μm以上である請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記保持器が樹脂の射出成形品である請求項1に記載の転がり軸受。
  4. 前記案内面が、前記一対の軌道輪のうち、前記保持器の径方向外側に配置された外輪の内周面である請求項1に記載の転がり軸受。
  5. 前記案内面が、前記一対の軌道輪のうち、前記保持器の径方向内側に配置された内輪の外周面である請求項1に記載の転がり軸受。
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