JP2024031880A - 有機el素子、表示装置および照明装置 - Google Patents

有機el素子、表示装置および照明装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2024031880A
JP2024031880A JP2023133982A JP2023133982A JP2024031880A JP 2024031880 A JP2024031880 A JP 2024031880A JP 2023133982 A JP2023133982 A JP 2023133982A JP 2023133982 A JP2023133982 A JP 2023133982A JP 2024031880 A JP2024031880 A JP 2024031880A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituted
ring
unsubstituted
light emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023133982A
Other languages
English (en)
Inventor
和紀 小林
和真 長尾
貴士 徳田
亮太 小谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2024031880A publication Critical patent/JP2024031880A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Abstract

【課題】発光効率および耐久寿命に優れた有機EL素子を提供する。【解決手段】2以上の発光ユニットと、前記発光ユニットの間に挟持される電荷発生層とを有し、前記発光ユニットのうち少なくとも一つは積層発光ユニットであり、前記第一発光層は、第一ホスト材料を含み、前記第二発光層は、第二ホスト材料を含み、前記第一ホスト材料と前記第二ホスト材料とは互いに異なり、前記電荷発生層が一般式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子。TIFF2024031880000142.tif60170【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造を有する有機EL素子用材料を用いた有機EL素子、表示装置および照明装置に関する。
有機EL素子は、近年では、テレビやスマートフォンのディスプレイに採用されるなど、着実に実用化が進んでいる。しかし、既存の有機EL素子にはまだ技術的な課題も多い。中でも、高効率な発光を得ることと、有機EL素子の長寿命化との両立は、大きな課題となっている。
これらの課題を解決するために陽極と陰極との間に、正孔輸送層、電子輸送層および発光層を有する有機層からなる複数の発光ユニットを、電荷発生層を介して重ねて配置させたタンデム型有機EL素子が提案されている。例えば、電荷発生層は、n型電荷発生層およびp型電荷発生層から成り、n型電荷発生層に用いられる化合物として、ターピリジン骨格を有し、特定のアリール基で置換されたフェナントロリン誘導体(例えば、特許文献1参照)が記載されている。
また、複数の発光層を積層させることについて検討がなされている(例えば、特許文献2および3参照)。また、2つの三重項励起子の衝突融合により一重項励起子が生成する現象(以下、Triplet-Triplet Fusion=TTF現象と称する。)(例えば、特許文献4および5参照)が開示されている。
国際公開第2016/121597号 米国特許出願公開2019/280209号 特開2007-294261号公報 国際公開第2010/134350号 国際公開第2021/162057号
特許文献1によれば、ターピリジン骨格を有するフェナントロリン誘導体をn型電荷発生層に用い、複数の発光層を積層させることにより、低電圧駆動可能な、高い発光効率および優れた耐久寿命を有する有機EL素子を提供することができる。しかしながら、近年有機EL素子に求められる発光効率と耐久性はますます高まっており、さらに高い発光効率と耐久寿命とを両立させる技術が求められている。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、発光効率および耐久寿命に優れた有機EL素子を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。
[1]陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持され、それぞれ正孔輸送層、電子輸送層および発光層を有する、2以上の発光ユニットと、前記発光ユニットの間に挟持される電荷発生層とを有し、
前記発光ユニットのうち少なくとも一つは第一発光層および第二発光層を含む発光層を有する積層発光ユニットであり、
前記第一発光層は、第一ホスト材料を含み、
前記第二発光層は、第二ホスト材料を含み、
前記第一ホスト材料と前記第二ホスト材料とは互いに異なり、
前記電荷発生層が下記一般式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子。
Figure 2024031880000001
(一般式(1)において、X~Xのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である;Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である;ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である;Aはフェニル基またはピリジル基であり、nは0または1である。)
[2]前記第一発光層および第二発光層は、最大のピーク波長が500nm以下の発光を示す発光性化合物を少なくとも含む[1]に記載の有機EL素子。
[3]前記2以上の発光ユニット中の発光層が少なくとも二つは第一発光層と第二発光層の二層からなる[1]または[2]に記載の有機EL素子。
[4]前記一般式(1)においてXが窒素原子である、[1]~[3]のいずれかに記載の有機EL素子。
[5]前記一般式(1)において、nが1である、[1]~[4]のいずれかに記載の有機EL素子。
[6]前記一般式(1)において、Aがフェニル基である、[1]~[5]のいずれかに記載の有機EL素子。
[7]前記一般式(1)において、nが0である、[1]~[4]のいずれかに記載の有機EL素子。
[8]前記一般式(1)において、Lが単結合である、[1]~[7]のいずれかに記載の有機EL素子。
[9]前記電荷発生層がさらにアルカリ金属、希土類金属または銅族元素を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の有機EL素子。
[10]前記アルカリ金属がLiである、[9]のいずれかに記載の有機EL素子。
[11]前記希土類金属がYbである、[9]のいずれかに記載の有機EL素子。
[12]前記第一発光層および第二発光層が下記一般式(5)で表される発光性化合物を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載の有機EL素子:
Figure 2024031880000002
(一般式(5)において、Za環、Zb環およびZc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環または置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール環である;ZおよびZは、それぞれ独立に、酸素原子、NRa(置換基Raを有する窒素原子)または硫黄原子であり、ZがNRaである場合、Za環もしくはZb環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよく、ZがNRaである場合、Za環もしくはZa環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよい;Raは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基である;Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRb(置換基Rbを有するケイ素原子)、P=OまたはP=Sである;Rbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基から選ばれる。)
[13]前記第一発光層と前記第二発光層とが、直接、接している、[1]~[12]のいずれかに記載の有機EL素子。
[14][1]~[13]のいずれかに記載のEL素子を含む表示装置。
[15][1]~[14]のいずれかに記載のEL素子を含む照明装置。
本発明により、発光効率および耐久寿命に優れた有機EL素子を提供することができる。
以下、本発明に係る有機EL素子用材料、有機EL素子、表示装置および照明装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
(有機EL素子)
有機EL素子の実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る有機EL素子は、陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持され、それぞれ正孔輸送層、電子輸送層および発光層を有する、2以上の発光ユニットと、前記発光ユニットの間に挟持される電荷発生層とを有し、前記2以上の発光ユニットのうち少なくとも一つの発光ユニットに含まれる発光層は第一発光層と第二発光層の二層から構成され、電気エネルギーにより発光する。
従来、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率を向上させるための技術として、Tripret-Tripret-Annhilation(TTAと称する場合がある。)が知られている。TTAは、三重項励起子と三重項励起子とが衝突して、一重項励起子を生成するという機構(メカニズム)である。なお、TTAメカニズムは、特許文献に記載のようにTTFメカニズムと称する場合もある。
しかし、再結合領域が、発光層と正孔輸送層又は電子障壁層との界面に局所的に存在する場合には、過剰な電子によるクエンチが考えられる。一方、再結合領域が、第一発光層と電子輸送層又は正孔障壁層との界面に局所的に存在する場合には、過剰な正孔によるクエンチが考えられる。いずれの場合も、再結合による励起子の生成が阻害され、TTFメカニズムが発現されず、発光効率は向上しない。
本発明に係る有機EL素子は、少なくとも一つの積層発光ユニットを備える。ここで、積層発光ユニットとは、発光層として第一発光層および第二発光層の二層を含む発光層を有する発光ユニットである。これによって、第一発光層で生成した三重項励起子は、過剰キャリアによってクエンチされずに第二発光層へと移動する。その結果、第二発光層において、TTFメカニズムが発現して、一重項励起子が効率良く生成され、発光効率が向上する。このように、有機EL素子における積層発光ユニットが、三重項励起子を主に生成させる第一発光層と、第一発光層から移動してきた三重項励起子を活用してTTFメカニズムを主に発現させる第二発光層と、を異なる領域として備えることで、発光効率が向上する。
このようなタンデム型の有機EL素子における具体例は、例えば
1)陽極/第一発光ユニット/電荷発生層/第二発光ユニット/陰極、
2)陽極/第一発光ユニット/電荷発生層/第二発光ユニット/電荷発生層/第三発光ユニット/陰極
3)陽極/第一発光ユニット/電荷発生層/第二発光ユニット/電荷発生層/第三発光ユニット/電荷発生層/第四発光ユニット/陰極
といった、2以上の発光ユニットの陽極と陰極の間に中間層として電荷発生層を含む積層構成が挙げられる。また、上記各層は、それぞれ単一層、複数層のいずれでもよく、ドーピングされていてもよい。特に、第一発光ユニット、第二発光ユニット、第三発光ユニット及び第四発光ユニットの少なくともいずれか一つが前記積層発光ユニットであることが好ましい。
また、第一発光ユニット、第二発光ユニット及び第三発光ユニットの少なくとも2以上が前記積層発光ユニットであることがより好ましく、有機EL素子が有するすべての発光ユニットが前記積層発光ユニットであることがさらに好ましい。
また、上記電子注入層および電荷発生層は、金属をドープした金属ドーピング層とすると、電子輸送能力や隣接する他層への電子注入能力を向上させることができるので好ましい。また、上記各層に加えて、保護層(キャップ層)をさらに有すると、光学干渉効果により発光効率をより向上させることができるので好ましい。本発明の実施の形態に係る有機EL素子において、陽極と陰極は素子の発光のために十分な電流を供給するための役割を有するものであり、光を取り出すために少なくとも一方は透明または半透明であることが望ましい。通常、基板上に形成される陽極を透明電極とする。
また、前記2つ以上の発光ユニットは、積層発光ユニットと、積層発光ユニットとは異なる少なくとも1つのリン光発光ユニットとを含むことが好ましい。上記の通り、積層発光ユニットとは、第一発光層および第二発光層を含む発光層を有する発光ユニットである。また、リン光発光ユニットとは、発光層にリン光発光を示すリン光ドーパントを含む発光ユニットである。リン光ドーパントとしては、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、およびレニウム(Re)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物を構成する配位子は、フェニルピリジン骨格またはフェニルキノリン骨格またはカルベン骨格などの含窒素芳香族複素環を有することが好ましい。しかしながら、これらに限定されるものではなく、要求される発光色、素子性能、ホスト化合物との関係から適切な錯体が選ばれる。具体的には、トリス(2-フェニルピリジル)イリジウム錯体、トリス{2-(2-チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス{2-(2-ベンゾチオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、トリス(2-フェニルベンゾチアゾール)イリジウム錯体、トリス(2-フェニルベンゾオキサゾール)イリジウム錯体、トリスベンゾキノリンイリジウム錯体、ビス(2-フェニルピリジル)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2-(2-チオフェニル)ピリジル}イリジウム錯体、ビス{2-(2-ベンゾチオフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2-フェニルベンゾチアゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス(2-フェニルベンゾオキサゾール)(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビスベンゾキノリン(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、ビス{2-(2,4-ジフルオロフェニル)ピリジル}(アセチルアセトナート)イリジウム錯体、テトラエチルポルフィリン白金錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(1,10-フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(セノイルトリフルオロアセトン)モノ(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、{トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオン)モノ(1,10-フェナントロリン)}ユーロピウム錯体、トリスアセチルアセトンテルビウム錯体などが挙げられる。また、特開2009-130141号に記載されているリン光ドーパントも好適に用いられる。イリジウム錯体または白金錯体が好ましく、発光効率をより向上させることができる。
ドーパント材料として用いられる上記三重項発光材料は、発光層中に各々一種類のみが含まれていてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。三重項発光材料を二種以上用いる際には、ドーパント材料の総重量がホスト材料とドーパント材料の合計を100重量%として30重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。
リン光発光ユニットにおける好ましいホスト材料およびドーパント材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2024031880000003
Figure 2024031880000004
また、リン光発光ユニットは、緑色発光性のリン光ドーパントを含有する緑色リン光発光層と、赤色発光性のリン光ドーパントを含有する赤色リン光発光層と、を有することが好ましい。本明細書において、緑色の発光とは、発光スペクトルの最大ピーク波長が500nm以上、550nm以下の範囲内である発光をいう。本明細書において、赤色の発光とは、発光スペクトルの最大ピーク波長が600nm以上、640nm以下の範囲内である発光をいう。また、本発明に係る有機EL素子が、リン光発光ユニットを有する場合、積層発光ユニットを2つ以上有することも好ましく、1つの積層発光ユニットと1つのリン光発光ユニットとを有することも好ましい。また、本発明に係る有機EL素子は、燐光発光ユニットを含まないことも好ましい。
(発光層)
本発明に係る有機EL素子は2つ以上の発光ユニットを有し、いずれかの発光ユニットの少なくとも一つが、積層発光ユニットである。前述の通り、積層発光ユニットは、第一発光層および第二発光層を含む発光層を有する。また、有機EL素子は2つ以上の積層発光ユニットを含んでいてもよい。有機EL素子に含まれる、積層発光ユニットではないその他の発光ユニットは、単一の発光層を含んでいてもよいし、複数の発光層を含んでいてもよい。
(第一発光層)
第一発光層は、第一ホスト材料を含む。第一ホスト材料は、第二発光層が含有する第二ホスト材料とは、異なる化合物である。第一発光層は、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第一発光性化合物を少なくとも含む。第一発光性化合物は、最大ピーク波長が500nm以下の蛍光発光を示す蛍光発光性化合物であることが好ましい。前記第一発光性化合物は、第二発光層が含有する第二発光性化合物と、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
(第二発光層)
第二発光層は、第二ホスト材料を含む。第二ホスト材料は、第一発光層が含有する第一ホスト材料とは、異なる化合物である。
第二発光層は、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第二発光性化合物を少なくとも含む。第二の発光性化合物は、最大ピーク波長が500nm以下の蛍光発光を示す蛍光発光性化合物であることが好ましい。前記第二発光性化合物は、第一発光層が含有する第一発光性化合物と、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
第一発光層に含まれる第一ホスト材料の三重項エネルギーT1(H1)と、第二発光層に含まれる第二ホスト材料の三重項エネルギーT2(H2)が下記数式(数1)の関係を満たすことが好ましい。
T1(H1)>T1(H2)…(数1)。
前記数式(数1)の関係を満たすように第一発光層及び第二発光層を含む積層発光ユニットを備えることで、第一発光層で生成した三重項励起子は、過剰キャリアによってクエンチされずに第二発光層へと効率よく移動し、また、第二発光層から第一発光層へ逆移動することを抑制できる。その結果、第二発光層において、TTFメカニズムが発現して、一重項励起子が効率良く生成され、発光効率がさらに向上する。
このように、第二発光層中の第二ホスト材料として、第一発光層中の第一ホスト材料よりも小さな三重項エネルギーを有する化合物を用いて、三重項エネルギーの差を設けることで、発光効率が向上する。
また、第一発光層と第二発光層は直接接していることが好ましい。再結合を主に担う第一発光層と、第一の発光層から移動してきた三重項励起子を活用してTTFメカニズムを主に発現させる第二発光層が、直接接していることで、前記第一発光層から、前記第二発光層へと効率よくエネルギー移動が生じることで、発光効率が向上する。
また、第一発光層と第二発光層との積層順が、陽極側から、第一発光層と第二発光層との順序である場合、第一ホスト材料の正孔移動度μh(H1)と、第二ホスト材料の正孔移動度μh(H2)とが、下記数式(数2)の関係を満たすことが好ましい。
μh(H1)>μh(H2)…(数2)。
正孔耐性の低いフェナントロリン化合物を含む電荷発生層または、電子輸送層に正孔が移動しにくくなることで、フェナントロリン化合物の安定性が高くなり、素子寿命が向上する。
さらに、第一発光層と第二発光層との積層順が、陽極側から、第一発光層と第二発光層との順序である場合、第一ホスト材料の正孔移動度μh(H1)と、第一ホスト材料の電子移動度μe(H1)と、第二ホスト材料の正孔移動度μh(H2)と、第二ホスト材料の電子移動度μe(H2)とが、下記数式(数3)の関係を満たすことも好ましい。第一ホスト材料及び第二ホスト材料が、下記数式(数3)の関係を満たすことにより、フェナントロリン化合物の劣化をさらに抑制することができる。
(μe(H1)/μh(H1))<(μe(H2)/μh(H2))…(数3)。
さらに、第一発光層と第二発光層との積層順が、陽極側から、第一発光層と第二発光層との順序である場合、第一ホスト材料の電子移動度μe(H1)と、第二ホスト材料の電子移動度μe(H2)とが、下記数式(数4)の関係を満たすことも好ましい。第一ホスト材料と第二ホスト材料とが、下記数式(数4)の関係を満たすことにより、第一発光層でのホールと電子との再結合能が向上する。
μe(H1)<μe(H2)…(数4)。
(第三発光層)
本発明に係る有機EL素子は、第一発光層および第二発光層を含む発光層に第三発光層をさらに含んでいてもよい。第三発光層は、第三ホスト材料を含む。第一ホスト材料と第二ホスト材料と第三ホスト材料とは、互いに異なり、第三の発光層は、最大ピーク波長が500nm以下の発光を示す第三発光性化合物を少なくとも含み、第一発光性化合物と、第二発光性化合物と、第三発光性化合物とが、互いに同一であるか、又は異なり、第一ホスト材料の三重項エネルギーT1(H1)と第三ホスト材料の三重項エネルギーT1(H3)とが、下記数式(数5)の関係を満たすことが好ましい。
T1(H1)>T1(H3)…(数5)。
本発明に係る有機EL素子が第三発光層を含んでいる場合、第二ホスト材料の三重項エネルギーT1(H2)と第三ホスト材料の三重項エネルギーT1(H3)とが、下記数式(数6)の関係を満たすことが好ましい。
T1(H2)>T1(H3)…(数6)。
前述の通り、発光層は、発光材料により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、2種類のホスト材料と1種類のドーパント材料との混合物であっても、いずれでもよい。すなわち、本発明の実施の形態における有機EL素子は、各発光層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。電気エネルギーを効率よく利用し、高色純度の発光を得るという観点からは、発光層はホスト材料とドーパント材料の混合物からなることが好ましい。また、ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。発光層がホスト材料とドーパント材料の混合物からなる場合、ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれでもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれでもよい。ドーパント材料は発光色の制御ができる。ドーパント材料の量は、濃度消光現象を抑制する観点から、ホスト材料とドーパント材料の合計を100重量%として30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは20重量%以下である。ドーピング方法は、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
発光材料としては、発光体として知られているアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8-キノリノラート)アルミニウムなどの金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体や、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体などのポリマーなどが挙げられる。
発光材料に含有されるホスト材料は、化合物一種のみに限る必要はなく、複数の化合物を混合、もしくは積層して用いてもよい。ホスト材料としては、特に限定されないが、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデンなどの縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、N,N’-ジナフチル-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンなどの芳香族アミン誘導体、トリス(8-キノリナート)アルミニウム(III)などの金属キレート化オキシノイド化合物、ジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、インデン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体や;ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体などのポリマーなどが挙げられる。
特に、第一ホスト材料は、下記一般式(3)で表される基を少なくとも1つ有し、かつ下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024031880000005
前記一般式(2)において、R101~R110は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は前記一般式(3)で表される基であり、ただし、R101~R110の少なくとも1つは、前記一般式(3)で表される基であり、前記一般式(3)で表される基が複数存在する場合、複数の前記一般式(3)で表される基は、互いに同一であるか又は異なり、L101は、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基であり、Ar101は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、mxは、0、1、2、3、4又は5であり、L101が2以上存在する場合、2以上のL101は、互いに同一であるか、又は異なり、Ar101が2以上存在する場合、2以上のAr101は、互いに同一であるか、又は異なり、前記一般式(3)中の*は、前記一般式(2)中のピレン環との結合位置を示す。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子が結合していることを意味し、「置換」とは、水素原子の少なくとも一部が置換されていることを意味する。上記水素原子は重水素原子であってもよい。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合においても上記と同様である。
第一ホスト材料の好適な例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら第一ホスト材料の好適な例に限定されない。化合物の具体例中、Dは、重水素原子を示し、Meは、メチル基を示し、tBuは、tert-ブチル基を示す。
Figure 2024031880000006
Figure 2024031880000007
Figure 2024031880000008
Figure 2024031880000009
Figure 2024031880000010
Figure 2024031880000011
Figure 2024031880000012
Figure 2024031880000013
Figure 2024031880000014
Figure 2024031880000015
Figure 2024031880000016
Figure 2024031880000017
Figure 2024031880000018
Figure 2024031880000019
Figure 2024031880000020
Figure 2024031880000021
Figure 2024031880000022
Figure 2024031880000023
Figure 2024031880000024
Figure 2024031880000025
Figure 2024031880000026
Figure 2024031880000027
Figure 2024031880000028
Figure 2024031880000029
Figure 2024031880000030
Figure 2024031880000031
Figure 2024031880000032
Figure 2024031880000033
Figure 2024031880000034
Figure 2024031880000035
Figure 2024031880000036
Figure 2024031880000037
Figure 2024031880000038
Figure 2024031880000039
Figure 2024031880000040
Figure 2024031880000041
Figure 2024031880000042
Figure 2024031880000043
Figure 2024031880000044
Figure 2024031880000045
Figure 2024031880000046
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3a)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2024031880000047
前記一般式(3a)において、R~Rのうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、R10~R18のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR及びR14は、互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR~R、R~R13、R15~R18は、互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901~903は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。R901が2個以上存在する場合、2個以上のR901は、互いに同一であるか、又は異なり、R902が2個以上存在する場合、2個以上のR902は、互いに同一であるか、又は異なり、R903が2個以上存在する場合、2個以上のR903は、互いに同一であるか、又は異なる。
Figure 2024031880000048
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3b-1)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 2024031880000049
前記一般式(3b-1)において、R354~R358及びR360~R362のうちの1つは、前記一般式(3b-2)で表される基であり、R351~R353、R359、並びに前記一般式(3b-2)で表される基以外のR354~R358及びR360~R362は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、-C(=O)R801で表される基、-COOR802で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R361が前記一般式(3b-1)で表される基である場合、R362は水素原子または置換もしくは無置換のフェニル基であり、R362が前記一般式(3b-1)で表される基である場合、R361は水素原子または置換もしくは無置換のフェニル基であり、前記一般式(3b-2)において、R371~R380のうちの1つが前記一般式(3b-2)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置を示し、当該結合位置ではない前記一般式(3b-2)中のR371~R380のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記一般式(3b-2)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置ではなく、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しない前記一般式(3b-2)中のR371~R380は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、N(R906)(R907)で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、だし、R371~R380の少なくとも一つは水素原子以外であり、前記一般式(3b-2)で表される化合物において、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801、及びR802は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、R801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、R802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2024031880000050
Figure 2024031880000051
Figure 2024031880000052
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3c-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024031880000053
前記一般式(3c-1)において、R404~R408及びR410~R412のうちの1つは、前記一般式(3c-2)、(3c-3)又は(3c-4)で表される基であり、R401~R403、R409、並びに前記一般式(3c-2)、(3c-3)又は(3c-4)で表される基以外のR404~R408及びR410~R412は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、C-C(=O)R801で表される基、-COOR802で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R11が前記一般式(3c-2)、(3c-3)又は(3c-4)で表される基である場合、R12は水素原子または置換もしくは無置換のフェニル基であり、R12が前記一般式(3c-2)、(3c-3)又は(3c-4)で表される基である場合、R11は水素原子または置換もしくは無置換のフェニル基であり、記一般式(3c-2)において、R451~R454、R457、及びR461~R464のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR451~R454、R457、及びR461~R464は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、N(R906)(R907)で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、*は前記一般式(3c-1)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置を示し、前記一般式(3c-3)において、R451~R453、R456、R457、及びR471~R474のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR451~R453、R456、R457、及びR471~R474は、それぞれ独立に、前記一般式(3c-2)におけるR451~R454、R457、及びR461~R464と同義であり、*は前記一般式(3c-1)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置を示し、前記一般式(3c-4)において、R451~R455、及びR481~R484のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR451~R455、及びR481~R484は、それぞれ独立に、前記一般式(3c-2)におけるR451~R454、R457、及びR461~R464と同義であり、*は前記一般式(3c-1)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置を示す。)(前記一般式(3c-1)で表される化合物において、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801、及びR802は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、R801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、R802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2024031880000054
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3d-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024031880000055
前記一般式(3d-1)において、R504~R508及びR510~R512のうちの1つは、前記一般式(3d-2)で表される基であり、R501~R503、R509、並びに前記一般式(3d-2)で表される基以外のR504~R508及びR510~R512は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、C-C(=O)R801で表される基、-COOR802で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801、及びR802は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、R801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、R802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なり、前記一般式(3d-2)において、n1は0又は1以上の整数であり、n1が1以上の整数である場合のL1は、無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、置換もしくは無置換の環が2環以上縮合した、環形成炭素数10~50のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基であり、ただし、無置換の場合の環形成炭素数6~50のアリーレン基は、縮合環ではなく、L1が2以上存在する場合、2以上のL1は、互いに同一であるか、又は異なり、Ar1は、置換もしくは無置換の環が4環以上縮合したアリール基、又は置換もしくは無置換の環が4環以上縮合した複素環基であり、*は、前記一般式(3d-1)中のベンズ[a]アントラセン環との結合位置を示し、ただし、前記一般式(3d-1)におけるR501~R512、並びに前記一般式(3d-2)におけるL及びArのうち、少なくともいずれかが重水素原子を少なくとも1つ有し、Lのみが重水素原子を有する場合、Lを構成する環のうち前記一般式(3d-1)中のベンズ[a]アントラセン環と直接結合する環に重水素原子が結合する。
Figure 2024031880000056
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3e-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024031880000057
前記一般式(3e-1)において、R1A及びR1Bは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1~15のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~17のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~17の複素環基であり、ただし、R1A及びR1Bの少なくとも一方が置換もしくは無置換の炭素数1~15のアルキル基であり、R611~R614のうちの隣接する2つ以上からなる組、並びにR615~R618のうちの隣接する2つ以上からなる組の少なくとも1組が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、又は互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成し、前記一般式(3e-2)で表される基は、環A側に置換もしくは無置換の単環又は置換もしくは無置換の縮合環が形成されている場合においては、R612に結合する炭素原子、又は当該環A側の単環及び当該環A側の縮合環を構成する炭素原子の内、環B側の炭素原子Cと単結合で結合する環Aの炭素原子Cから最も離れた位置の炭素原子に結合し、置換もしくは無置換の単環又は置換もしくは無置換の縮合環が、環A側に形成されず、環B側に形成されている場合においては、R612に結合する炭素原子に結合し、前記一般式(3e-2)で表される基が結合しないR612、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR611、R613、R614及びR615~R618は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、C-C(=O)R801で表される基、-COOR802で表される基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~17のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~17の複素環基であり、前記一般式(3e-2)において、Arは、4つ以上の環が縮合した置換もしくは無置換のアリール基又は4つ以上の環が縮合した置換もしくは無置換の複素環基であり、Lは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~17のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~17の2価の複素環基であり、mxは、0、1又は2であり、*は、前記一般式(1)の環を構成する原子との結合位置を示し、ただし、前記第一ホスト材料は、4つ以上の環が縮合した置換もしくは無置換のアリール基及び4つ以上の環が縮合した置換もしくは無置換の複素環基を、当該第一ホスト材料の分子中に、3つ以上含まない。)(前記第一ホスト材料中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801、及びR802は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~17のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~17の複素環基であり、R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、R801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、R802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2024031880000058
Figure 2024031880000059
また、第一ホスト材料は、下記一般式(3f-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024031880000060
前記一般式(3f-1)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子であり、R710~R719のうち隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR710~R719は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R901)(R902)(R903)で表される基、-O-(R904)で表される基、-S-(R905)で表される基、換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、C-C(=O)R801で表される基、-COOR802で表される基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基、又は前記一般式(3f-2)で表される基であり、ただし、R710~R719の少なくとも1つは、前記一般式(3f-2)で表される基であり、前記一般式(3f-2)で表される基が複数存在する場合、複数の前記一般式(3f-2)で表される基は、互いに同一であるか又は異なり、Lは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基であり、mxは、1、2又は3であり、Lが2以上存在する場合、2以上のLは、互いに同一であるか、又は異なり、Arは、3つ以上の環を含む置換もしくは無置換のアリール基、又は2つ以上の芳香環と1つ以上の複素環とを含む置換もしくは無置換の複素環基であり、Arは、アントラセン環を含まず、Arが2以上存在する場合、2以上のArは、互いに同一であるか、又は異なり、前記一般式(3f-2)中の*は、結合位置を示し、前記一般式(3f-1)で表される第一ホスト材料中、R901、R902、R903、R904、R905、R906、R907、R801、及びR802は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R901が複数存在する場合、複数のR901は、互いに同一であるか又は異なり、R902が複数存在する場合、複数のR902は、互いに同一であるか又は異なり、R903が複数存在する場合、複数のR903は、互いに同一であるか又は異なり、R904が複数存在する場合、複数のR904は、互いに同一であるか又は異なり、R905が複数存在する場合、複数のR905は、互いに同一であるか又は異なり、R906が複数存在する場合、複数のR906は、互いに同一であるか又は異なり、R907が複数存在する場合、複数のR907は、互いに同一であるか又は異なり、R801が複数存在する場合、複数のR801は、互いに同一であるか又は異なり、R802が複数存在する場合、複数のR802は、互いに同一であるか又は異なる。)
Figure 2024031880000061
Figure 2024031880000062
Figure 2024031880000063
Figure 2024031880000064
また、第二ホスト材料は、下記一般式(4)で表されるアントラセン誘導体であることも好ましい。
Figure 2024031880000065
前記一般式(4)において、R201~R208は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のハロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、置換もしくは無置換の炭素数7~50のアラルキル基、カルボニル基、エステル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、L201及びL202は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の2価の複素環基であり、Ar201及びAr202は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は、置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基である。)第二ホスト材料の好適な例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。ただし、本発明は、これら第二ホスト材料の好適な例に限定されない。
Figure 2024031880000066
Figure 2024031880000067
Figure 2024031880000068
Figure 2024031880000069
Figure 2024031880000070
Figure 2024031880000071
Figure 2024031880000072
Figure 2024031880000073
Figure 2024031880000074
Figure 2024031880000075
Figure 2024031880000076
Figure 2024031880000077
Figure 2024031880000078
Figure 2024031880000079
Figure 2024031880000080
Figure 2024031880000081
Figure 2024031880000082
Figure 2024031880000083
Figure 2024031880000084
Figure 2024031880000085
Figure 2024031880000086
Figure 2024031880000087
Figure 2024031880000088
Figure 2024031880000089
Figure 2024031880000090
Figure 2024031880000091
Figure 2024031880000092
中でも、発光層が三重項発光(りん光発光)を行う際に用いられるホストとしては、金属キレート化オキシノイド化合物、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、トリフェニレン誘導体などが好適に用いられる。
発光材料に含有されるドーパント材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、フルオランテン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどのアリール環を有する化合物やその誘導体(例えば2-(ベンゾチアゾール-2-イル)-9,10-ジフェニルアントラセンや5,6,11,12-テトラフェニルナフタセンなど);フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9-シラフルオレン、9,9’-スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどのヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体;ジスチリルベンゼン誘導体;4,4’-ビス(2-(4-ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’-ビス(N-(スチルベン-4-イル)-N-フェニルアミノ)スチルベンなどのアミノスチリル誘導体;芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4-c]ピロール誘導体;2,3,5,6-1H,4H-テトラヒドロ-9-(2’-ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1-gh]クマリンなどのクマリン誘導体;イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体、その金属錯体;N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-4,4’-ジフェニル-1,1’-ジアミンなどの芳香族アミン誘導体;下記一般式(5)で表される化合物などが挙げられる。これらの中でも、ジアミン骨格を含むドーパントや、フルオランテン骨格を含むドーパントは、発光効率をより向上させることができ、下記一般式(5)で表される化合物は、発光効率や耐久寿命をより向上させることができる。
Figure 2024031880000093
一般式(5)において、Za環、Zb環およびZc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環または置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール環である。Za環、Zb環およびZc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環であることが好ましい。ZおよびZは、それぞれ独立に、酸素原子、NRa(置換基Raを有する窒素原子)または硫黄原子であり、ZがNRaである場合、RaはZa環もしくはZb環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよく、ZがNRaである場合、RaはZb環もしくはZc環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよい。Raは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基である。ZおよびZはいずれもNRaであり、Raは置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基であることが好ましい。Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRb(置換基Rbを有するケイ素原子)、P=OまたはP=Sである。Rbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基である。Yはホウ素原子であることが好ましい。上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、アシル基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アシル基、スルホニル基、スルホン酸エステル基、スルホンアミド基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、オキソ基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
アルキル基およびアルコキシ基としては、一般式(1)における置換基として例示したものが挙げられる。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。環形成炭素数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミドなどの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。環形成原子数は特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基などの芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
また、置換のフェニル基においては、そのフェニル基中の隣接する2つの炭素原子上に各々置換基がある場合、それらの置換基同士で環構造を形成していてもよい。その結果としてできた基は、その構造に応じて、「置換のフェニル基」、「二以上の環が縮環した構造を有するアリール基」、「二以上の環が縮環した構造を有するヘテロアリール基」のいずれか1つ以上に該当しうる。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基などの、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5-ナフチリジニル基、1,6-ナフチリジニル基、1,7-ナフチリジニル基、1,8-ナフチリジニル基、2,6-ナフチリジニル基、2,7-ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の環形成原子数は特に限定されないが、好ましくは、3以上40以下、より好ましくは3以上30以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基など、エーテル結合を介して芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された官能基を指し、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を示す。
アシル基とは、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、アクリリル基など、カルボニル基を介してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基が結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。アシル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下である。
エステル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などがエステル結合を介して結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。エステル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。より具体的には、メトキシカルボニル基などのメチルエステル基、エトキシカルボニル基などのエチルエステル基、プロポキシカルボニル基などのプロピルエステル基、ブトキシカルボニル基などのブチルエステル基、イソプロポキシメトキシカルボニル基などのイソプロピルエステル基、ヘキシロキシカルボニル基などのヘキシルエステル基、フェノキシカルボニル基などのフェニルエステル基などが挙げられる。
アミド基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などがアミド結合を介して結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。アミド基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。より具体的には、メチルアミド基、エチルアミド基、プロピルアミド基、ブチルアミド基、イソプロピルアミド基、ヘキシルアミド基、フェニルアミド基などが挙げられる。
スルホニル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などが-S(=O)-結合を介して結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。スルホニル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
スルホン酸エステル基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などがスルホン酸エステル結合を介して結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。ここでスルホン酸エステル結合とは、エステル結合のカルボニル部、すなわち-C(=O)-がスルホニル部、すなわち-S(=O)-に置換されたものを指す。スルホン酸エステル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
スルホンアミド基とは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などがスルホンアミド結合を介して結合した官能基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。ここでスルホンアミド結合とは、アミド結合のカルボニル部、すなわち-C(=O)-がスルホニル部、すなわち-S(=O)-に置換されたものを指す。スルホンアミド基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アミノ基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アミノ基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、置換もしくは無置換のケイ素原子が結合した官能基を示し、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基などのアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基などのアリールシリル基を示す。シリル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。シリル基の炭素数は特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えばトリメチルシロキサニル基などのエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。シロキサニル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
ボリル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。
一般式(5)で表される化合物としては、例えば、以下のような例が挙げられる。
Figure 2024031880000094
また、発光層が熱活性化遅延蛍光材料を含有することも好ましい。熱活性化遅延蛍光については、「最先端の有機EL」(安達千波矢、藤本弘編、シーエムシー出版発行)の87~103ページで解説されている。その文献の中で、蛍光発光材料の励起一重項状態と励起三重項状態のエネルギーレベルを近接させることにより、通常は遷移確率が低い励起三重項状態から励起一重項状態への逆エネルギー移動が高効率で生じ、熱活性化遅延蛍光(Thermally Activateddelayed Fluorescence,TADF)が発現すると説明されている。さらに、当該文献中の図5で、遅延蛍光の発生メカニズムが説明されている。遅延蛍光の発光は過渡PL(Photo Luminescence)測定により確認できる。
熱活性化遅延蛍光材料は、一般的に、TADF材料とも呼ばれる。熱活性化遅延蛍光材料は、単一の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもよいし、複数の材料で熱活性化遅延蛍光を示す材料であってもよい。材料が複数からなる場合は、混合物として用いてもよいし、各材料からなる層を積層して用いてもよい。熱活性化遅延蛍光材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、ベンゾニトリル誘導体、トリアジン誘導体、ジスルホキシド誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
TADF材料が発光層に含まれる素子には、さらに発光層に蛍光ドーパントが含まれていることが好ましい。TADF材料により三重項励起子が一重項励起子に変換され、その一重項励起子を蛍光ドーパントが受け取ることにより、より高い発光効率やより長い耐久寿命を達成できるためである。
(基板)
有機EL素子の機械的強度を保つために、有機EL素子を基板上に形成することが好ましい。基板としては、ソーダガラスや無アルカリガラスなどのガラス基板や、プラスチック基板などが挙げられる。ガラス基板を用いる場合、厚みは、機械的強度を保つために十分な厚みがあればよく、0.5mm以上あれば十分である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ないことが好ましく、無アルカリガラスが好ましい。また、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されており、これを使用することもできる。
(陽極)
基板上に陽極が形成される。陽極に用いる材料は、正孔を有機層に効率よく注入できる材料が好ましい。また、光を取り出すために、透明または半透明であることが好ましい。陽極に用いる材料としては、例えば、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物;金、銀、クロムなどの金属;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ITOガラスやネサガラスが好ましい。これらの電極材料は、単独で用いてもよいし、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極と正孔輸送層の間に挿入される層である。正孔注入層は1層であっても複数の層が積層されていてもよい。正孔輸送層と陽極の間に正孔注入層が存在すると、より低電圧駆動し、耐久寿命も向上するだけでなく、さらに素子のキャリアバランスが向上して発光効率も向上するため好ましい。
正孔注入層に用いられる材料としては、特に限定されないが、例えば、スターバーストアリールアミンと呼ばれる材料群;トリアリールアミン誘導体;ビスカルバゾール誘導体;ピラゾリン誘導体;スチルベン系化合物;ヒドラゾン系化合物;ベンゾフラン誘導体、チオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物;前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体;ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどのポリマー系材料などが挙げられる。陽極から正孔輸送層へ円滑に正孔を注入輸送する観点から、ベンジジン誘導体またはスターバーストアリールアミン系材料群がより好ましく用いられる。
これらの材料は単独で用いてもよいし、2種以上の材料を混合して用いてもよい。また、複数の材料を積層して正孔注入層としてもよい。さらにこの正孔注入層が、アクセプター性化合物単独で構成されているか、または上記のような正孔注入材料にアクセプター性化合物をドープして用いると、上述した効果がより顕著に得られるのでより好ましい。アクセプター性化合物とは、単層膜として用いる場合は接している正孔輸送層と、ドープして用いる場合は正孔注入層を構成する材料と電荷移動錯体を形成する材料である。このような材料を用いると、正孔注入層の導電性が向上し、より素子の駆動電圧低下に寄与し、発光効率や耐久寿命をより向上させることができる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を発光層まで輸送する層である。正孔輸送層は単層であっても複数の層が積層されて構成されていてもよい。
正孔輸送層に用いられる材料としては、正孔注入層に用いられる材料として例示したものが挙げられる。発光層へ円滑に正孔を注入輸送する観点から、トリアリールアミン誘導体またはベンジジン誘導体がより好ましい。
また、陰極からの電子が、発光層において再結合せず、陽極側へ流れることを阻止する観点から、前記第一ホスト材料のイオン化ポテンシャルIp(H1)と、正孔輸送層に用いられる材料のイオン化ポテンシャルIp(EBL)との差が、下記数式(数7)の関係を満たすことが好ましい。
Ip(H1)-Ip(EBL)≦0.4eV…(数7)。
更に、正孔輸送層は、下記一般式(6)で表される化合物を含むことがより好ましい。
Figure 2024031880000095
前記一般式(6)において、L、L及びLは、それぞれ独立に、単結合、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6~18のアリーレン基であり、A、B及びCは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基、又は-Si(R391)(R392)(R393)で表される基であり、R391~R393は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基であり、R391が複数存在する場合、複数のR391は、互いに同一であるか又は異なり、R392が複数存在する場合、複数のR392は、互いに同一であるか又は異なり、R393が複数存在する場合、複数のR393は、互いに同一であるか又は異なり、A、B及びCとしての置換もしくは無置換の環形成原子数5~30の複素環基は、それぞれ独立に、下記一般式(31A)、(31B)、(31C)、(31D)、(31E)及び(31F)で表される基からなる群から選択される少なくともいずれかの基である。
Figure 2024031880000096
前記一般式(31A)、(31B)、(31C)、(31D)、(31E)及び(31F)において、R301~R309のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、R310~R314のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、R320~R324のうちの隣接する2つ以上からなる組の1組以上が、互いに結合して、置換もしくは無置換の単環を形成するか、互いに結合して、置換もしくは無置換の縮合環を形成するか、又は互いに結合せず、前記置換もしくは無置換の単環を形成せず、かつ前記置換もしくは無置換の縮合環を形成しないR301~R309、R310、R311~R314、R320並びにR321~R324は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数2~50のアルキニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、-Si(R381)(R382)(R383)で表される基、-O-(R384)で表される基、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、p1は、3であり、複数のR310は、互いに同一であるか又は異なり、p2は、3であり、複数のR320は、互いに同一であるか又は異なり、前記一般式(31A)、(31B)、(31C)、(31D)、(31E)及び(31F)中の*は、それぞれ独立に、LA、LB及びLCのいずれかとの結合位置を示す。
前記一般式(31A)、(31B)、(31C)、(31D)、(31E)及び(31F)で表される化合物中、R381、R382、R383、及びR384は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3~50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5~50の複素環基であり、R381が複数存在する場合、複数のR381は、互いに同一であるか又は異なり、R382が複数存在する場合、複数のR382は、互いに同一であるか又は異なり、R383が複数存在する場合、複数のR383は、互いに同一であるか又は異なり、R384が複数存在する場合、複数のR384は、互いに同一であるか又は異なる。
Figure 2024031880000097
Figure 2024031880000098
Figure 2024031880000099
Figure 2024031880000100
Figure 2024031880000101
Figure 2024031880000102
Figure 2024031880000103
Figure 2024031880000104
Figure 2024031880000105
Figure 2024031880000106
Figure 2024031880000107
(電子輸送層)
本発明において、電子輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送する層である。電子輸送層には、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが望まれる。そのため、電子輸送層を構成する材料は、電子親和力が大きく、電子移動度が大きく、安定性に優れ、製造時および使用時に、トラップとなる不純物が発生しにくい物質であることが好ましい。特に膜厚を厚く積層する場合には、低分子量の化合物は結晶化するなどして膜質が劣化しやすいため、安定な膜質を保つため、分子量400以上の化合物が好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、電子輸送層が陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れることを効率よく阻止できる役割を主に果たすならば、電子輸送能力がそれ程高くない材料で構成されていても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料で構成されている場合と同等となる。したがって、本発明における電子輸送層には、正孔の移動を効率よく阻止できる正孔阻止層も同義のものとして含まれる。正孔阻止層および電子輸送層は単独でも複数の材料が積層されて構成されていてもよい。
電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、例えば縮合多環芳香族誘導体;スチリル系芳香環誘導体;キノン誘導体;リンオキサイド誘導体;キノリノール錯体、ベンゾキノリノール錯体、ヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体およびフラボノール金属錯体などの各種金属錯体が挙げられる。駆動電圧をより低減し、より高効率の発光が得られることから、炭素、水素、窒素、酸素、ケイ素、リンの中から選ばれる元素で構成され、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いることが好ましい。
ここで言う電子受容性窒素とは、隣接原子との間に多重結合を形成している窒素原子を表す。窒素原子が高い電子陰性度を有することから、該多重結合は電子受容的な性質を有する。それゆえ、電子受容性窒素を含む芳香族複素環は、高い電子親和性を有する。電子受容性窒素を有する電子輸送材料は、高い電子親和力を有する陰極からの電子を受け取りやすくし、より低電圧での駆動が可能となる。また、発光層への電子の供給が多くなり、再結合確率が高くなるため、発光効率がより向上する。
電子受容性窒素を含むヘテロアリール環としては、例えば、トリアジン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、キノキサリン環、キナゾリン環、ナフチリジン環、ピリミドピリミジン環、ベンゾキノリン環、フェナントロリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンズイミダゾール環、フェナンスロイミダゾール環などが挙げられる。
これらのヘテロアリール環構造を有する化合物としては、例えば、ピリジン誘導体、トリアジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体およびナフチリジン誘導体が、電子輸送能の観点から好ましく用いられる。
また、これらの誘導体が、縮合多環芳香族骨格を有していると、ガラス転移温度が向上すると共に、電子移動度も大きくなり、有機EL素子の駆動電圧をより低減することができるため好ましい。さらに、素子の耐久寿命がより向上し、合成のし易さ、原料入手が容易であることを考慮すると、縮合多環芳香族骨格はフルオランテン骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格またはフェナントロリン骨格であることがより好ましい。
好ましい電子輸送材料としては、特に限定されるものではないが、具体的には以下のような例が挙げられる。
Figure 2024031880000108
上記電子輸送材料は単独で用いてよいし、上記電子輸送材料の2種以上を混合して用いたり、その他の電子輸送材料の一種以上を上記の電子輸送材料に混合して用いたりしても構わない。また、ドナー性化合物を含有してもよい。ここで、ドナー性化合物とは、電子輸送層に用いた場合、電子注入障壁の改善により、陰極または電子注入層からの電子輸送層への電子注入を容易にし、さらに電子輸送層の電気伝導性を向上させる化合物である。
ドナー性化合物の好ましい例としては、アルカリ金属、アルカリ金属を含有する無機塩、アルカリ金属と有機物との錯体、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属を含有する無機塩またはアルカリ土類金属と有機物との錯体、希土類金属などが挙げられる。アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属の好ましい例としては、低仕事関数で電子輸送能向上の効果が大きいリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属や、マグネシウム、カルシウム、セリウム、バリウムなどのアルカリ土類金属や、サマリウム、ユーロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属が挙げられる。またこれらの金属を複数用いてもよく、これらの金属からなる合金を用いてもよい。
また、これらの金属は、真空中での蒸着が容易で取り扱いに優れることから、金属単体よりも無機塩、あるいは有機物との錯体の状態であることが好ましい。さらに、大気中における取扱を容易にし、添加濃度を調整しやすくできる点で、有機物との錯体の状態にあることがより好ましい。無機塩の例としては、酸化物;窒化物;フッ化物;炭酸塩などが挙げられる。また、有機物との錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。中でも、有機EL素子の駆動電圧をより低減することができる観点では、アルカリ金属と有機物との錯体であるアルカリ金属錯体化合物が好ましい。さらに、合成のしやすさ、熱安定性という観点から、リチウムと有機物との錯体がより好ましく、比較的安価で入手できるリチウムキノリノール(Liq)が特に好ましい。
電子輸送層のイオン化ポテンシャルは、特に限定されないが、好ましくは5.6eV以上8.0eV以下であり、より好ましくは5.6eV以上7.0eV以下である。
(電子注入層)
本発明において、陰極と電子輸送層の間に電子注入層を設けてもよい。一般的に電子注入層は陰極から電子輸送層への電子の注入を助ける目的で挿入される。挿入する場合は、電子受容性窒素を含むヘテロアリール環構造を有する化合物を用いてもよいし、上記のドナー性材料を含有する層を用いてもよい。
また、電子注入層に絶縁体や半導体の無機物を用いることもできる。これらの材料を用いることにより、有機EL素子の短絡を抑制して、かつ電子注入性を向上させることができる。
このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物が好ましい。
さらに、有機物と金属の錯体も好適に用いられる。電子注入層に有機物と金属の錯体を用いる場合、膜厚を容易に調整することができる。有機金属錯体における有機物の好ましい例としては、キノリノール、ベンゾキノリノール、ピリジルフェノール、フラボノール、ヒドロキシイミダゾピリジン、ヒドロキシベンズアゾール、ヒドロキシトリアゾールなどが挙げられる。
また前記一般式(1)で表される有機EL素子用材料を含む層も高い電子注入性を有し、電子注入層として優れた性質を示すため好ましい。さらに、電子注入層としてとして一般式(1)で表される有機EL素子用材料を用いる場合、上記アルカリ金属または希土類金属がドーピングされることが好ましく、駆動電圧をより低減し、耐久寿命をより向上させることができる。
(陰極)
陰極に用いる材料は、電子を効率よく発光層に注入できる物質であれば特に限定されない。陰極に用いる材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、インジウムなどの金属、またはこれらの金属とリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの低仕事関数金属との合金や多層積層などが挙げられる。中でも、電気抵抗値や製膜しやすさ、膜の安定性、発光効率などの面から、主成分としてはアルミニウム、銀およびマグネシウムから選ばれた金属が好ましく、電子輸送層および電子注入層への電子注入が容易であることから、マグネシウムと銀で構成されることがより好ましい。
(保護層)
陰極保護のために、陰極上に保護層(キャップ層)を積層することが好ましい。保護層を構成する材料(キャッピング材料)としては、特に限定されないが、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属;これら金属を用いた合金;シリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物;ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などの有機高分子化合物などが挙げられる。ただし、有機EL素子が、陰極側から光を取り出す素子構造(トップエミッション構造)である場合は、キャッピング材料は、可視光領域において光透過性を有することが好ましい。
(電荷発生層)
本発明における電荷発生層は、一般に二重層からなり、具体的には、n型電荷発生層およびp型電荷発生層からなるpn接合電荷発生層を用いることが好ましい。上記pn接合型電荷発生層は、有機EL素子中で電圧が印加されることにより、電荷を発生、または電荷を正孔および電子に分離し、これらの正孔および電子を正孔輸送層および電子輸送層を経由して発光層に注入する。電荷発生層は、具体的には、複数の発光層が積層された有機EL素子において、該複数の発光層の中間の電荷発生層として機能する。n型電荷発生層は陽極側に存在する第一発光層に電子を供給し、p型電荷発生層は陰極側に存在する第二発光層に正孔を供給する。そのため、複数の発光層を積層した有機EL素子における発光効率をより向上させ、駆動電圧を下げることができ、素子の耐久寿命もより向上させることができる。
上記n型電荷発生層は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
Figure 2024031880000109
一般式(1)において、X~Xのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である;Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である;ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である;Aはフェニル基またはピリジル基であり、nは0または1である。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基などの、アルキル基が酸素に結合した基を示し、これは置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
従来の含窒素芳香族複素環および多環芳香族炭化水素を含む化合物として、例えば、特許文献1および特許文献5には下記式で表される化合物V、W、X、Yが示されている。
Figure 2024031880000110
しかしながら、これらの化合物を有機EL素子用材料として電荷発生層に使用した素子であっても、近年求められる特性に対してはいまだ十分な性能が得られておらず、発光効率および耐久寿命の面で更なる性能向上が可能となる化合物の創出が求められている。
例えば、化合物Vのようなフェナントロリニル基にピレニル基を置換した化合物は、配位性の高いフェナントロリニル基上の窒素原子の近傍に嵩高い置換基を有するため、フェナントロリニル基の金属原子への配位性を低下させやすい傾向にある。そのため、化合物Vを金属原子と同時に用いた場合の膜安定性が低下し、駆動電圧が高くなり、発光効率および耐久寿命が低下する課題があった。化合物Wのようなフェナントロリンを複数有する化合物は、フェナントロリン同士の相互作用が強いことから、結晶性が向上し、駆動電圧が高くなるため、発光効率および耐久寿命に課題があった。化合物XやYのようなフェナントロリニル基に嵩高い芳香族性置換基を有する化合物は、その嵩高さにより分子間相互作用が弱まり、駆動電圧が高くなるため、発光効率および耐久寿命になお課題があった。本発明者らは、有機EL素子用材料の改良の検討において、フェナントロリニル基、ターピリジル基およびそれらの連結基の効果に着目した。フェナントロリニル基およびターピリジル基はいずれも大きな電子輸送性を有し、金属原子への配位性の高い置換基である。
一般式(1)で表される有機EL素子用材料は、Lとしてフェニレン基、ナフチレン基またはアントリレン基を選択し、Lとして単結合、フェニレン基、ナフチレン基またはアントリレン基を選択することによって、フェナントロリニル基、ターピリジル基およびそれらの連結基を共役しやすくして、化合物全体としての電荷輸送性をより大きくすることができる。このため、有機EL素子に用いた場合の駆動電圧を小さくし、発光効率を向上させることができる。また、金属原子への配位性を高めることができるため、前記一般式(1)で表される有機EL素子用材料を有機EL素子における金属ドーピング層に用いた場合、安定な層を形成することができる。ここで、金属ドーピング層とは、有機EL素子を構成するいずれかの層に金属をドープした層のことを言う。特に、前記一般式(1)で表される有機EL素子用材料を電子輸送層、電子注入層または電荷発生層に用いる場合、それらの層はより安定で優れた性能を示す。
一般式(1)において、Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、L2は単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である。Lが置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である。これらの置換基は化合物の電荷輸送性を低下させることなく、化合物の安定性を向上させることができるため好ましい。膜質安定性を高め、発光効率および耐久寿命をより向上させる観点から、LまたはLがナフチレン基であることが好ましい。
また、Lが単結合である場合、フェナントロリニル基およびターピリジル基の相互作用をより大きくすることができ、発光効率および耐久寿命をより向上させることができる。
一般式(1)において、X~Xのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である。金属原子への配位性を高め、より安定な層を形成するという観点から、Xが窒素原子であることが好ましい。より安定な層を形成することにより、低電圧で駆動し、耐久寿命をより向上させることができる。
一般式(1)において、nが1である場合、Aはフェニル基またはピリジル基である。nが1である場合、フェナントロリンの置換位置のうち反応性の高い2位と9位が置換されるため、化合物の安定性を向上させることができる。さらに、Aとしてフェニル基またはピリジル基を選択することにより、フェナントロリニル基上の窒素原子の高い配位性により、金属ドーピング層に用いた場合、金属配位性がより高く、より安定な層を形成することができる。このため、駆動電圧をより低減し、耐久寿命を向上させることができる。
素子の安定性や耐久寿命をより高める観点から、Aとしてはフェニル基が好ましい。
一般式(1)において、nが0である場合、フェナントロリンの9位は水素である。nが0である場合、フェナントロリンが立体的にすいているため、金属ドーピング層に用いた場合、金属配位性がより高く、より安定な層を形成することができる。
一般式(1)で表される有機EL素子用材料の分子量は、結晶化を抑制して膜質の安定性を向上させる観点から、400以上であることが好ましい。一方、昇華精製や蒸着時の加工性を向上させる観点から、一般式(1)で表される有機EL素子用材料の分子量は、640以下であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される有機EL素子用材料としては、例えば、以下に示す化合物からなる化合物などが挙げられる。なお、以下は例示であり、ここに明記された化合物以外であっても一般式(1)で表されるものであれば同様に好ましく用いられる。
Figure 2024031880000111
Figure 2024031880000112
Figure 2024031880000113
Figure 2024031880000114
Figure 2024031880000115
Figure 2024031880000116
Figure 2024031880000117
Figure 2024031880000118
Figure 2024031880000119
Figure 2024031880000120
Figure 2024031880000121
Figure 2024031880000122
Figure 2024031880000123
Figure 2024031880000124
Figure 2024031880000125
Figure 2024031880000126
Figure 2024031880000127
一般式(1)で表される有機EL素子用材料は、公知の合成法により合成することができる。合成法としては、例えば、パラジウムを用いたハロゲン化アリール誘導体とアリールボロン酸誘導体とのカップリング反応が挙げられるが、これに限定されるものではない。
上記n型電荷発生層は、n型ドーパント材料を用いることができる。例えば、n型ドーパント材料として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または希土類金属を用いることができる。
n型ドーパント材料として好ましくは、リチウムまたはイッテルビウムである。これらの金属を複数組み合わせて用いてもよい。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類金属と他の金属の合金を用いてもよい。前記合金の材料として使用可能な金属として具体的には亜鉛、カドミウムまたはビスマスが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記p型電荷発生層は、p型ドーパント材料およびホスト材料からなり、これらは従来の材料を用いることができる。例えば、p型ドーパント材料として、テトラフルオレ-7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(F-TCNQ)、テトラシアノキノジメタン誘導体、ラジアレン誘導体、ヨウ素、FeCl、FeF、SbClなどを用いることができる。p型ドーパント材料として好ましくは、ラジアレン誘導体である。ホスト材料として好ましくはアリールアミン誘導体である。
有機EL素子を構成する上記各層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、コーティング法など特に限定されない。通常は、素子特性の点から抵抗加熱蒸着または電子ビーム蒸着が好ましい。
陽極と陰極との間に介在する有機層の合計厚みは、発光物質の抵抗値にもよるので限定することはできないが、1~1000nmであることが好ましい。上記発光層、電子輸送層および正孔輸送層の膜厚はそれぞれ、好ましくは1nm以上200nm以下であり、さらに好ましくは5nm以上100nm以下である。
本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、電気エネルギーを光に変換できる機能を有する。ここで電気エネルギーとしては主に直流電流が使用されるが、パルス電流や交流電流を用いることも可能である。電流値および電圧値は特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、できるだけ低いエネルギーで最大の輝度が得られるよう選ばれるべきである。
本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式で表示するディスプレイ等の表示装置として好適に用いられる。
また、本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、各種機器等のバックライトとしても好ましく用いられる。バックライトは、主に自発光しないディスプレイ等の表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶ディスプレイ、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶ディスプレイ、中でも薄型化が検討されているパソコン用途のバックライトに本発明の有機EL素子は好ましく用いられ、従来のものより薄型で軽量なバックライトを提供できる。
また、本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、各種照明装置としても好ましく用いられる。本発明の実施の形態に係る有機EL素子は、高い発光効率と高色純度との両立が可能であり、さらに、薄型化や軽量化が可能であることから、低消費電力と鮮やかな発光色、高いデザイン性を合わせ持った照明装置が実現できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
合成例1:化合物5の合成
Figure 2024031880000128
1-ブロモ-3-クロロベンゼン4.0gおよびテトラヒドロフラン30mlの混合溶液に、窒素気流下、0℃でn-ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)13mlを滴下した。0℃で1時間撹拌した後、2-フェニル-1,10-フェナントロリン4.5gおよびテトラヒドロフラン30mlの混合液中に0℃で滴下した。室温に昇温した後、反応溶液をジクロロメタンで抽出し、溶媒を100ml残し、エバポレートした。得られた溶液に二酸化マンガン10.0gを加えて、室温で4時間撹拌した後、硫酸マグネシウムを加えてろ過し、エバポレートにより溶媒を除去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エバポレートにより溶媒を除去して得られた固体を真空乾燥し、6.0gの中間体Aを得た。
次に、中間体A3.0g、ボロン酸エステルA3.7g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィンパラジウム)ジクロリド160mg、1.5Mリン酸三カリウム水溶液7ml、および1,4-ジオキサン80mlの混合溶液を、窒素気流下、還流下で7時間加熱撹拌した。室温に冷却した後、水を加えて、析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄して真空乾燥した。得られた固体をトルエンとピリジンの混合溶媒に溶解した後、活性炭を用いて触媒除去を行った。エバポレートにより溶媒を除去して得られた固体を、トルエン、メタノールで洗浄した後、真空乾燥し、3.0gの化合物5を得た。
得られた化合物5について、油拡散ポンプを用いて、1×10-3Paの圧力下、約360℃で昇華精製を行った。昇華精製前後の化合物5のHPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は、いずれも99.9%であった。
昇華精製後、マススペクトル(MS)分析およびH-NMR分析により化合物5の構造を同定した。その分析結果を以下に示す。
MS(m/z):640[M+H]
H-NMR(400MHz、CDCl)δ:8.94(s、1H)、8.81-8.87(m、2H)、8.65-8.74(m、4H)、8.40-8.52(m、3H)、8.23-8.40(m、4H)、7.78-7.99(m、6H)、7.64-7.78(m、2H)、7.31-7.50(m、4H)。
合成例2:化合物10の合成
Figure 2024031880000129
8-アミノキノリン-7-カルバルデヒド10.0g、1-(4-ブロモナフタレン-1-イル)エタン-1-オン13.1g、2.0M水酸化カリウム水溶液50ml、およびエタノール250mlの混合溶液を、窒素気流下、70℃で5時間加熱撹拌した。室温に冷却した後、水を加えて、析出した固体をろ取し、得られた固体をメタノールで洗浄して真空乾燥し、12.1gの中間体Bを得た。
次に、中間体B3.0g、ボロン酸エステルB3.6g、ジクロロビス(トリフェニルホスフィンパラジウム)ジクロリド160mg、1.5Mリン酸三カリウム水溶液7ml、および1,4-ジオキサン70mlの混合溶液を、窒素気流下、還流下で7時間加熱撹拌した。室温に冷却した後、水を加えて、析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄して真空乾燥した。得られた固体をトルエンとピリジンの混合溶媒に溶解した後、活性炭を用いて触媒除去を行った。エバポレートにより溶媒を除去して得られた固体を、トルエン、メタノールで洗浄した後、真空乾燥し、2.7gの化合物10を得た。
得られた化合物10について、油拡散ポンプを用いて、1×10-3Paの圧力下、約360℃で昇華精製を行った。昇華精製前後の化合物1のHPLC純度(測定波長254nmにおける面積%)は、いずれも99.9%であった。
昇華精製後、マススペクトル(MS)分析およびH-NMR分析により化合物10の構造を同定した。その分析結果を以下に示す。
MS(m/z):614[M+H]
H-NMR(400MHz、CDCl)δ:9.23(s、1H)、8.84-8.88(m、2H)、8.65-8.79(m、3H)、8.34-8.43(m、1H)、8.24-8.34(m、1H)、7.82-8.20(m、9H)、7.58-7.74(m、4H)、7.42-7.52(m、2H)、7.31-7.42(m、2H)。
次に、各実施例における評価方法について説明する。
(駆動電圧)
実施例1~19および比較例1~21において得られた素子を、それぞれ10mA/cmで直流駆動し、初期駆動電圧を測定した。初期駆動電圧が小さいほど低電圧で駆動できるため、発光効率(輝度/電力)に優れると評価できる。また、電圧上昇量が小さいほど、耐久寿命に優れると評価できる。
(輝度)
実施例1~19および比較例1~21において得られた有機EL素子を、10mA/cmで点灯させ、輝度を測定し、発光効率を評価した。輝度が高いほど、発光効率に優れると評価できる。
(耐久寿命)
実施例1~19および比較例1~21において得られた有機EL素子を、10mA/cmの定電流で継続駆動させた。測定を始めた時点から、測定を始めた時点の輝度から輝度が20%低下する時点までの時間を測定し、耐久寿命とした。
実施例1
陽極としてITO透明導電膜を165nm堆積させたガラス基板(ジオマテック(株)製、11Ω/□、スパッタ品)を、38mm×46mmに切断し、エッチングを行った。得られた基板を、“セミコクリーン”56(商品名、フルウチ化学(株)製)を用いて15分間超音波洗浄してから、超純水で洗浄した。この基板を、素子を作製する直前に1時間UV-オゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が5×10-4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、まず正孔注入層として、HAT-CNを5nm蒸着した。次いで、正孔注入層上に正孔輸送層、発光層および電子輸送層からなる、発光ユニット(第一発光ユニット)を形成した。
具体的には、正孔輸送層として、HT-1を50nm蒸着し、次に、第一発光層として、ホスト材料H-1、ドーパント材料D-1の混合層を、ドープ濃度が5重量%になるようにして4nmの厚さに蒸着し、第一発光ユニットにおける第一発光層を形成した。次に、第一発光層上に、第二発光層として、ホスト材料H-2、ドーパント材料D-1の混合層を、ドープ濃度が5重量%になるようにして16nmの厚さに蒸着し、第一発光ユニットにおける第二発光層を形成した。次に、第二発光層上に、電子輸送層として、ET-1と2E-1を蒸着速度比がET-1と2E-1=1:1となるように35nmの厚さに蒸着した。
第一の発光ユニット上に、n型電荷発生層として、前記化合物1と、ドーパントである金属元素Ybとを、蒸着速度比が化合物1:Yb=95:1となるように10nm蒸着し、次に、p型電荷発生層として、HAT-CNを10nm蒸着した。電荷発生層に続いて、第二の発光ユニットを形成した。具体的には、正孔輸送層として、HT-1を50nm蒸着し、次に、発光層として、ホスト材料H-2、ドーパント材料D-1の混合層を、ドープ濃度が5重量%になるようにして20nmの厚さに蒸着し、次に、電子輸送層として、ET-1と2E-1を蒸着速度比がET-1と2E-1=1:1となるように35nmの厚さに蒸着した。その後、電子注入層として、化合物1と、ドーパントである金属元素Liとを、蒸着速度比が化合物1:Li=99:1で10nm蒸着し、続いてアルミニウムを60nm蒸着して陰極とし、5mm×5mm角の有機EL素子を作製した。
この有機EL素子について、前述の方法により評価したところ、初期駆動電圧は8.20V、輝度は1760cd/m、耐久寿命は2620時間であった。
なおHAT-CN、HT-1、H-1、H-2、D-1、ET-1および2E-1は以下に示す化合物である。
Figure 2024031880000130
Figure 2024031880000131
実施例2~7、比較例1~4
用いる化合物および発光ユニットにおける発光層の積層様式を表1に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。各実施例および比較例の結果を表1に示す。なお、化合物30、D-2およびD-3は以下に示す化合物である。
Figure 2024031880000132
Figure 2024031880000133
実施例8~19、比較例5~21
用いる化合物および化合物を表2に記載の通りに変更したこと以外は実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。なお化合物2~29は以下に示す化合物である。
Figure 2024031880000134
Figure 2024031880000135
Figure 2024031880000136
Figure 2024031880000137
Figure 2024031880000138
Figure 2024031880000139

Claims (15)

  1. 陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持され、それぞれ正孔輸送層、電子輸送層および発光層を有する、2以上の発光ユニットと、前記発光ユニットの間に挟持される電荷発生層とを有し、
    前記発光ユニットのうち少なくとも一つは第一発光層および第二発光層を含む発光層を有する積層発光ユニットであり、
    前記第一発光層は、第一ホスト材料を含み、
    前記第二発光層は、第二ホスト材料を含み、
    前記第一ホスト材料と前記第二ホスト材料とは互いに異なり、
    前記電荷発生層が下記一般式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子。
    Figure 2024031880000140
    (一般式(1)において、X~Xのいずれか一つは窒素原子であり、それ以外はメチン基である;Lは置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基であり、Lは単結合、置換もしくは無置換のフェニレン基、置換もしくは無置換のナフチレン基または置換もしくは無置換のアントリレン基である;ただし、これらの基が置換されている場合の置換基は、アルキル基またはアルコキシ基である;Aはフェニル基またはピリジル基であり、nは0または1である。)
  2. 前記第一発光層および第二発光層は、最大のピーク波長が500nm以下の発光を示す発光性化合物を少なくとも含む請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記2以上の発光ユニット中の発光層が少なくとも二つは第一発光層と第二発光層の二層からなる請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 前記一般式(1)においてXが窒素原子である、請求項1に記載の有機EL素子。
  5. 前記一般式(1)において、nが1である、請求項1に記載の有機EL素子。
  6. 前記一般式(1)において、Aがフェニル基である、請求項1に記載の有機EL素子。
  7. 前記一般式(1)において、nが0である、請求項1に記載の有機EL素子。
  8. 前記一般式(1)において、Lが単結合である、請求項1に記載の有機EL素子。
  9. 前記電荷発生層がさらにアルカリ金属、希土類金属または銅族元素を含有する、請求項1に記載の有機EL素子。
  10. 前記アルカリ金属がLiである、請求項9に記載の有機EL素子。
  11. 前記希土類金属がYbである、請求項9に記載の有機EL素子。
  12. 前記第一発光層および第二発光層が下記一般式(5)で表される発光性化合物を含有する、請求項1に記載の有機EL素子。
    Figure 2024031880000141
    (一般式(5)において、Za環、Zb環およびZc環は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール環または置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール環である;ZおよびZは、それぞれ独立に、酸素原子、NRa(置換基Raを有する窒素原子)または硫黄原子であり、ZがNRaである場合、Za環もしくはZb環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよく、ZがNRaである場合、Za環もしくはZa環と結合して環を形成しても、形成してなくてもよい;Raは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基である;Yは、ホウ素原子、リン原子、SiRb(置換基Rbを有するケイ素原子)、P=OまたはP=Sである;Rbは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6~30のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5~30のヘテロアリール基または置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基から選ばれる。)
  13. 前記第一発光層と前記第二発光層とが、直接、接している、請求項1に記載の有機EL素子。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載のEL素子を含む表示装置。
  15. 請求項1から13のいずれかに記載のEL素子を含む照明装置。
JP2023133982A 2022-08-23 2023-08-21 有機el素子、表示装置および照明装置 Pending JP2024031880A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022132462 2022-08-23
JP2022132462 2022-08-23

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024031880A true JP2024031880A (ja) 2024-03-07

Family

ID=90106314

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023133982A Pending JP2024031880A (ja) 2022-08-23 2023-08-21 有機el素子、表示装置および照明装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024031880A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102232993B1 (ko) 유기 전기발광 소자
JP5376063B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
JP5012998B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
KR101588941B1 (ko) 비스카바졸 유도체 및 그것을 이용한 유기 전기발광 소자
JP5821635B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
JP6197265B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
JP6270735B2 (ja) 芳香族アミン誘導体及び有機エレクトロルミネッセンス素子
EP2489664A1 (en) Fluorene-containing aromatic compound, material for organic electroluminescent element, and organic electroluminescent element using same
JP6051864B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
KR20160018458A (ko) 유기 전계발광소자용 재료, 이것을 이용한 유기 전계발광소자 및 전자 기기
JPWO2010113761A1 (ja) 有機電界発光素子
JP5594031B2 (ja) 発光素子材料および発光素子
JP2022503628A (ja) 縮合環化合物およびこれを含む有機発光素子
JP7231108B2 (ja) 有機el素子用材料、有機el素子、表示装置および照明装置
CN109071413B (zh) 有机电致发光化合物和包含其的有机电致发光装置
JP5640460B2 (ja) 発光素子および発光素子材料
KR20150129486A (ko) 유기발광 화합물 및 이를 포함하는 유기전계발광소자
WO2014024750A1 (ja) 発光素子材料および発光素子
JP2014075556A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
CN111051323B (zh) 化合物及包含其的有机发光器件
KR102370068B1 (ko) 유기 전계 발광 화합물 및 이를 포함하는 유기 전계 발광 소자
JP2024031880A (ja) 有機el素子、表示装置および照明装置
WO2024043018A1 (ja) 有機el素子、表示装置および照明装置
WO2024018915A1 (ja) 化合物、発光素子、表示装置および照明装置
KR20240073023A (ko) 화합물, 유기 el 소자, 표시 장치 및 조명 장치