JP2024031506A - ワイヤハーネス及び車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】コルゲートチューブに挿通された電線をブラケットによって固定する構成のワイヤハーネスであって、ブラケットによる電線の固定強度を高めながらも電線の損傷を防ぐことができるワイヤハーネス、及びこのワイヤハーネスが取り付けられた車両を提供する。【解決手段】ワイヤハーネス2は、環状の凹部501と凸部502とを長手方向に沿って交互に設けてなる第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53と、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に挿通された動力線31,32及び信号線4と、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に覆われていない部分の動力線31,32及び信号線4の一部を覆うように配設されたグロメット7と、取付対象に取り付けられる取付部61及びグロメット7を把持する把持部62を有するブラケット6と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスが取り付けられた車両に関する。
近年、車両の各部の電動化が進み、多くのワイヤハーネスが車両に用いられるようになっている。特許文献1に記載のワイヤハーネスは、車載の複数の機器(例えばインバータとバッテリー)を電気的に接続するためのものであり、環状の凹部と凸部と有する蛇腹構造のコルゲートチューブと、コルゲートチューブに挿通された複数の電線と、コルゲートチューブを支持体に固定するための複数の固定具とを備えている。固定具は、ヒンジ部によって連結された第一片側部及び第二片側部を有しており、第一片側部と第二片側部との間に形成されるチューブ通し孔にコルゲートチューブが挿通されれる。
車両用のワイヤハーネスは、長手方向の一部が空中に架線されて揺動するものがある。例えば車両の電動ブレーキと制御装置とを接続するためのワイヤハーネスでは、ワイヤハーネスの一方の端部が車両のばね下に固定され、ワイヤハーネスの一部分が空中に架線される。このようなワイヤハーネスは、空中に架線される部分の両端部において、車体に対する電線の位置ずれが発生しないよう、高い固定強度で電線を固定することが望ましい。しかし、コルゲートチューブの外側から電線を強く締め付けるとコルゲートチューブが潰れてしまう。また、コルゲートチューブから導出された部分の電線を直接的に強く締め付けると、電線が損傷してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、コルゲートチューブに挿通された電線をブラケットによって固定する構成のワイヤハーネスであって、ブラケットによる電線の固定強度を高めながらも電線の損傷を防ぐことができるワイヤハーネス、及びこのワイヤハーネスが取り付けられた車両を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、環状の凹部と凸部とを長手方向に沿って交互に設けてなるコルゲートチューブと、前記コルゲートチューブに挿通された電線と、前記コルゲートチューブに覆われていない部分の前記電線の一部を覆うように配設された被把持部材と、取付対象に取り付けられる取付部及び前記被把持部材を把持する把持部を有するブラケットと、を備えた、ワイヤハーネスを提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記のワイヤハーネスが取り付けられた車両であって、前記ワイヤハーネスが複数の前記ブラケットを備え、少なくとも一つの前記ブラケットがばね上に取り付けられると共に、少なくとも一つの前記ブラケットがばね下に取り付けられた、車両を提供する。
本発明に係るワイヤハーネス及び車両によれば、ブラケットによる電線の固定強度を高めながらも電線の損傷を防ぐことができる。
[実施の形態]
(車両の構成)
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス2が取り付けられた車両1を示す外観図である。図1(b)は、車両1の複数の車輪10のうち一つの車輪10及びその周辺部を示す構成図である。
(車両の構成)
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス2が取り付けられた車両1を示す外観図である。図1(b)は、車両1の複数の車輪10のうち一つの車輪10及びその周辺部を示す構成図である。
車輪10は、車体11に対して懸架装置12によって上下方向に移動可能に支持されている。懸架装置12は、アッパアーム121と、ロアアーム122と、ショックアブソーバ123と、サスペンションスプリング124とを有して構成されている。アッパアーム121及びロアアーム122は、それぞれの一端部がナックル13に連結され、他端部が車体11に連結されている。アッパアーム121は、ナックル13の上側取付部131にショックアブソーバ123と共に連結され、ロアアーム122は、ナックル13の下側取付部132に連結されている。サスペンションスプリング124は、ショックアブソーバ123の外周に同軸状に配置され、路面に対する車体11の上下動に応じて伸縮する。
ナックル13には、ハブユニット14、電動ブレーキ装置15、及び回転速センサ16が取り付けられている。以下、サスペンションスプリング124よりも車輪10側を「ばね下」といい、車体11側を「ばね上」という。ばね下には、車輪10、懸架装置12、ナックル13、ハブユニット14、及び電動ブレーキ装置15が含まれる。ばね上には、車体11、及び車輪10を囲むようにして車体11に対して固定されたタイヤハウス111が含まれる。
ハブユニット14は、複数のボルト140によってナックル13に固定された外輪141と、外輪141に対して回転自在に支持されたハブ輪142とを有している。ハブ輪142には、車輪取付フランジ142aが設けられており、この車輪取付フランジ142aに対して複数のハブボルト143によって車輪10及びブレーキロータ17が取り付けられている。電動ブレーキ装置15は、ブレーキロータ17にブレーキパッド151を押し付けて摩擦力を発生させ、車輪10を制動する。回転速センサ16は、外輪141に固定され、ハブ輪142と一体に回転する磁気エンコーダの磁界を検出する。
車両1には、電動ブレーキ装置15を制御する制御装置100が搭載されており、制御装置100がワイヤハーネス2によって電動ブレーキ装置15及び回転速センサ16と電気的に接続されている。ワイヤハーネス2は、一対の動力線31,32、信号線4、及び第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53を有するケーブル部20と、ケーブル部20を車両1に取り付けるための複数のブラケット6とを備えている。
動力線31,32は、電動ブレーキ装置15に接続され、電動ブレーキ装置15を動作させるための電力を制御装置100から電動ブレーキ装置15に供給する。信号線4は、回転速センサ16に接続され、車輪10の回転速度を示す信号を回転速センサ16から制御装置100に送る。動力線31,32及び信号線4は、本発明の電線の一態様である。
動力線31,32及び信号線4は、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に挿通されている。第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53は、飛び石等の飛翔物や水滴から動力線31,32及び信号線4を保護している。第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53は、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなり、可撓性を有している。
複数のブラケット6のうち少なくとも一つのブラケット6は、ばね上に取り付けられている。また、複数のブラケット6のうち他の少なくとも一つのブラケット6は、ばね下に取り付けられている。図1(b)には二つのブラケット6を示しており、このうち一方のブラケット6がボルト18によってナックル13の上側取付部131に固定され、他方のブラケット6がボルト18によってタイヤハウス111に固定されている。
ケーブル部20は、一方のブラケット6と他方のブラケット6との間で空中に架線されている。換言すれば、ワイヤハーネス2における空中に架線された部分21の両端部にそれぞれブラケット6が設けられている。第1のコルゲートチューブ51は、これら二つのブラケット6の間に配置されている。ナックル13側の一方のブラケット6は、第1のコルゲートチューブ51と第2のコルゲートチューブ52との間に配置されている。タイヤハウス111側の他方のブラケット6は、第1のコルゲートチューブ51と第3のコルゲートチューブ53との間に配置されている。
(ワイヤハーネスの構成)
図2は、ワイヤハーネス2の構成を説明するために示す斜視図である。図3(a)及び(b)は、ワイヤハーネス2の一部を示す外観図である。図4(a)は、図3(b)のA-A線断面図である。図4(b)は、図3(b)のB-B線断面図である。
図2は、ワイヤハーネス2の構成を説明するために示す斜視図である。図3(a)及び(b)は、ワイヤハーネス2の一部を示す外観図である。図4(a)は、図3(b)のA-A線断面図である。図4(b)は、図3(b)のB-B線断面図である。
動力線31,32は、複数の導体素線310,320を撚り合わせてなる芯線311,321と、芯線311,321を覆う絶縁被覆312,322とを有する絶縁被覆電線である。信号線4は、一対の差動信号線41,42と、一対の差動信号線41,42を一括して覆う内部シース43とを有している。差動信号線41,42は、動力線31,32よりも細径に形成された絶縁被覆電線であり、複数の導体素線410,420を撚り合わせてなる芯線411,421と、芯線411,421を覆う絶縁被覆412,422とを有している。内部シース43は、ウレタン等の熱可塑性の樹脂が充実押し出しによって形成された充実構造である。
導体素線310,320,410,420は、例えば銅合金やアルミニウム合金等の良導電性の金属からなる。絶縁被覆312,322,412,422は、熱可塑性樹脂からなり、より具体的には、例えばポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等からなる。
第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53は、環状の凹部501と環状の凸部502とを長手方向に沿って交互に設けてなる蛇腹構造であり、凹部501の内外径が凸部502の内外径よりも小さく形成されている。本実施の形態では、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53がスリットの形成されていない管状である場合について説明する。ただし、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に、動力線31,32及び信号線4を収容するためのスリットを形成してもよい。
ワイヤハーネス2は、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に覆われていない部分の動力線31,32及び信号線4の一部を覆うように配設された複数の被把持部材を備えている。本実施の形態では、この被把持部材がグロメット7である。グロメット7は、第1のコルゲートチューブ51と第2のコルゲートチューブ52との間、及び第1のコルゲートチューブ51と第3のコルゲートチューブ53との間に配設されている。
また、ワイヤハーネス2は、複数のグロメット7と第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53との隙間200(図3(a)参照)を閉塞する閉塞部材として、粘着テープ8を有している。粘着テープ8は、合成樹脂からなる帯状の基材の一方の面に粘着層が設けられており、粘着層を内側にしてグロメット7と第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53との間に巻き回されている。なお、閉塞部材としては、粘着テープ8の他に、例えばゴムリングや接着剤を用いてもよい。
図3(a)は、粘着テープ8を巻き回す前の状態を示している。図3(b)は、粘着テープ8をグロメット7及び第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53の外周に巻き回した状態を示している。粘着テープ8は、図3(a)に示す二つのグロメット7のうち、一方のグロメット7と第1及び第2のコルゲートチューブ51,52との間、ならびに他方のグロメット7と第1及び第3のコルゲートチューブ51,53との間に、それぞれ配設されている。粘着テープ8は、隙間200から第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53の内側に水分等の異物が入り込むことを防ぐと共に、グロメット7に対して第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53を固定し、隙間200が広がってしまうことを防いでいる。
図5は、グロメット7を示す斜視図である。グロメット7は、例えば射出成形された成形体であり、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53の材料の硬さよりも柔らかい材料からなる。グロメット7の材料として具体的には、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴム材や、ウレタン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
グロメット7には、動力線31,32がそれぞれ挿通される第1の貫通孔71及び第2の貫通孔72、ならびに信号線4が挿通される第3の貫通孔73が形成されている。グロメット7は、全体として円柱状であり、その中心軸に沿って第1乃至第3の貫通孔71~73が互いに平行に形成されている。粘着テープ8は、グロメット7の外周面7a及び第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53の凸部502の外周面502aに粘着する。
ブラケット6は、取付対象に取り付けられる取付部61と、グロメット7を締め付けて把持する把持部62とを有している。本実施の形態では、ブラケット6が一枚の金属板からなり、取付部61と把持部62とが一体に形成されている。取付部61は、取付穴610が厚さ方向に貫通して形成された平板状である。把持部62は、内周面62aがグロメット7の外周面7aに接し、グロメット7の外周を囲うように湾曲している。図1(b)に示す例では、一方のブラケット6の取付対象がナックル13であり、他方のブラケット6の取付対象がタイヤハウス111である。取付部61は、取付穴610に挿通されるボルト18(図1(b)参照)によって、これらの取付対象に取り付けられる。
グロメット7の第1乃至第3の貫通孔71~73の内径は、動力線31,32及び信号線4のそれぞれの外径よりも大きく形成されているが、ブラケット6の把持部62がグロメット7を締め付けることによって第1乃至第3の貫通孔71~73のそれぞれの内周面が動力線31,32及び信号線4の外周面に密着し、第1乃至第3の貫通孔71~73を介して水分等の異物が移動してしまうことが抑止される。
ブラケット6の把持部62は、粘着テープ8が巻かれていない部分のグロメット7の外周面7aのみに接してグロメット7を把持している。換言すれば、ブラケット6の把持部62は、粘着テープ8をグロメット7との間に挟み込まないようにグロメット7を把持している。これにより、把持部62の内側面62aがグロメット7の外周面7aに密着し、把持部62が確実にグロメット7を把持することができる。
なお、粘着テープ8は、ブラケット6の把持部62がグロメット7を把持した状態で巻き回すことが望ましい。把持部62による締め付けによってグロメット7が弾性変形した状態で粘着テープ8をグロメット7の外周面7aに巻くことにより、粘着テープ8とグロメット7との密着性が高められる。
(第1の実施の形態の効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、グロメット7が第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に覆われていない部分の動力線31,32及び信号線4のそれぞれの長手方向の一部を覆うように配設され、このグロメット7をブラケット6の把持部62が把持するので、ブラケット6による動力線31,32及び信号線4の固定強度を高めながらも、動力線31,32及び信号線4の損傷を防ぐことができる。
以上説明した第1の実施の形態によれば、グロメット7が第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に覆われていない部分の動力線31,32及び信号線4のそれぞれの長手方向の一部を覆うように配設され、このグロメット7をブラケット6の把持部62が把持するので、ブラケット6による動力線31,32及び信号線4の固定強度を高めながらも、動力線31,32及び信号線4の損傷を防ぐことができる。
(グロメットの変形例)
図6(a)は、変形例に係るグロメット7Aを示す斜視図である。図6(b)は、グロメット7Aがブラケット6の把持部62に把持された状態を示す断面図である。本変形例では、グロメット7Aに一つの貫通孔70が形成され、この貫通孔70に動力線31,32及び信号線4が挿通される。貫通孔70は、動力線31が挿通される第1の挿通部701、動力線32が挿通される第2の挿通部702、及び信号線4が挿通される第3の挿通部703を有し、第1乃至第3の挿通部701~703が互いに連通している。
図6(a)は、変形例に係るグロメット7Aを示す斜視図である。図6(b)は、グロメット7Aがブラケット6の把持部62に把持された状態を示す断面図である。本変形例では、グロメット7Aに一つの貫通孔70が形成され、この貫通孔70に動力線31,32及び信号線4が挿通される。貫通孔70は、動力線31が挿通される第1の挿通部701、動力線32が挿通される第2の挿通部702、及び信号線4が挿通される第3の挿通部703を有し、第1乃至第3の挿通部701~703が互いに連通している。
この変形例に係るグロメット7Aを用いた場合でも、上記の第1の実施の形態と同様の効果が得られる。なお、貫通孔70に動力線31,32及び信号線4を挿入しやすくするため、グロメット7Aの外周面7aから貫通孔70に至るスリット(切れ目)を形成してもよい。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態について、図7(a)及び(b)を参照して説明する。図7(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係るワイヤハーネス2Aを示す外観図である。
本発明の第2の実施の形態について、図7(a)及び(b)を参照して説明する。図7(a)及び(b)は、第2の実施の形態に係るワイヤハーネス2Aを示す外観図である。
第1の実施の形態では、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53にスリットが形成されていない場合について説明したが、第2の実施の形態では、第1のコルゲートチューブ51にスリット511が長手方向に沿って形成されている。スリット511は、第1のコルゲートチューブ51に動力線31,32及び信号線4を導入可能な切れ目であり、ワイヤハーネス2Aの組み立て時には、このスリット511を広げて第1のコルゲートチューブ51の内側に動力線31,32及び信号線4を配置する。
ワイヤハーネス2Aは、第1乃至第3の粘着テープ81~83を有している。第1の粘着テープ81は、図7(a)及び(b)に示す二つのブラケット6及び第1のコルゲートチューブ51の全体に縦添えして巻かれる。第2の粘着テープ82は、第2のコルゲートチューブ52と一方のブラケット6との間に巻かれ、第3の粘着テープ83は、第3のコルゲートチューブ53と他方のブラケット6との間に巻かれる。
第1のコルゲートチューブ51の長手方向に沿った第1の粘着テープ81の幅Wは、第1のコルゲートチューブ51の長さLよりも長く、第1の粘着テープ81の幅方向の両端部が二つのグロメット7のそれぞれの端部における外周面7aに巻き回されている。第1のコルゲートチューブ51は、第1の粘着テープ81により、スリット511が開かないように閉塞されている。
なお、第2のコルゲートチューブ52及び第3のコルゲートチューブ53についても、第1のコルゲートチューブ51と同様にスリットを設け、このスリットを粘着テープによって閉塞してもよい。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、第1のコルゲートチューブ51の内側に動力線31,32及び信号線4を配置しやすくなると共に、第1の粘着テープ81によってスリット511が閉塞され、動力線31,32及び信号線4が第1のコルゲートチューブ51からはみ出したり、スリット511から第1のコルゲートチューブ51の内部に異物が入り込んでしまうことを防ぐことができる。また、幅広な一つの第1の粘着テープ81によってスリット511の全体が閉塞されるので、例えば細い帯状の粘着テープを第1のコルゲートチューブ51に螺旋状に巻く場合に比較して、巻き付け作業を容易に行うことができる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態について、図8乃至10を参照して説明する。図8は、第3の実施の形態に係るワイヤハーネス2Bの構成を説明するために示す斜視図である。図9(a)及び(b)は、ワイヤハーネス2Bを示す外観図である。図10は、ワイヤハーネス2Bの製造工程を示す説明図である。
本発明の第3の実施の形態について、図8乃至10を参照して説明する。図8は、第3の実施の形態に係るワイヤハーネス2Bの構成を説明するために示す斜視図である。図9(a)及び(b)は、ワイヤハーネス2Bを示す外観図である。図10は、ワイヤハーネス2Bの製造工程を示す説明図である。
第1の実施の形態では、ブラケット6に把持される被把持部材がグロメット7である場合について説明したが、第3の実施の形態では、この被把持部材がモールド樹脂部材9である。モールド樹脂部材9は、第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53に覆われていない部分の動力線31,32の一部を覆うように配設されている。モールド樹脂部材9は、例えばウレタン等の熱可塑性樹脂からなり、動力線31,32と一体化されている。
モールド樹脂部材9は、第1のコルゲートチューブ51と第2のコルゲートチューブ52との間、及び第1のコルゲートチューブ51と第3のコルゲートチューブ53との間にそれぞれ配置される。ブラケット6の把持部62は、モールド樹脂部材9を把持する。把持部62に把持されていない部分のモールド樹脂部材9の外周面9aには、粘着テープ8が巻かれる。
図9(a)は、粘着テープ8を巻き回す前の状態を示している。図9(b)は、粘着テープ8をモールド樹脂部材9及び第1乃至第3のコルゲートチューブ51~53の外周に巻き回した状態を示している。粘着テープ8は、図9(a)に示す二つのモールド樹脂部材9のうち、一方のモールド樹脂部材9と第1及び第2のコルゲートチューブ51,52との間、ならびに他方のモールド樹脂部材9と第1及び第3のコルゲートチューブ51,53との間に、それぞれ配設されている。
図10は、モールド樹脂部材9を形成するための金型90を示している。金型90は、上型901と下型902とを有し、上型901と下型902との間に動力線31,32が挟まれる。図10では、上型901を仮想線(二点鎖線)で示している。モールド樹脂部材9は、上型901と下型902との間に形成されるキャビティ900に溶融した樹脂材料を注入することにより形成される。
この第3の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施の形態に比較して、グロメット7に動力線31,32を挿通させる作業が不要となり、ワイヤハーネス2Bの組み立てを容易に行うことができる。なお、第2及び第3の実施の形態に係るワイヤハーネス2A,2Bも、第1の実施の形態に係るワイヤハーネス2と同様に、車両1のばね上及びばね下にわたって配策することができる。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した第1乃至第3の実施の形態から把握される技術思想について、各実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
次に、以上説明した第1乃至第3の実施の形態から把握される技術思想について、各実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]環状の凹部(501)と凸部(502)とを長手方向に沿って交互に設けてなるコルゲートチューブ(51~53)と、前記コルゲートチューブ(51~53)に挿通された電線(31,32,4)と、前記コルゲートチューブ(51~53)に覆われていない部分の前記電線(31,32,4)の一部を覆うように配設された被把持部材(7,7A,9)と、取付対象(13,111)に取り付けられる取付部(61)及び前記被把持部材(7,7A,9)を把持する把持部(62)を有するブラケット(6)と、を備えた、ワイヤハーネス(2,2A,2B)。
[2]前記被把持部材は、前記電線(31,32,4)が挿通される貫通孔(70~73)が形成されたグロメット(7,7A)である、上記[1]に記載のワイヤハーネス(2,2A)。
[3]前記被把持部材は、前記電線の周囲に形成されたモールド樹脂部材(9)である、上記[1]に記載のワイヤハーネス(2B)。
[4]前記被把持部材(7,7A,9)と前記コルゲートチューブ(51~53)との隙間(200)が閉塞部材(8,81~83)により閉塞されている、上記[1]に記載のワイヤハーネス(2,2A,2B)。
[5]前記閉塞部材は、基材の一方の面に粘着層が形成された粘着テープ(8,81~83)である、上記[4]に記載のワイヤハーネス(2,2A,2B)。
[6]前記把持部(62)は、前記粘着テープ(8,81~83)が巻かれていない部分の前記被把持部材(7,7A,9)の外周面(7a,9a)のみに接して前記被把持部材(7,7A,9)を把持している、上記[5]に記載のワイヤハーネス(2,2A,2B)。
[7]前記コルゲートチューブ(51)に前記電線(31,32,4)を挿入可能なスリット(511)が長手方向に沿って形成されており、前記粘着テープ(8,81~83)により、前記スリット(511)が開かないように閉塞されている、上記[5]に記載のワイヤハーネス(2A)。
[8]上記のワイヤハーネス(2,2A,2B)が取り付けられた車両(1)であって、前記ワイヤハーネス(2,2A,2B)が複数の前記ブラケット(6)を備え、少なくとも一つの前記ブラケット(6)がばね上に取り付けられると共に、少なくとも一つの前記ブラケット(6)がばね下に取り付けられた、車両(1)。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、ワイヤハーネス2,2A,2Bを車輪10の周辺においてばね上及びばね下にわたって配策する場合について説明したが、車両1の他の部位に本発明のワイヤハーネスを用いることも可能である。例えば、電動車両の駆動源である電動モータとインバータとの間、又はインバータと高圧バッテリーとの間に本発明のワイヤハーネスを用いてもよく、車両以外の産業機械等に本発明のワイヤハーネスを用いてもよい。
1…車両
111…タイヤハウス(取付対象)
13…ナックル(取付対象)
2,2A,2B…ワイヤハーネス
200…隙間
31,32…動力線(電線)
4…信号線(電線)
501…凹部
502…凸部
51~53…第1乃至第3のコルゲートチューブ
511…スリット
6…ブラケット
61…取付部
62…把持部
7,7A…グロメット(被把持部材)
7a…外周面
70…貫通孔
71~73…第1乃至第3の貫通孔
8…粘着テープ(閉塞部材)
81~83…第1乃至第3の粘着テープ(閉塞部材)
9…モールド樹脂部材(被把持部材)
9a…外周面
111…タイヤハウス(取付対象)
13…ナックル(取付対象)
2,2A,2B…ワイヤハーネス
200…隙間
31,32…動力線(電線)
4…信号線(電線)
501…凹部
502…凸部
51~53…第1乃至第3のコルゲートチューブ
511…スリット
6…ブラケット
61…取付部
62…把持部
7,7A…グロメット(被把持部材)
7a…外周面
70…貫通孔
71~73…第1乃至第3の貫通孔
8…粘着テープ(閉塞部材)
81~83…第1乃至第3の粘着テープ(閉塞部材)
9…モールド樹脂部材(被把持部材)
9a…外周面
Claims (8)
- 環状の凹部と凸部とを長手方向に沿って交互に設けてなるコルゲートチューブと、
前記コルゲートチューブに挿通された電線と、
前記コルゲートチューブに覆われていない部分の前記電線の一部を覆うように配設された被把持部材と、
取付対象に取り付けられる取付部及び前記被把持部材を把持する把持部を有するブラケットと、を備えた、
ワイヤハーネス。 - 前記被把持部材は、前記電線が挿通される貫通孔が形成されたグロメットである、
請求項1に記載のワイヤハーネス。 - 前記被把持部材は、前記電線の周囲に形成されたモールド樹脂部材である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。 - 前記被把持部材と前記コルゲートチューブとの隙間が閉塞部材により閉塞されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。 - 前記閉塞部材は、基材の一方の面に粘着層が形成された粘着テープである、
請求項4に記載のワイヤハーネス。 - 前記把持部は、前記粘着テープが巻かれていない部分の前記被把持部材の外周面のみに接して前記被把持部材を把持している、
請求項5に記載のワイヤハーネス。 - 前記コルゲートチューブに前記電線を挿入可能なスリットが長手方向に沿って形成されており、
前記粘着テープにより、前記スリットが開かないように閉塞されている、
請求項5に記載のワイヤハーネス。 - 請求項1乃至7の何れか1項に記載のワイヤハーネスが取り付けられた車両であって、
前記ワイヤハーネスが複数の前記ブラケットを備え、
少なくとも一つの前記ブラケットがばね上に取り付けられると共に、少なくとも一つの前記ブラケットがばね下に取り付けられた、
車両。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022135088A JP2024031506A (ja) | 2022-08-26 | 2022-08-26 | ワイヤハーネス及び車両 |
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- 2022-08-26 JP JP2022135088A patent/JP2024031506A/ja active Pending
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