JP2024030390A - 乾燥装置および乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費熱量を低減しながら、対象物から十分に水分を除去する。【解決手段】ロボットアーム2と、ロボットアーム2に設けられたノズル部3と、ロボットアーム2およびノズル部3を制御する制御装置4と、を備え、ノズル部3の動作モードを、第一の風速V1および第一の温度T1の空気を吐出する第一のモード、ならびに、第二の風速V2および第二の温度T2の空気を吐出する第二のモード、を含む群から選択可能であり、第一の風速V1、第一の温度T1、第二の風速V2、および第二の温度T2が、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たし、V1> V2(1)T1< T2(2)制御装置4が、ノズル部が3所定の経路を辿るようにロボットアーム2を動作させるとともに、ノズル部3を、当該ノズル部3の位置に応じて決定される動作モードで動作させる。【選択図】図1

Description

本発明は、乾燥装置および乾燥方法に関する。
自動車の部品などの物品に対して塗装を施す塗装工場では、塗装の前処理として物品の洗浄が行われる場合がある。この洗浄において物品に付着した水などが残留していると、塗装品質が低下する場合があるため、洗浄された物品を乾燥する工程が設けられることが一般的である。
かかる塗装工程に適用されうる方法として、たとえば特開平7-167557号公報(特許文献1)には、空気を吹き付けることによる水切りと熱風を吹き付けることによる乾燥と、を組み合わせて水分の除去を行う自動車用バンパーの水切り乾燥方法が開示されている。また、空気の吹付けにより水分を除去する技術は、特開2011-161384号公報(特許文献2)および特開平9-138064号公報(特許文献3)にも開示されている。
特開平7-167557号公報 特開2011-161384号公報 特開平9-138064号公報
特許文献1の方法では、熱風を用いる乾燥の工程において、対象物(自動車用バンパー)を加熱する方法が採用されている。この方法では、対象物の全体から水分が蒸発するまで加熱を継続する必要があるため、対象物の部位によっては水分が除去された後も加熱が継続される場合があった。そのため、乾燥に要する熱量が必要以上に大きくなる場合があった。また、特許文献2および3のような空気の吹付けによる水分を除去する技術のみによっては水分の除去が不十分になり、特許文献1に開示されている類の乾燥方法を併用する必要がある場合があった。
そこで、消費熱量を低減しながら、対象物から十分に水分を除去できる乾燥装置および乾燥方法の実現が求められる。
本発明に係る乾燥装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに設けられたノズル部と、前記ロボットアームおよび前記ノズル部を制御する制御装置と、を備え、前記ノズル部の動作モードを、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のモード、ならびに、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のモード、を含む群から選択可能であり、前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たし、
> V (1)
< T (2)
前記制御装置が、前記ノズル部が所定の経路を辿るように前記ロボットアームを動作させるとともに、前記ノズル部を、当該ノズル部の位置に応じて決定される動作モードで動作させることを特徴とする。
本発明に係る乾燥方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームに設けられたノズル部と、を備え、前記ノズル部の動作モードを、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のモード、ならびに、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のモード、を含む群から選択可能であり、前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たす乾燥装置を用いて実施される乾燥方法であって、
> V (1)
< T (2)
前記ノズル部の経路として、乾燥対象の物品に沿う所定の経路を決定するとともに、前記所定の経路上の位置ごとに、前記第一のモードによる空気の吐出の要否、および、前記第二のモードによる空気の吐出の要否、を決定する決定工程と、前記ノズル部が前記所定の経路を辿るように前記ロボットアームを動作させるとともに、前記ノズル部を当該ノズル部の位置に応じて決定される動作モードで動作させる乾燥工程と、を含むことを特徴とする。
これらの構成によれば、吐出される空気の風速が異なる二種類の動作モードを、乾燥対象物の局所的な構造、材質等を考慮して組み合せることができるので、乾燥のための熱量の投入を抑制しうる。
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
第一の実施形態に係る乾燥装置の概要を示す図である。 第一のモードで動作するノズル部の姿勢の例を示す図である。 第二のモードで動作するノズル部の姿勢の例を示す図である。 第三のモードで動作するノズル部の姿勢の例を示す図である。 第二の実施形態に係る乾燥装置の概要を示す図である。
本発明に係る乾燥装置の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る乾燥装置を、自動車の部品Pを乾燥する乾燥装置に適用した二つの例について説明する。なお、第一の実施形態に係る乾燥装置を乾燥装置1Aと称し、第二の実施形態に係る乾燥装置を乾燥装置1Bと称する。なお、部品Pは特に限定されないが、たとえばバンパーでありうる。なお、本発明が乾燥対象とする物品は、バンパーなどの自動車部品や、その他一般工業部品でありうるが、これらに限定されない。
〔第一の実施形態〕
(乾燥装置の構成)
第一の実施形態に係る乾燥装置1Aは、ロボットアーム2と、ノズル部3と、制御装置4と、を備える(図1)。ロボットアーム2の先端にノズル部3が装着されており、制御装置4はロボットアーム2およびノズル部3を制御する。乾燥装置1Aは、ロボットアーム2の動作によってノズル部3を部品Pに沿って移動させながら、ノズル部3から部品Pに対して空気を吐出して、部品Pに付着した水分を除去する装置である。
本実施形態に係るロボットアーム2としては、六軸垂直多関節型の産業用ロボットとして公知のものを使用できる。ロボットアーム2は、その先端に装着されたノズル部3を、所望の位置に、所望の経路で移動させることができる。ロボットアーム2の動作は、あらかじめ制御装置4に保存された教示プログラムに従って制御される。かかる教示プログラムの形式は任意であり、教示点を各軸パルスの形式で記憶するもの、教示点をワールド座標系空間座標の形式で記憶するもの、などを使用できる。
本実施形態に係るノズル部3は、第一のノズル31および第二のノズル32を有し、これらの二つのノズルが同一の基台33から延びている。基台33はロボットアーム2の先端との接続部分であり、かつ、外部の供給元(不図示)から空気の供給を受けて第一のノズル31および第二のノズル32に案内する部分でもある。なお、第一のノズル31に供給される空気の供給元と第二のノズル32に供給される空気の供給元とは、同一であっても異なっていてもよい。二つのノズルに供給される空気の供給元が異なる場合、第一のノズル31に供給される空気の温度(第一の温度T)は、第二のノズル32に供給される空気の温度(第二の温度T)より低い温度でありうる。すなわちT<Tでありうる。
また、第二のノズル32に供給される空気の温度(第二の温度T)は特に限定されないが、室温より高い温度であると、水分が揮発しやすくなるため好ましい。当該温度はたとえば約80℃であり、部品Pの耐熱温度を超えない範囲で、できる限り高い温度とすることがより好ましい。ただし、乾燥対象の箇所の周囲に室温の空気を流した場合であっても、当該箇所の周囲の空気が更新されることによって水蒸気圧が低下し、これによって当該箇所の水分が揮発しやすくなる。すなわち第二のノズルから供給される空気は、加熱されていなくてもよい。
第一のノズル31と第二のノズル32とを比較すると、第一のノズル31の先端が扁平な形状であるのに対し、第二のノズル32の先端は略円形である。すなわち、第一のノズル31の先端の縦横比は、第二のノズル32の先端の縦横比より大きい。ここで縦横比とは、ノズルの先端の開口面の形状の最大幅を最小幅で除した値である。第一のノズル31の縦横比は限定されないが、たとえば7以上11以下でありうる。第二のノズル32の縦横比も同様に限定されないが、たとえば1以上2以下でありうる。
第一のノズル31は、扁平な先端から比較的早い風速(第一の風速V)で比較的狭い範囲に空気を吐出するノズルであり、部品Pに付着した水滴を吹き飛ばす役割を担う。これに対し第二のノズル32は、略円形の先端から比較的遅い風速(第二の風速V)で比較的広い範囲に空気を吐出するノズルであり、空気の吐出先の周辺を加熱して部品Pに付着した水分を蒸発させる役割を担う。すなわち本実施形態では、V>Vである。
ノズル部3は、さらに、第一のノズル31に対する空気の供給経路を開閉する第一のシャッター(不図示)と、第二のノズル32に対する空気の供給経路を開閉する第二のシャッター(不図示)と、を有し、これらは基台33に設けられている。第一のシャッターおよび第二のシャッターの開閉は、制御装置4によってそれぞれ独立に制御される。
第一の風速Vおよび第二の風速Vは、いずれも限定されないが、一例として、第一の風速Vは20m/秒以上50m/秒以下であり、第二の風速Vは20m/秒以上50m/秒以下でありうる。なお、第二の風速Vは、第一の風速V1の50%以上100%未満(0.5V≦V<V)であることが好ましい。第一の風速Vおよび第二の風速Vは、第一のノズル31および第二のノズル32の形状(特に開口面積)、第一のシャッターおよび第二のシャッターの開度、およびノズル部3に供給される空気の圧力、などによって決定づけられる。
本実施形態に係る制御装置4としては、産業用ロボット(本実施形態ではロボットアーム2)およびこれに装着されるツール(本実施形態ではノズル部3)の動作を制御する制御装置として公知のものを使用できる。制御装置4は、ロボットアーム2の動作を制御する機能と、ノズル部3の動作モード(後述する。)を制御する機能と、を実現できる。
(乾燥装置の制御)
次に、本実施形態に係る制御装置4によって実行される制御について説明する。本実施形態に係る乾燥装置1Aでは、概して、ロボットアーム2の動作によってノズル部3を部品Pに沿う所定の経路で移動させながら、ノズル部3から吐出された空気を部品Pに吹き付けて部品Pの乾燥を行う。このうち、ロボットアーム2の動作の制御は、ロボットアーム2の仕様に適合した教示プログラムによって実現可能である。
本実施形態に係る乾燥装置1Aでは、ノズル部3の動作モードを、第一のノズル31から第一の風速Vで空気を吐出する第一のモード、第二のノズル32から第二の風速Vで空気を吐出する第二のモード、および、第一のノズル31および第二のノズル32の双方から空気を吐出する第三のモード、からなる群から選択できる。
制御装置4は、ノズル部3の動作モードを第一のモードにするときは、第一のシャッターを開放するとともに第二のシャッターを閉鎖する制御を行う。このとき、また、第一のモードで運転しているノズル部3を、その先端が向く側の進行方向Dに移動させながら、部品Pに対して空気を吹き付けることが好ましい(図2)。ノズル部3をこの態様で移動させると、ノズル部3の進行方向Dの前方に水滴を押し流すことができる。ノズル部3の移動速度は特に限定されず、たとえば50mm/秒以上100mm秒以下でありうるが、空気を吹き付けた後の部位に水膜が残らないことを念頭に適宜選択される。
またこのとき、第一のノズル31が延びる方向が、乾燥の対象とする部位(部品Pの一部分である。)に対して30°以上60°以下の角度(図2の角θ1)をなすように、ノズル部3と部品Pとの位置関係を制御することが好ましい。当該角度は、より好ましくは40°以上50°である。
同様に、ノズル部3の動作モードを第二のモードにするときは、第一のシャッターを閉鎖するとともに第二のシャッターを開放する制御を行う。この場合も、第二のモードで運転しているノズル部3を、その先端が向く側の進行方向Dに移動させながら、部品Pに対して空気を吹き付けることが好ましい(図3)。ノズル部3の移動速度は特に限定されず、たとえば50mm/秒程度でありうるが、空気を吹き付けた部位が乾燥に必要な水準まで加熱されることを念頭に適宜選択される。なお、第二のモードにおけるノズル部3の移動速度は、第一のモードにおけるノズル部3の移動速度以下であることが好ましい。
またこのとき、第二のノズル32が延びる方向が、乾燥の対象とする部位に対して30°以上60°以下の角度(図3の角θ2)をなすように、ノズル部3と部品Pとの位置関係を制御することが好ましい。当該角度は、より好ましくは40°以上50°である。なお、ノズル部3を第一のモードで動作させるときの角θ1と、第二のモードで動作させるときの角θ2とは、同一であってもよいし、異なってもよい。
また、動作モードを第三のモードにするときは第一のシャッターおよび第二のシャッターの双方を開放する制御を行う。この場合は、第一のノズル31と部品Pとの位置関係(移動方向および向き)が第一のモードと同様になるように制御を行うことが好ましい(図4)。このとき、第二のノズル32の向きは、第一のノズル31に従属的に決定づけられうる。また、ノズル部3の移動速度に関しては、部品Pの加熱が十分に行われるように決定され、したがって第二のモードと同様に決定されうる。
第三のモードでは、進行方向Dの前方に第一のノズル31が配され、進行方向Dの後方に第二のノズル32が配された姿勢で、ノズル部3を移動させる。これは、乾燥対象の箇所に第一のノズル31から空気を吹き付けて水滴を吹き飛ばした後に、第二のノズル32から空気を吹き付けて当該箇所を加熱して水分を蒸発させる、という手順で水分の除去を行うことが効果的だからである。
本実施形態において乾燥の対象とする部品Pは、塗装の前処理として水洗され、この水洗の際に付着した水分が除去された後に、塗装工程に供される。この水分の除去を、乾燥装置1Aを用いて実施する。水分が残留していると、塗装品質が低下する場合があるためである。なお、部品Pには表裏が存在し、表面は完成車において外側に配置される化粧面であり、裏側はその反対側の面である。塗装工程では、表面には塗装が施されるが、裏面には塗装が施されない。
部品Pにおける水分の残留の程度は部分によって異なり、たとえば凹部には水滴が残りやすい。そのため、部品Pの凹部に対しては、ノズル部3を第一のモードで運転して水滴を吹き飛ばした後に、第二のモードで運転して当該凹部を加熱して水分を蒸発させる、という水分除去操作が有効である。
また、部品Pの凹部に対して、第一のモード、第二のモードの順で二種類の水分除去操作を順次行うことに替えて、ノズル部3を第三のモードで運転し、第一のノズル31から吐出された空気と第二のノズル32から吐出された空気とがこの順で当たるようにしてもよい。
部品Pの平坦面に対しては、第一のモードのみまたは第二のモードのみの運転により十分に水分を除去できる場合がある。そのため、部品Pの平坦面に対しては一方のモードによる運転のみを行うようにすれば、消費エネルギーを低減できる。
部品Pの裏側は架台Rに支持されているため、部品Pの裏側には、ノズル部3から吐出された空気が架台Rに遮られて当たりにくい箇所が存在する。また、表側に比べて乾燥装置1Aと架台Rとの干渉が問題になりやすく、ノズル部3を部品Pの裏側に近づけにくい場合がある。これらの事情から、部品Pの裏側に対しては、第一のモードよりも第二のモードの方が適している場合がある。
また、部品Pの表面および裏面の一方に対して空気を吹き付けると、吹き飛ばされた水滴が他方の面に回り込む場合がある。そこで、裏側、表側の順で水分除去操作を行うようにすれば、裏側から表側に回り込んだ水滴が存在する場合であっても、これを表側に対する水分除去操作によって取り除くことができる。これによって、表面に水分が残りにくいため、表面に良好な塗装を施しやすい。なお、表面から裏面に回り込んだ水滴があったとしても、これが問題となる場合は少ない。表面は化粧面であり塗装の美観が要求されるのに対し、裏側にはそのような要求はないためである。
このように、部品Pの形状によって、水分除去操作を行う適切な順序、および、部品Pの各部位に対するノズル部3の適切な運転モード、が決定づけられる。なお、上記に例示した形状による事情のほか、部品Pの部位ごとの材質の性質(ぬれ性など)による事情も、適切な水分除去操作の態様を決定づける要素である。
部品Pに対して適切な順序で水分除去操作を加えるためには、ノズル部3が当該適切な順序を反映した所定の経路で部品Pの各部位を通過するように、ロボットアーム2を制御すればよい。この制御は、当該経路を実現できる教示プログラムをあらかじめ制御装置4に入力しておき、制御装置4がこれを実行することによって実現できる。
また、部品Pの各部位に対してノズル部3を適切な運転モードで運転するためには、ノズル部3の運転モードをノズル部3の位置に応じて決定する制御を行えばよい。この制御は、ノズル部3の所定の経路上の位置ごとに選択されるべき運転モードに係る情報を制御装置4に対してあらかじめ入力しておき、教示プログラムによるロボットアーム2の制御と連動してノズル部3の制御(具体的には第一のシャッターおよび第二のシャッターの開閉)を行うことによって実現できる。
すなわち、ノズル部3が辿るべき所定の経路、および、当該所定の経路上のそれぞれの位置において選択されるノズル部3の運転モードは、乾燥の対象とする部品Pの形状等の事情に基づいて決定づけられる。乾燥装置1Aの使用者は、所望の乾燥条件に従って所定の経路および各位置における運転モードを決定し、これを反映した運転条件を制御装置4に入力し、当該運転条件に従う乾燥装置1Aの運転により所望の水分除去操作を実施する。なお、運転条件の設定において、経路および運転経路以外の条件(たとえばノズル部3の速度、角度など)も考慮されうる。
一例として、部品Pがバンパーである場合の所定の経路および運転モードの設定例を示す。まず、部品Pの裏面に沿ってノズル部3を掃引して、裏面の乾燥を行う。このとき、ノズル部3を第二のモードで運転する。ノズル部3の経路は、裏面のすべての部分に対して少なくとも一度は空気が吹き付けられるように設定する。
次に、部品Pの表面に沿ってノズル部3を掃引して、表面の乾燥を行う。ノズル部3の経路は、表面のすべての部分に対して少なくとも一度は空気が吹き付けられるように設定される。また、当該経路に沿ってノズル部3を移動させながら、ノズル部3の位置における乾燥対象の箇所の性質に応じて、ノズル部3の運転モードを適宜切り替える。たとえば、部品Pの表面のうちフロントライト、ウィンカー、エンブレム等が嵌め込まれる開口部、凹部、切り欠き等およびその周辺は、水分が残りやすい箇所であるので、これらの箇所に沿ってノズル部3を移動させる際はノズル部3を第三のモードで運転する。一方、上記の開口部等が設けられていない箇所に沿ってノズル部3を移動させる際はノズル部3を第一のモードで運転する。
なお上記のように、第一のノズル31による空気の吐出は、部品Pの凹部などの水滴が残留しやすい箇所に対して、加熱(第二のノズル32による空気の吐出)に先立って水滴を吹き飛ばすという意図で実施されることが典型的である。このことに鑑み、ノズル部3を、第一のノズル31を進行方向Dの前方に配した姿勢(図2~4)で、凹部などの対象箇所に沿って掃引することが好ましい。
〔第二の実施形態〕
(乾燥装置の構成)
続いて、第二の実施形態に係る乾燥装置1Bについて説明する。なお、第一の実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、説明を省略または簡略化する。
本実施形態に係る乾燥装置1Bは、ロボットアーム2と、ノズル部5と、制御装置4と、を備える(図3)。乾燥装置1Bの構成要素のうち、ロボットアーム2は第一の実施形態と同様である。また、制御装置4も、実施する制御の内容が第一の実施形態と異なるが、ハードウェアとしては第一の実施形態と同様である。
本実施形態に係るノズル部5は、基台53に対して一つのノズル(第一のノズル51または第二のノズル52)を装着できるように構成されている。基台53としては、たとえば、産業用ロボット向けに従来使用されているツールチェンジャーを使用できる。第一のノズル51および第二のノズル52は、第一の実施形態に係る第一のノズル31および第二のノズル32とそれぞれ同様の形状であり、その機能もそれぞれ同様である。
ノズル部5は、さらにシャッター(不図示)を有し、これは基台53に設けられている。シャッターの開閉により、基台53に装着されているノズル(第一のノズル51または第二のノズル52)に対する空気の供給経路が開閉される。本実施形態では、装着可能なノズルが一つであることに対応して単一のシャッターのみが設けられており、二つのシャッター(第一のシャッターおよび第二のシャッター)が設けられている第一の実施形態と異なる。
第一のノズル51および第二のノズル52のうち、基台53に装着されていない方のノズルは、乾燥装置1Bの近くに設置されたツールストッカSに保管されている。制御装置4は、ロボットアーム2を制御してノズル部5をツールストッカSに移動させて、基台53に装着されているノズルとツールストッカSに保管されているノズルとの交換を行う。図5では、一例として、基台53に第二のノズル52が装着され、ツールストッカSに第一のノズル51が保管されている状態を図示している。
本実施形態に係るノズル部5は、その動作モードの選択を、装着するノズルの選択によって実現する。すなわち、基台53に第一のノズル51が装着されているときのノズル部5は第一のモードで動作し、基台53に第二のノズル52が装着されているときのノズル部5は第二のモードで動作する。したがって、ノズルの交換は運転モードの変更と同義である。
(乾燥装置の制御)
次に、本実施形態に係る制御装置4によって実行される制御について説明する。本実施形態に係る乾燥装置1Bは、ロボットアーム2の動作によってノズル部3を部品Pに沿う所定の経路で移動させながら、ノズル部3から吐出された空気を部品Pに吹き付けて部品Pの乾燥を行う、という点において第一の実施形態と同様である。一方、本実施形態ではノズル部5が有するノズルが一つであるため、運転モードを随時切り替えることができない点で第一の実施形態と異なる。なお、本実施形態では、第一の実施形態における第三のモードによる運転は実施できない。
そこで本実施形態では、第一段階として、部品Pの裏面の水分除去操作を行う。上記の通り、裏面の水分除去に適した運転モードは第二のモードであるので、基台53に第二のノズル52を装着した状態で操作を行う。
部品Pの裏面の水分除去操作が完了したら、ノズル部5をツールストッカSに移動させて、基台53に装着されているノズルを第二のノズル52から第一のノズル51に交換する。そして、第二段階として、部品Pの表面のうち第一のモードによる水分除去操作を要する部位(凹部など)に対して順次空気を吹き付けて、水滴の吹き飛ばしを行う。
部品Pの表面における水滴の吹き飛ばしが完了したら、ノズル部5を再びツールストッカSに移動させて、基台53に装着されているノズルを第一のノズル51から第二のノズル52に交換する。そして、第三段階として、部品Pの表面のうち第二のモードによる水分除去操作を要する部位に対して順次空気を吹き付けて加熱による乾燥を行い、水分除去操作を完了する。
したがって本実施形態では、第一段階、第二段階、および第三段階のそれぞれについて、ノズル部5が辿るべき所定の経路が設定される。典型的には、部品Pの裏面について一周、表面について二周、それぞれノズル部5が掃引されることになる。第二段階では、部品Pの表面のうち第一のノズル51による空気の吹付けを要する箇所を網羅する経路が設定される。第三段階では、部品Pの表面のうち第二のノズル52による空気の吹付けを要する箇所を網羅する経路が設定される。また、各段階の間に、ノズル部5をツールストッカSに移動させる経路が設定される。
なお、部品Pの表面の乾燥について、上記の運転の手順は、第一の実施形態に係る乾燥装置1Aを用いても実施可能である。すなわち、部品Pの表面を乾燥する際に、ノズル部3の第一のモードと第3モードとを適宜切り替えながらノズル部3を移動させることに替えて、ノズル部3を第一のモードで運転させる第一の掃引と、ノズル部3を第二のモードで運転させる第二の掃引と、を行ってもよい。なお、乾燥装置1Aの場合はノズルの交換を要さないため、第一の掃引の後にすぐ第二の掃引を実施できる。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る乾燥装置のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記の実施形態に係る第三のモードを実施可能な乾燥装置も、本発明の一態様だといえる。すなわち本発明は、ノズル部と、前記ノズル部の動作を制御する制御装置と、を備え、前記ノズル部が、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のノズルと、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のノズルと、を有し、前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たし、
> V (1)
< T (2)
前記制御装置が、前記ノズル部を、進行方向の前方に前記第一のノズルを配し、進行方向の後方に前記第二のノズルを配した姿勢で、乾燥対象物に沿って移動させるように制御する乾燥装置、でありうる。
上記の実施形態に係る、部品Pの表面と裏面との性質の違いに着目した乾燥の方法も、本発明の一態様だといえる。すなわち本発明は、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のノズルと、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のノズルと、備え、前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たす乾燥装置を用いて、
> V (1)
< T (2)
乾燥対象の物品の裏面に対して前記第二のノズルから空気を吐出する第一の工程と、前記第一の工程より後に、前記乾燥対象の物品の表面に対して前記第一のノズルおよび前記第二のノズルの少なくとも一つから空気を吐出する第二の工程と、を含む乾燥方法、でありうる。
本発明は、ノズル部と異なる他のノズルとの併用を妨げられない。たとえば、第一の風速Vより早い風速で空気を吐出する他のノズルを併用し、第一のモードによる運転よりさらに強い条件で水滴を吹き飛ばすようにしてもよい。この場合の他のノズルは、本発明に係る乾燥装置と独立に設けられてもよいし、本発明に係る乾燥装置と一体に設けられてもよい。
本発明において、ノズル部の動作モードとして、上記の実施形態に示した第一のモード、第二のモード、および第三のモード、以外のモードを選択可能である構成は、妨げられない。たとえば上記の他のノズルが併用される場合、上記の三つのモードのそれぞれについて、他のノズルからの空気の吐出の有無による二通りの分岐が加わり、計六通りの動作モードが存在しうる。
上記の実施形態では、第二の風速Vが第一の風速Vより遅い(V>V)構成を例として説明した。この構成では、風速の違いにより第一のモードおよび第二のモードのそれぞれの目的が実現されるので、第一の温度Tと第二の温度Tとの大小関係は限定されない。一方、第二の温度Tが第一の温度Tより高い(T<T)場合は、温度の違いにより第一のモードおよび第二のモードのそれぞれの目的が実現されるので、第一の風速Vと第二の風速Vとの大小関係は限定されない。すなわち本発明において、以下の式(1)および式(2)の一方が満たされればよく、他方が満たされるか否かは任意である。
> V (1)
< T (2)
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
1A :乾燥装置(第一の実施形態)
1B :乾燥装置(第二の実施形態)
2 :ロボットアーム
3 :ノズル部(第一の実施形態)
4 :制御装置
5 :ノズル部(第二の実施形態)

Claims (7)

  1. ロボットアームと、
    前記ロボットアームに設けられたノズル部と、
    前記ロボットアームおよび前記ノズル部を制御する制御装置と、を備え、
    前記ノズル部の動作モードを、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のモード、ならびに、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のモード、を含む群から選択可能であり、
    前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たし、
    > V (1)
    < T (2)
    前記制御装置が、
    前記ノズル部が所定の経路を辿るように前記ロボットアームを動作させるとともに、
    前記ノズル部を、当該ノズル部の位置に応じて決定される動作モードで動作させる乾燥装置。
  2. 少なくとも前記第二の温度Tが室温より高い請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 前記ノズル部が、第一のノズルおよび第二のノズルを有し、
    前記第一のノズルの先端の縦横比が、前記第二のノズルの先端の縦横比より大きく、
    前記第一のモードにおいて、前記第一のノズルから空気を吐出し、
    前記第二のモードにおいて、前記第二のノズルから空気を吐出する請求項1または2に記載の乾燥装置。
  4. 前記ノズル部の動作モードを、前記第一のモード、前記第二のモード、および、前記第一のノズルおよび前記第二のノズルの双方から空気を吐出する第三のモード、を含む群から選択可能である請求項3に記載の乾燥装置。
  5. 前記ノズル部が、第一のノズルまたは第二のノズルを装着可能であり、
    前記第一のノズルの先端の縦横比が、前記第二のノズルの先端の縦横比より大きく、
    前記第一のモードにおいて、前記第一のノズルから空気を吐出し、
    前記第二のモードにおいて、前記第二のノズルから空気を吐出し、
    前記制御装置が、前記ノズル部に装着されている前記第一のノズルおよび前記第二のノズルの一方を他方に交換するように、前記ロボットアームおよび前記ノズル部を制御する請求項1または2に記載の乾燥装置。
  6. ロボットアームと、前記ロボットアームに設けられたノズル部と、を備え、前記ノズル部の動作モードを、第一の風速Vおよび第一の温度Tの空気を吐出する第一のモード、ならびに、第二の風速Vおよび第二の温度Tの空気を吐出する第二のモード、を含む群から選択可能であり、前記第一の風速V、前記第一の温度T、前記第二の風速V、および前記第二の温度Tが、式(1)および式(2)の少なくとも一つを満たす乾燥装置を用いて実施される乾燥方法であって、
    > V (1)
    < T (2)
    前記ノズル部の経路として、乾燥対象の物品に沿う所定の経路を決定するとともに、前記所定の経路上の位置ごとに、前記第一のモードによる空気の吐出の要否、および、前記第二のモードによる空気の吐出の要否、を決定する決定工程と、
    前記ノズル部が前記所定の経路を辿るように前記ロボットアームを動作させるとともに、前記ノズル部を当該ノズル部の位置に応じて決定される動作モードで動作させる乾燥工程と、を含む乾燥方法。
  7. 前記乾燥工程が、
    乾燥対象の物品の裏面に対して前記第二のモードで動作する前記ノズル部から空気を吐出する第一のステップと、
    前記第一のステップより後に、乾燥対象の物品の表面に対して前記ノズル部から空気を吐出する第二のステップと、を含む請求項6に記載の乾燥方法。
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