JP2024028008A - 電力変換装置 - Google Patents

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Tatsuki Kashiwabara
雄志 荒木
Yushi Araki
孝次 小林
Koji Kobayashi
秀樹 綾野
Hideki Ayano
拓海 中垣
Takumi NAKAGAKI
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Abstract

【課題】より良好にコモンモードノイズの発生を抑制できる電力変換装置を提供する。【解決手段】電力変換装置1において、制御装置21は、相電圧を生成するための三相変調指令値cu1、cv1、cw1を演算する相電圧指令演算部33と、三相変調指令値に基づき二相変調指令値cu、cv、cwを演算する線間変調演算部34と、三角キャリア波CAと二相変調指令値に基づきインバータ回路28をPWM制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部36を有し、PWM信号に基づき出力される二相の相電圧について、それぞれ二相変調指令値に基づくパルス幅を維持した状態で三角キャリア波CAのキャリア周期内における前半周期および後半周期の少なくとも一方において一方の相の相電圧の立上りタイミングと他方の相の相電圧の立下りタイミングを一致させる。【選択図】図3

Description

本発明は、インバータ回路により三相交流出力をモータに印加して駆動する電力変換装置に関するものである。
従来、二相変調方式を基本とし、パルス状のPWM信号(PWMパルス)の立上りあるいは立下りのタイミングを調整することで、零相電圧の変動を減少させ、コモンモードノイズの低減を図ることが可能な電力変換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電力変換装置は、モータの各相に印加する電圧を生成するための三相変調指令値を演算し出力する相電圧指令演算部と、三相変調指令値に基づき、インバータ回路の一相の上下アームスイッチング素子のON/OFF状態を固定させると共に、他の二相の上下アームスイッチング素子のON/OFF状態を変調させる二相変調指令値を演算する線間変調演算部と、二相変調指令値に基づき、インバータ回路をPWM制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部を有する制御装置を備えている。そして当該制御装置がON/OFF状態を変調させる二相の上下アームスイッチング素子のスイッチングタイミングを同期させ、モータに印加される相電圧の変化を、他の相電圧の変化で打ち消す制御(零相電圧の変動を相殺する制御)を実行可能に構成される。これにより、モータの中性点電位の変動が少なく、コモンモードノイズの発生を抑制することが可能となっている。この場合、PWM制御において鋸状のキャリア波(鋸キャリア波)が採用されている。鋸キャリア波は任意のタイミングでのスイッチング動作が可能であることから、上記動作を行うPWM信号の生成が比較的容易である。
特開2022-033476号公報
ところで、キャリア波としては二等辺三角状の波(以下、単に「三角キャリア波」という。)が比較的汎用的である。このため、上述の零相電圧の変動を相殺する制御においても三角キャリア波を採用することが望まれる。
しかしながら、三角キャリア波は左右対称のパルス幅を出力することを前提とするものであり、鋸キャリア波の場合と比較してスイッチングタイミングを任意に設定することが困難である。具体的には、PWM信号を生成するアルゴリズムによっては、出力電流にひずみが生じる場合もあり、モータのトルク脈流や騒音発生の要因となる問題があった。
本発明は、係る従来の状況に鑑みて成されたものであり、三角キャリア波を用いて二相変調制御を行う場合に、二相の相電圧の立上りタイミングと立下りタイミングを任意に設定可能とし、より良好にコモンモードノイズの発生を抑制できる電力変換装置を提供する。
本発明は、三相負荷に相電圧を供給するインバータ回路と、前記インバータ回路の制御装置と、を備えた電力変換装置であって、前記制御装置は、前記相電圧を生成するための三相変調指令値を演算し、出力する相電圧指令演算部と、前記三相変調指令値に基づき、二相変調指令値を演算する線間変調演算部と、三角キャリア波と前記二相変調指令値に基づき、前記インバータ回路をPWM制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部を有し、前記制御装置は、前記PWM信号に基づき出力される二相の前記相電圧について、それぞれ前記二相変調指令値に基づくパルス幅を維持した状態で前記三角キャリア波のキャリア周期内における前半周期および後半周期の少なくとも一方において一方の相の前記相電圧の立上りタイミングと他方の相の前記相電圧の立下りタイミングを一致させる、ことを特徴とする電力変換装置にかかるものである。
本発明によれば、三角キャリア波を用いて二相変調制御を行う場合に、二相の相電圧の立上りタイミングと立下りタイミングを任意に設定可能とし、より良好にコモンモードノイズの発生を抑制できる電力変換装置を提供する、という優れた効果を奏し得る。
電力変換装置を備えた一実施例の電動圧縮機の縦断側面図である。 図1の電動圧縮機をインバータ収容部側から見たカバーを除く側面図である。 本実施形態の電力変換装置を示す図であり(A)電気回路を説明するブロック図であり、(B)一部を抜き出して示すブロック図である。 (A)三相変調指令値の演算結果を示すグラフであり、(B)変調値cmodの演算結果を示すグラフであり、(C)線間変調の演算結果を示すグラフである。 二相変調指令値、およびこれに基づいて生成される各相のPWMパルスの一例を示す図である。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 PWM制御のアルゴリズムを説明するフローチャートである。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 (A)電力変換装置の出力電圧(U相電圧Vu,V相電圧Vv,W相電圧Vw)のシミュレーション結果である。(B)各相の電流波形である。 電気位相角が0~50degまでの三角キャリア波CAと、各相の二相変調指令値cu、cv、cw、各相電圧Vu,Vv,VwおよびU相電流iu、V相電流iv、W相電流iwの状態を示すグラフである。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 PWM制御のアルゴリズムを説明するフローチャートである。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 本実施形態のシーケンス切替制御について説明する図である。 電力変換装置の出力電圧(U相電圧Vu,V相電圧Vv,W相電圧Vw)のシミュレーション結果である。 PWMパルスのシフトについて説明する図である。 (A)電力変換装置の出力電圧(U相電圧Vu,V相電圧Vv,W相電圧Vw)のシミュレーション結果である。(B)各相の電流波形である。 本実施形態のシーケンス切替制御の他の例について説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお添付図面において同一の符号を付した部分は同一構成要素を表わす。また、各図において一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。また、各図において一部の構成について形状や寸法を適宜誇張して表現する。
<電動圧縮機の構成>
先ず、図1を参照しながら本実施形態の電力変換装置1を備える電動圧縮機16の一例について説明する。本実施形態の電動圧縮機16は、電力変換装置1を一体に備えた所謂インバータ一体型電動圧縮機であり、ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載される車両用空気調和装置の冷媒回路の一部を構成するものである。
電動圧縮機16の金属性の筒状のハウジング2内は、当該ハウジング2の軸方向に交差する仕切壁3により圧縮機構収容部4とインバータ収容部6とに区画されており、圧縮機構収容部4内に例えばスクロール型の圧縮機構7と、この圧縮機構7を駆動するモータ8が収容されている。この場合、モータ8はハウジング2に固定されたステータ9と、このステータ9の内側で回転するロータ11から成るIPMSM(Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)である。
仕切壁3の圧縮機構収容部4側の中心部には軸受部12が形成されており、ロータ11の駆動軸13の一端はこの軸受部12に支持され、駆動軸13の他端は圧縮機構7に連結されている。ハウジング2の圧縮機構収容部4に対応する位置の仕切壁3近傍には吸入口14が形成されており、モータ8のロータ11(駆動軸13)が回転して圧縮機構7が駆動されると、この吸入口14からハウジング2の圧縮機構収容部4内に作動流体である低温の冷媒が流入し、圧縮機構7に吸引されて圧縮される。
そして、この圧縮機構7で圧縮され、高温・高圧となった冷媒は、図示しない吐出口よりハウジング2外の冷媒回路に吐出される構成とされている。また、吸入口14から流入した低温の冷媒は、仕切壁3近傍を通ってモータ8の周囲を通過し、圧縮機構7に吸引されることから、仕切壁3も冷却されることになる。
そして、この仕切壁3で圧縮機構収容部4と区画されたインバータ収容部6内には、モータ8を駆動制御する電力変換装置1が収容される。電力変換装置1は、仕切壁3を貫通する密封端子やリード線を介してモータ8に給電する。
<電力変換装置の構造>
図2は、図1の電動圧縮機16をインバータ収容部6側から見たカバー23を除く側面図である。
電力変換装置1は、三相負荷(本実施形態の例ではモータ8)に相電圧を供給する三相のインバータ回路28と、インバータ回路28の制御装置21と、を備える。具体的に、電力変換装置1は、基板17と、この基板17の一面側に配線された上アームスイッチング素子18A、18B、18Cと、下アームスイッチング素子18D、18E、18Fの計6個のスイッチング素子と、基板17の他面側に配線された制御装置21と、図示しないHVコネクタ、LVコネクタ等から構成されている。各上下アームスイッチング素子18A~18Fは、電力用スイッチング素子であり、本実施形態では一例としてではMOS(metal oxide semiconductor)構造をゲート部に組み込んだ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)等から構成されている。
この例では図3を参照して後述する三相のインバータ回路28を構成するU相ハーフブリッジ回路(インバータ)19Uの上アームスイッチング素子18Aと下アームスイッチング素子18D、V相ハーフブリッジ回路(インバータ)19Vの上アームスイッチング素子18Bと下アームスイッチング素子18E、W相ハーフブリッジ回路(インバータ)19Wの上アームスイッチング素子18Cと下アームスイッチング素子18Fとは2個一組となって並んで配置され、一組の上下アームスイッチング素子18A及び18D、上下アームスイッチング素子18B及び18E、上下アームスイッチング素子18C及び18Fが、図2に示す如く基板17の中心の周囲に放射状に配置されている。
また、この例ではU相ハーフブリッジ回路19Uの上下アームスイッチング素子18A及び18Dが吸入口14側に位置しており、それに対して図2における反時計回り90°の位置にV相ハーフブリッジ回路19Vの上下アームスイッチング素子18B及び18Eが配置され、吸入口14とは反対側の位置にW相ハーフブリッジ回路19Wの上下アームスイッチング素子18C及び18Fが配置される。そして、吸入口14から吸入された冷媒は、図2中破線矢印の如くハウジング2の軸を中心として反時計回りに回転する。そのため、吸入冷媒の流れに対してU相ハーフブリッジ回路19Uの上下アームスイッチング素子18A及び18Dが最も上流側(電動圧縮機16で最も低温となる箇所)に位置し、その下流側にV相ハーフブリッジ回路19Vの上下アームスイッチング素子18B及び18Eが位置し、最も下流側にW相ハーフブリッジ回路19Wのスイッチング素子18C及び18Fが配置される。また、各上下アームスイッチング素子18A~18Fの端子部22は、基板17の中心側となった状態で基板17に接続されている。
そして、図1に示すように、このように組み立てられた電力変換装置1は、各上下アームスイッチング素子18A~18Fがある一面側が仕切壁3側となった状態でインバータ収容部6内に収容されて仕切壁3に取り付けられ、カバー23にて塞がれる。基板17は、例えば仕切壁3から起立するボス部24を介して仕切壁3に固定される。
このように電力変換装置1が仕切壁3に取り付けられた状態で、各スイッチング素子18A~18Fは仕切壁3に直接若しくは所定の絶縁熱伝導材を介して密着し、ハウジング2の仕切壁3と熱交換関係となる。このとき、各上下アームスイッチング素子18A~18Fは軸受部12及び駆動軸13に対応する箇所を避けた位置に配置され、その周囲を囲繞するように配置される(図2)。
そして、前述した如く仕切壁3は圧縮機構収容部4内に吸入される冷媒によって冷やされているので、各上下アームスイッチング素子18A~18Fは仕切壁3を介して吸入冷媒と熱交換関係となり、仕切壁3の厚みを介して圧縮機構収容部4内に吸入された冷媒によって冷却され、各上下アームスイッチング素子18A~18F自体は仕切壁3を介して冷媒に放熱する。
<電力変換装置の回路構成>
図3を参照して電力変換装置1について説明する。図3(A)は電力変換装置1の電気回路構成を示す回路ブロック図であり、同図(B)は制御装置21の一部を抜き出して示すブロック図である。電力変換装置1は、前述した三相のインバータ回路28と、制御装置21を備えている。インバータ回路28は、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式により直流電源(車両のバッテリ:例えば、350V)29の直流電圧を三相交流電圧(三相交流出力)に変換してモータ8に印加する回路である。このインバータ回路28は、U相ハーフブリッジ回路19U、V相ハーフブリッジ回路19V、W相ハーフブリッジ回路19Wを有しており、各相ハーフブリッジ回路19U~19Wは、それぞれ上アームスイッチング素子18A~18Cと、下アームスイッチング素子18D~18Fを個別に有している。更に、各上下アームスイッチング素子18A~18Fには、それぞれフライホイールダイオード31が逆並列に接続されている。
そして、インバータ回路28の上アームスイッチング素子18A~18Cの上端側は、直流電源29及び平滑コンデンサ32の上アーム電源ライン(正極側母線)10に接続されている。一方、インバータ回路28の下アームスイッチング素子18D~18Fの下端側は、直流電源29及び平滑コンデンサ32の下アーム電源ライン(負極側母線)15に接続されている。直流電源29の電圧(直流電圧)はVdcとする。
この場合、U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18Aと下アームスイッチング素子18Dが直列に接続され、V相ハーフブリッジ回路19Vの上アームスイッチング素子18Bと下アームスイッチング素子18Eが直列に接続され、W相ハーフブリッジ回路19Wの上アームスイッチング素子18Cと下アームスイッチング素子18Fが直列に接続されている。
そして、U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18Aと下アームスイッチング素子18Dの接続点(U相電圧Vu)は、モータ8のU相の電機子コイル41に接続され、V相ハーフブリッジ回路19Vの上アームスイッチング素子18Bと下アームスイッチング素子18Eの接続点(V相電圧Vv)は、モータ8のV相の電機子コイル42に接続され、W相ハーフブリッジ回路19Wの上アームスイッチング素子18Cと下アームスイッチング素子18Fの接続点(W相電圧Vw)は、モータ8のW相の電機子コイル43に接続されている。
<制御装置の構成>
制御装置21はプロセッサを有するマイクロコンピュータから構成されており、この例では車両ECUから回転数指令値を入力し、モータ8からモータ電流(相電流)を入力して、これらに基づき、インバータ回路28の各上下アームスイッチング素子18A~18FのON/OFF状態(スイッチング)を制御する。具体的には、各上下アームスイッチング素子18A~18Fのゲート端子に印加するゲート電圧を制御する。
この制御装置21は、相電圧指令演算部33と、線間変調演算部34と、PWM信号生成部36と、ゲートドライバ37と、モータ8に流れる各相のモータ電流(相電流)であるU相電流iu、V相電流iv、W相電流iwを測定するためのカレントトランスから成る電流センサ26A、26B、26Cを有しており、各電流センサ26A、26B、26Cは線間変調演算部34に接続されている。
相電圧指令演算部33は、相電圧指令値(U相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、W相電圧指令値Vw)を生成するための三相変調指令値cu1、cv1、cw1を演算し、出力する。
線間変調演算部34は、相電圧指令演算部33により演算され、算出された三相変調指令値cu1、cv1、cw1に基づき、各相の二相変調指令値cu、cv、cwを演算する。
PWM信号生成部36は、各相(U相、V相、W相)の二相変調指令値cu、cv、cwと三角キャリア波(キャリア信号)の大小を比較することによって、インバータ回路28のU相ハーフブリッジ回路19U、V相ハーフブリッジ回路19V、W相ハーフブリッジ回路19Wの駆動指令信号となるPWM信号を生成し、出力する。
ゲートドライバ37は、PWM信号生成部36から出力されるPWM信号に基づき、U相ハーフブリッジ回路19Uのスイッチング素子18A、18Dのゲート電圧と、V相ハーフブリッジ回路19Vのスイッチング素子18B、18Eのゲート電圧と、W相ハーフブリッジ回路19Wのスイッチング素子18C、18Fのゲート電圧を発生させる。
そして、インバータ回路28の各上下アームスイッチング素子18A~18Fは、ゲートドライバ37から出力されるゲート電圧に基づき、ON/OFF駆動される。即ち、ゲート電圧がON状態(所定の電圧値)となるとスイッチング素子がON動作し、ゲート電圧がOFF状態(零)となるとスイッチング素子がOFF動作する。
このゲートドライバ37は、スイッチング素子18A~18Fが前述したIGBTである場合には、PWM信号に基づいてゲート電圧をIGBTに印加するための回路であり、フォトカプラやロジックIC、トランジスタ等から構成される。
ゲートドライバ37に、各相(U相、V相、W相)についてのPWM信号としてON信号が入力されると、対応する相の上アームスイッチング素子18A~18CがON状態となり当該相の相電圧が「H」レベルとなる。また各相(U相、V相、W相)についてのPWM信号としてOFF信号が入力されると、対応する相の上アームスイッチング素子18A~18CがOFF状態となり当該相の相電圧が「L」レベルとなる。下アームスイッチング素子18D~18Fには上アームスイッチング素子18A~18Cの反転信号が入力される。なお、実際には上下アームスイッチング素子18A~18Fをスイッチング動作させる際には、各相毎に、U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18Aと下アームスイッチング素子18Dの両方、V相ハーフブリッジ回路19Vの上アームスイッチング素子18Bと下アームスイッチング素子18Eの両方、W相ハーフブリッジ回路19Wの上アームスイッチング素子18Cと下アームスイッチング素子18Fの両方がOFF状態となる、いわゆるデッドタイムを付与することになり、このデッドタイムの付与はゲートドライバ37やPWM信号生成部36にて実現されることになる。このデッドタイムは本発明の各動作にて全て付与されて動作することになるが、本実施形態では説明を簡略化するためにデッドタイムについての記載を省略する。
U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18Aと下アームスイッチング素子18Dの接続点の電圧がU相電圧Vu(相電圧)としてモータ8のU相の電機子コイル41に印加(出力)され、V相ハーフブリッジ回路19Vの上アームスイッチング素子18Bと下アームスイッチング素子18Eの接続点の電圧がV相電圧Vv(相電圧)としてモータ8のV相の電機子コイル42に印加(出力)され、W相ハーフブリッジ回路19Wの上アームスイッチング素子18Cと下アームスイッチング素子18Fの接続点の電圧がW相電圧Vw(相電圧)としてモータ8のW相の電機子コイル43に印加(出力)される。
なお、各相のモータ電流を検出する方法については実施例のように電流センサ26A、26B、26Cで測定する以外に、例えば下アーム電源ライン15の電流値を検出し、その電流値とモータ8の運転状態から相電圧指令演算部33が推定する方法などがあることから、各相電流を検出・推定する方法に関しては、この例に限らない。
<相電圧指令演算部>
相電圧指令演算部33は、モータ8の電気角、電流指令値と相電流から得られるd軸電流およびq軸電流に基づくベクトル制御により、モータ8の各相の電機子コイル41~43に印加するU相電圧Vu、V相電圧Vv、W相電圧Vwを生成するための相電圧指令値Vu、Vv、Vwを演算し、生成する。この相電圧指令値Vu、Vv、Vw(U相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、およびW相電圧指令値Vw)は、モータ8の三相変調制御を行う場合における電圧指令値である。
相電圧指令演算部33は、d軸電流及びq軸電流から得られるd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqにより、下記式(1)を用いて各相の相電圧指令値Vu、Vv、Vwを算出する。ここで、式(1)中のVm、及び、θmは式(2)からそれぞれ求められる。Vmは相電圧指令値振幅である。θはU相を基準とした磁極位置であり、θmは磁極位置に対する電圧位相差である。
Figure 2024028008000002
Figure 2024028008000003
<線間変調演算部>
線間変調演算部34は、下記式(3)を用いて、各相のパルス幅指令値cu1(U相パルス幅指令値)、cv1(V相パルス幅指令値)、cw1(W相パルス幅指令値)を演算し、出力する。
Figure 2024028008000004
直流電圧Vdcの場合、過変調でない領域では、相電圧指令値Vu、Vv、Vwは-Vdc/2~Vdc/2であるため、各相のパルス幅指令値cu1、cv1、cw1は、0~1になる。すなわち、各相のパルス幅指令値cu1、cv1、cw1は、相電圧指令値Vu、Vv、Vwを直流電圧Vdcで正規化(0~1に補正)した値である。各相のパルス幅指令値cu1、cv1、cw1はPWM制御においてあるパルス幅のPWM信号を出力させる指令値であり、値が「1」の場合は規定区間(本実施形態では三角キャリア波のキャリア周期に基づいて設定される区間)において常時ONの指令となり、値が「0」の場合は規定区間において常時OFFの指令となり、値が「0.5」の場合は規定区間の半分の区間においてON、残り半分の区間においてOFFの指令となる。
各相のパルス幅指令値cu1、cv1、cw1は、後述する線間変調前の値(線間変調しない値)であり、以下、各相の三相変調指令値cu1、cv1、cw1(U相変調指令値cu1、V相変調指令値cv1、W相変調指令値cw1)という。また、PWM信号のパルス幅を「PWMパルス幅」という。
次に、線間変調演算部34は、上記各相の三相変調指令値cu1、cv1、cw1から、式(4)を用いて、変調値cmodにより線間変調(本実施形態では二相変調)を行い、U相二相変調指令値cu、V相二相変調指令値cv、W相二相変調指令値cwを演算、出力する。U相二相変調指令値cu、V相二相変調指令値cv、W相二相変調指令値cwはそれぞれ、線間変調後の各相のパルス幅指令値である。
Figure 2024028008000005
式(4)において変調値Cmodは下記式(5)に基づき求められる。
Figure 2024028008000006
まず、式(5-1)に示すように、式(5-2)~式(5-4)におけるchalfは1であり、cquarterは0.5である。
式(5-2)は、本実施形態におけるU相三相変調指令値cu1、V相三相変調指令値cv1、W相三相変調指令値cw1のうちの最小となる相の値を意味しており、式(5-3)はU相が最小相の場合は、V相とW相のうち大きい方の相の三相変調指令値を1(三角キャリア波の最大値と一致)させることを意味する。これによりV相とW相のうち大きい方の相の上アームスイッチング素子をON状態(相電圧「H」)に固定する二相変調を行う。
また、式(5-4)は、V相あるいはW相が最小相の場合は、当該最小相の三相変調指令値を0(三角キャリア波の最小値と一致)させることを意味する。これによりV相とW相のうち小さい方の相の上アームスイッチング素子をOFF状態(相電圧「L」)に固定する二相変調を行う。このようにして、V相あるいはW相のいずれかのスイッチングをON状態あるいはOFF状態に固定する二相変調指令値cu、cv、cwが演算される。
図4は、電気角位相の1回転(360deg)分について上記の式(3)から式(5)により演算した結果を示すグラフである。図4(A)が式(3)の演算結果を示し、縦軸が各相の三相変調指令値cu1、cv1、cw1であり、横軸が電気角位相[deg]である。図4(B)は式(5)の演算結果を示し、縦軸が変調値cmodであり、横軸が電気角位相[deg]である。図4(C)は図4(B)に示す変調値cmodを用いた式(4)による演算結果を示し、縦軸が各相の二相変調指令値cu、cv、cwであり、横軸が電気角位相[deg]である。なお、本実施形態では、三角キャリア波のキャリア周波数を10kHz、変調率kHを0.65としている(以下の説明において同様)。変調率kHは正弦波の出力電圧の振幅を示し、式(1)の相電圧指令値振幅VmをVdc/2で除した値(kH=Vm/(Vdc/2))である。このように、各相の三相変調指令値cu1、cv1、cw1および各相の二相変調指令値cu、cv、cwはいずれも周期性を有し、これらにより生成される相電圧指令値(U相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、W相電圧指令値Vw)も周期性を有している。
図4(C)に示すように、本実施形態では電気角位相が210deg~330deg以外の間(V相二相変調指令値cv、W相二相変調指令値cwのいずれかが最小の期間)は、V相とW相のうち二相変調指令値が小さい方の相のPWM動作を停止し、当該二相変調指令値が小さい方の相の上アームスイッチング素子をOFF状態(相電圧は「L」レベル)とする。以下、この状態を本実施形態では「下固定動作」といい、電気角位相が210~330deg以外の領域を「下固定領域」という。また下固定動作を行う相を下固定相という。図4(C)では、電気角位相が0~90degおよび330deg~360degの場合、下固定相はV相であり、電気角位相が90deg~210degの場合、下固定相はW相である。
なお、上記の説明では電気角位相の範囲を「~以外」と記載したが、限界値(210degおよび330deg)においては上固定動作と下固定動作のどちらを選択しても良い。すなわち、210degではW相を下固定相にしても、後述するようにV相を上固定相にしても良く、どちらにしても本実施形態は同様に効果を得ることができる。これは330degにおいても同様であり、V相を下固定相にしても、後述するようにW相を上固定相にしても良い。
また、電気角位相の範囲を説明する際、隣り合う位相範囲については境界値が重複する記載をする場合(例えば、「30deg~90deg(の範囲)」と、「90deg~150deg(の範囲)」などと記載する場合)があるが、この場合重複する境界値(この例では90deg)は、どちらかの範囲に含まれるものとし、どちらの範囲に含まれてもよいとする。例えば、90degにおいてはV相及びW相が共に下固定相になることは各式及び図4(C)より明確である。
また、ここではU相の0(deg)を基準とした正弦波位相で示して図の位相関係を分かりやすくするために、あえて式(1)においてθm=-90degとした場合の位相関係について示している。これ以降全ての図において同様の条件であるとする。
また、電気角位相が210deg~330degの間(U相二相変調指令値cuが最小の期間)は、V相とW相のうち大きい方の相のPWM動作を停止し、大きい方の相の上アームスイッチング素子をON状態(相電圧は「H」レベル)とする。以下、この状態を本実施形態では「上固定動作」といい、電気角位相が210deg~330degの領域を「上固定領域」という。また上固定動作を行う相を上固定相という。電気角位相が210~270degの場合、上固定相はV相であり、電気角位相が270deg~330degの場合、上固定相はW相である。
このように、各相の三相変調指令値cu1、cv1、cw1は同じ変調値cmodにより変調され、線間電圧を維持した二相変調が可能となる。なお、変調値cmodの設定方法として、この例ではV相およびW相のみ、PWM動作を停止する相(PWM動作停止相)に選択する二相変調方式にしているが、変調値の設定方法はこれに限らない。
<PWM信号生成部>
PWM信号生成部36は、例えば、三角キャリア波(キャリア信号)を生成するとともに、各相の二相変調指令値cu、cv、cwと三角キャリア波の大小を比較することによって、インバータ回路28のU相ハーフブリッジ回路19U、V相ハーフブリッジ回路19V、W相ハーフブリッジ回路19Wの駆動指令信号となるPWM信号を生成し、出力する。なお、三角キャリア波はPWM信号生成部36の外部から入力されるものであってもよい。
ここで、本実施形態のPWM信号生成部36は、PWM動作を行う二相の二相変調指令値に基づいてPWMパルスを生成する。そして、二相のPWMパルスのPWMパルス幅をそれぞれ維持した状態で、三角キャリア波の一周期(キャリア周期)内における前半周期(キャリア周期の頂点(1/2)より前方の周期)および後半周期(キャリア周期の頂点(1/2)より後方の周期)の一方において一方の相のPWMパルスの立上りタイミングと、他方の相のPWMパルスの立下りタイミングを一致させたPWM信号を生成する。PWMパルス幅は、キャリア周期(一周期)に対するPWM信号のON時間の比(PWMデューティ比)をいい、以下単に「デューティ比」という場合もある。
そして制御装置21は、当該PWM信号に基づいて相電圧をモータ8に印加するよう制御する。これにより三角キャリア波のキャリア周期内における前半周期および後半周期の一方において一方の相の相電圧の立上りタイミングと他方の相の相電圧の立下りタイミングが一致する。またこの場合キャリア周期内の二相のPWMパルス幅(相電圧の「H」レベルのパルス幅、すなわちON時間)はそれぞれ維持される。この結果、三角キャリア波を用いるPWM制御において、PWMパルスの立上りあるいは立下りにおける零相電圧の変動を相殺することができる。以下この制御について詳述する。
図3(B)を参照して、制御装置21(PWM信号生成部36)は、指令値反転部51と、指令値分割部52と指令値シフト部53を含む。
指令値反転部51は、二相変調指令値の一つ、具体的には例えばU相二相変調指令値cuを反転させ、反転U相二相変調指令値1-cuを生成する。ここで「反転」とは0~1に正規化されているU相二相変調指令値cuの値を最大値である1から減算することをいう。
そして、反転U相二相変調指令値1-cu、V相二相変調指令値cv、W相二相変調指令値cwと三角キャリア波の比較により、各相の相電圧Vu、Vv、Vwを印加するためのPWMパルスを生成する。
なお、反転U相二相変調指令値1-cuは、U相二相変調指令値cuとは値が変わるのみであって、本実施形態のPWM制御においてU相二相変調指令値cuに代わって用いられる指令値である。つまり本実施形態において「各相の二相変調指令値cu、cv、cw」と総称した場合、これらに反転U相二相変調指令値1-cuも含まれる。
指令値分割部52は、各相の二相変調指令値cu、cv、cw、すなわち反転U相二相変調指令値1-cu、V相二相変調指令値cv、W相二相変調指令値cwを三角キャリア波の各キャリア周期内において前方部分指令値及び後方部分指令値に分割(二分)する。
指令値シフト部53は、分割された前方部分指令値及び後方部分指令値を各キャリア周期内で、値が増加または減少するようにシフトする。これにより、各相のPWMパルスは、それぞれのPWMパルス幅Pu、Pv、Pwを維持した状態でキャリア周期内の前後(先後)方向にシフトする。
具体的に図5~図7を参照して、指令値反転部51、指令値分割部52および指令値シフト部53の動作(指令値反転制御、指令値分割制御および指令値シフト制御)について説明する。まず図5は、電気角位相が0(deg)の場合における三角キャリア波CAの一周期と、各相の二相変調指令値cu、cv、cwに基づいて生成される各相のPWMパルスの一例を示す図である。
まず図5(A)を参照して、図5(A)の右図は、図4(C)に示した各相の二相変調指令値cu、cv、cwのグラフの再掲である。この場合、図5(A)の右図より、電気角位相が0(deg)におけるU相二相変調指令値cuはおおよそ0.25であり、W相二相変調指令値cwはおおよそ0.57であり、V相二相変調指令値cvは0である。図5(A)左図は、電気角位相が0(deg)付近の一つのキャリア周期を抜き出し、各相の二相変調指令値cu、cv、cwと三角キャリア波CAを比較した図である。同図において、上方に三角波キャリアCAの1周期(キャリア周期)と、各相の二相変調指令値cu(実線)、cv(一点鎖線)、cw(破線)を重ねて示している。また下方は、各相の二相変調指令値cu、cv、cwと三角キャリア波CAの比較により生成される各相のPWMパルス(それにより印加される各相電圧のパルス)を図示している。縦軸において「Vu」はU相PWMパルス(U相電圧Vu)を示し、「Vv」はV相PWMパルス(V相電圧Vv)を示し、「Vw」はW相PWMパルス(W相電圧Vw)を示している。
図5(A)左図では、各相の二相変調指令値cu、cv、cwが三角キャリア波CAより大きい場合、各相の相電圧Vu、Vv、Vwは「H」レベル(ON)となりモータ8に直流電源29の電圧が印加されることを示している。例えば、U相電圧Vuが「H」の場合、U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18AがON、下アームスイッチング素子18DがOFFになり、U相への印加電圧は直流電源29の電圧となる。V相電圧VvおよびW相電圧Vwについても同様である。この場合、各相のPWMパルス幅Pu、Pv、Pw(U相PWMパルス幅Pu、V相PWMパルス幅Pv、W相PWMパルス幅Pw)は上アームスイッチング素子18A、18C、18EのそれぞれのON時間である。
また、各相の二相変調指令値cu、cv、cwが三角キャリア波CAより小さい場合、各相の相電圧Vu、Vv、Vwは「L」レベル(OFF)となりモータ8には0Vを印加することを示している。例えば、U相電圧Vuが「L」の場合、U相ハーフブリッジ回路19Uの上アームスイッチング素子18AがOFF、下アームスイッチング素子18DがONになり、U相への印加電圧は0Vとなる。V相電圧VvおよびW相電圧Vwについても同様である。
このように各相の相電圧Vu、Vv、Vwの「H」/「L」の場合は、各相の上アームスイッチング素子18A、18C、18EのON/OFFに連動していることから、本実施形態では各相の上アームスイッチング素子18A、18C、18Eの動作で説明している。
なお、V相については、90degまでの期間、下固定状態となっており、PWM制御の停止相となる。本実施形態では図5(A)左図のように表記した図を「キャリア周期内PWMパルス図」という。キャリア周期内PWMパルス図の読み方は上記のとおりである。
図5(B)は、指令値反転部51によって反転U相二相変調指令値1-cuを生成した場合の、反転U相二相変調指令値1-cu、V相二相変調指令値cv、およびW相二相変調指令値cwに基づく各相のPWMパルスの一例を示す、電気位相角0(deg)におけるキャリア周期内PWMパルス図である。
指令値反転部51は、指令値反転制御を行う。図5(B)の右図は、図5(A)右図の各相の二相変調指令値cu、cv、cのグラフにおいて、U相二相変調指令値cuのみを上下反転させたグラフであり、これが反転U相二相変調指令値1-cuを示している。本実施形態では、U相二相変調指令値cuを反転させた図5(B)の右図に基づき、以下に説明するPWM制御を行う。そこで、U相二相変調指令値cuの反転後の図5(B)の右図のグラフを「二相変調指令波形図」と称して説明する。なお、当該二相変調指令波形図と図4(C)に示す波形図は、U相の反転の有無が異なるのみである。つまり図5(B)の二相変調指令波形図においても下固定領域、上固定領域、下固定相および上固定相が存在し、これらは図4(B)を参照して説明したものと同じである。
ここで、図5(B)ではU相については二相変調指令値cuを反転しているため、三角キャリア波CAとの大小関係の判定も、他の相とは逆の判定とする。すなわち、図5(B)左図のキャリア周期内PWMパルス図において、U相については反転U相二相変調指令値1-cu(実線)が三角キャリア波CAより小さい場合、U相電圧Vuが「H」レベル(ON)となり、反転U相二相変調指令値1-cuが三角キャリア波CAより大きい場合、U相電圧Vuが「L」レベル(OFF)となる。このようにU相のみPWMの順序を反転させるためには、U相のみ反転した三角キャリア波を使用する方法や、U相のみゲートドライバの出力を上下反転させる方法などが考えられるが、いずれの方法を用いても良い。
V相およびW相については図5(A)のキャリア周期内PWMパルス図と同様であり、V相二相変調指令値cv(一点鎖線)、W相二相変調指令値cw(破線)が三角キャリア波CAより大きい場合、各相の相電圧Vv、Vwは「H」レベル(ON)となり、三角キャリア波CAより小さい場合、各相の相電圧Vv、Vwは「L」レベル(OFF、0)となる。この場合も、各相のPWMパルス幅Pu、Pv、PwはスイッチングのON時間である。
図5(B)に示すようにU相二相変調指令値cuを反転することで、U相電圧Vuが「H」レベル(ON)となるタイミングは、反転前の図5(A)と異なる(三角キャリア波CAの前後方向(図示左右方向)に対してずれる(シフトする))。すなわち、図5(A)左図ではU相のPWMパルスはキャリア周期の両端部にU相PWMパルス幅Pu1、Pu2で生成され、図5(B)ではキャリア周期の中央付近にU相PWMパルス幅Puで生成される。しかしいずれも、U相PWMパルス幅Pu(合計値)は同じであり(Pu=Pu1+Pu2)、U相電圧Vuが「H」となる合計時間は変わらない。
図6は、指令値分割部52および指令値シフト部53の動作を説明するためのキャリア周期内PWMパルス図である。指令値分割部52は指令値分割制御を行い、指令値シフト部53は指令値シフト制御を行う。図6(A)は、図5(B)の左図の再掲である。また、図6(B)は、指令値分割部52により分割された前方部分指令値と後方部分指令値を説明する図であり、図6(C)は、前方部分指令値と後方部分指令値のシフトについて説明する図である。なお、図6では説明の便宜上、PWM動作の停止相であるV相(V相電圧Vv)に関する記載を省略している。
図6(A),同図(B)に示すように、指令値分割部52は、反転U相二相変調指令値1-cu、V相二相変調指令値cv、およびW相二相変調指令値cwのうち、0より大きい値を有する二相の指令値(この例では、反転U相二相変調指令値1-cu(実線、以下のキャリア周期内PWMパルス図において同様)とW相二相変調指令値cw(破線、以下のキャリア周期内PWMパルス図において同様))をそれぞれ、キャリア周期内において前方部分指令値と後方部分指令値に二分する。ここで、前方部分指令値とは、三角キャリア波CAの少なくとも前半周期における斜面(前方側斜面、0から1(頂点)に向かう上り斜面)と交差可能な指令値をいい、後方部分指令値とは、三角キャリア波CAの少なくとも後半周期における斜面(後方側斜面、1(頂点)から0に向かう下り斜面)と交差可能な指令値をいう。
また、「分割(二分)」とは、各相の二相変調指令値1-cu、cv、cwのそれぞれについて、キャリア周期内で三角キャリア波CAと大小関係を比較する指令値を2値に切り替え可能にすることをいう。すなわち、前方側斜面(上り斜面)との比較対象となる指令値が前方部分指令値であり、後方側斜面(下り斜面)との比較対象となる指令値が後方部分指令値である。
具体的に、指令値分割部52は、反転U相二相変調指令値1-cuを、キャリア周期内においてU相前方部分指令値cufとU相後方部分指令値cubに二分(切り替え可能に)する。図6(B)の例では、キャリア周期の中心(頂点)を通る分割線(切替線)DLにより二分しており、分割線DLより前方(図示左側)がU相前方部分指令値cufであり、分割線DLより後方(図示右側)が後方部分指令値cubである。U相前方部分指令値cufは三角キャリア波CAの上り斜面と交差し、U相後方部分指令値cubは三角キャリア波CAの下り斜面と交差する。
また、指令値分割部52は、W相二相変調指令値cwを、キャリア周期内においてW相前方部分指令値cwf(分割線DLより前方(図示左側))とW相後方部分指令値cwb(分割線DLより後方(図示右側))に二分(切り替え可能に)する。前方部分指令値cwfは三角キャリア波CAの上り斜面と交差し、W相後方部分指令値cwbは三角キャリア波CAの下り斜面と交差する。
指令値シフト部53は、図6(C)に示すように二相の前方部分指令値と後方部分指令値(U相前方部分指令値cufとU相後方部分指令値cub、W相前方部分指令値cwfとW相後方部分指令値cwb)をそれぞれ、指令値の0~1の範囲で値が増減する方向に独立してシフトさせる。但しこのとき、指令値シフト部53は、二相の前方部分指令値(U相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwf)、あるいは、二相の後方部分指令値(U相後方部分指令値cubとW相後方部分指令値cwb)の値が一致するように(同じ値となるように)シフトさせる。
図6(C)の例では、U相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwfとが指令値が0.5付近で一致するようにシフトさせている。なお、図6(C)においては説明の便宜上、U相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwfを僅かにずらして示しているが、本実施形態において「指令値(例えばU相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwf)が一致」と記載した場合には両者は同じ値であるとする(以下の図面においても同様である)。つまりこの場合は分割前の反転U相二相変調指令値1-cu(小破線で示す)と、W相二相変調指令値cw(小破線で示す)をいずれも減少する方向にシフトさせる。これにより、U相PWMパルスの立上りの指令と、W相PWMパルスの立下りの指令のタイミングが一致(U相立上り指令値cuuとW相立下り指令値cwdが一致)する。結果、U相電圧Vuの立上りとW相電圧Vwの立下りのタイミングを一致させることができ、2回分の零相電圧の変動を相殺できる。
そして、U相後方部分指令値cubについては、U相前方部分指令値cufのシフト前後においてU相PWMパルス幅Puを維持するようにシフトさせる。すなわち、分割前の反転U相二相変調指令値1-cuと、シフト後のU相前方部分指令値cufの差分(U相シフト量cushift)を、増減が逆となる方向にシフトさせる。つまり、U相後方部分指令値cubは、反転U相二相変調指令値1-cuからシフト量cushift分が増加した値となる。U相後方部分指令値cubが三角キャリア波CAより大きい場合、U相PWMパルスが立ち下がる(U相立下り指令値cud)。この例では、キャリア周期の頂点においてU相PWMパルスが立ち下がる。
同様に、W相後方部分指令値cwbについてもW相前方部分指令値cwfのシフト前後においてW相PWMパルス幅Pwを維持するようにU相後方部分指令値cubとは別に(独立して)シフトさせる。すなわち、分割前のW相二相変調指令値cwと、シフト後のW相前方部分指令値cwfの差分(W相シフト量cwshift)と同量を、増減が逆となる方向(この場合はW相二相変調指令値cwから増加方向)にシフトさせる。W相後方部分指令値cwbが三角キャリア波CAより大きい場合、W相PWMパルスが立ち上る(W相立上り指令値cwu)。
本実施形態では、このようにキャリア周期内においてPWM動作を行う二相の二相変調指令値を前方部分指令値と後方部分指令値に二分する。これにより三角キャリア波CAの上り斜面において二相の前方部分指令値を一致させ、下り斜面において二相の後方部分指令値をそれぞれ独立して(異なる値となるように)シフトさせることが可能となる。また、三角キャリア波CAの下り斜面において二相の後方部分指令値を一致させ、上り斜面において二相の前方部分指令値をそれぞれ独立して(異なる値となるように)シフトさせることが可能となる。
このようにすることで、同図(C)に示すように、U相PWMパルス幅PuおよびW相PWMパルス幅Pw(=Pw1+Pw2)を維持した状態で、U相PWMパルスの立上りの指令と、W相PWMパルスの立下りの指令のタイミングを一致(U相立上り指令値cuuと、W相立下り指令値cwdを一致)させることができる。あるいは図示を省略するが、U相PWMパルス幅PuおよびW相PWMパルス幅Pwを維持した状態で、U相PWMパルスの立下りの指令と、W相PWMパルスの立上りの指令のタイミングを一致(U相立下り指令値cudと、W相立上り指令値cwuを一致)させることができる。
また、図6(C)の場合のU相シフト量cushift、W相シフト量cwshift、U相立上り指令値cuu、U相立下り指令値cud、W相立上り指令値cwuおよびW相立下り指令値cwdは、下記(式6)により求められる。
Figure 2024028008000007
図7は、本実施形態のPWM制御方法(指令値反転制御、指令値分割制御および指令値シフト制御)の他の例を示す図であり、二相変調指令波形図(図5(B)右図)における、60deg付近のあるキャリア周期(1周期)を抜き出して示すキャリア周期内PWMパルス図である。図7のキャリア周期内PWMパルス図においてもPWM動作の停止相(この例ではV相)に関する図示および説明を一部省略している(以下同様)。
図7(A)は、二相変調指令波形図(同右図)の反転U相二相変調指令値1-cuとW相二相変調指令値cwに基づくU相PWMパルスとW相PWMパルスを示している。すなわちPWMパルスのシフト前の状態である。
図7(B)は、指令値分割制御および指令値シフト制御を行った状態である。既に述べたように、前方部分指令値とは三角キャリア波CAの少なくとも上り斜面と交差可能な指令値であり、後方部分指令値とは三角キャリア波CAの少なくとも下り斜面と交差可能な指令値であればよい。つまり図7(B)に示すように、指令値分割制御における分割線DL(前方部分指令値と後方部分指令値を切り替えるタイミング)は、三角キャリア波CAの頂点を通るキャリア周期の中心線上に限らなくてもよい。例えば、二相の前方部分指令値(この例では、U相前方部分指令値cuf、W相前方部分指令値cwf)と後方部分指令値(この例では、U相後方部分指令値cub、W相後方部分指令値cwb)の分割線DLは、三角キャリア波CAの頂点より後方(図示右方)に設定してもよい。また図示は省略するが、分割線DLは、三角キャリア波CAの頂点より前方(図示左方)に設定してもよい。
それ以外の制御は図6(C)の場合と同様である。すなわち、この例では三角キャリア波CAの上り斜面においてU相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwfが一致するようにシフトさせる。W相後方部分指令値cwbとU相後方部分指令値cubはそれぞれU相PWMパルス幅Pu、W相PWMパルス幅Pwを維持するようにそれぞれ独立して(前方とは逆方向に)シフトさせる。ここで、図7(B)に示す例では、W相二相変調指令値cwは前方と後方に分割しているものの、W相立上り指令値cwuと、W相立下り指令値cwdが同じ値になっている。つまり、この場合、W相PWMパルスについては前後(図示左右)方向のシフトは行っていない。このように、一方の相のPWMパルスのシフトを行わなくてもよい。
これに対し図7(C)に示す例では、三角キャリア波CAの上り斜面においてU相前方部分指令値cufとW相前方部分指令値cwfが一致するようにシフトさせ、W相後方部分指令値cwbとU相後方部分指令値cubはそれぞれU相PWMパルス幅Pu、W相PWMパルス幅Pw(=Pw1+Pw2)を維持するようにそれぞれ独立して(前方とは逆方向に)シフトさせている。これにより、二相のPWMパルスの立上りと立下りのタイミングを一致させることができる範囲を広げることができる場合がある。
なお、分割線DLを図7(B),同図(C)に示すようにキャリア周期の中心から移動させた場合、前方部分指令値と後方部分指令値のいずれか一方は前半周期と後半周期に跨る指令値となる。図7(B),同図(C)の例で説明すると、前半部分指令値(例えば、U相前方部分指令値cuf)は前半周期と、後半周期の一部とに跨るため、前半周期(上り斜面)と後半周期(下り斜面)の両方と交差する可能性がある(この例では指令値「1」近傍)。そのような場合、前半部分指令値においては、後半周期側の値(下り斜面と交差する値)が無視される。また後半部分指令値が後半周期と前半周期の一部に跨り、前半周期(上り斜面)と後半周期(下り斜面)の両方と交差する場合には、前半周期側の値(上り斜面と交差する値)が無視される。
なお、これまでの例ではU相PWMパルスの立上りとW相PWMパルスの立下りを一致させる場合を示したが、これに限らない。すなわち、下り斜面で二相の後方部分指令値を一致させ、U相PWMパルスの立下がりとW相PWMパルスの立上り一致させるようにしてもよい。また、W相をPWM動作の停止相とし、U相とV相をPWMの動作を行う相としてU相PWMパルスとV相PWMパルスの組み合わせで上述の制御を行ってもよい。
<PWM制御アルゴリズムを簡素化する場合>
図7(C)に示したように、U相前方部分指令値cuf、W相前方部分指令値cwf、U相後方部分指令値cub、W相後方部分指令値cwbをいずれもシフト可能とした場合、PWM制御の柔軟性は高まる一方、PWM制御のアルゴリズムが複雑になる。
PWMパルス幅は、モータ8の駆動に直接的に関与するため、PWM制御プログラムのミスやエラーの回避は必須である。このため製品に実装する上記のPWM制御アルゴリズムについては特に、可能な限り簡素なアルゴリズムを採用することが望ましい。
図8は、本実施形態のPWM制御を比較的簡素なアルゴリズムで実現する場合のフローチャートの一例(シーケンス1)である。当該アルゴリズムは、PWMパルスのシフト方法が異なる複数のシーケンス(この例ではシーケンス1A~1F)を切り替えるシーケンス切替制御を実行するものである。制御装置21は、モータ8の電気角位相に応じた位相範囲(例えば、60deg)を決定し、当該位相範囲毎にシーケンス切替制御を実行する。また、複数の位相範囲において、所定の規則性をもってシーケンス切替制御を実行する。
シーケンス1では、PWMパルスのシフトの際に、キャリア周期の前半周期(上り斜面)において二相の前方部分指令値を一致させる(部分指令値を一致させる斜面を上り斜面に限定する)。また、部分指令値(後方部分指令値)を一致させないキャリア周期の後半周期(下り斜面)においては二相のうちどちらか一方のインバータ回路28の電力用スイッチング素子のPWM動作を停止するよう、後方部分指令値を所定の値に設定する制御(以下、「指令値固定」という。)を行う。指令値固定で設定される値は0または1である。
まず、ステップS101では上記の式(1)~式(5)により、図4(C)に示す各相の二相変調指令値cu、cv、cwを求める。続くステップS102では指令値反転制御により反転U相二相変調指令値1-cuを求める。ステップS103では、現在の電気位相角が下固定領域(図5(B)参照)であるか否かを判定し、下固定領域である場合はステップS104に進み、下固定領域でない(上固定領域である)場合にはステップS113に進む。
ステップS104では、V相が下固定相であるか否かを判定し(図5(B)参照)、下固定相である場合はステップS105に進み、下固定相でない場合はステップS109に進む。ステップS105では、U相PWMパルス幅Pu(デューティ比)とW相PWMパルス幅Pw(デューティ比)の大小を判定する。U相PWMパルス幅PuがW相PWMパルス幅Pwより大きい場合、ステップS106に進み、そうでない場合はステップS108に進む。
ステップS106では、キャリア周期の後半周期に存在するW相PWMパルスのデューティ比が0%となるようW相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS107ではU相PWMパルスの立上りタイミングとW相PWMパルスの立下りタイミングをキャリア周期の前半周期において一致させるように、両相の前方部分指令値(U相前方部分指令値cufおよびW相前方部分指令値cwf)を一致させる。またU相PWMパルス幅PuとW相PWMパルス幅Pwがシフト前後で維持されるようにU相後方部分指令値cubおよび/またはW相後方部分指令値cvbをシフトする。
またステップS105の判定が「No」の場合に進むステップS108では、キャリア周期の後半周期に存在するU相PWMパルスのデューティ比が0%となるようU相PWMパルスをシフトさせ、その後はステップS107に進む。
ステップS104の判定が「No」の場合に進むステップS109では、U相PWMパルス幅Pu(デューティ比)とV相PWMパルス幅Pv(デューティ比)の大小を判定する。U相PWMパルス幅PuがV相PWMパルス幅Pvより大きい場合、ステップS110に進み、そうでない場合はステップS112に進む。
ステップS110では、キャリア周期の後半周期に存在するV相PWMパルスのデューティ比が0%となるようV相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS111ではU相PWMパルスの立上りタイミングとV相PWMパルスの立下りタイミングをキャリア周期の前半周期において一致させるように、両相の前方部分指令値(U相前方部分指令値cufおよびV相前方部分指令値cvf)を一致させる。またU相PWMパルス幅PuとV相PWMパルス幅Pvがシフト前後で維持されるようにU相後方部分指令値cubおよび/またはV相後方部分指令値cvbをシフトする。
またステップS109の判定が「No」の場合に進むステップS112では、キャリア周期の後半周期に存在するU相PWMパルスのデューティ比が0%となるようU相PWMパルスをシフトさせ、その後はステップS111に進む。
ステップS103の判定が「No」の場合に進むステップS113では、V相が上固定相であるか否かを判定する。V相が上固定相である場合にはステップS114に進み、そうでない場合はステップS116に進む。ステップS114ではキャリア周期の後半周期に存在するW相PWMパルスのデューティ比が100%となるようW相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS115ではU相PWMパルスの立上りタイミングとW相PWMパルスの立下りタイミングをキャリア周期の前半周期において一致させるように、両相の前方部分指令値(U相前方部分指令値cufおよびW相前方部分指令値cwf)を一致させる。またU相PWMパルス幅PuとW相PWMパルス幅Pwがシフト前後で維持されるようにU相後方部分指令値cubおよび/またはW相後方部分指令値cwbをシフトする。
またステップS113の判定が「No」の場合に進むステップS116では、キャリア周期の後半周期に存在するV相PWMパルスのデューティ比が100%となるようV相PWMパルスをシフトさせ、その後はステップS117に進む。ステップS117ではU相PWMパルスの立上りタイミングとV相PWMパルスの立下りタイミングをキャリア周期の前半周期において一致させるように、両相の前方部分指令値(U相前方部分指令値cufおよびV相前方部分指令値cvf)を一致させる。またU相PWMパルス幅PuとV相PWMパルス幅Pvがシフト前後で維持されるようにU相後方部分指令値cubおよび/またはV相後方部分指令値cvbをシフトする。
シーケンス1では、シーケンス1A~1Fの6種の制御を含み、位相範囲(例えば、60deg毎に)このシーケンス切替制御が実行される。このシーケンス1の各制御について、具体的に説明する。図9はシーケンス1Aによる制御の例であり、図10はシーケンス1Bによる制御の例であり、図11はシーケンス1Eによる制御の例である。図9から図11はキャリア周期内PWMパルス図であるが、説明の便宜上必要な波形のみを抽出して示している。図9(A),図10(A)、図11(A)が二相変調指令波形図(図5(B))に基づくシフト前のU相PWMパルスとW相PWMパルスを示す図であり、図9(B),図10(B)、図11(B)が本実施形態のPWM制御(シーケンス1の終了)後のU相PWMパルスとW相PWMパルスを示す図である。
図9を参照して、シーケンス1Aは、図9(A)右図に破線枠で示すように電気角位相が例えば30deg~90degの範囲の場合に実行される。具体的に、図8に示すフローチャートにおけるステップS101~S103と進み、ステップS103の判定で「Yes」(下固定領域)であり、ステップS104の判定で「Yes」(V相が下固定相)であり、図9(A)左図よりステップS105の判定で「Yes」(U相PWMパルス幅(デューティ比))>W相PWMパルス幅(デューティ比))となる。
この場合、反転U相二相変調指令値1-cuをU相前方部分指令値cufとU相後方部分指令値cubに分割し、W相二相変調指令値cwをW相前方部分指令値cwfとW相後方部分指令値cwbに分割した上で、ステップS106においてW相PWMパルスをキャリア周期の後半周期においてデューティ比0%とする。つまり図9(A)左図においてキャリア周期の後半周期(右端部)に存在しているW相PWMパルスを、同図(B)に示すように前半周期に移動する(前半周期におけるW相PWMパルス幅Pwがキャリア周期の中心寄りに広がる)。そして、ステップS107においてキャリア周期の前半周期においてU相PWMパルスの立上りとW相PWMパルスの立下りのタイミングを一致させる。W相PWMパルスのシフト後のパルス幅(W相PWMパルス幅Pw)は、シフト前のパルス幅(W相PWMパルス幅Pw1,Pw2の合計値)が維持される(Pw=Pw1+Pw2)。また、U相PWMパルスは、そのパルス幅(U相PWMパルス幅Pu)が変化しないように、U相後方部分指令値cubをシフトする。
キャリア周期の後半周期においてW相PWMパルスをデューティ比が0%になるように前半周期側にシフトするということは、W相後方部分指令値cwbを値0にすること(W相についての指令値固定)である。プログラム上の演算、その他制御において、W相後方部分指令値cwbは0(基準となる値)となるため、W相シフト量cwshift(およびU相シフト量cushift、その他の数値)の演算(制御)を簡素化できる。
図10を参照して、シーケンス1Bは、図10(A)右図に破線枠で示すように電気角位相が例えば、330deg~30degの範囲の場合に実行される。具体的に、図8に示すフローチャートのステップS101~S105と進み、ステップS108においてU相PWMパルスをキャリア周期の後半周期においてデューティ比0%とする。この場合、U相PWMパルスは、U相PWMパルスの後端(図示の右側端部)、すなわち立下りタイミングがキャリア周期の中心に位置するように前方に向かってシフトさせることで、後半周期においてデューティ比を0%する。そして、ステップS107においてキャリア周期の前半周期においてU相PWMパルスの立上りとW相PWMパルスの立下りのタイミングを一致させる。U相PWMパルス幅Pu、W相PWMパルス幅Pw(=Pw1+Pw2)は、PWMパルスのシフト前後で維持される。
キャリア周期の後半周期においてU相PWMパルスをデューティ比が0%になるように前半周期側にシフトするということは、U相後方部分指令値cubを値1にすること(U相についての指令値固定)である。これにより、U相シフト量cushift(およびW相シフト量cwshift、その他の数値)の演算(制御)を簡素化できる。
図11を参照して、シーケンス1Eは、図11(A)右図に破線枠で示すように電気角位相が例えば210deg~270degの範囲の場合に実行される。具体的に、図8に示すフローチャートのステップS101~S103,ステップS113と進み、ステップS114においてW相PWMパルスをキャリア周期の後半周期においてデューティ比100%とする。この場合、後半周期のW相PWMパルスは、その前方端部(立上りタイミング)をキャリア周期の中心に向かってシフトさせ、後半周期においてデューティ比を100%する。そして、ステップS115においてキャリア周期の前半周期においてU相PWMパルスの立上りとW相PWMパルスの立下りのタイミングを一致させ、U相PWMパルス幅Puが維持されるようにU相後方部分指令値cufをシフトさせる。U相PWMパルス幅Pu、W相PWMパルス幅Pw(=Pw1+Pw2)は、PWMパルスのシフト前後で維持される。
キャリア周期の後半周期においてW相PWMパルスをデューティ比が100%になるように前半周期側にシフトするということは、W相後方部分指令値cwbを値1にすること(W相についての指令値固定)である。これにより、U相シフト量cushift(およびW相シフト量cwshift、その他の数値)の演算の制御を簡素化できる。
なお、同図(C)は、仮に、ステップS114においてW相PWMパルスをキャリア周期の後半周期においてデューティ比0%とした場合の図である。電気角位相が240deg付近では、W相PWMパルスがU相PWMパルスより大きく、またデューティ比が50%以上(指令値で0.75程度)あることから、キャリア周期の後半周期においてデューティ比0%にすることができない(ハッチングの部分が前半周期に収まらない)。そこでシーケンス1EではW相PWMパルスをキャリア周期の後半周期においてデューティ比100%とする。
つまり、本実施例に記載のように、後半周期のデューティ比を0%かあるいは100%に出力することを前提にシーケンスを簡素化した場合、PWM動作を行う二相について、シーケンス1A~1Fに振り分けるための判定(ステップS105およびステップS109の判定)は、W相PWMパルスのデューティ比またはV相PWMパルスとの比較でなく、U相PWMパルスのデューティ比が50%を超えているか否か、を判定(U相PWMのデューティ比>50%の場合「Yes」)してもよい。U相のデューティ比が50%を超えた場合には、図11(C)に示すようにキャリア周期の前半周期(または後半周期)にPWMパルスが収まりきらないためである。
なお、図示は省略するが、シーケンス1Cは、シーケンス1Aと相が異なるパターンである。つまりシーケンス1AはPWM動作を行う相がU相とW相であったが、シーケンス1Cは、W相がPWM動作の停止相であり、PWM動作を行う相がU相とV相となるだけで、波形としてはシーケンス1Aと同様となり、またU相PWMパルスの立上りとV相PWMパルスの立下りのタイミングを一致させる制御はシーケンス1Aと同様である。
また、シーケンス1Dは、シーケンス1Bと相が異なる(PWM動作を行う相がU相とV相である)パターンであり、それ以外はシーケンス1Bと同様である。
また、シーケンス1Fは、シーケンス1Eと相が異なる(PWM動作を行う相がU相とV相である)パターンであり、それ以外はシーケンス1Eと同様である。
このように、シーケンス1では、最終的にシーケンス1A~シーケンス1Fの6通りの処理(制御)を準備すればよい。また、ステップS106,S108,S110,S112、S114、S116に示すように、条件に応じてある特定の相の後半周期におけるPWMパルスのデューティ比を0%または100%とし、その後前半周期において二相のPWMパルスの立上りと立下りタイミングを一致させるというフローが共通している。したがってアルゴリズムを比較的簡素にでき、製品への実装が容易となる。
ところが、このシーケンス1を用いてPWM制御を行った場合、周期的に電流歪みが生じる場合がある。
図12は、シーケンス1によるPWM制御の実行結果であり図12(A)が電力変換装置1の出力電圧(U相電圧Vu,V相電圧Vv,W相電圧Vw)のシミュレーション結果である。また図12(B)は、各相の電流波形である。図12における一点鎖線枠は、1/6周期毎に到来するシーケンス1A~1Fの切り替えタイミングである。このように周期的に生じる電流歪みは、モータ8のトルク脈動や騒音を発生する恐れがある。
図13は、シーケンス1によるPWM制御の実行した場合の、電気位相角が0~50degまでの三角キャリア波CAと、各相の二相変調指令値cu(実線)、cv(一点鎖線)、cw(破線)、各相電圧Vu,Vv,VwおよびU相電流iu(太線)、V相電流iv(中太線)、W相電流iw(細線)の状態を示すグラフである。各相の二相変調指令値cu、cv、cwは厳密には、図6、図7、図9~図11などにおいて各相の前方部分指令値および後方部分指令値として示されている波形である。
この結果から、30deg付近のタイミング(図13の破線矩形の箇所)で二相変調指令値cu、cv、cwのパルスに位置ずれが生じていることが明らかである。このためU相電圧Vuのパルス幅(ON時間)が突出して長くなり、U相電流iuも変動することなく直線的な動作をしている。このパルスの位置ずれは、シーケンス1において制御を簡素化させるために常に(シーケンス1A~1Fのいずれにおいても)キャリア周期の後半周期において、一方の相のデューティ比を0%または100%にしている(指令値固定している)ことに起因する。
具体的に、図14は、30deg付近においてシーケンスが切り替わる状態を示すキャリア周期内PWMパルス図である。図14(A)はPWMパルスのシフト前の状態であり、図14(B)がシーケンス1Bを実行している状態(終了間際)であり、図14(C)がシーケンス1Aを実行している状態(開始直後)であり、図14(D)は図15(B)から図15(C)への遷移を示す図である。
シーケンス1では30deg付近において、U相PWMパルスのデューティ比(W相PWMパルスのデューティ比との大小関係)に応じて、シーケンス1B(ステップS108)からシーケンス1A(ステップS106)へのシーケンス切り替えが生じる。
この場合、シーケンス1B(ステップS108)では図14(B)に示すように、U相後方部分指令値cubは1で固定されている。この状態からU相PWMパルスとW相PWMパルスのデューティ比が入れ替わると、シーケンス1のステップS105の判定により、ステップS106に進み、シーケンス1Aに切り替わる。つまり図14(B)に示すPWMパルスの状態から図14(C)に示す状態に移行する。その結果、前半周期側では図14(B)が出力され、後半周期側では図14(C)が出力されることになり、図14(D)のようなPWMパルスが出力される。図14(D)の場合、前半周期側が同図(B)の前半周期のPWMパルスとなり、図14(D)の後半周期が同図(C)の後半周期のPWMパルスとなる(図13の破線枠の部分に対応)。この場合零相電圧の変動の相殺は達成しているものの、キャリア周期の区間で見た場合U相はデューティ比がほぼ100%で出力され、W相はデューティ比がほぼ0%で出力されることとなっており、このデューティ比は当初の狙いの値とは異なっている。
つまり、シーケンス1A~1Fの切り替え制御(シーケンス切替制御)に際し、特に、U相PWMパルスとV相あるいはW相PWMパルスのデューティ比の大小関係が入れ替わる場合(あるいは、一相のPWMパルスのデューティ比が50%を超える(50%以上)の場合には、切替の前後でキャリア周期の同じ半周期(後半周期)で指令値固定を行うことを避けることが望ましいといえる。
そこで、本実施形態では、シーケンス1に加えて、図15に示すシーケンス2も採用し、パルスの位置ずれが生じる恐れがあるタイミングではシーケンス1からシーケンス2に切り替えることとした。
図15を参照して、シーケンス2は、PWMパルスのシフト方法が異なる複数(この例ではシーケンス2A~2Fの6種)の制御を含み、位相範囲に応じてこのシーケンス切替制御が実行される。またシーケンス2はキャリア周期の前半周期において一方の相のPWMパルスのデューティ比を0%か100%に固定し(すなわち前半周期において指令値固定を行い)、後半周期において二相のPWMパルスの立上りと立下りのタイミングを一致させるものである。つまりシーケンス1との差異は、PWMパルスのデューティ比を0%か100%に固定(指令値固定)する半周期が、前半周期である点において異なっている。
具体的に、図15を参照して、シーケンス1と異なるステップについて説明する。ステップS201~ステップS205まではシーケンス1と同様である。
ステップS205ではW相PWMパルスのデューティ比とU相PWMパルスのデューティ比を比較する。U相PWMパルスのデューティ比が大きい場合は、ステップS206に進み、キャリア周期の前半周期に存在するW相PWMパルスのデューティ比が0%となるようW相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS207ではU相PWMパルスの立下りタイミングとW相PWMパルスの立上りタイミングをキャリア周期の後半周期において一致させるように、両相の後方部分指令値(U相後方部分指令値cubおよびW相後方部分指令値cwb)を一致させる。またU相PWMパルスとW相PWMのデューティ比がシフト前後で維持されるようにU相前方部分指令値cufおよび/またはW相前方部分指令値cwfをシフトする。
またステップS205の判定が「No」の場合に進むステップS208では、キャリア周期の前半周期に存在するU相PWMパルスのデューティ比が0%となるようU相PWMパルスをシフトさせ、その後はステップS207に進む。
ステップS209ではV相PWMパルスのデューティ比とU相PWMパルスのデューティ比を比較する。U相PWMパルスのデューティ比が大きい場合、ステップS210では、キャリア周期の前半周期に存在するV相PWMパルスのデューティ比が0%となるようV相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS211ではU相PWMパルスの立下りタイミングとV相PWMパルスの立上りタイミングをキャリア周期の後半周期において一致させるように、両相の後方部分指令値(U相後方部分指令値cubおよびV相後方部分指令値cvb)を一致させる。またU相PWMパルスとV相PWMのデューティ比がシフト前後で維持されるようにU相前方部分指令値cufおよび/またはV相前方部分指令値cvfをシフトする。
またステップS209の判定が「No」の場合に進むステップS212では、キャリア周期の前半周期に存在するU相PWMパルスのデューティ比が0%となるようU相PWMパルスをシフトさせ、その後はステップS211に進む。
ステップS214ではキャリア周期の前半周期に存在するW相PWMパルスのデューティ比が100%となるようW相PWMパルスをシフトさせる。そしてステップS215ではU相PWMパルスの立下りタイミングとW相PWMパルスの立上りタイミングをキャリア周期の後半周期において一致させるように、両相の後方部分指令値(U相後方部分指令値cubおよびW相後方部分指令値cwb)を一致させる。またU相PWMパルスとW相PWMのデューティ比がシフト前後で維持されるようにU相前方部分指令値cufおよび/またはW相前方部分指令値cwfをシフトする。
またステップS216では、キャリア周期の前半周期に存在するV相PWMパルスのデューティ比が100%となるようV相PWMパルスをシフトさせ、ステップS217ではU相PWMパルスの立下りタイミングとW相PWMパルスの立上りタイミングをキャリア周期の後半周期において一致させるように、両相の後方部分指令値(U相後方部分指令値cubおよびW相後方部分指令値cwb)を一致させる。またU相PWMパルスとV相PWMのデューティ比がシフト前後で維持されるようにU相前方部分指令値cufおよび/またはV相前方部分指令値cvfをシフトする。
このように、シーケンス2の制御では、制御装置21は、二相のPWMパルスのうち、デューティ比が小さい方の相について指令値固定(0か1の指令値に固定する制御)を行う。なお、本実施例に記載のように、前半周期のデューティ比を0%かあるいは100%に出力することを前提にシーケンスを簡素化した場合、シーケンス2においても、ステップS205およびステップS209の判定はW相PWMパルスまたはV相PWMパルスのデューティ比との比較でなく、U相PWMパルスのデューティ比が50%を超えているか否か、を判定(U相PWMのデューティ比>50%の場合「Yes」)してもよい。
図16は、シーケンス2の制御の一例を示すキャリア周期内PWMパルス図である。同図(A)、同図(B)はシーケンス2Aによる制御の例であり、同図(A)がPWMパルスをシフトする前の状態であり、同図(B)がPWMパルスのシフト後の状態である。同図(C)、同図(D)はシーケンス2Bによる制御の例であり、同図(C)がPWMパルスをシフトする前の状態であり、同図(D)がPWMパルスのシフト後の状態である。同図(E)、同図(F)はシーケンス2Eによる制御の例であり、同図(E)がPWMパルスをシフトする前の状態であり、同図(F)がPWMパルスのシフト後の状態である。図16(B)は図9(B)、図16(D)は図10(B)、図16(F)は図11(B)に対応する図である。
図16(A)を参照して、シーケンス2Aは、電気角位相が例えば30deg~90degの範囲の場合に実行される。具体的に、図15に示すフローチャートのステップS201~S205と進み、ステップS206においてW相PWMパルスをキャリア周期の前半周期においてデューティ比0%とする。つまり図16(A)においてキャリア周期の前半周期(左端部)に存在しているW相PWMパルスを、同図(B)に示すように後半周期に移動する。そして、ステップS207においてキャリア周期の後半周期においてU相PWMパルスの立下りのタイミングとW相PWMパルスの立上りのタイミングを一致させる。
キャリア周期の前半周期においてW相PWMパルスをデューティ比が0%になるように後半周期側にシフトするということは、W相(W相前方部分指令値cwf)について指令値固定(値は「0」)することである。U相前方部分指令値cufおよび/またはV相前方部分指令値cvfのシフトにより、U相PWMパルスおよびW相PWMパルスのデューティ比は、PWMパルスのシフト前後で維持される(以下同様)。
図16(D)を参照して、シーケンス2Bは、電気角位相が例えば、330deg~30deg範囲の場合に実行される。具体的に、図15に示すフローチャートのステップS201~S205と進み、ステップS208においてU相PWMパルスをキャリア周期の前半周期においてデューティ比0%とする。この場合、U相PWMパルスは、U相PWMパルスの前端(図示の左側端部)、すなわち立上りタイミングがキャリア周期の中心に位置するように後方に向かってシフトさせて、前半周期においてデューティ比を0%する。そして、ステップS207においてキャリア周期の後半周期においてU相PWMパルスの立下りとW相PWMパルスの立上りのタイミングを一致させる。
キャリア周期の前半周期においてU相PWMパルスをデューティ比が0%になるように後半周期側にシフトするということは、U相(U相前方部分指令値cuf)について指令値固定(値は「1」)することである。
図16(F)を参照して、シーケンス2Eは、電気角位相が例えば、210deg~270degの範囲の場合に実行される。具体的に、図15に示すフローチャートのステップS201~S203,ステップS213と進み、ステップS214でW相PWMパルスのデューティ比をキャリア周期の前半周期において100%とする。この場合、前半周期のW相PWMパルスは、その後方端部(立下りタイミング)をキャリア周期の中心に向かってシフトさせ、前半周期においてデューティ比を100%とする。そして、ステップS215においてキャリア周期の後半周期においてU相PWMパルスの立下りとW相PWMパルスの立上りのタイミングを一致させる。
キャリア周期の前半周期においてW相PWMパルスをデューティ比が100%になるように後半周期側にシフトするということは、W相(W相前方部分指令値cwf)について指令値固定(値は「1」)することである。
なお、図示は省略するが、シーケンス2Cは、シーケンス2Aと相が異なるパターンである。つまりシーケンス2AはPWM動作を行う相がU相とW相であったが、シーケンス2Cは、W相がPWM動作の停止相であり、PWM動作を行う相がU相とV相となるだけで、波形としてはシーケンス2Aと同様となり、またU相PWMパルスの立上りとV相PWMパルスの立下りのタイミングを一致させる制御はシーケンス2Aと同様である。
また、シーケンス2Dは、シーケンス2Bと相が異なる(PWM動作を行う相がU相とV相である)パターンであり、それ以外はシーケンス2Bと同様である。
また、シーケンス2Fは、シーケンス2Eと相が異なる(PWM動作を行う相がU相とV相である)パターンであり、それ以外はシーケンス2Eと同様である。
図9(B),図10(B)、図11(B)に示すように、シーケンス1は、前半周期において二相の前方部分指令値を一致させて三角キャリア波CAの上り斜面と前方部分指令値を比較する。一方、後半周期を指令値不一致半周期とし(後半周期において後方部分指令値を一致させず)、二相のうちいずれかの指令値を0または1に固定(指令値固定)する。このように、キャリア周期の前半周期(上り斜面)で二相の前方部分指令値を一致させ、キャリア周期の後半周期で指令値固定を行う制御を以下、「上り一致制御」という。
一方図16(B),同図(D),同図(E)に示すように、シーケンス2は、後半周期において二相の後方部分指令値を一致させて三角キャリア波CAの下り斜面と後方部分指令値を比較する。一方、前半周期を指令値不一致半周期とし(前半周期において前方部分指令値を一致させず)、二相のうちいずれかの指令値を0または1に固定(指令値固定)する。このように、キャリア周期の後半周期(下り斜面)で二相の後方部分指令値を一致させ、キャリア周期の前半周期で指令値固定を行う制御を(以下、「下り一致制御」)という。
本実施形態の制御装置21は、PWMパルスのシフト方法が異なる複数のシーケンスを切り替えるシーケンス切替制御を行う。シーケンス切替制御は、例えば、モータ8の電気角位相に応じた位相範囲(例えば、60deg)毎に実行する。また、複数の位相範囲において、所定の規則性をもってシーケンス切替制御を実行する。
シーケンス切替制御として、指令値固定を後半周期で行う制御(上り一致制御、上記シーケンス1)と、指令値固定を前半周期で行う制御(下り一致制御;上記シーケンス2)がある。上り一致制御は、複数のシーケンスを含み、下り一致制御も複数のシーケンスを含む。つまり、上記の例では上り一致制御の6シーケンス、下り一致制御の6シーケンス(合計12シーケンス)を位相範囲毎に適宜、切替の連続性が良好となるように選択して切り替える。
さらに、制御装置21は、キャリア周期において一方の相のデューティ比が50%を超えるか否かを判定し、50%以上(あるいは50%を超える)の場合には指令値固定を行う周期を前半周期と後半周期とで切り替える(すなわち上り一致制御と下り一致制御を切り替える)制御(以下、「指令値固定周期切替制御」という。)を行う。
あるいは制御装置21は、キャリア周期においてパルス幅が短い相が変化するか否かを判定して、キャリア周期においてパルス幅が短い相が変化する場合には、指令値固定切替制御を行う。
具体的に、ある相のPWMパルスのデューティ比が50%を超える場合、あるいはPWMパルス幅が短い相が変化した場合には、上り一致制御(シーケンス1のいずれかのシーケンス)と下り一致制御(シーケンス2のいずれかのシーケンス)を切り替える。つまり切り替え前のキャリア周期において上り一致制御(例えばシーケンス1B)を行っていた場合、切り替え後は同じ制御を行わず、下り一致制御(例えば、シーケンス2B)を行う。また、切り替え前のキャリア周期において下り一致制御(例えばシーケンス2E)を行っていた場合、切り替え後は同じ制御を行わず、上り一致制御(例えば、シーケンス1F)を行う。
制御装置21は、少なくともPWMパルス幅が短い相が変化する場合、あるいはキャリア周期において一方の相(デューティ比が50%未満(50%以下)の相のデューティ比が50%を超える(50%以上となる)場合に指令値固定切替制御を行う。
図17は、切替制御を行う位相範囲について示す概略図である。この例では、位相範囲を電気位相角の60deg毎とし、その位相範囲が変わる毎に上り一致制御(シーケンス1A~1Fのいずれか)と下り一致制御(シーケンス2A~2Fのいずれか)を交互に行うようにしている。
この例では電気角位相が0~30degの範囲が上り一致制御(例えばシーケンス1B)、30deg~90degの範囲が下り一致制御(例えばシーケンス2A)、90deg~150degの範囲が上り一致制御(例えばシーケンス1C)、150deg~210degの範囲が下り一致制御(例えばシーケンス2D)、210deg~270degが上り一致制御(例えばシーケンス1E)、270deg~330degの範囲が下り一致制御(例えばシーケンス2F)、330deg~30degが上り一致制御(例えばシーケンス1B)としている。
例えば正弦波指令値波形のピーク付近に着目すると、いずれの波形も切替の前後で対称であるため、パルス位置のずれも対称性があると考えられる。したがって、上記実施形態によれば精度のよい補正を実現できる。なお、位相範囲はこの例では60degにしているが、この範囲に限らない。
図18は、図17に示すシーケンス切り替えの制御を行った場合の、電気位相角が0~50degまでの三角キャリア波CAと、各相の二相変調指令値cu(実線)、cv(一点鎖線)、cw(破線)、各相電圧Vu,Vv,VwおよびU相電流iu(太線)、V相電流iv(中太線)、W相電流iw(細線)の状態を示すグラフであり、図13に対応する結果である。
また、図19は、30deg付近におけるシーケンス切替制御の状態を示す、図14(B)~図14(D)に対応する図である。
本実施形態の切替制御では、30deg付近において、U相PWMパルスのデューティ比の値(W相PWMパルスのデューティ比との大小関係)に応じて、シーケンス1B(ステップS108)からシーケンス2A(ステップS206)に切り替える。その結果、前半周期側では図19(A)が出力され、後半周期側では図19(B)が出力されることとなり、図19(C)のようなPWMパルスが出力される。図19(C)の場合、前半周期側が同図(A)の前半周期のPWMパルスとなり、図19(C)後半周期が同図(B)の後半周期のPWMパルスとなる(図18の破線枠の部分に対応)。図19(C)では、前半周期側及び後半周期側にて零相電圧の変動の相殺が達成できており、また、出力される各相のデューティ比も当初の狙い通りとなっている。これにより、図14にて発生していた電流の変動を抑制することができる。
また、図20は、図17に示す指令値固定切替制御を含むシーケンス切替制御を行った場合のPWM制御の実行結果であり、図20(A)が電力変換装置1の出力電圧(U相電圧Vu,V相電圧Vv,W相電圧Vw)のシミュレーション結果である。また図20(B)は、各相の電流波形である。この場合、図12(B)と比較して、明らかに周期的に発生する電流歪が低減したことがわかる。
制御装置21は、少なくともPWMパルス幅が短い相が変化する場合、あるいはキャリア周期において一方の相のデューティ比が50%を超える(50%以上となる)場合に指令値固定切替制御を行う。
すなわち、指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御)の切替は、少なくとも、キャリア周期において一方の相のデューティ比が50%以上(あるいは50%を超える)か、キャリア周期においてパルス幅が短い相が変化する場合に実行されればよい。
また、上記の実施形態では、制御装置21は、モータ8の電気角位相に応じた位相範囲(例えば、60deg)を決定し、当該位相範囲毎にシーケンス切替制御を実行する。また、複数の位相範囲において、所定の規則性をもってシーケンス切替制御を実行する。そして、或るシーケンス切替制御のタイミングと同期して、指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御)を行っている。例えば、上記の図17に示す例では、所定の位相範囲(例えば、60deg)毎に指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御)の切替を行っている。
しかしながら、指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御の切替)は、モータ8の電気角位相に応じた位相範囲(例えば、60deg)毎に行うものであってもよいし、位相範囲毎の実行でなくてもよい。例えば、図21に示すように、キャリア周期において一方の相のデューティ比が50%以上(あるいは50%を超える)か、キャリア周期においてパルス幅が短い相が変化する場合に(限り)指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御)を実行するようにしてもよい。図21に示す例では、位相範囲30ded~90degと、位相範囲90deg~150degは、二相のPWMパルスのデューティ比の大小関係が変化しない(PWMパルス幅が小さい相が入れ替わらない)ことから、指令値固定切替制御は行わず、シーケンス切替制御のみを行うようにする例である。位相範囲210ded~270degと、位相範囲270deg~330degにおいても同様である。
以上、本実施形態によれば、三角キャリア波CAを用いたPWM制御において、まず二相変調によってある一相のPWM動作を停止し、上下アームスイッチング素子18A~18Fのスイッチング回数を減少させる。これによりスイッチング損失と発熱量を減少させ、且つ、モータ8の中性点電位の変動も低減することができるようになる。
またそれに加えて、制御装置21において、PWM動作を行う二相のうちの一相(この例ではU相)の二相変調指令値を反転させたうえで(指令値反転制御)、PWM動作を行う二相の二相変調指令値(例えば、反転U相二相変調指令値1-cuと、W相二相変調指令値cw)をそれぞれキャリア周期の前方と後方に二分し(指令値分割制御)、三角キャリア波CAの(各キャリア周期の)上り斜面側と下り斜面側とで独立して二相変調指令値を設定する。そしてキャリア周期の上り斜面側(前半周期)あるいは下り斜面側(後半周期)のいずれかにおいて、分割した二相の指令値を一致させる。すなわち、上記の例ではU相前方部分指令値cufとV相前方部分指令値cvfをキャリア周期の上り斜面側で一致させる(指令値シフト制御)。また、指令値を一致させない方の半周期において二相のPWMパルス幅がシフト前から変化しないようにPWMパルスをシフトさせる。
これにより、PWM動作を行う二相のそれぞれのPWMパルス幅(PWMパルスのデューティ比)を維持した状態で、一方の相のPWMパルスの立上りタイミングと他方の相のPWMパルスの立下りタイミングを一致させることができる。
結果として、ON/OFF状態を変調させる二相(PWM動作を行う二相)について一方の相電圧の立上りタイミングと他方の相の立下りタイミングを一致(同期)させ、モータ8に印加される相電圧の変化を、他の相電圧の変化で打ち消すことができる。具体的に、一つのキャリア周期において2回分の零相電圧の変動を相殺できる。通常の三相変調は1つのキャリア周期中に6回の零相電圧の変動が生じるが、本実施形態によればこれを1/3(2回)に低減できる。したがって、スイッチング素子のスイッチングタイミングによりモータの中性点電位の変動をより一層抑制し、コモンモードノイズの発生を著しく抑制することが可能となる。
また、製品に実装する場合にはプログラム制御のミス等を回避するため、比較的簡素なアルゴリズムを採用することが望ましい。本実施形態では、12パターンのシーケンス準備し、電気位相角のある位相範囲毎に、12パターンのシーケンス切替制御を行うようにした。12パターンのシーケンスは、三角キャリア波の半周期で二相のうち一相を0または1に指令値固定し、残りの半周期で二相のPWMパルスの立上りタイミングと立下りタイミングを一致させるという手法(アルゴリズム)が統一されており、プログラム制御のミスを大幅に低減できるとともに製品への実装も容易となる。
また特に、少なくとも、キャリア周期において一方の相のデューティ比が50%以上(あるいは50%を超える)か、キャリア周期においてパルス幅が短い相が変化する場合には、指令値固定切替制御(上り一致制御と下り一致制御の切替)を行うようにした。これにより、シーケンス切り替えに伴い生じていた電流歪みを回避できる。この結果、モータ8のトルク脈動や騒音の発生回避できる。
なお、上記の実施形態において、指令値反転部51、指令値分割部52および指令値シフト部53は、ソフトウェアおよびハードウェアのいずれで構成されてもよく、ソフトウェアとハードウェアの両者によって構成されてもよい。また、これらはPWM信号生成部36に含まれる構成に限らず、制御装置21に含まれる構成であればよい。
また、制御装置21の一部または全部の構成は、ソフトウェアまたはハードウェアのいずれで構成されてもよく、ソフトウェアとハードウェアの両者によって構成されてもよい。
また、U相を反転させず、W相とV相を反転させるようにしてもよい。また、反転する相はU相でなくてもよい。
尚、本実施形態にて示したシーケンス1及びシーケンス2では、上述の通り実装の容易性を重視した構成になっており、もっとも構成を容易にするために、PWM動作を行う二相のうちどちらか一方の相のインバータ回路28の電力用スイッチング素子がPWM動作を停止するよう、前方部分指令値または後方部分指令値を所定の値に設定(指令値固定)をしている。具体的には、キャリア周期の前半周期あるいは後半周期のPWMパルスのデューティ比が0%あるいは100%になるように指令値固定している。
ここで、指令値固定は、PWM動作を行う二相のうち一方の相において、インバータ回路28の電力用スイッチング素子のデューティ比相電圧指令値振幅変調率kHまたは相電圧指令値振幅Vmに応じて予め設定される任意の幅となるように制御してもよい。具体的には、キャリア周期の前半周期あるいは後半周期のPWMパルスのデューティ比が0~100%の任意の幅になるように指令値固定をしても良い。この任意の幅は、電気角位相及び変調率により変化させることで、出力できる変調率を改善できる。一方でその場合には当然、上記図14(D)のようなPWMパルスの位置ずれが発生する確率は上がる。そのため、前半周期あるいは後半周期のPWMパルスのデューティ比を任意の幅で固定する構成にした場合には、やはり電流の歪みが発生する可能性がある。つまり、本実施形態のように、キャリア周期の前半周期あるいは後半周期のPWMパルスのデューティ比が0%あるいは100%になるように指令値固定する構成がより好適である。
また、上記の実施形態では、制御装置21が、周期性を有する相電圧指令値の一周期において指令値固定切替制御を6回(60deg毎に)実行する場合を例示したが、これに限らない。すなわち、制御装置21は、周期性を有する相電圧指令値の一周期において指令値固定切替制御を少なくとも1回実行するものであってもよいし、少なくとも2回以上実行するものであってもよい。
また、上記の実施形態では、三角キャリア波が二等辺三角状の波である場合を例示したが、三角キャリア波は、内角のいずれも直角ではない不等辺三角状の波(キャリア周期の前半周期と後半周期の時間が異なる信号)であってもよい。またその場合、不等辺三角状のキャリア周期の頂点を通る分割線DLにより前半部分指令値と後半部分指令値が二分され切り替え可能となる構成でもよい。
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 電力変換装置
1-cu 反転U相二相変調指令値
2 ハウジング
3 仕切壁
4 圧縮機構収容部
6 インバータ収容部
7 圧縮機構
8 モータ
10 上アーム電源ライン(正極側母線)
15 下アーム電源ライン(負極側母線)
16 電動圧縮機
19U U相ハーフブリッジ回路(インバータ)
19V V相ハーフブリッジ回路
19W W相ハーフブリッジ回路
21 制御装置
26A、26B 電流センサ
28 インバータ回路
29 直流電源
33 相電圧指令演算部
34 線間変調演算部
36 PWM信号生成部
37 ゲートドライバ
41~43 電機子コイル
51 指令値反転部
52 指令値分割部
53 指令値シフト部
CA 三角キャリア波
Vu、Vv、Vw 相電圧指令値
cmod 変調値
cu1 U相変調指令値
cv1 V相変調指令値
cw1 W相変調指令値
cu U相二相変調指令値
cv V相二相変調指令値
cw W相二相変調指令値
cuf U相前方部分指令値
cub U相後方部分指令値
cwf W相前方部分指令値
cwb W相後方部分指令値

Claims (12)

  1. 三相負荷に相電圧を供給するインバータ回路と、
    前記インバータ回路の制御装置と、を備えた電力変換装置であって、
    前記制御装置は、
    相電圧指令値を生成するための三相変調指令値を演算する相電圧指令演算部と、
    前記三相変調指令値に基づき、二相変調指令値を演算する線間変調演算部と、
    三角キャリア波と前記二相変調指令値に基づき、前記インバータ回路をPWM制御するPWM信号を生成するPWM信号生成部を有し、
    前記制御装置は、前記PWM信号に基づき出力される二相の前記相電圧について、それぞれ前記二相変調指令値に基づくパルス幅を維持した状態で前記三角キャリア波のキャリア周期内における前半周期および後半周期の少なくとも一方において一方の相の前記相電圧の立上りタイミングと他方の相の前記相電圧の立下りタイミングを一致させる、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記二相変調指令値の一つを反転させる指令値反転部と、
    前記二相変調指令値を前記キャリア周期内において前方部分指令値及び後方部分指令値に分割する指令値分割部と、
    前記前半周期において前記二相の前記前方部分指令値を一致させ、または前記後半周期において該二相の前記後方部分指令値を一致させる指令値シフト部を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御装置は、
    前記前半周期において前記二相の前記前方部分指令値を一致させ、または前記後半周期において該二相の前記後方部分指令値を一致させ、
    前記二相の前記前方部分指令値または該二相の前記後方部分指令値が不一致となる前記前半周期または前記後半周期(以下、「指令値不一致半周期」という。)にあっては、前記二相のうち一方の相における前記インバータ回路の電力用スイッチング素子のデューティ比が変調率または相電圧指令値振幅に応じて予め設定される任意の幅となるように前記前方部分指令値または前記後方部分指令値を所定の値に設定する制御(以下、「指令値固定」という。)を行う、
    ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御装置は、前記二相のうち、デューティ比が50%未満となる相について前記指令値固定を行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記制御装置は、前記二相のうち、前記パルス幅が短い相について前記指令値固定を行う、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
  6. 前記制御装置は、
    前記キャリア周期において前記二相のうちデューティ比が50%未満である相の前記デューティ比が50%を超える場合に切替制御を行うものであり、
    前記切替制御は、切り替え直前の前記キャリア周期における前記指令値不一致半周期とは異なる半周期において、前記指令値固定を行うように切り替える制御である、
    ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記制御装置は、
    前記キャリア周期において前記二相のうち前記パルス幅が短い相が変化する場合に切替制御を行うものであり、
    前記切替制御は、切り替え直前の前記キャリア周期における前記指令値不一致半周期とは異なる半周期において、前記指令値固定を行うように切り替える制御である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
  8. 前記三相負荷の電気角位相に応じて、前記切替制御を行う位相範囲を決定する、
    ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 複数の前記位相範囲において、所定の規則性を有するように前記切替制御を行う、
    ことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
  10. 前記制御装置は、周期性を有する前記相電圧指令値の一周期において前記切替制御を少なくとも二回以上実行する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
  11. 前記三相負荷はモータである、
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
  12. 前記モータは車載空調用電動圧縮機で利用される、
    ことを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
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