JP2024027265A - 印刷装置 - Google Patents

Abstract

【課題】印刷装置の搬送ローラーの数の増大を抑えながら、印刷媒体の蛇行を抑制する。【解決手段】印刷媒体Ｓに印刷する印刷部５と、印刷部５に対向して配置され、印刷媒体Ｓを支持する支持部と、支持部へ印刷媒体Ｓを搬送する複数の第１搬送ローラー３１３～３２１と、印刷部５により印刷された印刷媒体Ｓをロール状に巻き取る媒体回収部８と、支持部から媒体回収部８へと印刷媒体Ｓを搬送する複数の第２搬送ローラー３２２～３３２と、を備え、複数の第１搬送ローラー３１３～３２１の各間隔が、複数の第２搬送ローラー３２２～３３２の各間隔の平均値よりも狭い、印刷装置１。【選択図】図１

Description

本発明は、印刷装置に関する。

従来、印刷装置において印刷媒体を印刷ヘッドまで搬送する構成において、印刷ヘッドの上流にステアリングユニットを備えた印刷装置が知られている（例えば、特許文献１参照）。

特開２０１３－２３０６５７号公報

印刷装置における印刷速度を向上させようとする場合、例えば、特許文献１の構成では、搬送方向におけるプラテンのサイズを大きくすることが考えられる。このような構成とすると、プラテンに向けて間欠的に搬送される印刷媒体の搬送量が長くなる。そのため、ステアリングユニットからプラテンまでの搬送経路を長くする必要が生じ、印刷媒体が蛇行しやすくなるという課題があった。また、印刷媒体の蛇行を抑制するためには、搬送ローラーの数を増やして搬送ローラーの間隔を狭める必要があり、装置の大型化やコストの増大を招くという課題があった。

本開示の一態様は、印刷媒体に印刷する印刷部と、前記印刷部に対向して配置され、前記印刷媒体を支持する支持部と、前記支持部へ前記印刷媒体を搬送する複数の第１搬送ローラーと、前記印刷部により印刷された前記印刷媒体をロール状に巻き取る媒体回収部と、前記支持部から前記媒体回収部へと印刷媒体を搬送する複数の第２搬送ローラーと、を備え、前記複数の第１搬送ローラーの各間隔が、前記複数の第２搬送ローラーの各間隔の平均値よりも狭い、印刷装置である。

本実施形態に係る印刷装置の概要を示す図。 第１搬送ローラー部の構成を示す側面視図。 第１搬送ローラー部の要部平面図。 第１搬送ローラーの平行度の説明図。

［１．印刷装置の全体構成］
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図１は、印刷装置１の概略構成を示す模式図である。図１及び以下に説明する各図には、印刷装置１の設置状態における方向を説明するため、ＸＹＺ直交座標を図示する。Ｚ軸は印刷装置１の設置状態における鉛直方向を示し、高さ方向ということができる。Ｘ軸は印刷装置１の左右方向を示す。Ｙ軸はＸ軸に直交する方向であり、前後方向ということができる。

印刷装置１は、印刷部５によって印刷媒体Ｓに印刷を行う。印刷装置１で使用される印刷媒体Ｓとしては各種のシートを用いることができる。以下の説明では、印刷媒体Ｓとして、裏面に粘着剤が付されたラベルを剥離紙に並べてロール状に巻いたラベル用紙を用いる構成を示す。印刷装置１の印刷方式に制限はないが、本実施形態では、印刷部５によって印刷媒体Ｓにインクを吐出するインクジェット式のプリンターを、印刷装置１の一例として示す。

印刷装置１は、筐体２に媒体供給部３、印刷部５、乾燥部７、媒体回収部８及び制御装置１００が配置された構成である。筐体２は、印刷装置１の不図示のフレームに取り付けられ、上記の各部を収容する。

印刷媒体Ｓは、媒体供給部３と媒体回収部８との間を搬送され、印刷媒体Ｓの搬送経路を符号１０で示す。搬送経路１０には、印刷媒体Ｓに当接する複数の搬送ローラー３０１～３４３が配置される。搬送経路１０において、媒体供給部３から供給される印刷媒体Ｓは、図に矢印Ｆで示す搬送方向に搬送される。搬送経路１０において、搬送ローラー３０１～３２１は印刷部５の上流に位置する。これに対し、搬送ローラー３２２～３４３は印刷部５の下流に位置する。

印刷装置１はモーターＭ１～Ｍ６を有し、これらモーターＭ１～Ｍ６によって、印刷媒体Ｓを搬送する駆動力を発生する。繰出しモーターＭ１は、媒体供給部３の供給軸部３１を駆動し、繰出しニップモーターＭ２は搬送ローラー３０５を駆動し、供給ニップモーターＭ３は搬送ローラー３１８を駆動する。これらモーターＭ１、Ｍ２、Ｍ３は、媒体供給部３から印刷部５へ印刷媒体Ｓを供給する供給側の動力である。一方、排出ニップモーターＭ４は搬送ローラー３３４を駆動し、巻取りニップモーターＭ５は巻取り搬送ローラー３４２を駆動し、巻取りモーターＭ６は媒体回収部８の巻取り軸８１を駆動する。これらのモーターＭ４、Ｍ５、Ｍ６は、印刷部５で印刷された印刷後の印刷媒体Ｓを媒体回収部８に回収する回収側の動力である。

媒体供給部３は、円筒状又は円柱状の供給軸部３１を有する。供給軸部３１は、印刷媒体Ｓをロール状に巻き重ねたロール体３２が装着可能であり、媒体供給部３は供給軸部３１によってロール体３２を支持する。供給軸部３１は、モーターＭ１の動力によって回転することにより、印刷媒体Ｓをロール体３２から印刷部５に向けて繰り出す。

印刷部５は、印刷媒体Ｓに向けてインクを吐出することにより、印刷媒体Ｓのラベルに文字や画像を印刷する。印刷部５は、プラテン５４と、インクを吐出する複数の吐出ヘッド５１と、吐出ヘッド５１を保持するキャリッジ５３とを備える。プラテン５４は、例えば矩形形状の平面であり、印刷装置１の設置状態においてＸＹ平面に平行となる。プラテン５４は、印刷媒体Ｓを下方から支持する。プラテン５４には、印刷媒体Ｓに吸引力を作用させることによりプラテン５４に印刷媒体Ｓを保持するための吸引孔等が形成されてもよい。プラテン５４は、支持部の一例に対応する。

プラテン５４に対向するように、プラテン５４の上方にはキャリッジ５３が配置される。キャリッジ５３は、Ｘ軸方向に沿って印刷装置１に設置された第１ガイドレール２５に沿って、Ｘ軸方向に往復移動可能である。キャリッジ５３は、Ｙ軸方向に沿って設置された不図示の第２ガイドレールに沿って、Ｙ軸方向に往復移動可能である。印刷装置１は、キャリッジ５３を第１ガイドレール２５に沿って移動させる第１キャリッジモーターＭ７、および、キャリッジ５３を第２ガイドレールに沿って移動させる第２キャリッジモーターＭ８を備える。印刷装置１は、これらモーターＭ７、Ｍ８の動力により吐出ヘッド５１をＸ軸方向およびＹ軸方向に移動させる。この構成により、吐出ヘッド５１は、プラテン５４に支持された印刷媒体Ｓの上をＸ軸方向およびＹ軸方向に移動して、その全体にインクを吐出することが可能である。

印刷装置１は、印刷媒体Ｓに印刷を実行する場合、印刷媒体Ｓの間欠搬送を行う。すなわち、印刷装置１は、印刷媒体Ｓをプラテン５４に搬送し、プラテン５４の所定領域に印刷媒体Ｓが配置された状態で印刷媒体Ｓの搬送を停止する。ここで、印刷部５が吐出ヘッド５１をＸ軸方向およびＹ軸方向に移動させながらインクを吐出させ、印刷媒体Ｓに印刷を実行する。印刷後、印刷装置１は、印刷媒体Ｓにおいて印刷済みの部分がプラテン５４よりも下流に移動するまで、印刷媒体Ｓを搬送する。そして、印刷装置１は、印刷媒体Ｓの搬送を停止させて、印刷部５による印刷を行う。

搬送経路１０において、媒体供給部３と印刷部５との間には、繰出し側バッファー部６０、及び、印刷媒体Ｓの蛇行を修正する蛇行補正部７０が配置される。

繰出し側バッファー部６０は、印刷装置１のフレームに直接または間接的に固定された繰出し側固定プレート６５と、上下動可能な繰出し側可動プレート６７とを備える。繰出し側固定プレート６５には、７個の搬送ローラー３０３、３０４、３０５、３０６、３０７、３０９、３１１が回転可能に支持される。繰出し側可動プレート６７には、２個の搬送ローラー３０８、３１０が回転可能に支持される。

繰出し側バッファー部６０において、印刷媒体Ｓは、搬送ローラー３０３～３１１のそれぞれに掛け渡される。繰出し側バッファー部６０は、繰出し側可動プレート６７、及び、繰出し側可動プレート６７に取り付けられた搬送ローラー３０８、３１０の重量により、印刷媒体Ｓに重力方向の張力を加える。

媒体供給部３とプラテン５４との間で印刷媒体Ｓに弛みが発生した場合、印刷媒体Ｓの弛み分だけ繰出し側可動プレート６７が下降することにより、印刷媒体Ｓの弛みが吸収される。また、媒体供給部３とプラテン５４との間で、印刷媒体Ｓに搬送方向に強い張力が加わった場合、この張力によって繰出し側可動プレート６７が上昇することによって、印刷媒体Ｓが繰出し側バッファー部６０から繰り出される。このように、繰出し側バッファー部６０は、媒体供給部３とプラテン５４との間における印刷媒体Ｓの余り、及び、印刷媒体Ｓの不足による過度の張力を吸収または緩和する。

蛇行補正部７０は、搬送ローラー３１２、３１３を備え、搬送ローラー３１２、３１３間において印刷媒体Ｓの蛇行を補正する。印刷媒体Ｓの蛇行とは、印刷媒体Ｓの搬送方向が、搬送経路１０からＹ軸に沿う方向に傾く現象である。理想的な搬送状態は、例えば、媒体供給部３からプラテン５４まで、印刷媒体ＳがＹ軸に沿う方向に動かずに搬送される状態である。この状態では、媒体供給部３から繰り出された印刷媒体Ｓは、Ｙ軸に沿う方向に移動することなくＸ軸に沿って移動し、プラテン５４に到達する。しかしながら、搬送ローラー３０３～３１１の傾き等の影響で、印刷媒体ＳがＸ軸に対して傾くことがある。この傾きを生じた状態を蛇行と呼ぶ。蛇行補正部７０は、印刷媒体Ｓの移動方向がＸ軸に対して傾く方向である場合に、これを補正する。蛇行補正部７０からプラテン５４に向けて搬送される印刷媒体Ｓは、蛇行がほぼ解消された状態である。

蛇行補正部７０とプラテン５４との間を、印刷媒体Ｓの蛇行精度を維持する蛇行精度維持領域７５を備える。蛇行精度とは、印刷媒体Ｓの蛇行、すなわちＸ軸と交差する方向への移動の程度を示し、搬送精度と呼び変えてもよい。蛇行精度維持領域７５には、搬送ローラー３１３、３１４、３１５、３１６、３１７、３１８、３１９、３２０、３２１が配置される。

搬送ローラー３１３、３１４は印刷装置１のフレームに直接または間接的に取り付けられる。搬送ローラー３１３、３１４は回転自在に支持される。
蛇行精度維持領域７５には、印刷装置１のフレームに直接または間接的に固定された縦プレート７１が配置される。縦プレート７１の下端部には、搬送ローラー３１５が回転可能に支持される。また、縦プレート７１の中央部及び上部には、６個の搬送ローラー３１６、３１７、３１８、３１９、３２０、３２１が配置される。これらの搬送ローラー３１６～３２１は、それぞれ、縦プレート７１に回転可能に支持される。蛇行精度維持領域７５では、搬送される印刷媒体Ｓに張力を与えられる。この張力によって印刷媒体Ｓのしわや弛みが防止される。印刷媒体Ｓは、蛇行精度維持領域７５を経てプラテン５４に搬送される。蛇行精度維持領域７５に配置された第１搬送ローラー３１３～３２１及び縦プレート７１を含む構成を、第１搬送ローラー部４とする。第１搬送ローラー部４の構成については後述する。

蛇行精度維持領域７５に配置される搬送ローラー３１３～３２１は、蛇行補正部７０で修正された蛇行精度を維持した状態で、印刷媒体Ｓを搬送する。

搬送経路１０において、印刷部５の下流には乾燥部７が配置される。乾燥部７には、搬送ローラー３２２、３２３、３２４、３２５、３２６が配置される。乾燥部７は、印刷媒体Ｓの印刷面及び／または印刷面の裏面を加熱するヒーターを備え、印刷部５により吐出されたインクを乾燥させる。

搬送経路１０において、乾燥部７の下流には、搬送ローラー３２７、３２８、３２９、３３０が配置される。これら搬送ローラー３２７～３３０により、印刷媒体Ｓは、巻取り側バッファー部６１に配置される。巻取り側バッファー部６１は、搬送ローラー３３１～３３９を備える。巻取り側バッファー部６１は、固定部に固定された巻取り側固定プレート６８と、上下動可能な巻取り側可動プレート６９とを備える。巻取り側固定プレート６８には、６個の搬送ローラー３３２～３３６、３３８が回転可能に支持され、巻取り側可動プレート６９には、１個の搬送ローラー（ダンサーローラー、巻取り側可動ローラー）３３７が回転可能に支持される。搬送ローラー３３９～３４３は、固定部に回転可能に支持される。

巻取り側バッファー部６１において、印刷媒体Ｓは、搬送ローラー３３１～３３９に掛け渡される。巻取り側バッファー部６１は、巻取り側可動プレート６９、及び、巻取り側可動プレート６９に取り付けられた巻取り側可動ローラー３３７の重量により、印刷媒体Ｓに重力方向の張力を加える。

乾燥部７と媒体回収部８との間で印刷媒体Ｓに弛みが発生した場合、印刷媒体Ｓの弛み分だけ巻取り側可動プレート６９が下降することにより、印刷媒体Ｓの弛みが吸収される。また、乾燥部７と媒体回収部８との間で、印刷媒体Ｓに搬送方向に強い張力が加わった場合、この張力によって巻取り側可動プレート６９が上昇することによって、印刷媒体Ｓが巻取り側バッファー部６１から繰り出される。このように、巻取り側バッファー部６１は、乾燥部７と媒体回収部８との間における印刷媒体Ｓの余り、及び、印刷媒体Ｓの不足による過度の張力を吸収または緩和する。

［２．第１搬送ローラー部の構成］
図２は、第１搬送ローラー部４の構成を示す側面視図である。
以下では、蛇行補正部７０から印刷部５へと印刷媒体Ｓを搬送する複数の搬送ローラー３１３～３２１を、第１搬送ローラー３１３～３２１とする。また、印刷部５から巻取り側バッファー部６１へと印刷媒体Ｓを搬送する複数の搬送ローラー３２２～３３２を、第２搬送ローラー３２２～３３２と定義する。

第１搬送ローラー部４には、搬送ローラー３１３を回転自在に支持する固定部３１３Ａ、及び、搬送ローラー３１４を回転自在に支持する固定部３１４Ａが配置される。固定部３１３Ａ、３１４Ａ、及び、縦プレート７１は、印刷装置１のフレームに直接または間接的に固定される。

縦プレート７１は、下部プレート７１Ａ、及び、上部プレート７１Ｂを有する。下部プレート７１Ａは、搬送ローラー３１５を回転可能に支持する。上部プレート７１Ｂは、第１搬送ローラー３１６、３１７、３１９、３２０、３２１を回転自在に支持する。第１搬送ローラー３１８は、上述のように供給ニップモーターＭ３により駆動される駆動ローラーである。第１搬送ローラー３１８は、上部プレート７１Ｂに回転可能に支持され、供給ニップモーターＭ３に連結される。

上述したように、印刷媒体Ｓは、印刷媒体Ｓを搬送するローラーの傾き等の要因で蛇行する。具体的には、搬送のずれを生じて蛇行精度を低下させる要因は、ローラー間の平行度、すなわちアライメントと、搬送ローラー間の距離との影響を大きく受ける。換言すれば、第１搬送ローラー３１３～３２１が高精度で平行に取り付けられており、第１搬送ローラー３１３～３２１の間隔が短ければ、第１搬送ローラー部４における蛇行精度は低下しない。つまり、蛇行補正部７０によって補正された蛇行精度が第１搬送ローラー部４においても維持される。

図３は、第１搬送ローラー部４の要部平面図であり、図２のＩＩＩ方向から見た図である。
図３に示すように、第１搬送ローラー３２０と第１搬送ローラー３２１とは、互いに平行かつ所定間隔で配置されている。すなわち、第１搬送ローラー３２０の回転軸３２０Ａと、第１搬送ローラー３２１の回転軸３２１Ａとが、後述する所定の平行度となるように、第１搬送ローラー３２０、３２１が上部プレート７１Ｂに設置される。また、回転軸３２０Ａと回転軸３２１Ａとの間隔を軸間距離と呼ぶ。回転軸３２０Ａと回転軸３２１Ａとの軸間距離は、後述する所定間隔以下である。

図４は、第１搬送ローラーの平行度の説明図である。
搬送ローラーの回転軸を、符号Ａは、第１搬送ローラー３１３、３１４、３１５、３１６、３１７、３１８、３１９、３２０、３２１のいずれかの回転軸を示す。符号Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅは、符号Ａが示す第１搬送ローラーに隣接する第１搬送ローラーの回転軸である。例えば、符号Ａは回転軸３２０Ａを示し、符号Ｂ～Ｅは回転軸３２１Ａを示す。

符号Ｂは、２つの第１搬送ローラーの平行度が０ｍｍである状態を示している。符号Ｃは２つの第１搬送ローラーの平行度が０．１５ｍｍ以内である状態を示し、符号Ｄは２つの第１搬送ローラーの平行度が０．１５ｍｍ以内である状態を示す。符号Ｅは、２つの第１搬送ローラーの平行度が０．１５ｍｍを超えて傾いた例を示す。

本発明者らは、実証実験を通じ、第１搬送ローラー部４の第１搬送ローラー３１３～３２１に関し、隣接する第１搬送ローラーの平行度を０．１５ｍｍの範囲内とすることにより、印刷媒体Ｓの蛇行が好ましい範囲内に抑えられるとの知見を得た。
また、第１搬送ローラー部４の第１搬送ローラー３１３～３２１に関し、隣接する第１搬送ローラーの軸間距離が４００ｍｍ以下である場合に、印刷媒体Ｓの蛇行が好ましい範囲内に抑えられるとの知見を得た。
これらの場合において、第１搬送ローラー３１３～３２１は直径８０ｍｍであり、望ましくは直径１０ｍｍ～１００ｍｍである。なお、直径１０ｍｍ未満のような細い搬送ローラーには適用されない。

従って、第１搬送ローラー部４の第１搬送ローラー３１３～３２１の少なくともいずれかの第１搬送ローラーと、その第１搬送ローラーに隣接する第１搬送ローラーとについて、次の知見が得られた。すなわち、これら２つの第１搬送ローラーの平行度が０．１５ｍｍの範囲内であること、及び、これら２つの第１搬送ローラーの軸間距離が４００ｍｍ以下であることの２つの条件の少なくともいずれかが満たされることが好ましい。また、これら２つの条件のいずれも成立することが、より好ましい。

さらに、第１搬送ローラー３１３～３２１の全てについて、隣り合う第１搬送ローラーとの平行度が上記条件を満たすこと、及び、隣り合う第１搬送ローラーとの軸間距離が上記条件を満たすことの少なくともいずれかが満たされることが好ましい。そして、第１搬送ローラー３１３～３２１の全てについて、隣り合う第１搬送ローラーとの平行度及び軸間距離が上記条件を満たすことが、最も好ましい。

なお、平行度は、隣り合う第１搬送ローラーとの平行度でなく、第１搬送ローラー３１３～３２１のいずれかを基準搬送ローラーとした場合の、基準搬送ローラーに対する平行度であってもよい。この場合、搬送ローラーの本数が多くなると、平行度のずれが徐々に大きくなる。したがって、隣り合う搬送ローラー間での平行度は０．１５ｍｍよりも狭い範囲で設定することが望ましい。

例えば、一つの第１搬送ローラーを基準とし、基準の回転軸Ａに対し、ほかの搬送ローラーの回転軸Ｂが平行であれば、平行度は０ｍｍである。ほかの搬送ローラーの回転軸Ｃ及び回転軸Ｄは、平行度がαｍｍの範囲内にある。回転軸Ｅは、平行度がαｍｍの範囲外となる。本実施形態では、第１搬送ローラー３１３～３２１の平行度は、プラテン５４の直前に位置する第１搬送ローラー３２１を基準の回転軸Ａとして、α＝０．１５ｍｍの範囲内に設定される。第１搬送ローラー３１３～３２１の平行度が、０．１５ｍｍの範囲内に設定される場合、蛇行修正部７０から印刷部５への印刷媒体Ｓの蛇行精度が良好に維持されることが判明した。

例えば、第１搬送ローラー３２１の回転軸３２１Ａを符号Ａで示す基準とし、第１搬送ローラー３１３～３２１の平行度を０．１５ｍｍの範囲内に設定する場合を想定する。この場合、例えば、隣り合う第１搬送ローラーのうちの、一方の第１搬送ローラーの平行度が０．１５ｍｍで、他方の第１搬送ローラーの平行度が－０．１５ｍｍであり、一方の第１搬送ローラーと他方の第１搬送ローラーとの傾く方向が逆方向であるという状態が起こり得る。この状態では、隣り合う第１搬送ローラー同士は、平行度が０．１５ｍｍの範囲内に収まらない。

別の実施形態では、第１搬送ローラー３２１を基準の回転軸Ａとして、第１搬送ローラー３１３～３２１の平行度を、０．１５ｍｍの範囲内に設定しつつ、更に、隣り合う第１搬送ローラー同士の平行度を、０．１５ｍｍの範囲内に設定する。これによれば、第１搬送ローラー３１３～３２１の平行度を精度良く維持でき、蛇行修正部７０から印刷部５への印刷媒体Ｓの蛇行精度がより良好に維持される。

また、例えば、第１搬送ローラー３１３～３２１のうちプラテン５４の直前に位置する第１搬送ローラー３２１を基準の回転軸Ａとする。この場合において、各第１搬送ローラー３１３～３２１の回転軸の平行度を０．１５ｍｍの範囲内に設定し、且つ、各第１搬送ローラー３１３～３２１のピッチ間距離を４００ｍｍ以下に設定する。この例では、第１搬送ローラー３１３～３２１のピッチ間距離を４００ｍｍ以下の範囲で比較的長くしても、印刷媒体Ｓの搬送方向のずれの変化量は少なく、次の搬送ローラーの平行度の影響により蛇行が抑えられ、蛇行精度を向上できる。

上記実施形態では印刷装置１が蛇行修正部７０を備えるが、蛇行修正部７０を備えない印刷装置１にも上記構成を適用可能である。この場合、媒体供給部３から印刷部５へと印刷媒体Ｓを搬送する複数の搬送ローラーを第１搬送ローラーとし、各第１搬送ローラーの回転軸の平行度を０．１５ｍｍの範囲内に設定してもよい。また、複数の第１搬送ローラーのピッチ間距離を４００ｍｍ以下に設定してもよい。

また、本実施形態では、第１搬送ローラー３１３～３２１のうち隣接する２つの第１搬送ローラーの間隔を、第２搬送ローラー３２２～３３２の各間隔よりも狭く設定した。より好ましくは、第１搬送ローラー３１３～３２１の各間隔の平均値を、第２搬送ローラー３２２～３３２の各間隔の平均値よりも狭く設定した。

第２搬送ローラー３２２～３３２は、印刷部５により印刷された印刷後の印刷媒体Ｓを搬送するため、第２搬送ローラー３２２～３３２における蛇行精度の低下は印刷品質に及ぼす影響が少ない。また、第２搬送ローラー３２２～３３２のピッチ間距離を広くすることにより、印刷部５の下流におけるローラーの数を少なくすることができ、印刷装置１の小型化や軽量化、印刷装置１の製造コストの低減、印刷装置１の製造工数の低減を図ることができる。

そして、印刷装置１において、印刷速度の向上のためにプラテン５４を大型化した場合に、媒体供給部３から印刷部５までの印刷媒体Ｓの搬送経路１０が長くなっても、印刷装置１の全体における搬送ローラーの数の増大を抑えることができる。

［３．他の実施形態］
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。

例えば、上記実施形態において、印刷装置１は、繰出し側バッファー部６０、巻取り側バッファー部６１、及び、乾燥部７を備える構成として説明したが、これらの構成を有しない印刷装置１にも本発明を適用可能である。また、印刷装置１は、ロール体３２にまき回された連続シートを印刷媒体Ｓとして用いるものに限定されず、連続シートの態様は任意に変更可能である。
また、上記実施形態において、吐出ヘッド５１は、プラテン５４に支持された印刷媒体Ｓの上をＸ軸方向およびＹ軸方向に移動して、その全体にインクを吐出する構成としたが、吐出ヘッド５１が印刷媒体Ｓの幅方向、すなわちＹ軸方向よりも長い長さを有し、吐出ヘッド５１をＸ軸方向に１度だけ移動させることで画像を形成するいわゆるワンパス印刷方式を採用してもよい。

また、上記実施形態において、インクジェット式の印刷装置１を説明したが、これは一例であり、他の印刷方式を採用する印刷装置にも本発明を適用可能である。
また、上記実施形態に示した搬送ローラー、第１搬送ローラー及び第２搬送ローラーの数、及び、これらを駆動するモーターの数は一例であり、任意に変更可能である。

［４．実施形態により説明される構成］
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。

（構成１）印刷媒体に印刷する印刷部と、前記印刷部に対向して配置され、前記印刷媒体を支持する支持部と、前記支持部へ前記印刷媒体を搬送する複数の第１搬送ローラーと、前記印刷部により印刷された前記印刷媒体をロール状に巻き取る媒体回収部と、前記支持部から前記媒体回収部へと印刷媒体を搬送する複数の第２搬送ローラーと、を備え、前記複数の第１搬送ローラーの各間隔が、前記複数の第２搬送ローラーの各間隔の平均値よりも狭い、印刷装置。
構成１の印刷装置によれば、印刷部に印刷媒体を搬送する第１搬送ローラーにおける印刷媒体の蛇行精度を良好な精度とすることができる。また、第２搬送ローラーの各間隔は第１搬送ローラーの各間隔よりも大きくすることができるため、搬送ローラーの数の増大を抑制できる。これにより、印刷装置の小型化や軽量化、印刷装置の製造コストの低減、印刷装置の製造工数の低減を図ることができる。

（構成２）前記複数の第１搬送ローラーのうち隣り合う前記第１搬送ローラーの間隔が４００ｍｍ以内である、構成１に記載の印刷装置。
構成２の印刷装置によれば、第１搬送ローラーの間隔を４００ｍｍ以下とすることによって、印刷部よりも上流における印刷媒体の蛇行精度を良好な状態とし、印刷品質の向上を図ることができる。

（構成３）前記複数の第１搬送ローラーに含まれる前記第１搬送ローラーの平行度が、基準搬送ローラーに対し０．１５ｍｍ以下である、構成１または構成２に記載の印刷装置。
構成３の印刷装置によれば、第１搬送ローラーの平行度を基準搬送ローラーに対し０．１５ｍｍ以下とすることによって、印刷部よりも上流における印刷媒体の蛇行精度を良好な状態とし、印刷品質の向上を図ることができる。

（構成４）前記基準搬送ローラーは、前記複数の第１搬送ローラーのうち前記支持部に最も近い前記第１搬送ローラーである、構成３に記載の印刷装置。
構成４の印刷装置によれば、印刷部に最も近い位置にある第１搬送ローラーを基準として、第１搬送ローラーの平行度を０．１５ｍｍ以下とするので、印刷品質に大きく影響する位置での印刷媒体の蛇行精度を良好な状態とすることができる。

（構成５）前記複数の第１搬送ローラーのうち隣り合う前記第１搬送ローラーの平行度が、０．１５ｍｍ以下である、構成１から構成４のいずれかに記載の印刷装置。
構成５の印刷装置によれば、隣り合う第１搬送ローラーの平行度を０．１５ｍｍ以下とすることによって、印刷部よりも上流における印刷媒体の蛇行精度を良好な状態とし、印刷品質の向上を図ることができる。

（構成６）前記支持部の上流に蛇行補正部を有し、前記複数の第１搬送ローラーは、前記印刷媒体の搬送経路において前記蛇行補正部と前記支持部との間に配置される、構成１から構成５のいずれかに記載の印刷装置。
構成６の印刷装置によれば、蛇行補正部によって蛇行精度が補正された印刷媒体の搬送に際して、蛇行精度を良好な状態とすることができる。

１…印刷装置、３…媒体供給部、４…第１搬送ローラー部、５…印刷部、７…乾燥部、８…媒体回収部、１０…搬送経路、２５…第１ガイドレール、３１…供給軸部、３２…ロール体、５１…吐出ヘッド、５３…キャリッジ、５４…プラテン（支持部）、６０…繰出し側バッファー部、６１…巻取り側バッファー部、６５…繰出し側固定プレート、６７…繰出し側可動プレート、６８…巻取り側固定プレート、６９…巻取り側可動プレート、７０…蛇行補正部、７１…縦プレート、７１Ａ…下部プレート、７１Ｂ…上部プレート、７５…蛇行精度維持領域、８０…直径、８１…巻取り軸、１００…制御装置、３０１～３１２…搬送ローラー、３１３～３２１…第１搬送ローラー、３１３Ａ…固定部、３１４Ａ…固定部、３２０Ａ…回転軸、３２１Ａ…回転軸、３２２～３３２…第２搬送ローラー、３３４…排出搬送ローラー、３３６、３３８、３３９、３４３…搬送ローラー、３３７…巻取り側可動ローラー、３４２…巻取り搬送ローラー、Ｓ…印刷媒体。

Claims (6)

1. 印刷媒体に印刷する印刷部と、
   前記印刷部に対向して配置され、前記印刷媒体を支持する支持部と、
   前記支持部へ前記印刷媒体を搬送する複数の第１搬送ローラーと、
   前記印刷部により印刷された前記印刷媒体をロール状に巻き取る媒体回収部と、
   前記支持部から前記媒体回収部へと印刷媒体を搬送する複数の第２搬送ローラーと、
   を備え、
   前記複数の第１搬送ローラーの各間隔が、前記複数の第２搬送ローラーの各間隔の平均値よりも狭い、印刷装置。
2. 前記複数の第１搬送ローラーのうち隣り合う前記第１搬送ローラーの間隔が４００ｍｍ以内である、請求項１に記載の印刷装置。
3. 前記複数の第１搬送ローラーに含まれる前記第１搬送ローラーの平行度が、基準搬送ローラーに対し０．１５ｍｍ以下である、請求項１に記載の印刷装置。
4. 前記基準搬送ローラーは、前記複数の第１搬送ローラーのうち前記支持部に最も近い前記第１搬送ローラーである、請求項３に記載の印刷装置。
5. 前記複数の第１搬送ローラーのうち隣り合う前記第１搬送ローラーの平行度が、０．１５ｍｍ以下である、請求項３に記載の印刷装置。
6. 前記支持部の上流に蛇行補正部を有し、前記複数の第１搬送ローラーは、前記印刷媒体の搬送経路において前記蛇行補正部と前記支持部との間に配置される、請求項１または請求項２に記載の印刷装置。

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