JP2024025757A - シラン化合物 - Google Patents

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真也 高野
Shinya Takano
大貴 久保田
Hiroki Kubota
希望 中野
Nozomi Nakano
真奈美 片岡
Manami Kataoka
史彦 山口
Fumihiko Yamaguchi
孝史 野村
Takashi Nomura
真理 木村
Mari Kimura
元志 松井
Motoshi Matsui
一樹 森本
Kazuki Morimoto
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

【課題】摩擦耐久性と指紋拭き取り性の両方をバランスよく備えた表面処理層を形成することができる化合物の提供。【解決手段】下記式(1)[式中:R1は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、X1は、炭素数11以上のアルキレン基を含む2価の有機基であり、RSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]で表される化合物。TIFF2024025757000073.tif1358【選択図】なし

Description

本開示は、シラン化合物に関する。
ある種のシラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水撥油性を提供し得ることが知られている(特許文献1)。
特開2019-44179号公報
本開示は、摩擦耐久性と指紋拭き取り性の両方をバランスよく備えた表面処理層を形成することができる化合物を提供することを目的とする。
本開示は、下記の態様を含む。
[1] 下記式(1):
[式中:
は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、
は、炭素数11以上のアルキレン基を含む2価の有機基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
で表される化合物。
[2] Rは、R-(SiR O)-SiR -であり、
は、C1-12アルキル基であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
nは、0~1500である、
上記[1]に記載の化合物。
[3] Rは、メチル基である、上記[2]に記載の化合物。
[4] Rは、R-(SiR O)-SiR -であり、
は、下記A基またはB基:
Figure 2024025757000002
[式中:
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
51’は、R51と同意義であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
ただし、R51中、R51’の数は20以下であり、
52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
naは、1~3の整数であり、
54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
nbは、1~5の整数であり、
zは、0又は1である。]
で表される基であり、
54は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
nは、0~1500である、
上記[1]に記載の化合物。
[5] Rは、メチル基である、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6] nは、1又は2である、上記[2]~[5]のいずれか1項に記載の化合物。
[7] Rは、-SiR であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、又は-SiR であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基である、
上記[1]に記載の化合物。
[8] Rは、下記A基またはB基:
Figure 2024025757000003
[式中:
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
51’は、R51と同意義であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
ただし、R中、R1’の数は20以下であり、
52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
naは、1~3の整数であり、
54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
nbは、1~5の整数であり、
zは、0又は1である。]
で表される基である、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の化合物。
[9] Xは、さらに、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-を含む2価の有機基であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
xは、1~20の整数である、
上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の化合物。
[10] Xは、下記式:
-X21-X10-X11-X12
[式中:
21は、-O-、R61 b162 3-b1C-、R63 b264 3-b2Si-、又はR65 N-であり、
61は、2価の有機基であり、
62は、水素原子、又は1価の有機基であり、
63は、2価の有機基であり、
64は、水素原子、又は1価の有機基であり、
65は、2価の有機基であり、
b1は、2又は3であり、
b2は、2又は3であり、
10は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
11は、単結合、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
xは、1~20の整数であり、
12は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。]
で表される基である、
上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の化合物。
[11] X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数よりも多い、上記[1]~[10のいずれか1項に記載の化合物。
[12] X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数の2.5倍以上である、上記[1]~[10のいずれか1項に記載の化合物。
[13] X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数よりも多い、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の化合物。
[14] X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数の2.0倍以上である、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の化合物。
[15] RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[1]~[14]のいずれか1項に記載の化合物。
[16] 下記式(1a):
[式中:
は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、
は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
は、-COOR、-CONR 、又は-CONR-CR であり、
は、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、
は、末端に二重結合を有するC2-6アルケニル基である。]
で表される化合物。
[17] 上記[1]~[15]のいずれか1項に記載の化合物を含む、表面処理剤。
[18] さらに上記[1]~[15]のいずれか1項に記載の化合物の縮合体を含む、上記[17]に記載の表面処理剤。
[19] さらに、R81OR82、R83 n86-n8、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89、及び(OSiR8788m9
[式中
81~R89は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、4~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含む、上記[17]又は[18]に記載の表面処理剤。
[20] 前記溶媒は、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89である、請求項19に記載の表面処理剤。
[21] 前記溶媒は、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンである、上記[19]に記載の表面処理剤。
[22] 真空蒸着用である、上記[17]~[21]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[23] 湿潤被覆用である、上記[17]~[21]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[24] 上記[17]~[21]のいずれか1項に記載の表面処理剤を含有するペレット。
[25] 基材と、該基材上に、上記[1]~[15]のいずれか1項に記載の化合物から形成された層とを含む物品。
[26] 前記基材と前記層との間に酸化ケイ素を含む中間層を含む、上記[25]に記載の物品。
[27] 前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、上記[26]に記載の物品。
[28] 前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウム原子である、上記[27]に記載の物品。
[29] 光学部材である、上記[25]~[28]のいずれか1項に記載の物品。
[30] ディスプレイである、上記[25]~[28]のいずれか1項に記載の物品。
本開示によれば、摩擦耐久性と指紋拭き取り性の両方をバランスよく備えた表面処理層を形成することができる化合物を提供できる。
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。尚、単に「有機基」と示す場合、1価の有機基を意味する。また、「2価の有機基」とは、炭素を含有する2価の基を意味する。かかる2価の有機基としては、例えば、有機基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。3価以上の有機基も同様に、有機基から所定の数の水素原子を脱離させた基を意味する。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、炭化水素から水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、C1-20炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。炭化水素基は、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員環のヘテロシクリル基、5~10員環の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員環のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
本開示のシラン化合物は、下記式(1):
[式中:
は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、
は、炭素数11以上のアルキレン基を含む2価の有機基であり、
Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
で表される化合物である。
は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基である。
水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基は、水酸基又は加水分解性基が直接結合したSi原子を含んでいてもよい。
一の態様において、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基は、水酸基又は加水分解性基が直接結合したSi原子を含まない。
別の態様において、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基は、水酸基又は加水分解性基が直接結合したSi原子を1つ以上含む。
一の態様において、Rは、下記の基:
-(SiR O)-SiR
[式中:
は、C1-12アルキル基、下記A基又はB基:
Figure 2024025757000007
[式中:
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
51’は、R51と同意義であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
ただし、R51中、R51’の数は20以下であり、
52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
naは、1~3の整数であり、
54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
nbは、1~5の整数であり、
zは、0又は1である。]
で表される基であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
nは、0~1500である。]
で表される基である。
別の態様において、Rは、A基またはB基:
Figure 2024025757000008
[式中:
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
51’は、R51と同意義であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
ただし、R中、R1’の数は20以下であり、
52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
naは、1~3の整数であり、
54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
nbは、1~5の整数であり、
zは、0又は1である。]
で表される基である。
一の態様において、Rは、C1-12アルキル基である。
におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、Rは、A基又はB基である。
Figure 2024025757000009
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基である。
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基である。
61におけるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。上記C1-6アルキレン基は、好ましくはC1-4アルキレン基、より好ましくはC2-4アルキレン基であり得る。
一の態様において、R61は、Oである。
一の態様において、一部のR61はOであり、他のR61はC1-6アルキレン基である。
53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’である。
53における上記炭化水素基は、好ましくはアルキル基またはアリール基であり得る。
上記アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。上記アルキル基は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキル基は、特に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、又はtert-ブチル基である。
上記アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。上記アリールは、好ましくは炭素数6~20のアリール基、より好ましくは炭素数6~10のアリール基である。上記アリール基は、特に好ましくはフェニル基である。
53は、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
51’は、R51と同意義である。即ち、R51’は、-(OSiR53 ma-R53である。ただし、R51中、R51’の数は20以下、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは3以下である。
一の態様において、R53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’である。
好ましい態様において、R53は、それぞれ独立して、それぞれ独立して、炭化水素基である。
一の態様において、Rは-(R4’-SiR3’ ma’-R3’
[式中:
3’は、それぞれ独立して、炭化水素基または-(R-SiR ma-Rであり、
少なくとも1つのR3’は、-(R-SiR ma-Rであり、
は、それぞれ独立して、または炭化水素基であり、
は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
4’は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
ma’は、それぞれ独立して、1~5の整数である。]
である。
別の態様において、一の態様において、R53は-(R61’-SiR53’ ma’-R53’
[式中:
53’は、それぞれ独立して、炭化水素基または-(R61”-SiR53” ma”-R3”であり、
少なくとも1つのR53’は、-(R61”-SiR53” ma”-R53”であり、
53”は、それぞれ独立して、炭化水素基または-(R61-SiR53 ma-R53であり、
少なくとも1つのR53”は、-(R61-SiR52 ma-R53であり、
53は、それぞれ独立して、または炭化水素基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
61”は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
ma”は、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
61’は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
ma’は、それぞれ独立して、1~5の整数である。]
である。
maは、それぞれ独立して、1~5の整数、好ましくは1又は2である。
52は、それぞれ独立して、炭化水素基である。
52における上記炭化水素基は、好ましくはアルキル基またはアリール基であり得る。
上記アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。上記アルキル基は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキル基は、特に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、又はtert-ブチル基である。
上記アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。上記アリールは、好ましくは炭素数6~20のアリール基、より好ましくは炭素数6~10のアリール基である。上記アリール基は、特に好ましくはフェニル基である。
52は、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
naは、1~3の整数である。一の態様において、naは、2である。別の態様において、naは、3である。なお、R51’が存在する場合、naは、(R61-SiR53 ma毎に独立して選択される。
zは、0又は1である。一の態様において、zは0である。別の態様においてzは1である。
好ましい態様において、A基において、
51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
53は、それぞれ独立して、炭化水素基、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、
maは、1または2であり、
52は、それぞれ独立して、炭化水素基、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、
naは、1または2である。
A基の例としては、限定するものではないが、下記の基が挙げられる。
Figure 2024025757000010
Figure 2024025757000011
Figure 2024025757000012
54は、それぞれ独立して、炭化水素基である。
54における上記炭化水素基は、好ましくはアルキル基またはアリール基であり得る。
上記アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。上記アルキル基は、好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキル基は、特に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、又はtert-ブチル基である。
上記アリール基は、単環式であっても多環式であってもよい。上記アリールは、好ましくは炭素数6~20のアリール基、より好ましくは炭素数6~10のアリール基である。上記アリール基は、特に好ましくはフェニル基である。
54は、好ましくはアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。
nbは、1~5の整数、好ましくは2または3である。
好ましい態様において、B基において、
54は、それぞれ独立して、炭化水素基、好ましくは炭素数1~4のアルキル基であり、
nbは、2または3である。
B基の例としては、限定するものではないが、下記の基が挙げられる。
Figure 2024025757000013
におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
nは、0~1500、好ましくは0~1500、より好ましくは0~500、さらに好ましくは0~10であってもよい。一の態様において、nは、好ましくは1~1500、より好ましくは1~500、さらに好ましくは1~10であってもよい。nは、さらにより好ましくは0、1又は2である。
一の態様において、nは、10~500、より好ましくは10~100である。
好ましい態様において、Rはメチルであり、Rはメチルであり、nは1又は2である。
一の態様において、Rは、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含み、かつ、シロキサン結合を含まない1価の有機基であり得る。
一の態様において、Rは、下記式:
-SiR
[式中:
は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、又は-SiR であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基である。]
で表される基である。
におけるC1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-6アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-6アルキル基は、好ましくはC1-4アルキル基である。
におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-12アルキル基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-12アルキル基は、分枝鎖である。上記C1-12アルキル基は、好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基、さらに好ましくはメチル基又はエチル基、特に好ましくはメチル基である。
上記SiR は、好ましくは、-Si(CH、-Si(CHCH、-Si(CH(CH、-Si(CH)(CH)(C(CH))、-Si(Si(CH、又は-Si(Si(CHCHであり得る。
は、炭素数11以上のアルキレン基を含む2価の有機基である。
は、炭素数11以上のアルキレン基に加え、さらに-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-を含む2価の有機基であり、Rは、水素原子又はC1-6アルキル基であり、xは、1~20の整数である。
一の態様において、Xは、好ましくは下記式:
-X21-X10-X11-X12
[式中:
21は、-O-、R61 b162 3-b1C-、R63 b264 3-b2Si-、又はR65 N-であり、
61は、2価の有機基であり、
62は、水素原子、又は1価の有機基であり、
63は、2価の有機基であり、
64は、水素原子、又は1価の有機基であり、
65は、2価の有機基であり、
b1は、2又は3であり、
b2は、2又は3であり、
10は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
11は、単結合、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
xは、1~20の整数であり、
12は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。]
で表される基である。
一の態様において、Xは、好ましくは下記式:
-X10-X11-X12
[式中:
10は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
11は、単結合、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-であり、
は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
xは、1~20の整数であり、
12は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。]
で表される基である。
21は、R61 b162 3-b1C-、R63 b264 3-b2Si-、又はR65 N-である。
61は、2価の有機基である。
61は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHf1-O-(CHf2-(式中、f1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、f2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHf3-フェニレン-(CHf4-(式中、f3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、f4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、R61は、C1-6アルキレン基又は-(CHf3-フェニレン-(CHf4-、好ましくは-フェニレン-(CHf4-である。
別の好ましい態様において、R61は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、R61は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、R61は、-CHCH-であり得る。
62は、水素原子、又は1価の有機基である。
一の態様において、R62は、水素原子である。
別の態様において、R62は、1価の有機基である。
62において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
b1は、2又は3である。一の態様において、b1は2である。別の態様において、b1は3である。
63は、2価の有機基である。
63は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHg1-O-(CHg2-(式中、g1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、g2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHg3-フェニレン-(CHg4-(式中、g3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、g4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、R63は、C1-6アルキレン基又は-(CHg3-フェニレン-(CHg4-、好ましくは-フェニレン-(CHg4-である。
別の好ましい態様において、R63は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、R63は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、R63は、-CHCH-であり得る。
64は、水素原子、又は1価の有機基である。
一の態様において、R64は、水素原子である。
別の態様において、R64は、1価の有機基である。
64において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
b2は、2又は3である。一の態様において、b2は2である。別の態様において、b2は3である。
65は、2価の有機基である。
65は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHh1-O-(CHh2-(式中、h1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、h2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHh3-フェニレン-(CHh4-(式中、h3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、h4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、R65は、C1-6アルキレン基又は-(CHh3-フェニレン-(CHh4-、好ましくは-フェニレン-(CHh4-である。
別の好ましい態様において、R65は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、R65は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、R65は、-CHCH-であり得る。
一の態様において、X21は、R61 b162 3-b1C-である。
一の態様において、X21は、R63 b264 3-b2Si-である。
一の態様において、X21は、R65 N-である。
一の態様において、X21は、-O-である。
及びX10におけるアルキレン基の炭素数は、好ましくは12以上、より好ましくは16以上、さらに好ましくは18以上、さらにより好ましくは22以上であり得る。X及びX10におけるアルキレン基の炭素数は、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下、さらにより好ましくは24以下であり得る。X及びX10におけるアルキレン基の炭素数は、好ましくは11~60、より好ましくは12~40、さらに好ましくは18~30であり得る。
及びX10におけるアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。上記アルキレン基は、好ましくは直鎖である。
11は、好ましくは-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-であり、より好ましくは-CO-、-CONR-、又は-OCONR-、さらに好ましくは-CONR-である。Rは、好ましくは水素原子であり、xは、1~20の整数である。
一の態様において、X12は、単結合である。
別の態様において、X12は、又はC1-6アルキレン基である。
12における又はC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、上記C1-6アルキレン基は、直鎖である。別の態様において、上記C1-6アルキレン基は、分枝鎖である。上記C1-6アルキレン基は、好ましくはC1-4アルキレン基、より好ましくはC1-3アルキレン基である。
一の態様において、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数よりも多い。X中のアルキレン基の炭素原子の数を、R中のSi原子の数よりも多くすることにより、得られる表面処理層の摩擦耐久性をより高くすることができる。
好ましい態様において、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数の2.5倍以上、好ましくは3.0倍以上、さらに好ましくは3.5倍以上であり得る。また、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数の、好ましくは50倍以下、例えば30倍以下、20倍以下、又は10倍以下であってもよい。
一の態様において、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数よりも多い。X中のアルキレン基の炭素原子の数を、R中の主鎖の原子の数よりも多くすることにより、得られる表面処理層の摩擦耐久性をより高くすることができる。
好ましい態様において、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数の2.0倍以上、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは3.0倍以上、さらに好ましくは4.0倍以上であり得る。また、X中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数の、好ましくは30倍以下、例えば20倍以下、10倍以下、6.0倍以下であってもよい。
ここに、R中の主鎖とは、Xに結合するR中のSi原子から最も原子(ただし、水素原子は除く)の数が多くなる原子鎖を意味する。例えば、R中の主鎖の原子の数は、Si(CHOSi(CH-の場合は4個であり、R中の主鎖の原子の数は、Si(CHOSi(CHOSi(CH-の場合は6個であり、Si(Si(CH-の場合は3個である。
Siは、水酸基、又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
Siは、好ましくは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n1は、1~3の整数であり;
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
11は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
11は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
12は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記式中、n1は、1~3の整数、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1である。
は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR21 p122 q123 r1)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。
別の好ましい態様において、Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’である。
1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)に結合する。
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。
別の好ましい態様において、Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。
上記R21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”である。
上記Z1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22” q1”23” r1”)に結合する。
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S2)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。
上記R22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
上記R22”は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3である。
q1”は、(SiR22” q1”23” r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3である。
一の態様において、p1’は、0である。
一の態様において、p1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
一の態様において、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
22は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
上記R23は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3である。
一の態様において、p1は、0である。
一の態様において、p1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
一の態様において、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
式中、Rb1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、又は-NCO(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
式中、Rc1は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
c1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3である。
一の態様において、k1は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
式(S2)において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
好ましい態様において、式(S2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
好ましい態様において、式(S2)で表される基は、-Z-SiR22 q123 r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’ q1’23’ r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22” q1”23” r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
好ましい態様において、式(S2)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2である。
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR31 p232 q233 r2)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’である。
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’ q2’33’ r2’)に結合する。
好ましい態様において、Z2’は、シロキサン結合を含まない。
2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR34 n235 3-n2)に結合する。
一の態様において、Zは酸素原子である。
一の態様において、Zは2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
34は、好ましくは、それぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
35は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S3)の末端部分においては、n2が1~3である(SiR34 n235 3-n2)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S3)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、R33’は、水酸基である。
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3である。
q2’は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、R33は、水酸基である。
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3である。
一の態様において、p2は、0である。
一の態様において、p2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
一の態様において、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
f1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又は-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1又は0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
一の態様において、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34 n235 3-n2)単位は、式(S3)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
好ましい態様において、式(S3)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1である。
上記Zは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR11 n112 3-n1)に結合する。
一の態様において、Zは酸素原子である。
一の態様において、Zは2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
一の態様において、式(S1)、(S2)、(S3)、及び(S4)は、シロキサン結合を含まない。
一の態様において、RSiは、式(S2)、(S3)、又は(S4)で表される基である。
一の態様において、RSiは、式(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、式(S2)は、-SiRa1 c1、又は-SiRa1 であり、Ra1は、-Z-SiR22 q123 r1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-CRe1 f1、又は-CRe1 であり、Re1は、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、Rg1及びRh1は、-Z-SiR11 n112 3-n1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
式(1)で表される化合物は、例えば、下記の方法により製造することができる。
まず、不飽和カルボン酸、又は不飽和カルボン酸エステル、例えば、式:
CH=CH-R71-COOR72
[式中、
71は、炭素数9以上のアルキレン基であり、
72は、水素原子、又はC1-6アルキル基である。]
で表される化合物と、シラン化合物、例えば、式:
-(SiR O)-SiR -H
[式中:
は、C1-12アルキル基であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
nは、0~1500である。]
で表される化合物と反応させ、式:
-(SiR O)-SiR -CHCH-R71-COOR72
で表される化合物を得る。次いで、得られた化合物と、末端に炭素-炭素二重結合を有するアミン誘導体、例えば、式:
NH-R73
[式中、
73は、-R74-CH=CH、又は-R75(-R74-CH=CHであり、
74は、単結合又はC1-6アルキレン基であり、
75は、-R76-Cであり、
76は、単結合又はC1-6アルキレン基である。]
で表される化合物とを反応させ、
-(SiR O)-SiR -CHCH-R71-CONH-R74-CH=CH、又は
-(SiR O)-SiR -CHCH-R71-CONH-R75(-R74-CH=CH
で表される化合物を得る。最後に、上記で得られた化合物と、例えば、式: HSi(R77
[式中、R77は、加水分解性基である。]
で表される化合物とを反応させることにより、式(1)で表される化合物を得ることができる。
次に、本発明の表面処理剤について説明する。
本開示の表面処理剤は、式(1)で表される少なくとも1種の化合物を含有する。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(1)で表される少なくとも1種の化合物それ自体である。
一の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.1~50.0質量%、より好ましくは1.0~30.0質量%、さらに好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは10.0~20.0質量%であり得る。
別の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~2質量%であり得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、本開示の化合物、及び本開示の化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体の少なくとも1つを含有し得る。
上記の態様において、上記縮合体の含有量は、上記シラン化合物と上記縮合体の合計に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり得る。ここで、上記縮合体の含有量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)におけるピーク位置と面積の存在比から求めることができる。
本開示の表面処理剤は、溶媒、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アミン化合物、アルコール類、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R90-OHで表される化合物を含む。
90は1価の有機基であり、好ましくはC1-20アルキル基又はC3-20アルキレン基であり、これらの基は1以上の置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、-OR91(ここで、R91はC1-10アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、例えばメチル基)を挙げることができる。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R81OR82、R83 n86-n8、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89、及び(OSiR8788m9
[式中
81~R89は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、3~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含み得る。
上記炭素数1~10個の一価の有機基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、さらに環状構造を含んでいてもよい。
一の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、酸素原子、窒素原子、又はハロゲン原子を含んでいてもよい。
別の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲン原子を含まない。
好ましい態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭化水素基、好ましくはハロゲンにより置換されていない炭化水素基である。
一の態様において、上記炭化水素基は、直鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、分枝鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、環状構造を含む。
一の態様において、上記溶媒は、R81OR82である。
81及びR82は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくはC1-6のアルキル基、又はC5-8のシクロアルキル基であり得る。
一の態様において、上記溶媒は、R83 n86-n8である。
6-n8は、n8価のベンゼン環である。即ち、R83 n86-n8は、n8個のR83により置換されたベンゼンである。
83は、それぞれ独立して、ハロゲン、又はハロゲンにより置換されていてもよいC1-6のアルキル基であり得る。
n8は、好ましくは1~3の整数である。
一の態様において、上記溶媒は、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89である。
一の態様において、上記溶媒は、(OSiR8788m9である。(OSiR8788m9は、複数のOSiR8788単位が環状に結合することにより形成される環状シロキサンである。
84~R89は、それぞれ独立して、水素原子、又はC1-6のアルキル基、好ましくはC1-6のアルキル基、より好ましくはC1-3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
m8は、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~5の整数であり、さらに好ましくは1~2である。
m9は、好ましくは3~6の整数、より好ましくは3~5の整数である。
一の態様において、上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C13H(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-2000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素炭化水素類;CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等の含フッ素アルコール類;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分岐状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、ハイドロフルオロオレフィン類;CFCH=CHCl(例えば、セントラル硝子株式会社製のCELEFIN(登録商標)1233Z)、CHFCF=CHCl(例えば、旭硝子株式会社製のAMOLEA(登録商標)AS-300)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。さらに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-エトキシエタノール、1,2-ジエトキシエタン、2-メトキシエタノール、テトラエチレングリコ-ルジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシシクロペンタンが特に好ましい。
シリコーンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3a):
1a-(SiR3a -O)a1-SiR3a -R1a ・・・(3a)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、
a1は、2~3000である。]
で表される化合物が挙げられる。
上記R3aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
3aは、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、又はハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
3aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
上記C1-6アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖
である。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
一の態様において、R3aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R3aは、フェニル基である。
別の態様において、R3aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
上記R1aは、それぞれ独立して、水素原子又は炭化水素基であり、上記R3aと同意義である。
1aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基又はアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基又はアリール基である。
一の態様において、R1aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R1aは、フェニル基である。
別の態様において、R1aは、メチル基又はフェニル基、好ましくはメチル基である。
上記a1は、2~1500である。a1は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、例えば30以上、又は50以上であり得る。a1は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下、さらにより好ましくは150以下、例えば100以下、又は80以下であり得る。
a1は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~500、さらに好ましくは15~200、さらにより好ましくは15~150であり得る。
別のシリコーンオイルとしては、下記(3b):
1a-RS2-R3a ・・・(3b)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
S2は、-RSO-SiR -であり、
SOは、それぞれ独立して、下記式:
Figure 2024025757000015
(式中:
は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、又は-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、又は-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、又はナフチレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又はC1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は酸素原子であり、
は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
x+y+zは、1以上であり、
x、y、又はzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基である。]
で表される化合物が挙げられる。
上記シリコーンオイルは、500~1000000、好ましくは1000~100000の平均分子量を有していてよい。シリコーンオイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
上記シリコーンオイルとしては、例えば-(SiR3a -O)a1―のa1が30以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得ることができる。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
上記シリコーンオイルは、本開示の表面処理剤に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~5質量%含まれ得る。
本開示の表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示の化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは0~50質量部、更に好ましくは0~10質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコールが挙げられる。これらのアルコール類を表面処理剤に添加することにより、表面処理剤の安定性を向上さる。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B、Si、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Hf、V等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等が挙げられる。
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。上記芳香族アミン化合物としては、例えば、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
好ましい態様において、上記遷移金属は、M-R(式中、Mは、遷移金属原子であり、Rは加水分解性基である。)で表される遷移金属化合物として含まれる。遷移金属化合物を、遷移金属と加水分解性基とが結合した化合物とすることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
上記加水分解性基とは、上記化合物に関する加水分解性基と同様に、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、遷移金属原子から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
好ましい態様において、上記加水分解性基とは、-ORであり、好ましくはメトキシまたはエトキシである。加水分解性基としてアルコキシ基を用いることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
一の態様において、上記加水分解性基は、上記した化合物に含まれる加水分解性基と同じであってもよい。化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を同じ基とすることにより、かかる加水分解性基が相互に交換された場合であっても、その影響を小さくすることができる。
別の態様において、上記加水分解性基は、上記した化合物に含まれる加水分解性基と異なっていてもよい。化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を異なるものとすることにより、加水分解の反応性を制御することができる。
一の態様において、上記加水分解性基と、上記化合物に含まれる加水分解性基は、表面処理剤中において、相互に入れ替わっていてもよい。
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は、Ta(OR(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基である。)であり、好ましくはTa(OCHCH、又はSi(OR1-m1m’ m1(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基であり、Rm’は、C1-4アルキル基であり、m1は、0又は1である。)、好ましくはテトラエトキシシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、又はジメチルジメトキシシランであり得る。
上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、0.0002質量%以上含まれ得る。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、0.02質量%以上含まれることが好ましく、0.04質量%以上含まれることがより好ましい。上記触媒は、表面処理剤全体に対して、例えば、10質量%以下含まれてもよく、特に1質量%以下含まれる。本開示の表面処理剤は、上記触媒が、上記のような濃度含むことによって、より耐久性の良好な表面処理層の形成に寄与し得る。
上記触媒の含有量は、本開示の化合物に対して0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%が特に好ましい。
触媒は、本開示の化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、本開示の表面処理剤により形成される層の形成を促進する。
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
本開示の表面処理剤は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、乾燥被覆法、好ましくは真空蒸着用である。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、湿潤被覆法、好ましくは浸漬コーティング用である。
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
以下、本開示の物品について説明する。
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示の表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、Ta,Nb、HfO、Si、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜又は熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
別の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
好ましい態様において、上記基材はガラスである。かかるガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、及び化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
一の態様において、本開示の物品は、ガラスと表面処理層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含んでいてもよい。かかる中間層を設けることにより、ガラスと表面処理層との密着性が向上し、耐久性が向上する。
好ましい態様において、上記中間層は、酸化ケイ素に加え、アルカリ金属を含んでいてもよい。
上記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。上記アルカリ金属は、好ましくはナトリウムである。
中間層の厚さは、特に限定されないが、1~200nmが好ましく、1~20nmが特に好ましい。中間層の厚さを上記範囲の下限値以上とすることにより、中間層による接着性の向上効果がより大きくなる。
中間層におけるアルカリ金属原子濃度は各種表面分析装置、たとえばTOF-SIMS、XPS、XRFなどで測定できる。
中間層全体の全原子に占めるアルカリ金属原子の割合は、イオンスパッタリングによるXPS深さ方向分析で得ることができ、XPSによる測定とXPS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
中間層において、表面処理層と接する面からの深さが1nm以下の領域におけるアルカリ金属の濃度の平均値は、イオンスパッタリングによるTOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)深さ方向分析により、アルカリ金属原子の濃度の深さ方向プロファイルを得た後、該プロファイルにおけるアルカリ金属原子濃度の平均値を算出することによって求められる。イオンスパッタリングによるTOF-SIMS深さ方向分析は、TOF-SIMSによる測定とTOF-SIMS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
本開示の表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ワイプコーティング、スキージーコート法、ダイコート、インクジェット、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法及び類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の組成物の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C13H(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-2000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素炭化水素類;CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等の含フッ素アルコール類;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分岐状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、ハイドロフルオロオレフィン類;CFCH=CHCl(例えば、セントラル硝子株式会社製のCELEFIN(登録商標)1233Z)、CHFCF=CHCl(例えば、旭硝子株式会社製のAMOLEA(登録商標)AS-300)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;ジメチルスルホキシドなど。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、脂肪族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。さらに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2-エトキシエタノール、1,2-ジエトキシエタン、2-メトキシエタノール、テトラエチレングリコ-ルジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシシクロペンタンが特に好ましい。
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸又は塩基、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の有機アミン類などを使用できる。遷移金属、脂肪族アミン化合物、及び芳香族アミン化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
本開示の物品に含まれる表面処理層は、高い摩耗耐久性と指紋拭き取り性の双方を有する。また、上記表面処理層は、高い摩耗耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)、耐薬品性などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
従って、本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
また、本開示の物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。また、本開示によって得られる層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、車外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1~50nm、1~30nm、好ましくは1~15nmの範囲であることが、光学性能、摩耗耐久性及び防汚性の点から好ましい。
表面処理層の原子組成および構成原子の比率を測定するためのX線光電子分光分析法を行う装置としては、XPS,アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeIIを使用することができる。XPS分析の測定条件としては、X線源に単色化AlKα線を25W、光電子検出面積を1400μm×300μm,光電子検出角を20度~90度の範囲(例えば20度、45度、90度)、パスエネルギーを23.5eVなどとし、スパッタリングにはガスクラスターイオンビーム、Arイオンなどを用いることが可能である。上記装置、測定条件により、C1s、O1s、Si2pのピーク面積を観測し、炭素、酸素、ケイ素の原子比を算出することにより表面処理層および中間層の組成を求めることができる。
また、深さ方向の分析を実施することも可能である。XPS分析の測定条件としては、X線源に単色化AlKα線を25Wで用い、光電子検出面積を1400μm×300μm,光電子検出角を、20度~90度の範囲(例えば20度、45度、90度)、パスエネルギーを23.5eVなどとし、スパッタイオンにはArイオン、ガスクラスターイオン、C60イオンなどを用いることができる。スパッタリングによって1~100nmエッチングし、それぞれのエッチング後の深さにおいける塗膜中の組成を得ることもできる。
上記のXPS分析の光電子検出角を調整することにより、検出深さを適宜調整することができる。例えば、20度に近い浅い角度とすることにより、検出深さを3nm程度とすることができ、一方、90度に近い深い角度にすることにより、検出深さを10数nm程度とすることができる。
上記した酸化ケイ素を含む中間層は、酸化ケイ素前駆体を基材の表面に適用することにより形成することができる。中間層がアルカリ金属を含む場合、上記中間層は、酸化ケイ素前駆体とアルカリ金属源を含む組成物を基材の表面に適用することにより形成することができる。
上記酸化ケイ素前駆体としては、ケイ酸、ケイ酸の部分縮合物、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物、該シラン化合物の部分加水分解縮合物等が挙げられる。ケイ酸やその部分縮合物は脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができ、アルカリ金属ケイ酸塩は酸や陽イオン交換樹脂によりケイ酸やその部分縮合物とし、生成したケイ酸やその部分縮合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物における加水分解性基としては、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。該シラン化合物の加水分解性基を加水分解させて水酸基とし、生成するシラノール化合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシランやテトラクロロシラン等が挙げられる。
上記アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩等が挙げられる。水溶性アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属塩酸塩、アルカリ金属硝酸塩等が挙げられる。アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩が好ましい。
尚、アルカリ金属ケイ酸塩は酸化ケイ素前駆体かつアルカリ金属源として用いることができる。アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸を経て酸化ケイ素とすることができるが、その際に少量のアルカリ金属が生成する酸化ケイ素中に残留し得る。従って、残留するアルカリ金属の量を調整して、所定量のアルカリ金属原子を含む酸化ケイ素を得ることができる。
上記中間層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1~50nm、好ましくは1~30nm、より好ましくは2~15nm、さらに好ましくは3~10nmの範囲である。
以上、本開示の化合物、組成物、及び物品について詳述した。なお、本開示の化合物、組成物、及び物品などは、上記で例示したものに限定されない。
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
22-トリコセン酸を3.02g、トルエンを26mL、メタノールを17mL、それぞれ加えた後、トリメチルシリルジアゾメタンを20mL滴下し、室温で3時間攪拌した。その後、減圧濃縮することで化合物(1)3.11gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 1.249-1.649 (m), 2.005-2.061 (m), 2.279-2.316 (t), 1.567-1.622 (m), 3.662 (s), 4.904-5.015 (m), 5.760-5.862 (m)
化合物(1)
(合成例2)
合成例1で得られた化合物(1)を0.897g、トルエンを5.0mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.158g、それぞれ加えた後、氷浴で冷却し、1,1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサンを0.7mL滴下した。60℃で7時間攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(2)1.17gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.028-0.120 (m), 0.483-0.522 (t), 1.229-1.258 (m), 1.256-1.285 (m), 1.601-1.638 (m), 2.267-2.322 (t), 3.667 (s)
化合物(2)
(合成例3)
合成例2で得られた化合物(2)を1.10g、トルエンを1.0mL、4-[2,2-ジ(2-プロピレニル)]ペンテニルアミンを1.83g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.568g、それぞれ加えた後、125℃で24時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(3)1.18gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.010-0.088 (m), 0.491-0.509 (m), 1.249-1.287 (m), 1.570-1.642 (m), 2.021-2.041 (d), 2.139-2.177 (t), 3.186-3.202(d), 5.070-5.116(m), 5.535 (s), 5.812-5.917 (m)
化合物(3)
(合成例4)
合成例3で得られた化合物(3)を1.18g、トルエンを18.2mL、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを1.8mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(4)1.63gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.033-0.137 (m), 0.465-0.613 (m), 1.150-1.423 (m), 1.598-1.633 (m), 2.131-2.169 (t), 3.535-3.618 (m)
化合物(4)
(表面処理剤1)
上記で得られた化合物4を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤1を得た。
(合成例5)
合成例2で得られた化合物(2)を0.86g、トルエンを1.0mL、アリルアミンを0.60g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.252g、それぞれ加えた後、75℃で6時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(5)0.791gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.011-0.123 (m), 0.478-0.517 (m), 1.203-1.368 (m), 1.598-1.671 (m), 2.168-2.206 (t), 3.872-3.901 (t), 5.115-5.205(m), 5.479(s), 5.792-5.889 (m)
化合物(5)
(合成例6)
合成例5で得られた化合物(5)を0.79g、トルエンを15.0mL、ピリジンを0.05mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを1.0mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(6)0.912gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.005-0.202 (m), 0.472-0.591 (m), 0.623-0.664 (m), 1.245-1.282 (m), 1.576-1.669 (m), 2.119-2.158 (t), 3.216-3.265 (m), 3.534-3.614 (m)
化合物(6)
(表面処理剤2)
上記で得られた化合物6を溶媒で希釈せずに、表面処理剤2として用いた。
(合成例7)
合成例1で得られた化合物(1)を0.41g、トルエンを1.0g、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.1mL、それぞれ加えた後、CHCHCHCH(Si(CHO)Si(CHHを8.95g仕込み、室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のポリジメチルシロキサン基含有化合物(7)8.36gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.085-0.299 (m), 0.509-0.558 (m), 0.866-0.901 (t), 1.256-1.329 (m), 1.601-1.638 (m), 2.283-2.321 (t), 3.666 (s)
化合物(7)
(n≒60)
(合成例8)
合成例7で得られたポリジメチルシロキサン基含有化合物(7)を3.01g、トルエンを3.16g、アリルアミンを0.247g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.0452g、それぞれ加えた後、75℃で20時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(8)2.181gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.090-0.295 (m), 0.504-0.553 (m), 0.862-0.898 (t), 1.208-1.324 (m), 1.589-1.673 (m), 2.169-2.208 (t), 3.876-3.904 (m), 5.117-5.214 (m), 5.451 (s), 5.755-5.896 (m)
(化合物8)
(合成例9)
合成例8で得られた化合物(8)を2.00g、トルエンを2.00g、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.2mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを1.5mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(9)2.09gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.006-0.295 (m), 0.504-0.556 (m), 0.630-0.670 (m), 0.862-0.896 (m), 1.250-1.347 (m), 1.590-1.672 (m), 2.108-2.164 (t), 3.213-3.281 (m), 3.542-3.621 (m)
(化合物9)
(表面処理剤3)
上記で得られた化合物9を20wt%のヘキサメチルジシロキサン溶液となるよう希釈し、表面処理剤3を得た。
(合成例10)
10-ウンデセン酸メチルを5.02g、トルエンを7.5mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.3mL、ピリジン0.1mL、それぞれ加えた後、氷浴で5℃以下まで冷却し、1,1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサン20mLを加えて、60℃で3時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、化合物(10)8.62gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.017-0.077 (m), 0.465-0.504 (t), 1.250-1.268 (m), 1.567-1.622 (m), 2.264-2.301 (t), 3.643 (s)
化合物(10)
(合成例11)
合成例10で得られた化合物(10)を3.01g、トルエンを8.7mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.140g、アリルアミンを5.52g、それぞれ加えた後、75℃で24時間攪拌した。その後、トルエンで希釈し、塩酸水溶液で洗浄した。続いて硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(12)2.74gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.004-0.036 (m), 0.448-0.487 (m), 1.229-1.258 (m), 1.562-1.636 (m), 2.154-2.193 (t), 3.815-3.847 (m), 5.053-5.162 (m), 5.745-5.841 (m), 6.237 (s)
化合物(11)
(合成例12)
合成例11で得られた化合物(11)を2.07g、トルエンを2.0g、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.2mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを6.2mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(12)2.53gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.136-0.046 (m), 0.464-0.503 (t), 0.618-0.658 (m), 1.247-1.272 (m), 1.571-1.663 (m), 1.796 (s), 2.117-2.155(t), 3.209-3.258(m), 3.562 (s)
化合物(12)
(表面処理剤4)
上記で得られた化合物12を20wt%のヘキサメチルジシロキサン溶液となるよう希釈し、表面処理剤4を得た。
(合成例14)
合成例1で得られた化合物(1)を0.50g、トルエンを10.0mL、ピリジンを0.05mL、及び1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.3mL、それぞれ加えた後、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを1.2mL滴下した。室温で17時間攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(14)0.87gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.033-0.241 (m), 0.438-0.550 (m), 1.191-1.413 (m), 1.607-1.642 (m), 2.242-2.325 (m), 3.669 (s)
化合物(14)
Figure 2024025757000028
(合成例15)
合成例14で得られた化合物(14)を0.86g、アリルアミンを5.0mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.20g、それぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(15)0.72gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.076-0.128 (m), 0.413-0.465 (t), 1.183-1.1.404 (m), 1.604-1.677 (m), 2.173-2.248 (t), 3.841-3.942(m), 5.122-5.210(m), 5.809-5.877 (m)
化合物(15)
Figure 2024025757000029
(合成例16)
合成例15で得られた化合物(15)を0.72g、トルエンを6.0mL、ピリジンを0.04mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.26mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを1.4mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(16)0.48gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.054-0.149 (m), 0.425-0.464 (t), 0.628-0.681 (m), 1.181-1.402 (m), 1.544-1.768(m), 2.125-2.164 (t), 3.558-3.646 (m)
化合物(16)
Figure 2024025757000030
(表面処理剤5)
上記で得られた化合物16を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤4を得た。
(合成例17)
合成例1で得られた化合物(1)を0.93g、トルエンを15.0mL、ピリジンを0.09mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、ヘプタメチルシクロテトラシロキサンを1.1g滴下した。室温で6時間攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(17)2.1gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.029-0.219 (m), 0.507-0.546 (t), 1.221-1.407 (m), 1.569-1.640 (m), 2.269-2.322 (m), 3.669 (s)
化合物(17)
Figure 2024025757000031
(合成例18)
合成例17で得られた化合物(17)を1.10g、アリルアミンを9.0mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.39g、それぞれ加えた後、75℃で6時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(18)2.43gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.025-0.172 (m), 0.447-0.570 (m), 1.108-1.435 (m), 1.604-1.677 (quin), 2.175-2.214 (t), 3.879-3.904(m), 5.121-5.206(m), 5.796-5.893 (m)
化合物(18)
Figure 2024025757000032
(合成例19)
合成例18で得られた化合物(18)を2.40g、トルエンを20mL、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.8mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを4.0mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(19)2.4gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.024-0.169 (m), 0.504-0.569 (m), 0.631-0.672 (t), 1.183-1.403 (m), 1.586-1.676 (quin), 2.127-2.166 (t), 3.192-3.273 (quin), 3.492-3.612 (m)
化合物(19)
Figure 2024025757000033
(表面処理剤6)
上記で得られた化合物19を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤6を得た。
(合成例20)
合成例1で得られた化合物(1)1.0g、トルエンを5.5mL、クロロジメチルシランを0.9mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.14mL、それぞれ加えた後、40℃で4時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、末端にクロロジメチルシリル基を有する化合物(101)1.12gを得た。続いて別のフラスコでパラジウム/炭素(Pd10%)(約55%水湿潤品)を3g、テトラヒドロフラン44mL、水9mL、1,1,1,3,5,5,5‐ヘプタメチルトリシロキサン10mLを加え、70℃で2時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、末端にシラノール基を有する化合物(102)2.2gを得た。化合物(101)と化合物(102)をトルエンに溶解し、室温で終夜攪拌を行い、ピリジンを加えてさらに1時間攪拌させた。その後、分液精製とシリカゲルカラム精製を行うことにより、化合物(20)0.401gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.359-0.477 (m), 0.790-0.830 (m), 1.251-1.439 (m), 1.578-1.632 (t), 2.277-2.315 (t), 3.659 (s)
(化合物20)
Figure 2024025757000034
(合成例21)
合成例20で得られた化合物(20)を0.401g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.085g、アリルアミンを1.55g、それぞれ加えた後、75℃で4時間攪拌した。その後、ジエチルエーテルで希釈し、塩酸水溶液で洗浄した。続いて硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(21)0.374gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.057-0.269 (m), 0.512-0.552 (m), 1.150-1.431 (m), 1.599-1.672 (m), 2.173-2.211 (m), 3.889 (s), 5.115-5.125(m), 5.482(bs), 5.792-5.889 (m)
(化合物21)
Figure 2024025757000035
(化合物22)
合成例21で得られた化合物(21)を0.374g、トルエンを3.6mL、アニリンを13.5μL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を28μL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.13mL仕込み、45℃で4時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(22)0.384gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.010-0.209 (m), 0.450-0.560 (m), 0.628-0.668 (m), 1.180-1.367 (m), 1.581-1.674 (m), 2.123-2.162(t), 3.220-3.269(q), 3.561-3.618(m), 5.636 (bs)
(化合物22)
Figure 2024025757000036
(表面処理剤7)
上記で得られた化合物22を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤7を得た。
(化合物23)
フラスコにトリス(トリメチルシリルオキシ)シラン(0.7g)、18-オクタデセン-1-オール(1.0g)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(0.24g)、トルエン(10mL)を加え、マグネチックスターラーで溶液を撹拌しながら、オイルバス(70℃設定)で2時間加熱した。その後、シリカゲルカラムで反応液をろ過し、ろ液を
濃縮して末端オレフィン化合物(23)1.2gを無色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 5.87-5.76 (m, 1H), 5.02-4.91 (m, 2H), 3.64 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.07-2.01 (m, 2H), 1.55-1.50 (m, 2H), 1.41-1.26 (m, 26H), 0.15-0.07 (m, 18H), 0.03 (s, 3H)
(化合物23)
Figure 2024025757000037
(合成例24)
フラスコに末端オレフィン化合物(23)(1.0g)、カールシュテット触媒(0.13g、白金2%含有のキシレン溶液)、トリメトキシシラン(0.75g)、ピリジン(22mg)、トルエン(10mL)を加え、室温で4時間撹拌した後、減圧濃縮し、化合物(24)1.09gを微黄色オイルとして得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 3.74-3.53 (m, 11H), 1.56-1.50 (m, 2H), 1.43-1.25 (m, 30H), 0.67-0.62 (m, 2H), 0.26-0.07 (m, 18H), 0.04 (q, J = 4.4 Hz, 3H)
(化合物24)
Figure 2024025757000038
(表面処理剤8)
上記で得られた化合物24を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤8を得た。
(合成例25)
合成例14で得られた化合物(14)を1.8g、2-アリルペント-4-エン-1-アミンを2.01mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.43g、それぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(25)1.92gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.076-0.128 (m), 0.413-0.465 (t), 1.183-1.1.404 (m), 1.604-1.677 (m),1.704-1.769 (m), 1.994-2.093 (m), 2.103-2.285 (m), 3.161-3.328(t), 4.997-5.195(m), 5.397-5.595 (s) , 5.708-5.975 (m)
化合物(25)
Figure 2024025757000039
(合成例26)
合成例25で得られた化合物(25)を0.47g、トルエンを3.5mL、ピリジンを0.014mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.1mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.52mL仕込み、室温で3時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(26)0.48gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.054-0.149 (m), 0.425-0.464 (t), 0.628-0.681 (t), 1.181-1.402 (m), 1.544-1.768(m), 2.125-2.164 (t), 3.135-3.203 (t) , 3.558-3.646 (m), 5.449-5.528 (s)
化合物(26)
Figure 2024025757000040
(表面処理剤9)
上記で得られた化合物26を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤9を得た。
(合成例27)
ガラス製フラスコに、スターラーチップと、16-ヒドロキシヘキサデカン酸を2.0g、炭酸カリウムを3.6g、ヨウ化メチルを1.5g、ジメチルスルホキシドを10mL加え、フラスコを60℃のオイルバスにつけ、マグネチックスターラーで18時間撹拌した。その後、フラスコにトルエンと水を加えて撹拌し、フラスコ内の液を分液ろうとに移し、静置して分液し、下層(水層)を除去した。同様に加えて2回、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、無色オイルとして16-ヒドロキシヘキサデカン酸メチルを1.9g得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 3.66-3.62 (m, 5H), 2.36-2.28 (m, 2H), 1.65-1.53 (m, 4H), 1.33-1.25 (m, 22H)
16-ヒドロキシヘキサデカン酸メチル
Figure 2024025757000041
(合成例28)
ガラス製フラスコに、スターラーチップと、合成例27で得られた16-ヒドロキシヘキサデカン酸メチルを0.93g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.46g、アリルアミンを2.5mL加え、室温下、マグネチックスターラーで2時間撹拌した。その後、フラスコにクロロホルムと塩酸水溶液を加えて撹拌し、フラスコ内の液を分液ろうとに移し、静置して分液し、上層(水層)を除去した。同様に加えて2回、有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、白色固体としてN-アリル-16-ヒドロキシヘキサデカナミドを0.88g得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 5.89-5.79 (m, 1H), 5.49 (s, 1H), 5.20-5.12 (m, 2H), 3.89 (td, J = 5.7, 1.4 Hz, 2H), 3.64 (dd, J = 12.1, 5.3 Hz, 2H), 2.21-2.17 (m, 2H), 1.65-1.53 (m, 4H), 1.40-1.25 (m, 22H)
N-アリル-16-ヒドロキシヘキサデカナミド
Figure 2024025757000042
(合成例29)
ガラス製フラスコに、スターラーチップと、合成例28で得られたN-アリル-16-ヒドロキシヘキサデカナミドを0.77g、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを0.5g、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを0.11g、トルエンを14mL加え、フラスコを70℃のオイルバスにつけ、マグネチックスターラーで2時間撹拌した。シリカゲルを5g、フラスコに入れ、室温で撹拌した後にろ過し、ろ液を減圧濃縮することで、白色固体として化合物(29)を0.86g得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 5.89-5.79 (m, 1H), 5.45 (s, 1H), 5.21-5.12 (m, 2H), 3.89 (tt, J = 5.7, 1.4 Hz, 2H), 3.65 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 2.18 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 1.67-1.50 (m, 4H), 1.29-1.25 (m, 22H), 0.16-0.09 (m, 18H), 0.03 (s, 3H)
化合物(29)
Figure 2024025757000043
(合成例30)
ガラス製フラスコに、スターラーチップと、合成例29で得られた化合物(29)を0.86g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.1mL、ピリジンを14μL、トリメトキシシランを0.50mL、トルエンを10mL加え、室温下、マグネチックスターラーで4時間撹拌した。その後、減圧濃縮を行うことにより、淡黄色オイルとして化合物(30)を0.94g得た。
1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ 5.62 (s, 1H), 3.65-3.54 (m, 11H), 3.25 (q, J = 6.7 Hz, 2H), 2.20-2.12 (m, 2H), 1.68-1.50 (m, 6H), 1.27 (d, J = 12.8 Hz, 22H), 0.67-0.63 (m, 2H), 0.15-0.07 (m, 18H), 0.01 (s, 3H)
化合物(30)
Figure 2024025757000044
(表面処理剤10)
上記で得られた化合物(30)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤10を得た。
(合成例31)
12-アミノラウリン酸メチルHN(CH11COOCHを7.01g、ジクロロメタンを40.0ml、4-ジメチルアミノピリジンを0.73g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を8.77g、それぞれ加えて、氷浴下10-ウンデセン酸を 6.20g加えて室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のアミド基含有メチルエステル化合物(31)CH=CH(CHCONH(CH11COOCH 11.34gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 1.251-1.375 (m), 1.456-1.490 (m), 1.573-1.644 (m), 1.998-2.061 (m) , 2.121-2.158 (t) , 2.275-2.313 (t) , 3.201-3.251 (m), 3.658 (s) , 4.903-5.007 (m), 5.397 (br s), 5.747-5.849 (m)
アミド基含有メチルエステル化合物(31)
Figure 2024025757000045
(合成例32)
合成例31で得られたアミド基含有メチルエステル化合物(31)CH=CH(CHCONH(CH11COOCHを4.00g、トルエンを46.0ml、ピリジンを0.33ml、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.52ml、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを6.86ml、それぞれ加え、60℃下で8時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端シロキサン化合物(32)((CHSiO)SiCH(CH10CONH(CH11COOCH 5.09gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.014-0.013 (m), 0.415-0.453 (t), 1.250-1.271 (m), 1.998-2.061 (m) , 2.121-2.158 (t) , 2.275-2.313 (t) , 3.201-3.251 (m), 3.658 (s) , 4.903-5.007 (m), 5.397 (br s), 5.747-5.849 (m)
末端シロキサン化合物(32)
Figure 2024025757000046
(合成例33)
合成例32で得られた末端シロキサン化合物(32)((CHSiO)SiCH(CH10CONH(CH11COOCHを1.27g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを 0.34g、アリルアミンを3.52g、それぞれ加えて、65℃に加熱し6時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端シロキサン化合物(33)((CHSiO)SiCH(CH10CONH(CH11CONHCHCH=CH1.05gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.072-0.104 (m), 0.418-0.457 (t), 1.255-1.287 (m), 1.459-1.494 (m) , 1.597-1.631 (m) , 2.124-2.206 (m) , 3.204-3.254 (m), 3.871-3.903 (m) , 5.112-5.199 (m), 5.791-5.887 (m)
末端シロキサン化合物(33)
Figure 2024025757000047
(合成例34)
合成例33で得られた末端シロキサン化合物(33)((CHSiO)SiCH(CH10CONH(CH11CONHCHCH=CHを1.00g、トルエンを10.0g、トリアセトキシメチルシランを0.01g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.08ml、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.40mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、メタノール0.15gおよびオルトギ酸トリメチル3.40mlの混合溶液を加えた後、65℃に加熱し2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端トリメトキシシリル基含有化合物(34)((CHSiO)SiCH(CH10CONH(CH11CONH(CHSi(OCH0.60gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.081-0.154 (m), 0.521-0.668 (m), 1.253 (br s), 1.463-1.495 (m) , 1.581-1.698 (m) , 2.124-2.163 (t) , 3.204-3.251 (m), 3.570 (s)
末端トリメトキシシリル基含有化合物(34)
Figure 2024025757000048
(合成例35)
16-ヘプタデセン酸を1.00g、トルエンを11.2mL、メタノールを7.50mL、それぞれ加えた後、トリメチルシリルジアゾメタンを7.60mL滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、減圧濃縮することで化合物(35)1.15gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 1.252-1.371 (m),1.597-1.615 (m), 2.010-2.061 (m), 2.279-2.316 (t), 3.662 (s), 4.910-5.012 (dd), 5.777-5.846 (m)°
化合物(35)
Figure 2024025757000049
(合成例36)
合成例35で得られた化合物(35)を1.06g、トルエンを18.8mL、ピリジンを0.12mL、1,3-ジビニルー1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.43mLをそれぞれ加えた後、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを3.06mL滴下し、室温で6時間攪拌した。その後、減圧濃縮することで化合物(36)2.07gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.001-0.130 (m),0.434-0.472 (m), 1.176-1.288 (m), 1.582-1.640 (m), 2.269-2.323 (m), 3.670(s)
化合物(36)
Figure 2024025757000050
(合成例37)
合成例36で得られた化合物(36)を0.80g、アリルアミンを5.96mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5-エンを0.22gをそれぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(37)0.62gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.012-0.123 (m),0.423-0.461 (m), 1.250-1.289 (m), 1.615-1.660 (m),2.166-2.204 (t), 3.122-2.228(m), 3.876-3.902 (m), 5.108-5.202 (m),5.778-5.886(m)°
化合物(37)
Figure 2024025757000051
(合成例38)
合成例37で得られた化合物(37)を0.5g、トルエンを2.0mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.054mL、アニリンを0.026mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.24mL仕込み、45℃で2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(38)0.46gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.064-0.0.231 (m), 0.446 (t), 0.652 (t), 1.109-1.404 (m), 1.529-1.676 (m), 2.148 (t), 3.249 (q), 3.493-3.667 (m), 5.630 (br)
化合物(38)
Figure 2024025757000052
(表面処理剤11)
上記で得られた化合物(38)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤11を得た。
(合成例39)
合成例36と同様の方法で得られた化合物(36)を1.00g、2-アリルペント-4-エン-1-アミンを2.41mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカー5-エンを0.28gをそれぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(39)1.03gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.012-0.123 (m),0.423-0.561 (m), 1.178-1.279 (m), 1.610-1.629 (m),1.716-1.749 (m),2.042-2.352(m), 3.122-2.228(m), 3.663-3.744 (m), 5.031-5.157 (m),5.734-5.838(m)°
化合物(39)
Figure 2024025757000053
(合成例40)
合成例39で得られた化合物(39)を0.82g、トルエンを2.0mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.078mL、アニリンを0.038mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.70mL仕込み、45℃で2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(40)1.08gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: -0.001-0.166 (m), 0.453 (t), 0.635 (t), 1.190-1.327 (m), 1.398-1.546 (m), 1.627(quin), 2.159(t), 3.189(t), 3.489-3.685 (m), 5.510(t)
化合物(40)
Figure 2024025757000054
(表面処理剤12)
上記で得られた化合物(40)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤12を得た。
(合成例41)
合成例1と同様の方法で得られた化合物(1)を1.04g、トルエンを15mL、ピリジンを0.08mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、Gelest社製MCR-H07を3.68mL滴下した。室温で二日間攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(41)4.15gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、10である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.019-0.115 (m), 0.511 (t), 0.858(t), 1.200-1.325 (m), 1.592 (quin), 2.276-2.293 (m), 3.641(s)
化合物(41)
Figure 2024025757000055
(合成例42)
合成例41で得られた化合物(41)を3.85g、アリルアミンを10mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.40g、それぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで、化合物(42)3.09gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、10である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.018-0.113 (m), 0.509 (t), 0.858 (t), 1.165-1.376 (m), 1.613 (quin), 2.162(t), 3.852-3.877(m), 5.093-5.175 (m), 5.412(br), 5.7770-5.864(m)
化合物(42)
Figure 2024025757000056
(合成例43)
合成例42で得られた化合物(42)を3.09g、トルエンを10mL、ピリジンを0.065mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.47mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを2.4mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する、下記の化合物(43)2.96gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、10である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.019-0.086 (m), 0.482-0.541 (m), 0.625 (t), 0.858 (t), 1.259-1.325(m), 1.520-1.649 (m), 2.121 (t), 3.223(q), 3.519-3.590(m), 5.599(br)
化合物(43)
Figure 2024025757000057
(表面処理剤13)
上記で得られた化合物(43)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤13を得た。
(合成例44)
合成例1と同様の方法で得られた化合物(1)を1.04g、トルエンを15mL、ピリジンを0.08mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、Gelest社製MCR-H11を4.0g滴下した。室温で二日間攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(44)4.36gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、13である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.019-0.115 (m), 0.490-0.530 (m), 0.858 (t), 1.200-1.378 (m), 1.592 (quin), 2.276-2.293 (m), 3.640 (s)
化合物(44)
Figure 2024025757000058
(合成例45)
合成例44で得られた化合物(44)を4.36g、アリルアミンを10mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.37g、それぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで、化合物(45)3.55gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、13である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.018-0.131 (m), 0.490-0.528 (t), 0.858 (t), 1.182-1.377 (m), 1.613 (quin), 2.162 (t), 3.852-3.880 (m), 5.093-5.175(m), 5.401 (br), 5.770-5.868 (m)
化合物(45)
Figure 2024025757000059
(合成例46)
合成例45で得られた化合物(45)を3.55g、トルエンを15mL、ピリジンを0.08mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.6mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを3.0mL仕込み、室温で終夜撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する、下記の化合物(46)3.43gを得た。なお、繰り返し単位数nの平均値は、13である。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.019-0.100 (m), 0.491-0.531 (m), 0.626 (t), 0.859 (t), 1.184-1.327(m), 1.578-1.653 (m), 2.122 (t), 3.225 (q), 3.520-3.626 (m), 5.600 (br)
化合物(46)
Figure 2024025757000060
(表面処理剤14)
上記で得られた化合物(46)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤14を得た。
(合成例47)
合成例1と同様の方法で得られた化合物(1)を1.25g、トルエンを20.0mL、ピリジンを0.1mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.65mL、それぞれ加えた後、トリス(トリメチルシリルオキシ)シランを1.01g滴下した。室温で終夜攪拌した後、精製を行うことにより、下記の化合物(47)1.36gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.013-0.142 (m), 0.408 (t), 1.137-1.378 (m), 1.591 (quin), 2.275 (t), 3.639 (s)
化合物(47)
Figure 2024025757000061
(合成例48)
合成例47で得られた化合物(47)を0.64g、アリルアミンを2.8mL、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.12g、それぞれ加えた後、75℃で3時間攪拌した。その後、塩酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理し、減圧濃縮することで化合物(48)0.68gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.011-0.217 (m), 0.407 (t), 1.153-1.378 (m), 1.612 (quin),2.163 (t), 3.865(tt), 5.090-5.182(m), 5.409 (br), 5.770-5.866 (m)
化合物(48)
Figure 2024025757000062
(合成例49)
合成例48で得られた化合物(48)を0.56g、トルエンを10.0mL、アニリンを0.022mL、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.46mL、それぞれ加えた後、トリメトキシシランを0.2mL仕込み、45℃で2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(49)0.57gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.010-0.141 (m), 0.408 (t), 0.629 (t), 1.150-1.376 (m), 1.519-1.652(m), 2.121 (t), 3.172 (q), 3.516-3.589 (m), 5.607 (br)
化合物(49)
Figure 2024025757000063
(表面処理剤15)
上記で得られた化合物(49)を20wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤15を得た。
(合成例50)
11-ブロモ-1-ウンデセンCH=CH(CHBrを4.00g、トルエンを23.0ml、トリアセトキシメチルシランを0.11g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.76ml、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンを6.98ml、それぞれ加えて、室温で6時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端シロキサン化合物(50)((CHSiO)SiCH(CH11Br 7.02gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.002 (s), 0.050-0.100 (m), 0.427-0.465 (t), 1.266-1.281 (m), 1.404-1.440 (m), 1.816-1.888 (m), 3.387-3.421 (t)
末端シロキサン化合物(50)
Figure 2024025757000064
(合成例51)
合成例50で得られた末端シロキサン化合物(50)((CHSiO)SiCH(CH11Brを2.50g、テトラヒドロフランを5.5ml、マグネシウムを0.14g、ヨウ素を0.02g、それぞれ加え、65℃下で2時間攪拌した。続いて氷浴下クロロジメチルシランを0.89ml加え、室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端シロキサン化合物(51)((CHSiO)SiCH(CH11Si(CHH2.14gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.052 (s), 0.061 (s), 0.077-0.101 (m), 0.428-0.467 (t), 0.551-0.597 (m), 1.261-1.311 (m), 3.817-3.853 (m)
末端シロキサン化合物(51)
Figure 2024025757000065
(合成例52)
合成例51で得られた末端シロキサン化合物(51)((CHSiO)SiCH(CH11Si(CHHを1.51g、トルエンを7.6g、ピリジンを0.01g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.08ml、それぞれ加えた後、トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シランを0.70mL仕込み、50℃に加熱し6時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、下記の末端シロキサン化合物(52)((CHSiO)SiCH(CH11Si(CH(CHSi(OCH1.97gを得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ[ppm]: 0.082 (s), 0.426-0.480 (m), 0.625-0.665 (m), 1.231-1.349 (m), 1.370-1.1.409 (m), 3.566 (s)
末端シロキサン化合物(52)
Figure 2024025757000066
(Na入り中間層形成材料)
水酸化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)の2.2gを、蒸留水24gに溶解して、8.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液を得た。この8.4質量%の水酸化ナトリウム水溶液の24gとMSゲル(M.S.GEL D-100-60A(AGCエスアイテック社製))の20gとを混合して、水酸化ナトリウム水溶液をMSゲル中に吸収させた。水酸化ナトリウム水溶液を吸収したMSゲルを25℃で8時間乾燥した後、錠剤成形機(4MPaで1分)で成形し、1,000℃で1時間焼成して成形体1(ペレット)を得た。
(表面処理層の形成)
(実施例1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25、比較例1)
上記で調製した表面処理剤1~14を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。具体的には、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに表面処理剤0.1gを充填し、真空蒸着装置内を圧力3.0×10-3Pa以下に排気した。その後、7nmの厚さの二酸化ケイ素膜を形成し、続いて抵抗加熱方式によりボートを加熱することで表面処理層を形成した。その後、オーブンで150℃、2時間の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
(実施例2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26及び28)
上記で調製した表面処理剤1~3、及び5~14を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。具体的には、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに表面処理剤0.1gを充填し、真空蒸着装置内を圧力3.0×10-3Pa以下に排気した。その後、成形体1を用いて電子線蒸着方式により蒸着させて、7nmの厚さのNaを含む二酸化ケイ素膜を形成し、続いて抵抗加熱方式によりボートを加熱することで表面処理層を形成した。その後、オーブンで150℃、2時間の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
<評価>
[耐摩耗性評価]
(初期評価)
初期評価(摩擦回数0回)として、表面処理層の形成後、表面上の余剰分を拭き上げたのちに、水の静的接触角を測定した。接触角の測定は、25℃環境下において、全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学社製)を用いた。具体的には、測定対象の表面処理層を有する基材を水平に静置し、その表面にマイクロシリンジから水を滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより静的接触角を測定した。静的接触角は、基材の表面処理層の異なる5点において測定し、その平均値を算出した値を用いた。
(耐摩耗性試験後の評価)
形成された表面処理層に対して、下記の摩擦子を接触させ、その上に5Nの荷重を付与し、荷重を加えた状態で摩擦子を40mm/秒の速度で往復させた。所定の摩擦回数において、水の静的接触角を測定した。結果は(表1)に示す。
・摩擦子
下記に示すシリコーンゴム加工品の表面を、下記に示す組成の人工汗に浸漬したコットンで覆ったものを摩擦子として用いた。
人工汗の組成:
無水リン酸水素二ナトリウム:2g
塩化ナトリウム:20g
85%乳酸:2g
ヒスチジン塩酸塩:5g
蒸留水:1Kg
シリコーンゴム加工品:
タイガースポリマー製、シリコーンゴム栓SR-51を、直径1cm、厚さ1cmの円柱状に加工したもの。
Figure 2024025757000067
本開示の表面処理剤は、種々多様な用途に好適に利用され得る。

Claims (30)

  1. 下記式(1):
    Figure 2024025757000068
    [式中:
    は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、
    は、炭素数11以上のアルキレン基を含む2価の有機基であり、
    Siは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。]
    で表される化合物。
  2. は、R-(SiR O)-SiR -であり、
    は、C1-12アルキル基であり、
    は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    nは、0~1500である、
    請求項1に記載の化合物。
  3. は、メチル基である、請求項2に記載の化合物。
  4. は、R-(SiR O)-SiR -であり、
    は、下記A基またはB基:
    Figure 2024025757000069
    [式中:
    51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
    61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
    53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
    51’は、R51と同意義であり、
    maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
    ただし、R51中、R51’の数は20以下であり、
    52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
    naは、1~3の整数であり、
    54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
    nbは、1~5の整数であり、
    zは、0又は1である。]
    で表される基であり、
    54は、それぞれ独立して、C1-12アルキル基であり、
    nは、0~1500である、
    請求項1に記載の化合物。
  5. は、メチル基である、請求項2又は4に記載の化合物。
  6. nは、1又は2である、請求項2又は4に記載の化合物。
  7. は、-SiR であり、
    は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、又は-SiR であり、
    は、それぞれ独立して、C1-6アルキル基である、
    請求項1に記載の化合物。
  8. は、下記A基またはB基:
    Figure 2024025757000070
    [式中:
    51は、それぞれ独立して、-(R61-SiR53 ma-R53で表される基であり、
    61は、それぞれ独立して、酸素原子、又はC1-6アルキレン基であり、
    53は、それぞれ独立して、炭化水素基またはR51’であり、
    51’は、R51と同意義であり、
    maは、それぞれ独立して、1~5の整数であり、
    ただし、R中、R1’の数は20以下であり、
    52は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
    naは、1~3の整数であり、
    54は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
    nbは、1~5の整数であり、
    zは、0又は1である。]
    で表される基である、請求項1に記載の化合物。
  9. は、さらに、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-を含む2価の有機基であり、
    は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
    xは、1~20の整数である、
    請求項1に記載の化合物。
  10. は、下記式:
    -X21-X10-X11-X12
    [式中:
    21は、-O-、R61 b162 3-b1C-、R63 b264 3-b2Si-、又はR65 N-であり、
    61は、2価の有機基であり、
    62は、水素原子、又は1価の有機基であり、
    63は、2価の有機基であり、
    64は、水素原子、又は1価の有機基であり、
    65は、2価の有機基であり、
    b1は、2又は3であり、
    b2は、2又は3であり、
    10は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
    11は、単結合、-CO-、-COO-、-NR-、-CONR-、-OCONR-、-NR-CO-NR-、-O-、-S-、-O-(CH-CONR-、又は-O-(CH-CO-であり、
    は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、
    xは、1~20の整数であり、
    12は、単結合、又はC1-6アルキレン基である。]
    で表される基である、
    請求項1に記載の化合物。
  11. 中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数よりも多い、請求項1に記載の化合物。
  12. 中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中のSi原子の数の2.5倍以上である、請求項1に記載の化合物。
  13. 中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数よりも多い、請求項1に記載の化合物。
  14. 中のアルキレン基の炭素原子の数は、R中の主鎖の原子の数の2.0倍以上である、請求項1に記載の化合物。
  15. Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、又は(S4):
    Figure 2024025757000071
    [式中:
    11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    n1は、1~3の整数であり;
    a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
    は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
    21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
    22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    1’は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
    21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
    22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    1”は、それぞれ独立して、酸素原子又は2価の有機基であり;
    22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
    31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
    32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
    33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
    p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
    32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
    33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
    q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
    34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり;
    35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり;
    f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり;
    k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり;
    g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり;
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子又は2価の有機基であり;
    ただし、式(S2)、(S3)、及び(S4)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
    で表される基である、請求項1に記載の化合物。
  16. 下記式(1a):
    Figure 2024025757000072
    [式中:
    は、水酸基又は加水分解性基が直接結合していないSi原子を1つ以上含む1価の基であり、
    は、炭素数11以上のアルキレン基であり、
    は、-COOR、-CONR 、又は-CONR-CR であり、
    は、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、
    は、末端に二重結合を有するC2-6アルケニル基である。]
    で表される化合物。
  17. 請求項1に記載の化合物を含む、表面処理剤。
  18. さらに請求項1に記載の化合物の縮合体を含む、請求項17に記載の表面処理剤。
  19. さらに、R81OR82、R83 n86-n8、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89、及び(OSiR8788m9
    [式中
    81~R89は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
    m8は、1~6の整数であり、
    m9は、4~8の整数であり、
    n8は、0~6の整数である。]
    で表される化合物から選択される溶媒を含む、請求項17に記載の表面処理剤。
  20. 前記溶媒は、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89である、請求項19に記載の表面処理剤。
  21. 前記溶媒は、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又はデカメチルシクロペンタシロキサンである、請求項19に記載の表面処理剤。
  22. 真空蒸着用である、請求項17に記載の表面処理剤。
  23. 湿潤被覆用である、請求項17に記載の表面処理剤。
  24. 請求項17に記載の表面処理剤を含有するペレット。
  25. 基材と、該基材上に、請求項1に記載の化合物から形成された層とを含む物品。
  26. 前記基材と前記層との間に酸化ケイ素を含む中間層を含む、請求項25に記載の物品。
  27. 前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、請求項26に記載の物品。
  28. 前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウム原子である、請求項27に記載の物品。
  29. 光学部材である、請求項25に記載の物品。
  30. ディスプレイである、請求項25に記載の物品。
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