JP2024025251A - 契約支援システム及びプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
契約者間で締結される契約の分析を支援する契約支援システムであって、
前記契約において前提とする前提事項とシミュレーション対象とするシミュレーション事項とを含む契約条件を設定する契約条件設定手段と、
前記契約を分析するための契約分析データを記憶する契約分析データ記憶手段と、
前記契約分析データ記憶手段に記憶されている契約分析データ及び前記契約条件設定手段により設定された契約条件に基づいて、前記契約者間で公平となる、前記シミュレーション事項の中央値を分析する契約分析手段と、
前記契約分析手段により分析された分析結果を提示する契約分析結果提示手段と
を備えたことを特徴とする。
前記シミュレーション事項を変動させて、前記中央値として、前記契約者各々が負うリスクと前記契約者各々が得る利益とのバランスのとれた状態を判定し、
前記契約分析結果提示手段は、
前記契約分析手段により判定された前記中央値に関する情報を提示することを特徴とする。
前記契約分析手段は、
前記契約の文言毎にリスク要因及びコスト要因を判定し、前記リスク要因及び前記コスト要因各々が起こる確率を算出することで、前記契約者各々が負うリスクを算出することを特徴とする。
前記前提事項を構成する前記契約の文言が変更された場合、前記契約条件設定手段は、設定済の前記前提事項を変更し、
前記契約分析手段は、前記変更された前提事項に基づいて、前記シミュレーション事項の中央値を再分析することを特徴とする。
前記契約分析手段は、前記契約の文言が変更されたことにより変動する前記リスクを再分析し、
前記契約分析結果提示手段は、前記再分析したリスクに関する情報を前記変更された文言と対応づけて提示することを特徴とする。
契約者間で締結される契約の分析を支援するプログラであって、
コンピュータを、
前記契約において前提とする前提事項とシミュレーション対象とするシミュレーション事項とを含む契約条件を設定する契約条件設定手段と、
前記契約を分析するための契約分析データを記憶する契約分析データ記憶手段と、
前記契約分析データ記憶手段に記憶されている契約分析データ及び前記契約条件設定手段により設定された契約条件に基づいて、前記契約者間で公平となる、前記シミュレーション事項の中央値を分析する契約分析手段と、
前記契約分析手段により分析された分析結果を提示する契約分析結果提示手段として機能させるためのプログラムである。
図1は、本発明の実施形態に係る契約支援システム1の全体構成図である。同図に示すように、契約支援システム1は、契約を分析するための各種データ、分析アルゴリズム等を記憶し、契約の分析を行うサーバ10と、ユーザが契約を分析するために使用するユーザ端末20と、これらの装置10,20を通信可能に接続するインターネット、移動通信網等の通信ネットワーク30と、を含んで構成される。
サーバ10のCPUが記憶装置に記憶されているソフトウェアに従って処理を実行することにより、図2に示す機能構成がサーバ10に実現される。
具体的な契約条件の設定方法としては、本実施形態では、ユーザが契約書の文言が記載された文書データをユーザ端末20に表示する操作を行い、画面上に表示された当該文書全体を前提事項の契約として設定入力することで、「前提事項」が設定される。「シミュレーション事項」としては、本実施形態では、デフォルトで「各契約者が得る実質利益」が設定されているが、ユーザの設定入力により変更することができる。「シミュレーション事項」の設定入力方法としては、画面上に表示された選択肢を選択する、文字で入力する等が考えられる。
契約条件設定部10は、ユーザ端末20からの契約条件の設定操作を検知すると、契約条件として前提事項及びシミュレーション事項を設定する。
また、ユーザの入力操作により、画面上に表示された契約の文言が変更された場合、契約条件設定部10は、設定済の前提事項を変更する。なお、文言の変更には文言の追加のみ及び削除のみを含むものとする。
また、契約不適合責任において、納品後の商品の保証期間によって、とるべきリスクや予想する利益に影響がある。この場合には、「シミュレーション事項」を「納品後の保証期間」と設定することができる。
また、知的財産の表明保証について、契約書に保証する、とだけ記載するのか、「知る限り」保証するのか「知り得る限り」保証するのか、によって予期すべきリスクやコストが異なる。「知る限り」であると当該本人や法人が知っているかどうかの主観の問題であり、「知り得る限り」であると世の中にあるあらゆる調査方法手段等が検討対象になり、客観的にどこまで出来るかどうかの問題になる。この場合には、「シミュレーション事項」を「知的財産の表明保証」と設定することができる。
また、損害に関して、軽過失を含むか否か、軽過失免責になるか否かによってもリスクが変動する。この場合には、「シミュレーション事項」は「損害に関する軽過失」と設定することができる。
また、損害賠償の上限設定については、直近1年の取引額を上限とするのか、直近6ヶ月の取引額を上限とするのかでリスクが異なる。この場合には、「シミュレーション事項」を「損害賠償の上限」と設定することができる。
また、海外取引において準拠法を日本にするか海外の当該国の法律にするか、原本を日本語にするか外国語にするか、によってリスクが異なる。この場合には、「シミュレーション事項」を「海外取引における準拠法」と設定することができる。
また、貿易取引の場合、商品を海外の当該工場渡しにするか、海外の当該港渡しにするか、輸入先である日本の現場渡しにするかで、コストが異なる。この場合には、「シミュレーション事項」を「貿易取引における商品引渡場所」と設定することができる。
標準利益算出用データには、契約内容に応じて各契約者が得る標準的な利益を算出するアルゴリズムが含まれる。リスク要因データには、業界における納品時の事故記録、商品の不良品の記録、影響した逸失利益の記録、裁判所における損害賠償の記録、和解金の記録、国・地域において一般的に普及している商習慣等が含まれる。損害額の算出用データには、契約内容に応じて、契約者に生じる可能性のあるリスクが生じる確率、当該リスクが生じた場合の損害額の期待値の算出アルゴリズムが含まれる。
具体的には、契約分析部13は、シミュレーション事項を変動させて、中央値として、契約者各々が負うリスクと契約者各々が得る利益とのバランスのとれた状態を判定する。
また、契約分析部30は、契約分析データ記憶部20に記憶された契約分析データのうち標準利益算出用のデータに基づいて、契約条件に応じた利益の中央値としての標準利益を算出する。
以下、具体的なリスクの算出例を説明する。例えば、契約分析部13は、契約分析データ記憶部12に記憶されている各種データソースから過去の実績やシミュレーション方法等を引用し、各契約者の国、業界、取引形態(業務委託、請負等)、取引の時期等において、損害がどの程度起こりうるかの確率を算出する。そして、損害が発生する確率と、裁判事例、和解金、弁護士費用諸経費、交渉の経緯、一般に普及している商慣習等に基づき算出した損害の金額とを掛け合わせ、予想される損害の期待値を算出する。
交渉の経緯の例としては、例えば、契約書には記載がないが、契約者間における交渉過程での書面でのやり取りで納品から3日以内に検収を行うという約束をしていれば、当該約束もふくめて契約情報の一部を構成するものとみなし、コスト算定の因子として活用することができる。
商習慣の例としては、納品時に組立、設置、設定、説明まで要求する契約があったとすると、一般に普及している商慣習では納品だけでそのほか組立、設置、設定、説明は行っていない場合は、組立、設置、設定、説明については別料金として契約書のコスト因子として影響する。バランスがとれた契約にするためには契約におけるコスト因子となる文言(組立、設置、設定、説明)を削除するか、削除しない場合は、当該コスト因子を金額算出し、当該金額を契約金額に上乗せする等して調整することができる。
例えば、ユーザの入力操作により、シミュレーション事項として、通常損害だけの契約にした場合のリスク金額、通常損害に逸失利益を除外した場合のリスク金額、間接損害を除外した場合のリスク金額、特別損害を除外した場合のリスク金額等が順次指定された場合、契約分析部13は、それぞれのリスク金額を順次判定する。
なお、契約分析結果提示部14は、中央値のみを提示してもよいし、算出した中央値を契約の文言、リスク金額、取引条件とセットで提示してもよいし、実質利益と中央値としての標準利益との比較で提示してもよいし、特定の契約者についての情報のみを表示してもよい。また、リスク金額は、取引額から原価と販売管理費を引いた利益と比較並列表示してもよいし、当該利益から差し引いて表示してもよい。
また、ユーザ端末20に表示された前提事項となる契約文書の記載事項が少ないことにより、契約条件設定部11により設定された契約の前提事項が少なく、取引額や見積もりや単価などがまだ想定困難な場合については、一般的な業界や取引形態における契約書の中央値を提示してもよい。
また、例えば、A社及びB社間の契約の場合、「A有利、B不利」「A不利、B有利」「A,B公平」などと表示しても良い。有利不利や公平の中央値であるかの表示については、純粋に契約だけで有利、不利、公平等と判断することもできるし、契約と取引金額、国際情勢、物価情勢、業界事情、商慣習、国家情勢などあらゆる条件を含めて、有利、不利、公平等と表示してもよい。また、有利、不利、公平といった定性表示であってもよいし、或いは、「10万円A社が有利」、「10万円B社不利」などと定量表示をしてもよい。
具体的には、ユーザの入力操作により、シミュレーション事項として、通常損害だけの契約にした場合のリスク金額、通常損害に逸失利益を除外した場合のリスク金額、間接損害を除外した場合のリスク金額、特別損害を除外した場合のリスク金額等が順次指定され、契約分析部13がそれぞれのリスク金額を判定した場合、契約分析結果提示部14はそれぞれのリスク金額を表示する。ユーザは画面上で損害パターンを選択しながらリスク金額を確認することができる。例えば、通常損害の場合のリスク金額が100万円だった場合、通常損害に逸失利益を除外した場合のリスク金額は50万円、などと確認することができる。
リスク金額の提示方法としては、ユーザがチェックしたい契約文書がユーザ端末20に表示されている状態で、その契約文書の文言のうちコスト発生因子である部分をマーカーで色付けするなど目立つようにしながら、その部分がどのくらいのリスクなのかを金額で表示する。契約全体でリスク金額を表示してもよいし、契約の文言毎、条文毎にリスク金額を表示してもよい。ユーザの入力操作により、契約のそれぞれの文言を変更してゆくと、リスク金額も連動して変更される。
次に、図3に示すフローチャートを参照して、契約支援システム1が行う処理手順の一例について説明する。
前提として、契約分析データ記憶部12には、各種の契約分析データが記憶されており、A社及びB社間で締結する契約書をユーザが分析するものとする。
まず、ユーザは、ユーザ端末20を操作して、ユーザ端末20のディスプレイ上に分析すべき契約の文書を表示する。そして、ユーザは、前提事項を「表示されている契約文書全体」と設定入力し、シミュレーション対象とするシミュレーション事項を「記載すべき損害賠償の条項」と設定入力する。
これにより、契約条件設定部11は、ユーザにより設定入力された前提事項及びシミュレーション事項を記憶装置に記憶することにより、契約条件を設定する(ステップS101)。
なお、ユーザによりシミュレーション事項が設定されなかった場合には、デフォルトのシミュレーション事項としてA社及びB社各々についての実質利益額、中央値としての標準利益額、実質利益額が中央値よりも大きいか小さいかを表示する。
ここでは、B社は逸失利益まで含めて責任をとってほしいとの要望であったため、ユーザはユーザ端末20を操作して、ステップS103の分析結果により契約に記載した条文の損害賠償条項を逸失利益まで含まれるように変更又は追加することで、前提事項を変更し、シミュレーション事項として年間取引額を設定入力した。これにより、ステップS101において契約条件設定部11は契約条件を変更し、ステップS102において契約分析部13は、変更された契約条件に基づいて年間取引額が5000万の場合にリスク及び利益のバランスとれ均衡するという分析結果を算出し、ステップS103において契約分析結果提示部14は契約分析部13により分析された分析結果を提示した。これにより、A社はB社に取引額の増額を申し入れた。
(動作例1)
A社とB社の取引において、前提事項が直近1年間の取引額が年間200万円であり、シミュレーション事項が今後1年間の取引額及び利益額の場合(ステップS101)、原価、販売管理費などを引き利益を想定すると20万の利益であったので、当該国、当該業界、当該企業、当該取引形態、当該業界慣習、当該時期、当該国際情勢などを勘案したデータにより、年間300万円の取引額で30万円の利益額が中央値として算出された(ステップS102)。
前提事項がA社の本社が東京でB社の本社が福岡であり、シミュレーション事項が裁判所管轄の場合(ステップS101)、実際に裁判所に出向くときのコストが影響するので裁判所の現地に行く確率とコストをかけあわせてリスクを算出し、取引金額と、粗利益から販管費を引いた実質利益とを天秤にかけ(ステップS102)、契約分析結果提示部14は中央値としてバランスのよい契約の記載をユーザに表示する(ステップS103)。裁判に実際に出向かなければならない確率と出張費用と当該取引による利益とのバランスとり、A社とB社の取引額が100万円なら裁判所管轄を東京が中央値で、200万円なら福岡が中央値という情報をユーザに表示した。
前提事項がA社とB社の取引においてB社の要望でA社が軽過失まで損害の責任を負担し、シミュレーション事項がA社からB社に依頼する年間取引額の場合(ステップS101)、契約分析データによれば軽過失免責がない場合はリスクが高いため、確率と金額から取引額の中央値については80万円と算出された。一方、前提事項を軽過失免責がある場合に変更した場合は(ステップS104:Yes)、取引額の中央値として50万円と算出された。
また、契約支援システム1は、ユーザ端末20に表示された契約の文言が変更された場合に、当該変更により変動するリスクを再分析し提示するため、ユーザは契約の文言を変更した場合のリスクを画面上で逐次把握することができる。
10 サーバ
11 契約条件設定部
12 契約分析データ記憶部
13 契約分析部
14 契約分析結果提示部
20 ユーザ端末
30 通信ネットワーク
Claims (6)
- 契約者間で締結される契約の分析を支援する契約支援システムであって、
前記契約において前提とする前提事項とシミュレーション対象とするシミュレーション事項とを含む契約条件を設定する契約条件設定手段と、
前記契約を分析するための契約分析データを記憶する契約分析データ記憶手段と、
前記契約分析データ記憶手段に記憶されている契約分析データ及び前記契約条件設定手段により設定された契約条件に基づいて、前記契約者間で公平となる、前記シミュレーション事項の中央値を分析する契約分析手段と、
前記契約分析手段により分析された分析結果を提示する契約分析結果提示手段と
を備えたことを特徴とする契約支援システム。 - 前記契約分析手段は、
前記シミュレーション事項を変動させて、前記中央値として、前記契約者各々が負うリスクと前記契約者各々が得る利益とのバランスのとれた状態を判定し、
前記契約分析結果提示手段は、
前記契約分析手段により判定された前記中央値に関する情報を提示することを特徴とする
請求項1に記載の契約支援システム。 - 前記契約分析手段は、
前記契約の文言毎にリスク要因及びコスト要因を判定し、前記リスク要因及び前記コスト要因各々が起こる確率を算出することで、前記契約者各々が負うリスクを算出することを特徴とする
請求項2に記載の契約支援システム。 - 前記前提事項を構成する前記契約の文言が変更された場合、前記契約条件設定手段は、設定済の前記前提事項を変更し、
前記契約分析手段は、前記変更された前提事項に基づいて、前記シミュレーション事項の中央値を再分析することを特徴とする
請求項3に記載の契約支援システム。 - 前記契約分析手段は、前記契約の文言が変更されたことにより変動する前記リスクを再分析し、
前記契約分析結果提示手段は、前記再分析したリスクに関する情報を前記変更された文言と対応づけて提示することを特徴とする
請求項4に記載の契約支援システム。 - 契約者間で締結される契約の分析を支援するプログラムであって、
コンピュータを、
前記契約において前提とする前提事項とシミュレーション対象とするシミュレーション事項とを含む契約条件を設定する契約条件設定手段と、
前記契約を分析するための契約分析データを記憶する契約分析データ記憶手段と、
前記契約分析データ記憶手段に記憶されている契約分析データ及び前記契約条件設定手段により設定された契約条件に基づいて、前記契約者間で公平となる、前記シミュレーション事項の中央値を分析する契約分析手段と、
前記契約分析手段により分析された分析結果を提示する契約分析結果提示手段と
して機能させるためのプログラム。
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