JP2024022835A - 保護膜形成剤、及び半導体チップの製造方法 - Google Patents

保護膜形成剤、及び半導体チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられ、レーザー加工性に優れ且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できる保護膜形成剤と、保護膜形成剤を用いる半導体チップの製造方法とを提供すること。【解決手段】半導体ウエハー2の表面に保護膜24が形成された後、半導体ウエハーにおけるストリート23を備える積層体21において、ストリートに沿って加工溝25が形成される。保護膜を形成するために用いられる保護膜形成剤は、水溶性樹脂と、吸光剤と、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤と、溶媒とを含む。水溶性樹脂は、芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂を含むことが好ましい。【選択図】図6

Description

本発明は、保護膜形成剤、及び当該保護膜形成剤を用いる半導体チップの製造方法に関する。
半導体デバイス製造工程において形成されるウエハーは、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体を、ストリートと呼ばれる格子状の分割予定ラインによって区画したものであり、ストリートで区画されている各領域が、IC、LSI等の半導体チップとなっている。
このストリートに沿ってウエハーを切断することによって複数の半導体チップが得られる。また、光デバイスウエハーでは、窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された積層体がストリートによって複数の領域に区画される。このストリートに沿っての切断により、光デバイスウエハーは、発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割される。これらの光デバイスは、電気機器に広く利用されている。
このようなウエハーのストリートに沿った切断は、過去には、ダイサーと称されている切削装置によって行われていた。しかし、この方法では、積層構造を有するウエハーが高脆性材料であるため、ウエハーを切削ブレード(切れ刃)によって半導体チップ等に裁断分割する際に、傷や欠け等が発生したり、チップ表面に形成されている回路素子として必要な絶縁膜が剥離したりする問題があった。
このような不具合を解消するために、半導体基板の表面に、水溶性材料の層を含むマスクを形成し、次いで、マスクに対してレーザーを照射し、マスクの一部を分解除去することにより、マスクの一部において半導体基板の表面を露出させた後、プラズマエッチングによりマスクの一部から露出した半導体基板を切断して、半導体基板を半導体チップ(IC)に分割する方法が提案されている(特許文献1を参照。)。
特表2014-523112号公報
このように、マスクに対してレーザーを照射し、マスクの一部を分解除去し、マスクの一部において半導体基板の表面を露出させることにより、半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成する。
しかしながら、特許文献1に記載された水溶性材料等の従来の水溶性材料を用いてマスクとしての保護膜を形成する場合、レーザー照射によって形成される加工溝の直進性(加工溝を構成する保護膜の側壁の直進性)や、加工溝の断面の矩形性(加工溝を構成する保護膜の断面の矩形性)が悪い、すなわち、レーザー加工性が悪い場合があるという問題がある。
加工溝の直進性が悪いと、半導体基板のプラズマエッチング等により切断して得られる半導体チップの切断面の直進性が悪くなる。また、加工溝の断面の矩形性が悪いと、プラズマエッチング等により切断される位置が所望の位置になり難い。
また、特許文献1に記載された水溶性材料等の従来の水溶性材料を用いて保護膜を形成する場合、クラックが発生する場合があるという問題がある。保護膜が厚い場合、クラックが特に発生しやすい。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられ、レーザー加工性に優れ且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できる保護膜形成剤と、当該保護膜形成剤を用いる半導体チップの製造方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤によって上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
[1]半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられる保護膜形成剤であって、
水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤。
[2]前記水溶性樹脂(A)が、芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂(A1)を含む、上記[1]に記載の保護膜形成剤。
[3]前記可塑剤(C)の含有量が、前記水溶性樹脂(A1)100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下である、上記[2]に記載の保護膜形成剤。
[4]前記水溶性樹脂(A1)が、フェノール性水酸基を有する樹脂を含む、上記[2]又は[3]に記載の保護膜形成剤。
[5]前記水溶性樹脂(A)が、ポリビニルアルコール系樹脂を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の保護膜形成剤。
[6]前記溶媒(S)が、水を含む、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の保護膜形成剤。
[7]半導体ウエハーを加工する、半導体チップの製造方法であって、
前記半導体ウエハー上に、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
前記半導体ウエハー上における前記保護膜を含む1以上の層の所定の位置にレーザー光を照射し、前記半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
を含む、半導体チップの製造方法。
[8]前記半導体ウエハーにおける前記加工溝の位置を切断すること、を含む、上記[7]に記載の半導体チップの製造方法。
本発明によれば、半導体ウエハーから半導体チップを製造する半導体チップの製造方法において、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられ、レーザー加工性に優れ且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できる保護膜形成剤と、当該保護膜形成剤を用いる半導体チップの製造方法とを提供することができる。
本発明の保護膜形成剤を用いるウエハーの加工方法によって加工される半導体ウエハーを示す斜視図。 図1に示される半導体ウエハーの断面拡大図。 保護膜が形成された半導体ウエハーの要部拡大断面図。 保護膜が形成された半導体ウエハーが環状のフレームに保護テープを介して支持された状態を示す斜視図。 レーザー光線照射工程を実施するレーザー加工装置の要部斜視図。 保護膜と、レーザー光照射によって形成された加工溝とを備える半導体ウエハーの断面拡大図。 図6に示される半導体ウエハーに対するプラズマ照射を示す説明図。 プラズマ照射により、半導体ウエハーが半導体チップに分割された状態を示す断面拡大図。 半導体チップ上の保護膜が除去された状態を示す断面拡大図。 断面矩形性を評価する方法を説明する断面図。
≪保護膜形成剤≫
保護膜形成剤は、半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられる。保護膜形成剤は、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)と、溶媒(S)とを含む。
具体的には、保護膜形成剤は、半導体ウエハー上に形成された保護膜に対してレーザー光を照射して、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
半導体ウエハーにおける加工溝の位置を加工することと、
を含む半導体チップの製造方法における、保護膜の形成に好適に用いられる。なお、加工溝を形成した後は、半導体ウエハーにおける加工溝の位置を切断することにより、半導体チップを製造することができる。
半導体ウエハーの加工後の水洗による保護膜の除去が容易であることや、後述する半導体チップの製造方法においてプラズマ照射を行う場合に、プラズマ照射に対する保護膜の十分な耐久性の点で、保護膜の膜厚は、典型的には、0.1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましい。
レーザーを照射する場合、保護膜の膜厚は、0.1μm以上30μm以下が好ましい。
以下、保護膜形成剤が含む、必須、又は任意の成分について、説明する。
<水溶性樹脂(A)>
水溶性樹脂(A)は、保護膜形成剤を用いて形成される保護膜の基材である。水溶性樹脂(A)は、水等の溶媒に溶解させて塗布・乾燥して膜を形成し得る樹脂である。
また、加水分解反応や、水性媒体中での塩基による処理により、水に対して可溶化する樹脂も水溶性樹脂(A)に該当する。このような樹脂としては、カルボン酸無水物基を有する樹脂や、フェノール性水酸基を有する樹脂が該当する。カルボン酸無水物基は、加水分解、又は水性媒体中での塩基による処理により、カルボキシ基、又はカルボン酸塩基を生成させ、水に対して可溶化する。フェノール性水酸基を有する樹脂については、その構造次第で、水溶性である場合と、水に難溶である場合とがある。フェノール性水酸基を有する樹脂が、水に難溶である場合、当該樹脂を、塩基水性媒体中で処理し、フェノール性水酸基を塩(フェノラート)に変換することにより、当該樹脂が水に可溶化する。
水溶性とは、25℃の水又はアルカリ水溶液100gに対して、溶質(水溶性樹脂)が0.5g以上溶解することをいう。
水溶性樹脂(A)は、芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂である水溶性樹脂(A1)を含むことが好ましい。芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂(A1)を含むことにより、形成される保護膜は、よりレーザー加工性に優れ、また、プラズマ照射を行う場合にプラズマ照射に対する耐久性に優れる。
水溶性樹脂(A1)が含む芳香環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよい。
また、芳香環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。多環構造は、2以上の単環が縮合した多環構造であっても、2以上の環が単結合又は連結基を介して互いに結合した多環構造であってもよい。
単環構造の芳香環としては、ベンゼン環が挙げられる。
多環構造の芳香環としては、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられる。
水溶性樹脂(A1)が含む水溶性基は、樹脂に水溶性を付与し得る基であれば特に限定されない。水溶性基としては、例えば、-SO (Xは、アルカリ金属カチオン、プロトン、又はNである。)、-COO(Xは前述の通りである。)、カルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)、水酸基、又はエーテル結合(-O-)が挙げられる。カルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)は、加水分解、又は水中での塩基による処理により-COOを与える基である。水酸基がフェノール性水酸基である場合、当該水酸基はアルカリ金属塩等の塩を形成していてもよい。なお、Rは、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基である。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、ストロンチウム等が挙げられる。
水溶性樹脂(A1)としては、フェノール性水酸基を有する樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基とは、芳香環中の炭素原子に直接結合している水酸基(OH)を意味する。
フェノール性水酸基を有する樹脂としては、フェノール樹脂(フェノール類とホルムアルデヒド類を原料とした樹脂)が挙げられる。
水溶性樹脂(A1)としてのフェノール樹脂としては、下記式(1)で表される構成単位を有する樹脂が挙げられる。
Figure 2024022835000002
(式(1)中、R31は、水溶性基である。n31は、0以上3以下の整数である。)
水溶性基としては、上述のとおり、-SO (Xは、アルカリ金属カチオン、プロトン、又はNである。)、-COO(Xは前述の通りである。)、水酸基、又はエーテル結合(-O-)が挙げられる。水酸基がフェノール性水酸基である場合、当該水酸基はアルカリ金属塩等の塩を形成していてもよい。
n31は1であることが好ましい。ベンゼン環におけるR31の置換位置は、ベンゼン環が有するOHに対して、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
水溶性樹脂(A1)としてのフェノール樹脂の具体例としては、下記式(1-1)で表される構成単位を有するフェノール樹脂、下記式(1-2)で表される構成単位を有するフェノール樹脂や、下記式(1-1)で表される構成単位と下記式(1-2)で表される構成単位とを有するフェノール樹脂が挙げられる。式(1-1)で表される構成単位と式(1-2)で表される構成単位とを有するフェノール樹脂について、式(1-1)で表される構成単位と式(1-2)で表される構成単位の合計モル数に対する、式(1-1)で表される構成単位のモル数の割合は、0.1~0.9が好ましく、0.7~0.9がより好ましい。
Figure 2024022835000003
(式中、Xは、アルカリ金属カチオン、又はNであり、Rは、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基である。)
水溶性樹脂(A1)としては、下記式(2)で表される構成単位を有する樹脂等のスチレン系単位含有樹脂も挙げられる。スチレン系単位とは、スチレン、又はα位やベンゼン環上に置換基を有するスチレン誘導体に由来する構成単位である。
Figure 2024022835000004
(式(2)中、R32は、水溶性基である。n32は、0以上3以下の整数である。)
水溶性基としては、上述のとおり、-SO (Xは、アルカリ金属カチオン、プロトン、又はNである。)、-COO(Xは前述の通りである。)、水酸基、又はエーテル結合(-O-)が挙げられる。水酸基がフェノール性水酸基である場合、当該水酸基はアルカリ金属塩等の塩を形成していてもよい。
n32は1であることが好ましい。ベンゼン環におけるR32の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
水溶性樹脂(A1)として、式(2)で表される構成単位を有する樹脂の溶液を、アンモニアにより中和して用いてもよい。
水溶性樹脂(A1)としての式(2)で表される構成単位を有する樹脂の具体例としては、下記式(2-1)で表される構成単位を有する樹脂や、下記式(2-1)で表される構成単位と下記式(2-2)で表される構成単位とを有する樹脂が挙げられる。
Figure 2024022835000005
(式中、Xは、アルカリ金属カチオン、プロトン、又はNであり、Rは、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、
は、アルカリ金属カチオン、プロトン、又はN01 であり、R01は、水素原子、アルキル基、又はヒドロキシアルキル基である。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、ストロンチウム等が挙げられる。)
水溶性樹脂(A1)としては、スチレン及び無水マレイン酸の共重合体も挙げられる。スチレン無水マレイン酸共重合体は、下記式(3-1)で表される構成単位と下記式(3-2)で表される構成単位とを有する樹脂である。スチレン無水マレイン酸共重合体は、スチレン系単位含有樹脂である。
Figure 2024022835000006
水溶性樹脂(A1)の質量平均分子量は、100以上300,000以下が好ましく、500以上200,000以下がより好ましく、1,000以上200,000以下がさらに好ましい。本明細書において、質量平均分子量は、GPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量である。
保護膜形成剤の全固形分中における、水溶性樹脂(A1)の含有量は、成膜性の観点から、1質量%以上99質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、40質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。本明細書において、固形分とは、溶媒(S)以外の成分である。なお、保護膜形成剤が、溶媒(S)以外の成分であって、保護膜形成剤が使用される温度において液状である成分を含む場合、便宜的に、当該液状の成分を固形分に含める。
水溶性樹脂(A)は、水溶性樹脂(A1)以外の水溶性樹脂を含んでいてもよい。水溶性樹脂(A)が水溶性樹脂(A1)と水溶性樹脂(A1)以外の水溶性樹脂とを含む場合、水溶性樹脂(A)の質量に対する、水溶性樹脂(A1)の質量の比率は、例えば30質量%以上100質量%未満であり、40質量%以上85質量%以下が好ましく、50質量%以上80質量%以下がより好ましい。
水溶性樹脂(A1)以外の水溶性樹脂(以下「その他の水溶性樹脂」ともいう)としては、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリグリセリン、及び水溶性ナイロン等を挙げることができる。
ビニル系樹脂としては、ビニル基を有する単量体の単独重合体、又は共重合体であって、水溶性の樹脂であれば特に限定されない。
ビニル系樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(酢酸ビニル共重合体も含む)、ブテンジオール・ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールポリアクリル酸ブロック共重合体や、ポリビニルアルコールポリアクリル酸エステルブロック共重合体が挙げられる。
また、ビニル系樹脂として、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N-アルキルアクリルアミド)、ポリアリルアミン、ポリ(N-アルキルアリルアミン)、部分アミド化ポリアリルアミン、ポリ(ジアリルアミン)、アリルアミン・ジアリルアミン共重合体、ポリアクリル酸も挙げられる。
セルロース系樹脂としては、水溶性のセルロース誘導体であれば特に限定されない。セルロース系樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、水溶性樹脂(A)が水溶性樹脂(A1)とセルロース系樹脂とを含む場合、水溶性樹脂(A)の質量に対する、水溶性樹脂(A1)の質量の比率は、60質量%以上85質量%以下が好ましく、65質量%以上80質量%以下がより好ましい。
その他の水溶性樹脂の具体例の中では、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、ビニル系樹脂、及びセルロース系樹脂が好ましく、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
また、成膜性の観点から、セルロース系樹脂が好ましい。
半導体ウエハー表面に形成される保護膜は、通常、保護膜と加工溝とを備える半導体ウエハーを半導体チップに加工する方法に応じた、加工溝の形成後の適切な時点において、半導体ウエハー又は半導体チップの表面から除去される。このため、保護膜の水洗性の点から、その他の水溶性樹脂は、半導体ウエハー表面との親和性の低い水溶性樹脂が好ましい。半導体ウエハー表面との親和性の低い水溶性樹脂としては、極性基としてエーテル結合、水酸基、アミド結合のみを有する樹脂、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
その他の水溶性樹脂の質量平均分子量は、5,000以上300,000以下が好ましく、10,000以上200,000以下がより好ましい。
保護膜に対してレーザー光を照射して加工溝を形成する際の開口不良や、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、保護膜形成剤における、水溶性樹脂(A)の質量と、吸光剤(B)の質量との総量に対する、水溶性樹脂(A)の質量の比率は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、80質量%以上95質量%以下がより好ましい。
<吸光剤(B)>
吸光剤(B)としては、一般的に保護膜形成剤に使用されている吸光剤を使用することができる。
吸光剤(B)として、水溶性染料、水溶性色素や、水溶性紫外線吸収剤等の水溶性吸光剤を使用することが好ましい。水溶性吸光剤は、保護膜中に均一に存在させる上で有利である。水溶性吸光剤としては、カルボキシ基やスルホ基を有する有機酸類;有機酸類のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び第4級アンモニウム塩;ヒドロキシ基を有する化合物を挙げることができる。
水溶性の吸光剤を用いる場合、保護膜形成剤の保存安定性が高く、保護膜形成剤の保存中に、保護膜形成剤の相分離や吸光剤の沈降等の不都合を生じることが抑制されるため、保護膜形成剤の良好な塗布性を長期間維持しやすい点でも有利である。
なお、顔料等の水不溶性の吸光剤を用いることもできる。水不溶性の吸光剤を用いる場合、保護膜形成剤の使用に致命的な支障が生じるわけではないが、保護膜のレーザー吸収能にばらつきが生じたり、保存安定性や塗布性に優れる保護膜形成剤を得にくかったり、均一な厚みの保護膜を形成しにくかったりする場合がある。
吸光剤(B)としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、桂皮酸系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタレン系化合物や、ビフェニル系化合物を挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物としては、下記式(B1)で表される化合物が挙げられる。下記式(B1)で表される化合物は、保護膜にレーザー光のエネルギーを効率よく吸収させ、保護膜の熱分解を促進させることができるため、好ましい。
Figure 2024022835000007
(式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水酸基、又はカルボキシ基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水酸基、カルボキシ基、又は-NRで表される基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、m及びnは、それぞれ独立に0以上2以下の整数である。)
上記の式(B1)で表される化合物は、吸光係数が高く、保護膜形成剤にアルカリと共に添加した場合でも高い吸光係数を示す。このため、上記の式(B1)で表される化合物を吸光剤(B)として含む保護膜形成剤を用いて保護膜を形成すると、ダイシング用のマスク形成の際に保護膜の部分的なレーザーによる分解を、良好に行うことができる。
上記式(B1)において、R及びRは、-NRで表される基である場合がある。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。R及びRとしてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R及びRとしてのアルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基である。
-NRで表される基としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基が好ましく、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基がより好ましい。
式(B1)で表される化合物は、塩基の存在下での吸光係数の高さから、下記式(B1-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024022835000008
(式(B1-1中)、R~R、m、及びnは、式(B1)中のこれらと同様である。)
塩基の存在下での吸光係数の高さから、上記式(B1)及び式(B1-1)において、R及びRの少なくとも一方が水酸基であるのが好ましい。
式(B1-1)で表される化合物は、下記式(B1-1a)~式(B1-1e)のいずれかで表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2024022835000009
(式(B1-1a)~式(B1-1e)中、R~Rは、式(B1)中のこれらと同様である。)
式(B1-1a)~式(B1-1e)で表される化合物の中では、式(B1-1a)で表される化合物が好ましい。
式(B1-1a)~式(B1-1e)で表される化合物において、Rが、-NRで表される前述の基であって、R及びRが、それぞれ独立に炭素原子数1以上4以下のアルキル基であるのが好ましい。
式(B1)で表される化合物の好適な具体例として、以下の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、入手の容易性や、塩基の存在下でも高い吸光係数を示すことから、好ましい。
Figure 2024022835000010
吸光剤(B)が式(B1)で表される化合物を含む場合、吸光剤(B)の質量に対する、式(B1)で表される化合物の質量の割合は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。吸光剤(B)の質量に対する、式(B1)で表される化合物の質量の割合は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
ベンゾフェノン系化合物としては、4,4’-ジカルボキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン-4-カルボン酸、及びテトラヒドロキシベンゾフェノンも挙げることができる。これらはいずれも水溶性紫外線吸収剤である。
桂皮酸系化合物としては、下記式(B2)で表される化合物が挙げられる。下記式(B2)で表される化合物は、保護膜にレーザー光のエネルギーを効率よく吸収させ、保護膜の熱分解を促進させることができるため、好ましい。
Figure 2024022835000011
(式(B2)中、R11は、水酸基、アルコキシ基、又は-NR1213で表される基であり、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基であり、pは、0以上3以下の整数であり、pが2以上である場合、複数のR11は、同一でも異なっていてもよい。)
上記式(B2)において、R11としてのアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R11としてのアルコキシ基は、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基であることが好ましい。R11としてのアルコキシ基の具体例は、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びn-ブトキシ基である。
上記式(B2)において、R11は、-NR1213で表される基である場合がある。R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基である。R12及びR13としてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R12及びR13としてのアルキル基の具体例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基である。
式(B2)で表される化合物は、下記式(B2-1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2024022835000012
(式(B2-1)中、R11は、式(B2)中のR11と同様である。)
桂皮酸系化合物の具体例としては、4-アミノ桂皮酸、3-アミノ桂皮酸、2-アミノ桂皮酸、シナピン酸(3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸)、フェルラ酸、カフェイン酸を挙げることができる。
これらの中でも、4-アミノ桂皮酸、3-アミノ桂皮酸、2-アミノ桂皮酸、及びフェルラ酸が好ましく、4-アミノ桂皮酸、及びフェルラ酸がより好ましく、4-アミノ桂皮酸が特に好ましい。
アントラキノン系化合物の具体例としては2-カルボキシアントラキノン、2,6-アントラキノンジスルホン酸、及び2,7-アントラキノンジスルホン酸等を挙げることができる。
ナフタレン系化合物の具体例としては、1,2-ナフタリンジカルボン酸、1,8-ナフタリンジカルボン酸、2,3-ナフタリンジカルボン酸、2,6-ナフタリンジカルボン酸、及び2,7-ナフタリンジカルボン酸等を挙げることができる。
ビフェニル系化合物の具体例としては、ビフェニル-4-スルホン酸等を挙げることができる。
吸光剤(B)としては、クルクミンや、EAB-F(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン)等の水溶性アミン類も挙げることができる。
水溶性染料の具体例としては、アゾ染料(モノアゾ及びポリアゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、スチルベンアゾ染料、チアゾールアゾ染料)、アントラキノン染料(アントラキノン誘導体、アントロン誘導体)、インジゴイド染料(インジゴイド誘導体、チオインジゴイド誘導体)、フタロシアニン染料、カルボニウム染料(ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料)、キノンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、メチン染料(シアニン染料、アゾメチン染料)、キノリン染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン及びナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、及びその他の染料等の中より、水溶性の染料が選択される。
水溶性の色素としては、例えば食用赤色2号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色NY、食用黄色4号タートラジン、食用黄色5号、食用黄色5号サンセットエローFCF、食用オレンジ色AM、食用朱色No.1、食用朱色No.4、食用朱色No.101、食用青色1号、食用青色2号、食用緑色3号、食用メロン色B、及び食用タマゴ色No.3等の食品添加用色素が、環境負荷が低い点等から好適である。
保護膜形成剤中の吸光剤(B)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。保護膜形成剤中の吸光剤(B)の含有量は、保護膜形成剤の全固形分量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
保護膜に対してレーザー光を照射して加工溝を形成する際の開口不良や、保護膜の熱ダレによる加工溝の形状悪化等が生じにくいことから、保護膜形成剤における、水溶性樹脂(A)の質量と、吸光剤(B)の質量との総量に対する、吸光剤(B)の質量の比率は、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上40質量%以下がより好ましく、2.5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
吸光剤(B)の含有量は、保護膜形成剤を塗布して形成される保護膜の吸光度が所望の値になるように設定できる。保護膜形成剤を塗布して形成される保護膜の吸光度は特に限定されないが、例えば、保護膜形成剤を塗布して形成される保護膜の波長355nmでの膜厚1μmあたりの吸光度が、0.3以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
<可塑剤(C)>
可塑剤(C)は、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種である。
本明細書において、可塑剤とは、保護膜形成剤を用いて形成される保護膜に柔軟性又は弾性を付与できる物質である。
単糖類としては、アルドース(ホルミル基を有する単糖)、ケトース(カルボニル基を有する単糖)や、これらの誘導体が挙げられる。
誘導体としては、アルドン酸(アルドースの1位のホルミル基がカルボキシ基に変換されたカルボン酸)、ウロン酸(単糖の主鎖の末端のヒドロキシメチル基がカルボキシ基に変換されたカルボン酸)、アルダル酸(アルドースの1位のホルミル基と、主鎖の末端のヒドロキシメチル基がともにカルボキシル基に変わったジカルボン酸)が挙げられる。
アルドースの具体例としては、D-グリセルアルデヒド、D-エリトロース、D-トレオース、D-リボース、D-アラビノース、D-キシロース、D-リキソース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、及びD-タロースが挙げられる。
ケトースの具体例としては、ジヒドロキシアセトン、D-エリトルロース、D-キシルロース、D-リブロース、D-フルクトース、D-プシコース、D-ソルボース、D-タガトース、及びD-セドヘプツロースが挙げられる。
誘導体の具体例としては、グルコン酸、グルクロン酸、グルカル酸や、イノシトールが挙げられる。
二糖類としては、単糖類として説明した上記の単糖からなる二糖が挙げられる。二糖類の具体例としては、マルトース、スクロース、ラクトース、ラクツロース、トレハロース、セロビオースが挙げられる。
中でも、D-リボース、D-キシロース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、イノシトール、マルトースが好ましく、D-リボース、D-グルコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、イノシトール、マルトースがより好ましい。
保護膜形成剤が、水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含むことにより、後述する実施例に示されるように、レーザー加工性に優れ、且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できる。なお、本明細書において、レーザー加工性とは、レーザー照射によって形成される加工溝の直進性(加工溝を構成する保護膜の側壁の直進性)、及び加工溝の断面の矩形性(加工溝を構成する保護膜の断面の矩形性)を意味する。
このように、水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含む保護膜形成剤が、レーザー加工性に優れ、且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できる理由は不明である。この理由について、以下のように推測される。
まず、上記の通り、単糖類及び二糖類は可塑剤(C)として使用される。水溶性樹脂(A1)等の水溶性樹脂(A)に対する、単糖類、及び二糖類の優れた可塑化作用によって、保護膜が良好に可塑化されることで、クラックの発生が抑制されると考えられる。
また、可塑剤(C)としての単糖類及び二糖類は、保護膜の耐熱性を過度に下げることなく、保護膜を可塑化できると考えられる。そのため、レーザー加工時に、保護膜におけるレーザー照射部位が過度に軟化したり流動化したりせず、その結果、レーザー加工により平滑な側面(側壁)と矩形の断面を有する加工溝が形成されると考えられる。
他方、単糖類や二糖類の代わりに単糖や二糖類ではない糖類(例えばセルロース類)を用いた場合や、単糖類や二糖類の代わりに糖類ではない可塑剤(例えば、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールやポリエチレングリコール)を用いた場合は、形成される保護膜にクラックが発生する、又は加工溝の直進性や断面矩形性が悪くなる。
分子量が大きな糖類や、1分子中の水酸基数が少ない化合物を可塑剤として用いる場合、可塑化の効果が弱かったり、可塑剤(C)と水溶性樹脂(A)との間で水素結合による密なネットワークを形成し難かったりすることに由来すると推測される。
また、膜保護膜形成剤が、溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含むことにより、形成される保護膜のベタツキ(タック)を抑制することもでき、ベタツキの無い又はベタツキの小さい保護膜を得ることができる。
単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)の含有量は、水溶性樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上80質量部以下がより好ましい。
また、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)の含有量は、水溶性樹脂(A1)100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下が好ましく、20質量部以上70質量部以下がより好ましい。
<その他の添加剤>
保護膜形成剤は、水溶性樹脂(A)、吸光剤(B)、及び可塑剤(C)以外にも、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、例えば、塩基性化合物、防腐剤、及び界面活性剤等を用いることができる。
(塩基性化合物)
保護膜形成剤が式(B1)で表される化合物を含む場合、保護膜形成剤は、式(B1)で表される化合物を溶解させやすくする目的で塩基性化合物を含んでいてもよい。
塩基性化合物としては、無機化合物、及び有機化合物のいずれも使用できる。塩基性化合物としては、有機化合物が好ましい。
塩基性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及びアンモニア等の塩基性無機化合物や、エチルアミン、n-プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、及び1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-5-ノナン等の塩基性有機化合物が挙げられる。
塩基性化合物の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。塩基性化合物の使用量は、式(B1)で表される化合物1モルに対して、1モル以上が好ましく、1モル以上20モル以下がより好ましい。塩基性化合物の使用量の下限は、式(B1)で表される化合物1モルに対して、1.5モル以上であってよく、2モル以上であってよく、3モル以上であってもよい。塩基性化合物の使用量の上限は、式(B1)で表される化合物1モルに対して、15モル以下であってよく、10モル以下であってよく、5モル以下であってもよい。
(防腐剤)
防腐剤としては、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、2-フェノキシエタノール、硝酸フェニル第二水銀、チメロサール、メタクレゾール、ラウリルジメチルアミンオキサイド又はそれらの組み合わせを使用することができる。
保護膜形成剤の防腐の点だけでなく、半導体ウエハー洗浄後の廃液の処理の負荷低減の点からも、防腐剤を使用することが好ましい。半導体ウエハーの洗浄のために大量の洗浄水が使用されるのが一般的である。しかし、前述の保護膜形成剤を用いるプロセスでは、保護膜形成剤に含まれる水溶性樹脂(A)に起因する、廃液中での雑菌の繁殖が懸念される。そのため、前述の保護膜形成剤を用いるプロセスに由来する廃液は、保護膜形成剤を使用しないプロセスに由来する廃液とは別に処理されることが望ましい。しかし、保護膜形成剤に防腐剤を含有させる場合、水溶性樹脂(A)に起因する雑菌の繁殖が抑制されるので、保護膜形成剤を使用するプロセスに由来する廃液と、保護膜形成剤を使用しないプロセスに由来する廃液とを、同様に処理し得る。このため、廃水処理工程の負荷を減らすことができる。
(界面活性剤)
界面活性剤は、例えば、保護膜形成剤製造時の消泡性、保護膜形成剤の安定性、及び保護膜形成剤の塗布性等を高めるために使用される。特に保護膜形成剤製造時の消泡性の点で界面活性剤を使用することが好ましい。
一般に保護膜は保護膜形成剤をスピンコートすることにより形成される。しかし、保護膜を形成する際に気泡に起因する凹凸が発生する場合がある。このような凹凸の発生を抑制するために、界面活性剤等の消泡剤を使用することが好ましい。
界面活性剤としては、水溶性の界面活性剤が好ましく使用できる。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれも使用することができる。界面活性剤は、シリコーン系であってもよい。洗浄性の点からノニオン系界面活性剤が好ましい。
<溶媒(S)>
保護膜形成剤は、水溶性樹脂(A)、吸光剤(B)や、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を溶解させるために、溶媒(S)を含む。溶媒(S)としては、水、有機溶媒、及び有機溶媒の水溶液のいずれも用いることができる。使用時の引火等の危険が少ないことや、コストの点等で、溶媒(S)は水を含むことが好ましい。具体的には、溶媒(S)は、水、及び有機溶媒の水溶液が好ましく、水がより好ましい。
引火性の観点からは、溶媒(S)中の有機溶媒の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
溶媒(S)は、保護膜形成剤が1気圧下において引火点を持たないように選択されるのが好ましい。具体的には、保護膜形成剤における水の含有量を調整することにより、保護膜の引火点や、引火点の有無が調整される。
引火点をもたない保護膜形成剤は安全であり、例えば、非防爆環境下に置くことができる。具体的には、保護膜形成剤の保管、輸送、使用等の取扱いを非防爆環境下に行うことができる。例えば、保護膜形成剤の半導体工場への導入のみならず、保護膜の形成を非防爆環境下に行うことができる。従って、通常高価な防爆設備等の防爆環境が不要である点で、引火点をもたない保護膜形成剤は、産業上非常に有利である。
引火点は、1気圧下において、液温80℃以下ではタグ密閉式で測定し、液温80℃超ではクリーブランド開放式で測定することにより得られる。
本出願の明細書及び特許請求の範囲においては、クリーブランド開放式で測定しても、引火点が測定できなかった場合を、引火点なしとする。
保護膜形成剤が含み得る有機溶媒の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、及びプロピレングリコール等が挙げられる。アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。
保護膜形成剤は、2種以上の有機溶媒を組み合わせて含んでいてもよい。
保護膜形成剤の固形分濃度は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。固形分濃度は、例えば、5質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。
≪半導体チップの製造方法≫
半導体チップの製造方法は、半導体ウエハーを加工して半導体チップを製造することを含む方法である。
より具体的には、半導体チップの製造方法は、
半導体ウエハー上に、前述の保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
半導体ウエハー上における保護膜を含む1以上の層の所定の位置にレーザー光を照射し、半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
を含む方法である。
典型的には、上記の半導体チップの製造方法は、半導体ウエハーにおける加工溝の位置(ストリートの位置に対応する位置)を切断することを含む。
以下、保護膜を形成することについて「保護膜形成工程」とも記し、加工溝を形成することについて「加工溝形成工程」とも記し、半導体ウエハーにおける加工溝の位置を切断することについて「切断工程」とも記す。
<保護膜形成工程>
保護膜形成工程では、半導体ウエハー上に、前述の保護膜形成剤を塗布して保護膜が形成される。
半導体ウエハーの加工面の形状は、半導体ウエハーに対して所望する加工を施すことができる限りにおいて特に限定されない。典型的には、半導体ウエハーの加工面は、多数の凹凸を有している。そして、ストリートに相当する領域に凹部が形成されている。
半導体ウエハーの加工面では、半導体チップに相当する複数の領域が、ストリートによって区画される。
加工後の水洗による保護膜の除去が容易であることや、後述する切断工程においてプラズマ照射を行う場合のプラズマ照射に対する保護膜の十分な耐久性の点で、保護膜の膜厚は、典型的には、0.1μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましい。
加工溝形成工程においてレーザーを照射する場合、保護膜の膜厚は、0.1μm以上30μm以下が好ましい。
以下に、図面を参照しつつ、格子状のストリートで区画された複数の半導体チップを備える半導体ウエハーに対して、前述の保護膜剤を用いてダイシング加工を行う半導体チップの製造方法について、半導体チップの製造方法の好ましい一態様として説明する。
図1には、加工対象の半導体ウエハーの斜視図が示される。図2には、図1に示される半導体ウエハーの要部拡大断面図が示される。図1及び図2に示される半導体ウエハー2では、シリコン等の半導体基板20の表面20a上に、絶縁膜と回路とを形成する機能膜が積層された積層体21が設けられている。積層体21においては、複数のIC、LSI等の半導体チップ22がマトリックス状に形成されている。
ここで、半導体チップ22の、形状、及びサイズは特に限定されず、半導体チップ22の設計に応じて、適宜設定され得る。
各半導体チップ22は、格子状に形成されたストリート23によって区画されている。なお、図示される実施形態においては、積層体21として使用される絶縁膜は、SiO膜、又はSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜や、ポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low-k膜)からなる。
上記の積層体21の表面が、加工面である表面2aに該当する。上記の表面2a上に、前述した保護膜形成剤を用いて、保護膜が形成される。
保護膜形成工程では、例えば、スピンコーターによって半導体ウエハー2の表面2aに保護膜形成剤を塗布して保護膜が形成される。なお、保護膜形成剤の塗布方法は、所望する膜厚の保護膜を形成できる限り特に限定されない。
次いで、表面2aを被覆する液状の保護膜形成剤を、必要に応じて乾燥させる。これによって、図3に示されるように半導体ウエハー2上の表面2aに、保護膜24が形成される。
保護膜24は、溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含む上述の保護膜形成剤により形成されるため、クラックの発生が抑制され、クラックが無い又はクラックの少ない保護膜24を形成することができる。また、ベタツキも抑制された保護膜24を形成することができる。
このようにして半導体ウエハー2の表面2aに保護膜24が形成された後、半導体ウエハー2の裏面に、図4に示されるように、環状のフレーム5に装着された保護テープ6が貼着される。
<加工溝形成工程>
加工溝形成工程では、半導体ウエハー2上における保護膜24を含む1以上の層の所定の位置にレーザー光を照射し、半導体基板20の表面20aが露出し、且つ半導体チップ22の形状に応じたパターンの加工溝が形成される。
具体的には、半導体ウエハー2上の表面2a(ストリート23)に、保護膜24を通してレーザー光が照射される。このレーザー光の照射は、図5に示されるようにレーザー光線照射手段72を用いて実施される。
レーザーは強度の点から波長100nm以上400nm以下である紫外線レーザーが好ましい。また、波長266nm、355nm等のYVO4レーザー、及びYAGレーザーが好ましい。
加工溝形成工程における上記レーザー光照射は、例えば以下の加工条件で行われる。なお、集光スポット径は加工溝25の幅を勘案して、適宜選択される。
レーザー光の光源 :YVO4レーザー又はYAGレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数:50kHz以上100kHz以下
出力 :0.3W以上4.0W以下
加工送り速度 :1mm/秒以上800mm/秒以下
上述した加工溝形成工程を実施することにより、図6に示されるように、半導体ウエハー2におけるストリート23を備える積層体21において、ストリート23に沿って加工溝25が形成される。保護膜24は、水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含む上述の保護膜形成剤により形成されるため、保護膜24に対して上記のようにレーザー光を照射することにより、直進性及び断面矩形性に優れた溝(加工溝25)を、保護膜24中に形成できる。
上述したように所定のストリート23に沿ってレーザー光の照射を実行したら、チャックテーブル71に保持されている半導体ウエハー2を矢印Yで示す方向にストリートの間隔だけ割り出し移動し、再びレーザー光の照射を遂行する。
このようにして所定方向に延在する全てのストリート23についてレーザー光の照射と割り出し移動とを遂行した後、チャックテーブル71に保持されている半導体ウエハー2を90度回動させて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート23に沿って、上記と同様にレーザー光の照射と割り出し移動とを実行する。このようにして、半導体ウエハー2上の積層体21に形成されている全てのストリート23に沿って、加工溝25を形成することができる。
<切断工程>
切断工程では、ストリート23の位置に対応する位置に加工溝25を備える半導体ウエハー2を切断する。
切断する方法としては、保護膜24を備える半導体ウエハー2、又は保護膜24が剥離された半導体ウエハー2をブレードにより切断する方法や、保護膜24と加工溝25とを備える半導体ウエハー2にレーザー又はプラズマを照射することにより半導体ウエハー2を切断する方法が挙げられる。
ブレードにより切断を行う場合、例えば、切断箇所に純水を供給しながら、加工溝25の位置に沿って、ブレードにより半導体ウエハー2が切断される。
レーザーを照射する場合、半導体ウエハー2を切断すべく、加工溝25に対してレーザーが照射される。切断工程において照射するレーザーは、加工溝形成工程において照射するレーザー光と同じでも異なっていてもよい。
プラズマを照射する場合、加工溝25の表面にプラズマが暴露されるように、半導体ウエハー2の保護膜を備える面の一部又は全面にプラズマが照射される。
以下、プラズマ照射による切断方法について説明する。
図7に示されるように、保護膜24と、加工溝25とを備える半導体ウエハー2にプラズマを照射する。そうすることにより、図8に示されるように半導体ウエハー2における加工溝25の位置が切断される。
具体的には、保護膜24で被覆された半導体ウエハー2において、上記の通り、加工溝25を形成した後、保護膜24と、加工溝25から露出する半導体基板20の表面20aとに対して、プラズマ照射を行うことにより、半導体ウエハー2が、半導体チップ22の形状に従って切断され、半導体ウエハー2が半導体チップ22に分割される。
プラズマ照射条件については、加工溝25の位置における半導体ウエハー2の切断を良好に行うことができれば特に限定されない。プラズマ照射条件は、半導体ウエハー2の材質やプラズマ種等を勘案して、半導体基板20に対するプラズマエッチングの一般的な条件の範囲内で適宜設定される。
プラズマ照射においてプラズマを生成させるために用いられるガスとしては、半導体ウエハー2の材質に応じて適宜選択される。典型的には、プラズマの生成にはSFガスが使用される。
また、所謂BOSCHプロセスに従い、C又はCガス等の供給による側壁保護と、プラズマ照射による半導体ウエハー2のエッチングとを交互に行うことにより、半導体ウエハー2の切断を行ってもよい。BOSCHプロセスによれば、高アスペクト比でのエッチングが可能であり、半導体ウエハー2が厚い場合でも、半導体ウエハー2の切断が容易である。
保護膜24は、水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含む上述の保護膜形成剤により形成されるため、加工溝25は直進性及び断面矩形性に優れる。このため、プラズマ照射等により、所望の位置を切断でき、且つ直進性に優れた半導体チップが得られる。
また、保護膜24は、水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と溶媒(S)と共に、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)を含む上述の保護膜形成剤により形成されるため、クラックが無い又はクラックが少ない。このため、切断する位置以外を十分に保護することができ、望まない位置(加工溝以外の位置)のプラズマ照射等による切断が防止できる。また、プラズマ照射で使用するフッ素系ガス等のガスによる半導体基板の汚染が抑制できる。
次に、図9に示されるように、半導体チップ22の表面を被覆する保護膜24が除去される。上述したように保護膜24は、水溶性樹脂(A)を含む保護膜形成剤を用いて形成されているので、水(或いは温水)によって保護膜24を洗い流すことができる。
以上、半導体ウエハーを加工することによる半導体チップの製造方法を実施形態に基づいて説明した。本発明にかかる保護膜形成剤と、半導体チップの製造方法とは、半導体ウエハー表面に保護膜を形成し、半導体ウエハーの保護膜を備える面においてストリートに相当する位置に加工溝を形成することを含む方法であれば、種々の半導体チップの製造方法に対して適用することができる。
以下、実施例、及び比較例により、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例になんら限定されない。
〔実施例1~24及び比較例1~16〕
実施例及び比較例において、水溶性樹脂(A)として、芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂(A1)としての下記A1~A4と、セルロース系樹脂としてのA5と、ポリビニルアルコール系樹脂としてのA6とを用いた。
下記構造式における各構成単位中の括弧の右下の数字は、各樹脂中の構成単位のモル比を表す。
A1は、小西化学工業社製のWSR-SP82であり、質量平均分子量は、22000である。
Figure 2024022835000013
A2は、東ソー・ファインケム社製のPS-1Hのアンモニア中和物(pH7)であり、質量平均分子量は22000ある。
Figure 2024022835000014
A3は、POLYSCOPE社製のXIRAN 3000Pの溶液(樹脂固形分濃度:14質量%、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル及び水、アンモニア濃度:5質量%)として用いた。
A3は、質量平均分子量は10000である。
Figure 2024022835000015
A4は、小西化学工業社製のDHDPS resin(DHDPS(ジヒドロキシジフェニルスルホン)とホルムアルデヒドの反応物をフェノラートイオンで水溶性を高めたもの)であり、質量平均分子量は1000である。
Figure 2024022835000016
A5は、日本曹達社製のHPC-SSL(ヒドロキシプロピルセルロース)であり、質量平均分子量は、25000である。
A6は、三菱ケミカル社製のニチゴーGポリマーTM AZF8035W(ブテンジオールビニルアルコール共重合体)であり、推定重合度300である。
実施例及び比較例において、吸光剤(B)として、下記式で表される化合物B1を用いた。
Figure 2024022835000017
実施例及び比較例において、可塑剤(C)として、下記式で表される化合物C1~C10を用いた。C1~C10の構造を以下に記す。
C1:D(+)-グルコース
C2:D(+)-ガラクトース
C3:D(+)-キシロース
C4:D(-)-フルクトース
C5:D(-)-リボース
C6:myo-イノシトール
C7:D(+)-マルトース
C8:トリメチロールプロパン
C9:ネオペンチルグリコール
C10:ポリエチレングリコール
Figure 2024022835000018
Figure 2024022835000019
実施例及び比較例において、塩基性化合物として、モノエタノールアミンを用いた。
表1~6に記載の種類の、水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、可塑剤(C)と、塩基性化合物としてのモノエタノールアミンと、溶媒(S)とを、得られる保護膜形成剤における溶媒の質量比率が水85質量%とプロピレングリコールモノメチルエーテル15質量%であり、表1~6に記載の固形分濃度となるように、容器に投入し、3時間撹拌して、各実施例及び比較例の保護膜形成剤を得た。なお、得られる保護膜形成剤における、水溶性樹脂(A)、吸光剤(B)、可塑剤(C)、モノエタノールアミンの質量部は、表1~6に記載の通りである。
[保護膜のべたつき(タック)の評価]
得られた保護膜形成剤を、シリコン基板上に膜厚が5μmになるようにスピンコート法により塗布して、塗布膜を形成した。
次いで、塗布膜を室温で約15分間自然乾燥し、乾燥後の塗布膜の表面を指で触れ、塗布膜表面のべたつきの有無を評価した。結果を表1~6に示す。
[保護膜のクラック(成膜性)の評価]
上記[保護膜のべたつき(タック)の評価]と同様にして塗布膜を形成した。
次いで、塗布膜を、SEM(走査電子顕微鏡)測定環境(6.0Pa)まで減圧乾燥し、減圧乾燥後の塗布膜を、10倍の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生していた場合を×、クラックが発生せず良好な塗布膜が形成されていた場合を○として、クラック(成膜性)を評価した。結果を表1~6に示す。
[加工溝のレーザー加工性(直進性及び断面矩形性)の評価]
得られた保護膜形成剤を、シリコン基板上に膜厚が5μmになるようにスピンコート法により塗布して、塗布膜を形成した。
塗布膜を室温で約15分間自然乾燥した後、保護膜(乾燥後の塗布膜)を備えるシリコン基板の保護膜側の面に対して、以下の条件で直線状にレーザー照射を行い、保護膜のレーザー照射された箇所の表面及び断面形状を、SEM(走査電子顕微鏡)により観察して、後述する評価基準に従い、加工溝の直線性及び断面矩形性を評価した。SEMの倍率は、直進性については100倍、矩形性については500倍とした。結果を表1~6に示す。なお、クラックが発生していた場合は、レーザー加工性の評価は行わなかった。
<レーザー照射条件>
波長:355nm
周波数:100kHz
出力:0.1W
デフォーカス:-0.1mm
送り速度:100mm/s
Pass:2
<直進性>
以下の基準で評価した。
◎:保護膜の断面(加工溝の側壁)が平坦であり、ガタツキの無い真っすぐな溝(トレンチ)が形成された。
〇:保護膜の断面は比較的平坦であり、ガタツキがややあるが比較的真っすぐな溝(トレンチ)が形成された。
△:保護膜の断面は平坦ではなく、ガタツキが大きい溝(トレンチ)が形成された。
×:加工不良(レーザーの熱によりパターンが軟らかくなって形状が保てなくなり、加工溝を形成できなかった。)
<断面矩形性>
断面において、図10に示すように、シリコン基板80の表面81と、保護膜90の側壁91とがなす角θを求め、以下の基準で評価した。
◎:θが、45°以上90°以下である。
〇:θが、30°超45°未満である。
△:θが、30°以下である。
×:加工不良(レーザーの熱によりパターンが軟らかくなって形状が保てなくなり、加工溝を形成できなかった。)
Figure 2024022835000020
Figure 2024022835000021
Figure 2024022835000022
Figure 2024022835000023
Figure 2024022835000024
Figure 2024022835000025
表1~6に示すように、保護膜24が水溶性樹脂(A)と吸光剤(B)と単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)と溶媒(S)とを含む実施例1~21の保護膜形成剤を用いることにより、レーザー加工性に優れ且つクラックの発生が抑制された保護膜を形成できることが分かる。また、実施例1~21の保護膜形成剤を用いて形成された保護膜は、ベタツキも抑制できることが分かる。
2 :半導体ウエハー
20 :基板
21 :積層体
22 :半導体チップ
23 :ストリート
24 :保護膜
25 :レーザー加工溝
5 :環状のフレーム
6 :保護テープ
7 :レーザー加工装置
71 :レーザー加工装置のチャックテーブル
72 :レーザー光線照射手段

Claims (8)

  1. 半導体ウエハーのダイシングにおいて、半導体ウエハーの表面に保護膜を形成するために用いられる保護膜形成剤であって、
    水溶性樹脂(A)と、吸光剤(B)と、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも1種の可塑剤(C)と、溶媒(S)とを含む保護膜形成剤。
  2. 前記水溶性樹脂(A)が、芳香環と水溶性基とを有する水溶性樹脂(A1)を含む、請求項1に記載の保護膜形成剤。
  3. 前記可塑剤(C)の含有量が、前記水溶性樹脂(A1)100質量部に対して、20質量部以上100質量部以下である、請求項2に記載の保護膜形成剤。
  4. 前記水溶性樹脂(A1)が、フェノール性水酸基を有する樹脂を含む、請求項2に記載の保護膜形成剤。
  5. 前記水溶性樹脂(A)が、ポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項2に記載の保護膜形成剤。
  6. 前記溶媒(S)が、水を含む、請求項1に記載の保護膜形成剤。
  7. 半導体ウエハーを加工する、半導体チップの製造方法であって、
    前記半導体ウエハー上に、請求項1~6のいずれか1項に記載の保護膜形成剤を塗布して保護膜を形成することと、
    前記半導体ウエハー上における前記保護膜を含む1以上の層の所定の位置にレーザー光を照射し、前記半導体ウエハーの表面が露出し、且つ半導体チップの形状に応じたパターンの加工溝を形成することと、
    を含む、半導体チップの製造方法。
  8. 前記半導体ウエハーにおける前記加工溝の位置を切断すること、を含む、請求項7に記載の半導体チップの製造方法。
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