JP2024022350A - 保護用粘着テープ - Google Patents

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JP2024022350A JP2022125864A JP2022125864A JP2024022350A JP 2024022350 A JP2024022350 A JP 2024022350A JP 2022125864 A JP2022125864 A JP 2022125864A JP 2022125864 A JP2022125864 A JP 2022125864A JP 2024022350 A JP2024022350 A JP 2024022350A
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彰啓 坂口
Akihiro Sakaguchi
宏人 中野
Hiroto Nakano
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Abstract

【課題】被着体に対して適度な常態粘着力を示し、被着体に対する耐熱再剥離性に優れ、かつ、巻き出し性が良好な保護用粘着テープの提供。【解決手段】乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープであって、上記保護用粘着テープは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体であり、上記粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、かつ、上記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する上記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる保護用粘着テープ。【選択図】なし

Description

本開示は、保護用粘着テープに関する。
従来、電子部品には、外部からの電磁波による電子部品の誤作動、電子部品から発生する電磁波の漏洩等を防止するため、電磁波シールドが設けられている。近年、電磁波シールドは、電子部品の小型化の観点から、スパッタリング、めっき等の方法により、電子部品に対して直接形成される傾向にある。一方で、電磁波シールドの形成が実質的に必要ではない部分にまでシールド加工を施すことは、例えば、透明性が損なわれるため、好ましいとは言い難い。このため、電磁波シールドを形成する工程では、電子部品の部分的保護、電子部品の支持部材の保護等を目的とした保護用粘着テープが使用されている。電磁波シールドの形成を必要としない部分に保護テープを貼付した後、シールド加工を施すことで、本来必要な部分にのみ電磁波シールドを形成することが可能となる。例えば、生産効率を考えた場合、シールド加工は、スパッタリング、蒸着等の乾式法により行うことが好ましい。乾式法により薄膜を形成する工程(所謂、乾式薄膜形成工程)では、保護粘着テープが200℃以上の高温減圧環境下に曝される場合があり、高温減圧環境下に曝された保護用粘着テープは、保護が不要となった時点で剥離される。このため、乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープには、高温減圧環境下に曝された場合でも被着体から容易に剥離でき、かつ、糊残りも生じ難い性質(以下、「耐熱再剥離性」ともいう。)に優れることが求められる。また、保護用粘着テープには、適度な常態粘着力が求められる。
例えば、特許文献1には、電子部品の表面の一部に真空製膜法により金属層を形成する際に用いるマスキング用粘着テープであって、基材と、上記基材の片側に配置する粘着剤層とを備え、上記粘着剤層の厚みが5μm以上であり、23℃でのステンレス板に対する180度引き剥がし粘着力が0.4N/20mm以上であり、上記マスキング用粘着テープをステンレス板に貼着し200℃で1時間放置した後、23℃でのステンレス板に対する180度引き剥がし粘着力が10N/20mm以下となるマスキング用粘着テープが開示されている。
特許文献2には、耐熱性及び再剥離性に優れる粘着テープとして、アルキル基の炭素数が4~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を主成分とし、かつ、分子内に官能基を含有しているアクリル系コポリマーと、アルミニウム系架橋剤と、エポキシ系架橋剤とからなる粘着剤層が、基材の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする接着テープが開示されている。
特開2016-222863号公報 特開2004-155853号公報
一般に、片面粘着テープには、実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護するために剥離フィルムが設けられている。近年、工程中での剥離フィルムの剥離及び廃棄の手間を削減し、生産効率を向上させる観点から、片面粘着テープに対しては、剥離フィルムを有しない構成であること、例えば、基材の一方の面上に形成した粘着剤層の露出した面を、基材の他方の面に当接させてロール状に巻回した形態とすることへの要望がある。しかし、このような形態の粘着テープは、剥離フィルムを有しない構成であるが故に、工程中で使用する際に粘着テープを巻き出し難く、かえって生産効率を低下させてしまうことがある。
本開示は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、被着体に対して適度な常態粘着力を示し、被着体に対する耐熱再剥離性に優れ、かつ、巻き出し性が良好な保護用粘着テープを提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープであって、
上記保護用粘着テープは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体であり、
上記粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、かつ、上記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する上記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる、保護用粘着テープ。
<2> 上記粘着剤組成物中の上記金属キレート系架橋剤及び上記エポキシ系架橋剤の合計含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1.0質量部~3.3質量部である<1>に記載の保護用粘着テープ。
<3> 上記(メタ)アクリル系共重合体が、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む<1>又は<2>に記載の保護用粘着テープ。
<4> 上記基材が、ポリエーテルイミド基材、ポリエーテルスルホン基材、又はポリフェニルスルホン基材である<1>~<3>のいずれか1つに記載の保護用粘着テープ。
<5> 上記基材の上記粘着剤層が設けられた側の面の濡れ指数が、50mN/m以上である<1>~<4>のいずれか1つに記載の保護用粘着テープ。
<6> 上記基材は、窒素雰囲気下において200℃で2時間加熱したときの重量減少率が1.0%以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の保護用粘着テープ。
本開示の一実施形態によれば、被着体に対して適度な常態粘着力を示し、被着体に対する耐熱再剥離性に優れ、かつ、巻き出し性が良好な保護用粘着テープが提供される。
以下、本開示の保護用粘着テープについて、詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、粘着剤組成物中の各成分の量は、粘着剤組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、粘着剤組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含み、かつ、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の占める割合が50質量%以上である共重合体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド」及び「メタクリルアミド」の両方を包含する用語である。
本開示において、「n-」はノルマルを意味し、「i-」はイソを意味し、「s-」はセカンダリーを意味し、「t-」はターシャリーを意味する。
本開示において、「適度な常態粘着力」とは、常温環境下において、被着体等から容易に剥離せず、かつ、被着体等から剥離する必要が生じた場合には過度な力を要することなく容易に剥離できる程度の粘着力を意味する。
本開示において、「常温」とは、5℃~35℃の温度を意味する。
本開示において、「減圧環境下」とは、1MPa以下の圧力環境下を意味する。
本開示において、「高温」とは、200℃以上の温度を意味する。
本開示において、「基材の背面」とは、基材の粘着剤層が塗布形成されていない側の面を指す。本開示において、「基材の背面」は、「保護用粘着テープの自背面」でもある。
[保護用粘着テープ]
本開示の保護用粘着テープは、乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープである。本開示の保護用粘着テープは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体であり、上記粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、かつ、上記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する上記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる。
本開示の保護用粘着テープは、被着体に対して適度な常態粘着力を示し、被着体に対する耐熱再剥離性に優れ、かつ、巻き出し性が良好である。
本開示の保護用粘着テープがこのような効果を奏し得る理由については明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。但し、以下の推測は、本開示の保護用粘着テープを限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
本開示の保護用粘着テープが有する粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、かつ、上記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する上記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる。(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシ基は、金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤との架橋反応に寄与する。本開示における粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシ基と金属キレート系架橋剤との架橋反応が、(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシ基とエポキシ系架橋剤との架橋反応よりも先行することにより、短時間である程度硬化する。このため、本開示の保護用粘着テープは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面(即ち、基材の背面)とが当接して積層されてなるロール体という構成であっても、粘着剤層の基材の背面に対する粘着力が過度に高くならず、良好な巻き出し性を示すと考えられる。(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシ基と金属キレート系架橋剤との架橋反応により、ある程度硬化した粘着剤組成物は、養生期間の終了後には、(メタ)アクリル系共重合体のカルボキシ基とエポキシ系架橋剤との架橋反応により、強固に硬化した粘着剤層となるため、本開示の保護用粘着テープは、耐熱再剥離性に優れると考えられる。また、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比が特定の範囲であることで、本開示の保護用粘着テープは、常温環境下において、被着体から容易に剥離せず、かつ、被着体から剥離する必要が生じた場合には過度な力を要することなく容易に剥離できる粘着力(即ち、適度な常態粘着力)を示すと考えられる。
一方、特許文献1及び特許文献2(特開2004-155853号公報)には、基材の一方の面上に形成した粘着剤層の露出した面を、基材の他方の面に当接させてロール状に巻回した形態とすることについての着目はない。特許文献1では、架橋剤としてエポキシ系架橋剤のみを含む粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成しており、粘着剤組成物の硬化速度が遅いため、特許文献1に記載の粘着テープを本開示の保護用粘着テープのようなロール体とした場合には、粘着剤層の基材の背面に対する粘着力が過度に高くなり、良好に巻き出すことができないと考えられる。また、特許文献2では、架橋剤としてアルミニウム系架橋剤及びエポキシ系架橋剤を使用しているが、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率、及び、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比が適当ではないため、適度な常態粘着力、優れた耐熱再剥離性、及び良好な巻き出し性を兼ね備えた粘着テープは得られないと考えられる。
<<用途>>
本開示の保護用粘着テープは、乾式薄膜形成工程において使用される。
本開示において、「乾式薄膜形成工程」とは、スパッタリング、蒸着等の方法(所謂、乾式法)により薄膜を形成する工程を意味する。
本開示の保護用粘着テープは、適度な常態粘着力を示し、被着体から剥がれ難く、かつ、貼り直しが容易である。また、本開示の保護用粘着テープは、耐熱再剥離性に優れ、高温減圧環境下に曝された場合でも被着体から容易に剥離でき、被着体から剥離する際に基材破壊が生じず、かつ、糊残りも生じ難い。ところで、保護用粘着テープは、保護対象である被着体を隙間なく保護するように重ね貼りされることがある。本開示の保護用粘着テープは、耐熱再剥離性に優れ、重ね貼りされた状態で高温減圧環境下に曝された場合でも、自背面(即ち、基材の背面)から容易に剥離でき、自背面から剥離する際に基材破壊が生じず、かつ、糊残りも生じ難い。また、本開示の保護用粘着テープは、剥離フィルムを有しない構成であるため、工程中で使用する際の剥離フィルムの剥離及び廃棄の手間が削減され、かつ、巻き出し性が良好であるため、作業性が向上し、生産効率の向上が期待できる。以上のことから、本開示の保護用粘着テープは、乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープとして好適である。
<<構成>>
本開示の保護用粘着テープは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面(即ち、基材の背面)とが当接して積層されてなるロール体である。
すなわち、本開示の保護用粘着テープは、剥離フィルムを有しない粘着テープ(所謂、セパレータレス型の粘着テープ)である。
本開示における「剥離フィルム」は、JIS Z 0109:2015における「剥離ライナー」と同義である。
〔基材〕
本開示の保護用粘着テープが有する基材は、一方の面上に粘着剤層を形成でき、かつ、巻回できるものであれば、特に限定されない。
基材は、フィルム状であることが好ましく、樹脂フィルムであることが好ましい。
基材は、例えば、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーを含む基材であることが好ましく、熱可塑性樹脂を含む基材であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、及びアミド系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本開示の保護用粘着テープが有する基材は、ポリエーテルイミド基材、ポリエーテルスルホン基材、ポリフェニルスルホン基材、ポリスルホン基材、又はポリイミド基材であることが好ましく、ポリエーテルイミド基材、ポリエーテルスルホン基材、又はポリフェニルスルホン基材であることがより好ましい。
乾式薄膜形成工程は、真空下において行われる。基材中に高沸点溶剤が含まれていると、真空下で高沸点溶剤が揮発し、生産効率の低下、装置内の汚染等が生じる場合がある。例えば、基材の材質が熱可塑性である場合、予め加熱乾燥を行うことが困難であることから、基材中の高沸点溶剤を除去することができない。
これに対し、ポリエーテルイミド基材、ポリエーテルスルホン基材、ポリフェニルスルホン基材、ポリスルホン基材、及びポリイミド基材は、一般に、高沸点溶剤を使用しない方法、又は、高沸点溶剤を低減した方法により製造されており、高沸点溶剤が残存しないか、或いは、高沸点溶剤の残存量が少ないため、乾式薄膜形成工程における生産効率の低下、装置内の汚染等の問題が生じ難い傾向がある。
本開示の保護用粘着テープが有する基材は、例えば、窒素雰囲気下において200℃で2時間加熱したときの重量減少率が、1.0%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。
乾式薄膜形成工程において、基材からのアウトガスの発生は、生産効率の低下の要因となり得る。窒素雰囲気下において200℃で2時間加熱したときの重量減少率が1.0%以下である基材によれば、アウトガスの発生に起因する生産効率の低下を生じさせない、又は、より生じさせ難い。
本開示の保護用粘着テープが有する基材は、例えば、粘着剤層が設けられた側の面の濡れ指数が、50mN/m以上であることが好ましく、55mN/m以上であることがより好ましい。
基材の粘着剤層が設けられた側の面の濡れ指数が50mN/m以上であると、基材面上に粘着剤層を形成する際に、基材と粘着剤層との密着性がより高まるため、基材面上に粘着剤層がより強固に固定される。これにより、基材と粘着剤層との密着性と、基材の背面と粘着剤層との密着性と、の差がより大きくなり、保護用粘着テープがより良好な巻き出し性を示し得る。
本開示において、上記「濡れ指数」は、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下において、基材の粘着剤層が設けられた側の面に、濡れ指数試薬〔富士フイルム和光純薬(株)製〕の液滴を載置することにより測定される。
基材の粘着剤層が設けられた側の面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理(所謂、易接着処理)が施されていてもよい。
基材は、本開示の保護用粘着テープの効果を損なわない範囲において、その背面側に機能層を有していてもよい。「機能層」とは、基材に目的の機能を付与する層を意味し、機能層は、基材の一部をなす。
機能層としては、例えば、ハードコート層、易剥離層、及び低摩擦層が挙げられる。
乾式薄膜形成工程では、保護用粘着テープが高温減圧環境下に曝される場合がある。基材の背面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施されていると、保護用粘着テープが高温減圧環境下に曝された際に、剥離処理剤が揮散し、装置内が汚染されることがある。このような観点から、基材の背面には、剥離処理剤による表面処理が施されていないことが好ましい。
剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤(例:シリコーン)、ワックス系剥離処理剤(例:パラフィンワックス)、及びフッ素系剥離処理剤(例:フッ素系樹脂)が挙げられる。
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、100μm以下であることが好ましく、5μm~100μmであることがより好ましく、10μm~60μmであることが更に好ましい。
本開示における「基材の厚さ」は、基材の平均厚さを意味する。
基材の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
基材の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を基材の平均厚さとする。
〔粘着剤層〕
本開示の保護用粘着テープが有する粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、上記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する上記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる。
本開示では、「カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体」を「特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。
本開示の保護用粘着テープが有する粘着剤層は、本開示における粘着剤組成物の硬化物を含む。硬化物には、例えば、金属キレート系架橋剤及びエポキシ架橋剤によって架橋硬化してなる特定(メタ)アクリル系共重合体の架橋物が含まれる。
本開示の保護用粘着テープが有する粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm~100μmであることが好ましく、5μm~75μmであることがより好ましく、10μm~50μmであることが更に好ましい。
本開示における「粘着剤層の厚さ」は、粘着剤層の平均厚さを意味する。
粘着剤層の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
粘着剤層の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を粘着剤層の平均厚さとする。
(粘着剤組成物)
本開示における粘着剤組成物は、以下で説明する特定(メタ)アクリル系共重合体、金属キレート系架橋剤、及びエポキシ系架橋剤を含む。
<特定(メタ)アクリル系共重合体>
本開示における粘着剤組成物は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕を含む。
本開示における粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
-カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位-
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む。
特定(メタ)アクリル系共重合体に含まれるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位のカルボキシ基は、特定(メタ)アクリル系共重合体と、後述の金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤との架橋反応に寄与する。
本開示において、「カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位」とは、カルボキシ基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
カルボキシ基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、1分子中に少なくとも1つのカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート〕、及びコハク酸誘導体(例えば、2-アクリロイルオキシエチル-コハク酸)が挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体が好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、アクリル酸が更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、6質量%~14質量%であり、7質量%~13質量%であることが好ましく、8質量%~12質量%であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して6質量%以上であると、保護用粘着テープが良好な巻き出し性を示す傾向がある。
特定(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して14質量%以下であると、保護用粘着テープが被着体に対して適度な常態粘着力を示す傾向がある。また、保護用粘着テープが自背面に対して適度な常態粘着力を示す傾向がある。
-(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位-
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
本開示において、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。なお、本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」には、カルボキシ基を有する単量体に該当する単量体、及び、水酸基を有する単量体に該当する単量体は包含されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、無置換であってもよく、置換基(但し、カルボキシ基及び水酸基を除く。)を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基の炭素数は、例えば、1~18であることが好ましく、1~12であることがより好ましく、1~8であることが更に好ましく、1~4であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体が炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むと、保護用粘着テープの巻き出し性がより良好となる傾向がある。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、及びメチルメタクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、n-ブチルアクリレートがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、50質量%~94質量%であることが好ましく、60質量%~93質量%であることがより好ましく、70質量%~92質量%であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して50質量%以上であることは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位が、特定(メタ)アクリル系共重合体を構成する構成単位の主成分として含まれていることを意味する。
-その他の構成単位-
特定(メタ)アクリル系共重合体が含み得るその他の構成単位としては、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートに代表される水酸基を有する単量体に由来する構成単位;メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニルに由来する構成単位;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニルに由来する構成単位;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルに由来する構成単位;等が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体がその他の構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体におけるその他の構成単位の含有率は、本開示の保護用粘着テープの効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、10万~200万であることが好ましく、20万~180万であることがより好ましく、30万~150万であることが更に好ましく、40万~100万であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、下記の方法により測定される値である。具体的には、下記の(1)~(3)に従って測定する。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。なお、ここでいう「固形分濃度」とは、試料溶液に占める特定(メタ)アクリル系共重合体の質量割合を意味する。
(3)下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を求める。
~条件~
測定装置:高速GPC〔型番:HLC-8220 GPC、東ソー(株)製〕
検出器:示差屈折率計(RI)〔HLC-8220に組込、東ソー(株)製〕
カラム:TSKgel GMHXL〔東ソー(株)製〕を4本使用
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料溶液の注入量:100μL
流量:0.8mL/分
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、単量体を重合させる際に、重合温度、重合時間、有機溶剤の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率>>
粘着剤組成物中の特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、70.0質量%~99.0質量%であることが好ましく、80.0質量%~99.0質量%であることがより好ましく、90.0質量%~98.9質量%であることが更に好ましい。
本開示において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。
本開示において、「溶媒」とは、水及び有機溶剤を意味する。
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法>>
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合法に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合することにより製造できる。
重合方法としては、特定(メタ)アクリル系共重合体の製造後に粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法では、一般に、重合槽内に所定の有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、例えば、有機溶剤の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。また、窒素気流中で反応させてもよい。
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素化合物、脂肪族系炭化水素化合物、脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、及びアルコール化合物が挙げられる。
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環族系炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸2-ヒドロキシエチル、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸3-メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物等の重合反応中に連鎖移動を生じ難い有機溶剤の使用が好ましく、特に、特定(メタ)アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さ等の観点から、酢酸エチルの使用が好ましい。
重合反応時には、有機溶剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤としては、例えば、通常の溶液重合法で用いられる有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ-i-プロピルペルオキシジカルボナート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-α-クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)〔ABVN〕、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
重合反応時には、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9-フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、及びp-ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3-クロロ-1-プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1~18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1~10のアルキルエステル化合物、炭素数1~12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ピネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際し、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
重合温度は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
<金属キレート系架橋剤>
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤を含む。
本開示において、「金属キレート系架橋剤」とは、架橋剤として機能する金属キレート化合物を指す。
金属キレート系架橋剤の種類は、特に限定されない。
金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、及びコバルトキレート化合物が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムキレート化合物が好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、市販品を使用できる。
金属キレート系架橋剤の市販品の例としては、アルミキレート A〔商品名、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル(株)製〕、アルミキレート D〔商品名、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、川研ファインケミカル(株)製〕、及びALCH-TR〔商品名、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、川研ファインケミカル(株)製〕が挙げられる。
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
<エポキシ系架橋剤>
本開示における粘着剤組成物は、エポキシ系架橋剤を含む。
本開示において、「エポキシ系架橋剤」とは、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物(所謂、2官能以上のエポキシ化合物)を指す。
エポキシ系架橋剤の種類は、特に限定されない。
2官能以上のエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、及びN,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、市販品を使用できる。
エポキシ系架橋剤の市販品の例としては、「TETRAD(登録商標)-X」及び「TETRAD(登録商標)-C」〔以上、三菱ガス化学(株)製〕、並びに、「デナコール(登録商標) EX-201」及び「デナコール(登録商標) EX-931」〔以上、ナガセケムテックス(株)製〕が挙げられる。
本開示における粘着剤組成物は、エポキシ系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
<<金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の含有量>>
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比(エポキシ系架橋剤の含有質量/金属キレート系架橋剤の含有質量)が、0.25~2.0である。
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25以上であると、保護用粘着テープが耐熱再剥離性に優れる傾向がある。
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比が2.0以下であると、保護用粘着テープが被着体に対して適度な常態粘着力を示す傾向がある。また、保護用粘着テープが自背面に対して適度な常態粘着力を示す傾向がある。
本開示における粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤の含有質量に対するエポキシ系架橋剤の含有質量の比は、0.3~1.6であることがより好ましく、0.3~1.3であることが更に好ましい。
本開示における粘着剤組成物中の金属キレート系架橋剤の含有量及びエポキシ系架橋剤の含有量は、いずれも特に限定されない。
本開示における粘着剤組成物中の金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の合計含有量は、例えば、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.5質量部~5.0質量部であることが好ましく、0.8質量部~4.0質量部であることがより好ましく、1.0質量部~3.3質量部であることが更に好ましい。
保護用粘着テープが有する粘着剤層は、適度なタック力を示すことが好ましい。本開示における粘着剤組成物中の金属キレート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の合計含有量が、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して上記範囲内であると、形成される粘着剤層がより適度なタック力を示す傾向がある。
<架橋遅延剤>
本開示における粘着剤組成物は、架橋遅延剤を含んでいてもよい。
架橋遅延剤は、金属キレート系架橋剤に対してキレート化剤として作用する。本開示における粘着剤組成物が金属キレート系架橋剤に加えて架橋遅延剤を含むと、架橋遅延剤が金属キレート系架橋剤をブロックすることにより、粘着剤組成物の過剰な粘度上昇、ゲル化等が抑制されるため、粘着剤組成物のポットライフを延長することができる。粘着剤組成物に含まれる架橋遅延剤は、基材等に塗布した粘着剤組成物の塗布膜を乾燥させる際に揮発する。架橋遅延剤が揮発することで、架橋遅延剤によりブロックされていた金属キレート系架橋剤が活性化し、架橋促進効果が発揮されて、粘着剤組成物における架橋反応が進む。以上のように、架橋遅延剤によれば、粘着剤組成物における架橋形成に影響を与えることなく、粘着剤組成物のポットライフの延長が可能となる。
架橋遅延剤としては、例えば、ケト-エノール互変異性化合物が挙げられる。
ケト-エノール互変異性化合物としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ-ケトエステル化合物、及び、アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ-ジケトン化合物が挙げられる。
これらの中でも、架橋遅延剤としては、ポットライフと硬化速度とのバランスの観点から、アセチルアセトンが好ましい。
本開示における粘着剤組成物は、架橋遅延剤を含む場合、架橋遅延剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示における粘着剤組成物が架橋遅延剤を含む場合、金属キレート系架橋剤の含有量に対する架橋遅延剤の含有量の比(架橋遅延剤の含有量/金属キレート系架橋剤の含有量)は、質量基準で、1/10~1/0.01であることが好ましく、1/5~1/0.03であることがより好ましく、1/2~1/0.05であることが更に好ましい。
<有機溶剤>
本開示における粘着剤組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。
本開示における粘着剤組成物は、有機溶剤を含むと、塗布性及びポットライフが向上し得る。
有機溶剤としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
本開示における粘着剤組成物は、有機溶剤を含む場合、有機溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示における粘着剤組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
<その他の成分>
本開示における粘着剤組成物は、最終的に得られる本開示の保護用粘着テープの効果を損なわない範囲で、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体以外の重合体、酸化防止剤、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
本開示における粘着剤組成物がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
[保護用粘着テープの製造方法]
本開示の保護用粘着テープの製造方法は、特に限定されない。
本開示の保護用粘着テープは、公知の方法を参照することにより製造できる。本開示の保護用粘着テープを製造する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
本開示における粘着剤組成物を基材の一方の面(好ましくは、易接着処理面)に塗布することにより、基材の片面に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材の片面に粘着膜を形成する。次いで、基材/粘着膜の層構成を有する積層体を、基材と粘着膜とが交互になる形でロール状に巻き取り、ロール体とした後、静置し、架橋反応を完結させる。以上により、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体である、本開示の保護用粘着テープを製造できる。
また、本開示の粘着剤組成物を基材の一方の面(好ましくは、易接着処理面)に塗布することにより、基材の片面に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材の片面に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、別途準備した剥離フィルムの易剥離処理面に重ねて貼り合わせ、基材/粘着膜/剥離フィルムの層構成を有する積層体とした上でロール状に巻き取る。次いで、巻き取られた積層体を巻き出し、剥離フィルムを剥離しながら、基材/粘着膜の層構成を有する積層体を、基材と粘着膜とが交互になる形でロール状に巻き直した後、静置し、架橋反応を完結させる。以上により、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体である、本開示の保護用粘着テープを製造できる。
粘着剤組成物の塗布方法は、特に限定されない。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
粘着剤組成物の塗布量は、特に限定されず、例えば、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
塗布膜の乾燥方法は、特に限定されない。
塗布膜の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶剤の量等に応じて、適宜設定される。
乾燥条件の一例としては、熱風循環式乾燥機を用いて、60℃~120℃で30秒間~180秒間乾燥させる条件が挙げられる。
静置の条件は、特に限定されないが、例えば、雰囲気温度20℃~35℃及び相対湿度45%~55%(即ち、45%RH~55%RH)の環境下で2日間~7日間静置することが好ましい。静置により架橋反応が完結する。
以下、本開示の保護用粘着テープを実施例により更に具体的に説明する。本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリル系共重合体の製造]
〔製造例A-1〕
温度計、撹拌機、及び還流冷却器を備えた反応容器内に、酢酸エチル〔有機溶剤〕50.0質量部を入れた。次いで、別の容器に、n-ブチルアクリレート〔n-BA;アクリル酸アルキルエステル単量体〕90.0質量部、及びアクリル酸〔AA;カルボキシ基を有する単量体〕10.0質量部を入れ、混合して単量体混合物を調製した。調製した単量体混合物のうち、18.0質量%を上記反応容器内に入れた。次いで、反応容器内の内容物を撹拌しながら、内容物の温度を85℃に昇温させた後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN;重合開始剤〕0.01質量部を加え、0.2時間保持した。次いで、反応容器内に、残りの単量体混合物、酢酸エチル43.0質量部、及びAIBN 0.04質量部の混合液を2.0時間かけて同時逐次滴下しながら、反応容器内の内容物を1.2時間反応させて、反応生成物(a1)を得た。次いで、酢酸エチル11.0質量部、及びAIBN 0.17質量部の混合液を1.0時間かけて逐次滴下した。滴下終了後、更に1.5時間反応させて、反応生成物(a2)を得た。得られた反応生成物(a2)を、固形分濃度が34質量%となるようにトルエンを用いて希釈し、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液を得た。
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液に占める(メタ)アクリル系共重合体A-1の質量割合を意味する。以下において製造した(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-10の各溶液についても同様である。
〔製造例A-2及びA-8〕
製造例A-2及びA-8では、有機溶剤の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が34質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-2及びA-8の各溶液を得た。
〔製造例A-3~A-7、A-9及びA-10〕
製造例A-3~A-7、A-9及びA-10では、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更し、かつ、有機溶剤の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整することにより、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が34質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-3~A-7、A-9及びA-10の各溶液を得た。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-10の単量体組成〔単位:質量%〕及び重量平均分子量(「Mw」と表記)を表1に示す。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-10の重量平均分子量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定した。
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-10のうち、(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-8は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体に該当する。
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「n-BA」:n-ブチルアクリレート
「2EHA」:2-エチルヘキシルアクリレート
「MMA」:メチルメタクリレート
<カルボキシ基を有する単量体>
「AA」:アクリル酸
「MAA」:メタクリル酸
〔実施例1〕
1.粘着剤組成物の調製
(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液294.1質量部(固形分として100質量部)と、金属キレート系架橋剤〔商品名:アルミキレート A、化学名:アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、川研ファインケミカル(株)製〕0.50質量部(固形分として0.50質量部)と、エポキシ系架橋剤〔商品名:TETRAD(登録商標)-X、三菱ガス化学(株)製〕0.65質量部(固形分として0.65質量部)と、を十分に混合し、混合物を得た。得られた混合物に、架橋遅延剤としてアセチルアセトンを5.0質量部加えた。次いで、固形分濃度が26質量%となるように、酢酸エチル(有機溶剤)を用いて希釈し、粘着剤組成物を得た。
2.評価用サンプルXの製造
基材としてのポリエーテルイミド(PEI)フィルム〔商品名:スペリオ(登録商標) UT、コロナ処理により片面が易接着加工されたフィルム、厚さ:50μm、三菱ケミカル(株)製〕の易接着処理面(濡れ指数:60mN/m)に、上記にて調製した粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けることにより、塗布膜を乾燥させ、PEIフィルム上に粘着膜を形成した。次いで、粘着膜の露出した面を、別途準備した剥離フィルムの易剥離処理面に重ねて貼り合わせた。その後、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に7日間静置し、架橋反応を進行させることにより、基材(PEIフィルム)/粘着剤層/剥離フィルムの層構成を有する評価用サンプルXを得た。
3.評価用サンプルYの製造
基材としてのポリエーテルイミド(PEI)フィルム〔商品名:スペリオ(登録商標) UT、コロナ処理により片面が易接着加工されたフィルム、厚さ:50μm、三菱ケミカル(株)製〕の易接着処理面(濡れ指数:60mN/m)に、上記にて調製した粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが20μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で1分間吹き付けることにより、塗布膜を乾燥させ、PEIフィルム上に粘着膜を形成した。次いで、粘着膜の露出した面を、別途準備した剥離フィルムの易剥離処理面に重ねて貼り合わせ、基材(PEIフィルム)/粘着膜/剥離フィルムの層構成を有する積層体とした上でロール状に巻き取った。次いで、巻き取られた積層体を巻き出し、剥離フィルムを剥離しながら、基材(PEIフィルム)/粘着膜の層構成を有する積層体Yを、基材と粘着膜とが交互になる形で巻き直した。その後、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に7日間静置し、架橋反応を進行させることにより、評価用サンプルYを得た。評価用サンプルYは、基材と、上記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、上記粘着剤層の上記基材とは反対側の面と、上記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体である。
〔実施例2~11、14及び15、並びに、比較例1~7〕
1.粘着剤組成物の調製
実施例1における「粘着剤組成物の調製」において、粘着剤組成物の組成を表2に示す組成に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
2.評価用サンプルXの製造
実施例1における「評価用サンプルXの製造」と同様の操作を行い、評価用サンプルXを得た。
3.評価用サンプルYの製造
実施例1における「評価用サンプルYの製造」と同様の操作を行い、評価用サンプルYを得た。
〔実施例12〕
1.粘着剤組成物の調製
実施例5における「粘着剤組成物の調製」と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
2.評価用サンプルXの製造
実施例1における「評価用サンプルXの製造」において、基材として、PEIフィルムを用いる代わりに、ポリエーテルスルホン(PESU)フィルム〔商品名:Veradel(登録商標)PES 201 NT、厚さ:50μm、Solvay社製〕の片面を、コロナ処理により濡れ指数が60mN/mになるように易接着処理したフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルXを得た。
3.評価用サンプルYの製造
実施例1における「評価用サンプルYの製造」において、基材として、PEIフィルムを用いる代わりに、ポリエーテルスルホン(PESU)フィルム〔商品名:Veradel(登録商標)PES 201 NT、厚さ:50μm、Solvay社製〕の片面を、コロナ処理により濡れ指数が60mN/mになるように易接着処理したフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルYを得た。
〔実施例13〕
1.粘着剤組成物の調製
実施例5における「粘着剤組成物の調製」と同様の操作を行い、粘着剤組成物を得た。
2.評価用サンプルXの製造
実施例1における「評価用サンプルXの製造」において、基材として、PEIフィルムを用いる代わりに、ポリフェニルスルホン(PPSU)フィルム〔商品名:Radel(登録商標)R-5100 NT-15、厚さ:50μm、Solvay社製〕の片面を、コロナ処理により濡れ指数が60mN/mになるように易接着処理したフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルXを得た。
3.評価用サンプルYの製造
実施例1における「評価用サンプルYの製造」において、基材として、PEIフィルムを用いる代わりに、ポリフェニルスルホン(PPSU)フィルム〔商品名:Radel(登録商標)R-5100 NT-15、厚さ:50μm、Solvay社製〕の片面を、コロナ処理により濡れ指数が60mN/mになるように易接着処理したフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、評価用サンプルYを得た。
[測定及び評価]
1.常態粘着力
(1)被着体に対する常態粘着力
上記にて作製した評価用サンプルXを25mm×150mm(長辺)の大きさに切断し、評価用サンプル片Xを得た。次いで、評価用サンプル片Xの剥離フィルムを剥離した。以下、剥離フィルムを剥離した評価用サンプル片Xを「評価用サンプル片X’」と称する。次いで、評価用サンプル片X’の露出した粘着剤層の面を、被着体としてのアルミ板(厚さ:1mm)の一方の面に重ねた。その後、2kg荷重をかけることにより貼り付け、アルミ板(被着体)/粘着剤層/基材の層構成を有する積層体を得た。得られた積層体を、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。静置後の積層体について、アルミ板から評価用サンプル片X’(層構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。
評価の結果及び粘着力の測定値を表2に示す。
下記の評価基準において、「2」は、実用上問題ないレベルである。一方、「1」及び「3」は、いずれも実用上問題があるレベルである。詳細には、「1」は、粘着力が低すぎて、保護対象である被着体から容易に剥離し、保護用粘着フィルムとして機能し得ないレベルであり、「3」は、粘着力が高すぎて、貼り直し等、剥離の必要が生じた場合に容易に剥離することができないレベルである。
-評価基準-
3:粘着力が9.0N/25mm以上である。
2:粘着力が1.0N/25mm以上9.0N/25mm未満の範囲である。
1:粘着力が1.0N/25mm未満である。
(2)基材の背面に対する常態粘着力
上記にて作製した評価用サンプルXを25mm×150mm(長辺)の大きさに切断し、評価用サンプル片Xを得た。次いで、評価用サンプルXを作製する際に使用した基材と同じ基材を準備した。この準備した基材を「基材Z」と称する。次いで、評価用サンプル片Xの剥離フィルムを剥離し、評価用サンプル片X’を得た。次いで、評価用サンプル片X’の露出した粘着剤層の面を、基材Zの易接着処理していない方の面に重ねた。その後、2kg荷重をかけることにより貼り付け、基材Z/粘着剤層/基材の層構成を有する積層体を得た。得られた積層体を、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。静置後の積層体について、基材Zから評価用サンプル片X’(層構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。
評価の結果及び粘着力の測定値を表2に示す。
下記の評価基準において、「2」は、実用上問題ないレベルである。一方、「1」及び「3」は、いずれも実用上問題があるレベルである。詳細には、「1」は、粘着力が低すぎて、保護対象である被着体を隙間なく保護するように保護用粘着フィルムを重ね貼りした際に、保護用粘着フィルムが自背面から容易に剥離し、保護用粘着フィルムとして機能し得ないレベルであり、「3」は、粘着力が高すぎて、貼り直し等、剥離の必要が生じた場合に容易に剥離することができないレベルである。
-評価基準-
3:粘着力が9.0N/25mm以上である。
2:粘着力が1.0N/25mm以上9.0N/25mm未満の範囲である。
1:粘着力が1.0N/25mm未満である。
2.耐熱再剥離性
(1)被着体に対する耐熱再剥離性
上記にて作製した評価用サンプルXを25mm×150mm(長辺)の大きさに切断し、評価用サンプル片Xを得た。次いで、評価用サンプル片Xの剥離フィルムを剥離し、評価用サンプル片X’を得た。次いで、評価用サンプル片X’の露出した粘着剤層の面を、被着体としてのアルミ板(厚さ:1mm)の一方の面に重ねた。その後、2kg荷重をかけることにより貼り付け、アルミ板(被着体)/粘着剤層/基材の層構成を有する積層体を得た。得られた積層体を、加熱温度250℃に設定した真空定温乾燥器〔型番:DRV420DA、アドバンテック東洋(株)製〕内に投入した。投入後、真空定温乾燥器内を減圧(ゲージ圧:-0.1MPa以下)し、1時間静置した。次いで、真空定温乾燥器から積層体を取り出し、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。この静置後の積層体について、アルミ板から評価用サンプル片X’(層構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。また、評価用サンプル片X’を剥離した後のアルミ板の剥離面を目視にて観察し、アルミ板への粘着剤層の添着(所謂、糊残り)の有無及び程度、並びに、基材破壊の有無を確認した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。
評価の結果及び粘着力の測定値を表2に示す。
下記の評価基準において、「3」及び「2」は、実用上問題ないレベルであり、「3」であることが最も好ましい。
-評価基準-
3:糊残りが確認されず、かつ、粘着力が15.0N/25mm以下である。
2:剥離面の端部に僅かな糊残りが確認されるが、粘着力は15.0N/25mm以下である。
1:下記(a)~(c)の少なくとも1つに該当する。
(a)剥離面に明らかな糊残りが確認される。
(b)粘着力が15.0N/25mmを超える。
(c)基材破壊が生じる。
(2)基材の背面に対する耐熱再剥離性
上記にて作製した評価用サンプルXを25mm×150mm(長辺)の大きさに切断し、評価用サンプル片Xを得た。次いで、評価用サンプルXを作製する際に使用した基材と同じ基材を準備した。この準備した基材を「基材Z」と称する。次いで、評価用サンプル片Xの剥離フィルムを剥離し、評価用サンプル片X’を得た。次いで、評価用サンプル片X’の露出した粘着剤層の面を、基材Zの易接着処理していない方の面に重ねた。その後、2kg荷重をかけることにより貼り付け、基材Z/粘着剤層/基材の層構成を有する積層体を得た。得られた積層体を、加熱温度250℃に設定した真空定温乾燥器〔型番:DRV420DA、アドバンテック東洋(株)製〕内に投入した。投入後、真空定温乾燥器内を減圧(ゲージ圧:-0.1MPa以下)し、1時間静置した。次いで、真空定温乾燥器から積層体を取り出し、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。この静置後の積層体について、基材Zから評価用サンプル片X’(層構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。また、評価用サンプル片X’を剥離した後の基材Zの剥離面を目視にて観察し、基材Zへの粘着剤層の添着(所謂、糊残り)の有無及び程度、並びに、基材破壊の有無を確認した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。
評価の結果、粘着力の測定値等を表2に示す。
下記の評価基準において、「3」及び「2」は、実用上問題ないレベルであり、「3」であることが最も好ましい。
-評価基準-
3:糊残りが確認されず、かつ、粘着力が15.0N/25mm以下である。
2:剥離面の端部に僅かな糊残りが確認されるが、粘着力は15.0N/25mm以下である。
1:下記(a)~(c)の少なくとも1つに該当する。
(a)剥離面に明らかな糊残りが確認される。
(b)粘着力が15.0N/25mmを超える。
(c)基材破壊が生じる。
3.自背面に対する粘着力
上記にて作製した評価用サンプルYについて、基材の背面(易接着処理していない方の面)から積層体Y(層構成:粘着剤層/基材)を巻き出し方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。また、積層体Yを剥離した後の基材の剥離面を目視にて観察し、基材の背面への粘着剤層の添着(所謂、糊残り)の有無及び程度、並びに、基材破壊の有無を確認した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。
評価の結果、粘着力の測定値等を表2に示す。
下記の評価基準において、「3」及び「2」は、実用上問題ないレベルであり、「3」であることが最も好ましい。評価の結果が「3」又は「2」であれば、巻き出し性が良好であると判断した。
-評価基準-
3:糊残りが確認されず、かつ、粘着力が5.0N/25mm以下である。
2:糊残りが確認されず、かつ、粘着力が5.0N/25mmを超えて10.0N/25mm以下の範囲である。
1:下記(a)~(c)の少なくとも1つに該当する。
(a)糊残りが確認される。
(b)粘着力が10.0N/25mmを超える。
(c)基材破壊が生じる。
表2に記載の架橋剤の詳細は、以下に示すとおりである。
-金属キレート系架橋剤-
「アルミキレート A」〔商品名、川研ファインケミカル(株)製〕
-エポキシ系架橋剤-
「TETRAD-X」〔商品名、三菱ガス化学(株)製〕
「TETRAD-C」〔商品名、三菱ガス化学(株)製〕
-イソシアネート系架橋剤-
「コロネート L-45E」〔商品名、東ソー(株)製〕
上記「TETRAD」及び「コロネート」は、いずれも登録商標である。
表2中、「配合量」の欄に記載の数値は、いずれも固形分換算値である。
表2中、「-」は、その欄に該当する成分を配合していないことを意味する。
表2に示すように、実施例1~15の粘着テープは、いずれも、適度な常態粘着力を示し、耐熱再剥離性に優れ、かつ、巻き出し性が良好であり、乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープとして好適であることが確認された。
[樹脂フィルムの加熱による重量減少率]
基材として用いられる樹脂フィルムの加熱による重量減少率を測定した。
アルミニウム製のセル(所謂、熱分析測定用サンプル容器)に樹脂フィルムを入れ、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量同時測定装置(型番:STA7200RV)を用いて、窒素雰囲気下、105℃で15分間加熱した後、50℃になるまで放冷することにより、樹脂フィルム中に吸湿された水分を除去し、測定用サンプルを準備した。
次いで、準備した測定用サンプル約10mgを、アルミニウム製のセル(所謂、熱分析測定用サンプル容器)に入れ、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差熱熱重量同時測定装置(型番:STA7200RV)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分にて、50℃~250℃まで加熱した後、250℃で2時間保持する測定条件により、示差熱-熱重量同時測定(TG-DTA)を行った。そして、下記の計算式に基づき、樹脂フィルムの加熱による重量減少率を求めた。結果を表3に示す。
樹脂フィルムの加熱による重量減少率(%)
=[〔TG-DTA前の樹脂フィルムの重量(mg)〕-〔TG-DTA後の樹脂フィルムの重量(mg)〕]/〔TG-DTA前の樹脂フィルムの重量(mg)〕
表3に記載の樹脂フィルムの詳細は、以下に示すとおりである。
「PEI」:ポリエーテルイミドフィルム
〔商品名:スペリオ(登録商標) UT、三菱ケミカル(株)製〕
「PESU」:ポリエーテルスルホンフィルム
〔商品名:Veradel(登録商標)PES 201 NT、Solvay社製〕
「PSU」:ポリスルホンフィルム
〔商品名:Udel(登録商標)PSU、Solvay社製〕
「PPSU」:ポリフェニルスルホンフィルム
〔商品名:Radel(登録商標)R-5100 NT-15、Solvay社製〕
「PI」:ポリイミドフィルム
〔商品名:カプトン(登録商標)200H、東レ・デュポン(株)製〕
表3に示すように、PEIフィルム、PESUフィルム、PSUフィルム、PPSUフィルム、及びPIフィルムは、いずれも上記条件での加熱による重量減少率が1.0%以下であった。このような結果は、PEIフィルム、PESUフィルム、PSUフィルム、PPSUフィルム、及びPIフィルムが、アウトガスの発生量が少ない樹脂フィルムであることを意味し、乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープが有する基材として好適であることを示唆するものである。

Claims (6)

  1. 乾式薄膜形成工程において使用される保護用粘着テープであって、
    前記保護用粘着テープは、基材と、前記基材の一方の面上に設けられた粘着剤層とを有し、かつ、前記粘着剤層の前記基材とは反対側の面と、前記基材の他方の面とが当接して積層されてなるロール体であり、
    前記粘着剤層は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して6質量%~14質量%含む(メタ)アクリル系共重合体と、金属キレート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、かつ、前記金属キレート系架橋剤の含有質量に対する前記エポキシ系架橋剤の含有質量の比が0.25~2.0である粘着剤組成物により形成されてなる、保護用粘着テープ。
  2. 前記粘着剤組成物中の前記金属キレート系架橋剤及び前記エポキシ系架橋剤の合計含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して1.0質量部~3.3質量部である請求項1に記載の保護用粘着テープ。
  3. 前記(メタ)アクリル系共重合体が、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む請求項1又は請求項2に記載の保護用粘着テープ。
  4. 前記基材が、ポリエーテルイミド基材、ポリエーテルスルホン基材、又はポリフェニルスルホン基材である請求項1又は請求項2に記載の保護用粘着テープ。
  5. 前記基材の前記粘着剤層が設けられた側の面の濡れ指数が、50mN/m以上である請求項1又は請求項2に記載の保護用粘着テープ。
  6. 前記基材は、窒素雰囲気下において200℃で2時間加熱したときの重量減少率が1.0%以下である請求項1又は請求項2に記載の保護用粘着テープ。
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